JP2001150375A - 脚式移動ロボットの制御システム - Google Patents

脚式移動ロボットの制御システム

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JP2001150375A
JP2001150375A JP33463399A JP33463399A JP2001150375A JP 2001150375 A JP2001150375 A JP 2001150375A JP 33463399 A JP33463399 A JP 33463399A JP 33463399 A JP33463399 A JP 33463399A JP 2001150375 A JP2001150375 A JP 2001150375A
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thinking
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legged mobile
motion
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JP33463399A
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Hiroki Saijo
弘樹 西條
Kenichiro Ueno
謙一郎 上野
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 関節アクチュエータの駆動制御を行う運動制
御系と情緒判断や感情表現を司る思考制御系を同時に機
上に搭載する。 【解決手段】 運動制御及び思考制御の各制御モジュー
ルは、互いに状況を確認し合いながら動作して異常処理
を検出する。一方の制御モジュールが異常処理を起こし
ても、他方の正常動作する制御モジュールによって正常
処理に導くことができる。体幹部の上方に思考系制御モ
ジュールを、下方に運動系制御モジュールを配置するこ
とによって、体幹部関節を通過する配線数が削減され
る。また、主要運動系である脚部に近い方に運動系制御
モジュールが配設され、画像入力や音声入出力などを行
う頭部に近い方に思考系制御モジュールが配設される結
果として、システム全体の配線長も削減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体のメカニズム
や動作をモデル化して構成されるリアリスティックなロ
ボットに係り、特に、ヒトやサルなどの脚式移動型動物
の身体メカニズムをモデル化した脚式移動ロボットに関
する。
【0002】更に詳しくは、本発明は、制御系を機上に
搭載して自律的な駆動を行うことができる脚式移動型ロ
ボットの制御システムに係り、特に、関節アクチュエー
タの駆動などを制御する運動制御系とユーザ入力などに
動的に反応して情緒判断や感情表現を司る思考制御系の
双方を機上に搭載する脚式移動型ロボットの制御システ
ムに関する。
【0003】
【従来の技術】電気的若しくは磁気的な作用を用いて人
間の動作に似せた運動を行う機械装置のことを「ロボッ
ト」という。ロボットの語源は、スラブ語のROBOT
A(奴隷機械)に由来すると言われている。わが国で
は、ロボットが普及し始めたのは1960年代末からで
あるが、その多くは、工場における生産作業の自動化・
無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボット
などの産業用ロボット(industrial rob
ot)であった。
【0004】最近では、ヒトやサルなどの2足直立歩行
を行う動物の身体メカニズムや動作を模した脚式移動ロ
ボットに関する研究開発が進展し、実用化への期待も高
まってきている。2足直立による脚式移動は、クローラ
式移動や、4足歩行又は6足式歩行などに比し不安定で
姿勢制御や歩行制御が難しくなるが、柔軟な移動作業を
実現できるという点で優れている。すなわち、2足によ
る脚式移動によれば、不整地や作業経路上に障害物や凹
凸のある床面上の歩行、あるいは、階段や梯子の昇降な
ど不連続な歩行面上の歩行などを、好適に行うことがで
きる。
【0005】ヒトの生体メカニズムや動作をエミュレー
トした脚式移動ロボットのことを、特に、「人間形」、
若しくは「人間型」のロボット(humanoid r
obot)と呼ぶ。人間形若しくは人間型と呼ばれる脚
式移動ロボットを研究・開発する意義を、例えば以下の
2つの視点から把握することができよう。
【0006】1つは、人間科学的な視点である。すなわ
ち、人間の下肢及び/又は上肢に似た構造のロボットを
作り、その制御方法を考案して、人間の歩行動作をシミ
ュレートするというプロセスを通じて、歩行を始めとす
る人間の自然な動作のメカニズムを工学的に解明するこ
とができる。このような研究成果は、人間工学、リハビ
リテーション工学、あるいはスポーツ科学など、人間の
運動メカニズムを扱う他のさまざまな研究分野の進展に
大いに還元することができるであろう。
【0007】もう1つは、人間のパートナーとして生活
を支援する、すなわち住環境その他の日常生活上の様々
な場面における人的活動の支援を行うロボットの開発で
ある。この種のロボットは、人間の生活環境のさまざま
な局面において、人間から教わりながら個々に個性の相
違する人間又は環境への適応方法を学習し、機能面でさ
らに成長していく必要がある。このとき、ロボットが
「人間形」すなわち人間と同じ形又は同じ構造をしてい
る方が、人間とロボットとのスムースなコミュニケーシ
ョンを行う上で有効に機能するものと考えられる。
【0008】例えば、踏んではならない障害物を避けな
がら部屋を通り抜ける方法を実地においてロボットに教
示するような場合、クローラ式や4足式ロボットのよう
に教える相手が自分と全く違う構造をしているよりも、
同じような格好をしている2足歩行ロボットの方がユー
ザ(作業員)ははるかに教え易く、またロボットにとっ
ても教わり易い筈である(例えば、高西著「2足歩行ロ
ボットのコントロール」(自動車技術会関東支部<高塑
>No.25,1996APRIL)を参照のこと)。
【0009】人間の作業空間や居住空間のほとんどは、
2足による直立歩行という人間が持つ身体メカニズムや
行動様式に合わせて形成されている。言い換えれば、人
間の住空間は、車輪その他の駆動装置を移動手段とした
現状の機械システムが移動するのにはあまりに多くの障
壁が存在する。機械システムすなわちロボットが様々な
人的作業を支援又は代行し、さらに人間の住空間に深く
