JP2004066136A - 溶液濃縮方法及び溶液製膜方法並びに製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】濃縮効率が高く、かつ皮張りの発生を抑制して高濃度ドープを得る。
【解決手段】溶液56を濃縮装置44に仕込み、フラッシュノズル45の先端45aをその中に配置する。装置44の上方に取り付けられたジャケット53内に冷媒を通す。装置本体50の内面の温度が下がり凝縮面55aとなる。フラッシュノズル45から低濃度ドープ30をフラッシュ蒸発する。装置44内の溶液56が気化して気化溶媒57aとなる。気化溶媒57aが凝縮面55aに達すると凝縮し液体57bとなる。液体57bは凝縮面55aを流下して受け器58に溜まる。その後に配管60により装置44から排出する。溶液56は、フイルムの製膜に適した濃度のドープ67を得ることができる。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶液濃縮方法に関し、更に詳しくはポリマー溶液濃縮方法及びそのポリマー溶液を用いた溶液製膜方法並びにその製膜方法により製膜されたフイルム及びそのフイルムを用いて構成された各種の光学用製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セルロースアシレートフイルムなどのポリマー溶液製膜方法において、ポリマー溶液(以下、ドープと称する)の調製は、溶解時間の短縮や、未溶解物の残存減少のため、分散溶解時のポリマー濃度(以下、低濃度ドープと称する)を流延時の濃度以下に下げて溶解し易くすることが、しばしば行われる。低濃度ドープは、濃縮工程により所定の濃度(以下、高濃度ドープと称する)に濃縮されて、高濃度ドープとして流延される。ドープの濃縮方法は、従来フラッシュ濃縮法や薄膜式蒸発濃縮法により行われていた。中でも、フラッシュ濃縮法、特に、USP4,414,341に記載されているスプレーフラッシュ蒸発法を用いたフラッシュ濃縮法は、加熱した溶液をノズルから容器内に放出した際に、液の微粒子化が起こり、それに伴う蒸発液の表面積の増加により高い蒸発性能が得られる。
【0003】
図7に示す従来のスプレーフラッシュ蒸発法に用いられる溶液濃縮装置を示す。溶液濃縮装置140は、装置本体141の温度を制御するジャケット142が備えられ、装置本体141とジャケット142の間に媒体143が流れている。装置本体141内の濃縮中のドープ(以下、濃縮中ドープと称する)144を攪拌するために攪拌翼145が備えられている。攪拌翼145は、モータ146と連結しており、回転制御がなされる。装置本体141の上方には、低濃度ドープ147をフラッシュさせるためのノズル148が取り付けられている。ノズル先端148aと液面144aとが、接触しない構成になっている。また、濃縮中ドープ144から揮発した気化溶媒144bを凝縮するための凝縮器149が装置本体141の上方で配管150を介して接続している。また、低濃度ドープ147を濾過するための濾過装置152が溶液濃縮装置140の上流側に設けられている。溶液濃縮装置140の下流側には、濃縮された高濃度ドープ151を濾過するための2次濾過装置153が設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7の装置を用いると、液(低濃度ドープ)147がノズル148から放出された際に、微粒子液147aが飛沫して装置本体の内面141aに飛散付着し、溶液が乾燥した後に溶質による皮張り147bが発生しやすいという欠点があった。皮張りが発生すると、溶液の組成比が変化すると共に容器内の汚染が生じるために問題となる。また、内面141aに接している濃縮中ドープ144が乾燥しないようにするには、内面141aの温度をドープの沸点より下げる必要があった。しかし、従来のフラッシュ濃縮法では、内面141aの温度を下げると、ドープから気化した溶媒(以下、気化溶媒と称する)144bが内面141aで再凝縮し、濃縮中ドープ144に混入しドープを希釈してしまい、十分な濃縮効率が得られないという問題もあった。さらに、均一に溶媒を気化させるためには、液を放出するための十分な空間と液表面積が必要であり大型のタンク(容量が、200L〜10000L)を用いて攪拌翼で攪拌を行いながら、フラッシュ蒸発させる必要があり、装置の設置場所を確保するという問題も生じていた。さらには、濃縮中の溶液は、タンクの容量が大きいために、タンク内に滞留している平均時間が1時間〜4時間と長く、溶液の変性を招く問題も生じていた。
【0005】
本発明は、濃縮効率が高く、かつ皮張りの発生を抑制することができる溶液濃縮方法及びその方法を用いた溶液製膜方法並びにフイルム等の各種製品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究し、装置本体の内面の温度を沸点より下げた時に、再凝縮した気化溶媒が溶液内中に還流しないよう、装置本体外に取り出すことが好ましいことを見出した。さらに、装置本体の液面より上を冷却して、溶媒を凝縮回収して装置本体外に取り出すことがより好ましい方法であることを見出した。また、ノズルから放出されたドープの飛沫が飛散しないよう、ノズル先端を溶液中に入れ、溶液内に放出するとさらに良い結果が得られることも見出した。そこで、本発明は下記に記す手段により、前記課題を解決することが可能となった。
【0007】
本発明の溶液濃縮方法は、溶液から気化した溶媒を同一容器内で凝縮分離させる。また、前記凝縮分離した液を、重力または表面張力の少なくとも一方を利用して前記容器から取り出すことが好ましい。さらに、前記容器が2つ以上の異なる温度条件に保たれていることが好ましい。さらには、前記気化をフラッシュ蒸発法により行うことが好ましい。また、フラッシュ蒸発させる溶液の放出を、前記容器内の溶液中で行うことが好ましい。この場合には、前記溶液の放出をノズルを用いて行うことがより好ましい。
【0008】
前記容器内の溶液の液面位置を検出する液面検出手段と、その液面検出手段で検出された値に従って、前記容器内の液面を制御する液面制御手段と、を用いて、前記容器内の液面を制御することが好ましい。また、前記容器の内壁の温度が、前記溶液を構成する溶媒の沸点より低く保たれていることが好ましい。さらに、前記容器内の溶液の平均滞留時間が、0.5分〜20分であることが好ましい。
【0009】
前記溶液を凝縮分離する前にその溶液を濾過する第1濾過装置と、前記溶液を凝縮分離した後にその溶液を濾過する第2濾過装置とを用いて、前記凝縮分離を行う場合であって、下記(1)式から算出される前記第1濾過装置と前記第2濾過装置との濾過量変化率が50%以下であることが好ましい。
濾過量変化率(%)=((V0−V1)/V0)×100・・・(1)
前記(1)式中のV0は、前記凝縮分離前の溶液が、所定濾過圧力に到達するまでの定速濾過量を示し、V1は、前記凝縮分離後の溶液が、所定濾過圧力に到達するまでの定速濾過量を示している。
【0010】
前記溶液を構成する溶質のうち少なくとも1つが、ポリマーであることが好ましい。また、前記ポリマーがセルロースアシレートであることが好ましい。さらに、前記セルロースアシレートがセルロースアセテートであることがより好ましく、前記セルロースアセテートがセルローストリアセテートであることが最も好ましい。
【0011】
また、本発明の溶液濃縮方法は、前記溶液を濃縮する前の低濃度ポリマー溶液のポリマー濃度が、5重量%〜30重量%であることが好ましい。また、前記溶液を濃縮した後の高濃度ポリマー溶液のポリマー濃度が、12重量%〜40重量%であることが好ましい。さらに、前記溶液濃縮方法を1回行ったときの、前記低濃度ポリマー溶液と前記高濃度ポリマー溶液と、のポリマー濃度差が1重量%〜15重量%であることがより好ましい。
【0012】
前記低濃度ポリマー溶液の粘度が、0.1Pa・s〜100Pa・sであることが好ましい。また、前記高濃度ポリマー溶液の粘度が、1Pa・s〜200Pa・sであることが好ましい。なお、本発明において溶液(ポリマー溶液も含む)の粘度は、特に明記していない場合には、溶液の温度を30℃とし、回転式粘度計により測定された値を意味している。
【0013】
前記低濃度ポリマー溶液の温度が、50℃〜180℃であることが好ましい。また、前記高濃度ポリマー溶液の温度が、20℃〜70℃であることが好ましい。さらに、前記低濃度ポリマー溶液を前記容器内に放出するまでの圧力を、前記低濃度ポリマー溶液のその温度における飽和蒸気圧(MPa)〜飽和蒸気圧+5(MPa)とすることが好ましい。
【0014】
前記容器内の気相の絶対圧力を、500hPa〜1100hPaとして、前記容器から前記高濃度ポリマー溶液を取り出すことが好ましい。また、前記低濃度ポリマー溶液と前記高濃度ポリマー溶液とに含まれる異物量が、いずれの溶液も基準値以下であることが好ましい。前記基準値は、前記低濃度ポリマー溶液及び前記高濃度ポリマー溶液を用いて製膜されたフイルムの輝点欠陥の数が、前記フイルムの幅方向に5cm2 のサンプルを5点採取した際の平均値として、20μm以上が0個/(5cm2 )であり、10μm以上が10個/(5cm2 )以下であり、5μm以上が10個/(5cm2 )以下であることが好ましい。なお、輝点欠陥の数はクロスニコル下で観察することが好ましい。
【0015】
