JP2004071918A - 基板用化学機械研磨加工具およびその成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリコンベアウエハの乾式研磨に用いる研磨速度が速い、研磨加工具の提供。
【解決手段】耐熱温度が600℃以上と高い結合材(例えば、平均重合度50〜400、平均粒径5〜150μmの結晶セルロ−ス)、シリコン基板のモ−ス硬度と同等、またはそれより低いモ−ス硬度を有する砥粒(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム)、融点が60〜400℃の研磨促進剤(例えば、塩素化イソシアヌル酸、塩化アンモニウム)および中空粒子(気孔率調整剤)を含有する混合物を型内に充填し、100〜1,000kgf/cm2の圧力で該混合物を常温で加圧して化学機械研磨加工具を賦型する。シリコン基板研磨時、促進剤も基板と化学反応し、研磨速度が向上する。
【選択図】 なし
【解決手段】耐熱温度が600℃以上と高い結合材(例えば、平均重合度50〜400、平均粒径5〜150μmの結晶セルロ−ス)、シリコン基板のモ−ス硬度と同等、またはそれより低いモ−ス硬度を有する砥粒(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム)、融点が60〜400℃の研磨促進剤(例えば、塩素化イソシアヌル酸、塩化アンモニウム)および中空粒子(気孔率調整剤)を含有する混合物を型内に充填し、100〜1,000kgf/cm2の圧力で該混合物を常温で加圧して化学機械研磨加工具を賦型する。シリコン基板研磨時、促進剤も基板と化学反応し、研磨速度が向上する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体シリコン基板、シリコンベアウエハ、窒化珪素基板、GaAs基板、LiTaO3基板、AlTiC基板等の基板表面を乾式(遊離砥粒である研磨剤スラリ−を用いない)で研磨するのに用いる化学機械研磨加工具およびその成型方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インゴットをスライスして得られたシリコン基板やGaAs基板等の基板(ウエハ)の両面を研削加工し、必要によりラップ加工し、この加工面に研磨剤スラリ−を供給しつつ、研磨パッドを基板の研削加工面に押圧し、基板と研磨パッドの両者または一方を回転させて摺動することにより基板表面を鏡面に研磨加工することは行なわれている。また、半導体基板の裏面シリコン板を研削、研磨して鏡面化、または薄膜化することも行なわれている。
【0003】
これら基板表面ないし裏面を研磨する方法は、大量の研磨剤スラリ−を用いるので、砥粒を砥石やパッドに固定した研磨加工具を用い、研磨剤スラリ−を用いることなく乾式で基板を研磨する方法が提案されている(1998年度精密工学秋季大会講演論文集191頁)。
【0004】
前記乾式の研磨加工具として、特開平9−1461号公報は、粒径が1μm以下の細かい砥粒40部を水60部に加え、この液100部にアルギン酸ソ−ダ1.5部を加えて分散した水和層に、塩化カルシウム水溶液(電解質液)20部を加えて凝固させたパン素地状の凝固体をカッタ−で切断して研磨加工具を作成し、この切断された研磨加工具を環状の硬質アルミニウム基台上に間隔を置いて多数、環状に並べて貼付したカップ型研磨砥石を提案する。
このパン素地状の凝固体よりなる研磨加工具は、バインダ−の強度が弱く、実用的でない。
【0005】
また、乾式の研磨加工具として、「砥粒加工学会誌 Vol.44 No.10 2000年10月号433−436頁」は、シリカ、酸化ニッケル、炭酸バリウム、硫酸バリウム等の微細粒子に保護コロイドとなるアルギン酸ソ−ダを結合剤として用い、10Vの印加電圧、通電時間30分の条件の電気泳動法により電極面に凝集させ、電極を引き抜いたちくわ状の凝集体を電極長手方向に輪状に切断し、これを乾燥させて得た電気泳動研磨加工具(EPD研磨加工具)を円盤状の硬質基台上に間隔を置いて多数、環状に並べて貼付したカップ型EPD砥石を提案する。
【0006】
これらのEPD研磨加工具は、ちくわ(リング)形状のため、基板の削り屑がちくわ状EPD研磨加工具の中央部空間に集積し、逃げ場がない故、基板の研磨時に基板に傷を発生させるという致命的欠陥がある。
【0007】
砥粒の結合材として、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の液状樹脂を用いて強度を高めた研磨加工具が提案された(特開2000−190228号、特開2000−198073号、特開2000−233375号、特開2000−237962号、特開2001−129764号)。
【0008】
例えば、特開2000−198073号公報は、シリカ、酸化セリウム、アルミナ等の粒径1〜100nmの超微細砥粒を1000個以上凝集させた粒径1〜20μmの凝集砥粒を液状樹脂で結合させた樹脂に対する凝集砥粒の体積比率が15〜70容量%の研磨加工具を、環状の硬質アルミニウム基台上に間隔を置いて多数、環状に並べて貼付したカップ型研磨砥石を提案する。
【0009】
この砥石は、凝集粒子を用いたことにより研磨加工具表面の凹凸が大きくなり、基板と研磨加工具接触部との押圧が高まり、研磨加工能率を向上できるとともに、研磨加工具表面にチップポケットが形成され、砥石目詰まりの現象が抑制されるとともに、凝集粒子と樹脂結合剤との接着力に比較し凝集体を形成している一次粒子の凝集力が弱いので、研磨加工時には砥粒が凝集した二次粒子の一部に崩壊や変形が生じ、一次粒子の状態で基板の研磨に寄与することとなり、研磨速度が高い利点を有する。
【0010】
この乾燥研磨方式に用いられる研磨加工具またはこれを硬質基台に複数間隔を置いて貼付した研磨砥石は、液状樹脂を結合剤として用いているため、砥粒が樹脂膜で被覆され、研磨加工具成型後、そのまま使用しても砥粒が露出していないため基板が研磨されない。よって、研磨加工に先だって研磨加工具表面に砥粒を露出させるために研磨加工具表面を研削する必要がある。
【0011】
これら従来提案されたシリコン基板のモ−ス硬度より低いモ−ス硬度を有する固型砥粒を含有する乾式研磨加工具は、マクロ的にはシリコン基板の条痕跡を消滅させ、鏡面を呈しているシリコン基板を提供するが、ミクロ的にはシリコン基板のモ−ス硬度より低いモ−ス硬度を有する固型砥粒を用いるため、シリコン基板表面のうねりの減少には役にたたず、鏡面研磨加工されたシリコン基板の平坦性向上に欠ける。また、鏡面化されたLiTaO3基板うねりの部分は、研磨加工具に用いられた砥粒がコロイダルシリカでない場合は、無攪乱・無欠陥でないため、エッチングされるとスポット状の欠陥が発生する。
【0012】
結合剤として粉末エポキシ樹脂を用い、このエポキシ結合材と酸化マンガン砥粒とを混合し、この混合物を粉砕後、粉砕物を型内に充填し、型内を−70〜−80kPaの負圧状態に導き、ついで型を圧縮して化学機械研磨砥石を得ることも知られている(特開2001−9731号公報)。
【0013】
このエポキシ樹脂結合材は、400℃近傍で炭化する性質を有し、乾式研磨時において、砥石の結合材が炭化するのを防ぐため、乾式砥石と基板面が接する加工点を350℃以下の温度に冷却する必要がある。加工温度の低下は、ケミカル反応速度を遅くするので、研磨速度が低くなる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、スクラッチ傷を発生しないでシリコン基板、GaAs基板、LiTaO3基板、デバイスウエハなどを乾式で化学機械研磨加工できる研磨加工具を提供するものである。本発明の別の目的は、耐熱性に富んだ化学機械研磨加工具の成型方法を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、固型砥粒(a)、融点が60〜400℃の研磨促進剤(b)および粒径が5〜120μmの中空粒子もしくはマイクロカプセル(c)を耐熱温度が600℃以上の高分子結合材(d)で結合してなる基板用化学機械研磨加工具を提供するものである。
【0016】
研磨促進剤(b)が基板と化学反応を生じ、基板のうねりをより減少させ、無攪乱・無欠陥の鏡面光沢を呈する基板が得られる。中空粒子もしくはマイクロカプセル(c)は、基板の乾式研磨時、乾式砥石にエア−ポケットを発生し易くし、研磨基板にマイクロスクラッチが発生するのを防ぐ。高分子結合材(d)は、耐熱温度が600℃以上であるので、基板の乾式研磨時における基板表面の加工点の温度を従来提案されている乾式砥石を用いるときよりも高くすることができ、研磨速度を向上させることができる。
【0017】
本発明の請求項2は、前記化学機械研磨加工具において、固型砥粒(a)が、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ニッケル、炭酸マンガン、酸化亜鉛、酸化錫、アナタ−ゼ型酸化チタン、酸化珪素、アルミナ、酸化セリウム、酸化マンガンおよびゼオライトより選ばれた砥粒であることを特徴とする。
【0018】
基板のモ−ス硬度より低いモ−ス硬度を有する固型砥粒を用いるためスクラッチ傷のない、かつ、高い光沢鏡面が得られる。
【0019】
本発明の請求項3は、前記化学機械研磨加工具において、研磨促進剤(b)が、塩化アンモニウム、二塩化ヨ−素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、過硫酸アンモニウム、二塩化ヨ−素セシウム、塩素酸ソ−ダ、次亜塩素酸ソ−ダ、塩素酸カリ、次亜塩素酸カリ、炭酸ソ−ダ、炭酸水素ナトリウム、塩化タングステン、塩化錫、塩素化イソシアヌル酸、塩素化イソシアヌル酸金属塩、塩化コリン、テトラメチルアンモニウム・塩酸塩、テトラエチルアンモニウム・塩酸塩、トリメチルモノエチルアンモニウム・塩酸塩、トリメチルモノベンジルアンモニウム・塩酸塩、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、ブロム化ジデシルジメチルアンモニウム、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルアンモニウムブロマイド、塩化デシル、1,3−ジクロロブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドイン、1,3−ジブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドインおよび1−ブロモ−3−クロロ−5,5’−ジメチルヒダンドインより選ばれた化合物であることを特徴とする。
