JP2004066178A - 排水処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排水の処理効率の低下を十分防止でき且つランニングコストを十分低減できる排水処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、被処理排水を嫌気性処理槽1で嫌気性処理した後、固液分離槽3で固液分離して処理排水を得る排水処理装置において、固液分離槽3の槽内液6を固液分離して処理排水を得る繊維状体束10を有し、固液分離槽3に設けられるろ過体8、嫌気性処理槽1で得られるバイオガスを用いてろ過体8の繊維状体束10を逆洗する逆洗手段を備える排水処理装置である。この発明によれば、繊維状体束10に目詰まりが起こった場合に、逆洗手段により、嫌気性処理槽1で得られるバイオガスを用いて繊維状体束10を逆洗すると繊維状体束10の目詰まりが十分に解消され、また繊維状体束10の逆洗にバイオガスが用いられるため、ランニングコストを大幅に低減できる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、被処理排水を嫌気性処理槽1で嫌気性処理した後、固液分離槽3で固液分離して処理排水を得る排水処理装置において、固液分離槽3の槽内液6を固液分離して処理排水を得る繊維状体束10を有し、固液分離槽3に設けられるろ過体8、嫌気性処理槽1で得られるバイオガスを用いてろ過体8の繊維状体束10を逆洗する逆洗手段を備える排水処理装置である。この発明によれば、繊維状体束10に目詰まりが起こった場合に、逆洗手段により、嫌気性処理槽1で得られるバイオガスを用いて繊維状体束10を逆洗すると繊維状体束10の目詰まりが十分に解消され、また繊維状体束10の逆洗にバイオガスが用いられるため、ランニングコストを大幅に低減できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排水処理装置に係り、より詳細には、嫌気性処理によりバイオガスを発生させる嫌気性処理槽と、嫌気性処理槽で嫌気性処理された排水を固液分離する固液分離槽とを備えた排水処理装置に関する。
【0002】
【従来技術】
排水処理装置として、従来から、メタン発酵により排水中の有機物を分解すると共にメタンガス等のバイオガスを発生する嫌気性処理槽がよく知られている。ところが、嫌気性処理槽においては、槽内液中の揮発性脂肪酸の濃度が2,000〜3,000mg/lを超えると、メタン発酵が阻害されると言われており、この場合、嫌気性処理が十分に行われなくなる。
【0003】
このため、排水処理装置においては、嫌気性処理槽のほかに、嫌気性処理槽で嫌気性処理された排水を膜分離する膜分離装置が設けられる場合があり、膜分離装置で分離された排水の一部が嫌気性処理槽に返送され、揮発性脂肪酸の濃度が希釈され、メタン発酵の阻害防止が図られている。
【0004】
このような排水処理装置においては、膜分離装置において膜の目詰まりが起こるため膜の洗浄を行う必要があるが、膜分離装置で分離された排水の一部が嫌気性処理槽に返送されるため、膜の洗浄は通常、嫌気性ガス(例えばバイオガス(CO2+CH4))を膜に接触させることによって行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した排水処理装置は以下に示す課題を有する。
【0006】
即ち上記排水処理装置においては、膜に嫌気性ガスを接触させることによって膜の洗浄を行うが、嫌気性ガスが不足した場合には、これを新たに用意し補給しなければならず、ランニングコストが大きくなる。
【0007】
また、嫌気性ガスを膜に接触させることによって洗浄を行う場合、洗浄効果が不十分で、膜処理能力を当初の膜処理能力まで回復させることは困難であり、時間の経過に伴う排水の処理効率の低下を十分に防止できない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ランニングコストを十分に低減でき、且つ排水の処理効率の低下を十分に防止できる排水処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、膜に代えて繊維状体束を用い、且つ嫌気性処理槽で得られるバイオガスを逆洗用のガスとして用いることにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明は、被処理排水を嫌気性処理槽で嫌気性処理した後、固液分離槽で固液分離して処理排水を得る排水処理装置において、固液分離槽の槽内液を固液分離して処理排水を得る繊維状体束を有するろ過体と、嫌気性処理槽で得られるバイオガスを用いてろ過体の繊維状体束を逆洗する逆洗手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、被処理排水が嫌気性処理槽で嫌気性処理された後、固液分離槽に設けられたろ過体の繊維状体束によって固液分離され、処理排水が得られる。このとき、繊維状体束に目詰まりが起こった場合には、逆洗手段により、嫌気性処理槽で得られるバイオガスを用いて繊維状体束が逆洗され、繊維状体束の目詰まりが十分に解消され、ろ過能力を十分に回復させることができる。また、繊維状体束の逆洗に、嫌気性処理槽で得られるバイオガスが利用されるため、繊維状体束の逆洗に使用するガスにかかるランニングコストを大幅に低減できる。
【0012】
上記排水処理装置は、繊維状体束によって得られる処理排水の一部を前記嫌気性処理槽に返送する返送手段を更に備えることが好ましい。
【0013】
返送手段により処理排水の一部が嫌気性処理槽に返送されることで、嫌気性処理槽の槽内液中の揮発性脂肪酸の濃度が希釈され、メタン発酵の阻害を十分に防止することができる。
【0014】
また、上記排水処理装置は、嫌気性処理槽で得られるバイオガスを用いて前記固液分離槽の槽内液を曝気する曝気手段を更に有し、前記逆洗手段は、前記固液分離槽の槽内液の曝気に使用されたバイオガスを用いて前記繊維状体束を逆洗するものであることが好ましい。
