JP2004071802A - 回路基板用部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精度・高精細な回路基板用部材を提供すること。
【解決手段】補強板上に、剥離可能な有機物層、回路パターンを備えた可撓性フイルムが少なくともこの順で積層された回路基板用部材であって、該剥離可能な有機物層が島状の粘着防止領域を含むことを特徴とする回路基板用部材。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回路基板用部材に関し、さらに高精度な回路パターンを有するとともに生産性に優れた可撓性フイルムを用いた回路基板用部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロニクス製品の軽量化、小型化に伴い、プリント回路基板のパターニングの高精度化が求められている。中でも可撓性フイルム基板は、その可撓性ゆえに三次元配線ができ、エレクトロニクス製品の小型化に適していることから需要が拡大している。例えば、液晶ディスプレイパネルへのIC接続に用いられるTAB(Tape Automated Bonding)技術は、35〜70mmと比較的狭幅の長尺ポリイミドフイルム基板を加工することで、樹脂基板としては最高レベルの微細パターンを得ることができる。しかし、微細化の進展に関しては限界に近づきつつある。
【0003】
微細化にはライン幅やライン間のスペース幅で表される指標と基板上のパターンの位置で表される指標がある。後者の指標、いわゆる位置精度は、回路基板とICなどの電子部品とを接続する際の電極パッドと回路基板パターンとの位置合わせに係わり、ICの多ピン化の進展に従い要求される精度が厳しくなってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記位置精度の点において、特にTAB(Tape Automated Bonding)技術は改良が難しい状況になりつつある。回路基板加工プロセスでは、乾燥やキュアなどの熱処理プロセス、エッチングや現像などの湿式プロセスがあり、可撓性フイルムは、膨張と収縮を繰り返す。このときのヒステリシスは、基板上の回路パターンの位置ずれを引き起こす。また、アライメントが必要なプロセスが複数ある場合、これらのプロセス間に膨張、収縮があると、形成されるパターン間で位置ずれが発生する。
【0005】
可撓性フイルムの膨張と収縮による変形は、比較的大面積の基板寸法で加工を進めるFPC(Flexible Printing Circuit)の場合には更に大きな影響を及ぼす。また、位置ずれは引っ張りや捻れなどの外力でも引き起こされ、柔軟性を上げるために薄い基板を使う場合は、その制御が難しかった。
【0006】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決することであり、具体的には、高精度・高精細な回路基板用部材を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題は、以下の構成により達成される。すなわち、本発明は、
補強板上に、剥離可能な有機物層、回路パターンを備えた可撓性フイルムが少なくともこの順で積層された回路基板用部材であって、該剥離可能な有機物層が島状の粘着防止領域を含むことを特徴とする回路基板用部材。
をその骨子とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の回路基板用部材は、補強板上に、剥離可能な有機物層、回路パターンを備えた可撓性フイルムが少なくともこの順で積層されたものである。
【0009】
本発明において可撓性フイルムとしては、可撓性を有するフイルムであれば制限無く使用することができるが、好ましくはプラスチックフイルムであって、回路パターン製造工程および電子部品実装での熱プロセスに耐えるだけの耐熱性を備えていることが望ましい。例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、液晶ポリマーなどのフイルムを採用することができる。
【0010】
中でもポリイミドフイルムは、耐熱性に優れるとともに耐薬品性にも優れているので好適に採用される。また、低誘電損失など電気的特性が優れている点で、液晶ポリマーが好適に採用される。また、可撓性のガラス繊維補強樹脂板を採用することも可能である。ガラス繊維補強樹脂板の樹脂としては、例えば、エポキシ、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、マレイミド、ポリアミド、ポリイミドなどが挙げられる。
【0011】
可撓性フイルムの厚さは特に限定されないが、電子機器の軽量化、小型化、あるいは微細なビアホール形成のためには薄い方が好ましく、一方、機械的強度を確保するためや平坦性を維持するためには厚い方が好ましいなどの点から、7.5μmから125μmの範囲が好ましく使用される。
【0012】
本発明において、回路パターンを形成するための金属層を作製する方法は特に限定されず、例えば、銅箔などの金属箔を接着剤で貼り付けて形成することができる他、スパッタやめっき、あるいはこれらの組合せで形成することができる。また、銅などの金属箔の上に可撓性フイルムの原料樹脂あるいはその前駆体を塗布、乾燥、キュアすることで、金属層付き可撓性フイルムを得ることもできる。
【0013】
本発明において補強板に用いられる素材としては、ソーダライムガラス、ホウケイ酸系ガラス、石英ガラスなどのガラス類、ステンレススチール、インバー合金、チタンなどの金属、アルミナ、ジルコニア、窒化シリコンなどのセラミックスやガラス繊維補強樹脂などが採用できる。いずれも線膨張係数や吸湿膨張係数が小さい点で好ましいが、回路パターン製造工程の耐熱性、耐薬品性に優れている点や大面積で表面平滑性が高い基板が安価に入手しやすい点や塑性変形しにくい点で、無機ガラス類が好ましく使用される。中でもアルミノホウケイ酸塩ガラスに代表されるホウケイ酸系ガラスは、高弾性率でかつ線膨張係数が小さいため特に好ましい。
