JP2004068730A - ポンプ - Google Patents

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Yuji Tokunaga
徳永 勇次
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Abstract

【課題】水周りに配設した場合にも悪影響をうけることなく、正常に動作するポンプを提供することにある。
【解決手段】ポンプPは、ブラシレスモータMを備え、該ブラシレスモータMは、シャフトS、マグネットロータ26、ステータ27、インペラ28を備えている。前記ステータ27に貫通支持されたシャフトSの貫通部分(前記環状溝Sc近傍の周面部分)を含んだステータ27におけるインペラ28との対向面(基板33の対向面33c)全体を樹脂Jによりコーティングすることによって防水構造が形成されている。そして、ステータ27は、樹脂Jによりコーティングされることにより各コイル34も含めて基板33の対向面33cが被覆されている。そのため、各コイル34や電子部品などの電気系統が濡れるのを抑制することができる。従って、ポンプPは、水周りに配設した場合にも悪影響をうけることなく、正常に動作する。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、食器洗い機におけるポンプ室など水周りに配置された場合に好適なポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、食器洗い機のポンプ室内には、食器の洗浄モード時や洗浄水の排水モード時に用いられるポンプが配設されている。前記ポンプは、洗浄水が導入されるポンプハウジング内に羽根部材を備えると共に、前記ポンプハウジングに付設されたモータケース内にモータを収容し、前記モータケース内からポンプハウジング内に突出したモータ軸の先端に前記羽根部材を取り付けた構成になっている。そして、モータが駆動されてモータ軸が回転駆動されると、羽根部材が回転することにより、ポンプハウジング内に導入された洗浄水が洗浄室等に向けて導出されるようになっている。
【0003】
ところで、前記ポンプにおいて、モータが収容されたモータケース内にはコイルなどの電気系統が収容されているため、回転駆動されるモータ軸の外周面に沿ってポンプハウジング側からモータケース側へ洗浄水が浸入すると、モータの駆動に支障を生じる虞がある。そこで、従来から、このような水周りに配置されるモータにあっては、モータケースとポンプハウジングとの境界部分でモータ軸の外周面に沿うようにオイルシール等のシール構造を施すようにしている。そして、このシール構造により、モータ軸の外周面に沿って、ポンプハウジング側からモータケース側へ洗浄水が浸入するのを抑制できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記オイルシール等のシール構造は経年劣化することがあり、そうなった場合には、ポンプハウジング内に導入された洗浄水のうち一部の洗浄水がモータケース内へ浸入することもあり得た。その結果、モータケース内へ浸入した洗浄水が、モータケース内の電気系統を濡らしてしまい、ポンプモータの正常な動作に支障を与える虞があった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、水周りに配設した場合にも悪影響をうけることなく、正常に動作するポンプを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータが発生する回転駆動力に基づき羽根部材が回転し、当該羽根部材の回転領域に導入した液体を当該羽根部材の回転により所定方向へ導出するポンプにおいて、前記モータを、永久磁石を備えて所定の軸線周りで回転可能に設けられた回転子と、前記回転子を回転させるための磁極を発生するコイルが設けられた固定子とを備えた構成とし、前記羽根部材を前記回転子と共に前記所定の軸線周りで回転可能となるように前記回転子に一体化し、前記固定子における少なくともコイルの設置部位と前記羽根部材の回転領域との間には防水構造を形成したことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のポンプにおいて、前記固定子は、樹脂コーティングにより前記コイルの設置部位が被覆されることで防水構造を形成していることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のポンプにおいて、前記所定の軸線は、前記回転子を回転自在に支持する固定軸の軸線であり、該固定軸は、前記回転子と対面配置された固定子における前記回転子との対向面から立設されていることを要旨とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態における食器洗い機11は、機本体12内に、食器Dを洗浄する洗浄室13と該洗浄室13の下方向に位置するポンプ室14とを備えている。