JP2004067202A - 容器および容器の内容物の温度監視方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温管理を要する物が入れられた容器について、その内容物に対して高度な温度監視をすること、および得られる監視データの信頼度を高めること。
【解決手段】低温管理を要する物を入れるための容器に、内容物又は容器内雰囲気の温度を検知するための温度検知部、容器の底面にかかる荷重を検知するための荷重検知部を設け、各検知結果と時刻とを対応付けた監視データを記憶部に記憶するように構成し、そして当該容器にデータ読取手段を接続して監視データを読み出すようにする。この場合、当該容器の内容物が出し入れされて繰り返し使用されても、ある時刻に記録された温度データが内容物が入っているときのものであるか否かを把握することができるので、高度な温度監視をすることができると共に、得られる監視データの信頼度を高めることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】低温管理を要する物を入れるための容器に、内容物又は容器内雰囲気の温度を検知するための温度検知部、容器の底面にかかる荷重を検知するための荷重検知部を設け、各検知結果と時刻とを対応付けた監視データを記憶部に記憶するように構成し、そして当該容器にデータ読取手段を接続して監視データを読み出すようにする。この場合、当該容器の内容物が出し入れされて繰り返し使用されても、ある時刻に記録された温度データが内容物が入っているときのものであるか否かを把握することができるので、高度な温度監視をすることができると共に、得られる監視データの信頼度を高めることができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温管理を要する物例えば漁港に陸揚げされた魚介類を入れて例えば運搬するための容器、および当該容器内にある内容物の温度を監視する温度監視方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば食品業界においては、例えば箱やカゴなどの容器に食品を入れて運搬する方法が利用されており、その食品には例えば魚介類(以下、省略して魚という)など低温管理を要するものが含まれる。そこで日常多くの魚が取り扱われる漁港の様子について図8を用いて簡単に説明する。先ず船から陸揚げされた魚は、荷捌ブロック10にて例えば魚の種類、大きさ毎に荷捌される。続いて荷捌された魚は、そのままあるいは漁港内の加工場にてある程度加工された後、市場ブロック11に送られて競売(競り)にかけられた後、出荷ブロック12にて例えば冷蔵機能を備えた輸送車13に積み込まれて荷受人へ輸送されることとなる。この間、魚は例えば魚の鮮度を保つために氷と水の混合物である氷水が入れられた例えばプラスチック製の魚箱14に入れられた状態で取り扱われ、更には氷が溶けないよう作業を素早く行うためにローラコンベア15により漁港内を搬送して運搬時間などの短縮化している。その後、魚箱14は買受人下見のため展示される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、食品業界においては高度な衛生管理をすることが要求されており、魚について言えば10℃以下に温度を管理することが求められている。しかしながら漁港は比較的広い敷地(面積)を有しており、この敷地に見合う空調設備を設けるには高額な費用が必要になる。そのため一部の魚を冷蔵するための冷蔵室を設けるに止まっているにもかかわらず、荷捌から出荷までの工程が比較的短時間で行われることから魚が魚箱14の中で何℃の状態にあったか、といった検査・記録は行われていないという問題があった。従って漁港内において実際に適切な魚の温度管理がなされていても、その裏づけとなる記録などがなければ取引相手から管理状態を疑われて取引が解除されるといった場面も起こり得ることから、将来的な流通過程においては例えば漁港にて荷捌されて出荷するまでの間の、魚の温度状態の記録を提示することが得策であると考えられる。
【0004】
ここで、例えば温度計などの温度測定手段を魚箱14に設けるといった手法も検討されているが、魚箱14は魚が荷卸されると洗浄して繰り返し使用されることから、当該魚箱14に魚が入っている時間帯と入っていない時間帯とが生じてしまう。例えば測定した温度が管理値を超えていたとしても、魚箱14に魚が入っていないときの温度であれば衛生管理上の問題となることは少なく、従って魚箱14に魚が入っているか否かを把握できなければ、温度測定手段により測定しても監視データとしては信頼性に欠ける懸念がある。
【0005】
一方、魚の温度管理が適切に行われていても、漁港内にて繰り返し使用される魚箱14の衛生管理が不十分であると、例えば腸炎ブビリオ菌などの細菌が魚箱14の表面にて増殖し、これらの菌が魚に付着して、結果としてその魚を食する人体に悪影響を及ぼす懸念がある。そのため魚箱14は漁港内に設けられた洗浄装置にて洗浄されるが、漁港内には似通った形状の魚箱14が多数使用されており、更にはローラコンベア15にて各ブロック間を行き来していることから、なかには洗浄装置に送られることなく繰り返し使用されるものや、反対に洗浄ばかりされるものがあり、各魚箱の洗浄状態が把握されていないといった問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は低温管理を要する物が入れられた容器の内容物に対して高度な温度監視をすることができると共に、得られる監視データの信頼度を高めることのできる容器、および当該容器に入れられた低温管理を要する物の高度な温度監視ができる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の容器は、低温管理を要する物を入れるための容器において、
容器内にある内容物又は容器内雰囲気の温度を検知するための温度検知部と、容器の底面にかかる荷重を検知して、この容器内の内容物の有無を検知するための荷重検知部と、
前記温度検知部及び荷重検知部の各検知結果と時刻とを対応付けた監視データを記憶するための記憶部と、
この記憶部に記憶された監視データを読み出すためのデータ読取手段を接続するための接続部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明よれば、容器に温度検知部および荷重検知部を設けることにより、検知された温度のなかで容器に内容物が入っているときの温度とそれ以外の温度とを夫々分けて把握が可能な監視データを記録することができる。このため内容物が出し入れされて、当該容器が繰り返し使用されても、記録された監視データに基づいて内容物が容器のなかで何℃の状態にあったかを把握することができる。このため高度な温度監視をすることができると共に、得られる監視データの信頼度を高めることができる。
