JP2004072044A - GaN系半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

GaN系半導体発光素子の製造方法 Download PDF

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Yoshihiro Ueda
上田 吉裕
Teruyoshi Takakura
高倉 輝芳
Toshiyuki Kawakami
川上 俊之
Masahiro Araki
荒木 正浩
Takeshi Kamikawa
神川 剛
Takayuki Yuasa
湯浅 貴之
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Abstract

【課題】信頼性が高く歩留まりのよいGaN系半導体発光素子を製造する方法を提供する。
【解決手段】GaN系半導体発光素子の製造方法は、基板上において、0.4〜5μmの範囲内の厚さを有するn型GaN系半導体層、活性層、および0.05〜1μmの範囲内の厚さを有するp型GaN系半導体層をこの順に形成する工程を含み、n型GaN系半導体層が1100℃以上の基板温度で気相成長させられ、かつp型GaN系半導体層が1100℃未満の基板温度で気相成長させられることを特徴としている。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に複数のGaN系半導体層を気相成長させることによってGaN系半導体発光素子を製造する方法に関し、特に信頼性が改善されたGaN系半導体発光素子を製造する方法に関する。
【0002】
なお、本願明細書において、「GaN系半導体」とは、少なくともGaとNを含むIII−V族化合物半導体であって六方晶構造を有するものを意味する。
【0003】
【従来の技術】
III族元素のAl、Ga、またはIn等とV族元素のNとの化合物を含むGaN系半導体は、そのエネルギバンド構造や化学的安定性の観点から、発光素子やパワーデバイスへの応用が期待されて試みられてきた。特に次世代の光学情報記録装置用光源として、たとえば基板上に複数のGaN系半導体層を積層して青色半導体発光素子を作製する試みが盛んに行われている。
【0004】
従来の青緑色半導体発光素子の作製方法は、特開2000−340892号公報、Jpn.J.Appl.Phys.,vol.40(2001)p.L925などに開示されている。これらの文献に開示されているGaN系半導体レーザ素子が、図5の模式的な断面図において示されている。このGaN系半導体レーザ素子700では、複数のGaN系半導体層がGaN系基板上に形成され、光の閉じこめはリッジストライプ構造で実効屈折率差を生じさせることによって行われている。
【0005】
従来では、図5のGaN系半導体レーザ素子700を作製するためには、GaN系基板701上において、基板温度1050℃にて、Siドープn型Al0.1Ga0.9N下部クラッド層704とSiドープn型GaN下部ガイド層705を順次気相成長させる。続いて、基板温度780℃にて、InGaNを利用した多重量子井戸活性層706を形成する。次に、基板温度を1050℃に戻し、Mgドープp型Al0.2Ga0.8N蒸発防止層707、Mgドープp型GaN上部ガイド層708、Mgドープp型Al0.1Ga0.9N上部クラッド層709、そしてMgドープp型GaN上部コンタクト層710を順次気相成長で積層する。
【0006】
半導体レーザ素子700では、上部クラッド層709の上部と上部コンタクト層710とを含むリッジストライプ711が形成される。このリッジストライプ711によって活性層706に平行方向にステップ状の屈折率分布を作り付け、水平横モードの閉じ込めが行われる。また、リッジストライプ711の両側にはSiO絶縁膜712が形成され、この絶縁膜712はリッジストライプ711の頂面のみから電流注入させるための電流狭窄層として機能する。また、p型用電極713がリッジストライプ711上に形成され、n型用電極714が基板701の裏面上に形成されて電力の供給が行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らが約400μm厚のGaN系半導体基板を用いて従来の方法で図5のGaN系半導体レーザ素子を作製したところ、そのレーザ素子の発振閾値が高いと共に、素子の寿命が短いことがわかった。またウェハ中で、比較的特性の優れたレーザ素子チップが得られる領域は狭く、素子の歩留まりにも問題が生じ得ることが分かった。