【0020】
砥粒と基板のケミカル反応に平行して、研磨促進剤と基板のケミカル反応が生じ、研磨速度が向上する。
【0021】
本発明の請求項4は、前記基板用化学機械研磨加工具において、中空粒子(c)は、素材が研磨される基板のモ−ス硬度よりも低いモ−ス硬度を有する素材のポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレ−ト、メチルメタクリレ−ト・スチレン共重合体およびメチルメタクリレ−ト・スチレン・α−メチルスチレン共重合体、ジビニルベンゼン・アクリル酸アルキルエステル・スチレン共重合体より選ばれた高分子中空粒子または、アルミナ、カ−ボン、ムライトおよびシラスより選ばれた無機質中空粒子であることを特徴とする。
【0022】
基板の乾式研磨時、摩擦熱や加圧により中空粒子が破壊され、エア−ポケットを形成し研磨屑の避難所となるので、マイクロスクラッチの発生がない。また、打錠成型法により化学機械研磨加工具を製造する際、混合物を加圧圧縮する圧力を小さく設定でき、気孔率の高い化学機械研磨加工具を製造することができる。
【0023】
本発明の請求項5は、前記基板用化学機械研磨加工具において、粒径が5〜120μmの中空粒子(c)は、表面を無機粉体で被覆されている高分子中空粒子であることを特徴とする。
【0024】
化学機械研磨加工具の打錠成型時の混合物を調製するのが容易となり、被覆する無機粉体が砥粒成分であるときは、化学機械研磨加工具に占める砥粒成分の含有率を高めることができる。
【0025】
本発明の請求項6は、前記基板用化学機械研磨加工具において、粒径が5〜120μmのマイクロカプセル(c)は、高分子中空粒子内に液状の研磨助剤を内蔵していることを特徴とする。
【0026】
基板用化学機械研磨加工具内における液状物の分散を高分子マイクロカプセルが可能とする。
【0027】
本発明の請求項7は、前記請求項6の基板用化学機械研磨加工具において、研磨助剤が、パ−フルオロポリエ−テル、ベンゾトリアゾ−ル、 より選ばれた25℃で液状を示す化合物であることを特徴とする。
【0028】
AlTiC基板、デバイスウエハの乾式研磨の際、パ−フルオロポリエ−テルは配線の金属を腐食させ、研磨速度を向上させる。ベンゾトリアゾ−ルは金属保護膜を形成する。
【0029】
本発明の請求項8は、前記の基板用化学機械研磨加工具において、高分子結合材(d)が、平均重合度50〜400、平均粒径5〜150μmの結晶セルロ−スであることを特徴とする。
【0030】
結合材として、結晶セルロ−スのような微粉セルロ−スを用いるので、研磨加工具の耐熱性は600℃を越える。また、結晶セルロ−スに残されていた繊維の絡みにより研磨加工具に気孔が形成され、研磨加工具はエア−ポケットを有するので研磨時に脱落した砥粒や研磨屑の避難場所となり、マイクロスクラッチは発生しない。
【0031】
本発明の請求項9は、砥粒(a)と耐熱温度が600℃以上の高分子結合材(d)を含有する混合物を型内に充填し、常温で加圧成形して化学機械研磨加工具に賦型することを特徴とする化学機械研磨加工具の成型方法を提供するものである。
【0032】
常温で加圧成形して化学機械研磨加工具に賦型するので、砥粒として加熱に安定な金属酸化物の他に、分解温度の低い金属炭酸塩も使用できる。
【0033】
耐熱温度が600℃以上の高分子結合材(例えば、微粉セルロ−ス)と砥粒の混合物を型内に充填し、該混合物を加圧して微分セルロ−スで砥粒を結合させるので、微粉セルロ−スが砥粒表面を被覆しない。よって、成型後に成型物の研削または切断による砥粒の表面出し工程は不用となる。また、微粉セルロ−スは、加圧時に粒子の移行が比較的少ないので、加工具に気孔(エア−ポケット)を形成する。
【0034】
本発明の請求項10は、平均重合度50〜400、平均粒径5〜150μmの結晶セルロ−ス(d) 5〜50重量%、基板のモ−ス硬度と同等、またはそれより低いモ−ス硬度を有する砥粒(a) 88.5〜49重量%、融点が60〜400℃の研磨促進剤(b) 0.5〜10重量%、および粒径が5〜120μmの中空粒子もしくはマイクロカプセル(c) 0.2〜1重量%を含有する混合物を型内に充填し、100〜1,000kgf/cm2の圧力で該混合物を常温で加圧して化学機械研磨加工具に賦型することを特徴とする化学機械研磨加工具の成型方法を提供するものである。
【0035】
研磨促進剤(b)を配合することにより、研磨速度を1.2〜1.5倍向上できる。また、粒径が5〜120μmの中空粒子もしくはマイクロカプセル(c)を0.2〜1重量%(5〜20Vol%)混合物に含有させているので、化学機械研磨加工具にエア−ポケットを発生し易くしている。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は、化学機械研磨加工具を底部に備えた研磨砥石の斜視図、図2は研磨装置の断面図、および図3は繊維状結晶セルロ−スの顕微鏡写真である。
【0037】
図1において、1は研磨砥石、2は本発明の化学機械研磨加工具、3は硬質基台で、その底部に化学機械研磨加工具2を複数リング状に固着している。
化学機械研磨加工具2は、固型砥粒、耐熱温度が600℃以上の高分子結合材を必須成分とし、必要により融点もしくは分解温度が60〜400℃の研磨促進剤、中空粒子またはマイクロカプセルを配合した混合物を、型内に充填し、次いで、常温で圧縮成形(打錠剤成型)して得られる基板用化学機械研磨加工具である。
【0038】
固型砥粒は、研磨される基板のモ−ス硬度と同等、またはそれより低いモ−ス硬度を有する砥粒が使用される。具体的には酸化珪素、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化セリウム、アルミナ、酸化マンガン等の金属酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ニッケル、炭酸マンガン等の金属炭酸塩、ゼオライト等の固型砥粒が単独で、または2種以上混合して使用される。特にIIa金属の炭酸塩が最適である。
シリコン基板研磨に対する好ましい順序で砥粒を列記すれば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ゼオライト、炭酸バリウム、炭酸ニッケル、炭酸マンガン、酸化錫、アナタ−ゼ型酸化チタン、酸化珪素、酸化亜鉛、アルミナ、酸化セリウムの順である。即ち、炭酸マグネシウムがシリコン基板(モ−ス硬度は約6)に対しては一番早い研磨速度を与える。
炭酸バリウムは、毒性の面から使用は差し控えるのが好ましい。
【0039】
砥粒の粒径は、0.2nm〜10μmが好ましく、二次凝集していてもよい。砥粒のモ−ス硬度が基板のモ−ス硬度と同一、またはそれより低いので基板にスクラッチ傷を付けないので巨大凝集粒子が存在していてもよい。
【0040】
砥粒のモ−ス硬度が基板のモ−ス硬度と同等、またはそれより硬度が低いにもかかわらず、基板の研磨が進行するのは、メカニカルな研磨のみでなく、ケミカルな研磨も行われているものと推測される。
【0041】
研磨促進剤(b)は、20〜30℃の雰囲気で固体を呈し、融点(または熱分解温度)が60〜400℃、好ましくは150〜300℃である塩素基またはブロム基を有する化合物、Ia金属と炭酸基または重炭酸基を有する化合物、アンモニウム基と炭酸基または重炭酸基を有する化合物、塩素酸ソ−ダ、次亜塩素酸ソ−ダ、塩素酸カリ、次亜塩素酸カリ、過硫酸アンモニウムより選ばれた化合物が使用される。
【0042】
塩素基またはブロム基を有する化合物としては、例えば、塩化アンモニウム(融点184℃)、二塩化ヨ−素アンモニウム(融点162℃)、二塩化ヨ−素セシウム(融点229℃)、塩化タングステン(融点275℃)、塩化錫(融点246℃)等の無機塩素化塩、、塩素化イソシアヌル酸、塩素化イソシアヌル酸塩、塩化コリン、テトラメチルアンモニウム・塩酸塩、テトラエチルアンモニウム・塩酸塩、トリメチルモノエチルアンモニウム・塩酸塩、トリメチルモノベンジルアンモニウム・塩酸塩、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、ブロム化ジデシルジメチルアンモニウム、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルアンモニウムブロマイド、塩化デシル(融点68.4℃)、1,3−ジクロロブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドイン、1,3−ジブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドイン及び1−ブロモ−3−クロロ−5,5’−ジメチルヒダンドインなどのハロゲン基含有化合物が挙げられる。
【0043】
研磨促進剤として特に好ましいものは、安価な塩化アンモニウム(塩安)、塩素化イソシアヌル酸およびその塩(Na,K,Mg,Ca)、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ソ−ダ、炭酸水素ナトリウム、塩素酸ソ−ダ、次亜塩素酸ソ−ダ、塩素酸カリ、次亜塩素酸カリ、過硫酸アンモニウムである。塩素化イソシアヌル酸としてはトリクロロイソシアヌル酸(有効塩素含量90.4%、熱分解温度225〜300℃)、ジクロロイソシアヌル酸(有効塩素含量63.5%、熱分解温度240〜250℃)が挙げられる。
【0044】
