JP2004071303A - 全固体電池装置、その製造方法ならびに全固体電池の評価方法 - Google Patents

全固体電池装置、その製造方法ならびに全固体電池の評価方法 Download PDF

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美濃 辰治
Hironori Ishii
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Abstract

【課題】本発明は、電池部材の堆積によって製造する全固体電池およびその電池部材の試片を同一基板上に堆積することにより、電池を適切に評価する装置と評価方法を提供することを目的とする。
【解決手段】全固体電池を基板上に形成するとともに、その電池の少なくとも1種の電池部材の堆積工程と同時に、同一基板上の他の部位に当該電池部材の試片を堆積し、これら試片の両端または上下に一対の導電端子を形成する。これを評価用装置として、その電池および電池部材試片の特性を測定し、それらの測定データから故障電池などの解析を行う。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン伝導性無機固体電解質を用いる全固体電池の評価に用いる装置およびその製造方法、全固体電池の評価方法、ならびに全固体電池の電池部材の評価に用いる素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型軽量化に伴い、その電源となる電池についても小型軽量化の要望が強くなっている。電池の小型化を進めるため、従来からイオン伝導性無機固体電解質を用いる全固体電池が注目されている。全固体電池は、漏液することがなく、かつ薄型化が可能なことから、特に、ICカードや携帯電話などの小型薄型機器の電源として有望視されている。さらに、例えば、プリント基板に組み込んで使用したり、腕時計用やパソコンのバックアップ用などの電源として応用することもできる。特に、薄型化に適した電池として、ドライプロセスを用いて作製する全固体電池が注目され、この電池については、例えば、米国特許第5、567、660号明細書、同第5、512、147号明細書、特開昭61−165965号公報、特開平6−153412号公報、特開平10−284130号公報、および特開2000−106366号公報などで開示されている。
【0003】
全固体電池では、固体電解質層を介しての正極と負極との間のイオンの移動により充放電反応が行われる。特に、ドライプロセスを用いて作製された全固体電池は、各電池部材が全て固体の薄膜であり、これら薄膜が密接して積層されているので、電池を解体調査しても各電池部材やそれらの界面状態などの観察、あるいは電池部材毎の特性調査が困難である。そのため、製造された電池の特性、特に故障電池の異常原因を解析することは容易ではなく、解体調査をその決め手とすることができない。
【0004】
また、この電池の電極層、固体電解質層、集電体層および絶縁層などの各電池部材が全て所定のパターンで形成される薄膜であり、量産工程においてもこれらの各電池部材が一個の電池毎に個別に形成されるという特異性がある。従来の非水電解質二次電池の場合には、通常、各工程で調製された電極用合剤や電解液などのロットの中から、被検試料を抜き取り、特性確認を行ってからそのロットを次工程に供する、という方法などで工程が管理されている。しかし、全固体電池の場合は上記の特異性により、抜き取った被検試料の特性が、同一ロットの電池部材の特性と全く同一と見なすことができない。さらに、全固体電池の製造過程では、各工程で作製される電池部材の電気的特性に加えて、マスク合わせ精度や工程内での異物混入などの状態を管理する手段が必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、全固体電池の上記の問題点を解決し、全固体電池の的確な特性解析を可能にする全固体電池の評価用装置、その製造方法、およびそれらの装置を用いた全固体電池の評価方法、ならびに電池部材の特性評価を的確に行うための評価用素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の全固体電池装置は、基板上に形成された少なくとも1個の全固体電池、および前記全固体電池を構成する電池部材の少なくとも1種を含む電池部材素子を具備し、前記全固体電池が、(1)基板上に順次堆積された第1電極層、固体電解質層および第2電極層、(2)少なくとも一方の電極層に接触している集電体層、および(3)前記電池部材の1つまたは複数の特定領域を被覆する絶縁層を含み、前記電池部材素子が、前記基板上に前記全固体電池とは異なる位置に堆積された電池部材の少なくとも1種の試片、および前記試片の両端または上下に形成された一対の導電端子を含むことを特徴とする。
【0007】
上記本発明の全固体電池装置において、前記電池部材素子は、互いに接触しないように堆積された電池部材の1種の複数の試片、前記複数の試片の両端に形成された導電端子、および、前記試片のうちの少なくとも一対の試片の間を連結する位置に堆積された他の1種の電池部材の試片を具備するものが好ましい。前記電池部材の1種が電子伝導性を有し、前記他の1種の電池部材が電気絶縁性を有することがさらに好ましい。
【0008】
さらに前記電池部材素子は、前記基板上に順次堆積された下部導電端子、固体電解質層または電極層の試片、および上部導電端子を具備するもの、ならびに前記基板上に順次堆積された下部導電端子、固体電解質層と電極層とが積層された試片、および上部導電端子を具備するものが好ましい。
【0009】
本発明の全固体電池装置の製造方法は、基板上に、全固体電池、および前記全固体電池を構成する電池部材の少なくとも1種を含む電池部材素子を作製する方法であって、
(1)前記全固体電池を作製する工程が、(1−1)基板上に、第1電極層、固体電解質層および第2電極層をその順に堆積する工程、(1−2)少なくとも一方の電極層に接触させる集電体層を堆積する工程、および(1−3)前記電池部材の1つまたは複数の特定領域を被覆するために該電池部材上に絶縁層を堆積する工程を含み、