【0008】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、特性の優れたGaN系発光素子を歩留まりよく製造し得る方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一つの様態によれば、GaN系半導体発光素子の製造方法は、基板上において、0.4〜5μmの範囲内の厚さを有するn型GaN系半導体層、活性層、および0.05〜1μmの範囲内の厚さを有するp型GaN系半導体層をこの順に形成する工程を含み、n型GaN系半導体層が1100℃以上の基板温度で気相成長させられ、かつp型GaN系半導体層が1100℃未満の基板温度で気相成長させられることを特徴としている。
【0010】
本発明の他の様態によれば、GaN系半導体発光素子の製造方法は、基板上において、下部コンタクト層、下部クラッド層、活性層、上部クラッド層、および上部コンタクト層を順次にGaN系半導体で形成する工程を含み、下部コンタクト層と下部クラッド層との少なくとも一方が1100℃以上の基板温度で気相成長させられ、かつ上部クラッド層と上部コンタクト層との少なくとも一方が1100℃未満の基板温度で気相成長させられることを特徴としている。
【0011】
なお、下部コンタクト層は、2μm以上で5μm以下の厚さを有していることが好ましい。また、活性層は、800℃以下の基板温度の下で形成することが好ましい。基板の材料としては、GaN系半導体またはサファイアから選択し得る。活性層はInGa1−xN(0≦x≦1)からなることが好ましく、さらに燐またはヒ素を含んでいてもよい。
【0012】
本発明のさらに他の様態によれば、GaN系半導体発光素子の製造方法は、GaN系半導体基板上において、2.0〜5.0μmの範囲内の厚さを有するn型下部コンタクト層、0.4〜4.0μmの範囲内の厚さを有するn型下部クラッド層、InGa1−xN(0≦x≦1)活性層、および0.4〜1.0μmの範囲内の厚さを有するp型上部クラッド層とを順次気相成長させる工程を含み、下部コンタクト層と下部クラッド層が上部クラッド層に比べて高い基板温度で成長させられ、かつ活性層が上部クラッド層に比べて低い基板温度で成長させられることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
(問題の調査)
まず、本発明者らは、図5のGaN系半導体発光素子を従来の方法で製造する場合においてどのような問題が生じているかを調査した。従来の方法で図5における蒸発防止層707までを気相成長させたウェハにおいて、その蒸発防止層側から蛍光顕微鏡で観察したところ、ウェハ面内で発光強度に不均一性(発光むら)が見られた。また、上部コンタクト層710まで成長させたウェハにおいて、その上部コンタクト層上に円形電極を形成して電流注入してエレクトロルミネッセンス(EL)像を観察したところ、そのEL発光強度が低いことが分かった。このことから、活性層706自身または活性層706下のGaN系半導体層704と705の結晶性の向上をはかる必要があることが分かった。
【0014】
以上のような調査に基づいて、本発明の実施形態について、以下において図面を参照しつつ説明する。なお、本願の各図において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を示している。
【0015】
(実施形態1)
図1の断面図は、実施形態1におけるGaN系半導体レーザ素子100を模式的に図解している。このレーザ素子100の作製に際しては、まず(0001)主面を有する厚さ400μmのn型GaN基板101を洗浄し、MOCVD(有機金属気相堆積)装置内に搬入する。次に、キャリアガスとしてHを流しながらTMG(トリメチルガリウム)、NH、およびSiHを導入し、n型GaN基板101の第一主面上に約1125℃の基板温度の下でSiドープn型GaN下部コンタクト層103を厚さ4μmに成長させる。本実施形態1では、格子定数が基板とほぼ等しくて基板に比べて良好な結晶性を有するGaN層を成長させることによって、その表面モフォロジを改善することが意図されている。続いて、さらにTMA(トリメチルアルミニウム)を所定流量で導入し、同じ基板温度の下で厚さ0.95μm のn型Al0.1Ga0.9N下部クラッド層104を形成する。この後、TMAの供給を停止し、同じ基板温度の下でSiドープn型GaN下部ガイド層105を厚さ0.1μmに成長させる。なお、基板温度は、ウェハの表面をパイロメータで測定することによって制御し得る。
