JP2004075525A - フラーレン含有すす状物質の回収装置及びその回収方法 - Google Patents

フラーレン含有すす状物質の回収装置及びその回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間にわたって安定して高温の排ガス中からフラーレン含有すす状物質を捕集し回収することが可能なフラーレン含有すす状物質の回収装置及びその回収方法を提供する。
【解決手段】フラーレン製造炉11より排出される高温の排ガスからフラーレン含有すす状物質を一面側に付着させて捕集し排ガスを他面側に透過させる濾過エレメント12を収納する回収装置本体13と、回収装置本体13の下部に設けられ付着したフラーレン含有すす状物質を貯留する粉体貯留槽14を有する回収装置10を使用するに際し、各濾過エレメント12に付着しているフラーレン含有すす状物質の剥落作業は、各濾過エレメント12毎に、又は濾過エレメント12の複数をまとめて構成した濾過エレメント群26毎に実施する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラーレン含有すす状物質の回収装置及びその回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1に記載されているように、フラーレンは、ダイヤモンド、黒鉛に次ぐ第三の炭素同素体の総称であり、C60、C70等に代表されるように5員環と6員環のネットワークを有する閉じた中空殻状の炭素分子である。フラーレンの存在が最終的に確認されたのは比較的最近の1990年のことであり、新しい炭素材料であるが、その特殊な分子構造ゆえに特異的な物理的性質を示すことが認められ、例えば、超硬材料への応用、医薬品への応用、超伝導材料への応用、半導体製造への応用等の広範囲な分野に渡り、革新的な用途開発が急速に展開されつつある。特に、フラーレンの中でもC60及びC70は比較的合成が容易であり、それゆえ今後の需要も爆発的に高まることが予想されている。
【0003】
現在知られているフラーレンの製造方法としては、例えば、レーザ蒸着法、抵抗加熱法、アーク放電法、高周波誘導加熱法、燃焼法、ナフタレン熱分解法等が提案されている。そして、いずれの方法においても、フラーレンはすす状物質中に含まれて生成される。従って、生成したフラーレンを回収するには、先ず、フラーレン含有すす状物質を回収することが必要となる。
特に、フラーレンを製造する上で最も安価で、効率的な製造方法の一つとして考えられている燃焼法では、フラーレン含有すす状物質は、フラーレン製造炉から排出される高温の排ガス(主成分は一酸化炭素ガスと水蒸気)中に浮遊している。このため、この高温の排ガス中からフラーレン含有すす状物質を分離するには、セラミック製濾材を用いた高温用フィルタが使用されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2802324号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、セラミック製濾材を用いた高温用フィルタは、振動等の機械的衝撃や、温度変化による熱的衝撃に対して破損し易いため極めて信頼性が低く、長期間にわたって安定して使用するという観点からは問題がある。また、セラミック製濾材の洗浄や交換等の保守や点検整備を考えても、セラミック製濾材が機械的衝撃に弱いという特性を備えているため、洗浄や交換といった保守や点検整備の作業性に劣るという問題を有している。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、長期間にわたって安定して高温の排ガス中からフラーレン含有すす状物質を捕集し回収することが可能なフラーレン含有すす状物質の回収装置及びその回収方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置は、炭素含有化合物を酸素含有ガスの下で燃焼してフラーレンを製造するフラーレン製造炉から排出される高温の排ガスからフラーレン含有すす状物質を捕集して回収する回収装置において、前記フラーレン含有すす状物質を一面側に付着させ前記排ガスを他面側に透過させる複数の濾過エレメントを収納する回収装置本体と、前記回収装置本体の下部に設けられ付着させた前記フラーレン含有すす状物質を貯留する粉体貯留槽を有し、しかも、前記各濾過エレメントには焼結金属製濾材を使用している。なお、ここでフラーレンとは、前記したC60、C70の他に、例えばC76、C78、C82、C84、C90、C96等の高次フラーレンも含まれる(以下の発明においても同じ)。
【0007】
濾過エレメントの濾材に焼結金属製濾材を使用することにより、振動等の機械的衝撃や、温度変化による熱的衝撃に対する濾過エレメントの破壊抵抗性を向上させることができる。また、破壊抵抗性が向上することにより、濾過エレメントの洗浄や交換といった保守や点検整備の作業が容易となる。
また、濾過エレメントとして端封状濾過エレメント、例えば、下端は閉塞されて上端に濾過された排ガスの排気口となる開口部を備えた筒状物(即ち、有底筒状又は有底円筒状)からなるものを使用するのが好ましい。
【0008】
第1の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記焼結金属製濾材の濾過流量能力が0.2m /m /分以上でしかも10m /m /分以下の範囲とするのが好ましい。
ここで、濾過流量能力が0.2m /m /分未満の場合には、所定量のガスを流すために広大な濾過面積が必要となり、設備コストがかかるという問題がある。しかしながら、性能面では流速が遅い分フラーレン含有すす状物質の付着エネルギーが小さいため、逆洗時の効果が大きく濾過エレメント内への詰まりが少なく、連続運転が可能となるので、0.2m /m /分に近い値が好ましい。従って、濾過流量能力が0.2m /m /分以上6m /m /分以下とするのが好ましい。実際の設備の制限から小型化を図る場合には、濾過流量能力を1〜5m /m /分としてもよい。
【0009】
なお、濾過流量能力が10m /m /分を超える場合には、濾過面積は小さくなるが、流速が速い分だけ付着エネルギーが大きいため、逆洗浄のエネルギーも大きい必要があり、大きなエネルギー(圧力)で逆洗を行っても濾過エレメントの回復が不可能の場合がある。なお、逆洗浄ガス流量は、濾過流量より大きいことが好ましい。
