JP2004068066A - 被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の大型MnS晶出型の快削鋼と同等の被削性を有し、かつ、耐ピッチング性に優れた肌焼鋼を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、鋼中にMnSを主成分とする微細硫化物を1mm2当たり5000個以上含有する被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼。
【選択図】 なし
【解決手段】質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、鋼中にMnSを主成分とする微細硫化物を1mm2当たり5000個以上含有する被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、各種の産業機械や、自動車などのエンジンや、駆動系部品であるギアその他の自動車用部品に使用する肌焼鋼に関し、特に、熱間、温間または冷間鍛造によって成型し、必要に応じて熱処理を行った後、切削加工によって製品形状に仕上げ、その後、浸炭または浸炭窒化などの表面硬化を施してギアなどの部品とするために使用する肌焼鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術について述べると、自動車のエンジンや駆動系部品に用いられるギアは、例えば、肌焼鋼材を熱間、温間または冷間鍛造にて成型し、必要に応じて熱処理をし、歯切りなどの切削加工を行った後、浸炭処理し、さらに必要に応じてショットピーニングなどの表面処理する工程で製造される。しかし、肌焼鋼材の被削性が悪いと、歯切りなどの切削加工において、工具寿命の低下を招き、この結果、コストアップにつながる。
【0003】
そこで、上記の肌焼鋼の被削性の向上には、鋼材の組織制御や、硬さ調整を行っている。このようにして被削性の向上を図った鋼材の同一組織、同一硬さにおいて、さらなる被削性の向上を図るためには、鋼成分のSを増量したり、さらに、Pb、Biなどの添加による快削性物質を利用した手法が用いられている。
【0004】
すなわち、S増量は鋼材中にMnSを生成して、切削時に生成されたMnSが応力集中源となり、かつ、MnSが工具と切り屑および工具とワークとの潤滑性を有するため、被削性を向上させる。しかし、大型のMnSは破壊の起点となり、特に衝撃特性に悪影響を及ぼすという問題点を持つ。
【0005】
鋼成分としてPbやBiの添加も同様に被削性は向上するが、Pbは環境問題の観点からPbフリー化が求められており、Biの添加はコストアップになる問題がある。
【0006】
一方、ギアに求められる強度特性としては、歯元の疲労特性や衝撃特性並びに歯面の耐ピッチング特性があり、これらの特性向上が期待される。
【0007】
なかでも歯面の耐ピッチング性については、(1)Si増量による高温時での表面硬さの上昇、(2)ショットピーニング処理などによる表面近傍の圧縮残留応力の付加、(3)真空浸炭などによる浸炭異常層の低減、(4)歯面の研磨作業などによる表面粗さの低減などの手段が、特性改善に有効と報告されている。
【0008】
しかし、(1)の高温時での表面硬さの上昇のためにSiを鋼成分として増量すると、被削性を阻害し、(2)〜(4)の手段では、新たな製造工程や工法によるコストアップにつながる問題がある。
【0009】
近年の高強度化ニーズに対応するためには、低コストで新たな手法による、耐ピッチング性の向上が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来の大型MnS晶出型の快削鋼と同等の被削性を有し、かつ、耐ピッチング性に優れた肌焼鋼を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明では、肌焼鋼材中に微細硫化物を多数存在させることにより、(1)衝撃特性などの強度低下を抑制し、かつ被削性の向上を図り、(2)耐ピッチング性の向上、を可能としたものである。
【0012】
本発明での微細硫化物とは、MnSを主成分とした晶出あるいは析出によって生成する鋼材中の介在物で、円相当直径で0.1〜3μmの大きさのものを指しており、これらの介在物中には、MnとS以外に、Cr、Cu、Fe、Oなどのマトリックス中の元素やTiなどの硫化物あるいは炭硫化物生成元素を含む場合もある。また。これらの微細硫化物以外に、通常の大型硫化物や酸化物、炭窒化物が存在していても良い。
【0013】
MnSなどの硫化物を微細かつ多数析出させることによって、従来の快削鋼と同等の被削性を有し、衝撃特性に及ぼす悪影響を低減する。また多数の微細硫化物が摩擦低減の効果を発揮し、ギアの歯面に求められる耐ピッチング性が向上するものである。