前記低濃度ポリマー溶液中の残存気体量が、10mg/L〜500mg/Lであることが好ましい。前記高濃度ポリマー溶液中の残存気体量が1mg/L〜200mg/Lであることが好ましい。なお、本発明において、前記残存気体量は、それぞれの溶液の温度を30℃とし、圧力を101.3kPaとしたときに含まれている気体の質量を意味しており、溶存窒素計などにより測定された値を用いることが最も好ましい。
【0016】
本発明の溶液製膜方法は、前述した溶液濃縮方法により得られた高濃度ポリマー溶液を流延する。また、前記高濃度ポリマー溶液を少なくとも1つの層に含む共流延法により溶液製膜を行うことも可能である。さらに、前記高濃度ポリマー溶液を少なくとも1つの層に含む逐次流延法により溶液製膜を行うことも可能である。
【0017】
本発明のフイルムは、前述した溶液製膜方法により製膜される。また、本発明には、そのフイルムを用いて構成された偏光板保護膜も含まれる。さらに、本発明には、その偏光板保護膜を用いて構成された偏光板も含まれる。本発明には、前記フイルムを用いて構成された光学機能性膜も含まれる。なお、光学機能性膜には、反射防止膜などが挙げられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に用いられるドープを構成する溶質(ポリマー及び添加剤)と溶媒について説明する。その後に、本発明の溶液濃縮方法を用いたドープ製造方法、そのドープを用いた溶液製膜方法、製膜されたフイルム、フイルムを用いた光学用製品の順で説明する。なお、ドープには、セルローストリアセテート(以下、TACと称する)溶液(ドープ)を用いた例により説明を行うが、本発明はその溶液に限定されるものではない。例えば、TACを他のポリマーに代えたポリマー溶液(ドープ)の濃縮にも本発明は適用することが可能である。また、溶媒に溶解し難い低分子化合物(モノマー)やオリゴマーを溶質として用いて、低濃度溶液を調製した後に、本発明に係る溶液濃縮方法により濃縮し、高濃度溶液を製造することも可能である。
【0019】
[ポリマー]
本発明に用いられるポリマーは特に限定されない。本発明に用いられるポリマーとしては、1種以上の適当な有機あるいは無機の溶媒に溶解し、その溶液を製膜に供することができるものであれば特に制限はない。このようなポリマーの例としては、セルロスアシレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリロニトリル、芳香族ポリアミドなどのポリアミド樹脂、芳香族ポリイミド、ポリエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系高分子、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらポリマーのうちで、セルロースエステルを用いることが好ましい。また、セルロースエステルの中では、セルロースアシレートを用いることが好ましく、特に、セルロースアセテートを使用することが好ましい。さらに、このセルロースアセテートの中では、その平均酢化度が57.5ないし62.5%のセルローストリアセテート(TAC)を使用することが最も好ましい。酢化度とは、セルロース単位重量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。本発明では、セルロースアシレート粒子を使用し、使用する粒子の90重量%以上が0.1ないし4mmの粒子径、好ましくは1ないし4mmを有する。また、好ましくは95重量%以上、より好ましくは97重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上、最も好ましくは99重量%以上の粒子が0.1ないし4mmの粒子径を有する。さらに、使用する粒子の50重量%以上が2ないし3mmの粒子径を有することが好ましい。より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上の粒子が2ないし3mmの粒子径を有する。セルロースアシレートの粒子形状は、なるべく球に近い形状を有することが好ましい。
【0020】
[添加剤]
本発明で用いられる添加剤としては、可塑剤、紫外線吸収剤などがある。可塑剤としては、リン酸エステル系(例えば、トリフェニルフォスフェート(以下、TPPと称する)、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート(以下、DBPと称する)、トリオクチルフォスフェート、トリブチルフォスフェートなど)、フタル酸エステル系(例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレートなど)、グリコール酸エステル系(例えば、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート(以下、エチルフタリルグリコールエチルエステルとも称する)、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなど)、アセテート系(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアセテート、ジトリメチロールプロパンテトラアセテートなど)及びその他の可塑剤を用いることができる。
【0021】
ドープには、紫外線吸収剤を添加することもできる。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物及びその他の紫外線吸収剤を用いることができる。特に好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物である。さらにドープには、必要に応じて種々の添加剤、例えば、離型剤、剥離促進剤、フッ素系界面活性剤などをドープの調製前から調製後のいずれかの段階で添加してもよい。
【0022】
[溶媒]
本発明に用いられる溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル類、ケトン類、エーテル類、アルコール類などがあるが、特に限定されない。溶媒は、市販品の純度であれば、特に制限される要因はない。溶媒は、単独(100重量%)で使用しても良いし、炭素数1ないし6のアルコール、ケトン、エステル、エーテルを混合して使用するものでもよい。使用できる溶媒の例には、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、メチルホルメート、エチルアセテート、アミルアセテート、ブチルアセテートなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(例えば、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル,メチル−t−ブチルエーテルなど)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノールなど)などが挙げられる。なお、用いる溶媒を、予め脱水処理しておくことが好ましい。また、本発明に用いられる溶媒として、酢酸メチルを用いることが環境保護の点から好ましい。酢酸メチルを単独で用いても良いし、他の溶媒を混合した混合溶媒として用いても良い。さらに、本発明は皮張りの発生を抑えることと特徴とするため、皮張りの発生しやすい溶媒と溶質の組合せ、すなわち溶解度が低い溶媒と溶質の組合せに対して特にその効果を発揮する。特にポリマーにTACを用いた際に、溶解能力が劣る酢酸メチルを主溶媒とした場合に、特にその効果を顕著に得ることができる。
【0023】
[ドープ製造方法]
図1に本発明に係る溶液濃縮方法に用いられるドープ製造ライン10を示すが、本発明に係る溶液濃縮方法に用いられる溶液製造ラインは、図示した形態に限定されるものではない。ドープの製造は、始めに溶媒タンク11からバルブ12を開き、溶媒を溶解タンク13に送る。次に、計量器14に仕込まれているTACを溶解タンク13に計量しながら送り込む。
【0024】
さらに、添加剤タンク15から添加剤溶液をバルブ16の開閉操作を行って必要量を溶解タンク13に送り込む。なお、添加剤は、溶液として送り込む方法以外にも、例えば、添加剤が常温で液体の場合には、その液体の状態で溶解タンク13に送り込むことも可能である。また、添加剤が固体の場合には、計量器を用いて溶解タンク13に送り込むことも可能である。なお、本発明において用いられる添加剤の種類は1種類に限定されない。その場合には、添加剤タンク15に複数種類の添加剤を仕込む方法や、多数の添加剤タンクを用いて、それぞれ独立した配管により溶解タンクに送り込む方法などを用いることも可能である。
【0025】
また、前述した説明においては、溶解タンク13に仕込む順番が、溶媒、TAC、可塑剤の順であったが、本発明は必ずしもこの順に限定されるものではない。例えば、TACを計量し、溶解タンク13に送り込んだ後に、好ましい量の溶媒を送液することも可能である。また、添加剤は必ずしも溶解タンク13に予め送り込む必要はなく、後の工程でTACと溶媒との混合物(以下、これらの混合物もドープと称する場合がある)に、混合することもできる。
【0026】
溶解タンク13を包み込むようにジャケット17が備えられ、またモータ18aにより回転する攪拌翼(アンカー翼)19aと、モータ18bにより回転するディゾルバータイプの偏芯攪拌軸19bとも備えられている。ジャケット17に媒体を流して溶解タンク13内に注入されている溶媒などの温度を調整する。また、モータ18aを回転駆動させることで攪拌翼19a、モータ18bにより回転するディゾルバータイプの偏芯攪拌軸19bを回転させ、溶解タンク13内の溶質を溶媒に溶解させて、粗溶解溶液20を得る。