【0010】
なお、逆洗時の圧力(Pw)は、濾過エレメントが目詰まりを起こして逆洗を開始する時の濾過エレメント差圧(逆洗開始圧力Ps、例えば1〜1.5kPa)の10倍以上で1000倍以下(例えば、0.5〜6kg/cm )とするのが好ましい。この理由は、逆洗時の圧力(Pw)が逆洗開始差圧(Ps)の10倍未満である場合には、逆洗時のエネルギーが不足して詰まった異物の排出が困難であるからである。なお、PwがPsの1000倍を超えると、設備的に大きな動力を必要とし、また逆洗能力も飽和する。
【0011】
第1の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記焼結金属製濾材の材質が高温耐熱金属であることが好ましい。高温耐熱金属で濾材を構成するので、濾過エレメントを高温下で長期間、安定して使用することができる。ここで、高温耐熱金属とは、例えば、ステンレス鋼、インコネル、ハステロイ、その他の耐熱合金鋼等の金属を指し、1200℃以下(更に具体的には、300〜700℃)の温度で常用可能なものを指す。
【0012】
第1の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記回収装置本体には調温部が設けられて該回収装置本体の表面温度を20〜500℃(更に好ましくは50〜300℃)に調整することが操業上好ましい。なお、この温度は回収装置の外側の表面温度であり、内部はもっと高温となって減圧されているので、含まれている水蒸気はガス状態を保っている。なお、回収装置本体の温度が500℃を超えると、内部の温度も実質もっと高温になり、結果としてフラーレンの気体状態で存在して濾過エレメントによる回収が困難となる。
このため、調温部に、例えば、冷却媒体を流して回収装置本体の表面温度を好ましくは、300℃以下、より好ましくは200℃以下、更により好ましくは100℃以下とする。なお、回収装置本体の表面温度を500℃以下としたのは、回収装置本体に著しい熱変形が生じるのを防止するためである。
【0013】
第1の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記粉体貯留槽には前記フラーレン含有すす状物質の貯留量を検知する粉面計と、該粉面計の検知信号により前記フラーレン含有すす状物質を前記粉体貯留槽から排出する排出手段を設けることが好ましい。
粉面計を使用することにより、粉体貯留槽に貯留されたフラーレン含有すす状物質を一定量ずつ排出することができ、フラーレン含有すす状物質の後処理工程の管理が容易となる。また、フラーレン含有すす状物質の排出を排出手段を使用して行うことにより、回収するフラーレン含有すす状物質と空気との接触を防止することができる。
【0014】
第1の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記回収装置本体には前記各濾過エレメントの前記他面側から前記一面側にガスを流通させるガス供給手段を設けて、該一面側に付着しているフラーレン含有すす状物質を剥落させることができる。
各濾過エレメントの一面側に形成されるフラーレン含有すす状物質の付着層は濾過エレメントの一面側に密着して形成されるため、容易には剥落しない。このため、排ガスの透過を停止させて他面側から一面側に向けてガスを流通させるいわゆる逆洗することにより付着層と濾過エレメントの一面側との間に剥離層を形成させて付着層の落下を誘発することができる。
【0015】
第1の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記ガス供給手段により流通させるガス(逆洗用のガス)は非酸化性ガスであることが好ましい。排ガス中には一酸化炭素ガスが含まれているため、高温の排ガスと酸素が混合すると一酸化炭素ガスが燃焼する恐れがある。このため、非酸化性ガスを使用して、一酸化炭素ガスの燃焼を防止する。なお、非酸化性ガスとしては。窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス又はこれらの混合ガスが使用できる。
【0016】
第1の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記回収装置本体には前記濾過エレメントを振動させる振動手段が設けられ、振動により前記各濾過エレメントに付着しているフラーレン含有すす状物質を剥落させることができる。
振動手段で濾過エレメントを振動させて濾過エレメントの一面側に形成された付着層を濾過エレメントの一面側から剥離させて落下を誘発することができる。
【0017】
第1の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記回収装置本体の内部には隔壁が設けられ、前記複数の濾過エレメントが複数の濾過エレメント群に分割されていることが好ましい。なお、一つの濾過エレメント群が逆洗作業を行っている場合、他の濾過エレメント群は通常のすす状物質の濾過作業を行って、フラーレン含有すす状物質の回収を連続的に行っている。
隔壁を設けて濾過エレメントを複数の濾過エレメント群に分割することにより、分割された濾過エレメント群単位で逆洗浄を行うことができ、逆洗装置の設備の小型化及び高エネルギー化を図ることができる。この場合、一つの濾過エレメント群の操業を停止するので、その他の濾過エレメント群の濾過流速が上昇する結果となる。濾過時の流速が速くなるとすす状物質の付着エネルギーが高くなり、逆洗浄時のすす状物質の払い出しが悪くなる。また、濾過エレメント群の分割数が多いほど逆洗浄ガス量、即ち、逆洗浄に使用するガス量が小さくなり、製造炉に与える影響が小さくなる。
【0018】
第1の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記回収装置本体には前記排ガスを前記各濾過エレメントの外表面側から内表面側に向けて透過させる排ガス透過手段を設けることが好ましい。
排ガスを各濾過エレメントの外表面側から内表面側に向けて透過(例えば、内部を外側に対して積極的に負圧にする)させることにより、フラーレン含有すす状物質を濾過エレメントの外表面側に効率的に付着させることができる。
【0019】