(2)前記電池部材素子を作製する工程が、(2−1)電池部材の少なくとも1種を、前記基板上の前記全固体電池とは異なる位置に、前記全固体電池の作製工程における当該電池部材の堆積工程と同時に、1つまたは複数の試片として堆積する工程、および(2−2)前記試片の両端または上下の一対の導電端子を形成する工程を含むことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の全固体電池の評価方法は、本発明の上記全固体電池装置のいずれかを用い、前記全固体電池の特性を測定する工程、前記電池部材素子における電池部材の特性を測定する工程、および前記測定したデータを解析する工程を有することを特徴とするものである。前記本発明の全固体電池の評価方法は、各電池部材の特性および全固体電池の特性から、前記全固体電池の故障解析を行うことが好ましい。
【0011】
本発明の全固体電池の電池部材素子は、集電体層、第1電極層、固体電解質層、第2電極層、および絶縁層からなる群より選ばれる少なくとも1種の電池部材の試片、ならびに前記試片の両端または上下に接続された一対の導電端子を基板上に形成したことを特徴とするものである。
【0012】
上記本発明の全固体電池の電池部材素子は、互いに接触しないように堆積された電池部材の1種の複数の試片、前記各試片の両端に形成された導電端子、および前記試片のうちの少なくとも一対の試片の間を連結する位置に堆積された他の1種の電池部材の試片を具備するもの、ならびに基板上に順次堆積された下部導電端子、固体電解質層または電極層の試片、および上部導電端子を具備するもの、ならびに基板上に順次堆積された下部導電端子、固体電解質層と電極層とが積層された試片、および上部導電端子を具備するものが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の全固体電池装置は、基板上に形成された少なくとも1個の全固体電池、および全固体電池を構成する電池部材の少なくとも1種を含む電池部材素子を具備するものである。この電池部材素子は、基板上の全固体電池とは異なる位置に堆積された電池部材の少なくとも1種の試片、および前記試片の両端または上下に形成された一対の導電端子を含むものである。
【0014】
上記本発明の全固体電池装置における電池部材素子の1つの好ましい形態として、互いに接触しないように堆積された電池部材の1種の複数の試片、これら試片の両端に形成された導電端子、および少なくとも一対の試片の間を連結する位置に他の1種の電池部材の試片を堆積させたものがある。この電池部材素子により、2種の電池部材の特性を測定することができる。この場合、前記電池部材の1種は電子伝導性を有する電池部材(集電体層または電極層)であり、前記他の1種の電池部材は電気絶縁性を有する電池部材(固体電解質層または絶縁層)であることがさらに好ましい。
【0015】
上記形態の電池部材素子のより具体的な形態の例として、前記電池部材の1種の試片が、帯状の第1の試片、および、第1の試片との間隔がそれぞれ異なる位置に第1の試片と平行に堆積された、第1の試片より長さが短く、かつ互いに長さの異なる複数の第2の試片からなり、さらに第1の試片と第2の試片との間をそれぞれ連結する位置に堆積された、前記電池部材の他の1種の試片を具備するものがある。
【0016】
上記の電池部材素子の基板としては、例えば、アルミナ、セラミックスおよびガラスのような絶縁性材料を用いることができる。Cu、AlあるいはNiなどの金属、または、Si、SiCあるいはGa−Asなどの半導体などの導電性材料を基板に用いる場合には、少なくとも電池部材試片が形成される部分の基板表面は、酸化シリコンや窒化シリコンなどの絶縁膜を形成するなどの方法で電気絶縁性を付与することが必要である。これらの各電池部材素子により、下部集電体層や上部集電体層のシート抵抗、固体電解質層のイオン伝導度、電気抵抗および絶縁耐圧、下部電極や上部電極のシート抵抗、ならびに絶縁層の絶縁耐圧などの諸特性を測定できる。
【0017】
さらに、上記本発明の全固体電池装置における電池部材素子の他の好ましい形態として、基板上に順次堆積された下部導電端子、固体電解質層または電極層の試片、および上部導電端子を具備するものがある。これらの電池部材素子により、固体電解質層のイオン伝導度、電気抵抗および絶縁耐圧などの層断面方向の特性値、ならびに上部電極層または下部電極層の電気抵抗など層断面方向の特性値を測定できる。さらに、他の好ましい電池部材素子の形態としては、前記基板上に順次堆積された下部導電端子、固体電解質層と電極層とが積層された試片、および上部導電端子を具備するものがある。この電池部材素子により固体電解質層と電極層との積層膜の層断面方向の電気抵抗を測定することができる。
【0018】
本発明の全固体電池装置においては、電池、ならびに試片の上下部に一対の導電端子を備えた形態の電池部材素子が形成される部分の基板表面は導電性または絶縁性のいずれであってもよい。一方、試片の両端に一対の導電端子を備えた形態の電池部材素子が形成される部分の基板表面は絶縁性を有することが必要である。導電性を有する基板表面に電池あるいは前者の電池部材素子を形成する場合には、基板あるいはその表面が下部集電体層あるいは下部導電端子を兼用することができるため、これらを省略してもよい。さらに、例えばプリント基板のように、表面の少なくとも一部に導電性材料を被覆した絶縁性材料を用い、導電性の表面部分に電池あるいは前者の電池部材素子を形成し、絶縁性の表面部分に後者の電池部材素子を形成することもできる。なお、全固体電池装置における電池に用いる基板と同様の基板を、全固体電池の生産品にも用いることができる。
【0019】
本発明の全固体電池装置の製造方法は、全固体電池を基板上に形成する過程で、電池部材の少なくとも1種を、基板上の全固体電池とは異なる位置に、全固体電池の当該電池部材の堆積工程と同時に、1つまたは複数の試片として堆積する工程、およびこれら試片の両端または上下の一対の導電端子を形成する工程を含むものである。
