JP2006246683A - 配電線自動制御方法およびプログラム、ならびにそれを搭載した配電線自動制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 高精度な配電線自動制御を行うことができる配電線自動制御方法およびプログラム、ならびにそれを搭載した配電線自動制御システムを提供する。
【解決手段】 配電系統に配置された複数の計測器付開閉器と、計測された計測情報を受信し、計測器付開閉器間で消費される有効電力値および無効電力値に基づいて、大区間負荷値を算出する大区間負荷算出手段103と、算出された大区間負荷値に基づいて、計測器付開閉器の設置点、配電系統の配電線の分岐点、分散型電源の連系点をノードとした簡易配電系統の電圧値および、潮流分布を算出する簡易配電系統電圧・潮流分布計算手段104と、算出結果に基づいて、配電系統の開閉器をノードとした詳細配電系統の区間負荷値を算出する区間負荷算出手段105と、算出された区間負荷値に基づいて、詳細配電系統の電圧値および、潮流分布を算出する詳細配電系統電圧・潮流分布計算手段106とを具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】 配電系統に配置された複数の計測器付開閉器と、計測された計測情報を受信し、計測器付開閉器間で消費される有効電力値および無効電力値に基づいて、大区間負荷値を算出する大区間負荷算出手段103と、算出された大区間負荷値に基づいて、計測器付開閉器の設置点、配電系統の配電線の分岐点、分散型電源の連系点をノードとした簡易配電系統の電圧値および、潮流分布を算出する簡易配電系統電圧・潮流分布計算手段104と、算出結果に基づいて、配電系統の開閉器をノードとした詳細配電系統の区間負荷値を算出する区間負荷算出手段105と、算出された区間負荷値に基づいて、詳細配電系統の電圧値および、潮流分布を算出する詳細配電系統電圧・潮流分布計算手段106とを具備する。
【選択図】 図1
Description
配電系統の状態を正確に把握し、制御する技術である配電線自動制御方法およびプログラム、ならびにそれを搭載した配電線自動制御システムに関する。
一般に、わが国の配電系統は基幹系統から配電用変電所を経て放射状に構成されており、基本的に配電線には負荷しか存在しない。配電線自動制御システムは、配電線の送出電圧と電流から配電線の電圧降下を計算し、送出電圧を調整することで需要家端の電圧を規定値以内に維持する方法を使用している。しかし、近年では石油代替エネルギーの確保と地球環境問題への対策として自然エネルギー利用の分散型電源、例えば風力発電や太陽光発電等、が注目され、環境保全意識の高まりとともにわが国でも、海外各国同様に導入量が急増している。一方で、電力規制緩和が進み、需要家のエネルギーコスト低減意識の高まりと相まって、自家用発電設備等の導入が進んでおり、配電系統への逆潮流を許容した売電用の発電設備が連系され始めている。これら分散型電源の連系により、従来の電圧管理では対応できない懸念があり、配電系統の状態を正確に把握することの重要性が高まっている。
配電系統の状態を正確に把握するための手段として、各電力会社の配電系統の一部には、計測器付開閉器が設置されつつある。これらの計測器付開閉器により計測された情報(電圧、電流、力率等)を利用し、配電線の電圧・潮流分布を現状よりも正確に把握するため、配電系統の状態推定計算手法や潮流計算手法の検討が行われている(例えば、特許文献1〜4参照、非特許文献1〜3参照)。
これらの多くは、上述した分散型電源の導入が増加した場合に配電線の状態把握と適切な運用・制御を行うことを目的にしており、従来のような電圧降下計算ではなく、ニュートンラフソン法や配電系統の放射状特性を考慮した潮流計算手法(DistFlow法(非特許文献1参照)、BFS法(非特許文献2参照)など、複素数の電圧ベクトルを用いた潮流計算が使用されている。また、計測情報を利用して潮流計算を行い、配電系統の電圧分布状態を推定する手法がある。(非特許文献3参照)
特開2000−245064
特開2001−78358
特開2002−51464
特開2004−88963
H.Mori、and Y.Ogita:"State Estimation for Radial Distribution Systems"、Proceeding of the9th Annual Conference of Power & Energy Society.、IEE of JaPAn、No.178、(1998)森・荻田:「放射状配電系統のための状態推定」、平成10年電気学会B部門大会、No.178、(1998)