【0027】
次に粗溶解溶液20を調製タンク21に送り込む。調製タンク21にも、ジャケット22,モータ23,攪拌翼24が備えられている。また、気化した溶媒を液体に戻すための凝縮器(コンデンサ)25も取り付けられている。粗溶解溶液20は、ポンプ26により流量計27,分析計28を通った後に、加熱装置29に送液される。粗溶解溶液20は、加熱されることにより溶解が進行し、低濃度ポリマー溶液(以下、低濃度ドープと称する)30となる。低濃度ドープ30は、温度計31を通った後に、切替バルブ(3方バルブ)32により、調製タンク21に戻される。
【0028】
気化した溶媒は、コンデンサ25により液化して調製タンク21に戻される。ポンプ26による粗溶解溶液の送液流量は、流量計27により測定された流量値に基づき、最適な量が決められる。また、分析計28には、近赤外線プロセス分析計が用いられることが好ましい。これにより濃縮する前の低濃度ドープ30の組成比を測定することが可能となる。加熱装置29には、静止型混合器が備えられた多管式熱交換器が用いられることが好ましい。加熱温度は、温度計31で測定された値に基づき調整される。なお、濃縮する前の低濃度ドープ30は、ポリマー濃度が5重量%〜30重量%、温度30℃における粘度が0.1Pa・s〜100Pa・s、温度30℃における残存気体量が10mg/L〜500mg/L、温度が50℃〜180℃、の各数値範囲内であることが好ましいが、それらの数値範囲に限定されるものではない。
【0029】
温度計31で計測される低濃度ドープ30の温度が定常値に達すると、温度計31の指示により切替バルブ32により流路が切り替わる。低濃度ドープ30は、切替バルブ32を通り、濾過装置40,圧力計41,温度計42,調節バルブ43を通り、溶液濃縮装置44内にフラッシュノズル45からフラッシュ蒸発されて高濃度ポリマー溶液(以下、高濃度ドープと称する)となる。なお、濾過装置40には図示しない圧力計が設けられている。溶液濃縮装置44を用いた本発明の溶液濃縮方法について、図1及び図2を参照して、後に詳細に説明する。なお、本発明において濃縮前の低濃度ドープの製造方法は、前述したものに限定されるものではない。例えば、図1ではドープ製造ライン10を用いて連続式で行っているが、低濃度ドープをバッチ式で製造し、バッチ単位で溶液濃縮装置44内にフラッシュ蒸発させることも可能である。
【0030】
[溶液濃縮方法]
溶液濃縮装置44は、図2に示すように溶液濃縮装置本体(以下、装置本体(容器)と称する)50が第1ジャケット51、第2ジャケット52、第3ジャケット53に包み込まれている。それぞれのジャケット51〜53には、独立した配管が設けられており、それら配管から供給される媒体をジャケット51〜53と装置本体50との間を通すことにより、装置本体50の温度制御を行っている。装置本体50は、フラッシュ部54と凝縮部55とから構成されている。媒体は、ジャケット51,52には加熱用を用い、ジャケット53には冷却用を用いることで、フラッシュ部54を加熱し、凝縮部55を冷却している。フラッシュ部54と凝縮部55とは、別体として作製した後に、装置本体として組み合わせたものであっても、一体として作製されたものであっても良い。また、凝縮部55は、図2に示したようにその断面が傾斜を有していると、後述する凝縮溶媒57aを重力により回収できるために好ましい。しかしながら、本発明に用いられる溶液濃縮装置44は、図示した形態に限定されるものではない。
【0031】
フラッシュノズル45の先端45aは、濃縮中ドープ56内になるように配置してある。圧力計41によりバルブ43の開閉を制御して、一定圧力でフラッシュノズル45から低濃度ドープ30をフラッシュ蒸発させる。低濃度ドープ30のフラッシュにより濃縮中ドープ56の溶媒の気化が激しく生じて、濃縮中ドープ56は、高濃度ドープとなる。なお、フラッシュノズル45の取り付け位置、形態などは、図示したものに限定されるものではない。また、低濃度ドープ30を溶液濃縮装置44に送液(フラッシュ蒸発)する際の圧力は、低濃度ドープ30を構成している溶媒のその温度における飽和蒸気圧(MPa)〜その飽和蒸気圧(MPa)+5(MPa)の範囲であることが、濃縮中ドープを効率良く濃縮できるために好ましい。飽和蒸気圧以下では、溶媒の沸騰が起こり、皮張りなどが発生する場合がある。また、溶液の温度が沸点まで下がり、フラッシュ蒸発のための熱量が不十分となり、凝縮効率が下がる。さらに、飽和蒸気圧(MPa)+5(MPa)以上では、必要以上に設備の耐圧構造を要することになり、コストなどの点で不利になる。しかしながら、本発明はこの範囲に限定されるものではない。
【0032】
気化した溶媒(以下、気化溶媒と称する)57aが凝縮部55の凝縮面55aに達すると、凝縮して液体(以下、凝縮溶媒と称する)57bとなる。凝縮溶媒57bは、凝縮面55aの表面張力により玉状あるいは濡れ広がり、重力により凝縮面55aに沿って下方に落ちてきて、受け器58に溜まる。受け器58に溜まった溶媒57は、配管60、調節バルブ61、流量計62を通り、回収タンク63で回収する。その後に、溶媒57は、調製装置64に送られ、調製された後に再利用される。また、装置本体50には、その内の圧力を測定する圧力計59が取り付けられて、その値に基づいて、装置本体50内の圧力を一定の圧力に保つように低濃度ドープのフラッシュ蒸発量の制御や、フラッシュ部54,凝縮部55の温度制御などが行われる。なお、本発明において凝縮面55aの表面張力が好ましい値となるように、その材質はSUS316,SUS316L,ハステロイ(登録商標)などから形成されていることが好ましい。また、凝集面55aには、液を回収する方向に向けて凹凸を設けると、凝縮面の表面張力によりフラッシュ部に凝縮液を落下させることなく、回収することができるためより好ましい。なお、この凹凸は溝のようなもので、凝縮回収方向に設けられていればよくその本数、形状は任意のものを選ぶことができる。
【0033】
濃縮中ドープ56の液面56aは、液面検出センサ65により測定され、その値がポンプ66に取り付けられているコントローラ66aに送られる。コントローラ66aによりポンプ66の送液量を調整しつつ、溶液濃縮装置44から高濃度ドープ67を抜き出す。装置本体50の容量は、濃縮中ドープ56の流量に応じて平均滞留時間が0.5分〜20分の範囲になる様に決めることが好ましい。この場合に、装置本体50内で、気体の容積(ガスホールドアップ)が10%〜60%であることが好ましい。なお、ガスホールドアップは、ガスと溶液との体積の和(Vg)と溶液の体積(VL)とから、{(Vg−VL)/Vg}×100(%)で定義される。これらの範囲内であると、低濃度ドープ30を濃縮中ドープ56として装置本体50内に溜め、濃縮中ドープ56から発生した気化溶媒57aを溶媒57として効率良く取り出すことが可能となり、また、溶液濃縮装置44の設置場所の確保も容易である。さらに、本発明によれば、濃縮中ドープ56が溶液濃縮装置44内に滞留している平均時間が、0.5分〜20分の範囲と極めて短くなるためにドープの変性を招くおそれもほとんど無くなる。なお、本発明において、用いられる溶液濃縮装置44は、前述した各数値範囲に限定されるものではない。
【0034】
図2に示した液面56aが装置本体50と接している部分56bが、液面56aの変動により最も皮張りが発生し易い箇所である。そこで、図2に示すように、フラッシュ部54に取り付けられている2つのジャケット51,52を用いて温度制御をより厳密に行うことが好ましい。すなわち、第1ジャケット51の媒体は、濃縮中ドープ56が気化し易いように加熱媒体を流す。第2ジャケット52の媒体は、濃縮中ドープ56中の溶媒が装置本体50内で気液平衡に達しない温度となる加熱媒体を用いると、気化溶媒57aが付着しても気化することが抑制されるために、皮張りの発生が生じるおそれがなくなる。なお、本発明においては、ドープが混合溶媒から調製されているときには、最も気液平衡温度が低い溶媒を基準とする。第3ジャケット53には、凝縮面55aで、気化溶媒57aが凝縮して液化し易い温度になるように冷却媒体を流す。
【0035】
このようにジャケット毎に媒体を変えることにより、装置本体50の内壁面を複数の温度に保持することが、効率良くドープの濃縮を行うことが可能となるために好ましい形態である。具体的には、第1ジャケット51の媒体を20℃〜70℃、第2ジャケット52の媒体を10℃〜60℃、第3の媒体を−10℃〜20℃の範囲内からそれぞれ基準温度となるものを用いて、それら各媒体の温度の変動幅は、±1℃とすることが、ドープの濃縮条件の変化を抑制することができるために好ましい。なお、図2では、3区分に温度条件を変更したものを示したが、本発明は3区分に限定されず、2区分や4区分以上に温度条件を変えたものであっても良い。
【0036】
装置本体50の気相部分の絶対圧力が、500hPa〜1100hPaの範囲で行うと、濃縮中ドープ56中からのガス(気泡)の浮上及び分離が効率良く行われ好ましいが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。また、近赤外プロセス分析計69を用いて高濃度ドープ67の組成比を分析して、目的とする組成比になっていることを確認する。さらに、高濃度ドープ67は、流量計70,2次濾過装置71を通した後にフイルム製膜ライン80で用いられる。なお、2次濾過装置71には図示しない圧力計が設けられている。また、本発明に用いられる分析計28,69は、近赤外線プロセス分析計に限定されるものではない。例えば、超音波伝播速度測定計など公知の分析計を用いることも可能である。
