JP2004075711A - 潜熱蓄熱材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】潜熱蓄熱剤の機能を損なうことなく、染み出しや漏れを確実に防いで、取り扱いやすい潜熱蓄熱材を提供する。
【解決手段】粒塊状をなす多孔質担持体10と、多孔質担持体10に含浸された潜熱蓄熱剤20と、潜熱蓄熱剤20含浸多孔質担持体10の外面を覆い、潜熱蓄熱剤20を通過させない封入層30とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】粒塊状をなす多孔質担持体10と、多孔質担持体10に含浸された潜熱蓄熱剤20と、潜熱蓄熱剤20含浸多孔質担持体10の外面を覆い、潜熱蓄熱剤20を通過させない封入層30とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潜熱蓄熱材とその製造方法とに関し、詳しくは、固体から液体への相転移などに伴って熱の放出および吸収を行う潜熱蓄熱材と、その製造方法とを対象にしている。
【0002】
【従来の技術】
潜熱蓄熱材料として、パラフィンなどが知られている。パラフィンは、低温では固体であるが昇温すると液体になる。液体のパラフィンが降温すれば、再び固体に戻る。この固定と液体との間における相転移の際に、大きな熱の出入りがある。このような相転移で出入りする熱を潜熱と呼び、物体の通常の昇温降温に伴う熱の出入りである顕熱と区別されている。
パラフィンのように潜熱の大きな材料は、大量の熱を蓄えることができるため、潜熱蓄熱材として使用される。潜熱蓄熱材は、相転移で熱が出入りしている間は、潜熱蓄熱材そのものの温度には変化が生じない。吸熱作用と放熱作用とを相転移温度という特定温度で明確に切り換えたり、相転移を超えた温度変化が起こり難いように制御したりする機能が発揮できる。
【0003】
近年、住宅などの建築分野における蓄熱材料として、このような潜熱蓄熱材の利用が検討されている。冷房や暖房の熱エネルギーを蓄熱しておいたり、夜間と昼間の外気温差や太陽熱を利用したりする蓄熱構造や蓄熱装置として、潜熱蓄熱材を利用すると、小型で高性能な蓄熱構造や装置が構成できる。
ところが、潜熱蓄熱材として、前記したパラフィンのように、固体と液体との間における相転移を利用するものの場合、液体化したパラフィンが流出したり散逸したりしないように保持しておく手段が必要である。
例えば、金属などからなる密封容器に潜熱蓄熱材料を封入しておくことが提案されている。シリカゲルなどの多孔質材料に潜熱蓄熱剤を含浸させておくことも提案されている(特開平5−1281号公報など)。潜熱蓄熱剤のゲルを使用することも提案されている(特開平11−92758号公報など)。樹脂のカプセルに潜熱蓄熱材料を封入して、潜熱蓄熱マイクロカプセルを構成することも提案されている(特開2001−348566号公報など)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来における潜熱蓄熱材の保持形態は何れも、使用に不便であったり、製造コストが高くついたりするという問題がある。
例えば、金属容器は、重量および嵩が増え、製造コストも高くつく。自由な形態で使用することもできない。
多孔質材料に潜熱蓄熱剤を含浸させただけでは、潜熱蓄熱剤が液状化したときに、多孔質材料から容易に染み出してしまう。前記特開平5−1281号公報では、潜熱蓄熱剤と樹脂との溶融混合物を使用することで、多孔質材料からの染み出しを防いでいるが、十分とは言えない。
【0005】
潜熱蓄熱剤をゲル化しておいても、潜熱蓄熱剤が液状化すれば、ゲルから染み出す可能性がある。
マイクロカプセルは使用し易いが、樹脂カプセルに外力が加わって割れたり、ひびが入ったりすると、潜熱蓄熱剤が漏れる可能性がある。樹脂カプセルの厚みを増やしたり、強度の高い樹脂を使用したりすることも考えられるが、厚みの分厚いカプセルは熱を伝え難く、高強度樹脂は高価である。
本発明の課題は、潜熱蓄熱剤の機能を損なうことなく、染み出しや漏れを確実に防いで、取り扱いやすい潜熱蓄熱材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる潜熱蓄熱材は、粒塊状をなす多孔質担持体と、前記多孔質担持体に含浸された潜熱蓄熱剤と、前記潜熱蓄熱剤含浸多孔質担持体の外面を覆い、潜熱蓄熱剤を通過させない封入層とを備える。
〔多孔質担体〕
無機または有機の多孔質材料からなる。潜熱蓄熱剤を含浸させて支持できる多孔質構造を備えていて、潜熱蓄熱剤の機能を阻害しない材料であれば、通常の多孔質材料が使用できる。
【0007】
具体的には、発泡ガラス、発泡粘土、発泡フライアッシュ、発泡頁岩、珪質頁岩の無機多孔質材料が挙げられる。これらの無機材料は、潜熱蓄熱剤の機能を阻害せず、潜熱蓄熱剤との接触で劣化や損傷を受けることも少ない。
有機多孔質材料として、発泡ウレタン、発泡フェノール、発泡スチレンなどの発泡樹脂や多孔質網状体が挙げられる。