【0015】
この場合、曝気手段により、嫌気性処理槽で得られるバイオガスを用いて固液分離槽の槽内液が曝気され、曝気に使用されたバイオガスが逆洗手段により繊維状体束の逆洗に使用される。このため、嫌気性処理槽で得られるバイオガスが逆洗手段により繊維状体束の逆洗に直接的に使用される場合に比べてバイオガスが有効に利用されることとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の排水処理装置の一実施形態を示すフロー図である。図1において、排水処理装置は嫌気性処理槽1を備えており、嫌気性処理槽1には、被処理排水導入ラインL0を経て被処理排水が導入されるようになっている。嫌気性処理槽1は、被処理排水をメタン発酵処理し、メタンガス等のバイオガスを発生させるものである。嫌気性処理槽1で発生したバイオガスは、ガス貯留槽2に貯留されるようになっている。
【0018】
また、嫌気性処理槽1で嫌気性処理された嫌気性処理排水は、嫌気性処理排水導入ラインL1を経て固液分離槽3に導入される。固液分離槽3には、その内部に散気管4が配設され、散気管4には複数の散気ノズル4aが取り付けられている。散気管4とガス貯留槽2とはガス導入ラインL2によって接続されている。従って、ガス貯留槽2内のバイオガスは、ガス導入ラインL2、散気管4及び散気ノズル4aを経て固液分離槽3の槽内液に導入され、これにより槽内液が曝気される。なお、散気管4、散気ノズル4a及びガス導入ラインL2により曝気手段が構成されている。
【0019】
また、固液分離槽3の上部とガス貯留槽2とはガス返送ラインL3によって接続され、ガス返送ラインL3にはガス返送弁5が設置されている。従って、ガス返送弁5を開くことにより固液分離槽3の上部に溜められたバイオガスがガス貯留槽2に返送される。また固液分離槽3には、槽内液6を攪拌する攪拌装置7が設けられ、攪拌装置7により槽内液6が循環流動されるようになっている。更に、固液分離槽3の側壁3aには、槽内液6を固液分離するろ過体8が設けられている。ここで、ろ過体8について説明する。
【0020】
図2は、図1のろ過体8を拡大して示す部分断面側面図、図3は、図2のIII−III線に沿った切断面の端面図である。図2に示すように、ろ過体8は、複数本の中実状又は中空状の繊維状体9を結束して構成される繊維状体束10を備えている。繊維状体9としては、例えばナイロン製釣糸が用いられるが、その他に塩化ビニル、金属等を用いることもできる。繊維状体9の長さは、好ましくは1500mm以下である。繊維状体9の長さが1500mmを超えると、繊維状体束10において逆洗の効果が不均一となる傾向がある。繊維状体9の直径は、通常は0.1〜5mm、好ましくは0.25〜3mmである。上記範囲を外れると、繊維状体束10の作製が困難となり、コストがかかるといった不具合が生じる傾向がある。
【0021】
上記繊維状体束10は固液分離槽3の側壁3aを貫通し、一端は浸漬部11として槽内液6に浸漬され、他端は非浸漬部12として固液分離槽3の外部に突出している。そして、繊維状体束10の両端はそれぞれ結束されている。結束は、図2に示すように例えば繊維状体束10の両端をそれぞれ環状体13及び筒状シール部材14等の結束部材に嵌め込むことにより行われる。また結束は、水に不溶なエポキシ樹脂等の接着剤を繊維状体束10の両端の外周に塗布したり繊維状体束10の両端に針金やバンド状のものを巻き付けたりすることによっても可能である。ただし、短尺で且つ硬質の繊維状体9を用いて繊維状体束10を構成する場合には必ずしも繊維状体束10の両端を結束する必要はなく、いずれか一端を結束すればよい。また、繊維状体束10の結束した部分の直径は、通常10〜1000mm、好ましくは25〜600mmである。上記10〜1000mmの範囲を外れると、繊維状体束10の作製が困難となる傾向があるだけでなく、コストがかかるという不具合を生じる。更に、繊維状体束10は、通常は図3に示すように断面が円形であるが、断面は円形に限らず、四角形、三角形、楕円形等如何なる形状であってもよい。
【0022】
繊維状体束10の取付位置は、槽内液6の液面との水頭差が40kPa以下となる位置であることが好ましい。40kPaを超えると、繊維状体間9が閉塞し易くなり、透過流束が急速に低下する傾向がある。また繊維状体束10は、繊維状体束10のうち結束されていない部分(例えば環状体13と筒状シール部材14との間の部分)が少なくとも槽内液6に浸漬されるように取り付けられることが好ましい。このようにすることで、槽内液6が繊維状体束10の繊維状体9間に流入し易くなり、ろ過体8の透過流束が向上する。
【0023】
また図2に示すように、固液分離槽3の外部に突出する繊維状体束10の他端には凹状のキャップ15が嵌め込まれ、このキャップ15と繊維状体束10の端面との間に空間が形成されている。この空間の圧力は、繊維状体束10のうち槽内液6に浸漬された部分にかかる圧力よりも低くなる。従って、その圧力差により槽内液6が繊維状体束10を通り、ろ過されながらキャップ15内へ処理排水として収集されることになる。またキャップ15と固液分離槽3の側壁3aとは筒状のシール部材14によって接続され、このシール部材14により槽内液6がろ過体8の外周に沿って直接キャップ15内へ漏出しないようになっている。
【0024】
また図1に示すように、キャップ15には処理排水排出ラインL4が接続され、処理排水排出ラインL4には処理排水排出弁16が設置されている。また処理排水排出ラインL4上のキャップ15と処理排水排出弁16との間の分岐点P1と、ガス返送ラインL3上の固液分離槽3とガス返送弁5との間の分岐点P2とは逆洗ラインL5によって接続され、逆洗ラインL5上にはブロワ17が設置されている。ブロワ17と分岐点P1との間には逆洗弁18が取り付けられている。従って、ガス返送弁5、処理排水排出弁16を閉、逆洗弁18を開とし、ブロワ17を作動すると、固液分離槽3で得られるバイオガスが、逆洗ラインL5を経て処理排水排出ラインL4に導入され、繊維状体束10を通って槽内液6中に流入し、こうして繊維状体束10の逆洗が行われる。なお、ガス返送ラインL3、処理排水排出ラインL4、逆洗ラインL5、ブロワ17、処理排水排出弁16、ガス返送弁5及び逆洗弁18により逆洗手段が構成されている。