【0037】
濃縮した後の高濃度ドープ67は、ポリマー濃度が12重量%〜40重量%、温度30℃における粘度が1Pa・s〜200Pa・s、温度30℃における残存気体量が1mg/L〜200mg/L、温度が20℃〜60℃、の各数値範囲内であることが好ましいが、それらの数値範囲に限定されるものではない。また、本発明の溶液濃縮方法を一度行った際に、高濃度ドープ67のポリマー濃度と低濃度ドープ30のポリマー濃度との差が、1重量%〜15重量%であることが、効率良く濃縮が行えると共に、ドープの品質が劣化することが抑制されるために好ましいが、これらの数値範囲に限定されるものではない。
【0038】
前述したように、濃縮前の低濃度ドープの粘性は、30℃で、0.1Pa・s〜100Pa・sと低粘性であることが好ましく、ドープ製造ライン10中での送液を容易に行うことが可能である。しかし、この低濃度ドープのままで、図4に示すフイルム製膜ライン80を用いて製膜を行うと、ゲル膜89中の溶媒量が多いために、自己支持性を有するフイルムを得るためには、流延バンドを長くして、乾燥時間を延ばす必要が生じる。そこで、本発明の溶液濃縮方法を用いて濃縮を行い、粘性を高くする(1Pa・s〜200Pa・sが好ましい)ことにより、ゲル膜の粘性を高めることが可能となる。そのため、そのゲル膜が、自己支持性を有するフイルムになる時間を短縮することが可能となり、コストダウンと共に、装置の小型化を図ることも可能となる。
【0039】
低濃度ドープ30の流量は、ポンプ26の下流側に取り付けられた流量計27(図1参照)で測定され、その測定値に従い送液量が調整されている。また、濃縮後の高濃度ドープ67は、液面(図2参照)56aが一定になるように液面検出センサ65で検知し、その値に基づいてコントローラ66aがポンプ66を制御する。
【0040】
また、低濃度ドープ30が濾過装置40に送液される際に、所定濾過圧力に到達するまでの濾過量(濃縮前定速濾過固形分量)V0と、高濃度ドープ67が2次濾過装置71に送液される際に、所定濾過圧力に到達するまでの固形分の濾過量(濃縮後定速濾過固形分量)V1とする。このときに、
濾過量変化率(%)={(V0−V1)/V0}×100・・・(1)
で算出される濾過寿命変化率が50%以下であることが好ましい。具体的には、低濃度ドープ30の流量は、60kg/hr〜1200kg/hr、高濃度ドープ67の流量は、59kg/hr〜1190kg/hrの範囲でそれぞれ定速にする。そして、濾過装置40が、所定濾過圧力(PL )に達するまでの濾過量V0と、2次濾過装置71が所定濾過圧力(PH )に達っするまでの濾過量V1とを測定する。なお、本発明において濾過装置40の濃縮前定速濾過固形分量V0は、100kg/m2 〜20000kg/m2 の範囲であることが好ましい。また、2次濾過装置71の濃縮後定速濾過固形分量V1は、60kg/m2 〜20000kg/m2 の範囲であることが好ましい。また、濾過装置40の所定濾過圧力(PL )は、0.5MPa〜2.0MPa、2次濾過装置71の所定濾過圧力(PH )は、0.5MPa〜3.0MPaの範囲であることが好ましい。なお、本発明に用いられる濾過装置40,71の性能は、前述した各数値範囲に限定されるものではない。
【0041】
これらの各条件を制御することにより装置本体50内での皮張りの発生が抑制されて、皮張りの混入による2次濾過装置71の濾過負荷の変化を確認できる。濾過負荷について図3を用いて説明する。図3の横軸には2次濾過装置の濃縮後濾過量V1(g/cm2 )を示している。また、縦軸には、2次濾過装置の初期圧力(P0 )に対する運転時の圧力(PH )の圧力比(PH /Po )を示している。本発明の溶液濃縮方法を行って得られたデータを○でプロットし、実線で結んだ。また、先に説明した従来の溶液濃縮方法に用いられる装置140の下流側に設けられた2次濾過装置153を用いて行った実験データは、△でプロットし破線で結んだ。図3から明らかなように本発明では装置140内での皮張りの発生が抑制されているため、急激な圧力変動が生じていない。しかしながら、従来の方法では、多量の皮張りが装置140内に発生し、その皮張りが高濃度ドープ中に混入して、2次濾過装置153のフィルタ(図示しない)の目詰まりが起こり、急激に圧力比の上昇が生じる。従来は、このようなフィルタの目詰まりが生じると、図示しない他の2次濾過装置と取り替えることで対応していた。しかしながら、2次濾過装置の取り替えるため、取り替えにともなう流量変動により、組成比などが均一な高濃度ドープの連続的な製造が困難であった。また、濾過装置内の残ドープのロスも増加する。さらに、洗浄のための溶剤,時間が余計に必要となる。しかしながら、本発明によれば、濾過量V1を増大することが可能であるため、2次濾過装置を取り替える時間を大幅に延長することが可能となる。
【0042】
[溶液製膜方法]
図4に本発明に係る溶液製膜方法に用いられるフイルム製膜ライン80を示す。前述した高濃度ドープ67が仕込まれているドープ用タンク81は、ポンプ82と濾過装置83とを介して流延ダイ84に接続している。また、ドープ用タンク81には、モータ(図示しない)により回転する攪拌翼85が取り付けられ、高濃度ドープ67を常に均一にしている。高濃度ドープ67には、この際にも、可塑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を混合することもできる。
【0043】
流延ダイ84の下方には、回転ローラ86,87に掛け渡された流延バンド88が設けられており、この流延バンド88は、図示しない駆動装置により回転ローラ86,87が回転するに伴い回転する。高濃度ドープ67は、ドープ用タンク81からポンプ82により送液され、濾過装置83で不純物が除去された後に流延ダイ84に送られる。流延ダイ84により高濃度ドープ67を流延バンド88上に流延し、ゲル膜89を形成する。ゲル膜89は流延バンド88で搬送されながら自己支持性を有するまで徐々に乾燥し、剥取ローラ90によって流延バンド87から剥ぎ取られフイルム91を形成する。
【0044】
フイルム91は、テンタ92により搬送されながら乾燥される。なお、この際に少なくとも一軸以上が所定の幅に引き伸ばされることが好ましい。また、図4では、無端支持体である流延バンド88上に高濃度ドープ67を流延したが、本発明は図示した形態に限定されずに、例えば、回転ドラムに流延する溶液製膜方法にも適用できる。
【0045】
テンタ92から乾燥ゾーン93に送られたフイルム91は、複数のローラ94に巻き掛けられて搬送されながら乾燥する。乾燥後のフイルム91は、冷却ゾーン95で冷却された後に、巻取機96に巻き取られる。なお、冷却ゾーン95から送り出されたフイルム91は、巻き取られる前に耳切処理が行われたり、ナーリング付与が行われたりしても良い。
【0046】
なお、前記説明は、流延ダイを1基用いた単層流延法について行なった。しかしながら、本発明の溶液製膜方法は、単層流延法に限定されるものではない。図5に他の実施形態の要部断面図を示す。複数のマニホールド100,101,102を有する)マルチマニホールド流延ダイ103のそれぞれのマニホールド100〜102にドープ104,105,106が供給され(供給用配管は省略している)、流路107で合流して、流延バンド108にドープ104〜106を流延して、ゲル膜109を形成する。前記ドープ104〜106のうち少なくとも1つのドープに本発明の溶液濃縮方法を用いて製造された高濃度ドープが用いられる。そして、ゲル膜109からフイルムが製造される。なお、図ではマルチマニホールド流延ダイ103を用いて説明したが、本発明の溶液製膜方法は、流延ダイの上流側にフィードブロックを設けて複数のドープをフィードブロック式の共流延する方法にも適用が可能である。
【0047】
図6には、更に他の実施形態である逐次流延法について説明するため要部概略断面図を示す。本実施形態では、3基の流延ダイ120,121,122が流延バンド126上に配置されている。各流延ダイ120〜122には、それぞれドープ123,124,125が図示しない供給管から送液されている。前記ドープ123〜125のうち少なくとも1つのドープに本発明の溶液濃縮方法を用いて製造された高濃度ドープが用いられる。それらドープ123〜125を逐次的に流延バンド126上に流延して、ゲル膜127を形成した後に、フイルムを得る。なお、本発明において、逐次流延によるフイルムの製造は図示した3基の流延ダイを用いた実施形態に限定されず、2基又は4基以上の流延ダイを流延バンド上に配置したものでも良い。また、図5に示した共流延と図6に示した逐次流延とを組み合わせた流延方法にも本発明を適用することが可能である。
【0048】
本発明に用いられる溶媒は、本発明に係る溶液濃縮方法を行う前後で、組成を変化させることも可能であり、また、組成を変化させないことも可能である。例えば組成を変化させる場合として、高沸点溶媒(例えば、n−ブタノール,メタノールなど)を含む混合溶媒に溶質を溶解させ、低濃度ドープを得る。流延剥取時には、メタノールやn−ブタノールなどの貧溶媒が必要であるが、これらはドープの溶解性を悪化させるものである。したがって、低濃度ドープではできるだけ少なくし、濃縮後には比率を上げることが好ましい。本発明に係る濃縮法の低沸点溶媒が気化し易く、高沸点溶媒が残り易いことを利用する。
