JP2004066482A - 平版印刷版用原版及び製版・印刷方法 - Google Patents

平版印刷版用原版及び製版・印刷方法 Download PDF

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Yasuhito Oshima
大島 康仁
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Abstract

【課題】ディジタル信号に基づいた走査露光後、現像することなしにそのまま印刷に供することが可能で、より一層耐刷性の改良された平版印刷版用原版、及びそれを用いた製版印刷方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、(1)酸により架橋可能な官能基を2個以上有する化合物を含有する微粒子及び/又は酸により架橋可能な官能基を2個以上有する化合物を内包するマイクロカプセル(酸架橋成分)、(2)ラジカルにより重合可能な官能基を2個以上有する化合物を含有する微粒子及び/又はラジカルにより重合可能な官能基を2個以上有する化合物を内包するマイクロカプセル(ラジカル重合成分)、(3)光熱変換剤、(4)感熱性酸発生剤、並びに(5)感熱性ラジカル発生剤を含有する画像形成層を有する平版印刷版用原版を、赤外線レーザー光で露光後、機上現像し、印刷に供する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は平版印刷版用原版及びそれを用いた製版・印刷方法に関する。より詳しくは、ディジタル信号に基づいた走査露光後、現像することなしにそのまま印刷に供することが可能な高耐刷の平版印刷版用原版及びそれを用いた製版印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年進展が目覚ましいコンピュータ・ツウ・プレートシステム用版材については、多数の研究がなされている。その中で、一層の工程合理化と廃液処理問題の解決を目指すものとして、露光後、現像処理することなしにそのまま印刷機に装着して印刷できる平版印刷版用原版が研究され、種々の方法が提案されている。
【0003】
処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの印刷版用原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷版用原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷版用原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が完了する方式である。このような機上現像に適した平版印刷版用原版は、湿し水及び/又はインキ溶剤に可溶な感光層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。
【0004】
例えば、日本特許2938397号公報には、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体の微粒子を分散させた感光層を親水性支持体上に設けた平版印刷版用原版が開示されている。この公報には、該平版印刷版用原版に赤外線レーザー露光し、熱可塑性疎水性重合体の微粒子を熱により合体させて画像形成した後、印刷機シリンダー上に版を取付け、湿し水及び/又はインキにより機上現像できることが記載されている。この平版印刷版用原版は感光域が赤外線域であることにより、明室取り扱い適性を有している。
【0005】
また、特開平9−127683号公報及びWO99−10186号公報にも熱可塑性微粒子を熱による合体後、機上現像により印刷版を作製することが記載されている。
【0006】
しかしながら、上記のような熱による微粒子の溶融合体で画像を作る方法は、良好な機上現像性を示すものの、画像強度が弱いために耐刷性が不十分という問題があった。
【0007】
特開2002−29162号には、ビニルオキシ基を有する化合物を含有する微粒子及びビニルオキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた成分、親水性樹脂及び酸前駆体を含有する画像形成層を有する機上現像型の平版印刷版用原版によって、良好な耐刷性が得られることが記載されている。
【0008】
特開2002−46361号には、エポキシ基を有する化合物を含有する微粒子及びエポキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた成分、親水性樹脂及び酸前駆体を含有する画像形成層を有する機上現像型の平版印刷版用原版によって、良好な耐刷性が得られることが記載されている。
【0009】
特開2002−137562号には、ラジカル重合性基を有する化合物を含有する微粒子及びラジカル重合性基を有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた成分、親水性樹脂及び感熱性ラジカル発生剤を含有する画像形成層を有する機上現像型の平版印刷版用原版によって、良好な耐刷性が得られることが記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の技術によってもなお、より一層の高耐刷化の要望には不十分であった。本発明の課題は、この要望に応えることである。すなわち、ディジタル信号に基づいた走査露光後、現像することなしにそのまま印刷に供することが可能で、より一層耐刷性の改良された平版印刷版用原版及びそれを用いた製版印刷方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討の結果、画像形成層に用いる熱反応性の微粒子やマイクロカプセルとして、(1)酸によって架橋反応を行うことができるもの、及び、(2)ラジカルによって重合反応を行うことができるもののこれら両系統を併用することによって十分な高耐刷が得られることを見出し、上記課題を解決した。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0012】
1.支持体上に、(1)酸により架橋可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を含有する微粒子及び酸により架橋可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも1つの酸架橋成分、(2)ラジカルにより重合可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を含有する微粒子及びラジカルにより重合可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも1つのラジカル重合成分、(3)光熱変換剤、(4)感熱性酸発生剤、並びに(5)感熱性ラジカル発生剤を含有する画像形成層を有する平版印刷版用原版。
【0013】
2.酸架橋成分及びラジカル重合成分が、いずれもマイクロカプセルであることを特徴とする前記1記載の平版印刷版用原版。
【0014】
3.前記1又は前記2記載の平版印刷版用原版を、700〜1300nmの波長を有する赤外線レーザー光で画像露光した後、印刷機上で湿し水及びインキのうちの少なくともいずれか一方により非画像部を除去して印刷することを特徴とする製版・印刷方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
[画像形成層]
本発明の画像形成層は、(1)酸により架橋可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を含有する微粒子及び酸により架橋可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも1つの酸架橋成分、並びに(2)ラジカルにより重合可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を含有する微粒子及びラジカルにより重合可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも1つのラジカル重合成分、を含有する。以下では、酸により架橋可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を「酸架橋性化合物」、ラジカルにより重合可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を「ラジカル重合性化合物」と略する場合もある。
【0017】
本発明に用いられる酸により架橋可能な官能基としては、カチオン重合性の基及び開環重合性の基が挙げられる。例えば、脂肪族オレフィン、スチレン類、ビニルエーテル類、N−ビニル化合物、アセチレン誘導体、環状エーテル、環状サルファイド、環状イミン、環状ホルマール等の残基が挙げられる。なかでも、ビニルオキシ基及びエポキシ基を好適なものとして挙げることができる。
【0018】
本発明に用いられるビニルオキシ基としては、一般式(I)で示されるものが好ましい。
【0019】
【化1】
Figure 2004066482
【0020】
式中R、R及びRは、水素、アルキル基又はアリール基を表し、同一又は異なってもよい。また、それらの内の2つが結合して飽和又はオレフィン性不飽和の環を形成してもよい。
【0021】
更に詳しくは、一般式(I)において、R、R及びRのいずれかがアリール基の場合、そのアリール基は一般に6〜20個の炭素原子を有し、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルメルカプト基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、スルホニル基、シアノ基、ハロゲン原子等により置換されていてよい。R、R及びRのいずれかがアルキル基又はアルケニル基の場合には、一般に炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状又は脂環状の炭素鎖のものであり、かつハロゲン原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基等により置換されていてもよい。更にR、R及びRのいずれか2つが結合してビニル基の炭素原子と共に環を形成している場合には、それは通常に炭素数3〜8、好ましくは5〜6の飽和又は不飽和の環である。
【0022】
本発明においては、一般式(I)で示されるビニルオキシ基のうち、より好ましいのは、R、R及びRのうちいずれか一つがメチル基又はエチル基で、残りが水素原子であるビニルオキシ基、特に好ましいのはR、R及びRがすべて水素原子であるビニルオキシ基(ビニルエーテル基)である。
【0023】
本発明のビニルオキシ基を有する化合物は、一般式(I)で示されるビニルオキシ基を2個以上含有する。ビニルオキシ基が2個以上あると有効に架橋することができる。また、これらは大気圧下で60℃以上の沸点を有する化合物であり、より好ましい化合物としては、ビニルエーテル基を有する下記一般式(II)又は(III)で示す化合物が挙げられる。
【0024】
一般式(II)  A−〔−O−(R−O)n−CH=CH〕m
一般式(III)  A−〔−B−R−O−CH=CH〕m
【0025】
ここで、Aはm価のアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を示し、Bは−CO−O−、−NHCOO−又は−NHCONH−を示し、Rは炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキレン基を示し、nは0又は1〜10の整数、mは2〜6の整数を示す。
【0026】
