JP2004067767A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Seiji Nakayama
中山 誠治
Atsushi Hara
原 厚
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Abstract

【課題】ポリエステルチップから成形品を製造した際に、ポリエステル成形体中のアセトアルデヒド含有量の少ない、さらには成形時での金型汚れを発生させにくいポリエステルを提供することを目的とする。
【解決手段】ポリエステルチップ及び処理水を処理槽に供給してポリエステルチップを水処理するポリエステルの製造方法において、処理水中にアミノ基含有化合物を10〜10000ppmの濃度で溶解させてなる処理水で該ポリエステルチップを水処理することを特徴とするポリエステルの製造方法。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料用ボトルをはじめとする中空成形容器、フィルム、シ−トなどの成形体の素材として好適に用いられるポリエステルの製造方法に関するものである。更に詳しくは、成形時に金型汚れが発生しにくく、かつ成形品中のアセトアルデヒド含有量の少ないポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレ−ト(以下、PETと略称することがある)などのポリエステルは、機械的性質及び化学的性質が共に優れているため、工業的価値が高く、繊維、フィルム、シ−ト、ボトルなどとして広く使用されている。
【0003】
調味料、油、飲料、化粧品、洗剤などの容器の素材としては、充填内容物の種類およびその使用目的に応じて種々の樹脂が採用されている。
これらのうちでポリエステルは機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤ−性に優れているので、特にジュ−ス、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充填用容器等の成形体の素材として最適である。
【0004】
このようなポリエステルは、例えば、射出成形機械などの成形機に供給して中空成形体用プリフォ−ムを成形し、このプリフォ−ムを所定形状の金型に挿入し延伸ブロ−成形した後ボトルの胴部を熱処理(ヒ−トセット)して中空成形容器に成形され、さらには必要に応じてボトルの口栓部を熱処理(口栓部結晶化)させるのが一般的である。
【0005】
しかしながら、PETは、溶融重縮合時の副生物としてアセトアルデヒド(以下、AAと略称することがある)を含有する。また、PETは、中空成形体等の成形体を熱成形する際に熱分解によりアセトアルデヒドを生成し、得られた成形体の材質中のアセトアルデヒド含有量が多くなり、中空成形体等に充填された飲料等の風味や臭いに影響を及ぼす。
【0006】
したがって、従来よりポリエステル成形体中のアセトアルデヒド含有量を低減させるために種々の方策が採られてきた。一般的には、溶融重縮合したポリエステルを固相重合することによってAA含有量を低下させる方法、融点がより低い共重合ポリエステルを使用して成形時のAA生成を低下させる方法、熱成形時における成形温度を可及的に低くする方法および熱成形時におけるせん断応力を可及的に小さくする方法等がとられている。
【0007】
近年、ポリエチレンテレフタレ−トを中心とするポリエステル製容器は、ミネラルウオ−タやウ−ロン茶等の低フレ−バ−飲料用の容器として使用されるようになってきた。このような飲料の場合は、一般にこれらの飲料を熱充填したり、あるいは充填後加熱して殺菌されるが、前記の方法によるポリエステル成形体材質中のAA含有量低減だけでは、これらの容器内容物の風味や臭いが改善されないことがわかってきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の従来技術の問題点を解決することにあり、ポリエステルチップから成形品を製造した際に、ポリエステル成形体中のアセトアルデヒド含有量の少ないポリエステルを提供することを目的としている。また、本発明は、成形時での金型汚れを発生させにくいポリエステルを提供することも目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のポリエステルの製造方法は、ポリエステルチップ及び処理水を処理槽に供給してポリエステルチップを水処理するポリエステルの製造方法において、処理水中にアミノ基含有化合物を10〜10000ppmの濃度で溶解、又は分散させてなる処理水で該ポリエステルチップを水処理することを特徴とする。
【0010】
この場合において、前記のアミノ基含有化合物が少なくとも一つの第一級アミノ基を有するアミノ基含有化合物であることができる。
【0011】
この場合において、前記のポリエステルチップの水処理前の密度が1.35g/cm以上であることができる。
【0012】
この場合において、前記の水処理を、ポリエステルチップを20〜120℃の処理水に1分〜100時間、浸積して行うことができる。
【0013】
この場合において、前記のポリエステルが少なくとも約85モル%のテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそれらの混合物からなるジカルボン酸成分、及び少なくとも約85モル%のエチレングリコールからの繰り返し単位を含むことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル成分は、ポリエチレンテレフタレート(PET)または、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂である。コポリエステル及びPETとPENとのブレンドも使用できる。ポリエチレンテレフタレート樹脂は、少なくとも85モル%のテレフタル酸、及び少なくとも85モル%のエチレングリコールからの繰り返し単位を含む。これに対し、ポリエチレンナフタレート樹脂は、少なくとも85モル%の2,6−ナフタレンジカルボン酸、及び少なくとも85モル%のエチレングリコールからの繰り返し単位を含む(ジカルボン酸100モル%、及びジオール100モル%に基づく)。
