JP2004066128A - 底泥の浄化方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な設備で底泥中の有機塩素化合物などを効率的に酸化分解でき、浄化した底泥を特別な装置を用いずに水域に戻す。
【解決手段】水域24の水面26近傍に上端開口11が位置すると共に水底28近傍に下端開口13が位置するように長筒部材12を浸漬させると共に該長筒部材12内の下端部に設けた曝気管14からオゾンガスを曝気し、曝気されたオゾンガスの気泡によるエアリフト作用によって下端開口13の外から内に向かう水流を発生させることで底泥32を長筒部材12内に導入し、該導入されて長筒部材12内を上昇する底泥32と曝気されたオゾンガスとを接触させる。
【選択図】 図1
【解決手段】水域24の水面26近傍に上端開口11が位置すると共に水底28近傍に下端開口13が位置するように長筒部材12を浸漬させると共に該長筒部材12内の下端部に設けた曝気管14からオゾンガスを曝気し、曝気されたオゾンガスの気泡によるエアリフト作用によって下端開口13の外から内に向かう水流を発生させることで底泥32を長筒部材12内に導入し、該導入されて長筒部材12内を上昇する底泥32と曝気されたオゾンガスとを接触させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、底泥の浄化方法及び装置に係り、特に河川、湖沼、海等の広範囲にわたり水底に堆積した底泥に含まれる有機塩素化合物などを分解除去する場合に好適な底泥の浄化方法及び装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、底泥の一般的な処理は、ショベルカーで浚渫した底泥を、脱水処理又は薬剤による固化処理をしてから埋め立て処分を行うことで処理される。
【0003】
近年、河川、湖沼、海等の水域の底泥には、塩素系農薬類やダイオキシン類等の有機塩素化合物が蓄積されることが知られており、底泥を埋め立て処理した場合に降雨により底泥が流されたり、浸出水に含有して地表に出てくるため、問題となっている。
【0004】
別の水底の浄化法としては特許1057278号公報があり、この方法は、空気を飽和させた高圧力水を噴射しながら攪拌し、水中酸素濃度を高めることにより水質を向上させるものである。しかし、この浄化法を底泥の有機性塩素化合物に適用しても塩素系農薬類やダイオキシン類等の有機塩素化合物は難分解性有機物であるため、水中に溶存する溶存酸素による酸化力だけでは殆ど酸化分解しない。
【0005】
また、特開平9−165775号公報の浚渫底泥の処理方法では浚渫した底泥にオゾンを添加して底泥から溶出する栄養塩類を分解処理し、処理した底泥を水底部に返送することで陸上での埋め立て処分を不要とすることが開示されている。この処理方法はオゾンを使用することで、溶存酸素よりも有機性塩素化合物を酸化分解することができ、処理した底泥を埋め立て処理しなくてもよい利点はある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−165775号公報の底泥の処理方法は、水深の深い場所では大がかりな浚渫設備が必要になるという欠点がある。また、処理した底泥を再び水域に戻すためのポンプ等の装置が必要になると共に、オゾンを底泥に効率良く接触させるには、オゾンガスを水に高濃度に溶解したオゾン溶解水が必要であり、そのためには水深が4〜5mのオゾン接触槽を必要とする。従って、設備が大型になり設備コストが高くなる。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡単な設備で底泥中の有機塩素化合物などを効率的に酸化分解でき、浄化した底泥を水域に戻すための特別な装置やオゾンを水中に溶解するための特別な装置も必要ない底泥の浄化方法及び装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、水域の底泥の浄化方法において、前記水域の水面下に上端開口が位置し、水底近傍に下端開口が位置するように長筒部材を浸漬させると共に該長筒部材内に設けた曝気管からオゾンガスを曝気し、曝気されたオゾンガスの気泡によるエアリフト作用によって前記長筒部材内に上向流を発生させることで前記底泥を前記長筒部材内に導入し、