一般式(II)で示される化合物は、例えば、Stephen. C. Lapin, Polymers Paint Colour Journal, 179(4237) 、321(1988) に記載されている方法、すなわち、多価アルコールもしくは多価フェノールとアセチレンとの反応、又は多価アルコールもしくは多価フェノールとハロゲン化アルキルビニルエーテルとの反応により合成することができる。
【0027】
具体例としてエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、エチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、エチレングリコールジプロピレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパンジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラエチレンビニルエーテル、1,2−ジ(ビニルエーテルメトキシ)ベンゼン、1,2−ジ(ビニルエーテルエトキシ)ベンゼン、並びに以下の構造式(M−1)〜(M−41)で示される化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
【化2】
Figure 2004066482
【0029】
【化3】
Figure 2004066482
【0030】
【化4】
Figure 2004066482
【0031】
【化5】
Figure 2004066482
【0032】
【化6】
Figure 2004066482
【0033】
【化7】
Figure 2004066482
【0034】
【化8】
Figure 2004066482
【0035】
【化9】
Figure 2004066482
【0036】
一方、一般式(III)(B=CO−O−の場合)で示される化合物は多価カルボン酸とハロゲン化アルキルビニルエーテルとの反応により製造することができる。具体的にはテレフタル酸ジエチレンビニルエーテル、フタル酸ジエチレンビニルエーテル、イソフタル酸ジエチレンビニルエーテル、フタル酸ジプロピレンビニルエーテル、テレフタル酸ジプロピレンビニルエーテル、イソフタル酸ジプロピレンビニルエーテル、マレイン酸ジエチレンビニルエーテル、フマル酸ジエチレンビニルエーテル、イタコン酸ジエチレンビニルエーテル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
更に本発明において好適に用いられるビニルオキシ基含有化合物としては、下記一般式(IV)、(V)又は(VI)等で示される活性水素を有するビニルオキシ化合物と、イソシアナート基を有する化合物との反応により合成されるビニルオキシ基含有化合物を挙げることができる。
【0038】
一般式(IV) CH=CH−O−R−OH
一般式(V) CH=CH−O−R−COOH
一般式(VI) CH=CH−O−R−NH
【0039】
ここでRは炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキレン基を示す。イソシアナート基を含有する化合物としては、例えば架橋剤ハンドブック(大成社刊、1981年発行)に記載の化合物を用いることができる。
【0040】
具体的には、トリフェニルメタントリイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナートの2量体、ナフタレン−1,5−ジイソシアナート、o−トリレンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等のポリイソシアナート型、トリレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンの付加体、ヘキサメチレンジイソシアナートと水との付加体、キシレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンとの付加体等のポリイソシアナートアダクト型等を挙げることができる。
【0041】
上記イソシアナート基含有化合物と、活性水素含有ビニルオキシ基含有化合物とを反応させることにより、末端にビニルオキシ基を持つ種々の化合物ができる。下記に本発明に使用されるビニルオキシ基を持つ化合物の例を列挙するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0042】
【化10】
Figure 2004066482
【0043】
【化11】
Figure 2004066482
【0044】
更に本発明に好適に用いられるビニルオキシ基を有する化合物として、側鎖にビニルオキシ基を有するポリマーを挙げることができる。具体例としては、下記のポリマーが挙げられる。
【0045】
【化12】
Figure 2004066482
【0046】
【化13】
Figure 2004066482
【0047】
本発明に用いられるエポキシ基を2個以上有する化合物としては、多価アルコールや多価フェノールなどとエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル化合物又はそのプレポリマー、更に、アクリル酸又はメタクリ酸グリシジルの重合体又は共重合体等を挙げることができる。
【0048】
好適な化合物の具体例としては、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、レソルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ハロゲン化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ビフェニル型ビスフェノールのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物等、更に、メタクリ酸メチル/メタクリ酸グリシジル共重合体、メタクリ酸エチル/メタクリ酸グリシジル共重合体等が挙げられる。
【0049】
上記化合物の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート1001(分子量約900、エポキシ当量450〜500)、エピコート1002(分子量約1600、エポキシ当量600〜700)、エピコート1004(約1060、エポキシ当量875〜975)、エピコート1007(分子量約2900、エポキシ当量2000)、エピコート1009(分子量約3750、エポキシ当量3000)、エピコート1010(分子量約5500、エポキシ当量4000)、エピコート1100L(エポキシ当量4000)、エピコートYX31575(エポキシ当量1200)、住友化学(株)製のスミエポキシESCN−195XHN、ESCN−195XL、ESCN−195XF等を挙げることができる。
【0050】
本発明に用いられるラジカル重合性基を少なくとも2個有する化合物は、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又は重合体や共重合体などの化学的形態をもつ。それらは単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。重合体や共重合体を用いる場合には、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和二重結合を重合時に導入してもよいし、重合後に高分子反応を利用して導入してもよい。
【0051】
例として、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)、そのエステル及びアミドが挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミドが挙げられる。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又は不飽和カルボン酸アミドと、単官能もしくは多官能イソシアナート又はエポキシドとの付加反応物、及び、単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
【0052】
また、イソシアナート基やエポキシ基などの親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミドと、単官能又は多官能のアルコール、アミン及びチオールとの付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミドと、単官能又は多官能アルコール、アミン及びチオールとの置換反応物も好適である。また別の好適な例として、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸又はクロロメチルスチレンに置き換えた化合物を挙げることができる。
【0053】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0054】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0055】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
【0056】
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
【0057】
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
【0058】
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0059】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
【0060】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミド系モノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
【0061】
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(VII)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0062】
一般式(VII)
CH=C(R01)COOCHCH(R02)OH
(ただし、R01及びR02は、H又はCHを示す。)
【0063】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類を用いてもよい。
【0064】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、場合により、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0065】
本発明では、上記酸架橋性化合物及びラジカル重合性化合物は、それを含有する微粒子又はそれを内包するマイクロカプセルとして画像形成層に添加される。
【0066】
酸架橋性化合物又はラジカル重合性化合物を含有する微粒子は、例えば、酸架橋性化合物又はラジカル重合性化合物を単独で又は2種以上混合して非水溶性の有機溶剤に溶解し、これを分散剤が入った水溶液と混合乳化し、さらに熱をかけて有機溶剤を飛ばしながら微粒子状に固化させる溶媒蒸発法で得られるがこれに限定されない。
【0067】
また本発明においては、光熱変換剤、感熱性酸発生剤、感熱性ラジカル発生剤の少なくとも一つの成分を酸架橋性化合物又はラジカル重合性化合物と微粒子内に共存させた微粒子も好適である。このような微粒子は、酸架橋性化合物又はラジカル重合性化合物を非水溶性の有機溶剤に溶解する際に、光熱変換剤、感熱性酸発生剤、感熱性ラジカル発生剤、有機溶剤可溶性ポリマー等を一緒に溶解して上記溶媒蒸発法を行うことにより得られる。
【0068】