【0015】
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのジカルボン酸としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
【0016】
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのグリコ−ルとしては、ジエチレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコ−ルなどが挙げられる。
【0017】
さらに、前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としての多官能化合物としては、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができ、グリコ−ル成分としてグリセリン、ペンタエリスリト−ルを挙げることができる。以上の共重合成分の使用量は、ポリエステルが実質的に線状を維持する程度でなければならない。また、単官能化合物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
【0018】
前記のポリエステルは、従来公知の製造方法によって製造することができる。すなわち、テレフタル酸とエチレングリコ−ルおよび必要により上記共重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、重縮合触媒としてSb化合物、Ge化合物、Ti化合物またはAl化合物から選ばれた1種またはそれ以上の化合物を用いて減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコ−ルおよび必要により上記共重合成分をエステル交換触媒の存在下で反応させてメチルアルコ−ルを留去しエステル交換させた後、重縮合触媒としてSb化合物、Ge化合物、Ti化合物またはAl化合物から選ばれた1種またはそれ以上の化合物を用いて、主として減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。
【0019】
さらにポリエステルの極限粘度を増大させ、アセトアルデヒド含有量を低下させるために固相重合を行ってもよい。
前記のエステル化反応、エステル交換反応、溶融重縮合反応および固相重合反応は、回分式反応装置で行っても良いし、また連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
【0020】
本発明に係るポリエステルの製造に使用されるSb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。Sb化合物は、生成ポリマ−中のSb残存量として50〜250ppmの範囲になるように添加する。
【0021】
本発明に係るポリエステルの製造に使用されるGe化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド、亜リン酸ゲルマニウム等が挙げられる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル中のGe残存量として5〜150ppm、好ましくは10〜100ppm、更に好ましくは15〜70ppmである。
【0022】
本発明に係るポリエステルの製造に使用されるTi化合物としては、テトラエチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等のテトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−中のTi残存量として0.1〜10ppmの範囲になるように添加する。
【0023】
また、本発明に係るポリエステルの製造に使用されるAl化合物としては、蟻酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム等のカルボン酸塩、酸化物、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム等の無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド等のアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネ−ト、アルミニウムアセチルアセテ−ト等とのアルミニウムキレ−ト化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物等があげられる。これらのうち酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、およびアルミニウムアセチルアセトネ−トが特に好ましい。Al化合物は、生成ポリマ−中のAl残存量として5〜200ppmの範囲になるように添加する。
【0024】
また、本発明に用いられるポリエステルの製造において、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を併用してもよい。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、これら元素の酢酸塩等のカルボン酸塩、アルコキサイド等があげられ、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液等として反応系に添加される。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、生成ポリマ−中のこれらの元素の残存量として1〜50ppmの範囲になるように添加する。
前記の触媒化合物は、前記のポリエステル生成反応工程の任意の段階で添加することができる。