多孔質担体は、多孔質材料を、粉砕や成形、造粒などの手段を用いて、粒塊状に形成されたものを用いる。形状は、球状や柱状、板片状、多面体状あるいは不定形のものがある。粒径は、0.1〜25mmの範囲に設定される。好ましくは、1〜10mmである。粒径が大き過ぎると、取り扱いがし難くかったり、使用中に割れたりし易くなる。粒径が小さ過ぎると、製造が難しく、保持できる潜熱蓄熱剤の量も少なくなる。
【0008】
多孔質担体の多孔度を50%以上に設定できる。ここで多孔度は、細孔を含めた多孔質担体の全体の体積に対する多孔質担体の内部に存在する細孔の体積の割合で定義される。多孔度は、多孔質担体の物理的強度が確保される範囲で出来るだけ高い値を示すものが好ましい。
多孔質担体の比重(かさ比重)を、0.1〜1.0に設定する。比重は、使用する多孔質無機材料と製造工程によって決まる。比重が大き過ぎると、取り扱い難く、潜熱蓄熱材の収容装置などに負担がかかる。比重が小さ過ぎると、取り扱い中に飛散したり散逸したりし易い。
【0009】
潜熱蓄熱材には、材質や形状が1種類だけの多孔質担体を使用してもよいし、複数種類の多孔質担体を組み合わせて使用することもできる。
〔潜熱蓄熱剤〕
多孔質担持体に含浸させて保持させておくことができれば、通常の潜熱蓄熱用に使用されている潜熱蓄熱剤が使用できる。
具体的には、パラフィン、ワックス、無機塩類水和物が挙げられる。無機塩類水和物として、硝酸マグネシウム6水塩、塩化マグネシウム6水塩、硫酸ナトリウム10水塩、塩化カルシウム4水塩、硫酸マンガン6水塩などが挙げられる。
【0010】
潜熱蓄熱剤の相転移は、通常、固体と液体との間の相転移を利用する。固体と固体との間での相転移や、液体と液体との間での相転移を利用することもできる。
相転移温度は、使用目的によって異なるが、通常、−30℃〜200℃のものが使用される。なお、相転移温度は、温度上昇過程と温度降下過程とで、異なる相転移温度を示す場合がある。この場合は、両方の相転移温度の平均温度で代表させることができる。
潜熱蓄熱剤として、材質や相転移温度の異なる複数の材料を組み合わせて使用することもできる。相転移温度の異なる材料を組み合わせることで、単独の材料では得られない相転移特性あるいは吸放熱特性を発揮させることができる。
【0011】
潜熱蓄熱材の全体に占める潜熱蓄熱剤の割合が多いほど、潜熱蓄熱機能は有効に発揮できる。多孔質担体に含浸させる潜熱蓄熱剤の量は、多孔質担体の細孔容積を上限として決まる。さらに、封入層の厚みによって、潜熱蓄熱材に占める潜熱蓄熱剤の割合が変わる。本発明の目的を達成するには、潜熱蓄熱材の全量に対して潜熱蓄熱剤を25〜95重量%、好ましくは25〜70重量%含まれるようにすることができる。潜熱蓄熱剤の含有量が少な過ぎると、潜熱蓄熱機能が十分に発揮できない。潜熱蓄熱剤の含有量が多過ぎると、相対的に封入層の厚みが減って潜熱蓄熱剤の通過阻止が果たし難くなったり、多孔質担体の強度が低下したりする。
【0012】
多孔質担体による保持性が確保される範囲で潜熱蓄熱材の含有量を多くできるが、潜熱蓄熱材の含有量が多い場合には、封入層の機能として、封入された潜熱蓄熱材の凝固・融解による体積変化を吸収できることが必要である。多孔質担体の内部に存在する空隙で、潜熱蓄熱材の体積変化を吸収することもできる。
〔封入層〕
潜熱蓄熱剤含浸多孔質担体の外面を覆い、潜熱蓄熱剤を通過させない。
このような機能が発揮できれば、通常の各種樹脂材料が使用できる。具体的には、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルメラミン樹脂、フッ素樹脂、アルコキシシラン系樹脂、ビニル樹脂などの有機樹脂が使用できる。一般的なマイクロカプセル製造用の樹脂材料も使用できるが、マイクロカプセルに要求されるような高い機械的強度やカプセル成形性は必要ではない。さらに、金属蒸着膜や糖衣なども使用できる。
【0013】
封入層の厚みは、潜熱蓄熱剤を通過させなければ、出来るだけ薄いほうが、潜熱蓄熱剤の機能を有効に発揮させられる。通常は、封入層の厚みを5〜70μmにする。好ましくは10〜40μmである。封入層が厚過ぎると、熱伝達の効率が悪くなる。封入層が薄過ぎると、使用中に封入層が破壊されて潜熱蓄熱剤が漏れ易くなる。
封入層を、材料の異なる複数の層を積層させて構成することもできる。この場合も、合計の厚みを前記範囲に設定すればよい。
〔潜熱蓄熱材の製造〕
<含浸工程>
潜熱蓄熱剤を溶融状態にして多孔質担持体に含浸させる。
【0014】
潜熱蓄熱剤は、液体と固体との間の相転移温度よりも高い温度に加熱すれば、溶融状態になる。溶剤を使って溶融状態にすることもできる。潜熱蓄熱剤の流動性を高めるには、相転移温度よりも十分に高い温度にしておくことが好ましい。
粒塊状の多孔質担持体と溶融状態の潜熱蓄熱剤との混合攪拌することで、潜熱蓄熱剤を多孔質担持体に含浸させることができる。減圧下あるいは加圧下で含浸を促進させることもできる。多孔質担持体の細孔内に潜熱蓄熱剤が出来るだけ含浸されて、空気などが残らないようにすることが好ましい。
