JP2004071825A - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境への負荷の大きい大量の薬品を消費する粗化工程を行うことなく、生産性よく、作業性よく、低コストで製造し得る多層プリント配線板の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の多層プリント配線板の製造方法は、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)沸点が100℃以上の有機溶剤を必須成分として含有する樹脂組成物を、回路が形成された内層回路基板の両面に、垂直吊り上げ式のロールコーターを用いて塗布し、得られた塗膜を乾燥した後、その乾燥塗膜上に銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型し、加熱硬化する工程を少なくとも経ることを特徴とする
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の多層プリント配線板の製造方法は、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)沸点が100℃以上の有機溶剤を必須成分として含有する樹脂組成物を、回路が形成された内層回路基板の両面に、垂直吊り上げ式のロールコーターを用いて塗布し、得られた塗膜を乾燥した後、その乾燥塗膜上に銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型し、加熱硬化する工程を少なくとも経ることを特徴とする
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多層プリント配線板の製造方法に関し、特に、導体回路層と絶縁層とを交互に積み上げてなるビルドアップ方式の多層プリント配線板を、生産性よく、作業性よく、低コストで製造し得る技術について提案する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多層プリント配線板は、回路が形成された内層回路基板上に、ガラスクロス基材にエポキシ樹脂を含浸して半硬化させたプリプレグシートを1枚以上重ね、さらにその上に銅箔を重ね熱板プレス機にて加熱加圧一体成型するという工程を経て製造されていた。
しかし、ガラスクロスを含むプリプレグシートの使用は、▲1▼.配線板製造のコスト高を招く、▲2▼.ガラスクロスと樹脂との界面で剥離やクラックが生じやすくハンドリングが困難である、▲3▼.剥離やクラックで生じた樹脂の粉によるクリーンルームの汚染を招く、▲4▼.回路層間の厚みがガラスクロスにより規制され多層プリント配線板全体の極薄化も困難である、といった種々の問題があった。
【0003】
これに対し近年、上記問題を解消し得る方法として、層間絶縁層にガラスクロスを用いない、ビルドアップ方式による多層プリント配線板の製造技術が注目されている。
例えば、特開平7−304931号 、特開平7 −304933号公報には、回路が形成された内層回路基板にエポキシ樹脂組成物を塗布し、加熱硬化した後、粗化剤にて表面に凸凹状の粗化面を形成し、導体層をめっきにより形成する多層プリント配線板の製造方法が開示されている。また、特開平11−87927号公報には、回路が形成された内層回路基板にエポキシ樹脂接着シートをラミネートし、加熱硬化した後、粗化剤にて表面に凸凹状の粗化面を形成し、導体層をめっきにより形成する多層プリント配線板の製造方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、これらの製造プロセスではいずれも、導体層と絶縁層との充分な密着性(ピール強度)を得るために、絶縁層表面全体を、N−メチル−2−ピロリドンやN,N−ジメチルホルムアミド、メトキシプロパノール等の有機溶剤、苛性ソーダや苛性カリ等のアルカリ性水溶液等の膨潤液、さらには重クロム酸塩や過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤を用いて粗化する必要性があった。そのため、処理基板の面積に依存するこれら薬剤の消費量は、従来のプリント配線板の製造技術に比べて増大し、依然として配線板製造のコスト高を招く原因となっていた。また、これらの製造方法は、環境への負荷という観点からも好ましくない。
【0005】
また一方で、層間絶縁層としてガラスクロスを用いない製造技術として、多層板用接着シート、あるいは銅箔の片側に接着性の樹脂をコートした樹脂付銅箔を用い、熱板プレス機にて多層プリント配線板を製造する技術が提案されている。しかしながら、かかる製造技術でも、プリプレグと同様にシート状であるがために、剥離やクラックで生じた樹脂の粉によるクリーンルームの汚染等の問題があった。また、シートの厚みが一定であるため層間絶縁層の厚みを任意に調整することができず、異なる厚みのシートを在庫として保管しなければならなかった。さらに、上記製造方法で用いる接着シートや樹脂付銅箔は、通常、水平状態でキャリアフィルムや銅箔に樹脂を連続的に塗布乾燥して作製され、埃の付着を防止するために比較的大規模なクリーンルームと乾燥装置が必要となり、配線板の製造コスト的には非常に不利であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術にかかる上述した問題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、環境への負荷の大きい大量の薬品を消費する粗化工程を行うことなく、生産性よく、作業性よく、低コストで製造し得る多層プリント配線板の製造方法を提供することにある。
【0007】
【問題を解決するための手段】
発明者らは上記目的実現に向け鋭意研究した。その結果、樹脂絶縁層を、垂直吊り上げ式ロールコーターを用いて基板両面に同時に塗布し、乾燥後、銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型することにより、粗化工程を経ることなく、生産性、作業性が良好で、しかも低コストで信頼性に優れた多層プリント配線板を製造し得ることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明にかかる多層プリント配線板の製造方法は、
第1の態様として、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)沸点が100℃以上の有機溶剤を必須成分として含有する樹脂組成物を、回路が形成された内層回路基板の両面に、垂直吊り上げ式のロールコーターを用いて塗布し、得られた塗膜を乾燥した後、その乾燥塗膜上に銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型し、加熱硬化する工程を少なくとも経ることを特徴とする。
第2の態様として、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)沸点が100℃以上の有機溶剤を必須成分として含有する樹脂組成物を、回路が形成された内層回路基板の両面に、垂直吊り上げ式のロールコーターを用いて塗布し、得られた塗膜を乾燥した後、その乾燥塗膜上に銅箔または樹脂付き銅箔を真空フィルムラミネーターで加熱ラミネートして一体成型し、加熱硬化した後、ドリルまたはレーザー加工機にてバイアホール用の穴をあけ、当該穴の部分にめっきを行い内層回路と導通させた後、表層の導体をエッチングしてパターン形成する工程を少なくとも経ることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる多層プリント配線板の製造方法について説明する。
(1)まず、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)沸点が100℃以上の有機溶剤を必須成分として含有する樹脂組成物を、回路が形成された内層回路基板の両面に、例えば図1に示すような垂直吊り上げ式のロールコーターを用いて塗布する。
【0009】
ここで、垂直吊り上げ式ロールコーターを使用する理由は以下の通りである。
▲1▼.垂直式であるので、省スペースでクリーンルームでの占有面積が少ない。
▲2▼.垂直式であるので、水平式に比べ搬送中に基板への埃の付着が極めて少ない。
▲3▼.塗布膜厚の再現性が良好で、ロールの溝形状とサイズを変更することにより塗布膜厚のコントロールが可能である。
▲4▼.両面同時の塗布が容易であり、工程の短縮が可能である。しかも、仕上がった基板の反りが無い。
【0010】
特に本発明の製造方法においては、かかる垂直吊り上げ式ロールコーターを用い、樹脂組成物を基板両面に同時に塗布する点に最大の特徴がある。
これにより、基板両面に同時に塗布され乾燥される塗膜は、乾燥工程における熱履歴が基板表裏で一定になる。つまり、その乾燥塗膜は、真空ラミネーターによる加熱ラミネートや熱板プレス機による加熱加圧時の溶融粘度およびゲル化時間が基板表裏で同じになる。その結果、真空ラミネーターによる加熱ラミネートや熱板プレス機による加熱加圧後の塗膜のピール強度、膜厚、ならびに樹脂のはみ出し量が、基板表裏で一定になる。
一方、基板表裏で熱履歴が異なる場合、例えば、樹脂組成物を基板の一方の面に塗布し乾燥したのち反転し、次いで基板の他方の面にも同様に樹脂組成物を塗布し乾燥する方法では、一方の塗膜が乾燥2回、他方の塗膜が乾燥1回の熱履歴となる。そのため、この基板表裏に銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートしたり熱板プレス機で加熱加圧したりすると、一方の塗膜は熱履歴が長いために加熱ラミネートや加熱加圧時の溶融粘度が高くなり、銅箔表面の凹凸粗面に追随できず、熱履歴の短い他方の塗膜に重畳した銅箔よりもピール強度は低くなる。しかも、熱履歴の長い一方の塗膜は、加熱加圧時の樹脂のはみ出し量が少ないために、熱履歴の短い他方の塗膜よりも膜厚は厚くなるという問題を招く。