第2の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収方法は、前記した第1の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置を用いたフラーレン含有すす状物質の回収方法において、前記各濾過エレメントに付着しているフラーレン含有すす状物質の剥落作業は、前記各濾過エレメント毎に実施する。このように、各濾過エレメント毎に実施すると、逆洗装置の配管等は複雑になるが、逆洗装置の能力を最小にでき、しかも操業中の逆洗による圧力変動を小さく抑えられる。
【0020】
そして、第3の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収方法は、前記した第1の発明に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置を用いたフラーレン含有すす状物質の回収方法において、前記各濾過エレメントに付着しているフラーレン含有すす状物質の剥落作業は、前記濾過エレメント群毎に行う。これによって、逆洗装置全体を支障のない範囲で小型化し、更に逆洗作業による回収装置内の圧力変動も小さくできる。
【0021】
なお、本明細書において、回収装置は捕集装置も含む概念である。また、排ガスとはフラーレン製造炉から送出(排出)される燃焼ガス(従って、フラーレン含有すす状物質を含む)を意味し、更には、この排ガスからフラーレン含有すす状物質を捕集(除去)した後のガスを指す場合もある。
【0022】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の第1の実施の形態に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置の概念構成図、図2は本発明の第2の実施の形態に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置の概念構成図である。
【0023】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置10は、フラーレン製造炉11から排出される高温の排ガスからフラーレン含有すす状物質を付着させて捕集する複数の端封状濾過エレメント(濾過エレメントの一例)12を収納する回収装置本体13と、回収装置本体13の下部に設けられ捕集したフラーレン含有すす状物質を貯留する粉体貯留槽14とを有している。以下、これらについて詳細に説明する。
【0024】
フラーレン製造炉11は、例えば、円筒形状の側壁部15と、側壁部15の上部側に接続されたドーム状の炉頂部16を有している。側壁部15と炉頂部16は、例えばステンレス鋼等の耐熱鋼で構成されており、その内周面側は、例えばアルミナ質の耐火煉瓦やアルミナ質の不定形耐火材等の耐火物でライニングされている。側壁部15の下端側には、例えば、ステンレス鋼等の耐熱鋼で形成されたバーナ部17が備えられ、バーナ部17には炭素含有化合物を吐出する複数の供給口と、酸素含有ガスを吐出する複数の供給口がそれぞれ設けられている。また、炉頂部16には、バーナ部17から供給された炭素含有化合物が酸素含有ガスの下で燃焼した際に生成しフラーレン含有すす状物質が浮遊している排ガスをフラーレン製造炉11から外部に排出する排ガス導出管18が接続されている。なお、排ガス導出管18の外側には水等の冷媒を使用して冷却を行う冷却手段の一例である水冷コイル19が設けられている。
【0025】
このような構成とすることにより、炭素含有化合物を燃焼させてフラーレンを含有したすす状物質を生成させると共に、このすす状物質が浮遊している排ガスをフラーレン製造炉11から排ガス導出管18を介してフラーレン製造炉11の外部に排出することができる。また、排ガスは排ガス導出管18内を流通する際に徐々に冷却されて、例えば、フラーレン製造炉11から排出された際に500〜1400℃の温度であった排ガスは、排ガス導出管18の出口側では200〜800℃にまで冷却される。
【0026】
回収装置本体13は、例えば、ステンレス鋼等の耐熱鋼で構成されており、側部20と、天井部21とを有している。側部20の下部側には排ガス導出管18の出口側が接続される排ガス導入孔22が設けられている。また、側部20には、流入口aから熱媒体を流入させて流出口bから排出させることにより回収装置本体13の表面温度を調整する調温部の一例である調温ジャケット23が設けられている。流通させる熱媒体の種類、温度、流量、圧力を調整することにより回収装置本体13の表面温度を20〜500℃に調整できる。
【0027】
天井部21には複数の端封状濾過エレメント12が、その開口部24側を外部(上方)に露出し、端封側を含むエレメント本体25側を回収装置本体13の内側に収納するように取付けられている。なお、各端封状濾過エレメント12は筒状物(円筒状)からなって下端は閉塞され、上端が開放、即ち、濾過された排ガスの排気口となる開口部24を備えている。
そして、天井部21には、回収装置本体13の内側でエレメント本体25を複数の濾過エレメント群26に分割する複数の隔壁27が設けられている。なお、隔壁27は、例えばステンレス鋼等の耐熱鋼で作製することができ、隔壁27に水冷ジャケット等の冷却手段を設けてもよい。
【0028】
端封状濾過エレメント12の開口部24には、端封状濾過エレメント12の外表面側(一面側)から内表面側(他面側)に向けて排ガスを透過させる排ガス透過手段28との接続口29、及び端封状濾過エレメント12の内表面側から外表面側に、例えば非酸化性ガスの一例である窒素ガスを流通させるガス供給手段30との接続口31が設けられている。また、エレメント本体25には、例えば、ステンレス鋼、インコネル、ハステロイ等の高温耐熱金属で作製された焼結金属製濾材が設けられている。なお、焼結金属製濾材の開口気孔率、開口気孔径、開口気孔の連通状態を制御することにより、濾過流量能力を0.2m /m /分以上としている。そして、その上限は10m /m /分とするのが好ましい。また更に、好ましくは、濾過流量能力が0.2m /m /分以上6m /m /分以下、実際の操業を考慮するならば、濾過流量能力を1〜5m /m /分としてもよい。
【0029】