【0014】
すなわち、上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、肌焼鋼において、質量%で、Mn添加量を0.05〜1.00%、S添加量を0.05〜0.40%とし、原子比でMn/S:0.6〜1.4とし、鋼中にMnSを主成分とする微細硫化物を1mm2当たり5000個以上含有することを特徴とする被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼である。
【0015】
請求項2の発明では、肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1の手段の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼である。なお、請求項4〜6の手段のように、さらに、任意成分として、B、Ti、Nbから選択した1種または2種以上を含有してもよい。
【0016】
請求項3の発明では、肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、さらにCr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択の1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1の手段の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼である。
【0017】
請求項4の発明では、肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、さらにCr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択した1種又は2種を含有し、さらにB:0.0005〜0.0025%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1の手段の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼である。
【0018】
請求項5の発明では、肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、さらにCr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択した1種又は2種を含有し、さらにNb:0.01〜0.15%、Ti:0.03〜0.30%から選択した1種又は2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1の手段の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼である。
【0019】
請求項6の発明では、肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、さらにCr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択の1種または2種以上を含有し、さらにB:0.0005〜0.0025%を含有し、さらにNb:0.01〜0.15%、Ti:0.03〜0.30%から選択した1種又は2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1の手段の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼である。
【0020】
本発明における鋼材の成分限定理由を説明する。なお、いずれも%は質量%である。
C:0.07〜0.35%
Cは、鋼材に必要な強度を与え、焼入性を向上させる元素であり、0.07%未満では他の合金元素との関係で機械用部品として必要な引張り強さを確保できず、0.35%を超えると他の合金元素との関係で硬くなり被削性を阻害し、かつ、浸炭後の芯部靱性が劣化する。そこで、C:0.07〜0.35%とする。
【0021】
Si:0.05〜2.00%
Siは、主として脱酸剤および焼入性を向上させる元素で、0.05%未満ではその効果は十分でなく、2.00%を超えると硬さの上昇を招き、被削性を阻害する。そこで、Si:0.05〜2.00%とする。
【0022】
Mn:0.05〜1.00%
Mnは、鋼の脱酸に有効であり、さらに強度および焼入性を付与するために有効な元素である。さらに、MnS生成に必要で、かつFeS生成を防止する元素である。0.05%未満ではその効果は十分でなく、上限は、Sの上限とMn/S比:1.4を満たす値で、あり、1.00%を超えるとその効果は飽和するとともに硬さの上昇を招き加工性を劣化する。そこで、Mn:0.05〜1.00%とし、好ましくは、Mn:0.14〜0.60%とする。