このように、本発明によれば、絶縁層の薄膜化が可能でかつ膜厚が自由に設計でき、生産性、作業性が良好で、しかも埃などの付着のない信頼性に優れる多層プリント配線板を低コストで製造することができる。
【0011】
なお、本発明に用いる垂直吊り上げ式のロールコーターは、ロールの少なくとも表層部分が室温でゴム弾性を有する樹脂からなることが好ましい。この理由は、ロールがゴム弾性を有しない樹脂や金属等の場合、内層回路基板が傷ついたり、回路の凹凸に塗膜が追随できず塗布むらが発生する原因になるからである。また、ロール面にはV字状もしくはU字状の溝を設け、かつ溝のピッチ(凸部先端の隙間)は300μm以上であることが好ましい。このようにロール面にV字状もしくはU字状の溝を形成する理由は、1回で塗布できる塗膜の厚みを厚くすることができるからである。また、その溝のピッチを300μm以上とすることで、適切な膜厚に容易にコーティングすることができる。しかし、溝に2000μm以上の隙間があると、溝の凸部先端が鋭角になり、ロールの耐磨耗性、強度の観点から好ましくない。このようにピッチが大きくなるほど1回で塗布できる塗膜の膜厚が厚くなり、ピッチを選ぶことにより仕上がりの膜厚を容易にコントロールすることできる。
【0012】
このような垂直吊り上げ式のロールコーターに用いる樹脂組成物としては、回転式粘度計で測定した、回転数5rpmの粘度と回転数50rpmの粘度との比、いわゆるチキソトロピインデックス(TI値)が1.1以上、好ましくは1.1〜3.0を示す組成物であることが好ましい。この理由は、チキソトロピインデックス(TI値)が1.1より小さいと、垂直吊り上げ式ロールコーターでコーティングした後、乾燥工程まで搬送される際に、樹脂がダレて進行方向前方と後方の膜厚が変わってしまう。一方、このチキソトロピインデックス(TI値)が3.0を超えると、ロールコーターで塗布する際に、ロールコーターのロール面の形状(凹凸状)に基づくスジが発生したり、ときには塗布できなくなるからである。従って、必要に応じてアスベスト、オルベン、ベントン、微紛シリカ等の公知慣用のチキソ化剤を加えることが好ましい。
なお、省スペースと基板への埃の付着防止の観点から、この塗布工程の後に行う乾燥工程も垂直の状態のまま行うことが有効である。
【0013】
また、垂直吊り上げ式のロールコーターに用いる樹脂組成物は、乾燥塗膜の状態、具体的には重量減少法で有機溶剤相当分の90%以上を蒸発(乾燥)させた状態でのゲル化時間が170℃において10秒〜600秒、好ましくは20秒〜300秒の範囲内であることが好ましい。このゲル化時間が存在しないか、もしくは10秒以内の樹脂組成物を用いると、真空ラミネーターを用いた銅箔または樹脂付き銅箔の加熱ラミネートの際に、乾燥塗膜層が溶融せず銅箔の粗面の凹凸に流れ込まず、その結果、充分なピール強度が得られない。一方、前記ゲル化時間が600秒を超えると、加熱ラミネート後に加熱硬化させる際に銅箔の重みにより銅箔がずれ膜厚が偏るおそれがある。しかも、加熱硬化に要する時間が長くなり、経済的でない。
【0014】
また、垂直吊り上げ式のロールコーターに用いる樹脂組成物は、乾燥塗膜の状態、具体的には重量減少法で有機溶剤相当分の90%以上を蒸発(乾燥)させた状態での溶融粘度が100℃では100dPa・s以上、130℃では30000dPa・s以下であることが好ましい。この理由は、100℃において100dPa・s未満であると、真空ラミネーターによる加熱ラミネートの際に、乾燥塗膜が流れすぎて膜厚の確保ができない。一方、130℃において30000dPa・sを超えると、真空ラミネーターによる加熱ラミネートの際に、乾燥塗膜が銅箔粗面の凹凸に流れ込まず、充分なピール強度が得られないからである。
【0015】
さらに、垂直吊り上げ式のロールコーターに用いる樹脂組成物は、その25℃における粘度を10dPa・s〜100dPa・s、好ましくは20dPa・s〜60dPa・sに調整することが好ましい。この理由は、その粘度が10dPa・s未満であると、塗布した樹脂組成物がだれやすく、膜厚も薄くなり絶縁層として使用できない。一方、その粘度が100dPa・sを超えると、ロールコーターで塗布する際に、ロールコーターのロール面の形状(凹凸状)に基づくスジが発生したり、ときには塗布できなくなるからである。
【0016】
(2)次に、前述のようにして基板両面に塗布した塗膜を乾燥する。
ここで、塗膜中の有機溶剤を取り除く、この乾燥工程では、基板は、前記(1)のロールコーターによる塗布工程と同様に、垂直の状態で支持され、塗膜が乾燥されることが好ましい。この理由は、以下の通りである。
▲1▼.垂直式であるので、省スペースでクリーンルームでの占有面積が少ない。
▲2▼.垂直式であるので、水平式に比べ搬送中に基板への埃の付着が極めて少ない。
▲3▼.仕上がった基板の反りが無い。
【0017】
この乾燥工程では、溶剤を充分に揮発させ、かつ乾燥塗膜が好適なゲルタイムを示すように乾燥条件を設定することが望ましい。その条件としては、乾燥温度80℃〜130℃で乾燥時間5分〜60分とすることが好ましい。この理由は、乾燥温度が80℃未満であると溶剤の揮発不足を招き、一方、130℃を超える乾燥温度では、ゲル化時間が消失してしまい真空ラミネーターを用いた加熱ラミネートによる一体成型後の充分なピール強度やはんだ耐熱性が得られない。また、乾燥時間が5分未満であると乾燥不足を招き、一方、60分を超える乾燥時間では、ゲル化時間が消失してしまい真空ラミネーターを用いた加熱ラミネートによる一体成型後の充分なピール強度やはんだ耐熱性が得られないからである。なお、ゲル化時間は、樹脂組成物の一成分である後述するエポキシ樹脂硬化剤の種類や量によってもコントロールできることはいうまでもない。
【0018】
(3)次に、前記(2)で基板上に形成した乾燥塗膜上に、片面もしくは両面に粗面を有する銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型し、次いで、熱風循環式や遠赤外線等の乾燥機を用い、例えば120〜180℃×15〜120分の条件にて加熱硬化する。
この工程では、必要に応じて、真空ラミネーターで銅箔または樹脂付き銅箔を加熱ラミネートした後、加熱硬化前に、熱板プレス機にて塗膜を加熱加圧してレベリング(平坦化)することが好ましい。なお、平坦性が要求されない場合、このレベリングの工程は省くことができる。
これにより、塗布乾燥した塗膜は、真空ラミネーターを用いた加熱ラミネートにより再溶融し、銅箔の粗面に入り込んでそのアンカー効果により強力に接着することで充分なピール強度が得られるようになる。また、塗布乾燥した塗膜の内層回路による凹凸面は、熱板プレス機にて塗膜を加熱加圧レベリングする際に解消され、そのまま硬化するので最終的にはフラットな表面状態の多層板が得られる。
【0019】
ここで、この工程で用いる真空ラミネーターは、基板を1枚づつ処理でき、温度が70℃〜130℃、真空度が5Torr以下で銅箔との隙間をなくし樹脂を溶融させ密着させるものが好ましく、例えば、MEIKI社製MVLP−500やモートン社製VA−720、VA−724、NPVA−1、NPVA−24などがある。また、レベリングさせる熱板プレス機は、真空ラミネーターの処理から引き続き連続的に1枚づつ処理でき、70℃〜130℃で5Kg/cm2〜30kg/cm2の圧力がかけられるものが好ましい。また、この工程で用いる銅箔としては、ジャパンエナジー社製のJTCやJTC−AM、JTC−FM、古河サーキットフォイル社製のGTSやGTS−MP、F3−WSなどの市販の電解銅箔または圧延銅箔を用いることが好ましい。この際、プリプレグや接着シートを介して銅箔を乾燥塗膜に接着することもできる。
なお、加熱ラミネートやレベリングに要する時間は、30秒〜5分、好ましくは30秒〜2分とし、特に連続的に処理できるという点から両方が同じ時間であることが好ましい。この理由は、30秒未満であると、銅箔との密着性とレベリング性が充分ではなく、一方、5分以上であると量産性に乏しいからである。
【0020】
このように、本発明によれば、従来の塗布方法で欠点とされていた塗布後の凹凸面を容易に解消することができると共に、環境への負荷の大きい薬品を多量に消費する粗化工程を行うことなく、真空フィルムラミネーターを用いた加熱ラミネートや熱板プレス機を用いた加熱加圧成型によって、容易に絶縁層と銅箔との充分な密着強度が得られる。
【0021】
(4)さらに本発明の一形態では、上記製造工程で作製した多層板は、公知慣用のドリルまたはCO2やUV−YAG等の半導体レーザー加工機を用いてビアホールなどのための穴をあけ、次いで公知慣用のデスミヤ処理を行い、引き続き無電解銅めっき、電解銅めっきを施すことにより、スルーホール、ベリードビア、またはコンフォーマルビアを形成し、銅箔と内層回路とを導通させる。そしてプリント配線板で用いられている既知のパターンエッチング方法にて、表層の銅箔をエッチングしてパターン形成することにより、所望の多層プリント配線板が得られる。
こうして得られた多層プリント配線板は、さらに(1)〜(4)の工程を繰り返して多層化したり、また、プリプレグや樹脂付銅箔を重ね合せ熱板プレス機を用いて加熱加圧成型をすることにより多層化を行っても構わない。
【0022】
以上説明した本発明にかかる多層プリント配線板の製造方法において、内層基板としては、例えば、プラスチック基板やセラミック基板、金属基板、フィルム基板などを使用することができ、具体的には、ガラスエポキシ基板やガラスポリイミド基板、アルミナ基板、低温焼成セラミック基板、窒化アルミニウム基板、アルミニウム基板、鉄基板、ポリイミドフィルム基板などを使用することができる。