前記導入された底泥と前記曝気されたオゾンガスとを前記長筒部材内で接触させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は前記目的を達成するために、水域の底泥の浄化装置において、前記水域の水面下に上端開口が位置すると共に水底近傍に下端開口が位置するように浸漬させる長筒部材と、前記長筒部材内の下端部に設けられ、該長筒部材内にオゾンを曝気する曝気管と、前記曝気管にオゾンを供給するオゾン発生器と、を備え、前記長筒部材の長さを可変としたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、有機塩素化合物などを含有する底泥が存在する水域の水面下に上端開口が位置すると共に水底近傍に下端開口が位置するように長筒部材を浸漬させる。そして、長筒部材内の下部に設けた曝気管からオゾンガスを曝気する。これにより、オゾンガスによるエアリフト作用により長筒部材内に上向流が生じ、その結果、長筒部材の下端開口の外から内に向いた水流が発生する。この水流で下端開口近傍に存在する底泥が舞い上がり長筒部材に導入され、長筒部材内を上昇する。この導入された底泥と、曝気されたオゾンガスとが長筒部材内で接触し、底泥中の有機塩素化合物などが酸化分解される。尚、本発明においてオゾンガスとはオゾンが100%のガスではなく、オゾンを含有するガスという意味で用いるものとする。
【0011】
このように、本発明は、長筒部材と曝気するオゾンガスだけという簡単な設備で底泥を浚渫することができる。しかも好ましくは長筒部材の下端部の水圧の高い位置でオゾンガスを曝気することでオゾンガスが水中に高濃度に溶解され、長筒部材内を上昇する底泥と高濃度なオゾン溶解水又はオゾンガスとが長筒部材内の区画された領域内で接触するので、効率よく有機性塩素化合物などを酸化分解できる。また、長筒部材を上昇する過程で、浄化された底泥は長筒部材の上端開口から溢れ出て再び水域に戻される。従って、浄化した底泥を水域に戻すためのポンプ等の動力装置も必要ない。
【0012】
本発明の好ましい態様としては、長筒部材の上端部を底泥処理を行う船に支持すると共に、曝気管にオゾンガスを供給するオゾン発生器を船舶に搭載し、船舶で水域を移動させることが好ましい。即ち、底泥を浄化するための装置自体が水域を移動できるようにしたので、底泥を浚渫して地上で浄化処理してから水域に戻す場合に比べて格段に浄化効率を良くできる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下添付図面に従って、本発明に係る底泥の浄化方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0014】
本発明の図1は、本発明の底泥の浄化装置の全体構成を示した概念図である。
【0015】
図1に示すように、浄化装置10は、主として、長筒部材12と、該長筒部材12内の下端部にオゾンガスを曝気する曝気管14と、曝気管14にオゾンを供給するオゾン発生装置16と、で構成される。
【0016】
長筒部材12は、上端に上端開口11、下端に下端開口13を有する筒状に形成され、上端部がクレーン船18のクレーン20に吊り具22を介して吊設される。これにより、クレーン船18が河川、湖沼、海等の水域24内を移動するのに伴って長筒部材12も移動する。長筒部材12は、複数本(図1では2本)の筒12A、12Bが入れ子構造になっており、図示しない伸縮機構により長筒部材12の長さが可変できるようになっている。そして、クレーン20の起伏動作及び長筒部材12の伸縮動作により、水域24の水深に応じて、長筒部材12の上端開口11が水面26近傍の水面下に位置し、下端開口13が水底28近傍に位置するように調整される。
【0017】
