JP2004066381A - ロボット装置 - Google Patents

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Yoshio Kishi
岸 義雄
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Abstract

【課題】4足歩行のみならず、2足立ちも行うことができるロボット装置を提供する。
【解決手段】左側後脚20と右側後脚40は、4足歩行時と後脚2足立ち時とで接地面50に対する接地箇所を異ならせる。4足歩行時には、つま先部24a、44aのみを接地面50に接地させるが、2足立ち時には、つま先部24a、44aと踵部24b、44bとを接地させる。つま先部24aと踵部24b、つま先部44aと踵部44bとを接地面50に両方接地している状態は、足裏を接地させているのに等しい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、胴体部と、前記胴体部に対して首部を介して連結される頭部と、前記胴体部に対して連結される前側左右脚と後側左右脚の計4本の脚部とを備えてなるロボット装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行う機械装置のことを「ロボット」という。ロボットの語源は、スラブ語の”ROBOTA(奴隷機械)”に由来すると言われている。わが国では、ロボットが普及し始めたのは1960年代末からであるが、その多くは、工場における生産作業の自動化・無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボットなどの産業用ロボット(industrial robot)であった。
【0003】
最近では、イヌやネコ、クマのように4足歩行の動物の身体メカニズムやその動作を模したペット型ロボット、あるいは、ヒトやサルなどの2足直立歩行を行う動物の身体メカニズムや動作を模した「人間形」若しくは「人間型」のロボット(humanoid robot)など、脚式移動ロボットの構造やその安定歩行制御に関する研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきている。これら脚式移動ロボットは、クローラ式ロボットに比し不安定で姿勢制御や歩行制御が難しくなるが、階段の昇降や障害物の乗り越えなど、柔軟な歩行・走行動作を実現できるという点で優れている。
【0004】
アーム式ロボットのように、ある特定の場所に植設して用いるような据置きタイプのロボットは、部品の組立・選別作業など固定的・局所的な作業空間でのみ活動する。これに対し、移動式のロボットは、作業空間は非限定的であり、所定の経路上または無経路上を自在に移動して、所定の若しくは任意の人的作業を代行したり、ヒトやイヌあるいはその他の生命体に置き換わる種々のサービスを提供することができる。
【0005】
脚式移動ロボットの用途の1つとして、産業活動・生産活動等における各種の難作業の代行が挙げられる。例えば、原子力発電プラントや火力発電プラント、石油化学プラントにおけるメンテナンス作業、製造工場における部品の搬送・組立作業、高層ビルにおける清掃、火災現場その他における救助といったような危険作業・難作業の代行などである。
【0006】
また、脚式移動ロボットの他の用途として、上述の作業支援というよりも、生活密着型、すなわち人間との「共生」あるいは「エンターティンメント」という用途が挙げられる。この種のロボットは、ヒトあるいはイヌ(ペット)、クマなどの比較的知性の高い脚式移動動物の動作メカニズムや四肢を利用した豊かな感情表現を忠実に再現する。また、あらかじめ入力された動作パターンを単に忠実に実行するだけではなく、ユーザ(あるいは他のロボット)から受ける言葉や態度(「褒める」とか「叱る」、「叩く」など)に対して動的に対応した、生き生きとした応答表現を実現することも要求される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、汎用化されているエンターティンメント用途のロボット装置、特に胴体部に対して連結される前側左右脚と後側左右脚の計4本の脚部を用いて歩行する脚式移動ロボット装置では、前記4本の脚部を用いた歩行を動作のメインとすることが考えられてきた。
【0008】
イヌ、ネコ、ライオン或いはクマのような4脚歩行の動物は、2脚、特に後側左右脚を用いて、立ち上がることもある。このような動きを、4脚のエンタテインメントロボットに行わせることは考えられてなかった。
【0009】
また、例えば、後側左右脚の構成としては、胴体部に連結される太股部、太股部に連結されるすね部、すね部の接地面側先端に取りつけられる踵部、さらに踵部よりも前側に取りつけられるつま先部といった要素が考えられていた。これら要素の中で太股部とすね部との連結部である、いわゆる膝部から下の踵、つま先までの動きは、歩行時等に連動するようにはなされてなかった。
【0010】
また、胴体部には首部を介して頭部が連結されるが、首部と頭部の動きも連動されるような構成ではなかった。
【0011】
本発明に係るロボット装置は、前記実情に鑑みてなされたものであり、4足歩行のみならず、2足立ちも行うことができるロボット装置の提供を目的とする。また、後側左右脚の各膝部から下にある、膝関節と足首関節の動きを連動することのできるロボット装置の提供を目的とする。また、首部と頭部の動きを連動することのできるロボット装置の提供を目的とする。さらに、頭部を軽くすることができるロボット装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るロボット装置は、前記課題を解決するために、胴体部と、前記胴体部に対して首部を介して連結される頭部と、前記胴体部に対して連結される前側左右脚と後側左右脚の計4本の脚部とを備えてなり、前記4本の脚部の後側左右脚の2本は、4足歩行時と後脚2足立ち時とで接地面に対する接地箇所を異ならせる。前記後側左右脚の2本は、それぞれ前記胴体部に対して第1の脚関節部を介して連結される太股部と、前記太股部と第2の脚関節部を介して連結されるすね部と、前記すね部と第3の脚関節部を介して連結される足部とを有してなり、前記4足歩行時には前記足部のつま先を接地箇所とし、前記2足立ち時には前記足部の裏側を接地箇所とする。
【0013】
本発明に係るロボット装置は、前記課題を解決するために、胴体部と、前記胴体部に対して首部を介して連結される頭部と、前記胴体部に対して連結される前側左右脚と後側左右脚の計4本の脚部とを備えてなり、前記首部は前記胴体部と第1の首関節部で連結され、前記頭部は前記首部と第2の首関節部で連結されてなり、この第1の首関節部と第2の首関節部は連動されている。前記第1の首関節部と前記第2の首関節部を一つの回転駆動力発生手段にて駆動する。また、前記一つの回転駆動力発生手段を前記胴体部内に収納する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。この実施の形態は、バッテリーから電力の供給を受けた回転駆動力発生手段の具体例である、サーボモータ等の電動モータにより駆動される4本の脚を備えるロボット装置1である。エンターティンメントロボット装置として使われる。
【0015】
このロボット装置1は、左側面を図1に、右側面を図2に示すように、胴体部ユニット2に対して左前脚部ユニット10、左後脚部ユニット20、右前脚部ユニット30、右後脚部ユニット40を連結している。また、胴体部ユニット2の前端部には首部カバー6によって覆われた首部を介して頭部ユニット3を、後端部には尻尾7を連結している。胴体部ユニット2内にはスピーカ8が収納されている。頭部ユニット3内には、PSD4とMOSカメラ5が収納されている。
【0016】
左前脚部ユニット10は、回転支点11aで胴体部ユニット2に左前脚上腕11を接続し、回転支点12aで左前脚上腕11と左前脚下肢12を接続している。左前脚下肢12の接地面50側先端には前脚接地部13が設けられている。左前脚上腕11は、外装カバー14内に収納されている。左前脚下肢12は外装カバー15内に収納されている。
【0017】
なお、脚部ユニットの脚上腕という表現は、関節の上流側部材、脚上部、或いは太腿部と同じ意味を持たせた表現である。また、脚部ユニットの脚下肢という表現は、関節の下流側部材、脚下部、或いは脛部と同じ意味を持たせた表現である。
【0018】
左後脚部ユニット20は、回転支点21aで胴体部ユニット2に左後脚上腕21を接続し、回転支点22aで左後脚上腕21と左後脚下肢22を接続している。さらに、左後脚下肢22には、回転支点23aにて足部24が接続されている。足部24には、つま先部24aと踵部24bとを設けている。左後脚上腕21は、外装カバー25内に収納されている。左後脚下肢22は外装カバー26内に収納されている。