【0009】
また他の発明は、低温管理を要する物を入れるための容器において、
容器内にある内容物又は容器内雰囲気の温度を検知するための温度検知部と、容器の底面にかかる荷重を検知して、この容器内の内容物の有無を検知するための荷重検知部と、
容器に着脱可能に設けられ、前記温度検知部及び荷重検知部の各検知結果と時刻とを対応付けた監視データを記憶するための記憶部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記監視データには、例えば容器の識別コードが含まれていてもよい。また前記内容物は、例えば漁港に陸揚げされた魚介類であってもよい。
【0011】
本発明の容器の内容物の温度監視方法は、容器内に入れられた低温管理を要する物の温度を監視する方法するにおいて、
容器内に内容物を入れる工程と、
容器内に設けられた温度検知部が容器内にある内容物又は容器内雰囲気の温度を検知する工程と、
前記温度検知部が温度を検知するときに、容器内に設けられた荷重検知部が容器の底面にかかる荷重を検知する工程と、
前記温度検知部および荷重検知部の各検知結果と時刻とを対応付けた監視データを前記容器に設けられた記憶部に記憶する工程と、
前記記憶部に記憶された監視データをデータ読取手段で読み出す工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また容器内の内容物を取り出した後に、当該容器の洗浄を行う工程を含むようにしてもよい。更に前記内容物は、例えば漁港に陸揚げされた魚介類であり、当該漁港から出荷される前に監視データの読み出しが行われてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について参照しながら説明する前に、本発明に係る容器の一例である魚を運搬するための魚箱が使用される漁港の概要について図1を参照しながら簡単に説明する。図1は漁港内に設けられた各セクション、および魚が漁港に陸揚げされてから出荷されるまでの流れを示すブロックフロー図である。先ず例えば漁船にて獲られた魚の一部は蓄養魚として用いられ、残りは漁港に陸揚げされる。次いで漁港内の荷捌セクションS1に送られて、水洗いされた後に例えば種類、所定の大きさ毎に分別される。この荷捌された魚は、そのまま産地市場と呼ばれる市場セクションS2(陳列・競売場所)に送られるか、あるいは切り身にされるなど、ある程度加工されてから市場セクションS2に送られる。そして当該市場セクションS2にて陳列されて、卸売人、仲買人などにより競売(競り)が行われることとなる。しかる後、荷受人の魚箱などに積み替えられて出荷セクションS3から例えば輸送トラックなどで輸送される。また漁港内には、魚箱などの器材を洗浄するための洗浄セクションS4、廃棄物や排水を処理するための処理セクションS5などが設けられている。
【0014】
続いて本発明に係る容器の一例である魚箱の実施の形態について図2を用いて説明する。図2は魚箱2の断面図である。図中20は、上面部が開放された四角形状の筺体をなす魚箱2の本体部である。この本体部20は、例えばプラスチック、ステンレス、発泡スチロールなどから選択される材質が用いられる。また本体部20の底面部には、魚箱2の内容物又は魚箱2内雰囲気の温度を検知するための温度検知部である温度センサー21が設けられている。この温度センサー21には、例えば白金やニッケルなどの金属又は半導体などを抵抗体とし、その抵抗体の電気抵抗値に基づいて温度を測定する測温抵抗体、あるいは銅とコンスタンタンなど2種類の金属間で生じる起電力を検知して温度を測定する熱電対などが選択される。更に本体部20の底面部には、魚箱2の底面にかかる荷重を測定するための荷重検知部である荷重センサー22が設けられている。この圧力センサー22には、例えば半導体を用いたピエゾメータなどが選択される。なお、魚箱2の底面には、全面に亘ってあるいは、少なくともセンサー21、22の表面部に、魚に悪影響を及ぼすのを防ぐための例えばプラスチックなどの薄膜状のシール材23が表面に貼られている構成とすることが望ましい。
【0015】
また図中24は温度センサー21および荷重センサー22の検知結果を記憶するための記憶部を有する制御部である。更に本体部20の例えば側壁上面には、例えばケーブルKを介してデータ読み取り手段例えばパソコンシステム(以下、パソコンという)Pと接続可能なようにケーブルKの接続口25が設けられている。更にまた、本体部20には、温度センサー21および荷重センサー22などを作動させるため電源26である例えばバッテリが着脱自在に設けられている。そして、これら各センサー21、22、制御部24、接続口25および電源26は、例えばリード線27にて各々接続されている。
【0016】
ここで本発明の容器の制御系について図3を参照しながら説明する。図中30はCPUであり、31は時計部である。32はデータ記憶部であり、前記温度センサー21及び荷重センサー22の各検知結果と、それを検知した時刻データとを記録するためのものである。33は各データをデータ記憶部32に記憶し、更にこのデータ記憶部32からデータを読み出すためのデータ処理プログラム34が格納されたプログラム記憶部である。この例では、前記CPU30、時計部31、データ記憶部32およびプログラム記憶部33により前記制御部24が構成されることとなる。
【0017】
また図中40は、ケーブルKを介して接続口25と接続されたパソコンPの制御系の一例を示している。図中41は、データ記憶部32に記憶されたデータを読み込むためのデータ読み込みプログラム42、および読み込んだデータをグラフ化するための編集プログラム43を格納するためのプログラム記憶部である。44は読み込んだデータおよび、作成したグラフを記憶して保管するためのデータ保管部である。また45はCPU、46は例えばキーボードなどの入力部、47は例えばディスプレイ、48は例えばデータやグラフなどを印字するためのプリンタへの出力部であり、49はケーブルKの接続口である。なお、図中Bはバスである。
【0018】