【0020】
本発明の全固体電池の評価方法は、本発明の上記全固体電池装置のいずれかを用い、全固体電池の特性および電池部材素子における電池部材の特性を測定するそれぞれの工程、ならびにこれらの測定データを解析する工程を有するものであり、この評価方法により、特に全固体電池の故障解析を行うことが有効である。ここでいう電池の特性とは、充放電特性や保存特性以外に、開放電圧や電池内部抵抗などの静特性を含む。
【0021】
本発明の全固体電池の評価方法における故障解析の一例としては、全固体電池装置の電池の特性測定により得られる充放電曲線を観測し、電池電圧の分極の程度を調べるとともに、同装置中の電池部材素子によって、例えば上下電極層のシート抵抗や固体電解質層のイオン伝導度を測定し、上記分極がどの部材の特性に由来するものかを特定する。例えば、上部電極層のシート抵抗が、正常な特性を示す電池の場合と比較して大きければ、分極の原因が少なくとも上部電極層に由来することが推定できる。
【0022】
また、本発明の全固体電池装置を保管することにより、製造された全固体電池およびその全固体電池の電池部材と同質の電池部材を、現物試料として保管することができる。製造された全固体電池の初期特性、保存特性、および充放電特性などの諸特性を解析する場合、保管されている電池および電池部材素子の諸特性を測定し、これらの諸特性と照合することにより、より高精度の解析を行うことができる。これによって、特に、製造された電池の特性に異常が発生した場合に、正確かつ迅速な原因究明が可能となり、適切な対策を早期に講じることができる。また、電池部材試片の寸法、堆積位置、および外観などを観察することにより、当該電池の電池部材の堆積状況の良否およびエッチングの程度などを判定することができる。
【0023】
さらに、製造ロット毎に、当該ロットの電池の諸特性と、これと同時に製造された全固体電池装置から得られる測定値との関連性を把握し、そのデータを蓄積することにより、全固体電池装置の測定値から、そのロットの電池の保存特性や充放電サイクル特性など、確認に長期間を要する諸特性の予測判定を行うことも可能となる。また、大型基板上に多数の電池の電池部材を所定のパターンで同時に堆積し、全ての電池部材の堆積工程が終了した後に、個別の電池単位に分割する全固体電池の製造方式では、当該ロットの全固体電池と同一基板を用いて全固体電池装置を同時に製作することができる。この場合には、電池部材試片の寸法やパターニング精度をチエックすることにより、その製造ロットの当該電池部材のマスク合わせ精度や加工精度を的確に評価することができる。本発明の全固体電池装置は、上記の例に限定されることなく、全固体電池の製品管理および工程管理を行う上での評価手段として広く活用することができる。
【0024】
本発明の電池部材素子は、上記のように全固体電池とともに同一基板上に搭載して全固体電池装置を構成する場合と、単独で全固体電池の電池部材の評価用手段として用いられる場合がある。後者の場合の電池部材素子は、全固体電池の製造過程での各電池部材の堆積工程、すなわち基板上に薄膜状の各電池部材を順次積層して形成するそれぞれの工程、に先立ってその工程と同一条件下で、当該電池部材の電池部材素子を基板上に形成したものである。当該電池部材の堆積工程が開始される以前に、これらの電池部材素子に組み込まれた電池部材試片の特性値を測定しあるいは堆積状態を観察することによって、適切な工程条件を確認した上で、当該電池部材の堆積工程を実施できる。さらに、これらの電池部材素子を保管することによって、当該全固体電池および電池部材の特性を解析する際の試料としても役立てることができる。
以下、具体的な実施の形態を例示して、本発明をより詳細に説明する。
【0025】
《実施の形態1》
電池と各種電池部材素子を搭載した全固体電池装置についての実施の形態を以下に例示する。図1はその平面図であり、便宜上各種の絶縁層を省略している。上部集電体層110、上部電極層207および下部集電体層111などの電池部材から構成された電池101と、第1の電池部材素子102、第2の電池部材素子123、第3の電池部材素子129、第4の電池部材素子137、第5の電池部材素子147および第6の電池部材素子157がそれぞれ同一の基板上に配設されている。
【0026】
第1の電池部材素子102には、複数の上部電極層試片104a、104bおよび104cが設けられている。これら上部電極層試片は互いに長さが異なり、かつ平行に配置されている。それぞれの上部電極層試片の両端には導電端子105が設けられている。固体電解質層試片103a、103bおよび103cは、それぞれの一端が上部電極層試片104a、104bおよび104cの側部と接触した状態で形成されている。各上部電極層試片104a、104bおよび104cと対向し、平行な位置に設けられた他の上部電極層試片106の側部に、各固体電解質層試片103a、103bおよび103cの他端がそれぞれ接触している。上部電極層試片106の両端には、それぞれ導電端子107aおよび107bが設けられている。
【0027】
図2は図1のX1−X2線で切った断面図である。図2において、第1の電池部材素子102内では、上部電極層試片104aおよび106に接して固体電解質層試片103aが形成され、上部電極層試片104aおよび106は導電端子105aおよび107aにそれぞれ接続されている。電池は、アルミニウム製の基板201上に順次形成された下部集電体層111、下部電極層203、固体電解質層206、上部電極層207、上部集電体層110および絶縁被覆層210などの絶縁層から構成されている。ここで、上部電極層試片104aおよび106は、上部電極層207と同時に堆積された同質の層からなり、固体電解質層試片103aは固体電解質層206と同時に堆積された同質の層からなっている。第1の電池部材素子102は、酸化シリコンからなる第1絶縁膜204および窒化シリコンからなる第2絶縁膜205によって、電池および基板201から絶縁されている。
