JP2004064969A - 配電線の区間負荷算出方法、配電線の負荷監視制御システム及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】区間毎の需要家の分布や需要家毎の負荷変動の特徴などを考慮して正確な区間負荷を得る。
【解決手段】配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値と配電線のインピーダンスから計測点前後の各区間の差引き電流値を算出すると共に、各区間の需要家の契約容量と需要家の接続位置の情報に基づいて前記差引き電流値を各区間に配分するための配分係数を算出し、その配分係数を各区間の需要家の負荷変動分に応じて補正する。この補正後の配分係数を用いて差引き電流値を各区間に配分して各区間毎の負荷を算出することで、負荷変動分を考慮した正確な区間負荷を得ることができる。
【選択図】 図5
【解決手段】配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値と配電線のインピーダンスから計測点前後の各区間の差引き電流値を算出すると共に、各区間の需要家の契約容量と需要家の接続位置の情報に基づいて前記差引き電流値を各区間に配分するための配分係数を算出し、その配分係数を各区間の需要家の負荷変動分に応じて補正する。この補正後の配分係数を用いて差引き電流値を各区間に配分して各区間毎の負荷を算出することで、負荷変動分を考慮した正確な区間負荷を得ることができる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配電用変電所に接続された配電線の区間負荷に応じて電力の供給制御を行う配電線の負荷監視制御システムと、同システムに用いられる配電線の区間負荷算出方法及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、配電系統は、図17に示すように配電用変電所の変圧器1,1の2次側から配電線2,2が引き出され、これら配電線2,2は地中管路内や電柱上の架空設置を経て対象地域まで設けられ、一般家庭や工場などを含む各需要家に対して電力を供給する構成となっている。
【0003】
各配電線2は、それぞれ配電線遮断器3を介してそれぞれ常時入り状態の常閉開閉器4によって区分された区間に分割されている(図17の例では5区間に分割されている)。また、各配電線2,2相互間は常時切り状態となっている常開開閉器5(5aは入り状態、5bは切り状態を示すものとする)によって接続されている。
【0004】
このような配電系統においては、図18に示すごとく、各常閉開閉器4(4aは入り状態、4bは切り状態を示すものとする)の両端にそれぞれ制御用変圧器6を介して開閉器子局7に導入されている。8は配電線2を管理運用する営業所9などに設置される制御用計算機であって、情報伝送路10を介して各開閉器子局7、…を遠隔監視制御を行う構成となっている。
【0005】
ところで、配電線2のある区間、例えば図19に示すように、一方の配電線2(ここでは配電線b)の2区で地絡または短絡等の事故11が発生した場合、変電所21に設置される保護継電器である再閉路装置(図示せず)が作動して、その配電線2(b)の電源側に設置されている配電線遮断器3を開放(初回遮断)することで、事故区間を含んだ配電線2(b)が停電状態となる。この時、配電線2(b)に属する各開閉器4(配電線の各区間は時限を持つ開閉器で区切られている)は、系統停電により無電圧開放(切り状態)となる。
【0006】
また、変電所21では、配電線遮断器3の初回遮断と同時に、再閉路装置が作動し、一定時間経過後に開放中の配電線遮断器3を投入(再閉路)する。この配電線遮断器3の投入に伴い、充電が開始された後、事故区間を含む各区間の開閉器4は一定時限毎に順次自動投入される(時限順送機能)。この開閉器時限順送中に事故区間への送電が行われると、再閉路装置が作動し、配電線遮断器3が開放(再閉路失敗)となって配電線2(b)が停電となる。このように、規定時間内に配電線遮断器3が開放することにより、開閉器4は以降電源側区間が充電されても時限順送投入されない状態となる。これを「Y時限ロック」と言う。続いて、配電線遮断器3は再び投入(再々閉路)され、事故区間電源側まで開閉器4を時限順送投入し、事故区間まで充電状態となる。
【0007】
一方、制御用計算機8では、再閉路から再閉路失敗までの時間計測により事故区間の仮判定を行う。また、再々閉路後、仮判定区間の電源側開閉器4の状態を確認し、開放状態(切り状態4b)であれば、当該区間を事故区間であると本判定する。制御用計算機8は、このようにして事故区間を検出すると、その事故区間よりも負荷側の停電区間に対して隣接する他の配電線2(ここでは配電線a)からの電力供給(以下、融通と呼ぶ)の可否を評価し、融通が可能であれば、そのための開閉器操作手順を作成し、以下のような融通制御を行う。
【0008】
すなわち、図20に示すように、常開開閉器5を切り状態5bから入り状態5aに切り替えることによって、事故区間以外の他の健全区間(ここでは3区〜5区)に対し、隣接する配電線2(配電線a)から電力を供給することで、事故区間以外の他の健全区間に属する各需要家に電力を供給する。なお、図中の12は事故停電区間を示す。
【0009】
このような電力融通の結果、融通元となる配電線2(図20では配電線a)の負荷は増大することになるが、その融通元の配電線2や変電所21の供給限界を超えることは許されないので、制御用計算機8では、融通による電力供給対象とする区間やそのための操作対象開閉器などを、予め決められた供給限界を超えないように選択するといったことが行われている。つまり、配電線を適切に運用するためには、配電線の各区間の負荷を常に正確に把握しておくことが重要である。
【0010】
従来、以上のような状況に対処すべく配電線の区間負荷を求める手段として、図21に示すように、配電用変電所に接続される配電線2への送り出し電流値を電流センサ13により計測し、この電流計測値を配電線2に接続される電力の供給を受けている各需要家の契約容量をもとにして各区間毎に按分する方法が知られている。
【0011】
この方法による各区間の負荷の計算は、以下のような計算式(式1)により求められる。
【0012】
区間iの区間負荷=(配電線電流計測値)×(区間iの按分値)……(式1)
また、この式1の区間iの按分値は、例えば下記に示すような式2の計算式によって求められる。
【0013】
区間iの按分値=(区間iに接続する需要家の総設備容量)/(配電線全体の需要家の総設備容量) ……(式2)
ここで、区間iに接続する需要家の総設備容量は、下記の式3に示すように、例えば区間iに接続する高圧需要家の契約電力の総和と、区間iに接続する低圧需要家の口数の総和を単位口数当たりの容量で換算したものの和から求められる。
【0014】
区間iに接続する需要家の総設備容量=(区間iに接続する高圧需要家の契
約電力の総和)+(単位口数の容量)×(区間iに接続する低圧需要家の口数の
総和) ……(式3)
また、配電線全体の需要家の総設備容量は、式4に示すように、注目している配電線の全ての区間について、区間iに接続する需要家の総設備容量を足し合わせた値となる。
【0015】
【数1】
【0016】
しかし、以上のような配電用変電所の配電線への送り出し電流値を計測し、その配電線に接続されて電力の供給を受けている需要家の契約容量のもとに各区間に按分するといった方法では、時間とともに変動する区間負荷を常に正確に把握することは困難である。
【0017】
そこで、別の方法として、特開2001−103681号公報において、配電線を各区間毎に区分している開閉器の設置点の電圧および位相を定期的に計測し、この計測値と配電線のインピーダンス値とを利用して各区間の配電線通過電流を計算し、閉状態の開閉器により互いに接続されている隣接区間の通過電流の差に基づいて区間負荷を算出するといった方法が提案されている。
【0018】
この配電線の区間負荷算出方法は、具体的には、図22に示すように、配電線2を各区間毎に分割している開閉器設置点の電圧および位相の計測値Vi∠δi(i=1,…,5)と各区間のインピーダンスZ(B)iを用いて、式5のように各区間の配電線通過電流値I(B)iを求めることができる。なお、前記(B)はベクトルを表すものとする。実際には式5で示されているように文字の上に点を付けた形で表記されるものであるが、ここで便器上、(B)をベクトルと見なすものとする。以下の記述の中の(B)も同様である。
【0019】
【数2】
【0020】
配電線通過電流値の計算に関し、配電線の対地静電容量を考慮しても、あるいは、無視しても殆ど差が出てこないので、前記式5でも対地静電容量を無視し、代表的な計算方法とする。
【0021】
ここで、閉状態の開閉器の前後の各区間(開閉器を挟んで隣接する2つの区間)における配電線通過電流値I(B)iの差分を式6のように計算し、その差分結果として得られる各計測点の差引き電流を隣接区間へ配分することにより区間負荷を計算している。
【0022】
【数3】
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来、配電線の区間負荷を算出する方法として、配電線の送り出し電流値と需要家の契約容量から各区間毎の負荷を算出する方法(式1)、あるいは、前記公報に開示されているように、計測点の電圧および位相から各区間の通過電流を求めることにより、隣接区間の通過電流の差分に基づいて各区間毎の区間負荷を算出する方法(式6)があった。
【0024】
しかしながら、これらの方法では、区間毎の需要家の分布や需要家毎の負荷変動の特徴などを考慮した計算を行っていないので、区間負荷を正確に把握することは難しい。すなわち、前者の方法(式1)は、単に各区間で予め決めらている需要家の契約容量から区間負荷を求める方法であるので、実際の需要家の負荷変動分がまったく反映されておらず、各区間毎に正確な区間負荷を得ることができない。また、後者の方法(式6)は、配電線の開閉器の設置点(計測点)における負荷を求める方法であるので、その負荷の値は隣接する2つの区間の両方に依存されることになり、一方の区間だけを正確に表したものではない。つまり、上述した式1や式6などによって算出される区間負荷の値は大きな誤差を含んでおり、正確性に欠けるといった問題があった。
【0025】
本発明は前記のような点に鑑みなされたもので、区間毎の需要家の分布や需要家毎の負荷変動の特徴などを考慮して正確な区間負荷を得ることのできる配電線の区間負荷算出方法と、この区間負荷算出方法が用いられる配電線の負荷監視制御システム及び区間負荷を算出するためのプログラムを提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明の一観点による配電線の区間負荷算出方法は、配電用変電所に接続される配電線の各区間毎の負荷を算出するための配電線の区間負荷算出方法において、前記配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値と前記配電線のインピーダンスから計測点前後の各区間の差引き電流値を算出し、各区間の需要家の契約容量と需要家の接続位置の情報に基づいて前記差引き電流値を各区間に配分するための配分係数を算出し、その配分係数を各区間の需要家の負荷変動分に応じて補正することにより、その補正後の配分係数を用いて前記差引き電流値を各区間に配分して各区間毎の負荷を算出することを特徴とする。
【0027】
このような配電線の区間負荷算出方法によれば、各区間における流入電流と流出電流との差分である差引き電流値を開閉器によって区分された各区間に配分するための配分係数を各区間の需要家の契約容量と需要家の接続位置の情報に基づいて算出した後、その配分係数を各区間の需要家の負荷変動分に応じて補正し、その補正後の配分係数を用いて前記差引き電流値を各区間に配分することで、各区間の負荷変動分を考慮した正確な区間負荷を得ることができる。
【0028】
前記配分係数の補正する方法としては、前記配電線の送り出し側に近い差引き電流値を基準にして始端区間から端末区間へ順に区間単位で補正する方法、または、前記配電線の末端側に近い差引き電流値を基準にして末端区間から始端区間へ順に区間単位で補正する方法、前記配電線の任意の測定点における差引き電流値を基準にしてその測定点から始端区間および末端区間へ順に区間単位で補正する方法がある。
【0029】
また、前記配電線の始端側に近い差引き電流を基準にして配分係数を補正して区間負荷を算出する方法と、配電線の終端側に近い差引き電流を基準にして配分係数を補正して区間負荷を算出する方法を併用し、その2つの方法によって得られる区間負荷の平均値を最終的な区間負荷として算出することにより、両者の方法による誤差分を相殺して、より正確な区間負荷を得ることができる。
【0030】
また、前記配分係数を前記配電線の送り出し側に近い差引き電流値を基準にして補正して区間負荷を算出する第1の方法と、前記配分係数を前記配電線の末端側に近い差引き電流値を基準にして補正して区間負荷を算出する第2の方法と、前記第1の方法と前記第2の方法との平均値を区間負荷として算出する第3の方法とを備え、前記配電線の負荷分布情報に基づいて各区間毎に前記第1乃至第3の方法を選択的に適用して区間負荷を算出することにより、各区間の位置に適した方法を用いて正確な区間負荷を得ることができる。
【0031】
また、本発明の他の一観点による配電線の区間負荷算出方法は、配電用変電所に接続される配電線の各区間毎の負荷を算出するための配電線の区間負荷算出方法において、前記配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値から区間両端の電圧降下を算出し、各区間に接続された各需要家の契約容量に基づいて負荷変動分を表した負荷の組み合わせパターンを作成し、前記負荷の組み合わせパターン毎に区間両端の電圧降下を算出し、これらのパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下とを比較することで、前記計測値から得られた電圧降下に最も近い値を有するパターンを選択し、この選択されたパターンで示される各負荷の和を当該区間における区間負荷として算出することを特徴とする。
【0032】
このような配電線の区間負荷算出方法によれば、予め各区間毎に各需要家の契約容量の範囲内で負荷変動分を表した負荷の組み合わせパターンを作成しておく。そして、これらのパターンを区間両端の電圧降下に置き換えた状態で配電線の計測点の電圧および位相の計測値から得られる区間両端の電圧降下と比較し、その中で計測値からの電圧降下に最も近いパターンを選択し、その選択されたパターンで示される各負荷の和を当該区間における区間負荷として算出することで、負荷変動に対応した正確な区間負荷を得ることができる。
【0033】
前記負荷の組み合わせパターンに対応した区間両端の電圧降下を求める方法としては、前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流出電流を用いて、前記配電線の末端区間から始端区間へ順に区間単位でそれぞれの区間の負荷パターンに対応した区間両端の電圧降下を算出する方法と、前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流入電流を用いて、前記配電線の始端区間から末端区間へ順に区間単位でそれぞれの区間の負荷パターンに対応した区間両端の電圧降下を算出する方法とがある。
【0034】
また、前記配電線の各区間の流出電流を基準にして負荷の組み合わせパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下との比較によって区間負荷を算出する方法と、前記配電線の各区間の流入電流を基準にして負荷の組み合わせパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下との比較によって区間負荷を算出する方法を併用し、その2つの方法によって得られる区間負荷の平均値を最終的な区間負荷として算出することにより、両者の方法による誤差分を相殺して、より正確な区間負荷を得ることができる。
【0035】
また、前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流出電流を用いて前記負荷の組み合わせパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下との比較により区間負荷を算出する第1の方法と、前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流入電流を用いて前記負荷の組み合わせパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下との比較により区間負荷を算出する第2の方法と、前記第1の方法と前記第2の方法との平均値を区間負荷として算出する第3の方法とを備え、前記配電線の負荷分布情報に基づいて各区間毎に前記第1乃至第3の方法を選択的に適用して区間負荷を算出することにより、各区間の位置に適した方法を用いて正確な区間負荷を得ることができる。
【0036】
また、前記計測値から得られた電圧降下に近い値を有するパターンが複数選択された場合に、これらのパターンで示される各負荷の最大値と最小値を求め、その最大値と最小値の平均値を当該区間における区間負荷として算出したり、これらのパターンで示される各負荷の総和を求め、その負荷総和の相加平均を当該区間における区間負荷として算出したり、あるいは、これらのパターンで示される各負荷の中で前記配電線の送り出し電流を需要家の契約容量で按分した値に最も近いものを当該区間における区間負荷として算出することにより、より正確な区間負荷を得ることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0038】
(第1の実施形態)
図1は本発明に係わる配電線の負荷監視制御システムの一実施の形態を示す構成図である。なお、同図において図17、図18と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0039】