右前脚部ユニット30は、回転支点31aで胴体部ユニット2に右前脚上腕31を接続し、回転支点32aで右前脚上腕31と右前脚下肢32を接続している。右前脚下肢32の接地面50側先端には前脚接地部33が設けられている。右前脚上腕31は、外装カバー34内に収納されている。右前脚下肢32は外装カバー35内に収納されている。
【0019】
右後脚部ユニット40は、回転支点41aで胴体部ユニット2に右後脚上腕41を接続し、回転支点42aで右後脚上腕41と右後脚下肢42を接続している。さらに、右後脚下肢42には、回転支点43aにて足部44が接続されている。足部44には、つま先部44aと踵部44bとを設けている。右後脚上腕41は、外装カバー45内に収納されている。右後脚下肢42は外装カバー46内に収納されている。
【0020】
図1、図2に示した計4本の脚部ユニット10,20,30及び40を備えたロボット装置1は、左側後脚20と右側後脚40とを用いて2足にて立ち上がることができる。そして、左側後脚20と右側後脚40は、4足歩行時と後脚2足立ち時とで接地面50に対する接地箇所を異ならせる。4足歩行時には、つま先部24a、44aのみを接地面50に接地させるが、2足立ち時には、つま先部24a、44aと踵部24b、44bとを接地させる。つま先部24aと踵部24b、つま先部44aと踵部44bとを接地面50に両方接地している状態は、足裏を接地させているのに等しい。
【0021】
図3には、ロボット装置1が4足歩行をするときの姿勢(左側)を示す。この図3では、各上腕部、各下肢部の外装カバーを省略している。また、胴体ユニット2内の外装も省略し、筐体2aを胴体部(以下、胴体部2aとする)として省略して示す。
【0022】
胴体部2aと頭部ユニット3を接続する首部110は首部カバー6によって覆われている。首部110は、一つの電動モータ56によって、胴体部2aとの支点と頭部ユニット3との支点を中心に2箇所でチルト駆動される。胴体部2aとの支点を中心とする回転角度は、ポテンショメータ5701によって検出される。ポテンショメータは、角度検出器であって、回転を検出するための軸が図示しない、支点用歯車の例えば側部等に圧入されて、その歯車の回転角度を検出する。また、頭部ユニット3は、首部110を介し、電動モータ56により左右方向に回転される。これにより、頭部ユニット3はパンされる。この頭部ユニット3の回転角度はポテンショメータ5702によって検出される。なお、ここでは歯車機構は省略している。詳細は後述する。
【0023】
左前脚部ユニット10では、左前脚上腕11が胴体部2aに対して回転支点11aを中心に電動モータによって駆動される。また、左前脚下肢12が左前脚上腕11との回転支点12aを中心に電動モータ56によって駆動される。その回転角度は、ポテンショメータ57によって検出される。
【0024】
また、左後脚部ユニット20では、左後脚上腕21が胴体部2aに対して回転支点21aを中心に電動モータ56によって駆動される。その回転角度は、ポテンショメータ57によって検出される。
【0025】
また、左後脚部ユニット20では、左後脚下肢22が左後脚上腕21との回転支点22aを中心に電動モータ56によって駆動される。その回転角度はポテンショメータ57によって検出される。さらに、左後脚下肢22には、前述したように回転支点23aにて足部24が接続されており、この足部24も電動モータ56によって駆動される。
【0026】
胴体2a内の重心CGは、4足歩行時にあって、少なくとも遊脚している脚を除いた3脚が接地面上に形成した三角形内に入っているように制御される。このようにすれば、転倒を防止できる。
【0027】
そして、4足歩行時にあっては、左前脚部ユニット10の左前脚下肢12の先端の前脚接地部13は接地面に接地する。また、左後脚部ユニット20の足部24のつま先部24aも接地する。
【0028】
右前脚部ユニット30、右後脚部ユニット40にも同様の位置に電動モータと、ポテンショメータが取りつけられている。電動モータによって回転された角度がポテンショメータによって検出される。そして、右前脚部ユニット30の右前脚下肢32の先端の前脚接地部33は接地面に接地する。また、右後脚部ユニット40の足部44のつま先部44aも接地する。
【0029】
図4には、ロボット装置1の2足立ち時の姿勢(左側)を示す。この図4でも、各上腕部、各下肢部の外装カバーを省略している。また、胴体ユニット2内の外装も省略し、筐体2aを胴体部(以下、胴体部2aとする)として省略して示す。
【0030】
2足立ち時にあっては、左後脚部ユニット20の足部24のつま先部24aと踵部24bとを接地させる。また、右後脚部ユニット40の足部44のつま先部44aと踵44bとを接地させる。
【0031】
この2足立ち時にあっては、胴体2a内の重心CGは、接地面50に接地している後脚左右の足部24、44のほぼ中央部50cにくるように制御される。また、接地面50からは、後脚左右の足部24、44のつま先部、踵部に反力50a、50bが加わる。
【0032】
以下に、左前脚部ユニット10の左前脚下肢12内の回転駆動力伝達機構、左後脚部ユニット20の左後脚上腕21及び左後脚下肢22内の回転駆動力伝達機構について説明する。
【0033】
先ず、図5を参照して左前脚部ユニット10の左前脚下肢12内の回転駆動力伝達機構について説明する。回転駆動力伝達機構は、回転駆動力発生手段の具体例である電動モータ56からの回転駆動力を伝達する機構である。電動モータ56の出力軸200に固着された出力軸歯車201と、この出力軸歯車201に順次連なるように係合されている減速歯車列とから構成されている。
【0034】
この左前脚下肢12内の減速歯車列は、径が異なる二つの歯車を同軸に段付で一体化した段付歯車202,203,204と、歯車205とから構成されている。回転支点12aを中心に下肢部12を最終的に回転させるのは、歯車205である。この歯車205の回転角度は、ポテンショメータ57によって検出される。
【0035】
段付歯車202は、大径ギア202Aと小径ギア202Bが段付で一体化された構成とされて、ギア支軸206に一体的に同軸に取りつけられている。また、段付歯車203は、大径ギア203Aと小径ギア203Bが一体化された構成とされて、ギア支軸207に一体的に同軸に取りつけられている。また、段付歯車204は、大径ギア204Aと小径ギア204Bが一体化された構成とされて、ギア支軸208に一体的に同軸に取りつけられている。歯車205は、膝関節に相当するものであり、回転支点12aを中心とする。この歯車205には、前記ポテンショメータ57が取りつけられ、その回転角度が検出される。
【0036】
上記回転駆動力伝達機構にあっては、上記出力軸歯車201が、段付歯車202の大径ギア202Aと噛み合うように係合されている。そして、大径ギア202Aと一体化されている小径ギア202Bが段付歯車203の大径ギア203Aと噛み合うように係合されている。さらに、大径ギア203Aと一体化されている小径ギア203Bが段付歯車204の大径ギア204Aと噛み合うように係合されている。さらにまた、大径ギア204Aと一体化されている小径ギア204Bが歯車205と係合されている。
【0037】
このような構成により、電動モータ56の回転駆動力が出力軸歯車201、段付歯車202,203,204を介して歯車205に伝達される。伝達された回転駆動力により、左前脚下肢12は矢印L又は矢印Rの方向に回転される。例えば、電動モータ56が矢印Lの方向に回転駆動されると、歯車205は矢印Lの方向に回転駆動される。また、電動モータ56が矢印Rの方向に回転駆動されると、歯車205は矢印Rの方向に回転駆動される。
【0038】
次に、左後脚部ユニット20の左後脚上腕21及び左後脚下肢22内の回転駆動力伝達機構について説明する。この左後脚部ユニット20は、図6に拡大して示すように、回転支点21a、22a、23aを中心に、左後脚上腕21、左後脚下肢22、足部24を回転駆動する。
【0039】
左後脚上腕21内の回転駆動力伝達機構は、電動モータ56からの回転駆動力を伝達する機構である。図7に示すように、電動モータ56の出力軸210に固着された出力軸歯車211と、この出力軸歯車211に順次連なるように係合されている減速歯車列とから構成されている。
【0040】
減速歯車列は、段付歯車213と,段付歯車214,段付歯車215,歯車218,歯車220とから構成されている。回転支点21aを中心に左後脚上腕21を最終的に回転させるのは、歯車220であるが、ポテンショメータ57は歯車218の回転角度を検出している。
【0041】