【0023】
S:0.05〜0.40%
Sは、鋼中でMnSを形成し、微細MnSによる被削性を向上させ、耐ピッチング性を向上させる元素である。しかし、0.05%未満では、その効果は十分でなく、0.40%を超えると熱間加工性を損なう。そこで、S:0.05〜0.40%とし、好ましくはS:0.10〜0.30%とする。
【0024】
原子比でMn/S:0.6〜1.4
Mn/S:0.6未満では、FeSの生成により熱間加工性が損なわれる。1.4を超えると、大型MnSの生成による機械的性質の劣化する。そこで、原子比でMn/S:0.6〜1.4とし、好ましくは、Mn/S:0.8〜1.2とする。
【0025】
Al:0.005〜0.060%
Alは、脱酸剤として必要な元素であり、さらに浸炭加熱の際に、鋼中のNと結びついてAlNを形成し、結晶粒の微細化および結晶粒の粗大化抑止に有効な元素である。0.005%未満では結晶粒調整に必要な最低限のAlN量が得られない。0.060%を超えると結晶粒調整の効果が飽和する。そこで、Al:0.005〜0.060%とする。
【0026】
N:0.003〜0.030%
Nは、0.003%未満では結晶粒調整に必要な最低限のAlN量が得られない。さらに、0.030%を超えると結晶粒調整の効果が飽和する。そこで、N:0.003〜0.030%とする。
【0027】
P:0.050%未満
Pは、任意に含有される不純物成分で、浸炭部品の結晶粒界を脆化させるので、できるだけ低減することが望ましく、そこで、P:0.050%未満が望ましい。
【0028】
Cr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択の1種または2種以上
Cr、Mo、Niは、強度、焼入性、靱性を与えるのに有効な元素である。Crは、0.50%未満ではその効果は十分でなく、Mo、Niは、0.05%未満ではその効果は十分でない。Crは2.50%を超えると、Moは1.00%を超えると、Niは3.50%を超えると、硬さの上昇を招き、加工性が劣化するとともにコストアップとなる。これらは選択的に使用することができる。そこで、Cr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択の1種または2種以上とする。
【0029】
B:0.0005〜0.0025%
Bは、焼入性を向上させ、さらに粒界強化による強度向上に有効な元素で、0.0005%未満では、その効果は十分でなく、0.0025%を超えてもその効果は飽和する。そこで、B:0.0005〜0.0025%とする。
【0030】
Nb:0.01〜0.15%、Ti:0.03〜0.30%から選択した1種又は2種
NbまたはTiは、炭窒化物の生成により結晶粒を微細化し、強度を向上する元素で、Nbは0.01%未満では、Tiは0.03%未満では、それらの効果は十分でなく、Nbは0.15%を超えると、Tiは0.30%を超えると、結晶粒微細化の効果が飽和する。そこで、Nb:0.01〜0.15%、Ti:0.03〜0.30%から選択した1種又は2種とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を実施例を通じて説明する。本発明は、被削性と耐ピッチング性に優れ、機械構造用部品、例えばギアなどに加工して浸炭焼入れを施して使用するための、低CにSi、Mn、Ni、Cr、Moなどの合金元素を適宜に添加した鋼で、JISに肌焼き鋼として規定される鋼種において、Mn添加量を0.05〜1.00質量%、S添加量を0.05〜0.40質量%とした鋼種である。
【0032】
【実施例】
表1に示す本発明における成分組成の発明鋼と比較のために示す成分組成の比較鋼のそれぞれを100kg真空溶解炉で溶製した。溶製して得た鋼塊を1200℃に加熱して鍛伸し、φ65の肌焼鋼素材とした。なお、表1の成分組成において、Pは全て不純物として含有されている。さらに、発明鋼1のCr、Mo、Ni、発明鋼2のMo、Ni、発明鋼4〜10のNiは、不純物として含有されている。Bを含有する発明鋼7、10では、BはBNを生成し易いため、BよりもNと結合し易いTiを本発明の範囲に達しないが少量添加すると共にN量も減らしている。比較鋼1〜6のNiも不純物として含有されているものである。その他比較鋼の網掛け部は本発明の範囲を外れるものである。
【0033】
【表1】
【0034】
さらに、この肌焼鋼素材を1,200℃に加熱してφ20丸材、φ32丸材および40×70mm角材にそれぞれ鍛伸した。次いで、これらを900℃に焼ならした後、ギアなどの製品に代わる試験片に作製した。これらの試験片は、φ32丸材でローラーピッチング試験片、φ20丸材で回転丸疲労試験片、φ32丸材で被削性試験片とし、さらにシャルピー衝撃試験片は鍛伸方向のL方向と、鍛伸方向とは直角の方向のT方向のそれぞれの試験片とした。さらにこれらの試験片をオーステナイト領域の温度に加熱して、ガス浸炭により浸炭した後、焼入れをしてそれぞれの試験片の表面を硬化した。