続いて本発明の作用について図4を用いて説明する。先ず図4(a)に示すように、魚箱2は空の状態で待機している。このとき各魚箱2には容器識別コードが予め割り当てられており、この容器識別コードは予めデータ記憶部32に記憶されている。次いで漁港において陸揚げされた魚は、図4(b)に示すように、荷捌セクションS1にて例えば魚の種類や大きさ毎に荷捌されて氷水と共に魚箱2に入れられる。ここで漁獲量の多い魚にあっては多数の魚箱2に同種の魚が分別されるが、その場合には、これら多数の魚箱2のなかに本発明に係る魚箱2(容器)を含ませることで本発明に係る魚箱2を代表サンプルとして用いる。この場合には、複数ある魚箱2の中で本発明の容器であることが特に注意しない限り識別できないように、当該容器は例えば他の容器と同様の例えば形状、色にすることにより代表性を確保することが好ましい。
【0019】
ここでデータ処理プログラム34が起動されて、温度センサー21の温度検出値、荷重センサー22の荷重検出値および時計部31から出力される日時(日付および時刻)が読み取られ、これらの結果は互いに対応付けられてデータ記憶部32に記憶される。このデータを記憶する動作はサンプリングにより行われるが、そのサンプリングのタイミングは例えば15〜30秒程度の間隔に設定される。サンプリングされてデータ記憶部32に新しくデータが書き込まれると、記憶されているデータのなかの一番古いデータの廃棄が行われ、データ記憶部32には設定された時間例えば24時間分のデータが記憶される。このようにしてデータ記憶部32に記憶された温度、荷重、時刻および容器識別コードを含むデータを、本発明においては監視データと呼ぶものとする。
【0020】
魚は当該魚箱2に入れられた状態で例えばローラコンベアにより運搬されて荷捌セクションS1から市場セクションS2に送られ、続いて陳列・競売(競り)にかけられる。そして競り落とした荷受人の元に出荷するために、例えば当該魚箱2から荷受人の魚箱などに積み替えられる。このときデータ記憶部32に記憶されている監視データを読み出して、漁港内での魚の温度管理の状態を確認してから出荷をするのが望ましい(出荷時の確認)。
【0021】
即ち、例えば輸送トラックに積み込みをする際に、図4(c)に示すように、その一端がパソコンPの接続口49に接続されたケーブルKの他端側を魚箱2の接続部25に接続する。次いでパソコンPの入力部46にてデータの読み取り動作を開始するスイッチ(メニュー)を選択すると、データ読み込みプログラム42が起動されて、データ記憶部32に記憶されている監視データがパソコンPのデータ保管部44に容器識別コードと共に記憶される。そして編集プログラム43により、読み込まれた監視データが編集されて横軸(X軸)に日付および時刻、縦軸(Y軸)に温度および荷重を示すグラフ(詳しくは後述するが、例えば図6記載の如きグラフ)が作成される。作成された当該グラフは、パソコンPの例えばディスプレイである表示部47に表示されると共に、データ保管部44に容器識別コード毎に記憶される。
【0022】
このとき出荷検査を行う作業員は、魚箱2に魚が入っているとき、つまり荷重センサー22がある程度の荷重を検知しているときの温度が、管理温度例えば魚においては10℃以下にあったか否かを当該グラフを用いて確認し、管理温度以下であればそのまま出荷が行われ、輸送中も監視データの記憶が続けて行われる。一方、魚が入っているときの監視データのなかに10℃以上になっている時間帯がある場合には、例えば当該魚を本当に出荷してもよいかどうかの鮮度チェックが詳しく行われると共に、氷の増量や補充回数を増やすといった工程管理の見直しがなされる。なお、このように魚の陸揚げされて出荷されるまでに要する時間は、魚の種類によって異なるが、平均的には1時間程度である。
【0023】
しかる後、図4(d)に示すように、荷受された魚は魚箱2から荷受人の魚箱に積み替えられ、氷水が捨てられて魚箱2は空の状態になる。そして当該魚箱2は、漁港内の洗浄セクションS4に集められ、ここで図4(e)に概略を示すように、ローラコンベア50に乗せられて洗浄装置5に送られて、洗浄装置5内を通過する際に殺菌および水洗浄が行われる。こうして洗浄された魚箱2は、再び荷捌セクションS1に送られて使用されるか、あるいは図4(f)に示すように、漁港内の所定の保管場所に送られて例えばシートで覆われて保管される。
【0024】
一方、例えば1日の中で決められた時間になると、例えば漁港関係者の手により例えば保管場所に保管されているもので本発明の機能を備えた各魚箱2から上述のようにして監視データの読み出しが行われる。更にこのデータやグラフを印字しておき、荷受人に提出するようにしてもよい。そして監視データの読み出しが終わった魚箱2は、続けてパソコンPを用いてデータ記憶部32の監視データがリセット(消去)される。
【0025】
ここでグラフ化された監視データの一例について図5を用いて説明する。当該グラフ内の実線は温度、破線は荷重を夫々示している。またグラフのX軸には、実際には日付および時刻(時・分)が示されるが、説明を分かり易くするために温度と荷重のカーブをモデル的に描いているので作図の便宜上図中のX軸の目盛は省略してある。先ず、荷捌セクションS1に集められた魚箱2は、常温(本例では15℃)を示しており、魚箱2に荷重はかかっていない状態にある(領域A)。続いて荷捌された魚および氷水が入れられると、温度センサー21の検知温度が5℃程度にまで低下すると共に、荷重センサー22の検知する荷重が本例では20kg程度に上昇する(領域B)。続いて競り、出荷を終えた後、魚および氷水が魚箱2から取り出されて魚箱2が空の状態になると、検知温度が常温に上昇すると共に検知荷重が低下してゼロ付近になる(領域C)。しかる後、魚箱2は洗浄セクションS4に送られて洗浄が行われ、洗浄する際に例えば50℃程度の洗浄水の温度を検知して検知温度が上昇すると共に洗浄水の水圧を受けて検知荷重が上昇する(領域D)。この例では、当該魚箱2は保管場所には送られずに再び荷捌セクションS1に戻されて使用されており、そのためグラフには領域A〜Dと同様の波形を示している(領域E)。
【0026】
上述の実施の形態によれば、魚箱2に温度センサー21を設けることにより魚箱2に入れられた魚の温度を繰り返し記録することができ、更に荷重センサー22を設けて荷重の有無をみることにより、ある時刻に記録された温度データが魚箱2の中に魚が入っている時間帯のものか、あるいは洗浄中であったり保管場所で待機していた場合など魚箱2の中に魚が入っていないときの温度データであるかを把握することができる。即ち、漁港内の各セクションを循環移動すると共に似通った形状の多数の魚箱2が存在するといった状況下、魚が出し入れされて当該魚箱2が繰り返し使用されても、その温度データが実際に魚が入っているときのデータであるか否かを把握できるので、夫々の魚が魚箱2の中で何℃の状態にあったかを把握することができる。このため魚が管理温度以下の状態で取り扱われていたかどうかを把握することができるので、高度な温度監視をすることができると共に当該監視データの信頼度を高めることができる。
