JP2021107312A - 排ガス冷却装置、フラーレンの製造装置及びフラーレンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃焼法によるフラーレンの生成に用いられる反応炉から排出される排ガスを効率よく冷却することが可能な装置の提供。【解決手段】燃焼法によるフラーレンの生成に用いられる反応炉11から排出される排ガスを冷却する装置であって、前記反応炉から排出される排ガスを通過させる配管19と、前記配管の少なくとも一部を冷媒で冷却する配管冷却部と、を備える、排ガス冷却装置。【選択図】図1
Description
本発明は、排ガス冷却装置、フラーレンの製造装置及びフラーレンの製造方法に関する。
フラーレンを安価に効率よく大量に製造する方法として、炭素化合物を反応炉内で不完全燃焼させてフラーレンを製造する燃焼法が知られている(例えば、特許文献1参照)。生成したフラーレンは主に煤状物質に含まれる。この煤状物質は排ガスと共に反応炉から排出されて、フラーレン回収装置で回収される。
しかしながら、特許文献1に記載されたフラーレンの製造装置を用いて、燃焼法でフラーレンを製造すると、得られるフラーレンの収率は高くない。その原因の一つは、フラーレン回収装置に到達した時点のフラーレン含有煤状物質を含む排ガスは高温で、フラーレン回収装置でフラーレンが分解又は昇華してしまうことだと考えられる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、フラーレンの収率を向上させることができる、排ガス冷却装置、フラーレンの製造装置及びフラーレンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題を解決する、排ガス冷却装置、当該排ガス冷却装置を備えたフラーレンの製造装置及びフラーレンの製造方法を見出した。具体的には以下のとおりである。
(1) 燃焼法によるフラーレンの生成に用いられる反応炉から排出される排ガスを冷却する装置であって、前記反応炉から排出される排ガスを通過させる配管と、前記配管の少なくとも一部を冷媒で冷却する配管冷却部と、を備える、排ガス冷却装置。
(2) 前記配管冷却部は、前記配管の少なくとも一部の外側に設けられている外管であり、前記配管と前記外管の間に前記冷媒が流される、(1)に記載の排ガス冷却装置。
(3) 前記配管冷却部は、前記配管の少なくとも一部の外側に装着されているパイプであり、前記パイプ内に前記冷媒が流される、(1)に記載の排ガス冷却装置。
(4) 前記配管冷却部は、前記冷媒が充填されている槽であり、前記配管の少なくとも一部が前記槽内に設置されている、(1)に記載の排ガス冷却装置。
(5) 前記配管冷却部における前記配管の少なくとも一部の外側にフィンが一つ以上設けられている、(2)又は(4)に記載の排ガス冷却装置。
(6) 前記配管が、2又はそれ以上に分岐している、(1)〜(5)のいずれか一項に記載の排ガス冷却装置。
(7) 前記配管の少なくとも一部が、蛇行している、(1)〜(6)のいずれかに記載の排ガス冷却装置。
(8) さらに、不活性ガスを前記配管内に流入させる不活性ガス流入部を備える、(1)〜(7)のいずれか一項に記載の排ガス冷却装置。
(9) (1)〜(8)のいずれか一項に記載の排ガス冷却装置を備える、フラーレンの製造装置。
(10) 燃焼法によるフラーレンの製造方法であって、反応炉から排出される排ガスが通過する配管の少なくとも一部を冷媒で冷却する工程を含む、フラーレンの製造方法。
(1) 燃焼法によるフラーレンの生成に用いられる反応炉から排出される排ガスを冷却する装置であって、前記反応炉から排出される排ガスを通過させる配管と、前記配管の少なくとも一部を冷媒で冷却する配管冷却部と、を備える、排ガス冷却装置。
(2) 前記配管冷却部は、前記配管の少なくとも一部の外側に設けられている外管であり、前記配管と前記外管の間に前記冷媒が流される、(1)に記載の排ガス冷却装置。
(3) 前記配管冷却部は、前記配管の少なくとも一部の外側に装着されているパイプであり、前記パイプ内に前記冷媒が流される、(1)に記載の排ガス冷却装置。
(4) 前記配管冷却部は、前記冷媒が充填されている槽であり、前記配管の少なくとも一部が前記槽内に設置されている、(1)に記載の排ガス冷却装置。
(5) 前記配管冷却部における前記配管の少なくとも一部の外側にフィンが一つ以上設けられている、(2)又は(4)に記載の排ガス冷却装置。
(6) 前記配管が、2又はそれ以上に分岐している、(1)〜(5)のいずれか一項に記載の排ガス冷却装置。