【0016】
その後、TMGとSiHの供給を停止し、キャリアガスをHからNに代えて基板温度を約725℃まで下げた後に、TMI(トリメチルインジウム)とTMGを導入し、InGa1−vN(0≦v≦1)障壁層を成長させる。続いて、TMIの供給を所定量にまで増加させ、InGa1−wN(0≦w≦1)井戸層を成長させる。InGaN障壁層とInGaN井戸層との形成を繰り返して交互積層構造(障壁層/井戸層/・・・井戸層/障壁層)からなる多重量子井戸を含む活性層106を形成する。InGaNの混晶からなる障壁層と井戸層の組成比と厚さは、発光波長が370〜430nmの範囲内になるように設計され、井戸層の数はたとえば3層とし得る。
【0017】
活性層106の形成後、TMIとTMGの供給を停止して、活性層より下のGaN系半導体層103〜105の成長温度より低い約1050℃まで基板温度を高める。ここでキャリアガスをNからHに代えて、TMG、TMA、およびp型ドーピング剤のビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を導入し、たとえば厚さ18nmのMgドープp型Al0.2Ga0.8N蒸発防止層107を形成する。次にTMAの供給を停止し、TMGの供給量を調整して、同じ基板温度でたとえば厚さ0.1μmのMgドープp型GaN上部ガイド層108を形成する。続いて、TMAを所定流量で導入してTMGの流量を調整し、同じ基板温度でたとえば厚さ0.5μmのp型Al0.1Ga0.9N上部クラッド層109を形成する。そして、TMAの供給を停止してTMGの供給量を調整し、同じ基板温度でたとえば厚さ0.1μmのMgドープp型GaN上部コンタクト層110を形成し、これによってエピタキシャル結晶成長を終了する。結晶成長終了後、TMGとCpMgの供給を停止して基板温度を下げ、室温にてウェハをMOCVD装置から取り出す。
【0018】
得られたエピタキシャルウェハは、複数のレーザ素子チップに加工される。まず、p型用電極部分の形成に際して、GaN基板101の<1−100>方向に沿って幅2μmのストライプ状のレジストを上部コンタクト層110上に形成して、反応性イオンエッチング(RIE)によってリッジストライプ部111を形成する。そして、電流狭窄のためのSiO誘電体膜112を蒸着によって形成する。次いで、レジストを剥離して上部コンタクト層110を露出させ、Pd/Mo/Auの順序で蒸着してp型用電極113を形成する。この際、ウェハ上に形成された複数のリッジストライプ111を互いに電気的に分離できるようにp型用電極113を形成すれば、後において素子の検査を行う場合に便利である。
【0019】
その後、n型GaN基板101の第二主面を研磨等で削ることにより、ウェハ厚さを140μmにし、ウェハを分割しやすいようにする。そして、n型GaN基板101の第二主面上にTi/Alの順序で蒸着してn型用電極114を形成する。n型用電極まで形成されたウェハは、基板101の<11−20>方向に劈開してバー状に分割され、劈開面からなる共振器端面が形成される。この時、共振器長は、たとえば500μmに設定される。その後、各バーをリッジストライプと平行にダイシングして分割し、複数のレーザ素子チップを得る。
【0020】
以上のプロセスの結果、図1に示すGaN系半導体レーザ素子100が得られる。GaN系半導体レーザ素子100では、リッジストライプ111に対応する部分とその両側の部分との実効屈折率差により水平方向の光場がリッジストライプ111に対応する部分に閉じ込められ、いわゆる実屈折率導波路が実現される。GaN系半導体レーザ素子100では、発振波長約400nmの比較的安定した水平横モード発振が得られる。本素子では、従来の製造プロセスを経たものと比較して、レーザの閾値に関して10%程度もの低減効果が見られる。また、レーザ素子の歩留まりは、従来の製造方法と比較して1.5〜2.0倍程度まで高めることが可能となる。
【0021】
GaN系半導体レーザ素子100の作製方法の特徴的な点は、活性層106以前に形成されるGaN系層のうちで下部コンタクト層103と下部クラッド層104は成長温度が1125℃程度と高く、活性層106以後に形成されるGaN系層のうちで上部クラッド層109と上部コンタクト層110は成長温度が1050℃程度と比較的低く設定されていることである。これは、活性層106を成長する前の下地となる各GaN系層を高温で成長することで結晶性を向上させ、活性層の品質を向上させると共に、活性層成長後は、この活性層に対して熱によるダメージが与えられることを防止するためである。