【0027】
また本発明に係る容器を代表サンプルとして用いることにより、漁港内の魚箱2の全部を本発明にかかる容器としなくても他の魚箱2の温度管理状態を統計的に把握することができる。その結果、本発明にかかる容器の数を少なくすることができるので、器材(魚箱2)の低コスト化を図ることができる。更には本発明にかかる容器の数を少なくすることにより、パソコンPを用いたデータ読み込み作業の回数を減らせる分、作業者の負担を少なくすることができる。
【0028】
更には出荷する前に監視データの確認を行うことにより、管理温度を越えた魚が市場に出回って需要者の手に渡るのを未然に抑えることができる。そして、万が一、末端消費者の間で原因不明の食中毒が発生するなどの事態が起きたとしても、いち早くデータ保管部44に保管されてデータベース化されている監視データを読み出すことにより、漁港内の全ての工程における温度管理の状態を検証しなくても、この漁港内での管理が適切であったことを明らかにすることができる。そしてこれらの記録を関係官庁などの機関に提出することにより、結果として事態の早期解決の一助とすることができる。なお、出荷時の監視データの確認を省く場合には、出荷した時刻および荷卸した時刻を記録しておき、後でグラフの時刻(X軸)に照らし合わせて漁港内を出た時間を把握するようにしてもよい。
【0029】
更に本実施の形態においては、グラフ化された監視データにおいて洗浄時の洗浄水の温度あるいは洗浄水の水圧を検知して表れるピーク波形を確認することにより当該容器の洗浄が実際に行われたか否かや、洗浄が行われる頻度を把握することができる。このため漁港内で繰り返し使用される魚箱2の衛生管理が適切であるかどうかを把握することができ、更には洗浄が行われていないと判断したときには、例えば荷捌セクションS1にて使用する際に洗浄装置5で洗浄してから魚を入れるようにして全体的に洗浄回数を増やしたり、あるいは洗浄をし終えたものには洗浄済であることを識別するための札を取り付けるようにするなどの工程管理の見直しをすることにより、結果として魚箱2の表面にて細菌が増殖するのが抑えられ、これらの菌が魚に付着することが少なくなる。
【0030】
本発明においては、データ記憶部32は、魚箱2の本体部20の内部に設けられる構成に限られず本体部20から着脱可能な記録媒体、例えば市販のメモリカード6の記憶領域であってもよい。メモリカード6を用いた実施例の一例を図6を用いて説明すると、本体部20の側壁上面に切欠き部60が形成されており、この切欠き部60の底面にはメモリカード6を着脱自在にセットするための差込口61が設けられている。更にカード6や差込口61の濡れや外部からの衝撃を防ぐためのカバー体62が切欠き部60を覆うようにして嵌合されるように構成されている。この場合、予め容器識別コードが記憶されたメモリカード6が差込口61にセットされると、各センサー21、22の電源がオンの状態となり既述のように監視データの記録動作が開始される。そして監視データを読み出す際には、当該メモリカード6を抜き取り、例えば専用の図示しないアダプタを介してパソコンPに接続されて監視データが読み出される。このような構成であっても、監視データが記憶されて上述と同様の効果を得ることができ、更にはデータ記憶部32をメモリカード6とすることにより、わざわざ魚箱2の近くまでパソコンPを運んでケーブルKを接続するといった手間が省かれる。
【0031】
また本発明においては、図7(a)に示すように、温度センサー21の検知温度を表示するための温度表示部7を例えば魚箱2の側面部に設けるようにしてもよく、また図7(b)に示すように、例えば赤色に発光するランプやダイオードなどの警報部70を設けて温度センサー21の検知温度が管理温度よりも僅かに低い温度例えば3℃低い温度を越えると警報部70が点灯するようにしてもよい。この場合、魚箱2の温度が適切であるかを作業員が外部から目視で確認することができ、更には魚箱2に氷水を補充するなどの措置を行うことにより、更に温度が上昇して管理温度を越えるのを抑えることができる。
【0032】
更に本発明においては、容器に入れるものは魚に限られず、例えば肉、野菜、飲料水などで低温管理を要する生鮮食品であれば本発明の容器を用いることができる。更には食品業界を離れて例えば医療の分野にも適用することができ、一例を挙げると例えば低温管理を要する医薬品や例えば救急現場に医療機器を運ぶ際の容器や臓器用の容器などにも本発明の容器を用いることができる。
【0033】
更にまた本発明においては、容器に入れるものは低温管理を要する物に限られず、ある温度を下回らないように保温を要する物であってもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、低温管理を要する物が入れられた容器の内容物に対して温度監視をすることができると共に、得られる監視データの信頼度を高めることのできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る魚箱が使用される漁港の概要を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る魚箱を示す縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る魚箱の制御系を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態の作用を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る魚箱が記録した監視データのグラフを示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る魚箱の他の形態を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る魚箱の他の形態を示す説明図である。
【図8】漁港内の作業の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
2 本体部
21 温度センサー
22 荷重センサー
23 制御部
24 接続部
25 電源