(7) 前記配管の少なくとも一部が、蛇行している、(1)〜(6)のいずれかに記載の排ガス冷却装置。
(8) さらに、不活性ガスを前記配管内に流入させる不活性ガス流入部を備える、(1)〜(7)のいずれか一項に記載の排ガス冷却装置。
(9) (1)〜(8)のいずれか一項に記載の排ガス冷却装置を備える、フラーレンの製造装置。
(10) 燃焼法によるフラーレンの製造方法であって、反応炉から排出される排ガスが通過する配管の少なくとも一部を冷媒で冷却する工程を含む、フラーレンの製造方法。
本発明によれば、フラーレンの収率を向上させることができる、排ガス冷却装置、当該排ガス冷却装置を備えたフラーレンの製造装置及びフラーレンの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が同一であるとは限らない。
図1に、本実施形態に関する、フラーレンの製造装置の一例を示す。
本実施形態に関するフラーレンの製造装置10は、図1に示すように、燃焼法によるフラーレンの生成に用いられる円筒状の反応炉11と、フラーレン反応炉11内からフラーレンを含む高温の排ガスを通過させる配管19と、排ガスが流入して排ガス中からフラーレンを含有する煤状物質を捕集するフラーレン回収装置16と、フラーレン回収装置16から流出する、フラーレンを含有する煤状物質が除去されたガスを冷却するガス冷却器17と、ガス冷却器17によって降温されたガスを吸引する真空ポンプからなる減圧装置18と、を備える。配管19は、フラーレン反応炉11の下部にある排ガスの排出部12に接続される。なお、図1では、後述する排ガス冷却装置の配管冷却部は示されていない。
反応炉11は円筒状であり、例えば、ジルコニア、モリブデン、タンタル、白金、チタン、窒化チタン、アルミナ等の耐熱材料で構成され、その外側の一部又は全部に、例えばアルミナ質の耐火煉瓦やアルミナ質の不定形耐火材等の断熱材14がライニングされている。
反応炉11の上方には、燃料ガスを供給する燃料ガス供給配管20と、燃料ガス中の原料である炭化水素ガスの燃焼に必要な酸素を供給する酸素含有ガス供給配管21が接続されている。さらにバーナー13は、供給された燃料ガス及び酸素含有ガスから混合ガスを作製する混合室と、得られた混合ガスを所定の圧力(例えば、50〜200トール、好ましくは、100〜150トール)で保持する蓄圧室と、混合ガスが吐出する複数の吐出口が設けられた吐出部を備える。吐出部としては、種々の形態のものを用いることができるが、良好なガス流を得るためには、口径が小さい吐出口が多数集合した形態のものが好ましい。例えば、口径が0.1〜5mmの吐出口を多数設ける場合には、吐出口の開口面積の合計は、吐出口が分布している吐出部の横断面積に対して、10〜95%、好ましくは50〜95%である。なお、バーナー13は混合室を設けず、燃料ガスと酸素含有ガスをそれぞれ独立にフラーレン反応炉11内に導入してもよい。
反応炉11で、バーナー13を用いて、燃料ガスを酸素含有ガスの下で燃焼させることにより、フラーレンを生成させると共に、煤状物質、一酸化炭素ガス、水蒸気等が発生する。生成したフラーレンは煤状物質中に含有されている。排ガスには、フラーレンを含む煤状物質が存在し、排ガスは、反応炉11の排出部12から排出されて、配管19を通過する。反応炉から排出されるフラーレン含有煤状物質を含む排ガスの温度は1300℃〜1900℃である。
燃料ガスとしては、例えば、ガス状又はガス化させたトルエン、ベンゼン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の炭素数6〜15の芳香族炭化水素、クレオソート油、カルボン酸油等の石炭系炭化水素、アセチレン系不飽和炭化水素、エチレン系炭化水素、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族飽和炭化水素等があげられ、これらのうち二種以上が併用されてもよい。これらの中でも、芳香族炭化水素が好ましい。
なお、燃料ガスは、必要に応じて、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスで希釈されていてもよい。
なお、燃料ガスは、必要に応じて、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスで希釈されていてもよい。
酸素含有ガスとしては、例えば、酸素ガス、空気等があげられる。なお、酸素ガスは、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスで希釈されていてもよい。