【0028】
図1に示した導電端子105aと105bの間の電気抵抗を電気抵抗計により計測して、上部電極層試片104aのシート抵抗を測定することができる。また、導電端子105aと107aの間のイオン伝導度をイオン伝導度計により計測して、固体電解質層試片103aのイオン伝導度を測定することができる。他の上部電極層試片104b、104cおよび106のシート抵抗、ならびに他の固体電解質層試片103bおよび103cのイオン伝導度についても、上記の方法に準じて測定することができる。
【0029】
図1において、第2の電池部材素子123は、長さが異なる複数の上部集電体層試片124aおよび124bが互いに平行に設けられ、それらの両端には、それぞれ導電端子125aおよび125bが設けられている。上部集電体層試片124aおよび124bの側部には、絶縁被覆層試片126aおよび126bの一端がそれぞれ接続されている。上部集電体層試片124aおよび124bと対向し、これらと平行に配置された他の上部集電体層試片127の側部には、絶縁被覆層試片126aおよび126bの他端がそれぞれ接続されている。上部集電体層試片127の両端には、それぞれ導電端子128aおよび128bを備えている。
【0030】
図3は、図1のY1−Y2線で切った断面図である。上記の第2の電池部材素子123は第2絶縁膜205で周囲を囲まれた部分に設けられている。上部集電体層試片124aおよび127が、絶縁被覆層試片126aを介して形成されている。ここで、上部集電体層試片124aおよび127は上部集電体層110と同時に堆積された同質の層からなり、絶縁被覆層試片126aは絶縁被覆層210と同時に堆積された同質の層からなっている。また、第2の電池部材素子123は、電池と基板201から第1絶縁膜204によって絶縁されている。電池は、下部集電体層111、下部電極層203、固体電解質層206、上部電極層207、上部集電体層110および絶縁被覆層210などの絶縁層から構成されている。
【0031】
図1に示した導電端子128aと128bの間の電気抵抗を電気抵抗計によって計測することにより、上部集電体層試片127のシート抵抗を測定することができる。また、導電端子128aと125aの間の電気抵抗を絶縁抵抗計によって計測することにより、絶縁被覆層試片126aの絶縁耐圧を測定することができる。なお、他の上部集電体層試片124aおよび124bのシート抵抗、および絶縁被覆層試片126bの絶縁耐圧についても上記の方法に準じて測定することができる。
【0032】
図1において、第3の電池部材素子129は、長さが異なる複数の下部電極層試片130a、130bおよび130cが互いに平行に設けられ、それらの両端には、それぞれ導電端子131aおよび131bが設けられている。図4は、図1のZ1−Z2線で切った断面図である。各下部電極層試片130a、130bおよび130cは第1絶縁膜204、第2絶縁膜205、および絶縁被覆層210と同時に堆積された第3絶縁膜405により周囲を被覆されている。図1の導電端子131aと131bの間の電気抵抗を電気抵抗計で測定することにより、下部電極層試片130aのシート抵抗を測定することができる。他の下部電極層試片130bおよび130cのシート抵抗も上記に準じて測定することができる。
【0033】
上記のように、第1〜3の電池部材素子において、それぞれ複数の電池部材試片を設け、これら複数試片の特性値を測定することにより、測定データの信頼性を高めることができる。また、仮に、堆積時に一部の電池部材試片に異物が混入したり、ピンホールなどの欠陥が発生した場合でも、他の正常な電池部材試片によって、特性値を測定することができる。
【0034】
さらに、複数の電池部材試片の長さを変化させ、これらの測定値を比較することにより、堆積時の異物混入やピンホールなどの欠陥の程度を推測できる。例えば、全ての固体電解質層試片が正常な絶縁抵抗値を示す場合には、これら固体電解質層試片中には問題視すべき導電性異物の混入がないことが推測できる。また、短い固体電解質層試片では絶縁状態が破壊されているが、長い固体電解質層試片では正常な絶縁抵抗値を示す場合と、いずれの固体電解質層試片でも絶縁状態が破壊されている場合とでは、後者の場合に導電性異物の混入の程度がより大きいことが推測できる。
【0035】
図1において、第4の電池部材素子137では、下部集電体層111と同時に堆積された下部導電端子136、固体電解質層206と同時に堆積された固体電解質層試片139、および上部集電体層110と同時に堆積された上部導電端子135が積層されている。第5の電池部材素子147では、下部集電体層111と同時に堆積された下部導電端子146、下部電極層203と同時に堆積された下部電極層試片149、および上部集電体層110と同時に堆積された上部導電端子145が積層されている。第6の電池部材素子157では、下部集電体層111と同時に堆積された下部導電端子156、上部電極層207と同時に堆積された上部電極層試片159、および上部集電体層110と同時に堆積された上部導電端子155が積層されている。
【0036】
図5は、図1のW1−W2線で切った断面図である。基板201上に、第4の電池部材素子137、第5の電池部材素子147および第6の電池部材素子157が、絶縁被膜810によって相互に隔離されて形成されている。第4の電池部材素子137、第5の電池部材素子147および第6の電池部材素子157のそれぞれの上部導電端子135、145および155の上面から下部集電端子136、146および156にかけて、絶縁被膜807、808および809が形成されている。
【0037】
第4の電池部材素子137の下部導電端子136の露出部と上部導電端子135の露出部との間の電気抵抗あるいはイオン伝導度を、絶縁抵抗計あるいはイオン伝導度計により測定して、固体電解質層試片139の層断面方向の絶縁抵抗あるいはイオン伝導度を測定することができる。第5の電池部材素子147の下部導電端子146の露出部と上部導電端子145の露出部との間の電気抵抗を電気抵抗計により測定して、下部電極層試片149の層断面方向の電気抵抗を測定することができる。さらに、第6の電池部材素子157の下部導電端子156の露出部と上部導電端子155の露出部との間の電気抵抗を電気抵抗計により測定して、上部電極層試片159の層断面方向の電気抵抗を測定することができる。