【0014】
剥離可能な有機物層が紫外線照射で接着力、剥離力が減少するタイプのものである場合は、紫外線を通す補強板であることが好ましい。プロセス中にフイルム両面に補強板が貼り合わせられた構成をとり、片側の補強板を剥離する際、該補強板に近接する剥離可能な有機物層が紫外線照射で接着力、剥離力が減少するタイプであり、かつ該補強板が紫外線を通す基板であることが、特に好ましい。
【0015】
金属やガラス繊維補強樹脂を補強板に採用する場合は、長尺連続体での製造もできるが、位置精度を確保しやすい点で、本発明の回路基板の製造は枚葉式で行うことが好ましい。枚葉とは、長尺連続体でなく、個別のシート状でハンドリングされる状態を言う。
【0016】
ガラス基板を補強板に用いる場合、ヤング率が小さかったり、厚みが小さいと可撓性フイルムの膨張・収縮力で反りやねじれが大きくなり、平坦なステージ上に真空吸着したときにガラス基板が割れることがある。また、真空吸着・脱着で可撓性フイルムが変形することになり位置精度の確保が難しくなる傾向がある。一方、ガラス基板が厚いと、肉厚ムラにより平坦性が悪くなることがあり、露光精度が悪くなる傾向がある。また、ロボット等によるハンドリング時に負荷が大きくなり、素早い取り回しが難しくなって生産性が低下する要因になる他、運搬コストも増大する傾向がある。この点から、補強板に用いられるガラス基板のヤング率(kg/mm)と厚さ(mm)の3乗の積が、850kg・mm以上860000kg・mm以下の範囲であることが好ましく、1500kg・mm以上190000kg・mm以下の範囲であることがさらに好ましく、2400kg・mm以上110000kg・mm以下の範囲が特に好ましい。なおガラス基板のヤング率は、JIS R1602によって求められる値とする。
【0017】
補強板に金属基板を用いる場合、金属基板のヤング率が小さかったり、厚みが薄いと可撓性フイルムの膨張力や収縮力で金属基板の反りやねじれが大きくなり、平坦なステージ上に真空吸着できなくなったり、また、金属基板の反りやねじれの分、可撓性フイルムが変形することにより、位置精度の保持が難しくなる。また、金属基板に折れがあると、その時点で不良品になる。一方、金属基板が厚いと、肉厚ムラにより平坦性が悪くなることがあり、露光精度が悪くなる。また、ロボット等によるハンドリング時に負荷が大きくなり、素早い取り回しが難しくなって生産性が低下する要因になる他、運搬コストも増大する。この点から、補強板として用いられる金属基板のヤング率(kg/mm)と厚さ(mm)の3乗の積は、2kg・mm以上162560kg・mm以下の範囲であることが好ましく、10kg・mm以上30000kg・mm以下の範囲であることがさらに好ましく、15kg・mm以上20500kg・mm以下の範囲であることが特に好ましい。
【0018】
本発明に用いられる剥離可能な有機物は接着剤または粘着剤などからなるものであって、可撓性フイルムを該有機物層を介して補強板に貼り付けて加工後、可撓性フイルムを剥離しうるものであれば特に限定されない。このような接着剤または粘着剤の例としては、アクリル系またはウレタン系の再剥離粘着剤と呼ばれる粘着剤等を挙げることができる。分子設計が容易に行えることや耐溶剤性に優れることから、接着剤または粘着剤の主剤と硬化剤を混合する架橋型と呼ばれるものが好ましく使用される。可撓性フイルム加工中は十分な接着力があり、剥離時は容易に剥離でき、可撓性フイルム基板に歪みを生じさせない、弱粘着と呼ばれる領域の剥離力のものが好ましく使用される。例えば、シリコーン樹脂は離型剤として用いられることがあるが、タック性があるものは本発明において剥離可能な有機物層として使用することができる。その他、タック性があるエポキシ系樹脂を剥離可能な有機物層として使用することも可能である。
【0019】
その他、低温領域で接着力、剥離力が減少するもの、紫外線照射で接着力、剥離力が減少するものや加熱処理で接着力、剥離力が減少するものも好適に用いられる。これらの中でも紫外線照射によるものは、接着力、剥離力の変化が大きく好ましい。紫外線照射で接着力、剥離力が減少するものの例としては、2液架橋型のアクリル系粘着剤が挙げられる。また、低温領域で接着力、剥離力が減少するものの例としては、結晶状態と非結晶状態間を可逆的に変化するアクリル系粘着剤が挙げられる。
【0020】
有機物層の厚みは特に限定されないが、薄すぎると平面性が悪くなる他、剥離力が大きく低下するために層厚のムラによる剥離力の強度ムラが発生する。一方、厚すぎると接着剤または粘着剤の可撓性フイルムへの投錨性が良くなるために粘着力が強くなりすぎる。また、有機物層端部での可撓性フイルムの変形を抑制するためには有機物層厚みは薄い方が好ましい。これらの点から有機物層の厚みは、0.1μmから30μmまでの範囲にあることが好ましく、0.3μmから20μmまでの範囲にあることがさらに好ましい。有機物層は単層であっても良いし、異なる組成の有機物層が厚み方向に積層されていても良い。
【0021】
本発明において、剥離の界面は、補強板と有機物層との界面でも有機物層と可撓性フイルムとの界面でもどちらでも良いが、可撓性フイルムから有機物層を除去する工程が省略できるので、有機物層と可撓性フイルムとの界面で剥離する方が好ましい。
【0022】
補強板と有機物層との接着力を向上させるために、補強板にシランカップリング剤塗布などのプライマー処理を行っても良い。プライマー処理以外に紫外線処理、紫外線オゾン処理などによる洗浄や、ケミカルエッチング処理、サンドブラスト処理あるいは微粒子分散層形成などの表面粗化処理なども好適に用いられる。
【0023】