S.Naka、S.Toune、T.Genji、T.Yura、Y.Fukuyama、and S.Takayama:"Distribution State Estimation Considering Practical Equipmentin Distribution Systems"、IEEJ Transaction on Power and Energy、Vol.120-B、No.12pP1556-1573(2000)中・藤根・元治・由良・福山・高山:「実系統機器の特性を考慮した配電系統状態推定方式の検討」、電気学会論文誌B、Vol.120-B、No.12pP1556(2000)
M.Watanabe、A.Komura、andN.Uchiyama、:"Development of State Estimation Method for Distribution System using Limited Observed Value."、The paper of Joint Technical Meeting on Power Engineering and Power Systems Engineering、IEE Japan PE-04-91、PSE-04-91(2004)渡辺・小村・内山:「限られた観測情報に基づく配電系統状態推定手法の検討」、平成16年電気学会電力技術・電力系統技術研究会資料、PE-04-91、PSE-04-91(2004)
上述した従来の電圧管理の技術においては、配電用変電所の遮断器から末端方向に向けての一方向(放射状)の電圧降下計算をベースに行われている。近い将来に、多数の分散型電源が配電系統に連系されることが考えられ、分散型電源が考慮できる配電系統の電圧・潮流分布状態計算が求められている。従来の電圧管理では、配電系統への逆潮流を許容した売電用の発電設備が連系された場合を考慮した電圧降下計算が困難である。
また、近年の配電系統における分散型電源の導入、自由化の進展等に対応し次世代配電線自動制御システムにおける配電系統のオンライン監視・制御の高度化に伴い、配電系統の電圧・潮流分布状態の計算手法の重要性が増してきている。それに伴い、実系統においては、光ファイバ等を利用した情報網が整備されつつあり、推定に必要な各種系統の計測データを入手可能な状況が整いつつある。しかしながら、現実的には配電系統は冗長性が低い上に、計測設備増強も容易ではないため、正確な電圧・潮流分布を推定することは難しい。
本発明の目的は、高精度な配電線自動制御を行うことができる配電線自動制御方法およびプログラム、ならびにそれを搭載した配電線自動制御システムを提供することである。
上記課題を解決するために本発明は、配電系統に配置された複数の電気量計測手段と、これらの電気量計測手段で計測された計測情報を受信し、前記電気量計測手段間で消費される有効電力値および無効電力値に基づいて、大区間負荷値を算出する大区間負荷算出手段と、前記大区間負荷算出手段によって算出された大区間負荷値に基づいて、前記電気量計測手段の設置点、前記配電系統の配電線の分岐点、分散型電源の連系点をノードとした簡易配電系統の電圧値および、潮流分布を算出する電圧・潮流分布算出手段と、前記電圧・潮流分布算出手段での算出結果に基づいて、前記配電系統の開閉器をノードとした詳細配電系統の区間負荷値を算出する区間負荷算出手段と、前記区間負荷算出手段によって算出された区間負荷値に基づいて、前記詳細配電系統の電圧値および、潮流分布を算出する詳細電圧・潮流分布算出手段とを具備することを特徴とする。
このため、高精度な配電線自動制御を行うことができる。
本発明を用いることにより、高精度な配電線自動制御を行うことができる配電線自動制御方法およびプログラム、ならびにそれを搭載した配電線自動制御システムが提供となる。
以下図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本発明の配電線自動制御システムの構成について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1〜図12を用いて第1実施形態を説明する。
図1〜図12を用いて第1実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の全体構成を示すブロック図である。