【0025】
また、安定剤として種々のリン化合物を使用することができる。本発明で使用されるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。具体例としてはリン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニ−ルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸モノブチルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜リン酸、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステル、亜リン酸トリブチルエステル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、フェニ−ルホスホン酸ジメチルエステル、フェニ−ルホスホン酸ジエチルエステル、フェニ−ルホスホン酸ジフェニ−ルエステル等であり、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。リン化合物は、生成ポリマ−中のリン残存量として5〜100ppmの範囲になるように前記のポリエステル生成反応工程の任意の段階で添加する。
【0026】
本発明に係るポリエステルの極限粘度は、好ましくは0.55〜1.50デシリットル/グラム、より好ましくは0.58〜1.10デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.60〜0.90デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が0.55デシリットル/グラム未満では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。また1.50デシリットル/グラムを越える場合は、成形機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
【0027】
本発明に係るポリエステルのチップの形状は、シリンダ−型、角型、球状または扁平な板状等の何れでもよい。その平均粒径は通常1.3〜5mm、好ましくは1.5〜4.5mm、さらに好ましくは1.6〜4.0mmの範囲である。例えば、シリンダ−型の場合は、長さは1.3〜4mm、径は1.3〜4mm程度であるのが実用的である。球状粒子の場合は、最大粒子径が平均粒子径の1.1〜2.0倍、最小粒子径が平均粒子径の0.7倍以上であるのが実用的である。また、チップの重量は10〜30mg/個の範囲が実用的である。
【0028】
本発明に係るポリエステルの密度は、1.35〜1.43g/cm、好ましくは1.37〜1.42g/cmの範囲である。
【0029】
一般的にポリエステルは、製造工程中で発生する、共重合成分及び前記の共重合成分含量がポリエステルのチップと同一のファインをかなりの量含んでいる。このようなファインはポリエステルの結晶化を促進させる性質を持っており、多量に存在する場合には、このようなファインを含むポリエステル組成物から成形した成形体の透明性が非常に悪くなったり、またボトルの場合には、ボトル口栓部結晶化時の収縮量が規定値の範囲内に収まらずキャップで密栓できなくなるという問題が生じる。
【0030】
したがって、本発明に係るポリエステル中のファインの含有量は500ppm以下、好ましくは300ppm以下が望ましい。含有量が500ppmを超える場合は、結晶化速度が早くなり、例えば、中空成形容器の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮量が規定値の範囲内に収まらず、口栓部のキャッピング不良となり、内容物の漏れが生じたり、また中空成形用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となる場合がある。
【0031】
また、本発明のポリエステル中のジエチレングリコール量はグリコール成分の1.0〜5.0モル%、好ましくは1.3〜4.5モル%、更に好ましくは1.5〜4.0モル%である。ジエチレングリコール量が5.0モル%を超える場合は、熱安定性が悪くなり、成形時に分子量低下が大きくなったり、またアセトアルデヒド含量の増加量が大きくなり好ましくない。またジエチレングリコ−ル含有量が1.0モル%未満の場合は、得られた成形体の透明性が悪くなる。
【0032】
また、本発明に係る、ポリエステルを290℃の温度で60分間溶融した時の環状エステル3量体の増加量が0.50重量%以下であることが望ましい。環状エステル3量体の増加量は好ましくは0.45重量%以下、より好ましくは0.40重量%以下であることが望ましい。
【0033】
290℃の温度で60分間溶融した時の環状エステル3量体の増加量が0.50重量%を越えるポリエステルを用いると、ポリエステルを成形する際の樹脂溶融時に環状エステル3量体量が増加し、加熱処理条件によっては加熱金型表面へのオリゴマ−付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の透明性が非常に悪化する。
なお、290℃の温度で60分間溶融した時の環状エステル3量体の増加量の下限は経済的な製造の面から0.01重量%以上である。
【0034】
290℃の温度で60分間溶融した時の環状エステル3量体の増加量が0.50重量%以下である、本発明に係るポリエステルは、溶融重縮合後や固相重合後に得られたポリエステルに残存する重縮合触媒を失活処理することにより製造することができる。ポリエステル中の重縮合触媒を失活処理する方法としては、後述するように溶融重縮合後や固相重合後にポリエステルチップを水と接触処理する方法が挙げられる。
【0035】
更に、前記の目的を達成するために、本発明ではポリエステルチップ及び処理水を処理槽に供給してポリエステルチップを水処理するポリエステルの製造方法において、処理水中にアミノ基含有化合物を10〜10000ppmの濃度で溶解させてなる処理水で該ポリエステルチップを水処理する方法が挙げられる。