本発明において剥離可能な有機物層の剥離力は、該有機物層を介して補強板と貼り合わせた10mm幅の可撓性フイルムを剥離するときの180°方向ピール強度で測定することができる。剥離力測定用のサンプルには、実際に作製する回路基板用部材と同じ材料を用いて、補強板/有機物層/可撓性フイルムの3層構成で10mm幅のものを作製した。ここで、剥離力を測定するときの剥離速度は300mm/分とした。また、剥離力を測定するときの剥離力測定用のサンプルの温度は、実際の工程中で可撓性フイルムを補強板から剥離するときの回路基板用部材の温度と同じにした。剥離力の測定装置は特に限定されず、強度や伸度の測定などで一般に使用されるテンシロンが採用できる。
【0024】
島状の粘着防止領域が微細であって、上記の方法で剥離力が測定できない場合は、剥離幅を狭くして測定してもかまわない。
【0025】
本発明において、剥離可能な有機物層は連続層になっていなくても構わない。例えば、島状に有機物が欠けた形態も本発明の好ましい態様である。
【0026】
本発明において、粘着防止領域とは、剥離可能な有機物層中に存在する相対的に剥離強度の小さい領域を言う。補強板上に固定した可撓性フイルムに形成した回路パターンに電子部品を実装すると、非常に寸法精度よく実装を行える反面、可撓性フイルムを補強板から剥離する際に該電子部品搭載箇所に大きな応力がかかり、可撓性フイルムに形成された回路パターンの屈曲や断線などの原因となる可能性がある。相対的に高い剥離力を示す部分に囲まれた、それらの部分より低い剥離力の部分が存在すると、この部分に電子部品を搭載することにより、これらの不具合を抑制することが可能である。すなわち、電子部品を実装した略下部に粘着防止領域が設けられていることが好ましいのである。また、電子部品が複数種類搭載されている場合、幅が3mm以下の電子部品であれば可撓性フイルムとの剥離力が大きい有機物層上に搭載されていても良い。
【0027】
粘着防止領域の形状は島状であれば良く、島の数や形は特に限定されないが、多島状かつ均一に存在するのが好ましい。例えば、粘着防止領域を除く剥離可能な有機物層の形状が略格子状である態様、すなわち、相対的に剥離力の高い部分を略格子状に形成し、相対的に剥離力の低い部分を残りの部分に形成すると、可撓性フイルムの保持力を充分確保でき、また電子部品搭載後の可撓性フイルムを小片へ切り出す作業が容易になり好ましい。
【0028】
相対的に高い剥離力を示す領域の剥離力は、剥離力で2g/cm以上100g/cm以下の範囲であることが好ましく、相対的に剥離力の小さい粘着防止領域の剥離力は0.0g/cm以上2g/cm未満の範囲であることが好ましい。有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分と有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分がともに2g/cm未満であると、回路パターン形成中に可撓性フイルムが有機物層から剥離する可能性がある。また、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分の剥離力が100g/cmを越えると、剥離するときの応力により該可撓性フイルムが変形したり、回路パターンの断線などの原因となる可能性がある。また、粘着防止領域と可撓性フイルムの間の剥離力が2g/cm以上であると、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分の回路パターン上に電子部品を接続した後に、該可撓性フイルムを剥離するときに電子部品の接続部分に大きな力が加わり、回路パターンの屈曲や断線の原因となる可能性がある。
【0029】
島状の粘着防止領域は相対的に剥離強度が小さければ特に限定されず、その形成方法としては、例えば、粘着防止領域には剥離可能な有機物を設けないことで形成される。また、剥離力の異なる2種以上の有機物層を島状に塗り分けること、などにより形成することができる。
【0030】
補強板の上に剥離可能な有機物を設けない部分を形成する方法としては、予め、補強板上の有機物を形成しない部分をマスキングしておき、その上から有機物層を形成してマスキングとともに有機物を除去する方法やスクリーン印刷を利用する方法などが挙げられ、好ましく使用される。
【0031】
また、剥離力の異なる2種以上の有機物層を塗り分ける場合、接着剤または粘着剤の剥離力を低下させる方向に制御する必要があるが、接着剤または粘着剤の主剤と硬化剤の一方あるいは両方を高分子量化することにより、架橋後の流動性を小さくし、接着剤または粘着剤の可撓性フイルムへの投錨性を制御することができる。接着剤または粘着剤の耐熱性を向上するためにも、接着剤または粘着剤の主剤と硬化剤の一方あるいは両方を高分子量化することが好ましい。また、接着剤または粘着剤の剥離力を低下させるには、接着剤または粘着剤の主剤の分子鎖に導入する官能基数を増やすことにより硬化剤との架橋部位を増やすことも有効であり、さらに、主剤と硬化剤の混合比を変えることで、剥離力を調整することもできる。また、接着剤または粘着剤の剥離力を低下させ、接着剤または粘着剤の可撓性フイルムへの投錨性を制御する方法として、接着剤または粘着剤の厚みを適性化させるのは、比較的容易に行える方法であり、有効である。
【0032】
本発明において、島状の粘着防止領域としては、フイルムやシリコーン樹脂などが好適に用いられる。フイルムとしては、プラスチックフイルムや金属箔などが好適に用いられる。プラスチックフイルムとしては、ポリカーボネート、ポリエーテルサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、液晶ポリマーなどのフイルムが好適に用いられる。プラスチックフイルムの厚みは、薄いとハンドリングが困難になり、また厚いと可撓性フイルム上に生じる凹凸でフォトリソグラフィーに支障が発生したり、可撓性フイルム貼り合わせ時にプラスチックフイルム端部で気泡が発生することがあることから、0.1μmから5μmの範囲が好ましい。