この配電線の負荷監視制御システムは、配電用変電所21の変圧器1の2次側から供給対象地域まで配電線2を導いて各需要家にそれぞれの契約容量に応じた電力を供給し、さらに、配電線2を常閉開閉器4(4aは入り状態、4bは切り状態)によって区分された区間(ここでは5区)に分割し、各開閉器4の設置点から制御用変圧器6を通して電圧を計測し、対応する各開閉器子局7にて開閉器の動作状態を監視制御する。
【0040】
ここで、配電用変電所21に設置される変圧器1の2次側ラインに電流センサ22および電圧センサ23が設置され、また、配電線遮断器3の需要家側ラインに電流センサ24が設置されている。これらのセンサ出力は変電所子局25に導入され、この変電所子局25から変電所送り端側の状態が制御用計算機8に送られるようになっている。同様に、複数の区間に区分している各開閉器4の設置点から制御用変圧器6を介して電圧および電流が計測され、各開閉器子局7,…から変電所子局25を介して開閉器設置点の状態として制御用計算機8に送られるようになっている。
【0041】
制御用計算機8は、例えば磁気ディスク等の記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されるコンピュータによって実現されるものである。この制御用計算機8は、各開閉器子局7,…および変電所子局25から送信されてくる開閉器設置点や配電所の変電所送り出し端などの電圧の他、電圧および電流から位相を計測し、これら電圧・位相の計測値と配電線のインピーダンス(配電線の距離に関連する情報)とから電圧および位相の計測点間の電流値を算出し、さらに算出された計測点の流入電流値と計測点の流出電流値とから差引き電流値を求め、この差引き電流値から区間負荷を算出する機能を有する。なお、変電所子局25や各開閉器子局7,…によって電圧および位相を計測し、制御用計算機8に送信する構成であってもよい。
【0042】
図2は制御用計算機8にて実行される計測点前後の差引き電流の算出処理を示すフローチャートであって、電圧および位相の計測点である閉状態の開閉器4,…によって互いに接続されている隣接区間の配電線通過電流の差引き電流値を算出する手順が示されている。
【0043】
まず、制御用計算機8は、予め保存されている配電線の各区間のインピーダンスなどの配電線設備データを取り出す(ステップS1)。また、図1に示す監視制御システムによって取得された電圧の他、例えば計測された電圧および電流から得られる位相データを取り込み(ステップS2)、前記式5に基づいて各区間の配電線通過電流を計算する(ステップS3)。しかる後、計測点前後の差引き電流値を計算する(ステップS4)。この計測点前後の差引き電流値は、例えば前記式6のように、計測点前後の区間に対して計算された配電線通過電流値の差、つまり、計測点に流入する電流値と計測点から流出する電流値の差分として計算できる。
【0044】
配電線の各区間に接続されている需要家の分布に関する情報としては、例えば各需要家の契約容量や配電線への接続位置の情報がある。さらに具体的には、例えば各高圧需要家の契約電力や柱上変圧器に接続される一般需要家の契約口数(例えば1口=2kW)、高圧需要家の高圧配電線への接続位置、一般需要家が接続される低圧配電線に電力を供給する柱上変圧器の高圧配電線への接続位置の情報などがあり、これら情報は一般的に配電自動化システムが保持しており、ネットワークなどを介して制御用計算機8に設けられたデータベース(図示せず)などに取り込んで保存することにより、配電線の区間負荷の算出に用いることができる。
【0045】
ここで、本発明の配電線の区間負荷算出方法の一実施形態としては、例えば図3のような需要家の分布情報を利用する。図3の横軸は配電線の変電所送り出し端からの電気的距離(例えば、変電所送り出し端からのインピーダンスの大きさ(単位:オーム))である。
【0046】
図4は配電線のある1つの区間j内の1地点iに契約容量Wiの需要家が接続されている例である。需要家の契約容量としては、契約電流でも、契約電力でも、その他の需要家の負荷の大きさを表す指標でもよい。この需要家の契約容量を電圧および位相の計測点(例えば区間の始端側の開閉器設置点と末端側の開閉器設置点)に割当てることを考える。
【0047】
割当ての方法としては、以下に示すような式7、式8による方法が挙げられる。
【0048】
【数4】
【0049】
式7のmiは区間の始端側の開閉器設置点とこの需要家が区間に接続する点iとの電気的距離である。mtotalは区間の始端側の開閉器設置点と末端側の開閉器設置点との電気的距離、すなわち、区間全体の電気的距離である。始端区間から需要家接続点までのインピーダンスZ(B)iおよび区間全体のインピーダンスZ(B)totalを用いた場合の例を式9、式10に示す。
【0050】
【数5】
【0051】
なお、区間内の1つの地点iに複数の需要家が接続されている場合は、それらの需要家の契約容量の総和を求め、式7と式8、または、式9と式10におけるWiの値として用いればよい。
【0052】
また、区間内の複数の地点に需要家が接続されている場合は、接続地点i毎に式7と式8、または、式9と式10に相当する計算を行い、dsi j およびdei j (i=1,…,n)(iは区間j内の需要家の接続地点のインデックスであり、nは区間J内の需要家の接続地点数)の合計値を式11、式12のように求め、それぞれ始端側割当量,末端側割当量とすればよい。
【0053】
【数6】
【0054】
前記式11によって求められたDs j を「始端側配分係数」と呼び、前記式12によって求められたDe j を「末端側配分係数」と呼ぶ。このような配分係数Ds j 、De j を利用して計測点iの差引き電流I(B)Liを各区間に配分する方法が既に提案されているが、この配分係数Ds j 、De j は区間両端で共通に利用されるため、各区間に接続される需要家の負荷変動を正確に反映しているものではない。そこで、本発明では、前記配分係数を各区間の負荷変動分に応じて補正し、その補正後の配分係数を利用して計測点の差引き電流を各区間に配分する方法を提供するものである。図5にその方法を示す。
【0055】
図5は本発明の第1の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の送り出し側に近い始端区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合の方法が示されている。この図5において、図5(a)は配電線の区間例、同図(b)は補正前の配分係数、同図(c)は補正後の配分係数、同図(d)は区間負荷の算出結果を示している。
【0056】
すなわち、配電線に対する電圧および位相の計測点である開閉器の設置点の前後の差引き電流値を各区間に配分する場合において、図5(a)に示すように、まず、各需要家の契約容量が100%の負荷状態に対する負荷の変動分の補正量を配電線の送り出し側に最も近い計測点の差引き電流値を利用して算出する。図中のI(B)L 1が送り出し側の差引き電流値、I(B)L 1/Ds 2 がその送り出し側の差引き電流値を利用した負荷変動分の補正量である。配電線の送り出し側の始端区間の差引き電流を基準として補正量を求めていくのは、システムの立ち上がり区間として存在する1区(始端区間)には負荷がないため(需要家は存在しない)、そこでの差引き電流値を当該区間における略正確な値として利用できるからである。
【0057】
続いて、この負荷変動分を利用して順次末端へと負荷変動分をそれぞれ算出する。この場合、末端側の5区(末端区間)については、それより先に負荷がないので、そこでの差引き電流値をそのまま利用して補正量を算出する。図中のI(B)L 5が送り出し側の差引き電流値、図中のI(B)L 5/De 5 がその負荷変動分の補正量を示す。これらの負荷変動分の補正量に基づいて、同図(b)、(c)に示すように配分係数を補正し、同図(d)に示すように、その補正後の配分係数を用いて差引き電流を各区間に配分する。
【0058】
ここで、図5(c)では、負荷変動分を考慮した配分係数を配電線始端側より末端側まで順次式13および式14により計算する。また、図5の例では、立ち上がり区間である1区には負荷がないため、末端側配分係数De 1 ′はゼロとする。
【0059】
【数7】
【0060】
ただし、隣接する区間に負荷のないことが明らかである始端区間と末端区間のような場合は、配分係数と差引き電流値との比をそのまま補正後の配分係数とする。式15に補正後の5区末端側配分係数を示す。
【0061】
【数8】
【0062】
図5(d)では、計測点前後の区間の配分係数を利用した式16および式17によって、区間jと区間j+1を区分する開閉器設置点の差引き電流値I(B)Ljをそれぞれの区間に配分している。式16、式17に各区間の配分値を示す。
【0063】
【数9】
【0064】
このようにして、区間に配分された計測点の差引き電流値の区間毎の総和が、最終的な区間負荷の算出結果となる。
【0065】
図6は前記図5に示した区間負荷算出方法のアルゴリズムを説明するためのフローチャートであり、制御用計算機8が図示せぬROMあるいは外部記録媒体にに記録されたプログラムを読み込むことにより、そのプログラムに記述された手順に従って実行する処理の流れを示している。
【0066】
図6に示すように、まず、制御用計算機8は、前記式13および前記式14を用いて負荷変動分を補正した各区間の始端側および末端側の配分係数を計算する(ステップS11)。この補正後の配分係数を求めるまでの手順については、後に図7を参照して説明する。
【0067】
次に、制御用計算機8は、区間負荷を算出する配電線の末端の区間を選択する(ステップS12)。図5の例では、5区を選択する。そして、この選択区間の末端側の計測点の差引き電流値(図5の5区の末端側のI(B)L 5)を配分計算の対象とする(ステップS13)。
【0068】
ここで、制御用計算機8は、選択している区間が配電線の末端区間であるか否かを評価する(ステップS14)。その結果、末端区間である場合には(ステップS14のYES)、制御用計算機8は配分計算の対象としている差引き電流値を現在選択している区間にのみ配分する(ステップS15)。
【0069】
一方、選択している区間が配電線の末端区間ではない場合には(ステップS14のNO)、制御用計算機8は、注目している計測点からみて配電線の末端側の区間と、注目している計測点からみて配電線の送出し端側の区間への差引き電流の配分値をそれぞれ前記式16および前記式17によって求める(ステップS16)。
【0070】
このようにして、現在選択している区間の末端側の差引き電流値の配分が終わったら、制御用計算機8は配電線の全ての区間について配分を完了したか否かをチェックする(ステップS17)。全てについて配分を完了していれば(ステップS17のYES)、制御用計算機8は各区間毎に配分された電流値の和を計算し(ステップS18)、ここでの処理を終了する。未だ選択されていない区間がある場合には(ステップS17のNO)、制御用計算機8は、隣接する次の区間を選択して(ステップS19)、前記ステップS13に戻って同様の処理を繰り返す。
【0071】
ここで、図7を参照して前記ステップS11で用いられる補正後の配分係数を求めるまでの手順について説明する。
【0072】
図7に示すように、制御用計算機8は、まず、配電線の開閉器の設置点である計測点間の電圧および位相の計測値と配電線のインピーダンス(配電線の距離に関連する情報)に基づいて計測点の電流値を算出すると共に(ステップS21)、その計測点前後の差引き電流値(計測点に流入する電流値と計測点から流出する電流値との差分)を算出する(ステップS22)。
【0073】
次に、制御用計算機8は、各区間の需要家の契約容量と配電線への接続位置の情報を用いて区間両端における等価負荷である補正前の配分係数(式11および式12)を算出する(ステップS23)。
【0074】
次に、制御用計算機8は、前記ステップS23で得られた補正前の配分係数(契約容量相当)と計測点での差引き電流とを比較して負荷変動の補正量を算出する(ステップS24)。具体的には、図5で説明したように、まず、配電線の送り出し側に最も近い計測点の差引き電流値を利用して負荷変動分の補正量を算出した後、その補正量を用いて順次末端における各計測点での補正量を算出していく。そして、制御用計算機8は、このようにして得られた負荷変動分の補正量を当該配分係数に乗じることにより(式13および式14)、負荷変動分を考慮して配分係数を算出する(ステップS25)。
【0075】
以上のように、差引き電流値の区間毎の配分に際し、配電線に接続される需要家の契約容量に関する情報と配電線に接続される需要家の接続位置に関する情報とから配分係数を求め、この配分係数を各計測点での差引き電流を用いて補正することにより、その補正後の配分係数に従って各区間に配分することで、各区間における需要家の負荷変動を反映した正確な区間負荷を算出することができるものである。
【0076】
(第2の実施形態)
前記第1の実施形態(図5)における配電線の区間負荷算出方法では、配電線の送り出し側である始端区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を各区間毎に順に求めるようにしたが、配電線の末端区間に着目し、そこでの差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を始端側へと各区間毎に順に求め、これらの補正量で配分係数を補正して区間負荷を算出することでも良い。その方法を図8に示す。
【0077】
図8は本発明の第2の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の末端区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合の方法が示されている。図8(a)は配電線の区間例、同図(b)は補正前の配分係数、同図(c)は補正後の配分係数、同図(d)は区間負荷の算出結果を示している。
【0078】
すなわち、配電線に対する電圧および位相の計測点である開閉器の設置点の前後の差引き電流値を各区間に配分する場合において、図8(a)に示すように、まず、各需要家の契約容量が100%の負荷状態に対する負荷の変動分の補正量を配電線の末端側に最も近い計測点の差引き電流値を利用して算出する。図中のI(B)L 5が末端側の差引き電流値、I(B)L 5/De 5 がその末端側の差引き電流値を利用した負荷変動分の補正量である。配電線の末端区間の差引き電流を基準として補正量を求めていくのは、末端区間の5区の先には負荷がないため、そこでの差引き電流値を当該区間における略正確な値として利用できるからである。
【0079】
続いて、この負荷変動分を利用して順次始端へと負荷変動分をそれぞれ算出する。この場合、始端側の区間については、前記同様の理由で負荷がないものとし、そこでの差引き電流値をそのまま利用して補正量を算出する。図中のI(B)L 1が送り出し側の差引き電流値、I(B)L 1/Ds 2 がその負荷変動分の補正量を示す。これらの負荷変動分の補正量に基づいて、同図(b)、(c)に示すように配分係数を補正し、同図(d)に示すように、その補正後の配分係数を用いて差引き電流を各区間に配分する。
【0080】
ここで、図8(c)では、負荷変動分を考慮した配分係数を配電線末端側より始端側まで順次式18および式19により計算する。また、図8の例では末端区間である5区から先には負荷がないため、始端側配分係数Ds 6 ′はゼロとする。
【0081】
【数10】
【0082】
ただし、隣接する区間に負荷のないことが明らかである始端区間と末端区間のような場合は、配分係数と差引き電流値との比をそのまま補正後の配分係数とする。式20に補正後の2区始端側配分係数を示す。
【0083】
【数11】
【0084】
図8(d)では、計測点前後の区間の配分係数を利用した式16および式17によって、区間jと区間j+1を区分する開閉器設置点の差引き電流値I(B)Ljをそれぞれの区間に配分しており、このようにして区間に配分された計測点の差引き電流値の区間毎の総和が最終的な区間負荷の算出結果となる。なお、差引き電流を各区間へ配分するためのアルゴリズムについては、図6のフローチャートに示した通りである。
【0085】
このように、配電線の末端区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求め、その補正量で補正した配分係数を利用して、各計測点での差引き電流を各区間に配分することでも、各区間における需要家の負荷変動を反映した正確な区間負荷を算出することができる。
【0086】
なお、図5に示すように配電線の始端区間から負荷変動分の補正量を順に求めていく方法では、始端区間での差引き電流に多少の誤差があり、その誤差量が末端区間側の補正量の算出に大きく影響してしまう。逆に、図8に示すように配電線の末端区間から負荷変動分の補正量を順に求めていく方法では、末端区間での差引き電流の誤差が始端区間側で大きく影響することになる。
【0087】
そこで、このような誤差分を低減する1つの方法として、配電線の始端区間の差引き電流を基準として負荷変動分の補正量を求める方法によって算出された区間負荷と、配電線の末端区間の差引き電流を基準として負荷変動分の補正量を求める方法によって算出された区間負荷との平均値を取り、その平均値を当該区間における最終的な区間負荷として算出すれば、両者の方法による誤差分を相殺して、より正確な区間負荷を得ることができる。これは、制御用計算機8に前記図5に示す区間負荷算出方法と前記図6に示す区間負荷算出方法によって区間負荷をそれぞれ求める機能と、これらの区間負荷算出方法によって得られた区間負荷の平均値を求める機能を備えることで実現できる。
【0088】
(第3の実施形態)
ここでは、負荷変動分の補正量を算出する際に、任意の区間に着目して、その区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求め、その補正量を利用して順次始端側および末端側へと補正量を求めていくことを特徴としている。その方法を図9に示す。
【0089】
図9は本発明の第3の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、任意の区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合の方法が示されている。図9(a)は配電線の区間例、同図(b)は補正前の配分係数、同図(c)は補正後の配分係数、同図(d)は区間負荷の算出結果を示している。
