JP2004066612A - レンズ成形装置及びそれを用いた光学素子及び光走査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学素子の各光学面間の偏心精度により発生する走査線湾曲を微小に抑えることができるレンズ成形装置及びそれを用いた光学素子及び光走査装置を得ること。
【解決手段】複数の鏡面駒12,13と複数の抱き駒16,17,18,19とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、該複数の鏡面駒のうち、少なくとも1つの鏡面駒は、その位置が少なくとも1つの抱き駒に対して調整可能となっていること。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の鏡面駒12,13と複数の抱き駒16,17,18,19とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、該複数の鏡面駒のうち、少なくとも1つの鏡面駒は、その位置が少なくとも1つの抱き駒に対して調整可能となっていること。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズ成形装置及びそれを用いた光学素子及び光走査装置に関し、特に光学素子の各光学面の偏心を微小に抑えることができる、例えば電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタやデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等の画像形成装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりレーザービームプリンタ等の光走査装置においては光源手段から画像信号に応じて光変調され出射した光束を、例えば回転多面鏡(ポリゴンミラー)より成る光偏向器により周期的に偏向させ、fθ特性を有する結像レンズによって感光性の記録媒体(感光ドラム)面上にスポット状に収束させ、該記録媒体面上を光走査して画像記録を行なっている。
【0003】
図6は従来の光走査装置の要部概略図である。同図において光源手段91から出射した発散光束はコリメーターレンズ92によって略平行光束もしくは収束光束とされ、開口絞り93によって該光束(光量)を整形して副走査方向のみに屈折力を有するシリンドリカルレンズ94に入射している。シリンドリカルレンズ94に入射した光束のうち主走査断面内においてはそのままの状態で出射し、副走査断面内においては収束して回転多面鏡(ポリゴンミラー)から成る光偏向器95の偏向面95a近傍にほぼ線像として結像している。
【0004】
そして光偏向器95の偏向面95aで反射偏向された光束をfθ特性を有する結像レンズ(fθレンズ)96を介して被走査面97としての感光ドラム面上へ導光し、該光偏向器95を矢印A方向に回転させることによって該感光ドラム面97上を矢印B方向(主走査方向)に光走査して画像情報の記録を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような光走査装置において高精度な画像情報の記録を行なうためには、被走査面全域に渡って像面湾曲が良好に補正されていること、走査角θと像高Yとの間に等速性をともなう歪曲特性(fθ特性)を有していること、感光ドラム面上でのスポット径が各像高において均一であること等が必要である。このような光学特性を満足する光走査装置、もしくはその補正光学系(fθレンズ)は従来より種々と提案されている。
【0006】
一方、レーザービームプリンタやデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ等の画像形成装置のコンパクト化や低価格化に伴い、光走査装置に対しても同様の要求がなされている。この様な要望を満足する構成として、結像レンズ(fθレンズ)を1枚から構成した光走査装置が、例えば特開平4−50908号公報や特開平9−33850号公報等で種々と提案されている。
【0007】
特開平4−50908号公報では結像レンズの主走査方向に高次の非球面を用い収差特性を比較的良好に補正している。しかしながら同公報では光偏向器と被走査面間との副走査方向の倍率が一定となっていないために副走査方向のスポット径が像高によって変化してしまう傾向があった。
【0008】
特開平9−33850号公報では光走査装置において、結像レンズのレンズ面のうち、少なくとも2つの面において副走査方向の曲率が該結像レンズの有効部で主走査方向に沿って連続的に、かつ主走査方向の曲率と独立に変化することによって副走査方向の主平面の位置を2つの面のベンディングによって制御し、各像高における副走査方向の倍率を一定とすることにより、スポット径を一定にする方法が提案されている。
【0009】
しかしながら同公報では副走査方向の倍率を一定とするために、少なくとも2つの面をベンディングさせ、主平面の位置を倍率が一定となるように制御しているため、主走査方向と副走査方向の形状を完全に独立に設定することは可能であるが、レンズの肉厚を小さく抑える等の要望により、主走査方向のレンズ形状が比較的大きな非球面量を有する場合が多かった。
【0010】
上記のような主走査方向の非球面量の大きなレンズでは各レンズ面及びレンズの配置誤差により、光学的な性能の劣化が大きく発生する。光学的な性能の劣化の中で特に副走査方向の走査線湾曲は走査線の高さのずれや走査線の傾き等と異なり、装置本体で配置するミラー等の調整により補正することができないため大きな問題点となる。このため走査線湾曲を微小に抑える為には各レンズ面及びレンズの配置を設計値通りに精度良く配置するか、もしくはレンズに調整機構を設けて設計上の配置になるように調整する必要が生じる。
【0011】
更に4本の感光体(感光ドラム)を用いて各々に光走査装置を配置してレーザー光により潜像を形成し、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),Bk(ブラック)の各色の原稿の画像を各々対応する感光体面上に形成するカラー画像形成装置の場合、各感光体面上に形成されたY,M,C,Bkの4色の画像を紙等の転写体上に重ね合わせるため、各感光体に対応した光走査装置の走査線に湾曲が発生していると4色間での走査線の形状に誤差を生じ、転写体上での画像において色ずれ(レジストレーション)が生じるため著しい画像性能の劣化を招くという問題点がある。
