JP2004068152A - アルミニウム鋳造合金製ピストン及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム鋳造合金製ピストン及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、従来よりも耐熱疲労性に優れたアルミニウム鋳造合金製ピストンおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 Mg:0.2mass%以下、Ti:0.05〜0.3mass%、Si:10〜21mass%、Cu:2〜3.5mass%、Fe:0.1〜0.7mass%、Ni:1〜3mass%、P:0.001〜0.02mass%を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム鋳造合金よりなる。さらに、V:0.02〜0.3mass%、又はZr:0.02〜0.3mass%の少なくとも一種以上を含有していることが好ましい。さらに、Mn:0.2〜0.7mass%を含有していることが好ましい。さらに、Ca:0.0005〜0.003mass%を含有していることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

 本発明は、アルミニウム鋳造合金製ピストン及びその製造方法に関する。
 自動車のエンジン等の内燃機関においては、それを構成する部品としてピストンが不可欠であり、従来よりアルミニウム鋳造合金を用いて作製されている。このアルミニウム鋳造合金としては、種々のものが提案され改善がなされてきている。
 例えば、特許文献1の「高温強度に優れた内燃機関ピストン用アルミニウム合金及び製造方法」においては、Cu:3〜7重量%、Si:8〜13重量%、Mg:0.3〜1重量%、Fe:0.1〜1.0重量%、Ti:0.01〜0.3重量%、P:0.001〜0.01重量%、Ca:0.0001〜0.01重量%及び必要に応じてNi:0.2〜2.5重量%を含み、P/Caが重量比で0.5〜50の範囲に調整されている合金が公開されている。
 上記特許文献1に示された合金は、従来よりある合金に比べ優れた耐磨耗性を維持し、且つ高温強度が改善されるという特徴を有する。しかし、熱疲労特性については全く考慮されておらず、耐熱疲労性が低いという問題がある。さらに、気孔が発生し易く疲労特性のばらつきが大きいという問題もある。
 また上記合金ではCuやNiなど耐熱性を高める成分の増量により高温強度をある程度高めているが、さらに添加量を高めると延性が低下し、それにより疲労強度および熱疲労特性が低下してしまうという問題が生じる。またCu量が高いとCu化合物が晶出する最終凝固部が材料内に点在し、その部分に凝固収縮により気孔が生じてしまう。
 このように、耐熱成分を増量する従来の方法だけでは、熱疲労特性をはじめとするピストン頂面部に要求される実用疲労特性を向上することは到底できない。
特開平8−104937号公報
 本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、従来よりも耐熱疲労性に優れたアルミニウム鋳造合金製ピストンおよびその製造方法を提供しようとするものである。
 第1の発明は、Mg:0.2mass%以下、Ti:0.05〜0.3mass%、Si:10〜21mass%、Cu:2〜3.5mass%、Fe:0.1〜0.7mass%、Ni:1〜3mass%、P:0.001〜0.02mass%を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム鋳造合金よりなることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンにある(請求項1)。
 本第1発明では,以下に述べるMg量を低減する手段により,基地アルミ組織の安定化と高延性化を図り,これらにより初めてピストンに必要な耐熱疲労特性が向上することを見出したものである。
 Mg量の低減により,基地アルミ相に分散する熱的に不安定なMg2Si系析出物を低減することができる。この析出物は,ピストンの実使用時における加熱によって粗大化し,組織変化をもたらす。したがって上記Mg2Si系析出物の低減により加熱時の組織安定性を向上させることができる
 また熱疲労環境下では粗大化した析出物の周囲にひずみ集中が生じ,これにより基地アルミ相の延性が低下し耐熱疲労性が低下する。したがって析出物を生成するMg量の低減は熱疲労環境下における基地アルミ相の延性低下を抑制し,耐熱疲労性の向上をもたらすと考えられる。このようなMg量低減(いわばMgレス化)による耐熱疲労特性の向上は,従来ピストン合金にはない全く新しいコンセプトである。
 そして,上記ピストンは,上記のごとく耐熱疲労性を向上させることができ,ピストン全体の耐久性を従来よりも向上させることができる。
 なお,上記ピストンは,後述するごとく鋳造後熱処理することなく鋳放し状態のものであっても上記の優れた耐熱疲労性が得られる。一方,後述するごとく,鋳造後に各種の熱処理を加えることによって多様な性能を付与させることが可能である。
 以下に,各合金元素量の限定理由を記する。
Mg:0.2mass%以下,
 Mgは組織安定化と延性向上のために低減した。Mg含有量が0.2%を超えると,熱疲労環境下での基地アルミ部の延性が低下して,熱疲労亀裂が生じやすくなるデメリットが生じる。好ましい範囲は0.1%以下であり,この場合には上記効果がより明確に発現され,より好ましい範囲は0.05%以下である。最適量はゼロである。含有量が少ないほど上記メリットは大きいが,コスト高となるため,上記の限定を行っている。したがって,Mgの含有量としては,0〜0.2mass%(0を含まず)の範囲が好ましい。
Ti:0.05〜0.3mass%,
 Ti含有量が0.05%未満の場合,基地アルミ中のTi固溶量が低く,十分な固溶強化が得られない。0.3%以上の場合,基地アルミ相がTi固溶により硬くなりすぎてせん断破壊を生じるおそれがあると共に,粗大なTi化合物が生成し靭性が低下するおそれがある。
 なお,Tiの添加をAl−Ti−B合金,Al−Ti−C合金などによって行う場合には,不純物としてBおよびCの含有を許容する。好ましいTi含有量の範囲は,0.15〜0.3%である。0.15%以上では十分な結晶粒の微細化によって組織が均質化するため,疲労強度が向上する。
Cu:2〜3.5mass%,