【0035】
得られた試験片を用いて、次の条件の試験をした。すなわち、シャルピー衝撃試験は、L方向、T方向ともに測定した。ローラーピッチング試験条件は、すべり率−40%、回転数2000rpm、油温80℃で、ピッチングが生じた回転数を寿命とした。回転曲げ疲労試験条件は、回転数3000rpmで荷重を変化させ、107回転後も破断しない荷重を疲労限とした。被削性試験は、表2に示す被削性評価条件で評価して旋削での超硬工具摩耗量を測定した。さらに、MnSを主とする微細硫化物の1mm2当たりの個数を顕微鏡で観察して調査した。
【0036】
【表2】
【0037】
表3に、各発明鋼と比較鋼についての硫化物個数、被削性についての評価、機械的性質についての評価を示す。なお、表3の比較鋼1〜6における網掛け部は、本発明鋼に比して劣るものである。
【0038】
【表3】
【0039】
表1、表2および表3の結果を検討すると、比較鋼4、5はそれぞれS、Mnの含有量が低く、硫化物個数が少ない。比較鋼4、5と比較して、発明鋼1〜9は、硫化物個数がいずれも5000個以上で、優れた被削性、耐ピッチング性を有する。また、比較鋼1、2は硫化物個数は5000個以上であるが、C、Siが高いため、若干被削性が劣る。
【0040】
比較鋼3はMn/S比が5.5と大きいため、大型の硫化物の生成によって、硫化物個数が少なくなり、被削性は良好なものの、機械的特性は劣る。
【0041】
比較鋼6は硫化物個数5000個以上で、優れた被削性、耐ピッチング性を有し、機械的特性の劣化も認められないものの、Mn/S比が0.55と低いため熱間加工性が劣る。同様に比較鋼5もMn/S比が0.23と低いため熱間加工性が劣る。
【0042】
発明鋼1と比較して、発明鋼2〜6は、Cr、Mo、Niなどの増量により機械的特性はさらに向上している。また、発明鋼4〜6と比較して、発明鋼7は、Bを添加して、焼入性の向上、粒界強化の効果により、発明鋼8はNbを添加して、オーステナイト結晶粒の微細化の効果によって、シャルピー衝撃値と疲労限の向上が認められる。発明鋼7、8と比較して発明鋼9、10はB添加とTiまたはNi添加の相乗効果によりさらに機械的特性が向上している。ローラーピッチング寿命は硫化物が微細に分散することで得られる表面摩擦の低減効果によって、全ての発明鋼で良好な特性が得られている。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は肌焼鋼の成分組成として、Mn添加量を0.05〜1.00質量%、S添加量を0.05〜0.40質量%として、鋼中にMnSを主成分とする微細硫化物を1mm2当たり5000個以上含有するものとしたことで、従来の大型MnS晶出型の快削鋼と同等の被削性を有し、さらに耐ピッチング性に優れた肌焼鋼とすることができ、機械構造用部品、特に自動車部品のギアとして従来にない優れた効果を奏するものである。
【発明の属する技術分野】
この発明は、各種の産業機械や、自動車などのエンジンや、駆動系部品であるギアその他の自動車用部品に使用する肌焼鋼に関し、特に、熱間、温間または冷間鍛造によって成型し、必要に応じて熱処理を行った後、切削加工によって製品形状に仕上げ、その後、浸炭または浸炭窒化などの表面硬化を施してギアなどの部品とするために使用する肌焼鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術について述べると、自動車のエンジンや駆動系部品に用いられるギアは、例えば、肌焼鋼材を熱間、温間または冷間鍛造にて成型し、必要に応じて熱処理をし、歯切りなどの切削加工を行った後、浸炭処理し、さらに必要に応じてショットピーニングなどの表面処理する工程で製造される。しかし、肌焼鋼材の被削性が悪いと、歯切りなどの切削加工において、工具寿命の低下を招き、この結果、コストアップにつながる。
【0003】
そこで、上記の肌焼鋼の被削性の向上には、鋼材の組織制御や、硬さ調整を行っている。このようにして被削性の向上を図った鋼材の同一組織、同一硬さにおいて、さらなる被削性の向上を図るためには、鋼成分のSを増量したり、さらに、Pb、Biなどの添加による快削性物質を利用した手法が用いられている。
【0004】
すなわち、S増量は鋼材中にMnSを生成して、切削時に生成されたMnSが応力集中源となり、かつ、MnSが工具と切り屑および工具とワークとの潤滑性を有するため、被削性を向上させる。しかし、大型のMnSは破壊の起点となり、特に衝撃特性に悪影響を及ぼすという問題点を持つ。
【0005】
鋼成分としてPbやBiの添加も同様に被削性は向上するが、Pbは環境問題の観点からPbフリー化が求められており、Biの添加はコストアップになる問題がある。
