JP2004063127A - 燃料電池装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池装置において、炭化水素を触媒で水素と炭素とに分解する反応器を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素を触媒で水素と炭素とに分解する反応器を備えた燃料電池装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、発電効率が高いこと、出力密度が高いこと、さらに二酸化炭素や窒素酸化物が排出されないことなどの特徴があるので、次世代の電源として注目されている。燃料電池は、アノードで水素をカソードで酸素をそれぞれ電気化学的に反応させることによって電力を得る電気化学装置である。アノードでは(1)式、カソードでは(2)式に示す反応がそれぞれおこる。
【0003】
2H2→4H++4e− (1)
O2+4H++4e−→2H2O (2)
すなわち、燃料電池では、燃料である水素から直接、電気エネルギーを取り出すことができるので、そのエネルギー変換効率が高くなる。
【0004】
一方、近年、携帯電話、モバイルコンピュータやPADなど携帯用電子機器の進歩が目覚しい。これらの携帯用電子機器の進歩に伴って、ますます高エネルギー密度の電源が必要とされている。これまで、その電源としてニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池が主に使用されている。現在、それらの二次電池の高エネルギー密度化が精力的におこなわれている。
【0005】
しかしながら、それらの電源のエネルギー密度を飛躍的に向上させるためには、ブレークスルーが必要である。最近、そのブレークスルーとして燃料電池装置をそれらの電源に適用することが期待されている。燃料電池装置は、燃料のエネルギー変換効率が高いことに加えて、燃料の供給を続ける限り電力を得ることができるので、それらの電源に適する。
【0006】
燃料電池装置では、少なくとも燃料電池本体と燃料を蓄える手段とが必要である。燃料を蓄える手段には、たとえば、高圧容器、液化水素容器や水素吸蔵合金を使用する方法がある。また、改質器によってメタノールやブタンなどの有機化合物から水素リッチガスを生成したのち、そのガスを燃料電池に供給する方法がある。例えば、改質器では、(3)式に示すように炭化水素と水とから水素と二酸化炭素とが生成する。
【0007】
CnH2n+2+2nH2O→nCO2+(3n+1)H2 (3)
さらに、直接、アルコールやエーテルなどを燃料電池に供給する方式がある。
たとえば、メタノールをアノードに供給するダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)では、メタノールをアノードで電気化学的に酸化することによって、プロトンが生成する。アノードでの反応を式(4)に示す。
【0008】
CH3OH+2nH2O→CO2+6H++6e− (4)
なお、カソードでは、(2)式に示した電気化学反応がおこる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
電源のエネルギー密度は、出力と時間との積を電源の容積または質量で除した値であるので、燃料電池装置のエネルギー密度を向上するためには、燃料電池本体の出力およびエネルギー変換効率が高いことと、燃料電池装置および燃料を蓄える手段が軽量で小形であることとが必要である。特に、燃料の搭載量は電力を供給する時間に比例するので、燃料を蓄える手段は軽量小形で多くの水素を供給できることが望ましい。
【0010】
しかしながら、上述のような従来の燃料を蓄える手段は、燃料電池装置の高エネルギー密度化に適していない。例えば、高圧(15MPa)に圧縮した水素ガスを貯蔵するためには、鋼鉄製の高圧容器が用いられるので、その容器は重くなる。さらに、高圧容器を小形した場合、水素ガスに対して高圧容器の重量が多くなる。このために、高圧容器は小形化に適さなかった。
【0011】
また、液化水素を貯蔵した容器では、水素が一日に数%づつ蒸発するボイルオフが避けられないことに加えて、水素を液化する過程でのエネルギー損失やその液化水素を充填する過程での蒸発による損失があるので、経済的ではなかった。
【0012】
さらに、水素吸蔵合金は、水素の貯蔵量が数wt%であるので、高エネルギー密度化するためには、その合金当たりの貯蔵量が不十分である。このために、水素吸蔵合金を用いた貯蔵方法では、十分な小形化ができなかった。
【0013】
一方、メタノールやブタンなどの有機化合物を改質することによって生成した水素リッチガスは一酸化炭素を含む。この一酸化炭素は白金触媒を被毒するので、燃料電池のエネルギー交換効率を著しく低減させる。また、一酸化炭素を除去する装置を用いる方法があるが、燃料電池装置が煩雑になるので小形化には適さなかった。
【0014】
さらに、直接、アルコールやエーテルなどの有機化合物をアノードに供給する燃料電池では、有機化合物の電気化学的な酸化反応の過電圧が大きいので、水素をアノードに供給する燃料電池よりも出力密度が低い。つまり、この燃料電池はエネルギー変換効率が低いので、燃料電池装置の小形化には不向きであった。
【0015】
そこで、本発明の目的は、燃料電池への水素供給方法の改善および燃料電池装置全体の熱効率の向上によって、小形でエネルギー密度が高い燃料電池装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、燃料電池装置において、炭化水素を触媒で水素と炭素とに分解する反応器を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項1の発明によれば、炭化水素を触媒で分解することによって発生した水素が一酸化炭素を含まないので、一酸化炭素による白金触媒の被毒に起因する燃料電池の出力低下がおこらない。したがって、小形でエネルギー密度が高い燃料電池装置を提供することができる。