潜熱蓄熱剤の含浸が完了したあとは、温度を下げることで、多孔質担持体から潜熱蓄熱剤が漏れるのを防ぐことができる。少なくとも、液体から固体への相転移温度よりも低い温度まで降温させることが望ましい。
【0015】
潜熱蓄熱剤が含浸された多孔質担持体を、個々の粒塊物に分離するために、攪拌などの分離処理を行うことができる。
<封入工程>
潜熱蓄熱剤含浸多孔質担持体の外面に、封入層となる液剤を被覆し硬化させて封入層を形成することができる。
封入層の液剤を、多孔質担持体の外面に塗工したり噴射したりして、多孔質担持体の外面に液剤層を形成させたあと、加熱乾燥などの手段で液剤層を硬化させれば、封入層が形成できる。
【0016】
封入層は、粒塊状をなす個々の多孔質担持体の外面を覆う必要がある。また、個々の多孔質担持体が接合したままにならず分離するようにしなければならない。
そこで、多孔質担持体に封入層の液剤を接触させたあと、全体を攪拌したり運動させたりしながら、液剤を硬化させることが好ましい。液剤中で、多孔質担持体を転動させれば、多孔質担持体が個々に分離された状態で外面全体に封入層を形成するのに有効である。封入層の厚みを均一化させるのにも有効である。このような多孔質担持体を転動させながら封入層を形成する装置として、マルメライザーと呼ばれる装置が使用できる。
【0017】
封入層の液剤を硬化させる手段としては、加熱や風乾による硬化のほか、放射線硬化や化学反応による硬化なども適用できる。この硬化工程でも、少なくも初期の段階では、潜熱蓄熱剤が溶融したり封入層に染み出したりしない条件を設定することが望ましい。
潜熱蓄熱剤が含浸された多孔質担持体の外面に封入層が形成されれば、潜熱蓄熱材の製造は完了する。
〔潜熱蓄熱材の使用〕
潜熱蓄熱材は、従来の粒塊状あるいはマイクロカプセル化された潜熱蓄熱材と同様の形態をなしているので、同様の使用形態が採用できる。
【0018】
具体的には、粒塊状の潜熱蓄熱材を、タンクや容器、パイプに堆積あるいは充填した状態で収容し、そこに蓄熱あるいは放熱が必要な空気、水などの流体を流通させることができる。
潜熱蓄熱材を、各種の機能材料と組み合わせて使用することができる。例えば、珪質頁岩やシリカゲルなどの調湿機能やガス吸着機能を有する材料と混合しておき、住宅の換気と接触させれば、換気の調温と調湿、脱臭などを果たすことができる。微粒状の潜熱蓄熱材を、比較的に大きな塊状の無機調湿材の表面に、バインダーを介して被覆接合しておけば、両者の機能が良好に発揮できる。
【0019】
潜熱蓄熱材を、各種の建築材料に配合して、潜熱蓄熱機能を有する建築資材を製造することができる。具体的には、石膏ボード、木片集積ボード、セメントボード、タイル、瓦、セラミック材、塗料、シート材などの原料に潜熱蓄熱材を配合しておけば、これらの建築資材を使用したときに、潜熱蓄熱機能によって、施工環境の温度調整を果たすことができる。
潜熱蓄熱材が配合された材料は、建築分野以外にも、各種の家庭用品分野や医療分野、機械装置分野、繊維衣料分野、土木分野などで利用することも可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、潜熱蓄熱材Tの製造工程と、製造された潜熱蓄熱材Tの構造を示している。
図1(a)に示すように、発泡ガラスや珪質頁岩の粉砕物などからなる多孔質担持体10が用意される。多孔質担持体10の形状は、説明を簡略化するために球形に図示しているが、実際には、正確な球形である必要はなく、不定形であってもよい。
図1(b)に示すように、多孔質担持体10に、パラフィンなどからなる潜熱蓄熱剤20が含浸される。潜熱蓄熱剤20は加熱溶融させた状態で、多孔質担持体10の細孔内部まで入り込ませるようにする。
【0021】
加熱溶融した状態で含浸された潜熱蓄熱剤20は、降温させることで、含浸された状態のままで固体化し、多孔質担持体10に保持される。
図1(c)に示すように、潜熱蓄熱剤20が含浸保持された多孔質担持体10の外面に、アクリル樹脂などからなり、一定の厚みを有する封入層30が形成される。封入層30は、液状の樹脂中で多孔質担持体10を転動させることで、多孔質担持体10の外面に液状樹脂膜を形成し、その後、液状樹脂膜を硬化させることで形成されている。
このような構造を有する潜熱蓄熱材Tは、多孔質担持体10に担持された潜熱蓄熱剤20が有する潜熱蓄熱機能を有効に発揮できる。潜熱蓄熱剤20は、多孔質担持体10の細孔内部に保持されているだけなので、細孔内部での相転移には何ら支障がなく、細孔内部での移動や変形、膨張収縮なども可能である。潜熱蓄熱材Tの外部環境に存在する空気などと、潜熱蓄熱剤20とは、薄い封入層30を介しているだけなので、吸放熱作用は効率的に行われる。
【0022】
潜熱蓄熱剤20は、相転移によって液状化するが、封入層30は多孔質担持体10の外面で支持されているので、薄い封入層30であっても、封入層30が変形したり破損したりすることがない。封入層30は、液状化した潜熱蓄熱剤20の通過を遮断するだけの厚みがあればよいので、薄い封入層30を介して、外部環境と潜熱蓄熱剤20との間における伝熱効率は極めて良好である。
【0023】
【実施例】