前記洗浄室13とポンプ室14とは、機本体12内の内部スペースNSを、仕切り板15で上下に仕切ることにより形成されている。なお、本明細書中の説明において、「上下左右方向」は図1における上下左右方向を示すものとする。
【0010】
前記洗浄室13には、食器Dを配置する食器籠16が収容され、該食器籠16は水平方向(図1では左右方向)に延びるレール17上にスライド移動可能に載置されている。また、洗浄室13の下部には、洗浄用液体としての洗浄水を噴出するためのノズル18が設けられ、そのノズル18の上面には複数の孔(図示略)が形成されている。また、ノズル18の下面には、前記仕切り板15を貫通してポンプ室14内へ延びるようにノズルパイプ18aが設けられている。このノズルパイプ18aは、前記ノズル18の上面に設けられた各孔に洗浄室側への流路を形成する内部空間が繋がっており、食器Dの洗浄モード時には、ノズルパイプ18aを介してポンプ室14側から供給された洗浄水が前記ノズル18上面の各孔から洗浄室13内へ噴出されるようになっている。
【0011】
また、洗浄室13の左側方には、機本体12の側壁の一部を構成すると共に、機本体12に対して開閉可能に形成された開閉扉19が設けられている。そして、開閉扉19は、食器Dを洗浄室13の食器籠16に配置する際や洗浄後の食器Dを洗浄室13から取り出す際等に開放され、それら以外の時には閉じられるようになっている。また、洗浄室13の右側方には、洗浄水を機本体12の外方から洗浄室13内に注入するための注入通路20が形成されている。また、洗浄室13の底部には、洗浄室13から洗浄水をポンプ室14に吸入するための吸入口21が設けられている。前記吸入口21には、食器Dに付着した残飯などが洗浄水と伴にポンプ室14に吸入されないように、該残飯などを取り除くフィルタFが配設されている。
【0012】
一方、前記ポンプ室14には、洗浄モード時に洗浄室13とポンプ室14との間で洗浄水を循環供給し、排水モード時にはポンプ室14から機本体12外側へ洗浄水を排出するポンプとしての洗浄排水兼用ポンプ(以下、「ポンプ」という。)P及び流路を切換える切換えバルブVが収容されている。そして、本実施形態では前記ポンプPと切換えバルブVにより食器洗い機用ポンプ装置が構成されている。以下に、その食器洗い機用ポンプ装置について図1〜図3に基づき説明する。
【0013】
図1に示すように、ポンプPは、ポンプハウジング22の側壁に設けられた導出パイプ23を介して切換えバルブVの入力ポートに接続されている。この切換えバルブVは、従来公知の1入力2出力形態のバルブであり、図示しない制御装置により前記入力ポートと2つある出力ポートとの連通状態が切換え制御されるようになっている。そして、前記切換えバルブVでは、2つある出力ポートのうち一方の出力ポートに前記ノズルパイプ18aが接続され、他方の出力ポートには機本体12の外側へ先端が延びた排水パイプ24の基端が接続されている。従って、切換えバルブVにおいて、その入力ポートが前記一方の出力ポートに連通した状態に切換えられると、ポンプPから導出された洗浄水はノズルパイプ18aに供給され、ノズル18上面の各孔から洗浄室13内へ噴出される。一方、切換えバルブVにおいて、その入力ポートが前記他方の出力ポートに連通した状態に切換えられると、ポンプPから導出された洗浄水は排水パイプ24に供給され、該排水パイプ24内の流路を介して機本体12外へ排出される。
【0014】
ここで、ポンプPの具体的構成について説明する。
図2に示すように、前記ポンプPは、ポンプハウジング22の下側部分が略有底円筒形状をなすモータケース25により構成されており、このモータケース25を含んでなるポンプハウジング22内に、モータとしてのブラシレスモータMを有している。そして、前記ポンプPは、洗浄水を洗浄室13から吸入口21を介してポンプハウジング22におけるモータケース25より上側部分に導入するようになっている。
【0015】