曝気管14は、長筒部材12内の下端部に設けられると共に、クレーン船18にはオゾン発生装置16が設けられる。そして、オゾン発生装置16と曝気管14とが配管30により接続される。これにより、オゾン発生装置16を運転して曝気管14からオゾンガスを長筒部材12内の下端部に曝気することにより、曝気されたオゾンガスの気泡により長筒部材12内にはエアリフト作用が発生し、長筒部材12内に上向きの水流が発生すると共に、長筒部材12の下端開口13の外から内に向かう水流が発生する。この水流によって水底の底泥32が長筒部材12内に巻き上げられて長筒部材12内に導入される。これにより、従来のようにショベルカーや吸い上げポンプ等の機械により底泥32を浚渫することなく、長筒部材12と曝気するオゾンガスだけという簡単な構成で底泥32を浚渫することができる。この場合、長筒部材12内の下端部に図2に示したプロペラ羽根34或いは図3に示したスクリュー羽根36を設け、底泥32を舞い上がらせるための補助装置として使用するとよい。また、長筒部材12の下端部は舞い上がった底泥32が長筒部材12内に導入され易いようにラッパ管状に広がっていることが好ましい。
【0018】
長筒部材12内に導入された底泥32は、長筒部材12内の上向流に乗って上昇しながら、長筒部材12内に曝気されたオゾンガス又はオゾン溶解水と接触する。この底泥32とオゾン溶解水との接触において、長筒部材12の下端部の水圧の高いところでオゾンガスを曝気させるので、オゾンガスの水中への溶解効率が高くなり、底泥に含有される有機性塩素化合物などを高濃度のオゾン溶解水で効率的に酸化分解できる。また、長筒部材12がオゾンを溶解させるための水深の深いオゾン接触槽の役目もするので、オゾン接触槽を別途設ける必要もない。
【0019】
長筒部材12内を上昇しながらオゾン溶解水又はオゾンガスに接触して浄化された底泥32は、長筒部材12の上端開口11から溢れ出て再び水域24に戻される。従って、浄化した底泥32を水域に戻すためのポンプ等の動力装置も必要ない。この場合、浄化された底泥32が長筒部材12の上端開口11から溢れ出るように上端開口11と水面との位置関係を調整する必要があり不便なので、図1に示すように、長筒部材12の上端部近傍に浄化した底泥32を水域24に戻すための排出口38を設けるとよい。底泥32が酸化分解されることで長筒部材12内の水面近傍には浮遊物質が発生するが、長筒部材12の下端部で高濃度に溶解されたオゾン溶解水が、上向流となって水面近傍まできたときに、水圧が小さくなるので溶解していたオゾンが微細な気泡となって出現する。この微細な気泡が浮遊物質を固液分離する効果を有するので、浮遊物質を水中から分離して水面近傍に集積させることができる。
【0020】
また、本発明の浄化装置10には、底泥32の有機性塩素化合物濃度が高く、長筒部材12内でのオゾン酸化だけでは底泥中に有機性塩素化合物が残留する場合の補助処理装置が設けられ、クレーン船18に搭載される。即ち、図4に示すように、クレーン船18には固液分離装置40が設けられ、固液分離装置40と長筒部材12との間には、水面まで上昇した底泥32や前記した浮遊物質を固液分離装置40にすくい上げるスキーマー装置42が設けられる。スキーマー装置42は、駆動ローラ44と従動ローラ46とで成る一対のローラに無端状ベルト48を掛け渡し、無端状ベルト48の外周面に間隔を置いて多数のレーキ50を固着した構造を有している。これにより、無端状ベルト48が図4の矢印方向に回転すると、レーキ50が水面に浮遊する底泥32や浮遊物質をすくい上げ固液分離装置40に搬送する。この場合、スキーマー装置42のクレーン船側が揺動装置52を介して甲板上の支柱54に支持され、スキーマー装置42の長筒部材側が上下に揺動するようになっている。これにより、スキーマー装置42の水面に対する位置決めがなされ、底泥32や浮遊物質が効率的にすくい上げられる。固液分離装置40は、遠心力を利用したもの、重力を利用したもの、その他の装置を利用できる。
【0021】
図4及び図5に示すように、すくい上げられた底泥32や浮遊物質は、固液分離装置40で分離汚泥と分離水に固液分離された後、分離汚泥がフェントン処理装置56に送られる。フェントン処理装置56は、主として、分離汚泥を酸化分解する酸化分解槽58と、分離汚泥に過酸化水素(H2 O2 )を添加する第1の添加配管60と、鉄(Fe2+)を添加する第2の添加配管62とから構成される。この過酸化水素と鉄との接触によるフェントン反応が生じ、ヒドロキシラジカル等の活性酸素を発生させて分離汚泥を酸化分解する。ヒドロキシラジカル等の活性酸素は、高い酸化力を有するので、底泥32に残留する有機塩素化合物を酸化分解する。フェントン処理装置56で処理された分離汚泥は、浄化された処理汚泥として水域に戻される。このフェントン処理装置56を使用する場合には、長筒部材12の上端部に形成した排出口38は閉塞する必要があるので、排出口38を開閉するための蓋部材64が設けられている。