酸架橋性化合物又はラジカル重合性化合物をマイクロカプセル化する方法としては公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許2800457号、同2800458号にみられるコアセルベーションを利用した方法、英国特許990443号、米国特許3287154号、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−711号にみられる界面重合法による方法、米国特許3418250号、同3660304号にみられるポリマーの析出による方法、米国特許3796669号に見られるイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許3914511号に見られるイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許4001140号、同4087376号、同4089802号にみられる尿素―ホルムアルデヒド系又は尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許4025445号にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許930422号米国特許3111407号にみられるスプレードライング法、英国特許952807号、同967074号にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレア及びポリウレタンが好ましい。
【0070】
本発明においては、微粒子及びマイクロカプセルを合成する場合、酸架橋性化合物とラジカル重合性化合物を別々の微粒子又は別々のマイクロカプセルに含有させてもよいし、これらの化合物を同じ微粒子又は同じマイクロカプセルに含有させてもよい。後者の場合は微粒子又はマイクロカプセルが1種類となってもよい。
【0071】
本発明では、酸架橋性化合物としてビニルオキシ基を有する化合物又はエポキシ基を有する化合物を用いる場合、それぞれの基と反応する官能基を有する化合物を微粒子又はマイクロカプセルに含有させることができる。ビニルオキシ基又はエポキシ基と反応する化合物の添加量は、好ましくは微粒子又はマイクロカプセル固形分の1〜95質量%、より好ましくは20〜90質量%、最も好ましくは30〜80質量%である。かかる化合物について以下に説明する。
【0072】
ビニルオキシ化合物を含有する微粒子に用いられるビニルオキシ基と反応する好適な官能基としては、カルボキシル基及びヒドロキシル基が挙げられる。これらの官能基を有する化合物は、これらの官能基を2個以上有することが好ましい。このような化合物の具体例として、低分子化合物では、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシメチルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル)プロパン、4,4´−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシ)ビフェニル、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが挙げられる。
【0073】
ビニルオキシ基と反応する高分子化合物としては、カルボキシル基を有するモノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、p−ビニル安息香酸、p−ビニル桂皮酸、マレイン酸モノメチルエーテル等、又はヒドロキシル基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、p−ヒドロキシスチレン、ハロゲン化ヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、(4−ヒドロキシフェニル)アクリレート、(4−ヒドロキシフェニル)メタクリレート等の重合体又は共重合体が挙げられる。また、ビニルオキシ基と反応する高分子化合物としては、上記モノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体も用いることができる。かかる共重合可能なモノマーとしては、例えばアクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ビニルベンゾエート、塩化ビニル、ビニリデンクロライド、スチレン、酢酸ビニル、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
別のビニルオキシ基と反応する高分子化合物としては、カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物とジカルボン酸化合物との共縮合等により得られるカルボキシル基及びヒドロキシル基を有する線状高分子を挙げることができる。例えば3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸等のカルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物と、2,4−トリレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナートの2量体、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)等のジイソシアナート化合物を等当量で反応させることにより、カルボキシル基を含有する線状ポリウレタン樹脂が挙げられる。また更にカルボキシル基を有せず、イソシアナートと反応しない他の置換基を有してもよいジオール化合物、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体等を併用したものでもよい。
【0075】
また別のビニルオキシ基と反応する高分子化合物として、上記カルボキシル基を有するジオール、必要に応じて、上記他のジオールと、2官能のカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸等とを共縮合することにより得られるカルボキシル基を有するポリエステルを挙げることができる。更に別のビニルオキシ基と反応する高分子化合物として、例えばフェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、o−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾールホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂、レゾール型のフェノール樹脂類、フェノール変性キシレン樹脂等のフェノール樹脂類を挙げることもできる。
【0076】
ビニルオキシ化合物を内包するマイクロカプセルに用いられるビニルオキシ基と反応する好適な官能基は、ヒドロキシル基であり、前記ビニルオキシ基を有する化合物を含有する微粒子の場合に例示したヒドロキシル基を有する化合物を好適に使用できる。
【0077】
エポキシ化合物を含有する微粒子に用いられるエポキシ基と反応する好適な官能基としては、カルボキシル基及び芳香族性ヒドロキシル基を挙げることができる。これらの官能基を有する化合物は、これらの官能基を2個以上有することが好ましい。このような化合物の具体例として、低分子化合物では、ビスフェノールA、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、1,1,1−トリス(ヒドロキシフェニル)エタンなどが挙げられる。
【0078】
エポキシ基と反応する高分子化合物としては、カルボキシル基を有するモノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、p−ビニル安息香酸、p−ビニル桂皮酸、マレイン酸モノメチルエーテル等、又はヒドロキシル基を有するモノマー、例えばp−ヒドロキシスチレン、ハロゲン化ヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、(4−ヒドロキシフェニル)アクリレート、(4−ヒドロキシフェニル)メタクリレート等の重合体又は共重合体が挙げられる。また、エポキシ基と反応する高分子化合物としては、上記モノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体も用いることができる。かかる共重合可能なモノマーとしては、例えばアクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ビニルベンゾエート、塩化ビニル、ビニリデンクロライド、スチレン、酢酸ビニル、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
別のエポキシ基と反応する高分子化合物としては、カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物とジカルボン酸化合物との共縮合等により得られるカルボキシル基及びヒドロキシル基を有する線状高分子を挙げることができる。例えば3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸等のカルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物と、2,4−トリレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナートの2量体、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)等のジイソシアナート化合物を等当量で反応させることにより、カルボキシル基を含有する線状ポリウレタン樹脂が挙げられる。また、カルボキシル基を有せずイソシアナートと反応しない他の置換基を有してもよいジオール化合物、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体等を併用したものでもよい。
【0080】
また別のエポキシ基と反応する高分子化合物としては、上記カルボキシル基を有するジオール、必要に応じて、上記他のジオールと、2官能のカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸等とを共縮合することにより得られるカルボキシル基を有するポリエステルを挙げることができる。更に、別のエポキシ基と反応する高分子化合物として、例えばフェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、o−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾールホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂、レゾール型のフェノール樹脂類、フェノール変性キシレン樹脂等のフェノール樹脂類を挙げることもできる。
【0081】
エポキシ化合物を内包するマイクロカプセルに用いられるエポキシ基と反応する好適な官能基は、芳香族性ヒドロキシル基であり、前記エポキシ基を有する化合物を含有する微粒子の場合に例示した芳香族性ヒドロキシル基を有する化合物を好適に使用できる。
【0082】
本発明のマイクロカプセルは、その合成時に、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤を分散媒中に添加することができる。この溶剤によって、内包された化合物のマイクロカプセル外への拡散が促進される。このような溶剤としては、マイクロカプセル分散媒、マイクロカプセル壁の材質、壁厚及び内包物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に選択することができる。例えば架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類等が好ましい。
【0083】