【0012】
図7は特開平9−33850号公報の実施形態における走査光学素子及び各光学素子面が主走査方向と垂直な方向(副走査方向)へ偏心(50μm)したときの被走査面上における走査線移動量を示した説明図である。同図より光学面の偏心時に走査線湾曲が大きく発生し、高品位な画像を得るためには配置精度の向上や偏心調整を必要とすることが分かる。
【0013】
本発明は光学素子の各光学面間の偏心精度により発生する走査線湾曲を微小に抑えることができるレンズ成形装置及びそれを用いた光学素子及び光走査装置の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のレンズ成形装置は、
複数の鏡面駒と複数の抱き駒とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、
該複数の鏡面駒のうち、少なくとも1つの鏡面駒は、その位置が少なくとも1つの抱き駒に対して調整可能となっていることを特徴としている。
【0015】
請求項2の発明のレンズ成形装置は、
1対の鏡面駒と複数の抱き駒とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、
該1対の鏡面駒のうち、少なくとも一方の鏡面駒は、アナモフィック面の成形用であり、該一方の鏡面駒は、その位置が少なくとも1つの抱き駒に対して調整可能となっていることを特徴としている。
【0016】
請求項3の発明は請求項1の発明において、
前記複数の抱き駒は、レンズのコバを形成する為のコバ用抱き駒とレンズのツバ部を形成するツバ用抱き駒とを含み、該ツバ用抱き駒に設けた調整手段によって前記鏡面駒の位置を調整していることを特徴としている。
【0017】
請求項4の発明は請求項2の発明において、
前記一方の鏡面駒の位置は、他方の鏡面駒の中心軸に対して調整可能であることを特徴としている。
【0018】
請求項5の発明は請求項2又は4の発明において、
前記一方の鏡面駒の位置は、他方の鏡面駒の中心軸に対して垂直方向に調整可能であることを特徴としている。
【0019】
請求項6の発明は請求項2又は5の発明において、
前記一方の鏡面駒の位置は、他方の鏡面駒の中心軸に対して垂直方向に30μm以上調整可能であることを特徴としている。
【0020】
請求項7の発明のレンズ成形装置は、
複数の鏡面駒と複数の抱き駒とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、
該複数の鏡面駒のうち、少なくとも1つの鏡面駒は、その位置が該鏡面駒の加工時に該鏡面駒の加工データを用いて調整可能となっていることを特徴としている。
【0021】
請求項8の発明のレンズ成形装置は、
1対の鏡面駒と複数の抱き駒とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、
該1対の鏡面駒のうち、少なくとも一方の鏡面駒は、その位置が該鏡面駒の加工時に該鏡面駒の加工データを用いて調整可能となっていることを特徴としている。
【0022】
請求項9の発明の光学素子は、
請求項1乃至8の何れか1項に記載のレンズ成形装置を用いて形成したことを特徴としている。
【0023】
請求項10の発明の光走査装置は、
請求項9に記載の光学素子を光走査光学系に用いたことを特徴としている。
【0024】
請求項11の発明の画像形成装置は、
請求項10項の光走査装置と、被走査面に配置された感光体と、該光走査装置で走査された光ビームによって該感光体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、該現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器と、外部機器から入力されたコードデータを画像信号に変換して前記光走査装置に出力せしめるプリンタコントローラと、を有することを特徴としている。
【0025】
請求項12の発明のレーザービームプリンタは、
請求項10項の光走査装置を用いて、被走査面上に設けた感光ドラムに光束を導光することを特徴としている。
【0026】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
図1は本発明のレンズ成形装置を用いて光学素子を形成するときの実施形態1の要部断面図(副走査断面図)であり、プラスチックの射出成形により光学素子を作製する場合を示している。
【0027】
同図において11は射出成形時プラスチック樹脂が充填され、最終的に光学素子としてのレンズ(結像レンズ)を作製する型のレンズ部分である。
【0028】
12、13は1対の鏡面駒であり、鏡面駒12はレンズ11のr1面側の鏡面駒であり、鏡面駒13はレンズ11のr2面側の鏡面駒である。1対の鏡面駒12、13はレンズ形状を転写し、中心軸(曲率中心と面頂点を結んだ線)を含み実際の光線を通す部分であり、最も精度が必要な部分である。
【0029】
本実施形態においては1対の鏡面駒12,13のうち、少なくとも一方の鏡面駒がアナモフィック面の成形用であり、該一方の鏡面駒は、その位置が後述する少なくとも1つの抱き駒に対して調整可能と成っている。
【0030】
14,15は各々レンズ11のコバを形成する為の上下部分の抱き駒(コバ用抱き駒)、16,17,18,19は各々レンズ11のツバ部を形成する抱き駒(ツバ用抱き駒)であり、該コバ用抱き駒14,15及びツバ用抱き駒16,17,18,19によって1対の鏡面駒12,13が挟まれるように構成されている。
【0031】
21,23は各々調整手段であり、ツバ用抱き駒18、16に設けられた溝部20,22に嵌入するネジ部より成っている。尚、調整手段21,23をツバ用抱き駒19、17にも設けても良い。
【0032】
本実施形態ではツバ用抱き駒18、16に設けたネジ部21,23によって、1対の鏡面駒12、13の位置を調整している。例えば一方の鏡面駒12の位置を他方の鏡面駒13の中心軸(曲率中心と面頂点を結んだ線)r2aに対して垂直方向Zに引き込んで調整し固定することによって、他方の鏡面駒13に対する垂直方向Zの位置を調整している。これにより鏡面駒13のr2面側の中心軸r2aと鏡面駒12のr1面側の中心軸r1aを垂直方向Zで一致させている。尚、このときの鏡面駒12の位置は鏡面駒13の中心軸r2aに対して垂直方向に30μm以上調整可能と成るように構成している。
【0033】