【0023】
本発明において、樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)沸点が100℃以上の有機溶剤を必須成分として含有する。
これらの必須成分のうち(A)成分;エポキシ樹脂は、層間絶縁材としての十分な耐熱性、耐薬品性、電気特性などの諸物性を得るのに必要である。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、又はそれらの臭素原子含有エポキシ樹脂やりん原子含有エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂など公知慣用のものを、単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。また、反応性希釈剤としての単官能エポキシ樹脂を含有していてもよい。
特に本発明の方法では、エポキシ当量が800以上のエポキシ樹脂とエポキシ当量が500以下のエポキシ樹脂を任意に混合することが好ましい。エポキシ当量が800以上のエポキシ樹脂は、硬化収縮が少なく、基材のそり防止と硬化物の柔軟性を与える。また加熱ラミネート時やレベリング時の溶融粘度を高くすることができ、成型後の樹脂染み出し量のコントロールに有効である。一方、エポキシ当量が500以下のエポキシ樹脂は、反応性が高く、硬化物に機械的強度を与える。また、加熱ラミネート時の溶融粘度が低いため、内層回路間の隙間への樹脂組成物の充填性や銅箔の凹凸粗面に対する追随性に寄与する。
【0024】
(B)成分;エポキシ樹脂硬化剤は、市販の酸無水物、アミン化合物、イミダゾール化合物、グアニジン類、またはこれらのエポキシアダクトやマイクロカプセル化したもののほか、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム、テトラフェニルボレート等の有機ホスフィン系化合物など、公知慣用のものを単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
なかでも、イミダゾール化合物は、組成物中の溶剤を乾燥するときの温度域(80℃〜130℃)では反応が緩やかで、硬化時の温度域(150℃〜200℃)では十分に反応を進めることができ、硬化物の物性を充分発現させる点で好ましい。また、イミダゾール化合物は、銅回路および銅箔との密着性に優れている点でも好ましい。特に好ましいものとして具体的には、2−エチル4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、ビス(2−エチル−4−メチル−イミダゾール)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4 ,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、あるいは、トリアジン付加型イミダゾール等がある。
これらのエポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ樹脂(A)の合計量100質量部に対し、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。その配合量が0.05質量部よりも少ないと硬化不足となり、一方、20質量部を超えて配合すると硬化促進効果を増大させることはなく、却って耐熱性や機械強度を損なう問題が生じる。
【0025】
(C)成分;沸点が100℃以上の有機溶剤は、シクロヘキサノンなどのケトン類、メチルセロソルブ、メチルカルビトール、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、および上記グリコールエーテル類の酢酸エステル化物などのエステル類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類、オクタンなどの脂肪族炭化水素、石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤などがある。これらは単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
特に本発明の方法では、沸点が100℃以上の有機溶剤を用いる点が重要である。この理由は、沸点が100℃未満の有機溶剤を使用すると、塗膜乾燥時に溶剤が急激に蒸発し泡の発生原因になる。しかも、ロールコーターで塗布している際に溶剤が揮発しやすく、塗布時の粘度が急激に変化するので好ましくない。
特に好ましいものとしては、エチレングリコールまたはプロピレングリコールの誘導体であり、具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールのモノメチル、モノエチル、モノブチル等のグリコールエーテル類、さらにそれの酢酸エステル化合物が挙げられる。これらの有機溶剤は、プリント配線板製造工場で従来からソルダーレジストの希釈溶剤として多量に使用されており、工場内での溶剤回収、再利用に適しており、臭気の面からも好ましい。
【0026】
このような本発明に用いる樹脂組成物は、さらに必要に応じて熱可塑性樹脂を配合することができる。
この熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリスルフィド、ポリスルフォン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ブチラール樹脂、NBR、フェノキシ樹脂等、公知慣用のものを単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
これらの熱可塑性樹脂は、樹脂組成物中のエポキシ樹脂が硬化した後、均一に分散するか、もしくは相分離するに関わらず、室温の状態では樹脂組成物中に均一に分散または溶解するものが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、コーティング時のはじき防止や転写性の改善に寄与してコーティングの厚膜化に効果があり、また強靭性の付与、柔軟性の付与、硬化収縮の低減による基材のそり防止に効果がある。さらに加熱ラミネート時やレベリング時の溶融粘度を高くすることができ、成型後の樹脂染み出し量のコントロールに有効である。
この熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂100質量部に対して100質量部以下で配合することが好ましい。100質量部を超える量を配合すると、加熱ラミネート時やレベリング時に塗膜の溶融粘度が高くなりすぎたり、組成物の状態で分離を生じる場合がある。
【0027】
本発明に用いる樹脂組成物では、さらに硬化物の密着性、機械的強度、線膨張係数などの特性を向上させる目的で、無機充填材を配合することができる。例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉などの公知慣用の無機充填剤が使用できる。その配合比率は樹脂組成物の0〜90質量%である。
【0028】
本発明に用いる樹脂組成物では、さらに硬化物の機械強度や耐熱性を向上させる目的で、フェノール樹脂を配合することができる。このフェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールA ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok 型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類など公知慣用のものを、単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。このフェノール樹脂は、1エポキシ当量のエポキシ樹脂に対し0〜1.2フェノール性水酸基当量のフェノール樹脂を配合することが望ましい。この範囲を外れると得られるエポキシ樹脂組成物の耐熱性が損なわれる。
【0029】
また、本発明に用いる樹脂組成物は、さらに必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知慣用の着色剤、アスベスト、オルベン、ベントン、微紛シリカ等の公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、チアゾール系、トリアゾール系、シラン系カップリング剤等の密着性付与剤、チタネート系、アルミニウム系カップリング剤等の公知慣用の添加剤類を用いることができる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0031】
(実施例1〜6)
表1に示す配合成分に対し、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、さらに微紛シリカであるアエロジル#972を加えて、3本ロールミルにて混連分散し、粘度40dPa・s±10dPa・s(回転粘度計5rpm、25℃)に調整したエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物のチキソトロピックインデックス(TI値)は、すべて1.2〜2.0の範囲内であった。
得られたエポキシ樹脂組成物をそれぞれ、1000μmの溝ピッチを有するウレタンゴム製ロールを備えた垂直吊り上げ式ロールコーター(ファーネス社製)を用いて、銅箔18μmのガラスエポキシ両面銅張積層板から内層回路を形成した基板の両面に同時に塗布し、次いで110℃で乾燥し、絶縁層となる乾燥塗膜を形成した。