配管19は、反応炉11とフラーレン回収装置16とに接続され、反応炉11から排出される排ガスを通過させて、回収装置16に到達させる。配管19としては、例えば、ステンレス鋼等のパイプがあげられる。配管19の内径又及び長さは、反応炉11の大きさ、反応炉11とフラーレン回収装置16との距離、排出される排ガスの量及び排ガスの温度等により、適宜決めることができる。配管の内径は、好ましくは、25mm〜350mmでる。配管の内径が25mm以上であれば、煤状物質で配管が詰まることもなく、配管の内径が350mm以下であれば、排ガスに対する冷却効果が高まる。配管の長さは、好ましく1000mm以上、より好ましくは5000mm以上である。配管の長さが1000mm以上であれば、排ガスが配管内壁と接触する時間が長くなり、排ガスを冷却することができる。
本発明の実施形態の例として、図2〜4に示すように、排ガス冷却装置は、反応炉11から排出される排ガスを通過させる配管19と、後述する前記配管の少なくとも一部を冷媒で冷却する配管冷却部32〜34と、を備える。排ガスは、配管19の内壁と接触して冷却されるため、配管冷却部により、配管19が冷媒で冷却されると、排ガスを効率よく冷却することができる。反応炉11から排出される排ガスは、1300℃〜1900℃であり、この排ガスが、上記排ガス冷却装置を通過することにより、600℃以下まで冷却されることが好ましく、400℃以下まで冷却されることがより好ましい。本発明の排ガス冷却装置によれば、フラーレン回収装置16におけるフラーレンの分解又は昇華を防ぐことができる。
ここで、排ガス冷却装置や排ガス冷却方法について、図2〜9を用いて、具体的な実施形態を説明する。なお、本発明は、図2〜9に示す実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態である排ガス冷却装置を、図2に示す。本発明の第一実施形態における配管冷却部は、配管19の少なくとも一部の外側に設けられている外管32であることができる。この配管19と外管32の間に冷媒を流し、配管19を冷却することにより、配管19を通過する排ガスを冷却する。排ガスを冷却する効果を高めるため、好ましくは、配管19の長さの半分以上に外管32を設けることができ、さらに好ましくは、配管19の外側の全部に外管32を設けることができる。
本発明の第一実施形態である排ガス冷却装置を、図2に示す。本発明の第一実施形態における配管冷却部は、配管19の少なくとも一部の外側に設けられている外管32であることができる。この配管19と外管32の間に冷媒を流し、配管19を冷却することにより、配管19を通過する排ガスを冷却する。排ガスを冷却する効果を高めるため、好ましくは、配管19の長さの半分以上に外管32を設けることができ、さらに好ましくは、配管19の外側の全部に外管32を設けることができる。
外管32の材質としては、耐熱性及び熱伝導性が良い金属や合金等を用いることができる。なお、外管32の断面形状は、配管19の外側に配置できるような形状であれば、特に限定しない。
本発明の実施形態において、冷媒とは、配管19を冷却するための物質を意味する。このような冷媒としては、水、フルオロカーボン、メタン系、エタン系、プロパン系の有機化合物、不活性ガスや液体窒素等の液化ガス等があげられるが、これらに限定されず、汎用されているいかなる冷媒を用いてよい。好ましくは、不活性ガスや液体窒素等の液化ガスを用いることができる。
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態である排ガス冷却装置を、図3に示す。配管冷却部33は、配管19の少なくとも一部の外側に装着されているパイプ33である。このパイプ内に冷媒を流し、配管19を冷却することにより、配管19を通過する排ガスを冷却する。排ガスを冷却する効果を高めるため、好ましくは、配管19の長さの半分以上にパイプ33を設けることができ、さらに好ましくは、パイプ33を配管19の外側の全部に設けることができる。パイプ33としては、熱伝導性が良い金属パイプ、例えば銅パイプを用いることができるが、これらに限定されない。
本発明の第二実施形態である排ガス冷却装置を、図3に示す。配管冷却部33は、配管19の少なくとも一部の外側に装着されているパイプ33である。このパイプ内に冷媒を流し、配管19を冷却することにより、配管19を通過する排ガスを冷却する。排ガスを冷却する効果を高めるため、好ましくは、配管19の長さの半分以上にパイプ33を設けることができ、さらに好ましくは、パイプ33を配管19の外側の全部に設けることができる。パイプ33としては、熱伝導性が良い金属パイプ、例えば銅パイプを用いることができるが、これらに限定されない。