加工具の保存性をよくするために、熱分解性の研磨促進剤の貯蔵性を向上するハロゲン化ジメチルヒダントインを加工具成分中の0.1〜1重量%の量、研磨促進剤と併用するのが好ましい。ハロゲン化ジメチルヒダントインとしては、1,3−ジクロロブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドイン、1,3−ジブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドイン及び1−ブロモ−3−クロロ−5,5’−ジメチルヒダンドインが挙げられる。
【0045】
結合材として、本発明では耐熱温度が600℃以上の高分子結合材(d)を用いる。具体的には、トレハロ−ス、平均重合度50〜400、平均粒径5〜150μmの結晶セルロ−ス(耐熱性800℃)が化学機械研磨加工具の耐熱性面、弾力性の面から最も好ましい。
従来乾式砥石の結合材として提案されているエポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、レゾ−ル樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の常温硬化性樹脂もしくは加熱硬化型樹脂、ポリビニ−ルアルコ−ル繊維あるいは光重合性アクリル樹脂は、これら硬化物の分解温度もしくは炭化温度が約400℃であり、好ましくない。
【0046】
中空粒子またはマイクロカプセル(c)は、化学機械研磨加工具にエア−ポケットを形成させるのを容易とするため用いる。中空粒子を形成する膜素材は、研磨される基板のモ−ス硬度よりも低いモ−ス硬度を有する素材が用いられる。具体的にはポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレ−ト、メチルメタクリレ−ト・スチレン共重合体およびメチルメタクリレ−ト・スチレン・α−メチルスチレン共重合体、ジビニルベンゼン・アクリル酸アルキルエステル・スチレン共重合体等の高分子中空粒子または、アルミナ、カ−ボン、ムライトおよびシラスより選ばれた無機質中空粒子である。中空殻壁の膜厚は、10〜30μmが一般である。高分子中空粒子は、in situ重合法で形成される。
【0047】
高分子中空粒子(c)は、表面を炭酸カルシウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化チタン等の無機微細粉体で被覆されていてもよい。この無機粉体被覆高分子中空粒子は、例えば、松本油脂製薬株式会社よりマツモトマイクロスフェア−MFL(商標)シリ−ズの100CA、80CA、80GCA、100SCA、30STIのグレ−ド名で入手できる。
【0048】
粒径が5〜120μmのマイクロカプセル(c)は、高分子中空粒子内に液状の研磨助剤、例えば金属腐食剤のパ−フルオロポリエ−テル、保護膜形成剤のベンゾトリアゾ−ルを内蔵していてもよい。
【0049】
結合材(d)の結晶セルロ−スを用い、基板のモ−ス硬度と同等、またはそれより低いモ−ス硬度を有する砥粒(a)を化学機械研磨加工具を打錠法で成型するには、 平均重合度50〜400、平均粒径5〜150μmの結晶セルロ−ス(d) 5〜50重量%、基板のモ−ス硬度と同等、またはそれより低いモ−ス硬度を有する砥粒(a) 88.5〜49重量%、融点が60〜400℃の研磨促進剤(b) 0.5〜10重量%、および粒径が5〜120μmの中空粒子もしくはマイクロカプセル(c) 0.2〜1重量%を含有する混合物を型内に充填し、100〜1,000kgf/cm2、好ましくは200〜800kgf/cm2の圧力で該混合物を常温で加圧して化学機械研磨加工具に賦型する。
【0050】
例えば、型として気体は透過するが固体は透過しない型を用い、粒径0.5〜500μmの微粉セルロ−ス、砥粒、研磨促進剤およびその他の添加物を含む均一混合物を型内に充填し、加熱することなく混合物を加圧して微粉セルロ−ス間の気体を型外へ逸散させつつ混合物を圧縮して厚み5〜30mmの円盤状、楕円板状、方角板状または長尺板状に賦型する。
【0051】
微粉セルロ−ス間および微粉セルロ−スと砥粒間の強固な結合は、微粉セルロ−ス固有の繊維の絡みおよび微粉セルロ−スが含有する水分および大気中の湿気が寄与しているものと推測される。よって、予め、微粉セルロ−スの表面に水を霧吹き(微粉セルロ−スに対し、水量は10重量%以下)した後、砥粒、研磨促進剤等と混合し、型内に充填し、常温で圧縮成型してもよい。
【0052】
必要により、滑剤を混合物組成中、0.05〜1重量%となる割合で配合して微粉セルロ−スの圧縮時の滑りを向上させて成型時間を短縮させてもよい。滑剤としては、酸化モリブテン、硫化モリブテン、ステアリン酸マグウネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、メラミン、尿素、メラミン・イソシアヌレ−ト付加物等が挙げられる。
【0053】
型は、雌型(固定型)と昇降高さを調整できる雄型(移動型)よりなる圧縮金型が使用される(例えば、特開2001−9731号)。雌型と雄型から形成されるキャビティ内に充填ガンで、ジェットミルで混合された混合物を充填し、雄型を移動(型締め)させてキャビティ容積を減少させて空気を一部追い出しながら、圧力が100〜1,000kgf/cm2となったところで該圧力を維持した状態で10〜60分間放置して賦型をなし、ついで雄型を移動(型開き)させて成型された加工具を取り出す。
型は、薬錠剤の打錠成型に用いる雌型(移動型)と雄型(移動型)よりなる圧縮金型を使用してもよい。
【0054】
微粉セルロ−スを結合材として砥粒等を結合固定した研磨加工具2は、ポ−ラス構造(気孔)をなす。研磨加工具2表面の砥粒は、微粉セルロ−ス膜に砥粒全体が被覆されることはなく、一部露出している。よって、成型後、一々表面を研削して砥粒表面を出すという常温硬化性樹脂を結合材として用いた研磨加工具のような目出し作業は不要である。
【0055】
結合材として例示した前記の微粉セルロ−スとしては、パルプセルロ−スやコットンリンタ−の粉砕物、平均重合度が50〜400、平均粒径が30〜150μmの結晶セルロ−スが挙げられる。特に、非晶物を除いた結晶セルロ−スが硬度の高い研磨加工具を与えるので好ましい。
【0056】
結晶セルロ−スは、製紙パルプ、溶解パルプ、コットンリンタ−等のセルロ−ス質を鉱酸またはアルカリの作用で加水分解し、パルプの非結晶セルロ−ス領域を溶解除去、ついで洗浄して結晶部分のみを取得し、これを機械粉砕して微結晶のセルロ−ス集合物をほぐし、乾燥することにより製造される(米国特許第2,978,446号、特開平6−316535号)。
重合度は、セルロ−ス分子を構成する基本分子(C6H10O5)の数であり、結晶セルロ−スは加水分解により重合度の異なったセルロ−スの混合物であるので、平均重合度はこれら結晶セルロ−ス混合物の重合度の平均を示す。平均重合度は、INDUSTRIAL AND ENGINEERING CHEMISTRY Vol.42,No.3,頁502〜507(1950年)に記載された銅安溶液粘度法により測定する。
【0057】
このような結晶セルロ−スは、真比重が約1.55、見掛比重が約0.15〜0.3、平均粒径30〜150μmの白色の粉末で、図3に示すように繊維が粉砕された構造を示し、フィブリル状構造を残している。この結晶セルロ−ス1g当りの水飽和度(JIS−K5101に準拠)は2〜3ml/gである。
【0058】
市販の結晶セルロ−スとしては、旭化成株式会社から販売されている結晶セルロ−ス アビセル(登録商標) PH−101、FD−F20(商品名)、セオラス ST−01(商品名)、米国FMC社の結晶セルロ−ス アビセル(登録商標) FD−101、PH−102、PH−103、PH−F20(商品名)等が利用できる。また、結晶セルロ−ス表面がCMCや天然多糖類で被覆されている旭化成株式会社から販売されている結晶セルロ−ス アビセル(登録商標)RC−N30、RC−N81、RC−591、CL−611(商品名)等も利用できる。平均重合度が高いほど加工具の硬度はより高くなる。
【0059】
耐熱温度が600℃以上の結合材である結晶セルロ−ス、トレハロ−スの一部(1〜20重量%)を他の結合材、例えば、カルボキシルメチルセルロ−ス(CMC)、結晶グルコ−ス、結晶フルクト−ス、ポリアルギン酸ソ−ダ等に置き換えてもよい。
【0060】
中空粒子またはマイクロカプセルは、化学機械研磨加工具の気孔率調整のために用いられる。即ち、混合物を圧縮する圧力が低いほど化学機械研磨加工具の気孔率は高いが、化学機械研磨加工具の強度は低くなる。よって、賦型時に用いる加圧圧力に応じて化学機械研磨加工具の気孔率と強度バランスの取れるように中空粒子またはマイクロカプセルを加える。
【0061】
賦型された化学機械研磨加工具は、厚み5〜30mm、好ましくは5〜10mmの円盤状、楕円板状、方角板状または長尺板状である。円盤状物であるときの直径は、5〜30mmが好ましい。
【0062】
この基板用化学機械研磨加工具2の複数を、3〜25mmの間隔を置いて硬質基台3に接着剤あるいは粘着剤を用いて貼付して基板用研磨砥石1を作成する。硬質基台3としては、アルミニウム剛板、ステンレス板、セラミック板、低熱膨張ガラス板等の剛性の高い板が使用できる。硬質基台の形状は円盤状、楕円板状、リング状、角方板状、長尺状板などが挙げられる。
【0063】
研磨装置10は、図2に示すように研磨装置の上側を構成する研磨手段10aと、基板wを固定する下側のチャック機構10bを備える。
基板用研磨砥石1は研磨装置10の上側のスピンドル4に水平方向に回転自在に軸承される。スピンドル4は、モ−タ5の回転力をモ−タ軸5aに固定された滑車5b、プ−リ−5c、スピンドル4に固定された滑車5dを介して伝達する。基板用研磨砥石1を備えるヘッド6は、基台7上に立設した支持枠8の上部に設けたレ−ル9上を滑走するスライド部材10を下面に有する函体11に固定され、紙面に向かって前後方向に移動可能となっている。また、基板用研磨砥石1を備えるヘッド6は、シリンダ22により昇降自在となっている。
【0064】
研磨装置のチャック機構10bは、モ−タ13により回転駆動されるスピンドル14に軸承された吸着板12上に基板wをバキュ−ム吸着させる。吸着板12は樹脂板に孔12aを多数穿孔したものであってもよいし、ポ−ラスセラミック板であってもよい。吸着板12下面にはチャンバ−15が設けられ、三方切替弁16の切り替えで空気、純水が自由に出入りする。チャンバ−15を減圧することにより基板wは吸着板12に固定される。