【0006】
一方、ギアに求められる強度特性としては、歯元の疲労特性や衝撃特性並びに歯面の耐ピッチング特性があり、これらの特性向上が期待される。
【0007】
なかでも歯面の耐ピッチング性については、(1)Si増量による高温時での表面硬さの上昇、(2)ショットピーニング処理などによる表面近傍の圧縮残留応力の付加、(3)真空浸炭などによる浸炭異常層の低減、(4)歯面の研磨作業などによる表面粗さの低減などの手段が、特性改善に有効と報告されている。
【0008】
しかし、(1)の高温時での表面硬さの上昇のためにSiを鋼成分として増量すると、被削性を阻害し、(2)〜(4)の手段では、新たな製造工程や工法によるコストアップにつながる問題がある。
【0009】
近年の高強度化ニーズに対応するためには、低コストで新たな手法による、耐ピッチング性の向上が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来の大型MnS晶出型の快削鋼と同等の被削性を有し、かつ、耐ピッチング性に優れた肌焼鋼を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明では、肌焼鋼材中に微細硫化物を多数存在させることにより、(1)衝撃特性などの強度低下を抑制し、かつ被削性の向上を図り、(2)耐ピッチング性の向上、を可能としたものである。
【0012】
本発明での微細硫化物とは、MnSを主成分とした晶出あるいは析出によって生成する鋼材中の介在物で、円相当直径で0.1〜3μmの大きさのものを指しており、これらの介在物中には、MnとS以外に、Cr、Cu、Fe、Oなどのマトリックス中の元素やTiなどの硫化物あるいは炭硫化物生成元素を含む場合もある。また。これらの微細硫化物以外に、通常の大型硫化物や酸化物、炭窒化物が存在していても良い。
【0013】
MnSなどの硫化物を微細かつ多数析出させることによって、従来の快削鋼と同等の被削性を有し、衝撃特性に及ぼす悪影響を低減する。また多数の微細硫化物が摩擦低減の効果を発揮し、ギアの歯面に求められる耐ピッチング性が向上するものである。
【0014】
すなわち、上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、肌焼鋼において、質量%で、Mn添加量を0.05〜1.00%、S添加量を0.05〜0.40%とし、原子比でMn/S:0.6〜1.4とし、鋼中にMnSを主成分とする微細硫化物を1mm2当たり5000個以上含有することを特徴とする被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼である。
【0015】
請求項2の発明では、肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1の手段の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼である。なお、請求項4〜6の手段のように、さらに、任意成分として、B、Ti、Nbから選択した1種または2種以上を含有してもよい。
【0016】
請求項3の発明では、肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、さらにCr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択の1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1の手段の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼である。
【0017】
請求項4の発明では、肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、さらにCr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択した1種又は2種を含有し、さらにB:0.0005〜0.0025%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1の手段の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼である。
【0018】
請求項5の発明では、肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、さらにCr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択した1種又は2種を含有し、さらにNb:0.01〜0.15%、Ti:0.03〜0.30%から選択した1種又は2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1の手段の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼である。