このように本実施形態では上述の如く型に於ける垂直方向Zの中心軸位置(高さ)をネジ部21,23によって調整し一致させることにより、成形後の中心軸r1a,r2aを垂直方向Zで一致させ、これにより各面の偏心を微小に抑え、走査線の湾曲の発生しないレンズを作製している。
【0034】
良好なる画像を得るためには必要な走査線の湾曲量精度は、解像度を規定する1画素の範囲内に抑えることが重要である。そのために必要となる調整又は加工後の中心軸位置の相対的なずれ量は50μm以下であることが望ましい。これはレンズ面間の相対位置のずれによる走査線湾曲の敏感度から得られる量である。そのためには調整後の鏡面駒の相対的な位置ずれは30μm以上であることが必要である。この量は、調整を行なわない場合に発生する鏡面駒の相対位置ずれを補正し、所望の位置ずれ量の範囲に押さえるために必要となる量である。
【0035】
[実施形態2]
図2、図3は各々本発明のレンズ成形装置を用いて光学素子を形成するときの実施形態2の要部断面図(副走査断面図と主走査断面図)であり、プラスチックの射出成形により光学素子を作製する場合を示している。図2、図3において図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0036】
本実施形態において前述の実施形態1と異なる点は1対の鏡面駒12,13を、その位置が該鏡面駒の加工時に該鏡面駒の加工データを用いて調整可能と成るように構成したことである。その他の構成は実施形態1と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0037】
図2ではr1面の中心軸r1aとr2面の中心軸r2aとが垂直方向Zに偏芯しており、該中心軸r1a、r2aの高さが互いに異なっている状態である。この原因は鏡面駒自体の相対的な位置誤差や、鏡面駒加工時の加工誤差によるものと考えられる。
【0038】
そこで本実施形態に於いては一旦成形されたレンズ形状や光学性能を測定することによって、レンズで発生している垂直方向Zの光学偏芯の量ΔZを求め、その量ΔZを鏡面駒のr1面またはr2面の加工値にフィードバックし、垂直方向ZにΔZのオフセット量を与えて加工を行なうことによって、鏡面駒の偏芯を補正している。
【0039】
本実施形態において光学素子(レンズ)の屈折面の面形状は以下の形状表現式により定義されている。光学面と中心軸との交点を原点とし、中心軸方向をX軸、主走査断面内において中心軸と直交する軸をY軸、副走査断面内において中心軸と直交する軸をZ軸としたとき、主走査方向と対応する母線方向が、
【0040】
【数1】
【0041】
但し、Rは母線曲率半径,K,B4,B6,B8,B10は非球面係数
副走査方向(中心軸を含む主走査方向に直交する方向)と対応する子線方向が、
【0042】
【数2】
【0043】
ここで
1/r’=1/r+D2Y2+D4Y4+D6Y6+D8Y8+D10Y10
但し、rは子線曲率半径、D2,D4,D6,D8,D10は子線変化係数
なる式で表わされるものである。
【0044】
尚、中心軸外の子線曲率半径r’は各々の位置における母線の法線を含み主走査面と垂直断面内に定義されている。また形状表現式における多項式は10次までの関数で表現しているが、次数はこれ以上でも以下でも差し支えない。
【0045】
このように定義された面形状に対して、垂直方向Zの偏芯量ΔZ(成形されたレンズの偏心量)を導入する。数式2においてZ=Z−ΔZとし、偏芯量を与えて加工する。このような手法を用いることにより、鏡面駒の加工時にレンズ各面の偏心を微小に抑えることができ、このように作製されたレンズを例えば光走査装置に使用することにより、走査線曲がりを生じない光走査光学系を実現することができる。
【0046】
良好なる画像を得るためには必要な走査線の湾曲量精度は、解像度を規定する1画素の範囲内に抑えることが重要である。そのために必要となる調整又は加工後の中心軸位置の相対的なずれ量は前述の実施形態1と同様に50μm以下であることが望ましい。
【0047】
[光走査装置]
図4は本発明のレンズ成形装置を用いて形成した光学素子(結像レンズ)を有する光走査装置の要部概略図である。
【0048】
尚、同図において偏向素子によって光束が反射偏向(偏向走査)される方向を主走査方向、結像レンズの光軸及び主走査方向と直交する方向を副走査方向と定義する。
【0049】
同図において1は光源手段であり、例えば半導体レーザー等より成っている。2はコリメーターレンズであり、光源手段1から放射された光束を略平行光束(もしくは収束光束、もしくは発散光束)に変換している。3は開口絞りであり、通過光束を制限してビーム形状を整形している。4はシリンドリカルレンズであり、副走査方向にのみ所定のパワーを有しており、開口絞り3を通過した光束を副走査断面内で後述する光偏向器5の偏向面(反射面)5aにほぼ線像として結像させている。
【0050】
5は偏向素子としての光偏向器であり、例えば6面構成のポリゴンミラー(回転多面鏡)より成っており、モーター等の駆動手段(不図示)により図中矢印A方向に一定速度で回転している。
【0051】
6は上記の各実施形態1、2で示したいずれかのレンズ成形装置を用いて形成した光学素子としての結像レンズ(fθレンズ)であり、光偏向器5によって反射偏向された画像情報に基づく光束を被走査面としての感光ドラム面7上に結像させ、かつ副走査断面内において光偏向器5の偏向面5aと感光ドラム面7との間を共役関係にすることにより、倒れ補正機能を有している。7は被走査面としての感光ドラム面である。
【0052】
本実施形態において半導体レーザー1から出射した光束はコリメーターレンズ2により略平行光束に変換され、開口絞り3によって該光束(光量)が制限され、シリンドリカルレンズ4に入射している。シリンドリカルレンズ4に入射した略平行光束のうち主走査断面においてはそのままの状態で射出する。また副走査断面内においては収束して光偏向器5の偏向面5aにほぼ線像(主走査方向に長手の線像)として結像している。そして光偏向器5の偏向面5aで反射偏向された光束は結像レンズ6を介して感光ドラム面7上にスポット状に結像され、該光偏向器5を矢印A方向に回転させることによって、該感光ドラム面7上を矢印B方向(主走査方向)に等速度で光走査している。これにより記録媒体としての感光ドラム面7上に画像記録を行なっている。
【0053】
本実施形態における光走査装置は前述の実施形態1又は2のレンズ成形装置を用いて作製された結像レンズを用いることにより、走査線の曲がりの生じない光走査光学系を実現している。