吸着板12を冷却するためにポンプ17を用いて冷却水を吸着板12側壁の周りに供給する。
【0065】
モ−タ13の駆動力は、クラッチ18を介してスピンドル14に伝達される。純水、空気等の用役の供給管19,19’はロ−タリ−バルブ20,21でスピンドル14内の管に結合される。
【0066】
スピンドル14の回転数は10〜400rpm、スピンドル4の回転数は100〜3000rpm、砥石1の基板wへの押圧は50〜300gf/cm2が適している。基板の研磨時、基板と化学機械研磨加工具との摩擦熱による基板の過加熱を防止するため、加工点に冷却空気や冷却ミストを吹き付けるとよい。
【0067】
【実施例】
実施例1
旭化成株式会社製結晶セルロ−ス粉末 アビセル FD−101(平均重合度175、平均粒径30μm、真比重1.55、見掛比重0.3) 10重量部、塩安 10重量部、松本油脂製薬株式会社の粒径30μmの炭酸カルシウム粉末被覆高分子中空粒子 マツモトマイクロスフェア−MPL−80GCA(商品名) 1重量部および平均粒径60nmの炭酸カルシウム粒子 79重量部を10分かけて混合し、この混合物を相対湿度55%、温度30℃の部屋に30分間放置した。
【0068】
ついで、この混合物を気体は透過するが固体は透過しない株式会社エステックの卓上型単発打錠機の型(温度30℃)のキャビティ内に充填し、雄型をゆっくりと移動させて圧力を叙々に高めてキャビティ内の空気を型外へ逃がした。型締圧力が600kgf/cm2となった時点で雄型の移動を停止し、該圧力下に20分間保ち、賦型を終了した。
雄型を移動することにより型開きし、気孔を有する厚み10mm、直径15mmの円柱状成型体(研磨加工具)を複数得た。
【0069】
これら円柱状成型体の下面周縁部を1ア−ル状丸く研削し、これら成型体複数を厚み5mmアルミニウム製環状リング表面に5mmの等間隔で並べてエポキシ樹脂接着剤で貼付し、アルミニウム製環状リングを円盤状支持板に固定し、カップ型研磨砥石を作成した。
【0070】
300mm径、厚み約600μmの両面が研削加工されたベアシリコンウエハ(Ra 122オングストロ−ム)を株式会社 岡本工作機械製作所の研磨装置SPP801AT(商品名)のチャック機構に減圧吸引して固定し、前記カップ型研磨砥石を軸承したスピンドルを500rpmで回転させながら定寸切り込みの下降をさせ、300gf/cm2の圧で押し当てながら、前記チャック機構の回転数を100rpmで回転(回転方向は逆方向)させつつ、前後方向に20mm幅揺動させる摺動を180秒行ってベアシリコンウエハ表面を研磨した後、カップ型研磨砥石を軸承するスピンドルを上昇させた。
【0071】
チャック機構のスピンドルの回転を停止し、チャック機構のチャンバ−の減圧を停止した後、チャンバ−に圧空を供給し、研磨加工したシリコンウエハを取り外し、スピナ−上に置き、純水で洗浄、ついでスピン乾燥した。
【0072】
研磨速度は1.55μm/分であり、得られた研磨加工シリコンウエハ表面は、ベアウエハの渦巻状研削跡が消滅し、マイクロスクラッチ傷、大スクラッチ傷とも見受けられず、表面粗さRaが14.8オングストロ−ムの鏡面を呈した。
【0073】
実施例2〜9
混合物の組成を表1に変更する他は実施例1と同様にしてカップ型研磨砥石を成形し、シリコンベアウエハを研磨した。得られた研磨加工シリコンウエハ表面は、ベアウエハの渦巻状研削跡が消滅し、マイクロスクラッチ傷、大スクラッチ傷とも見受けられなかった。得られた研磨加工シリコンウエハ表面平均粗さ(Ra)を同表に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
実施例10
旭化成株式会社製結晶セルロ−ス粉末 セオラス ST−01(平均重合度220、平均粒径30μm、真比重1.55、見掛比重0.3) 10重量部、日産化学工業のジクロロイソシアヌル酸Na(商品名はモニナックス) 10重量部および平均粒径60nmの炭酸カルシウム粒子 80重量部を10分間で混合し、この混合物を相対湿度55%、温度25℃の部屋に30分間放置した。
【0076】
ついで、この混合物を気体は透過するが固体は透過しない株式会社エステックの卓上型単発打錠機の型(温度30℃)内に充填し、雄型をゆっくりと移動させて圧力を叙々に高めてキャビティ内の空気を型外へ逃がした。型締圧力が320kgf/cm2となった時点で雄型の移動を停止し、該圧力下に30分間保ち、賦型を終了した。
雄型を移動することにより型開きし、気孔を有する厚み10mm、直径15mmの円柱状成型体(研磨加工具)を複数得た。
【0077】
これら円柱状成型体の下面周縁部を1ア−ル状丸く研削し、これら成型体複数を厚み5mmアルミニウム製環状リング表面に5mmの等間隔で並べてエポキシ樹脂接着剤で貼付し、アルミニウム製環状リングを円盤状支持板に固定し、カップ型研磨砥石を作成した。
【0078】
300mm径、厚み約550μmの両面が研削加工されたベアシリコンウエハ(Ra 106オングストロ−ム)を株式会社 岡本工作機械製作所の研磨装置SPP801AT(商品名)のチャック機構に減圧吸引して固定し、前記カップ型研磨砥石を軸承したスピンドルを500rpmで回転させながら定寸切り込みの下降をさせ、300gf/cm2の圧力で押し当てながら、前記チャック機構の回転数を100rpmで回転(回転方向は逆方向)させつつ、前後方向に20mm幅揺動させる摺動を180秒行ってベアシリコンウエハ表面を研磨した後、カップ型研磨砥石を軸承するスピンドルを上昇させた。
【0079】
チャック機構のスピンドルの回転を停止し、チャック機構のチャンバ−の減圧を停止した後、チャンバ−に圧空を供給し、研磨加工したシリコンウエハを取り外し、スピナ−上に置き、純水で洗浄、ついでスピン乾燥した。
【0080】
研磨速度は1.48μm/分であり、得られた研磨加工シリコンウエハ表面は、ベアウエハの渦巻状研削跡が消滅し、マイクロスクラッチ傷、大スクラッチ傷とも見受けられず、表面粗さRaが17.6オングストロ−ムの鏡面を呈した。
【0081】
実施例11〜22
混合物の組成を表2に変更する他は実施例10と同様にしてカップ型研磨砥石を成形し、シリコンベアウエハを研磨した。得られた研磨加工シリコンウエハ表面は、ベアウエハの渦巻状研削跡が消滅し、マイクロスクラッチ傷、大スクラッチ傷とも見受けられなかった。得られた研磨加工シリコンウエハ表面平均粗さ(Ra)を同表に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
参考例
300mm径、厚み約550μmのベアシリコンウエハを株式会社 岡本工作機械製作所の研磨装置SPP801ATの基板キャリアに減圧吸引して固定し、ロデ−ルの研磨布”SUBA#800(商品名)を表面に貼った研磨プラテンに300gf/cm2の圧で押し当てながら、かつ、研磨布表面にデュポン株式会社のシリコン研磨剤スラリ− MAZIN(登録商標)SRS3(商品名)を200cc/分の量供給しつつ、前記キャリアの回転数を60rpm、研磨プラテンの回転数を60rpmで回転(回転方向は逆方向)させ、300秒摺動させることによりシリコンウエハ表面を研磨した。
研磨速度は0.74μm/分であり、得られた研磨加工シリコンウエハ表面にはマイクロスクラッチ傷、大スクラッチ傷とも見受けられなかった。表面粗さRaは、39.2オングストロ−ムであった。
【0084】
【発明の効果】
本発明の打錠成形方法で成形された基板用化学機械研磨加工具は、研磨促進剤が化学反応促進剤として基板研磨時作用し、研磨速度を向上させるとともに、基板のうねりを低減させ、スクラッチ傷のない、高い鏡面光沢を有する加工シリコン基板を与える。
また、研磨剤スラリ−を用いないで基板を乾式研磨できるので、排水処理コストが低減でき、消耗材の消費量も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨加工具の斜視図である。
【図2】研磨装置の正面図である。
【図3】結晶セルロ−スの顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 研磨砥石
w 基板
2 化学機械研磨加工具
3 硬質基台
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体シリコン基板、シリコンベアウエハ、窒化珪素基板、GaAs基板、LiTaO3基板、AlTiC基板等の基板表面を乾式(遊離砥粒である研磨剤スラリ−を用いない)で研磨するのに用いる化学機械研磨加工具およびその成型方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インゴットをスライスして得られたシリコン基板やGaAs基板等の基板(ウエハ)の両面を研削加工し、必要によりラップ加工し、この加工面に研磨剤スラリ−を供給しつつ、研磨パッドを基板の研削加工面に押圧し、基板と研磨パッドの両者または一方を回転させて摺動することにより基板表面を鏡面に研磨加工することは行なわれている。また、半導体基板の裏面シリコン板を研削、研磨して鏡面化、または薄膜化することも行なわれている。
【0003】
これら基板表面ないし裏面を研磨する方法は、大量の研磨剤スラリ−を用いるので、砥粒を砥石やパッドに固定した研磨加工具を用い、研磨剤スラリ−を用いることなく乾式で基板を研磨する方法が提案されている(1998年度精密工学秋季大会講演論文集191頁)。
【0004】
前記乾式の研磨加工具として、特開平9−1461号公報は、粒径が1μm以下の細かい砥粒40部を水60部に加え、この液100部にアルギン酸ソ−ダ1.5部を加えて分散した水和層に、塩化カルシウム水溶液(電解質液)20部を加えて凝固させたパン素地状の凝固体をカッタ−で切断して研磨加工具を作成し、この切断された研磨加工具を環状の硬質アルミニウム基台上に間隔を置いて多数、環状に並べて貼付したカップ型研磨砥石を提案する。
このパン素地状の凝固体よりなる研磨加工具は、バインダ−の強度が弱く、実用的でない。
【0005】