具体的化合物としては、メタノール、エタノール、第3ブタノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどがあるが、これらに限られない。またこれらの溶剤を2種以上用いてもよい。マイクロカプセル分散液には溶解しないが、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることができる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるものであるが、適性値より少ない場合は、画像形成が不十分となり、多い場合は分散液の安定性が劣化する。通常、塗布液の5〜95質量%が有効であり好ましい範囲は、10〜90質量%、より好ましい範囲は15〜85質量%である。
【0084】
上記の微粒子及びマイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.08〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度及び経時安定性が得られる。これらの微粒子又はマイクロカプセルの添加量は、画像形成層固形分の50質量%以上が好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。この範囲内で、良好な機上現像性と同時に、良好な感度及び耐刷性が得られる。
【0085】
本発明の画像形成層には、感度を高めるため、光を熱に変換する機能の光熱変換剤が含有される。光熱変換剤としては、赤外線、中でも近赤外線(波長700〜2000nm)を吸収する物質であればよく、種々の公知の顔料、染料又は色素、及び金属微粒子を用いることができる。特に、波長700〜1300nmを吸収する物質が好適である。
【0086】
例えば、特開2001−301350号、特開2002−137562号、日本印刷学会誌、38卷35〜40頁(2001)「新イメージング材料、2.近赤外線吸収色素」等に記載の顔料、染料又は色素、及び金属微粒子が好適に用いられる。顔料及び金属微粒子は、必要に応じて、公知の表面処理を施したものを用いることができる。
【0087】
染料又は色素として、より具体的には、米国特許4756993号、同4973572号、特開平10−268512号、同11−235883号、特公平5−13514号、同5−19702号、特開2001−347765号等に記載のシアニン色素、ポリメチン色素、アゾメチン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム及びチオピリリウム塩系染料、ジチオール金属錯体、フタロシアニン色素等が挙げられる。特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、フタロシアニン色素が挙げられる。
【0088】
顔料としては、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。中でもカーボンブラックが好適である。
【0089】
金属微粒子としてはAg、Au、Cu、Sb、Ge及びPbの微粒子が好ましく、Ag、Au及びCuの微粒子がより好ましい。
【0090】
光熱変換剤を画像形成層に添加する場合、画像形成層のバインダーである親水性樹脂中に添加してもよいし、微粒子中に含有させたり、マイクロカプセルに内包した形で添加してもよい。以下に、特に好適な光熱変換剤の具体例を示すが、これらに限定されない。(IR−1)〜(IR−11)は、親水性樹脂中に添加するのに好適な水溶性の赤外線吸収色素であり、(IR−21)〜(IR−29)は、微粒子及びマイクロカプセル中に含有させるのに好適な親油性の赤外線吸収色素である。
【0091】
【化14】
Figure 2004066482
【0092】
【化15】
Figure 2004066482
【0093】
【化16】
Figure 2004066482
【0094】
【化17】
Figure 2004066482
【0095】
光熱変換剤の添加割合は、画像形成層固形分の1〜50質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。これらの範囲で、画像形成層の膜強度を損なうことなく、良好な感度が得られる。
【0096】
本発明の画像形成層は感熱性酸発生剤を含有する。感熱性酸発生剤は、加熱によって酸を発生して酸架橋性基を有する化合物の反応を開始又は促進する化合物で、酸前駆体、又は酸発生剤ともいわれる(以下では単に酸発生剤という)。酸発生剤は、画像形成層の親水性樹脂中に含有させることもできるが、酸架橋性基を有する化合物を含有する微粒子中又は酸架橋性基を有する化合物を内包するマイクロカプセル中に含有させた方が高感度、高耐刷が得やすい。
【0097】
本発明で使用できる酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、又はマイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の熱分解して酸を発生する化合物、及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0098】
例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同Re27,992号、特開平4−365049号の明細書に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad,Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.& Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,PolymerBull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivel.lo et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同3,902,114号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号に記載のスルホニウム塩、
【0099】
J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivel lo et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier et al,J.Rad.Curing,13(4),26(1986),T.P.Gill et al,Inorg.Chem.,19,3007(1980)、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1896)、特開平2−161445号に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S.Hayase etal,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、E.Reichmanis et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.Zhu et al,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、B.Amit et al,Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973),
【0100】
D.H.R.Barton et al,J.Chem.Soc.3571(1965)、P.M.Collins et al,J.Chem.Soc.,Perkin I,1695(1975)、M.Rudinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、J.W.Walker et al,J.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、S.C.Busman et al,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、H.M.Houlihan et al,Macromolecules,21,2001(1988)、P.M.Collins et al,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayase et al,Macromolecules,18,1799(1985)、E.Reichmanis et al,J.Electrochem.Soc.,SolidState Sci.Technol.,130(6)、F.M.Houlihan et al,Macromolecules,21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号に記載のo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA et al,Polymer Preprints Japan,38(8)、G.Berner et al,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijset al,Coating Technol.,55(697),45(1983)、Akzo,H.Adachi etal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122号、米国特許第4,618,564号、同4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特願平3−140109号に記載のイミノスルフォネート等に代表される、光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号に記載のジスルホン化合物を挙げることができる。
【0101】
またこれらの酸を発生する基、又は化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、M.E.Woodhouse et al,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappaset al,J.Imaging Sci.,30(5),218(1986)、S.Kondo et al. Makromol.Chem.,RapidCommun.,9,625(1988)、Y.Yamada et al,Makromol.Chem.,152,153,163(1972)、J.V.Crivello et al.J.Poylmer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、独国特許第3,914,407、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−1460387、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号に記載の化合物を用いることができる。
【0102】
更に、V.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad et al,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton et al,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0103】
なかでも、トリハロメチル置換へテロ環化合物、ジスルホン化合物、イミノスルフォネート化合物、及びオニウム塩をより好適なものとして挙げることができる。これらの化合物の具体例として、下記(A−1)〜(A−11)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