〔実施例1〕
<潜熱蓄熱材の製造>
以下の工程を経て、粒状の潜熱蓄熱材を製造した。
多孔質担持体として、廃ガラスから得られた平均粒径4mm、多孔度72%、比重0.6の発泡ガラスビーズを用いた。相変化温度16℃のパラフィンからなる潜熱蓄熱剤Aと、相変化温度26℃のパラフィンからなる潜熱蓄熱剤Bとを用意した。潜熱蓄熱剤A:潜熱蓄熱剤B=3:7の割合で混合され、相変化温度が約20℃に調整された潜熱蓄熱剤を使用する。
【0024】
デシケータに、多孔質担持体と潜熱蓄熱剤とを収容し、真空ポンプでデシケータを負圧にすることで、多孔質担持体に潜熱蓄熱剤を含浸させた。
潜熱蓄熱剤が含浸された多孔質担持体をデシケータから取り出し、封入層となる樹脂コーティングとして、ウレタン樹脂を3層でコーティングした。封入層の厚みは40μmであった。
<潜熱蓄熱材の特性>
得られた潜熱蓄熱材は、潜熱蓄熱材の全量に対して潜熱蓄熱剤が40重量%含まれている。相変化温度域が15〜22℃であり、そのときの比エンタルピー変化量は36J/g、その内潜熱量は27J/gであった。また、内部の潜熱蓄熱剤が完全に融解したときの比熱は1.3J/g/Kであった。
【0025】
相変化を繰り返しても、潜熱蓄熱剤が外部に漏れることはなかった。
〔実施例2〕
<潜熱蓄熱材の製造>
以下の工程を経て、粒状の潜熱蓄熱材を製造した。
軽量骨材Gライト3号(商品名:クリスタルクレイ社製、発泡ガラス、粒径3〜5mm、かさ比重0.36)を、パラフィン(融点18℃)溶液に投入し、真空減圧することで、潜熱蓄熱剤であるパラフィンが80%含浸された潜熱蓄熱材を得た。
【0026】
さらに、パラフィンが含浸された潜熱蓄熱材を、80〜100%希釈されたアクリルウレタン樹脂の溶液〔Vトップクリアー(商品名:大日本塗料社製)〕に浸漬したあと取り出すことで、潜熱蓄熱材の外面に、厚み5〜40μmの封入層を形成した。不定形をなす潜熱蓄熱材の窪み部分も封入層で覆われていた。
<パラフィン封入試験>
前項で得られた封入層付の潜熱蓄熱材(実施例)と、封入層を形成しない潜熱蓄熱材(比較例)とに対して、パラフィンの封入性を比較評価した。
試験前の重量を測定しておき、経時的に重量を測定して、元の重量に対する重量減少率を算出した。試験環境の温度を、パラフィンの融点よりも高い30℃に設定した。
【0027】
図2は、試験結果を示している。比較例では、試験開始直後からパラフィンの漏れ(揮散)が多く、しかも、経時的にパラフィンの漏れが増大している。実施例では、試験開始直後のパラフィンの漏れは少なく、経時的にもパラフィンの漏れは、ほとんど増えていない。
したがって、封入層を設けた実施例では、長期間にわたって、パラフィンの潜熱蓄熱機能を有効に発揮できることが確認された。
前記パラフィン封入試験を、試験温度40℃で実施したところ、1日後の重量減少率は、実施例が0.26%に対して比較例は12.77であった。試験温度50℃で5時間後の重量減少率は、実施例が0.51%、比較例が9.01%であり、何れの条件でも、実施例は比較例に比べて格段に、パラフィンの漏れが少ないことが判る。
【0028】
【発明の効果】
本発明にかかる潜熱蓄熱材は、潜熱蓄熱剤を多孔質担持体に含浸させた状態で、外面に封入層を設けているので、潜熱蓄熱剤が封入層を通過して外部に染み出したり漏れたりすることがない。
しかも、使用時に液体化することがある潜熱蓄熱剤を、封入層のみで保持しておくには、従来におけるマイクロカプセル構造のような機械的強度や耐変形性を確保できる十分な厚みが必要であるが、機械的強度や耐久性は多孔質担持体が負担するので、封入層の厚みは薄いもので良くなる。その結果、封入層の内外における伝熱性を良好にして、潜熱蓄熱機能を格段に向上させることができる。
【0029】
封入層の材料選択として、機械的強度や耐変形性、マイクロカプセル成形性などを特に考慮する必要がなくなるので、材料選択の幅が広がり、材料コストを低減することもできる。
潜熱蓄熱材を、建材の原料などに配合してプレス成形などの加工を加えても、耐久性に優れた多孔質担持体が芯に存在しているので、潜熱蓄熱材が潰れたり、封入層が破れて潜熱蓄熱剤が漏れたりするなどの問題が発生し難い。
これらの結果、潜熱蓄熱材の機能向上を果たし、潜熱蓄熱材の用途拡大にも大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を表す線熱蓄熱材の製造工程を示す断面図
【図2】パラフィン封入試験の結果を示すグラフ図
【符号の説明】
10 多孔質担持体
20 潜熱蓄熱剤
30 封入層
T 潜熱蓄熱材
【発明の属する技術分野】
本発明は、潜熱蓄熱材とその製造方法とに関し、詳しくは、固体から液体への相転移などに伴って熱の放出および吸収を行う潜熱蓄熱材と、その製造方法とを対象にしている。
【0002】
【従来の技術】
潜熱蓄熱材料として、パラフィンなどが知られている。パラフィンは、低温では固体であるが昇温すると液体になる。液体のパラフィンが降温すれば、再び固体に戻る。この固定と液体との間における相転移の際に、大きな熱の出入りがある。このような相転移で出入りする熱を潜熱と呼び、物体の通常の昇温降温に伴う熱の出入りである顕熱と区別されている。