【0054】
尚、本実施形態においては特にプラスチックレンズで顕著な環境変動時のピント移動を補償する為に結像レンズ6の少なくとも一方の面に回折格子面を設けて形成しても良い。また光源手段1をマルチビームレーザーより構成しても上記の実施形態と同様に適用することができる。また本実施形態においては結像レンズ6を1枚のレンズより構成したが、これに限らず、例えば2枚以上のレンズより構成しても良い。
【0055】
[カラー画像形成装置]
図5は本発明の実施態様のカラー画像形成装置の要部概略図である。本実施形態は、光走査装置を4個並べ各々並行して像担持体である感光ドラム面上に画像情報を記録するタンデムタイプのカラー画像形成装置である。
【0056】
図5において、80はカラー画像形成装置、31,32,33,34は各々前記図4に示した光走査装置、41,42,43,44は各々像担持体としての感光ドラム、51,52,53,54は各々現像器、71は搬送ベルトである。尚、図5においては現像器で現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器(不図示)と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器(不図示)とを有している。
【0057】
図5において、カラー画像形成装置80には、パーソナルコンピュータ等の外部機器72からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力する。これらの色信号は、装置内のプリンタコントローラ73によって、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各画像データ(ドットデータ)に変換される。これらの画像データは、それぞれ光走査装置31,32,33,34に入力される。そして、これらの光走査装置からは、各画像データに応じて変調された光ビーム61,62,63,64が射出され、これらの光ビームによって感光ドラム41,42,43,44の感光面が主走査方向に走査される。
【0058】
本実施態様におけるカラー画像形成装置は光走査装置(31,32,33,34)を4個並べ、各々がC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各色に対応し、各々平行して感光ドラム41,42,43,44面上に画像信号(画像情報)を記録し、カラー画像を高速に印字するものである。
【0059】
本実施態様におけるカラー画像形成装置は上述の如く4つの光走査装置31,32,33,34により各々の画像データに基づいた光ビームを用いて各色の潜像を各々対応する感光ドラム41,42,43,44面上に形成している。その後、記録材に多重転写して1枚のフルカラー画像を形成している。
【0060】
前記外部機器72としては、例えばCCDセンサを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置80とで、カラーデジタル複写機が構成される。
【0061】
本実施形態におけるカラー画像形成装置は高速化が図れると同時に各色間のレジストレーション(色ずれ)の少ない高画質なカラー画像を得ることができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば前述の如く光学素子をプラスチックの射出成形等により作製する場合にプラスチックレンズ成形時に用いる成形型の複数の鏡面駒のうち、少なくとも1つの鏡面駒を、その位置が少なくとも1つの抱き駒に対して調整可能と成るように構成することにより、光学素子の各光学面の偏心を微小に抑えることができ、このように作製された光学素子を光走査装置及び画像形成装置に使用することにより、走査線曲がりを生じない走査光学系を実現することができ、この手法により光学素子の偏心誤差により発生する走査線湾曲を微小に抑えることができるレンズ成形装置及びそれを用いた光学素子及び光走査装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレンズ成形装置を用いた光学素子の実施形態1の副走査断面図
【図2】本発明のレンズ成形装置を用いた光学素子の実施形態2の副走査断面図
【図3】本発明のレンズ成形装置を用いた光学素子の実施形態2の主走査断面図
【図4】本発明の光学素子を用いた光走査装置の要部概略図
【図5】本発明の光走査装置を用いた画像形成装置(電子写真プリンタ)の構成例を示す副走査方向の要部断面図
【図6】従来の光走査装置の要部概略図
【図7】従来の光走査装置の配置敏感度を示す図
【符号の説明】
1 光源手段(半導体レーザー)
2 コリメーターレンズ
3 開口絞り
4 シリンドリカルレンズ
5 偏向素子(光偏向器)
6 光学素子(結像レンズ)
7 被走査面(感光体ドラム)
11 光学素子(レンズ部分)、
12 r1面側の鏡面駒
13 r2面側の鏡面駒
14,15 上下部分の抱き駒
16,17,18,19 ツバ部を形成する抱き駒
20,22 溝部
21,23 ネジ部
r1a r1面側の中心軸
r2a r2面側の中心軸
31,32,33,34 光走査装置
41,42,43,44 像担持体(感光ドラム)
51,52,53,54 現像器
61,62,63,64 光ビーム
71 搬送ベルト
72‥‥外部機器
73‥‥プリンタコントローラ
80‥‥カラー画像形成装置
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズ成形装置及びそれを用いた光学素子及び光走査装置に関し、特に光学素子の各光学面の偏心を微小に抑えることができる、例えば電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタやデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等の画像形成装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりレーザービームプリンタ等の光走査装置においては光源手段から画像信号に応じて光変調され出射した光束を、例えば回転多面鏡(ポリゴンミラー)より成る光偏向器により周期的に偏向させ、fθ特性を有する結像レンズによって感光性の記録媒体(感光ドラム)面上にスポット状に収束させ、該記録媒体面上を光走査して画像記録を行なっている。