【0049】
また、本発明に用いられる溶媒に混合溶媒を用いた場合には、溶質を溶解しやすい良溶媒と、溶解し難い貧溶媒とを組み合わせることが好ましい。低濃度ドープを作製する際には、溶解時間の短縮化を図るために、良溶媒の組成比が高いものを用いる。また、溶質にポリマーを用いた場合には、貧溶媒はポリマーを溶解できず、膨潤させることが多い。本発明の溶液濃縮方法を用いて良溶媒を選択的に除去することにより、相対的に貧溶媒の組成比が高い高濃度ドープを得ることが可能となる。この高濃度ドープを図4に示したフイルム製膜ライン80を用いて流延すると、流延バンド88上でポリマーが膨潤したゲル膜89が得られやすくなり、自己支持性を有するフイルム91になる時間を短縮することが可能となる。
【0050】
[フイルム及び製品]
得られたフイルム91からその幅方向に5cm2 のサンプルを5点採取する。それらサンプルをクロスニコル下で観察し、輝点欠陥の数の平均値を基準値以下とする。また、低濃度ドープ30から製膜されるフイルムも基準値以下となるようにドープ製造方法、溶液濃縮方法、溶液製膜方法の各条件を規定する。これにより、装置本体50内における皮張りの発生を抑制できたことを確認できる。例えば、本発明において、基準値を異物のサイズが20μm以上のものは0個/5cm2 とし、10μm以上20μm未満のものは10個/5cm2 とし、5μm以上10μm未満のものは10個/5cm2 とする。低濃度ドープ、高濃度ドープそれぞれから製膜されたフイルムがこの基準値以下となっていれば、実用上ドープ製造時に特性が変化しないドープを製造することが可能であることが分かる。そして、その高濃度ドープからは問題が生じないフイルムを効率良く得ることが可能になる。なお、本発明において前記基準値は、前述したものに限定されず、目的とするフイルムが必要とする性能を有するように、変更することも可能である。
【0051】
前述した溶液製膜方法で製膜されたフイルムは、偏光板保護膜として用いることができる。この偏光板保護膜をポリビニルアルコールなどから形成された偏光膜の両面に貼付することで偏光板を形成することができる。さらに、フイルム上に光学補償シートを貼付した光学補償フイルム、防眩層をフイルム上に積層させた反射防止膜などの光機能製膜として用いることもできる。これら製品から、液晶表示装置の一部を構成することも可能である。
【0052】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。また、説明において、実施例1で詳細に説明し、実施例2及び比較例については、実施例1と同じ点については説明を省略している。
【0053】
[実施例1]
図1に示したように内容積が400Lのステンレス製溶解タンク13に、下記に示すドープの原料をよく攪拌・分散しつつTAC粉体(フレーク)を徐々に計量器14を用いて添加し、全体が400kgになるように仕込んだ。なお、溶媒であるジクロロメタン、メタノール、エタノール及び1−ブタノールは、すべてその含水率が0.2重量%以下のものを利用した。
【0054】
実施例1では、ドープの原料として、下記に示すものを用いた。
Figure 2004066136
【0055】
攪拌剪断速度を最初は15m/sec(剪断応力5×104 kgf/m/sec2 )の周速で攪拌するディゾルバータイプの偏芯攪拌軸19bおよび、中心軸にアンカー翼19aを有して周速1m/sec(剪断応力1×104 kgf/m/sec2 )で攪拌する条件下で30分間分散した。分散の開始温度は20℃であり、最終到達温度は35℃となるようにジャケット17内の媒体を調整した。分散終了後、高速攪拌は停止し、アンカー翼の周速を0.5m/secとしてさらに100分間攪拌し、TACが膨潤した粗溶解溶液20を得た。粗溶解溶液20を調製タンク21に送液して、ポンプ26により加熱装置29に移液するときに、近赤外線プロセス分析計(横河電機社製 HR−800型)28を用いて低濃度ドープ30の組成を計測したところ、TAC濃度は17重量%であった。そして、低濃度ドープ30をチューブ内に静止型混合器をセットした多管式熱交換器(加熱装置)29により80℃まで昇温した。
【0056】
温度計31の指示により熱交換器29の出口の温度が80℃に達した後に切替バルブ32を切り替え、低濃度ドープ30を濾過装置40、圧力計41、温度計42を経てフラッシュノズル45から溶液濃縮装置44にフラッシュ蒸発した。このとき低濃度ドープ30を、温度80℃(温度計42による測定)、圧力1.1MPa(圧力計41による測定)になるように熱交換器29および調節バルブ43によりそれぞれ調節した。また、低濃度ドープ30の流量は、2.5L/minとし、その粘度は20Pa・s(ドープの温度を30℃として回転式粘度計により測定)であり、低濃度ドープ30中に含まれる溶存気体量(30℃,101.3kPaでの測定値)は、150mg/Lであった。
【0057】
装置本体50の材質にはSUS316を用いた。装置本体50内の容量は、7L、濃縮中ドープ56の最大容量は5L(通常は3L)、凝縮面55aの表面積は0.7m2 のものを用いた。液面検出センサ65により液面56aを検出しながら、コントローラ66aによりポンプ65を制御することにより液面56aを一定の高さに保持した。このときの濃縮中ドープ56の容量は、3Lであった。また、第3ジャケット53には、0℃の冷媒(ナイブラインZ1(登録商標)丸善ケミカル製)を通液した。このとき、冷媒入口温度は0℃、冷媒出口温度5℃、冷媒流量10L/minであった。装置本体50内で蒸発した気化溶媒57aを凝縮面55aで凝縮し凝縮溶媒57bとした。凝縮溶媒57bは、凝縮面55aを流下して受け器58から配管60を使って重力送液し、調節バルブ61により流量を一定に保ちながら回収タンク63に捕集した。
【0058】
圧力計59で計測した装置本体50内の気相の圧力は、大気圧よりも約300Pa低く(装置本体内気相絶対圧;1010hPa)し、液面56aの振れは±5mm以下となるようにフラッシュ蒸発を制御した。フラッシュ部54に取り付けられている第2ジャケット52内に送液する媒体には、温度が30℃の水を用いて、装置本体接液部の内壁温度を30℃とした。フラッシュ蒸発している際の吐出圧力の振れは±0.1MPa以内となるように調節バルブ43を用いて調節した。ドープ製造ライン10中の流量変動を流量計27,70で計測し、±1%以下となるように送液を調整した。
【0059】
得られた高濃度ドープ67のTAC濃度を近赤外プロセス分析計69により測定したところ、21重量%であった。また、高濃度ドープの温度は38℃、粘度は60Pa・s(ドープの温度を30℃として回転式粘度計により測定)であった。溶液濃縮装置44からの抜き出し流量は1.6L/minとした。さらに、この高濃度ドープの沸点は40℃であり、溶存気体量(30℃,101.3kPaで測定)は20mg/Lであった。装置本体内でのドープの平均滞留時間は1.9minであった。濾過装置40が所定圧力(PL )1.0MPaに達したときに、濾過固形分量V0が1500kg/m2 であった。また、2次濾過装置71が所定圧力(PH )2.0MPaに達したときに、濾過固形分量V1が1400kg/m2 であった。濾過量変化率は、7%であり、装置本体50内の皮張りの発生が抑制されたことが分かった。
【0060】
(フイルムの製造)
図4に示したフイルム製膜ライン80を用いて高濃度ドープ67を流延ダイ84から20℃の回転ローラ86,87により移動している流延バンド88上に流延速度を3m/minとし、乾燥後のフイルム91の膜厚が80μmとなるように流延した。ゲル膜89として流延バンド88上で3分間移動させ、剥取ローラ90によりフイルム91として剥ぎ取った。フイルム91をテンタ92により延伸させながら乾燥した。さらに、フイルム91を100℃〜150℃の温度範囲に温調されている乾燥ゾーン93に送った。フイルム91をローラ94に巻き掛けられながら10分間搬送した。続いて、冷却ゾーン95に送り込み、フイルム91の温度を室温まで下げた後に、巻取機96に巻き取った。
【0061】
得られたフイルム91の厚さ方向のレターデーション値(Rth)を測定したところ15nmであった。本発明の溶液製膜方法により得られたフイルムは、光学特性に優れたものであることが分かった。なお、厚さ方向のRthとは、下記式(2)で表される。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d・・(2)
前記式中のnx,ny,nzは、それぞれ横方向(フイルムの幅方向),縦方向(フイルムの流延方向)、フイルムの厚さ方向の屈折率を表しており、エリプソメータ(偏光解析計)を用い、波長は632.nmで測定された値である。また、dは、フイルムの平均厚さ(nm)を示している。
【0062】
[実施例2]
攪拌翼を有し外周を冷却水が循環する200Lのステンレス製の溶解タンク13に、下記に示すドープ原料をよく攪拌・分散しつつTAC粉体を徐々に添加し、全体が200kgになるように仕込んだ。なお、溶媒である酢酸メチル、アセトン、メタノール及び1−ブタノールは、すべてその含水率が0.2重量%以下のものを利用した。
【0063】
実施例2では、ドープの原料として、下記に示すものを用いた。