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態である排ガス冷却装置を、図4に示す。配管冷却部34は、冷媒が充填された槽36であり、その内部には配管19の少なくとも一部が設置されている。槽36内で配管19を冷却することで、配管19を通過する排ガスを冷却する。排ガスを冷却する効果を高めるため、好ましくは、配管19の長さの半分以上を槽36内部に設置することができる。なお、図4には示されていないが、槽36には低温の冷媒を流入させる流入口と槽36内の冷媒を排出させる流出口を設けることができる。これにより、槽36内の冷媒を低温に維持することができる。
本発明の第三実施形態である排ガス冷却装置を、図4に示す。配管冷却部34は、冷媒が充填された槽36であり、その内部には配管19の少なくとも一部が設置されている。槽36内で配管19を冷却することで、配管19を通過する排ガスを冷却する。排ガスを冷却する効果を高めるため、好ましくは、配管19の長さの半分以上を槽36内部に設置することができる。なお、図4には示されていないが、槽36には低温の冷媒を流入させる流入口と槽36内の冷媒を排出させる流出口を設けることができる。これにより、槽36内の冷媒を低温に維持することができる。
また、配管19冷却効率をさらに高めるため、第一実施形態において、配管19の少なくとも一部の外側と外管32の間に、帯状の板であるフィンを一つ以上設けてもよい。配管19の外側にフィン38を配置すると、冷媒流路における配管19の冷媒との接触面積が増加することにより、冷却効果が高まる。図5は、配管19、外管32、及びフィン38の断面図である。フィンとしては、例えば、熱伝導性がよい金属や合金により構成された帯状の板があげられるが、これらに限定されない。フィンの数は、冷媒の流れを妨げない限り、その数が多いほど、冷却効果は高まる。
また、第三実施形態において、槽36の内部に配置された配管19の部分の外側にフィンを一つ以上設けてもよい。フィンの数は、冷媒の流れを妨げない限り、その数が多いほど、槽内に充填された冷媒との接触面積が増加し、冷却効果が高まる。図6は、フィンを有する配管19の断面を示す。
配管19の冷却されている表面積が増えれば、排ガスと接触する冷却されている配管19の表面積が大きくなり、排ガスの冷却効率が高まる。例えば、図7に示すように、配管19が2つの分岐配管35に分岐して、岐配管35を上記の配管冷却部32〜34と組み合わせて冷却すると、排ガスの冷却効果がさらに高まる。また、配管19は、3又はそれ以上に分岐してもよく、配管19のどの位置で分岐があってもよい。また、複数の分岐配管35は、そのまま複数の分岐配管群のままフラーレン回収装置16に接続されてもよく、又は、複数の分岐配管群が合流して、再び一つの配管になり、フラーレン回収装置16に接続されてもよい。このような分岐構造にすることで、排ガスが冷却されている配管と接触する面積が増加して、排ガスの冷却効果が高まる。
図8に示すように、配管19の少なくとも部分は、蛇行する構造であってもよい。配管19の少なくとも一部を蛇行配管36にして、蛇行配管36を上記の配管冷却部32〜34と組み合わせて冷却すると、配管が冷却される表面積が増加し、それにより、排ガスが冷却された配管と接する面積を増加させることができる。また、上記の分岐配管35を蛇行させてもよい。
図9に示すように、排ガス冷却装置には、配管19内に、不活性ガスを流入させる不活性ガス流入部37が、さらに設けられてもよい。排ガス冷却装置に加えて、不活性ガス流入部37から不活性ガスを配管内に流入させて排ガスそれ自体を冷却することにより、排ガスの冷却効率がさらに高まる。
不活性ガスとしては、排ガスと反応しないガスであれば、特に限定されない。例えば、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等があげられる。不活性ガスの温度は、排ガスより低ければ、特に限定しないが、室温の不活性ガスを用いることが好ましい。なお、不活性ガスは、室温より低い温度に冷却されてもよい。この場合は、排ガスの冷却効果がより高まる。不活性ガスの供給方法としては、不活性ガスボンベにより供給される方法があげられるが、これに限定されない。
配管19の下流側端部はフラーレン回収装置16の上部周壁に接線方向に接続されている。フラーレン回収装置16は、排ガス中のフラーレンを含む煤状物質とガスを分離する高温耐熱フィルター22を備える。高温耐熱フィルター22は、排ガス中の未反応の燃料ガス、一酸化炭素、水蒸気等のガスを通過させて、フラーレンを含む煤状物質を回収する。