浸透していくためには、ロボットの移動可能範囲が人間
のそれとほぼ同じであることが好ましい。これが、脚式
移動ロボットの実用化が大いに期待されている所以でも
ある。人間型の形態を有していることは、ロボットが人
間の住環境との親和性を高める上で必須であると言え
る。
【0010】人間型ロボットの用途の1つとして、産業
活動・生産活動等における各種の難作業の代行が挙げら
れる。例えば、原子力発電プラントや火力発電プラン
ト、石油化学プラントにおけるメンテナンス作業、製造
工場における部品の搬送・組立作業、高層ビルにおける
清掃、火災現場その他における救助といったような危険
作業・難作業の代行である。
【0011】また、人間型ロボットの他の用途として、
人間と居住空間を同一にする「共生」若しく「エンター
ティンメント」と呼ばれるものである。この種の用途で
は、ロボットは、作業代行などの生活支援というより
も、生活密着という性格が濃厚である。
【0012】エンターティンメント指向のロボットは、
産業上の特定用途を高速・高精度に実現することより
も、作業期間中に実行する動作パターンそのものが研究
・開発上の主題となる。すなわち、ヒトやサルなどの2
足の直立歩行を行う動物が本来持つ全身協調型の動作メ
カニズムを忠実に再現し、その自然に円滑な動作を実現
することが好ましいとされる。また、ヒトやサルなどの
知性の高い直立動物をエミュレートする以上、四肢を用
いた動作パターンが生体として自然であり、且つ、動作
が持つ表現力がより豊かであることが望ましい。
【0013】さらに、エンターティンメント型のロボッ
トは、予め入力された動作パターンを単に忠実に実行す
るだけではなく、相手の言葉や態度(「褒める」とか
「叱る」、「叩く」など)に呼応した、生き生きとした
動作表現を実現することも要求される。この意味におい
て、ヒトを模したエンターティンメント指向の人間型ロ
ボットは、まさに「人間型」のロボットと呼ぶに相応し
い。
【0014】従来の玩具機械は、ユーザ操作と応答動作
との関係が固定・画一的であり、同じ動作しか繰り返さ
ないので、ユーザはやがて飽きてしまうことになる。こ
れに対し、エンターティンメント型のロボットは、動作
生成の時系列モデルに従って動作を実行するが、ユーザ
操作などの外部からの刺激を検出したことに応答してこ
の時系列モデルを変更する、すなわち学習効果を付与す
ることができる。この結果、ユーザ操作と応答動作との
関係はプログラマブルとなり、ユーザにとって飽きな
い、あるいは、ユーザの好みに適応した動作パターンを
提供することができる。また、ユーザは、ロボットの操
作を通して、一種の育成シミュレーションを楽しむこと
ができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】脚式移動ロボットなど
の多軸ロボットを始めとする機械装置を、一般に、可動
脚を駆動するアクチュエータなどで構成される「駆動
系」と、機械装置上での動作をコントロールする「制御
系」とに区分することができる。
【0016】制御系では、例えば、各関節アクチュエー
タを同期的に駆動して全身協調運動を行うための運動制
御が行われる。ここで言う「運動」には可動脚による歩
行などが含まれる。制御系では、ZMP(Zero M
oment Point)を安定度判別規範として導入
して、あらかじめ生成された動作パターンに基づいて歩
行安定制御を行う。(ZMPとは、歩行中の床反力によ
るモーメントがゼロとなる床面上の点のことを言う。)
【0017】また、上述したようなエンターティンメン
ト指向のロボットの場合には、運動制御の他に、「褒め
る」、「叱る」、「撫でる」などのユーザ入力に対応し
た情緒判断や感情表現を行うための思考制御を行う必要
もある。ロボットの「人間らしさ」の度合いが増すにつ
れ、制御系において思考制御が占める割合がますます高
くなってくる。
【0018】脚式移動ロボットは多自由度のため動作パ
ターンを生成する演算量が膨大であること、そもそも姿
勢が不安定な構造体ゆえ歩行制御に強力な計算機資源を
必要とすることなどの理由により、旧来は、ロボットの
機体上に制御系を搭載するのではなく、LAN(Loc
al Area Network)などの通信回線経由
で接続された機外の計算機によってロボットを遠隔的に
コントロールしていた。最近では、半導体の配線技術の
向上などにより計算機が小型・軽量で且つ比較的安価に
なってきたことも相俟って、制御系を機上に搭載して、
スタンドアロンで動作するロボットが多くなってきてい
る。
【0019】例えば、特開平7−205069号公報に
は、ロボットに搭載したコンピュータが実時間で歩容を
生成する点について記述している。(「歩容」(gai
t)とは、例えば、足の浮かせ方の順序やそのタイミン
グなどについてのパターンのことを言う。多脚ロボット
の歩容は、脚の位相差およびデューティ比を用いて表さ
れる(日本ロボット学会のロボット学術用語集によ
る))。
【0020】しかしながら、同公報に記載の脚式移動ロ
ボットは、運動制御系を行うシステムのみをロボットの
機上に搭載し、思考制御系の所在については一切言及し
ていない。
【0021】また、ソニー株式会社が開発し市販する4
足ペット型ロボット”AIBO”は、運動制御系と思考
制御系を同時に機上に搭載し、外部の計算機資源に頼る
ことなく、完全に自律駆動を行うことができる。このペ
ット型ロボットでは、単一の処理モジュールのみによっ
て運動制御系と思考制御系の双方の処理を捌くようにな
っている。
【0022】ところが、2足による脚式移動は、4足に
比し歩行安定制御ははるかに複雑で且つ膨大な演算量を
必要とする。したがって、運動制御と思考制御を単一の
処理モジュール構成とした場合、高速で正確なタイミン
グで処理することがほとんど困難となってしまう。
【0023】また、運動制御の処理が複雑化する分、所
定の動作パターン実行時等に異常処理を発生する可能性
が高くなる。単一の処理モジュール構成を採用した場
合、運動制御系において発生したトラブルのために思考
制御系まで連鎖反応的に停止して、折角ユーザとロボッ
ト間で継続していた感情的なやり取りを喪失してしまう
ことになる。また逆に、運動制御系自体は正常であるに
も拘らず、思考制御系が異常処理を起こしたために、運
動制御系が暴走して、ユーザを巻き込んだ悲惨な事故を
起こしてしまう危険もある。
【0024】また、運動制御系又は思考制御系の一方の
みに異常をきたした場合であっても、単一の処理モジュ
ール構成ではシステム全体が脆くもダウンしてしまう。
ダウンした結果、ロボットをパワー・オン・リセットす
