JP2004075599A - ステロイド誘導体を主成分とする抗菌剤 - Google Patents

ステロイド誘導体を主成分とする抗菌剤 Download PDF

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Abstract

【課題】より安全でMRSAおよびMRSEを含むブドウ球菌に抗菌力を有し、明確な感染治療効果を示すグラム陽性菌感染症、特にMRSAおよびMRSEを含むブドウ球菌感染症に有効な新しい治療用薬剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で示されるステロイド誘導体を有効成分とする抗菌剤。
【化1】
Figure 2004075599

(式中、RとRは、置換基を有しても良いシクロペンタノパーヒドロフェナンスレン骨格を表し、RとRは同一もしくは異なっていても良い。Rは二価のカルボン酸残基を表す。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステロイド誘導体を有効成分とする抗菌剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、臨床の場に於いてグラム陽性菌の分離頻度の増加が見られ、中でもメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下、MRSAと略す。)およびメチシリン耐性表皮ブドウ球菌(以下、MRSEと略す。)を含むブドウ球菌の分離頻度の増加は著しい。ブドウ球菌感染症は一般に難治性となるケースは少ないが、免疫能の低下患者あるいは生体防御能の虚弱な老人・乳幼児が罹患する場合には難治性となる場合がある。
【0003】
これまでに、既にいくつかの抗ブドウ球菌活性を有するβ−ラクタム系抗菌薬が見出され安全性の高い薬剤として臨床の現場で広く使用されてきている。しかし、これらの抗ブドウ球菌活性を有するβ−ラクタム系抗菌薬は、MRSAおよびMRSEに対して抗菌力を示さないか、示しても弱い抗菌活性を示すにすぎず、近年増加しているMRSA感染症およびMRSE感染症の治療には使用することができない場合が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みなされたものであって、今後も増加が予想されるグラム陽性菌感染症の治療において、より安全でMRSAおよびMRSEを含むブドウ球菌に抗菌力を有し、明確な感染治療効果を示すグラム陽性菌感染症、特にMRSAおよびMRSEを含むブドウ球菌感染症に有効な新しい治療用薬剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、グラム陽性菌感染症、特にMRSAおよびMRSEを含むブドウ球菌感染症に有効な新しい治療用薬剤について鋭意研究した結果、特定な構造を有するステロイド誘導体がグラム陽性菌、特にMRSAおよびMRSEを含むブドウ球菌に対し抗菌作用を示すことを見出した。本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)下記一般式(I)で示されるステロイド誘導体を有効成分とすることを特徴とする抗菌剤。
【化3】
Figure 2004075599
(式中、RとRは、置換基を有しても良いシクロペンタノパーヒドロフェナンスレン骨格を表し、RとRは同一もしくは異なっていても良い。Rは二価のカルボン酸残基を表す。)
(2)二価のカルボン酸残基Rが、下記一般式(II)で示される置換基を有してもよいシクロペンタノパーヒドロフェナンスレンのA環の3位で結合していることを特徴とする上記(1)記載のステロイド誘導体を有効成分とすることを特徴とする抗菌剤。
【化4】
Figure 2004075599
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に係る抗菌剤は下記一般式(I)で示される、二価の連結基(スペーサー)を介して置換基を有してもよいシクロペンタノパーヒドロフェナンスレンの基本骨格が結合している化合物を有効成分としていることを特徴とする。
【化5】
Figure 2004075599
(式中、RとRは、置換基を有してもよいシクロペンタノパーヒドロフェナンスレン骨格を表し、RとRは同一または異なっても良い。Rは二価の連結基を表す。)
【0007】
上述の一般式(I)中、RとRはシクロペンタノパーヒドロフェナンスレン基本骨格を有する化合物群で表され、RとRは同一または異なっても良い。
また、置換基の種類および数、不飽和結合の種類および数、それらの位置および立体配置、環の立体配置になんら制限はない。
【0008】