パラフィンのように潜熱の大きな材料は、大量の熱を蓄えることができるため、潜熱蓄熱材として使用される。潜熱蓄熱材は、相転移で熱が出入りしている間は、潜熱蓄熱材そのものの温度には変化が生じない。吸熱作用と放熱作用とを相転移温度という特定温度で明確に切り換えたり、相転移を超えた温度変化が起こり難いように制御したりする機能が発揮できる。
【0003】
近年、住宅などの建築分野における蓄熱材料として、このような潜熱蓄熱材の利用が検討されている。冷房や暖房の熱エネルギーを蓄熱しておいたり、夜間と昼間の外気温差や太陽熱を利用したりする蓄熱構造や蓄熱装置として、潜熱蓄熱材を利用すると、小型で高性能な蓄熱構造や装置が構成できる。
ところが、潜熱蓄熱材として、前記したパラフィンのように、固体と液体との間における相転移を利用するものの場合、液体化したパラフィンが流出したり散逸したりしないように保持しておく手段が必要である。
例えば、金属などからなる密封容器に潜熱蓄熱材料を封入しておくことが提案されている。シリカゲルなどの多孔質材料に潜熱蓄熱剤を含浸させておくことも提案されている(特開平5−1281号公報など)。潜熱蓄熱剤のゲルを使用することも提案されている(特開平11−92758号公報など)。樹脂のカプセルに潜熱蓄熱材料を封入して、潜熱蓄熱マイクロカプセルを構成することも提案されている(特開2001−348566号公報など)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来における潜熱蓄熱材の保持形態は何れも、使用に不便であったり、製造コストが高くついたりするという問題がある。
例えば、金属容器は、重量および嵩が増え、製造コストも高くつく。自由な形態で使用することもできない。
多孔質材料に潜熱蓄熱剤を含浸させただけでは、潜熱蓄熱剤が液状化したときに、多孔質材料から容易に染み出してしまう。前記特開平5−1281号公報では、潜熱蓄熱剤と樹脂との溶融混合物を使用することで、多孔質材料からの染み出しを防いでいるが、十分とは言えない。
【0005】
潜熱蓄熱剤をゲル化しておいても、潜熱蓄熱剤が液状化すれば、ゲルから染み出す可能性がある。
マイクロカプセルは使用し易いが、樹脂カプセルに外力が加わって割れたり、ひびが入ったりすると、潜熱蓄熱剤が漏れる可能性がある。樹脂カプセルの厚みを増やしたり、強度の高い樹脂を使用したりすることも考えられるが、厚みの分厚いカプセルは熱を伝え難く、高強度樹脂は高価である。
本発明の課題は、潜熱蓄熱剤の機能を損なうことなく、染み出しや漏れを確実に防いで、取り扱いやすい潜熱蓄熱材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる潜熱蓄熱材は、粒塊状をなす多孔質担持体と、前記多孔質担持体に含浸された潜熱蓄熱剤と、前記潜熱蓄熱剤含浸多孔質担持体の外面を覆い、潜熱蓄熱剤を通過させない封入層とを備える。
〔多孔質担体〕
無機または有機の多孔質材料からなる。潜熱蓄熱剤を含浸させて支持できる多孔質構造を備えていて、潜熱蓄熱剤の機能を阻害しない材料であれば、通常の多孔質材料が使用できる。
【0007】
具体的には、発泡ガラス、発泡粘土、発泡フライアッシュ、発泡頁岩、珪質頁岩の無機多孔質材料が挙げられる。これらの無機材料は、潜熱蓄熱剤の機能を阻害せず、潜熱蓄熱剤との接触で劣化や損傷を受けることも少ない。
有機多孔質材料として、発泡ウレタン、発泡フェノール、発泡スチレンなどの発泡樹脂や多孔質網状体が挙げられる。
多孔質担体は、多孔質材料を、粉砕や成形、造粒などの手段を用いて、粒塊状に形成されたものを用いる。形状は、球状や柱状、板片状、多面体状あるいは不定形のものがある。粒径は、0.1〜25mmの範囲に設定される。好ましくは、1〜10mmである。粒径が大き過ぎると、取り扱いがし難くかったり、使用中に割れたりし易くなる。粒径が小さ過ぎると、製造が難しく、保持できる潜熱蓄熱剤の量も少なくなる。
【0008】
多孔質担体の多孔度を50%以上に設定できる。ここで多孔度は、細孔を含めた多孔質担体の全体の体積に対する多孔質担体の内部に存在する細孔の体積の割合で定義される。多孔度は、多孔質担体の物理的強度が確保される範囲で出来るだけ高い値を示すものが好ましい。
多孔質担体の比重(かさ比重)を、0.1〜1.0に設定する。比重は、使用する多孔質無機材料と製造工程によって決まる。比重が大き過ぎると、取り扱い難く、潜熱蓄熱材の収容装置などに負担がかかる。比重が小さ過ぎると、取り扱い中に飛散したり散逸したりし易い。
【0009】
潜熱蓄熱材には、材質や形状が1種類だけの多孔質担体を使用してもよいし、複数種類の多孔質担体を組み合わせて使用することもできる。
〔潜熱蓄熱剤〕
多孔質担持体に含浸させて保持させておくことができれば、通常の潜熱蓄熱用に使用されている潜熱蓄熱剤が使用できる。
具体的には、パラフィン、ワックス、無機塩類水和物が挙げられる。無機塩類水和物として、硝酸マグネシウム6水塩、塩化マグネシウム6水塩、硫酸ナトリウム10水塩、塩化カルシウム4水塩、硫酸マンガン6水塩などが挙げられる。