Figure 2004066136
【0064】
分散の開始温度を25℃,タンク内の酸素濃度を10vol%未満とした以外は、実施例1と同様にして分散させた。その後に、高速攪拌は停止し、アンカー翼の周速を0.5m/secとしてさらに100分間攪拌し、セルローストリアセテートが膨潤した粗溶解溶液20を得た。この際、防爆上で問題のない状態を保った。また、粗溶解溶液中の水分量は0.2重量%であることを確認した。
【0065】
得られた不均一なゲル状溶液(粗溶解溶液)を、軸中心部を加温したスクリューポンプで送液して、そのスクリュー外周部から冷却して−75℃で3分間となるように冷却部分を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒を用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液(低濃度ドープ)はスクリューポンプで送液中に35℃に加温されてステンレス製の容器に移送した。50℃で2時間攪拌し均一溶液とした後に、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)でろ過した。低濃度ドープのTAC濃度は、15重量%であった。そして、低濃度ドープをチューブ内に静止型混合器をセットした多管式熱交換器(加熱装置)により120℃まで昇温した。
【0066】
温度計の指示により熱交換器の出口の温度が120℃に達した後に実施例1と同じ溶液濃縮装置を用いて、同様にフラッシュ蒸発した。このとき低濃度ドープ30を、温度120℃(温度計42による測定)、圧力1.6MPa(圧力計42による測定)になるように熱交換器29および調節バルブ43によりそれぞれ調節した。また、低濃度ドープ30の流量は、2.0L/minとし、その粘度は15Pa・s(ドープの温度を30℃として回転式粘度計により測定)であり、低濃度ドープ30中に含まれる溶存気体量(30℃,101.3kPaでの測定値)は、200mg/Lであった。
【0067】
低濃度ドープを濃縮している際の各条件は、特に明記しない点は実施例1と同じ条件となるようにドープ製造ライン10を運転させた。なお、装置本体内の気相の圧力は、実施例1と同様に大気圧よりも約300Pa低く(装置本体内気相絶対圧力;1010hPa)した。接液部の温度が40℃となるように第2ジャケット52内に媒体を送液した。また、高濃度ドープの物性を実施例1と同じ条件で測定したところ、TAC濃度22重量%、温度58℃、粘度は100Pa・s(ドープの温度を30℃として回転式粘度計により測定)であり、沸点は60℃であり、溶存気体量(30℃,101.3kPaで測定)は25mg/Lであった。装置本体内でのドープの平均滞留時間は2.1minであったった。溶液濃縮装置44からの抜き出し流量は1.4L/minであった。濾過装置40が所定圧力(PL )1.0MPaに達したときに、濾過固形分量V0が1000kg/m2 であった。また、2次濾過装置71が所定圧力(PH )2.0MPaに達したときに、濾過固形分量V1が800kg/m2 であった。濾過量変化率は、20%であり、装置本体50内の皮張りの発生が抑制されたことが分かった。
【0068】
実施例2の方法で得られた高濃度ドープを用いて実施例1と同じ条件でフイルムを製膜した。得られたフイルムの厚さ方向のレターデーション値(Rth)を測定したところ20nmであった。非塩素系溶媒である酢酸メチルを主溶媒とした実施例2の溶液製膜方法により得られたフイルムも、光学特性に優れたものであることが分かった。
【0069】
[比較例]
比較例の実験では、図7に示した従来の溶液濃縮装置140を用いて、低濃度ドープをフラッシュ蒸発させて高濃度ドープを作製した。装置本体141内のドープの溶液量は200L,凝縮面面積141aは1.0m2 ,材質はSUS316のものを用いた。実施例1と同じ条件で、溶解タンクに原料を仕込み、低濃度ドープ147を得た。低濃度ドープ147は、温度80℃、圧力1.1MPa、流量は2.5L/minであり、粘度は20Pa・s(ドープの温度を30℃として回転式粘度計により測定)であり、溶存気体量は、150mg/Lであった。低濃度ドープのTAC濃度は17重量%であった。ジャケット142の媒体143には、温度が40℃の水を用い、接液部の温度を40℃とした。そして、低濃度ドープ147を濾過装置152により濾過した後に液面144aに向けてフラッシュ蒸発させた。このときの装置本体141内の気相の絶対圧力は1200hPaであった。
【0070】
得られた高濃度ドープ151のTAC濃度は、21重量%であった。また、高濃度ドープの温度は38℃、粘度は60Pa・s(ドープの温度を30℃として回転式粘度計により測定)、沸点は40℃、溶存気体量10mg/L、ドープの装置本体内平均滞留時間は125minであった。溶液濃縮装置140からの抜き出し流量は1.6L/minであった。そして、2次濾過装置153により濾過した後に、フイルムを製膜した。得られたフイルムの厚さ方向のレターデーション値(Rth)を測定したところ16nmであった。また、ドープ製造ラインを運転中に濾過装置147が所定圧力(PL )1.0MPaに達したときに、濾過固形分量V0が1500kg/m2 であった。また、2次濾過装置153が所定圧力(PH )2.0MPaに達したときに、濾過固形分量V1が700kg/m2 であった。濾過量変化率は、53%であり、装置本体141内には多量の皮張りが発生した。
【0071】
[反射防止膜の作製及び評価]
実施例1及び2で製膜されたフイルムを用いて、反射防止膜を作製し、それらの評価を行った。
【0072】
(防眩層用塗布液Aの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)125g、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド(MPSMA、住友精化(株)製)125gを、439gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50重量%/50重量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)5.0gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)3.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗布層の屈折率は1.60であった。さらに、この溶液に平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、綜研化学(株)製)10gを添加して、高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌、分散した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して防眩層の塗布液Aを調製した。
【0073】
(防眩層用塗布液Bの調製)
シクロヘキサノン104.1g、メチルエチルケトン61.3gの混合溶媒に、エアディスパで攪拌しながら酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液(デソライトKZ−7886A、JSR(株)製)217.0gを添加した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗布層の屈折率は1.61であった。さらに、この溶液に平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、綜研化学(株)製)5gを添加して、高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌、分散した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して防眩層の塗布液Bを調製した。
【0074】
(防眩層用塗布液Cの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)91g、酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液(デソライトKZ−7115、JSR(株)製)199g、および酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液(デソライトKZ−7161、JSR(株)製)19gを、52gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54重量%/46重量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)10gを加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗布層の屈折率は1.61であった。さらに、この溶液に平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、綜研化学(株)製)20gを80gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54重量%/46重量%の混合溶媒に高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌分散した分散液29gを添加、攪拌した後に、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して防眩層の塗布液Cを調製した。
