JP2004063928A - 光半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置内部に浸入する水分を樹脂接着剤内部に積極的に吸収させると、樹脂接着剤が吸湿膨張することにより、樹脂接着剤は強度・ヤング率の低下が生じる。
【解決手段】上面中央部に光半導体素子Sの載置部を、外周部に載置部1aを取り囲む枠部2を設けて成り、この枠部2を貫通する光ファイバ7取付け用の貫通孔6が形成された樹脂製基体1と、載置部1aに載置された光半導体素子Sと、貫通孔6を貫通するとともに一方の端面が光半導体素子Sと対向するように配置され、貫通孔6の内壁に樹脂接着剤8を介して固定された光ファイバ7と、枠部2の上面に載置部1aを覆うように取着された蓋体3とから成る光半導体装置であって、樹脂接着剤8は、枠部2の内周側に位置する第1の領域8aと、枠部2の外周側に位置する第2の領域8bとから成り、第1の領域8aは吸湿剤を含有している。
【選択図】 図1
【解決手段】上面中央部に光半導体素子Sの載置部を、外周部に載置部1aを取り囲む枠部2を設けて成り、この枠部2を貫通する光ファイバ7取付け用の貫通孔6が形成された樹脂製基体1と、載置部1aに載置された光半導体素子Sと、貫通孔6を貫通するとともに一方の端面が光半導体素子Sと対向するように配置され、貫通孔6の内壁に樹脂接着剤8を介して固定された光ファイバ7と、枠部2の上面に載置部1aを覆うように取着された蓋体3とから成る光半導体装置であって、樹脂接着剤8は、枠部2の内周側に位置する第1の領域8aと、枠部2の外周側に位置する第2の領域8bとから成り、第1の領域8aは吸湿剤を含有している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光半導体素子を収容するための光半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光通信に使用される電気信号を光信号に変換するレーザダイオードや光信号を電気信号に変換するフォトダイオード等の光半導体素子を収容するための光半導体素子収納用パッケージは、一般に酸化アルミニウム質焼結体やガラスセラミック焼結体等の電気絶縁材料から成り、その上面の略中央部に光半導体素子を載置するための載置部を有し、かつ上面の外周部に貫通孔を設けた枠部を有する基体と、この基体の枠部に設けた貫通孔に挿通され、金属ろう材や低融点ガラス等の接着剤を介して接着固定されている光ファイバと、枠部の外側に突出する一端が外部電気回路に接続される複数個の外部リード端子と、基体の枠部上面に接着剤を介して取着され、枠部の内側を気密に封止する蓋体とから構成されており、基体の載置部上にシリコン等から成る光伝送モジュール基板に実装された光半導体素子を載置固定するとともに光半導体素子の各電極を外部リード端子にボンディングワイヤ等の電気的接続手段を介して電気的に接続させ、しかる後、枠部の上面に蓋体を接着剤を介して接合し、枠部を有する基体と蓋体とから成る容器内部に光半導体素子を気密に収容することによって製品として光半導体装置が完成する。
【0003】
このような光半導体装置は、光半導体素子に外部リード端子を介して外部電気回路から供給される電気信号を印加し、光半導体素子に光を励起させるとともにこの励起した光を光ファイバに伝達させることによって、あるいは光ファイバを伝達する光を光半導体素子に照射し、光半導体素子に照射された光に対応する電気信号を発生させるとともにこの発生した電気信号を外部リード端子を介して取り出すことによって光通信に使用される。
【0004】
近年、大量廉価生産に適しているという観点から、エポキシ樹脂等の電気絶縁材料から成る樹脂製基体を有する光半導体素子収納用パッケージの適用の要求が高まっている。なお、エポキシ樹脂等の電気絶縁材料から成る基体は、通常、トランスファモールド法を採用することによって、具体的にはビスフェノールA型やO−クレゾールノボラック型等のエポキシ樹脂と、硬化剤や可撓化剤・難燃化助剤・着色剤・離型剤等とから成るタブレットを所定金型内に溶融・注入するとともにこれを150℃〜200℃の温度で熱硬化させることによって製作されている。
【0005】
このような樹脂製基体を有する光半導体素子収納用パッケージにおいて、基体の枠部に設けた貫通孔に挿通された光ファイバと枠部とを接着固定する場合には、基体に用いられる樹脂の耐熱温度範囲内の熱処理で接着固定が可能な、樹脂接着剤が用いられている。
【0006】
しかし、樹脂接着剤により光ファイバと枠部とを接着固定すると、一般に樹脂製着剤は耐湿性に劣ることから、比較的短期間で大気中の水分が樹脂接着剤を通して光半導体装置内部に浸入し、例えば、容器内部に収容する光半導体素子の電極等に酸化腐食が発生し光半導体装置として正常に作動しなくなるといった問題点があった。
【0007】
この問題点に対して、樹脂接着剤に吸湿剤を均一に分散させ、樹脂接着剤の吸湿性を高めることにより、光半導体装置内部に浸入する水分を樹脂接着剤内部に積極的に吸収することで、長期間にわたり光半導体装置内への水分の浸入を抑制することが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の光半導体装置は、樹脂接着剤に吸湿剤を均一に分散させ樹脂接着剤の吸湿性を高め、光半導体装置の内部に浸入する水分を樹脂接着剤の内部に積極的に吸収させた場合、樹脂接着剤は吸湿剤に吸湿させた水分が光半導体素子の動作により生じる発熱によって膨張し強度やヤング率が低下してしまい、光ファイバに引張り等の外部応力が印加された際に変位量が大きくなり、その結果、光ファイバと光半導体素子との間の光軸にずれが生じ光の授受の効率が大きく低下してしまうという問題点を有していた。また、光ファイバにより伝達された光が光半導体素子に照射しても、光軸がずれているために、正常な電気信号として伝わらない可能性があり、光半導体装置として正常に作動しないという問題点があった。