この実施の形態に係る端封状濾過エレメント12は、一端が閉じられた中空体(筒状物)を例示しているが、両端が開放された筒状体からなる濾過エレメントを使用してもよい。この場合、筒状体は垂直方向に配置され、上下に接続口を設けて、一方(例えば、上側)又は他方から吸引し、必要に応じて逆洗ガスを送ってもよい。なお、下方側を開放させることによって、濾過エレメントを通過した気化フラーレンの固化物が付着した場合には、重力によって下側から容易に排除できる。
【0030】
そして、この実施の形態においては、濾過エレメントは垂直に配置されているが、水平に配置してもよく、この場合、濾過エレメントとして両端開放の筒状体を用い、両側から排ガスを吸引する等してフラーレン含有すす状物質を濾過することもできる。
更には、この実施の形態において、筒状の濾過エレメントは外側から内側に向けてガスを流しているが、筒状の濾過エレメントの内側から外側に向けてガスを流すようにしてもよい。この場合、筒状の濾過エレメントは下端が開放し、逆洗時に重力によって下方に落下させるのが好ましい。
【0031】
排ガス透過手段(排ガス吸引手段)28は、各端封状濾過エレメント12の開口部24に設けられた接続口29に一端側が接続された排出配管32と、排出配管32に設けられた開閉バルブ33と、排出配管32の他端側が接続された排気ポンプ34を有している。また、ガス供給手段30は、各端封状濾過エレメント12の開口部24に設けられた接続口31に一端側が接続された導入配管35と、導入配管35に設けられた開閉バルブ36と、導入配管35の他端側が接続されたガス加圧機37とガス加圧機37に窒素ガスを供給するガスタンク38を有している。
【0032】
このような構成とすることにより、開閉バルブ36を閉じて排ガス透過手段28の排気ポンプ34を運転すると、フラーレン含有すす状物質が浮遊している排ガスをフラーレン製造炉11から排ガス導出管18を介して回収装置本体13の排ガス導入孔22から回収装置本体13内に流入させることができる。そして、流入させた排ガスを端封状濾過エレメント12のエレメント本体25の外表面側から内表面側に透過させて、開口部24を介して排出配管32を経由し、排気ポンプ34の出口から排出することができる。その結果、排ガス中に浮遊しているフラーレン含有すす状物質はエレメント本体25の外表面側に付着して捕集される。
【0033】
また、開閉バルブ33を閉じ開閉バルブ36を開けてガス加圧機37を運転すると、窒素ガスを導入配管35を介して開口部24に供給して、端封状濾過エレメント12のエレメント本体25の内表面側に流入させて外表面側に透過させることができる。その結果、エレメント本体25の外表面側に付着しているフラーレン含有すす状物質を剥落させることができる。なお、回収装置本体13の表面温度は20〜500℃に調整され、排ガスの圧力は1気圧より十分低いので、排ガス中に含まれる水蒸気が凝縮することなく端封状濾過エレメント12を通過していく。このため、エレメント本体25の外表面側に付着しているフラーレン含有すす状物質が湿潤状態になることはない。
【0034】
粉体貯留槽14は、貯留槽本体39と、貯留槽本体39の下部に設けられた自動排出バルブ40を介して接続している排出手段41を有している。
貯留槽本体39は、例えば、ステンレス鋼等の耐熱鋼で構成されており、その外周側には、流入口cから熱媒体を流入させて流出口dから排出させることにより貯留槽本体39の表面温度を調整する調温ジャケット42が設けられている。流通させる熱媒体の種類、温度、流量、圧力を調整することにより、貯留槽本体39の表面温度を、回収装置本体13の側部20と同一温度(例えば、20〜500℃)に調整できる。このような構成とすることにより、エレメント本体25の外表面側から剥落させたフラーレン含有すす状物質を、湿潤させないで貯留することができる。また、貯留槽本体39には、粉面計の一例である熱電対43が設けられている。
【0035】
ガス供給手段30を使用してエレメント本体25の外表面側に付着しているフラーレン含有すす状物質の剥落を順次行っていくと、貯留槽本体39内のフラーレン含有すす状物質のレベルは徐々に上昇して、熱電対43はフラーレン含有すす状物質で埋設される状態となる。このため、熱電対43で検出される温度に変化が生じる。そこで、熱電対43で貯留槽本体39内の温度を常時検出することにより、検出される温度の変化から、貯留槽本体39内のフラーレン含有すす状物質のレベル(貯留量)を検知することができる。なお、貯留槽本体39の表面温度は20〜500℃に調整されているので、排ガス中に含まれる水蒸気が凝縮することはない。このため、貯留槽本体39内に貯留されているフラーレン含有すす状物質が湿潤状態になることを防止できる。
【0036】
排出手段41は、自動排出バルブ40に接続した一次保留槽44と、自動開閉バルブ45を介して一次保留槽44に接続した回収ボックス46と、一次保留槽44、回収ボックス46内の圧力を調整する排気ポンプ47と、自動排出バルブ40及び自動開閉バルブ45の開閉動作、並びに排気ポンプ47の運転を制御する制御部48とを有している。一次保留槽44は、例えば、ステンレス鋼で作製することができ、排気配管49を介して排気ポンプ47に接続されている。排気配管49には上流側から順に圧力ゲージ50、自動開閉バルブ51が設けられ、圧力ゲージ50の出力信号は制御部48に入力されている。ここで、制御部48には、例えば、シーケンスコントローラを使用することができる。また、自動開閉バルブ51は制御部48に接続されている。
【0037】
回収ボックス46は 例えば、ステンレス鋼で作製することができ、排気配管52を介して排気ポンプ47に接続されている。また、排気配管52には自動開閉バルブ53が設けられている。なお、一次保留槽44と回収ボックス46には、それぞれ窒素ガスを供給する図示しないガス供給配管が設けられている。
このような構成とすることにより、貯留槽本体39内に貯留されているフラーレン含有すす状物質の貯留レベルが所定のレベルに達したことを検知し、一次保留槽44、回収ボックス46内の圧力を回収装置本体13内の圧力と同一値に調整して、回収装置本体13側で行う排ガス中のフラーレン含有すす状物質の捕集作業と並行させて貯留槽本体39内に貯留されているフラーレン含有すす状物質を一次保留槽44内に移動させることができる。更に、一次保留槽44内に移動させたフラーレン含有すす状物質を、回収ボックス46内に移動させることができる。
【0038】