【0010】
潜熱蓄熱剤の相転移は、通常、固体と液体との間の相転移を利用する。固体と固体との間での相転移や、液体と液体との間での相転移を利用することもできる。
相転移温度は、使用目的によって異なるが、通常、−30℃〜200℃のものが使用される。なお、相転移温度は、温度上昇過程と温度降下過程とで、異なる相転移温度を示す場合がある。この場合は、両方の相転移温度の平均温度で代表させることができる。
潜熱蓄熱剤として、材質や相転移温度の異なる複数の材料を組み合わせて使用することもできる。相転移温度の異なる材料を組み合わせることで、単独の材料では得られない相転移特性あるいは吸放熱特性を発揮させることができる。
【0011】
潜熱蓄熱材の全体に占める潜熱蓄熱剤の割合が多いほど、潜熱蓄熱機能は有効に発揮できる。多孔質担体に含浸させる潜熱蓄熱剤の量は、多孔質担体の細孔容積を上限として決まる。さらに、封入層の厚みによって、潜熱蓄熱材に占める潜熱蓄熱剤の割合が変わる。本発明の目的を達成するには、潜熱蓄熱材の全量に対して潜熱蓄熱剤を25〜95重量%、好ましくは25〜70重量%含まれるようにすることができる。潜熱蓄熱剤の含有量が少な過ぎると、潜熱蓄熱機能が十分に発揮できない。潜熱蓄熱剤の含有量が多過ぎると、相対的に封入層の厚みが減って潜熱蓄熱剤の通過阻止が果たし難くなったり、多孔質担体の強度が低下したりする。
【0012】
多孔質担体による保持性が確保される範囲で潜熱蓄熱材の含有量を多くできるが、潜熱蓄熱材の含有量が多い場合には、封入層の機能として、封入された潜熱蓄熱材の凝固・融解による体積変化を吸収できることが必要である。多孔質担体の内部に存在する空隙で、潜熱蓄熱材の体積変化を吸収することもできる。
〔封入層〕
潜熱蓄熱剤含浸多孔質担体の外面を覆い、潜熱蓄熱剤を通過させない。
このような機能が発揮できれば、通常の各種樹脂材料が使用できる。具体的には、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルメラミン樹脂、フッ素樹脂、アルコキシシラン系樹脂、ビニル樹脂などの有機樹脂が使用できる。一般的なマイクロカプセル製造用の樹脂材料も使用できるが、マイクロカプセルに要求されるような高い機械的強度やカプセル成形性は必要ではない。さらに、金属蒸着膜や糖衣なども使用できる。
【0013】
封入層の厚みは、潜熱蓄熱剤を通過させなければ、出来るだけ薄いほうが、潜熱蓄熱剤の機能を有効に発揮させられる。通常は、封入層の厚みを5〜70μmにする。好ましくは10〜40μmである。封入層が厚過ぎると、熱伝達の効率が悪くなる。封入層が薄過ぎると、使用中に封入層が破壊されて潜熱蓄熱剤が漏れ易くなる。
封入層を、材料の異なる複数の層を積層させて構成することもできる。この場合も、合計の厚みを前記範囲に設定すればよい。
〔潜熱蓄熱材の製造〕
<含浸工程>
潜熱蓄熱剤を溶融状態にして多孔質担持体に含浸させる。
【0014】
潜熱蓄熱剤は、液体と固体との間の相転移温度よりも高い温度に加熱すれば、溶融状態になる。溶剤を使って溶融状態にすることもできる。潜熱蓄熱剤の流動性を高めるには、相転移温度よりも十分に高い温度にしておくことが好ましい。
粒塊状の多孔質担持体と溶融状態の潜熱蓄熱剤との混合攪拌することで、潜熱蓄熱剤を多孔質担持体に含浸させることができる。減圧下あるいは加圧下で含浸を促進させることもできる。多孔質担持体の細孔内に潜熱蓄熱剤が出来るだけ含浸されて、空気などが残らないようにすることが好ましい。
潜熱蓄熱剤の含浸が完了したあとは、温度を下げることで、多孔質担持体から潜熱蓄熱剤が漏れるのを防ぐことができる。少なくとも、液体から固体への相転移温度よりも低い温度まで降温させることが望ましい。
【0015】
潜熱蓄熱剤が含浸された多孔質担持体を、個々の粒塊物に分離するために、攪拌などの分離処理を行うことができる。
<封入工程>
潜熱蓄熱剤含浸多孔質担持体の外面に、封入層となる液剤を被覆し硬化させて封入層を形成することができる。
封入層の液剤を、多孔質担持体の外面に塗工したり噴射したりして、多孔質担持体の外面に液剤層を形成させたあと、加熱乾燥などの手段で液剤層を硬化させれば、封入層が形成できる。
【0016】
封入層は、粒塊状をなす個々の多孔質担持体の外面を覆う必要がある。また、個々の多孔質担持体が接合したままにならず分離するようにしなければならない。
そこで、多孔質担持体に封入層の液剤を接触させたあと、全体を攪拌したり運動させたりしながら、液剤を硬化させることが好ましい。液剤中で、多孔質担持体を転動させれば、多孔質担持体が個々に分離された状態で外面全体に封入層を形成するのに有効である。封入層の厚みを均一化させるのにも有効である。このような多孔質担持体を転動させながら封入層を形成する装置として、マルメライザーと呼ばれる装置が使用できる。
【0017】
封入層の液剤を硬化させる手段としては、加熱や風乾による硬化のほか、放射線硬化や化学反応による硬化なども適用できる。この硬化工程でも、少なくも初期の段階では、潜熱蓄熱剤が溶融したり封入層に染み出したりしない条件を設定することが望ましい。