【0009】
また、この樹脂接着剤は、吸湿剤を含む面が外気中に露出している場合、吸湿剤の吸湿能力が短期間で飽和してしまい、空気中の水分の光半導体装置への浸入を長期間にわたり抑制することが困難であるという問題点を有していた。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑み完成されたもので、その目的は、大気中の水分の光半導体装置への浸入を抑制するとともに、光ファイバーと光半導体素子との光の授受効率の低下を防止し、光半導体装置として長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることができる光半導体装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体装置は、上面中央部に光半導体素子の載置部を、外周部に前記載置部を取り囲む枠部を設けて成り、この枠部を貫通する光ファイバ取付け用の貫通孔が形成された樹脂製基体と、前記載置部に載置された光半導体素子と、前記貫通孔を貫通するとともに一方の端面が前記光半導体素子と対向するように配置され、前記貫通孔の内壁に樹脂接着剤を介して固定された光ファイバと、前記枠部の上面に前記載置部を覆うように取着された蓋体とから成る光半導体装置であって、前記樹脂接着剤は、前記枠部の内周側に位置する第1の領域と、前記枠部の外周側に位置する第2の領域とから成り、前記第1の領域は吸湿剤を含有していることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の光半導体装置によれば、樹脂接着剤の第1の領域が吸湿剤を含有していることから、吸湿剤が外部から光半導体装置内部に浸入する水分を積極的に吸収して、内部に収容する光半導体素子の電極等に発生する酸化腐食を有効に防止することができる。また、樹脂接着剤の第2の領域は、光半導体素子の動作により生じる発熱によって膨張して強度やヤング率が低下することはないので、光ファイバに引張り等の外部応力が印加されたとしてもその変位量が大きくなることはなく、光ファイバと光半導体素子との間の光軸にずれが生じて光の授受の効率が大きく低下することはない。さらに、樹脂接着剤は吸湿剤を含む面が外気中に露出することはないので吸湿剤の吸湿能力が短期間で飽和することはなく、空気中の水分の光半導体装置への浸入を長期間にわたり抑制することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の光半導体装置を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の光半導装置の実施の形態の一例を示す断面図であり、図2はこの図において、1は樹脂製基体、2は樹脂製基体1の上面の外周部に形成された枠部、3は蓋体であり、主にこれらで、内部に光半導体素子Sを収容するための容器が構成される。
【0014】
樹脂製基体1、は光半導体素子Sを搭載するための支持部材としての機能を有し、その上面の略中央部に光半導体素子Sを載置するための載置部1aを有しており、この載置部1a上にはシリコン等から成る光伝送モジュール基板Lに実装された光半導体素子Sが載置固定される。また、樹脂製基体1は、その上面外周部に光半導体素子Sが載置される載置部1aを取り囲むようにして枠部2が形成されており、枠部2は、内側に光半導体素子Sを収容するための空所を形成する作用をなす。
【0015】
樹脂製基体1は、エポキシ樹脂等の電気絶縁材料から成り、通常、トランスファモールド法を採用することによって、具体的にはビスフェノールA型やO−クレゾールノボラック型等のエポキシ樹脂と、硬化剤や可撓化剤・難燃化助剤・着色剤・離型剤等とから成るタブレットを所定金型内に溶融・注入するとともにこれを150℃〜200℃の温度で熱硬化させることによって製作されている。
【0016】
また、樹脂製基体1をエポキシ樹脂等の有機樹脂で形成する場合、この有機樹脂は一般に耐湿性に劣るため内部に、表面に半径が10乃至100オングストロームの細孔を有する、シリカ等の吸湿剤を1乃至50質量%含有させておくと大気中に含まれる水分が樹脂製基体1を介して内部に浸入しようとしても、その水分の浸入は吸湿剤によって有効に阻止され、その結果、内部に浸入した水分によって光半導体素子Sの電極等に酸化腐蝕が発生することはなく、光半導体素子Sを常に正常、かつ安定に作動させることが可能となる。従って、樹脂製基体1はその内部に、表面に半径が10乃至100オングストロームの細孔を有する吸湿剤を1乃至50質量%含有させておくことが好ましい。なお、このような吸湿剤は、樹脂製基体1を形成する際、エポキシ樹脂の原料粉末にあらかじめ球状のシリカ粒子等から成る吸湿剤を所定量含有させておくことによって、樹脂製基体1の内部に含有される。
【0017】
なお、吸湿剤表面の細孔半径が10オングストローム未満であると樹脂製基体1に浸入した水分を吸湿剤に完全に吸着させることが困難となる傾向があり、また、細孔半径が100オングストロームを超えると細孔の容積が大きくなって吸湿剤の比重が軽くなり、吸湿剤を樹脂製基体1の全体に分散させることが困難となる傾向がある。従って、樹脂製基体1の内部に吸湿剤を含有させておく場合、吸湿剤表面の細孔半経は10乃至100オングストロームの範囲としておくことが好ましい。
【0018】
また、吸湿剤の含有量が1質量%未満であると樹脂製基体1における水分の通過が有効に阻止することが困難となる傾向があり、50質量%を超えるとエポキシ樹脂の原料粉末をトランスファモールドすることによって樹脂製基体1を形成する際、エポキシ樹脂の流動性が悪くなって所望形状の樹脂製基体1が得られなくなる危険性がある。従って、樹脂製基体1の内部に吸湿剤を含有させておく場合、吸湿剤の含有量は1乃至50質量%の範囲としておくことが好ましい。
【0019】