次に、乾燥塗膜を形成した基板の両面に18μm厚のJTC銅箔(ジャパンエナジー社製)を重ね、真空ラミネーター(MEIKI社製、MVLP−500)を用い、5Kgf/cm2、100℃、1分、1torrの条件にて加熱ラミネートし、次いで、熱板プレス機を用い、10Kgf/cm2、100℃、1分の条件にてレベリングした後、熱風循環式乾燥機で170℃×60分の条件にて加熱硬化し、積層板を作成した。
さらに、この積層板の所定のスルーホール、ビアホール部等にドリルまたはレーザーにより穴開けを行い、無電解銅めっきおよび電解銅めっきにより穴を導通させた後、市販のエッチングレジストを介したエッチングによりパターン形成し、多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した多層プリント配線板について、評価した特性値を表2に示す。
【0032】
【表1】
*エピコート828(エポキシ当量;190)、エピコート1001(エポキシ当量470)、エピコート1004(エポキシ当量;950)ジャパンエポキシレジン社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂
*YDB400;東都化成社製の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂
*フェノールノボラック樹脂;明和化成社製
*ブチラール樹脂;積水化学社製
【0033】
【表2】
【0034】
なお、表中の性能試験の方法は以下のとおりである。
(1)乾燥塗膜のゲル化時間
所定の乾燥時間で乾燥した塗膜から樹脂分のみを取り出し、JIS C6521の硬化時間の測定方法で測定した。
(2)ピール強度
JIS C6481に従い測定した。
(3)はんだ耐熱性
288℃±3℃のはんだ層に完成したプリント配線板(10cm×10cm)を10秒間浸漬する。この操作を5回繰り返した後、銅箔と樹脂の剥がれを確認した。
【0035】
(実施例7〜11)
組成物例2と6を用い、ゲル化時間が異なるように塗膜の乾燥条件を80℃から110℃まで変化させ、実施例7、8については、1Kgf/cm2、70℃、1分、1torrの条件にて加熱ラミネートし、5Kgf/cm2、70℃、1分の条件にてレベリングしたこと、実施例9、10、11については、10Kgf/cm2、130℃、1分、1torrの条件にて加熱ラミネートし、15、1Kgf/cm2、130℃、1分の条件にてレベリングしたこと以外は、実施例1〜6と同様にして多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した多層プリント配線板について、評価した特性値を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
(実施例12〜16)
実施例1において、ゲル化時間が異なるように塗膜の乾燥条件を80℃から110℃まで変化させたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した多層プリント配線板について、評価した特性値を表4に示す。
【0038】
【表4】
【0039】
(実施例17〜21)
実施例1において、ロール溝のピッチを380〜950μmに変化させたこと以外は実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した多層プリント配線板について、評価した特性値を表5に示す。
【0040】
【表5】
【0041】
(実施例22)
実施例1で製造した配線板に、さらに1層の絶縁層と導体層を実施例1と同様にして作成し、絶縁層と導体層がそれぞれ片側に2層ある多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した多層プリント配線板について評価した結果、実施例1と同様の結果であった。
【0042】
(実施例23)
実施例1において、エポキシ樹脂組成物の塗布、乾燥を2回繰り返して絶縁層となる乾燥塗膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した多層プリント配線板について評価した結果、絶縁層の膜厚は92μmで、ピール強度は12.2/12.6(N/cm)、はんだ耐熱性も異常がなかった。このように本実施例では実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0043】
(比較例1)
組成物例1における2−メチルイミダゾールの配合量を0部としたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、乾燥状態でのゲル化時間が170℃において2400秒超を示し、組成物の硬化は認められなかった。
【0044】
(比較例2)
組成物例1における有機溶剤としてMEK(沸点80℃)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、垂直吊り上げ式ロールコーターで基板両面に塗布した塗膜は直ちに乾き始め、乾燥塗膜に泡が確認された。
【0045】
(比較例3)
実施例1において、垂直吊り上げ式ロールコーターの代わりにカーテンコーター(水平式)を用い、基板の片面ずつに、エポキシ樹脂組成物を塗布し、乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、ピール強度は7.5/12.4(N/cm)と表面が低く、はんだ耐熱性では表面に膨れが生じた。
【0046】
(参考例1)
実施例1において、有機溶剤で希釈してTI値を1.0に調整した組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、組成物の垂直塗布乾燥後にダレが確認された。
【0047】
(参考例2)
実施例1において、有機溶剤で希釈し、アエロジル#972を加えてTI値を4.1に調整した組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、組成物の塗布後に基板上に山型のスジが多数発生した。
【0048】
(参考例3)
実施例1において、100μmの溝ピッチを有するウレタンゴム製ロールを備えた垂直吊り上げ式ロールコーターを用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、層間絶縁層の膜厚は5μm程度であり、絶縁層として充分な膜厚ではなかった。
【0049】
(参考例4)
実施例1において、エポキシ樹脂組成物の粘度(回転粘度計で測定した回転数5rpm、25℃における粘度)を5dPa・sとしたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、組成物の垂直塗布乾燥後に少しダレが確認された。
【0050】
(参考例5)
実施例1において、エポキシ樹脂組成物の粘度(回転粘度計で測定した回転数5rpm、25℃における粘度)を150dPa・sとしたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、粘度が高く塗布後にスジと泡が確認された。
【0051】
(参考例6)
組成物例1における2−メチルイミダゾールを22部としたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、乾燥状態でのゲル化時間は170℃において発現しなかった。また、ピール強度は2.5/3.6(N/cm)と低く、はんだ耐熱性では全体的に膨れが生じた。
【0052】
このように、樹脂絶縁層を、垂直吊り上げ式ロールコーターを用いて基板両面に同時に塗布し、乾燥後、銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型することにより、さらに必要に応じて熱板プレス機による加熱加圧で塗膜をレベリングすることにより、粗化工程を経ることなく、信頼性に優れた多層プリント配線板を製造し得ることがわかる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、樹脂絶縁層を、垂直吊り上げ式ロールコーターを用いて基板両面に同時に塗布し、乾燥後、銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型することにより、さらに必要に応じて熱板プレス機による加熱加圧で塗膜をレベリングすることにより、粗化工程を経ることなく、生産性、作業性が良好で、しかも低コストで信頼性に優れた多層プリント配線板を製造することができる。
特に、大規模で高価なコーティング機械や厳密な管理と大量の薬品を消費する粗化工程を必要とせず、層間絶縁層の厚みが自由にコントロールできる密着性に優れた多層プリント配線板を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に用いる垂直吊り上げ式ロールコーターの一例を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は多層プリント配線板の製造方法に関し、特に、導体回路層と絶縁層とを交互に積み上げてなるビルドアップ方式の多層プリント配線板を、生産性よく、作業性よく、低コストで製造し得る技術について提案する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多層プリント配線板は、回路が形成された内層回路基板上に、ガラスクロス基材にエポキシ樹脂を含浸して半硬化させたプリプレグシートを1枚以上重ね、さらにその上に銅箔を重ね熱板プレス機にて加熱加圧一体成型するという工程を経て製造されていた。
しかし、ガラスクロスを含むプリプレグシートの使用は、▲1▼.配線板製造のコスト高を招く、▲2▼.ガラスクロスと樹脂との界面で剥離やクラックが生じやすくハンドリングが困難である、▲3▼.剥離やクラックで生じた樹脂の粉によるクリーンルームの汚染を招く、▲4▼.回路層間の厚みがガラスクロスにより規制され多層プリント配線板全体の極薄化も困難である、といった種々の問題があった。