 Cu含有量が2%未満では,350℃付近の高温耐力が十分でなく,疲労強度も不足する。3.5%を超えると,Cu化合物が晶出する最終凝固部が点在して,凝固収縮によりこの部位に気孔が生成し,疲労強度が低下する。好ましい範囲は2.5〜3.25%である。この範囲で,安定してより高い疲労特性が得られる。
Si:10〜21mass%,
 Si含有量が10%未満の場合,Pを添加しても過共晶凝固させることができず,亜共晶凝固してしまうおそれがある。亜共晶凝固になると,凝固時に気孔の原因となるガスを放出する基地α−Al相が分散して凝固し,最終凝固部が点在するため気孔が生じやすい。一方,21%を超えると粗大な初晶Siが多量に生成して,低温での延性や靭性が著しく低下するおそれがある。また,被削性が著しく低下するおそれがある。
 Si量が高いほど350℃付近の高温疲労強度は向上する。好ましい範囲は11〜17%である。この範囲において安定して過共晶凝固が得られるとともに,初晶Siの大きさ,量が適度であるため,より高い疲労特性と適度な被削性が得られる。
Fe:0.1〜0.7mass%,
 Fe含有により,Fe化合物が晶出物として生成する。この晶出物の分散強化により高温耐力が向上する。0.1%未満では晶出物が少なく,高温耐力の向上が十分でない。0.7%を超えると,粗大なFe化合物を生成しやすく,応力集中により疲労特性が低下するおそれがある。なお,Fe化合物とはFeを含む化合物の総称である。
Ni:1〜3mass%,
 NiもFe,Mnの場合と同様に,化合物を晶出させ,分散強化による高温耐力の向上に寄与する。Ni含有量が1%未満では,Ni化合物の晶出が少なく,高温耐力の向上が不十分である。3%を超えると粗大なNi化合物が晶出し,応力集中により疲労特性が低下するおそれがある。
P:0.001〜0.02mass%,
 P添加により,安定した過共晶凝固を達成し,気孔発生を防止する。また初晶Siを微細化し,延性や靭性を確保する。0.02mass%を超えると,湯流れ性が悪化し,湯廻り不良などの鋳造欠陥が生じ易い。
 第2の発明は,Mg:0.2mass%以下,Ti:0.05〜0.3mass%,Si:10〜21mass%,Cu:2〜3.5mass%,Fe:0.1〜0.7mass%,Ni:1〜3mass%,P:0.001〜0.02mass%を含有し,残部Alおよび不純物からなるアルミニウム鋳造合金を用い,
 該アルミニウム鋳造合金を鋳造してピストンを形成する鋳造工程と,
 上記ピストンに切削加工を施す切削工程とを含むことを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法にある(請求項7)。
 この製造方法によれば,上述した優れた耐熱疲労性を有する上記ピストンを容易に製造することができる。ここで,上記鋳造工程後には,特に熱処理を行わず,鋳放し状態とすることができる。また,後述するごとく,鋳造工程後に各種の熱処理を加えることもできる。
 なお,上記アルミニウム鋳造合金の各合金元素の限定理由は上記と同様である。
 第3の発明は,Mg:0.2〜2mass%,Ti:0.05〜0.3mass%,Si:10〜21mass%,Cu:2〜3.5mass%,Fe:0.1〜0.7mass%,Ni:1〜3mass%,P:0.001〜0.02mass%を含有し,残部Alおよび不純物からなるアルミニウム鋳造合金よりなり,
 使用開始前のビッカース硬さがHV70〜100であることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンにある(請求項15)。
 このピストンを構成するアルミニウム鋳造合金は,上記第1の側面の合金に比較して,Mg量を高く設定し,0.2〜2mass%としてある。それと共に,その製造工程において例えば焼鈍を施して,ピストンとして内燃機関に組み込んで使用を開始する前のビッカース硬さがHV70〜100の範囲に調整してある。
 これにより,上記ピストンは,耐熱疲労性を向上させることができ,ピストン全体の耐久性を従来よりも向上させることができる。
 上記のごとくMgの含有量は0.2〜2mass%に高める。MgはMg2Si系の析出物を生成させ,その析出強化によって200℃以下の低温での耐力を改善することができる。Mg含有量が増すとMg2Siが凝固過程で晶出物として生成する。Mg含有量が2mass%を超えると,その晶出量が多くなりすぎ,また,粗大化するので,これにより靭性が低下する。一方,0.2mass%未満では析出量が少なく,200℃での材料としての疲労強度が十分でない。
 また,上記のごとく,ピストンの硬度は,ビッカース硬さがHV70〜100の範囲となるようにしてある。これにより,Mg含有量が多くても,優れた耐熱疲労性を実現することができる。さらに寸法安定性が高まるという付加的効果も得られる。
 上記ビッカース硬さがHV100を超える場合には,耐熱疲労性向上効果があまり得られない。また,上記アルミニウム鋳造合金の硬さは,上記組成の範囲では,下限値のHV70より低い硬さとすることは困難である。なお,HV80未満の場合には,温度200℃以下の環境下における疲労強度が十分でないおそれがある。また,HV95以下の場合には,上述した耐熱疲労性向上の効果がより明確となる。それ故,上記ピストンの硬度は,ビッカース硬さHV80〜95がより好ましい。
 なお,本明細書で述べるビッカース硬さとは,荷重10kg,圧入時間30秒の条件で求めた値を基準とし,組織によるバラツキが出ないように比較的大きな圧痕から求めた組織全体の平均的な値を意味する。
 第4の発明は,Mg:0.2〜2mass%,Ti:0.05〜0.3mass%,Si:10〜21mass%,Cu:2〜3.5mass%,Fe:0.1〜0.7mass%,Ni:1〜3mass%,P:0.001〜0.02mass%を含有し,残部Alおよび不純物からなるアルミニウム鋳造合金を用い,
 該アルミニウム鋳造合金を鋳造してピストンを形成する鋳造工程と,
 使用開始前の上記ピストンのビッカース硬さがHV70〜100の範囲となるように,温度250〜400℃に0.5〜24時間保持する焼鈍工程と,
 該焼鈍工程よりも前又は後に上記ピストンに切削加工を施す切削工程とを含むことを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法にある(請求項20)。
 この製造方法によれば,上述した優れた耐熱疲労性を有する上記ピストンを容易に製造することができる。
 なお,上記アルミニウム鋳造合金の各合金元素の限定理由は上記と同様である。
 上記第1又は第2の発明においては,上記アルミニウム鋳造合金は,さらに,V:0.02〜0.3mass%,又はZr:0.02〜0.3mass%の少なくとも一種以上を含有していることが好ましい(請求項2、8)。