【0025】
更に、処理排水は、処理排水排出ラインL4を経て脱窒素処理装置19に導入され、ここで脱窒素処理され、脱窒素処理された処理排水は、脱窒素処理排水排出ラインL6を経て排出されるようになっている。脱窒素処理排水排出ラインL6と、被処理排水導入ラインL0とは、処理排水返送ラインL7によって接続され、これにより脱窒素処理排水が嫌気性処理槽1に返送されるようになっている。また、固液分離槽3と処理排水返送ラインL7とは濃縮液返送ラインL8によって接続され、濃縮液が嫌気性処理槽1に返送されるようになっている。
【0026】
なお、処理排水排出ラインL4、脱窒素処理装置19、処理排水返送ラインL7、脱窒素処理排水排出ラインL6、被処理排水導入ラインL0によって返送手段が構成されている。
【0027】
次に、前述した排水処理装置を用いた排水処理方法について説明する。
【0028】
まず処理排水排出弁16及びガス返送弁5を開とし、逆洗弁18を閉とする。この状態で、被処理排水導入ラインL0を経て被処理排水を嫌気性処理槽1内に導入する。嫌気性処理槽1内では、被処理排水が嫌気性処理され、被処理排水中の有機物等が分解されると共にメタンガス等のバイオガスが発生する。発生したバイオガスはガス貯留槽2に貯留される。
【0029】
嫌気性処理槽1で嫌気性処理された嫌気性処理排水は、嫌気性処理排水導入ラインL1を経て固液分離槽3に導入される。一方、ガス貯留槽2に貯留されたバイオガスは、ガス導入ラインL2、散気管4及び散気ノズル4aを経て槽内液6に導入され、これにより槽内液6が曝気され、槽内液6が循環流動される。また同時に槽内液6は攪拌装置7によって攪拌される。バイオガスで槽内液6を曝気することにより固液分離槽3の上部にバイオガスが溜まることとなるが、このバイオガスは、ガス返送ラインL3を経てガス貯留槽2に返送される。こうしてバイオガスは循環使用されることとなる。
【0030】
このとき、繊維状体束10の一端が浸漬部11として槽内液6中に浸漬されており、浸漬部11は槽内液6から水圧を受ける一方、ろ過体8の非浸漬部12は槽内液6から水圧を受けない。このため、ろ過体8の浸漬部11とキャップ15内の空間との間に差圧が発生する。従って、浸漬部11から槽内液6が侵入し、ろ過されながらキャップ15内の空間に処理排水として収集される。こうして槽内液6をろ過することで、良好な水質の処理排水を得ることができ、且つ槽内液6の処理速度も通常の膜分離法を用いた場合に比べて著しく向上させることができる。
【0031】
処理排水は、処理排水排出ラインL4を経て脱窒素処理装置19に導入され、ここで脱窒素処理される。脱窒素処理された処理排水は、脱窒素処理排水排出ラインL6を経て排出され、必要に応じて、脱窒素処理された処理排水の一部が処理排水返送ラインL7及び被処理排水導入ラインL0を経て嫌気性処理槽1に導入される。これにより、嫌気性処理槽1内の揮発性脂肪酸の濃度及び汚泥濃度が希釈され、メタン発酵の阻害が十分に防止される。また、必要に応じて、固液分離槽3の濃縮液も濃縮液返送ラインL8及び被処理排水導入ラインL0を経て嫌気性処理槽1に返送される。これにより嫌気性処理槽1内の汚泥濃度(菌体濃度)も高く維持でき、処理効率が向上する。
【0032】
次に、固液分離槽3におけるろ過体8の洗浄方法について説明する。
【0033】
上記のようにして被処理排水を処理すると、ろ過体8の繊維状体束10に次第に固形分が詰まり、ろ過体8の透過流束が低下し、固液分離槽3の槽内液の処理効率が時間と共に低下してくる。従って、ある時点でろ過体8を洗浄する必要がある。洗浄に際しては、まず処理排水排出弁16及びガス返送弁5を閉じ、逆洗弁18を開いた状態でブロワ17を作動する。すると、バイオガスは、逆洗ラインL5を経て処理排水排出ラインL4に導入された後、繊維状体束10に導入され、繊維状体束10の洗浄が行われる。このとき、嫌気性処理槽1で得られるバイオガスを用いて繊維状体束10の洗浄を行うため、洗浄用のガスにかかるランニングコストを十分に低減することができる。しかも、バイオガスとして、固液分離槽3の槽内液6の曝気に使用されたバイオガスが用いられるため、嫌気性処理槽1で得られるバイオガスを直接逆洗に使用する場合に比べてバイオガスが有効に利用されることとなる。
【0034】
また、繊維状体束10の洗浄方法が表面洗浄方式ではなく逆洗方式であるため、繊維状体束10の目詰まりを十分に解消することができ、ろ過体8のろ過能力を十分回復させることができる。従って、時間の経過に伴う被処理排水の処理効率の低下を十分に防止することができる。
【0035】
逆洗時の圧力は、浸漬部11にかかる槽内液6の水圧より高ければよく、通常は10〜1000kPaである。これにより繊維状体9に捕捉される懸濁物質等の固形分がバイオガスによって繊維状体9の間から槽内液6中に戻され、これによってろ過体8のろ過性能が回復し、透過流束がもとに戻る。
【0036】
逆洗は例えば定時的に行う。この場合、例えばガス返送弁5、処理排水排出弁16及び逆洗弁18を自動化し、タイマーにより、一定時間ガス返送弁5及び処理排水排出弁16を閉じて逆洗弁18を開くようにする。そして、逆洗が終了したときにはガス返送弁5及び処理排水排出弁16を開いて逆洗弁18を閉じる。
【0037】
逆洗の頻度は、好ましくはろ過時間2〜1500分に1度である。2分未満では、洗浄の頻度が多すぎて処理排水の回収率が低下する傾向があり、1500分を超えると、固形分がろ過体8に過剰に捕捉されて透過流束が低下する傾向がある。
【0038】
1回あたりの逆洗時間は、2〜200秒が好ましい。逆洗時間が2秒未満では十分な洗浄が行えず、ろ過能力の回復が不十分となる傾向があり、200秒を超えると、洗浄時間を増やしてもろ過能力の回復の度合いが変わらなくなる傾向がある。