また、樹脂製基体1の載置部1aには、レーザダイオードやフォトダイオード等の光半導体素子Sがシリコン等から成る光伝送モジュール基板Lに実装されて載置されている。なお、光半導体素子Sや光伝送モジュール基板Lは常法により製作される。
【0020】
さらに、樹脂製基体1の枠部2には、両端が枠部2の内外に突出する複数個のリード部材4が設けてあり、このリード部材4の枠部2内側に突出する領域に光半導体素子Sの各電極をボンディングワイヤ等の電気的接続手段5を介して接続させ、枠部2の外側に突出する領域を外部電気回路(図示せず)に電気的に接続させることにより光半導体素子Sの各電極がリード部材4を介し外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
【0021】
このようなリード部材4は、鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属板から成り、枠部2を有する樹脂製基体1をトランスファモールド法により形成する際に、あらかじめ金型内の所定位置にリード部材4をセットしておくことによって枠部2の所定位置に両端を枠部2の内外部に突出させた状態で一体的に取着される。
【0022】
また、リード部材4はその露出する外表面に良導電性で耐蝕性に優れ、かつろう材と濡れ性の良いニッケルや金等の金属をめっき法により所定厚み(1〜20μm)に被着させておくと、リード部材4の酸化腐蝕を有効に防止することができるとともにリード部材4とボンディングワイヤ等の電気的接続手段5との接続およびリード部材4と外部電気回路との接続を信頼性の高いものとなすことができる。従って、リード部材4はその露出する外表面に良導電性で耐蝕性に優れ、かつろう材と濡れ性の良いニッケルや金等の金属をめっき法により1〜20μmの厚みに被着させておくことが好ましい。
【0023】
さらに、樹脂製基体1の枠部2には、この枠部2を貫通する貫通孔6が形成されている。貫通孔6は光ファイバ7を容器の外部から内部へ導入するための作用をなし、樹脂製基体1を成形する際に同時に形成される。あるいは樹脂製基体1を成形後、枠部2にドリルやレーザを用いた孔開け加工を施すことによって形成してもよい。
【0024】
また、樹脂製基体1には、光ファイバ7が貫通孔6を貫通するとともに一方の端面が載置部1aの近傍で光半導体素子Sと対向するように配置され、貫通孔6の内壁に貫通孔6内に充填された樹脂接着剤8を介して固定されている。
光ファイバ7は、石英系のガラスから成り光を伝達する芯体部7aとこの芯体部7aを被覆する被覆層7bとから成り、光半導体素子Sが発する光を外部に伝達する、あるいは外部からの光を光半導体素子Sに伝達するための光の伝達路としての機能を有し、常法により製作される。
【0025】
また、樹脂接着剤8は、貫通孔6の内部に充填され、光ファイバ7を貫通孔6の内壁に固定する作用をなす。このような樹脂接着剤8としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂・グリシジルエステル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にアミン系硬化剤やイミダゾール系硬化剤・酸無水物系硬化剤等の硬化剤を添加したものから成るエポキシ樹脂接着剤が用いられる。
【0026】
そして、本発明の光半導体装置においては、樹脂接着剤8は枠部2の内周側に位置する第1の領域8aと、枠部2の外周側に位置する第2の領域8bとから成り、第1の領域8aは吸湿剤を含有している。そして本発明の光半導体装置においては、このことが重要である。
【0027】
本発明の光半導体装置によれば、樹脂接着剤8が枠部2の内周側に位置する第1の領域8aと、枠部2の外周側に位置する第2の領域8bとから成り、樹脂接着剤8の第1の領域8aが吸湿剤を含有していることから、吸湿剤が外部から光半導体装置内部に浸入する水分を積極的に吸収して、内部に収容する光半導体素子Sの電極等に発生する酸化腐食を有効に防止することができる。また、樹脂接着剤8の第2の領域8aは、光半導体素子Sの動作により生じる発熱によって膨張して強度やヤング率が低下することはないので、光ファイバ7に引張り等の外部応力が印加されたとしてもその変位量が大きくなることはなく、光ファイバ7と光半導体素子Sとの間の光軸にずれが生じて光の授受の効率が大きく低下することはない。さらに、樹脂接着剤8は吸湿剤を含む面が外気中に露出することはないので吸湿剤の吸湿能力が短期間で飽和することはなく、空気中の水分の光半導体装置への浸入を長期間にわたり抑制することができる。
【0028】
なお、吸湿剤は、球状シリカやシリカゲル・ゼオライト・酸化アルミニウム等が用いられ、例えば球状シリカを樹脂接着剤8となるペースト中にあらかじめ添加混合させておくことによって樹脂接着剤8の第1の領域8aの内部に含有される。
【0029】
また、吸湿剤はその表面に半径10乃至100オングストロームの細孔を有するものとし、第1の領域8aの樹脂接着剤に対して1乃至50質量%含有させておくと、樹脂製基体1と蓋体3とから成る光半導体装置内に光半導体素子Sを収容した後、大気中の水分が樹脂接着剤8を介して光半導体装置内に入り込もうとしてもその入り込みは吸湿剤で有効に阻止され、その結果、光半導体装置内に水分が入り込むことは殆どなく、光半導体装置内に収容する光半導体素子Sの電極等に酸化腐食が発生するのを有効に防止することができる。従って、樹脂接着剤8はその内部に表面に半径10乃至100オングストロームの細孔を有する吸湿剤を樹脂接着剤8に対して1乃至50質量%以下含有させておくことが好ましい。
【0030】
なお、樹脂接着剤8に含有される吸湿剤は、その表面の細孔半径が10オングストローム未満であると樹脂接着剤8に浸入した水分を完全に吸着することが困難となる傾向があり、また、100オングストロームを超えると樹脂接着剤8となるペーストの流動性が悪くなり、貫通孔6にペーストを注入する際の作業性が低下する傾向にある。従って、吸湿剤はその表面の細孔の半径が10乃至100オングストロームであること好ましい。