 V添加により,高温耐力が増加し高温疲労強度がさらに高まる。また,V添加は耐熱疲労性を損なうことなく,高温疲労強度を向上させるという付加的効果を発現できる。V含有量が0.02%未満では高温耐力の向上が不十分である。0.3%を超えると均一な溶解が難しく,未溶解のV化合物が介在物となって疲労強度が低くなるおそれがある。
 Zr添加により,高温耐力が増加し高温疲労強度がさらに高まる。また,Zr添加は上記の耐熱疲労性を損なうことなく,高温疲労強度を向上させるという付加的効果を発現できる。さらに,Zr添加により結晶粒が微細化し,安定した疲労特性が得られる。Zr含有量が0.02%未満では高温耐力の向上が不十分である。0.3%を超えると均一な溶解が難しく,未溶解のZr化合物が介在物となって疲労強度が低くなるおそれがある。
 また,上記第1又は第2の発明のピストンにおいて,上記アルミニウム鋳造合金は,さらに,Mn:0.2〜0.7mass%を含有していることが好ましい(請求項3、9)。
 MnもFeと同様,化合物を晶出させ,分散強化による高温耐力の向上に寄与する。また,基地アルミ中に固溶して,固溶強化により高温耐力を向上させる効果もあり,0.2mass%以上含有することが好ましい。0.7%を超えると,粗大なMn化合物を生成しやすく,応力集中が生じて疲労特性が低下するおそれがある。なお,Mn化合物とはMnを含む化合物の総称である。Mnはまた,Fe化合物中にも含有される。例えばAl−Si−Fe−Mn化合物は,FeおよびMnを含むので,Fe化合物とMn化合物の両方に属する。
 同様に,高温耐力向上のため,Fe含有量も0.2mass%以上とすることが好ましい。
 また,上記第1の発明のピストンは,ピストンの使用開始前のビッカース硬さがHV70〜100であることが好ましい(請求項5)。これにより,さらに耐熱疲労性を向上させることができる。上記ビッカース硬さがHV100を超える場合には,耐熱疲労性向上効果があまり得られない。また,上記アルミニウム鋳造合金の硬さは,上記組成の範囲では,下限値のHV70より低い硬さとすることは困難である。なお,HV80未満の場合には,温度200℃以下の環境下における疲労強度が十分でないおそれがある。また,HV95以下の場合には,上述した耐熱疲労性向上の効果がより明確となる。それ故,上記ピストンの硬度は,ビッカース硬さHV80〜95がより好ましい。上記のように硬さが低い方が耐熱疲労性が向上するのは,前述した様に組織の安定性が高まることによる効果である。さらに硬さを低めることによって寸法安定性が高まるという付加的効果も得られる。
 また,上記第1の発明においては,上記ピストンに内在する非金属介在物のサイズが100μm未満であることが好ましい(請求項6)。上記介在物のサイズが100μm以上の場合には,疲労強度及び熱疲労寿命が著しく低下するという問題がある。また,上記介在物のサイズとしては,50μm以下が好ましい。ここで,上記介在物のサイズとは,ピストンの金属組織または破面を観察した際に見られる上記介在物の内,面積が最大のものの代表的なサイズを言う。代表的なサイズの求め方としては,例えば面積の平方根などを取る方法がある。
 なお,上記介在物としては,例えば,Alを主成分とする酸化物や,硫化物,窒化物,炭化物,ケイ酸塩などがある。
 次に,上記第2の発明においては,上記鋳造工程により上記ピストンを形成した後,室温まで放冷することが好ましい。すなわち,上記ピストンの鋳造後,熱処理を行うことなく放冷した鋳放し状態で上記ピストンを使用することが好ましい(請求項11)。この場合には,製造工程を合理化することができるだけでなく,鋳造後の放冷時に高温で安定な析出物が生成するため組織の安定性が高まり,熱疲労特性が優れるという新たなメリットが生まれる。さらに耐熱性に優れ,高温疲労強度が高いという効果もある。
 また,上記第2の発明においては,上記鋳造工程により上記ピストンを形成した後,上記切削工程の前又は後に,該ピストンの使用開始前のビッカース硬さがHV70〜100の範囲となるように,温度250〜400℃に0.5〜24時間保持する焼鈍工程を行うことも好ましい(請求項12)。
 上記焼鈍工程は,上記ピストンをエンジンに組み込んで使用するまでのどこかの工程で行えばよく,上記のごとく,切削工程の前でも後でも良い。ただし,上記焼鈍工程は,上記切削工程より前に行うことが好ましい。これにより,焼鈍時に熱影響による変形が生じた場合でも,その後の切削工程において寸法精度を向上させることができる。
 上記焼鈍の温度が250℃未満の場合及び保持時間が0.5時間未満の場合には,ピストンの硬度を十分に軟化させることができず,ビッカース硬さをHV100以下にすることが困難となる。一方,焼鈍温度が400℃を超える場合には,CuやMgが再固溶して焼鈍後の冷却時及びその後の常温保持において析出硬化が生じ,硬さが高くなってしまうという問題がある。また,保持時間が24時間を超える場合には熱処理コストが高くなってしまうという問題がある。さらに、焼鈍温度を250℃以上とすることにより、使用時の寸法変化が小さいというメリットが付加される。
 なお,上記焼鈍後の冷却は,放冷あるいは水冷のいずれでも良い。
 また,上記第2の発明においては,上記鋳造工程の後,上記ピストンを温度450〜510℃に1〜12時間保持する溶体化加熱工程を行い,次いで,上記ピストンを焼き入れする焼き入れ工程を施し,その後,上記焼鈍工程を行うことが好ましい(請求項13)。
 この場合には,晶出物の角部が丸くなり応力集中が低減すると共に,高温で安定な析出物が生成するため,使用時の析出物の粗大化及びそれに伴う靱性の低下が抑制できるという効果が得られる。
 なお,上記焼き入れ工程は,過飽和固溶体を得るために高温から急冷する熱処理工程であり,例えば温水又は冷水中に焼き入れることにより行うことができる。
 また,上記溶体化加熱温度が450℃未満の場合には晶出物の角部が十分に丸くならず,また,析出物形成元素の固溶が不十分であるという問題がある。一方,溶体化加熱温度が510℃を超える場合にはCuを含有する化合物が一部溶融し再凝固するときに気孔等の欠陥を生じるおそれがある。
 また,上記溶体化加熱温度での保持時間が1時間未満の場合には,上記溶体化加熱温度が450℃未満の場合と同様の問題があり,一方,12時間を超える場合には,熱処理コストが高くなると共に生産効率が悪くなるという問題がある。
 また,上記第2の発明においては,上記焼き入れ工程の後,上記ピストンを温度180〜280℃に1〜12時間保持する時効工程を施し,その後,上記焼鈍工程を行うことが好ましい(請求項14)。この場合には,析出物がより均一に分散し,安定して優れた耐熱疲労性が得られる。