段付歯車213は、大径ギア213Aと小径ギア213Bが一体化された構成とされて、ギア支軸221に一体的に同軸に取りつけられている。また、段付歯車214は、大径ギア214Aと小径ギア214Bが一体化された構成とされて、ギア支軸216に一体的に同軸に取りつけられている。また、段付歯車215は、大径ギア215Aと小径ギア215Bが一体化された構成とされて、ギア支軸217に一体的に同軸に取りつけられている。歯車218は、ギア支軸219に取りつけられている。歯車220は、支軸221に取りつけられている。支軸221の中心は回転支点21aとなっている。
【0042】
上記出力軸歯車211が、段付歯車213の大径ギア213Aと噛み合うように係合されている。そして、大径ギア213Aと一体化されている小径ギア213Bが段付歯車214の大径ギア214Aと噛み合うように係合されている。さらに、大径ギア214Aと一体化されている小径ギア214Bが段付歯車215の大径ギア215Aと噛み合うように係合されている。さらにまた、大径ギア215Aと一体化されている小径ギア215Bが歯車218と係合されている。歯車218は歯車220と係合されている。
【0043】
このような構成により、電動モータ56の回転駆動力が出力軸210、出力軸歯車211、段付歯車213,214,215、歯車218を介して歯車220に伝達される。伝達された回転駆動力により、左後脚上腕21は矢印L又は矢印Rの方向に回転される。
【0044】
左後脚下肢22内の回転駆動力伝達機構は、図8に示すように、電動モータ56からの回転駆動力を伝達する、2系統からなる機構である。第1の系統は、図9に取り出して示すように、電動モータ56の出力軸230に固着された出力軸歯車231と、この出力軸歯車231に順次連なるように係合されている減速歯車列から構成される。
【0045】
この第1系統の減速歯車列は、段付歯車232,233,234,235,歯車236とから構成されている。歯車236は、回転支点22aを中心に左後脚下肢22を最終的に回転させる。ポテンショメータ57は歯車236の回転角度を検出している。
【0046】
また、第2の系統は、図10に取り出して示すように、電動モータ56の出力軸230に固着された出力軸歯車231と、この出力軸歯車231に順次連なるように係合されている段付歯車232,233,234,237,歯車238とから構成されている。歯車238は、回転支点23aを中心に足部24を最終的に回転させる。
【0047】
これら二つの系統において段付歯車234までは共通に使われている。そして、段付歯車234からの回転駆動力を第1系統の段付歯車235,第2系統の段付歯車237の両方に伝達している。よって、歯車236と歯車238には同じ回転駆動力が伝達されることになり、連動して回転することになる。
【0048】
第1系統の段付歯車232は、大径ギア232Aと小径ギア232Bが一体化された構成とされ、ギア支軸241に一体的に同軸に取りつけられている。また、段付歯車233は、大径ギア233Aと小径ギア233Bが一体化された構成とされ、ギア支軸243に一体的に同軸に取りつけられている。また、段付歯車234は、大径ギア234Aと小径ギア234Bが一体化された構成とされ、ギア支軸243に一体的に同軸に取りつけられている。また、段付歯車235は、大径ギア235Aと小径ギア235Bが一体化された構成とされ、ギア支軸244に一体的に同軸に取りつけられている。歯車236は、膝関節に相当するものであり、回転支点22aを中心とする。この歯車236には、前記ポテンショメータ57が取りつけられ、その回転角度が検出される。
【0049】
第1系統にあっては、図9に示すように、出力軸歯車231が、段付歯車232の大径ギア232Aと噛み合うように係合されている。そして、大径ギア232Aと一体化されている小径ギア232Bが段付歯車233の大径ギア233Aと噛み合うように係合されている。さらに、大径ギア233Aと一体化されている小径ギア233Bが段付歯車234の大径ギア234Aと噛み合うように係合されている。大径ギア234Aと一体化されている小径ギア234Bが段付歯車235の大径ギア235Aと噛み合うように係合されている。大径ギア235Aと一体化されている小径ギア235Bが歯車236の噛み合うように係合されている。
【0050】
このように、図8に示す左後脚部ユニット20の下肢22の第1系統の回転駆動力伝達機構では、電動モータ56の回転駆動力が出力軸231、段付歯車232,233,234,235を介して歯車236に伝達される。伝達された回転駆動力により、左後脚下肢22は矢印L又は矢印Rの方向に回転される。
【0051】
例えば、電動モータ56が、矢印Lの方向に回転駆動されると、歯車236は矢印Rの方向に回転駆動される。また、電動モータ56が、矢印Rの方向に回転駆動されると、歯車236は矢印Lの方向に回転駆動される。この回転方向の伝達については図11,図12を参照して後述する。
【0052】
第2系統の段付歯車237は、前記図10に示したように、大径ギア237Aと小径ギア237Bが一体化された構成とされ、ギア支軸245に一体的に同軸に取りつけられている。また、歯車238は、足首関節に相当するものであり、ギア支軸246の中心である、回転支点23aを中心として足部24を回転する。
【0053】
この第2系統にあっては、出力軸歯車231が、段付歯車232の大径ギア232Aと噛み合うように係合されている。そして、大径ギア232Aと一体化されている小径ギア232Bが段付歯車233の大径ギア233Aと噛み合うように係合されている。さらに、大径ギア233Aと一体化されている小径ギア233Bが段付歯車234の大径ギア234Aと噛み合うように係合されている。大径ギア234Aと一体化されている小径ギア234Bが段付歯車237の大径ギア237Aと噛み合うように係合されている。大径ギア237Aと一体化されている小径ギア237Bが段付歯車238と噛み合うように係合されている。
【0054】
このような構成により、左後脚部ユニット20の下肢22の第2系統の回転駆動力伝達機構では、電動モータ56の回転駆動力が出力軸231、段付歯車232,233,234,237を介して歯車238に伝達される。伝達された回転駆動力により、足部24は矢印L又は矢印Rの方向に回転される。
【0055】
例えば、電動モータ56が矢印Lの方向に回転駆動されると、歯車238は矢印Rの方向に回転駆動される。また、電動モータ56が矢印Rの方向に回転駆動されると、歯車238は矢印Lの方向に回転駆動される。
【0056】
このような回転方向の伝達について以下に説明する。左後脚部ユニット20の下肢22にあっては、電動モータ56の回転駆動力が、出力軸231、段付歯車232,233,234まで第1系統、第2系統に共通に伝達される。その後、第1系統にあっては、段付歯車234の後に、段付歯車235、歯車236へと回転駆動力が伝達される。また、第2系統にあっては、段付歯車234の後に、段付歯車237、歯車238へと回転駆動力が伝達される。このような構成により、歯車236と歯車238には方向が同じ回転駆動力が伝達されるので、連動して回転することになる。
【0057】
先ず、図11の(a)には、電動モータ56から段付歯車234までの伝達機構の共通部を示す。電動モータ56が矢印Lの方向に回転駆動されると、出力軸歯車231に係合する段付歯車232の大径ギア232Aと、この大径ギア232Aと一体化されている同軸の小径ギア232Bは矢印Rに回転駆動される。すると、小径ギア232Bに係合される段付歯車233の大径ギア233Aは矢印L方向に回転駆動される。大径ギア233Aと一体化されている同軸の小径ギア233Bも矢印L方向に回転駆動されるので、小径ギア233Bに係合される段付歯車234の大径ギア234Aは矢印R方向に回転駆動される。
【0058】
図11の(b)には、図11の(a)の前記共通部に続く、第1系統の回転駆動力伝達機構の残部を示す。段付歯車234の大径ギア234Aは、矢印R方向に回転駆動されている。大径ギア234Aに一体化されている同軸の小径ギア234Bに係合される段付歯車235の大径ギア235Aは矢印L方向に回転駆動される。すると、大径ギア235Aに一体化されている同軸の小径ギア235Bに係合されている歯車236は矢印R方向に回転駆動される。
【0059】
図11の(c)には、図11の(a)の前記共通部に続く、第2系統の回転駆動力伝達機構の残部を示す。段付歯車234の大径ギア234Aは、矢印R方向に回転駆動されている。大径ギア234Aに一体化されている同軸の小径ギア234Bに係合される歯車237の大径ギア237Aは矢印L方向に回転駆動される。すると、大径ギア237Aに一体化されている同軸の小径ギア237Bに係合されている歯車238は矢印R方向に回転駆動される。
【0060】
このように、左後脚下肢22の回転駆動力伝達機構にあっては、電動モータ56が、矢印Lの方向に回転駆動されると、歯車236及び歯車238は矢印Rの方向に回転駆動される。
【0061】
同様に、図12を参照すると、左後脚下肢22の回転駆動力伝達機構にあって、電動モータ56が、矢印Rの方向に回転駆動されると、歯車236及び歯車238が矢印Lの方向に回転駆動されることが分かる。