配電線自動制御システムは、以下のような構成となっている。配電変電所の配電用変圧器3は、上位系統に相当する電源1と連係する基幹系統母線2の電圧を高圧配電母線4の電圧に変圧する機器である。高圧配電母線4は、複数の高圧配電系統5、6が遮断器7、8を介して接続されている。高圧配電系統5、6は、複数の開閉器9〜17、計測器付開閉器18、19と低圧配電線へ電気を送るための電柱32〜41および、それらを結ぶ径間配電線42から構成される。
配電系統の機器の情報および、計測器付開閉器18、19で計測した計測情報は、通信用子局21〜31や通信線20および、通信用親局43を介して配電線自動制御システム44に取り込まれる。配電線自動制御システム44は、配電系統の計測器付開閉器18、19で計測された電気情報を受信するデータ受信手段101、データ記憶手段102、大区間負荷算出手段103、簡易配電系統電圧・潮流分布計算手段104、区間負荷算出手段105、詳細配電系統電圧・潮流分布計算手段106、計算結果表示手段107および、配電線制御手段108から構成される。
図2は、大区間負荷算出手段103の構成を示すブロック図である。
大区間負荷算出手段103は、計測情報(電気情報)300、詳細配電系統モデルデータ301、簡易配電系統潮流計算用データ302、簡易配電系統モデル作成部103a、および簡易配電系統ノード負荷展開部103bから構成される。
図3は、簡易配電系統電圧・潮流分布計算手段104の構成を示すブロック図である。
簡易配電系統電圧・潮流分布計算手段104は、簡易配電系統潮流計算用データ302、簡易配電系統潮流計算結果データ303、簡易配電系統P−V指定潮流計算部104a、および簡易配電系統修正パラメータ補正部104bから構成される。
図4は、区間負荷算出手段105の構成を示すブロック図である。
区間負荷算出手段105は、簡易配電系統潮流計算結果データ303、詳細配電系統潮流計算用データ304、および詳細配電系統ノード負荷展開部105aから構成される。
図5は、詳細配電系統電圧・潮流分布計算手段106の構成を示すブロック図である。
詳細配電系統電圧・潮流分布計算手段106は、詳細配電系統潮流計算用データ304、詳細配電系統潮流計算結果データ305、電圧・潮流分布結果データ306、詳細配電系統P−Q指定潮流計算部106a、およびP−Q指定潮流計算結果と計測値との比較部106bから構成される。
配電系統の基本的な構成は、電柱と電柱の間に配電線があり、電柱からは柱上変圧器を介して低圧需要家へ供給している。
このように構成された本発明の第1実施形態に係る配電線自動制御システムを適用した配電線自動制御方法に係る配電系統の電圧・潮流分布計算方法について説明する。
図6は、開閉器をノードとし、開閉器−開閉器間をブランチとする通常区間のモデルを示している。データ記憶手段102は、配電線自動制御システムの設備データから配電系統の情報(径間情報、開閉器情報など)を読込み、配電線内の各開閉器、分岐点および、末端をノードとし、開閉器−開閉器間、及び分岐点−開閉器間の径間配電線をブランチとする詳細配電系統モデルを生成する。
また、その他の配電系統モデルの一実施形態を図7〜図9に示す。
図7は、分岐のある区間のモデルで、分岐点bのように分岐先に開閉器がある場合を示し、分岐点の電柱をノード、開閉器2までの径間合計をブランチとする。分岐点a、cのように分岐先に開閉器がない区間は、分岐先の部分を区間負荷に含めることとし、ノード・ブランチ構成からは省略する。なお、ノード・ブランチ構成から省略した分岐先も、電圧・潮流分布計算後に必要に応じて末端電柱の電圧を計算することが可能である。
図8は、配電線末端区間の場合のモデルを示し、その区間の電源側開閉器からそれぞれの分岐線路の末端までの径間インピーダンス合計を求め、最もインピーダンスが大きいルートをブランチ、そのルートの末端をノードとする。
図8において開閉器1から末端3までのルートの径間インピーダンス合計が最も大きい場合は、末端3をノードとし、開閉器1から末端3までのインピーダンスをブランチのインピーダンスとする。
図9は、分散型電源が連系されている区間のモデルを示し、分散型電源が連系されている電柱をノード、配電線幹線から分散型電源の連系点gまでをブランチとする。
このように構成された本発明の第1実施形態に係る配電線自動制御システムを適用した配電線自動制御方法およびプログラムについて説明する。
図12は、計算手順の概略を示したフローチャートである。