 一方,上記時効温度が180℃未満の場合には時効時の析出量が十分でないという問題があり,一方,280℃を超える場合には時効時の析出が均一に生じないために,焼鈍により粗大化した析出物の分布も不均質になるという問題がある。
 また,上記時効温度での保持時間が2時間未満の場合には,時効析出量が十分でないという問題があり,一方,12時間を超える場合には,それ以上加熱しても効果に大きな変化はなく,コスト高になるという問題がある。
 なお,本明細書中に記載する時効工程とは硬さを上げる熱処理工程であり,一方,焼鈍工程とは硬さを下げる熱処理工程を意味する。
 なお,上記ピストンの鋳造方法としては,低コストな重力鋳造が利用できる。但し,高圧鋳造,ダイキャストなどでも製造可能である。
 次に,上記第3及び第4の発明においても,上記と同様の理由から,上記アルミニウム鋳造合金は,さらに,V:0.02〜0.3mass%,又はZr:0.02〜0.3mass%の少なくとも一種以上を含有していることが好ましい(請求項16、21)。
 また,上記第3及び第4の側面においても,上記と同様の理由から,Mn:0.2〜0.7mass%含有することが好ましい。また,Feの含有量は0.2mass%以上とすることが好ましい(請求項17、22)。
 また,上記第3の発明においても,上記と同様の理由から,上記ピストンに内在する非金属介在物のサイズが100μm未満であることが好ましい(請求項19)。
 また,上記第4の発明においては,上述したごとく,上記鋳造工程により上記ピストンを形成した後,上記切削工程の前又は後に,該ピストンの使用開始前のビッカース硬さがHV70〜100の範囲となるように,温度250〜400℃に0.5〜24時間保持する焼鈍工程を行う。
 この場合の上記焼鈍工程も,上記ピストンをエンジンに組み込んで使用するまでのどこかの工程で行えばよく,上記のごとく,切削工程の前でも後でも良い。ただし,上記焼鈍工程は,寸法精度向上のために,上記切削工程より前に行うことが好ましい。
 上記焼鈍の温度が250℃未満の場合及び保持時間が0.5時間未満の場合には,ピストンの硬度を十分に軟化させることができず,ビッカース硬さをHV100以下にすることが困難となる。一方,焼鈍温度が400℃を超える場合には,CuやMgが再固溶して焼鈍後の冷却時及びその後の常温保持において析出が生じ,硬さが高くなってしまうという問題がある。また,保持時間が24時間を超える場合には熱処理コストが高くなってしまうという問題がある。さらに、250℃以上の焼鈍によって寸法安定性の向上も得られる。
 なお,上記焼鈍後の冷却は,放冷あるいは水冷のいずれでも良い。
 また,上記第4の発明においても,上記鋳造工程の後,上記ピストンを温度450〜510℃に1〜12時間保持する溶体化加熱工程を行い,次いで,上記ピストンを焼き入れする焼き入れ工程を施し,その後,上記焼鈍工程を行うことが好ましい(請求項24)。
 この場合には,晶出物の角部が丸くなり応力集中が低減すると共に,高温で安定な析出物が生成するため,使用時の析出物の粗大化及びそれに伴う靱性の低下が抑制できるという効果が得られる。
 なお,上記焼き入れ工程は,例えば温水又は冷水中に焼き入れることにより行うことができる。
 また,上記溶体化加熱温度が450℃未満の場合には晶出物の角部が十分に丸くならず,また,析出物形成元素の固溶が不十分であるという問題がある。一方,溶体化加熱温度が510℃を超える場合にはCuを含有する化合物が一部溶融し再凝固するときに気孔等の欠陥を生じるおそれがある。
 また,上記溶体化加熱温度での保持時間が1時間未満の場合には,上記溶体化加熱温度が450℃未満の場合と同様の問題があり,一方,12時間を超える場合には,熱処理コストが高くなると共に生産効率が悪くなるという問題がある。
 また,上記第4の側面においても,上記焼き入れ工程の後,上記ピストンを温度180〜280℃に1〜12時間保持する時効工程を施し,その後,上記焼鈍工程を行うことが好ましい(請求項25)。この場合には,析出物がより均一に分散し,安定した優れた耐熱疲労性が得られる。
 一方,上記時効温度が180℃未満の場合には時効析出量が十分でないという問題があり,一方,280℃を超える場合には時効析出物が不均一に生成するため,焼鈍により粗大化した析出物の分布も不均質になるという問題がある。
 また,上記時効温度での保持時間が2時間未満の場合には,時効析出量が十分でないという問題があり,一方,12時間を超える場合には,それ以上加熱しても効果に大きな変化はなく,コスト高になるという問題がある。
 なお,上記第4の側面におけるピストンの鋳造方法としても,低コストな重力鋳造が利用できる。但し,高圧鋳造,ダイキャストなどでも製造可能である。
 上記本発明の第1〜第4の発明においては,上記鋳造合金の成分組成に対して,さらに次のようにすることが好ましい。
<Ca:0.0005〜0.003mass%の添加(請求項4,10,18,23)>
 例えば,Ti,Zr,V等の結晶粒微細化元素を含む場合に,微量Caをさらに添加すると,より結晶粒が微細になり,組織が均質化する効果が得られる。Ti等の結晶粒微細化元素を含まない場合,および含んでいても含有量が上記の本発明の範囲に満たない場合には,Caを添加しても結晶粒の微細化効果は得られない。また,本発明の成分範囲であっても,Ca含有量が0.0005mass%未満では,結晶粒の微細化効果が得られず,0.003mass%を超えるとデンドライト組織が顕著になり,組織が不均質化するため好ましくない。また,Ca含有量が多すぎると気孔が発生しやすくなる場合があるので,Ca含有量の上限は0.002%以下とするのがより好ましい。
<Cr:0.01〜0.5mass%の添加>
 微量Cr添加により,結晶粒がより微細になる効果が得られる。この効果は,上記Ca添加の場合と同様に,Ti等の結晶粒微細化元素を十分に含有する本発明の合金でのみ発現する。Cr量が0.01%未満では,結晶粒微細化の効果が小さく,0.5%を超えるとCrを含有する粗大な化合物が生成し,合金の延性が低下する。
<B:0.01mass%未満に規制>
 B含有量が増えると,耐熱性が低下する。そのため,B含有量は0.01mass%未満に規制することが好ましい。
<Be:0.01〜0.5mass%の添加>
 BeはFe化合物の形態を改良し鋳造性を改善する効果がある。0.01mass%未満では鋳造性改善効果が十分に認められず,0.5mass%を超えると,Be添加による効果の向上が認められず,コスト的に無駄となるおそれがある。
<Ti,Zr,Vの最適含有量>