【0003】
図6は従来の光走査装置の要部概略図である。同図において光源手段91から出射した発散光束はコリメーターレンズ92によって略平行光束もしくは収束光束とされ、開口絞り93によって該光束(光量)を整形して副走査方向のみに屈折力を有するシリンドリカルレンズ94に入射している。シリンドリカルレンズ94に入射した光束のうち主走査断面内においてはそのままの状態で出射し、副走査断面内においては収束して回転多面鏡(ポリゴンミラー)から成る光偏向器95の偏向面95a近傍にほぼ線像として結像している。
【0004】
そして光偏向器95の偏向面95aで反射偏向された光束をfθ特性を有する結像レンズ(fθレンズ)96を介して被走査面97としての感光ドラム面上へ導光し、該光偏向器95を矢印A方向に回転させることによって該感光ドラム面97上を矢印B方向(主走査方向)に光走査して画像情報の記録を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような光走査装置において高精度な画像情報の記録を行なうためには、被走査面全域に渡って像面湾曲が良好に補正されていること、走査角θと像高Yとの間に等速性をともなう歪曲特性(fθ特性)を有していること、感光ドラム面上でのスポット径が各像高において均一であること等が必要である。このような光学特性を満足する光走査装置、もしくはその補正光学系(fθレンズ)は従来より種々と提案されている。
【0006】
一方、レーザービームプリンタやデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ等の画像形成装置のコンパクト化や低価格化に伴い、光走査装置に対しても同様の要求がなされている。この様な要望を満足する構成として、結像レンズ(fθレンズ)を1枚から構成した光走査装置が、例えば特開平4−50908号公報や特開平9−33850号公報等で種々と提案されている。
【0007】
特開平4−50908号公報では結像レンズの主走査方向に高次の非球面を用い収差特性を比較的良好に補正している。しかしながら同公報では光偏向器と被走査面間との副走査方向の倍率が一定となっていないために副走査方向のスポット径が像高によって変化してしまう傾向があった。
【0008】
特開平9−33850号公報では光走査装置において、結像レンズのレンズ面のうち、少なくとも2つの面において副走査方向の曲率が該結像レンズの有効部で主走査方向に沿って連続的に、かつ主走査方向の曲率と独立に変化することによって副走査方向の主平面の位置を2つの面のベンディングによって制御し、各像高における副走査方向の倍率を一定とすることにより、スポット径を一定にする方法が提案されている。
【0009】
しかしながら同公報では副走査方向の倍率を一定とするために、少なくとも2つの面をベンディングさせ、主平面の位置を倍率が一定となるように制御しているため、主走査方向と副走査方向の形状を完全に独立に設定することは可能であるが、レンズの肉厚を小さく抑える等の要望により、主走査方向のレンズ形状が比較的大きな非球面量を有する場合が多かった。
【0010】
上記のような主走査方向の非球面量の大きなレンズでは各レンズ面及びレンズの配置誤差により、光学的な性能の劣化が大きく発生する。光学的な性能の劣化の中で特に副走査方向の走査線湾曲は走査線の高さのずれや走査線の傾き等と異なり、装置本体で配置するミラー等の調整により補正することができないため大きな問題点となる。このため走査線湾曲を微小に抑える為には各レンズ面及びレンズの配置を設計値通りに精度良く配置するか、もしくはレンズに調整機構を設けて設計上の配置になるように調整する必要が生じる。
【0011】
更に4本の感光体(感光ドラム)を用いて各々に光走査装置を配置してレーザー光により潜像を形成し、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),Bk(ブラック)の各色の原稿の画像を各々対応する感光体面上に形成するカラー画像形成装置の場合、各感光体面上に形成されたY,M,C,Bkの4色の画像を紙等の転写体上に重ね合わせるため、各感光体に対応した光走査装置の走査線に湾曲が発生していると4色間での走査線の形状に誤差を生じ、転写体上での画像において色ずれ(レジストレーション)が生じるため著しい画像性能の劣化を招くという問題点がある。
【0012】
図7は特開平9−33850号公報の実施形態における走査光学素子及び各光学素子面が主走査方向と垂直な方向(副走査方向)へ偏心(50μm)したときの被走査面上における走査線移動量を示した説明図である。同図より光学面の偏心時に走査線湾曲が大きく発生し、高品位な画像を得るためには配置精度の向上や偏心調整を必要とすることが分かる。
【0013】
本発明は光学素子の各光学面間の偏心精度により発生する走査線湾曲を微小に抑えることができるレンズ成形装置及びそれを用いた光学素子及び光走査装置の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のレンズ成形装置は、
複数の鏡面駒と複数の抱き駒とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、
該複数の鏡面駒のうち、少なくとも1つの鏡面駒は、その位置が少なくとも1つの抱き駒に対して調整可能となっていることを特徴としている。
【0015】
請求項2の発明のレンズ成形装置は、
1対の鏡面駒と複数の抱き駒とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、
該1対の鏡面駒のうち、少なくとも一方の鏡面駒は、アナモフィック面の成形用であり、該一方の鏡面駒は、その位置が少なくとも1つの抱き駒に対して調整可能となっていることを特徴としている。
【0016】
請求項3の発明は請求項1の発明において、
前記複数の抱き駒は、レンズのコバを形成する為のコバ用抱き駒とレンズのツバ部を形成するツバ用抱き駒とを含み、該ツバ用抱き駒に設けた調整手段によって前記鏡面駒の位置を調整していることを特徴としている。
【0017】
請求項4の発明は請求項2の発明において、
前記一方の鏡面駒の位置は、他方の鏡面駒の中心軸に対して調整可能であることを特徴としている。
【0018】
請求項5の発明は請求項2又は4の発明において、
前記一方の鏡面駒の位置は、他方の鏡面駒の中心軸に対して垂直方向に調整可能であることを特徴としている。
【0019】