また、乾式の研磨加工具として、「砥粒加工学会誌 Vol.44 No.10 2000年10月号433−436頁」は、シリカ、酸化ニッケル、炭酸バリウム、硫酸バリウム等の微細粒子に保護コロイドとなるアルギン酸ソ−ダを結合剤として用い、10Vの印加電圧、通電時間30分の条件の電気泳動法により電極面に凝集させ、電極を引き抜いたちくわ状の凝集体を電極長手方向に輪状に切断し、これを乾燥させて得た電気泳動研磨加工具(EPD研磨加工具)を円盤状の硬質基台上に間隔を置いて多数、環状に並べて貼付したカップ型EPD砥石を提案する。
【0006】
これらのEPD研磨加工具は、ちくわ(リング)形状のため、基板の削り屑がちくわ状EPD研磨加工具の中央部空間に集積し、逃げ場がない故、基板の研磨時に基板に傷を発生させるという致命的欠陥がある。
【0007】
砥粒の結合材として、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の液状樹脂を用いて強度を高めた研磨加工具が提案された(特開2000−190228号、特開2000−198073号、特開2000−233375号、特開2000−237962号、特開2001−129764号)。
【0008】
例えば、特開2000−198073号公報は、シリカ、酸化セリウム、アルミナ等の粒径1〜100nmの超微細砥粒を1000個以上凝集させた粒径1〜20μmの凝集砥粒を液状樹脂で結合させた樹脂に対する凝集砥粒の体積比率が15〜70容量%の研磨加工具を、環状の硬質アルミニウム基台上に間隔を置いて多数、環状に並べて貼付したカップ型研磨砥石を提案する。
【0009】
この砥石は、凝集粒子を用いたことにより研磨加工具表面の凹凸が大きくなり、基板と研磨加工具接触部との押圧が高まり、研磨加工能率を向上できるとともに、研磨加工具表面にチップポケットが形成され、砥石目詰まりの現象が抑制されるとともに、凝集粒子と樹脂結合剤との接着力に比較し凝集体を形成している一次粒子の凝集力が弱いので、研磨加工時には砥粒が凝集した二次粒子の一部に崩壊や変形が生じ、一次粒子の状態で基板の研磨に寄与することとなり、研磨速度が高い利点を有する。
【0010】
この乾燥研磨方式に用いられる研磨加工具またはこれを硬質基台に複数間隔を置いて貼付した研磨砥石は、液状樹脂を結合剤として用いているため、砥粒が樹脂膜で被覆され、研磨加工具成型後、そのまま使用しても砥粒が露出していないため基板が研磨されない。よって、研磨加工に先だって研磨加工具表面に砥粒を露出させるために研磨加工具表面を研削する必要がある。
【0011】
これら従来提案されたシリコン基板のモ−ス硬度より低いモ−ス硬度を有する固型砥粒を含有する乾式研磨加工具は、マクロ的にはシリコン基板の条痕跡を消滅させ、鏡面を呈しているシリコン基板を提供するが、ミクロ的にはシリコン基板のモ−ス硬度より低いモ−ス硬度を有する固型砥粒を用いるため、シリコン基板表面のうねりの減少には役にたたず、鏡面研磨加工されたシリコン基板の平坦性向上に欠ける。また、鏡面化されたLiTaO3基板うねりの部分は、研磨加工具に用いられた砥粒がコロイダルシリカでない場合は、無攪乱・無欠陥でないため、エッチングされるとスポット状の欠陥が発生する。
【0012】
結合剤として粉末エポキシ樹脂を用い、このエポキシ結合材と酸化マンガン砥粒とを混合し、この混合物を粉砕後、粉砕物を型内に充填し、型内を−70〜−80kPaの負圧状態に導き、ついで型を圧縮して化学機械研磨砥石を得ることも知られている(特開2001−9731号公報)。
【0013】
このエポキシ樹脂結合材は、400℃近傍で炭化する性質を有し、乾式研磨時において、砥石の結合材が炭化するのを防ぐため、乾式砥石と基板面が接する加工点を350℃以下の温度に冷却する必要がある。加工温度の低下は、ケミカル反応速度を遅くするので、研磨速度が低くなる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、スクラッチ傷を発生しないでシリコン基板、GaAs基板、LiTaO3基板、デバイスウエハなどを乾式で化学機械研磨加工できる研磨加工具を提供するものである。本発明の別の目的は、耐熱性に富んだ化学機械研磨加工具の成型方法を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、固型砥粒(a)、融点が60〜400℃の研磨促進剤(b)および粒径が5〜120μmの中空粒子もしくはマイクロカプセル(c)を耐熱温度が600℃以上の高分子結合材(d)で結合してなる基板用化学機械研磨加工具を提供するものである。
【0016】
研磨促進剤(b)が基板と化学反応を生じ、基板のうねりをより減少させ、無攪乱・無欠陥の鏡面光沢を呈する基板が得られる。中空粒子もしくはマイクロカプセル(c)は、基板の乾式研磨時、乾式砥石にエア−ポケットを発生し易くし、研磨基板にマイクロスクラッチが発生するのを防ぐ。高分子結合材(d)は、耐熱温度が600℃以上であるので、基板の乾式研磨時における基板表面の加工点の温度を従来提案されている乾式砥石を用いるときよりも高くすることができ、研磨速度を向上させることができる。
【0017】
本発明の請求項2は、前記化学機械研磨加工具において、固型砥粒(a)が、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ニッケル、炭酸マンガン、酸化亜鉛、酸化錫、アナタ−ゼ型酸化チタン、酸化珪素、アルミナ、酸化セリウム、酸化マンガンおよびゼオライトより選ばれた砥粒であることを特徴とする。
【0018】
基板のモ−ス硬度より低いモ−ス硬度を有する固型砥粒を用いるためスクラッチ傷のない、かつ、高い光沢鏡面が得られる。
【0019】
本発明の請求項3は、前記化学機械研磨加工具において、研磨促進剤(b)が、塩化アンモニウム、二塩化ヨ−素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、過硫酸アンモニウム、二塩化ヨ−素セシウム、塩素酸ソ−ダ、次亜塩素酸ソ−ダ、塩素酸カリ、次亜塩素酸カリ、炭酸ソ−ダ、炭酸水素ナトリウム、塩化タングステン、塩化錫、塩素化イソシアヌル酸、塩素化イソシアヌル酸金属塩、塩化コリン、テトラメチルアンモニウム・塩酸塩、テトラエチルアンモニウム・塩酸塩、トリメチルモノエチルアンモニウム・塩酸塩、トリメチルモノベンジルアンモニウム・塩酸塩、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、ブロム化ジデシルジメチルアンモニウム、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルアンモニウムブロマイド、塩化デシル、1,3−ジクロロブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドイン、1,3−ジブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドインおよび1−ブロモ−3−クロロ−5,5’−ジメチルヒダンドインより選ばれた化合物であることを特徴とする。
【0020】
砥粒と基板のケミカル反応に平行して、研磨促進剤と基板のケミカル反応が生じ、研磨速度が向上する。
【0021】
本発明の請求項4は、前記基板用化学機械研磨加工具において、中空粒子(c)は、素材が研磨される基板のモ−ス硬度よりも低いモ−ス硬度を有する素材のポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレ−ト、メチルメタクリレ−ト・スチレン共重合体およびメチルメタクリレ−ト・スチレン・α−メチルスチレン共重合体、ジビニルベンゼン・アクリル酸アルキルエステル・スチレン共重合体より選ばれた高分子中空粒子または、アルミナ、カ−ボン、ムライトおよびシラスより選ばれた無機質中空粒子であることを特徴とする。
【0022】
基板の乾式研磨時、摩擦熱や加圧により中空粒子が破壊され、エア−ポケットを形成し研磨屑の避難所となるので、マイクロスクラッチの発生がない。また、打錠成型法により化学機械研磨加工具を製造する際、混合物を加圧圧縮する圧力を小さく設定でき、気孔率の高い化学機械研磨加工具を製造することができる。
【0023】
本発明の請求項5は、前記基板用化学機械研磨加工具において、粒径が5〜120μmの中空粒子(c)は、表面を無機粉体で被覆されている高分子中空粒子であることを特徴とする。
【0024】
化学機械研磨加工具の打錠成型時の混合物を調製するのが容易となり、被覆する無機粉体が砥粒成分であるときは、化学機械研磨加工具に占める砥粒成分の含有率を高めることができる。
【0025】
本発明の請求項6は、前記基板用化学機械研磨加工具において、粒径が5〜120μmのマイクロカプセル(c)は、高分子中空粒子内に液状の研磨助剤を内蔵していることを特徴とする。
【0026】
基板用化学機械研磨加工具内における液状物の分散を高分子マイクロカプセルが可能とする。
【0027】
本発明の請求項7は、前記請求項6の基板用化学機械研磨加工具において、研磨助剤が、パ−フルオロポリエ−テル、ベンゾトリアゾ−ル、 より選ばれた25℃で液状を示す化合物であることを特徴とする。
【0028】
AlTiC基板、デバイスウエハの乾式研磨の際、パ−フルオロポリエ−テルは配線の金属を腐食させ、研磨速度を向上させる。ベンゾトリアゾ−ルは金属保護膜を形成する。
【0029】
本発明の請求項8は、前記の基板用化学機械研磨加工具において、高分子結合材(d)が、平均重合度50〜400、平均粒径5〜150μmの結晶セルロ−スであることを特徴とする。
【0030】
結合材として、結晶セルロ−スのような微粉セルロ−スを用いるので、研磨加工具の耐熱性は600℃を越える。また、結晶セルロ−スに残されていた繊維の絡みにより研磨加工具に気孔が形成され、研磨加工具はエア−ポケットを有するので研磨時に脱落した砥粒や研磨屑の避難場所となり、マイクロスクラッチは発生しない。
【0031】
本発明の請求項9は、砥粒(a)と耐熱温度が600℃以上の高分子結合材(d)を含有する混合物を型内に充填し、常温で加圧成形して化学機械研磨加工具に賦型することを特徴とする化学機械研磨加工具の成型方法を提供するものである。
【0032】