前記ブラシレスモータMは、図2及び図3に示すように、固定軸としてのシャフトS、回転子としてのマグネットロータ26、固定子としてのステータ27、回転子及び羽根部材としてのインペラ28を備えている。前記ブラシレスモータMは、図2からも明らかなように、シャフトSの軸線を含む平面で切った断面の外郭形状(図2の場合、垂直断面形状)が略扁平形状をなすように形成されている。そして、ポンプ室14内において、ブラシレスモータMは、シャフトSの軸方向上方に洗浄室13が位置するように配置され、前記切換えバルブVがシャフトSの軸方向と略垂直をなす方向(図2の場合、右側方)に配置されるように接続されている。
【0016】
図2及び図3に示すように、前記モータケース25の内周面には周方向に沿うように段部25aが形成され、その段部25aに囲まれた底部略中央には略円形状をなす貫通孔25bが形成されている。また、前記段部25aの上面には、前記貫通孔25bを挟んで対向する2位置に一対のねじ孔25cが穿設されている。
【0017】
また、前記シャフトSは、所定長さの略丸棒状部材であり、その外周面には軸方向の所定位置に複数の環状溝Sa〜Seが形成されている。そして、シャフトSは、その下端部が固定金具29を介して前記貫通孔25bに差し込まれ、モータケース25の底面に対して略垂直に立設された状態で固定されている。従って、本実施形態において、前記シャフトSはブラシレスモータMが回転駆動力を発生した際にもモータケース25に立設固定された状態で回転不能とされる。
【0018】
また、図2に示すように、前記モータケース25内の段部25aで囲まれた収容空間内には前記マグネットロータ26が配置されている。このマグネットロータ26は略円盤状をなし、その略中央にはシャフトSの外径より僅かに大きい内径を有する貫通孔26aが形成されている。この貫通孔26aは、図2に示すように、マグネットロータ26の上面側に開口する開口部よりも該開口部から下側に連なる内周面部分の方が大径となっており、該大径の内周面部分によりベアリング30を収容する収容部26bが構成されている。そして、前記ベアリング30は、この収容部26bに収容された状態で前記マグネットロータ26に固定されている。
【0019】
また、マグネットロータ26は、該マグネットロータ26の半径方向の略外側半分が肉厚に形成された肉厚部26cとなっている。前記肉厚部26cの内部には、マグネットロータ26の周方向に沿って、等間隔に複数個(本実施形態では、6個)の永久磁石MgRが設けられている。また、各永久磁石MgRは、交互に磁極が異なるように、肉厚部26cの内部に配置されている。即ち、磁極がS極である永久磁石MgRと磁極がN極である永久磁石MgRが交互に配置されている。
【0020】
そして、マグネットロータ26は、その貫通孔26aにシャフトSが差し込まれた状態で、シャフトSの軸線を中心に、ベアリング30を介して回転可能に設けられている。なお、ベアリング30は、止め輪31,32をシャフトSの前記環状溝Se,Sdに外嵌することにより、シャフトSの軸方向への移動が阻止されるようになっている。従って、このベアリング30がシャフトSの軸方向への移動を阻止されていることにより、マグネットロータ26も、シャフトSの軸方向への移動が阻止される。
【0021】
前記ステータ27は、略円盤状をなす基板33と、該基板33上(前記インペラ28と対面配置されたインペラ28との対向面33c)に取り付けられた複数個(本実施形態では、6個)のコイル34とから構成されている。この場合、基板33の対向面33cが、ステータ27における各コイル34の設置部位に対応する。前記基板33は、前記マグネットロータ26よりも上方で、モータケース25の段部25aの上面よりも上方となるように配置され、その略中央にシャフトSの外径と略等しい内径を有する貫通孔33aが形成されている。また、基板33には、貫通孔33aを挟んで対向する周縁部分の2位置に、一対の貫通孔33bが形成されている。
【0022】
前記各コイル34は、円形状に巻かれた巻線からなり、該各コイル34の中心が、基板33の半径方向の略中央位置となるように、基板33の周方向に沿って配置された構成となっている。即ち、図2に示すように、シャフトSの軸方向において、ステータ27の各コイル34が配置される位置とマグネットロータ26の各永久磁石MgRが配置される位置が対応するようになっている。そして、各コイル34に電流が供給されると、前記マグネットロータ26及びインペラ28を回転させるための磁極が発生するようになっている。なお、図示しない制御装置により、各コイル34に供給される電流の向きが切換えられると、各コイル34に発生する磁極が切換えられるようになっている。また、前記基板33上には、ブラシレスモータMの駆動回路を構成する電子部品(ICチップなど)が搭載されている(図示略)。