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温管理を要する物例えば漁港に陸揚げされた魚介類を入れて例えば運搬するための容器、および当該容器内にある内容物の温度を監視する温度監視方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば食品業界においては、例えば箱やカゴなどの容器に食品を入れて運搬する方法が利用されており、その食品には例えば魚介類(以下、省略して魚という)など低温管理を要するものが含まれる。そこで日常多くの魚が取り扱われる漁港の様子について図8を用いて簡単に説明する。先ず船から陸揚げされた魚は、荷捌ブロック10にて例えば魚の種類、大きさ毎に荷捌される。続いて荷捌された魚は、そのままあるいは漁港内の加工場にてある程度加工された後、市場ブロック11に送られて競売(競り)にかけられた後、出荷ブロック12にて例えば冷蔵機能を備えた輸送車13に積み込まれて荷受人へ輸送されることとなる。この間、魚は例えば魚の鮮度を保つために氷と水の混合物である氷水が入れられた例えばプラスチック製の魚箱14に入れられた状態で取り扱われ、更には氷が溶けないよう作業を素早く行うためにローラコンベア15により漁港内を搬送して運搬時間などの短縮化している。その後、魚箱14は買受人下見のため展示される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、食品業界においては高度な衛生管理をすることが要求されており、魚について言えば10℃以下に温度を管理することが求められている。しかしながら漁港は比較的広い敷地(面積)を有しており、この敷地に見合う空調設備を設けるには高額な費用が必要になる。そのため一部の魚を冷蔵するための冷蔵室を設けるに止まっているにもかかわらず、荷捌から出荷までの工程が比較的短時間で行われることから魚が魚箱14の中で何℃の状態にあったか、といった検査・記録は行われていないという問題があった。従って漁港内において実際に適切な魚の温度管理がなされていても、その裏づけとなる記録などがなければ取引相手から管理状態を疑われて取引が解除されるといった場面も起こり得ることから、将来的な流通過程においては例えば漁港にて荷捌されて出荷するまでの間の、魚の温度状態の記録を提示することが得策であると考えられる。
【0004】
ここで、例えば温度計などの温度測定手段を魚箱14に設けるといった手法も検討されているが、魚箱14は魚が荷卸されると洗浄して繰り返し使用されることから、当該魚箱14に魚が入っている時間帯と入っていない時間帯とが生じてしまう。例えば測定した温度が管理値を超えていたとしても、魚箱14に魚が入っていないときの温度であれば衛生管理上の問題となることは少なく、従って魚箱14に魚が入っているか否かを把握できなければ、温度測定手段により測定しても監視データとしては信頼性に欠ける懸念がある。
【0005】
一方、魚の温度管理が適切に行われていても、漁港内にて繰り返し使用される魚箱14の衛生管理が不十分であると、例えば腸炎ブビリオ菌などの細菌が魚箱14の表面にて増殖し、これらの菌が魚に付着して、結果としてその魚を食する人体に悪影響を及ぼす懸念がある。そのため魚箱14は漁港内に設けられた洗浄装置にて洗浄されるが、漁港内には似通った形状の魚箱14が多数使用されており、更にはローラコンベア15にて各ブロック間を行き来していることから、なかには洗浄装置に送られることなく繰り返し使用されるものや、反対に洗浄ばかりされるものがあり、各魚箱の洗浄状態が把握されていないといった問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は低温管理を要する物が入れられた容器の内容物に対して高度な温度監視をすることができると共に、得られる監視データの信頼度を高めることのできる容器、および当該容器に入れられた低温管理を要する物の高度な温度監視ができる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の容器は、低温管理を要する物を入れるための容器において、
容器内にある内容物又は容器内雰囲気の温度を検知するための温度検知部と、容器の底面にかかる荷重を検知して、この容器内の内容物の有無を検知するための荷重検知部と、
前記温度検知部及び荷重検知部の各検知結果と時刻とを対応付けた監視データを記憶するための記憶部と、
この記憶部に記憶された監視データを読み出すためのデータ読取手段を接続するための接続部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明よれば、容器に温度検知部および荷重検知部を設けることにより、検知された温度のなかで容器に内容物が入っているときの温度とそれ以外の温度とを夫々分けて把握が可能な監視データを記録することができる。このため内容物が出し入れされて、当該容器が繰り返し使用されても、記録された監視データに基づいて内容物が容器のなかで何℃の状態にあったかを把握することができる。このため高度な温度監視をすることができると共に、得られる監視データの信頼度を高めることができる。
【0009】
また他の発明は、低温管理を要する物を入れるための容器において、
容器内にある内容物又は容器内雰囲気の温度を検知するための温度検知部と、容器の底面にかかる荷重を検知して、この容器内の内容物の有無を検知するための荷重検知部と、
容器に着脱可能に設けられ、前記温度検知部及び荷重検知部の各検知結果と時刻とを対応付けた監視データを記憶するための記憶部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記監視データには、例えば容器の識別コードが含まれていてもよい。また前記内容物は、例えば漁港に陸揚げされた魚介類であってもよい。
【0011】
本発明の容器の内容物の温度監視方法は、容器内に入れられた低温管理を要する物の温度を監視する方法するにおいて、
容器内に内容物を入れる工程と、
容器内に設けられた温度検知部が容器内にある内容物又は容器内雰囲気の温度を検知する工程と、
前記温度検知部が温度を検知するときに、容器内に設けられた荷重検知部が容器の底面にかかる荷重を検知する工程と、
前記温度検知部および荷重検知部の各検知結果と時刻とを対応付けた監視データを前記容器に設けられた記憶部に記憶する工程と、