るしかなく、異常により中断した作業を回復するまでに
長時間を要してしまう。略言すれば、単一処理モジュー
ル構成のロボットは、システムの保全が充分とは言い難
い。
【0025】本発明は上記のような技術的課題に鑑みた
ものでありその目的は、制御系を機上に搭載して自律的
な駆動を行うことができる、優れた脚式移動型ロボット
の制御システムを提供することにある。
【0026】本発明の更なる目的は、関節アクチュエー
タの駆動などを制御する運動制御系と、ユーザ入力など
の外界からの刺激に動的に反応して情緒判断や感情表現
を司る思考制御系の双方を機上に搭載する、優れた脚式
移動型ロボットの制御システムを提供することにある。
【0027】本発明の更なる目的は、運動制御系と思考
制御系の双方を機上に搭載するとともにシステムの保全
が充分に図られた、優れた脚式移動ロボットの制御シス
テムを提供することにある。
【0028】本発明の更なる目的は、運動制御系と思考
制御系の双方を機上に搭載するとともに、一方の制御系
に異常をきたした場合であっても最小限のダメージで作
業を回復することができる、優れた脚式移動ロボットの
制御システムを提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を参
酌してなされたものであり、2以上の可動脚からなる下
肢部と、該下肢部の上方に配設された上体とで構成され
る脚式移動ロボットの制御装置であって、前記脚式移動
ロボットにおける情緒判断や感情表現を司り、意思決定
を行う思考制御モジュールと、前記思考制御モジュール
が決定した意思に従って前記下肢部及び/又は上体を用
いた運動を制御する運動制御モジュールと、を具備する
ことを特徴とする脚式移動ロボットの制御システムであ
る。
【0030】前記脚式移動ロボットは、周囲環境を撮像
する画像入力装置、周辺で発生する音声を入力する音声
入力装置、外部システムとデータやコマンドを授受する
通信インターフェースを備え、前記思考制御モジュール
は、前記画像入力装置から入力された画像データ、前記
音声入力装置から入力された音声データ、又は、前記通
信インターフェース経由で受信したデータやコマンドの
うち少なくとも1つに基づいて意思を決定するようにし
てもよい。
【0031】また、前記運動制御モジュールは、前記思
考制御モジュールの意思決定に応じて前記下肢部及び/
又は上体を用いた運動を制御するとともに、該運動の処
理状況を前記思考制御モジュールに返すようにしてもよ
い。
【0032】また、前記思考制御モジュール及び運動制
御モジュールは、共通のプラットフォームで構築され、
両者間はバス・インターフェース経由で接続されていて
もよい。
【0033】また、前記上体は屈曲構造を有する体幹部
を含み、前記思考制御モジュールは該屈曲構造の上方に
配設されるとともに、前記運動制御モジュールは該屈曲
構造の下方に配設されていてもよい。
【0034】また、前記運動制御モジュールは前記可動
脚に近い部位に配設されていてもよい。
【0035】また、前記思考制御モジュール及び運動制
御モジュールは所定の状態遷移規則に従って動作しても
よい。
【0036】このような場合、前記運動制御モジュール
は、前記思考制御モジュールから前記状態繊維規則に反
した順序で意思決定を受け取ったことにより前記思考制
御モジュールが異常処理していると判断することができ
る。
【0037】また、前記思考制御モジュールは、自分が
発行した意思決定とは無関係の処理状況が前記運動制御
モジュールから返されたことにより前記運動制御モジュ
ールが異常処理していると判断することができる。
【0038】また、前記思考制御モジュールは、意思決
定を発行してから所定時間内に前記運動制御モジュール
が該決定に従った処理状況を返さなかったことにより前
記運動制御モジュールが異常処理していると判断するこ
とがてきる。
【0039】また、前記運動制御モジュールは、前記思
考制御モジュールが前記状態遷移規則上で意味不明の意
思決定を指示したことにより前記思考制御モジュールが
異常処理していると判断することができる。
【0040】また、前記思考制御モジュールは、前記運
動制御モジュールが前記状態遷移規則上で意味不明の処
理状況を返したことにより前記運動制御モジュールが異
常処理していると判断することができる。
【0041】また、前記思考制御モジュールは、前記運
動制御モジュールの動作を停止せしめる停止手段を有し
てもよい。
【0042】このような場合、前記思考制御モジュール
は、前記運動制御モジュールが異常処理していると判断
したことに応答して、前記運動制御モジュールの動作を
停止せしめるようにしてもよい。
【0043】また、前記運動制御モジュールは、前記思
考制御モジュールを再起動せしめる再起動手段を有して
もよい。
【0044】このような場合、前記運動制御モジュール
は、前記思考制御モジュールが異常処理していると判断
したことに応答して、前記思考制御モジュールの再起動
せしめることができる。
【0045】また、前記運動制御モジュールは、前記思
考制御モジュールが異常処理していると判断したことに
応答して、前記下肢部及び/又は上体を所定の状態に退
避するようにしてもよい。
【0046】
【作用】本発明に係る脚式移動ロボットによれば、運動
制御及び思考制御のそれぞれの制御モジュールは、互い
に処理状況を確認し合いながら動作することで、異常処
理を検出することができる。また、一方の制御モジュー
ルが異常処理を起こしても、他方の正常動作する制御モ
ジュールによって正常処理に導くことが可能である。
【0047】例えば、図3(後述)に示すような体幹部
に屈曲部(体幹部ピッチ軸又はロール軸)を持つタイプ
の脚式移動ロボットであれば、該屈曲部よりも上方に思
考系制御モジュールを、下方に運動系制御モジュールを
配置することによって、該屈曲部を通過する配線数を削
減することができる。また、主要な運動系である脚部に
近い方に運動系制御モジュールが配設されるとともに、
画像入力や音声入出力などを行う頭部に近い方に思考系
制御モジュールが配設される結果として、システム全体
の配線長も削減することができる。
【0048】本発明に係る脚式移動ロボットの構成によ
れば、上体のみ、あるいは下体のみの交換が可能となる
ので、上下半身のいずれか一方における新機能の追加や
メンテナンス作業が容易になるなどの利点がある。
【0049】2足による脚式移動ロボットの場合、一般
に、姿勢安定制御を行うために各関節アクチュエータの
制御周期を短く設定する必要がある。画像(視覚)や音
声(聴覚)などの処理も姿勢安定制御と同様に計算機負
荷が大きく、単一のプロセッサで全てを処理すると、