【0023】
図2に示すように、前記ステータ27は、貫通孔33aにシャフトSが差し込まれた状態で、シャフトSの軸方向において前記環状溝Scが設けられた位置に配置されている。また、その差し込まれた状態で、シャフトSは、インペラ28と対面配置されたステータ27におけるインペラ28との対向面(基板33の対向面33c)から立設されている。そして、ステータ27は、前記各貫通孔33bと各ねじ孔25cとが連通するように配置された状態で、ねじ35が前記各孔33b,25cに螺嵌されることにより、モータケース25に対して固定されている。また、その固定状態において、ステータ27に貫通支持されたシャフトSの貫通部分(前記環状溝Sc近傍の周面部分)を含んだステータ27におけるインペラ28との対向面(基板33の対向面33c)全体を樹脂Jによりコーティングすることによって防水構造が形成されている。そして、ステータ27は、樹脂Jによりコーティングされることにより各コイル34も含めて基板33の対向面33cが被覆されている。このように、基板33、各コイル34及びシャフトSを樹脂Jによりコーティングすることにより、ステータ27における各コイル34の設置部位(基板33の対向面33c)とインペラ28の回転領域(ポンプハウジング22におけるモータケース25より上側部分)との間に防水構造を形成している。
【0024】
前記インペラ28は、略円盤状をなし、その直径(外径)が前記マグネットロータ26の直径と略等しくなるように形成されると共に、その略中央にはシャフトSの外径と略等しい内径を有する貫通孔28aが形成されている。また、インペラ28の上面には、円弧状に湾曲した羽根部28bが、インペラ28の周方向へ等間隔に複数個(本実施形態では、6個)設けられている。また、インペラ28は、その周縁近傍部分の内部に、インペラ28の周方向へ等間隔に複数個(本実施形態では、6個)の永久磁石MgIが設けられている(図2参照)。これら各永久磁石MgIは、交互に磁極が異なるように、即ち、磁極がS極である永久磁石MgIと磁極がN極である永久磁石MgIが交互に位置するように配置されている。
【0025】
そして、インペラ28は、その貫通孔28aにシャフトSが差し込まれた状態で、シャフトSの軸線を中心に回転可能に設けられている。換言すれば、シャフトSは、インペラ28を回転自在に支持している。なお、インペラ28は、止め輪36,37をシャフトSの前記環状溝Sb,Saに外嵌することにより、シャフトSの軸方向への移動が阻止されるようになっている。また、インペラ28の貫通孔28aの両開口部分と各止め輪36,37の間には、スラストワッシャー38,39が介在されている。そして、図2に示すように、シャフトSの軸方向において、インペラ28の各永久磁石MgIが配置される位置と、ステータ27の各コイル34が配置される位置及びマグネットロータ26の各永久磁石MgRが配置される位置が対応するようになっている。
【0026】
このように、ブラシレスモータMは、図示しない制御装置により、ステータ27の各コイル34に供給される電流の向きが切換えられることで各コイル34の磁極が切換えられ、マグネットロータ26及びインペラ28がシャフトSを中心に時計回り方向(一定方向のみ)へ回転するようになっている。そのため、ブラシレスモータMでは、シャフトSが回転することによって該シャフトSから回転駆動力を伝達するのではなく、ステータ27の各コイル34から発生する磁極により、直接、インペラ28をシャフトSの軸線を中心に回転させるようになっている。この場合、羽根部材としてのインペラ28が回転子としても機能し、ブラシレスモータMの回転子と兼用構成となっている。換言すれば、インペラ28をブラシレスモータMの回転子に一体化した構成となっている。
【0027】
また、このように構成された本実施形態の食器洗い機11では、ブラシレスモータMの回転数を制御することにより、食器Dの汚れ具合に合わせて洗浄モード時における洗浄形態を変更することができるようになっている。以下に、その一例を説明する。
【0028】
前記洗浄形態には、標準コース、念入りコース及び快速コースなどがある。また、各コースには、洗い工程、すすぎ工程及び湯すすぎ工程があり、洗い工程→すすぎ工程→湯すすぎ工程の順で食器Dの洗浄が行われるようになっている。なお、食器Dの洗浄には、食器Dのすすぎも含まれる。そして、各工程において、予め設定された所定時間の間、食器Dの洗浄を行い、その後、排水モードになると、洗浄水を排水するようになっている。その際、前記制御装置により、ブラシレスモータMの駆動時間及び回転数、切換えバルブVの流路の切換え及びそのタイミングが制御される。