【0090】
すなわち、図9に示す方法は、配電線の中間区間(図9の例では3区)に注目し、その注目区間を基準として負荷変動分の補正量を求めることにより、配電線の区間jに対する始端側配分係数Ds j および末端側配分係数De j を補正し、この補正後の始端側配分係数Ds j ′および末端側配分係数De j ′を用いて各区間に差引き電流値を配分する方法である。
【0091】
図9(c)は、注目した区間(図9の例では3区であり、J=3)の始端側と末端側の計測点における補正量として、そこでの差引き電流値と、式11および式12で算出された配分係数の計測点における和との比
I(B)Lj/(De j +Ds j+1)
を算出する。そして、この始端側補正量と末端側補正量の平均値を当該区間の補正量とし、負荷変動分を考慮した配分係数を式21および式22のように計算する。
【0092】
【数12】
【0093】
ただし、隣接する区間に負荷のないことが明らかである始端区間(図9の例では2区)と末端区間(図9の例では5区)のような場合は、配分係数と差引き電流値との比を補正後の配分係数とし、補正後の2区の始端側配分係数については式20により計算し、補正後の5区末端側配分係数については式15により計算する。また、注目した区間より配電線始端側の区間の補正後の配分係数は式18および式19により計算し、配電線末端側の区間の補正後の配分係数は式13および式14により計算する。
【0094】
図9(d)では、計測点前後の区間の配分係数を利用した式16および式17によって、区間jと区間j+1を区分する開閉器設置点の差引き電流値I(B)Ljをそれぞれの区間に配分しており、このようにして区間に配分された計測点の差引き電流値の区間毎の総和が最終的な区間負荷の算出結果となる。なお、差引き電流を各区間へ配分するためのアルゴリズムについては、図6のフローチャートに示した通りである。
【0095】
(第4の実施形態)
図10は本発明の第4の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、任意の測定点の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合の方法が示されている。図10(a)は配電線の区間例、同図(b)は補正前の配分係数、同図(c)は補正後の配分係数、同図(d)は区間負荷の算出結果を示している。
【0096】
すなわち、図10に示す方法は、配電線の中間の計測点(図10の例では3区と4区の間)に注目し、その注目地点における差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求めることにより、配電線の区間jに対する始端側配分係数Ds j および末端側配分係数De j を補正し、この補正後の始端側配分係数Ds j ′および末端側配分係数De j ′を用いて各区間に差引き電流値を配分する方法である。
【0097】
図10(c)は、区間jと区間j+1の間の計測点(図10の例では3区と4区の間であり、j=3)における補正量として、そこでの差引き電流値と、式11および式12で算出された配分係数の計測点における和との比
I(B)Lj/(De j +Ds j+1)
を算出する。そして、この比を当該計測点より配電線始端側区間および配電線末端側区間の負荷変動分補正量とし、負荷変動分を考慮した配分係数を式23、式24、式25、式26のように計算する。
【0098】
【数13】
【0099】
ただし、隣接する区間に負荷のないことが明らかである始端区間(図10の例では2区)と末端区間(図10の例では5区)のような場合は、補正後の2区の始端側配分係数については式20により計算し、補正後の5区末端側配分係数については式15により計算する。また、注目した区間より配電線始端側の区間の補正後の配分係数は式18および式19により計算し、配電線末端側の区間の補正後の配分係数は式13および式14により計算する。
【0100】
図10(d)では、計測点前後の区間の配分係数を利用した式16および式17によって、区間jと区間j+1を区分する開閉器設置点の差引き電流値I(B)Ljをそれぞれの区間に配分しており、このようにして区間に配分された計測点の差引き電流値の区間毎の総和が最終的な区間負荷の算出結果となる。なお、差引き電流を各区間へ配分するためのアルゴリズムについては、図6のフローチャートに示した通りである。
【0101】
このように、配電線の任意の区間あるいは計測点の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求め、その補正量で補正した配分係数を利用して、各計測点での差引き電流を各区間に配分することでも、各区間における需要家の負荷変動を反映した正確な区間負荷を算出することができる。
【0102】
(第5の実施形態)
次に、本発明に係わる配電線の区間負荷算出方法の第5の実施形態について図11を参照して説明する。
【0103】
この第5の実施形態では、図5に示す配電線の始端区間の差引き電流を基準に負荷変動分を補正して区間負荷を算出する方法(以下、第1の区間負荷算出方法と称す)と、図8に示す配電線の末端区間の差引き電流を基準に負荷変動分を補正して区間負荷を算出する方法(以下、第2の区間負荷算出方法と称す)と、前記第1の区間負荷算出方法で得られる区間負荷と前記第2の区間負荷算出方法で得られる区間負荷の平均値を取る方法(以下、第3の区間負荷算出方法と称す)とを備え、これらの方法を配線の各区間毎の位置に応じて選択的に適用することを特徴としている。
【0104】
すなわち、図11(a)は6区間の配電線の例を示しており、立上り区間である1区には負荷がないので対象外として(1区には需要家は接続されていない)、配電線の始端側の2区および3区では前記第1の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出し、中央の4区では前記第3の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出し、配電線の末端側の5区および6区は前記第2の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出するといった構成になっている。
【0105】
また、図11(b)は5区間の配電線の例を示しており、立上り区間である1区には負荷がないので対象外として、配電線の始端側の2区および3区では前記第1の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出し、配電線の末端側の4区および5区では前記第2の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出するといった構成になっている。
【0106】
この場合、前記各方法をどこの区間に用いるのかは、例えば制御用計算機8が配電線に接続される各区間の需要家の負荷分布の特徴情報(図3)に基づいて判断するものとする。このように、複数の異なる区間負荷の算出方法を各区間に選択的に適用することにより、各区間の負荷変動分を考慮した正確な区間負荷を算出することができる。
【0107】
なお、前記第1〜第5の実施形態において、負荷変動分の補正量に基づいて配分係数を補正した場合に、誤差などの関係で補正後の配分係数が負となる場合がある。このような配分係数によって区間負荷が負として算出されることを回避するべく、補正後の配分係数が負であるか否かを判断し、負の場合には補正後の配分係数をゼロとするなどのエラー処理を行う機能を制御用計算機8に備えておくことが好ましい。
【0108】
(第6の実施形態)
前記第1〜第5の実施形態では、配分係数を利用して差引き電流を各区間に配分することで区間負荷を算出するものであったが、以下では、区間内の各需要家の契約容量に対応した負荷の組み合わせパターンを利用して区間負荷を求める方法について説明する。その方法を図12に示す。
【0109】
図12は本発明の第6の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、区間内の各需要家の契約容量に対応した負荷の組み合わせパターンを利用して区間負荷を求める場合の方法が示されている。図12(a)は配電線の区間例、同図(b)は区間負荷のパターン、同図(c)は区間負荷と流出電流の算出結果を示している。
【0110】
すなわち、予め区間内の各需要家の契約容量までの範囲内で負荷の組み合わせパターンを作成しておく。例えば、ある区間内の需要家が3つ存在し、これらの需要家の契約容量がすべて「10」とすれば、「0,0,0」、「0,0,1」、「0,0,2」…「10,10,10」といったように、0〜10の範囲で当該区間の負荷の組み合わせパターンを作成しておく。これらの負荷の組み合わせパターンが当該区間に接続された各需要家の負荷変動の範囲(0〜契約容量100%)を表しており、これらのパターンの中から実際の使用状況に近いパターンを選択することにより、その選択された組み合わせパターンの各負荷の和を区間負荷とする。
【0111】
詳しくは、配電線を各区間に区分している各開閉器の設置点を計測点として、その計測点の電圧および位相から区間両端の電圧降下を算出し、その電圧降下に最も近い負荷の組み合わせパターンを選ぶ。この場合、各パターン毎に電圧降下を算出する必要があり、その際に配電線のインピーダンスと需要家の接続位置に関する情報、そして、区間流入電流あるいは区間流出電流を用いる。第6の実施形態では、このうちの区間流出電流を用いて各パターン毎の電圧降下を求めることを特徴としており、特に末端区間(5区)に着目し、そこでの区間流出電流が0であることを利用して、まず、末端区間の区間負荷を求め、続いて、始端側へと区間負荷を順に求めていく。上述した負荷の組み合わせパターンは区間単位で予め用意されている。
【0112】
図12の例では、まず、末端区間である5区の両端を計測点とした電圧降下の値に最も近くなる負荷の組み合わせパターンを選択し、その選択された組み合わせの各負荷の和を5区の区間負荷としている。そして、この5区の流出電流値に5区の区間負荷を足して4区の流出電流値とした後、以下同様にして、4区用に作成された負荷の組み合わせパターンから配電線のインピーダンスと需要家の接続位置に関する情報、前記4区の流出電流を用いて各パターン毎の電圧降下を算出することで、4区の区間負荷を求める。
【0113】
図12(b)は、ある区間j内の地点kに3つの需要家が接続され、それぞれの始端区間からの電気的距離が配電線インピーダンスZ(B)jkである場合の例である。
【0114】
ここで、区間両端の計測点の電圧および位相により当該区間両端の電圧降下は、式27のように計算される。
【0115】
【数14】
【0116】
また、区間j内の地点kに対して需要家がN箇所接続されている場合に、各需要家の契約容量の範囲内で適当な大きさで刻んだ負荷I(B)jkの組み合わせパターンを例えばNc個作成したとき、区間jからの流出電流値I(B)joutと各負荷の組み合わせにより生じる区間両端の電圧降下は、式28のように計算することができる。
【0117】
【数15】
【0118】
この式28で求められる値が、実際の電圧および位相の計測値より算出した電圧降下(式27)に最も近くなる組み合わせパターンを選択する。なお、iは負荷の組み合わせパターンのインデックスであり、ncは負荷の組み合わせパターンの総数である。
【0119】
図12(c)では、例えばi=isである組み合わせパターンが選択されたとき、式29に示すように、選択された組み合わせの各負荷の和を区間負荷とする。また、隣接する配電線始端側区間(図12(c)の例では4区)の流出電流値は、式30のように当該区間(図12(c)の例では5区)の流出電流に当該区間(図12(c)の例では5区)の区間負荷を足して算出する。
【0120】
【数16】
【0121】
また、隣接する配電線始端側区間の区間負荷の算出に際しても、前記同様に当該区間用の負荷の組み合わせパターンを用いて算出する。
【0122】
このように、最初に求める配電線末端区間の流出電流がゼロ(流出電流なし)であることを利用することにより、配電線始端の区間までの区間負荷を順次算出することができる。
【0123】
図13は前記図12に示した区間負荷算出方法のアルゴリズムを説明するためのフローチャートであり、制御用計算機8が図示せぬROMあるいは外部記録媒体にに記録されたプログラムを読み込むことにより、そのプログラムに記述された手順に従って実行する処理の流れを示している。
【0124】
図13に示すように、まず、制御用計算機8は、配電線の開閉器が設置された区間の両端を計測点とし、その計測点間の電圧および位相を計測して当該区間両端の電圧降下を算出する(ステップS31)。また、制御用計算機8は、各需要家の負荷の大きさを0から契約容量までの範囲で細かく区切り、区間内で細分化した負荷の組み合わせパターンを登録したテーブルを作成する(ステップS32)。このテーブルは区間単位で作成され、制御用計算機8内の図示せぬ記憶装置に記憶される。
【0125】
次に、制御用計算機8は、前記負荷の組み合わせパターンから配電線インピーダンス、需要家の接続位置情報、区間流入電流あるいは区間流出電流(図12の例では区間流出電流)基づいて各パターンに対応した区間両端の電圧降下をそれぞれ求める(ステップS32)。
【0126】
次に、制御用計算機8は、前記計測値から算出された電圧降下と前記負荷の組み合わせパターンから算出された電圧降下とを比較することにより、最も計測値の電圧降下に近い負荷の組み合わせてパターンを選択する(ステップS34)。この選択された負荷の組み合わせてパターンが当該区間内に接続される実際の需要家の負荷変動に対応したものと言える。そこで、制御用計算機8は前記選択されたパターンの各負荷を加算することにより当該区間の区間負荷として算出する(ステップS35)。
【0127】
このように、配電線の複数箇所の電圧および位相を計測し、その計測点における区間両端の電圧降下の値に最も近くなる負荷の組み合わせパターンを用いることで、各需要家の実際の使用状況に対応した正確な区間負荷を算出することができる。
【0128】
(第7の実施形態)
前記第6の実施形態では、負荷の組み合わせパターンから電圧降下を求める場合に区間の流出電流を用いたが、区間の流入電流値を用いることでも良い。この方法を図14に示す。
【0129】
図14は本発明の第7の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、各需要家の契約容量に対応した負荷の組み合わせパターンを利用して区間負荷を求める際に区間流入電流を用いる場合の方法が示されている。図14(a)は配電線の区間例、同図(b)は区間負荷のパターン、同図(c)は区間負荷と流入電流の算出結果を示している。
【0130】
すなわち、第7の実施形態では、区間流出電流を用いて各パターン毎の電圧降下を求めることを特徴としており、特に始端区間(2区)に着目し、そこでの区間流入電流は送り出し電流と同じ値であることを利用して、まず、始端区間の区間負荷を求め、続いて、末端側へと区間負荷を順に求めていく。上述した負荷の組み合わせパターンは区間単位で予め用意されている。
【0131】
図14の例では、まず、始端区間である2区(1区はシステムの立ち上がり区間であり、そこには負荷はない)の両端を計測点とした電圧降下の値に最も近くなる負荷の組み合わせパターンを選択し、その選択された組み合わせの各負荷の和を2区の区間負荷としている。そして、この2区の流入電流値から2区の負荷を引いて3区の流入電流値とした後、以下同様にして、3区用に作成された負荷の組み合わせパターンから配電線のインピーダンスと需要家の接続位置に関する情報、前記3区の流入出電流を用いて各パターン毎の電圧降下を算出することで、3区の区間負荷を求める。
【0132】
図14(b)は、ある区間j内の地点kに3つの需要家が接続され、それぞれの始端区間からの電気的距離が配電線インピーダンスZ(B)jkである場合の例である。
【0133】
ここで、区間両端の計測点の電圧および位相により当該区間両端の電圧降下は、前記式27のように計算される。
【0134】
また、区間j内の地点kに対して需要家がN箇所接続されている場合に、各需要家の契約容量の範囲内で適当な大きさで刻んだ負荷I(B)jkの組み合わせパターンを例えばNc個作成したとき、区間jからの流出電流値I(B)joutと各負荷の組み合わせにより生じる区間両端の電圧降下は、式31のように計算することができる。
【0135】
【数17】
【0136】
この式31で求められる値が、実際の電圧および位相の計測値より算出した電圧降下(式27)に最も近くなる組み合わせパターンを選択する。なお、iは負荷の組み合わせパターンのインデックスであり、ncは負荷の組み合わせパターンの総数である。
【0137】
図14(c)では、例えばi=isである組み合わせパターンが選択されたとき、前記式29に示したように、その選択された組み合わせパターンで示される各負荷の和を区間負荷する。また、隣接する配電線末端側区間(図14(c)の例では3区)流入電流値は、式32のように当該区間(図14(c)の例では2区)の流入電流から当該区間(図14(c)の例では2区)の区間負荷を引いて算出する。
【0138】
【数18】
【0139】
また、隣接する配電線末端側区間の区間負荷の算出に際しても、前記同様に当該区間用の負荷の組み合わせパターンを用いて算出する。
【0140】
このように、最初に求める配電線始端側の流入電流として配電線の送り出し電流の値を利用することにより、配電線末端の区間までの区間負荷を順次算出することができるものであり、各区間毎に需要家の実際の使用状況に対応した負荷を正確に得ることができる。なお、負荷の組み合わせパターンを利用して区間負荷を求めるためのアルゴリズムについては、図13のフローチャートに示した通りである。
【0141】
なお、図12(第6の実施形態)に示すように区間内の負荷パターンから電圧降下を求める場合に区間流出電流値を用いる方法によって算出された区間負荷と、図14(第7の実施形態)に示すように区間内の負荷パターンから電圧降下を求める場合に区間流入電流値を用いる方法によって算出された区間負荷との平均値を取り、その平均値を当該区間における最終的な区間負荷として算出すれば、両者の方法による誤差分を相殺して、より正確な区間負荷を得ることができる。これは、制御用計算機8に前記図12に示す区間負荷算出方法と前記図14に示す区間負荷算出方法によって区間負荷をそれぞれ求める機能と、これらの区間負荷算出方法によって得られた区間負荷の平均値を求める機能を備えることで実現できる。