【0003】
これに対し近年、上記問題を解消し得る方法として、層間絶縁層にガラスクロスを用いない、ビルドアップ方式による多層プリント配線板の製造技術が注目されている。
例えば、特開平7−304931号 、特開平7 −304933号公報には、回路が形成された内層回路基板にエポキシ樹脂組成物を塗布し、加熱硬化した後、粗化剤にて表面に凸凹状の粗化面を形成し、導体層をめっきにより形成する多層プリント配線板の製造方法が開示されている。また、特開平11−87927号公報には、回路が形成された内層回路基板にエポキシ樹脂接着シートをラミネートし、加熱硬化した後、粗化剤にて表面に凸凹状の粗化面を形成し、導体層をめっきにより形成する多層プリント配線板の製造方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、これらの製造プロセスではいずれも、導体層と絶縁層との充分な密着性(ピール強度)を得るために、絶縁層表面全体を、N−メチル−2−ピロリドンやN,N−ジメチルホルムアミド、メトキシプロパノール等の有機溶剤、苛性ソーダや苛性カリ等のアルカリ性水溶液等の膨潤液、さらには重クロム酸塩や過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤を用いて粗化する必要性があった。そのため、処理基板の面積に依存するこれら薬剤の消費量は、従来のプリント配線板の製造技術に比べて増大し、依然として配線板製造のコスト高を招く原因となっていた。また、これらの製造方法は、環境への負荷という観点からも好ましくない。
【0005】
また一方で、層間絶縁層としてガラスクロスを用いない製造技術として、多層板用接着シート、あるいは銅箔の片側に接着性の樹脂をコートした樹脂付銅箔を用い、熱板プレス機にて多層プリント配線板を製造する技術が提案されている。しかしながら、かかる製造技術でも、プリプレグと同様にシート状であるがために、剥離やクラックで生じた樹脂の粉によるクリーンルームの汚染等の問題があった。また、シートの厚みが一定であるため層間絶縁層の厚みを任意に調整することができず、異なる厚みのシートを在庫として保管しなければならなかった。さらに、上記製造方法で用いる接着シートや樹脂付銅箔は、通常、水平状態でキャリアフィルムや銅箔に樹脂を連続的に塗布乾燥して作製され、埃の付着を防止するために比較的大規模なクリーンルームと乾燥装置が必要となり、配線板の製造コスト的には非常に不利であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術にかかる上述した問題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、環境への負荷の大きい大量の薬品を消費する粗化工程を行うことなく、生産性よく、作業性よく、低コストで製造し得る多層プリント配線板の製造方法を提供することにある。
【0007】
【問題を解決するための手段】
発明者らは上記目的実現に向け鋭意研究した。その結果、樹脂絶縁層を、垂直吊り上げ式ロールコーターを用いて基板両面に同時に塗布し、乾燥後、銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型することにより、粗化工程を経ることなく、生産性、作業性が良好で、しかも低コストで信頼性に優れた多層プリント配線板を製造し得ることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明にかかる多層プリント配線板の製造方法は、
第1の態様として、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)沸点が100℃以上の有機溶剤を必須成分として含有する樹脂組成物を、回路が形成された内層回路基板の両面に、垂直吊り上げ式のロールコーターを用いて塗布し、得られた塗膜を乾燥した後、その乾燥塗膜上に銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型し、加熱硬化する工程を少なくとも経ることを特徴とする。
第2の態様として、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)沸点が100℃以上の有機溶剤を必須成分として含有する樹脂組成物を、回路が形成された内層回路基板の両面に、垂直吊り上げ式のロールコーターを用いて塗布し、得られた塗膜を乾燥した後、その乾燥塗膜上に銅箔または樹脂付き銅箔を真空フィルムラミネーターで加熱ラミネートして一体成型し、加熱硬化した後、ドリルまたはレーザー加工機にてバイアホール用の穴をあけ、当該穴の部分にめっきを行い内層回路と導通させた後、表層の導体をエッチングしてパターン形成する工程を少なくとも経ることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる多層プリント配線板の製造方法について説明する。
(1)まず、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)沸点が100℃以上の有機溶剤を必須成分として含有する樹脂組成物を、回路が形成された内層回路基板の両面に、例えば図1に示すような垂直吊り上げ式のロールコーターを用いて塗布する。
【0009】
ここで、垂直吊り上げ式ロールコーターを使用する理由は以下の通りである。
▲1▼.垂直式であるので、省スペースでクリーンルームでの占有面積が少ない。
▲2▼.垂直式であるので、水平式に比べ搬送中に基板への埃の付着が極めて少ない。
▲3▼.塗布膜厚の再現性が良好で、ロールの溝形状とサイズを変更することにより塗布膜厚のコントロールが可能である。
▲4▼.両面同時の塗布が容易であり、工程の短縮が可能である。しかも、仕上がった基板の反りが無い。
【0010】
特に本発明の製造方法においては、かかる垂直吊り上げ式ロールコーターを用い、樹脂組成物を基板両面に同時に塗布する点に最大の特徴がある。
これにより、基板両面に同時に塗布され乾燥される塗膜は、乾燥工程における熱履歴が基板表裏で一定になる。つまり、その乾燥塗膜は、真空ラミネーターによる加熱ラミネートや熱板プレス機による加熱加圧時の溶融粘度およびゲル化時間が基板表裏で同じになる。その結果、真空ラミネーターによる加熱ラミネートや熱板プレス機による加熱加圧後の塗膜のピール強度、膜厚、ならびに樹脂のはみ出し量が、基板表裏で一定になる。
一方、基板表裏で熱履歴が異なる場合、例えば、樹脂組成物を基板の一方の面に塗布し乾燥したのち反転し、次いで基板の他方の面にも同様に樹脂組成物を塗布し乾燥する方法では、一方の塗膜が乾燥2回、他方の塗膜が乾燥1回の熱履歴となる。そのため、この基板表裏に銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートしたり熱板プレス機で加熱加圧したりすると、一方の塗膜は熱履歴が長いために加熱ラミネートや加熱加圧時の溶融粘度が高くなり、銅箔表面の凹凸粗面に追随できず、熱履歴の短い他方の塗膜に重畳した銅箔よりもピール強度は低くなる。しかも、熱履歴の長い一方の塗膜は、加熱加圧時の樹脂のはみ出し量が少ないために、熱履歴の短い他方の塗膜よりも膜厚は厚くなるという問題を招く。
このように、本発明によれば、絶縁層の薄膜化が可能でかつ膜厚が自由に設計でき、生産性、作業性が良好で、しかも埃などの付着のない信頼性に優れる多層プリント配線板を低コストで製造することができる。
【0011】
なお、本発明に用いる垂直吊り上げ式のロールコーターは、ロールの少なくとも表層部分が室温でゴム弾性を有する樹脂からなることが好ましい。この理由は、ロールがゴム弾性を有しない樹脂や金属等の場合、内層回路基板が傷ついたり、回路の凹凸に塗膜が追随できず塗布むらが発生する原因になるからである。また、ロール面にはV字状もしくはU字状の溝を設け、かつ溝のピッチ(凸部先端の隙間)は300μm以上であることが好ましい。このようにロール面にV字状もしくはU字状の溝を形成する理由は、1回で塗布できる塗膜の厚みを厚くすることができるからである。また、その溝のピッチを300μm以上とすることで、適切な膜厚に容易にコーティングすることができる。しかし、溝に2000μm以上の隙間があると、溝の凸部先端が鋭角になり、ロールの耐磨耗性、強度の観点から好ましくない。このようにピッチが大きくなるほど1回で塗布できる塗膜の膜厚が厚くなり、ピッチを選ぶことにより仕上がりの膜厚を容易にコントロールすることできる。
【0012】
このような垂直吊り上げ式のロールコーターに用いる樹脂組成物としては、回転式粘度計で測定した、回転数5rpmの粘度と回転数50rpmの粘度との比、いわゆるチキソトロピインデックス(TI値)が1.1以上、好ましくは1.1〜3.0を示す組成物であることが好ましい。この理由は、チキソトロピインデックス(TI値)が1.1より小さいと、垂直吊り上げ式ロールコーターでコーティングした後、乾燥工程まで搬送される際に、樹脂がダレて進行方向前方と後方の膜厚が変わってしまう。一方、このチキソトロピインデックス(TI値)が3.0を超えると、ロールコーターで塗布する際に、ロールコーターのロール面の形状(凹凸状)に基づくスジが発生したり、ときには塗布できなくなるからである。従って、必要に応じてアスベスト、オルベン、ベントン、微紛シリカ等の公知慣用のチキソ化剤を加えることが好ましい。
なお、省スペースと基板への埃の付着防止の観点から、この塗布工程の後に行う乾燥工程も垂直の状態のまま行うことが有効である。
【0013】