【化18】
Figure 2004066482
【0105】
本発明に用いられるオニウム塩は、下記一般式(VIII)〜(X)で表されるオニウム塩であることが好ましい。
【0106】
【化19】
Figure 2004066482
【0107】
式(VIII)中、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11−はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、硫酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、カルボン酸イオン及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン及びアリールスルホン酸イオンである。式(IX)中、Ar21は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21−は、Z11−と同義の対イオンを表す。式(X)中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z31−は、Z11−と同義の対イオンを表す。
【0108】
以下に、本発明に用いられる一般式(VIII)〜(X)で示されるオニウム塩の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0109】
【化20】
Figure 2004066482
【0110】
【化21】
Figure 2004066482
【0111】
【化22】
Figure 2004066482
【0112】
【化23】
Figure 2004066482
【0113】
【化24】
Figure 2004066482
【0114】
上記酸発生剤は2種以上を組み合わせて用いることもできるが、合計の添加量は、画像形成層全固形分の0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。この範囲内で、機上現像性を損なわず、良好な反応開始又は促進効果が得られる。
【0115】
本発明の画像形成層は感熱性ラジカル発生剤(以下では、単にラジカル発生剤ともいう)を含有する。ラジカル発生剤は、熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進させる化合物を指す。本発明に係るラジカル発生剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを選択して使用することができ、例えば、オニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド化合物、メタロセン化合物等が挙げられるが、以下に述べるオニウム塩が高感度であり、好ましい。本発明において好適に用いられるオニウム塩としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられ、なかでも、酸発生剤の説明で示した一般式(VIII)〜(X)で表されるオニウム塩を特に好ましいものとして挙げることができる。好適なオニウム塩の具体例としては、前記と同じ(AI−1)〜(AI−23)、(AN−1)〜(AN−8)、及び(AS−1)〜(AS−18)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
ラジカル発生剤は2種以上を組み合わせて用いることもできるが、合計の添加量は、画像形成層全固形分の0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。この範囲内で、機上現像性を損なわず、良好に重合開始できる。
【0117】
本発明の画像形成層は、酸発生剤とラジカル発生剤の両方を含有するが、オニウム塩のように熱によって酸とラジカルの両方を発生する化合物の場合は、1種類の添加でもよい。
【0118】
本発明の画像形成層は、機上現像性や画像形成層自体の皮膜強度も向上のため親水性樹脂を含有する。親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、アミド基などの親水基を有するものが好ましい。また、親水性樹脂は、ビニルオキシ基と反応し架橋することによって画像強度が高まり、高耐刷化されるので、ビニルオキシ基と反応する官能基、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基を有するものが好ましい。中でも、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有する親水性樹脂が好ましい。
【0119】
親水性樹脂の具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、ソヤガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸のホモポリマー及びコポリマー、2−メタクロイルオキシエチルホスホン酸のホモポリマー及びコポリマー等を挙げることができる。
【0120】
また、上記親水性樹脂は印刷機上で未露光部が現像できる程度に架橋して用いてもよい。架橋剤としては、グリオキザール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などのアルデヒド類、N−メチロール尿素やN−メチロールメラミン、メチロール化ポリアミド樹脂などのメチロール化合物、ジビニルスルホンやビス(β−ヒドロキシエチルスルホン酸)などの活性ビニル化合物、エピクロルヒドリンやポリエチレングリコ−ルジグリシジルエーテル、ポリアミド、ポリアミン、エピクロロヒドリン付加物、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂などのエポキシ化合物、モノクロル酢酸エステルやチオグリコール酸エステルなどのエステル化合物、ポリアクリル酸やメチルビニルエーテル/マレイン酸共重合物などのポリカルボン酸類、ホウ酸、チタニルスルフェート、Cu、Al、Sn、V、Cr塩などの無機系架橋剤、変性ポリアミドポリイミド樹脂などが挙げられる。その他、塩化アンモニウム、シランカプリング剤、チタネートカップリング剤等の架橋触媒を併用できる。
【0121】
本発明の画像形成層には、画像露光後、画像部と非画像部とを識別可能にするため、酸発生剤から生じた酸で変色する染料を含有させることができる。
【0122】
酸によって変色する化合物としては、例えばジフェニルメタン、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
【0123】
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボステアリルアミノ−4−p−ジヒドロオキシエチルアミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p’,p”−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。酸で変色する染料の添加量は、画像形成層全固形分の0.01〜10質量%が好ましい。
【0124】
さらに、本発明の画像形成層には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることができる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0125】
本発明の画像形成層には無機微粒子を添加してもよく、無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物などが好適な例として挙げられ、これらは光熱変換性でなくても皮膜の強化や表面粗面化による界面接着性の強化などに用いることができる。
【0126】
無機微粒子の平均粒径は5nm〜10μmのものが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmである。粒径がこの範囲内で、微粒子や光熱変換剤の金属微粒子とも親水性樹脂内に安定に分散し、画像形成層の膜強度を充分に保持し、印刷汚れを生じにくい親水性に優れた非画像部を形成できる。
【0127】
このような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物などの市販品として容易に入手できる。無機微粒子の画像形成層への含有量は、画像形成層の全固形分の1.0〜70質量%が好ましく、より好ましくは5.0〜50質量%である。
【0128】
本発明の画像形成層には、画像形成層の分散安定性、製版及び印刷性能向上や塗布性の向上のため、ノニオン系及びアニオン系界面活性剤のほか、特開平2−195356号に記載されているようなカチオン界面活性剤、含フッ素界面活性剤、及び特開昭59−121044号及び特開平4−13149号に記載されている両性界面活性剤を添加することができる。これらの界面活性剤の好適な添加量は、画像形成層全固形物の0.005〜1質量%である。
【0129】
ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、さらにポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの端末の水酸基に炭素数5〜24の脂肪族基がエーテル結合した複合ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、同じくアルキル置換アリール基がエーテル結合した複合ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレートなどのソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類などが挙げられる。
【0130】
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
【0131】
アニオン系活性剤の具体例としては、アルキルスルホン酸類、アリールスルホン酸類、脂肪族カルボン酸類、アルキルナフタレンスルホン酸類、アルキルナフタレンスルホン酸又はナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドの縮合型のもの、炭素数9〜26の脂肪族スルホン酸類、アルキルベンゼンスルホン酸類、ラウリルポリオキシエチレン硫酸、セチルポリオキシエチレンスルホン酸、オレイルポリオキシエチレンホスホン酸などのポリオキシエチレン含有硫酸やポリオキシエチレン含有燐酸などが挙げられる。
【0132】
カチオン活性剤の具体例としては、ラウリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
【0133】
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を有する界面活性剤が好ましく、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル及びリン酸エステルのいづれかを有するアニオン型の界面活性剤、又は、脂肪族アミン、第4級アンモニウム塩のようなカチオン型の界面活性剤、又はベタイン型の両性界面活性剤、又は、ポリオキシ化合物の脂肪族エステル、ポリアルキレンオキシド縮合型、ポリエチレンイミン縮合型のようなノニオン型界面活性剤などが挙げられる。
【0134】
本発明の画像形成層は、必要な上記各成分を溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0135】
塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像形成層の乾燥塗布量は、用途によって異なるが、一般的に0.2〜5.0g/mが好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