「関節の制御周期が揺らぐ」とか、「目標時間内に画像
や音声の処理が完了しない」といった事態が発生する懸
念がある。これに対し、本発明に係る脚式移動ロボット
は、運動制御系と思考制御系を処理プロセッサ・レベル
で分離・独立させているので、処理が安定し、且つ、自
由度の高い2足歩行制御を実現することができる。
【0050】本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、
後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳
細な説明によって明らかになるであろう。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施例を詳解する。
【0052】図1及び図2には本発明の実施に供される
「人間形」又は「人間型」の脚式移動ロボット100が
直立している様子を前方及び後方の各々から眺望した様
子を示している。図示の通り、脚式移動ロボット100
は、脚式移動を行う左右2足の下肢と、体幹部と、左右
の上肢と、頭部とで構成される。
【0053】左右各々の下肢は、大腿部と、膝関節と、
脛部と、足首と、足平とで構成され、股関節によって体
幹部の略最下端にて連結されている。また、左右各々の
上肢は、上腕と、肘関節と、前腕とで構成され、肩関節
によって体幹部上方の左右各側縁にて連結されている。
また、頭部は、首関節によって体幹部の略最上端中央に
連結されている。
【0054】体幹部ユニット内には、図1及び図2上で
は見えていない制御部が配備されている。この制御部
は、脚式移動ロボット100を構成する各関節アクチュ
エータの駆動制御や各センサ(後述)などからの外部入
力を処理するコントローラ(主制御部)や、電源回路そ
の他の周辺機器類を搭載した筐体である。制御部は、そ
の他、遠隔操作用の通信インターフェースや通信装置を
含んでいてもよい。
【0055】図3には、本実施例に係る脚式移動ロボッ
ト100が具備する関節自由度構成を模式的に示してい
る。図示の通り、脚式移動ロボット100は、2本の腕
部と頭部1を含む上体と、移動動作を実現する2本の脚
部からなる下肢と、上肢と下肢とを連結する体幹部とで
構成される。
【0056】頭部1を支持する首関節は、首関節ヨー軸
2と、首関節ピッチ軸3と、首関節ロール軸4という3
自由度を有している。
【0057】また、各腕部は、肩関節ピッチ軸8と、肩
関節ロール軸9と、上腕ヨー軸10と、肘関節ピッチ軸
11と、前腕ヨー軸12と、手首関節ピッチ軸13と、
手首関節ロール軸14と、手部15とで構成される。手
部15は、実際には、複数本の指を含む多関節・多自由
度構造体である。但し、手部15の動作自体は、ロボッ
ト100の姿勢安定制御や歩行動作制御に対する寄与や
影響が少ないので、本明細書ではゼロ自由度と仮定す
る。したがって、左右の各腕部は7自由度を有するとす
る。
【0058】また、体幹部は、体幹ピッチ軸5と、体幹
ロール軸6と、体幹ヨー軸7という3自由度を有する。
【0059】また、下肢を構成する左右各々の脚部は、
股関節ヨー軸16と、股関節ピッチ軸17と、股関節ロ
ール軸18と、膝関節ピッチ軸19と、足首関節ピッチ
軸20と、関節ロール軸21と、足部(足底)22とで
構成される。股関節ピッチ軸17と股関節ロール軸18
の交点は、本実施例に係るロボット100の股関節位置
を定義するものとする。人体の足部(足底)22は、実
際には多関節・多自由度の足底を含んだ構造体である
が、本実施例に係る脚式移動ロボット100の足底はゼ
ロ自由度とする。したがって、左右の各脚部は6自由度
で構成される。
【0060】以上を総括すれば、本実施例に係る脚式移
動ロボット100全体としては、合計で3+7×2+3
+6×2=32自由度を有することになる。但し、脚式
移動ロボット100が必ずしも32自由度に限定される
訳ではない。設計・製作上の制約条件や要求仕様等に応
じて、自由度すなわち関節数を適宜増減することができ
ることは言うまでもない。
【0061】脚式移動ロボット100が持つ上述の各関
節自由度は、実際にはアクチュエータを用いて実装され
る。外観上で余分な膨らみを排してヒトの自然体形状に
近似させること、2足歩行という不安定構造体に対して
姿勢制御を行うことなどの要請から、アクチュエータは
小型且つ軽量であることが好ましい。本実施例では、ギ
ア直結型で且つサーボ制御系をワンチップ化してモータ
・ユニットに内蔵したタイプの小型ACサーボ・アクチ
ュエータを搭載することとした。なお、この種のACサ
ーボ・アクチュエータに関しては、例えば本出願人に既
に譲渡されている特願平11−33386号明細書に開
示されている。
【0062】図4には、本実施例に係る脚式移動ロボッ
ト100の制御システム構成を模式的に示している。同
図に示すように、該システムは、ユーザ入力などに動的
に反応して情緒判断や感情表現を司る思考制御モジュー
ル200と、関節アクチュエータの駆動などロボットの
全身協調運動を制御する運動制御モジュール300とで
構成される。
【0063】思考制御モジュール200は、情緒判断や
感情表現に関する演算処理を実行するCPU(Cent
ral Processing Unit)211や、
RAM(Random Access Memory)
212、ROM(ReadOnly Memory)2
13、及び、外部記憶装置(ハード・ディスク・ドライ
ブなど)214で構成される、自己完結処理を行うこと
ができる独立した情報処理装置である。
【0064】思考制御モジュール200には、CCD
(Charge Coupled Device)カメ
ラなどの画像入力装置251や、マイクなどの音声入力
装置252、スピーカなどの音声出力装置253、LA
N(Local Area Network:図示しな
い)などを経由してロボット100外のシステムとデー
タ交換を行う通信インターフェース254など各種の装
置が、バス・インターフェース201経由で接続されて
いる。
【0065】思考制御モジュール200では、画像入力
装置251から入力される視覚データや音声入力装置2
52から入力される聴覚データなど、外界からの刺激な
どに従って、脚式移動ロボット100の現在の感情や意
思を決定する。さらに、意思決定に基づいた振舞い又は
行動、すなわち四肢の運動を実行するように、運動制御
モジュール300に対して指令を発行する。
【0066】一方の運動制御モジュール300は、ロボ
ット100の全身協調運動を制御するCPU(Cent
ral Processing Unit)311や、