【0075】
(ハードコート層用塗布液Dの調製)
紫外線硬化性ハードコート組成物(デソライトKZ−7689、72重量%、JSR(株)製)250gを62gのメチルエチルケトンおよび88gのシクロヘキサノンに溶解した溶液を加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗布層の屈折率は1.53であった。さらに、この溶液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過してハードコート層の塗布液Dを調製した。
【0076】
(低屈折率層用塗布液の調製)
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(TN−049、JSR(株)製)20093gにMEK−ST(平均粒径10nm〜20nm、固形分濃度30重量%のSiO2 ゾルのMEK(メチルエチルケトン)分散物、日産化学(株)製)8g、およびメチルエチルケトン100gを添加、攪拌の後に径径1μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
【0077】
実施例1で作製した80μmの厚さのTACフイルム上に前記ハードコート層用塗布液Dをバーコータを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2 、照射量300mJ/cm2 の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ2.5μmのハードコート層を形成した。その上に、上記防眩層用塗布液Aをバーコータを用いて塗布し、上記ハードコート層と同条件にて乾燥、紫外線硬化して、厚さ約1.5μmの防眩層を形成した。さらに、その上に上記低屈折率層用塗布液をバーコータにて塗布し、80℃で乾燥の後に、さらに120℃で10分間熱架橋し、厚さ0.096μmの低屈折率層を形成した。得られた反射防止膜について、下記に記した評価を行った。
【0078】
(1)鏡面反射率及び積分反射率
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380nm〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5°の鏡面反射率を測定し、450nm〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。鏡面反射率は、5%以下であれば、実用上問題がない。また、積分反射率は、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターILV−471を装着して、380nm〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分反射率を測定し、450nm〜650nmの平均反射率を算出した。積分反射率は10%以下であれば実用上問題がない。
【0079】
(2)ヘイズ
得られた反射防止膜のヘイズをヘイズメータ MODEL 1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。ヘイズは、15%以下であれば実用上問題はない。
【0080】
(3)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する3Hの試験用鉛筆を用いて、1kgの荷重で、n=5の評価において傷が全く認められない(○)、n=5の評価において傷が1または2つ(△)、n=5の評価において傷が3つ以上(×)の3段階評価を行った。
【0081】
(4)接触角測定
表面の耐汚染性の指標として、反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、水に対する接触角を測定し、指紋付着性の指標とした。接触角は、90°〜180°の範囲であれば実用上問題がない。
【0082】
(5)色味
前述して測定された鏡面反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5°入射光に対する正反射光の色味を表わすCIE1976L*a*b*色空間のL*値、a*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価した。色味は、それぞれの空間においてL*が0〜+15、a*が0〜+20、b*が−30〜0の範囲であれば、実用上問題がない。
【0083】
(6)動摩擦係数測定
表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩擦係数は反射防止膜を25℃、相対湿度60%RHで2時間調湿した後に、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minで測定した値を用いた。動摩擦係数は、0.15以下であれば実用上問題が生じない。
【0084】
(7)防眩性評価
作成した反射防止膜にルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2 )を映し、その反射像のボケの程度を蛍光灯の輪郭が全くわからない(◎)、蛍光灯の輪郭がわずかにわかる(○)、蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる(△)、蛍光灯がほとんどぼけない(×)の基準で評価した。
【0085】
(8)塗布層の面状評価
反射防止膜の塗布層の表面を目視で観察し、その面状を塗布層表面は平滑である(◎)、塗布層表面は平滑であるが、少し異物が見られる(○)、塗布層表面に弱い凹凸が見られ、異物の存在がはっきり観察される(△)、塗布層表面に凹凸が見られ異物が多数見られる(×)の4段階で評価した。
【0086】
次に実施例1のフイルムを用いて、防眩層用塗布液Aを防眩層用塗布液Bに代え、その他の条件は同じにした反射防止膜を作製した。また、防眩層用塗布液Aを防眩層用塗布液Cに代え、その他の条件は同じにした反射防止膜も作製した。さらに、実施例2のフイルムからも、防眩層用塗布液A,B,Cを1つずつ用いて前述した反射防止膜の作製条件を同じにしてそれぞれの反射防止膜を作成した。作製した全ての反射防止膜についても、前述した評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0087】
【表1】
Figure 2004066136
【0088】
表1から本発明の溶液濃縮方法を用いて得られたドープから溶液製膜方法により製膜されたフイルムから作製された光学機能性膜の1つである反射防止膜は、防眩性、反射防止性に優れ、且つ色味が弱く、また、鉛筆硬度、指紋付着性、動摩擦係数のような膜物性を反映する評価の結果も良好であった。
【0089】
[偏光板の作製及び評価]
偏光板はポリビニルアルコールを延伸してヨウ素を吸着させた偏光素子の両面に、実施例1及び実施例2で得られたフイルムをポリビニルアルコール系接着剤により貼合し作成した。この偏光板を60℃、90%RHの雰囲気下で500時間暴露した。
【0090】
分光光度計により可視領域における並行透過率Yp、直行透過率Ycを求め次式に基づき偏光度Pを決定した。
P=√((Yp−Yc)/(Yp+Yc))×100 (%)
実施例1及び実施例2から製造されたフイルムを用いて構成された偏光板のいずれにおいても偏光度は99.6%以上であり、十分な耐久性が認められた。そこで、本発明の溶液濃縮方法を用いて得られたドープから溶液製膜方法により製膜されたフイルムは、偏光板保護膜(偏光板保護フイルム)に用いることが好ましく、製作された偏光板は光学特性に優れていることが分かった。
【0091】
次に、実施例1及び実施例2で製膜されたフイルムを用いて防眩性反射防止偏光板を作成した。この偏光板を用いて反射防止層を最表層に配置した液晶表示装置を作成したところ、外光の映り込みがないために優れたコントラストが得られ、防眩性により反射像が目立たず優れた視認性を有し、指紋付も良好であった。そこで、本発明の溶液濃縮方法、溶液製膜方法により製膜されたフイルムは、光学機能性膜として優れた性質を有し、その膜を液晶表示装置の一部として用いることが好ましいことが分かった。
【0092】
【発明の効果】
以上のように、本発明の溶液濃縮方法によれば、溶液から気化した溶媒を同一容器内で凝縮分離させるので、前記容器内に皮張りの発生を抑制でき濃縮効率を高めることができる。
【0093】
以上のように、本発明の溶液濃縮方法によれば、溶液から気化した溶媒を同一容器内で凝縮分離させる際に、前記容器内の溶液中にフラッシュ蒸発させる溶液の放出を行い、前記気化をフラッシュ蒸発法により行うから、前記容器内に皮張りの発生をさらに抑制でき、濃縮効率をさらに高めることができる。また、本発明に用いられる装置は、溶液の濃縮効率が良くエネルギー効率も良いため、装置の小型化(内容積換算で最大1/100程度)を図ることができる。さらに、本発明は、低濃度溶液を装置中の溶液にフラッシュさせるため、溶液の脱泡を行うこともできる。
【0094】