【0142】
(第8の実施形態)
次に、本発明に係わる配電線の区間負荷算出方法の第8の実施形態について図15を参照して説明する。
【0143】
この第8の実施形態では、図12に示す区間内の負荷パターンから電圧降下を求める場合に区間流出電流値を用いる方法(以下、第4の区間負荷算出方法と称す)と、図14に示す区間内の負荷パターンから電圧降下を求める場合に区間流入電流値を用いる方法(以下、第5の区間負荷算出方法と称す)と、前記第1の区間負荷算出方法で得られる区間負荷と前記第2の区間負荷算出方法で得られる区間負荷の平均値を取る方法(以下、第6の区間負荷算出方法と称す)とを備え、これらの方法を配線の各区間の位置に応じて選択的に適用することを特徴としている。
【0144】
すなわち、図15(a)は6区間の配電線の例を示しており、立上り区間である1区に負荷がないので対象外として(1区には需要家は接続されていない)、配電線の始端側の2区および3区は前記第4の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出し、中央の4区では前記第6の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出し、配電線の末端側の5区および6区は前記第5の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出するといった構成になっている。
【0145】
また、図15(b)に示す5区間の配電線の例を示しており、立上り区間である1区には負荷がないので対象外として、配電線の始端側の2区および3区では前記第4の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出し、配電線の末端側の4区および5区では前記第5の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出するといった構成になっている。
【0146】
この場合、前記各方法をどこの区間に用いるのかは、例えば制御用計算機8が配電線に接続される各区間の需要家の負荷分布の特徴情報(図3)に基づいて判断するものとする。このように、複数の異なる区間負荷の算出方法を各区間に選択的に適用することにより、各区間の負荷変動分を考慮した正確な区間負荷を算出することができる。
【0147】
なお、前記第6の実施形態あるいは前記第7の実施形態では、区間内の負荷の組み合わせパターンから当該区間両端の電圧降下の値に最も近いパターンを1つだけ選択するものとして説明したが、例えば当該区間両端の電圧降下の値に近い順に所定数のパターンを選出して、これらのパターンを用いて区間負荷を算出するようにしても良い。この場合の区間負荷の算出方法としては、以下のような方法を用いる。
【0148】
すなわち、計測値より算出した区間両端の電圧降下に近い負荷の組み合わせパターンが複数(例えばm個)存在する場合において、これらの組み合わせパターン毎に負荷の総和を算出し、下記の式33〜35に示すように、それぞれの負荷総和の最大(式33)と最小(式34)を求めた後、その平均値を当該区間における最終的な区間負荷とする。ここで、Nは区間j内の需要家の接続地点数である。
【0149】
【数19】
【0150】
また、別の方法として、計測値より算出した区間両端の電圧降下に近い負荷の組み合わせパターンが複数(例えばm個)存在する場合において、各組み合わせパターン毎に負荷の総和を算出し、下記の式36に示すように、それぞれの負荷総和の相加平均値を求めて、これを当該区間における最終的な区間負荷とすることでも良い。ここで、Nは区間j内の需要家の接続地点数である。
【0151】
【数20】
【0152】
このように、計測値より算出した区間両端の電圧降下に近い方から複数のパターンを選択し、これらのパターンから最終的な区間負荷を求めることで、より正確な区間負荷を得ることができる。
【0153】
(第9の実施形態)
次に、本発明に係わる配電線の区間負荷算出方法の第9の実施形態について図16を参照して説明する。
【0154】
この第9の実施形態では、上述した区間内の負荷の組み合わせパターンの中から区間負荷として用いるパターンを選択する場合に、配電線の送り出し電流値を各需要家の契約容量に基づいて按分する方法を利用するものである。この送り出し電流は変電所で計測される値を用いても良いし、変電所で電圧の大きさおよび位相が計測可能であれば、1区の線路インピーダンスより前記式5に従って計算される電流値を用いても良い。
【0155】
図16に示すように、5区間の配電線の例では、区間jの各負荷の送り出し電流の按分値は、例えば式37に示すように、送り出し電流値に各負荷の契約容量を掛けて配電線全体の需要家の総設備容量で割ることによって求めることができる。
【0156】
【数21】
【0157】
ここで、計測値より算出した区間両端の電圧降下に近い負荷の組み合わせパターンが複数(例えばm個)存在する場合において、区間jの電圧降下の計測値を生じる負荷の組み合わせベクトルは、式38のようになる。
【0158】
【数22】
【0159】
また、区間jの電圧降下の計測値を生じる負荷の組み合わせベクトルと最も近い前記区間jの按分値ベクトルは、式39の計算式に従ってm個の解のうちで最も小さいものを選択すればよい。この按分値ベクトルと最も近くなる負荷の組み合わせベクトルの各負荷総和を区間負荷とする。
【0160】
【数23】
【0161】
このように、各パターンの中で、配電線の送り出し電流値を各需要家の契約容量に基づいて按分した値に近いものを選することで、そのパターンの各負荷を合計して区間負荷とする方法を用いることにより、より正確な区間負荷を得ることができる。
【0162】
なお、上述した各実施形態において記載した手法は、コンピュータである制御用計算機8に実行させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで各種装置に適用したり、そのプログラム自体をネットワーク等の伝送媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。制御用計算機8を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムあるいは伝送媒体を介して提供されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行する。
【0163】
さらに、本発明は、前記各実施形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、前記各実施形態は可能な限り組み合わせて実施することが可能であり、その場合には組み合わせによる効果が得られる。さらに、前記各実施形態には種々の上位、下位段階の発明が含まれており、開示された複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得るものである。例えば問題点を解決するための手段に記載される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されうることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0164】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、各区間の需要家の負荷変動分に応じて配分係数を補正し、その補正後の配分係数を用いて差引き電流を各区間に配分することにより各区間毎の区間負荷を算出するようにしたため、負荷変動分を考慮した正確な区間負荷を得ることができる。
【0165】
また、予め各区間毎に各需要家の契約容量の範囲内で負荷変動分を表した負荷の組み合わせパターンを作成しておき、これらのパターンの中で配電線の計測点の電圧および位相の計測値から得られる区間両端の電圧降下に最も近いパターンを選んで区間負荷を算出するようにしたため、負荷変動に対応した正確な区間負荷を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる配電線の負荷監視制御システムの一実施形態としての構成例を示す図。
【図2】計測点前後の差引き電流の算出処理を示すフローチャート。
【図3】配電線の各区間毎の需要家の分布状態を説明するための図。
【図4】配電線の区間内のある区間に接続された需要家の契約容量を説明するための図。
【図5】本発明の第1の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の始端区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合を示す図。
【図6】前記図5の区間負荷算出方法を実現するための処理手順を示すフローチャート。
【図7】補正後の配分係数を求めるための処理手順を示すフローチャート。
【図8】本発明の第2の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の末端区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合を示す図。
【図9】本発明の第3の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、任意の区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合を示す図。
【図10】本発明の第4の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、任意の測定点の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合を示す図。
【図11】本発明の第5の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の各区間に応じて複数の区間負荷算出方法を選択的に用いる場合を示す図。
【図12】本発明の第6の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、区間内の各需要家の契約容量に対応した負荷の組み合わせパターンを利用して区間負荷を求める場合を示す図。
【図13】前記図12の区間負荷算出方法を実現するための処理手順を示すフローチャート。
【図14】本発明の第7の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、各需要家の契約容量に対応した負荷の組み合わせパターンを利用して区間負荷を求める際に区間流入電流を用いる場合を示す図。
【図15】本発明の第8の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の各区間に応じて複数の区間負荷算出方法を選択的に用いる場合を示す図。
【図16】本発明の第9の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の送り出し電流値を各需要家の契約容量に基づいて按分する方法を利用する場合を示す図。
【図17】従来の配電線の連係関係を示す図。
【図18】従来の配電線の負荷監視制御システムの構成を示す図。
【図19】一方の配電線のある区間に地絡事故が発生したときの開閉器の動作状態を示す図。
【図20】一方の配電線のある区間に地絡事故時、他の配電線から電力を融通する例を示す図。
【図21】配電用変電所の配電線への送出し電流値を検出するための構成を示す図。
【図22】開閉器設置点の電圧および位相と各区間のインピーダンスとを用いて、各区間の配電線通過電流値を算出する例を説明するための図。
【符号の説明】
1…変圧器
2…配電線
3…配電線遮断器
4a,4b…開閉器
6…制御用変圧器
7…開閉器子局
8…制御用計算機
21…変電所
22…電流センサ
23…電圧センサ
24…電流センサ
25…変電所子局
【発明の属する技術分野】
本発明は、配電用変電所に接続された配電線の区間負荷に応じて電力の供給制御を行う配電線の負荷監視制御システムと、同システムに用いられる配電線の区間負荷算出方法及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、配電系統は、図17に示すように配電用変電所の変圧器1,1の2次側から配電線2,2が引き出され、これら配電線2,2は地中管路内や電柱上の架空設置を経て対象地域まで設けられ、一般家庭や工場などを含む各需要家に対して電力を供給する構成となっている。
【0003】
各配電線2は、それぞれ配電線遮断器3を介してそれぞれ常時入り状態の常閉開閉器4によって区分された区間に分割されている(図17の例では5区間に分割されている)。また、各配電線2,2相互間は常時切り状態となっている常開開閉器5(5aは入り状態、5bは切り状態を示すものとする)によって接続されている。
【0004】
このような配電系統においては、図18に示すごとく、各常閉開閉器4(4aは入り状態、4bは切り状態を示すものとする)の両端にそれぞれ制御用変圧器6を介して開閉器子局7に導入されている。8は配電線2を管理運用する営業所9などに設置される制御用計算機であって、情報伝送路10を介して各開閉器子局7、…を遠隔監視制御を行う構成となっている。
【0005】
ところで、配電線2のある区間、例えば図19に示すように、一方の配電線2(ここでは配電線b)の2区で地絡または短絡等の事故11が発生した場合、変電所21に設置される保護継電器である再閉路装置(図示せず)が作動して、その配電線2(b)の電源側に設置されている配電線遮断器3を開放(初回遮断)することで、事故区間を含んだ配電線2(b)が停電状態となる。この時、配電線2(b)に属する各開閉器4(配電線の各区間は時限を持つ開閉器で区切られている)は、系統停電により無電圧開放(切り状態)となる。
【0006】
また、変電所21では、配電線遮断器3の初回遮断と同時に、再閉路装置が作動し、一定時間経過後に開放中の配電線遮断器3を投入(再閉路)する。この配電線遮断器3の投入に伴い、充電が開始された後、事故区間を含む各区間の開閉器4は一定時限毎に順次自動投入される(時限順送機能)。この開閉器時限順送中に事故区間への送電が行われると、再閉路装置が作動し、配電線遮断器3が開放(再閉路失敗)となって配電線2(b)が停電となる。このように、規定時間内に配電線遮断器3が開放することにより、開閉器4は以降電源側区間が充電されても時限順送投入されない状態となる。これを「Y時限ロック」と言う。続いて、配電線遮断器3は再び投入(再々閉路)され、事故区間電源側まで開閉器4を時限順送投入し、事故区間まで充電状態となる。
【0007】
一方、制御用計算機8では、再閉路から再閉路失敗までの時間計測により事故区間の仮判定を行う。また、再々閉路後、仮判定区間の電源側開閉器4の状態を確認し、開放状態(切り状態4b)であれば、当該区間を事故区間であると本判定する。制御用計算機8は、このようにして事故区間を検出すると、その事故区間よりも負荷側の停電区間に対して隣接する他の配電線2(ここでは配電線a)からの電力供給(以下、融通と呼ぶ)の可否を評価し、融通が可能であれば、そのための開閉器操作手順を作成し、以下のような融通制御を行う。
【0008】
すなわち、図20に示すように、常開開閉器5を切り状態5bから入り状態5aに切り替えることによって、事故区間以外の他の健全区間(ここでは3区〜5区)に対し、隣接する配電線2(配電線a)から電力を供給することで、事故区間以外の他の健全区間に属する各需要家に電力を供給する。なお、図中の12は事故停電区間を示す。
【0009】
このような電力融通の結果、融通元となる配電線2(図20では配電線a)の負荷は増大することになるが、その融通元の配電線2や変電所21の供給限界を超えることは許されないので、制御用計算機8では、融通による電力供給対象とする区間やそのための操作対象開閉器などを、予め決められた供給限界を超えないように選択するといったことが行われている。つまり、配電線を適切に運用するためには、配電線の各区間の負荷を常に正確に把握しておくことが重要である。
【0010】
従来、以上のような状況に対処すべく配電線の区間負荷を求める手段として、図21に示すように、配電用変電所に接続される配電線2への送り出し電流値を電流センサ13により計測し、この電流計測値を配電線2に接続される電力の供給を受けている各需要家の契約容量をもとにして各区間毎に按分する方法が知られている。
【0011】
この方法による各区間の負荷の計算は、以下のような計算式(式1)により求められる。
【0012】
区間iの区間負荷=(配電線電流計測値)×(区間iの按分値)……(式1)
また、この式1の区間iの按分値は、例えば下記に示すような式2の計算式によって求められる。
【0013】
区間iの按分値=(区間iに接続する需要家の総設備容量)/(配電線全体の需要家の総設備容量) ……(式2)
ここで、区間iに接続する需要家の総設備容量は、下記の式3に示すように、例えば区間iに接続する高圧需要家の契約電力の総和と、区間iに接続する低圧需要家の口数の総和を単位口数当たりの容量で換算したものの和から求められる。
【0014】
区間iに接続する需要家の総設備容量=(区間iに接続する高圧需要家の契
約電力の総和)+(単位口数の容量)×(区間iに接続する低圧需要家の口数の
総和) ……(式3)
また、配電線全体の需要家の総設備容量は、式4に示すように、注目している配電線の全ての区間について、区間iに接続する需要家の総設備容量を足し合わせた値となる。
【0015】
【数1】
【0016】
しかし、以上のような配電用変電所の配電線への送り出し電流値を計測し、その配電線に接続されて電力の供給を受けている需要家の契約容量のもとに各区間に按分するといった方法では、時間とともに変動する区間負荷を常に正確に把握することは困難である。
【0017】
そこで、別の方法として、特開2001−103681号公報において、配電線を各区間毎に区分している開閉器の設置点の電圧および位相を定期的に計測し、この計測値と配電線のインピーダンス値とを利用して各区間の配電線通過電流を計算し、閉状態の開閉器により互いに接続されている隣接区間の通過電流の差に基づいて区間負荷を算出するといった方法が提案されている。