RAM(Random Access Memory)
312、ROM(ReadOnly Memory)3
13、及び、外部記憶装置(ハード・ディスク・ドライ
ブなど)314で構成される、自己完結処理を行うこと
ができる独立した情報処理装置である。
【0067】運動制御モジュール300には、図3で示
した全身に分散するそれぞれの関節自由度を実現する関
節アクチュエータ、体幹部の姿勢や傾斜を計測する姿勢
センサ351、左右の足底の離床又は着床を検出する接
地確認センサ352及び353、バッテリなどの電源を
管理する電源制御装置などの各種の装置が、バス・イン
ターフェース301経由で接続されている。
【0068】運動制御モジュール300では、思考制御
モジュール200から指示された行動を体現すべく、各
関節アクチュエータによる全身協調運動を制御する。す
なわち、CPU311は、思考制御モジュール200か
ら指示された行動に応じた動作パターンを外部記憶装置
314から取り出し、又は、内部的に動作パターンを生
成する。そして、CPU311は、指定された動作パタ
ーンに従って、足部運動、ZMP(Zero Mome
nt Point)軌道、体幹運動、上肢運動、腰部水
平位置及び高さなどを設定するとともに、これらの設定
内容に従った動作を指示する指令値を各関節アクチュエ
ータに転送する。また、CPU311は、姿勢センサ3
51の出力信号によりロボット100の体幹部分の姿勢
や傾きを検出するとともに、各接地確認センサ352及
び353の出力信号により各可動脚が遊脚又は立脚のい
ずれの状態であるかを検出することによって、脚式移動
ロボット100の全身協調運動を適応的に制御すること
ができる。
【0069】さらに、運動制御モジュール300は、思
考制御モジュール200において決定された意思通りの
行動がどの程度体現されたか、すなわち処理の状況を、
思考制御モジュール200に返すようになっている。
【0070】なお、本明細書で言う「ZMP」とは、歩
行中の床反力によるモーメントがゼロとなる床面上の点
のことであり、また、「ZMP軌道」とは、例えばロボ
ット100の歩行動作期間中などにZMPが動く軌跡を
意味する。
【0071】思考制御モジュール200と運動制御モジ
ュール300は、共通のプラットフォーム上で構築さ
れ、両者間はバス・インターフェース201及び301
を介して相互接続されている。
【0072】脚式移動ロボット100が、図3に示すよ
うに体幹部に屈曲部(体幹部ピッチ軸5及び/又は体幹
部ロール軸6)を持つような場合には、該屈曲部よりも
上方に思考制御モジュール200を配置するとともに、
下方に運動系制御モジュール300を配置することによ
って、該屈曲部を通過する配線は両モジュール間を連結
するバスのみとなるので、配線数を削減し、屈曲部周辺
における電装・配線設計が簡素化する。
【0073】図4からも判るように、思考制御モジュー
ル200は、画像入力装置251や音声入力装置252
のように人間の視覚及び聴覚に相当する装置や、音声出
力装置253などのように、頭部に配設された機器類と
の配線が多い。また、脚式移動ロボット100は可動脚
たる脚部が主要な運動系であることから、運動制御モジ
ュール300は下半身に向かう配線数が膨大である。し
たがって、思考制御モジュール200を体幹部の上側
に、運動制御モジュール300を体幹部の下側に、それ
ぞれ配置することによって、システム全体の総配線長を
短縮すると共に、配線構造を簡素化することができる。
【0074】また、かくのごとく各制御モジュール20
0及び300に分割して配置することによって、上体の
み、あるいは下体のみの交換が可能となるので、上下半
身のいずれか一方における新機能の追加やメンテナンス
作業が容易になる。
【0075】図5には、脚式移動ロボット100内にお
いて、思考制御モジュール200及び運動制御モジュー
ル300の間で相互に行われるデータ転送の様子を図解
している。
【0076】思考制御モジュール200は、画像入力装
置251において捕捉される画像データを視覚データと
して取り込むとともに、音声入力装置252において入
力される音声データを視覚データとして取り込み、これ
ら外界からの刺激などに従って、脚式移動ロボット10
0の現在の感情や意思を決定する。
【0077】また、思考制御モジュール200は、脚式
移動ロボット100に対して直接入力される外界の刺激
には依らず、通信インターフェース254経由で外部シ
ステムから送信されてきたコマンドやデータに従って、
脚式移動ロボット100の現在の感情や意思を決定する
こともできる。後者の場合、遠隔地に所在するユーザに
よってロボット100の五感に関するデータを供給した
り、コマンドを送信して所定の意思決定を促すことがで
きる。
【0078】この他、運動制御モジュール300におい
て使用する動作パターン・データを、ネットワーク上の
サーバ(図示しない)から通信インターフェース254
経由でダウンロードすることもできる。
【0079】思考制御モジュール200は、意思決定に
基づいた振舞い又は行動、すなわち四肢の運動を実行す
るように、運動制御モジュール300に対して指令を発
行する。また、運動制御モジュール300からは、指示
した行動がどの程度体現されたか、すなわち処理状況が
戻される。
【0080】思考制御モジュール200は、さらに、自
分が以前発行した指令と戻された処理状況との関係を照
合して、運動制御モジュール300が正常に動作してい
るかどうかをチェックする異常検出機能を有している。
運動制御モジュール300の異常を発見したときの処理
手順については後述に譲る。
【0081】また、思考制御モジュール200は、自己
が決定した意思に従った運動制御を促すだけでなく、決
定した意思や感情を具現する音声データを音声出力装置
253から出力することができる。
【0082】一方の運動制御モジュール300では、思
考制御モジュール200から指示された行動を体現すべ
く、各関節アクチュエータを同期駆動することによって
全身協調運動を制御する。すなわち、該当する指定され
た動作パターンに従って、足部運動、ZMP(Zero
Moment Point)軌道、体幹運動、上肢運
動、腰部水平位置及び高さなどを設定するとともに、こ
れらの設定内容に従った動作を指示する指令値を各関節
アクチュエータに転送する。
【0083】各関節アクチュエータに付設されたエンコ
ーダからは、各関節の回転角度データが戻される。この
結果、運動制御モジュール300は、各関節の実際の変
位量や変位速度を把握することができる。さらに、関節
の変位角度と各アーム長などの幾何データを所定の幾何