【0022】
尚、本発明の実施の形態では、長筒部材12やオゾン発生装置16、固液分離装置40、フェントン処理装置56等の全てを、クレーン船18に搭載するようにしたが、陸地に近い水域の底泥を浄化する場合には、長筒部材12以外の装置16、40、56は陸地に設けるようにしてもよい。
【0023】
また、上記実施の形態では、長筒部材12の上端開口11を、水面近傍に位置させ、水面まで上昇した底泥32をスキーマー装置42ですくい上げる構成を示した。しかし、本発明はこれに限らず、上端開口11を水面よりも十分に低く位置させ、上端開口11から溢れ出た底泥をそのまま水域24に戻すようにしてもよい。また、曝気管14は、長筒部材12の必ずしも下端部に設ける必要はなく、中間部に設けるようにしてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の底泥の浄化方法及び装置によれば、簡単な設備で底泥中の有機塩素化合物などを効率的に酸化分解でき、酸化分解した底泥を水域に戻すための特別な装置やオゾンを水中に溶解するための特別な装置も必要ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の浄化装置の全体構成を説明する概念図
【図2】
長筒部材内の下端部に設けたプロペラを説明する説明図
【図3】
長筒部材内の下端部に設けたスクリュー羽根を説明する説明図
【図4】
スキーマー装置を説明する側面図
【図5】
補助酸化装置における底泥の残留有機性塩素化合物の処理方法を説明する説明図
【符号の説明】
10…浄化装置、11…長筒部材の上端開口、12…長筒部材、13…長筒部材の下端開口、14…曝気管、16…オゾン発生装置、18…クレーン船、20…クレーン、24…水域、26…水面、28…水底、30…配管、32…底泥、34…プロペラ羽根、36…スクリュー羽根、38…排出口、40…固液分離装置、42…スキーマー装置、44…駆動ローラ、46…従動ローラ、48…無端状ベルト、50…レーキ、52…揺動装置、54…支柱、56…フェントン処理装置、58…酸化分解槽、60…第1の添加配管、62…第2の添加配管
【発明の属する技術分野】
本発明は、底泥の浄化方法及び装置に係り、特に河川、湖沼、海等の広範囲にわたり水底に堆積した底泥に含まれる有機塩素化合物などを分解除去する場合に好適な底泥の浄化方法及び装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、底泥の一般的な処理は、ショベルカーで浚渫した底泥を、脱水処理又は薬剤による固化処理をしてから埋め立て処分を行うことで処理される。
【0003】
近年、河川、湖沼、海等の水域の底泥には、塩素系農薬類やダイオキシン類等の有機塩素化合物が蓄積されることが知られており、底泥を埋め立て処理した場合に降雨により底泥が流されたり、浸出水に含有して地表に出てくるため、問題となっている。
【0004】
別の水底の浄化法としては特許1057278号公報があり、この方法は、空気を飽和させた高圧力水を噴射しながら攪拌し、水中酸素濃度を高めることにより水質を向上させるものである。しかし、この浄化法を底泥の有機性塩素化合物に適用しても塩素系農薬類やダイオキシン類等の有機塩素化合物は難分解性有機物であるため、水中に溶存する溶存酸素による酸化力だけでは殆ど酸化分解しない。
【0005】
また、特開平9−165775号公報の浚渫底泥の処理方法では浚渫した底泥にオゾンを添加して底泥から溶出する栄養塩類を分解処理し、処理した底泥を水底部に返送することで陸上での埋め立て処分を不要とすることが開示されている。この処理方法はオゾンを使用することで、溶存酸素よりも有機性塩素化合物を酸化分解することができ、処理した底泥を埋め立て処理しなくてもよい利点はある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−165775号公報の底泥の処理方法は、水深の深い場所では大がかりな浚渫設備が必要になるという欠点がある。また、処理した底泥を再び水域に戻すためのポンプ等の装置が必要になると共に、オゾンを底泥に効率良く接触させるには、オゾンガスを水に高濃度に溶解したオゾン溶解水が必要であり、そのためには水深が4〜5mのオゾン接触槽を必要とする。