【0018】
この配電線の区間負荷算出方法は、具体的には、図22に示すように、配電線2を各区間毎に分割している開閉器設置点の電圧および位相の計測値Vi∠δi(i=1,…,5)と各区間のインピーダンスZ(B)iを用いて、式5のように各区間の配電線通過電流値I(B)iを求めることができる。なお、前記(B)はベクトルを表すものとする。実際には式5で示されているように文字の上に点を付けた形で表記されるものであるが、ここで便器上、(B)をベクトルと見なすものとする。以下の記述の中の(B)も同様である。
【0019】
【数2】
【0020】
配電線通過電流値の計算に関し、配電線の対地静電容量を考慮しても、あるいは、無視しても殆ど差が出てこないので、前記式5でも対地静電容量を無視し、代表的な計算方法とする。
【0021】
ここで、閉状態の開閉器の前後の各区間(開閉器を挟んで隣接する2つの区間)における配電線通過電流値I(B)iの差分を式6のように計算し、その差分結果として得られる各計測点の差引き電流を隣接区間へ配分することにより区間負荷を計算している。
【0022】
【数3】
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来、配電線の区間負荷を算出する方法として、配電線の送り出し電流値と需要家の契約容量から各区間毎の負荷を算出する方法(式1)、あるいは、前記公報に開示されているように、計測点の電圧および位相から各区間の通過電流を求めることにより、隣接区間の通過電流の差分に基づいて各区間毎の区間負荷を算出する方法(式6)があった。
【0024】
しかしながら、これらの方法では、区間毎の需要家の分布や需要家毎の負荷変動の特徴などを考慮した計算を行っていないので、区間負荷を正確に把握することは難しい。すなわち、前者の方法(式1)は、単に各区間で予め決めらている需要家の契約容量から区間負荷を求める方法であるので、実際の需要家の負荷変動分がまったく反映されておらず、各区間毎に正確な区間負荷を得ることができない。また、後者の方法(式6)は、配電線の開閉器の設置点(計測点)における負荷を求める方法であるので、その負荷の値は隣接する2つの区間の両方に依存されることになり、一方の区間だけを正確に表したものではない。つまり、上述した式1や式6などによって算出される区間負荷の値は大きな誤差を含んでおり、正確性に欠けるといった問題があった。
【0025】
本発明は前記のような点に鑑みなされたもので、区間毎の需要家の分布や需要家毎の負荷変動の特徴などを考慮して正確な区間負荷を得ることのできる配電線の区間負荷算出方法と、この区間負荷算出方法が用いられる配電線の負荷監視制御システム及び区間負荷を算出するためのプログラムを提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明の一観点による配電線の区間負荷算出方法は、配電用変電所に接続される配電線の各区間毎の負荷を算出するための配電線の区間負荷算出方法において、前記配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値と前記配電線のインピーダンスから計測点前後の各区間の差引き電流値を算出し、各区間の需要家の契約容量と需要家の接続位置の情報に基づいて前記差引き電流値を各区間に配分するための配分係数を算出し、その配分係数を各区間の需要家の負荷変動分に応じて補正することにより、その補正後の配分係数を用いて前記差引き電流値を各区間に配分して各区間毎の負荷を算出することを特徴とする。
【0027】
このような配電線の区間負荷算出方法によれば、各区間における流入電流と流出電流との差分である差引き電流値を開閉器によって区分された各区間に配分するための配分係数を各区間の需要家の契約容量と需要家の接続位置の情報に基づいて算出した後、その配分係数を各区間の需要家の負荷変動分に応じて補正し、その補正後の配分係数を用いて前記差引き電流値を各区間に配分することで、各区間の負荷変動分を考慮した正確な区間負荷を得ることができる。
【0028】
前記配分係数の補正する方法としては、前記配電線の送り出し側に近い差引き電流値を基準にして始端区間から端末区間へ順に区間単位で補正する方法、または、前記配電線の末端側に近い差引き電流値を基準にして末端区間から始端区間へ順に区間単位で補正する方法、前記配電線の任意の測定点における差引き電流値を基準にしてその測定点から始端区間および末端区間へ順に区間単位で補正する方法がある。
【0029】
また、前記配電線の始端側に近い差引き電流を基準にして配分係数を補正して区間負荷を算出する方法と、配電線の終端側に近い差引き電流を基準にして配分係数を補正して区間負荷を算出する方法を併用し、その2つの方法によって得られる区間負荷の平均値を最終的な区間負荷として算出することにより、両者の方法による誤差分を相殺して、より正確な区間負荷を得ることができる。
【0030】
また、前記配分係数を前記配電線の送り出し側に近い差引き電流値を基準にして補正して区間負荷を算出する第1の方法と、前記配分係数を前記配電線の末端側に近い差引き電流値を基準にして補正して区間負荷を算出する第2の方法と、前記第1の方法と前記第2の方法との平均値を区間負荷として算出する第3の方法とを備え、前記配電線の負荷分布情報に基づいて各区間毎に前記第1乃至第3の方法を選択的に適用して区間負荷を算出することにより、各区間の位置に適した方法を用いて正確な区間負荷を得ることができる。
【0031】
また、本発明の他の一観点による配電線の区間負荷算出方法は、配電用変電所に接続される配電線の各区間毎の負荷を算出するための配電線の区間負荷算出方法において、前記配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値から区間両端の電圧降下を算出し、各区間に接続された各需要家の契約容量に基づいて負荷変動分を表した負荷の組み合わせパターンを作成し、前記負荷の組み合わせパターン毎に区間両端の電圧降下を算出し、これらのパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下とを比較することで、前記計測値から得られた電圧降下に最も近い値を有するパターンを選択し、この選択されたパターンで示される各負荷の和を当該区間における区間負荷として算出することを特徴とする。
【0032】
このような配電線の区間負荷算出方法によれば、予め各区間毎に各需要家の契約容量の範囲内で負荷変動分を表した負荷の組み合わせパターンを作成しておく。そして、これらのパターンを区間両端の電圧降下に置き換えた状態で配電線の計測点の電圧および位相の計測値から得られる区間両端の電圧降下と比較し、その中で計測値からの電圧降下に最も近いパターンを選択し、その選択されたパターンで示される各負荷の和を当該区間における区間負荷として算出することで、負荷変動に対応した正確な区間負荷を得ることができる。
【0033】
前記負荷の組み合わせパターンに対応した区間両端の電圧降下を求める方法としては、前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流出電流を用いて、前記配電線の末端区間から始端区間へ順に区間単位でそれぞれの区間の負荷パターンに対応した区間両端の電圧降下を算出する方法と、前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流入電流を用いて、前記配電線の始端区間から末端区間へ順に区間単位でそれぞれの区間の負荷パターンに対応した区間両端の電圧降下を算出する方法とがある。
【0034】
また、前記配電線の各区間の流出電流を基準にして負荷の組み合わせパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下との比較によって区間負荷を算出する方法と、前記配電線の各区間の流入電流を基準にして負荷の組み合わせパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下との比較によって区間負荷を算出する方法を併用し、その2つの方法によって得られる区間負荷の平均値を最終的な区間負荷として算出することにより、両者の方法による誤差分を相殺して、より正確な区間負荷を得ることができる。
【0035】
また、前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流出電流を用いて前記負荷の組み合わせパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下との比較により区間負荷を算出する第1の方法と、前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流入電流を用いて前記負荷の組み合わせパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下との比較により区間負荷を算出する第2の方法と、前記第1の方法と前記第2の方法との平均値を区間負荷として算出する第3の方法とを備え、前記配電線の負荷分布情報に基づいて各区間毎に前記第1乃至第3の方法を選択的に適用して区間負荷を算出することにより、各区間の位置に適した方法を用いて正確な区間負荷を得ることができる。
【0036】
また、前記計測値から得られた電圧降下に近い値を有するパターンが複数選択された場合に、これらのパターンで示される各負荷の最大値と最小値を求め、その最大値と最小値の平均値を当該区間における区間負荷として算出したり、これらのパターンで示される各負荷の総和を求め、その負荷総和の相加平均を当該区間における区間負荷として算出したり、あるいは、これらのパターンで示される各負荷の中で前記配電線の送り出し電流を需要家の契約容量で按分した値に最も近いものを当該区間における区間負荷として算出することにより、より正確な区間負荷を得ることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0038】
(第1の実施形態)
図1は本発明に係わる配電線の負荷監視制御システムの一実施の形態を示す構成図である。なお、同図において図17、図18と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0039】
この配電線の負荷監視制御システムは、配電用変電所21の変圧器1の2次側から供給対象地域まで配電線2を導いて各需要家にそれぞれの契約容量に応じた電力を供給し、さらに、配電線2を常閉開閉器4(4aは入り状態、4bは切り状態)によって区分された区間(ここでは5区)に分割し、各開閉器4の設置点から制御用変圧器6を通して電圧を計測し、対応する各開閉器子局7にて開閉器の動作状態を監視制御する。
【0040】
ここで、配電用変電所21に設置される変圧器1の2次側ラインに電流センサ22および電圧センサ23が設置され、また、配電線遮断器3の需要家側ラインに電流センサ24が設置されている。これらのセンサ出力は変電所子局25に導入され、この変電所子局25から変電所送り端側の状態が制御用計算機8に送られるようになっている。同様に、複数の区間に区分している各開閉器4の設置点から制御用変圧器6を介して電圧および電流が計測され、各開閉器子局7,…から変電所子局25を介して開閉器設置点の状態として制御用計算機8に送られるようになっている。
【0041】
制御用計算機8は、例えば磁気ディスク等の記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されるコンピュータによって実現されるものである。この制御用計算機8は、各開閉器子局7,…および変電所子局25から送信されてくる開閉器設置点や配電所の変電所送り出し端などの電圧の他、電圧および電流から位相を計測し、これら電圧・位相の計測値と配電線のインピーダンス(配電線の距離に関連する情報)とから電圧および位相の計測点間の電流値を算出し、さらに算出された計測点の流入電流値と計測点の流出電流値とから差引き電流値を求め、この差引き電流値から区間負荷を算出する機能を有する。なお、変電所子局25や各開閉器子局7,…によって電圧および位相を計測し、制御用計算機8に送信する構成であってもよい。
【0042】
図2は制御用計算機8にて実行される計測点前後の差引き電流の算出処理を示すフローチャートであって、電圧および位相の計測点である閉状態の開閉器4,…によって互いに接続されている隣接区間の配電線通過電流の差引き電流値を算出する手順が示されている。
【0043】
まず、制御用計算機8は、予め保存されている配電線の各区間のインピーダンスなどの配電線設備データを取り出す(ステップS1)。また、図1に示す監視制御システムによって取得された電圧の他、例えば計測された電圧および電流から得られる位相データを取り込み(ステップS2)、前記式5に基づいて各区間の配電線通過電流を計算する(ステップS3)。しかる後、計測点前後の差引き電流値を計算する(ステップS4)。この計測点前後の差引き電流値は、例えば前記式6のように、計測点前後の区間に対して計算された配電線通過電流値の差、つまり、計測点に流入する電流値と計測点から流出する電流値の差分として計算できる。
【0044】
配電線の各区間に接続されている需要家の分布に関する情報としては、例えば各需要家の契約容量や配電線への接続位置の情報がある。さらに具体的には、例えば各高圧需要家の契約電力や柱上変圧器に接続される一般需要家の契約口数(例えば1口=2kW)、高圧需要家の高圧配電線への接続位置、一般需要家が接続される低圧配電線に電力を供給する柱上変圧器の高圧配電線への接続位置の情報などがあり、これら情報は一般的に配電自動化システムが保持しており、ネットワークなどを介して制御用計算機8に設けられたデータベース(図示せず)などに取り込んで保存することにより、配電線の区間負荷の算出に用いることができる。
【0045】
ここで、本発明の配電線の区間負荷算出方法の一実施形態としては、例えば図3のような需要家の分布情報を利用する。図3の横軸は配電線の変電所送り出し端からの電気的距離(例えば、変電所送り出し端からのインピーダンスの大きさ(単位:オーム))である。
【0046】
図4は配電線のある1つの区間j内の1地点iに契約容量Wiの需要家が接続されている例である。需要家の契約容量としては、契約電流でも、契約電力でも、その他の需要家の負荷の大きさを表す指標でもよい。この需要家の契約容量を電圧および位相の計測点(例えば区間の始端側の開閉器設置点と末端側の開閉器設置点)に割当てることを考える。
【0047】
割当ての方法としては、以下に示すような式7、式8による方法が挙げられる。
【0048】
【数4】
【0049】
式7のmiは区間の始端側の開閉器設置点とこの需要家が区間に接続する点iとの電気的距離である。mtotalは区間の始端側の開閉器設置点と末端側の開閉器設置点との電気的距離、すなわち、区間全体の電気的距離である。始端区間から需要家接続点までのインピーダンスZ(B)iおよび区間全体のインピーダンスZ(B)totalを用いた場合の例を式9、式10に示す。
【0050】
【数5】
【0051】
なお、区間内の1つの地点iに複数の需要家が接続されている場合は、それらの需要家の契約容量の総和を求め、式7と式8、または、式9と式10におけるWiの値として用いればよい。
【0052】
また、区間内の複数の地点に需要家が接続されている場合は、接続地点i毎に式7と式8、または、式9と式10に相当する計算を行い、dsi j およびdei j (i=1,…,n)(iは区間j内の需要家の接続地点のインデックスであり、nは区間J内の需要家の接続地点数)の合計値を式11、式12のように求め、それぞれ始端側割当量,末端側割当量とすればよい。
【0053】
【数6】
【0054】
前記式11によって求められたDs j を「始端側配分係数」と呼び、前記式12によって求められたDe j を「末端側配分係数」と呼ぶ。このような配分係数Ds j 、De j を利用して計測点iの差引き電流I(B)Liを各区間に配分する方法が既に提案されているが、この配分係数Ds j 、De j は区間両端で共通に利用されるため、各区間に接続される需要家の負荷変動を正確に反映しているものではない。そこで、本発明では、前記配分係数を各区間の負荷変動分に応じて補正し、その補正後の配分係数を利用して計測点の差引き電流を各区間に配分する方法を提供するものである。図5にその方法を示す。
【0055】
図5は本発明の第1の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の送り出し側に近い始端区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合の方法が示されている。この図5において、図5(a)は配電線の区間例、同図(b)は補正前の配分係数、同図(c)は補正後の配分係数、同図(d)は区間負荷の算出結果を示している。
【0056】
すなわち、配電線に対する電圧および位相の計測点である開閉器の設置点の前後の差引き電流値を各区間に配分する場合において、図5(a)に示すように、まず、各需要家の契約容量が100%の負荷状態に対する負荷の変動分の補正量を配電線の送り出し側に最も近い計測点の差引き電流値を利用して算出する。図中のI(B)L 1が送り出し側の差引き電流値、I(B)L 1/Ds 2 がその送り出し側の差引き電流値を利用した負荷変動分の補正量である。配電線の送り出し側の始端区間の差引き電流を基準として補正量を求めていくのは、システムの立ち上がり区間として存在する1区(始端区間)には負荷がないため(需要家は存在しない)、そこでの差引き電流値を当該区間における略正確な値として利用できるからである。
【0057】
続いて、この負荷変動分を利用して順次末端へと負荷変動分をそれぞれ算出する。この場合、末端側の5区(末端区間)については、それより先に負荷がないので、そこでの差引き電流値をそのまま利用して補正量を算出する。図中のI(B)L 5が送り出し側の差引き電流値、図中のI(B)L 5/De 5 がその負荷変動分の補正量を示す。これらの負荷変動分の補正量に基づいて、同図(b)、(c)に示すように配分係数を補正し、同図(d)に示すように、その補正後の配分係数を用いて差引き電流を各区間に配分する。