【0039】
次に本発明の排水処理装置の第2実施形態について図4を用いて説明する。なお、図4において、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付す。
【0040】
本実施形態の排水処理装置は、図4に示すように、まずろ過体8全体が槽内液6中に浸漬されている点で第1実施形態の排水処理装置と相違する。すなわち繊維状体束10の一端(浸漬部)11、シール部材14及びキャップ15が槽内液6に浸漬されており、繊維状体束10の他端(非浸漬部)12はキャップ15内に収容され、槽内液6に浸漬されていない。
【0041】
この場合でも、ろ過体8においては、繊維状体束10の浸漬部11にかかる圧力が非浸漬部12にかかる圧力よりも大きくなる。従って、ろ過体8によって槽内液6がろ過されながら処理排水としてキャップ15内へ収集される。こうして槽内液6をろ過することで、良好な水質の処理排水を得ることができ、且つ槽内液6の処理速度も通常の膜分離法を用いた場合に比べて著しく向上させることができる。
【0042】
また、ろ過体8の洗浄は、第1実施形態と同様に、固液分離槽3に溜められたバイオガスを利用して行われるため、ろ過体8の洗浄に使用するガスにかかるランニングコストを十分に低減できる。また、ろ過体8の洗浄方法は逆洗方式であるため、表面洗浄方式に比べて、繊維状体9間に挟まれた固形物等を効果的に除去することができる。
【0043】
なお、本発明は、前述した第1及び第2実施形態に限定されるものではない。例えば上記第1及び第2実施形態では、ろ過体8が固液分離槽3の側壁3aを貫通してその一部が槽内液6に浸漬されたり、ろ過体8全体が槽内液6中に浸漬されたりしているが、少なくともろ過体8の一部が槽内液6に浸漬されていればその取付位置は限定されず、ろ過体8は固液分離槽3の底部を貫通するように取り付けられていても良い。
【0044】
また、第1及び第2実施形態では、ろ過体8によって処理排水を得るに際して吸引ポンプを用いていないが、吸引ポンプを用いて槽内液6を吸引し、処理排水を得るようにしてもよい。
【0045】
更に、ろ過体8の逆洗は、上記第1及び第2実施形態に記載された方法に限定されず、以下のように行うこともできる。すなわち処理排水排出ラインL4に流量計を設置し、流量計で測定された槽内液6の透過流束が所定値(例えば10m3/m2/d)以下まで低下したときに例えば2〜200秒間ろ過体8の逆洗を行うようにしてもよい。この場合、流量計で測定される透過流束に基づき、ガス返送弁5、処理排水排出弁16及び逆洗弁18の開閉を制御する制御装置を用いることが好ましい。
【0046】
更にまた、上記第1及び第2実施形態では、ガス貯留槽2に貯留されたバイオガスを一旦固液分離槽3における散気に使用し、その散気に使用したバイオガスをろ過体8の逆洗に使用しているが、ガス貯留槽2で貯留されたバイオガスを直接ろ過体8の逆洗に用いても良い。
【0047】
また、上記第1及び第2実施形態では、処理排水排出ラインL4に脱窒素処理装置19が接続され、脱窒素処理装置19で脱窒素処理された排水が嫌気性処理槽1に返送されているが、本発明において、脱窒素処理装置19は必ずしも必要なものではない。排水処理装置において脱窒素処理装置19を設けない場合、嫌気性処理槽1の槽内液中の揮発性脂肪酸の濃度を希釈するには、処理排水排出ラインL4を通る処理排水の一部を嫌気性処理槽1に返送すればよい。
【0048】
本発明の排水処理装置は、例えばし尿、浄化槽汚泥、下水汚泥、農集汚泥、家畜糞尿、生ごみ、食品廃棄物など、性状や濃度の異なる有機性廃棄物を一括して処理し、有用物質を回収して資源化する廃棄物処理装置に適用することができる。
【0049】
図5は、本発明の排水処理装置を適用した廃棄物処理装置の一例を示すフロー図である。この廃棄物処理装置は、し尿、浄化槽汚泥、下水汚泥、農集汚泥、家畜糞尿、生ごみ、食品廃棄物など、性状や濃度の異なる有機性廃棄物を一括して処理し、有用物質を回収して資源化するものである。
【0050】
図5に示すように、し尿、浄化槽汚泥、下水汚泥、農集汚泥、家畜糞尿は、除渣装置20で除渣された後、脱水機21で液状廃棄物と固形廃棄物とに分離される。そして、固形廃棄物は、コンポスト化装置22で堆肥化される。
【0051】
一方、生ごみ、食品廃棄物は、破砕・分別装置23で破砕されると共に液状物と、プラスチックやビニール等とに分別され、液状物が上記の液状廃棄物とともに被処理排水として排水処理装置24に導入される。
【0052】
この場合、排水処理装置24が、逆洗用ガスにかかるランニングコストを十分低減でき、排水の処理効率の低下を十分に防止できるため、廃棄物処理装置全体としても、ランニングコストを低減でき、廃棄物の処理効率の低下を十分に防止できる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の排水処理装置によれば、繊維状体束に目詰まりが起こる場合に、逆洗手段により、嫌気性処理槽で得られるバイオガスを用いて繊維状体束を逆洗することで、ランニングコストを大幅に低減できると共に、排水の処理効率の低下を十分に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排水処理装置の第1実施形態を示すフロー図である。
【図2】図1のろ過体を拡大して示す部分断面側面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った切断面端面図である。
【図4】本発明の排水処理装置の第2実施形態を示すフロー図である。