また、垂直吊り上げ式のロールコーターに用いる樹脂組成物は、乾燥塗膜の状態、具体的には重量減少法で有機溶剤相当分の90%以上を蒸発(乾燥)させた状態でのゲル化時間が170℃において10秒〜600秒、好ましくは20秒〜300秒の範囲内であることが好ましい。このゲル化時間が存在しないか、もしくは10秒以内の樹脂組成物を用いると、真空ラミネーターを用いた銅箔または樹脂付き銅箔の加熱ラミネートの際に、乾燥塗膜層が溶融せず銅箔の粗面の凹凸に流れ込まず、その結果、充分なピール強度が得られない。一方、前記ゲル化時間が600秒を超えると、加熱ラミネート後に加熱硬化させる際に銅箔の重みにより銅箔がずれ膜厚が偏るおそれがある。しかも、加熱硬化に要する時間が長くなり、経済的でない。
【0014】
また、垂直吊り上げ式のロールコーターに用いる樹脂組成物は、乾燥塗膜の状態、具体的には重量減少法で有機溶剤相当分の90%以上を蒸発(乾燥)させた状態での溶融粘度が100℃では100dPa・s以上、130℃では30000dPa・s以下であることが好ましい。この理由は、100℃において100dPa・s未満であると、真空ラミネーターによる加熱ラミネートの際に、乾燥塗膜が流れすぎて膜厚の確保ができない。一方、130℃において30000dPa・sを超えると、真空ラミネーターによる加熱ラミネートの際に、乾燥塗膜が銅箔粗面の凹凸に流れ込まず、充分なピール強度が得られないからである。
【0015】
さらに、垂直吊り上げ式のロールコーターに用いる樹脂組成物は、その25℃における粘度を10dPa・s〜100dPa・s、好ましくは20dPa・s〜60dPa・sに調整することが好ましい。この理由は、その粘度が10dPa・s未満であると、塗布した樹脂組成物がだれやすく、膜厚も薄くなり絶縁層として使用できない。一方、その粘度が100dPa・sを超えると、ロールコーターで塗布する際に、ロールコーターのロール面の形状(凹凸状)に基づくスジが発生したり、ときには塗布できなくなるからである。
【0016】
(2)次に、前述のようにして基板両面に塗布した塗膜を乾燥する。
ここで、塗膜中の有機溶剤を取り除く、この乾燥工程では、基板は、前記(1)のロールコーターによる塗布工程と同様に、垂直の状態で支持され、塗膜が乾燥されることが好ましい。この理由は、以下の通りである。
▲1▼.垂直式であるので、省スペースでクリーンルームでの占有面積が少ない。
▲2▼.垂直式であるので、水平式に比べ搬送中に基板への埃の付着が極めて少ない。
▲3▼.仕上がった基板の反りが無い。
【0017】
この乾燥工程では、溶剤を充分に揮発させ、かつ乾燥塗膜が好適なゲルタイムを示すように乾燥条件を設定することが望ましい。その条件としては、乾燥温度80℃〜130℃で乾燥時間5分〜60分とすることが好ましい。この理由は、乾燥温度が80℃未満であると溶剤の揮発不足を招き、一方、130℃を超える乾燥温度では、ゲル化時間が消失してしまい真空ラミネーターを用いた加熱ラミネートによる一体成型後の充分なピール強度やはんだ耐熱性が得られない。また、乾燥時間が5分未満であると乾燥不足を招き、一方、60分を超える乾燥時間では、ゲル化時間が消失してしまい真空ラミネーターを用いた加熱ラミネートによる一体成型後の充分なピール強度やはんだ耐熱性が得られないからである。なお、ゲル化時間は、樹脂組成物の一成分である後述するエポキシ樹脂硬化剤の種類や量によってもコントロールできることはいうまでもない。
【0018】
(3)次に、前記(2)で基板上に形成した乾燥塗膜上に、片面もしくは両面に粗面を有する銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型し、次いで、熱風循環式や遠赤外線等の乾燥機を用い、例えば120〜180℃×15〜120分の条件にて加熱硬化する。
この工程では、必要に応じて、真空ラミネーターで銅箔または樹脂付き銅箔を加熱ラミネートした後、加熱硬化前に、熱板プレス機にて塗膜を加熱加圧してレベリング(平坦化)することが好ましい。なお、平坦性が要求されない場合、このレベリングの工程は省くことができる。
これにより、塗布乾燥した塗膜は、真空ラミネーターを用いた加熱ラミネートにより再溶融し、銅箔の粗面に入り込んでそのアンカー効果により強力に接着することで充分なピール強度が得られるようになる。また、塗布乾燥した塗膜の内層回路による凹凸面は、熱板プレス機にて塗膜を加熱加圧レベリングする際に解消され、そのまま硬化するので最終的にはフラットな表面状態の多層板が得られる。
【0019】
ここで、この工程で用いる真空ラミネーターは、基板を1枚づつ処理でき、温度が70℃〜130℃、真空度が5Torr以下で銅箔との隙間をなくし樹脂を溶融させ密着させるものが好ましく、例えば、MEIKI社製MVLP−500やモートン社製VA−720、VA−724、NPVA−1、NPVA−24などがある。また、レベリングさせる熱板プレス機は、真空ラミネーターの処理から引き続き連続的に1枚づつ処理でき、70℃〜130℃で5Kg/cm2〜30kg/cm2の圧力がかけられるものが好ましい。また、この工程で用いる銅箔としては、ジャパンエナジー社製のJTCやJTC−AM、JTC−FM、古河サーキットフォイル社製のGTSやGTS−MP、F3−WSなどの市販の電解銅箔または圧延銅箔を用いることが好ましい。この際、プリプレグや接着シートを介して銅箔を乾燥塗膜に接着することもできる。
なお、加熱ラミネートやレベリングに要する時間は、30秒〜5分、好ましくは30秒〜2分とし、特に連続的に処理できるという点から両方が同じ時間であることが好ましい。この理由は、30秒未満であると、銅箔との密着性とレベリング性が充分ではなく、一方、5分以上であると量産性に乏しいからである。
【0020】
このように、本発明によれば、従来の塗布方法で欠点とされていた塗布後の凹凸面を容易に解消することができると共に、環境への負荷の大きい薬品を多量に消費する粗化工程を行うことなく、真空フィルムラミネーターを用いた加熱ラミネートや熱板プレス機を用いた加熱加圧成型によって、容易に絶縁層と銅箔との充分な密着強度が得られる。
【0021】
(4)さらに本発明の一形態では、上記製造工程で作製した多層板は、公知慣用のドリルまたはCO2やUV−YAG等の半導体レーザー加工機を用いてビアホールなどのための穴をあけ、次いで公知慣用のデスミヤ処理を行い、引き続き無電解銅めっき、電解銅めっきを施すことにより、スルーホール、ベリードビア、またはコンフォーマルビアを形成し、銅箔と内層回路とを導通させる。そしてプリント配線板で用いられている既知のパターンエッチング方法にて、表層の銅箔をエッチングしてパターン形成することにより、所望の多層プリント配線板が得られる。
こうして得られた多層プリント配線板は、さらに(1)〜(4)の工程を繰り返して多層化したり、また、プリプレグや樹脂付銅箔を重ね合せ熱板プレス機を用いて加熱加圧成型をすることにより多層化を行っても構わない。
【0022】
以上説明した本発明にかかる多層プリント配線板の製造方法において、内層基板としては、例えば、プラスチック基板やセラミック基板、金属基板、フィルム基板などを使用することができ、具体的には、ガラスエポキシ基板やガラスポリイミド基板、アルミナ基板、低温焼成セラミック基板、窒化アルミニウム基板、アルミニウム基板、鉄基板、ポリイミドフィルム基板などを使用することができる。
【0023】
本発明において、樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)沸点が100℃以上の有機溶剤を必須成分として含有する。
これらの必須成分のうち(A)成分;エポキシ樹脂は、層間絶縁材としての十分な耐熱性、耐薬品性、電気特性などの諸物性を得るのに必要である。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、又はそれらの臭素原子含有エポキシ樹脂やりん原子含有エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂など公知慣用のものを、単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。また、反応性希釈剤としての単官能エポキシ樹脂を含有していてもよい。
特に本発明の方法では、エポキシ当量が800以上のエポキシ樹脂とエポキシ当量が500以下のエポキシ樹脂を任意に混合することが好ましい。エポキシ当量が800以上のエポキシ樹脂は、硬化収縮が少なく、基材のそり防止と硬化物の柔軟性を与える。また加熱ラミネート時やレベリング時の溶融粘度を高くすることができ、成型後の樹脂染み出し量のコントロールに有効である。一方、エポキシ当量が500以下のエポキシ樹脂は、反応性が高く、硬化物に機械的強度を与える。また、加熱ラミネート時の溶融粘度が低いため、内層回路間の隙間への樹脂組成物の充填性や銅箔の凹凸粗面に対する追随性に寄与する。
【0024】
(B)成分;エポキシ樹脂硬化剤は、市販の酸無水物、アミン化合物、イミダゾール化合物、グアニジン類、またはこれらのエポキシアダクトやマイクロカプセル化したもののほか、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム、テトラフェニルボレート等の有機ホスフィン系化合物など、公知慣用のものを単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
なかでも、イミダゾール化合物は、組成物中の溶剤を乾燥するときの温度域(80℃〜130℃)では反応が緩やかで、硬化時の温度域(150℃〜200℃)では十分に反応を進めることができ、硬化物の物性を充分発現させる点で好ましい。また、イミダゾール化合物は、銅回路および銅箔との密着性に優れている点でも好ましい。特に好ましいものとして具体的には、2−エチル4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、ビス(2−エチル−4−メチル−イミダゾール)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4 ,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、あるいは、トリアジン付加型イミダゾール等がある。
これらのエポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ樹脂(A)の合計量100質量部に対し、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。その配合量が0.05質量部よりも少ないと硬化不足となり、一方、20質量部を超えて配合すると硬化促進効果を増大させることはなく、却って耐熱性や機械強度を損なう問題が生じる。
【0025】
(C)成分;沸点が100℃以上の有機溶剤は、シクロヘキサノンなどのケトン類、メチルセロソルブ、メチルカルビトール、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、および上記グリコールエーテル類の酢酸エステル化物などのエステル類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類、オクタンなどの脂肪族炭化水素、石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤などがある。これらは単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
特に本発明の方法では、沸点が100℃以上の有機溶剤を用いる点が重要である。この理由は、沸点が100℃未満の有機溶剤を使用すると、塗膜乾燥時に溶剤が急激に蒸発し泡の発生原因になる。しかも、ロールコーターで塗布している際に溶剤が揮発しやすく、塗布時の粘度が急激に変化するので好ましくない。
特に好ましいものとしては、エチレングリコールまたはプロピレングリコールの誘導体であり、具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールのモノメチル、モノエチル、モノブチル等のグリコールエーテル類、さらにそれの酢酸エステル化合物が挙げられる。これらの有機溶剤は、プリント配線板製造工場で従来からソルダーレジストの希釈溶剤として多量に使用されており、工場内での溶剤回収、再利用に適しており、臭気の面からも好ましい。
【0026】
このような本発明に用いる樹脂組成物は、さらに必要に応じて熱可塑性樹脂を配合することができる。
この熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリスルフィド、ポリスルフォン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ブチラール樹脂、NBR、フェノキシ樹脂等、公知慣用のものを単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
これらの熱可塑性樹脂は、樹脂組成物中のエポキシ樹脂が硬化した後、均一に分散するか、もしくは相分離するに関わらず、室温の状態では樹脂組成物中に均一に分散または溶解するものが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、コーティング時のはじき防止や転写性の改善に寄与してコーティングの厚膜化に効果があり、また強靭性の付与、柔軟性の付与、硬化収縮の低減による基材のそり防止に効果がある。さらに加熱ラミネート時やレベリング時の溶融粘度を高くすることができ、成型後の樹脂染み出し量のコントロールに有効である。
この熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂100質量部に対して100質量部以下で配合することが好ましい。100質量部を超える量を配合すると、加熱ラミネート時やレベリング時に塗膜の溶融粘度が高くなりすぎたり、組成物の状態で分離を生じる場合がある。
【0027】
本発明に用いる樹脂組成物では、さらに硬化物の密着性、機械的強度、線膨張係数などの特性を向上させる目的で、無機充填材を配合することができる。例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉などの公知慣用の無機充填剤が使用できる。その配合比率は樹脂組成物の0〜90質量%である。
【0028】
本発明に用いる樹脂組成物では、さらに硬化物の機械強度や耐熱性を向上させる目的で、フェノール樹脂を配合することができる。このフェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールA ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok 型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類など公知慣用のものを、単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。このフェノール樹脂は、1エポキシ当量のエポキシ樹脂に対し0〜1.2フェノール性水酸基当量のフェノール樹脂を配合することが望ましい。この範囲を外れると得られるエポキシ樹脂組成物の耐熱性が損なわれる。
【0029】
また、本発明に用いる樹脂組成物は、さらに必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知慣用の着色剤、アスベスト、オルベン、ベントン、微紛シリカ等の公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、チアゾール系、トリアゾール系、シラン系カップリング剤等の密着性付与剤、チタネート系、アルミニウム系カップリング剤等の公知慣用の添加剤類を用いることができる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0031】
(実施例1〜6)
表1に示す配合成分に対し、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、さらに微紛シリカであるアエロジル#972を加えて、3本ロールミルにて混連分散し、粘度40dPa・s±10dPa・s(回転粘度計5rpm、25℃)に調整したエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物のチキソトロピックインデックス(TI値)は、すべて1.2〜2.0の範囲内であった。
得られたエポキシ樹脂組成物をそれぞれ、1000μmの溝ピッチを有するウレタンゴム製ロールを備えた垂直吊り上げ式ロールコーター(ファーネス社製)を用いて、銅箔18μmのガラスエポキシ両面銅張積層板から内層回路を形成した基板の両面に同時に塗布し、次いで110℃で乾燥し、絶縁層となる乾燥塗膜を形成した。
次に、乾燥塗膜を形成した基板の両面に18μm厚のJTC銅箔(ジャパンエナジー社製)を重ね、真空ラミネーター(MEIKI社製、MVLP−500)を用い、5Kgf/cm2、100℃、1分、1torrの条件にて加熱ラミネートし、次いで、熱板プレス機を用い、10Kgf/cm2、100℃、1分の条件にてレベリングした後、熱風循環式乾燥機で170℃×60分の条件にて加熱硬化し、積層板を作成した。
さらに、この積層板の所定のスルーホール、ビアホール部等にドリルまたはレーザーにより穴開けを行い、無電解銅めっきおよび電解銅めっきにより穴を導通させた後、市販のエッチングレジストを介したエッチングによりパターン形成し、多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した多層プリント配線板について、評価した特性値を表2に示す。
【0032】
【表1】
*エピコート828(エポキシ当量;190)、エピコート1001(エポキシ当量470)、エピコート1004(エポキシ当量;950)ジャパンエポキシレジン社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂
*YDB400;東都化成社製の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂
*フェノールノボラック樹脂;明和化成社製
*ブチラール樹脂;積水化学社製
【0033】
【表2】
【0034】
なお、表中の性能試験の方法は以下のとおりである。
(1)乾燥塗膜のゲル化時間
所定の乾燥時間で乾燥した塗膜から樹脂分のみを取り出し、JIS C6521の硬化時間の測定方法で測定した。
(2)ピール強度
JIS C6481に従い測定した。
(3)はんだ耐熱性
288℃±3℃のはんだ層に完成したプリント配線板(10cm×10cm)を10秒間浸漬する。この操作を5回繰り返した後、銅箔と樹脂の剥がれを確認した。
【0035】
(実施例7〜11)
組成物例2と6を用い、ゲル化時間が異なるように塗膜の乾燥条件を80℃から110℃まで変化させ、実施例7、8については、1Kgf/cm2、70℃、1分、1torrの条件にて加熱ラミネートし、5Kgf/cm2、70℃、1分の条件にてレベリングしたこと、実施例9、10、11については、10Kgf/cm2、130℃、1分、1torrの条件にて加熱ラミネートし、15、1Kgf/cm2、130℃、1分の条件にてレベリングしたこと以外は、実施例1〜6と同様にして多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した多層プリント配線板について、評価した特性値を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