演算処理に投じることで、脚式移動ロボット100が実
際に行った全身運動パターンを求めることができる。
【0084】さらに、運動制御モジュール300には、
姿勢センサ351や左右足底の接地確認センサ352及
び353の検出信号が入力される。これら検出信号や算
出された実際の動作パターンなどを基に、脚式移動ロボ
ット100の全身協調運動を適応的に制御することがで
きる。
【0085】図4には図示しなかったが、脚式移動ロボ
ット100の所定部位に力センサや接触センサ、温度セ
ンサなどをさらに配備してもよい。運動制御モジュール
300は、これらのセンサから取り込まれる力覚デー
タ、触覚データ、温度データを適応制御のために活用す
ることができる。
【0086】また、運動制御モジュール300は、さら
に、新たに受け取った指令と自分が以前戻した処理状況
との関係を照合して、思考制御モジュール200が正常
に動作しているかどうかをチェックする異常検出機能を
有している。思考制御モジュール200の異常を発見し
たときの処理手順については後述に譲る。
【0087】図5に示すように、思考制御モジュール2
00と運動制御モジュール300の間には、運動制御モ
ジュール停止信号と思考制御モジュール・リセット信号
という各ハードウェア制御信号線が設けられている。こ
れら制御信号線は、一方の制御モジュールが他方の制御
モジュールの異常処理を発見したときに用いられるが、
この点も後述に譲る。
【0088】本実施例に係る脚式移動ロボット100
は、安定な状態で制御を行い、システム全体の保全を図
るために、あらかじめ規定されている状態遷移に則って
行動するようになっている。図6には、脚式移動ロボッ
ト100の状態遷移を図解している。
【0089】同図に示すように、本実施例に係る脚式移
動ロボット100は、直立不動、すなわち「立った状態
で停止」する状態を起点として、「前進」、「前進中方
向転換」、「後退」、「後進中方向転換」、「座る」、
「その場の方向転換」、「寝る」、「キック」などの各
状態を具備し、思考制御モジュール200において決定
された意思に従った状態に遷移することができる。
【0090】また、同図からも分かるように、「立った
状態で停止」以外の状態間を直接移行することはできな
い。例えば、「前進」から「後退」へ(又はその逆)、
あるいは「前進」から「寝る」へ(又はその逆)、状態
を変化させるためには、一旦「立った状態で停止」状態
に復帰しなければならない。また、「前進中方向転換」
や「後進中方向転換」などの状態は、それぞれ、一旦
「前進」又は「後退」の各状態を経由しないと移行する
ことはできない。脚式移動ロボット100におけるこの
ような状態遷移の規則は、現実の人間の行動パターンや
動作メカニズムに則して取り決めることもできる。
【0091】次いで、思考制御モジュール200及び運
動制御モジュール300の各々が正常処理及び異常処理
を行った場合の処理手順について説明する。
【0092】(1)正常処理を行っている例 例えば、運動制御モジュール300が、思考制御モジュ
ール200が発行した意思決定に従って、「立った状態
で停止」する状態で全身協調運動を制御しているとす
る。
【0093】このとき、さらに思考制御モジュール20
0が「前進」という指令を発行したとする。
【0094】「立った状態で停止」から「前進」への移
行は、図6で記述される行動規則に反しない。そこで、
運動制御モジュール300は、思考制御モジュール20
0が正常に動作していることを判断した上で、全身協調
運動を「前進」に切り替えて実行する。
【0095】また、運動制御モジュール300は、「前
進」という動作制御の処理状況を思考制御モジュール2
00に戻す。
【0096】この処理状況の通知を受けた思考制御モジ
ュール200は、自己が直前に発行した意思決定に適う
ものであることから、運動制御モジュール300が正常
に動作していることを確認することができる。
【0097】(2)運動制御モジュール300が異常処
理を行う例 例えば、運動制御モジュール300が、思考制御モジュ
ール200が発行した意思決定に従って、「立った状態
で停止」する状態で全身協調運動を制御しているとす
る。
【0098】このとき、さらに思考制御モジュール20
0が「前進」という指令を発行したとする。「立った状
態で停止」から「前進」への移行は、図6で記述される
行動規則に反しない。
【0099】これに対して、運動制御モジュール300
は、「前進」という意思決定に反して「寝る」という前
進協調運動を実行する。この場合、運動制御モジュール
300は、「寝る」という動作制御の処理状況を思考制
御モジュール200に戻すことになる。
【0100】この処理状況の通知を受けた思考制御モジ
ュール200は、自己が直前に発行した意思決定に反す
るものであることから、運動制御モジュール300が異
常動作していることを発見することができる。
【0101】異常発見に応答して、思考制御モジュール
200は、運動制御モジュール300の停止信号をイネ
ーブルして、運動制御モジュール300を停止せしめ
る。この結果、異常動作を継続して関節アクチュエータ
などの駆動系が暴走して災害が発生する、という事態を
未然に防止することができる。
【0102】(3)思考制御モジュール200が異常処
理を行う例 例えば、運動制御モジュール300が、思考制御モジュ
ール200による意思決定に従って、「前進」する全身
協調運動の制御を継続的に実行しているとする。図6を
見ても判るように、この状態からは、「立った状態で停
止」又は「前進中方向転換」という2つの状態にしか遷
移することはできない。
【0103】このとき、さらに思考制御モジュール20
0が「寝る」という指令を発行したとする。「前進」状
態から「寝る」への移行は、明らかに、図6で記述され
る行動規則に違反する。
【0104】したがって、運動制御モジュール300
は、「寝る」という意思決定を受け取ったことにより、
思考制御モジュール200が異常処理していることを発
見することができる。
【0105】このような異常発見に応答して、運動制御
モジュール300は、さらに誤った意思決定を受け取る
ことにより暴走する危険を回避するために、最も安全な
状態である「立った状態で停止」する状態に退避する。
【0106】さらに、運動制御モジュール200は、思
考制御モジュール200のリセット信号をイネーブルし
て、思考制御モジュール200をリセットする。そし
て、運動制御モジュール200は、思考制御モジュール
200が再起動して正常動作を回復するまで待機する。
【0107】上記で説明した例では、不正な意思決定や
処理状況の通知に基づいて異常と判断するものである。