以上のように、本発明の溶液製膜方法は、本発明の溶液濃縮方法を用いて製膜用のドープを調製するから、低濃度ドープを作製し、その低濃度ドープを濃縮して流延に適した高濃度ドープを調製するので、ドープを容易に調製することが可能となる。特に、ドープのポリマーにTACを用いた際に、溶媒に酢酸メチルを主溶媒とした混合溶媒を用いたときに、有効である。また、本発明の溶液濃縮方法を用いればドープ濃縮時間を短縮できるので、溶液製膜を効率良く行うことができる。さらに、本発明の溶液濃縮方法を用いた溶液製膜方法では、濃縮用の容器内での皮張りの発生が抑制されるため、ドープを製造する際、濾過装置の寿命を延ばすことが可能となり、連続して溶液製膜を行うことが可能となる。
【0095】
以上のように、本発明のフイルムは、ドープを濃縮する際に、皮張りの発生が抑制されているために、ドープ中に異物が混入することが抑制され、面状及び光学特性に優れたものが得られる。また、そのフイルムを用いて構成された偏光板、反射防止膜などの各種の製品も光学特性に優れたものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶液濃縮方法に用いられるドープ製造ラインの概略図である。
【図2】本発明の溶液濃縮方法に用いられる溶液濃縮装置の概略断面図である。
【図3】本発明の溶液濃縮方法に用いられる濾過装置の濾過量と圧力比との関係を示す図である。
【図4】本発明の溶液製膜方法に用いられるフイルム製膜ラインの実施形態を示す概略図である。
【図5】本発明に用いられるフイルム製膜ラインの他の実施形態を示す要部概略断面図である。
【図6】本発明に用いられるフイルム製膜ラインの他の実施形態を示す要部概略断面図である。
【図7】従来のフラッシュ蒸発法に用いられる装置を説明するための要部概略断面図である。
【符号の説明】
10 ドープ製造ライン
40 濾過装置
43 調節バルブ
44 溶液濃縮装置
45 フラッシュノズル
50 溶液濃縮装置本体
51,52,53 ジャケット
55a 凝縮面
56 濃縮中ドープ
56a 液面
57 溶媒
57a 気化溶媒
57b 凝縮溶媒
65 液面検出センサ
66 ポンプ
66a コントローラ
67 高濃度ドープ
71 2次濾過装置
80 フイルム製膜ライン
91 フイルム

Claims (31)

  1. 溶液から気化した溶媒を同一容器内で凝縮分離させることを特徴とする溶液濃縮方法。
  2. 前記凝縮分離した液を、
    重力または表面張力の少なくとも一方を利用して前記容器から取り出すことを特徴とする請求項1記載の溶液濃縮方法。
  3. 前記容器が2つ以上の異なる温度条件に保たれていることを特徴とする請求項1または2記載の溶液濃縮方法。
  4. 前記気化をフラッシュ蒸発法により行うことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  5. フラッシュ蒸発させる溶液の放出を、
    前記容器内の溶液中で行うことを特徴とする請求項4記載の溶液濃縮方法。
  6. 前記容器内の溶液の液面位置を検出する液面検出手段と、
    その液面検出手段で検出された値に従って、前記容器内の液面を制御する液面制御手段と、を用いて、
    前記容器内の液面を制御することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  7. 前記容器の内壁の温度が、前記溶液を構成する溶媒の沸点より低く保たれていることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  8. 前記容器内の溶液の平均滞留時間が、
    0.5分〜20分であることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  9. 前記溶液を凝縮分離する前にその溶液を濾過する第1濾過装置と、
    前記溶液を凝縮分離した後にその溶液を濾過する第2濾過装置とを用いて、前記凝縮分離を行う場合であって、
    下記(1)式から算出される前記第1濾過装置と前記第2濾過装置との濾過量変化率が50%以下であることを特徴とする請求項1ないし8いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
    濾過量変化率(%)=((V0−V1)/V0)×100・・・(1)
    V0;前記凝縮分離前の溶液が、所定濾過圧力に到達するまでの定速濾過量。
    V1;前記凝縮分離後の溶液が、所定濾過圧力に到達するまでの定速濾過量。
  10. 前記溶液を構成する溶質のうち少なくとも1つが、
    ポリマーであることを特徴とする請求項1ないし9いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  11. 前記ポリマーがセルロースアシレートであることを特徴とする請求項10記載の溶液濃縮方法。
  12. 前記溶液を濃縮する前の低濃度ポリマー溶液のポリマー濃度が、
    5重量%〜30重量%であることを特徴とする請求項10または11記載の溶液濃縮方法。
  13. 前記溶液を濃縮した後の高濃度ポリマー溶液のポリマー濃度が、
    12重量%〜40重量%であることを特徴とする請求項10ないし12いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  14. 請求項13記載の溶液濃縮方法を1回行ったときの、前記低濃度ポリマー溶液と前記高濃度ポリマー溶液と、のポリマー濃度差が1重量%〜15重量%であることを特徴とする溶液濃縮方法。
  15. 前記低濃度ポリマー溶液の粘度が、
    0.1Pa・s〜100Pa・sであることを特徴とする請求項12ないし14いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  16. 前記高濃度ポリマー溶液の粘度が、
    1Pa・s〜200Pa・sであることを特徴とする請求項13ないし15いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  17. 前記低濃度ポリマー溶液の温度が、
    50℃〜180℃であることを特徴とする請求項12ないし16いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  18. 前記高濃度ポリマー溶液の温度が、
    20℃〜70℃であることを特徴とする請求項13ないし17いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  19. 前記低濃度ポリマー溶液を前記容器内に放出するまでの圧力を、
    前記低濃度ポリマー溶液のその温度における飽和蒸気圧(MPa)〜飽和蒸気圧+5(MPa)とすることを特徴とする請求項12ないし18いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  20. 前記容器内の気相の絶対圧力を、500hPa〜1100hPaとして、
    前記容器から前記高濃度ポリマー溶液を取り出すことを特徴とする請求項13ないし19いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  21. 前記低濃度ポリマー溶液と前記高濃度ポリマー溶液とに含まれる異物量が、
    いずれの溶液も基準値以下であることを特徴とする請求項13ないし19いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  22. 前記基準値は、
    前記低濃度ポリマー溶液及び前記高濃度ポリマー溶液を用いて製膜されたフイルムの輝点欠陥の数が、
    前記フイルムの幅方向に5cm2 のサンプルを5点採取した際の平均値として、
    20μm以上が0個/(5cm2 )であり、
    10μm以上が10個/(5cm2 )以下であり、
    5μm以上が10個/(5cm2 )以下であることを特徴とする請求項21記載の溶液濃縮方法。
  23. 前記低濃度ポリマー溶液中の残存気体量が、10mg/L〜500mg/Lであることを特徴とする請求項12ないし22いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  24. 前記高濃度ポリマー溶液中の残存気体量が1mg/L〜200mg/Lであることを特徴とする請求項13ないし23いずれか1つ記載の溶液濃縮方法。
  25. 請求項13ないし24いずれか1つ記載の溶液濃縮方法により得られた高濃度ポリマー溶液を流延することを特徴とする溶液製膜方法。
  26. 前記高濃度ポリマー溶液を少なくとも1つの層に含む共流延法により溶液製膜を行うことを特徴とする請求項25記載の溶液製膜方法。
  27. 前記高濃度ポリマー溶液を少なくとも1つの層に含む逐次流延法により溶液製膜を行うことを特徴とする請求項25または26記載の溶液製膜方法。
  28. 請求項25ないし27いずれか1つ記載の溶液製膜方法により製膜されたフイルム。
  29. 請求項28記載のフイルムを用いて構成されたことを特徴とする偏光板保護膜。
  30. 請求項29記載の偏光板保護膜を用いて構成されたことを特徴とする偏光板。
  31. 請求項28記載のフイルムを用いて構成されたことを特徴とする光学機能性膜。
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