高温耐熱フィルター22は、通常の集塵機等に使用されるバッグフィルター構造で構成される。高温耐熱フィルター22の耐熱温度は、200〜600℃が好ましい。高温耐熱フィルター22は汎用されているものを用いてよく、市販品としては、例えば、焼結金属フィルター(日本ポール製)、焼結金属フィルター(富士フィルター製)等があげられる。
本実施形態では、反応炉11から排出される排ガスは、フラーレン回収装置16に至るまでに、600℃以下、好ましくは400℃以下まで冷却されるため、高温耐熱フィルター22の劣化を防ぎ、耐用時間を長くすることができる。これにより、フラーレンをより安定して製造することができる。
図1ではフラーレン回収装置16の上部に、付着したフラーレンを含む煤状物質を落下させる逆洗浄機構23が設けられている。逆洗浄機構23は、高圧の不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス)等を貯留するタンク24と、電磁弁25と、排出弁26を有する。電磁弁25を定期的に短時間開けることにより、高温耐熱フィルター22内に不活性ガスを入れ、高温耐熱フィルター22に付着したフラーレンを含む煤状物質を落下させ、排出弁26を開けて、フラーレンを含む煤状物質を外部に排出する。このように、フラーレンを含む煤状物質は、非酸化性雰囲気で保持されている。
フラーレン回収装置16は、配管27を介して、ガス冷却器17と接続されている。ガス冷却器17は、通常の熱交換器と同一又は近似した構造であり、ガス冷却器17内のガスの温度を低下させて真空ポンプ18に流入することにより、ガスを減容すると共に、真空ポンプ18の負荷を低減させる。また、ガス冷却器17は、ガス中の未反応の燃料ガス、水蒸気を液化させ、ガス冷却器17の下部のドレーン28から排出させる。
本発明により、反応炉から排出される排ガスを通過させる配管の少なくとも一部を冷媒で冷却する工程を含む、フラーレンの製造方法が供される。
以下の実施例及び比較例により、本実施形態の効果をより明らかなものとする。なお、本実施形態は、実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
〔フラーレン収率の算出〕
フラーレン回収装置16で回収した煤状物質に含まれるフラーレン(FLN)の含有率の測定は、JIS Z 8981に準拠して、以下のように行った。回収した煤状物質0.05gに対して、15gの1,2,3,5-テトラメチルベンゼン(TMB)を添加し、15分間超音波処理を行った。得られた懸濁液を孔径0.5μmメンブランフイルターで濾過した。得られた抽出液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析し、煤状物質に含まれるフラーレン(C60、C70)を定量して、得られた煤状物質中のフラーレンの含有率(質量%)を算出した。ここで、あらかじめ既知濃度のフラーレンのTMB溶液を用いて検量線を作成し、フラーレンの定量に用いた。HPLCの測定条件は以下のとおりであった。
装置:Infinity1260(Agilent製)
試料液の注入量: 5μL
溶離液の流量 47体積比(vol%)トルエン/メタノール 1mL/分
カラム:YMC−Pack ODS−AM 100*4.6mmID S−3μm,12nm
測定温度: 40℃
ディテクタ:UV 325nm(JIS)
得られたFLNの含有率から、フラーレン(FLN)の収率を、以下のように算出した。
FLN収率(%)=(煤状物質回収量(g)/燃料消費量(g))×FLN含有率(質量%)
フラーレン回収装置16で回収した煤状物質に含まれるフラーレン(FLN)の含有率の測定は、JIS Z 8981に準拠して、以下のように行った。回収した煤状物質0.05gに対して、15gの1,2,3,5-テトラメチルベンゼン(TMB)を添加し、15分間超音波処理を行った。得られた懸濁液を孔径0.5μmメンブランフイルターで濾過した。得られた抽出液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析し、煤状物質に含まれるフラーレン(C60、C70)を定量して、得られた煤状物質中のフラーレンの含有率(質量%)を算出した。ここで、あらかじめ既知濃度のフラーレンのTMB溶液を用いて検量線を作成し、フラーレンの定量に用いた。HPLCの測定条件は以下のとおりであった。
装置:Infinity1260(Agilent製)
試料液の注入量: 5μL