置換基としては、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の直鎖あるいは分岐状アルキル基、アラルキル基またはアルコキシ基、水酸基、グルコースあるいはオリゴ糖等の糖類、アミノ酸等のアミン類、ペプチド類等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
アルキル基としては、特に制限はなく、いかなる直鎖あるいは分岐状アルキル基を用いることができ、1個以上の二重結合または三重結合を含んでも良い。その炭素数は通常50個以下、好ましくは30個以下、さらに好ましくは15個以下である。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の環状アルキル基が挙げられる。
【0009】
アラルキル基としては、特に制限はないが、通常炭素数が50個以下、好ましくは30個、さらに好ましくは15個の範囲である。具体的にはベンジル基、フェネチル基等が例示される。
アルコキシ基としては、特に制限はないが、通常炭素数が50個以下、好ましくは30個以下、さらに好ましくは15個以下である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が例示される。
【0010】
アルキル基、アラルキル基またはアルコキシ基の置換基としては、本反応に関与しないものなら特に制限はなく、置換あるいは未置換アリール基、カルボニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルまたはアリールスルホニル基、ニトロ基、ハロゲン等が例示される。
【0011】
糖類としては特に制限はないが、通常は単糖類、オリゴ糖類である。単糖類としてペントース、ヘキソース、デオキシヘキソース、ヘプトース、アミノ糖が挙げられ、具体的にはアラビノース、リボース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラムノース、フコース、ジギトキソース、チマロース、オレアンドロース、ジギタロース、アピオース、ハマメロース、ストレプトース、セドヘプチュロース、コリオース、グルコサミン、ガラクトサミン、2−デオキシ−2−メチルアミノグルコース等が例示される。オリゴ糖類として非還元性オリゴ糖、還元性オリゴ糖が挙げられ、具体的にはショ糖、トレハロース、ゲンチアノース、ラフィノース、乳糖、セルビオース、麦芽糖、ゲンチオビオース等が例示される。
【0012】
アミン類は通常炭素数80以下、酸素数30以下、窒素数40以下、硫黄数10以下、好ましくは、炭素数50以下、酸素数15以下、窒素数20以下、硫黄数5以下、さらに好ましくは、炭素数2〜20、酸素数10以下、窒素数2〜10、硫黄数3以下の範囲で構成される。
アミノ酸類として具体的には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルパラギン、グルタミン、リジン、オルニチン、アルギニン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、システイン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、4−ヒドロキシプロリン、トリコロミン酸、イボテン酸、キスカリン酸、カナバニン、カイニン酸、ドモイ酸、1−アミノシクロプロパンカルボン酸、2−(メチレンシクロプロピル)グリシン、ヒポグリシンA、3−シアノアラニン、アベナ酸、ムギネ酸、ミモシン、レボドパ、β−ヒドロキシ−γ−メチルフルタミン酸、5−ヒドロキシトリプトファン、パントテン酸、ラミニン、ベタシアニン等が例示される。また、タウリン等スルホン酸基を有するアミン類等も挙げられる。さらにエチレンジアミン、プロパンジアミン、ジエチレントリアミン等の両末端にアミノ基が結合したものも挙げられる。
【0013】
アミノ酸類は、ハロゲン原子で置換されていても良く、ハロゲン原子としてフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、1個以上置換されていても良い。
【0014】
ペプチド類としては特に制限は無いが、通常含窒素ポリマーである。2個以上のアミノ酸による重縮合化合物またはタンパク質、ミオグロビン、ヘモグロビン等のポリペプチド等が挙げられる。
【0015】
このようなシクロペンタノパーヒドロフェナンスレンの基本骨格を有する化合物群は、前述の一般式(II)で示した基本骨格を有する天然物が出発原料となる。
【0016】