【0062】
以上のことから、図13に示すように、左後脚部ユニット20の左後脚下肢22内の回転駆動力伝達機構は、一つの電動モータ56の回転駆動力を回転支点22aを中心とする膝関節と、回転支点23aを中心とする足首関節とに連動して伝達することができる。これにより、左後脚上腕21の回転支点21aと回転支点22aと回転支点23aとを結ぶことによって得られる膝曲がり角度α1と、回転支点22aと回転支点23aと足部24のつま先先端とを結ぶことによって得られる足首曲がり角度α2とを連動して制御することができる。前記図13は、4足立ち姿勢にて正面を見ている状態を示している。前記図3の歩行姿勢時の左後脚部ユニットの膝曲がり角度α01と、足首曲がり角度α02とに比べ、それぞれ角度が浅くなっている。
【0063】
なお、これまでは、左前脚ユニット10の左前脚下肢12内の回転駆動力伝達機構、左後脚部ユニット20の左後脚上腕21及び左後脚下肢22内の回転駆動力伝達機構について説明してきたが、右前脚ユニット30の右前下肢32内の回転駆動力伝達機構、右後脚部ユニット40の右後脚上腕41及び右後脚下肢42内の回転駆動力伝達機構についても同様である。
【0064】
次に、首部110、頭部(顔)3等のチルト構造について説明する。先ず、図13には胴体を基準としたときの首部110の角度である首角度βと、胴体を基準としたときの頭部(顔)の角度(胴体基準顔角度)γを示す。さらに、首部に対する顔の角度δも示す。図13のように、4足立ち姿勢にて正面を見ている状態では、首角度βは45度であり、胴体基準顔角度γは0度である。また、顔の対首角度δは45度である。
【0065】
図14には、ロボット装置1が4足立ちで上を見上げている状態を示す。首部110の首角度βは70であり、胴体基準顔角度γは60となる。顔の対首角度δは15度である。
【0066】
図15には、ロボット装置1が2足立ちで下を見ている状態を示す。首角度βは胴体部2aと平行であり0度である。胴体基準顔角度γは−90度である。また、顔の対首角度δも−90度である。
【0067】
このロボット装置1は、首角度βを図15の0度から図14の75度まで、振り角75度で回転させることができる。また、顔の対首角度δを図15の−90度から図14の−15度まで、振り角75で回転させることができる。また、胴体基準顔角度γを図15の−90度から図14の60度まで、振り角150度で回転させることができる。
【0068】
このように、ロボット装置1が前記各振り角の前記首角度β、胴体基準顔角度γ、顔の対首角度δで、首、頭部(顔)を動かすのを可能とする首部110等の構造について図16〜図18を参照して以下に説明する。
【0069】
図16に示すように、首部110の関節は、チルト関節251とチルト関節252という二つに分けられる。チルト関節251は、胴体部2a側に設けられ、首部110と胴体部2aとを連結している。胴体部2aを基準として首部110を上下に振る。チルト関節252は、頭部ユニット3側に設けられ、首部110と頭部ユニット3とを連結している。首部110を基準として頭部ユニット3を上下に振る。
【0070】
チルト関節251側の駆動機構は、図17に詳細を示すように、胴体部2a内のチルト関節251近傍に取りつけられる電動モータ56の回転駆動力を用いる。電動モータ56の出力軸240に固着された出力軸歯車241と、この出力軸歯車241に順次連なるように係合されている減速歯車列とから構成されている。
【0071】
このチルト関節1の減速歯車列は、段付歯車243と、歯車244とから構成されている。チルト関節251を最終的に回転させるのは、歯車244である。歯車244の回転角度は、ポテンショメータ5701によって検出される。
【0072】
段付歯車243は、大径ギア243Aと小径ギア243Bが一体化された構成とされて、ギア支軸242に一体的に同軸に取りつけられている。また、歯車244は、チルト関節251の回転支軸に取りつけられている。この歯車244にはポテンショメータ5701が取りつけられている。
【0073】
このチルト関節251の回転駆動力伝達機構にあっては、上記出力軸歯車241が段付歯車243の大径ギア243Aと噛み合うように係合されている。そして、大径ギア243Aと一体化されている小径ギア243Bが歯車244と噛み合うように係合されている。
このような構成により、電動モータ56の回転駆動力が出力軸241、段付歯車243を介して歯車244に2段の減速により伝達される。伝達された回転駆動力により、首部110は胴体部2aに対して矢印U又は矢印Dの方向、つまり上下方向に回転される。例えば、電動モータ56が矢印Rの方向に回転駆動されると、歯車244は矢印Rの方向に回転駆動されるので、首部110は上方向Uに回転される。また、電動モータ56が矢印Lの方向に回転駆動されると、歯車244は矢印Lの方向に回転駆動されるので、首部110は下方向Dに回転される。
【0074】
チルト関節252側の駆動機構も、図16、図18に示す、胴体部2a内の電動モータ56の回転駆動力を用いる。電動モータ56の出力軸240に固着された出力軸歯車241と、この出力軸歯車241に順次連なるように係合されている段付歯車243、歯車244、さらには胴体部2aの本体フレームに固定された固定歯車245、首部110の側面に配置された歯車245、歯車247、そして、頭部ユニット3に固定されている歯車248から構成されている。
【0075】
歯車244の回転により首部110が動くと、本体フレームに固定された固定歯車245上で、この固定歯車245に噛み合うように係合された歯車246が首の上で相対的に回転する。この歯車246は、さらに歯車247が係合され、歯車247には歯車248が係合されている。歯車248は、頭部ユニット3に固定されているので、歯車248の回転方向、回転量は頭部ユニット3の上下方向の回転、回転角度となる。頭部ユニット3は、軸部255で外装ホルダ254と連結され、頭外装253と一体的に動く。
【0076】
チルト関節251の動きで首部110の角度が変化すると、本体フレームに固定された歯車245により首部に付けられた歯車246は首の上で相対的に回転させられ、最終的に歯車248の回転を生む。このため、首部110のチルト関節251が矢印U方向に回転すると、頭部ユニット3の頭外装253は矢印u方向に回転させらる。また、チルト関節251が矢印D方向に回転すると、頭部ユニット3の頭外装253は矢印d方向に回転させられる。あたかもチルト関節252がドライブされたかのように動く。
【0077】
このように、首部110のチルト関節251、チルト関節252では、駆動用の電動モータが一つで済み、頭部の内部(チルト関節252)にモータが不要であるので、頭部ユニット3を軽くすることが可能となる。このため、2足立ち等の重心CGが問題となる動作モーションにおいて安定性をより確保し易い。また、可動部を通る配線が無くなり、ワイヤーの屈曲寿命を考慮しなくて済む。
【0078】
また、このロボット装置1は、顔角度を大きく変化させる場合、首部110の首関節をチルト関節251とチルト関節252に分けているので、顔の向きの角度変化に対し、首部110の角度変化を小さくし、胴体部2aと首部110に生じる逃げ部分を小さくすることができる。これは、二つの関節を独立した二つのモータで駆動する従来の技術ではなし得なかったことである。
【0079】
次に、頭部(顔)3のパン構造について説明する。このパン構造は、ロボット装置1が、頭部ユニット3を左右に振る構造のことである。先ず、パン構造の駆動部について図19を参照して説明する。頭部ユニット3は、電動モータ56の回転駆動力を利用して左右に振られる。電動モータ56の出力軸260に固着された出力軸歯車261と、この出力軸歯車261に順次連なるように係合されている減速歯車列とから構成されている。
【0080】
このパン構造の減速歯車列は、段付歯車263,265、歯車266、268、270、271、272、273とから構成されている。歯車272と歯車273は、マイタギアである。マイタギア273が最終的に回転されて、このマイタギア273に取りつけられた軸受け274が回転し、この軸受け274に挿入されている軸255が回転する。
【0081】
段付歯車263は、大径ギア263Aと小径ギア263Bが一体化された構成とされて、ギア支軸262に一体的に同軸に取りつけられている。段付歯車265は、大径ギア265Aと小径ギア265Bが一体化された構成とされて、ギア支軸264に一体的に同軸に取りつけられている。これら、電動モータ561、段付歯車263、段付歯車265は、胴体部2aの本体フレームに取りつけられている。
【0082】
歯車266は、チルト関節251の軸上に回転可能に取りつけられる。また、歯車268は首部110上に取りつけられて支軸267を中心に回転される。また、歯車270も同様に首部110上に支軸269を中心に回転するように取りつけられる。歯車271は、チルト関節252の軸上に回転可能に取りつけられている。これら、歯車268,270,271は減速歯車列を構成している。