続いて、本発明の第1の実施の形態に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置10を適用したフラーレン含有すす状物質の回収方法について説明する。
先ず、自動排出バルブ40、自動開閉バルブ45、51、53、開閉バルブ36を閉じ、開閉バルブ33を開けて排気ポンプ34を運転し、フラーレン製造炉11内を減圧状態にする。回収装置本体13の側部20に設けられた調温ジャケット23の流入口aから水蒸気を流入させ流出口bから排出させて回収装置本体13の表面温度を、例えば200℃に調整する。また、貯留槽本体39に設けられた調温ジャケット42の流入口cから水蒸気を流入させ流出口dから排出させて貯留槽本体39の表面温度を、例えば200℃に調整する。更に、排ガス導出管18の外側に設けられた水冷コイル19に水を流通させて、排ガス導出管18を冷却する。
【0039】
次いで、フラーレン製造炉11のバーナ部17に炭素含有化合物の一例であるトルエンと酸素含有ガスの一例である酸素とアルゴンの混合ガスを供給し、燃焼させてフラーレンを含有しているすす状物質を生成させる。生成したフラーレン含有すす状物質は、同時に発生した排ガス(主成分は一酸化炭素ガス、水蒸気)中に浮遊した状態で排ガス導出管18を経由して、回収装置本体13内に流入する。なお、排ガスは排ガス導出管18内を移動中に冷却され、例えば、排ガス導出管18に流入する際に約1400℃であった排ガスの温度は、回収装置本体13内に流入する際には400℃(300〜500℃であるのが好ましい)にまで冷却されている。
【0040】
回収装置本体13内に流入した排ガスは、回収装置本体13内に設けられた隔壁27により流れが分岐され、各濾過エレメント群26には均等に排ガスが流れる。濾過エレメント群26を構成している各端封状濾過エレメント12では、エレメント本体25の外表面側から内表面側に向けて排ガスが透過するので、排ガス中に浮遊しているフラーレン含有すす状物質はエレメント本体25の外表面側で捕集され付着する。一方、エレメント本体25の内表面側に達した排ガスは、排出配管32を経由して排気ポンプ34の出口から排出される。
【0041】
回収装置本体13内への排ガスの流入が続くと、回収装置本体13の温度は徐々に上昇していく。このため、回収装置本体13の表面温度が200℃となるように、調温ジャケット23の流入口aから流入する水蒸気の温度を徐々に低下させる。回収装置本体13内には400℃の排ガスが流入するので、最終的には調温ジャケット23の流入口aからは水を流入させて、回収装置本体13の表面温度を200℃に保つ。また、貯留槽本体39の表面温度も、徐々に上昇していくので、調温ジャケット42の流入口cから流入する水蒸気の温度を徐々に低下させ、最終的には調温ジャケット42の流入口cからは水を流入させて、貯留槽本体39の表面温度を200℃に保つ。
【0042】
所定時間排ガスを流通させた後、各濾過エレメント群26毎にエレメント本体25の外表面側に付着したフラーレン含有すす状物質の剥落作業を行う。先ず、ガスタンク38より窒素ガスをガス加圧機37に導入して所定のガス圧力(例えば、0.001〜0.1MPa)まで加圧する。次いで、剥落作業を行う濾過エレメント群26に所属する各端封状濾過エレメント12の開口部24に設けられた接続口29に接続された排出配管32の開閉バルブ33を全て閉じる。そして、接続口31に接続された導入配管35に設けられた開閉バルブ36を開けると、窒素ガスは導入配管35内を流通し開口部24を経由してエレメント本体25の内側に流入する。
【0043】
窒素ガスは、エレメント本体25の内表面側から外表面側に流出し、その際、外表面側に形成されているフラーレン含有すす状物質の付着層を浮き上がらせて剥落させる。なお、流出した窒素ガスは排ガス中に混入し、フラーレン含有すす状物質の捕集作業を行っている他の濾過エレメント群26に所属するエレメント本体25を透過し、排気ポンプ34の出口から排出される。所定時間窒素ガスを流出させて剥落作業が終了すると、開閉バルブ36を閉じガス加圧機37を停止させて、開閉バルブ33を開ける。開閉バルブ33を開けることにより、剥落作業の終了した濾過エレメント群26でのフラーレン含有すす状物質の捕集作業が再開される。
【0044】
次に、残りの各濾過エレメント群26に対して、上記と同様の作業を順次行ない各エレメント本体25の外表面側に付着したフラーレン含有すす状物質の剥落作業を行っていく。
剥落させたフラーレン含有すす状物質は、貯留槽本体39内に貯留されていく。貯留槽本体39に設けられている熱電対43は、当初、貯留槽本体39内を流通している排ガスの温度を検出しているが、フラーレン含有すす状物質の貯留量が徐々に増えて熱電対43がフラーレン含有すす状物質で埋設される状態になると、熱電対43はフラーレン含有すす状物質の温度を検出することになる。このため、検出される温度が変化する。この温度変化が制御部48に入力されると、排気ポンプ47を運転し、自動開閉バルブ51を開けて一次保留槽44内を排気する。このとき、一次保留槽44内に空気等の酸素含有ガスが存在している場合は、図示しないガス供給配管から窒素ガスを流入させてガス置換を行ってから排気する。一次保留槽44内の圧力を圧力ゲージ50で検知しながら、回収装置本体13内と同一の圧力となった時点で自動開閉バルブ51を閉じて排気を停止する。
【0045】
次いで、自動排出バルブ40を開けて、フラーレン含有すす状物質を一次保留槽44内に移動させ、自動排出バルブ40を閉じる。自動開閉バルブ53を開けて回収ボックス46内を排気し、一次保留槽44よりも減圧状態になった時点で自動開閉バルブ53を閉じる。その後、自動開閉バルブ45を開けて、一次保留槽44内のフラーレン含有すす状物質を回収ボックス46内に移動させて、自動開閉バルブ45を閉じる。次いで、図示しないガス供給配管から窒素ガスを回収ボックス46内に流入させて、内部を大気圧と同圧にして封じる。その後、回収ボックス46を自動開閉バルブ45から切り離して、フラーレン含有すす状物質の処理工程に移動する。
【0046】
図2に示すように、本発明の第2の実施の形態に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置54は、各端封状濾過エレメント12を振動させる振動手段の一例である加振機55が設けられていることが特徴である。なお、第1の実施の形態に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置10と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