【0031】
また、樹脂接着剤8に含有される吸湿剤は、樹脂接着剤8に対して1質量%未満であると、樹脂接着剤8における水分の通過が有効に防止されず、50質量%を超えると、樹脂接着剤8となるペーストの流動性が悪くなり、貫通孔6にペーストを注入する際に作業性が低下する傾向にある。従って、吸湿剤は樹脂接着剤8に対して1乃至50質量%含有させておくことが好ましい。
【0032】
なお、樹脂接着剤8は、吸湿剤を貫通孔6の内周側から外周側までの全体に含有する場合は、半導体素子Sが動作する際の発熱により吸着剤が吸湿した水分が膨張して強度やヤング率の低下が短期間で発生し易くなり、この強度・ヤング率低下により、光ファイバー7に引っ張り等の外部応力が印加された場合、光半導体素子Sと光ファイバー7間の位置ずれが生じ、光ファイバー7と光半導体素子Sとを正確に対向させることができなくなって両者間における光の授受の効率が大きく低下する傾向がある。
【0033】
また、樹脂接着剤8に吸湿剤が含有されていない場合は、外部の水分が樹脂接着剤8を容易に透過して光半導体装置内部に入り込み、収容する光半導体素子Sの電極等に酸化腐食が短期間で発生してしまう傾向がある。
【0034】
さらに、樹脂接着剤8の容器の外周側に位置する領域が吸湿剤を含有している場合、樹脂接着剤8の吸湿剤を含む面が外気中に露出する危険性が大きくなり、吸湿剤の吸湿能力が短期間で飽和してしまい、空気中の水分の光半導体装置への浸入を長期間にわたり抑制することが困難となる傾向がある。
【0035】
なお、樹脂接着剤8に第1の領域8aと第2の領域8bは、貫通孔6に光ファイバ7を挿入後、第1の領域8aとなる吸湿剤を含有させた樹脂接着剤8を枠部2の内周側から注入し、次に第2の領域となる樹脂接着剤8を枠部2の外周側から注入することにより形成される。
【0036】
なお、第1の領域8aと第2の領域8bは、両者の界面である程度交じり合っても良いが、第1の領域8aおよび第2の領域8bの長さはある程度の幅を持って形成されるのが好ましい。この場合、第1の領域8aおよび第2の領域8bの長さは、貫通孔6の長さや径、吸湿剤の含有量・粒径、樹脂接着剤8の吸湿性能等により最適値は異なるが、一般に、第1の領域8aの長さは貫通孔6長さの90%〜10%に設定される。
【0037】
そして、樹脂製基体1の上面の外周部に設けた枠部2上には封止材9を介して蓋体3が接合され、蓋体3で枠部2の内部を気密に塞ぐことよって樹脂製基体1と蓋体3とで構成される容器内に光半導体素子Sが気密に収容される。
【0038】
このような蓋体3は有機樹脂や鉄−ニッケル−コバルト合金あるいは鉄−ニッケル合金等の金属材料から成り、従来周知の形成方法によって所定の板状に形成される。
【0039】
なお、封止材9は、樹脂接着剤8と同様にビスフェノールA型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂・グリシジルエステル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にアミン系硬化剤やイミダゾール系硬化剤・酸無水物系硬化剤等の硬化剤を添加したものから成るエポキシ樹脂接着剤が用いられ、吸湿剤を含有することが好ましい。
【0040】
また、樹脂製基体1への蓋体3への接合は、枠部2の上部に封止材9を従来周知のスクリーン印刷法を用いて印刷塗布するとともに蓋体3を樹脂製基体1の枠体2上に重ね合わせることにより行なわれる。
【0041】
かくして本発明の光半導体装置によれば、基体1の載置部1aに光伝送モジュール基板Lに実装させた光半導体素子Sを載置固定させるとともに光半導体素子Sの各電極を所定の外部リード端子4にボンディングワイヤ等の電気的接続手段5を介して電気的に接続し、次に枠部2を貫通する光ファイバー7の取付け用貫通孔6に光ファイバー7を貫通させ、その先端を光半導体素子Sと対向するように配置し、貫通孔6内でこの貫通孔6の内壁に樹脂接着剤8を介して固定し、しかる後、枠部2の上面に蓋体3を樹脂接着剤9を介して接合させ、枠部2を有する基体1と蓋体3とから成る容器内部に光半導体素子Sを気密に収容することによって製品としての光半導体装置が完成する。
【0042】
かかる光半導体装置は、光半導体素子Sに外部リード端子4を介して外部電気回路から供給される電気信号を印加し、光半導体素子Sに光を励起させるとともに励起した光を光ファイバー7に伝達させることによって、あるいは光ファイバー7を伝達する光を光半導体素子Sに照射し、光半導体素子Sに照射された光に対応する電気信号を発生させるとともに発生した電気信号を外部リード端子4を介し取り出すことによって光通信に使用される。
【0043】
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明の光半導体装置によれば、樹脂接着剤の第1の領域が吸湿剤を含有していることから、吸湿剤が外部から光半導体装置内部に浸入する水分を積極的に吸収して、内部に収容する光半導体素子の電極等に発生する酸化腐食を有効に防止することができる。また、樹脂接着剤の第2の領域は、光半導体素子の動作により生じる発熱によって膨張して強度やヤング率が低下することはないので、光ファイバに引張り等の外部応力が印加されたとしてもその変位量が大きくなることはなく、光ファイバと光半導体素子との間の光軸にずれが生じて光の授受の効率が大きく低下することはない。さらに、樹脂接着剤は吸湿剤を含む面が外気中に露出することはないので吸湿剤の吸湿能力が短期間で飽和することはなく、空気中の水分の光半導体装置への浸入を長期間にわたり抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体装置の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・樹脂製基体