【0058】
ここで、図5(c)では、負荷変動分を考慮した配分係数を配電線始端側より末端側まで順次式13および式14により計算する。また、図5の例では、立ち上がり区間である1区には負荷がないため、末端側配分係数De 1 ′はゼロとする。
【0059】
【数7】
【0060】
ただし、隣接する区間に負荷のないことが明らかである始端区間と末端区間のような場合は、配分係数と差引き電流値との比をそのまま補正後の配分係数とする。式15に補正後の5区末端側配分係数を示す。
【0061】
【数8】
【0062】
図5(d)では、計測点前後の区間の配分係数を利用した式16および式17によって、区間jと区間j+1を区分する開閉器設置点の差引き電流値I(B)Ljをそれぞれの区間に配分している。式16、式17に各区間の配分値を示す。
【0063】
【数9】
【0064】
このようにして、区間に配分された計測点の差引き電流値の区間毎の総和が、最終的な区間負荷の算出結果となる。
【0065】
図6は前記図5に示した区間負荷算出方法のアルゴリズムを説明するためのフローチャートであり、制御用計算機8が図示せぬROMあるいは外部記録媒体にに記録されたプログラムを読み込むことにより、そのプログラムに記述された手順に従って実行する処理の流れを示している。
【0066】
図6に示すように、まず、制御用計算機8は、前記式13および前記式14を用いて負荷変動分を補正した各区間の始端側および末端側の配分係数を計算する(ステップS11)。この補正後の配分係数を求めるまでの手順については、後に図7を参照して説明する。
【0067】
次に、制御用計算機8は、区間負荷を算出する配電線の末端の区間を選択する(ステップS12)。図5の例では、5区を選択する。そして、この選択区間の末端側の計測点の差引き電流値(図5の5区の末端側のI(B)L 5)を配分計算の対象とする(ステップS13)。
【0068】
ここで、制御用計算機8は、選択している区間が配電線の末端区間であるか否かを評価する(ステップS14)。その結果、末端区間である場合には(ステップS14のYES)、制御用計算機8は配分計算の対象としている差引き電流値を現在選択している区間にのみ配分する(ステップS15)。
【0069】
一方、選択している区間が配電線の末端区間ではない場合には(ステップS14のNO)、制御用計算機8は、注目している計測点からみて配電線の末端側の区間と、注目している計測点からみて配電線の送出し端側の区間への差引き電流の配分値をそれぞれ前記式16および前記式17によって求める(ステップS16)。
【0070】
このようにして、現在選択している区間の末端側の差引き電流値の配分が終わったら、制御用計算機8は配電線の全ての区間について配分を完了したか否かをチェックする(ステップS17)。全てについて配分を完了していれば(ステップS17のYES)、制御用計算機8は各区間毎に配分された電流値の和を計算し(ステップS18)、ここでの処理を終了する。未だ選択されていない区間がある場合には(ステップS17のNO)、制御用計算機8は、隣接する次の区間を選択して(ステップS19)、前記ステップS13に戻って同様の処理を繰り返す。
【0071】
ここで、図7を参照して前記ステップS11で用いられる補正後の配分係数を求めるまでの手順について説明する。
【0072】
図7に示すように、制御用計算機8は、まず、配電線の開閉器の設置点である計測点間の電圧および位相の計測値と配電線のインピーダンス(配電線の距離に関連する情報)に基づいて計測点の電流値を算出すると共に(ステップS21)、その計測点前後の差引き電流値(計測点に流入する電流値と計測点から流出する電流値との差分)を算出する(ステップS22)。
【0073】
次に、制御用計算機8は、各区間の需要家の契約容量と配電線への接続位置の情報を用いて区間両端における等価負荷である補正前の配分係数(式11および式12)を算出する(ステップS23)。
【0074】
次に、制御用計算機8は、前記ステップS23で得られた補正前の配分係数(契約容量相当)と計測点での差引き電流とを比較して負荷変動の補正量を算出する(ステップS24)。具体的には、図5で説明したように、まず、配電線の送り出し側に最も近い計測点の差引き電流値を利用して負荷変動分の補正量を算出した後、その補正量を用いて順次末端における各計測点での補正量を算出していく。そして、制御用計算機8は、このようにして得られた負荷変動分の補正量を当該配分係数に乗じることにより(式13および式14)、負荷変動分を考慮して配分係数を算出する(ステップS25)。
【0075】
以上のように、差引き電流値の区間毎の配分に際し、配電線に接続される需要家の契約容量に関する情報と配電線に接続される需要家の接続位置に関する情報とから配分係数を求め、この配分係数を各計測点での差引き電流を用いて補正することにより、その補正後の配分係数に従って各区間に配分することで、各区間における需要家の負荷変動を反映した正確な区間負荷を算出することができるものである。
【0076】
(第2の実施形態)
前記第1の実施形態(図5)における配電線の区間負荷算出方法では、配電線の送り出し側である始端区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を各区間毎に順に求めるようにしたが、配電線の末端区間に着目し、そこでの差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を始端側へと各区間毎に順に求め、これらの補正量で配分係数を補正して区間負荷を算出することでも良い。その方法を図8に示す。
【0077】
図8は本発明の第2の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の末端区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合の方法が示されている。図8(a)は配電線の区間例、同図(b)は補正前の配分係数、同図(c)は補正後の配分係数、同図(d)は区間負荷の算出結果を示している。
【0078】
すなわち、配電線に対する電圧および位相の計測点である開閉器の設置点の前後の差引き電流値を各区間に配分する場合において、図8(a)に示すように、まず、各需要家の契約容量が100%の負荷状態に対する負荷の変動分の補正量を配電線の末端側に最も近い計測点の差引き電流値を利用して算出する。図中のI(B)L 5が末端側の差引き電流値、I(B)L 5/De 5 がその末端側の差引き電流値を利用した負荷変動分の補正量である。配電線の末端区間の差引き電流を基準として補正量を求めていくのは、末端区間の5区の先には負荷がないため、そこでの差引き電流値を当該区間における略正確な値として利用できるからである。
【0079】
続いて、この負荷変動分を利用して順次始端へと負荷変動分をそれぞれ算出する。この場合、始端側の区間については、前記同様の理由で負荷がないものとし、そこでの差引き電流値をそのまま利用して補正量を算出する。図中のI(B)L 1が送り出し側の差引き電流値、I(B)L 1/Ds 2 がその負荷変動分の補正量を示す。これらの負荷変動分の補正量に基づいて、同図(b)、(c)に示すように配分係数を補正し、同図(d)に示すように、その補正後の配分係数を用いて差引き電流を各区間に配分する。
【0080】
ここで、図8(c)では、負荷変動分を考慮した配分係数を配電線末端側より始端側まで順次式18および式19により計算する。また、図8の例では末端区間である5区から先には負荷がないため、始端側配分係数Ds 6 ′はゼロとする。
【0081】
【数10】
【0082】
ただし、隣接する区間に負荷のないことが明らかである始端区間と末端区間のような場合は、配分係数と差引き電流値との比をそのまま補正後の配分係数とする。式20に補正後の2区始端側配分係数を示す。
【0083】
【数11】
【0084】
図8(d)では、計測点前後の区間の配分係数を利用した式16および式17によって、区間jと区間j+1を区分する開閉器設置点の差引き電流値I(B)Ljをそれぞれの区間に配分しており、このようにして区間に配分された計測点の差引き電流値の区間毎の総和が最終的な区間負荷の算出結果となる。なお、差引き電流を各区間へ配分するためのアルゴリズムについては、図6のフローチャートに示した通りである。
【0085】
このように、配電線の末端区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求め、その補正量で補正した配分係数を利用して、各計測点での差引き電流を各区間に配分することでも、各区間における需要家の負荷変動を反映した正確な区間負荷を算出することができる。
【0086】
なお、図5に示すように配電線の始端区間から負荷変動分の補正量を順に求めていく方法では、始端区間での差引き電流に多少の誤差があり、その誤差量が末端区間側の補正量の算出に大きく影響してしまう。逆に、図8に示すように配電線の末端区間から負荷変動分の補正量を順に求めていく方法では、末端区間での差引き電流の誤差が始端区間側で大きく影響することになる。
【0087】
そこで、このような誤差分を低減する1つの方法として、配電線の始端区間の差引き電流を基準として負荷変動分の補正量を求める方法によって算出された区間負荷と、配電線の末端区間の差引き電流を基準として負荷変動分の補正量を求める方法によって算出された区間負荷との平均値を取り、その平均値を当該区間における最終的な区間負荷として算出すれば、両者の方法による誤差分を相殺して、より正確な区間負荷を得ることができる。これは、制御用計算機8に前記図5に示す区間負荷算出方法と前記図6に示す区間負荷算出方法によって区間負荷をそれぞれ求める機能と、これらの区間負荷算出方法によって得られた区間負荷の平均値を求める機能を備えることで実現できる。
【0088】
(第3の実施形態)
ここでは、負荷変動分の補正量を算出する際に、任意の区間に着目して、その区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求め、その補正量を利用して順次始端側および末端側へと補正量を求めていくことを特徴としている。その方法を図9に示す。
【0089】
図9は本発明の第3の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、任意の区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合の方法が示されている。図9(a)は配電線の区間例、同図(b)は補正前の配分係数、同図(c)は補正後の配分係数、同図(d)は区間負荷の算出結果を示している。
【0090】
すなわち、図9に示す方法は、配電線の中間区間(図9の例では3区)に注目し、その注目区間を基準として負荷変動分の補正量を求めることにより、配電線の区間jに対する始端側配分係数Ds j および末端側配分係数De j を補正し、この補正後の始端側配分係数Ds j ′および末端側配分係数De j ′を用いて各区間に差引き電流値を配分する方法である。
【0091】
図9(c)は、注目した区間(図9の例では3区であり、J=3)の始端側と末端側の計測点における補正量として、そこでの差引き電流値と、式11および式12で算出された配分係数の計測点における和との比
I(B)Lj/(De j +Ds j+1)
を算出する。そして、この始端側補正量と末端側補正量の平均値を当該区間の補正量とし、負荷変動分を考慮した配分係数を式21および式22のように計算する。
【0092】
【数12】
【0093】
ただし、隣接する区間に負荷のないことが明らかである始端区間(図9の例では2区)と末端区間(図9の例では5区)のような場合は、配分係数と差引き電流値との比を補正後の配分係数とし、補正後の2区の始端側配分係数については式20により計算し、補正後の5区末端側配分係数については式15により計算する。また、注目した区間より配電線始端側の区間の補正後の配分係数は式18および式19により計算し、配電線末端側の区間の補正後の配分係数は式13および式14により計算する。
【0094】
図9(d)では、計測点前後の区間の配分係数を利用した式16および式17によって、区間jと区間j+1を区分する開閉器設置点の差引き電流値I(B)Ljをそれぞれの区間に配分しており、このようにして区間に配分された計測点の差引き電流値の区間毎の総和が最終的な区間負荷の算出結果となる。なお、差引き電流を各区間へ配分するためのアルゴリズムについては、図6のフローチャートに示した通りである。
【0095】
(第4の実施形態)
図10は本発明の第4の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、任意の測定点の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合の方法が示されている。図10(a)は配電線の区間例、同図(b)は補正前の配分係数、同図(c)は補正後の配分係数、同図(d)は区間負荷の算出結果を示している。
【0096】
すなわち、図10に示す方法は、配電線の中間の計測点(図10の例では3区と4区の間)に注目し、その注目地点における差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求めることにより、配電線の区間jに対する始端側配分係数Ds j および末端側配分係数De j を補正し、この補正後の始端側配分係数Ds j ′および末端側配分係数De j ′を用いて各区間に差引き電流値を配分する方法である。
【0097】
図10(c)は、区間jと区間j+1の間の計測点(図10の例では3区と4区の間であり、j=3)における補正量として、そこでの差引き電流値と、式11および式12で算出された配分係数の計測点における和との比
I(B)Lj/(De j +Ds j+1)
を算出する。そして、この比を当該計測点より配電線始端側区間および配電線末端側区間の負荷変動分補正量とし、負荷変動分を考慮した配分係数を式23、式24、式25、式26のように計算する。
【0098】
【数13】
【0099】
ただし、隣接する区間に負荷のないことが明らかである始端区間(図10の例では2区)と末端区間(図10の例では5区)のような場合は、補正後の2区の始端側配分係数については式20により計算し、補正後の5区末端側配分係数については式15により計算する。また、注目した区間より配電線始端側の区間の補正後の配分係数は式18および式19により計算し、配電線末端側の区間の補正後の配分係数は式13および式14により計算する。
【0100】
図10(d)では、計測点前後の区間の配分係数を利用した式16および式17によって、区間jと区間j+1を区分する開閉器設置点の差引き電流値I(B)Ljをそれぞれの区間に配分しており、このようにして区間に配分された計測点の差引き電流値の区間毎の総和が最終的な区間負荷の算出結果となる。なお、差引き電流を各区間へ配分するためのアルゴリズムについては、図6のフローチャートに示した通りである。
【0101】
このように、配電線の任意の区間あるいは計測点の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求め、その補正量で補正した配分係数を利用して、各計測点での差引き電流を各区間に配分することでも、各区間における需要家の負荷変動を反映した正確な区間負荷を算出することができる。
【0102】
(第5の実施形態)
次に、本発明に係わる配電線の区間負荷算出方法の第5の実施形態について図11を参照して説明する。
【0103】
この第5の実施形態では、図5に示す配電線の始端区間の差引き電流を基準に負荷変動分を補正して区間負荷を算出する方法(以下、第1の区間負荷算出方法と称す)と、図8に示す配電線の末端区間の差引き電流を基準に負荷変動分を補正して区間負荷を算出する方法(以下、第2の区間負荷算出方法と称す)と、前記第1の区間負荷算出方法で得られる区間負荷と前記第2の区間負荷算出方法で得られる区間負荷の平均値を取る方法(以下、第3の区間負荷算出方法と称す)とを備え、これらの方法を配線の各区間毎の位置に応じて選択的に適用することを特徴としている。
【0104】
すなわち、図11(a)は6区間の配電線の例を示しており、立上り区間である1区には負荷がないので対象外として(1区には需要家は接続されていない)、配電線の始端側の2区および3区では前記第1の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出し、中央の4区では前記第3の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出し、配電線の末端側の5区および6区は前記第2の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出するといった構成になっている。
【0105】
また、図11(b)は5区間の配電線の例を示しており、立上り区間である1区には負荷がないので対象外として、配電線の始端側の2区および3区では前記第1の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出し、配電線の末端側の4区および5区では前記第2の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出するといった構成になっている。
【0106】
この場合、前記各方法をどこの区間に用いるのかは、例えば制御用計算機8が配電線に接続される各区間の需要家の負荷分布の特徴情報(図3)に基づいて判断するものとする。このように、複数の異なる区間負荷の算出方法を各区間に選択的に適用することにより、各区間の負荷変動分を考慮した正確な区間負荷を算出することができる。
【0107】
なお、前記第1〜第5の実施形態において、負荷変動分の補正量に基づいて配分係数を補正した場合に、誤差などの関係で補正後の配分係数が負となる場合がある。このような配分係数によって区間負荷が負として算出されることを回避するべく、補正後の配分係数が負であるか否かを判断し、負の場合には補正後の配分係数をゼロとするなどのエラー処理を行う機能を制御用計算機8に備えておくことが好ましい。
【0108】
(第6の実施形態)