【0022】
この効果を確認するために、上部コンタクト層110まで成長されたウェハに円形電極を取り付けて電流注入し、裏面側からEL発光を観察したところ、活性層106からの発光強度が強くなっていることが確認された。また、蒸発防止層107まで成長されたウェハを蛍光顕微鏡にて観察したところ、活性層からの発光むらが消え、均一に発光していることが確認された。さらに、蒸発防止層107まで成長されたウェハを使用して活性層のフォトルミネッセンス(PL)測定を行ったところ、1075℃程度の比較的低い温度で下地を成長させた場合に比べてPL強度が2倍程度強くなることが確認された。また、X線によりロッキングカーブを計測したところ、活性層からのX線スペクトルにおけるサテライト・ピークの半値幅が1075℃程度の比較的低い温度で下地を成長させた場合に比べて半分になっていた。このことは、下地層を1125℃程度と高い温度で成長させたことにより活性層の平坦性が向上し、活性層における歪、組成、結晶軸等のバラツキが顕著に減少していることを示している。すなわち、レーザ素子の各GaN系層を成長させた後において、それぞれの層の品質が格段に向上させられている。また、これに伴ってEL発光強度も増大したことから、各GaN系層の品質の向上がレーザ特性の向上に寄与していると考えられる。
【0023】
(実施形態2)
図2の断面図は、図1と類似しているが、実施形態2によるGaN系半導体レーザ素子200を模式的に図解している。
【0024】
本実施形態2は実施形態1と類似しているが、基板としてサファイア基板201が用いられている点で異なっている。これに伴って、図2のレーザ素子の製造プロセスは、図1の場合に比べて一部変更される。まず、サファイア基板201上にバッファ層102を成長させる必要がある。サファイア基板201を約1100℃で高温クリーニングした後、たとえば基板温度600℃の下でHキャリアガス、TMG、およびNHを導入して、たとえば厚さ0.03μmのバッファ層102を形成する。この後の各GaN系層103〜110の形成は、実施形態1の場合と同様である。
【0025】
他の変更点としては、p型用電極113の形成に続いて、n型用電極114の形成のために、メサを形成して下部コンタクト層103の一部を露出させる必要がある。すなわち、フォト工程によりp型用電極113やリッジストライプ111を保護できる幅でレジストを塗布し、RIE等のドライエッチング法でn型GaN層103の一部を露出させる。下部コンタクト層103の露出部上に、n型用電極114を形成する。この後、実施形態1と同様にチップ分割して、図2のレーザ素子が得られる。
【0026】
サファイア基板上に形成されるレーザ素子では、下部コンタクト層103や下部クラッド層104を高温成長させた効果がGaN系基板を用いる場合に比べて弱いが、レーザ素子中の各GaN系層の品質改善自体は観察される。したがって、実施形態1と同様に、本実施形態2においてもレーザ素子の特性改善と歩留まり向上に効果がある。
【0027】
(実施形態3)
図3は図1と類似しているが、実施形態3によるGaN系半導体レーザ素子300を模式的に図解している。
【0028】
本実施形態3は実施形態1に類似しているが、基板としてn型Al0.1Ga0.9N基板301が用いられている点で異なっている。基板301がn型Al0.1Ga0.9N下部クラッド層104と同様の格子定数をもっていることにより、下部クラッド層104にクラックが入って素子歩留まりが低下する危険性を小さくすることができる。
【0029】
実施形態1に比べて本実施形態3に特徴的な他の点は、下部クラッド層104が下部コンタクト層103を兼ねている点である。基板301がAlを含んでいるので、格子定数の異なるn型GaN層を個別に下部コンタクト層103として成長させる必要がなくなり、製造工程の減少によりコストが低下し得る。またこれに伴って、数μmもの厚さのGaN下部コンタクト層とAlGaN下部クラッド層との格子定数の違いによる歪を回避でき、レーザ素子の特性バラツキをより低下させる効果が期待できる。
【0030】
本実施形態3では、活性層106の形成前に成長されるGaN系層のほとんどがAlを含んだ層であり、高温成長で結晶性を改善する効果が高まりやすい。したがって、本実施形態3で得られるGaN系レーザ素子300の特性は、実施形態1で述べたものと同等以上となることが期待できる。
【0031】
(実施形態4)