【0033】
また、本発明において、島状の粘着防止領域に用いられるシリコーン樹脂としては、次の一般式などで表される珪素化合物が好適に採用される。
Si(OR、RSi(OR、R Si(ORなど。ここで、R、Rは炭化水素基を示す。
【0034】
より具体的には、テトラオキシムシラン、ビニルトリオキシムシランなどが好適に用いられる。シリコーン樹脂の厚みは、薄いと粘着力が充分に低下せず、また厚いと貼り合わせた可撓性フイルム上に生じる凹凸でフォトリソグラフィーに支障が発生したり、可撓性フイルム貼り合わせ時にプラスチックフイルム端部で気泡が発生することがあることから、0.1μmから5μmの範囲が好ましい。
【0035】
上記の回路パターンを形成する可撓性フイルムと貼り合わされている側の有機物層の表面形状は平面であることが好ましい。すなわち有機物層の断面形状に有機物層の凹凸による急なテーパーがある場合、有機物層を介して補強板に可撓性フイルムを貼り合わせるときに有機物層の端部で気泡が残留することがある。また、有機物層を介して補強板と可撓性フイルムを貼り合わせる際に、有機物層の端面で可撓性フイルムが伸ばされ、変形が固定されることがある。有機物層の端部のテーパー角は60°以下であることが好ましく、45°以下であることがより好ましい。また、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分が有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分に乗り上げている場合、あるいは、有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が小さい部分が有機物層と可撓性フイルムの間の剥離力が大きい部分に乗り上げている場合は、乗り上げている側の有機物層の端部のテーパー角は60°以下であることが好ましく、45°以下であることがより好ましい。
【0036】
プラスチックフイルムを使用して島状の粘着防止領域を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂をコーティングしたポリエステルフイルムを剥離可能な有機物層に貼り合わせ、粘着防止部分を型抜きした後、ポリエステルフイルムを剥離可能な有機物層から剥がすなどの方法を用いることができる。
【0037】
また、シリコーン樹脂を使用して島状の粘着防止領域を形成する方法は、例えば、スクリーン印刷などが好ましく用いられる。
【0038】
本発明に使用する可撓性フイルムには、また可撓性フイルムの両面に回路パターンが形成されていてもよい。例えば、補強板との貼り付けに先立って、貼り付け面に回路パターンが形成されていても良い。この場合、該回路パターン形成の際、もう一方の面に形成される回路パターンとの位置合わせ用マークを形成することが好ましい。貼り合わせ面とは反対側の面に形成する高精細パターンの高精細さを活かすために位置合わせマークを設けて位置合わせすることは高精細パターンの作製に非常に有効である。位置合わせマーク読みとり方法は特に限定されず、例えば、光学的な方法、電気的な方法等を用いることができる。位置合わせマークは、可撓性フイルムを補強板と貼り合わせる際の位置合わせにも利用することができる。位置合わせマークの形状は特に限定されず、露光機などで一般に使用される形状が好適に採用できる。
【0039】
可撓性フイルムを補強板に貼り付けた後に、可撓性フイルムの該貼り付け面とは反対面に形成される回路パターンは、補強板により加工時に生じる可撓性フイルムの変形を防止できるため、特に高精度なパターンを形成することができる。
【0040】
両面配線であることのメリットとしては、スルーホールを介しての配線交差ができ、配線設計の自由度が増すこと、太い配線で接地電位を必要な場所の近傍まで伝搬することで高速動作するLSIのノイズ低減ができること、同様に太い配線で電源電位を必要な場所の近傍まで伝搬することにより、高速スイッチングでも電位の低下を防ぎ、LSIの動作を安定化できること、電磁波シールドとして外部ノイズを遮断することなどが挙げられ、LSIが高速化し、また、多機能化による多ピン化が進む中で非常に有効である。
【0041】
さらに本発明では、可撓性フイルムの両面の加工時に、共に補強板を使用し、両面とも特に高精度なパターンを形成することも可能である。例えば、第1の補強板と可撓性フイルムの第2の面とを剥離可能な有機物層を介して貼り合わせて、可撓性フイルムの第1の面に回路パターンを形成してから、第1の面と第2の補強板とを有機物層を介して貼り合わせた後、可撓性フイルムを第1の補強板から剥離し、次いで可撓性フイルムの第2の面に回路パターンを形成してから、可撓性フイルムを第2の補強板から剥離する方法が挙げられ、両面共に高精度の回路パターン加工を実現することができる。
【0042】
本発明の回路基板とICなどの電子部品とを接続する工程は、補強板から回路パターンを備えた可撓性フイルムを剥離する工程よりも前にあることが重要である。補強板から可撓性フイルムを剥離した後に、回路基板とICなどの電子部品とを接続する場合に比べて、接続時の温度や湿度の条件による可撓性フイルムの寸法変化の影響を受けず良好な接続精度を得ることができるからである。
【0043】
本発明は、補強板上に、剥離可能な有機物層、回路パターンを備えた可撓性フイルムがこの順で積層された回路基板用部材であって、該剥離可能な有機物層が島状の粘着防止領域を含む回路基板を含むが、これら以外の積層成分の存在を妨げるものではない。例えば、保護フイルムなどが積層されていても良い。また、島状の粘着防止領域の中に、さらに湖状の剥離強度の異なる領域が存在していても良い。