端封状濾過エレメント12を、例えば、加振機55を介して天井部21に取付けることにより、端封状濾過エレメント12を直接振動させることができ、端封状濾過エレメント12のエレメント本体25の外表面側に付着しているフラーレン含有すす状物質を効率よく剥落させることができる。
【0047】
第2の実施の形態に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置54を使用したフラーレン含有すす状物質の回収方法では、加振機55により端封状濾過エレメント12を振動させることと、端封状濾過エレメント12を介して回収装置本体13内の排ガスを排気ポンプ34で排気することをそれぞれ独立してできることが特徴となっている。このため、端封状濾過エレメント12を振動させながら排ガス中のフラーレン含有すす状物質の捕集を同時に行うことができ、より効率的にフラーレン含有煤状物質の捕集が可能となる。ただし、第2の実施の形態に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置54を適用したフラーレン含有すす状物質の回収方法は、エレメント本体25の外表面側に付着しているフラーレン含有すす状物質の剥落を加振機55で端封状濾過エレメント12を振動させて行うこと以外は第1の実施の形態に係るフラーレン含有すす状物質の回収方法と実質的に同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0048】
【実施例】
続いて、図1に示すようなフラーレン含有すす状物質の回収装置10を使用して、本発明の作用、効果を確認するために行った実施例について説明する。
図3は本発明の一実施例に使用した端封状濾過エレメント12の空気流比に対する圧力損失を示すが、ステンレス鋼(SUS304)の焼結合金を使用し、その実質厚みは0.56mmであり、空気流量1L/cm /分に対して約1kPaの圧損となる。端封状濾過エレメント12(円筒状)の外径は65mmで、長さは2500mmであり、このような端封状濾過エレメント12を1つの装置で78本使用した。これらの端封状濾過エレメント12を6群に分け、それぞれの濾過エレメント群に導入配管35、開閉バルブ36を介してガス加圧機37を接続し、逆洗が順次できるようにした。
【0049】
各濾過エレメント群の内側には圧力センサーが設けられ、回収装置本体13内で端封状濾過エレメント12の外側に設けられた圧力センサーとの差圧が1〜1.5kPa(逆洗開始圧力)を超えた場合、他の濾過エレメント群が逆洗作業を行っていないことを条件にして、開閉バルブ36を作動させて該当する濾過エレメント群の逆洗作業(端封状濾過エレメント12の内側から外に向けて圧力0.4MPaの窒素ガス等の不活性ガスを流す作業)を行っている。逆洗作業の時間は約2〜10分程度とした。この場合、開閉バルブ36をオンオフしてパルス状の圧力を各端封状濾過エレメント12内にかけるようにしてもよい。複数の濾過エレメント群の圧力が同時に又は少しの時間を置いて逆洗開始圧力を超えた場合には、先にオンになった濾過エレメント群、前回先に逆洗を行った濾過エレメント群を選択して逆洗を行い、この濾過エレメント群の逆洗作業が終わった後に、次の濾過エレメント群の逆洗作業をするようにプログラムが設定されている。
【0050】
実施例における導入配管35内のガス流量は40Nm /時間で、そのガス温度は450℃であった。この時、回収装置本体13内で端封状濾過エレメント12の外側の圧力は4.6kPaであった。
これによって、フラーレン含有すす状物質が各端封状濾過エレメント12の外側表面に付着し濾過が行われる。いずれかの濾過エレメント群の内外の圧力が、逆洗開始圧力を超えた場合には、前記した逆洗作業を行う。逆洗作業が完了した後の、濾過エレメント群の内外の圧力差は、0.6kPaであり、逆洗直前時の圧力差は1〜1.5kPaであった。
以上の作業を繰り返して、120時間に133kgのフラーレン含有すす状物質を回収(捕集)した。端封状濾過エレメント12の外側にはすす等の付着はなく、連続的に操業ができた。
【0051】
以上、本発明に係る実施の形態及び実施例を説明したが、本発明は、この実施の形態や実施例に限定されるものではなく、例えば、粉面計に熱電対を使用したが、振動体がフラーレン含有すす状物質で埋設された際に振動数変化を検出する振動型の粉面計を使用することも可能である。フラーレン含有すす状物質の剥落作業を濾過エレメント群毎に行ったが、各濾過エレメント毎に行ってもよい。また、加振機を各濾過エレメント毎に設けたが、濾過エレメントを取付ける天井部が振動するように天井部に設けることも可能である。天井部を振動させることにより、全濾過エレメントを同時に振動させてフラーレン含有すす状物質の付着層を同時に剥落させることができる。更に、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明のフラーレン含有すす状物質の回収装置及びその回収方法を構成する場合にも本発明は適用される。
【0052】
【発明の効果】
請求項1〜13記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置においては、フラーレン製造炉からの燃焼ガス(排ガス)からフラーレン含有すす状物質を濾過して捕集(回収)する濾過エレメントに焼結金属を用いているので、濾過エレメントの熱や雰囲気等に対する破壊抵抗性を向上させることができ、長期間にわたって安定して使用することが可能になると共に、メンテナンスの作業性を向上させることが可能となる。その結果、フラーレン含有すす状物質の捕集及び回収を低コストで行うことが可能となる。
【0053】
請求項2記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置においては、焼結金属製濾材の濾過流量能力を0.2m /m /分以上でしかも10m /m /分以下の範囲としているので、通過する排ガスの速度を適当に制御しながら、装置を極端に大型化させない範囲でフラーレン含有すす状物質を濾し取ることができる。特に、その焼結金属製濾材の濾過流量を10m /m /分以下としているので、排ガス中に含まれるフラーレン含有すす状物質の食い込みエネルギーが大きくなく、結果として、適当な圧力の逆洗を行うことによって、濾過エレメントを元の状態に回復させることができ、これによって、濾過エレメントを繰り返し長期間使用することができる。