実施形態4のレーザ素子の断面構造としては、図1を流用参照することができる。本実施形態4が実施形態1と異なっている点は、上部クラッド層109としてMgドープp型In0.03Ga0.82Al0.15N層が用いられていることである。下部コンタクト層103や下部クラッド層104の品質を高温成長により向上させ、Inを含む上部クラッド層109はそれより低い温度で成長させることで、その上部クラッド層109の品質をも向上させることができる。そのような化合物の上部クラッド層109を使用すれば、その格子定数を活性層106や他のGaN系層と同様にすることができるので、ウエハ面内のばらついた歪やクラック発生などによる素子歩留まり低下を防止することが可能となる。なお、p型In0.03Ga0.82Al0.15N上部クラッド層109の組成比としてはこれに限られるものではなく、光閉じ込めが行える組成範囲内であればよい。
【0032】
本実施形態4によるGaN系半導体レーザ素子の製法においても、実施形態1の場合と同等の効果が期待できる。
【0033】
(実施形態5)
実施形態5によるレーザ素子の断面構造としても、図1を流用参照することができる。本実施形態5も実施形態1に類似しているが、GaN系半導体レーザ素子の活性層106中のNがPで一部置換されている点で異なっている。このような活性層106を形成するためには、その活性層の成長時にPHをも導入すればよい。このようにPを添加したGaN系化合物半導体層では品質の低下が起こりやすく、活性層より下のGaN系層をできる限り品質よく成長させることが不可欠である。また、同様の理由から、活性層106より上のGaN系層についても、活性層の品質が低下するのを防止するために、成長温度を下げる必要がある。すなわち、Pを含む活性層106を使用する場合、本発明の製造方法の効果がより顕著に得られることが期待できる。また、同様の理由から、Pの代わりにAsを使用した場合でも、本発明の製造方法の効果は同様であると考えられる。
【0034】
本実施形態5によるGaN系半導体レーザ素子の製造方法でも、実施形態1の場合と同等の効果が期待される。
【0035】
(実施形態6)
図4の断面図は、実施形態6によるGaN系発光素子600を模式的に図解している。
【0036】
本実施形態6に特徴的な一つ目の点は、実施形態1における下部コンタクト層103、下部クラッド層104、および下部ガイド層105の代わりにSiドープn型GaN下部電流注入層202が形成され、実施形態1における上部ガイド層108、上部クラッド層109、および上部コンタクト層110の代わりにMgドープp型GaN上部電流注入層204が形成されて、LED(発光ダイオード)構造が構成されることである。下部電流注入層202と上部電流注入層204の厚みは、それぞれ0.4〜5μm(たとえば3μm)と0.05〜1μm(たとえば0.1μm)に設定すればよい。
【0037】
本実施形態6に特徴的な二つ目の点は、活性層106が、波長約460nmで発光し得るように組成が制御されることである。また、活性層106中の井戸層として、たとえば5層が形成される。LED構造の場合、井戸層の数は1〜6層の範囲から選択すればよい。
【0038】
本実施形態6に特徴的な三つ目の点は、LEDにおいてはLD(レーザダイオード)の場合のように光閉じ込めの必要性と電流を狭窄する必要性とがないので、リッジストライプ111や誘電体膜112が形成されないことである。したがって、上部電流注入層204上に直接にp型用電極113を形成すればよい。この時、ウエハ上において各LED素子のp型用電極113が互いに分離されるように形成すれば、後のチップテスト等の際に便利である。
【0039】
本実施形態6に特徴的な四つ目の点は、光を取り出すためにメサが形成されていることである。メサの形成は実施形態2の場合と同様に行えばよく、n型用電極114は部分的に露出された下部クラッド層104上に形成すればよい。
【0040】
図4のような構造においても、活性層106の品質を向上させるために、その活性層より下のGaN系層202を高温で成長させ、その結果として活性層106の品質向上を図ることができるのは実施形態1の場合と同様である。このことは、活性層106より上のGaN系層107、209を成長させる場合についても同様である。
【0041】
本実施形態6によるGaN系発光素子でも、実施形態1の場合と同等の効果が期待できる。
【0042】