請求項6の発明は請求項2又は5の発明において、
前記一方の鏡面駒の位置は、他方の鏡面駒の中心軸に対して垂直方向に30μm以上調整可能であることを特徴としている。
【0020】
請求項7の発明のレンズ成形装置は、
複数の鏡面駒と複数の抱き駒とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、
該複数の鏡面駒のうち、少なくとも1つの鏡面駒は、その位置が該鏡面駒の加工時に該鏡面駒の加工データを用いて調整可能となっていることを特徴としている。
【0021】
請求項8の発明のレンズ成形装置は、
1対の鏡面駒と複数の抱き駒とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、
該1対の鏡面駒のうち、少なくとも一方の鏡面駒は、その位置が該鏡面駒の加工時に該鏡面駒の加工データを用いて調整可能となっていることを特徴としている。
【0022】
請求項9の発明の光学素子は、
請求項1乃至8の何れか1項に記載のレンズ成形装置を用いて形成したことを特徴としている。
【0023】
請求項10の発明の光走査装置は、
請求項9に記載の光学素子を光走査光学系に用いたことを特徴としている。
【0024】
請求項11の発明の画像形成装置は、
請求項10項の光走査装置と、被走査面に配置された感光体と、該光走査装置で走査された光ビームによって該感光体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、該現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器と、外部機器から入力されたコードデータを画像信号に変換して前記光走査装置に出力せしめるプリンタコントローラと、を有することを特徴としている。
【0025】
請求項12の発明のレーザービームプリンタは、
請求項10項の光走査装置を用いて、被走査面上に設けた感光ドラムに光束を導光することを特徴としている。
【0026】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
図1は本発明のレンズ成形装置を用いて光学素子を形成するときの実施形態1の要部断面図(副走査断面図)であり、プラスチックの射出成形により光学素子を作製する場合を示している。
【0027】
同図において11は射出成形時プラスチック樹脂が充填され、最終的に光学素子としてのレンズ(結像レンズ)を作製する型のレンズ部分である。
【0028】
12、13は1対の鏡面駒であり、鏡面駒12はレンズ11のr1面側の鏡面駒であり、鏡面駒13はレンズ11のr2面側の鏡面駒である。1対の鏡面駒12、13はレンズ形状を転写し、中心軸(曲率中心と面頂点を結んだ線)を含み実際の光線を通す部分であり、最も精度が必要な部分である。
【0029】
本実施形態においては1対の鏡面駒12,13のうち、少なくとも一方の鏡面駒がアナモフィック面の成形用であり、該一方の鏡面駒は、その位置が後述する少なくとも1つの抱き駒に対して調整可能と成っている。
【0030】
14,15は各々レンズ11のコバを形成する為の上下部分の抱き駒(コバ用抱き駒)、16,17,18,19は各々レンズ11のツバ部を形成する抱き駒(ツバ用抱き駒)であり、該コバ用抱き駒14,15及びツバ用抱き駒16,17,18,19によって1対の鏡面駒12,13が挟まれるように構成されている。
【0031】
21,23は各々調整手段であり、ツバ用抱き駒18、16に設けられた溝部20,22に嵌入するネジ部より成っている。尚、調整手段21,23をツバ用抱き駒19、17にも設けても良い。
【0032】
本実施形態ではツバ用抱き駒18、16に設けたネジ部21,23によって、1対の鏡面駒12、13の位置を調整している。例えば一方の鏡面駒12の位置を他方の鏡面駒13の中心軸(曲率中心と面頂点を結んだ線)r2aに対して垂直方向Zに引き込んで調整し固定することによって、他方の鏡面駒13に対する垂直方向Zの位置を調整している。これにより鏡面駒13のr2面側の中心軸r2aと鏡面駒12のr1面側の中心軸r1aを垂直方向Zで一致させている。尚、このときの鏡面駒12の位置は鏡面駒13の中心軸r2aに対して垂直方向に30μm以上調整可能と成るように構成している。
【0033】
このように本実施形態では上述の如く型に於ける垂直方向Zの中心軸位置(高さ)をネジ部21,23によって調整し一致させることにより、成形後の中心軸r1a,r2aを垂直方向Zで一致させ、これにより各面の偏心を微小に抑え、走査線の湾曲の発生しないレンズを作製している。
【0034】
良好なる画像を得るためには必要な走査線の湾曲量精度は、解像度を規定する1画素の範囲内に抑えることが重要である。そのために必要となる調整又は加工後の中心軸位置の相対的なずれ量は50μm以下であることが望ましい。これはレンズ面間の相対位置のずれによる走査線湾曲の敏感度から得られる量である。そのためには調整後の鏡面駒の相対的な位置ずれは30μm以上であることが必要である。この量は、調整を行なわない場合に発生する鏡面駒の相対位置ずれを補正し、所望の位置ずれ量の範囲に押さえるために必要となる量である。
【0035】
[実施形態2]
図2、図3は各々本発明のレンズ成形装置を用いて光学素子を形成するときの実施形態2の要部断面図(副走査断面図と主走査断面図)であり、プラスチックの射出成形により光学素子を作製する場合を示している。図2、図3において図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0036】
本実施形態において前述の実施形態1と異なる点は1対の鏡面駒12,13を、その位置が該鏡面駒の加工時に該鏡面駒の加工データを用いて調整可能と成るように構成したことである。その他の構成は実施形態1と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0037】
図2ではr1面の中心軸r1aとr2面の中心軸r2aとが垂直方向Zに偏芯しており、該中心軸r1a、r2aの高さが互いに異なっている状態である。この原因は鏡面駒自体の相対的な位置誤差や、鏡面駒加工時の加工誤差によるものと考えられる。
【0038】
そこで本実施形態に於いては一旦成形されたレンズ形状や光学性能を測定することによって、レンズで発生している垂直方向Zの光学偏芯の量ΔZを求め、その量ΔZを鏡面駒のr1面またはr2面の加工値にフィードバックし、垂直方向ZにΔZのオフセット量を与えて加工を行なうことによって、鏡面駒の偏芯を補正している。