これらの化合物群としては、例えば、ステロール、胆汁酸、プレグナン、ステロイドホルモン、強心ステロイド、スピロスタール、フロスタール、昆虫変態ホルモン、ウィサノリド、ステロイドサポニン、トリテルペノイドサポニン、トリテルペノイドなどが挙げられ、具体的には、コレステロール、β−シトステロール、フコステロール、エルゴステロール、コール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、アポコール酸、ウルソデオキシコール酸、スチムノール、ジキニン、コンズランゴグリコシドB0、グリコシドH2、エリジエノンA、プロゲステロン、エストラジオール、テストステロン、コルチゾン、アルドステロン、カルデノリド、ブファジエノリド、ジギトキシン、ラナトシドC、G−ストロファンチン、K−ストロファントシド、オレアンドリン、スチラレンA、ブホタリン、センソ、ヌアチゲニン、トリレノゲニン、クリプトゲニン、エクジソン、エクジステロン、イノコステロン、ポナステロイドA、サステロン、ウィサフェリンA、ジオスチン、ジキトニン、F−ギトニン、ヨノニン、オフィオポゴニンD、トリレノシド、アベナコシドA、サルサパリロシド、プロトジオスチン、オスラジン、ソルナステロシドA、ジンセノシド類、ジジフスサポニン類、ホロトキシンA、ホロスリンAとB、シミシフゴシド、アストラガロシド類、モグロシド類、ダマレンジオール、プロトパナキサンジオール、プロトパナキサントリオール、ユーファール、ユーファルボール、エレモール酸、エレモン酸、アリソール類、ラノスレロール、エブリコ酸、シクロアルテノール、シミゲノール、シミシフゲノール、ククルビタシン類、ダチスコシド、モグロール等が例示される。
【0017】
また、上述一般式(I)中、Rは、二価の連結基(スペーサー)を表し、炭素数100以下の直鎖、分岐、環状のアルキレン基、アラルキレン基若しくはフェニレン基または、これらの基に、−COO−、−O−、−S−,−CO−、−CONH−、−SONH−などが結合して形成される炭素数100以下の2価の基を表す。
このような2価の連結基としては、具体的に以下のような基が挙げられる。
【0018】
【表1】
Figure 2004075599
【0019】
本発明において、特に好ましく使用されるステロイド誘導体は、二価の連結基が、前記一般式(II)で示される置換基を有してもよいシクロペンタノパーヒドロフェナンスレンのA環の3位で結合しているものである。
【0020】
本発明に係る前記一般式(I)で示されるステロイド誘導体は、コール酸にベンジルアルコールなどの水酸基を持つアルコール体をDCCなどの縮合剤と混和させる方法等によって合成することができる。
【0021】
本発明の抗菌剤は、グラム陽性菌に対して優れた抗菌性を示すことから、グラム陽性菌感染症の治療薬として極めて有用なものである。
グラム陽性菌感染症としては、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)感染症、レンサ球菌属(Streptococcus)に属する病原菌(例えば、A群β溶血性レンサ球菌(S.pyogenes)、B群レンサ球菌(S.agalactiae)、S.milleriグループ、緑色レンサ球菌(viridans streptococci)、口腔レンサ球菌(oral streptococci)など)に起因する感染症、ブドウ球菌属(Staphylococcus)に属する病原菌(例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase negative streptococcus)など)に起因する感染症、腸球菌属(Enterococcus)に属する病原菌(例えば、E.faecalis、E.faeciumなど)に起因する感染症などのグラム陽性球菌感染症などが挙げられる。
【0022】
本発明の抗菌剤は、この中でも特にブドウ球菌属(Staphylococcus)に属する病原菌(例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌など)に起因する感染症に対して有効性を発揮する。
【0023】
黄色ブドウ球菌に起因する感染症としては、せつ・よう・蜂巣炎・多発性皮下膿症などの種々の化膿性疾患、乳腺炎、胸腺炎、カテーテル菌血症、毒素性ショック症候群、膿痂疹(水疱性膿痂疹、伝染性膿痂疹など)などが挙げられる。
【0024】
また、本発明の抗菌剤は、近年、増加している、多剤耐性のメシチリン耐性黄色ブドウ球菌やメシチリン耐性表皮ブドウ球菌による感染症に対しても有効である。
【0025】
本発明の抗菌剤の主成分である前記一般式(I)及び(II)で示される化合物はそのままでも使用できるが、薬学的に許容される塩として使用してもよい。
薬理学上許容される塩としては、例えばナトリム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等の無機または有機塩基等との塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の有機酸または無機酸との酸付加塩など、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸との塩などが挙げられる。なお、上記の塩には、たとえばその水和物(例えば3水和物など)なども含まれる。