潜熱蓄熱剤が含浸された多孔質担持体の外面に封入層が形成されれば、潜熱蓄熱材の製造は完了する。
〔潜熱蓄熱材の使用〕
潜熱蓄熱材は、従来の粒塊状あるいはマイクロカプセル化された潜熱蓄熱材と同様の形態をなしているので、同様の使用形態が採用できる。
【0018】
具体的には、粒塊状の潜熱蓄熱材を、タンクや容器、パイプに堆積あるいは充填した状態で収容し、そこに蓄熱あるいは放熱が必要な空気、水などの流体を流通させることができる。
潜熱蓄熱材を、各種の機能材料と組み合わせて使用することができる。例えば、珪質頁岩やシリカゲルなどの調湿機能やガス吸着機能を有する材料と混合しておき、住宅の換気と接触させれば、換気の調温と調湿、脱臭などを果たすことができる。微粒状の潜熱蓄熱材を、比較的に大きな塊状の無機調湿材の表面に、バインダーを介して被覆接合しておけば、両者の機能が良好に発揮できる。
【0019】
潜熱蓄熱材を、各種の建築材料に配合して、潜熱蓄熱機能を有する建築資材を製造することができる。具体的には、石膏ボード、木片集積ボード、セメントボード、タイル、瓦、セラミック材、塗料、シート材などの原料に潜熱蓄熱材を配合しておけば、これらの建築資材を使用したときに、潜熱蓄熱機能によって、施工環境の温度調整を果たすことができる。
潜熱蓄熱材が配合された材料は、建築分野以外にも、各種の家庭用品分野や医療分野、機械装置分野、繊維衣料分野、土木分野などで利用することも可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、潜熱蓄熱材Tの製造工程と、製造された潜熱蓄熱材Tの構造を示している。
図1(a)に示すように、発泡ガラスや珪質頁岩の粉砕物などからなる多孔質担持体10が用意される。多孔質担持体10の形状は、説明を簡略化するために球形に図示しているが、実際には、正確な球形である必要はなく、不定形であってもよい。
図1(b)に示すように、多孔質担持体10に、パラフィンなどからなる潜熱蓄熱剤20が含浸される。潜熱蓄熱剤20は加熱溶融させた状態で、多孔質担持体10の細孔内部まで入り込ませるようにする。
【0021】
加熱溶融した状態で含浸された潜熱蓄熱剤20は、降温させることで、含浸された状態のままで固体化し、多孔質担持体10に保持される。
図1(c)に示すように、潜熱蓄熱剤20が含浸保持された多孔質担持体10の外面に、アクリル樹脂などからなり、一定の厚みを有する封入層30が形成される。封入層30は、液状の樹脂中で多孔質担持体10を転動させることで、多孔質担持体10の外面に液状樹脂膜を形成し、その後、液状樹脂膜を硬化させることで形成されている。
このような構造を有する潜熱蓄熱材Tは、多孔質担持体10に担持された潜熱蓄熱剤20が有する潜熱蓄熱機能を有効に発揮できる。潜熱蓄熱剤20は、多孔質担持体10の細孔内部に保持されているだけなので、細孔内部での相転移には何ら支障がなく、細孔内部での移動や変形、膨張収縮なども可能である。潜熱蓄熱材Tの外部環境に存在する空気などと、潜熱蓄熱剤20とは、薄い封入層30を介しているだけなので、吸放熱作用は効率的に行われる。
【0022】
潜熱蓄熱剤20は、相転移によって液状化するが、封入層30は多孔質担持体10の外面で支持されているので、薄い封入層30であっても、封入層30が変形したり破損したりすることがない。封入層30は、液状化した潜熱蓄熱剤20の通過を遮断するだけの厚みがあればよいので、薄い封入層30を介して、外部環境と潜熱蓄熱剤20との間における伝熱効率は極めて良好である。
【0023】
【実施例】
〔実施例1〕
<潜熱蓄熱材の製造>
以下の工程を経て、粒状の潜熱蓄熱材を製造した。
多孔質担持体として、廃ガラスから得られた平均粒径4mm、多孔度72%、比重0.6の発泡ガラスビーズを用いた。相変化温度16℃のパラフィンからなる潜熱蓄熱剤Aと、相変化温度26℃のパラフィンからなる潜熱蓄熱剤Bとを用意した。潜熱蓄熱剤A:潜熱蓄熱剤B=3:7の割合で混合され、相変化温度が約20℃に調整された潜熱蓄熱剤を使用する。
【0024】
デシケータに、多孔質担持体と潜熱蓄熱剤とを収容し、真空ポンプでデシケータを負圧にすることで、多孔質担持体に潜熱蓄熱剤を含浸させた。
潜熱蓄熱剤が含浸された多孔質担持体をデシケータから取り出し、封入層となる樹脂コーティングとして、ウレタン樹脂を3層でコーティングした。封入層の厚みは40μmであった。
<潜熱蓄熱材の特性>
得られた潜熱蓄熱材は、潜熱蓄熱材の全量に対して潜熱蓄熱剤が40重量%含まれている。相変化温度域が15〜22℃であり、そのときの比エンタルピー変化量は36J/g、その内潜熱量は27J/gであった。また、内部の潜熱蓄熱剤が完全に融解したときの比熱は1.3J/g/Kであった。
【0025】
相変化を繰り返しても、潜熱蓄熱剤が外部に漏れることはなかった。
〔実施例2〕
<潜熱蓄熱材の製造>
以下の工程を経て、粒状の潜熱蓄熱材を製造した。