【0083】
マイタギア272は、歯車271と軸連結されている。このマイタギア272の回転方向は、マイタギア273により係合することで90度変えられる。マイタギア273の回転は回転軸受け274に連動され、さらに回転軸255に連動される。したがって、歯車271が回転することにより、軸255が回転されて、頭部ユニット3がパン方向に回転される。パン方向の回転は、歯車266の回転角度ポテンショメータ5701で検出することにより制御される。
【0084】
首部110がチルト関節251の動作により、矢印U方向に回転すると、パン構造のドライブ部分は停止しているから、首部110に設けられた歯車267、歯車269、歯車271は、矢印の方向に相対的に回転させられる。すると、歯車271と軸連結されているマイタギア272も矢印R方向に回転させられる。このとき、チルト関節252の連動により、頭部ユニット3が矢印u方向に同時に回転し、その結果、マイタギア272と、273の相対的な関係が維持され、パン方向の回転は起こらない。
【0085】
このパン構造でも、前記チルト構造と同様、頭部ユニット3に電動モータを設けないため、頭部が重くならず、重心が安定する。また、可動部を通る配線が無く、ワイヤーの屈曲寿命も考慮しないで済む。
【0086】
なお、頭部ユニット3内には、外力が加わらないときには常に頭部を正面に向けるように図20に示すようなリミッタ機構280が設けられている。このリミッタ機能280は、リミッタバネ281とストッパ282と連結ピン283から構成されている。
【0087】
以下には、ロボット装置1に、前述したような4足歩行や、2足立ちを行わせるための全体的な回路構成、ソフトウェア構成を説明する。
【0088】
先ず、胴体部ユニット2には、図21に示すように、CPU110、DRAM(Dynamic Random Access Memory)111、フラッシュROM(Read 0nly emory)112、PC(Personal Computer)カードインターフェース回路113及び信号処理回路114が内部バス115を介して相互に接続されることにより形成されたコントロール部116と、このロボット装置1の動力源としてのバッテリー117とが収納されている。特に、コントロール部116は、本発明のロボット装置1の4足歩行制御や、2足立ち姿勢制御に基づいた制御プログラムをDRAM111をワークエリアにし、CPU110にて実行している。
【0089】
また、胴体部ユニット2には、ロボット装置1の向きや動きの加速度を検出するための角速度センサ118及び加速度センサ119なども収納されている。
【0090】
また、頭部ユニット3には、外部の状況を撮像するとともに、周囲の明るさを検出するためのCMOSカメラ5や、使用者からの物理的な働きかけを検出するためのタッチセンサ51と、前方に位置する物体までの距離を測定するための距離センサ(PSD)4と、外部音を集音するためのマイクロホン53と、各種音声を出力するためのスピーカ8と、ロボット装置1の「目」に相当するLED(Light Emitting Diode)(図示せず)などがそれぞれ所定位置に配置されている。なお、ロボット装置1においては、タッチセンサ51以外にも、胴体部ユニット2及び頭部ユニット3の所定位置に複数のタッチセンサが配置されている。例えば頭部に付いているタッチセンサを、ユーザが撫でたときには、頭部センサを撫でられたという内部状況が評価される。
【0091】
さらに、各脚部ユニット10〜40の関節部(連結部)分や各脚部ユニット10〜40及び胴体部ユニット2の各連結部分、並びに頭部ユニット3及び胴体部ユニット2の連結部分などにはそれぞれ所定の自由度数分の電動モータ及びポテンショメータが前述したように配設されている。
【0092】
そして、これら角速度センサ118、加速度センサ119、タッチセンサ51、距離センサ52、マイクロホン53、スピーカ8、及び各ポテンショメータ57〜57などの各種センサ並びにヘッドライト55、LED及びアクチュエータ56 〜56は、それぞれ対応するハブ58〜58を介してコントロール部116の信号処理回路114と接続され、CMOSカメラ5及びバッテリー117は、それぞれ信号処理回路114と直接接続されている。なお、ここから記している、アクチュエータ56 〜56は、電動モータの他、その周辺の回転駆動力伝達機構も含めている。
【0093】
信号処理回路1l4は、上述の各センサから供給されるセンサデータや画像データ及び音声データを順次取り込み、これらをそれぞれ内部バス115を介してDRAM111内の所定位置に順次格納する。また信号処理回路114は、これと共にバッテリー117から供給されるバッテリー残量を表すバッテリー残量データを順次取り込み、これをDRAM111内の所定位置に格納する。
【0094】
このようにしてDRAM111に格納された各センサデータ、画像データ、音声データ及びバッテリー残量データは、この後コントロール部116がこのロボット装置1の動作制御を行う際に利用される。
【0095】
実際上、コントロール部116のCPU110は、ロボット装置1の電源が投入された初期時、胴体部ユニット2の図示しないメモリカードスロットに装填されたメモリカード59又はフラッシュROM112に格納された、行動制御プログラムや、歩行制御プログラム、2足立ち姿勢制御プログラムをメモリカードインターフェース回路113を介して又は直接読み出し、これをDRAM111に格納する。これらの制御プログラムをCPU110がDRAM111を作業領域として実行する。すると、ロボット装置1は、歩行面の状態や障害物などの周囲の外部環境や、ユーザによるコマンド、或いは内部環境に応じて、自律的に行動を選択し、その選択した行動の動作や表現の意味に基づいた動作や表現の実行命令を生成し、例えば頭部ユニット3や、脚部ユニット10〜40のモジュールの動きを制御する。または外部のPCなどからの有線、または無線でこのCPU110に指令をあたえて同様に頭部ユニット3、脚部ユニット10〜40などの制御を行う。
また、CPU110は、信号処理回路114よりDRAM111に順次格納される各センサデータ、画像データ、音声データ及びバッテリー残量データに基づいて自己及び周囲の状況や、使用者からの指示及び働きかけの有無などを判断する。
【0096】
したがって、ロボット装置1は、コントロール部116のCPU110により前記行動制御プログラムや、歩行制御プログラム、2足立ち姿勢制御プログラムを実行することにより、頭部ユニット3を上下左右に振らせたり、脚部ユニット10〜40による前述の歩行移動を行うことができる。また、後脚2足を用いた2足立ちも行うことができる。特に、このロボット装置2は、4足歩行時と、2足立ち歩行時で、左右後脚の接地面に対する接地箇所を前述したように異ならせる。
【0097】
また、コントロール部116のCPU110は、必要に応じて音声データを生成し、これを信号処理回路114を介して音声信号としてスピーカ8に与えることにより当該音声信号に基づく音声を外部に出力させたり、上述のLEDを点灯、消灯又は点滅させる。また、CPU110は、CMOSカメラ5を用いて周囲の明るさを検出させ、その検出結果に応じてヘッドライト55を点灯させる。
【0098】
このようにしてこのロボット装置1においては、自己及び周囲の状況(内部状況及び外部状況)や、使用者からの指示及び働きかけに応じて自律的に行動し得るようになされている。
【0099】
特に、このロボット装置1は、内部状況及び外部状況、あるいはユーザからの指示及び働きかけに応じて、前記歩行動作や、2足立ち動作を行うことができる。例えば、ユーザにより、「こっちに早く来て」という命令に対して、滑らかな歩行動作を行う。また、「立ち上がって」という命令に対して、左右後脚にて立ち上がる。
【0100】
次に、図22〜図27を用いてロボット装置1のソフトウェア構成について説明する。ロボット装置1におけるソフトウェア構成は、図22に示すようになる。この図22において、デバイス・ドライバ・レイヤ60は、この前記歩行制御プログラムや、2足立ち姿勢制御プログラムの最下位層に位置し、複数のデバイス・ドライバからなるデバイス・ドライバ・セット61から構成されている。この場合、各デバイス・ドライバは、CMOSカメラ50やタイマ等の通常のコンピュータで用いられるハードウェアに直接アクセスすることを許されたオブジェクトであり、対応するハードウェアからの割り込みを受けて処理を行う。
【0101】