前記記憶部に記憶された監視データをデータ読取手段で読み出す工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また容器内の内容物を取り出した後に、当該容器の洗浄を行う工程を含むようにしてもよい。更に前記内容物は、例えば漁港に陸揚げされた魚介類であり、当該漁港から出荷される前に監視データの読み出しが行われてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について参照しながら説明する前に、本発明に係る容器の一例である魚を運搬するための魚箱が使用される漁港の概要について図1を参照しながら簡単に説明する。図1は漁港内に設けられた各セクション、および魚が漁港に陸揚げされてから出荷されるまでの流れを示すブロックフロー図である。先ず例えば漁船にて獲られた魚の一部は蓄養魚として用いられ、残りは漁港に陸揚げされる。次いで漁港内の荷捌セクションS1に送られて、水洗いされた後に例えば種類、所定の大きさ毎に分別される。この荷捌された魚は、そのまま産地市場と呼ばれる市場セクションS2(陳列・競売場所)に送られるか、あるいは切り身にされるなど、ある程度加工されてから市場セクションS2に送られる。そして当該市場セクションS2にて陳列されて、卸売人、仲買人などにより競売(競り)が行われることとなる。しかる後、荷受人の魚箱などに積み替えられて出荷セクションS3から例えば輸送トラックなどで輸送される。また漁港内には、魚箱などの器材を洗浄するための洗浄セクションS4、廃棄物や排水を処理するための処理セクションS5などが設けられている。
【0014】
続いて本発明に係る容器の一例である魚箱の実施の形態について図2を用いて説明する。図2は魚箱2の断面図である。図中20は、上面部が開放された四角形状の筺体をなす魚箱2の本体部である。この本体部20は、例えばプラスチック、ステンレス、発泡スチロールなどから選択される材質が用いられる。また本体部20の底面部には、魚箱2の内容物又は魚箱2内雰囲気の温度を検知するための温度検知部である温度センサー21が設けられている。この温度センサー21には、例えば白金やニッケルなどの金属又は半導体などを抵抗体とし、その抵抗体の電気抵抗値に基づいて温度を測定する測温抵抗体、あるいは銅とコンスタンタンなど2種類の金属間で生じる起電力を検知して温度を測定する熱電対などが選択される。更に本体部20の底面部には、魚箱2の底面にかかる荷重を測定するための荷重検知部である荷重センサー22が設けられている。この圧力センサー22には、例えば半導体を用いたピエゾメータなどが選択される。なお、魚箱2の底面には、全面に亘ってあるいは、少なくともセンサー21、22の表面部に、魚に悪影響を及ぼすのを防ぐための例えばプラスチックなどの薄膜状のシール材23が表面に貼られている構成とすることが望ましい。
【0015】
また図中24は温度センサー21および荷重センサー22の検知結果を記憶するための記憶部を有する制御部である。更に本体部20の例えば側壁上面には、例えばケーブルKを介してデータ読み取り手段例えばパソコンシステム(以下、パソコンという)Pと接続可能なようにケーブルKの接続口25が設けられている。更にまた、本体部20には、温度センサー21および荷重センサー22などを作動させるため電源26である例えばバッテリが着脱自在に設けられている。そして、これら各センサー21、22、制御部24、接続口25および電源26は、例えばリード線27にて各々接続されている。
【0016】
ここで本発明の容器の制御系について図3を参照しながら説明する。図中30はCPUであり、31は時計部である。32はデータ記憶部であり、前記温度センサー21及び荷重センサー22の各検知結果と、それを検知した時刻データとを記録するためのものである。33は各データをデータ記憶部32に記憶し、更にこのデータ記憶部32からデータを読み出すためのデータ処理プログラム34が格納されたプログラム記憶部である。この例では、前記CPU30、時計部31、データ記憶部32およびプログラム記憶部33により前記制御部24が構成されることとなる。
【0017】
また図中40は、ケーブルKを介して接続口25と接続されたパソコンPの制御系の一例を示している。図中41は、データ記憶部32に記憶されたデータを読み込むためのデータ読み込みプログラム42、および読み込んだデータをグラフ化するための編集プログラム43を格納するためのプログラム記憶部である。44は読み込んだデータおよび、作成したグラフを記憶して保管するためのデータ保管部である。また45はCPU、46は例えばキーボードなどの入力部、47は例えばディスプレイ、48は例えばデータやグラフなどを印字するためのプリンタへの出力部であり、49はケーブルKの接続口である。なお、図中Bはバスである。
【0018】
続いて本発明の作用について図4を用いて説明する。先ず図4(a)に示すように、魚箱2は空の状態で待機している。このとき各魚箱2には容器識別コードが予め割り当てられており、この容器識別コードは予めデータ記憶部32に記憶されている。次いで漁港において陸揚げされた魚は、図4(b)に示すように、荷捌セクションS1にて例えば魚の種類や大きさ毎に荷捌されて氷水と共に魚箱2に入れられる。ここで漁獲量の多い魚にあっては多数の魚箱2に同種の魚が分別されるが、その場合には、これら多数の魚箱2のなかに本発明に係る魚箱2(容器)を含ませることで本発明に係る魚箱2を代表サンプルとして用いる。この場合には、複数ある魚箱2の中で本発明の容器であることが特に注意しない限り識別できないように、当該容器は例えば他の容器と同様の例えば形状、色にすることにより代表性を確保することが好ましい。
【0019】
ここでデータ処理プログラム34が起動されて、温度センサー21の温度検出値、荷重センサー22の荷重検出値および時計部31から出力される日時(日付および時刻)が読み取られ、これらの結果は互いに対応付けられてデータ記憶部32に記憶される。このデータを記憶する動作はサンプリングにより行われるが、そのサンプリングのタイミングは例えば15〜30秒程度の間隔に設定される。サンプリングされてデータ記憶部32に新しくデータが書き込まれると、記憶されているデータのなかの一番古いデータの廃棄が行われ、データ記憶部32には設定された時間例えば24時間分のデータが記憶される。このようにしてデータ記憶部32に記憶された温度、荷重、時刻および容器識別コードを含むデータを、本発明においては監視データと呼ぶものとする。
【0020】
魚は当該魚箱2に入れられた状態で例えばローラコンベアにより運搬されて荷捌セクションS1から市場セクションS2に送られ、続いて陳列・競売(競り)にかけられる。そして競り落とした荷受人の元に出荷するために、例えば当該魚箱2から荷受人の魚箱などに積み替えられる。このときデータ記憶部32に記憶されている監視データを読み出して、漁港内での魚の温度管理の状態を確認してから出荷をするのが望ましい(出荷時の確認)。
【0021】