【図5】本発明の排水処理装置を適用した廃棄物処理装置の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1…嫌気性処理槽、3…固液分離槽、5…ガス返送弁(逆洗手段)、10…繊維状体束、16…処理排水排出弁(逆洗手段)、17…ブロワ(逆洗手段)、18…逆洗弁(逆洗手段)、L3…ガス返送ライン(逆洗手段)、L4…処理排水排出ライン(逆洗手段)、L5…逆洗ライン(逆洗手段)、L0…被処理排水導入ライン(返送手段)、19…脱窒素処理装置(返送手段)、L6…脱窒素処理排水排出ライン(返送手段)、L7…処理排水返送ライン(返送手段)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、排水処理装置に係り、より詳細には、嫌気性処理によりバイオガスを発生させる嫌気性処理槽と、嫌気性処理槽で嫌気性処理された排水を固液分離する固液分離槽とを備えた排水処理装置に関する。
【0002】
【従来技術】
排水処理装置として、従来から、メタン発酵により排水中の有機物を分解すると共にメタンガス等のバイオガスを発生する嫌気性処理槽がよく知られている。ところが、嫌気性処理槽においては、槽内液中の揮発性脂肪酸の濃度が2,000〜3,000mg/lを超えると、メタン発酵が阻害されると言われており、この場合、嫌気性処理が十分に行われなくなる。
【0003】
このため、排水処理装置においては、嫌気性処理槽のほかに、嫌気性処理槽で嫌気性処理された排水を膜分離する膜分離装置が設けられる場合があり、膜分離装置で分離された排水の一部が嫌気性処理槽に返送され、揮発性脂肪酸の濃度が希釈され、メタン発酵の阻害防止が図られている。
【0004】
このような排水処理装置においては、膜分離装置において膜の目詰まりが起こるため膜の洗浄を行う必要があるが、膜分離装置で分離された排水の一部が嫌気性処理槽に返送されるため、膜の洗浄は通常、嫌気性ガス(例えばバイオガス(CO2+CH4))を膜に接触させることによって行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した排水処理装置は以下に示す課題を有する。
【0006】
即ち上記排水処理装置においては、膜に嫌気性ガスを接触させることによって膜の洗浄を行うが、嫌気性ガスが不足した場合には、これを新たに用意し補給しなければならず、ランニングコストが大きくなる。
【0007】
また、嫌気性ガスを膜に接触させることによって洗浄を行う場合、洗浄効果が不十分で、膜処理能力を当初の膜処理能力まで回復させることは困難であり、時間の経過に伴う排水の処理効率の低下を十分に防止できない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ランニングコストを十分に低減でき、且つ排水の処理効率の低下を十分に防止できる排水処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、膜に代えて繊維状体束を用い、且つ嫌気性処理槽で得られるバイオガスを逆洗用のガスとして用いることにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明は、被処理排水を嫌気性処理槽で嫌気性処理した後、固液分離槽で固液分離して処理排水を得る排水処理装置において、固液分離槽の槽内液を固液分離して処理排水を得る繊維状体束を有するろ過体と、嫌気性処理槽で得られるバイオガスを用いてろ過体の繊維状体束を逆洗する逆洗手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、被処理排水が嫌気性処理槽で嫌気性処理された後、固液分離槽に設けられたろ過体の繊維状体束によって固液分離され、処理排水が得られる。このとき、繊維状体束に目詰まりが起こった場合には、逆洗手段により、嫌気性処理槽で得られるバイオガスを用いて繊維状体束が逆洗され、繊維状体束の目詰まりが十分に解消され、ろ過能力を十分に回復させることができる。また、繊維状体束の逆洗に、嫌気性処理槽で得られるバイオガスが利用されるため、繊維状体束の逆洗に使用するガスにかかるランニングコストを大幅に低減できる。
【0012】
上記排水処理装置は、繊維状体束によって得られる処理排水の一部を前記嫌気性処理槽に返送する返送手段を更に備えることが好ましい。
【0013】
返送手段により処理排水の一部が嫌気性処理槽に返送されることで、嫌気性処理槽の槽内液中の揮発性脂肪酸の濃度が希釈され、メタン発酵の阻害を十分に防止することができる。
【0014】
また、上記排水処理装置は、嫌気性処理槽で得られるバイオガスを用いて前記固液分離槽の槽内液を曝気する曝気手段を更に有し、前記逆洗手段は、前記固液分離槽の槽内液の曝気に使用されたバイオガスを用いて前記繊維状体束を逆洗するものであることが好ましい。
【0015】
この場合、曝気手段により、嫌気性処理槽で得られるバイオガスを用いて固液分離槽の槽内液が曝気され、曝気に使用されたバイオガスが逆洗手段により繊維状体束の逆洗に使用される。このため、嫌気性処理槽で得られるバイオガスが逆洗手段により繊維状体束の逆洗に直接的に使用される場合に比べてバイオガスが有効に利用されることとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の排水処理装置の一実施形態を示すフロー図である。図1において、排水処理装置は嫌気性処理槽1を備えており、嫌気性処理槽1には、被処理排水導入ラインL0を経て被処理排水が導入されるようになっている。嫌気性処理槽1は、被処理排水をメタン発酵処理し、メタンガス等のバイオガスを発生させるものである。嫌気性処理槽1で発生したバイオガスは、ガス貯留槽2に貯留されるようになっている。
【0018】
また、嫌気性処理槽1で嫌気性処理された嫌気性処理排水は、嫌気性処理排水導入ラインL1を経て固液分離槽3に導入される。固液分離槽3には、その内部に散気管4が配設され、散気管4には複数の散気ノズル4aが取り付けられている。散気管4とガス貯留槽2とはガス導入ラインL2によって接続されている。従って、ガス貯留槽2内のバイオガスは、ガス導入ラインL2、散気管4及び散気ノズル4aを経て固液分離槽3の槽内液に導入され、これにより槽内液が曝気される。なお、散気管4、散気ノズル4a及びガス導入ラインL2により曝気手段が構成されている。