溶離液の流量 47体積比(vol%)トルエン/メタノール 1mL/分
カラム:YMC−Pack ODS−AM 100*4.6mmID S−3μm,12nm
測定温度: 40℃
ディテクタ:UV 325nm(JIS)
得られたFLNの含有率から、フラーレン(FLN)の収率を、以下のように算出した。
FLN収率(%)=(煤状物質回収量(g)/燃料消費量(g))×FLN含有率(質量%)
〔温度の測定〕
排ガス温度を、排出部12において、測定した。
排ガス温度を、排出部12において、測定した。
フラーレン回収装置16に到達した時点の排ガス温度は、フラーレン回収装置16と配管19の接続部において、測定した。
〔実施例1〕
図2の排ガス冷却装置を有する図1に示したフラーレン製造装置を用いてフラーレンを生成して、煤状物質を回収した。
図2の排ガス冷却装置を有する図1に示したフラーレン製造装置を用いてフラーレンを生成して、煤状物質を回収した。
具体的には、試験に用いた反応炉11はジルコニア製で長さ2000mm、内径は54mmであり、その外側をアルミナ質の不定形耐火材でライニングした。バーナー13の吐出部は、外径が52mmの円板状の多孔質のセラミック焼結体を用いて構成された。この多孔質のセラミック焼結体には直径52mmのセラミック焼結体中に、直径1〜2mmほどの孔が吐出口として約450〜700個形成されていた。
燃料ガスとしてガス状にしたトルエンを用い、酸素含有ガスとして純酸素を用い、両者の混合ガスを作製して、130℃でバーナー13に供給した。トルエンガスの流量は、2.49Nm3/時間であり、純酸素の流量は7.7Nm3/時間であった。
反応炉の内圧は、運転時に、真空ポンプを用いて、5.33KPaに調整した。反応炉排出部の排ガス温度は1402℃であった。
配管19としては、内径80mm、長さは5000mm、ステンレス鋼製のパイプを用いた。
配管冷却部として用いた外管32はステンレス鋼製のパイプであった。パイプの内径は90mm、長さは5000mmであった。配管と外管の間に冷媒として20℃の水を流して、水冷した。水の流量は2.4m3/時間であった。
フラーレン回収装置16における排ガス温度は551℃であった。フラーレンの収率は0.34%であった。
〔実施例2〕
実施例2では、図3の排ガス冷却装置を用いた。具体的には、配管19の外側全体に内径6mmの銅管のパイプ33を巻き付けた。パイプ内に冷媒を流して配管を冷却した。冷媒として液体窒素を用いた。液体窒素の流量は0.5m3/時間であった。上記以外は実施例1と同様であった。
実施例2では、図3の排ガス冷却装置を用いた。具体的には、配管19の外側全体に内径6mmの銅管のパイプ33を巻き付けた。パイプ内に冷媒を流して配管を冷却した。冷媒として液体窒素を用いた。液体窒素の流量は0.5m3/時間であった。上記以外は実施例1と同様であった。
フラーレン回収装置16における排ガス温度は254℃であった。フラーレンの収率は0.69%であった。
〔実施例3〕
実施例3では、配管19を反応炉下部の配管入口から500mmの位置で2つに分岐させた。分岐後の配管の内径は40mmである。分岐後の配管の長さは、ラーレン回収装置16まで4500mmであった。配管19の外側全体に内径6mmの銅管のパイプ33を巻き付けた。上記以外は実施例2と同様であった。
実施例3では、配管19を反応炉下部の配管入口から500mmの位置で2つに分岐させた。分岐後の配管の内径は40mmである。分岐後の配管の長さは、ラーレン回収装置16まで4500mmであった。配管19の外側全体に内径6mmの銅管のパイプ33を巻き付けた。上記以外は実施例2と同様であった。
フラーレン回収装置における排ガス温度は214℃であった。フラーレンの収率は0.71%であった。
〔実施例4〕
実施例4では、図8に示すように、全長10mの配管19及外管32を蛇行させたこと以外は、実施例1と同様であった。
実施例4では、図8に示すように、全長10mの配管19及外管32を蛇行させたこと以外は、実施例1と同様であった。
フラーレン回収装置16における排ガス温度は229℃であった。フラーレンの収率は0.71%であった。
〔実施例5〕
図7に示す排ガス冷却装置を用いた。具体的には、配管19の5000mmの長さのうち、4500mmにあたる部分を槽36中に設置した。槽36中の冷媒として水を用いた。槽36中の水の温度を15℃に保持するように、調節させた。上記以外は実施例1と同様であった。
図7に示す排ガス冷却装置を用いた。具体的には、配管19の5000mmの長さのうち、4500mmにあたる部分を槽36中に設置した。槽36中の冷媒として水を用いた。槽36中の水の温度を15℃に保持するように、調節させた。上記以外は実施例1と同様であった。