 Ti,Zr,Vを共に含有する場合には,Ti:0.15〜0.3mass%,Zr:0.05〜0.12mass%,V:0.03〜0.12mass%とすることが好ましい。これにより,結晶粒が十分に微細化し,最適な均質組織が得られる。Zr含有量及びV含有量が共に0.12mass%を超える場合には,Tiとの化合物が溶解時に生成しやすく,結晶粒の微細化が不十分になると共にデンドライトが整列してミクロ組織が不均質になるおそれがある。
<Pの好適含有量>
 P含有量が少ない場合には,デンドライトが残存する亜共晶組織になり,ミクロ組織が不均質にあるおそれがある。そのため,P含有量は0.005mass%以上とすることが好ましい。
(第1実施例)
 本例では,ピストン用のアルミニウム鋳造合金として,表1〜表4に示すごとく,本発明の実施例として,Mgレス材(Mg含有量0.2mass%以下)よりなる19種類のアルミニウム鋳造合金(表1)と,Mg含有材(Mg含有量0.2mass%以上)よりなる3種類のアルミニウム鋳造合金(表2)を準備した。さらに,比較例として,Mg含有材6種類(表3)と,Mgレス材3種類のアルミニウム鋳造合金(表4)を準備した。そして,それぞれに種々の製造方法を適用して試験片を作製し,その熱疲労試験を行った。
 まず,表1〜表4に示す化学組成を有する各種アルミニウム合金を溶製した。溶湯温度は740〜760℃とし,フラックス添加による脱酸処理を施した後,真空中で20min間保持する真空脱ガス処理を施した。その後,表面にBNを塗布した室温のJIS4号試験片採取用舟型に,上記溶湯を鋳込んだ。注湯温度は700℃±20℃である。なお舟型は予めバーナー加熱し十分に水分を除去した後室温に冷却したものを用いた。
 次に,表5〜表8に示すごとく,得られた鋳造素材に,必要に応じて以下の熱処理を実施した。
<T6処理>:
 495℃×3時間の加熱後,50℃の温水中に焼き入れる溶体化処理を施し,次いで210℃×3時間の時効処理を実施。
<T5処理>:
 金型に鋳造後,室温まで放冷した後,220℃×6時間の時効処理を実施。
<F処理>:
 金型に鋳造後,室温まで放冷のみ。
<水冷T5処理>:
 金型に鋳造後,直ぐに,400℃以上の高温状態から50℃の温水中に焼き入れた後,220℃×6時間の時効処理を実施。
<T6+S処理>:
 上記T6処理後,350℃×2時間の焼鈍処理を実施。
<T5+S処理>:
 上記T5処理後,350℃×2時間の焼鈍処理を実施。
<T6+S4処理>:
 上記T6処理後,400℃×2時間の焼鈍処理を実施。
<TS処理>:
 495℃×3時間の加熱後,50℃の温水中に焼き入れる溶体化処理を施し,次いで350℃×2時間の焼鈍処理を実施。
 次に,上記の熱処理を施した鋳造素材から機械加工により熱疲労試験片および硬さ測定試料を採取した。
 熱疲労試験片の平行部はφ4mm×長さ6mmとし,舟型底から14mm高さの位置を試験片の軸中心として加工した。
 熱疲労試験は,低熱膨張合金製の拘束ホルダに供試アルミ合金を取り付け加熱・冷却を繰り返す方式で実施した(例えば,(1)特開平7−20031号公報,(2)特願2001−222081,(3)Proceedings of CAMP2002 on High-tempareature Fatigue Eds.:G.Biallas et al., pp.171-178に示される熱疲労試験方法)。
 具体的には,図1〜図3に示すごとく,中央部に両端部よりも断面積が小さな評価部分(平行部)10を有する棒状の熱疲労試験片1を用意する。また,試験温度範囲において上記熱疲労試験片1より熱膨張係数が小さく,かつ熱膨張係数が急激に変化する温度特異点が存在しない低膨張材料からなり,上記熱疲労試験片1の両端部11と接触する両側の固定端部21に複数のV字形の刃22を設けた2枚のホルダ2を用意する。
 そして,図3に示すごとく,上記熱疲労試験片1をその両側から上記ホルダ2によって挟持するように拘束するに際し,上記ホルダ2の上記刃22を上記熱疲労試験片1の両端部11に圧入する。それとともに,上記熱疲労試験片1の両端部11と上記ホルダ2の上記固定端部21との間の結合の緩みを防止するために弾性部材31を介して結合手段3によって上記熱疲労試験片1の両端部11と上記ホルダ2の上記固定端部21とを拘束する。
 また,上記熱疲労試験片1の上記評価部分10には必要に応じて(歪み測定の時のみ)熱ひずみを測定するための歪みゲージ59を配置する。
 そして,この拘束状態のまま上記熱疲労試験片1および上記ホルダ2の全体に対して加熱・冷却サイクルを繰り返し与えると共に,上記熱疲労試験片1の両端部11と上記ホルダ2の固定端部21との間の結合力が低下することを抑制するための上記結合手段の増し締めを必要に応じて行う。
 そして,上記熱疲労試験片1と上記ホルダ2との熱膨張差により生じる熱ひずみを上記熱疲労試験片1の上記評価部分10に局所的に集中させ,上記熱疲労試験片1が破断した際の上記加熱・冷却サイクルのサイクル数により熱疲労寿命を求める。また上記歪みゲージにより全ひずみ範囲を求める。
 本例では,試験温度範囲は50〜350℃,繰り返し速度は4min/サイクルとした。
 ホルダの材質はIncoloy903とし,試験片およびホルダの形状は図1,図2に示された寸法が,L0=48mm,L1=46mm,L2=32mm,L3=22mm,t=6mmのものを用いた。
 まず,熱疲労試験の妥当性を検証すると共に,試験条件を明らかにするために,JIS−AC8A合金製の試験片を用いて熱疲労試験を行い,高温ひずみゲージで試験初期の全ひずみ範囲を実測した。その結果,試験初期の全ひずみ範囲は約0.65%であった。また,試験片の中央平行部での破断が生じ,熱疲労特性の評価ができることを確認した。
 なお,上記各合金の試験片を用いた熱疲労試験においては,ホルダと試験片を締結しているボルト・ナットの緩みを防止するため,100,500,1000サイクルと以後1000サイクル毎にボルト・ナットの増し締めを実施した。
 熱疲労寿命(Nf)は,目視による亀裂観察および試験片上下間の温度差変化(破断すると温度分布が変化するため)から判断した。なお,本試験では目視で確認できるマクロ亀裂が発生すると急激に進展して破断に至るため,マクロ亀裂の発生寿命と破断寿命はほぼ同じと見なされ熱疲労寿命と一元化して表示している。
 比較例および実施例の合金の性能評価結果を表5〜表8に示す。これらの表において,Mgの有無とは,Mg含有量が0.2mass%以下の場合(実際には0.01mass%未満の場合)をMg無し(Mgレス)として示した。また,HVはビッカース硬さを示す。また,Nfは,熱疲労試験において,試験片が破断した際の上記加熱・冷却サイクルのサイクル数を示している。