【0036】
本発明の処理水中に溶解させるアミノ基含有化合物としては、第一アミン類、第二アミン類、第三アミン類などがあるが、化合物中に少なくとも一つの第一級アミノ基を有するアミノ基含有化合物であることが好ましい。全く第一級アミノ基を含まない化合物では、本発明の製造方法によるポリエステルから得られる成形体の風味保持性が悪くなる場合がある。具体的には、成形体中のアセトアルデヒド含有量が多くなり、中空成形体等に充填された飲料等の風味や臭いに影響を及ぼす。
【0037】
本発明に用いられるアミノ基含有化合物は、脂肪族性または芳香族性の低分子アミノ基含有化合物であってもよいし、高分子アミノ基含有化合物であってもよい。また、アミノ基含有化合物は合成物質であってもよいし、生体物質(天然物質)であってもよい。
【0038】
本発明に用いられるアミノ基含有化合物の例としては、1,8−ジアミノナフタレート、3,4−ジアミノ安息香酸、2−アミノベンズアミド、ビウレット、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)、マロンアミド、サリシルアミド、サリシルアニリド、o−フェニレンジアミン、o−メルカプトベンズアミド、N−アセチルグリシンアミド、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、4−アミノ−3−ヒドロキシ安息香酸、4,5−ジヒドロキシ−2,7−ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム塩、2,3−ジアミノピリジン、2−アミノベンズスルホアミド、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、4,4’−ジアミノジフエニルメタン、4,4’−ジアミノジフエニルエーテル、4,4’−ジアミノジフエニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフエニル)プロパン、メラミン、ベンゾクアナミン、プロピオグアナミン、ステアロヅアナミン、スピログアナミン、ステアリルアミン、ラウロイルアミン、エイコシルアミン、スピロアセタールジアミン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンジアミン、アミノ基末端ポリエーテル、例えばアミノエチルエーテル化乃至アミノプロピルエーテル化ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコール、アミノ末端ポリエステル、例えばアミノエチルエーテル化乃至アミノプロピルエーテル化ポリエチレンアジペート又はセバケート、アミノ基含有オルガノポリシロキサン、例えば3−アミノアルキルシロキサン単位とジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサンなどの単位を含むオルガノポリシロキサン、アグマチン、アルカイン、オクトパミン、D−オクトピン、カダベリン、シスタミン、システアミン、スベルミジン、チラミン、スベルミン、トリブタミン、ノルアドレナリン、ヒスタミン、ビチアミン、ヒドロキシチラミン、5−ヒドロキシトリブタミン、ピポタウリン、アゼセリン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−α−アミノ酪酸、L−アルギニン、L−アロイソロイシン、L−アロトレオニン、L−イソロイシン、L−エチオニン、L−オルニチン、L−カナバニン、L−カルボキシメチルシステイン、L−キヌレニン、グリシン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、クレアチン、L−シスタチオニン、L−システイン、L−システイン酸、L−シスチン、L−シトルリン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、L−3,5−ジョードチロシン、L−セリン、L−チロキシン、L−チロシン、L−トリプトフアン、L−トレオニン、ノルバリン、ノルロイシン、L−バリン、L−ヒスチジン、L−ヒドロキシプロリン、L−ヒドロキシリシン、L−フェニルアラニン、L−α−フェニルグリシン、L−ホモセリン、L−メチオニン、L−1−メチルヒスチジン、L−ランチオニン、L−リシン、L−ロイシン、アクチノマイシンC1、アパミン、エレドイシン、オキシトシン、ガストリンII、L−カルノシン、L−グルタチオン、L−γ−グルタミル−L−システイン、L−システイニルグリシン、バソプレツシン、α−メラノトロピン、インシュリン、α−キモトリプシン、グルカゴン、クルペイン、コルチコトロピン、サチライシン、セクレチン、シトクロムC、チロカルシトニン、トリプシン、パパイン、ヒストン、フエレドキシン、プロインシュリン、ペプシン、ヘモグロビン、ミオグロビン、ラクトアルブミン、リゾチームが挙げられる。好ましくは、1,8−ジアミノナフタレート、3,4−ジアミノ安息香酸、2−アミノベンズアミド、ビウレットが挙げられる。
【0039】
本発明のポリエステルの製造方法において、処理水中のアミノ基含有化合物の濃度は1〜10000ppmである。好ましくは、処理水中のアミノ基含有化合物の濃度が10〜5000ppm、さらに好ましくは濃度が50〜2000ppmである。処理水中のアミノ基含有化合物の濃度が1ppmより低いと、ポリエステルの溶融成形時に発生するアセトアルデヒドを抑制することができず、成形体中のアセトアルデヒド含有量が多くなり、中空成形体等に充填された飲料等の風味や臭いに影響を及ぼす場合がある。また、処理水中のアミノ基含有化合物の濃度が10000ppmより高いと、水処理中にポリエステルがアミノ基含有化合物による分解作用を受け、ポリエステルから得られる成形体の機械的物性が悪くなるだけでなく、金型汚れが発生しやすくなる場合がある。
【0040】