従って、設備が大型になり設備コストが高くなる。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡単な設備で底泥中の有機塩素化合物などを効率的に酸化分解でき、浄化した底泥を水域に戻すための特別な装置やオゾンを水中に溶解するための特別な装置も必要ない底泥の浄化方法及び装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、水域の底泥の浄化方法において、前記水域の水面下に上端開口が位置し、水底近傍に下端開口が位置するように長筒部材を浸漬させると共に該長筒部材内に設けた曝気管からオゾンガスを曝気し、曝気されたオゾンガスの気泡によるエアリフト作用によって前記長筒部材内に上向流を発生させることで前記底泥を前記長筒部材内に導入し、前記導入された底泥と前記曝気されたオゾンガスとを前記長筒部材内で接触させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は前記目的を達成するために、水域の底泥の浄化装置において、前記水域の水面下に上端開口が位置すると共に水底近傍に下端開口が位置するように浸漬させる長筒部材と、前記長筒部材内の下端部に設けられ、該長筒部材内にオゾンを曝気する曝気管と、前記曝気管にオゾンを供給するオゾン発生器と、を備え、前記長筒部材の長さを可変としたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、有機塩素化合物などを含有する底泥が存在する水域の水面下に上端開口が位置すると共に水底近傍に下端開口が位置するように長筒部材を浸漬させる。そして、長筒部材内の下部に設けた曝気管からオゾンガスを曝気する。これにより、オゾンガスによるエアリフト作用により長筒部材内に上向流が生じ、その結果、長筒部材の下端開口の外から内に向いた水流が発生する。この水流で下端開口近傍に存在する底泥が舞い上がり長筒部材に導入され、長筒部材内を上昇する。この導入された底泥と、曝気されたオゾンガスとが長筒部材内で接触し、底泥中の有機塩素化合物などが酸化分解される。尚、本発明においてオゾンガスとはオゾンが100%のガスではなく、オゾンを含有するガスという意味で用いるものとする。
【0011】
このように、本発明は、長筒部材と曝気するオゾンガスだけという簡単な設備で底泥を浚渫することができる。しかも好ましくは長筒部材の下端部の水圧の高い位置でオゾンガスを曝気することでオゾンガスが水中に高濃度に溶解され、長筒部材内を上昇する底泥と高濃度なオゾン溶解水又はオゾンガスとが長筒部材内の区画された領域内で接触するので、効率よく有機性塩素化合物などを酸化分解できる。また、長筒部材を上昇する過程で、浄化された底泥は長筒部材の上端開口から溢れ出て再び水域に戻される。従って、浄化した底泥を水域に戻すためのポンプ等の動力装置も必要ない。
【0012】
本発明の好ましい態様としては、長筒部材の上端部を底泥処理を行う船に支持すると共に、曝気管にオゾンガスを供給するオゾン発生器を船舶に搭載し、船舶で水域を移動させることが好ましい。即ち、底泥を浄化するための装置自体が水域を移動できるようにしたので、底泥を浚渫して地上で浄化処理してから水域に戻す場合に比べて格段に浄化効率を良くできる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下添付図面に従って、本発明に係る底泥の浄化方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0014】
本発明の図1は、本発明の底泥の浄化装置の全体構成を示した概念図である。
【0015】
図1に示すように、浄化装置10は、主として、長筒部材12と、該長筒部材12内の下端部にオゾンガスを曝気する曝気管14と、曝気管14にオゾンを供給するオゾン発生装置16と、で構成される。
【0016】
長筒部材12は、上端に上端開口11、下端に下端開口13を有する筒状に形成され、上端部がクレーン船18のクレーン20に吊り具22を介して吊設される。これにより、クレーン船18が河川、湖沼、海等の水域24内を移動するのに伴って長筒部材12も移動する。長筒部材12は、複数本(図1では2本)の筒12A、12Bが入れ子構造になっており、図示しない伸縮機構により長筒部材12の長さが可変できるようになっている。そして、クレーン20の起伏動作及び長筒部材12の伸縮動作により、水域24の水深に応じて、長筒部材12の上端開口11が水面26近傍の水面下に位置し、下端開口13が水底28近傍に位置するように調整される。