大区間負荷算出手段103の簡易配電系統モデル作成部103aは、ステップS1で、詳細配電系統モデルデータを読込み、配電線に配置された計測器付開閉器で囲まれた区間の集合を「大区間」、大区間を構成する区間を「小区間」と定義し、計測器付開閉器が配置された電柱をノード、計測器付開閉器間を結ぶ線路をブランチとした簡易配電系統モデルを作成する。
図10は、詳細配電系統から簡易配電系統を作成した例を示している。詳細配電系統は、ステップS3で、計測器付開閉器1〜計測器付開閉器4をそれぞれノード1〜ノード4と定義する。計測器付開閉器1と計測器付開閉器2の間の区間を大区間A、計測器付開閉器2と計測器付開閉器3、計測器付開閉器4の間の区間を大区間B、計測器付開閉器3から末端までを大区間C、計測器付開閉器4から末端までを大区間Dとするようなブランチ1〜ブランチ4で構成される簡易配電系統となる。簡易配電系統ノード負荷展開部103bは、ステップS5で、作成された簡易配電系統において、計測器付開閉器で囲まれる区間の集合を大区間として捉え、大区間で消費される電力をデータ受信手段101で取得した計測情報から算出する。大区間内で消費される電力は、大区間への流入側の電力と流出側の電力の差に等しく、これには大区間内での配電損失も含まれる。大区間内で消費される電力は、まず、計測器付開閉器の計測情報から算出した通過有効電力から、大区間有効電力負荷を求める。図10において、大区間A内で消費される有効電力PAおよび、無効電力QAは、計測器付開閉器2の通過電力P2、Q2と計測器付開閉器1の通過電力P1、Q1を用いて次式により算出できる。
<式1>
PA=P2−P1
<式2>
QA=Q2−Q1
有効電力PA、無効電力QAには大区間Aで消費される負荷電力、配電損失および、調相設備により供給される無効電力分が含まれている。同様にして各大区間の有効電力負荷を求める。
PA=P2−P1
<式2>
QA=Q2−Q1
有効電力PA、無効電力QAには大区間Aで消費される負荷電力、配電損失および、調相設備により供給される無効電力分が含まれている。同様にして各大区間の有効電力負荷を求める。
次に、ステップS7で、潮流計算を行うために各ノードに負荷を分配する。このとき、大区間を構成する複数の小区間の区間負荷により、ノードへの分配量を決める。負荷の分配方法は、例えば、区間負荷を一様分布と仮定し、両端ノードからのインピーダンスが等しくなる箇所までの距離の比率で大区間負荷をそれぞれ両端ノードの集中負荷に分配する。計測情報から計算した大区間負荷の有効電力を各ノードの負荷に展開すると、各ノードの有効電力負荷量が得られる。
簡易配電系統電圧・潮流分布計算手段104の簡易配電系統P−V指定潮流計算部104aは、各ノードの電圧を真値と仮定し、各ノードをP−V指定とした潮流計算を行う。その結果、各ノードの注入無効電力を潮流計算結果として得ることができる。ノードの注入無効電力は、簡易配電系統において、ノード電圧の計算値を計測値と等しくするために必要な無効電力であり、大区間内の消費あるいは供給無効電力分と区間の無効電力損失に相当する。
次に、ステップS9で、簡易配電系統P−V指定潮流計算部104aの潮流計算で得たノードの注入無効電力から各大区間の区間無効電力負荷を求める。
図11は、大区間Aの計測器付開閉器1および、計測器付開閉器2を中心とした有効電力と無効電力の流入・流出を示している。
計測情報から得た有効電力P1、P2、及び潮流計算結果から得たP1S,P12,P21,P23からノードの有効電力を大区間Aの両端ノードに分配できる。同様に、無効電力についても分配できる。ここで、大区間Aの区間負荷PA、QAは、計測情報から<式1>、<式2>で求められているが、潮流計算の結果からも逆算して次式より算出できる。
<式3>
P’ A = Pn1A + Pn2A + PlossA
<式4>
Q’ A = Q n1A + Q n2A + Q lossA
本来、<式3>で求めた有効電力PA'と、<式1>から算出した有効電力Pは同値となるはずであるが、計測値の有効電力Pを大区間負荷算出手段103によって、そのまま大区間ノード集中負荷に分配するため、配電損失分がノード集中負荷に含まれ、<式1>から算出した有効電力Pと<式3>から算出した有効電力PA'に差が生じる。
P’ A = Pn1A + Pn2A + PlossA
<式4>
Q’ A = Q n1A + Q n2A + Q lossA
本来、<式3>で求めた有効電力PA'と、<式1>から算出した有効電力Pは同値となるはずであるが、計測値の有効電力Pを大区間負荷算出手段103によって、そのまま大区間ノード集中負荷に分配するため、配電損失分がノード集中負荷に含まれ、<式1>から算出した有効電力Pと<式3>から算出した有効電力PA'に差が生じる。