【0019】
また、固液分離槽3の上部とガス貯留槽2とはガス返送ラインL3によって接続され、ガス返送ラインL3にはガス返送弁5が設置されている。従って、ガス返送弁5を開くことにより固液分離槽3の上部に溜められたバイオガスがガス貯留槽2に返送される。また固液分離槽3には、槽内液6を攪拌する攪拌装置7が設けられ、攪拌装置7により槽内液6が循環流動されるようになっている。更に、固液分離槽3の側壁3aには、槽内液6を固液分離するろ過体8が設けられている。ここで、ろ過体8について説明する。
【0020】
図2は、図1のろ過体8を拡大して示す部分断面側面図、図3は、図2のIII−III線に沿った切断面の端面図である。図2に示すように、ろ過体8は、複数本の中実状又は中空状の繊維状体9を結束して構成される繊維状体束10を備えている。繊維状体9としては、例えばナイロン製釣糸が用いられるが、その他に塩化ビニル、金属等を用いることもできる。繊維状体9の長さは、好ましくは1500mm以下である。繊維状体9の長さが1500mmを超えると、繊維状体束10において逆洗の効果が不均一となる傾向がある。繊維状体9の直径は、通常は0.1〜5mm、好ましくは0.25〜3mmである。上記範囲を外れると、繊維状体束10の作製が困難となり、コストがかかるといった不具合が生じる傾向がある。
【0021】
上記繊維状体束10は固液分離槽3の側壁3aを貫通し、一端は浸漬部11として槽内液6に浸漬され、他端は非浸漬部12として固液分離槽3の外部に突出している。そして、繊維状体束10の両端はそれぞれ結束されている。結束は、図2に示すように例えば繊維状体束10の両端をそれぞれ環状体13及び筒状シール部材14等の結束部材に嵌め込むことにより行われる。また結束は、水に不溶なエポキシ樹脂等の接着剤を繊維状体束10の両端の外周に塗布したり繊維状体束10の両端に針金やバンド状のものを巻き付けたりすることによっても可能である。ただし、短尺で且つ硬質の繊維状体9を用いて繊維状体束10を構成する場合には必ずしも繊維状体束10の両端を結束する必要はなく、いずれか一端を結束すればよい。また、繊維状体束10の結束した部分の直径は、通常10〜1000mm、好ましくは25〜600mmである。上記10〜1000mmの範囲を外れると、繊維状体束10の作製が困難となる傾向があるだけでなく、コストがかかるという不具合を生じる。更に、繊維状体束10は、通常は図3に示すように断面が円形であるが、断面は円形に限らず、四角形、三角形、楕円形等如何なる形状であってもよい。
【0022】
繊維状体束10の取付位置は、槽内液6の液面との水頭差が40kPa以下となる位置であることが好ましい。40kPaを超えると、繊維状体間9が閉塞し易くなり、透過流束が急速に低下する傾向がある。また繊維状体束10は、繊維状体束10のうち結束されていない部分(例えば環状体13と筒状シール部材14との間の部分)が少なくとも槽内液6に浸漬されるように取り付けられることが好ましい。このようにすることで、槽内液6が繊維状体束10の繊維状体9間に流入し易くなり、ろ過体8の透過流束が向上する。
【0023】
また図2に示すように、固液分離槽3の外部に突出する繊維状体束10の他端には凹状のキャップ15が嵌め込まれ、このキャップ15と繊維状体束10の端面との間に空間が形成されている。この空間の圧力は、繊維状体束10のうち槽内液6に浸漬された部分にかかる圧力よりも低くなる。従って、その圧力差により槽内液6が繊維状体束10を通り、ろ過されながらキャップ15内へ処理排水として収集されることになる。またキャップ15と固液分離槽3の側壁3aとは筒状のシール部材14によって接続され、このシール部材14により槽内液6がろ過体8の外周に沿って直接キャップ15内へ漏出しないようになっている。
【0024】
また図1に示すように、キャップ15には処理排水排出ラインL4が接続され、処理排水排出ラインL4には処理排水排出弁16が設置されている。また処理排水排出ラインL4上のキャップ15と処理排水排出弁16との間の分岐点P1と、ガス返送ラインL3上の固液分離槽3とガス返送弁5との間の分岐点P2とは逆洗ラインL5によって接続され、逆洗ラインL5上にはブロワ17が設置されている。ブロワ17と分岐点P1との間には逆洗弁18が取り付けられている。従って、ガス返送弁5、処理排水排出弁16を閉、逆洗弁18を開とし、ブロワ17を作動すると、固液分離槽3で得られるバイオガスが、逆洗ラインL5を経て処理排水排出ラインL4に導入され、繊維状体束10を通って槽内液6中に流入し、こうして繊維状体束10の逆洗が行われる。なお、ガス返送ラインL3、処理排水排出ラインL4、逆洗ラインL5、ブロワ17、処理排水排出弁16、ガス返送弁5及び逆洗弁18により逆洗手段が構成されている。
【0025】
更に、処理排水は、処理排水排出ラインL4を経て脱窒素処理装置19に導入され、ここで脱窒素処理され、脱窒素処理された処理排水は、脱窒素処理排水排出ラインL6を経て排出されるようになっている。脱窒素処理排水排出ラインL6と、被処理排水導入ラインL0とは、処理排水返送ラインL7によって接続され、これにより脱窒素処理排水が嫌気性処理槽1に返送されるようになっている。また、固液分離槽3と処理排水返送ラインL7とは濃縮液返送ラインL8によって接続され、濃縮液が嫌気性処理槽1に返送されるようになっている。
【0026】
なお、処理排水排出ラインL4、脱窒素処理装置19、処理排水返送ラインL7、脱窒素処理排水排出ラインL6、被処理排水導入ラインL0によって返送手段が構成されている。
【0027】
次に、前述した排水処理装置を用いた排水処理方法について説明する。
【0028】
まず処理排水排出弁16及びガス返送弁5を開とし、逆洗弁18を閉とする。この状態で、被処理排水導入ラインL0を経て被処理排水を嫌気性処理槽1内に導入する。嫌気性処理槽1内では、被処理排水が嫌気性処理され、被処理排水中の有機物等が分解されると共にメタンガス等のバイオガスが発生する。発生したバイオガスはガス貯留槽2に貯留される。