【0026】
さらに本化合物は、そのプロドラッグの形態としても使用可能である。プロドラッグとは、抗菌薬を化学的に修飾し、生体内で酵素的または化学的にその抗菌薬を遊離するように設計された化合物をいい、例えば、カルボン酸基を有する場合には、そのアルカノイルオキシメチルエステル(例えば、ピボキシルエステルなど)、低級アルコキシカルボニルオキシメチルエステル(例えば、プロキセチルエステルなど)、低級シクロアルキルオキシカルボニルオキシエチルエステル(例えば、ヘキセチルエステルなど)などとして使用することができる。
【0027】
本発明の抗菌剤は、合剤であってもそれぞれの単独製剤であってもよく、例えばスクロース、でん粉、マンニット、ソルビット、ラクトース、グルコース、セルロース、微結晶セルロース、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の賦形剤、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリプロピルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、スクロース、でん粉等の結合剤、でん粉、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、軟質無水ケイ酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリム等の滑沢剤、クエン酸、メントール、グリシン、オレンジ末等の矯味剤、安息香酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等の保存剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等の安定化剤などのような製剤化に慣用の有機または無機の各種担体を用いる常法によって、上記の剤型に製造することができる。
【0028】
さらに、単独製剤(例えば、カプセル剤、錠剤、軟膏剤など)とした場合には、例えば、PTP(Press Through Package)シートやストリップシートなどのシートに包装して使用することもできる。
【0029】
本発明の抗菌剤に含有される有効成分の量、即ち、抗ブドウ球菌活性を有する前記した本化合物の投与量は、予防または疾患の過程と状態に対して所望の治療効果を発揮するのに充分な量とすべきであり、患者に対する投与量は、処置すべき個々の患者の年齢、および感染症の程度等の条件によって変化するが、一般的には有効成分日当りの投与量100mg〜10gが、1日に1〜4回予防または治療のために投与される。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【0031】
合成例1
窒素気流下、コール酸12.0gの入れたナス型フラスコを無水テトラヒドロフラン300mlを加え溶解し、これを−50℃に冷却し、トリフルオロ酢酸無水物67mlを滴下した。この反応溶液を−50℃で2時間撹拌した後、無水tert−ブタノール110mlを滴下した。反応溶液を撹拌をしながら5時間をかけて徐々に室温に戻し、さらに15時間撹拌を続けた。撹拌終了後、反応溶液をエーテル/氷水混合溶液500ml(1/1、v/v)に入れ、有機層を2N水酸化ナトリウム水溶液150mlおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液150mlで洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後濾過し、ろ液を減圧下濃縮することで薄黄色の油状残査を得た。この残差をテトラヒドロフラン/メタノール混合溶液300ml(1/1、v/v)に溶解し氷冷下、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液75mlを加え、続いて徐々に反応温度を室温に戻しつつ撹拌を19時間続けた。撹拌終了後、反応溶液を氷水/エーテル混合溶液800ml(3/5、v/v)に入れ、有機層を水300ml、リン酸緩衝液(pH6.86)150mlで洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ液を濃縮することにより白色固体を得た。この白色固体をヘキサン300mlから再結晶させることにより化合物Aを9.0gで得た(収率55%)。
【化6】
Figure 2004075599
【0032】
化合物Aは、既知化合物(J.Chem.Soc.Perkin.Trns.1、2245−2250、1990)であり、H−NMRスペクトルが同一であることより同定した。
【0033】