即ち、例えば輸送トラックに積み込みをする際に、図4(c)に示すように、その一端がパソコンPの接続口49に接続されたケーブルKの他端側を魚箱2の接続部25に接続する。次いでパソコンPの入力部46にてデータの読み取り動作を開始するスイッチ(メニュー)を選択すると、データ読み込みプログラム42が起動されて、データ記憶部32に記憶されている監視データがパソコンPのデータ保管部44に容器識別コードと共に記憶される。そして編集プログラム43により、読み込まれた監視データが編集されて横軸(X軸)に日付および時刻、縦軸(Y軸)に温度および荷重を示すグラフ(詳しくは後述するが、例えば図6記載の如きグラフ)が作成される。作成された当該グラフは、パソコンPの例えばディスプレイである表示部47に表示されると共に、データ保管部44に容器識別コード毎に記憶される。
【0022】
このとき出荷検査を行う作業員は、魚箱2に魚が入っているとき、つまり荷重センサー22がある程度の荷重を検知しているときの温度が、管理温度例えば魚においては10℃以下にあったか否かを当該グラフを用いて確認し、管理温度以下であればそのまま出荷が行われ、輸送中も監視データの記憶が続けて行われる。一方、魚が入っているときの監視データのなかに10℃以上になっている時間帯がある場合には、例えば当該魚を本当に出荷してもよいかどうかの鮮度チェックが詳しく行われると共に、氷の増量や補充回数を増やすといった工程管理の見直しがなされる。なお、このように魚の陸揚げされて出荷されるまでに要する時間は、魚の種類によって異なるが、平均的には1時間程度である。
【0023】
しかる後、図4(d)に示すように、荷受された魚は魚箱2から荷受人の魚箱に積み替えられ、氷水が捨てられて魚箱2は空の状態になる。そして当該魚箱2は、漁港内の洗浄セクションS4に集められ、ここで図4(e)に概略を示すように、ローラコンベア50に乗せられて洗浄装置5に送られて、洗浄装置5内を通過する際に殺菌および水洗浄が行われる。こうして洗浄された魚箱2は、再び荷捌セクションS1に送られて使用されるか、あるいは図4(f)に示すように、漁港内の所定の保管場所に送られて例えばシートで覆われて保管される。
【0024】
一方、例えば1日の中で決められた時間になると、例えば漁港関係者の手により例えば保管場所に保管されているもので本発明の機能を備えた各魚箱2から上述のようにして監視データの読み出しが行われる。更にこのデータやグラフを印字しておき、荷受人に提出するようにしてもよい。そして監視データの読み出しが終わった魚箱2は、続けてパソコンPを用いてデータ記憶部32の監視データがリセット(消去)される。
【0025】
ここでグラフ化された監視データの一例について図5を用いて説明する。当該グラフ内の実線は温度、破線は荷重を夫々示している。またグラフのX軸には、実際には日付および時刻(時・分)が示されるが、説明を分かり易くするために温度と荷重のカーブをモデル的に描いているので作図の便宜上図中のX軸の目盛は省略してある。先ず、荷捌セクションS1に集められた魚箱2は、常温(本例では15℃)を示しており、魚箱2に荷重はかかっていない状態にある(領域A)。続いて荷捌された魚および氷水が入れられると、温度センサー21の検知温度が5℃程度にまで低下すると共に、荷重センサー22の検知する荷重が本例では20kg程度に上昇する(領域B)。続いて競り、出荷を終えた後、魚および氷水が魚箱2から取り出されて魚箱2が空の状態になると、検知温度が常温に上昇すると共に検知荷重が低下してゼロ付近になる(領域C)。しかる後、魚箱2は洗浄セクションS4に送られて洗浄が行われ、洗浄する際に例えば50℃程度の洗浄水の温度を検知して検知温度が上昇すると共に洗浄水の水圧を受けて検知荷重が上昇する(領域D)。この例では、当該魚箱2は保管場所には送られずに再び荷捌セクションS1に戻されて使用されており、そのためグラフには領域A〜Dと同様の波形を示している(領域E)。
【0026】
上述の実施の形態によれば、魚箱2に温度センサー21を設けることにより魚箱2に入れられた魚の温度を繰り返し記録することができ、更に荷重センサー22を設けて荷重の有無をみることにより、ある時刻に記録された温度データが魚箱2の中に魚が入っている時間帯のものか、あるいは洗浄中であったり保管場所で待機していた場合など魚箱2の中に魚が入っていないときの温度データであるかを把握することができる。即ち、漁港内の各セクションを循環移動すると共に似通った形状の多数の魚箱2が存在するといった状況下、魚が出し入れされて当該魚箱2が繰り返し使用されても、その温度データが実際に魚が入っているときのデータであるか否かを把握できるので、夫々の魚が魚箱2の中で何℃の状態にあったかを把握することができる。このため魚が管理温度以下の状態で取り扱われていたかどうかを把握することができるので、高度な温度監視をすることができると共に当該監視データの信頼度を高めることができる。
【0027】
また本発明に係る容器を代表サンプルとして用いることにより、漁港内の魚箱2の全部を本発明にかかる容器としなくても他の魚箱2の温度管理状態を統計的に把握することができる。その結果、本発明にかかる容器の数を少なくすることができるので、器材(魚箱2)の低コスト化を図ることができる。更には本発明にかかる容器の数を少なくすることにより、パソコンPを用いたデータ読み込み作業の回数を減らせる分、作業者の負担を少なくすることができる。
【0028】
更には出荷する前に監視データの確認を行うことにより、管理温度を越えた魚が市場に出回って需要者の手に渡るのを未然に抑えることができる。そして、万が一、末端消費者の間で原因不明の食中毒が発生するなどの事態が起きたとしても、いち早くデータ保管部44に保管されてデータベース化されている監視データを読み出すことにより、漁港内の全ての工程における温度管理の状態を検証しなくても、この漁港内での管理が適切であったことを明らかにすることができる。そしてこれらの記録を関係官庁などの機関に提出することにより、結果として事態の早期解決の一助とすることができる。なお、出荷時の監視データの確認を省く場合には、出荷した時刻および荷卸した時刻を記録しておき、後でグラフの時刻(X軸)に照らし合わせて漁港内を出た時間を把握するようにしてもよい。
【0029】
更に本実施の形態においては、グラフ化された監視データにおいて洗浄時の洗浄水の温度あるいは洗浄水の水圧を検知して表れるピーク波形を確認することにより当該容器の洗浄が実際に行われたか否かや、洗浄が行われる頻度を把握することができる。このため漁港内で繰り返し使用される魚箱2の衛生管理が適切であるかどうかを把握することができ、更には洗浄が行われていないと判断したときには、例えば荷捌セクションS1にて使用する際に洗浄装置5で洗浄してから魚を入れるようにして全体的に洗浄回数を増やしたり、あるいは洗浄をし終えたものには洗浄済であることを識別するための札を取り付けるようにするなどの工程管理の見直しをすることにより、結果として魚箱2の表面にて細菌が増殖するのが抑えられ、これらの菌が魚に付着することが少なくなる。