【0017】
曝気管14は、長筒部材12内の下端部に設けられると共に、クレーン船18にはオゾン発生装置16が設けられる。そして、オゾン発生装置16と曝気管14とが配管30により接続される。これにより、オゾン発生装置16を運転して曝気管14からオゾンガスを長筒部材12内の下端部に曝気することにより、曝気されたオゾンガスの気泡により長筒部材12内にはエアリフト作用が発生し、長筒部材12内に上向きの水流が発生すると共に、長筒部材12の下端開口13の外から内に向かう水流が発生する。この水流によって水底の底泥32が長筒部材12内に巻き上げられて長筒部材12内に導入される。これにより、従来のようにショベルカーや吸い上げポンプ等の機械により底泥32を浚渫することなく、長筒部材12と曝気するオゾンガスだけという簡単な構成で底泥32を浚渫することができる。この場合、長筒部材12内の下端部に図2に示したプロペラ羽根34或いは図3に示したスクリュー羽根36を設け、底泥32を舞い上がらせるための補助装置として使用するとよい。また、長筒部材12の下端部は舞い上がった底泥32が長筒部材12内に導入され易いようにラッパ管状に広がっていることが好ましい。
【0018】
長筒部材12内に導入された底泥32は、長筒部材12内の上向流に乗って上昇しながら、長筒部材12内に曝気されたオゾンガス又はオゾン溶解水と接触する。この底泥32とオゾン溶解水との接触において、長筒部材12の下端部の水圧の高いところでオゾンガスを曝気させるので、オゾンガスの水中への溶解効率が高くなり、底泥に含有される有機性塩素化合物などを高濃度のオゾン溶解水で効率的に酸化分解できる。また、長筒部材12がオゾンを溶解させるための水深の深いオゾン接触槽の役目もするので、オゾン接触槽を別途設ける必要もない。
【0019】
長筒部材12内を上昇しながらオゾン溶解水又はオゾンガスに接触して浄化された底泥32は、長筒部材12の上端開口11から溢れ出て再び水域24に戻される。従って、浄化した底泥32を水域に戻すためのポンプ等の動力装置も必要ない。この場合、浄化された底泥32が長筒部材12の上端開口11から溢れ出るように上端開口11と水面との位置関係を調整する必要があり不便なので、図1に示すように、長筒部材12の上端部近傍に浄化した底泥32を水域24に戻すための排出口38を設けるとよい。底泥32が酸化分解されることで長筒部材12内の水面近傍には浮遊物質が発生するが、長筒部材12の下端部で高濃度に溶解されたオゾン溶解水が、上向流となって水面近傍まできたときに、水圧が小さくなるので溶解していたオゾンが微細な気泡となって出現する。この微細な気泡が浮遊物質を固液分離する効果を有するので、浮遊物質を水中から分離して水面近傍に集積させることができる。
【0020】
また、本発明の浄化装置10には、底泥32の有機性塩素化合物濃度が高く、長筒部材12内でのオゾン酸化だけでは底泥中に有機性塩素化合物が残留する場合の補助処理装置が設けられ、クレーン船18に搭載される。即ち、図4に示すように、クレーン船18には固液分離装置40が設けられ、固液分離装置40と長筒部材12との間には、水面まで上昇した底泥32や前記した浮遊物質を固液分離装置40にすくい上げるスキーマー装置42が設けられる。スキーマー装置42は、駆動ローラ44と従動ローラ46とで成る一対のローラに無端状ベルト48を掛け渡し、無端状ベルト48の外周面に間隔を置いて多数のレーキ50を固着した構造を有している。これにより、無端状ベルト48が図4の矢印方向に回転すると、レーキ50が水面に浮遊する底泥32や浮遊物質をすくい上げ固液分離装置40に搬送する。この場合、スキーマー装置42のクレーン船側が揺動装置52を介して甲板上の支柱54に支持され、スキーマー装置42の長筒部材側が上下に揺動するようになっている。これにより、スキーマー装置42の水面に対する位置決めがなされ、底泥32や浮遊物質が効率的にすくい上げられる。固液分離装置40は、遠心力を利用したもの、重力を利用したもの、その他の装置を利用できる。
【0021】