軽量骨材Gライト3号(商品名:クリスタルクレイ社製、発泡ガラス、粒径3〜5mm、かさ比重0.36)を、パラフィン(融点18℃)溶液に投入し、真空減圧することで、潜熱蓄熱剤であるパラフィンが80%含浸された潜熱蓄熱材を得た。
【0026】
さらに、パラフィンが含浸された潜熱蓄熱材を、80〜100%希釈されたアクリルウレタン樹脂の溶液〔Vトップクリアー(商品名:大日本塗料社製)〕に浸漬したあと取り出すことで、潜熱蓄熱材の外面に、厚み5〜40μmの封入層を形成した。不定形をなす潜熱蓄熱材の窪み部分も封入層で覆われていた。
<パラフィン封入試験>
前項で得られた封入層付の潜熱蓄熱材(実施例)と、封入層を形成しない潜熱蓄熱材(比較例)とに対して、パラフィンの封入性を比較評価した。
試験前の重量を測定しておき、経時的に重量を測定して、元の重量に対する重量減少率を算出した。試験環境の温度を、パラフィンの融点よりも高い30℃に設定した。
【0027】
図2は、試験結果を示している。比較例では、試験開始直後からパラフィンの漏れ(揮散)が多く、しかも、経時的にパラフィンの漏れが増大している。実施例では、試験開始直後のパラフィンの漏れは少なく、経時的にもパラフィンの漏れは、ほとんど増えていない。
したがって、封入層を設けた実施例では、長期間にわたって、パラフィンの潜熱蓄熱機能を有効に発揮できることが確認された。
前記パラフィン封入試験を、試験温度40℃で実施したところ、1日後の重量減少率は、実施例が0.26%に対して比較例は12.77であった。試験温度50℃で5時間後の重量減少率は、実施例が0.51%、比較例が9.01%であり、何れの条件でも、実施例は比較例に比べて格段に、パラフィンの漏れが少ないことが判る。
【0028】
【発明の効果】
本発明にかかる潜熱蓄熱材は、潜熱蓄熱剤を多孔質担持体に含浸させた状態で、外面に封入層を設けているので、潜熱蓄熱剤が封入層を通過して外部に染み出したり漏れたりすることがない。
しかも、使用時に液体化することがある潜熱蓄熱剤を、封入層のみで保持しておくには、従来におけるマイクロカプセル構造のような機械的強度や耐変形性を確保できる十分な厚みが必要であるが、機械的強度や耐久性は多孔質担持体が負担するので、封入層の厚みは薄いもので良くなる。その結果、封入層の内外における伝熱性を良好にして、潜熱蓄熱機能を格段に向上させることができる。
【0029】
封入層の材料選択として、機械的強度や耐変形性、マイクロカプセル成形性などを特に考慮する必要がなくなるので、材料選択の幅が広がり、材料コストを低減することもできる。
潜熱蓄熱材を、建材の原料などに配合してプレス成形などの加工を加えても、耐久性に優れた多孔質担持体が芯に存在しているので、潜熱蓄熱材が潰れたり、封入層が破れて潜熱蓄熱剤が漏れたりするなどの問題が発生し難い。
これらの結果、潜熱蓄熱材の機能向上を果たし、潜熱蓄熱材の用途拡大にも大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を表す線熱蓄熱材の製造工程を示す断面図
【図2】パラフィン封入試験の結果を示すグラフ図
【符号の説明】
10 多孔質担持体
20 潜熱蓄熱剤
30 封入層
T 潜熱蓄熱材
Claims (6)
- 粒塊状をなす多孔質担持体と、
前記多孔質担持体に含浸された潜熱蓄熱剤と、
前記潜熱蓄熱剤含浸多孔質担持体の外面を覆い、潜熱蓄熱剤を通過させない封入層と
を備える潜熱蓄熱材。 - 前記多孔質担持体が、発泡ガラス、発泡粘土、発泡フライアッシュ、発泡頁岩、珪質頁岩、発泡ウレタン、発泡フェノール、発泡スチレンからなる群から選ばれる何れか1種の多孔質材料からなり、粒径0.1〜15mm、比重0.25〜1.0である
請求項1に記載の潜熱蓄熱材。 - 前記封入層が、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルメラミン樹脂、フッ素樹脂、アルコキシシラン系樹脂、ビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機樹脂からなり、厚みが5〜70μmである
請求項1または2に記載の潜熱蓄熱材。 - 前記潜熱蓄熱剤は、パラフィン、ワックス、無機塩類水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、相転移温度が−30℃〜200℃であり、潜熱蓄熱材の全量に対して25〜95重量%含まれる
請求項1または2に記載の潜熱蓄熱材。 - 請求項1〜4に記載の潜熱蓄熱材を製造する方法であって、
前記潜熱蓄熱剤を溶融状態にして前記多孔質担持体に含浸させる工程(a)と、
前記工程(a)で得られた潜熱蓄熱剤含浸多孔質担持体の外面に、前記封入層と
なる液剤を被覆し硬化させて封入層を形成する工程(b)と
を含む潜熱蓄熱材の製造方法。 - 前記工程(b)が、前記潜熱蓄熱剤含浸多孔質担持体を、前記封入層となる液剤中で転動させて、潜熱蓄熱剤含浸多孔質担持体の外面に封入層を形成する
請求項5に記載の潜熱蓄熱材。
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