【0029】
嫌気性処理槽1で嫌気性処理された嫌気性処理排水は、嫌気性処理排水導入ラインL1を経て固液分離槽3に導入される。一方、ガス貯留槽2に貯留されたバイオガスは、ガス導入ラインL2、散気管4及び散気ノズル4aを経て槽内液6に導入され、これにより槽内液6が曝気され、槽内液6が循環流動される。また同時に槽内液6は攪拌装置7によって攪拌される。バイオガスで槽内液6を曝気することにより固液分離槽3の上部にバイオガスが溜まることとなるが、このバイオガスは、ガス返送ラインL3を経てガス貯留槽2に返送される。こうしてバイオガスは循環使用されることとなる。
【0030】
このとき、繊維状体束10の一端が浸漬部11として槽内液6中に浸漬されており、浸漬部11は槽内液6から水圧を受ける一方、ろ過体8の非浸漬部12は槽内液6から水圧を受けない。このため、ろ過体8の浸漬部11とキャップ15内の空間との間に差圧が発生する。従って、浸漬部11から槽内液6が侵入し、ろ過されながらキャップ15内の空間に処理排水として収集される。こうして槽内液6をろ過することで、良好な水質の処理排水を得ることができ、且つ槽内液6の処理速度も通常の膜分離法を用いた場合に比べて著しく向上させることができる。
【0031】
処理排水は、処理排水排出ラインL4を経て脱窒素処理装置19に導入され、ここで脱窒素処理される。脱窒素処理された処理排水は、脱窒素処理排水排出ラインL6を経て排出され、必要に応じて、脱窒素処理された処理排水の一部が処理排水返送ラインL7及び被処理排水導入ラインL0を経て嫌気性処理槽1に導入される。これにより、嫌気性処理槽1内の揮発性脂肪酸の濃度及び汚泥濃度が希釈され、メタン発酵の阻害が十分に防止される。また、必要に応じて、固液分離槽3の濃縮液も濃縮液返送ラインL8及び被処理排水導入ラインL0を経て嫌気性処理槽1に返送される。これにより嫌気性処理槽1内の汚泥濃度(菌体濃度)も高く維持でき、処理効率が向上する。
【0032】
次に、固液分離槽3におけるろ過体8の洗浄方法について説明する。
【0033】
上記のようにして被処理排水を処理すると、ろ過体8の繊維状体束10に次第に固形分が詰まり、ろ過体8の透過流束が低下し、固液分離槽3の槽内液の処理効率が時間と共に低下してくる。従って、ある時点でろ過体8を洗浄する必要がある。洗浄に際しては、まず処理排水排出弁16及びガス返送弁5を閉じ、逆洗弁18を開いた状態でブロワ17を作動する。すると、バイオガスは、逆洗ラインL5を経て処理排水排出ラインL4に導入された後、繊維状体束10に導入され、繊維状体束10の洗浄が行われる。このとき、嫌気性処理槽1で得られるバイオガスを用いて繊維状体束10の洗浄を行うため、洗浄用のガスにかかるランニングコストを十分に低減することができる。しかも、バイオガスとして、固液分離槽3の槽内液6の曝気に使用されたバイオガスが用いられるため、嫌気性処理槽1で得られるバイオガスを直接逆洗に使用する場合に比べてバイオガスが有効に利用されることとなる。
【0034】
また、繊維状体束10の洗浄方法が表面洗浄方式ではなく逆洗方式であるため、繊維状体束10の目詰まりを十分に解消することができ、ろ過体8のろ過能力を十分回復させることができる。従って、時間の経過に伴う被処理排水の処理効率の低下を十分に防止することができる。
【0035】
逆洗時の圧力は、浸漬部11にかかる槽内液6の水圧より高ければよく、通常は10〜1000kPaである。これにより繊維状体9に捕捉される懸濁物質等の固形分がバイオガスによって繊維状体9の間から槽内液6中に戻され、これによってろ過体8のろ過性能が回復し、透過流束がもとに戻る。
【0036】
逆洗は例えば定時的に行う。この場合、例えばガス返送弁5、処理排水排出弁16及び逆洗弁18を自動化し、タイマーにより、一定時間ガス返送弁5及び処理排水排出弁16を閉じて逆洗弁18を開くようにする。そして、逆洗が終了したときにはガス返送弁5及び処理排水排出弁16を開いて逆洗弁18を閉じる。
【0037】
逆洗の頻度は、好ましくはろ過時間2〜1500分に1度である。2分未満では、洗浄の頻度が多すぎて処理排水の回収率が低下する傾向があり、1500分を超えると、固形分がろ過体8に過剰に捕捉されて透過流束が低下する傾向がある。
【0038】
1回あたりの逆洗時間は、2〜200秒が好ましい。逆洗時間が2秒未満では十分な洗浄が行えず、ろ過能力の回復が不十分となる傾向があり、200秒を超えると、洗浄時間を増やしてもろ過能力の回復の度合いが変わらなくなる傾向がある。
【0039】
次に本発明の排水処理装置の第2実施形態について図4を用いて説明する。なお、図4において、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付す。
【0040】
本実施形態の排水処理装置は、図4に示すように、まずろ過体8全体が槽内液6中に浸漬されている点で第1実施形態の排水処理装置と相違する。すなわち繊維状体束10の一端(浸漬部)11、シール部材14及びキャップ15が槽内液6に浸漬されており、繊維状体束10の他端(非浸漬部)12はキャップ15内に収容され、槽内液6に浸漬されていない。
【0041】
この場合でも、ろ過体8においては、繊維状体束10の浸漬部11にかかる圧力が非浸漬部12にかかる圧力よりも大きくなる。従って、ろ過体8によって槽内液6がろ過されながら処理排水としてキャップ15内へ収集される。こうして槽内液6をろ過することで、良好な水質の処理排水を得ることができ、且つ槽内液6の処理速度も通常の膜分離法を用いた場合に比べて著しく向上させることができる。
【0042】
また、ろ過体8の洗浄は、第1実施形態と同様に、固液分離槽3に溜められたバイオガスを利用して行われるため、ろ過体8の洗浄に使用するガスにかかるランニングコストを十分に低減できる。また、ろ過体8の洗浄方法は逆洗方式であるため、表面洗浄方式に比べて、繊維状体9間に挟まれた固形物等を効果的に除去することができる。