1a・・・・・・・・載置部
2・・・・・・・・・枠部
3・・・・・・・・・蓋体
6・・・・・・・・・貫通孔
7・・・・・・・・・光ファイバ
8・・・・・・・・・樹脂接着剤
8a・・・・・・・・第1の領域
8b・・・・・・・・第2の領域
L・・・・・・・・・光伝送モジュール基板
S・・・・・・・・・光半導体素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、光半導体素子を収容するための光半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光通信に使用される電気信号を光信号に変換するレーザダイオードや光信号を電気信号に変換するフォトダイオード等の光半導体素子を収容するための光半導体素子収納用パッケージは、一般に酸化アルミニウム質焼結体やガラスセラミック焼結体等の電気絶縁材料から成り、その上面の略中央部に光半導体素子を載置するための載置部を有し、かつ上面の外周部に貫通孔を設けた枠部を有する基体と、この基体の枠部に設けた貫通孔に挿通され、金属ろう材や低融点ガラス等の接着剤を介して接着固定されている光ファイバと、枠部の外側に突出する一端が外部電気回路に接続される複数個の外部リード端子と、基体の枠部上面に接着剤を介して取着され、枠部の内側を気密に封止する蓋体とから構成されており、基体の載置部上にシリコン等から成る光伝送モジュール基板に実装された光半導体素子を載置固定するとともに光半導体素子の各電極を外部リード端子にボンディングワイヤ等の電気的接続手段を介して電気的に接続させ、しかる後、枠部の上面に蓋体を接着剤を介して接合し、枠部を有する基体と蓋体とから成る容器内部に光半導体素子を気密に収容することによって製品として光半導体装置が完成する。
【0003】
このような光半導体装置は、光半導体素子に外部リード端子を介して外部電気回路から供給される電気信号を印加し、光半導体素子に光を励起させるとともにこの励起した光を光ファイバに伝達させることによって、あるいは光ファイバを伝達する光を光半導体素子に照射し、光半導体素子に照射された光に対応する電気信号を発生させるとともにこの発生した電気信号を外部リード端子を介して取り出すことによって光通信に使用される。
【0004】
近年、大量廉価生産に適しているという観点から、エポキシ樹脂等の電気絶縁材料から成る樹脂製基体を有する光半導体素子収納用パッケージの適用の要求が高まっている。なお、エポキシ樹脂等の電気絶縁材料から成る基体は、通常、トランスファモールド法を採用することによって、具体的にはビスフェノールA型やO−クレゾールノボラック型等のエポキシ樹脂と、硬化剤や可撓化剤・難燃化助剤・着色剤・離型剤等とから成るタブレットを所定金型内に溶融・注入するとともにこれを150℃〜200℃の温度で熱硬化させることによって製作されている。
【0005】
このような樹脂製基体を有する光半導体素子収納用パッケージにおいて、基体の枠部に設けた貫通孔に挿通された光ファイバと枠部とを接着固定する場合には、基体に用いられる樹脂の耐熱温度範囲内の熱処理で接着固定が可能な、樹脂接着剤が用いられている。
【0006】
しかし、樹脂接着剤により光ファイバと枠部とを接着固定すると、一般に樹脂製着剤は耐湿性に劣ることから、比較的短期間で大気中の水分が樹脂接着剤を通して光半導体装置内部に浸入し、例えば、容器内部に収容する光半導体素子の電極等に酸化腐食が発生し光半導体装置として正常に作動しなくなるといった問題点があった。
【0007】
この問題点に対して、樹脂接着剤に吸湿剤を均一に分散させ、樹脂接着剤の吸湿性を高めることにより、光半導体装置内部に浸入する水分を樹脂接着剤内部に積極的に吸収することで、長期間にわたり光半導体装置内への水分の浸入を抑制することが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の光半導体装置は、樹脂接着剤に吸湿剤を均一に分散させ樹脂接着剤の吸湿性を高め、光半導体装置の内部に浸入する水分を樹脂接着剤の内部に積極的に吸収させた場合、樹脂接着剤は吸湿剤に吸湿させた水分が光半導体素子の動作により生じる発熱によって膨張し強度やヤング率が低下してしまい、光ファイバに引張り等の外部応力が印加された際に変位量が大きくなり、その結果、光ファイバと光半導体素子との間の光軸にずれが生じ光の授受の効率が大きく低下してしまうという問題点を有していた。また、光ファイバにより伝達された光が光半導体素子に照射しても、光軸がずれているために、正常な電気信号として伝わらない可能性があり、光半導体装置として正常に作動しないという問題点があった。
【0009】
また、この樹脂接着剤は、吸湿剤を含む面が外気中に露出している場合、吸湿剤の吸湿能力が短期間で飽和してしまい、空気中の水分の光半導体装置への浸入を長期間にわたり抑制することが困難であるという問題点を有していた。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑み完成されたもので、その目的は、大気中の水分の光半導体装置への浸入を抑制するとともに、光ファイバーと光半導体素子との光の授受効率の低下を防止し、光半導体装置として長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることができる光半導体装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体装置は、上面中央部に光半導体素子の載置部を、外周部に前記載置部を取り囲む枠部を設けて成り、この枠部を貫通する光ファイバ取付け用の貫通孔が形成された樹脂製基体と、前記載置部に載置された光半導体素子と、前記貫通孔を貫通するとともに一方の端面が前記光半導体素子と対向するように配置され、前記貫通孔の内壁に樹脂接着剤を介して固定された光ファイバと、前記枠部の上面に前記載置部を覆うように取着された蓋体とから成る光半導体装置であって、前記樹脂接着剤は、前記枠部の内周側に位置する第1の領域と、前記枠部の外周側に位置する第2の領域とから成り、前記第1の領域は吸湿剤を含有していることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の光半導体装置によれば、樹脂接着剤の第1の領域が吸湿剤を含有していることから、吸湿剤が外部から光半導体装置内部に浸入する水分を積極的に吸収して、内部に収容する光半導体素子の電極等に発生する酸化腐食を有効に防止することができる。