【0054】
請求項3記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置においては、焼結金属製濾材の材質が高温耐熱金属であるので、濾過エレメントを高温下で長期間、安定して使用することができ、メンテナンスの経費を低減させることが可能となる。
【0055】
請求項4記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置においては、回収装置本体には調温部が設けられ回収装置本体の表面温度を20〜500℃に調整するので、貯留中のフラーレン含有すす状物質が湿潤状態となるのを防止でき、フラーレン含有すす状物質の取扱性の低下を防止することが可能となる。
【0056】
請求項5記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置においては、粉体貯留槽にはフラーレン含有すす状物質の貯留量を検知する粉面計と、粉面計の検知信号によりフラーレン含有すす状物質を粉体貯留槽から排出する排出手段が設けられているので、フラーレン含有すす状物質の捕集と回収を並行して行うことができ、フラーレン含有すす状物質の捕集及び回収を効率的に行うことが可能となる。
【0057】
請求項6記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置においては、回収装置本体には各濾過エレメントの他面側から一面側にガスを流通させるガス供給手段が設けられ、一面側に付着しているフラーレン含有すす状物質を剥落させるので、濾過エレメントに付着したフラーレン含有すす状物質の回収を確実に行うことが可能となる。更に、排ガスの透過方向と逆方向からガスを流通させるため、濾過エレメントの連通孔に入り込んだフラーレン含有すす状物質を吹き飛ばすことができて、濾過エレメントの排ガス透過機能の低下を回復させることができる。
【0058】
請求項7記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置においては、ガス供給手段により流通させるガスは非酸化性ガスであるので、排ガスに燃焼が発生せず、フラーレン含有すす状物質を安定して回収することが可能となる。更に、ガスがフラーレン製造炉側に逆流してもフラーレンの製造プロセスに与える影響を少なくすることができる。
【0059】
請求項8記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置においては、回収装置本体には濾過エレメントを振動させる振動手段が設けられ、振動により各濾過エレメントに付着しているフラーレン含有すす状物質を剥落させるので、濾過エレメントに付着したフラーレン含有すす状物質の回収を確実に行うことが可能となる。更に、フラーレン含有すす状物質の捕集とその付着層の剥落を同時に行うことができる。
【0060】
請求項9記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置においては、回収装置本体の内部には隔壁が設けられ、複数の濾過エレメントが複数の濾過エレメント群に分割されているので、濾過エレメントに付着したフラーレン含有すす状物質の剥落と、濾過エレメントによるフラーレン含有すす状物質の捕集を並行して行うことができ、フラーレン製造炉を連続運転しながらフラーレン含有すす状物質の回収を効率的に行うことが可能となる。
【0061】
請求項10記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置においては、回収装置本体には排ガスを各濾過エレメントの外表面側から内表面側に向けて透過させる排ガス透過手段が設けられているので、フラーレン含有すす状物質を濾過エレメントの外表面側に付着させることができ、フラーレン含有すす状物質の捕集や濾過エレメントのメンテナンスにおける操作性を向上させることが可能となる。
【0062】
請求項11及び12記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置においては、濾過エレメントを端封状濾過エレメントとしているので、片側からのみの吸引又は排気で比較的簡単な構造の装置が構成できる。特に、端封状濾過エレメントを閉塞側を下にして垂直に立てて使用する場合には、構造がより簡略化される。
【0063】
請求項14記載のフラーレン含有すす状物質の回収方法は、請求項1〜13記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置を用いて、各濾過エレメントに付着しているフラーレン含有すす状物質の剥落作業は各濾過エレメント毎に実施するようにしており、請求項15記載のフラーレン含有すす状物質の回収方法は、請求項9記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置を用い、各濾過エレメントに付着しているフラーレン含有すす状物質の剥落作業は、濾過エレメント群毎に行っているので、フラーレン製造炉の運転を継続しながら、各濾過エレメントを個別又は群に別けて逆洗を行うことができる。
更には、逆洗用のガスの流量が少なくなり、機器全体の経済性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置の概念構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るフラーレン含有すす状物質の回収装置の概念構成図である。