【0044】
次に、本発明の回路基板を製造する好ましい一態様を以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0045】
厚さ0.7mmのアルミノホウケイ酸塩ガラスにスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷などで、剥離可能な有機物を塗布する。間欠的に送られてくる枚葉基板に均一に塗布するためには、ダイコーターの使用が好ましい。粘着防止領域が存在し、さらに、可撓性フイルムの周縁部に接する部分は単一の剥離力を有するように塗布する方法としては、予め、ガラス基板上の剥離可能な有機物を塗布しない部分をマスキングしておき、その上から剥離可能な有機物を全面に塗布してマスキングとともに剥離可能な有機物を除去しても良いし、剥離可能な有機物を全面に塗布した後に粘着防止領域を形成しない部分をマスキングしておき、その上から相対的に低い粘着力を有する有機物を全面に塗布してマスキングを除去しても良い。
【0046】
剥離可能な有機物を塗布後、加熱乾燥や真空乾燥などにより乾燥し、厚みが5μmの剥離可能な有機物層を得る。この剥離可能な有機物層に、ポリエステルフイルム上にシリコーン樹脂層を設けた空気遮断用フイルムを貼り付けて1週間熟成させる。空気遮断用フイルムを貼り付ける代わりに、窒素雰囲気中や真空中などで保管することもできる。また、剥離可能な有機物層を長尺フイルム基体に塗布、乾燥後、枚葉基板に転写させることも可能である。
【0047】
本発明において、剥離可能な有機物層は、最初に可撓性フイルム側に形成されていても良いし、補強板側に形成されていても良く、両方に形成されていても良い。形成の容易さや剥離界面が可撓性フイルムと有機物層の間となるように制御するためには、補強板側に形成されるのが好ましい。
【0048】
次に上記空気遮断用フイルムを剥がしてポリイミドフイルムを貼り付ける。ポリイミドフイルムの厚さは7.5μmから125μmの範囲が好ましい。ポリイミドフイルムの片面または両面に金属層があらかじめ形成されていても良い。ポリイミドフイルムの補強板貼り付け面側に金属層を設けておくと、電磁波遮断用のためのグラウンド層などとして利用することができ好ましい。ポリイミドフイルムは、あらかじめ所定の大きさのカットシートにしておいて貼り付けても良いし、長尺ロールから巻きだしながら、貼り付けと切断をしてもよい。このような貼り付け作業には、ロール式ラミネーターや真空ラミネーターを使用することができる。
【0049】
ポリイミドフイルムの貼り合わせ面とは反対側の面にあらかじめ金属層が設けられていない場合は、フルアディティブ法やセミアディティブ法で金属層を形成することができる。
【0050】
フルアディティブ法は、以下のようなプロセスである。金属層を形成する面にパラジウム、ニッケルやクロムなどの触媒付与処理をし、乾燥する。ここで言う触媒とは、そのままではめっき成長の核としては働かないが、活性化処理をすることでめっき成長の核となるものである。次いでフォトレジストをスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷などで塗布して乾燥する。該フォトレジストを所定パターンのフォトマスクを介して露光、現像して、めっき膜が不要な部分にレジスト層を形成する。この後、触媒の活性化処理をしてから、硫酸銅とホルムアルデヒドの組合せからなる無電解めっき液に、該ポリイミドフイルムを浸漬し、厚さ2μmから20μmの銅めっき膜を形成して、回路パターンを得る。
【0051】
セミアディティブ法は、以下のようなプロセスである。金属層を形成する面に、クロム、ニッケル、銅またはこれらの合金をスパッタし、下地層を形成する。該下地層の厚みは、通常、1nmから1000nmの範囲である。該下地層の上に銅スパッタ膜をさらに50nmから3000nm積層することは、後に続く電解めっきのために十分な導通を確保したり、金属層の接着力向上やピンホール欠陥防止に効果がある。該下地層形成に先立ち、ポリイミドフイルム表面に接着力向上のために、プラズマ処理、逆スパッタ処理、プライマー層塗布、接着剤層塗布が行われることは適宜許される。中でもエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリアミド樹脂系、ポリイミド樹脂系、NBR系などの接着剤塗布は接着力改善効果が大きく好ましい。これらの処理や塗布は、ガラス基板貼り付け前に実施されても良いし、ガラス基板貼り付け後に実施されても良い。ガラス基板貼り付け前に長尺のポリイミドフイルムに対してロールツーロールで連続処理されることは生産性向上が図れ好ましい。このようにして形成した下地層上にフォトレジストをスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、スクリーン印刷などで塗布して乾燥する。該フォトレジストを所定パターンのフォトマスクを介して露光、現像して、めっき膜が不要な部分にレジスト層を形成する。次いで該下地層を電極として電解めっきをおこなう。電解めっき液としては、硫酸銅めっき液、シアン化銅めっき液、ピロ燐酸銅めっき液などが用いられる。厚さ2μmから20μmの銅めっき膜を形成後、フォトレジストを剥離し、続いてスライトエッチングにて下地層を除去して、回路パターンを得る。さらに必要に応じて金、ニッケル、錫などのめっきを施す。
【0052】
上記ガラス基板上の空気遮断用フイルムを剥がして、ポリイミドフイルムをガラス基板に貼り付けた後、セミアディティブ法、フルアディティブ法、もしくはサブトラクティブ法で貼り合わせ面と反対側の面に高精細な回路パターンを形成することができる。
【0053】
なお、サブトラクティブ法とは、ポリイミドフイルムにベタの金属層が形成されている場合、フォトレジストとエッチング液を使って回路パターンを形成する方法であり、製造プロセスが短く、低コストな方法である。