常温で加圧成形して化学機械研磨加工具に賦型するので、砥粒として加熱に安定な金属酸化物の他に、分解温度の低い金属炭酸塩も使用できる。
【0033】
耐熱温度が600℃以上の高分子結合材(例えば、微粉セルロ−ス)と砥粒の混合物を型内に充填し、該混合物を加圧して微分セルロ−スで砥粒を結合させるので、微粉セルロ−スが砥粒表面を被覆しない。よって、成型後に成型物の研削または切断による砥粒の表面出し工程は不用となる。また、微粉セルロ−スは、加圧時に粒子の移行が比較的少ないので、加工具に気孔(エア−ポケット)を形成する。
【0034】
本発明の請求項10は、平均重合度50〜400、平均粒径5〜150μmの結晶セルロ−ス(d) 5〜50重量%、基板のモ−ス硬度と同等、またはそれより低いモ−ス硬度を有する砥粒(a) 88.5〜49重量%、融点が60〜400℃の研磨促進剤(b) 0.5〜10重量%、および粒径が5〜120μmの中空粒子もしくはマイクロカプセル(c) 0.2〜1重量%を含有する混合物を型内に充填し、100〜1,000kgf/cm2の圧力で該混合物を常温で加圧して化学機械研磨加工具に賦型することを特徴とする化学機械研磨加工具の成型方法を提供するものである。
【0035】
研磨促進剤(b)を配合することにより、研磨速度を1.2〜1.5倍向上できる。また、粒径が5〜120μmの中空粒子もしくはマイクロカプセル(c)を0.2〜1重量%(5〜20Vol%)混合物に含有させているので、化学機械研磨加工具にエア−ポケットを発生し易くしている。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は、化学機械研磨加工具を底部に備えた研磨砥石の斜視図、図2は研磨装置の断面図、および図3は繊維状結晶セルロ−スの顕微鏡写真である。
【0037】
図1において、1は研磨砥石、2は本発明の化学機械研磨加工具、3は硬質基台で、その底部に化学機械研磨加工具2を複数リング状に固着している。
化学機械研磨加工具2は、固型砥粒、耐熱温度が600℃以上の高分子結合材を必須成分とし、必要により融点もしくは分解温度が60〜400℃の研磨促進剤、中空粒子またはマイクロカプセルを配合した混合物を、型内に充填し、次いで、常温で圧縮成形(打錠剤成型)して得られる基板用化学機械研磨加工具である。
【0038】
固型砥粒は、研磨される基板のモ−ス硬度と同等、またはそれより低いモ−ス硬度を有する砥粒が使用される。具体的には酸化珪素、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化セリウム、アルミナ、酸化マンガン等の金属酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ニッケル、炭酸マンガン等の金属炭酸塩、ゼオライト等の固型砥粒が単独で、または2種以上混合して使用される。特にIIa金属の炭酸塩が最適である。
シリコン基板研磨に対する好ましい順序で砥粒を列記すれば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ゼオライト、炭酸バリウム、炭酸ニッケル、炭酸マンガン、酸化錫、アナタ−ゼ型酸化チタン、酸化珪素、酸化亜鉛、アルミナ、酸化セリウムの順である。即ち、炭酸マグネシウムがシリコン基板(モ−ス硬度は約6)に対しては一番早い研磨速度を与える。
炭酸バリウムは、毒性の面から使用は差し控えるのが好ましい。
【0039】
砥粒の粒径は、0.2nm〜10μmが好ましく、二次凝集していてもよい。砥粒のモ−ス硬度が基板のモ−ス硬度と同一、またはそれより低いので基板にスクラッチ傷を付けないので巨大凝集粒子が存在していてもよい。
【0040】
砥粒のモ−ス硬度が基板のモ−ス硬度と同等、またはそれより硬度が低いにもかかわらず、基板の研磨が進行するのは、メカニカルな研磨のみでなく、ケミカルな研磨も行われているものと推測される。
【0041】
研磨促進剤(b)は、20〜30℃の雰囲気で固体を呈し、融点(または熱分解温度)が60〜400℃、好ましくは150〜300℃である塩素基またはブロム基を有する化合物、Ia金属と炭酸基または重炭酸基を有する化合物、アンモニウム基と炭酸基または重炭酸基を有する化合物、塩素酸ソ−ダ、次亜塩素酸ソ−ダ、塩素酸カリ、次亜塩素酸カリ、過硫酸アンモニウムより選ばれた化合物が使用される。
【0042】
塩素基またはブロム基を有する化合物としては、例えば、塩化アンモニウム(融点184℃)、二塩化ヨ−素アンモニウム(融点162℃)、二塩化ヨ−素セシウム(融点229℃)、塩化タングステン(融点275℃)、塩化錫(融点246℃)等の無機塩素化塩、、塩素化イソシアヌル酸、塩素化イソシアヌル酸塩、塩化コリン、テトラメチルアンモニウム・塩酸塩、テトラエチルアンモニウム・塩酸塩、トリメチルモノエチルアンモニウム・塩酸塩、トリメチルモノベンジルアンモニウム・塩酸塩、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、ブロム化ジデシルジメチルアンモニウム、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルアンモニウムブロマイド、塩化デシル(融点68.4℃)、1,3−ジクロロブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドイン、1,3−ジブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドイン及び1−ブロモ−3−クロロ−5,5’−ジメチルヒダンドインなどのハロゲン基含有化合物が挙げられる。
【0043】
研磨促進剤として特に好ましいものは、安価な塩化アンモニウム(塩安)、塩素化イソシアヌル酸およびその塩(Na,K,Mg,Ca)、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ソ−ダ、炭酸水素ナトリウム、塩素酸ソ−ダ、次亜塩素酸ソ−ダ、塩素酸カリ、次亜塩素酸カリ、過硫酸アンモニウムである。塩素化イソシアヌル酸としてはトリクロロイソシアヌル酸(有効塩素含量90.4%、熱分解温度225〜300℃)、ジクロロイソシアヌル酸(有効塩素含量63.5%、熱分解温度240〜250℃)が挙げられる。
【0044】
加工具の保存性をよくするために、熱分解性の研磨促進剤の貯蔵性を向上するハロゲン化ジメチルヒダントインを加工具成分中の0.1〜1重量%の量、研磨促進剤と併用するのが好ましい。ハロゲン化ジメチルヒダントインとしては、1,3−ジクロロブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドイン、1,3−ジブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドイン及び1−ブロモ−3−クロロ−5,5’−ジメチルヒダンドインが挙げられる。
【0045】
結合材として、本発明では耐熱温度が600℃以上の高分子結合材(d)を用いる。具体的には、トレハロ−ス、平均重合度50〜400、平均粒径5〜150μmの結晶セルロ−ス(耐熱性800℃)が化学機械研磨加工具の耐熱性面、弾力性の面から最も好ましい。
従来乾式砥石の結合材として提案されているエポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、レゾ−ル樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の常温硬化性樹脂もしくは加熱硬化型樹脂、ポリビニ−ルアルコ−ル繊維あるいは光重合性アクリル樹脂は、これら硬化物の分解温度もしくは炭化温度が約400℃であり、好ましくない。
【0046】
中空粒子またはマイクロカプセル(c)は、化学機械研磨加工具にエア−ポケットを形成させるのを容易とするため用いる。中空粒子を形成する膜素材は、研磨される基板のモ−ス硬度よりも低いモ−ス硬度を有する素材が用いられる。具体的にはポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレ−ト、メチルメタクリレ−ト・スチレン共重合体およびメチルメタクリレ−ト・スチレン・α−メチルスチレン共重合体、ジビニルベンゼン・アクリル酸アルキルエステル・スチレン共重合体等の高分子中空粒子または、アルミナ、カ−ボン、ムライトおよびシラスより選ばれた無機質中空粒子である。中空殻壁の膜厚は、10〜30μmが一般である。高分子中空粒子は、in situ重合法で形成される。
【0047】
高分子中空粒子(c)は、表面を炭酸カルシウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化チタン等の無機微細粉体で被覆されていてもよい。この無機粉体被覆高分子中空粒子は、例えば、松本油脂製薬株式会社よりマツモトマイクロスフェア−MFL(商標)シリ−ズの100CA、80CA、80GCA、100SCA、30STIのグレ−ド名で入手できる。
【0048】
粒径が5〜120μmのマイクロカプセル(c)は、高分子中空粒子内に液状の研磨助剤、例えば金属腐食剤のパ−フルオロポリエ−テル、保護膜形成剤のベンゾトリアゾ−ルを内蔵していてもよい。
【0049】
結合材(d)の結晶セルロ−スを用い、基板のモ−ス硬度と同等、またはそれより低いモ−ス硬度を有する砥粒(a)を化学機械研磨加工具を打錠法で成型するには、 平均重合度50〜400、平均粒径5〜150μmの結晶セルロ−ス(d) 5〜50重量%、基板のモ−ス硬度と同等、またはそれより低いモ−ス硬度を有する砥粒(a) 88.5〜49重量%、融点が60〜400℃の研磨促進剤(b) 0.5〜10重量%、および粒径が5〜120μmの中空粒子もしくはマイクロカプセル(c) 0.2〜1重量%を含有する混合物を型内に充填し、100〜1,000kgf/cm2、好ましくは200〜800kgf/cm2の圧力で該混合物を常温で加圧して化学機械研磨加工具に賦型する。
【0050】
例えば、型として気体は透過するが固体は透過しない型を用い、粒径0.5〜500μmの微粉セルロ−ス、砥粒、研磨促進剤およびその他の添加物を含む均一混合物を型内に充填し、加熱することなく混合物を加圧して微粉セルロ−ス間の気体を型外へ逸散させつつ混合物を圧縮して厚み5〜30mmの円盤状、楕円板状、方角板状または長尺板状に賦型する。