 供試合金の特徴をあらためて示すと,次の通りである。
 比較例1〜6はMg含有合金で,熱処理は比較例1,2がT6処理,比較例3〜5がT5処理,比較例6が水冷T5処理である。
 比較例7〜9はMgレス材であり,熱処理は比較例7,8がF処理,比較例9がT5+S処理である。
 実施例1〜19及び実施例23,24はMgレス合金であり,熱処理は,実施例1〜3がT6処理,実施例4〜11がT6+S処理,実施例12がTS処理,実施例13がT6+S4処理,実施例14,15がT5処理,実施例16が水冷T5処理,実施例17,18がF処理,実施例19が水冷T5+S処理,実施例23,24がT6処理である。なお,実施例23,24は,Mn含有量を実質的に0(0.01mass%未満)としたものである。
 また,実施例20〜22及び実施例25,26はMg含有合金であり,熱処理は実施例20,21がT6+S処理,実施例22が水冷T5+S処理,実施例25,26がT6+S処理である。なお,実施例25,26は,Mn含有量を実質的に0(0.01mass%未満)としたものである。
 表5から知られるように,Mg含有量が0.01mass%未満であるMgレス合金は,比較例の合金に比べて熱疲労寿命が長いことが分かる。
 表7から知られるように,比較例1〜6の合金のMg量は0.25mass%以上であることから,優れた熱疲労寿命を得るためには少なくともMg量を0.2mass%以下にすることが有効であることが分かる。
 表5に示すごとく,Mgレスの合金の中でも焼鈍を施した実施例4〜13の合金は特に熱疲労寿命が長い。
 実施例12はT6の時効処理を省略して焼鈍を加えた合金であるが,同様に優れた熱疲労寿命を示している。
 実施例14〜19は熱処理がT5処理,水冷T5処理,F処理あるいは水冷T5+Sであるが,いずれの熱処理でも比較例に比べて熱疲労寿命が長い。取り分けF処理を施した実施例17,18は優れた熱疲労寿命を示している。
 また,Mgレスの合金であって,かつ,Mnレス(Mn含有量が実質的に0の実施例23,24も,これらと同様の熱処理を行ったものと同等の優れた特性を示した。
 表6に示すごとく,実施例20〜22はMg含有合金の焼鈍材であり,やはり比較例1〜6に比べて優れた熱疲労寿命を示している。これより,焼鈍によりある程度基地アルミ相が軟化しておれば,Mg含有材でも優れた熱疲労寿命が得られることが分かる。焼鈍による基地アルミ相の軟化の程度は硬さによりほぼ評価できる。
 また,Mg含有の合金であって,かつ,Mnレス(Mn含有量が実質的に0の実施例25,26も,これらと同様の熱処理を行ったものと同等の優れた特性を示した。
 また,表4〜表8の結果から,焼鈍によってビッカース硬さがHV100以下に調整された供試材では明確に熱疲労寿命の向上が認められている。特にHV95以下ではその効果が顕著である。
 また,焼鈍なしのT5処理およびT6処理を行ったもの(比較例1〜6)の硬さはHV101以上であることから,硬さがHV70〜100になるような焼鈍条件であれば熱疲労寿命の向上効果が得られると判断される。
 以上の結果から,Mg量の低減と焼鈍または鋳造後放冷する熱処理を施した本発明の第1の側面に属する実施例1〜19の合金と,第3の側面に属するMg含有材であるがビッカース硬さをHV70〜100の範囲に調整したアルミニウム鋳造合金を用いたものが,ピストンに要求される耐熱疲労特性に優れることが分かった。
 また,表4〜表8には,各試験片の破面の破壊起点に認められる非金属介在物のサイズを示した。この介在物は,例えばアルミナなどのAlを主体とする酸化物である。上記介在物のサイズは,面積の平方根から求めた。
 表4〜表8から知られるように,非金属介在物のサイズが100μm以上の場合,熱疲労寿命が短く,合金本来の優れた耐熱疲労性を十分に発揮できないことがわかる。なお,破壊起点となる介在物は,試験片に内在する介在物の内最大級のものと見なすのが妥当である。
Figure 2004068152
Figure 2004068152
Figure 2004068152
Figure 2004068152
Figure 2004068152
Figure 2004068152
Figure 2004068152
Figure 2004068152
 次に,上記実施例1等のアルミニウム鋳造合金を用いて製造したピストンの一例を示す。
 本例のピストン5は,図4に示すごとく,略円筒形状の本体部50と,該本体部50の一端を閉塞するように配設された頂面部530と,本体部50を径方向に貫通するように設けられたピン穴520を設けたピンボス部52を有している。各ピン穴520は,図示しないコンロッドを固定するためのピストンピンを挿入するように構成されている。
 このピストン5を製造するに当たっては,上記実施例1〜20の試験片を製造する場合と同様に行うことができる。
 得られたピストン5は,特に上記頂面部530の耐熱疲労性を向上させることができ,特にリップ部53の耐熱疲労性の向上効果が大きい。また,頂面部530全体の高温疲労強度が高い。これらの効果により,ピストン全体の耐久性を従来よりも向上させることができる。また,本合金は耐熱性に優れるため,リング溝部54の耐熱性向上のために用いても効果が期待できる。
(第2実施例)
 本例では,表9に示すごとく,鋳造合金の成分としてCaを添加し,その添加量の下限値を検証した。
 表9に示すごとく,本例では,本発明の実施例として2種類の供試材(実施例A1,A2)を準備すると共に,比較例としての2種類の供試材(比較例A3,A4)を準備した。いずれの供試材も,第1実施例の場合と同様の鋳造方法により鋳造し,その後,室温まで放冷したものである。
 得られた供試材のマクロ組織写真を図5〜図8に示す。図5は実施例A1に対するもの,図6は実施例A2に対するもの,図7は比較例A3に対するもの,図8は比較例A4に対するものである。
 図5〜図8より知られるように,Ca含有量が0.0005mass%以上の実施例A1,A2の合金は,Ca含有量が0.0005mass%未満の比較例A3,A4の合金に比べて結晶粒が微細であり,組織がより均質である。
 なお,表9中における,○は組織が微細かつ均質であることを意味し,△は組織がやや粗大でやや不均質であることを意味する。
Figure 2004068152
(第3実施例)
 本例では,表10に示すごとく,鋳造合金の成分としてCaを添加し,その添加量の上限値を検証した。
 表10に示すごとく,本例では,本発明の実施例として1種類の供試材(実施例B1)を準備すると共に,比較例としての2種類の供試材(比較例B2,B3)を準備した。いずれの供試材も,第1実施例の場合と同様の鋳造方法により鋳造し,その後,室温まで放冷したものである。