【0029】
次に、以上のように構成された本実施形態における食器洗い機11の作用について説明する。なお、以下の説明では、食器Dが洗浄室13の食器籠16に配置された状態で、注入通路20を介して洗浄水が洗浄室13内に注入され、食器洗い機11の洗浄形態のうち念入りコースが選択された場合の洗い工程を例に挙げ、食器洗い機11が洗浄及び排水を行う態様について説明する。
【0030】
まず、制御装置により、切換えバルブV内の入力ポートと2つある出力ポートとの連通状態が、洗浄室13側に接続された出力ポートと入力ポートとが連通する状態へ切換えられ、導出パイプ23から導出された洗浄水の供給先がノズルパイプ18aとなるようにされる。そして次に、制御装置により、ブラシレスモータMのステータ27に設けられた各コイル34に対する電流の供給が開始され、該電流の向きが切換えられることにより、インペラ28が回転させられる。なお、その際、ブラシレスモータMの回転数は、例えば、1分間に4000〜5000回転とされる。
【0031】
すると、洗浄室13の吸入口21を介してポンプ室14に吸入された洗浄水が、インペラ28の回転により、ポンプPから導出パイプ23へ導出され、切換えバルブV及びノズルパイプ18aを介してノズル18に供給される。なお、その際において、ステータ27を上下方向に貫通するシャフトSは、その貫通部分が樹脂Jによりステータ27と共にコーティングされた状態で立設固定されており、該シャフトSとステータ27が回転することはない。
【0032】
そして、前記ノズル18に供給された洗浄水は、該ノズル18上面の各孔から洗浄室13内へ噴出され、その噴出された洗浄水により食器Dが洗浄される。その後、洗浄室13内へ噴出された洗浄水は、再び、洗浄室13からポンプ室14に吸入され、インペラ28の回転により、前述したと同様に、ノズル18に供給され、該ノズル18から洗浄室13内へ噴出されて食器Dが洗浄される。そして以後、このような洗浄水の循環供給が繰り返されることにより、食器Dが洗浄される。
【0033】
その後、予め設定された所定時間(例えば、20分)が経過すると、制御装置は、ブラシレスモータMへの電流の供給を停止し、食器Dの洗浄を終了する。すると、洗浄モードから排水モードになり、制御装置により、切換えバルブV内の入力ポートと2つある出力ポートとの連通状態が、排水パイプ24に接続された出力ポートと入力ポートとが連通する状態へ切換えられ、導出パイプ23から導出された洗浄水の供給先が排水パイプ24となるようにされる。そして次に、制御装置により、ブラシレスモータMの各コイル34に対する電流の供給が再開され、該電流の向きが切換えられることにより、インペラ28が洗浄モード時と同じ一定方向に回転させられる。
【0034】
すると、洗浄室13からポンプ室14に吸入された洗浄水は、インペラ28の回転により、ポンプPから導出パイプ23へ導出され、切換えバルブV及び排水パイプ24を介して機本体12外へ排出される。その後、予め設定された所定時間(例えば、1分)が経過すると、制御装置により、ブラシレスモータMへの電流の供給が停止され、洗浄水の排出が終了する。以上のように、前記ポンプPは、洗浄室13からインペラ28の回転領域(ポンプハウジング22におけるモータケース25より上側部分)に導入した洗浄水を、インペラ28の回転により所定方向である洗浄室13又は機本体12外へ導出する。
【0035】
従って、この実施形態によれば以下のような特徴を得ることができる。
(1) 本実施形態では、ステータ27における各コイル34の設置部位(基板33の対向面33c)とインペラ28の回転領域(ポンプハウジング22におけるモータケース25より上側部分)との間に防水構造を形成している。そのため、各コイル34や電子部品などの電気系統を備えたステータ27自体に防水構造を形成しているので、該電気系統が濡れるのを抑制することができる。従って、ポンプPは、水周りに配設した場合にも悪影響をうけることなく、正常に動作する。
【0036】
(2) また、ステータ27は、樹脂Jによりコーティングされることにより各コイル34も含めて基板33の対向面33cが被覆されている。従って、コイル34や電子部品などの電気系統が濡れることを確実に抑制することができる。また、樹脂Jでコーティングするという簡単な構成で防水構造を形成することができる。