また、ロボティック・サーバ・オブジェクト62は、デバイス・ドライバ・レイヤ60の上位に位置し、例えば上述の各種センサやアクチュエータ56〜56等のハードウェアにアクセスするためのインターフェースを提供するソフトウェア群でなるバーチャル・ロボット63と、電源の切換えなどを管理するソフトウェア群でなるバワーマネージャ64と、他の種々のデバイス・ドライバを管理するソフトウェア群でなるデバイス・ドライバ・マネージャ65と、脚式移動ロボット装置1の各機構を管理するソフトウェア群でなるデザインド・ロボット66とから構成されている。
【0102】
マネージャ・オブジェクト67は、オブジェクト・マネージャ68及びサービス・マネージャ69から構成されている。オブジェクト・マネージャ68は、ロボティック・サーバ・オブジェクト62、ミドル・ウェア・レイヤ70、及びアプリケーション・レイヤ71に含まれる各ソフトウェア群の起動や終了を管理するソフトウェア群であり、サービス・マネージャ69は、メモリカード59に格納されたコネクションファイルに記述されている各オブジェクト間の接続情報に基づいて各オブジェクトの接続を管理するソフトウェア群である。
【0103】
ミドル・ウェア・レイヤ70は、ロボティック・サーバ・オブジェクト62の上位層に位置し、画像処理や音声処理などのこのロボット装置1の基本的な機能を提供するソフトウェア群から構成されている。
【0104】
また、アプリケーション・レイヤ71は、ミドル・ウェア・レイヤ70の上位層に位置し、当該ミドル・ウェア・レイヤ70を構成する各ソフトウェア群によって処理された処理結果に基づいてロボット装置1の行動を決定するためのソフトウェア群から構成されている。
【0105】
なお、ミドル・ウェア・レイヤ70及びアプリケーション・レイヤ71の具体なソフトウェア構成をそれぞれ図23、図24に示す。
【0106】
ミドル・ウェア・レイヤ70は、図23に示すように、騒音検出用、温度検出用、明るさ検出用、音階認識用、距離検出用、姿勢検出用、タッチセンサ用、動き検出用及び色認識用の各信号処理モジュール80〜88並びに入力セマンティクスコンバータモジュール89などを有する認識系90と、出力セマンティクスコンバータモジュール98並びに姿勢管理用、トラッキング用、モーション再生用、歩行用、転倒復帰用、ライト点灯用及び音再生用の各信号処理モジュール91〜97などを有する出力系99とから構成されている。
【0107】
認識系90の各信号処理モジュール80〜88は、ロボティック・サーバ・オブジェクト62のバーチャル・ロボット63によりDRAM111から読み出される各センサデータや画像データ及び音声データのうちの対応するデータを取り込み、当該データに基づいて所定の処理を施して、処理結果を入力セマンティクスコンバータモジュール89に与える。ここで、例えば、バーチャル・ロボット63は、所定の通信規約によって、信号の授受或いは変換をする部分として構成されている。
【0108】
入力セマンティクスコンバータモジュール89は、これら各信号処理モジュール80〜88から与えられる処理結果に基づいて、「うるさい」、「暑い」、「明るい」、「ボールを検出した」、「転倒を検出した」、「撫でられた」、「叩かれた」、「ドミソの音階が聞こえた」、「動く物体を検出した」又は「障害物を検出した」などの自己及び周囲の状況(内部状況及び外部状況)や、使用者からの指令及び働きかけを認識し、認識結果をアプリケーション・レイヤ71(図23)に出力する。
【0109】
アプリケーション・レイヤ7lは、図24に示すように、行動モデルライブラリ100、行動切換モジュール101、学習モジュール102、感情モデル103及び本能モデル104の5つのモジュールから構成されている。
【0110】
行動モデルライブラリ100には、図25に示すように、「バッテリー残量が少なくなった場合」、「転倒復帰する」、「障害物を回避する場合」、「感情を表現する場合」、「ボールを検出した場合」などの予め選択されたいくつかの条件項目にそれぞれ対応させて、それぞれ独立した行動モデル100〜100が設けられている。もちろん、「歩行移動する」という行動モデルも設けられることになる。
【0111】
そして、これら行動モデル100〜100等は、、それぞれ入力セマンティクスコンバータモジュール89から認識結果が与えられたときや、最後の認識結果が与えられてから一定時間が経過したときなどに、必要に応じて後述のように感情モデル103に保持されている対応する情動のパラメータ値や、本能モデル104に保持されている対応する欲求のパラメータ値を参照しながら続く行動をそれぞれ決定し、決定結果を行動切換モジュール101に出力する。
【0112】
なお、この実施の形態の場合、各行動モデル100〜100は、次の行動を決定する手法として、図26に示すような1つのノード(状態)NODE〜NODEから他のどのノードNODE〜NODEに遷移するかを各ノードNODE〜NODEに間を接続するアークARC〜ARCに対してそれぞれ設定された遷移確率P〜Pに基づいて確率的に決定する有限確率オートマトンと呼ばれるアルゴリズムを用いる。
【0113】
具体的に、各行動モデル100〜100は、それぞれ自己の行動モデル100〜100を形成するノードNODE〜NODEにそれぞれ対応させて、これらノードNODE〜NODEごとに図27に示すような状態遷移表110を有している。
【0114】
この状態遷移表110では、そのノードNODE〜NODEにおいて遷移条件とする入力イベント(認識結果)が「入力イベント名」の列に優先順に列記され、その遷移条件についてのさらなる条件が「データ名」及び「データ範囲」の列における対応する行に記述されている。
【0115】
したがって、図27の状態遷移表110で表されるノードNODE100では、「ボールを検出(BALL)」という認識結果が与えられた場合に、当該認識結果と共に与えられるそのボールの「大きさ(SIZE)」が「0から1000」の範囲であることや、「障害物を検出(OBSTACLE)」という認識結果が与えられた場合に、当該認識結果と共に与えられるその障害物までの「距離(DISTANCE)」が「0から100」の範囲であることが他のノードに遷移するための条件となっている。
【0116】
また、このノードNODE100では、認識結果の入力がない場合においても、行動モデル100〜100が周期的に参照する感情モデル103及び本能モデル104にそれぞれ保持された各情動及び各欲求のパラメータ値のうち、感情モデル103に保持された「喜び(joy)」、「驚き(surprise)」若しくは「悲しみ(SUDNESS)」のいずれかのパラメータ値が「50から100」の範囲であるときには他のノードに遷移することができるようになっている。
【0117】
また、状態遷移表110では、「他のノードヘの遷移確率」の欄における「遷移先ノード」の行にそのノードNODE〜 NODEから遷移できるノード名が列記されていると共に、「入力イベント名」、「データ値」及び「データの範囲」の列に記述された全ての条件が揃ったときに遷移できる他の各ノードNODE〜NODEへの遷移確率が「他のノードヘの遷移確率」の欄内の対応する箇所にそれぞれ記述され、そのノードNODE〜NODEに遷移する際に出力すべき行動が「他のノードヘの遷移確率」の欄における「出力行動」の行に記述されている。なお、「他のノードヘの遷移確率」の欄における各行の確率の和は100[%]となっている。
【0118】
したがって、図27の状態遷移表110で表されるノードNODE100では、例えば「ボールを検出(BALL)」し、そのボールの「SIZE(大きさ)」が「0から1000」の範囲であるという認識結果が与えられた場合には、「30[%]」の確率で「ノードNODE120(node 120)」に遷移でき、そのとき「ACTION1」の行動が出力されることとなる。
【0119】
各行動モデル100〜100は、それぞれこのような状態遷移表100として記述されたノードNODE〜 NODEがいくつも繋がるようにして構成されており、入力セマンティクスコンバータモジュール89から認識結果が与えられたときなどに、対応するノードNODE〜NODEの状態遷移表を利用して確率的に次の行動を決定し、決定結果を行動切換モジュール101に出力するようになされている。
【0120】
図24に示す行動切換モジュール101は、行動モデルライブラリ100の各行動モデル100〜100からそれぞれ出力される行動のうち、予め定められた優先順位の高い行動モデル100〜100等から出力された行動を選択し、当該行動を実行すべき旨のコマンド(以下、これを行動コマンドという。)をミドル・ウェア・レイヤ70の出力セマンティクスコンバータモジュール98に送出する。なお、この実施の形態においては、図25において下側に表記された行動モデル100〜100ほど優先順位が高く設定されている。
【0121】
また、行動切換モジュール101は、行動完了後に出力セマンティクスコンバータモジュール98から与えられる行動完了情報に基づいて、その行動が完了したことを学習モジュール102、感情モデル103及び本能モデル104に通知する。
【0122】