【0051】
微粉セルロ−ス間および微粉セルロ−スと砥粒間の強固な結合は、微粉セルロ−ス固有の繊維の絡みおよび微粉セルロ−スが含有する水分および大気中の湿気が寄与しているものと推測される。よって、予め、微粉セルロ−スの表面に水を霧吹き(微粉セルロ−スに対し、水量は10重量%以下)した後、砥粒、研磨促進剤等と混合し、型内に充填し、常温で圧縮成型してもよい。
【0052】
必要により、滑剤を混合物組成中、0.05〜1重量%となる割合で配合して微粉セルロ−スの圧縮時の滑りを向上させて成型時間を短縮させてもよい。滑剤としては、酸化モリブテン、硫化モリブテン、ステアリン酸マグウネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、メラミン、尿素、メラミン・イソシアヌレ−ト付加物等が挙げられる。
【0053】
型は、雌型(固定型)と昇降高さを調整できる雄型(移動型)よりなる圧縮金型が使用される(例えば、特開2001−9731号)。雌型と雄型から形成されるキャビティ内に充填ガンで、ジェットミルで混合された混合物を充填し、雄型を移動(型締め)させてキャビティ容積を減少させて空気を一部追い出しながら、圧力が100〜1,000kgf/cm2となったところで該圧力を維持した状態で10〜60分間放置して賦型をなし、ついで雄型を移動(型開き)させて成型された加工具を取り出す。
型は、薬錠剤の打錠成型に用いる雌型(移動型)と雄型(移動型)よりなる圧縮金型を使用してもよい。
【0054】
微粉セルロ−スを結合材として砥粒等を結合固定した研磨加工具2は、ポ−ラス構造(気孔)をなす。研磨加工具2表面の砥粒は、微粉セルロ−ス膜に砥粒全体が被覆されることはなく、一部露出している。よって、成型後、一々表面を研削して砥粒表面を出すという常温硬化性樹脂を結合材として用いた研磨加工具のような目出し作業は不要である。
【0055】
結合材として例示した前記の微粉セルロ−スとしては、パルプセルロ−スやコットンリンタ−の粉砕物、平均重合度が50〜400、平均粒径が30〜150μmの結晶セルロ−スが挙げられる。特に、非晶物を除いた結晶セルロ−スが硬度の高い研磨加工具を与えるので好ましい。
【0056】
結晶セルロ−スは、製紙パルプ、溶解パルプ、コットンリンタ−等のセルロ−ス質を鉱酸またはアルカリの作用で加水分解し、パルプの非結晶セルロ−ス領域を溶解除去、ついで洗浄して結晶部分のみを取得し、これを機械粉砕して微結晶のセルロ−ス集合物をほぐし、乾燥することにより製造される(米国特許第2,978,446号、特開平6−316535号)。
重合度は、セルロ−ス分子を構成する基本分子(C6H10O5)の数であり、結晶セルロ−スは加水分解により重合度の異なったセルロ−スの混合物であるので、平均重合度はこれら結晶セルロ−ス混合物の重合度の平均を示す。平均重合度は、INDUSTRIAL AND ENGINEERING CHEMISTRY Vol.42,No.3,頁502〜507(1950年)に記載された銅安溶液粘度法により測定する。
【0057】
このような結晶セルロ−スは、真比重が約1.55、見掛比重が約0.15〜0.3、平均粒径30〜150μmの白色の粉末で、図3に示すように繊維が粉砕された構造を示し、フィブリル状構造を残している。この結晶セルロ−ス1g当りの水飽和度(JIS−K5101に準拠)は2〜3ml/gである。
【0058】
市販の結晶セルロ−スとしては、旭化成株式会社から販売されている結晶セルロ−ス アビセル(登録商標) PH−101、FD−F20(商品名)、セオラス ST−01(商品名)、米国FMC社の結晶セルロ−ス アビセル(登録商標) FD−101、PH−102、PH−103、PH−F20(商品名)等が利用できる。また、結晶セルロ−ス表面がCMCや天然多糖類で被覆されている旭化成株式会社から販売されている結晶セルロ−ス アビセル(登録商標)RC−N30、RC−N81、RC−591、CL−611(商品名)等も利用できる。平均重合度が高いほど加工具の硬度はより高くなる。
【0059】
耐熱温度が600℃以上の結合材である結晶セルロ−ス、トレハロ−スの一部(1〜20重量%)を他の結合材、例えば、カルボキシルメチルセルロ−ス(CMC)、結晶グルコ−ス、結晶フルクト−ス、ポリアルギン酸ソ−ダ等に置き換えてもよい。
【0060】
中空粒子またはマイクロカプセルは、化学機械研磨加工具の気孔率調整のために用いられる。即ち、混合物を圧縮する圧力が低いほど化学機械研磨加工具の気孔率は高いが、化学機械研磨加工具の強度は低くなる。よって、賦型時に用いる加圧圧力に応じて化学機械研磨加工具の気孔率と強度バランスの取れるように中空粒子またはマイクロカプセルを加える。
【0061】
賦型された化学機械研磨加工具は、厚み5〜30mm、好ましくは5〜10mmの円盤状、楕円板状、方角板状または長尺板状である。円盤状物であるときの直径は、5〜30mmが好ましい。
【0062】
この基板用化学機械研磨加工具2の複数を、3〜25mmの間隔を置いて硬質基台3に接着剤あるいは粘着剤を用いて貼付して基板用研磨砥石1を作成する。硬質基台3としては、アルミニウム剛板、ステンレス板、セラミック板、低熱膨張ガラス板等の剛性の高い板が使用できる。硬質基台の形状は円盤状、楕円板状、リング状、角方板状、長尺状板などが挙げられる。
【0063】
研磨装置10は、図2に示すように研磨装置の上側を構成する研磨手段10aと、基板wを固定する下側のチャック機構10bを備える。
基板用研磨砥石1は研磨装置10の上側のスピンドル4に水平方向に回転自在に軸承される。スピンドル4は、モ−タ5の回転力をモ−タ軸5aに固定された滑車5b、プ−リ−5c、スピンドル4に固定された滑車5dを介して伝達する。基板用研磨砥石1を備えるヘッド6は、基台7上に立設した支持枠8の上部に設けたレ−ル9上を滑走するスライド部材10を下面に有する函体11に固定され、紙面に向かって前後方向に移動可能となっている。また、基板用研磨砥石1を備えるヘッド6は、シリンダ22により昇降自在となっている。
【0064】
研磨装置のチャック機構10bは、モ−タ13により回転駆動されるスピンドル14に軸承された吸着板12上に基板wをバキュ−ム吸着させる。吸着板12は樹脂板に孔12aを多数穿孔したものであってもよいし、ポ−ラスセラミック板であってもよい。吸着板12下面にはチャンバ−15が設けられ、三方切替弁16の切り替えで空気、純水が自由に出入りする。チャンバ−15を減圧することにより基板wは吸着板12に固定される。
吸着板12を冷却するためにポンプ17を用いて冷却水を吸着板12側壁の周りに供給する。
【0065】
モ−タ13の駆動力は、クラッチ18を介してスピンドル14に伝達される。純水、空気等の用役の供給管19,19’はロ−タリ−バルブ20,21でスピンドル14内の管に結合される。
【0066】
スピンドル14の回転数は10〜400rpm、スピンドル4の回転数は100〜3000rpm、砥石1の基板wへの押圧は50〜300gf/cm2が適している。基板の研磨時、基板と化学機械研磨加工具との摩擦熱による基板の過加熱を防止するため、加工点に冷却空気や冷却ミストを吹き付けるとよい。
【0067】
【実施例】
実施例1
旭化成株式会社製結晶セルロ−ス粉末 アビセル FD−101(平均重合度175、平均粒径30μm、真比重1.55、見掛比重0.3) 10重量部、塩安 10重量部、松本油脂製薬株式会社の粒径30μmの炭酸カルシウム粉末被覆高分子中空粒子 マツモトマイクロスフェア−MPL−80GCA(商品名) 1重量部および平均粒径60nmの炭酸カルシウム粒子 79重量部を10分かけて混合し、この混合物を相対湿度55%、温度30℃の部屋に30分間放置した。
【0068】
ついで、この混合物を気体は透過するが固体は透過しない株式会社エステックの卓上型単発打錠機の型(温度30℃)のキャビティ内に充填し、雄型をゆっくりと移動させて圧力を叙々に高めてキャビティ内の空気を型外へ逃がした。型締圧力が600kgf/cm2となった時点で雄型の移動を停止し、該圧力下に20分間保ち、賦型を終了した。
雄型を移動することにより型開きし、気孔を有する厚み10mm、直径15mmの円柱状成型体(研磨加工具)を複数得た。
【0069】
これら円柱状成型体の下面周縁部を1ア−ル状丸く研削し、これら成型体複数を厚み5mmアルミニウム製環状リング表面に5mmの等間隔で並べてエポキシ樹脂接着剤で貼付し、アルミニウム製環状リングを円盤状支持板に固定し、カップ型研磨砥石を作成した。
【0070】
300mm径、厚み約600μmの両面が研削加工されたベアシリコンウエハ(Ra 122オングストロ−ム)を株式会社 岡本工作機械製作所の研磨装置SPP801AT(商品名)のチャック機構に減圧吸引して固定し、前記カップ型研磨砥石を軸承したスピンドルを500rpmで回転させながら定寸切り込みの下降をさせ、300gf/cm2の圧で押し当てながら、前記チャック機構の回転数を100rpmで回転(回転方向は逆方向)させつつ、前後方向に20mm幅揺動させる摺動を180秒行ってベアシリコンウエハ表面を研磨した後、カップ型研磨砥石を軸承するスピンドルを上昇させた。
【0071】
チャック機構のスピンドルの回転を停止し、チャック機構のチャンバ−の減圧を停止した後、チャンバ−に圧空を供給し、研磨加工したシリコンウエハを取り外し、スピナ−上に置き、純水で洗浄、ついでスピン乾燥した。
【0072】
研磨速度は1.55μm/分であり、得られた研磨加工シリコンウエハ表面は、ベアウエハの渦巻状研削跡が消滅し、マイクロスクラッチ傷、大スクラッチ傷とも見受けられず、表面粗さRaが14.8オングストロ−ムの鏡面を呈した。
【0073】
実施例2〜9
混合物の組成を表1に変更する他は実施例1と同様にしてカップ型研磨砥石を成形し、シリコンベアウエハを研磨した。得られた研磨加工シリコンウエハ表面は、ベアウエハの渦巻状研削跡が消滅し、マイクロスクラッチ傷、大スクラッチ傷とも見受けられなかった。得られた研磨加工シリコンウエハ表面平均粗さ(Ra)を同表に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