また、処理水中のアミノ基含有化合物の濃度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法や蒸発乾固法などによって求めることが出来る。
【0041】
水との接触方法としては、水中に浸ける方法が挙げられる。水との接触処理を行う時間としては1分〜100時間、好ましくは10分〜24時間、さらに好ましくは30分〜10時間で、水の温度としては20〜120℃、好ましくは40〜110℃、さらに好ましくは50〜100℃である。また処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えないが、工業的に行うためには連続方式の方が好ましい。
【0042】
ポリエステルのチップをバッチ方式で水処理する場合は、サイロタイプの処理槽が挙げられる。すなわちバッチ方式でポリエステルのチップをサイロへ受け入れ水処理を行う。ポリエステルのチップを連続方式で水処理する場合は、塔型の処理槽に継続的又は間欠的にポリエステルのチップを上部より受け入れ、水処理させることができる。
【0043】
本発明のポリエステルの製造方法において、ポリエステルチップの水処理前の密度は1.35g/cm以上であり、好ましくは1.37g/cm以上である。水処理前のポリエステルチップの密度が1.35g/cmより小さいと、水処理中にポリエステルがアミノ基含有化合物による分解作用を受けやすくなり、ポリエステルから得られる成形体の機械的物性が悪くなるだけでなく、金型汚れが発生しやすくなる場合がある。これは、ポリエステルチップの密度が低い程、自由体積が大きくなり、アミノ基含有化合物がポリエステルチップ内部に入り込みやすくなるためと考える。すなわち、本発明のポリエステルの製造方法において、アミノ基含有化合物はポリエステルチップの表面近傍に付着することが好ましく、また、アミノ基含有化合物を水に溶解させて処理することにより、均一に分散させることができる。
【0044】
水と接触処理したポリエステルのチップの乾燥は、通常用いられるポリエステルの乾燥処理を用いることができる。連続的に乾燥する方法としては、上部よりポリエステルのチップを供給し、下部より乾燥ガスを通気するホッパ−型の通気乾燥機が通常使用される。
バッチ方式で乾燥する乾燥機としては大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥してもよい。
乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えないが、ポリエステルの加水分解や熱酸化分解による分子量低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好ましい。
【0045】
また重縮合触媒を失活させる別の手段として、リン化合物を溶融重縮合後または固相重合後のポリエステルの溶融物に添加、混合して重合触媒を不活性化する方法が挙げられる。
【0046】
また、本発明のポリエステルは、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタ−ル樹脂、ポリブチレンテレフタレ−ト樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の樹脂0.1ppb〜1000ppmを配合することができる。
【0047】
本発明に係るポリエステル中での前記のポリオレフィン樹脂等の配合割合は、0.1ppb〜1000ppm、好ましくは0.3ppb〜100ppm、より好ましくは0.5ppb〜1ppm、さらに好ましくは0.5ppb〜45pbbである。配合量が0.1ppb未満の場合は、結晶化速度が非常におそくなり、中空成形体の口栓部の結晶化が不十分となるため、サイクルタイムを短くすると口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないためキャッピング不良となったり、また、耐熱性中空成形体を成形する延伸熱固定金型の汚れが激しく、透明な中空成形体を得ようとすると頻繁に金型掃除をしなければならない。また1000ppmを超える場合は、結晶化速度が早くなり、中空成形体の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮収縮量が規定値範囲内におさまらないためキャッピング不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空成形体用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となる。また、シ−ト状物の場合、1000ppmを越えると透明性が非常に悪くなり、また延伸性もわるくなって正常な延伸が不可能で、厚み斑の大きな、透明性の悪い延伸フィルムしか得られない。
【0048】
本発明に係るポリエステルに配合されるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはα−オレフィン系樹脂が挙げられる。
本発明に係るポリエステルに配合されるポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンと、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニル化合物との共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン系樹脂が挙げられる。
【0049】
また本発明に係るポリエステルに配合されるポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンと、エチレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニル化合物との共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、ブロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体等のプロピレン系樹脂が挙げられる。