【0038】
上記第4〜6の電池部材素子の固体電解質層試片あるいは電極層試片の膜厚は、同一基板上に搭載される電池、あるいは同一製造ロットの全固体電池の固体電解質層あるいは電極層と同じ膜厚であることが好ましく、膜厚および平面的形状とも同一であることがさらに好ましい。これにより、全固体電池に搭載されている電池あるいは当該製造ロットの全固体電池に組み込まれている固体電解質層および電極層そのもの、またはそれに近いものの特性値を直接的に測定することができる。
【0039】
全固体電池装置を作製する場合、必ずしも、図1のように同じ基板上に第1〜6の電池部材素子の全てを搭載する必要はなく、目的に応じて搭載する電池部材素子の種類を選択すればよい。例えば、下部電極層の工程条件の確認が既に完了している場合など、第3の電池部材素子が不要な場合には、これを省略した構成にすれば良い。電池と電池部材素子を組み合わせた各種の全固体電池装置は、各電池部材を堆積する際のマスクパターンを変更することなどで容易に作製することができる。
【0040】
《実施の形態2》
電池と第1の電池部材素子を同一基板上に搭載した全固体電池装置の製造方法を、図6および図7により工程順に説明する。図6および図7は、この全固体電池装置の図1のX1−X2線に相当する部分で切った断面図を示す。まず、面積1.5cm×1.5cmのアルミナ製の基板501上に、スパッタ法により、厚さ1.0μmのアルミニウム膜520を形成する。次に、感光性レジストを1500rpmのスピンコーターを用いて2000Åの膜厚に塗布し、100℃で30分間のベーキングを行い、レジスト膜503を形成する。次に、パターニングされた石英マスクを用いてエキシマレーザー露光装置により、短波長光線を照射する。その後、現像液に浸し、レジスト膜503をパターニングする。その状態を図6(1)に示す。
【0041】
次いで、ドライエッチングにより、レジスト膜503を被覆していない部分のアルミニウム膜520をエッチングして除去する。除去されない部分のアルミニウム膜520が電池の下部集電体層502となる。Al以外の下部集電体層の材料として、WやMoなどの金属、Al―Si−Cuなどの合金、WSiやTiSiのようなシリサイドを用いることができる。
エッチング後、Oプラズマアッシング法およびレジスト剥離液への浸漬により、レジスト膜503を完全に除去する。次に第1絶縁膜504として、プラズマCVD法によって、例えば厚さ10μmの酸化シリコン膜を堆積させる。第1絶縁膜としては、酸化シリコン膜以外に、窒化シリコン膜などを第1絶縁膜に用いることができる。
【0042】
次いで、レジストエッチバック法もしくはCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、第1絶縁膜504を平滑化した後、その表面に感光性レジストを1500rpmのスピンコーターにより2000Åの膜厚に塗布し、100℃で30分間のベーキングを行いレジスト膜505を形成する。次に、パターニングされた石英マスクを用いてエキシマレーザー露光装置により、短波長光線を照射する。その後、現像液に浸し、レジスト膜505のパターニングを完了させる。その状態を図6(2)に示す。
【0043】
次いで、CF/CHF/Oガスを用いたドライエッチングにより、レジスト膜505を被覆していない部分の第1絶縁膜504を除去する。その後、Oプラズマアッシングおよびレジスト剥離液への浸漬により、レジスト膜505を完全に除去する。次に、 第2絶縁膜506として、例えば、プラズマCVD法により厚さ5μmの窒化シリコン膜を堆積する。窒化シリコン膜に代えて酸化シリコン膜などの絶縁膜を用いることもできる。次に、レジストエッチバック法もしくはCMP法により第2絶縁膜506を平滑化する。その表面に感光性レジストを1500rpmのスピンコーターにより2000Åの膜厚に塗布し、100℃で30分間のベーキングを行いレジスト膜507を形成する。次に、パターニングされた石英マスクを用いてエキシマレーザー露光装置により、短波長光線を照射する。その後、現像液に浸し、レジスト膜507のパターニングを完了させる。その状態を図6(3)に示す。
【0044】
次に、CF/CHFガスを用いたドライエッチングにより、レジスト膜507を被覆していない部分の第2絶縁膜506を除去し、下部集電体層502上および第1の電池部材素子が形成される位置にそれぞれ開口部を形成する。その後、Oプラズマアッシングおよびレジスト剥離液への浸漬によりレジスト膜507を完全に除去する。次に、パターン化された金属マスクを用いて、例えば、真空蒸着装置によりLiCoOをスパッタして、下部集電体層502上の開口部に厚み10μmの下部電極層508を堆積する。スパッタは、例えば、Ar/O=3/1の体積比の混合ガスを20sccmで供給し、20mTorrの減圧雰囲気中で、パワー200Wの条件で行う。下部電極層の材質は、後述する固体電解質層および上部電極層との組合わせにより適宜選択できる。
【0045】
次に、スパッタ法により、前記第2絶縁膜506の開口部のそれぞれに、厚み5μmのLiS−SiS−LiPOからなる固体電解質層509および固体電解質層試片519を堆積する。その状態を図6(4)に示す。スパッタは、例えば20mTorrのN雰囲気中で、パワー35Wの条件で行う。
【0046】