実施例10
旭化成株式会社製結晶セルロ−ス粉末 セオラス ST−01(平均重合度220、平均粒径30μm、真比重1.55、見掛比重0.3) 10重量部、日産化学工業のジクロロイソシアヌル酸Na(商品名はモニナックス) 10重量部および平均粒径60nmの炭酸カルシウム粒子 80重量部を10分間で混合し、この混合物を相対湿度55%、温度25℃の部屋に30分間放置した。
【0076】
ついで、この混合物を気体は透過するが固体は透過しない株式会社エステックの卓上型単発打錠機の型(温度30℃)内に充填し、雄型をゆっくりと移動させて圧力を叙々に高めてキャビティ内の空気を型外へ逃がした。型締圧力が320kgf/cm2となった時点で雄型の移動を停止し、該圧力下に30分間保ち、賦型を終了した。
雄型を移動することにより型開きし、気孔を有する厚み10mm、直径15mmの円柱状成型体(研磨加工具)を複数得た。
【0077】
これら円柱状成型体の下面周縁部を1ア−ル状丸く研削し、これら成型体複数を厚み5mmアルミニウム製環状リング表面に5mmの等間隔で並べてエポキシ樹脂接着剤で貼付し、アルミニウム製環状リングを円盤状支持板に固定し、カップ型研磨砥石を作成した。
【0078】
300mm径、厚み約550μmの両面が研削加工されたベアシリコンウエハ(Ra 106オングストロ−ム)を株式会社 岡本工作機械製作所の研磨装置SPP801AT(商品名)のチャック機構に減圧吸引して固定し、前記カップ型研磨砥石を軸承したスピンドルを500rpmで回転させながら定寸切り込みの下降をさせ、300gf/cm2の圧力で押し当てながら、前記チャック機構の回転数を100rpmで回転(回転方向は逆方向)させつつ、前後方向に20mm幅揺動させる摺動を180秒行ってベアシリコンウエハ表面を研磨した後、カップ型研磨砥石を軸承するスピンドルを上昇させた。
【0079】
チャック機構のスピンドルの回転を停止し、チャック機構のチャンバ−の減圧を停止した後、チャンバ−に圧空を供給し、研磨加工したシリコンウエハを取り外し、スピナ−上に置き、純水で洗浄、ついでスピン乾燥した。
【0080】
研磨速度は1.48μm/分であり、得られた研磨加工シリコンウエハ表面は、ベアウエハの渦巻状研削跡が消滅し、マイクロスクラッチ傷、大スクラッチ傷とも見受けられず、表面粗さRaが17.6オングストロ−ムの鏡面を呈した。
【0081】
実施例11〜22
混合物の組成を表2に変更する他は実施例10と同様にしてカップ型研磨砥石を成形し、シリコンベアウエハを研磨した。得られた研磨加工シリコンウエハ表面は、ベアウエハの渦巻状研削跡が消滅し、マイクロスクラッチ傷、大スクラッチ傷とも見受けられなかった。得られた研磨加工シリコンウエハ表面平均粗さ(Ra)を同表に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
参考例
300mm径、厚み約550μmのベアシリコンウエハを株式会社 岡本工作機械製作所の研磨装置SPP801ATの基板キャリアに減圧吸引して固定し、ロデ−ルの研磨布”SUBA#800(商品名)を表面に貼った研磨プラテンに300gf/cm2の圧で押し当てながら、かつ、研磨布表面にデュポン株式会社のシリコン研磨剤スラリ− MAZIN(登録商標)SRS3(商品名)を200cc/分の量供給しつつ、前記キャリアの回転数を60rpm、研磨プラテンの回転数を60rpmで回転(回転方向は逆方向)させ、300秒摺動させることによりシリコンウエハ表面を研磨した。
研磨速度は0.74μm/分であり、得られた研磨加工シリコンウエハ表面にはマイクロスクラッチ傷、大スクラッチ傷とも見受けられなかった。表面粗さRaは、39.2オングストロ−ムであった。
【0084】
【発明の効果】
本発明の打錠成形方法で成形された基板用化学機械研磨加工具は、研磨促進剤が化学反応促進剤として基板研磨時作用し、研磨速度を向上させるとともに、基板のうねりを低減させ、スクラッチ傷のない、高い鏡面光沢を有する加工シリコン基板を与える。
また、研磨剤スラリ−を用いないで基板を乾式研磨できるので、排水処理コストが低減でき、消耗材の消費量も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨加工具の斜視図である。
【図2】研磨装置の正面図である。
【図3】結晶セルロ−スの顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 研磨砥石
w 基板
2 化学機械研磨加工具
3 硬質基台
Claims (10)
- 固型砥粒(a)、融点が60〜400℃の研磨促進剤(b)および粒径が5〜120μmの中空粒子もしくはマイクロカプセル(c)を耐熱温度が600℃以上の高分子結合材(d)で結合してなる基板用化学機械研磨加工具。
- 固型砥粒(a)が、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ニッケル、炭酸マンガン、酸化亜鉛、酸化錫、アナタ−ゼ型酸化チタン、酸化珪素、アルミナ、酸化セリウム、酸化マンガンおよびゼオライトより選ばれた砥粒であることを特徴とする、請求項1に記載の基板用化学機械研磨加工具。
- 研磨促進剤(b)が、塩化アンモニウム、二塩化ヨ−素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、過硫酸アンモニウム、二塩化ヨ−素セシウム、塩素酸ソ−ダ、次亜塩素酸ソ−ダ、塩素酸カリ、次亜塩素酸カリ、炭酸ソ−ダ、炭酸水素ナトリウム、塩化タングステン、塩化錫、塩素化イソシアヌル酸、塩素化イソシアヌル酸金属塩、塩化コリン、テトラメチルアンモニウム・塩酸塩、テトラエチルアンモニウム・塩酸塩、トリメチルモノエチルアンモニウム・塩酸塩、トリメチルモノベンジルアンモニウム・塩酸塩、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、ブロム化ジデシルジメチルアンモニウム、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルアンモニウムブロマイド、塩化デシル、1,3−ジクロロブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドイン、1,3−ジブロモ−5,5’−ジメチルヒダンドインおよび1−ブロモ−3−クロロ−5,5’−ジメチルヒダンドインより選ばれた化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の基板用化学機械研磨加工具。
- 中空粒子(c)は、素材が研磨される基板のモ−ス硬度よりも低いモ−ス硬度を有する素材のポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレ−ト、メチルメタクリレ−ト・スチレン共重合体およびメチルメタクリレ−ト・スチレン・α−メチルスチレン共重合体、ジビニルベンゼン・アクリル酸アルキルエステル・スチレン共重合体より選ばれた高分子中空粒子または、アルミナ、カ−ボン、ムライトおよびシラスより選ばれた無機質中空粒子であることを特徴とする、請求項1に記載の基板用化学機械研磨加工具。
- 粒径が5〜120μmの中空粒子(c)は、表面を無機粉体で被覆されている高分子中空粒子であることを特徴とする、請求項4に記載の基板用化学機械研磨加工具。
- 粒径が5〜120μmのマイクロカプセル(c)は、高分子中空粒子内に液状の研磨助剤を内蔵していることを特徴とする、請求項1に記載の基板用化学機械研磨加工具。
- 研磨助剤が、パ−フルオロポリエ−テル、ベンゾトリアゾ−ルより選ばれた25℃で液状を示す化合物であることを特徴とする、請求項6に記載の基板用化学機械研磨加工具。
- 高分子結合材(d)が、平均重合度50〜400、平均粒径5〜150μmの結晶セルロ−スであることを特徴とする、請求項1に記載の基板用化学機械研磨加工具。
- 砥粒(a)と耐熱温度が600℃以上の高分子結合材(d)を含有する混合物を型内に充填し、常温で加圧成形して化学機械研磨加工具に賦型することを特徴とする化学機械研磨加工具の成型方法。
- 平均重合度50〜400、平均粒径5〜150μmの結晶セルロ−ス(d) 5〜50重量%、基板のモ−ス硬度と同等、またはそれより低いモ−ス硬度を有する砥粒(a) 88.5〜49重量%、融点が60〜400℃の研磨促進剤(b) 0.5〜10重量%、および粒径が5〜120μmの中空粒子もしくはマイクロカプセル(c) 0.2〜1重量%を含有する混合物を型内に充填し、100〜1,000kgf/cm2の圧力で該混合物を常温で加圧して化学機械研磨加工具に賦型することを特徴とする化学機械研磨加工具の成型方法。
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JP2006143683A (ja) * | 2004-11-24 | 2006-06-08 | Kaken Pharmaceut Co Ltd | イトラコナゾール経口投与用製剤 |
WO2007114583A1 (en) * | 2006-03-31 | 2007-10-11 | Techno Semichem Co., Ltd. | Chemical mechanical polishing composition for copper comprising zeolite |
CN111662642A (zh) * | 2020-07-13 | 2020-09-15 | 万华化学集团股份有限公司 | 一种蓝宝石抛光组合物及其制备方法 |
CN112980035A (zh) * | 2021-03-01 | 2021-06-18 | 北京国瑞升科技股份有限公司 | 一种高性能抛光膜及其制备方法 |
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2002
- 2002-08-08 JP JP2002230722A patent/JP2004071918A/ja active Pending
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