また、樹脂接着剤の第2の領域は、光半導体素子の動作により生じる発熱によって膨張して強度やヤング率が低下することはないので、光ファイバに引張り等の外部応力が印加されたとしてもその変位量が大きくなることはなく、光ファイバと光半導体素子との間の光軸にずれが生じて光の授受の効率が大きく低下することはない。さらに、樹脂接着剤は吸湿剤を含む面が外気中に露出することはないので吸湿剤の吸湿能力が短期間で飽和することはなく、空気中の水分の光半導体装置への浸入を長期間にわたり抑制することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の光半導体装置を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の光半導装置の実施の形態の一例を示す断面図であり、図2はこの図において、1は樹脂製基体、2は樹脂製基体1の上面の外周部に形成された枠部、3は蓋体であり、主にこれらで、内部に光半導体素子Sを収容するための容器が構成される。
【0014】
樹脂製基体1、は光半導体素子Sを搭載するための支持部材としての機能を有し、その上面の略中央部に光半導体素子Sを載置するための載置部1aを有しており、この載置部1a上にはシリコン等から成る光伝送モジュール基板Lに実装された光半導体素子Sが載置固定される。また、樹脂製基体1は、その上面外周部に光半導体素子Sが載置される載置部1aを取り囲むようにして枠部2が形成されており、枠部2は、内側に光半導体素子Sを収容するための空所を形成する作用をなす。
【0015】
樹脂製基体1は、エポキシ樹脂等の電気絶縁材料から成り、通常、トランスファモールド法を採用することによって、具体的にはビスフェノールA型やO−クレゾールノボラック型等のエポキシ樹脂と、硬化剤や可撓化剤・難燃化助剤・着色剤・離型剤等とから成るタブレットを所定金型内に溶融・注入するとともにこれを150℃〜200℃の温度で熱硬化させることによって製作されている。
【0016】
また、樹脂製基体1をエポキシ樹脂等の有機樹脂で形成する場合、この有機樹脂は一般に耐湿性に劣るため内部に、表面に半径が10乃至100オングストロームの細孔を有する、シリカ等の吸湿剤を1乃至50質量%含有させておくと大気中に含まれる水分が樹脂製基体1を介して内部に浸入しようとしても、その水分の浸入は吸湿剤によって有効に阻止され、その結果、内部に浸入した水分によって光半導体素子Sの電極等に酸化腐蝕が発生することはなく、光半導体素子Sを常に正常、かつ安定に作動させることが可能となる。従って、樹脂製基体1はその内部に、表面に半径が10乃至100オングストロームの細孔を有する吸湿剤を1乃至50質量%含有させておくことが好ましい。なお、このような吸湿剤は、樹脂製基体1を形成する際、エポキシ樹脂の原料粉末にあらかじめ球状のシリカ粒子等から成る吸湿剤を所定量含有させておくことによって、樹脂製基体1の内部に含有される。
【0017】
なお、吸湿剤表面の細孔半径が10オングストローム未満であると樹脂製基体1に浸入した水分を吸湿剤に完全に吸着させることが困難となる傾向があり、また、細孔半径が100オングストロームを超えると細孔の容積が大きくなって吸湿剤の比重が軽くなり、吸湿剤を樹脂製基体1の全体に分散させることが困難となる傾向がある。従って、樹脂製基体1の内部に吸湿剤を含有させておく場合、吸湿剤表面の細孔半経は10乃至100オングストロームの範囲としておくことが好ましい。
【0018】
また、吸湿剤の含有量が1質量%未満であると樹脂製基体1における水分の通過が有効に阻止することが困難となる傾向があり、50質量%を超えるとエポキシ樹脂の原料粉末をトランスファモールドすることによって樹脂製基体1を形成する際、エポキシ樹脂の流動性が悪くなって所望形状の樹脂製基体1が得られなくなる危険性がある。従って、樹脂製基体1の内部に吸湿剤を含有させておく場合、吸湿剤の含有量は1乃至50質量%の範囲としておくことが好ましい。
【0019】
また、樹脂製基体1の載置部1aには、レーザダイオードやフォトダイオード等の光半導体素子Sがシリコン等から成る光伝送モジュール基板Lに実装されて載置されている。なお、光半導体素子Sや光伝送モジュール基板Lは常法により製作される。
【0020】
さらに、樹脂製基体1の枠部2には、両端が枠部2の内外に突出する複数個のリード部材4が設けてあり、このリード部材4の枠部2内側に突出する領域に光半導体素子Sの各電極をボンディングワイヤ等の電気的接続手段5を介して接続させ、枠部2の外側に突出する領域を外部電気回路(図示せず)に電気的に接続させることにより光半導体素子Sの各電極がリード部材4を介し外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
【0021】
このようなリード部材4は、鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属板から成り、枠部2を有する樹脂製基体1をトランスファモールド法により形成する際に、あらかじめ金型内の所定位置にリード部材4をセットしておくことによって枠部2の所定位置に両端を枠部2の内外部に突出させた状態で一体的に取着される。
【0022】