そこで、簡易配電系統修正パラメータ補正部104bは、ステップS11で、<式1>から算出した有効電力Pと<式3>から算出した有効電力PA'の差分ΔPを大区間の両端ノードの有効電力指定量から一定割合で差し引き、再度、簡易配電系統P−V指定潮流計算部104aによって潮流計算を行う。<式1>から算出した有効電力Pと<式3>から算出した有効電力PA'の差が許容範囲内に収束した結果が、計測情報と合致した大区間で表される配電系統の状態を表すものとなる(ステップS13−ステップS17)。このとき、<式2>から算出した無効電力Qと<式4>から算出した無効電力Q’Aもほぼ等しくなり、収束した結果から、配電損失を除いた大区間負荷の有効電力P、無効電力Qを推定できる。なお、ステップS15でデータ異常の可能性のある場合は、ステップS33でデータ異常処理を行う。
次に、ステップS11で、許容範囲内に収束しない場合は、ステップS19で、詳細配電系統モデル作成を行い、ステップS21で、詳細配電系統区間負荷按分を行う。そして、ステップS23で、区間負荷算出手段105は、簡易配電系統電圧・潮流分布計算手段104で推定した大区間負荷の有効電力Pと無効電力Qを、詳細配電系統ノード負荷展開部105aによって各小区間に分配して小区間ノード集中負荷に展開する。大区間負荷の展開は、有効電力Pについては、大区間を構成する小区間の区間負荷量で按分して各小区間に分配し、各小区間負荷は一様分布と仮定して小区間ノード集中負荷に展開する。無効電力Qについては、大区間負荷の有効電力Pと無効電力Qから求めた力率が各小区間で同じであると仮定して分配し、小区間負荷は一様分布と仮定して小区間ノード集中負荷に展開する。
詳細配電系統電圧・潮流分布計算手段106は、ステップS25で、詳細配電系統P−Q指定潮流計算部106aにより、スラックノードを除く各ノードをP−Q指定として潮流計算を行う。P−Q指定潮流計算結果と計測値との比較部106bより、ステップS27で、計算結果と計測値を比較した結果、あらかじめ簡易配電系統潮流計算用データに登録された許容範囲値の誤差である場合は、ステップS31で、制約条件をすべて満足するかを判別後、計測情報と合致した詳細配電系統の電圧・潮流分布状態を表すものとなる。一方、ステップS29で、許容範囲外の誤差であると判別された場合は、ステップS33で、計測器付開閉器で取得した情報に異常があるものと判断される。
以上より、本実施形態によれば、大区間負荷算出手段103、簡易配電系統電圧・潮流分布計算手段104により、計測器付開閉器に相当するノードをP−V指定として潮流計算を行うことで、計測情報に合致したノードに注入される無効電力を推定でき、無効電力を考慮した、より精度の高い大区間ノードの電圧管理が可能となり、区間負荷算出手段105、詳細配電系統電圧・潮流分布計算手段106により、開閉器に相当するノードに簡易配電系統電圧・潮流分布計算手段104で求めた有効電力、無効電力を区間負荷に展開し、ノードをP−Q指定として潮流計算を行うことで、配電線の電圧・潮流分布を推定することができる。このため、詳細配電系統における小区間ノードの電圧管理が可能となる。また、分散電源等の連系時に逆潮流が発生する可能性があるが、本形態にて、潮流方向の確認も可能になるため、設備の有効利用、及び安定した系統管理が可能となる配電系統の電圧・潮流分布計算方法および、それを搭載した配電線自動制御システムを提供することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について、図13〜17を参照して説明する。なお第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
次に、本発明に係る第2実施形態について、図13〜17を参照して説明する。なお第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図13は、第2実施形態の全体構成を示すブロック図である。
配電系統45は、複数の計測器付開閉器が配置されている系統を示している。配電線自動制御システム47は、電圧・潮流分布計算手法46、配電線制御手段108、実績負荷計算手段201、融通処理手段202、融通対象区間負荷計算手段203および、設備許容チェック手段204から構成される。
図14は、実績負荷計算手段201の構成を示すブロック図である。
実績負荷計算手段201は、電圧・潮流分布結果306、実績区間負荷データ307および、実績区間負荷計算部201aから構成される。