以上のように本発明における種々の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。たとえば、本明細書では半導体レーザ素子のストライプ状導波路構造をリッジストライプ構造として説明したが、電極ストライプ構造、セルフ・アラインド・ストラクチャ(SAS)構造を始めとして、チャネルド・サブストレイト・プレイナ(CSP)構造など、他の構造としても本発明の本質にかかわるものではなく、上述と同様の効果が得られる。
【0043】
また、各実施形態で述べた製造方法、素子に使用される各層の材質や構成等は、本願明細書において以下のよう変更されてもよい。
【0044】
まず、活性層が成長される前の各GaN系層の成長温度T1は1100℃≦T1≦1200℃の範囲にあれば好ましく、活性層が成長された以後の各GaN系層の成長温度T2は1000℃≦T2<1100℃の範囲にあれば好ましい。T1が1100℃未満の温度であれば、蛍光顕微鏡像において活性層からと思われる発光むらが見られる場合があり、逆にT1が1200℃より高い温度であれば、活性層成長温度との差が大きくなりすぎて活性層のEL発光強度が下がることがある。またT2が1000℃より低い温度であれば、その温度で成長させられるGaN系層自身の結晶性が悪くなり過ぎることがあり、逆にT2が1100℃以上であれば、活性層に熱によるダメージが入る可能性が高い。なお、活性層の前に成長される各層の成長温度および活性層の後に成長される各層の成長温度は、それぞれ上記の範囲内で変更可能である。特に、もっとも厚い下部コンタクト層103ができるだけ高温で成長されれば、最も効果的である。また、活性層の成長温度は、活性層中に取り込まれるInの濃度を制御する必要性から、800℃以下とすることが好ましい。
【0045】
下部クラッド層104、下部ガイド層105、蒸発防止層107、上部ガイド層108、および上部クラッド層109のそれぞれの組成と厚さは、レーザ発振が可能な範囲内で自由に設計可能である。具体的には、下部クラッド層104が厚さ0.4〜4μmの範囲内で、上部クラッド層109が厚さ0.4〜1μmの範囲内で設計し得る。下部クラッド層104と上部クラッド層109が光閉じ込めの役割を果たすためには、それぞれの厚さが約0.4μm程度は必要である。他方、クラッド層がAlを含む材料であれば抵抗率が大きくなる傾向にあり、特にp型クラッド層の場合にそれが顕著である。したがって、レーザ素子の動作電圧を考慮すれば、下部クラッド層104は4μm程度以下で、上部クラッド層は1μm程度以下に厚さを抑えることが望ましい。なお、下部クラッド層104または上部クラッド層109の少なくとも一方は、組成の異なるGaN系半導体の多層膜として同様の機能を有するように形成してもよい。
【0046】
次に、下部コンタクト層103は、表面モフォロジを改善するなどの機能を発揮し、後に積層される各GaN系層の結晶性を向上させる上で最も大事な層の一つである。このような機能を有するようにするためには、下部コンタクト層103の厚みが、望ましくは2μm以上とされる。一方、この層を厚くする場合、プロセス時間の増大により生産性が低下するので、その厚みは5μm程度以下とすることが好ましい。
【0047】
誘電体膜112として、酸化物、窒化物、金属間化合物、ドーピングされていない半導体、絶縁体、または抵抗率の大きい物質を用いてもよい。また、p型用電極113の材料としてはPd/Pt/Au、Pd/Au、またはNi/Au等でもよく、n型用電極114の材料としてはHf/Al、Ti/Mo、またはHf/Au等でもよい。
【0048】
さらに、チップ分割のためにウエハの厚みを調整する場合、その厚みが50〜160μmの範囲内に納まっていれば、ハンドリングの容易性を失うことなく分割し得る。レーザ共振器長も500μmに限定されるものではなく、適宜に変更可能である。GaN系半導体発光素子に含まれるGaN系層の数は、望まれる場合にはさらに増やしたり減らしたりしてもよい。
【0049】
また、上述の実施形態ではGaN系半導体発光素子の基板としてn型GaN、n型Al0.1Ga0.8N、およびサファイアの基板を用いているが、これ以外にもInを加えたりAlの組成比を変化させたGaN系基板を用いてもよい。あるいは、これらの基礎基板上にGaN系半導体層が成長させられた基板、またはそのGaN系半導体層を成長させた後に基礎基板を除去したGaN系半導体層のみの基板を用いてもよい。さらに、上述の各実施形態において、発光素子構造を形成する各半導体層の導電型を逆にしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