前記第1〜第5の実施形態では、配分係数を利用して差引き電流を各区間に配分することで区間負荷を算出するものであったが、以下では、区間内の各需要家の契約容量に対応した負荷の組み合わせパターンを利用して区間負荷を求める方法について説明する。その方法を図12に示す。
【0109】
図12は本発明の第6の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、区間内の各需要家の契約容量に対応した負荷の組み合わせパターンを利用して区間負荷を求める場合の方法が示されている。図12(a)は配電線の区間例、同図(b)は区間負荷のパターン、同図(c)は区間負荷と流出電流の算出結果を示している。
【0110】
すなわち、予め区間内の各需要家の契約容量までの範囲内で負荷の組み合わせパターンを作成しておく。例えば、ある区間内の需要家が3つ存在し、これらの需要家の契約容量がすべて「10」とすれば、「0,0,0」、「0,0,1」、「0,0,2」…「10,10,10」といったように、0〜10の範囲で当該区間の負荷の組み合わせパターンを作成しておく。これらの負荷の組み合わせパターンが当該区間に接続された各需要家の負荷変動の範囲(0〜契約容量100%)を表しており、これらのパターンの中から実際の使用状況に近いパターンを選択することにより、その選択された組み合わせパターンの各負荷の和を区間負荷とする。
【0111】
詳しくは、配電線を各区間に区分している各開閉器の設置点を計測点として、その計測点の電圧および位相から区間両端の電圧降下を算出し、その電圧降下に最も近い負荷の組み合わせパターンを選ぶ。この場合、各パターン毎に電圧降下を算出する必要があり、その際に配電線のインピーダンスと需要家の接続位置に関する情報、そして、区間流入電流あるいは区間流出電流を用いる。第6の実施形態では、このうちの区間流出電流を用いて各パターン毎の電圧降下を求めることを特徴としており、特に末端区間(5区)に着目し、そこでの区間流出電流が0であることを利用して、まず、末端区間の区間負荷を求め、続いて、始端側へと区間負荷を順に求めていく。上述した負荷の組み合わせパターンは区間単位で予め用意されている。
【0112】
図12の例では、まず、末端区間である5区の両端を計測点とした電圧降下の値に最も近くなる負荷の組み合わせパターンを選択し、その選択された組み合わせの各負荷の和を5区の区間負荷としている。そして、この5区の流出電流値に5区の区間負荷を足して4区の流出電流値とした後、以下同様にして、4区用に作成された負荷の組み合わせパターンから配電線のインピーダンスと需要家の接続位置に関する情報、前記4区の流出電流を用いて各パターン毎の電圧降下を算出することで、4区の区間負荷を求める。
【0113】
図12(b)は、ある区間j内の地点kに3つの需要家が接続され、それぞれの始端区間からの電気的距離が配電線インピーダンスZ(B)jkである場合の例である。
【0114】
ここで、区間両端の計測点の電圧および位相により当該区間両端の電圧降下は、式27のように計算される。
【0115】
【数14】
【0116】
また、区間j内の地点kに対して需要家がN箇所接続されている場合に、各需要家の契約容量の範囲内で適当な大きさで刻んだ負荷I(B)jkの組み合わせパターンを例えばNc個作成したとき、区間jからの流出電流値I(B)joutと各負荷の組み合わせにより生じる区間両端の電圧降下は、式28のように計算することができる。
【0117】
【数15】
【0118】
この式28で求められる値が、実際の電圧および位相の計測値より算出した電圧降下(式27)に最も近くなる組み合わせパターンを選択する。なお、iは負荷の組み合わせパターンのインデックスであり、ncは負荷の組み合わせパターンの総数である。
【0119】
図12(c)では、例えばi=isである組み合わせパターンが選択されたとき、式29に示すように、選択された組み合わせの各負荷の和を区間負荷とする。また、隣接する配電線始端側区間(図12(c)の例では4区)の流出電流値は、式30のように当該区間(図12(c)の例では5区)の流出電流に当該区間(図12(c)の例では5区)の区間負荷を足して算出する。
【0120】
【数16】
【0121】
また、隣接する配電線始端側区間の区間負荷の算出に際しても、前記同様に当該区間用の負荷の組み合わせパターンを用いて算出する。
【0122】
このように、最初に求める配電線末端区間の流出電流がゼロ(流出電流なし)であることを利用することにより、配電線始端の区間までの区間負荷を順次算出することができる。
【0123】
図13は前記図12に示した区間負荷算出方法のアルゴリズムを説明するためのフローチャートであり、制御用計算機8が図示せぬROMあるいは外部記録媒体にに記録されたプログラムを読み込むことにより、そのプログラムに記述された手順に従って実行する処理の流れを示している。
【0124】
図13に示すように、まず、制御用計算機8は、配電線の開閉器が設置された区間の両端を計測点とし、その計測点間の電圧および位相を計測して当該区間両端の電圧降下を算出する(ステップS31)。また、制御用計算機8は、各需要家の負荷の大きさを0から契約容量までの範囲で細かく区切り、区間内で細分化した負荷の組み合わせパターンを登録したテーブルを作成する(ステップS32)。このテーブルは区間単位で作成され、制御用計算機8内の図示せぬ記憶装置に記憶される。
【0125】
次に、制御用計算機8は、前記負荷の組み合わせパターンから配電線インピーダンス、需要家の接続位置情報、区間流入電流あるいは区間流出電流(図12の例では区間流出電流)基づいて各パターンに対応した区間両端の電圧降下をそれぞれ求める(ステップS32)。
【0126】
次に、制御用計算機8は、前記計測値から算出された電圧降下と前記負荷の組み合わせパターンから算出された電圧降下とを比較することにより、最も計測値の電圧降下に近い負荷の組み合わせてパターンを選択する(ステップS34)。この選択された負荷の組み合わせてパターンが当該区間内に接続される実際の需要家の負荷変動に対応したものと言える。そこで、制御用計算機8は前記選択されたパターンの各負荷を加算することにより当該区間の区間負荷として算出する(ステップS35)。
【0127】
このように、配電線の複数箇所の電圧および位相を計測し、その計測点における区間両端の電圧降下の値に最も近くなる負荷の組み合わせパターンを用いることで、各需要家の実際の使用状況に対応した正確な区間負荷を算出することができる。
【0128】
(第7の実施形態)
前記第6の実施形態では、負荷の組み合わせパターンから電圧降下を求める場合に区間の流出電流を用いたが、区間の流入電流値を用いることでも良い。この方法を図14に示す。
【0129】
図14は本発明の第7の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、各需要家の契約容量に対応した負荷の組み合わせパターンを利用して区間負荷を求める際に区間流入電流を用いる場合の方法が示されている。図14(a)は配電線の区間例、同図(b)は区間負荷のパターン、同図(c)は区間負荷と流入電流の算出結果を示している。
【0130】
すなわち、第7の実施形態では、区間流出電流を用いて各パターン毎の電圧降下を求めることを特徴としており、特に始端区間(2区)に着目し、そこでの区間流入電流は送り出し電流と同じ値であることを利用して、まず、始端区間の区間負荷を求め、続いて、末端側へと区間負荷を順に求めていく。上述した負荷の組み合わせパターンは区間単位で予め用意されている。
【0131】
図14の例では、まず、始端区間である2区(1区はシステムの立ち上がり区間であり、そこには負荷はない)の両端を計測点とした電圧降下の値に最も近くなる負荷の組み合わせパターンを選択し、その選択された組み合わせの各負荷の和を2区の区間負荷としている。そして、この2区の流入電流値から2区の負荷を引いて3区の流入電流値とした後、以下同様にして、3区用に作成された負荷の組み合わせパターンから配電線のインピーダンスと需要家の接続位置に関する情報、前記3区の流入出電流を用いて各パターン毎の電圧降下を算出することで、3区の区間負荷を求める。
【0132】
図14(b)は、ある区間j内の地点kに3つの需要家が接続され、それぞれの始端区間からの電気的距離が配電線インピーダンスZ(B)jkである場合の例である。
【0133】
ここで、区間両端の計測点の電圧および位相により当該区間両端の電圧降下は、前記式27のように計算される。
【0134】
また、区間j内の地点kに対して需要家がN箇所接続されている場合に、各需要家の契約容量の範囲内で適当な大きさで刻んだ負荷I(B)jkの組み合わせパターンを例えばNc個作成したとき、区間jからの流出電流値I(B)joutと各負荷の組み合わせにより生じる区間両端の電圧降下は、式31のように計算することができる。
【0135】
【数17】
【0136】
この式31で求められる値が、実際の電圧および位相の計測値より算出した電圧降下(式27)に最も近くなる組み合わせパターンを選択する。なお、iは負荷の組み合わせパターンのインデックスであり、ncは負荷の組み合わせパターンの総数である。
【0137】
図14(c)では、例えばi=isである組み合わせパターンが選択されたとき、前記式29に示したように、その選択された組み合わせパターンで示される各負荷の和を区間負荷する。また、隣接する配電線末端側区間(図14(c)の例では3区)流入電流値は、式32のように当該区間(図14(c)の例では2区)の流入電流から当該区間(図14(c)の例では2区)の区間負荷を引いて算出する。
【0138】
【数18】
【0139】
また、隣接する配電線末端側区間の区間負荷の算出に際しても、前記同様に当該区間用の負荷の組み合わせパターンを用いて算出する。
【0140】
このように、最初に求める配電線始端側の流入電流として配電線の送り出し電流の値を利用することにより、配電線末端の区間までの区間負荷を順次算出することができるものであり、各区間毎に需要家の実際の使用状況に対応した負荷を正確に得ることができる。なお、負荷の組み合わせパターンを利用して区間負荷を求めるためのアルゴリズムについては、図13のフローチャートに示した通りである。
【0141】
なお、図12(第6の実施形態)に示すように区間内の負荷パターンから電圧降下を求める場合に区間流出電流値を用いる方法によって算出された区間負荷と、図14(第7の実施形態)に示すように区間内の負荷パターンから電圧降下を求める場合に区間流入電流値を用いる方法によって算出された区間負荷との平均値を取り、その平均値を当該区間における最終的な区間負荷として算出すれば、両者の方法による誤差分を相殺して、より正確な区間負荷を得ることができる。これは、制御用計算機8に前記図12に示す区間負荷算出方法と前記図14に示す区間負荷算出方法によって区間負荷をそれぞれ求める機能と、これらの区間負荷算出方法によって得られた区間負荷の平均値を求める機能を備えることで実現できる。
【0142】
(第8の実施形態)
次に、本発明に係わる配電線の区間負荷算出方法の第8の実施形態について図15を参照して説明する。
【0143】
この第8の実施形態では、図12に示す区間内の負荷パターンから電圧降下を求める場合に区間流出電流値を用いる方法(以下、第4の区間負荷算出方法と称す)と、図14に示す区間内の負荷パターンから電圧降下を求める場合に区間流入電流値を用いる方法(以下、第5の区間負荷算出方法と称す)と、前記第1の区間負荷算出方法で得られる区間負荷と前記第2の区間負荷算出方法で得られる区間負荷の平均値を取る方法(以下、第6の区間負荷算出方法と称す)とを備え、これらの方法を配線の各区間の位置に応じて選択的に適用することを特徴としている。
【0144】
すなわち、図15(a)は6区間の配電線の例を示しており、立上り区間である1区に負荷がないので対象外として(1区には需要家は接続されていない)、配電線の始端側の2区および3区は前記第4の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出し、中央の4区では前記第6の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出し、配電線の末端側の5区および6区は前記第5の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出するといった構成になっている。
【0145】
また、図15(b)に示す5区間の配電線の例を示しており、立上り区間である1区には負荷がないので対象外として、配電線の始端側の2区および3区では前記第4の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出し、配電線の末端側の4区および5区では前記第5の区間負荷算出方法を用いて区間負荷を算出するといった構成になっている。
【0146】
この場合、前記各方法をどこの区間に用いるのかは、例えば制御用計算機8が配電線に接続される各区間の需要家の負荷分布の特徴情報(図3)に基づいて判断するものとする。このように、複数の異なる区間負荷の算出方法を各区間に選択的に適用することにより、各区間の負荷変動分を考慮した正確な区間負荷を算出することができる。
【0147】
なお、前記第6の実施形態あるいは前記第7の実施形態では、区間内の負荷の組み合わせパターンから当該区間両端の電圧降下の値に最も近いパターンを1つだけ選択するものとして説明したが、例えば当該区間両端の電圧降下の値に近い順に所定数のパターンを選出して、これらのパターンを用いて区間負荷を算出するようにしても良い。この場合の区間負荷の算出方法としては、以下のような方法を用いる。
【0148】
すなわち、計測値より算出した区間両端の電圧降下に近い負荷の組み合わせパターンが複数(例えばm個)存在する場合において、これらの組み合わせパターン毎に負荷の総和を算出し、下記の式33〜35に示すように、それぞれの負荷総和の最大(式33)と最小(式34)を求めた後、その平均値を当該区間における最終的な区間負荷とする。ここで、Nは区間j内の需要家の接続地点数である。
【0149】
【数19】
【0150】
また、別の方法として、計測値より算出した区間両端の電圧降下に近い負荷の組み合わせパターンが複数(例えばm個)存在する場合において、各組み合わせパターン毎に負荷の総和を算出し、下記の式36に示すように、それぞれの負荷総和の相加平均値を求めて、これを当該区間における最終的な区間負荷とすることでも良い。ここで、Nは区間j内の需要家の接続地点数である。
【0151】
【数20】
【0152】
このように、計測値より算出した区間両端の電圧降下に近い方から複数のパターンを選択し、これらのパターンから最終的な区間負荷を求めることで、より正確な区間負荷を得ることができる。
【0153】
(第9の実施形態)
次に、本発明に係わる配電線の区間負荷算出方法の第9の実施形態について図16を参照して説明する。
【0154】
この第9の実施形態では、上述した区間内の負荷の組み合わせパターンの中から区間負荷として用いるパターンを選択する場合に、配電線の送り出し電流値を各需要家の契約容量に基づいて按分する方法を利用するものである。この送り出し電流は変電所で計測される値を用いても良いし、変電所で電圧の大きさおよび位相が計測可能であれば、1区の線路インピーダンスより前記式5に従って計算される電流値を用いても良い。
【0155】
図16に示すように、5区間の配電線の例では、区間jの各負荷の送り出し電流の按分値は、例えば式37に示すように、送り出し電流値に各負荷の契約容量を掛けて配電線全体の需要家の総設備容量で割ることによって求めることができる。
【0156】
【数21】
【0157】
ここで、計測値より算出した区間両端の電圧降下に近い負荷の組み合わせパターンが複数(例えばm個)存在する場合において、区間jの電圧降下の計測値を生じる負荷の組み合わせベクトルは、式38のようになる。
【0158】
【数22】
【0159】
また、区間jの電圧降下の計測値を生じる負荷の組み合わせベクトルと最も近い前記区間jの按分値ベクトルは、式39の計算式に従ってm個の解のうちで最も小さいものを選択すればよい。この按分値ベクトルと最も近くなる負荷の組み合わせベクトルの各負荷総和を区間負荷とする。
【0160】
【数23】
【0161】
このように、各パターンの中で、配電線の送り出し電流値を各需要家の契約容量に基づいて按分した値に近いものを選することで、そのパターンの各負荷を合計して区間負荷とする方法を用いることにより、より正確な区間負荷を得ることができる。
【0162】
なお、上述した各実施形態において記載した手法は、コンピュータである制御用計算機8に実行させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで各種装置に適用したり、そのプログラム自体をネットワーク等の伝送媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。制御用計算機8を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムあるいは伝送媒体を介して提供されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行する。
【0163】
さらに、本発明は、前記各実施形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、前記各実施形態は可能な限り組み合わせて実施することが可能であり、その場合には組み合わせによる効果が得られる。さらに、前記各実施形態には種々の上位、下位段階の発明が含まれており、開示された複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得るものである。例えば問題点を解決するための手段に記載される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されうることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0164】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、各区間の需要家の負荷変動分に応じて配分係数を補正し、その補正後の配分係数を用いて差引き電流を各区間に配分することにより各区間毎の区間負荷を算出するようにしたため、負荷変動分を考慮した正確な区間負荷を得ることができる。