【0039】
本実施形態において光学素子(レンズ)の屈折面の面形状は以下の形状表現式により定義されている。光学面と中心軸との交点を原点とし、中心軸方向をX軸、主走査断面内において中心軸と直交する軸をY軸、副走査断面内において中心軸と直交する軸をZ軸としたとき、主走査方向と対応する母線方向が、
【0040】
【数1】
【0041】
但し、Rは母線曲率半径,K,B4,B6,B8,B10は非球面係数
副走査方向(中心軸を含む主走査方向に直交する方向)と対応する子線方向が、
【0042】
【数2】
【0043】
ここで
1/r’=1/r+D2Y2+D4Y4+D6Y6+D8Y8+D10Y10
但し、rは子線曲率半径、D2,D4,D6,D8,D10は子線変化係数
なる式で表わされるものである。
【0044】
尚、中心軸外の子線曲率半径r’は各々の位置における母線の法線を含み主走査面と垂直断面内に定義されている。また形状表現式における多項式は10次までの関数で表現しているが、次数はこれ以上でも以下でも差し支えない。
【0045】
このように定義された面形状に対して、垂直方向Zの偏芯量ΔZ(成形されたレンズの偏心量)を導入する。数式2においてZ=Z−ΔZとし、偏芯量を与えて加工する。このような手法を用いることにより、鏡面駒の加工時にレンズ各面の偏心を微小に抑えることができ、このように作製されたレンズを例えば光走査装置に使用することにより、走査線曲がりを生じない光走査光学系を実現することができる。
【0046】
良好なる画像を得るためには必要な走査線の湾曲量精度は、解像度を規定する1画素の範囲内に抑えることが重要である。そのために必要となる調整又は加工後の中心軸位置の相対的なずれ量は前述の実施形態1と同様に50μm以下であることが望ましい。
【0047】
[光走査装置]
図4は本発明のレンズ成形装置を用いて形成した光学素子(結像レンズ)を有する光走査装置の要部概略図である。
【0048】
尚、同図において偏向素子によって光束が反射偏向(偏向走査)される方向を主走査方向、結像レンズの光軸及び主走査方向と直交する方向を副走査方向と定義する。
【0049】
同図において1は光源手段であり、例えば半導体レーザー等より成っている。2はコリメーターレンズであり、光源手段1から放射された光束を略平行光束(もしくは収束光束、もしくは発散光束)に変換している。3は開口絞りであり、通過光束を制限してビーム形状を整形している。4はシリンドリカルレンズであり、副走査方向にのみ所定のパワーを有しており、開口絞り3を通過した光束を副走査断面内で後述する光偏向器5の偏向面(反射面)5aにほぼ線像として結像させている。
【0050】
5は偏向素子としての光偏向器であり、例えば6面構成のポリゴンミラー(回転多面鏡)より成っており、モーター等の駆動手段(不図示)により図中矢印A方向に一定速度で回転している。
【0051】
6は上記の各実施形態1、2で示したいずれかのレンズ成形装置を用いて形成した光学素子としての結像レンズ(fθレンズ)であり、光偏向器5によって反射偏向された画像情報に基づく光束を被走査面としての感光ドラム面7上に結像させ、かつ副走査断面内において光偏向器5の偏向面5aと感光ドラム面7との間を共役関係にすることにより、倒れ補正機能を有している。7は被走査面としての感光ドラム面である。
【0052】
本実施形態において半導体レーザー1から出射した光束はコリメーターレンズ2により略平行光束に変換され、開口絞り3によって該光束(光量)が制限され、シリンドリカルレンズ4に入射している。シリンドリカルレンズ4に入射した略平行光束のうち主走査断面においてはそのままの状態で射出する。また副走査断面内においては収束して光偏向器5の偏向面5aにほぼ線像(主走査方向に長手の線像)として結像している。そして光偏向器5の偏向面5aで反射偏向された光束は結像レンズ6を介して感光ドラム面7上にスポット状に結像され、該光偏向器5を矢印A方向に回転させることによって、該感光ドラム面7上を矢印B方向(主走査方向)に等速度で光走査している。これにより記録媒体としての感光ドラム面7上に画像記録を行なっている。
【0053】
本実施形態における光走査装置は前述の実施形態1又は2のレンズ成形装置を用いて作製された結像レンズを用いることにより、走査線の曲がりの生じない光走査光学系を実現している。
【0054】
尚、本実施形態においては特にプラスチックレンズで顕著な環境変動時のピント移動を補償する為に結像レンズ6の少なくとも一方の面に回折格子面を設けて形成しても良い。また光源手段1をマルチビームレーザーより構成しても上記の実施形態と同様に適用することができる。また本実施形態においては結像レンズ6を1枚のレンズより構成したが、これに限らず、例えば2枚以上のレンズより構成しても良い。
【0055】
[カラー画像形成装置]
図5は本発明の実施態様のカラー画像形成装置の要部概略図である。本実施形態は、光走査装置を4個並べ各々並行して像担持体である感光ドラム面上に画像情報を記録するタンデムタイプのカラー画像形成装置である。
【0056】
図5において、80はカラー画像形成装置、31,32,33,34は各々前記図4に示した光走査装置、41,42,43,44は各々像担持体としての感光ドラム、51,52,53,54は各々現像器、71は搬送ベルトである。尚、図5においては現像器で現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器(不図示)と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器(不図示)とを有している。
【0057】
図5において、カラー画像形成装置80には、パーソナルコンピュータ等の外部機器72からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力する。これらの色信号は、装置内のプリンタコントローラ73によって、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各画像データ(ドットデータ)に変換される。これらの画像データは、それぞれ光走査装置31,32,33,34に入力される。そして、これらの光走査装置からは、各画像データに応じて変調された光ビーム61,62,63,64が射出され、これらの光ビームによって感光ドラム41,42,43,44の感光面が主走査方向に走査される。