この他にも、一定時間内に指示通りに状態が遷移しない
場合や、意味不明な意思決定や処理状況の通知を行う場
合も、同様に異常と判断することができよう。また、脚
式移動ロボット100の運動制御に感する状態遷移図の
内容次第で、異常と判断される状況も異なったものとな
ることもある。
【0108】[追補]以上、特定の実施例を参照しなが
ら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発
明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や
代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示とい
う形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈
されるべきではない。本発明の要旨を判断するために
は、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきで
ある。
【0109】
【発明の効果】以上詳記したように、本発明によれば、
制御系を機上に搭載して自律的な駆動を行うことができ
る、優れた脚式移動型ロボットの制御システムを提供す
ることができる。
【0110】また、本発明によれば、関節アクチュエー
タの駆動などを制御する運動制御系とユーザ入力などに
動的に反応して情緒判断や感情表現を司る思考制御系の
双方を機上に搭載する、優れた脚式移動型ロボットの制
御システムを提供することができる。
【0111】また、本発明によれば、運動制御系と思考
制御系の双方を機上に搭載するとともにシステムの保全
が充分に図られた、優れた脚式移動ロボットの制御シス
テムを提供することができる。
【0112】また、本発明によれば、運動制御系と思考
制御系の双方を機上に搭載するとともに、一方の制御系
に異常をきたした場合であっても最小限のダメージで作
業を回復することができる、優れた脚式移動ロボットの
制御システムを提供することができる。
【0113】本発明に係る脚式移動ロボットによれば、
運動制御及び思考制御のそれぞれの制御モジュールは、
互いに状況を確認し合いながら動作することで、異常処
理を検出することができる。また、一方の制御モジュー
ルが異常処理を起こしても、他方の正常動作する制御モ
ジュールによって正常処理に導くことが可能である。
【0114】例えば、図3に示すように体幹部に屈曲部
(体幹部ピッチ軸又はロール軸)を持つタイプの脚式移
動ロボットであれば、該屈曲部よりも上方に思考系制御
モジュールを配置するとともに、下方に運動系制御モジ
ュールを配置することによって、該屈曲部を通過する配
線数を削減することができる。また、主要な運動系であ
る脚部に近い部位に運動系制御モジュールが配設される
とともに、画像入力や音声入出力などを行う頭部に近い
方に思考系制御モジュールが配設される結果として、シ
ステム全体の配線長も削減することができる。
【0115】本発明に係る脚式移動ロボットの構成によ
れば、上体のみ、あるいは下体のみの交換が可能となる
ので、上下半身のいずれか一方における新機能の追加や
メンテナンス作業が容易になるなどの利点がある。
【0116】2足による脚式移動ロボットの場合、一般
に、姿勢安定制御を行うために各関節アクチュエータの
制御周期を短く設定する必要がある。画像(視覚)や音
声(聴覚)などの処理も姿勢安定制御と同様に計算機負
荷が大きく、単一のプロセッサで全てを処理すると、
「関節の制御周期が揺らぐ」とか、「目標時間内に画像
や音声の処理が完了しない」といった事態が発生する懸
念がある。これに対し、本発明に係る脚式移動ロボット
は、運動制御系と思考制御系を処理プロセッサ・レベル
で分離・独立させているので、処理が安定し、且つ、自
由度の高い2足歩行制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に供される脚式移動ロボット10
0を前方から眺望した様子を示た図である。
【図2】本発明の実施に供される脚式移動ロボット10
0を後方から眺望した様子を示た図である。
【図3】本実施例に係る脚式移動ロボット100が具備
する自由度構成モデルを模式的に示した図である。
【図4】本実施例に係る脚式移動ロボット100の制御
システム構成を模式的に示した図である。
【図5】脚式移動ロボット100内において、思考制御
モジュール200及び運動制御モジュール300間で行
われるデータ転送の様子を示した図である。
【図6】脚式移動ロボット100の行動を規定した状態
遷移図である。
【符号の説明】
1…頭部,2…首関節ヨー軸 3…首関節ピッチ軸,4…首関節ロール軸 5…体幹ピッチ軸,6…体幹ロール軸 7…体幹ヨー軸,8…肩関節ピッチ軸 9…肩関節ロール軸,10…上腕ヨー軸 11…肘関節ピッチ軸,12…前腕ヨー軸 13…手首関節ピッチ軸,14…手首関節ロール軸 15…手部,16…股関節ヨー軸 17…股関節ピッチ軸,18…股関節ロール軸 19…膝関節ピッチ軸,20…足首関節ピッチ軸 21…足首関節ロール軸,22…足部(足底) 30…頭部ユニット,40…体幹部ユニット 50…腕部ユニット,51…上腕ユニット 52…肘関節ユニット,53…前腕ユニット 60…脚部ユニット,61…大腿部ユニット 62…膝関節ユニット,63…脛部ユニット 80…制御ユニット,81…主制御部 82…周辺回路 91,92…接地確認センサ 93…姿勢センサ 100…脚式移動ロボット 200…思考制御モジュール 201…バス・インターフェース 211…CPU,212…RAM,213…ROM 214…外部記憶装置 251…画像入力装置(CCDカメラ) 252…音声入力装置(マイク) 253…音声出力装置(スピーカ) 254…通信インターフェース 300…運動制御モジュール 301…バス・インターフェース 311…CPU,312…RAM,313…ROM 314…外部記憶装置 351…姿勢センサ 352,353…接地確認センサ 354…電源制御装置

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2以上の可動脚からなる下肢部と、該下肢
    部の上方に配設された上体とで構成される脚式移動ロボ
    ットの制御装置であって、 前記脚式移動ロボットにおける情緒判断や感情表現を司
    り、意思決定を行う思考制御モジュールと、 前記思考制御モジュールが決定した意思に従って前記下
    肢部及び/又は上体を用いた運動を制御する運動制御モ
    ジュールと、を具備することを特徴とする脚式移動ロボ