一方、学習モジュール102は、入力セマンティクスコンバータモジュール89から与えられる認識結果のうち、「叩かれた」や「撫でられた」など、使用者からの働きかけとして受けた教示の認識結果を入力する。
【0123】
そして、学習モジュール102は、この認識結果及び行動切換モジュール101からの通知に基づいて、「叩かれた(叱られた)」ときにはその行動の発現確率を低下させ、「撫でられた(誉められた)」ときにはその行動の発現確率を上昇させるように、行動モデルライブラリ100における対応する行動モデル100〜100の対応する遷移確率を変更する。
【0124】
他方、感情モデル103は、「喜び(joy)」、「悲しみ(sadness)」、「怒り(anger)」、「驚き(surprise)」、「嫌悪(disgust)」及び「恐れ(fear)」の合計6つの情動について、各情動ごとにその情動の強さを表すパラメータを保持している。そして、感情モデル103は、これら各情動のパラメータ値を、それぞれ入力セマンティクスコンバータモジュール89から与えられる「叩かれた」及び「撫でられた」などの特定の認識結果と、経過時間及び行動切換モジュール101からの通知などに基づいて周期的に更新する。
【0125】
具体的には、感情モデル103は、入力セマンティクスコンバータモジュール89から与えられる認識結果と、そのときの脚式移動ロボット装置1の行動と、前回更新してからの経過時間などに基づいて所定の演算式により算出されるそのときのその情動の変動量を△E[t]、現在のその情動のパラメータ値をE[t]、その情動の感度を表す係数をkとして、(1)式によって次の周期におけるその情動のパラメータ値E[t+1]を算出し、これを現在のその情動のパラメータ値E[t]と置き換えるようにしてその情動のパラメータ値を更新する。また、感情モデル103は、これと同様にして全ての情動のパラメータ値を更新する。
E[t+1]=E[t]+Ke×△E[t]  ・・・(1)
なお、各認識結果や出力セマンティクスコンバータモジュール98からの通知が各情動のパラメータ値の変動量△E[t]にどの程度の影響を与えるかは予め決められており、例えば「叩かれた」といった認識結果は「怒り」の情動のパラメータ値の変動量△E[t]に大きな影響を与え、「撫でられた」といった認識結果は「喜び」の情動のパラメータ値の変動量△E[t]に大きな影響を与えるようになっている。
【0126】
ここで、出力セマンティクスコンバータモジュール98からの通知とは、いわゆる行動のフィードバック情報(行動完了情報)であり、行動の出現結果の情報であり、感情モデル103は、このような情報によっても感情を変化させる。これは、例えば、「吠える」といった行動により怒りの感情レベルが下がるといったようなことである。なお、出力セマンティクスコンバータモジュール98からの通知は、上述した学習モジュール72にも入力されており、学習モジュール102は、その通知に基づいて行動モデル100〜100の対応する遷移確率を変更する。
【0127】
なお、行動結果のフィードバックは、行動切換モジュレータ101の出力(感情が付加された行動)によりなされるものであってもよい。
【0128】
一方、本能モデル104は、「運動欲(exercise)」、「愛情欲(affection)」、「食欲(appetite)」及び「好奇心(curiosity)」の互いに独立した4つの欲求について、これら欲求ごとにその欲求の強さを表すパラメータを保持している。そして、本能モデル104は、これらの欲求のパラメータ値を、それぞれ入力セマンティクスコンバータモジュール89から与えられる認識結果や、経過時間及び行動切換モジュール101からの通知などに基づいて周期的に更新する。
【0129】
具体的には、本能モデル104は、「運動欲」、「愛情欲」及び「好奇心」については、認識結果、経過時間及び出力セマンティクスコンバータモジュール98からの通知などに基づいて所定の演算式により算出されるそのときのその欲求の変動量をΔI[k]、現在のその欲求のパラメータ値をI[k]、その欲求の感度を表す係数kとして、所定周期で(2)式を用いて次の周期におけるその欲求のパラメータ値I[k+1]を算出し、この演算結果を現在のその欲求のパラメータ値I[k]と置き換えるようにしてその欲求のパラメータ値を更新する。また、本能モデル104は、これと同様にして「食欲」を除く各欲求のパラメータ値を更新する。
I[k+1]=I[k]+ki×ΔI[k]    ・・・(2)
なお、認識結果及び出力セマンティクスコンバータモジュール98からの通知などが各欲求のパラメータ値の変動量△I[k]にどの程度の影響を与えるかは予め決められており、例えば出力セマンティクスコンバータモジュール98からの通知は、「疲れ」のパラメータ値の変動量△I[k]に大きな影響を与えるようになっている。
【0130】
なお、このロボット装置1においては、各情動及び各欲求(本能)のパラメータ値がそれぞれ0から100までの範囲で変動するように規制されており、また係数k、kの値も各情動及び各欲求ごとに個別に設定されている。
【0131】
一方、ミドル・ウェア・レイヤ70の出力セマンティクスコンバータモジュール98は、図23に示すように、上述のようにしてアプリケーション・レイヤ71の行動切換モジュール101から与えられる「前進」、「喜ぶ」、「鳴く」又は「トラッキング(ボールを追いかける)」といった抽象的な行動コマンドを出力系99の対応する信号処理モジュール91〜97に与える。
【0132】
そしてこれら信号処理モジュール91〜97は、行動コマンドが与えられると当該行動コマンドに基づいて、その行動を行うために対応するアクチュエータ56〜56に与えるべきサーボ指令値や、スピーカ54から出力する音の音声データ及び又は「目」のLEDに与える駆動データを生成し、これらのデータをロボティック・サーバ・オブジェクト62のバーチャル・ロボット63及び信号処理回路114を順次介して対応するアクチュエータ56〜56又はスピーカ8又はLEDに順次送出する。
【0133】
以上に説明した、ミドル・ウェア・レイヤ70と、アプリケーション・レイヤ71と、バーチャルロボット63により、本発明の実施の形態のロボット装置1が実行する歩行制御プログラムや、2足立ち姿勢制御プログラムが構築される。
【0134】
ミドル・ウェア・レイヤ70内の認識系90の騒音検出用、温度検出用、明るさ検出用、音階認識用、距離検出用、姿勢検出用、タッチセンサ用、動き検出用及び色認識用の各信号処理モジュール80〜88は、処理結果を入力セマンティクスコンバータモジュール89に与える。
【0135】
入力セマンティクスコンバータモジュール89は、これら各信号処理モジュール80〜88から与えられる処理結果に基づいて、「うるさい」、「暑い」、「明るい」、「ボールを検出した」、「転倒を検出した」、「撫でられた」、「叩かれた」、「ドミソの音階が聞こえた」、「動く物体を検出した」又は「障害物を検出した」などの自己及び周囲の状況(内部状況及び外部状況)や、使用者からの指令及び働きかけを認識し、認識結果をアプリケーション・レイヤ71に出力する。
【0136】
行動モデルライブラリ100は、入力セマンティクスコンバータモジュール89から認識結果が与えられたときに、必要に応じて感情モデル103に保持されている対応する情動のパラメータ値や、本能モデル104に保持されている対応する欲求のパラメータ値を参照しながら続く行動をそれぞれ決定し、決定結果を行動切換モジュール101に出力する。具体的に、各行動モデル100〜100は、入力セマンティクスコンバータモジュール89から認識結果が与えられたときなどに、対応するノードNODE〜NODEの状態遷移表を利用して確率的に次の行動を決定し、決定結果を行動切換モジュール101に出力する。
【0137】
行動切換モジュール101は、行動モデルライブラリ100の各行動モデル100〜100からそれぞれ出力される行動のうち、予め定められた優先順位の高い行動モデル100〜100から出力された行動を選択し、当該行動を実行すべき旨のコマンド(行動コマンド又は動作・表現実行指定)をミドル・ウェア・レイヤ70の出力セマンティクスコンバータモジュール98に送出する。
【0138】
出力セマンティクスコンバータモジュール98は、アプリケーション・レイヤ71の行動切換モジュール101から与えられる「前進」、「喜ぶ」、「鳴く」又は「トラッキング(ボールを追いかける)」といった実行指令を、制御指令に分解して出力系99の対応する信号処理モジュール91〜97に与える。
【0139】
これら信号処理モジュール91〜97は、前記実行指令から分解された制御指令に基づいて、その行動を行うために対応するアクチュエータ56〜56に与えるべきサーボ指令値や、スピーカ8から出力する音の音声データ及び又は「目」のLEDに与える駆動データを生成し、これらのデータをロボティック・サーバ・オブジェクト62のバーチャル・ロボット63及び信号処理回路114を順次介して対応するアクチュエータ56〜56又はスピーカ8又はLEDに順次送出する。