【0136】
[オーバーコート層]
本発明の平版印刷版用原版は、保存時の親油性物質による汚染や取り扱い時の手指の接触による指紋跡汚染等から親水性の画像形成層表面を保護するため、画像形成層上に、特開2001−162961号、特開2002−19318号に記載の水溶性樹脂を含有するオーバーコート層を設けることができる。
【0137】
オーバーコート層に用いられる水溶性樹脂の具体例としては、天然高分子では、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分子では、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、等を挙げることができる。目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。しかし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0138】
上記のオーバーコート層には、感度を向上させるため光熱変換剤を含有させることができる。好ましい光熱変換剤としては、前記の画像形成層の説明中に構造式で示した赤外線吸収色素が好適に用いられるが、中でも、水溶性の赤外線吸収色素が好ましい。
【0139】
その他、オーバーコート層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオン系界面活性剤を添加することができる。この様な非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等を挙げることが出来る。上記非イオン界面活性剤のオーバーコート層の全固形物中に占める割合は、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは1〜3質量%である。
【0140】
さらに、上記オーバーコート層には、積み重ね保存時のプレート間のくっつきを防止するため、特開2001−341448号記載のフッ素原子及びケイ素原子のうちいずれかを有する化合物を含有することができる。
【0141】
本発明のオーバーコート層の厚みは、0.1〜4.0μmが好ましく、更に好ましい範囲は0.1〜1.0μmである。この範囲内で、印刷機上でのオーバーコート層の除去性を損なうことなく、親油性物質による画像形成層の汚染を防止できる。
【0142】
[支持体]
本発明の平版印刷版用原版において前記画像形成層を塗布可能な支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられる。
【0143】
該アルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、さらにはアルミニウム又はアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。また、DC鋳造法を用いたアルミニウム鋳塊からのアルミニウム板でも、連続鋳造法による鋳塊からのアルミニウム板であってもよい。しかし、本発明に適用されるアルミニウム板は、従来から公知公用の素材のアルミニウム板をも適宜に利用することができる。
【0144】
本発明で用いられる上記の基板の厚みは0.05mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
【0145】
アルミニウム板を使用するに先立ち、表面の粗面化、陽極酸化などの表面処理をすることが好ましい。表面処理により、親水性の向上及び画像形成層との接着性の確保が容易になる。
【0146】
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸などの酸を含む電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することができる。
【0147】
上記の如き方法による粗面化は、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。粗面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望により耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.0g/m、特に1.5〜4.0g/mであることが好ましい。
【0148】
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでもよいが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特願2000−65219号や特願2000−143387号に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、及び親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。上記親水化処理のための好適な親水性化合物としては、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基をもつ化合物、糖類化合物、クエン酸、アルカリ金属珪酸塩、フッ化ジルコニウムカリウム、リン酸塩/無機フッ素化合物などを挙げることができる。
【0149】
本発明の支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。親水層としては、特願2000−10810号に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモン及び遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
【0150】
本発明においては、画像形成層を塗布する前に、必要に応じて、特願2000−143387号に記載の、例えばホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無機下塗層、又は例えばカルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリアクリル酸などの含有する有機下塗層が設けられてもかまわない。また、この下塗層には、前記赤外線吸収色素を含有させてもよい。
【0151】
[製版及び印刷]
本発明の平版印刷用原板は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1300nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
【0152】
画像露光された本発明の平版印刷版用原版は、それ以上の処理なしに印刷機に装着し、インキと湿し水を用いて通常の手順で印刷することができる。
【0153】
本発明の平版印刷版用原版は、日本特許2938398号に記載されているように、印刷機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水及び/又はインクをつけて機上現像することも可能である。また、これらの平版印刷版用原版は、水又は適当な水溶液を現像液とする現像をした後、印刷に用いることもできる。
【0154】
また、本発明の平版印刷版用原版は、湿し水を用いない簡易な平版印刷の方式として、例えば、特公昭49−26844号公報、特公昭49−27124号公報、特公昭49−27125号公報、特開昭53−36307号公報、特開昭53−36308号公報、特公昭61−52867号公報、特開昭58−2114844号公報、特開昭53−27803号公報、特開昭53−29807号公報、特開昭54−146110号公報、特開昭57−212274号公報、特開昭58−37069号公報、特開昭54−106305号公報などに記載のエマルジョンインクを用いた平版印刷も可能である。
【0155】
上記製版・印刷方法の中でも、特に好適なものとして、700〜1300nmの波長を有する赤外線レーザー光で画像露光した後、印刷機上で湿し水及び/又はインキにより非画像部を除去して印刷する製版・印刷方法が挙げられる。
【0156】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0157】
<支持体の製造例>
99.5質量%以上のアルミニウムと、Fe 0.30質量%、Si 0.10質量%、Ti0.02質量%、Cu 0.013質量%を含むJIS A1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。 次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
【0158】
次に平版印刷版支持体とするための表面処理を行った。まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
【0159】
次いで支持体と画像形成層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1質量%の硝酸と0.5質量%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dmを与えることで電解砂目立てを行った。その後10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
【0160】
さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化により支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20質量%水溶液を35℃で用い、アルミニウムウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dmの直流で電解処理を行うことで2.5g/mの陽極酸化皮膜を作成した。この後印刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5質量%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/mであった。以上のように作製した支持体(1)の中心線表面粗さRaは0.25μmであった。
【0161】
<ラジカル重合性基を有するポリマー(RP−1)の合成例>
ヒドロキシエチルメタアクリレート260.3gとテロラヒドロフラン1000ml溶液に3−クロロプロピオン酸クロライド253.9gを滴下し、反応させた。この液に水を加え、炭酸カリウムで中和後、酢酸エチルで抽出し、抽出液から蒸留精製を行ってモノマーを得た(収率92%)。
【0162】
上記合成モノマー68g、メタクリル酸7.9g、プロピレングリコールモノメチルエーテル140ml、重合開始剤V−65(和光純薬工業(株)製)0.5gの混合溶液を、窒素雰囲気下、攪拌しながら70℃に昇温し、4時間反応させた。冷却後、この液にプロピレングリコールモノメチルエーテル500mlを追加し、トリエチルアミン:81gを加え挽挿しながら1時間反応させた。さらにこの液に濃塩酸100mlと水100mlを滴下しながら加えた。沈殿物を濾過、精製することでアクリロイル基含有ポリマー(RP−1)を得た。
【0163】
<ラジカル重合性基を有するポリマー(RP−2)の合成例>
ポリパラヒドロキシスチレン(重量平均分子量 8000)12.2g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート15.5g、テトラヒドロキシフラン500mlの混合溶液にトリエチルアミンを10g添加し、攪拌しながら70℃昇温し3時間反応させた。冷却後、この液を水で再沈、精製することでメタクリロイル基を有するポリマー(RP−2)が得られた。NMRで求めたメタクリロイル導入率は80当量%であった。
【0164】
<微粒子及びマイクロカプセルの合成例>
微粒子(1)の合成例