【0054】
特に高精細な回路パターンを得るためには、セミアディティブ法、フルアディティブ法の採用が好ましい。
【0055】
さらに、ポリイミドフイルムに接続孔を設けることができる。すなわち、ガラス基板との貼り合わせ面側に設けた金属層との電気的接続を取るビアホールを設けたり、ボールグッリドアレーのボール設置用の孔を設けることができる。接続孔の設け方としては、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなどのレーザーエッチングやケミカルエッチングを採用することができる。レーザーエッチングを採用する場合は、エッチングストッパ層として、ポリイミドフイルムのガラス基板貼り付け面側に金属層があることが好ましい。
【0056】
ポリイミドフイルムのケミカルエッチング液としては、ヒドラジン、水酸化カリウム水溶液などを採用することができる。また、ケミカルエッチング用マスクとしては、パターニングされたフォトレジストや金属層が採用できる。電気的接続を取る場合は、接続孔形成後、前述の金属層パターン形成と同時にめっき法で孔内面を導体化することが好ましい。電気的接続をとるための接続孔は、直径が15μmから200μmが好ましい。ボール設置用の孔は、直径が80μmから800μmが好ましい。
【0057】
接続孔を形成するタイミングは限定されないが、ポリイミドフイルムをガラス基板に貼り合わせた後、ポリイミドフイルムの貼り合わせ面の反対面から接続孔を形成することが好ましい。
【0058】
必要に応じて、回路パターン上にソルダーレジスト膜を形成することができる。微細回路パターンに対しては感光性のソルダーレジストの採用が好ましい。スピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで回路パターン上に感光性ソルダーレジストを塗布し、乾燥させた後、所定のフォトマスクを介して紫外線露光・現像して、ソルダーレジストパターンを得る。次に100℃から200℃でキュアする。
【0059】
次に、ポリイミドフイルム上の回路パターンへ電子部品を接続する。電子部品との接続の位置精度を保つために、ポリイミドフイルム上の回路パターンへ電子部品を接続後に、該ポリイミドフイルムをガラス基板から剥離することが好ましい。電子部品との接続方法としては、例えば、ハンダ接続、異方導電性フイルムによる接続、金属共晶による接続、非導電性接着剤による接続、ワイヤーボンディング接続などが採用できる。
【0060】
次に、回路パターンが形成されたポリイミドフイルムをガラス基板から剥離する。レーザー、高圧水ジェットやカッターなどを用いて、剥離前に個片または個片の集合体に該回路パターン付きポリイミドフイルムを切り分けておくことが、取り扱いが容易になることから好ましい。
【0061】
可撓性フイルムの両面に、高精細の回路パターンを形成する場合は、最初に回路パターンが形成される面の加工においても、ガラス基板に貼り合わせられていることが好ましい。この場合は、可撓性フイルムをガラス基板に貼り合わせて、サブトラクティブ法、セミアディティブ法やフルアディティブ法でガラス基板貼り合わせ面とは反対側の面に回路パターンを形成し、次いで別のガラス基板に、可撓性フイルムの回路形成面側を貼り合わせてから、最初のガラス基板を剥離し、もう一方の面に、サブトラクティブ法、セミアディティブ法やフルアディティブ法で回路パターンを形成し、その後、ガラス基板を剥離する方法が好ましく用いられる。
【0062】
本発明の回路基板用部材は、電子機器の配線板、ICパッケージ用インターポーザー、ウエハレベルバーンインソケット用基板などに好ましく使用される。回路パターンに抵抗素子や容量素子を入れ込むことは適宜許される。
【0063】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例においてヤング率は、JIS R1602によって求められる値とした。また、剥離力は、以下の方法で測定した。
【0064】
<剥離力測定方法>
ポリイミドフイルムの剥離力の測定は次の方法で行なった。補強板上に形成した剥離可能な有機物層上にポリイミドフイルムを貼り合わせた後、ポリイミドフイルムを10mm幅に裁断した。TMI社製「テンシロン」を用いて300mm/分の剥離速度で10mm幅のポリイミドフイルムを180゜方向に剥離するときの力を剥離力とした。また、剥離力測定用のサンプルには、実際に作製する回路基板用部材と同じ材料を用いて、補強板/剥離可能な有機物層/可撓性フイルムの3層構成で10mm幅のものを作製した。また、剥離力を測定するときの剥離力測定用のサンプルの温度は、実際の工程中で可撓性フイルムを補強板から剥離するときの回路基板用部材の温度と同じにした。
【0065】
実施例1
フラスコ内を窒素雰囲気に置換し、N,N−ジメチルアセトアミド228重量部を入れ、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン19.88重量部を溶解した。次いで、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物25.76重量部を加え、窒素雰囲気下で、10℃、1時間撹拌した。続いて50℃で3時間撹拌しながら反応させ、ポリイミド前駆体ワニスからなる接着剤を得た。
【0066】
コンマコーターを用いて、ヤング率930kg/mm、厚さ25μm、幅300mmの長尺のポリイミドフイルム(”ユーピレックス”宇部興産(株)製)の片面に該接着剤を連続的に塗布した。次いで、80℃で10分間、130℃で10分間、150℃で15分間乾燥し、250℃で5分間キュアした。キュア後の接着剤層の膜厚は1μmであった。ポリイミドフイルムはロット違いのもの5点を用意した。
【0067】