フラーレン回収装置16における排ガス温度は367℃であった。フラーレンの収率は0.45%であった。
〔実施例6〕
実施例6では、配管19の反応炉11の下部から500mmの位置に不活性ガス流入部37が設けられ、この不活性ガス流入部37から温度20℃の窒素ガスを120Nm3/時間で配管内に導入した以外は実施例2と同様であった。
実施例6では、配管19の反応炉11の下部から500mmの位置に不活性ガス流入部37が設けられ、この不活性ガス流入部37から温度20℃の窒素ガスを120Nm3/時間で配管内に導入した以外は実施例2と同様であった。
フラーレン回収装置16における排ガス温度は184℃であった。フラーレンの収率は0.75%であった。
〔比較例1〕
比較例1では、配管冷却部を設置せず、自然放冷した以外は実施例1と同様であった。
その結果、試験開始40分後に配管が赤熱してきたので試験を中止した。
比較例1では、配管冷却部を設置せず、自然放冷した以外は実施例1と同様であった。
その結果、試験開始40分後に配管が赤熱してきたので試験を中止した。
実施例1〜6では、排ガス冷却装置を通過した排ガスを1402℃から600℃以下まで冷却することができた。また、実施例1〜6では、フラーレン回収装置16における排ガス温度が低いほど、フラーレン収率が向上することが示された。
よって、本発明の排ガス冷却装置を用いると、排ガスを効率よく冷却することができ、フラーレン収率の向上に貢献することが確認された。
10 フラーレンの製造装置
11 反応炉
12 排出部
13 バーナー
14 断熱材
16 フラーレン回収装置
19 配管
32 外管
33 パイプ
34 槽
35 分岐配管
36 蛇行配管
37 不活性ガス流入部
38 フィン
11 反応炉
12 排出部
13 バーナー
14 断熱材
16 フラーレン回収装置
19 配管
32 外管
33 パイプ
34 槽
35 分岐配管
36 蛇行配管
37 不活性ガス流入部
38 フィン
Claims (10)
- 燃焼法によるフラーレンの生成に用いられる反応炉から排出される排ガスを冷却する装置であって、
前記反応炉から排出される排ガスを通過させる配管と、
前記配管の少なくとも一部を冷媒で冷却する配管冷却部と、
を備える、排ガス冷却装置。 - 前記配管冷却部は、前記配管の少なくとも一部の外側に設けられている外管であり、前記配管と前記外管の間に前記冷媒が流される、請求項1に記載の排ガス冷却装置。
- 前記配管冷却部は、前記配管の少なくとも一部の外側に装着されているパイプであり、
前記パイプ内に前記冷媒が流される、請求項1に記載の排ガス冷却装置。 - 前記配管冷却部は、前記冷媒が充填されている槽であり、前記配管の少なくとも一部が前記槽内に設置されている、請求項1に記載の排ガス冷却装置。
- 前記配管冷却部における前記配管の少なくとも一部の外側にフィンが一つ以上設けられている、請求項2又は4に記載の排ガス冷却装置。
- 前記配管が、2又はそれ以上に分岐している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の排ガス冷却装置。
- 前記配管の少なくとも一部が、蛇行している、請求項1〜6のいずれかに記載の排ガス冷却装置。
- さらに、不活性ガスを前記配管内に流入させる不活性ガス流入部を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の排ガス冷却装置。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の排ガス冷却装置を備える、フラーレンの製造装置。
- 燃焼法によるフラーレンの製造方法であって、
反応炉から排出される排ガスが通過する配管の少なくとも一部を冷媒で冷却する工程を含む、フラーレンの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019239944A JP2021107312A (ja) | 2019-12-27 | 2019-12-27 | 排ガス冷却装置、フラーレンの製造装置及びフラーレンの製造方法 |
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- 2019-12-27 JP JP2019239944A patent/JP2021107312A/ja active Pending
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