油相成分として本明細書記載のポリマー(P−2)(重量平均分子量3000)6.0g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)1.5g、酸発生剤(本明細書記載のAI−18)0.5g、及びアニオン界面活性剤パイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル18.0gに溶解した後、水相成分のポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA205)4質量%水溶液36.0gに混合し、ホモジナイザーにて10000rpmで10分間乳化分散させた。その後、水を24g追加し、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させた。得られた微粒子分散液の固形分濃度は13.0質量%であった。また平均粒径は0.33μmであった。
【0165】
微粒子(2)の合成例
油相成分として2官能ビニルオキシ化合物(本明細書記載のM−1)3.0g、ベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸モル比60/20/20共重合体(重量平均分子量3万)3.0g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)1.5g、酸発生剤(本明細書記載のAI−18)0.5g、及びパイオニンA−41C 0.1gを酢酸エチル18.0gに溶解した後、水相成分のPVA205の4質量%水溶液36.0gに混合し、ホモジナイザーにて10000rpmで10分間乳化分散させた。その後、水を24g追加し、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させた。得られた微粒子分散液の固形分濃度は13.5質量%であった。また平均粒径は0.19μmであった。
【0166】
微粒子(3)の合成例
酸発生剤の添加をしなかった以外は微粒子(2)の合成例と全く同様にして微粒子分散液を合成した。固形分濃度は13.5質量%、平均粒径は0.25μmであった。
【0167】
微粒子(4)の合成例
赤外線吸収色素の添加をしなかった以外は微粒子(2)の合成例と全く同様にして微粒子分散液を合成した。固形分濃度は13.5質量%、平均粒径は0.30μmであった。
【0168】
微粒子(5)の合成例
油相成分としてエピコート1004(ジャパンエポキシレジン(株)製エポキシ樹脂)6.0g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)1.5g、酸発生剤(本明細書記載のAI−16)0.5g、及びアニオン界面活性剤パイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル18.0gに溶解した後、水相成分のポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA205)4質量%水溶液36.0gに混合し、ホモジナイザーを用い10000rpmで10分間乳化分散させた。その後、水を24g追加し、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させた。得られた微粒子分散液の固形分濃度は12.5質量%であった。また平均粒径は0.22μmであった。
【0169】
微粒子(6)の合成例
油相成分としてビスフェノールAジグリシジルエーテル3.0g、ベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸モル比60/20/20共重合体(重量平均分子量3万)3.0g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)1.5g、酸発生剤(本明細書記載のAI−16)0.5g、及びパイオニンA−41C、0.1gを酢酸エチル18.0gに溶解した後、水相成分のPVA205の4質量%水溶液36.0gに混合し、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化分散させた。その後、水を24g追加し、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させた。得られた微粒子分散液の固形分濃度は13.0質量%であった。また平均粒径は0.18μmであった。
【0170】
微粒子(7)の合成例
酸発生剤の添加をしなかった以外は微粒子(6)の合成例と全く同様にして微粒子分散液を合成した。固形分濃度は13.5質量%、平均粒径は0.25μmであった。
【0171】
微粒子(8)の合成例
赤外線吸収色素の添加をしなかった以外は微粒子(6)の合成例と全く同様にして微粒子分散液を合成した。固形分濃度は13.5質量%、平均粒径は0.30μmであった。
【0172】
微粒子(9)の合成例
微粒子(5)の合成例の酸発生剤AI−16を酸発生剤A−12に代えた以外は微粒子(5)の合成例と全く同様にして微粒子分散液を合成した。固形分濃度は13.5質量%、平均粒径は0.32μmであった。
【0173】
微粒子(10)の合成例
油相成分として、上記合成法で得たラジカル重合性基を有するポリマー(RP−1)6g、赤外線吸収剤(本明細書記載のIR−26)1.5g、ラジカル発生剤(本明細書記載のAI−18)0.6g及びアニオン界面活性剤パイオニンA−41C(竹本油脂製)0.1gをメチルエチルケトン7.4g及び酢酸エチル13.7gに溶解した後、水相成分のポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA205)1.8質量%水溶液53gに混合し、ホモジナイザーを用いて15000rpmで10分間乳化分散させた。その後40℃で3時間攪拌しながら、メチルエチルケトン及び酢酸エチルを蒸発させた。得られた微粒子分散液の固形分濃度は15.4質量%であった。また平均粒径は0.30μmであった。
【0174】
微粒子(11)の合成例
ラジカル重合性基を有するポリマー(RP−1)をポリマー(RP−2)(重量平均分子量:8000)に変更した以外は微粒子(10)の合成例と全く同様にして微粒子分散液を合成した。得られた微粒子分散液の固形分濃度は15.3質量%であった。また平均粒径は0.2μmであった。
【0175】
微粒子(12)の合成例
油相成分としてアリルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比 70/30、重量平均分子量:15000)5.5g、赤外線吸収染料(本明細書記載のIR−26)1.5g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレート(日本化薬製 KAYARAD DPHA)0.5g、ラジカル発生剤(本明細書記載のAI−18)0.6g及びパイオニンA−41C(竹本油脂製)0.1g、メチルエチルケトン7.4g、酢酸エチル13.7gに溶解した後、水相成分のポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA205)1.8質量%水溶液53gに混合し、ホモジナイザーを用いて15000rpmで10分間乳化分散させた。その後40℃で3時間攪拌しながら、メチルエチルケトン及び酢酸エチルを蒸発させた。得られた微粒子分散液の固形分濃度は15.3質量%であった。また平均粒径は0.35μmであった。
【0176】
微粒子(13)の合成例
ラジカル発生剤を添加しなかった以外は微粒子(10)の合成例と全く同様にして微粒子分散液を合成した。得られた微粒子分散液の固形分濃度は14.3質量%であった。また平均粒径は0.25μmであった。
【0177】
微粒子(14)の合成例
赤外吸収剤を添加しなかった以外は微粒子(10)の合成例と全く同様にして微粒子分散液を合成した。得られた微粒子分散液の固形分濃度は13.0質量%であった。また平均粒径は0.20μmであった。
【0178】
微粒子(15)の合成例
赤外線吸収剤IR−26を本明細書記載のIR−28に代えた以外は微粒子(10)の合成例と全く同様にして微粒子分散液を合成した。得られた微粒子分散液の固形分濃度は15.3質量%であった。また平均粒径は0.32μmであった。
【0179】
微粒子(16)の合成例
油相成分としてエピコート1004(ジャパンエポキシレジン(株)製エポキシ樹脂)6.0gに替えて、エピコート1004 3.0g及びペンタエリスリトールテトラアクリレート3.0gを用いた以外は微粒子(5)の合成例と全く同様にして微粒子の分散液を合成した。固形分濃度は13.1質量%であった。また、平均粒径は0.23μmであった。
【0180】
微粒子(17)の合成例
油相成分としてエピコート1004(ジャパンエポキシレジン(株)製エポキシ樹脂)に替えて、アリルメタクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体(共重合比60/40,重量平均分子量30,000)を用いた以外は微粒子(5)の合成例と全く同様にして微粒子の分散液を合成した。固形分濃度は13.3質量%であった。また、平均粒径は0.34μmであった。
【0181】
微粒子(18)の合成例
油相成分としてエピコート1004(ジャパンエポキシレジン(株)製エポキシ樹脂)6.0gに替えて、ビニルオキシ基含有ポリマー(本明細書記載のP−1)を2.0g、プロピレングリコールジグリジジルエーテル3.0g及びラジカル重合性ポリマー(RP−2)1.0gを用いた以外は微粒子(5)の合成例と全く同様にして微粒子の分散液を合成した。固形分濃度は13.1質量%であった。また、平均粒径は0.31μmであった。
【0182】
比較用微粒子(R)の合成例
微粒子(10)の合成例のラジカル重合性基を有するポリマー(RP−1)をポリメチルメタクリレート(重量平均分子量15000)に変更した以外は微粒子(10)の合成例と全く同様にして微粒子(R)を合成した。得られた微粒子分散液の固形分濃度は13.4質量%であった。また平均粒径は0.50μmであった。
【0183】
マイクロカプセル(1)の合成例
油相成分としてトリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアナートとの付加体(三井武田ケミカル(株)製タケネートD−110N、マクロカプセル壁材)40g、2官能ビニルオキシ化合物(本明細書記載のM−15)10g、ビニルオキシ基を有するポリマー(本明細書記載のP−6)10g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)1.5g、酸発生剤(本明細書記載のA−8)0.5g、パイオニンA41C 0.1gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分としてPVA205の4質量%水溶液120gを調製した。油相成分及び水相成分をホモジナイザーにて10000rpmで10分間乳化した。その後水を40g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は25質量%であり、平均粒径は0.5μmであった。
【0184】
マイクロカプセル(2)の合成例
油相成分としてタケネートD−110N 40g、2官能ビニルオキシ化合物(本明細書記載のM−15)10g、ビニルオキシ基を有するポリマー(本明細書記載のP−6、重量平均分子量20000)10g、ポリ−p−ヒドロキシスチレン(重量平均分子量2300)10g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)1.5g、酸発生剤(本明細書記載のA−8)0.5g、及びパイオニンA41C 0.1gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分としてPVA205の4質量%水溶液120gを調製した。油相成分及び水相成分をホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。その後水を40g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は30質量%であり、平均粒径は0.5μmであった。