固体電解質層の材料としては、各種のイオン伝導性固体電解質を用いることができる。リチウムイオン伝導性固体電解質としては、LiS−SiS、LiPO−LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI、LiI−Al、LiN、LiN−LiI−LiOH、LiO−SiO、LiO−B、LiI−LiS−P、LiI−LiS−B、Li3.6Si0.60.4およびLiI−LiPO−Pなどを用いることができる。銅イオン伝導性固体電解質としては、RbCu1.5Cl3.5、CuI−CuO−MoOおよびRbCu16Cl13などを用いることができる。銀イオン伝導性固体電解質としては、α―AgI、AgWO、CNHAg、AgI−AgO−MoO、AgI−AgO−BおよびAgI−AgO−Vなどを用いることができる。さらにプロトン伝導性固体電解質としては、LaMg0.5Ce0.5、LaZrおよびα―Alなどを用いることができる。
【0047】
次に、感光性レジストを1500rpmのスピンコーターにより2000Åの膜厚に塗布し、100℃で30分間のベーキングを行いレジスト膜510を形成する。次に、パターニングされた石英マスクを用いてエキシマレーザー露光装置により、短波長光線を照射する。その後、現像液に浸し、レジスト膜510のパターニングを完了させる。次に、CF/Oガスを用いたドライエッチングにより、レジスト膜510が被覆されていない部分の第2絶縁膜506を除去し、開口部511を形成する。その状態を図7(1)に示す。次に、Oプラズマアッシングおよびレジスト剥離液によりレジスト膜510を完全に除去する。
【0048】
次にパターニングされた金属マスクを用いて、例えば、真空蒸着により、固体電解質層509上および開口部511内に厚み5μmの金属Li膜を堆積させる。固体電解質層509上のLi膜は電池の上部電極層512となり、開口部511内に堆積した金属Li層は、第1の電池部材素子の上部電極層試片513となる。その状態を図7(2)に示す。なお、上部電極層の材料として、金属Li以外にLi−Al合金やカーボンなどを用いることができる。
【0049】
次に、プラズマCVD法により、例えば、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜を各々5.0μmの膜厚で堆積させ、第3絶縁膜514を基板の全面に形成する。次に、第3絶縁膜514上に、感光性レジストを1500rpmのスピンコーターにより2000Åの膜厚に塗布し、100℃で30分間のベーキングを行いレジスト膜515を形成する。次に、パターニングされた石英マスクを用いてエキシマレーザー露光装置により、レジスト膜515に短波長光線を照射する。その後、現像液に浸し、レジスト膜515のパターニングを完了させる。その状態を図7(3)に示す。
【0050】
次に、CF/CHF/Oガスを用いたドライエッチングにより、レジスト膜515を被覆していない部分の第3絶縁膜514を除去した後に、Oプラズマアッシングおよびレジスト剥離液によりレジスト膜515を完全に除去する。次に、スパッタ法により厚さ10μmで銅膜を基板全面に堆積させる。次に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法により銅膜をパターニングし、電池の上部集電体層516、および第1の電池部材素子用の導電端子517を形成する。その状態を図7(4)に示す。このようにして、第1の電池部材素子と電池を同一基板上に形成することができる。
【0051】
上記の例では、上部電極層を負極、下部電極層を正極としたが、本発明では、正負極のいずれが上部電極層あるいは下部電極層であってもよい。また、正極および負極の活物質は固体電解質層の電解質材料との組み合わせによって適宜選択できる。電解質としてリチウムイオン伝導性固体電解質を用いる場合には、通常のリチウム二次電池用活物質を用いることができる。例えば、正極活物質として、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiTiS、LiMoS、LiMoO、LiおよびLi13などを用いることができる。負極活物質として、金属Li、カーボン、Li3/4Ti5/3などを用いることができる。
【0052】
電解質が銅イオン伝導性固体電解質の場合には、正極活物質としてCuS、CuTiSおよびCuMo7.8などを、負極活物質として金属Cuなどを用いることができる。また、電解質が銀イオン伝導性固体電解質の場合には、正極活物質としてAg0.7、AgTiSなどを、負極活物質として金属Agなどを用いることができる。さらに、電解質がプロトン伝導性固体電解質の場合には、正極活物質としてNi(OH)などを用い、負極活物質としてTiFe、ZnMn、ZrV、ZrNi、CaNi、LaNi、MmNi、MgNiおよびMgCuなどの水素吸蔵合金、ならびに金属Cdなどを用いることができる。
【0053】
《実施の形態3》
次に、電池と第2の電池部材素子を搭載した全固体電池装置の製造方法について、図8および図9に沿って説明する。この装置の製造工程は、第2絶縁膜506を堆積させるまでは実施の形態2の製造プロセスと同じである。なお、そのプロセスの後の工程では、金属マスクまたは石英マスクには、第2の電池部材素子用のパターンを組み込んだものを用いる。
【0054】
図8および図9は、図1のY1−Y2線に相当する部分で切った断面を示している。基板601上には下部集電体層602が形成され、この側面および上面は第1絶縁膜603と第2絶縁膜604で覆われ、さらに、第2絶縁膜604上にパターニングされたレジスト膜605が形成されている。その状態を図8(1)に示す。次に、CF/Oガスを用いたドライエッチングにより、レジスト膜605を被覆していない部分の第2絶縁膜604を除去し、溝部606aおよび606bを形成する。その後、Oプラズマアッシングおよびレジスト剥離液により、レジスト膜605を完全に除去する。その状態を図8(2)に示す。
【0055】
次いで、実施の形態2の方法に準じて、電池の下部電極層610、固体電解質層611および上部電極層612を形成し、さらにその上に第3絶縁膜607を形成する。次いで、第3絶縁層607上にレジスト膜608を形成し、パターニングを行う。その状態を 図8(3)に示す。レジスト膜608の形成およびパターニングは、実施の形態2に準じた方法で行う。次に、CF/CHF/Oガスを用いたドライエッチングにより、レジスト膜608を被覆していない部分の第3絶縁膜607を除去する。これにより、上部電極層612上の開口部と上部集電体層試料用の開口部609を形成する。第3絶縁膜607が除去されていない部分により、電池の絶縁被覆層618および絶縁被覆層試片619が形成される。その後、Oプラズマアッシングおよびレジスト剥離液によりレジスト膜608を完全に除去する。その状態を図9(1)に示す。