【0050】
また本発明に係るポリエステルに配合されるα−オレフィン系樹脂としては、4−メチルペンテン−1等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、ブテン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体、ブテン−1−エチレン共重合体、ブテン−1−プロピレン共重合体等のブテン−1系樹脂や4−メチルペンテン−1とC2〜C18のα−オレフィンとの共重合体、等が挙げられる。
【0051】
また、本発明に係るポリエステルに配合されるポリアミド樹脂としては、例えば、ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタムの重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m−又はp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、及びこれらの共重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/66、ナイロン6/610、ナイロン6/12、ナイロン6/6T、ナイロン6I/6T等が挙げられる。
【0052】
また、本発明に係るポリエステルに配合されるポリアセタ−ル樹脂としては、例えばポリアセタ−ル単独重合体や共重合体が挙げられる。ポリアセタ−ル単独重合体としては、ASTM−D792の測定法により測定した密度が1.40〜1.42g/cm、ASTMD−1238の測定法により、190℃、荷重2160gで測定したメルトフロー比(MFR)が0.5〜50g/10分の範囲のポリアセタ−ルが好ましい。
【0053】
また、ポリアセタ−ル共重合体としては、ASTM−D792の測定法により測定した密度が1.38〜1.43g/cm、ASTMD−1238の測定法により、190℃、荷重2160gで測定したメルトフロー比(MFR)が0.4〜50g/10分の範囲のポリアセタ−ル共重合体が好ましい。これらの共重合成分としては、エチレンオキサイドや環状エ−テルが挙げられる。
【0054】
また、本発明に係るポリエステルに配合されるでポリブチレンテレフタレ−ト樹脂としては、例えばテレフタル酸と1,4−ブタンジオ−ルからなるポリブチレンテレフタレ−ト単独重合体やこれにナフタレンジカルボン酸、ジエチレングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル等を共重合した共重合体が挙げられる。
【0055】
また、本発明において用いられる前記のポリオレフィン樹脂等を配合したポリエステルは、前記ポリエステルに前記のポリオレフィン等の樹脂を、その含有量が前記範囲となるように、直接に添加し溶融混練する方法、または、マスタ−バッチとして添加し溶融混練する方法等の慣用の方法によるほか、前記のポリオレフィン等の樹脂を、前記ポリエステルの製造段階、例えば、溶融重縮合時、溶融重縮合直後、予備結晶化直後、固相重合時、固相重合直後等のいずれかの段階、または、製造段階を終えてから成形段階に到るまでの間に粉粒体として直接に添加するか、或いは、ポリエステルチップの流動条件下に前記のポリオレフィン等の樹脂製の部材に接触させる等の方法で混入させた後、溶融混練する方法等によることもできる。
【0056】
ここで、ポリエステルチップ状体を流動条件下に前記のポリオレフィン等の樹脂製の部材に接触させる方法としては、前記のポリオレフィン等の樹脂製の部材が存在する空問内で、ポリエステルチップを前記の部材に衝突接触させることが好ましく、具体的には、例えば、ポリエステルの溶融重縮合直後、予備結晶化直後、固相重合直後等の製造工程時、また、ポリエステルチップの製品としての輸送段階等での輸送容器充填・排出時、また、ポリエステルチップの成形段階での成形機投入時、等における気力輸送配管、重力輸送配管、サイロ、マグネットキャッチャ−のマグネット部等の一部を前記のポリオレフィン等の樹脂製とするか、または、前記のポリオレフィン等の樹脂をライニングするとか、或いは前記移送経路内に棒状又は網状体等の前記のポリオレフィン等の樹脂製部材を設置する等して、ポリエステルチップを移送する方法が挙げられる。ポリエステルチップの前記部材との接触時間は、通常、0.01秒〜数分程度の極短時間であるが、ポリエステルに前記のポリオレフィン等の樹脂を微量混入させることができる。
【0057】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定させるものではない。なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以下に説明する。
(評価方法)
【0058】
(1)ポリエステルの極限粘度(IV)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノ−ル(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
【0059】
(2)ポリエステルの密度
純水に硝酸カルシウムを溶解させた密度勾配管(密度範囲1.28〜1.42)を作成し、30℃の温度で投入後2時間の値で測定した。
【0060】
(3)ポリエステルの環状エステル3量体の含有量(以下「CT含有量」という)(重量%)
試料300mgをヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液(容量比=2/3)3mlに溶解し、さらにクロロフォルム30mlを加えて希釈する。これにメタノ−ル15mlを加えてポリマ−を沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミド10mlで定容とし、高速液体クロマトグラフ法により環状エステル3量体を定量した。
【0061】
(4)ポリエステルのアセトアルデヒド含有量(以下「AA含有量」という)(ppm)