マスキングテープを以下のように準備した。厚さ4μmのポリエチレンテレフタレートフイルムに、再剥離粘着剤”SKダイン”1499(綜研化学(株)製)と硬化剤D90(綜研化学(株)製)を100:6で混合したものをダイコーターを用いて形成した。乾燥・熟成後の再剥離粘着剤層の厚さを3μmとした。
【0068】
厚さ0.7mm、300mm角のアルミノホウケイ酸塩ガラスに、フォトマスクパターンの電子部品搭載部の下部にあたる部分を、上記マスキングテープで貼り合わせた。マスキング部分は一辺10mmの正方形とし、ガラスの周縁部より内側に互いに独立に配置した。ダイコーターで、有機物層として紫外線硬化型アクリル系の粘着剤”SKダイン”SW−11A(綜研化学(株)製)と硬化剤L45(綜研化学(株)製)を50:1で混合したものをガラス基板に塗布し、80℃で2分乾燥した。乾燥後の紫外線硬化型有機物層厚みを5μmとした。マスキングテープを剥がし、次いで、紫外線硬化型有機物層に、ポリエステルフイルム上に離型容易なシリコーン樹脂層を設けたフイルムからなる空気遮断用フイルムを貼り付けて(アルミノホウケイ酸塩ガラス/紫外線硬化型有機物層/ポリエステルフイルムの構成)1週間、常温で静置した。
【0069】
次に、空気遮断用フイルムを剥がしつつ、ガラス基板の紫外線硬化型有機物層が形成されている側にロール式ラミネーターで、前記したポリイミドフイルムを接着剤層を表にして貼り付けた。その後、ガラス基板側から紫外線を1000mJ/cm照射し、紫外線硬化型有機物層を硬化させた。
【0070】
スパッタにて、厚さ5nmのクロム−ニッケル合金膜と厚さ200nmの銅膜をこの順に、貼り合わせ面とは反対側の面に設けられた接着剤層上に積層した。続いて、銅膜上にポジ型フォトレジストをスピンコーターで塗布して80℃で10分間乾燥した。次に、フォトレジストをフォトマスクを介して露光後、該フォトレジストを現像して、めっき膜が不要な部分に厚さ10μmのレジスト層を形成した。テスト用フォトマスクパターンは、50μmピッチで240個の接続パッド(幅25μm、長さ80μm)を紫外線硬化型再剥離粘着剤が形成されていない部分に60個を一列として正方形に配置し、それぞれの接続パッドの幅25μmの中心から20μm幅で長さ5mmの配線が正方形の外側に向かって伸びたものを、300mm角内に4行4列に均等に配置した。さらに、測長用に基板の中心から対角方向に約141mm離して配置した4点(辺に平行な方向には互いに200mm離して配置)のマーカーをフォトマスクパターンに設けた。
【0071】
フォトマスクを現像後、120℃で10分間ポストベークした。次いで、銅膜を電極として厚さ5μmの銅層を電解めっきで形成した。電解めっき液は、硫酸銅めっき液とした。その後、フォトレジストをフォトレジスト剥離液で剥離し、続いて過酸化水素−硫酸系水溶液によるソフトエッチングにてレジスト層の下にあった銅膜およびクロム−ニッケル合金膜を除去した。引き続き、銅めっき膜上に、電解めっきで厚さ1μmのニッケル層と厚さ0.2μmの金層をこの順に積層した。ニッケル電解めっきはワット浴にて実施した。金電解めっき液はシアノ金(I)酸カリウムを用いた中性金めっき液とした。かくして、金属膜パターンを得た。
【0072】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
【0073】
次に、50μmピッチで240個の金めっきバンプをペリフェラル構造で配置した4mm×4mmのモデルICチップをチップ側から150℃に加熱しつつ超音波ボンダーを用いて、回路パターン上の接続パッドと金属接合した。
剥離力のチャートから、紫外線硬化型再剥離粘着剤とポリイミドフイルムとの間の剥離力は5.0g/cmであり、アルミノホウケイ酸塩ガラスとポリイミドフイルムとの間の剥離力は0g/cmであり、剥離力の相対的に低い領域の存在が確認された。また、剥離時の温度は25℃であった。
【0074】
回路パターン形成中にポリイミドフイルムが紫外線硬化型再剥離粘着剤から剥離することはなかった。次に、ポリイミドフイルムに吸着パッドをあて、端部から徐々にガラスから剥離し、回路基板用部材を得た。ICチップ接合部分でもポリイミドフイルムは容易に剥離することができ、回路パターンに折れなどの変形が発生することはなかった。
【0075】
剥離したポリイミドフイルム上の格子状パターンを測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、交差する金属膜線の中心点が交わる点として、前述した対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、非常に良好であった。また、基板から剥離したポリイミドフイルムの平坦性を目視で観察したところ、非常に良好であった。
【0076】
実施例2
補強板であるガラスにマスキングテープを貼り付けず、紫外線硬化型再剥離粘着剤を全面に均一に形成したことと、モデルICチップ搭載部の下部にあたる部分のみ、ポリイミドフイルム貼り合わせ前に厚み1μmのポリエステルフイルムを貼り付けたこと以外は実施例1と同様にして回路基板用部材を得た。剥離力のチャートから、紫外線硬化型再剥離粘着剤とポリイミドフイルムの間の剥離力は5.0g/cmであり、ポリエチレンフイルムとポリイミドフイルムとの間の剥離力は0g/cmであった。さらに実施例1と同様にして、ICチップを回路パターンに接合した後、ポリイミドフイルムに吸着パッドをあて、端部から徐々にガラスから剥離した。ICチップ接合部分でもポリイミドフイルムは容易に剥離することができ、回路パターンに折れや変形が発生することはなかった。測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、非常に良好であった。
【0077】
実施例3