【0058】
本実施態様におけるカラー画像形成装置は光走査装置(31,32,33,34)を4個並べ、各々がC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各色に対応し、各々平行して感光ドラム41,42,43,44面上に画像信号(画像情報)を記録し、カラー画像を高速に印字するものである。
【0059】
本実施態様におけるカラー画像形成装置は上述の如く4つの光走査装置31,32,33,34により各々の画像データに基づいた光ビームを用いて各色の潜像を各々対応する感光ドラム41,42,43,44面上に形成している。その後、記録材に多重転写して1枚のフルカラー画像を形成している。
【0060】
前記外部機器72としては、例えばCCDセンサを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置80とで、カラーデジタル複写機が構成される。
【0061】
本実施形態におけるカラー画像形成装置は高速化が図れると同時に各色間のレジストレーション(色ずれ)の少ない高画質なカラー画像を得ることができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば前述の如く光学素子をプラスチックの射出成形等により作製する場合にプラスチックレンズ成形時に用いる成形型の複数の鏡面駒のうち、少なくとも1つの鏡面駒を、その位置が少なくとも1つの抱き駒に対して調整可能と成るように構成することにより、光学素子の各光学面の偏心を微小に抑えることができ、このように作製された光学素子を光走査装置及び画像形成装置に使用することにより、走査線曲がりを生じない走査光学系を実現することができ、この手法により光学素子の偏心誤差により発生する走査線湾曲を微小に抑えることができるレンズ成形装置及びそれを用いた光学素子及び光走査装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレンズ成形装置を用いた光学素子の実施形態1の副走査断面図
【図2】本発明のレンズ成形装置を用いた光学素子の実施形態2の副走査断面図
【図3】本発明のレンズ成形装置を用いた光学素子の実施形態2の主走査断面図
【図4】本発明の光学素子を用いた光走査装置の要部概略図
【図5】本発明の光走査装置を用いた画像形成装置(電子写真プリンタ)の構成例を示す副走査方向の要部断面図
【図6】従来の光走査装置の要部概略図
【図7】従来の光走査装置の配置敏感度を示す図
【符号の説明】
1 光源手段(半導体レーザー)
2 コリメーターレンズ
3 開口絞り
4 シリンドリカルレンズ
5 偏向素子(光偏向器)
6 光学素子(結像レンズ)
7 被走査面(感光体ドラム)
11 光学素子(レンズ部分)、
12 r1面側の鏡面駒
13 r2面側の鏡面駒
14,15 上下部分の抱き駒
16,17,18,19 ツバ部を形成する抱き駒
20,22 溝部
21,23 ネジ部
r1a r1面側の中心軸
r2a r2面側の中心軸
31,32,33,34 光走査装置
41,42,43,44 像担持体(感光ドラム)
51,52,53,54 現像器
61,62,63,64 光ビーム
71 搬送ベルト
72‥‥外部機器
73‥‥プリンタコントローラ
80‥‥カラー画像形成装置
Claims (12)
- 複数の鏡面駒と複数の抱き駒とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、
該複数の鏡面駒のうち、少なくとも1つの鏡面駒は、その位置が少なくとも1つの抱き駒に対して調整可能となっていることを特徴とするレンズ成形装置。 - 1対の鏡面駒と複数の抱き駒とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、
該1対の鏡面駒のうち、少なくとも一方の鏡面駒は、アナモフィック面の成形用であり、該一方の鏡面駒は、その位置が少なくとも1つの抱き駒に対して調整可能となっていることを特徴とするレンズ成形装置。 - 前記複数の抱き駒は、レンズのコバを形成する為のコバ用抱き駒とレンズのツバ部を形成するツバ用抱き駒とを含み、該ツバ用抱き駒に設けた調整手段によって前記鏡面駒の位置を調整していることを特徴とする請求項1記載のレンズ成形装置。
- 前記一方の鏡面駒の位置は、他方の鏡面駒の中心軸に対して調整可能であることを特徴とする請求項2記載のレンズ成形装置。
- 前記一方の鏡面駒の位置は、他方の鏡面駒の中心軸に対して垂直方向に調整可能であることを特徴とする請求項2又は4記載のレンズ成形装置。
- 前記一方の鏡面駒の位置は、他方の鏡面駒の中心軸に対して垂直方向に30μm以上調整可能であることを特徴とする請求項2又は5記載のレンズ成形装置。
- 複数の鏡面駒と複数の抱き駒とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、
該複数の鏡面駒のうち、少なくとも1つの鏡面駒は、その位置が該鏡面駒の加工時に該鏡面駒の加工データを用いて調整可能となっていることを特徴とするレンズ成形装置。 - 1対の鏡面駒と複数の抱き駒とを用いてレンズを成形する為のレンズ成形装置において、
該1対の鏡面駒のうち、少なくとも一方の鏡面駒は、その位置が該鏡面駒の加工時に該鏡面駒の加工データを用いて調整可能となっていることを特徴とするレンズ成形装置。 - 請求項1乃至8の何れか1項に記載のレンズ成形装置を用いて形成したことを特徴とする光学素子。
- 請求項9に記載の光学素子を光走査光学系に用いたことを特徴とする光走査装置。
- 請求項10項の光走査装置と、被走査面に配置された感光体と、該光走査装置で走査された光ビームによって該感光体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、該現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器と、外部機器から入力されたコードデータを画像信号に変換して前記光走査装置に出力せしめるプリンタコントローラと、を有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項10項の光走査装置を用いて、被走査面上に設けた感光ドラムに光束を導光することを特徴とするレーザービームプリンタ。
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