【0037】
(3) また、シャフトSは、インペラ28と対面配置されたステータ27におけるインペラ28との対向面(基板33の対向面33c)から立設されている。そして、シャフトSは、インペラ28を回転自在に支持している。従って、ブラシレスモータMが駆動されても、シャフトSが回転しないため、シャフトSの外周面を伝ってステータ27よりも下方のモータケース25内に洗浄水が流入するのを抑制することができる。また、シャフトSが、ステータ27の樹脂Jによりコーティングされた部分を摩耗することがなく、該コーティングされた部分が、経年劣化するのを抑制することができる。さらに、従来技術で述べたように、シャフトSの外周面にオイルシールを設ける必要がなく、該オイルシールがない分、ステータ27とインペラ28との間の距離を近づけることができる。そのため、インペラ28を回転させるための磁極を有効に活用することができ、回転駆動力の伝達効率を向上させることができる。また、シャフトSの外周面にオイルシールを設ける必要がないため、ポンプPがシャフトSの軸線方向において大型化することも抑制できる。
【0038】
(4) また、ステータ27に貫通支持されたシャフトSの貫通部分(前記環状溝Sc近傍の周面部分)を含んだステータ27におけるインペラ28との対向面(基板33の対向面33c)全体を樹脂Jによりコーティングすることによって防水構造が形成されている。従って、基板33の貫通孔33aとシャフトSとの間からステータ27よりも下方のモータケース25内に洗浄水が流入することを確実に抑制することができる。その結果、ステータ27よりも下方のモータケース25内に洗浄水が貯まることを抑制することができる。
【0039】
(5) また、ステータ27は、略円盤状をなす基板33上(インペラ28と対面配置されたインペラ28との対向面33c)に、複数個(本実施形態では、6個)のコイル34を取り付けた構成となっている。従って、ステータ27を樹脂Jによりコーティングした場合にも、ステータ27の厚さが増大するのを抑制することができ、ポンプPが大型化することを抑制することができる。また、例えば鉄心にコイルが巻き付けられた構成に比して、当該モータM自体のシャフトSの軸線方向への厚さが増大するのを抑制できる。その結果、当該モータMを内装したポンプPがシャフトSの軸線方向において大型化することも確実に抑制できる。
【0040】
(6) また、ポンプPにおけるモータとしてのブラシレスモータMを洗浄モード時及び排水モード時のいずれの場合にも一定方向への回転駆動力を発生させる構成としたため、洗浄モード又は排水モードで回転方向が切換え制御されるポンプに比して、ポンプ構成を簡単なものにできる。そして、かかるポンプPの下流側には、インペラ28の回転に基づきポンプPから導出された洗浄水の供給先を洗浄室13に連なる流路又は機本体12外へ連なる流路に切換える切換えバルブVを接続した。従って、洗浄排水兼用ポンプとして機能するポンプPの構成を何ら複雑にすることなく、食器洗い機11の機本体12内におけるポンプ室14のスペース割合を小さくして、その分、洗浄室13の占有スペースを増大することができる。
【0041】
(7) また、ポンプPにおけるモータには、回転子としてのインペラ28と固定子としてのステータ27を備えたブラシレスモータMを使用する構成とした。そのため、該ブラシレスモータMは、一般にモータ本体が小型化できる特徴を有することから、食器洗い機11の内部スペースNSにおけるポンプ室14のスペース割合をより一層小さくでき、前記洗浄室13の占有スペース増大に貢献できる。また、ブラシレスモータMは、他のモータ(例えば、DCモータ等)と比べて形状を自由に変更できる特徴を有するので、ポンプ室14という限られたスペースにポンプPを配置する際に適している。
【0042】
(8) また、ブラシレスモータMは、シャフトSの軸線を含む平面で切った断面の外郭形状が図2からも明らかなように略扁平形状をなすように形成されているので、かかるブラシレスモータMをポンプP内に装備した場合にも、該ポンプPがシャフトSの軸方向へ大型化するのを抑制できる。従って、この点でも、ポンプ室14のスペース割合を小さくできることから、より一層、洗浄室13の占有スペースを増大できる。
【0043】
(9) また、ブラシレスモータMにおける回転子としてのインペラ28が羽根部28bを上面に一体形成された羽根部材としても兼用されているため、更にポンプPの構成を簡単なものにできる。
【0044】