補強板であるガラスにマスキングテープを貼り付けず、有機物層を全面に形成したことと、容易に剥離できるシリコーンコートしたポリエチレンテレフタレートフイルムを有機物層に貼り合わせ、型抜きすることによってモデルICチップ搭載部の下部にあたる部分にのみテトラオキシムシランからなる厚み1μmの粘着防止層を設けたこと以外は実施例1と同様にして回路基板用部材を得た。剥離力のチャートから、ポリイミドフイルムとテトラオキシムシランからなる粘着防止層との間の剥離力は1.0g/cmであった。さらに実施例1と同様にして、ICチップを回路パターンに接合した後、ポリイミドフイルムに吸着パッドをあて、端部から徐々にガラスから剥離した。ICチップ接合部分でもポリイミドフイルムは容易に剥離することができ、回路パターンに折れや変形が発生することはなかった。測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、非常に良好であった。
【0078】
比較例1
補強板であるガラスにマスキングテープを貼り付けず、有機物層を全面に形成したこと以外は実施例1と同様にして回路基板用部材を得た。さらに実施例1と同様にして、ICチップを回路パターンに接合した。位置精度などは実施例1と同様に測定したところ、フォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されており、モデルICチップのバンプと回路パターン上の接続パッドの位置合わせは非常に良好であった。しかし、ICチップが接合されている部分では、ガラスからのポリイミドフイルムからの剥離力が大きくなり、ガラスからの剥離後にポリイミドフイルム上の回路パターンの一部に折れが見られ、信頼性の上で問題があった。
【0079】
比較例2
厚さ0.7mm、300mm角のアルミノホウケイ酸塩ガラスに、ダイコーターで、紫外線硬化型再剥離粘着剤として紫外線硬化型アクリル系の粘着剤”SKダイン”SW−22(綜研化学(株)製)と硬化剤L45(綜研化学(株)製)を50:1で混合したものを、ガラス基板上へ、粘着剤が幅55mmの帯状となるよう、5mmの間隔を空けて5ヶ所に塗布し、80℃で2分乾燥した。乾燥後の紫外線硬化型再剥離粘着剤厚みを1μmとした。次いで、紫外線硬化型再剥離粘着剤に、ポリエステルフイルム上に離型容易なシリコーン樹脂層を設けたフイルムからなる空気遮断用フイルムを貼り付けて(アルミノホウケイ酸塩ガラス/紫外線硬化型再剥離粘着剤/シリコーン樹脂層/ポリエステルフイルムの部分とアルミノホウケイ酸塩ガラス/シリコーン樹脂層/ポリエステルフイルムの部分を有する構成)1週間、常温で静置した。
【0080】
次に、空気遮断用フイルムを剥がしつつ、ガラス基板の紫外線硬化型再剥離粘着剤が形成されている側にロール式ラミネーターでポリイミドフイルムを貼り付けた。その後、ガラス基板側から紫外線を1000mJ/cm2照射し、紫外線硬化型再剥離粘着剤を硬化させたこと以外は実施例1と同様にして金属層パターンを得た。
【0081】
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)間の距離を測定したところ、ロット違いポリイミドフイルム5点ともフォトマスクパターンに対して±5μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
【0082】
次に、50μmピッチで320個の金めっきバンプをペリフェラル構造で配置した5mm×5mmのモデルICチップをチップ側から150℃に加熱しつつ超音波ボンダーを用いて、回路パターン上の接続パッドと金属接合した。
【0083】
ポリイミドフイルムと紫外線硬化型再剥離粘着剤との間の剥離力は5g/cmであった。回路パターン形成中にポリイミドフイルムが紫外線硬化型再剥離粘着剤から剥離することはなかった。次に、端部から徐々にポリイミドフイルムをガラス基板から剥離した。ポリイミドフイルムは、紫外線硬化型再剥離粘着剤との界面で剥離し、カールすることはなかった。また、ICチップ接合部分でもポリイミドフイルムは容易に剥離することができて、回路パターンに折れなどの変形が発生することはなかった。しかし、ガラス基板とポリイミドフイルムの2種類のみが存在している部分において、ウエット工程でガラス基板とポリイミドフイルムとの間に薬液が入り込み、後の工程への不純物の持ち込みによるめっき品質の不具合や加熱時の膨れが発生することがあった。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、加工工程での湿式プロセスによる膨張と収縮、あるいは引っ張りや捻れ、補強板からの剥離時の損傷など外力による変形を抑制して、より設計値に近い微細加工および電子部品の搭載を可能とし、可撓性フイルムの低吸湿膨張性を活かした特に高精細な回路基板用部材を提供することができ、その実用性は多大である。

Claims (6)

  1. 補強板上に、剥離可能な有機物層、回路パターンを備えた可撓性フイルムが少なくともこの順で積層された回路基板用部材であって、該剥離可能な有機物層が島状の粘着防止領域を含むことを特徴とする回路基板用部材。
  2. 粘着防止領域には、前記剥離可能な有機物が設けられていないことを特徴とする請求項1記載の回路基板用部材。
  3. 粘着防止領域にシリコーン樹脂が設けられていることを特徴とする請求項1記載の回路基板用部材。
  4. 粘着防止領域にフイルムが設けられていることを特徴とする請求項1記載の回路基板用部材。
  5. 粘着防止領域を除く剥離可能な有機物層の形状が略格子状であることを特徴とする請求項1記載の回路基板用部材。
  6. 前記回路パターン上に電子部品が実装され、該実装部の略下部に粘着防止領域が設けられていることを特徴とする請求項1記載の回路基板用部材。
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