また、リード部材4はその露出する外表面に良導電性で耐蝕性に優れ、かつろう材と濡れ性の良いニッケルや金等の金属をめっき法により所定厚み(1〜20μm)に被着させておくと、リード部材4の酸化腐蝕を有効に防止することができるとともにリード部材4とボンディングワイヤ等の電気的接続手段5との接続およびリード部材4と外部電気回路との接続を信頼性の高いものとなすことができる。従って、リード部材4はその露出する外表面に良導電性で耐蝕性に優れ、かつろう材と濡れ性の良いニッケルや金等の金属をめっき法により1〜20μmの厚みに被着させておくことが好ましい。
【0023】
さらに、樹脂製基体1の枠部2には、この枠部2を貫通する貫通孔6が形成されている。貫通孔6は光ファイバ7を容器の外部から内部へ導入するための作用をなし、樹脂製基体1を成形する際に同時に形成される。あるいは樹脂製基体1を成形後、枠部2にドリルやレーザを用いた孔開け加工を施すことによって形成してもよい。
【0024】
また、樹脂製基体1には、光ファイバ7が貫通孔6を貫通するとともに一方の端面が載置部1aの近傍で光半導体素子Sと対向するように配置され、貫通孔6の内壁に貫通孔6内に充填された樹脂接着剤8を介して固定されている。
光ファイバ7は、石英系のガラスから成り光を伝達する芯体部7aとこの芯体部7aを被覆する被覆層7bとから成り、光半導体素子Sが発する光を外部に伝達する、あるいは外部からの光を光半導体素子Sに伝達するための光の伝達路としての機能を有し、常法により製作される。
【0025】
また、樹脂接着剤8は、貫通孔6の内部に充填され、光ファイバ7を貫通孔6の内壁に固定する作用をなす。このような樹脂接着剤8としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂・グリシジルエステル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にアミン系硬化剤やイミダゾール系硬化剤・酸無水物系硬化剤等の硬化剤を添加したものから成るエポキシ樹脂接着剤が用いられる。
【0026】
そして、本発明の光半導体装置においては、樹脂接着剤8は枠部2の内周側に位置する第1の領域8aと、枠部2の外周側に位置する第2の領域8bとから成り、第1の領域8aは吸湿剤を含有している。そして本発明の光半導体装置においては、このことが重要である。
【0027】
本発明の光半導体装置によれば、樹脂接着剤8が枠部2の内周側に位置する第1の領域8aと、枠部2の外周側に位置する第2の領域8bとから成り、樹脂接着剤8の第1の領域8aが吸湿剤を含有していることから、吸湿剤が外部から光半導体装置内部に浸入する水分を積極的に吸収して、内部に収容する光半導体素子Sの電極等に発生する酸化腐食を有効に防止することができる。また、樹脂接着剤8の第2の領域8aは、光半導体素子Sの動作により生じる発熱によって膨張して強度やヤング率が低下することはないので、光ファイバ7に引張り等の外部応力が印加されたとしてもその変位量が大きくなることはなく、光ファイバ7と光半導体素子Sとの間の光軸にずれが生じて光の授受の効率が大きく低下することはない。さらに、樹脂接着剤8は吸湿剤を含む面が外気中に露出することはないので吸湿剤の吸湿能力が短期間で飽和することはなく、空気中の水分の光半導体装置への浸入を長期間にわたり抑制することができる。
【0028】
なお、吸湿剤は、球状シリカやシリカゲル・ゼオライト・酸化アルミニウム等が用いられ、例えば球状シリカを樹脂接着剤8となるペースト中にあらかじめ添加混合させておくことによって樹脂接着剤8の第1の領域8aの内部に含有される。
【0029】
また、吸湿剤はその表面に半径10乃至100オングストロームの細孔を有するものとし、第1の領域8aの樹脂接着剤に対して1乃至50質量%含有させておくと、樹脂製基体1と蓋体3とから成る光半導体装置内に光半導体素子Sを収容した後、大気中の水分が樹脂接着剤8を介して光半導体装置内に入り込もうとしてもその入り込みは吸湿剤で有効に阻止され、その結果、光半導体装置内に水分が入り込むことは殆どなく、光半導体装置内に収容する光半導体素子Sの電極等に酸化腐食が発生するのを有効に防止することができる。従って、樹脂接着剤8はその内部に表面に半径10乃至100オングストロームの細孔を有する吸湿剤を樹脂接着剤8に対して1乃至50質量%以下含有させておくことが好ましい。
【0030】
なお、樹脂接着剤8に含有される吸湿剤は、その表面の細孔半径が10オングストローム未満であると樹脂接着剤8に浸入した水分を完全に吸着することが困難となる傾向があり、また、100オングストロームを超えると樹脂接着剤8となるペーストの流動性が悪くなり、貫通孔6にペーストを注入する際の作業性が低下する傾向にある。従って、吸湿剤はその表面の細孔の半径が10乃至100オングストロームであること好ましい。
【0031】
また、樹脂接着剤8に含有される吸湿剤は、樹脂接着剤8に対して1質量%未満であると、樹脂接着剤8における水分の通過が有効に防止されず、50質量%を超えると、樹脂接着剤8となるペーストの流動性が悪くなり、貫通孔6にペーストを注入する際に作業性が低下する傾向にある。従って、吸湿剤は樹脂接着剤8に対して1乃至50質量%含有させておくことが好ましい。
【0032】
なお、樹脂接着剤8は、吸湿剤を貫通孔6の内周側から外周側までの全体に含有する場合は、半導体素子Sが動作する際の発熱により吸着剤が吸湿した水分が膨張して強度やヤング率の低下が短期間で発生し易くなり、この強度・ヤング率低下により、光ファイバー7に引っ張り等の外部応力が印加された場合、光半導体素子Sと光ファイバー7間の位置ずれが生じ、光ファイバー7と光半導体素子Sとを正確に対向させることができなくなって両者間における光の授受の効率が大きく低下する傾向がある。
【0033】
また、樹脂接着剤8に吸湿剤が含有されていない場合は、外部の水分が樹脂接着剤8を容易に透過して光半導体装置内部に入り込み、収容する光半導体素子Sの電極等に酸化腐食が短期間で発生してしまう傾向がある。