【0030】
本発明においては、データ記憶部32は、魚箱2の本体部20の内部に設けられる構成に限られず本体部20から着脱可能な記録媒体、例えば市販のメモリカード6の記憶領域であってもよい。メモリカード6を用いた実施例の一例を図6を用いて説明すると、本体部20の側壁上面に切欠き部60が形成されており、この切欠き部60の底面にはメモリカード6を着脱自在にセットするための差込口61が設けられている。更にカード6や差込口61の濡れや外部からの衝撃を防ぐためのカバー体62が切欠き部60を覆うようにして嵌合されるように構成されている。この場合、予め容器識別コードが記憶されたメモリカード6が差込口61にセットされると、各センサー21、22の電源がオンの状態となり既述のように監視データの記録動作が開始される。そして監視データを読み出す際には、当該メモリカード6を抜き取り、例えば専用の図示しないアダプタを介してパソコンPに接続されて監視データが読み出される。このような構成であっても、監視データが記憶されて上述と同様の効果を得ることができ、更にはデータ記憶部32をメモリカード6とすることにより、わざわざ魚箱2の近くまでパソコンPを運んでケーブルKを接続するといった手間が省かれる。
【0031】
また本発明においては、図7(a)に示すように、温度センサー21の検知温度を表示するための温度表示部7を例えば魚箱2の側面部に設けるようにしてもよく、また図7(b)に示すように、例えば赤色に発光するランプやダイオードなどの警報部70を設けて温度センサー21の検知温度が管理温度よりも僅かに低い温度例えば3℃低い温度を越えると警報部70が点灯するようにしてもよい。この場合、魚箱2の温度が適切であるかを作業員が外部から目視で確認することができ、更には魚箱2に氷水を補充するなどの措置を行うことにより、更に温度が上昇して管理温度を越えるのを抑えることができる。
【0032】
更に本発明においては、容器に入れるものは魚に限られず、例えば肉、野菜、飲料水などで低温管理を要する生鮮食品であれば本発明の容器を用いることができる。更には食品業界を離れて例えば医療の分野にも適用することができ、一例を挙げると例えば低温管理を要する医薬品や例えば救急現場に医療機器を運ぶ際の容器や臓器用の容器などにも本発明の容器を用いることができる。
【0033】
更にまた本発明においては、容器に入れるものは低温管理を要する物に限られず、ある温度を下回らないように保温を要する物であってもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、低温管理を要する物が入れられた容器の内容物に対して温度監視をすることができると共に、得られる監視データの信頼度を高めることのできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る魚箱が使用される漁港の概要を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る魚箱を示す縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る魚箱の制御系を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態の作用を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る魚箱が記録した監視データのグラフを示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る魚箱の他の形態を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る魚箱の他の形態を示す説明図である。
【図8】漁港内の作業の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
2 本体部
21 温度センサー
22 荷重センサー
23 制御部
24 接続部
25 電源
Claims (7)
- 低温管理を要する物を入れるための容器において、
容器内にある内容物又は容器内雰囲気の温度を検知するための温度検知部と、
容器の底面にかかる荷重を検知して、この容器内の内容物の有無を検知するための荷重検知部と、
前記温度検知部及び荷重検知部の各検知結果と時刻とを対応付けた監視データを記憶するための記憶部と、
この記憶部に記憶された監視データを読み出すためのデータ読取手段を接続するための接続部と、を備えたことを特徴とする容器。 - 低温管理を要する物を入れるための容器において、
容器内にある内容物又は容器内雰囲気の温度を検知するための温度検知部と、
容器の底面にかかる荷重を検知して、この容器内の内容物の有無を検知するための荷重検知部と、
容器に着脱可能に設けられ、前記温度検知部及び荷重検知部の各検知結果と時刻とを対応付けた監視データを記憶するための記憶部と、を備えたことを特徴とする容器。 - 前記監視データには、容器の識別コードが含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の容器。
- 前記内容物は、漁港に陸揚げされた魚介類であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の容器。
- 容器内に入れられた低温管理を要する物の温度を監視する方法するにおいて、
容器内に内容物を入れる工程と、
容器内に設けられた温度検知部が容器内にある内容物又は容器内雰囲気の温度を検知する工程と、
前記温度検知部が温度を検知するときに、容器内に設けられた荷重検知部が容器の底面にかかる荷重を検知する工程と、
前記温度検知部および荷重検知部の各検知結果と時刻とを対応付けた監視データを前記容器に設けられた記憶部に記憶する工程と、
前記記憶部に記憶された監視データをデータ読取手段で読み出す工程と、を含むことを特徴とする容器の内容物の温度監視方法。 - 容器内の内容物を取り出した後に、当該容器の洗浄を行う工程を含むことを特徴とする請求項5記載の容器の内容物の温度監視方法。
- 前記内容物は漁港に陸揚げされた魚介類であり、当該漁港から出荷される前に監視データの読み出しが行われることを特徴とする請求項5又は6記載の容器の内容物の温度監視方法。
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Cited By (4)
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