 得られた供試材のミクロ組織写真を図9〜図11に示す。図9は実施例B1に対するもの,図10は比較例B2に対するもの,図11は比較例B3に対するものである。
 図9〜図11より知られるように,Ca含有量が0.003mass%以下の実施例B1は,デンドライトの整列が殆どなく,ミクロ組織が均質であるが,Ca含有量が0.003mass%を超える図比較例B2,B3の合金は,デンドライトの整列が明瞭で,ミクロ組織が不均質である。
 なお,表10中における,○は組織が均質であることをを意味し,×は組織が不均質であることを意味する。
Figure 2004068152
(第4実施例)
 本例では,表11に示すごとく,鋳造合金の成分としてCrを添加した効果を検証した。
 表11に示すごとく,本例では,本発明の実施例として2種類の供試材(実施例C1,C2)を準備すると共に,比較例としての2種類の供試材(比較例C3,C4)を準備した。いずれの供試材も,第1実施例の場合と同様の鋳造方法により鋳造し,その後,室温まで放冷したものである。
 得られた供試材のマクロ組織写真を図12〜図15に示す。図12は実施例C1に対するもの,図13は実施例C2に対するもの,図14は比較例C3に対するもの,図15は比較例C4に対するものである。
 図12〜図15より知られるように,Crを含有する実施例C1,C2は,Cr量が0.01mass%未満でCrを実質的に含有しない比較例C3,C4に比べて,結晶粒が細かく,マクロ組織がより均質である。
 なお,表11中における,○は組織が十分に微細かつ均質であることを意味し,△は組織がやや粗大でやや不均質であることを意味する。
Figure 2004068152
(第5実施例)
 本例では,表12に示すごとく,鋳造合金の成分としてBが含有された場合の影響を検証した。
 表12に示すごとく,本例では,本発明の実施例として1種類の供試材(実施例D1)を準備すると共に,比較例としての2種類の供試材(比較例D2,D3)を準備した。いずれの供試材も,第1実施例の場合と同様の鋳造方法により鋳造し,その後,室温まで放冷した後,220℃×6時間の時効処理を実施し(T5処理),さらに,温度350℃に100時間保持した後,室温まで冷却したものである。
 本例では,得られた供試材のビッカース硬さを測定した。その結果を表12に示す。
 同表より知られるごとく,B含有量が0.01mass%未満で実質的にBを含有しない実施例D1の硬さは,B含有量が0.01mass%以上の比較例D2,D3に比べて,高温保持後の硬さが高く,耐熱性に優れる。
Figure 2004068152
第1実施例における,熱疲労試験片の形状及び寸法を示す,(a)平面図,(b)正面図。 第1実施例における,ホルダの形状及び寸法を示す,(a)正面図,(b)側面図,(c)刃部分の拡大説明図。 第1実施例における,熱疲労試験片とホルダとの拘束状態を示す,(a)平面図,(b)正面図。 第1実施例における,ピストンの一部切欠き斜視図。 第2実施例における,実施例A1のマクロ組織を示す図面代用写真。 第2実施例における,実施例A2のマクロ組織を示す図面代用写真。 第2実施例における,比較例A3のマクロ組織を示す図面代用写真。 第2実施例における,比較例A4のマクロ組織を示す図面代用写真。 第3実施例における,実施例B1のミクロ組織を示す図面代用写真。 第3実施例における,比較例B2のミクロ組織を示す図面代用写真。 第3実施例における,比較例B3のミクロ組織を示す図面代用写真。 第4実施例における,実施例C1のマクロ組織を示す図面代用写真。 第4実施例における,実施例C2のマクロ組織を示す図面代用写真。 第4実施例における,比較例C3のマクロ組織を示す図面代用写真。 第4実施例における,比較例C4のマクロ組織を示す図面代用写真。
符号の説明
 1 熱疲労試験片
 10 評価部分
 11 両端部
 115 挿入穴
 2 ホルダ
 21 固定端部
 215 挿入穴
 22 刃
 3 結合手段
 301 ボルト
 302 ナット
 31 弾性部材(皿バネ)
 5 ピストン
 52 ピンボス部
 520 ピン穴
 53 リップ部
 530 頂面部
 54 リング溝部

Claims (25)

  1.  Mg:0.2mass%以下、Ti:0.05〜0.3mass%、Si:10〜21mass%、Cu:2〜3.5mass%、Fe:0.1〜0.7mass%、Ni:1〜3mass%、P:0.001〜0.02mass%を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム鋳造合金よりなることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストン。
  2.  請求項1において、上記アルミニウム鋳造合金は、さらに、V:0.02〜0.3mass%、又はZr:0.02〜0.3mass%の少なくとも一種以上を含有していることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストン。
  3.  請求項1において、上記アルミニウム鋳造合金は、さらに、Mn:0.2〜0.7mass%を含有していることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストン。
  4.  請求項1において、上記アルミニウム鋳造合金は、さらに、Ca:0.0005〜0.003mass%を含有していることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストン。
  5.  請求項1において、上記ピストンの使用開始前のビッカース硬さがHV70〜100であることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストン。
  6.  請求項1において、上記ピストンに内在する非金属介在物のサイズが100μm未満であることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストン。
  7.  Mg:0.2mass%以下、Ti:0.05〜0.3mass%、Si:10〜21mass%、Cu:2〜3.5mass%、Fe:0.1〜0.7mass%、Ni:1〜3mass%、P:0.001〜0.02mass%を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム鋳造合金を用い、