【0140】
以上、説明したように、本発明の実施の形態となる、ロボット装置1は、4足歩行時と後脚2足立ち時とで左側後脚20と右側後脚40との、接地面50に対する接地箇所を異ならせる。4足歩行時には、つま先部24a、44aのみを接地面50に接地させるが、2足立ち時には、つま先部24a、44aと踵部24b、44bとを接地させる。
【0141】
また、左後脚部ユニット20の左後脚下肢22内の回転駆動力伝達機構は、一つのアクチュエータ56の回転駆動力を回転支点22aを中心とする膝関節と、回転支点23aを中心とする足首関節とに連動して伝達することができるので、左後脚上腕21の回転支点21aと回転支点22aと回転支点23aとを結ぶことによって得られる膝曲がり角度α1と、回転支点22aと回転支点23aと足部24のつま先先端とを結ぶことによって得られる足首曲がり角度α2とを連動して制御することができる。
【0142】
また、首部110のチルト関節251、チルト関節252では、駆動用の電動モータが一つで済み、頭部の内部(チルト関節252)に電動モータが不要であるので、頭部ユニット3を軽くすることが可能となる。このため、2足立ち等の重心CGが問題となる動作モーションにおいて安定性をより確保し易い。また、可動部を通る配線が無くなり、ワイヤーの屈曲寿命を考慮しなくて済む。
【0143】
また、このロボット装置1は、顔角度を大きく変化させる場合、首部110の首関節をチルト関節251とチルト関節252に分けているので、顔の向きの角度変化に対し、首部110の角度変化を小さくし、胴体部2aと首部110に生じる逃げ部分を小さくすることができる。
【0144】
また、パン構造でも、チルト構造と同様、頭部ユニット3に電動モータを設けないため、頭部が重くならず、重心が安定する。また、可動部を通る配線が無く、ワイヤーの屈曲寿命も考慮しないで済む。
【0145】
【発明の効果】
本発明に係るロボット装置は、4足歩行時と後脚2足立ち時とで4本の脚部の後側左右脚の2本の接地面に対する接地箇所を異ならせる。後側左右脚の2本は、それぞれ胴体部に対して第1の脚関節部を介して連結される上腕と、上腕と第2の脚関節部を介して連結される下肢と、下肢と第3の脚関節部を介して連結される足部とを有してなり、4足歩行時には足部のつま先を接地箇所とし、2足立ち時には足部の裏側を接地箇所とする。このようにして、ロボット装置は、4足歩行のみならず、2足立ちも行うことができる。また、このロボット装置は、後側左右脚の各膝部から下にあって、膝関節と足首関節の動きを連動することができる。
【0146】
本発明に係るロボット装置は、首部と胴体部とを第1の首関節部で連結し、頭部と首部とを第2の首関節部で連結してなり、さらに、この第1の首関節部と第2の首関節部とを連動している。これにより、第1の首関節部と第2の首関節部を一つの回転駆動力発生手段にて駆動することができる。また、一つの回転駆動力発生手段を胴体部内に収納する。したがって、首部と頭部の動きを連動することができ、さらに、頭部を軽くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロボット装置の右側面図である。
【図2】ロボット装置の左側面図である。
【図3】ロボット装置の4足歩行姿勢を示す左側面図である。
【図4】ロボット装置の2足立ち時の姿勢を示す左側面図である。
【図5】左前脚下肢内の回転駆動力伝達機構を示す図である。
【図6】左後脚部ユニットの拡大図である。
【図7】左後脚上腕内の回転駆動力伝達機構を示す図である。
【図8】左後脚下肢内の回転駆動力伝達機構を示す図である。
【図9】左後脚下肢内の回転駆動力伝達機構の第1系統を示す図である。
【図10】左後脚下肢内の回転駆動力伝達機構の第2系統を示す図である。
【図11】左後脚下肢内の回転駆動力伝達機構の回転方向の伝達を説明するための図である。
【図12】左後脚下肢内の回転駆動力伝達機構の他の回転方向の伝達を説明するための図である。
【図13】4足立ち姿勢にて正面を見ている状態のチルト構造を示す図である。
【図14】4足立ち姿勢にて上を見ている状態のチルト構造を示す図である。
【図15】2足立ちで下を見ている状態のチルト構造を示す図である。
【図16】チルト構造の詳細を示す図である。
【図17】一のチルト関節付近の構造を示す図である。
【図18】他のチルト関節付近の構造を示す図である。
【図19】頭部をパンするためのパン構造を示す図である。
【図20】パン構造に関連するリミット構造を示す図である。
【図21】ロボット装置の回路構成を示すブロック図である。
【図22】ロボット装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図23】ロボット装置のソフトウェア構成におけるミドル・ウェア・レイヤの構成を示すブロック図である。
【図24】ロボット装置のソフトウェア構成におけるアプリケーション・レイヤの構成を示すブロック図である。
【図25】同アプリケーション・レイヤの行動モデルライブラリの構成を示すブロック図である。
【図26】ロボット装置の行動決定のための情報となる有限確率オートマトンを説明するために使用した図である。
【図27】有限確率オートマトンの各ノードに用意された状態遷移表を示す図である。
【符号の説明】
1 ロボット装置、2 胴体部ユニット、2a 胴体部、3 頭部ユニット、10 左前脚部ユニット、20 左後脚部ユニット、30 右前脚部ユニット、40 右後脚部ユニット、110 首部

Claims (14)

  1. 胴体部と、
    前記胴体部に対して首部を介して連結される頭部と、
    前記胴体部に対して連結される前側左右脚と後側左右脚の計4本の脚部とを備えてなり、
    前記4本の脚部の後側左右脚の2本は、4足歩行時と後脚2足立ち時とで接地面に対する接地箇所を異ならせることを特徴とするロボット装置。
  2. 前記後側左右脚の2本は、それぞれ前記胴体部に対して第1の脚関節部を介して連結される上腕部と、前記上腕部と第2の脚関節部を介して連結される下肢部と、前記下肢部と第3の脚関節部を介して連結される足部とを有してなり、前記4足歩行時には前記足部のつま先を接地箇所とし、前記2足立ち時には前記足部の裏側を接地箇所とすることを特徴とする請求項1記載のロボット装置。
  3. 前記第2の脚関節部と第3の脚関節部の動きを連動させて歩行又は立ち上がることを特徴とする請求項2記載のロボット装置。
  4. 前記第2の脚関節部と第3の脚関節部を一つの回転駆動力発生手段にて駆動することを特徴とする請求項2記載のロボット装置。
  5. 前記首部は前記胴体部と第1の首関節部で連結され、前記頭部は前記首部と第2の首関節部で連結されてなり、この第1の首関節部と第2の首関節部は連動されていることを特徴とする請求項1記載のロボット装置。
  6. 前記第1の首関節部と前記第2の首関節部を一つの回転駆動力発生手段にて駆動することを特徴とする請求項5記載のロボット装置。
  7. 前記一つの回転駆動力発生手段を前記胴体部内に収納することを特徴とする請求項6記載のロボット装置。
  8. 胴体部と、
    前記胴体部に対して首部を介して連結される頭部と、
    前記胴体部に対して連結される前側左右脚と後側左右脚の計4本の脚部とを備えてなり、
    前記首部は前記胴体部と第1の首関節部で連結され、前記頭部は前記首部と第2の首関節部で連結されてなり、この第1の首関節部と第2の首関節部は連動されていることを特徴とするロボット装置。
  9. 前記第1の首関節部と前記第2の首関節部を一つの回転駆動力発生手段にて駆動することを特徴とする請求項8記載のロボット装置。
  10. 前記一つの回転駆動力発生手段を前記胴体部内に収納することを特徴とする請求項9記載のロボット装置。
  11. 前記4本の脚部の後側左右脚の2本は、4足歩行時と後脚2足立ち時とで接地面に対する接地箇所を異ならせることを特徴とする請求項8記載のロボット装置。
  12. 前記後側左右脚の2本は、それぞれ前記胴体部に対して第1の脚関節部を介して連結される太股部と、前記太股部と第2の脚関節部を介して連結されるすね部と、前記すね部と第3の脚関節部を介して連結される足部とを有してなり、前記4足歩行時には前記足部のつま先を接地箇所とし、前記2足立ち時には前記足部の裏側を接地箇所とすることを特徴とする請求項8記載のロボット装置。
  13. 前記第2の脚関節部と第3の脚関節部の動きを連動させて歩行又は立ち上がることを特徴とする請求項12記載のロボット装置。
  14. 前記第2の脚関節部と第3の脚関節部を一つの回転駆動力発生手段にて駆動することを特徴とする請求項12記載のロボット装置。
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