【0019】
請求項6の発明では、肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、さらにCr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択の1種または2種以上を含有し、さらにB:0.0005〜0.0025%を含有し、さらにNb:0.01〜0.15%、Ti:0.03〜0.30%から選択した1種又は2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1の手段の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼である。
【0020】
本発明における鋼材の成分限定理由を説明する。なお、いずれも%は質量%である。
C:0.07〜0.35%
Cは、鋼材に必要な強度を与え、焼入性を向上させる元素であり、0.07%未満では他の合金元素との関係で機械用部品として必要な引張り強さを確保できず、0.35%を超えると他の合金元素との関係で硬くなり被削性を阻害し、かつ、浸炭後の芯部靱性が劣化する。そこで、C:0.07〜0.35%とする。
【0021】
Si:0.05〜2.00%
Siは、主として脱酸剤および焼入性を向上させる元素で、0.05%未満ではその効果は十分でなく、2.00%を超えると硬さの上昇を招き、被削性を阻害する。そこで、Si:0.05〜2.00%とする。
【0022】
Mn:0.05〜1.00%
Mnは、鋼の脱酸に有効であり、さらに強度および焼入性を付与するために有効な元素である。さらに、MnS生成に必要で、かつFeS生成を防止する元素である。0.05%未満ではその効果は十分でなく、上限は、Sの上限とMn/S比:1.4を満たす値で、あり、1.00%を超えるとその効果は飽和するとともに硬さの上昇を招き加工性を劣化する。そこで、Mn:0.05〜1.00%とし、好ましくは、Mn:0.14〜0.60%とする。
【0023】
S:0.05〜0.40%
Sは、鋼中でMnSを形成し、微細MnSによる被削性を向上させ、耐ピッチング性を向上させる元素である。しかし、0.05%未満では、その効果は十分でなく、0.40%を超えると熱間加工性を損なう。そこで、S:0.05〜0.40%とし、好ましくはS:0.10〜0.30%とする。
【0024】
原子比でMn/S:0.6〜1.4
Mn/S:0.6未満では、FeSの生成により熱間加工性が損なわれる。1.4を超えると、大型MnSの生成による機械的性質の劣化する。そこで、原子比でMn/S:0.6〜1.4とし、好ましくは、Mn/S:0.8〜1.2とする。
【0025】
Al:0.005〜0.060%
Alは、脱酸剤として必要な元素であり、さらに浸炭加熱の際に、鋼中のNと結びついてAlNを形成し、結晶粒の微細化および結晶粒の粗大化抑止に有効な元素である。0.005%未満では結晶粒調整に必要な最低限のAlN量が得られない。0.060%を超えると結晶粒調整の効果が飽和する。そこで、Al:0.005〜0.060%とする。
【0026】
N:0.003〜0.030%
Nは、0.003%未満では結晶粒調整に必要な最低限のAlN量が得られない。さらに、0.030%を超えると結晶粒調整の効果が飽和する。そこで、N:0.003〜0.030%とする。
【0027】
P:0.050%未満
Pは、任意に含有される不純物成分で、浸炭部品の結晶粒界を脆化させるので、できるだけ低減することが望ましく、そこで、P:0.050%未満が望ましい。
【0028】
Cr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択の1種または2種以上
Cr、Mo、Niは、強度、焼入性、靱性を与えるのに有効な元素である。Crは、0.50%未満ではその効果は十分でなく、Mo、Niは、0.05%未満ではその効果は十分でない。Crは2.50%を超えると、Moは1.00%を超えると、Niは3.50%を超えると、硬さの上昇を招き、加工性が劣化するとともにコストアップとなる。これらは選択的に使用することができる。そこで、Cr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択の1種または2種以上とする。
【0029】
B:0.0005〜0.0025%
Bは、焼入性を向上させ、さらに粒界強化による強度向上に有効な元素で、0.0005%未満では、その効果は十分でなく、0.0025%を超えてもその効果は飽和する。そこで、B:0.0005〜0.0025%とする。
【0030】