    ットの制御システム。
  2. 【請求項2】前記脚式移動ロボットは、周囲環境を撮像
    する画像入力装置、周辺で発生する音声を入力する音声
    入力装置、外部システムとデータやコマンドを授受する
    通信インターフェースを備え、 前記思考制御モジュールは、前記画像入力装置から入力
    された画像データ、前記音声入力装置から入力された音
    声データ、又は、前記通信インターフェース経由で受信
    したデータやコマンドのうち少なくとも1つに基づいて
    意思を決定することを特徴とする請求項1に記載の脚式
    移動ロボットの制御システム。
  3. 【請求項3】前記運動制御モジュールは、前記思考制御
    モジュールの意思決定に応じて前記下肢部及び/又は上
    体を用いた運動を制御するとともに、該運動の処理状況
    を前記思考制御モジュールに返すことを特徴とする請求
    項1に記載の脚式移動ロボットの制御システム。
  4. 【請求項4】前記思考制御モジュール及び運動制御モジ
    ュールは、共通のプラットフォームで構築され、両者間
    はバス・インターフェース経由で接続されていることを
    特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボットの制御シ
    ステム。
  5. 【請求項5】前記上体は屈曲構造を有する体幹部を含
    み、 前記思考制御モジュールは該屈曲構造の上方に配設され
    るとともに、前記運動制御モジュールは該屈曲構造の下
    方に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の
    脚式移動ロボットの制御システム。
  6. 【請求項6】前記運動制御モジュールは前記可動脚に近
    い部位に配設されていることを特徴とする請求項1に記
    載の脚式移動ロボットの制御システム。
  7. 【請求項7】前記思考制御モジュール及び運動制御モジ
    ュールは所定の状態遷移規則に従って動作することを特
    徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボットの制御シス
    テム。
  8. 【請求項8】前記思考制御モジュール及び運動制御モジ
    ュールは所定の状態遷移規則に従って動作し、前記運動
    制御モジュールは、前記思考制御モジュールから前記状
    態繊維規則に反した順序で意思決定を受け取ったことに
    より前記思考制御モジュールが異常処理していると判断
    することを特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボッ
    トの制御システム。
  9. 【請求項9】前記思考制御モジュール及び運動制御モジ
    ュールは所定の状態遷移規則に従って動作し、前記思考
    制御モジュールは、自分が発行した意思決定とは無関係
    の処理状況が前記運動制御モジュールから返されたこと
    により前記運動制御モジュールが異常処理していると判
    断することを特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボ
    ットの制御システム。
  10. 【請求項10】前記思考制御モジュール及び運動制御モ
    ジュールは所定の状態遷移規則に従って動作し、前記思
    考制御モジュールは、意思決定を発行してから所定時間
    内に前記運動制御モジュールが該決定に従った処理状況
    を返さなかったことにより前記運動制御モジュールが異
    常処理していると判断することを特徴とする請求項1に
    記載の脚式移動ロボットの制御システム。
  11. 【請求項11】前記思考制御モジュール及び運動制御モ
    ジュールは所定の状態遷移規則に従って動作し、前記運
    動制御モジュールは、前記思考制御モジュールが前記状
    態遷移規則上で意味不明の意思決定を指示したことによ
    り前記思考制御モジュールが異常処理していると判断す
    ることを特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボット
    の制御システム。
  12. 【請求項12】前記思考制御モジュール及び運動制御モ
    ジュールは所定の状態遷移規則に従って動作し、前記思
    考制御モジュールは、前記運動制御モジュールが前記状
    態遷移規則上で意味不明の処理状況を返したことにより
    前記運動制御モジュールが異常処理していると判断する
    ことを特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボットの
    制御システム。
  13. 【請求項13】前記思考制御モジュールは、前記運動制
    御モジュールの動作を停止せしめる停止手段を有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボットの制
    御システム。
  14. 【請求項14】前記思考制御モジュールは、前記運動制
    御モジュールが異常処理していると判断したことに応答
    して、前記運動制御モジュールの動作を停止せしめるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボットの制
    御システム。
  15. 【請求項15】前記運動制御モジュールは、前記思考制
    御モジュールを再起動せしめる再起動手段を有すること
    を特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボットの制御
    システム。
  16. 【請求項16】前記運動制御モジュールは、前記思考制
    御モジュールが異常処理していると判断したことに応答
    して、前記思考制御モジュールを再起動せしめることを
    特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボットの制御シ
    ステム。
  17. 【請求項17】前記運動制御モジュールは、前記思考制
    御モジュールが異常処理していると判断したことに応答
    して、前記下肢部及び/又は上体を所定の状態に退避す
    ることを特徴とする請求項1に記載の脚式移動ロボット
    の制御システム。
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