化合物A4.0gと4−(ジメチルアミノ)ピリジン874mgを無水トルエン90mlに溶解し、この溶液に無水トルエン5mlに溶解したイソフタロイルクロリド678mgを滴下し還流させた。5時間後、反応溶液を減圧下濃縮することにより白色固体が得られ、これをクロロホルム100mlに溶解し5%リン酸水溶液25ml、続いて飽和食塩水25mlで洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ液を減圧下で濃縮することにより白色の粗生成物が得られた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製することにより結晶状の化合物Bを3.1gで得た(収率41%)。
【化7】
Figure 2004075599
【0034】
化合物Bは、H−NMRスペクトルにより同定した。
【0035】
H−NMR(CDCl、TMS):8.64(1H、bs)、8.169(1H、d、J=7.6Hz)、8.165(1H、d、7.9Hz)、7.50(1H、dd、J=7.9、7.6Hz)、5.35(2H、bs)、4.80(2H、m)、3.90(2H、bs)、2.48−1.13(48H、m)、1.44(18H、s)、0.94(6H、s)、0.82(6H、d、J=6.7Hz)、0.80(6H、s)。
【0036】
合成例2
合成例1でコール酸から製造した新規な化合物Bを用いて、C環の12位の官能基変換を行った。
【0037】
化合物B1.0gをメタノール/テトラヒドロフラン混合溶媒20ml(1/1,v/v)に溶解し、28%アンモニア水1mlを加え、室温で撹拌した。90分後、撹拌を停止し、反応溶液を減圧下で濃縮することにより白色固体を得た。この固体をエーテル/リン酸緩衝溶液300ml(1/1、v/v)に開けた。続いて有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥したのち、ろ液を減圧下で濃縮することにより化合物Cを862mgで得た(収率98%)。
【化8】
Figure 2004075599
【0038】
化合物Cは、H−NMRスペクトルにより同定した。
【0039】
H−NMR(CDCl、TMS):8.63(1H、t、J=1.5Hz)、8.19(1H、d、J=7.9Hz)、8.17(1H、d、J=7.6Hz)、7.48(1H、dd、J=7.9、7.6Hz)、4.83(2H、m)、4.00(2H、bs)、3.87(2H、bs)、2.53−1.00(50H、m)、1.44(18H、s)、0.97(6H、d、J=6.4Hz)、0.92(6H、s)、0.70(6H、s)。
【0040】
合成例3
コール酸を出発原料とし、合成例1と2から導いた新規な化合物Cを用いて、D環の17位に結合した官能基の変換を行った。
【0041】
化合物C1.11gを無水ジクロロメタン20mlに溶解し氷浴で冷却し、続いてトリフルオロ酢酸3.0mlを加え、溶液を撹拌した。10分後、氷浴を除き、反応温度を徐々に室温に戻しながら撹拌を続けた。4時間後、撹拌を停止し、減圧下で溶媒を除くことにより薄黄色の油状物質を得た。得られた油状物質にエーテル、続いてヘキサンを加えることにより白色固体状が得られた。デカンテーションにより溶媒を除き、得られた固体をカラムクロマトグラフィーにより精製し350mgの粗生成物を得た。さらにプレパラティブTLCにより得られた粗生成物200mgの精製を行い、化合物Dを138mgで得た(収率24%)。
【化9】
Figure 2004075599
【0042】
化合物Dは、H−NMRスペクトルにより同定した。
【0043】
H−NMR(CDCl、TMS):8.37(1H、bs)、8.20(1H、d、J=7.6Hz)、8.19(1H、d、J=7.9Hz)、7.50(1H、dd、J=7.9、7.6Hz)、4.80(2H、m)、3.93(2H、bs)、3.81(2H、bs)、2.51−1.03(45H、m)、0.93、(6H、d、J=5.2Hz)、0.91(6H、s)、0.64(6H、s)。
【0044】
参考例4
コール酸を出発原料とし、実施例3で導いた新規な化合物Dを用いて、さらにD環の17位に結合した官能基の変換を行った。
【0045】
化合物D138mgとN−ヒドロキシスクシンイミド39mgを無水テトラヒドロフラン1.5mlに溶解し、無水テトラヒドロフラン1mlに溶解したN、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド70mgを窒素気流下、室温にて滴下し、続いて18時間撹拌した。白色沈殿をろ過で除いた後、ろ液を減圧下、濃縮することにより白色固体を得た。この固体をクロロホルム5mlに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液2ml、および飽和食塩水2mlで洗浄し、有機層を減圧下、濃縮し粗生成物を得た。プレパラティブTLCにより精製を行い、化合物Eを158mgで得た。