【0165】
また、予め各区間毎に各需要家の契約容量の範囲内で負荷変動分を表した負荷の組み合わせパターンを作成しておき、これらのパターンの中で配電線の計測点の電圧および位相の計測値から得られる区間両端の電圧降下に最も近いパターンを選んで区間負荷を算出するようにしたため、負荷変動に対応した正確な区間負荷を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる配電線の負荷監視制御システムの一実施形態としての構成例を示す図。
【図2】計測点前後の差引き電流の算出処理を示すフローチャート。
【図3】配電線の各区間毎の需要家の分布状態を説明するための図。
【図4】配電線の区間内のある区間に接続された需要家の契約容量を説明するための図。
【図5】本発明の第1の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の始端区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合を示す図。
【図6】前記図5の区間負荷算出方法を実現するための処理手順を示すフローチャート。
【図7】補正後の配分係数を求めるための処理手順を示すフローチャート。
【図8】本発明の第2の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の末端区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合を示す図。
【図9】本発明の第3の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、任意の区間の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合を示す図。
【図10】本発明の第4の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、任意の測定点の差引き電流を基準にして負荷変動分の補正量を求める場合を示す図。
【図11】本発明の第5の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の各区間に応じて複数の区間負荷算出方法を選択的に用いる場合を示す図。
【図12】本発明の第6の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、区間内の各需要家の契約容量に対応した負荷の組み合わせパターンを利用して区間負荷を求める場合を示す図。
【図13】前記図12の区間負荷算出方法を実現するための処理手順を示すフローチャート。
【図14】本発明の第7の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、各需要家の契約容量に対応した負荷の組み合わせパターンを利用して区間負荷を求める際に区間流入電流を用いる場合を示す図。
【図15】本発明の第8の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の各区間に応じて複数の区間負荷算出方法を選択的に用いる場合を示す図。
【図16】本発明の第9の実施形態における区間負荷算出方法を説明するための図であり、配電線の送り出し電流値を各需要家の契約容量に基づいて按分する方法を利用する場合を示す図。
【図17】従来の配電線の連係関係を示す図。
【図18】従来の配電線の負荷監視制御システムの構成を示す図。
【図19】一方の配電線のある区間に地絡事故が発生したときの開閉器の動作状態を示す図。
【図20】一方の配電線のある区間に地絡事故時、他の配電線から電力を融通する例を示す図。
【図21】配電用変電所の配電線への送出し電流値を検出するための構成を示す図。
【図22】開閉器設置点の電圧および位相と各区間のインピーダンスとを用いて、各区間の配電線通過電流値を算出する例を説明するための図。
【符号の説明】
1…変圧器
2…配電線
3…配電線遮断器
4a,4b…開閉器
6…制御用変圧器
7…開閉器子局
8…制御用計算機
21…変電所
22…電流センサ
23…電圧センサ
24…電流センサ
25…変電所子局
Claims (18)
- 配電用変電所に接続される配電線の各区間毎の負荷を算出するための配電線の区間負荷算出方法であって、
前記配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値と前記配電線のインピーダンスから計測点前後の各区間の差引き電流値を算出し、
各区間の需要家の契約容量と需要家の接続位置の情報に基づいて前記差引き電流値を各区間に配分するための配分係数を算出し、
その配分係数を各区間の需要家の負荷変動分に応じて補正することにより、その補正後の配分係数を用いて前記差引き電流値を各区間に配分して各区間毎の負荷を算出する、
ことを特徴とする配電線の区間負荷算出方法。 - 前記配分係数を補正する場合において、前記配電線の送り出し側に近い差引き電流値を基準にして始端区間から端末区間へ順に区間単位で前記配分係数の補正量を算出することを特徴とする請求項1記載の配電線の区間負荷算出方法。
- 前記配分係数を補正する場合において、前記配電線の末端側に近い差引き電流値を基準にして末端区間から始端区間へ順に区間単位で前記配分係数の補正量を算出することを特徴とする請求項1記載の配電線の区間負荷算出方法。
- 前記配分係数を補正する場合において、前記配電線の任意の測定点における差引き電流値を基準にしてその測定点から始端区間および末端区間へ順に区間単位で前記配分係数の補正量を算出することを特徴とする請求項1記載の配電線の区間負荷算出方法。
- 配電用変電所に接続される配電線の各区間毎の負荷を算出するための配電線の区間負荷算出方法であって、
前記配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値と前記配電線のインピーダンスから計測点前後の各区間の差引き電流値を算出し、
各区間の需要家の契約容量と需要家の接続位置の情報に基づいて前記差引き電流値を各区間に配分するための配分係数を算出し、
前記配電線の始端側に近い差引き電流を基準にして前記配分係数を補正し、その補正後の配分係数を用いて前記差引き電流値を各区間に配分して第1の区間負荷を算出すると共に、前記配電線の末端側に近い差引き電流を基準にして前記配分係数を補正し、その補正後の配分係数を用いて前記差引き電流値を各区間に配分して第2の区間負荷を算出し、
前記第1の区間負荷と前記第2の区間負荷との平均値を算出して、その平均値を当該区間における最終的な区間負荷とする、
ことを特徴とする配電線の区間負荷算出方法。 - 前記配分係数を前記配電線の送り出し側に近い差引き電流値を基準にして補正して区間負荷を算出する第1の方法と、前記配分係数を前記配電線の末端側に近い差引き電流値を基準にして補正して区間負荷を算出する第2の方法と、前記第1の方法と前記第2の方法との平均値を区間負荷として算出する第3の方法とを備え、
前記配電線の負荷分布情報に基づいて各区間毎に前記第1乃至第3の方法を選択的に適用して区間負荷を算出する請求項1記載の配電線の区間負荷算出方法。 - 配電用変電所に接続される配電線の各区間毎の負荷を算出するための配電線の区間負荷算出方法であって、
前記配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値から区間両端の電圧降下を算出し、
各区間に接続された各需要家の契約容量に基づいて負荷変動分を表した負荷の組み合わせパターンを作成し、
前記負荷の組み合わせパターン毎に区間両端の電圧降下を算出し、
これらのパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下とを比較することで、前記計測値から得られた電圧降下に最も近い値を有するパターンを選択し、
この選択されたパターンで示される各負荷の和を当該区間における区間負荷として算出する、
ことを特徴とする配電線の区間負荷算出方法。 - 前記負荷の組み合わせパターンから区間両端の電圧降下を算出する場合において、前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流出電流を用いて、前記配電線の末端区間から始端区間へ順に区間単位でそれぞれの区間の負荷パターンに対応した区間両端の電圧降下を算出することを特徴とする請求項7記載の配電線の負荷算出方法。
- 前記負荷の組み合わせパターンから区間両端の電圧降下を算出する場合において、前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流入電流を用いて、前記配電線の始端区間から末端区間へ順に区間単位でそれぞれの区間の負荷パターンに対応した区間両端の電圧降下を算出することを特徴とする請求項7記載の配電線の負荷算出方法。
- 配電用変電所に接続される配電線の各区間毎の負荷を算出するための配電線の区間負荷算出方法であって、
前記配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値から区間両端の電圧降下を算出し、
各区間に接続された各需要家の契約容量に基づいて負荷変動分を表した負荷の組み合わせのパターンを作成し、
前記負荷の組み合わせパターンに対応した電圧降下を前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流出電流を用いて算出し、これらのパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下とを比較して第1の区間負荷を算出すると共に、前記負荷の組み合わせパターンに対応した電圧降下を前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流入電流を用いて算出し、これらのパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下とを比較して第2の区間負荷を算出し、
前記第1の区間負荷と前記第2の区間負荷との平均値を算出して、その平均値を当該区間における最終的な区間負荷とする、
ことを特徴とする配電線の区間負荷算出方法。 - 前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流出電流を用いて前記負荷の組み合わせパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下との比較により区間負荷を算出する第1の方法と、前記配電線のインピーダンスと需要家の接続位置の情報と共に前記配電線の各区間の流入電流を用いて前記負荷の組み合わせパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下との比較により区間負荷を算出する第2の方法と、前記第1の方法と前記第2の方法との平均値を区間負荷として算出する第3の方法とを備え、
前記配電線の負荷分布情報に基づいて各区間毎に前記第1乃至第3の方法を選択的に適用して区間負荷を算出する請求項7記載の配電線の区間負荷算出方法。 - 前記計測値から得られた電圧降下に近い値を有するパターンが複数選択された場合に、これらのパターンで示される各負荷の最大値と最小値を求め、その最大値と最小値の平均値を当該区間における区間負荷として算出することを特徴とする請求項7記載の配電線の区間負荷算出方法。
- 前記計測値から得られた電圧降下に近い値を有するパターンが複数選択された場合に、これらのパターンで示される各負荷の総和を求め、その負荷総和の相加平均を当該区間における区間負荷として算出することを特徴とする請求項7記載の配電線の区間負荷算出方法。
- 前記計測値から得られた電圧降下に近い値を有するパターンが複数選択された場合に、これらのパターンで示される各負荷の中で前記配電線の送り出し電流を需要家の契約容量で按分した値に最も近いものを当該区間における区間負荷として算出することを特徴とする請求項7記載の配電線の区間負荷算出方法。
- 配電用変電所に接続される配電線に開閉器を設けて複数の区間に分割し、事故時に他の配電線に電力を融通する配電線の監視制御システムであって、
前記配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値と前記配電線のインピーダンスから計測点前後の各区間の差引き電流値を算出する差引き電流算出手段と、
各区間の需要家の契約容量と需要家の接続位置の情報に基づいて前記差引き電流算出手段によって算出された差引き電流値を各区間に配分するための配分係数を算出する配分係数算出手段と、
この配分係数算出手段によって算出された配分係数を各区間の需要家の負荷変動分に応じて補正し、その補正後の配分係数を用いて前記差引き電流値を各区間に配分して各区間毎の負荷を算出する区間負荷算出手段と、
を具備したことを特徴とする配電線の負荷監視制御システム。 - 配電用変電所に接続される配電線に開閉器を設けて複数の区間に分割し、事故時に他の配電線に電力を融通する配電線の監視制御システムであって、
前記配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値から区間両端の電圧降下を算出する電圧降下算出手段と、
各区間に接続された各需要家の契約容量に基づいて負荷変動分を表した負荷の組み合わせパターンを作成するパターン作成手段と、
このパターン作成手段によって作成された前記負荷の組み合わせパターン毎に区間両端の電圧降下を算出する電圧変換手段と、
この電圧変換手段によって得られた前記負荷の組み合わせパターンに対応した電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下とを比較することで、前記計測値から得られた電圧降下に最も近い値を有するパターンを選択するパターン選択手段と、
このパターン選択手段によって選択されたパターンで示される各負荷の和を当該区間における区間負荷として算出する区間負荷算出手段と、
を具備したことを特徴とする配電線の負荷監視制御システム。 - 配電用変電所に接続される配電線の各区間毎の負荷を算出する機能を備えたコンピュータによって読み込まれるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値と前記配電線のインピーダンスから計測点前後の各区間の差引き電流値を算出する機能と、
各区間の需要家の契約容量と需要家の接続位置の情報に基づいて前記差引き電流値を各区間に配分するための配分係数を算出する機能と、
その配分係数を各区間の需要家の負荷変動分に応じて補正し、その補正後の配分係数を用いて前記差引き電流値を各区間に配分して各区間毎の負荷を算出する機能と、
を実現させるためのプログラム。 - 配電用変電所に接続される配電線の各区間毎の負荷を算出する機能を備えたコンピュータによって読み込まれるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記配電線の複数箇所の計測点の電圧および位相の計測値から区間両端の電圧降下を算出する機能と、
各区間に接続された各需要家の契約容量に基づいて負荷変動分を表した負荷の組み合わせパターンを作成する機能と、
前記負荷の組み合わせパターン毎に区間両端の電圧降下を算出する機能と、
前記負荷の組み合わせパターンから得られた電圧降下と前記計測値から得られた電圧降下とを比較することで、前記計測値から得られた電圧降下に最も近い値を有するパターンを選択する機能と、
この選択されたパターンで示される各負荷の和を当該区間における区間負荷として算出する機能と、
を実現させるためのプログラム。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002223391A JP2004064969A (ja) | 2002-07-31 | 2002-07-31 | 配電線の区間負荷算出方法、配電線の負荷監視制御システム及びプログラム |
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JP2002223391A JP2004064969A (ja) | 2002-07-31 | 2002-07-31 | 配電線の区間負荷算出方法、配電線の負荷監視制御システム及びプログラム |
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JP (1) | JP2004064969A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007082346A (ja) * | 2005-09-15 | 2007-03-29 | Central Res Inst Of Electric Power Ind | 配電系統の負荷分布推定方法、装置及びプログラム、並びに電圧推定方法、装置及びプログラム |
JP2008067437A (ja) * | 2006-09-05 | 2008-03-21 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 負荷電流計算方法及び負荷電流計算装置 |
JP2010263754A (ja) * | 2009-05-11 | 2010-11-18 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 配電系統状態推定方法及び配電系統状態推定装置 |
US9639643B2 (en) | 2014-06-06 | 2017-05-02 | General Electric Company | Method and system for generating electric load models |
JP7480523B2 (ja) | 2020-02-26 | 2024-05-10 | 富士電機株式会社 | 状態推定装置、状態推定プログラム、状態推定方法 |
-
2002
- 2002-07-31 JP JP2002223391A patent/JP2004064969A/ja active Pending
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