【0056】
次に、スパッタ法により、基板全面に銅膜613を6μmの厚さで堆積させる。この時、開口部609の内部にも銅膜613が堆積される。次に、実施の形態2に準じた方法でレジスト膜616を形成し、パターニングを行う。その状態を図9(2)に示す。次に、ドライエッチングによりレジスト膜616が形成されていない部分の銅膜613をエッチングにより除去する。その後、Oプラズマアッシングおよびレジスト剥離液への浸漬によりレジスト膜616を完全に除去する。エッチングで除去されない部分の銅膜により、電池の上部集電体層617、電池部材素子の上部集電体層試片614および導電端子615が形成される。その状態を図9(3)に示す。Cu以外の上部集電体層の材料として、Al、W、およびMoなどの金属、Al―Si−Cuなどの合金、WSiやTiSiなどのシリサイド、ならびにSi、SiCおよびGa−Asなどの半導体を用いることもできる。
【0057】
《実施の形態4》
次に、第3の電池部材素子の製造方法を図10および図11に沿って説明する。まず、第1絶縁膜702および第2絶縁膜703を実施の形態2に準じた方法で基板701上に堆積させ、その上にレジスト膜704を形成する。次いで、第3の電池部材素子用にパターニングされた石英マスクを用いてエキシマレーザー露光装置により、短波長光線を照射する。その後、現像液に浸し、レジスト膜704をパターニングする。その状態を図10(1)に示す。
【0058】
次に、CF/Oガスを用いたドライエッチングにより、レジスト膜704を被覆していない部分の第2絶縁膜703を除去し、その後、Oプラズマアッシングおよびレジスト剥離液によりレジスト膜704を完全に除去する。これにより、第3の電池部材素子の下部電極層試片をその内部に堆積させるための複数の溝部705が形成される。その状態を図10(2)に示す。次に、第3の電池部材素子用にパターンニングされた金属マスクを用いて、真空蒸着装置により、溝部705の内部にLiCoOをスパッタにより堆積させ、厚み10μmの複数の下部電極層試片706を形成する。その状態を図10(3)に示す。スパッタは、例えば、Ar/O=3/1の体積比の混合ガスを流速20sccmで供給される20mTorrの減圧雰囲気中で、パワー200Wで行う。
【0059】
次に、プラズマCVD法により第3絶縁膜707としてシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜を各々膜厚1.0μmで全面に堆積する。この上に、実施の形態2の方法に準じてレジスト膜708を形成する。次に、第3の電池部材素子用にパターニングされた石英マスクを用いて実施の形態2の方法に準じて、レジスト膜708のパターニングを行う。その状態を図11(1)に示す。
【0060】
次に、CF/CHF/Oガスを用いたドライエッチングにより、レジスト膜708を被覆していない部分の第3絶縁膜707を除去し、第3の電池部材素子の下部電極層試片706の両端部と接続する開口部を形成する。その後、Oプラズマアッシングおよびレジスト剥離液によりレジスト膜708を完全に除去する。上記開口部に銅膜を堆積させることによって、導電端子709が形成される。その状態を図11(2)に示す。
【0061】
本発明において、実施の形態1のように、電池と多数の電池部材素子を搭載する全固体電池装置、電池と任意に選択された電池部材素子を搭載する全固体電池装置、および単独の電池部材素子のいずれを製作する場合にも、それぞれに固有のパターニングが施されたマスクを用いることにより、基本的には上記の実施の形態2〜4に準じたプロセスで製造できる。例えば、電池と第1および第2の電池部材素子とを搭載する場合には、電池と第1〜6の電池部材素子の全てを搭載する場合のマスクパターンから、第3〜6の電池部材素子のパターンを削除したマスクを用いればよい。また、各電池部材素子を単独で作製する場合には、電池用および他の電池部材素子用のパターンを削除したマスクを用いて、上記実施の形態に準じた方法で製造することができる。また、全固体電池装置や電池部材素子の構造や形状は、マスクパターンを適宜変更することにより、自由に変更することができる。
【0062】
全固体電池は固体状の電解質を用いるので、漏液の心配をすることなく使用できる。また、薄膜技術によって全固体電池を作製することにより、従来の電池では不可能な薄型の電源が実現できる。このような特徴を活かし、全固体電池は、例えばICカードや携帯電話などの移動体通信機器の電源として用いることができる。その他、時計用やパソコンのバックアップ用などのあらゆる電気機器および電子機器電源として応用することができる。本発明による全固体電池装置もまた、前記全固体電池に準じて機器の電源として応用することが可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明による全固体電池装置およびこれを用いた評価方法により、製造された全固体電池の諸特性を電池部材の特性と照合して的確に解析することができる。特に、製造された電池に故障があった場合の解析とその早期対策を可能にする効果は大きい。さらに、同一ロットで製造された電池の特性の良否を、早期に判定できるなどの効果が得られる。加えて、本発明による電池部材素子を活用することにより、全固体電池の製造過程での各電池部材の適正な形成条件を事前に確認できるなどの効果が得られる。このような本発明の効果により、電池の製品品質管理および製造工程管理を適切に行うことができる。その結果、製品不良率および各工程での不良率を大幅に低減できるとともに、高品質全固体電池の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の全固体電池装置の平面図である。