(10) また、ブラシレスモータMのステータ27の各コイル34から発生する磁極により、直接、インペラ28がモータケース25に立設固定されたシャフトSの軸線を中心に回転するようになっている。そのため、自ら回転するシャフトSを介してインペラ28を回転させる構成に比して、ポンプPにおけるモータ構成を簡単なものにできる。また、ポンプPにおける回転駆動力の伝達効率を向上させることができる。
【0045】
(11) また、ポンプ室14内において、ブラシレスモータMは、シャフトSの軸線方向の上方に洗浄室13が位置するように配置され、切換えバルブVがシャフトSの軸線方向に対して略垂直をなす横方向に配置されるように接続されている。そのため、ポンプ室14という限られたスペース内にも、ポンプPと切換えバルブVとを効率良く配置でき、この点でも、ポンプ室14のスペース割合を小さくして洗浄室13の占有スペース増大に貢献できる。
【0046】
なお、前記実施形態は以下のように変更して具体化してもよい。
・ 前記実施形態では、ステータ27が基板33上に各コイル34を取り付けた構成となっていたが、ステータ27の構成は適宜変更しても良い。例えば、鉄心にコイルが巻き付けられた構成となっていても良い。この場合には、磁石をロータ(回転子)にして内側に収容する一方、コイル(巻線)をステータ(固定子)にして外側に配置したインナーロータ型である。そして、ロータ(回転子)にシャフトSを固定し、該シャフトSに各永久磁石MgIを省略したインペラ28を固定するようにすれば、ロータの回転に伴いシャフトSが回転し、該シャフトSの回転に伴いインペラ28が回転することになる。要するに、ステータ27の構成に関わらず、該ステータ27が樹脂Jによりコーティングされていれば良い。
【0047】
・ 前記実施形態では、シャフトSがステータ27に貫通支持されていたが、貫通支持されていなくても良い。即ち、ステータ27の基板33上にシャフトSが立設された状態で固定されていても良い。なお、この場合には、マグネットロータ26を省略する。
【0048】
・ 前記実施形態では、ステータ27に貫通支持されたシャフトSの貫通部分(前記環状溝Sc近傍の周面部分)も樹脂Jによりコーティングされていたが、ステータ27が樹脂JによりコーティングされていればシャフトSはコーティングされていなくても良い。
【0049】
・ 前記実施形態では、ステータ27におけるインペラ28との対向面(基板33の対向面33c)全体を樹脂Jによりコーティングすることによって防水構造が形成されていたが、防水構造が形成される部位は、インペラ28との対向面全体でなくても良い。即ち、インペラ28との対向面のうち、各コイル34や電子部品などの電気系統が設置されている部分のみを樹脂Jによりコーティングしても良い。また、ステータ27におけるインペラ28との対向面の裏側の面も樹脂Jによりコーティングしても良い。
【0050】
・ 前記実施形態では、シャフトSが固定軸として機能していたが、回転する構成としても良い。この場合には、マグネットロータ26にシャフトSを固定し、シャフトSに各永久磁石MgIを省略したインペラ28を固定する。また、シャフトSはステータ27の貫通孔33aを介して回転可能に支持されるように構成する。そして、マグネットロータ26の回転に伴いシャフトSが回転し、該シャフトSの回転に伴いインペラ28が回転することになる。なお、シャフトSが回転する構成とした場合、シャフトSを樹脂Jによりコーティングしない。
【0051】
・ 前記実施形態では、シャフトSは、インペラ28と対面配置されたステータ27におけるインペラ28との対向面(基板33の対向面33c)から立設されていたが、シャフトSが前記対向面から立設された構成でなくても良い。例えば、前述したようにブラシレスモータMの構成をインナーロータ型のブラシレスモータMとした場合や、内側にコイルを、外側に磁石を配置して、外側を回転させるアウターロータ型とした場合、シャフトSはロータ(回転子)におけるインペラ28との対向面から立設されている。このような構成とした場合においても、コイルを含むステータ(固定子)は、樹脂Jによりコーティングされることにより防水構造を形成する。
【0052】
・ 前記実施形態では、ステータ27が、樹脂Jによりコーティングされることにより防水構造が形成されていたが、防水構造を形成することができればどのような構成を採用しても良い。例えば、ステータ27のインペラ28との対向面を、防水構造を有するケースで覆うようにしても良い。
【0053】