上述のように、この発明によれば、活性層を成長させる以前の下部コンタクト層や下部クラッド層を高温で成長させることでそれぞれの層の品質向上をはかることができる。また、品質の向上した層の上に活性層を成長させた以後の上部クラッド層や上部コンタクト層を比較的低温で成長させることにより、活性層自身の品質向上をはかることが可能となる。このことから、レーザ素子の信頼性の向上と歩留まりの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1によるGaN系半導体レーザ素子の層構造を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の実施形態2によるGaN系半導体レーザ素子の模式的な断面図である。
【図3】本発明の実施形態3によるGaN系半導体レーザ素子の模式的な断面図である。
【図4】本発明の実施形態6によるGaN系半導体発光ダイオード素子の模式的な断面図である。
【図5】従来技術に基づくGaN系半導体レーザ素子の模式的な断面図である。
【符号の説明】
100、200、300、700 GaN系半導体レーザ素子、600 GaN系発光ダイオード素子、101、701 n型GaN基板、201 サファイア基板、301 Al0.1Ga0.9N基板、102 バッファ層、103、703下部コンタクト層、104、704 下部クラッド層、105、705 下部ガイド層、106、706 活性層、107、707 蒸発防止層、108、708 上部ガイド層、109、709 上部クラッド層、110、710 上部コンタクト層、111、711 リッジストライプ、112、712 誘電体膜、113、713 p型用電極、114、714 n型用電極。

Claims (8)

  1. 基板上において、0.4〜5μmの範囲内の厚さを有するn型GaN系半導体層と、活性層と、0.05〜1μmの範囲内の厚さを有するp型GaN系半導体層とをこの順に形成する工程を含み、前記n型GaN系半導体層が1100℃以上の基板温度で気相成長させられ、かつ前記p型GaN系半導体層が1100℃未満の基板温度で気相成長させられることを特徴とするGaN系半導体発光素子の製造方法。
  2. 基板上において、下部コンタクト層、下部クラッド層、活性層、上部クラッド層、および上部コンタクト層を順次にGaN系半導体で形成する工程を含み、前記下部コンタクト層と前記下部クラッド層との少なくとも一方が1100℃以上の基板温度で気相成長させられ、かつ前記上部クラッド層と前記上部コンタクト層との少なくとも一方が1100℃未満の基板温度で気相成長させられることを特徴とするGaN系半導体発光素子の製造方法。
  3. 前記下部コンタクト層は2μm以上で5μm以下の範囲内の厚さを有することを特徴とする請求項2に記載のGaN系発光素子の製造方法。
  4. 前記活性層は800℃以下の基板温度で形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のGaN系半導体発光素子の製造方法。
  5. 前記基板はGaN系半導体とサファイアとのいずれかからなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のGaN系半導体発光素子の製造方法。
  6. 前記活性層はInGa1−xN(0≦x≦1)からなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のGaN系半導体発光素子の製造方法。
  7. 前記活性層は燐またはヒ素を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のGaN系半導体発光素子の製造方法。
  8. GaN系半導体基板上において、2.0〜5.0μmの範囲内の厚さを有するn型下部コンタクト層、0.4〜4.0μmの範囲内の厚さを有するn型下部クラッド層、InGa1−xN(0≦x≦1)活性層、および0.4〜1.0μmの範囲内の厚さを有するp型上部クラッド層とを順次気相成長させる工程を含み、前記下部コンタクト層と前記下部クラッド層が前記上部クラッド層に比べて高い基板温度で成長させられ、かつ前記活性層が前記上部クラッド層に比べて低い基板温度で成長させられることを特徴とするGaN系半導体発光素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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