【0034】
さらに、樹脂接着剤8の容器の外周側に位置する領域が吸湿剤を含有している場合、樹脂接着剤8の吸湿剤を含む面が外気中に露出する危険性が大きくなり、吸湿剤の吸湿能力が短期間で飽和してしまい、空気中の水分の光半導体装置への浸入を長期間にわたり抑制することが困難となる傾向がある。
【0035】
なお、樹脂接着剤8に第1の領域8aと第2の領域8bは、貫通孔6に光ファイバ7を挿入後、第1の領域8aとなる吸湿剤を含有させた樹脂接着剤8を枠部2の内周側から注入し、次に第2の領域となる樹脂接着剤8を枠部2の外周側から注入することにより形成される。
【0036】
なお、第1の領域8aと第2の領域8bは、両者の界面である程度交じり合っても良いが、第1の領域8aおよび第2の領域8bの長さはある程度の幅を持って形成されるのが好ましい。この場合、第1の領域8aおよび第2の領域8bの長さは、貫通孔6の長さや径、吸湿剤の含有量・粒径、樹脂接着剤8の吸湿性能等により最適値は異なるが、一般に、第1の領域8aの長さは貫通孔6長さの90%〜10%に設定される。
【0037】
そして、樹脂製基体1の上面の外周部に設けた枠部2上には封止材9を介して蓋体3が接合され、蓋体3で枠部2の内部を気密に塞ぐことよって樹脂製基体1と蓋体3とで構成される容器内に光半導体素子Sが気密に収容される。
【0038】
このような蓋体3は有機樹脂や鉄−ニッケル−コバルト合金あるいは鉄−ニッケル合金等の金属材料から成り、従来周知の形成方法によって所定の板状に形成される。
【0039】
なお、封止材9は、樹脂接着剤8と同様にビスフェノールA型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂・グリシジルエステル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にアミン系硬化剤やイミダゾール系硬化剤・酸無水物系硬化剤等の硬化剤を添加したものから成るエポキシ樹脂接着剤が用いられ、吸湿剤を含有することが好ましい。
【0040】
また、樹脂製基体1への蓋体3への接合は、枠部2の上部に封止材9を従来周知のスクリーン印刷法を用いて印刷塗布するとともに蓋体3を樹脂製基体1の枠体2上に重ね合わせることにより行なわれる。
【0041】
かくして本発明の光半導体装置によれば、基体1の載置部1aに光伝送モジュール基板Lに実装させた光半導体素子Sを載置固定させるとともに光半導体素子Sの各電極を所定の外部リード端子4にボンディングワイヤ等の電気的接続手段5を介して電気的に接続し、次に枠部2を貫通する光ファイバー7の取付け用貫通孔6に光ファイバー7を貫通させ、その先端を光半導体素子Sと対向するように配置し、貫通孔6内でこの貫通孔6の内壁に樹脂接着剤8を介して固定し、しかる後、枠部2の上面に蓋体3を樹脂接着剤9を介して接合させ、枠部2を有する基体1と蓋体3とから成る容器内部に光半導体素子Sを気密に収容することによって製品としての光半導体装置が完成する。
【0042】
かかる光半導体装置は、光半導体素子Sに外部リード端子4を介して外部電気回路から供給される電気信号を印加し、光半導体素子Sに光を励起させるとともに励起した光を光ファイバー7に伝達させることによって、あるいは光ファイバー7を伝達する光を光半導体素子Sに照射し、光半導体素子Sに照射された光に対応する電気信号を発生させるとともに発生した電気信号を外部リード端子4を介し取り出すことによって光通信に使用される。
【0043】
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明の光半導体装置によれば、樹脂接着剤の第1の領域が吸湿剤を含有していることから、吸湿剤が外部から光半導体装置内部に浸入する水分を積極的に吸収して、内部に収容する光半導体素子の電極等に発生する酸化腐食を有効に防止することができる。また、樹脂接着剤の第2の領域は、光半導体素子の動作により生じる発熱によって膨張して強度やヤング率が低下することはないので、光ファイバに引張り等の外部応力が印加されたとしてもその変位量が大きくなることはなく、光ファイバと光半導体素子との間の光軸にずれが生じて光の授受の効率が大きく低下することはない。さらに、樹脂接着剤は吸湿剤を含む面が外気中に露出することはないので吸湿剤の吸湿能力が短期間で飽和することはなく、空気中の水分の光半導体装置への浸入を長期間にわたり抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体装置の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・樹脂製基体
1a・・・・・・・・載置部
2・・・・・・・・・枠部
3・・・・・・・・・蓋体
6・・・・・・・・・貫通孔
7・・・・・・・・・光ファイバ
8・・・・・・・・・樹脂接着剤
8a・・・・・・・・第1の領域
8b・・・・・・・・第2の領域
L・・・・・・・・・光伝送モジュール基板
S・・・・・・・・・光半導体素子
Claims (1)
- 上面中央部に光半導体素子の載置部を、外周部に前記載置部を取り囲む枠部を設けて成り、該枠部を貫通する光ファイバ取付け用の貫通孔が形成された樹脂製基体と、前記載置部に載置された光半導体素子と、前記貫通孔を貫通するとともに一方の端面が前記光半導体素子と対向するように配置され、前記貫通孔の内壁に樹脂接着剤を介して固定された光ファイバと、前記枠部の上面に前記載置部を覆うように取着された蓋体とから成る光半導体装置であって、前記樹脂接着剤は、前記枠部の内周側に位置する第1の領域と、前記枠部の外周側に位置する第2の領域とから成り、前記第1の領域は吸湿剤を含有していることを特徴とする光半導体装置。
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