(実施例12〜16)
実施例1において、ゲル化時間が異なるように塗膜の乾燥条件を80℃から110℃まで変化させたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した多層プリント配線板について、評価した特性値を表4に示す。
【0038】
【表4】
【0039】
(実施例17〜21)
実施例1において、ロール溝のピッチを380〜950μmに変化させたこと以外は実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した多層プリント配線板について、評価した特性値を表5に示す。
【0040】
【表5】
【0041】
(実施例22)
実施例1で製造した配線板に、さらに1層の絶縁層と導体層を実施例1と同様にして作成し、絶縁層と導体層がそれぞれ片側に2層ある多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した多層プリント配線板について評価した結果、実施例1と同様の結果であった。
【0042】
(実施例23)
実施例1において、エポキシ樹脂組成物の塗布、乾燥を2回繰り返して絶縁層となる乾燥塗膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した多層プリント配線板について評価した結果、絶縁層の膜厚は92μmで、ピール強度は12.2/12.6(N/cm)、はんだ耐熱性も異常がなかった。このように本実施例では実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0043】
(比較例1)
組成物例1における2−メチルイミダゾールの配合量を0部としたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、乾燥状態でのゲル化時間が170℃において2400秒超を示し、組成物の硬化は認められなかった。
【0044】
(比較例2)
組成物例1における有機溶剤としてMEK(沸点80℃)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、垂直吊り上げ式ロールコーターで基板両面に塗布した塗膜は直ちに乾き始め、乾燥塗膜に泡が確認された。
【0045】
(比較例3)
実施例1において、垂直吊り上げ式ロールコーターの代わりにカーテンコーター(水平式)を用い、基板の片面ずつに、エポキシ樹脂組成物を塗布し、乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、ピール強度は7.5/12.4(N/cm)と表面が低く、はんだ耐熱性では表面に膨れが生じた。
【0046】
(参考例1)
実施例1において、有機溶剤で希釈してTI値を1.0に調整した組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、組成物の垂直塗布乾燥後にダレが確認された。
【0047】
(参考例2)
実施例1において、有機溶剤で希釈し、アエロジル#972を加えてTI値を4.1に調整した組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、組成物の塗布後に基板上に山型のスジが多数発生した。
【0048】
(参考例3)
実施例1において、100μmの溝ピッチを有するウレタンゴム製ロールを備えた垂直吊り上げ式ロールコーターを用いたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、層間絶縁層の膜厚は5μm程度であり、絶縁層として充分な膜厚ではなかった。
【0049】
(参考例4)
実施例1において、エポキシ樹脂組成物の粘度(回転粘度計で測定した回転数5rpm、25℃における粘度)を5dPa・sとしたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、組成物の垂直塗布乾燥後に少しダレが確認された。
【0050】
(参考例5)
実施例1において、エポキシ樹脂組成物の粘度(回転粘度計で測定した回転数5rpm、25℃における粘度)を150dPa・sとしたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、粘度が高く塗布後にスジと泡が確認された。
【0051】
(参考例6)
組成物例1における2−メチルイミダゾールを22部としたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。この際、乾燥状態でのゲル化時間は170℃において発現しなかった。また、ピール強度は2.5/3.6(N/cm)と低く、はんだ耐熱性では全体的に膨れが生じた。
【0052】
このように、樹脂絶縁層を、垂直吊り上げ式ロールコーターを用いて基板両面に同時に塗布し、乾燥後、銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型することにより、さらに必要に応じて熱板プレス機による加熱加圧で塗膜をレベリングすることにより、粗化工程を経ることなく、信頼性に優れた多層プリント配線板を製造し得ることがわかる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、樹脂絶縁層を、垂直吊り上げ式ロールコーターを用いて基板両面に同時に塗布し、乾燥後、銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型することにより、さらに必要に応じて熱板プレス機による加熱加圧で塗膜をレベリングすることにより、粗化工程を経ることなく、生産性、作業性が良好で、しかも低コストで信頼性に優れた多層プリント配線板を製造することができる。
特に、大規模で高価なコーティング機械や厳密な管理と大量の薬品を消費する粗化工程を必要とせず、層間絶縁層の厚みが自由にコントロールできる密着性に優れた多層プリント配線板を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に用いる垂直吊り上げ式ロールコーターの一例を示す図である。
Claims (10)
- (A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)沸点が100℃以上の有機溶剤を必須成分として含有する樹脂組成物を、回路が形成された内層回路基板の両面に、垂直吊り上げ式のロールコーターを用いて塗布し、得られた塗膜を乾燥した後、その乾燥塗膜上に銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型し、加熱硬化する工程を少なくとも経ることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
- (A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)沸点が100℃以上の有機溶剤を必須成分として含有する樹脂組成物を、回路が形成された内層回路基板の両面に、垂直吊り上げ式のロールコーターを用いて塗布し、得られた塗膜を乾燥した後、その乾燥塗膜上に銅箔または樹脂付き銅箔を真空ラミネーターで加熱ラミネートして一体成型し、加熱硬化した後、ドリルまたはレーザー加工機にてバイアホール用の穴をあけ、当該穴の部分にめっきを行い内層回路と導通させた後、表層の導体をエッチングしてパターン形成する工程を少なくとも経ることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
- 真空ラミネーターで銅箔または樹脂付き銅箔を加熱ラミネートした後、加熱硬化前に、熱板プレス機にて塗膜を加熱加圧してレベリングすることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記樹脂組成物中の有機溶剤(C)が、エチレングリコールまたはプロピレングリコールの誘導体であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- 回転粘度計で測定した前記樹脂組成物の、回転数5rpm の粘度と回転数50rpm の粘度との比が、1.1以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記樹脂組成物は、有機溶剤分の90wt%以上を除去した乾燥塗膜の状態でのゲル化時間が170℃において10秒〜600秒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記樹脂組成物は、90wt%以上の有機溶剤分を除去した乾燥塗膜の状態での溶融粘度が100℃では100dPa・s以上、130℃では30,000dPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記樹脂組成物の回転粘度計で測定した回転数5rpm、25℃における粘度が10dPa・s〜100dPa・sであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記垂直吊り上げ式のロールコーターは、ロール成分が室温でゴム弾性を有する樹脂からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記垂直吊り上げ式のロールコーターは、ロール面にV字状またはU字状の溝があり、かつ溝の凸部先端間の隙間が300μm以上あることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
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