図15は、融通対象区間負荷計算手段203の構成を示すブロック図である。
融通対象区間負荷計算手段203は、電圧・潮流分布結果306、実績区間負荷データ307、融通対象区間負荷データ308および、融通対象区間負荷計算部203aから構成される。
図16は、設備許容チェック手段204の構成を示すブロック図である。
設備許容チェック手段204は、電圧・潮流分布結果306、配電線自動制御システム設備データ309、許容チェック結果310および、設備許容チェック部204aから構成される。
このように構成された第2実施形態の動作について説明する。
配電線制御手段108の事故時操作、作業操作、過負荷解消操作および、電圧監視などによって配電系統の系統再構成をする場合、融通処理手段202は、融通対象区間負荷計算手段203により算出した融通対象区間負荷データ308をベースに融通形態を決定する。融通対象区間負荷計算手段203の融通対象区間負荷計算部203aは、電圧・潮流分布計算手法46により算出された各ノードの流出負荷、流入負荷から現在区間負荷を求め、算出した現在区間負荷と融通対象区間毎の実績区間負荷データを比較し、一定時間後に現在区間負荷量が変動した場合でも融通形態を保つことができるような融通対象区間負荷データを作成する。
融通対象区間毎の実績区間負荷データは、実績負荷計算手段201により作成する。実績負荷計算手段201の実績区間負荷計算部201aは、ある一定周期毎に電圧・潮流分布計算手法を実行し、算出された各ノードの流出負荷、流入負荷から各区間負荷を求め、時間断面毎に各区間負荷を蓄積して実績区間負荷データ307を作成する。
図17は、実績区間負荷と現在区間負荷の関係を示している。融通対象区間負荷データ308は、現在時刻から最も近い任意時刻(n時)の区間負荷iと、任意時刻(n時)から一定時間後における実績区間負荷の最大値(imax)および、現在区間負荷を用いて算出される。
融通形態が決定後、設備許容チェック手段204の設備許容チェック部204aは、配電線自動制御システム設備データ309から設備毎の許容容量データを取出し、電圧・潮流分布計算手法46の計算結果を用いて、電圧上下限チェック、通過許容電流チェック、重負荷・過負荷チェックを実施する。
以上、本実施の形態によれば、実績負荷計算手段201、融通対象区間負荷計算手段203により、融通対象区間負荷データを計測器付開閉器の情報から算出することができるため、算出された融通対象区間負荷は現在使用される負荷量あるいは、これから使用されるであろう負荷量として扱うことができる。従来の融通対象区間負荷データは、契約電力量と実績負荷(先月など)などを考慮して算出していたため、不足あり或いは余剰負荷となるような場合があり、本来融通できるであろう区間が融通不能となる場合や本来過負荷ではないのに過負荷となってしまう事があった。本実施の形態により算出した融通対象区間負荷データを用いることによって、今まで融通不能となっていた区間への融通が期待でき、経済的にも無駄の無い融通が可能となり、設備許容チェック手段204により、計測情報に合致した各ノードの電圧・潮流分布を用いて、各設備の許容チェックができるため、信頼性の高い設備の保守が可能となる融通処理方法および、それを搭載した配電線自動制御システムを提供することができる。
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…ノード、2…基幹系統母線、3…配電用変圧器、4…高圧配電母線、5.6…高圧配電系統、7.8…遮断器、9〜17…開閉器、18.19…計測器付開閉器、20…通信線、21〜31…通信用子局、32〜41…電柱、42…径間配電線、43…通信用親局、44…配電線自動制御システム、45…配電系統、46…電圧・潮流分布計算手法、47…配電線自動制御システム、101…データ受信手段、102…データ記憶手段、103…大区間負荷算出手段、103a…簡易配電系統モデル作成部、103b…簡易配電系統ノード負荷展開部、104…簡易配電系統電圧・潮流分布計算手段、104a…V指定潮流計算部、104b…簡易配電系統修正パラメータ補正部、105…区間負荷算出手段、105a…詳細配電系統ノード負荷展開部、106…詳細配電系統電圧・潮流分布計算手段、106a…Q指定潮流計算部、106b…比較部、107…計算結果表示手段、108…配電線制御手段、201…実績負荷計算手段、201a…実績区間負荷計算部、202…融通処理手段、203…融通対象区間負荷計算手段、203a…融通対象区間負荷計算部、204…設備許容チェック手段、204a…設備許容チェック部、300…計測情報、301…詳細配電系統モデルデータ、302…簡易配電系統潮流計算用データ、303…簡易配電系統潮流計算結果データ、304…詳細配電系統潮流計算用データ、305…詳細配電系統潮流計算結果データ、306…電圧・潮流分布結果データ、307…実績区間負荷データ、308…融通対象区間負荷データ、309…配電線自動制御システム設備データ、310…許容チェック結果