Nb:0.01〜0.15%、Ti:0.03〜0.30%から選択した1種又は2種
NbまたはTiは、炭窒化物の生成により結晶粒を微細化し、強度を向上する元素で、Nbは0.01%未満では、Tiは0.03%未満では、それらの効果は十分でなく、Nbは0.15%を超えると、Tiは0.30%を超えると、結晶粒微細化の効果が飽和する。そこで、Nb:0.01〜0.15%、Ti:0.03〜0.30%から選択した1種又は2種とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を実施例を通じて説明する。本発明は、被削性と耐ピッチング性に優れ、機械構造用部品、例えばギアなどに加工して浸炭焼入れを施して使用するための、低CにSi、Mn、Ni、Cr、Moなどの合金元素を適宜に添加した鋼で、JISに肌焼き鋼として規定される鋼種において、Mn添加量を0.05〜1.00質量%、S添加量を0.05〜0.40質量%とした鋼種である。
【0032】
【実施例】
表1に示す本発明における成分組成の発明鋼と比較のために示す成分組成の比較鋼のそれぞれを100kg真空溶解炉で溶製した。溶製して得た鋼塊を1200℃に加熱して鍛伸し、φ65の肌焼鋼素材とした。なお、表1の成分組成において、Pは全て不純物として含有されている。さらに、発明鋼1のCr、Mo、Ni、発明鋼2のMo、Ni、発明鋼4〜10のNiは、不純物として含有されている。Bを含有する発明鋼7、10では、BはBNを生成し易いため、BよりもNと結合し易いTiを本発明の範囲に達しないが少量添加すると共にN量も減らしている。比較鋼1〜6のNiも不純物として含有されているものである。その他比較鋼の網掛け部は本発明の範囲を外れるものである。
【0033】
【表1】
【0034】
さらに、この肌焼鋼素材を1,200℃に加熱してφ20丸材、φ32丸材および40×70mm角材にそれぞれ鍛伸した。次いで、これらを900℃に焼ならした後、ギアなどの製品に代わる試験片に作製した。これらの試験片は、φ32丸材でローラーピッチング試験片、φ20丸材で回転丸疲労試験片、φ32丸材で被削性試験片とし、さらにシャルピー衝撃試験片は鍛伸方向のL方向と、鍛伸方向とは直角の方向のT方向のそれぞれの試験片とした。さらにこれらの試験片をオーステナイト領域の温度に加熱して、ガス浸炭により浸炭した後、焼入れをしてそれぞれの試験片の表面を硬化した。
【0035】
得られた試験片を用いて、次の条件の試験をした。すなわち、シャルピー衝撃試験は、L方向、T方向ともに測定した。ローラーピッチング試験条件は、すべり率−40%、回転数2000rpm、油温80℃で、ピッチングが生じた回転数を寿命とした。回転曲げ疲労試験条件は、回転数3000rpmで荷重を変化させ、107回転後も破断しない荷重を疲労限とした。被削性試験は、表2に示す被削性評価条件で評価して旋削での超硬工具摩耗量を測定した。さらに、MnSを主とする微細硫化物の1mm2当たりの個数を顕微鏡で観察して調査した。
【0036】
【表2】
【0037】
表3に、各発明鋼と比較鋼についての硫化物個数、被削性についての評価、機械的性質についての評価を示す。なお、表3の比較鋼1〜6における網掛け部は、本発明鋼に比して劣るものである。
【0038】
【表3】
【0039】
表1、表2および表3の結果を検討すると、比較鋼4、5はそれぞれS、Mnの含有量が低く、硫化物個数が少ない。比較鋼4、5と比較して、発明鋼1〜9は、硫化物個数がいずれも5000個以上で、優れた被削性、耐ピッチング性を有する。また、比較鋼1、2は硫化物個数は5000個以上であるが、C、Siが高いため、若干被削性が劣る。
【0040】
比較鋼3はMn/S比が5.5と大きいため、大型の硫化物の生成によって、硫化物個数が少なくなり、被削性は良好なものの、機械的特性は劣る。
【0041】
比較鋼6は硫化物個数5000個以上で、優れた被削性、耐ピッチング性を有し、機械的特性の劣化も認められないものの、Mn/S比が0.55と低いため熱間加工性が劣る。同様に比較鋼5もMn/S比が0.23と低いため熱間加工性が劣る。
【0042】
発明鋼1と比較して、発明鋼2〜6は、Cr、Mo、Niなどの増量により機械的特性はさらに向上している。また、発明鋼4〜6と比較して、発明鋼7は、Bを添加して、焼入性の向上、粒界強化の効果により、発明鋼8はNbを添加して、オーステナイト結晶粒の微細化の効果によって、シャルピー衝撃値と疲労限の向上が認められる。発明鋼7、8と比較して発明鋼9、10はB添加とTiまたはNi添加の相乗効果によりさらに機械的特性が向上している。ローラーピッチング寿命は硫化物が微細に分散することで得られる表面摩擦の低減効果によって、全ての発明鋼で良好な特性が得られている。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は肌焼鋼の成分組成として、Mn添加量を0.05〜1.00質量%、S添加量を0.05〜0.40質量%として、鋼中にMnSを主成分とする微細硫化物を1mm2当たり5000個以上含有するものとしたことで、従来の大型MnS晶出型の快削鋼と同等の被削性を有し、さらに耐ピッチング性に優れた肌焼鋼とすることができ、機械構造用部品、特に自動車部品のギアとして従来にない優れた効果を奏するものである。