【0043】
なお、本発明は、前述した第1及び第2実施形態に限定されるものではない。例えば上記第1及び第2実施形態では、ろ過体8が固液分離槽3の側壁3aを貫通してその一部が槽内液6に浸漬されたり、ろ過体8全体が槽内液6中に浸漬されたりしているが、少なくともろ過体8の一部が槽内液6に浸漬されていればその取付位置は限定されず、ろ過体8は固液分離槽3の底部を貫通するように取り付けられていても良い。
【0044】
また、第1及び第2実施形態では、ろ過体8によって処理排水を得るに際して吸引ポンプを用いていないが、吸引ポンプを用いて槽内液6を吸引し、処理排水を得るようにしてもよい。
【0045】
更に、ろ過体8の逆洗は、上記第1及び第2実施形態に記載された方法に限定されず、以下のように行うこともできる。すなわち処理排水排出ラインL4に流量計を設置し、流量計で測定された槽内液6の透過流束が所定値(例えば10m3/m2/d)以下まで低下したときに例えば2〜200秒間ろ過体8の逆洗を行うようにしてもよい。この場合、流量計で測定される透過流束に基づき、ガス返送弁5、処理排水排出弁16及び逆洗弁18の開閉を制御する制御装置を用いることが好ましい。
【0046】
更にまた、上記第1及び第2実施形態では、ガス貯留槽2に貯留されたバイオガスを一旦固液分離槽3における散気に使用し、その散気に使用したバイオガスをろ過体8の逆洗に使用しているが、ガス貯留槽2で貯留されたバイオガスを直接ろ過体8の逆洗に用いても良い。
【0047】
また、上記第1及び第2実施形態では、処理排水排出ラインL4に脱窒素処理装置19が接続され、脱窒素処理装置19で脱窒素処理された排水が嫌気性処理槽1に返送されているが、本発明において、脱窒素処理装置19は必ずしも必要なものではない。排水処理装置において脱窒素処理装置19を設けない場合、嫌気性処理槽1の槽内液中の揮発性脂肪酸の濃度を希釈するには、処理排水排出ラインL4を通る処理排水の一部を嫌気性処理槽1に返送すればよい。
【0048】
本発明の排水処理装置は、例えばし尿、浄化槽汚泥、下水汚泥、農集汚泥、家畜糞尿、生ごみ、食品廃棄物など、性状や濃度の異なる有機性廃棄物を一括して処理し、有用物質を回収して資源化する廃棄物処理装置に適用することができる。
【0049】
図5は、本発明の排水処理装置を適用した廃棄物処理装置の一例を示すフロー図である。この廃棄物処理装置は、し尿、浄化槽汚泥、下水汚泥、農集汚泥、家畜糞尿、生ごみ、食品廃棄物など、性状や濃度の異なる有機性廃棄物を一括して処理し、有用物質を回収して資源化するものである。
【0050】
図5に示すように、し尿、浄化槽汚泥、下水汚泥、農集汚泥、家畜糞尿は、除渣装置20で除渣された後、脱水機21で液状廃棄物と固形廃棄物とに分離される。そして、固形廃棄物は、コンポスト化装置22で堆肥化される。
【0051】
一方、生ごみ、食品廃棄物は、破砕・分別装置23で破砕されると共に液状物と、プラスチックやビニール等とに分別され、液状物が上記の液状廃棄物とともに被処理排水として排水処理装置24に導入される。
【0052】
この場合、排水処理装置24が、逆洗用ガスにかかるランニングコストを十分低減でき、排水の処理効率の低下を十分に防止できるため、廃棄物処理装置全体としても、ランニングコストを低減でき、廃棄物の処理効率の低下を十分に防止できる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の排水処理装置によれば、繊維状体束に目詰まりが起こる場合に、逆洗手段により、嫌気性処理槽で得られるバイオガスを用いて繊維状体束を逆洗することで、ランニングコストを大幅に低減できると共に、排水の処理効率の低下を十分に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排水処理装置の第1実施形態を示すフロー図である。
【図2】図1のろ過体を拡大して示す部分断面側面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った切断面端面図である。
【図4】本発明の排水処理装置の第2実施形態を示すフロー図である。
【図5】本発明の排水処理装置を適用した廃棄物処理装置の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1…嫌気性処理槽、3…固液分離槽、5…ガス返送弁(逆洗手段)、10…繊維状体束、16…処理排水排出弁(逆洗手段)、17…ブロワ(逆洗手段)、18…逆洗弁(逆洗手段)、L3…ガス返送ライン(逆洗手段)、L4…処理排水排出ライン(逆洗手段)、L5…逆洗ライン(逆洗手段)、L0…被処理排水導入ライン(返送手段)、19…脱窒素処理装置(返送手段)、L6…脱窒素処理排水排出ライン(返送手段)、L7…処理排水返送ライン(返送手段)。
Claims (3)
- 被処理排水を嫌気性処理槽で嫌気性処理した後、固液分離槽で固液分離して処理排水を得る排水処理装置において、
前記固液分離槽の槽内液を固液分離して処理排水を得る繊維状体束を有するろ過体と、
前記嫌気性処理槽で得られるバイオガスを用いて前記ろ過体の前記繊維状体束を逆洗する逆洗手段と、
を備えることを特徴とする排水処理装置。 - 前記繊維状体束によって得られる処理排水の一部を前記嫌気性処理槽に返送する返送手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の排水処理装置。
- 前記嫌気性処理槽で得られるバイオガスを用いて前記固液分離槽の槽内液を曝気する曝気手段を更に有し、前記逆洗手段は、前記固液分離槽の槽内液の曝気に使用されたバイオガスを用いて前記繊維状体束を逆洗するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水処理装置。
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