試料/蒸留水=1グラム/2ccを窒素置換したガラスアンプルに入れた上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドおよびホルムアルデヒドを高感度ガスクロマトグラフィ−で測定し、濃度をppmで表示した。なお、試料がボトルの場合はボトル胴部を切り取り、約3mm角に切ったものを用いた。
【0062】
(5)処理水中のアミノ基含有化合物の濃度
UV検出器付き高速液体クロマトグラフィーを用いて、処理水中のアミノ基含有化合物の濃度を求めた。
【0063】
(6)金型汚れの評価
窒素ガスを用いた乾燥機で乾燥したポリエステルを用いて、各機製作所製M−150C(DM)射出成型機により樹脂温度285℃でプリフォ−ムを成形した。このプリフォ−ムの口栓部を自家製の口栓部結晶化装置で加熱結晶化させた後、コ−ポプラスト社製LB−01E延伸ブロ−成型機を用いて二軸延伸ブロ−成形し、引き続き約140℃に設定した金型内で熱固定し、1000ccの中空成形体を得た。同様の条件で2000本の中空成形体を連続的に延伸ブロ−成形し、その前後における金型表面の状態を目視で観察し、下記のように評価した。
○ : 連続成形試験の前後において変化なし
△ : 連続成形試験後にかなり付着物あり
× : 連続成形試験後に付着物が非常に多い
【0064】
(7)官能試験
上記の中空成形体に沸騰した蒸留水を入れ密栓後30分保持し、室温へ冷却し室温で1ヶ月間放置し、開栓後風味、臭いなどの試験を行った。比較用のブランクとして、蒸留水を使用。官能試験は10人のパネラーにより次の基準により実施し、平均値で比較した。
(評価基準)
0:異味、臭いを感じない
1:ブランクとの差をわずかに感じる
2:ブランクとの差を感じる
3:ブランクとのかなりの差を感じる
4:ブランクとの非常に大きな差を感じる
【0065】
(実施例1)
処理槽上部の原料チップ供給口(1)、処理槽の処理水上限レベルに位置するオーバーフロー排出口(2)、処理槽下部のポリエステルチップと処理水の混合物の排出口(3)、このオーバーフロー排出口から排出された処理水と、処理槽下部の排出口から排出され水切り装置(4)を経由した処理水が、濾材が紙製の30μmの連続式フィルターであるファイン除去装置(5)を経由して再び水処理槽へ送られる配管(6)、これらのファイン除去済み処理水の導入口(7)、ファイン除去済み処理水中のアセトアルデヒドやグリコール等を吸着処理させる吸着塔(8)、および新しいイオン交換水、およびアミノ基含有化合物の導入口(9)を備えた内容量約320リットルの塔型の、図1に示す処理槽を使用してPETチップを水処理した。
極限粘度が0.75(dl/g)、密度が1.40(g/cm)、CT含有量が0.32(重量%)、AA含有量が5.7ppmであるPETチップを処理水中のアミノ基含有化合物の濃度が500ppm(アミノ基含有化合物には2−アミノベンズアミドを用いた)、処理水温度90℃にコントロールされた水処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽上部の供給口(1)から連続投入し、水処理温度4時間で処理槽下部の排出口(3)からPETチップとして50kg/時間の速度で処理水と共に連続的に抜き出した。
前記の水処理済みPETチップを脱水乾燥し、評価方法(6)の方法により中空成形体を成形し、その成形体のAA含有量を測定した。また、金型汚れ評価、官能試験も行った。
得られた中空成形体のAA含有量は7ppmと低く、外観は透明であり、官能試験評価も0.6と良好であった。また、金型汚れは認められなかった。
【0066】
(実施例2)
実施例1と同様の処理槽を利用して、極限粘度が0.78(dl/g)、密度が1.39(g/cm)、CT含有量が0.47(重量%)、AA含有量が4.5ppmであるPETチップを処理水中のアミノ基含有化合物の濃度が100ppm(アミノ基含有化合物には2−アミノベンズアミドを用いた)、処理水温度90℃にコントロールされた水処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽上部の供給口(1)から連続投入し、水処理温度4時間で処理槽下部の排出口(3)からPETチップとして50kg/時間の速度で処理水と共に連続的に抜き出した。
前記の水処理済みPETチップを脱水乾燥し、評価方法(6)の方法により中空成形体を成形し、その成形体のAA含有量を測定した。また、金型汚れ評価、官能試験も行った。
得られた中空成形体のAA含有量は8ppmと低く、外観は透明であり、官能試験評価も0.7と良好であった。また、金型汚れは認められなかった。
【0067】
(実施例3)
実施例1と同様の処理槽を利用して、極限粘度が0.85(dl/g)、密度が1.38(g/cm)、CT含有量が0.38(重量%)、AA含有量が5.2ppmであるPETチップを処理水中のアミノ基含有化合物の濃度が2000ppm(アミノ基含有化合物には2−アミノベンズアミドを用いた)、処理水温度90℃にコントロールされた水処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽上部の供給口(1)から連続投入し、水処理温度4時間で処理槽下部の排出口(3)からPETチップとして50kg/時間の速度で処理水と共に連続的に抜き出した。
前記の水処理済みPETチップを脱水乾燥し、評価方法(6)の方法により中空成形体を成形し、その成形体のAA含有量を測定した。また、金型汚れ評価、官能試験も行った。
得られた中空成形体のAA含有量は8ppmと低く、外観は透明であり、官能試験評価も0.8と良好であった。また、金型汚れは認められなかった。
【0068】
(比較例1)
実施例1と同様の処理槽を利用して、極限粘度が0.75(dl/g)、密度が1.40(g/cm)、CT含有量が0.32(重量%)、AA含有量が5.7ppmであるPETチップを処理水中のアミノ基含有化合物の濃度が0.5ppm(アミノ基含有化合物には2−アミノベンズアミドを用いた)、処理水温度90℃にコントロールされた水処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽上部の供給口(1)から連続投入し、水処理温度4時間で処理槽下部の排出口(3)からPETチップとして50kg/時間の速度で処理水と共に連続的に抜き出した。