Claims (16)
- 配電系統に配置された複数の電気量計測手段と、
これらの電気量計測手段で計測された計測情報を受信し、前記電気量計測手段間で消費される有効電力値および無効電力値に基づいて、大区間負荷値を算出する大区間負荷算出手段と、
前記大区間負荷算出手段によって算出された大区間負荷値に基づいて、前記電気量計測手段の設置点、前記配電系統の配電線の分岐点、分散型電源の連系点をノードとした簡易配電系統の電圧値および、潮流分布を算出する電圧・潮流分布算出手段と、
前記電圧・潮流分布算出手段での算出結果に基づいて、前記配電系統の開閉器をノードとした詳細配電系統の区間負荷値を算出する区間負荷算出手段と、
前記区間負荷算出手段によって算出された区間負荷値に基づいて、前記詳細配電系統の電圧値および、潮流分布を算出する詳細電圧・潮流分布算出手段と、
を具備することを特徴とする配電線自動制御システム。 - 請求項1に記載の配電線自動制御システムにおいて、
前記詳細配電系統のモデルデータを記憶する詳細配電系統モデルデータ記憶手段をさらに備え、
前記大区間負荷算出手段は、
前記詳細配電系統モデルデータ記憶手段からモデルデータを読込み、簡易配電系統モデルを作成する簡易配電系統モデル作成手段と、
前記計測情報および前記詳細配電系統モデルデータ前記開閉器間で消費する有効電力値および無効電力値を算出し、これらの値に基づいて、前記各ノードの負荷分配を制御する簡易配電系統ノード負荷展開手段と、
を具備することを特徴とする配電線自動制御システム。 - 請求項1に記載の配電線自動制御システムにおいて、
前記開閉器をノードとし、前記各ノードをP−V指定で潮流算出を行うP−V指定潮流算出手段と、
前記P−V指定潮流算出手段によって算出されたノード無効電力値から各大区間の区間無効電力負荷値の推定値を算出する修正パラメータ補正手段とをさらに具備することを特徴とする配電線自動制御システム。 - 請求項1に記載の配電線自動制御システムにおいて、
前記電圧・潮流分布算出手段によって算出された算出結果に基づいて、前記配電系統の開閉器をノードとした詳細配電系統の区間負荷値を算出する詳細配電系統ノード負荷展開手段をさらに具備することを特徴とする配電線自動制御システム。 - 請求項4に記載の配電線自動制御システムにおいて、
前記開閉器をノードとし、各ノードをP−Q指定で潮流分布の算出を行う詳細配電系統P−Q指定潮流算出手段と、
前記詳細配電系統P−Q指定潮流算出手段によって算出された潮流分布と前記計測情報とを比較し、算出結果の妥当性を判定する比較手段とをさらに具備することを特徴とする配電線自動制御システム。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の配電線自動制御システムにおいて、
前記大区間負荷算出手段、電圧・潮流分布算出手段、区間負荷算出手段および、詳細電圧・潮流分布算出手段により算出された算出結果から前記詳細配電系統の各区間負荷の実績区間負荷値を算出する実績負荷算出手段と、
事故時操作、作業操作、過負荷解消操作および、電圧監視などによって配電系統の系統再構成を実施する時に使用する融通対象区間の区間負荷値を算出する融通対象区間負荷算出手段と、
設備の許容チェックを行う設備許容チェック手段とをさらに具備することを特徴とする配電線自動制御システム。 - 請求項6に記載の配電線自動制御システムにおいて、
前記実績区間負荷算出手段は、所定周期毎に電圧値・潮流分布を算出し、算出した電圧値・潮流分布の結果を都度読込み、各区間の実績負荷を算出することを特徴とする配電線自動制御システム。 - 請求項6に記載の配電線自動制御システムにおいて、
前記融通対象区間負荷算出手段は、事故時操作、作業操作、過負荷解消操作および、電圧監視などによって配電系統の系統再構成を実施する時に使用する融通対象区間負荷を算出することを特徴とする配電線自動制御システム。 - 請求項6に記載の配電線自動制御システムにおいて、