Claims (6)
- 肌焼鋼において、質量%で、Mn添加量を0.05〜1.00%、S添加量を0.05〜0.40%とし、原子比でMn/S:0.6〜1.4とし、鋼中にMnSを主成分とする微細硫化物を1mm2当たり5000個以上含有することを特徴とする被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼。
- 肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1記載の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼。
- 肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、さらにCr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択の1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1記載の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼。
- 肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、さらにCr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択した1種又は2種を含有し、さらにB:0.0005〜0.0025%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1記載の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼。
- 肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、さらにCr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択した1種又は2種を含有し、さらにNb:0.01〜0.15%、Ti:0.03〜0.30%から選択した1種又は2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1記載の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼。
- 肌焼鋼は、質量%で、C:0.07〜0.35%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜1.00%、S:0.05〜0.40%、原子比でMn/S:0.6〜1.4、Al:0.005〜0.060%、N:0.003〜0.030%を含有し、さらにCr:0.50〜2.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ni:0.05〜3.50%から選択の1種または2種以上を含有し、さらにB:0.0005〜0.0025%を含有し、さらにNb:0.01〜0.15%、Ti:0.03〜0.30%から選択した1種又は2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1記載の被削性と耐ピッチング性に優れた肌焼鋼。
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JP2010514929A (ja) * | 2006-12-28 | 2010-05-06 | ポスコ | 被削性及び熱間圧延性の優れた環境親和型無鉛快削鋼 |
JP2018035420A (ja) * | 2016-09-01 | 2018-03-08 | 新日鐵住金株式会社 | 浸炭用鋼、浸炭鋼部品及び浸炭鋼部品の製造方法 |
CN110184522A (zh) * | 2019-05-31 | 2019-08-30 | 邯郸钢铁集团有限责任公司 | 一种生产风电齿轮用含硫齿轮钢的方法 |
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2002
- 2002-08-05 JP JP2002227736A patent/JP2004068066A/ja active Pending
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