【図2】図1のX1−X2線の断面図である。
【図3】図1のY1−Y2線の断面図である。
【図4】図1のZ1−Z2線の断面図である。
【図5】図1のW1−W2線の断面図である。
【図6】本発明による他の実施例の全固体電池装置の製造工程を示す縦断面図である。
【図7】図6の製造工程に続く製造工程を示す縦断面図である。
【図8】本発明によるさらに他の実施例の全固体電池装置の製造工程を示す縦断面図である。
【図9】図8の製造工程に続く製造工程を示す縦断面図である。
【図10】本発明による実施例の電池部材素子の製造工程を示す縦断面図である。
【図11】図10の製造工程に続く製造工程を示す縦断面図である。
【符号の説明】
101  電池
102  第1の電池部材素子
103、139、519 固体電解質層試片
104、106、159、513  上部電極層試片
105、107、125、128、131、517、615、709導電端子
110、516、617  上部集電体層
111、502、602  下部集電体層
123  第2の電池部材素子
124、127、614 上部集電体層試片
126、619 絶縁被覆層試片
129  第3の電池部材素子
130、149、706 下部電極層試片
135、145、155 上部導電端子
136、146、156 下部導電端子
137  第4の電池部材素子
147 第5の電池部材素子
157  第6の電池部材素子
201、501、601、701 基板
203、508、610  下部電極層
204、504、603、702  第1絶縁膜
205、506、604、703  第2絶縁膜
206、509、611  固体電解質層
207、512、612  上部電極層
210、618  絶縁被覆層
405、514、607、707  第3絶縁膜
503、505、507、510、515、605、608、616、704、708  レジスト膜
511、609  開口部
520 アルミニウム膜
606、705  溝部
613 銅膜
807、808、809、810 絶縁被膜

Claims (12)

  1. 基板上に形成された少なくとも1個の全固体電池、および前記全固体電池を構成する電池部材の少なくとも1種を含む電池部材素子を具備し、前記全固体電池が、(1)基板上に順次堆積された第1電極層、固体電解質層および第2電極層、(2)少なくとも一方の電極層に接触している集電体層、および(3)前記電池部材の1つまたは複数の特定領域を被覆する絶縁層を含み、前記電池部材素子が、前記基板上に前記全固体電池とは異なる位置に堆積された電池部材の少なくとも1種の試片、および前記試片の両端または上下に形成された一対の導電端子を含む全固体電池装置。
  2. 前記電池部材素子が、互いに接触しないように堆積された電池部材の1種の複数の試片、前記複数の試片の両端に形成された導電端子、および、前記試片のうちの少なくとも一対の試片の間を連結する位置に堆積された他の1種の電池部材の試片を具備する請求項1に記載の全固体電池装置。
  3. 前記電池部材の1種が電子伝導性を有し、前記他の1種の電池部材が電気絶縁性を有する請求項2に記載の全固体電池装置。
  4. 前記電池部材素子が、前記基板上に順次堆積された下部導電端子、固体電解質層または電極層の試片、および上部導電端子を具備する請求項1に記載の全固体電池装置。
  5. 前記電池部材素子が、前記基板上に順次堆積された下部導電端子、固体電解質層と電極層とが積層された試片、および上部導電端子を具備する請求項1に記載の全固体電池装置。
  6. 基板上に、全固体電池、および前記全固体電池を構成する電池部材の少なくとも1種を含む電池部材素子を作製する方法であって、
    (1)前記全固体電池を作製する工程が、(1−1)基板上に、第1電極層、固体電解質層および第2電極層をその順に堆積する工程、(1−2)少なくとも一方の電極層に接触させる集電体層を堆積する工程、および(1−3)前記電池部材の1つまたは複数の特定領域を被覆するために該電池部材上に絶縁層を堆積する工程を含み、
    (2)前記電池部材素子を作製する工程が、(2−1)電池部材の少なくとも1種を、前記基板上の前記全固体電池とは異なる位置に、前記全固体電池の作製工程における当該電池部材の堆積工程と同時に、1つまたは複数の試片として堆積する工程、および(2−2)前記試片の両端または上下の一対の導電端子を形成する工程を含む全固体電池装置の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の全固体電池装置を用い、前記全固体電池の特性を測定する工程、前記電池部材素子における電池部材の特性を測定する工程、および前記測定したデータを解析する工程を有することを特徴とする全固体電池の評価方法。
  8. 各電池部材の特性および全固体電池の特性から、前記全固体電池の故障解析を行う請求項7に記載の全固体電池の評価方法。
  9. 集電体層、第1電極層、固体電解質層、第2電極層、および絶縁層からなる群より選ばれる少なくとも1種の電池部材の試片、ならびに前記試片の両端または上下に接続された一対の導電端子を基板上に形成した、全固体電池の電池部材素子。
  10. 互いに接触しないように堆積された電池部材の1種の複数の試片、前記各試片の両端に形成された導電端子、および前記試片のうちの少なくとも一対の試片の間を連結する位置に堆積された他の1種の電池部材の試片を具備する請求項9に記載の全固体電池の電池部材素子。
  11. 基板上に順次堆積された下部導電端子、固体電解質層または電極層の試片、および上部導電端子を具備する請求項9に記載の全固体電池の電池部材素子。
  12. 基板上に順次堆積された下部導電端子、固体電解質層と電極層とが積層された試片、および上部導電端子を具備する請求項9に記載の全固体電池の電池部材素子。
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