前記設備許容チェック手段は、電圧・潮流分布算出により算出した各ノードの電圧・潮流分布結果を用いて各設備の許容チェックを行う設備許容チェック部を有することを特徴とする配電線自動制御システム。 - 配電系統に配置された複数の電気量計測手段によって計測を行う計測ステップと、
前記計測ステップで計測された計測情報を受信し、前記電気量計測手段間で消費される有効電力値および無効電力値に基づいて、大区間負荷値を算出する大区間負荷算出ステップと、
前記大区間負荷算出ステップによって算出された大区間負荷値に基づいて、前記電気量計測手段の設置点、前記配電系統の配電線の分岐点、分散型電源の連系点をノードとした簡易配電系統の電圧値および、潮流分布を算出する電圧・潮流分布算出ステップと、
前記電圧・潮流分布算出ステップでの算出結果に基づいて、前記配電系統の開閉器をノードとした詳細配電系統の区間負荷値を算出する区間負荷算出ステップと、
前記区間負荷算出ステップによって算出された区間負荷値に基づいて、前記詳細配電系統の電圧値および、潮流分布を算出する詳細電圧・潮流分布算出ステップと、
を含むことを特徴とする配電線自動制御方法。 - 請求項10に記載の配電線自動制御方法において、
前記詳細配電系統のモデルデータを記憶する詳細配電系統モデルデータ記憶ステップをさらに備え、
前記大区間負荷算出ステップは、
前記詳細配電系統モデルデータ記憶手段からモデルデータを読込み、簡易配電系統モデルを作成する簡易配電系統モデル作成ステップと、
前記計測情報および前記詳細配電系統モデルデータ前記開閉器間で消費する有効電力値および無効電力値を算出し、これらの値に基づいて、前記各ノードの負荷分配を制御する簡易配電系統ノード負荷展開ステップと、
をさらに含むことを特徴とする配電線自動制御方法。 - 請求項10に記載の配電線自動制御方法において、
前記開閉器をノードとし、前記各ノードをP−V指定で潮流算出を行うP−V指定潮流算出ステップと、
前記P−V指定潮流算出ステップによって算出されたノード無効電力値から各大区間の区間無効電力負荷値の推定値を算出する修正パラメータ補正ステップとをさらに含むことを特徴とする配電線自動制御方法。 - 請求項10に記載の配電線自動制御方法において、
前記電圧・潮流分布算出ステップによって算出された算出結果に基づいて、前記配電系統の開閉器をノードとした詳細配電系統の区間負荷値を算出する詳細配電系統ノード負荷展開ステップをさらに含むことを特徴とする配電線自動制御方法。 - 請求項13に記載の配電線自動制御方法において、
前記開閉器をノードとし、各ノードをP−Q指定で潮流分布の算出を行う詳細配電系統P−Q指定潮流算出ステップと、
前記詳細配電系統P−Q指定潮流算出ステップによって算出された潮流分布と前記計測情報とを比較し、算出結果の妥当性を判定する比較ステップとをさらに含むことを特徴とする配電線自動制御方法。 - 請求項10乃至14のいずれかに記載の配電線自動制御方法において、
前記大区間負荷算出ステップ、電圧・潮流分布算出ステップ、区間負荷算出ステップおよび、詳細電圧・潮流分布算出ステップにより算出された算出結果から前記詳細配電系統の各区間負荷の実績区間負荷値を算出する実績負荷算出ステップと、
事故時操作、作業操作、過負荷解消操作および、電圧監視などによって配電系統の系統再構成を実施する時に使用する融通対象区間の区間負荷値を算出する融通対象区間負荷算出ステップと、
設備の許容チェックを行う設備許容チェック手段とをさらに含むことを特徴とする配電線自動制御方法。 - 配電系統に配置された複数の電気量計測手段によって計測を行う計測手順と、
前記計測ステップで計測された計測情報を受信し、前記電気量計測手段間で消費される有効電力値および無効電力値に基づいて、大区間負荷値を算出する大区間負荷算出手順と、
前記大区間負荷算出ステップによって算出された大区間負荷値に基づいて、前記電気量計測手段の設置点、前記配電系統の配電線の分岐点、分散型電源の連系点をノードとした簡易配電系統の電圧値および、潮流分布を算出する電圧・潮流分布算出手順と、
前記電圧・潮流分布算出ステップでの算出結果に基づいて、前記配電系統の開閉器をノードとした詳細配電系統の区間負荷値を算出する区間負荷算出手順と、
前記区間負荷算出ステップによって算出された区間負荷値に基づいて、前記詳細配電系統の電圧値および、潮流分布を算出する詳細電圧・潮流分布算出手順と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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