【化10】
Figure 2004075599
【0046】
化合物Eは同定せずに次の操作を行った。
【0047】
エチレンジアミン83mgを無水ジクロロメタン5mlに溶かし、無水クロロホルム3mlに溶かした化合物E158mgを窒素気流下、室温にて滴下した。17時間の撹拌後、反応溶液を減圧下、濃縮することにより薄黄色の固体が得られた。この固体をプレパラティブTLC、続いてカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物Fを42mgで得られた(収率30%)。
【化11】
Figure 2004075599
【0048】
化合物Fは、H−NMRスペクトルにより同定した。
【0049】
H−NMR(CDCl、TMS):8.62(1H、bs)、8.240(1H、d、J=7.9Hz)、8.237(1H、d、J=7.6Hz)、7.63(1H、dd、J=7.9、7.6Hz)、4.88(2H、m)、4.02(2H、bs)、3.88(2H、m)、3.49(4H、m)、3.08(4H、m)、2.77−1.168(52H、m)、1.08(6H、d、J=6.1Hz)、1.02(6H、s)、0.77(6H、s)。
【0050】
実施例1
(1)試験概要
検体(本化合物;化合物F)を任意濃度添加した寒天平板培地に細菌及び真菌の菌液を途抹、培養後、発育が阻止された最小濃度をもって最小発育阻止濃度(MIC)とした。
(2)試験菌株
表2に被試験株を示す。
【0051】
【表2】
Figure 2004075599
【0052】
(3)試験方法
1)増菌用培地
試験株▲1▼〜▲7▼:下記参照
試験株▲8▼:下記参照
試験株▲9▼:下記参照
2)感受性測定用培地
試験株▲1▼〜▲7▼:下記参照
試験株▲8▼及び▲9▼:下記参照
3)感受性測定用平板の作製
メタノールを用いて、検体の1000,000 μl/ml 溶液を調製した。これらをメタノールで順次2倍希釈し、2倍希釈系列溶液を調製した。次に滅菌、溶解後50〜60℃に保った感受性測定用培地に各希釈系列溶液をそれぞれ1/99量(2,000 μl/ml の平板作成時のみ1/49量)添加し、十分に混合後、シャーレに分注、固化させて感受性測定平板とした。
4)接種用菌液の調製
a)試験菌▲1▼〜▲7▼
試験菌を増菌用培地に接種し、35℃±1℃、18〜20時間培養後、菌数が約10/mlとなるように増菌用培地で希釈し、接種用菌液とした。
b)試験菌▲8▼
試験菌を増菌用培地に接種し、25℃±1℃、2日間培養後、菌数が約10/mlとなるように増菌用培地で希釈し、接種用菌液とした。
c)試験菌▲9▼
試験菌を増菌用培地に接種し、25℃±1℃、7日間培養後、形成された胞子(分生子)をポリソルベート80を0.05%添加した滅菌生理食塩水に浮上させ、胞子数が約10/mlとなるように調製し、接種用菌液とした。
5)培養
感受性測定用平板に接種用菌液を樹脂製ループ(内径約1mm)を用いて1〜2cm程度画線途抹し、試験菌▲1▼〜▲7▼は35℃±1℃、18〜20時間、試験菌▲8▼は25℃±1℃、2日間、試験菌▲9▼は25℃±1℃、7日間培養した。
【0053】
(4)判定
培養後、発育が阻止された最小濃度をもって試験菌に対する検体の最小発育阻止濃度とした。結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
Figure 2004075599
【0055】
上記表3に示す結果から明らかなように、本化合物は、特に、グラム陽性菌に対して選択的に抗菌作用を示した。真菌、酵母、グラム陰性菌への抗菌作用はみられなかった。
【0056】
【発明の効果】
本発明の抗菌剤は、より安全でMRSAおよびMRSEを含むブドウ球菌に抗菌力を有し、明確な感染治療効果を示すグラム陽性菌感染症、特にMRSAおよびMRSEを含むブドウ球菌感染症に有効な新しい治療用薬剤である。
特に、グラム陽性菌に特異的な抗菌剤を提供することができる。

Claims (2)

  1. 下記一般式(I)で示されるステロイド誘導体を有効成分とすることを特徴とする抗菌剤。
    Figure 2004075599
    (式中、RとRは、置換基を有しても良いシクロペンタノパーヒドロフェナンスレン骨格を表し、RとRは同一もしくは異なっていても良い。Rは二価のカルボン酸残基を表す。)
  2. 二価のカルボン酸残基Rが、下記一般式(II)で示される置換基を有してもよいシクロペンタノパーヒドロフェナンスレンのA環の3位で結合していることを特徴とする請求項1に記載のステロイド誘導体を有効成分とすることを特徴とする抗菌剤。
    Figure 2004075599
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