     該アルミニウム鋳造合金を鋳造してピストンを形成する鋳造工程と、
     上記ピストンに切削加工を施す切削工程とを含むことを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
  8.  請求項7において、上記アルミニウム鋳造合金は、さらに、V:0.02〜0.3mass%、又はZr:0.02〜0.3mass%の少なくとも一種以上を含有していることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
  9.  請求項7において、上記アルミニウム鋳造合金は、さらに、Mn:0.2〜0.7mass%を含有していることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
  10.  請求項7において、上記アルミニウム鋳造合金は、さらに、Ca:0.0005〜0.003mass%を含有していることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
  11.  請求項7において、上記鋳造工程により上記ピストンを形成した後、室温まで放冷することを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
  12.  請求項7において、上記鋳造工程により上記ピストンを形成した後、上記切削工程の前又は後に、該ピストンの使用開始前のビッカース硬さがHV70〜100の範囲となるように、温度250〜400℃に0.5〜24時間保持する焼鈍工程を行うことを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
  13.  請求項12において、上記鋳造工程の後、上記ピストンを温度450〜510℃に1〜12時間保持する溶体化加熱工程を行い、次いで、上記ピストンを焼き入れする焼き入れ工程を施し、その後、上記焼鈍工程を行うことを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
  14.  請求項13において、上記焼き入れ工程の後、上記ピストンを温度180〜280℃に1〜12時間保持する時効工程を施し、その後、上記焼鈍工程を行うことを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
  15.  Mg:0.2〜2mass%、Ti:0.05〜0.3mass%、Si:10〜21mass%、Cu:2〜3.5mass%、Fe:0.1〜0.7mass%、Ni:1〜3mass%、P:0.001〜0.02mass%を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム鋳造合金よりなり、
     使用開始前のビッカース硬さがHV70〜100であることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストン。
  16.  請求項15において、上記アルミニウム鋳造合金は、さらに、V:0.02〜0.3mass%、又はZr:0.02〜0.3mass%の少なくとも一種以上を含有していることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストン。
  17.  請求項15において、上記アルミニウム鋳造合金は、さらに、Mn:0.2〜0.7mass%を含有していることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストン。
  18.  請求項15において、上記アルミニウム鋳造合金は、さらに、Ca:0.0005〜0.003mass%を含有していることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストン。
  19.  請求項15において、上記ピストンに内在する非金属介在物のサイズが100μm未満であることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストン。
  20.  Mg:0.2〜2mass%、Ti:0.05〜0.3mass%、Si:10〜21mass%、Cu:2〜3.5mass%、Fe:0.1〜0.7mass%、Ni:1〜3mass%、P:0.001〜0.02mass%を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム鋳造合金を用い、
     該アルミニウム鋳造合金を鋳造してピストンを形成する鋳造工程と、
     上記ピストンの使用開始前のビッカース硬さがHV70〜100の範囲となるように、温度250〜400℃に0.5〜24時間保持する焼鈍工程と、
     該焼鈍工程よりも前又は後に上記ピストンに切削加工を施す切削工程とを含むことを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
  21.  請求項20において、上記アルミニウム鋳造合金は、さらに、V:0.02〜0.3mass%、又はZr:0.02〜0.3mass%の少なくとも一種以上を含有していることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
  22.  請求項20において、上記アルミニウム鋳造合金は、さらに、Mn:0.2〜0.7mass%を含有していることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
  23.  請求項20において、上記アルミニウム鋳造合金は、さらに、Ca:0.0005〜0.003mass%を含有していることを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
  24.  請求項20において、上記鋳造工程の後、上記ピストンを温度450〜510℃に1〜12時間保持する溶体化加熱工程を行い、次いで、上記ピストンを焼き入れする焼き入れ工程を施し、その後、上記焼鈍工程を行うことを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
  25.  請求項24において、上記焼き入れ工程の後、上記ピストンを温度180〜280℃に1〜12時間保持する時効工程を施し、その後、上記焼鈍工程を行うことを特徴とするアルミニウム鋳造合金製ピストンの製造方法。
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