【0185】
マイクロカプセル(3)の合成例
油相成分としてトリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアナートとの付加体(三井武田ケミカル(株)製タケネートD−110N、マクロカプセル壁材)40g、2官能エポキシ化合物(本明細書記載のM−15)10g、スミエポキシESCN−195XHH(住友化学(株)製ノボラック型エポキシ樹脂)10g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)1.5g、酸発生剤(本明細書記載のAI−16)0.5g、パイオニンA41C 0.1gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分としてPVA205の4質量%水溶液120gを調製した。油相成分及び水相成分をホモジナイザーにて10000rpmで10分間乳化した。その後水を40g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は23.0質量%であり、平均粒径は0.35μmであった。
【0186】
マイクロカプセル(4)の合成例
油相成分としてタケネートD−110N 40g、レソルシンジグリシジルエーテル10g、メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体(共重合モル比50/50、重量平均分子量20000)10g、ポリ−p−ヒドロキシスチレン(重量平均分子量2300)10g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)1.5g、酸発生剤(本明細書記載のAI−16)0.5g、及びパイオニンA41C 0.1gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分としてPVA205の4質量%水溶液120gを調製した。油相成分及び水相成分をホモジナイザーにて10000rpmで10分間乳化した。その後水を40g添加し、室温で30分更に40℃で3時間攪拌した。こうして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は25.0質量%であり、平均粒径は0.30μmであった。
【0187】
マイクロカプセル(5)の合成例
マイクロカプセル(4)の合成例の酸発生剤AI−16を酸発生剤AI−12に代えた以外はマイクロカプセル(4)の合成例と全く同様にして微粒子分散液を合成した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は28.5質量%であり、平均粒径は0.40μmであった。
【0188】
マイクロカプセル(6)の合成例
油相成分としてトリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアナートとの付加体の50質量%酢酸エチル溶液(三井武田ケミカル(株)製タケネートD−110N、マクロカプセル壁材)40g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製 KAYARAD DPHA)25g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−26)3g、ラジカル発生剤(本明細書記載のAI−18)2.5g、パイオニンA41C、0.1gをメチルエチルケトン30g、酢酸エチル60gに溶解した。水相成分としてPVA205の4質量%水溶液120gを調製した。油相成分及び水相成分をホモジナイザーにて10000rpmで10分間乳化した。その後水を200g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は15.5質量%であり、平均粒径は0.35μmであった。
【0189】
マイクロカプセル(7)の合成例
油相成分としてトリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアナートとの付加体の50質量%酢酸エチル溶液(三井武田ケミカル(株)製タケネートD−110N、マクロカプセル壁材)40g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製 KAYARAD DPHA)10g、アリルメタクリレート/メタクリレートコポリマー(共重合比:70/30、重量平均分子量:15000)15g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−26)3g、ラジカル発生剤(本明細書記載のAI−18)2.5g、パイオニンA41C 0.1gをメチルエチルケトン30g、酢酸エチル60gに溶解した。水相成分としてPVA205の4質量%水溶液120gを調製した。油相成分及び水相成分をホモジナイザーにて10000rpmで10分間乳化した。その後水を200g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は15.3質量%であり、平均粒径は0.31μmであった。
【0190】
マイクロカプセル(8)の合成例
赤外線吸収染料としてIR−26にかえて本明細書記載のIR−28にした以外はマイクロカプセル(6)の合成例と全く同様にしてマイクロカプセルを合成した。得られた微粒子分散液の固形分濃度は15.5質量%であった。また平均粒径は0.36μmであった。
【0191】
マイクロカプセル(9)の合成例
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート25gに替えて、アリルメタクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体(共重合比60/40、重量平均分子量30,000)25gを用いた以外はマイクロカプセル(6)の合成例と全く同様にしてマイクロカプセル(9)を合成した。マイクロカプセル液の固形分濃度は15.2質量%であった。平均粒径は0.30μmであった。
【0192】
マイクロカプセル(10)の合成例
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート25gに替えて、ビニルオキシ基含有化合物(本明細書記載のM−1)20.0g及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート5.0gを用いた以外はマイクロカプセル(6)の合成例と全く同様にしてマイクロカプセル(10)を合成した。マイクロカプセル液の固形分濃度は15.1質量%であった。平均粒径は0.36μmであった。
【0193】
比較用マイクロカプセル(R)の合成例
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートに替えて、ジオクチルフタレートを用いた以外はマイクロカプセル(6)の合成例と全く同様にしてマイクロカプセル(R)を合成した。マイクロカプセル液の固形分濃度は15.5質量%であった。平均粒径は0.33μmであった。
【0194】
実施例1〜50及び比較例1〜14
上記製造例で得た支持体上に、合成例の微粒子(1)〜(19)、マイクロカプセル(1)〜(11)から選ばれた微粒子成分を含有する下記の組成より画像形成層塗布液(1)〜(3)を、表1と表2に示した組み合わせで調製した。表に微粒子又はマイクロカプセルが2種類記載されている場合は、画像形成層塗布液組成で示す添加量の1/2ずつ添加した。塗布はバー塗布で行い、オーブンで60℃、120秒の条件で乾燥し、画像形成層の乾燥塗布量は1g/mの平版印刷版用原版を作製した。
【0195】
画像形成層塗布液(1)
水                      100g
微粒子又はマイクロカプセル(固形分換算で)    5g
【0196】
画像形成層塗布液(2)
水                      100g
微粒子又はマイクロカプセル(固形分換算で)    5g
熱酸発生剤(本明細書記載のAS−12)    0.5g
【0197】
画像形成層塗布液(3)
水                      100g
微粒子又はマイクロカプセル(固形分換算で)    5g
赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−10)  0.5g
【0198】
このようにして得られた平版印刷版用原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載した Creo社製Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/m、解像度2400dpiの条件で露光した後、現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付け、湿し水を供給した後、インキを供給し、さらに紙を供給して印刷を行った。その結果、全ての印刷用原版について問題なく機上現像することができ、印刷可能であった。各印刷用原版の印刷可能枚数を表1と表2に示した。
【0199】
表1において、微粒子又はマイクロカプセルの種類の欄で、カプセルは、マイクロカプセルを示す。−は空欄であり、その実施例では、微粒子又はマイクロカプセルが1種類のみであることを示している。親水性樹脂の種類の欄で、PAAはポリアクリル酸を、PVPはポリビニルピロリドンを、無添加は親水性樹脂を用いなかったことを示す。
【0200】
【表1】
Figure 2004066482
【0201】
【表2】
Figure 2004066482
【0202】
以上の結果から、画像形成層に用いる微粒子成分が、微粒子であれ、マイクロカプセルであれ、又は微粒子とマイクロカプセルであれ、酸により架橋反応を行うものとラジカルにより重合反応を行うものとの併用系である場合に高耐刷が得られることが分る。
【0203】
【発明の効果】
本発明によれば、ディジタル信号に基づいた走査露光後、現像することなしにそのまま印刷に供することが可能な平版印刷版用原版の耐刷性を改良できる。また、その原版を用いて、良好に製版し、印刷することができる。

Claims (3)

  1. 支持体上に、(1)酸により架橋可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を含有する微粒子及び酸により架橋可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも1つの酸架橋成分、(2)ラジカルにより重合可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を含有する微粒子及びラジカルにより重合可能な官能基を少なくとも2個有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも1つのラジカル重合成分、(3)光熱変換剤、(4)感熱性酸発生剤、並びに(5)感熱性ラジカル発生剤を含有する画像形成層を有する平版印刷版用原版。
  2. 酸架橋成分及びラジカル重合成分が、いずれもマイクロカプセルであることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用原版。
  3. 請求項1又は請求項2記載の平版印刷版用原版を、700〜1300nmの波長を有する赤外線レーザー光で画像露光した後、印刷機上で湿し水及びインキのうちの少なくともいずれか一方により非画像部を除去して印刷することを特徴とする製版・印刷方法。
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