・ 前記実施形態では、羽根部材としてのインペラ28が回転子としても機能し、ブラシレスモータMの回転子と兼用構成としていたが、兼用構成となっていなくても良い。即ち、インペラ28をブラシレスモータMの回転子に一体化した構成となっていれば、例えば、インペラ28から前記各永久磁石MgIを省略して、該インペラ28をシャフトSを介してマグネットロータ26と一体化した構成としても良い。このような構成とした場合、インペラ28は、マグネットロータ26と共に羽根部材として回転することになる。
【0054】
・ 前記実施形態では、ステータ27が樹脂Jによりコーティングされることにより防水構造が形成されていたが、該防水構造は適宜変更しても良い。即ち、ステータ27における少なくとも各コイル34の設置部位(基板33の対向面33c)とインペラ28の回転領域(ポンプハウジング22におけるモータケース25より上側部分)との間に防水構造を形成していれば良い。例えば、ステータ27とインペラ28との間に仕切り板を設け、該仕切り板にシャフトSが上下方向に貫通可能な貫通孔を設け、該貫通孔の内周面とシャフトSとの間にシール部材を介在させる。このような構成とすることにより、インペラ28の回転領域から仕切り板よりも下方側(ステータ27側)へ洗浄水が流入しないようにする。
【0055】
・ 前記実施形態では、インペラ28の回転領域がポンプハウジング22におけるモータケース25より上側部分に対応していたが、これに限定されない。即ち、インペラ28の回転領域は、ポンプPの構成により適宜変更される。
【0056】
・ 前記実施形態において、ポンプPに代えて、洗浄モード時に洗浄室13とポンプ室14との間で洗浄水を循環供給する洗浄用ポンプと、排水モード時にポンプ室14から機本体12外側へ洗浄水を排出する排水用ポンプとを採用しても良い。この場合、洗浄用ポンプ及び排水用ポンプは、ポンプPと同様の構成とし、該洗浄用ポンプ及び排水用ポンプに対して本実施形態の防水構造を採用しても良い。
【0057】
次に上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(イ) 前記固定軸は、前記固定子に貫通支持されており、その貫通部分を含んだ固定子における前記回転子との対向面全体に防水構造が形成されている請求項3に記載のポンプ。
【0058】
(ロ) 前記固定子は、薄板状をなす基板上にコイルを取り付けた構成となっている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のポンプ。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、水周りに配設した場合にも悪影響をうけることなく、正常に動作する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における食器洗い機を側面視した場合における一部切り欠き縦断面図。
【図2】同じく、ブラシレスモータを側面視した場合における縦断面図。
【図3】同じく、ブラシレスモータを分解した状態を示す斜視図。
【符号の説明】
J…樹脂、M…モータとしてのブラシレスモータ、P…ポンプとしての洗浄排水兼用ポンプ、S…固定軸としてのシャフト、MgI…永久磁石、MgR…永久磁石、26…回転子としてのマグネットロータ、27…固定子としてのステータ、28…回転子及び羽根部材としてのインペラ、33c…対向面、34…コイル。

Claims (3)

  1. モータが発生する回転駆動力に基づき羽根部材が回転し、当該羽根部材の回転領域に導入した液体を当該羽根部材の回転により所定方向へ導出するポンプにおいて、
    前記モータを、永久磁石を備えて所定の軸線周りで回転可能に設けられた回転子と、前記回転子を回転させるための磁極を発生するコイルが設けられた固定子とを備えた構成とし、前記羽根部材を前記回転子と共に前記所定の軸線周りで回転可能となるように前記回転子に一体化し、前記固定子における少なくともコイルの設置部位と前記羽根部材の回転領域との間には防水構造を形成したポンプ。
  2. 前記固定子は、樹脂コーティングにより前記コイルの設置部位が被覆されることで防水構造を形成している請求項1に記載のポンプ。
  3. 前記所定の軸線は、前記回転子を回転自在に支持する固定軸の軸線であり、該固定軸は、前記回転子と対面配置された固定子における前記回転子との対向面から立設されている請求項1又は請求項2に記載のポンプ。
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