図4及び図5に示すように、すくい上げられた底泥32や浮遊物質は、固液分離装置40で分離汚泥と分離水に固液分離された後、分離汚泥がフェントン処理装置56に送られる。フェントン処理装置56は、主として、分離汚泥を酸化分解する酸化分解槽58と、分離汚泥に過酸化水素(H2 O2 )を添加する第1の添加配管60と、鉄(Fe2+)を添加する第2の添加配管62とから構成される。この過酸化水素と鉄との接触によるフェントン反応が生じ、ヒドロキシラジカル等の活性酸素を発生させて分離汚泥を酸化分解する。ヒドロキシラジカル等の活性酸素は、高い酸化力を有するので、底泥32に残留する有機塩素化合物を酸化分解する。フェントン処理装置56で処理された分離汚泥は、浄化された処理汚泥として水域に戻される。このフェントン処理装置56を使用する場合には、長筒部材12の上端部に形成した排出口38は閉塞する必要があるので、排出口38を開閉するための蓋部材64が設けられている。
【0022】
尚、本発明の実施の形態では、長筒部材12やオゾン発生装置16、固液分離装置40、フェントン処理装置56等の全てを、クレーン船18に搭載するようにしたが、陸地に近い水域の底泥を浄化する場合には、長筒部材12以外の装置16、40、56は陸地に設けるようにしてもよい。
【0023】
また、上記実施の形態では、長筒部材12の上端開口11を、水面近傍に位置させ、水面まで上昇した底泥32をスキーマー装置42ですくい上げる構成を示した。しかし、本発明はこれに限らず、上端開口11を水面よりも十分に低く位置させ、上端開口11から溢れ出た底泥をそのまま水域24に戻すようにしてもよい。また、曝気管14は、長筒部材12の必ずしも下端部に設ける必要はなく、中間部に設けるようにしてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の底泥の浄化方法及び装置によれば、簡単な設備で底泥中の有機塩素化合物などを効率的に酸化分解でき、酸化分解した底泥を水域に戻すための特別な装置やオゾンを水中に溶解するための特別な装置も必要ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の浄化装置の全体構成を説明する概念図
【図2】
長筒部材内の下端部に設けたプロペラを説明する説明図
【図3】
長筒部材内の下端部に設けたスクリュー羽根を説明する説明図
【図4】
スキーマー装置を説明する側面図
【図5】
補助酸化装置における底泥の残留有機性塩素化合物の処理方法を説明する説明図
【符号の説明】
10…浄化装置、11…長筒部材の上端開口、12…長筒部材、13…長筒部材の下端開口、14…曝気管、16…オゾン発生装置、18…クレーン船、20…クレーン、24…水域、26…水面、28…水底、30…配管、32…底泥、34…プロペラ羽根、36…スクリュー羽根、38…排出口、40…固液分離装置、42…スキーマー装置、44…駆動ローラ、46…従動ローラ、48…無端状ベルト、50…レーキ、52…揺動装置、54…支柱、56…フェントン処理装置、58…酸化分解槽、60…第1の添加配管、62…第2の添加配管
Claims (3)
- 水域の底泥の浄化方法において、前記水域の水面下に上端開口が位置し、水底近傍に下端開口が位置するように長筒部材を浸漬させると共に該長筒部材内に設けた曝気管からオゾンガスを曝気し、
曝気されたオゾンガスの気泡によるエアリフト作用によって前記長筒部材内に上向流を発生させることで前記底泥を前記長筒部材内に導入し、
前記導入された底泥と前記曝気されたオゾンガスとを前記長筒部材内で接触させることを特徴とする底泥の浄化方法。 - 前記長筒部材を船に支持すると共に、前記曝気管にオゾンガスを供給するオゾン発生器を前記船に搭載し、前記船で前記水域を移動させることを特徴とする請求項1の底泥の浄化方法。
- 水域の底泥の浄化装置において、
前記水域の水面近傍の水面下に上端開口が位置すると共に水底近傍に下端開口が位置するように浸漬させる長筒部材と、
前記長筒部材内の下端部に設けられ、該長筒部材内にオゾンを曝気する曝気管と、
前記曝気管にオゾンを供給するオゾン発生器と、を備え、前記長筒部材の長さを可変としたことを特徴とする底泥の浄化装置。
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