前記の水処理済みPETチップを脱水乾燥し、評価方法(6)の方法により中空成形体を成形し、その成形体のAA含有量を測定した。また、金型汚れ評価、官能試験も行った。
得られた中空成形体の金型汚れは認められなかったが、AA含有量は16ppmと高く、官能試験評価も2.2とブランクの蒸留水との差があった。
【0069】
(比較例2)
実施例1と同様の処理槽を利用して、極限粘度が0.75(dl/g)、密度が1.40(g/cm)、CT含有量が0.32(重量%)、AA含有量が5.7ppmであるPETチップを処理水中のアミノ基含有化合物の濃度が12000ppm(アミノ基含有化合物には2−アミノベンズアミドを用いた)、処理水温度90℃にコントロールされた水処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽上部の供給口(1)から連続投入し、水処理温度4時間で処理槽下部の排出口(3)からPETチップとして50kg/時間の速度で処理水と共に連続的に抜き出した。
前記の水処理済みPETチップを脱水乾燥し、評価方法(6)の方法により中空成形体を成形し、その成形体のAA含有量を測定した。また、金型汚れ評価、官能試験も行った。
得られた中空成形体のAA含有量は20ppmと高く、官能試験評価も2.8とブランクの蒸留水との差があった。金型汚れもかなり付着物が見られた。
【0070】
(比較例3)
実施例1と同様の処理槽を利用して、極限粘度が0.75(dl/g)、密度が1.34(g/cm)、CT含有量が0.32(重量%)、AA含有量が5.7ppmであるPETチップを処理水中のアミノ基含有化合物の濃度が500ppm(アミノ基含有化合物には2−アミノベンズアミドを用いた)、処理水温度90℃にコントロールされた水処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽上部の供給口(1)から連続投入し、水処理温度4時間で処理槽下部の排出口(3)からPETチップとして50kg/時間の速度で処理水と共に連続的に抜き出した。
前記の水処理済みPETチップを脱水乾燥し、評価方法(6)の方法により中空成形体を成形し、その成形体のAA含有量を測定した。また、金型汚れ評価、官能試験も行った。
得られた中空成形体のAA含有量は18ppmと高く、官能試験評価も2.4とブランクの蒸留水との差があった。金型汚れもかなり付着物が見られた。
【0071】
(比較例4)
実施例1と同様の処理槽を利用して、極限粘度が0.75(dl/g)、密度が1.40(g/cm)、CT含有量が0.32(重量%)、AA含有量が5.7ppmであるPETチップを処理水中にアミノ基含有化合物を溶解させていないイオン交換水を用いて、処理水温度90℃にコントロールされた水処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽上部の供給口(1)から連続投入し、水処理温度4時間で処理槽下部の排出口(3)からPETチップとして50kg/時間の速度で処理水と共に連続的に抜き出した。
前記の水処理済みPETチップを脱水乾燥し、評価方法(6)の方法により中空成形体を成形し、その成形体のAA含有量を測定した。また、金型汚れ評価、官能試験も行った。
得られた中空成形体の金型汚れは認められなかったが、AA含有量は16ppmと高く、官能試験評価も2.3とブランクの蒸留水との差があった。
【0072】
【発明の効果】
本発明のポリエステルによれば、ポリエステルチップから成形品を製造した際に、ポリエステル成形体中のアセトアルデヒド含有量が少なく、成形時での金型汚れを発生させにくいポリエステルが得られる。また、内容物の味覚に影響を与えない中空成形容器、フィルム、シート等用のポリエステルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例でポリエステルの水処理に用いた装置の概略図。
【符号の説明】
1  原料チップ供給口
2  オーバーフロー排出口
3  ポリエステルチップと処理水との排出口
4  水切り装置
5  ファイン除去装置
6  配管
7  リサイクル水または/およびイオン交換水の導入口
8  吸着塔
9  イオン交換水導入口

Claims (5)

  1. ポリエステルチップ及び処理水を処理槽に供給してポリエステルチップを水処理するポリエステルの製造方法において、処理水中にアミノ基含有化合物を1〜10000ppmの濃度で溶解、又は分散させてなる処理水で該ポリエステルチップを水処理することを特徴とするポリエステルの製造方法。
  2. 前記のアミノ基含有化合物が少なくとも一つの第一級アミノ基を有するアミノ基含有化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
  3. 前記のポリエステルチップの水処理前の密度が1.35g/cm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
  4. 前記の水処理を、ポリエステルチップを20〜120℃の処理水に1分〜100時間、浸積して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
  5. 前記のポリエステルが少なくとも約85モル%のテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそれらの混合物からなるジカルボン酸成分、及び少なくとも約85モル%のエチレングリコールからの繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
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