【図3】本発明の実施例に使用した濾過エレメントの特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10:フラーレン含有すす状物質の回収装置、11:フラーレン製造炉、12:端封状濾過エレメント、13:回収装置本体、14:粉体貯留槽、15:側壁部、16:炉頂部、17:バーナ部、18:排ガス導出管、19:水冷コイル、20:側部、21:天井部、22:排ガス導入孔、23:調温ジャケット、24:開口部、25:エレメント本体、26:濾過エレメント群、27:隔壁、28:排ガス透過手段、29:接続口、30:ガス供給手段、31:接続口、32:排出配管、33:開閉バルブ、34:排気ポンプ、35:導入配管、36:開閉バルブ、37:ガス加圧機、38:ガスタンク、39:貯留槽本体、40:自動排出バルブ、41:排出手段、42:調温ジャケット、43:熱電対、44:一次保留槽、45:自動開閉バルブ、46:回収ボックス、47:排気ポンプ、48:制御部、49:排気配管、50:圧力ゲージ、51:自動開閉バルブ、52:排気配管、53:自動開閉バルブ、54:フラーレン含有すす状物質の回収装置、55:加振機

Claims (15)

  1. 炭素含有化合物を酸素含有ガスの下で燃焼してフラーレンを製造するフラーレン製造炉から排出される高温の排ガスからフラーレン含有すす状物質を捕集して回収する回収装置において、
    前記フラーレン含有すす状物質を一面側に付着させ前記排ガスを他面側に透過させる複数の濾過エレメントを収納する回収装置本体と、前記回収装置本体の下部に設けられ付着させた前記フラーレン含有すす状物質を貯留する粉体貯留槽を有し、しかも、前記各濾過エレメントには焼結金属製濾材を使用していることを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収装置。
  2. 請求項1記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記焼結金属製濾材の濾過流量能力が0.2m /m /分以上でしかも10m /m /分以下の範囲にあることを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収装置。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項に記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記焼結金属製濾材の材質が高温耐熱金属であることを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記回収装置本体には調温部が設けられ、該回収装置本体の表面温度を20〜500℃に調整することを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記粉体貯留槽には前記フラーレン含有すす状物質の貯留量を検知する粉面計と、該粉面計の検知信号により前記フラーレン含有すす状物質を前記粉体貯留槽から排出する排出手段が設けられていることを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記回収装置本体には前記各濾過エレメントの前記他面側から前記一面側にガスを流通させるガス供給手段が設けられ、該一面側に付着しているフラーレン含有すす状物質を剥落させることを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収装置。
  7. 請求項6記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記ガス供給手段により流通させるガスは非酸化性ガスであることを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収装置。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記回収装置本体には前記濾過エレメントを振動させる振動手段が設けられ、振動により前記各濾過エレメントに付着しているフラーレン含有すす状物質を剥落させることを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記回収装置本体の内部には隔壁が設けられ、前記複数の濾過エレメントが複数の濾過エレメント群に分割されていることを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記回収装置本体には前記排ガスを前記各濾過エレメントの外表面側から内表面側に向けて透過させる排ガス透過手段が設けられていることを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記濾過エレメントは端封状濾過エレメントであることを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収装置。
  12. 請求項11記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置において、前記端封状濾過エレメントは、下端は閉塞されて上端に濾過された前記排ガスの排気口となる開口部を備えた筒状物からなることを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収装置。
  13. 炭素含有化合物を酸素含有ガスで燃焼させてフラーレンを製造するフラーレン製造炉から送出される燃焼ガスからフラーレン含有すす状物質を捕集する装置であって、前記燃焼ガスからフラーレン含有すす状物質を濾過して捕集する濾過エレメントを有し、しかも、前記濾過エレメントは焼結金属から形成されていることを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収装置。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置を用いたフラーレン含有すす状物質の回収方法において、
    前記各濾過エレメントに付着しているフラーレン含有すす状物質の剥落作業は、前記各濾過エレメント毎に実施することことを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収方法。
  15. 請求項9記載のフラーレン含有すす状物質の回収装置を用いたフラーレン含有すす状物質の回収方法において、
    前記各濾過エレメントに付着しているフラーレン含有すす状物質の剥落作業は、前記濾過エレメント群毎に行うことを特徴とするフラーレン含有すす状物質の回収方法。
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