【0018】
請求項2の発明は、上記燃料電池装置において、炭化水素もしくは水素の燃焼によって発生する熱を前記反応器に供給する熱供給器を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項2の発明によれば、熱供給器から反応器に熱を供給することによって、反応器で炭化水素から一酸化炭素を含まない水素を連続的に発生できるので、連続作動が可能な小形でエネルギー密度が高い燃料電池装置を提供することができる。
【0020】
請求項3の発明は、請求項2に記載の燃料電池装置において、燃料電池から排出される水素を熱供給器に供給することを特徴とする。
【0021】
請求項3の発明によれば、燃料電池から排出される未反応の水素を熱供給器で利用することにより、燃料電池装置の熱効率を向上させることができる。
【0022】
請求項4の発明は、請求項1、2または3記載の燃料電池装置において、炭化水素がブタンであることを特徴とする。
【0023】
請求項4の発明によれば、ブタンの液化は、常温低圧で可能であり、液化ブタンを軽量容器に貯蔵できるので、小形でエネルギー密度が高い燃料電池装置を提供することができる。
【0024】
請求項5の発明は、請求項1、2または3記載の燃料電池装置において、反応器がニッケルあるいはニッケルの化合物を含む触媒を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項5の発明によれば、1000℃以下の低温においても炭化水素の分解反応を起こすことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明は、炭化水素を触媒で水素と炭素とに分解する反応器を備えたことを特徴とする燃料電池装置である。この燃料電池装置では、反応器で炭化水素を触媒で炭素と水素とに分解し、生成した水素を含むガスを燃料電池に供給することによって、電力が得られる。
【0027】
また、本発明は、上記燃料電池装置において、熱供給器を備えたことを特徴とする。熱供給器では炭化水素もしくは水素を触媒燃焼することによって熱を得る。この熱は反応器に供給されて、炭化水素を触媒で炭素と水素とに分解する反応に用いられる。
炭化水素を水素と炭素とに分解する反応を(5)式に示す。
【0028】
CnH2n+2→nC+(n+1)H2 (5)
反応器に酸素が存在しない場合、この分解反応では一酸化炭素や二酸化炭素が生成しない。すなわち、この反応器で得られる水素リッチガスは、メタノール、ブタンやガソリンなどの有機化合物を改質するときに生成物する一酸化炭素のような燃料電池の出力特性の低下を引き起こす成分を含まない。
【0029】
さらに、反応器と熱供給器とは、炭化水素の分解反応に必要な熱を熱供給器から受け取る手段として、熱交換の機能を備えるものである。そして熱は、熱供給器から供給され、反応器で分解反応によって生成した水素は、燃料電池によって電力に変化される。すなわち、本発明の反応器と燃料電池とを備える燃料電池装置を用いることによって、炭化水素を燃料として電力が得られる。
【0030】
分解によって水素を生成する炭化水素として、例えばメタンを用いることができる。メタンが分解する温度は約1000℃であるが、触媒を使用することによって、この温度を低減することができる。
【0031】
本発明は、請求項2記載の燃料電池装置において、燃料電池から排出される水素を熱供給器に供給することを特徴とする。燃料電池に供給される水素の一部は反応しない。この未反応の水素は熱供給器に導入されたのち、触媒燃焼によって熱に変換される。この熱が反応器2に供給されて、炭化水素の分解反応による水素の生成反応に用いられる。このように、燃料電池から排出される未反応の水素を熱供給器で利用することにより、燃料電池装置の熱効率を向上することができる。
【0032】
本発明の燃料電池装置の反応器に、メタン、エタン、プロパン、ブタンあるいはペンタンなどの飽和炭化水素を供給することによって、水素を発生することが可能である。飽和炭化水素は、触媒によって炭素と水素とに分解される。分解反応の例を(5)式に示した。
【0033】
また、本発明の燃料電池装置には、エチレン、プロピレン、ブチレンあるいはペンテンなどのアルカン類、あるいはエチン、プロピン、ブチンやペンチンなどのアルキン類のような不飽和炭化水素を用いることもできる。これらの不飽和炭化水素は、触媒によって炭素と水素とに分解される。アルカン類とアルキン類との分解反応を(6)式と(7)とに、それぞれ示す。
【0034】
CnH2n→ nC+nH2 (6)
CnH2n−2→nC+(n−1)H2 (7)
しかし、飽和炭化水素は、炭素に対する水素の割合が不飽和炭化水素よりも大きいので、水素を供給するためには飽和炭化水素を用いることが好ましい。
【0035】
また、炭素数が4個までの飽和炭化水素は、室温(25℃)、常圧(0.1MPa)では気体である。反応器での分解反応において、炭化水素が気体であることが好ましいけれども、気体の密度は液体よりも低いので燃料電池装置のエネルギー密度を向上するためには、炭化水素を液体で貯蔵することが好ましい。
【0036】
常温、常圧で気体である炭化水素は、温度を下げることあるいは圧力を加えることによって液化される。常圧におけるメタン、エタン、プロパンおよびブタンの液化温度は、それぞれ、−169℃、−89℃、−42℃および−2℃である。炭化水素が液化する温度は、炭素数が小さくなるにしたがって低下する。したがって炭素数が小さい炭化水素を液化するには多くのエネルギーが必要であり、また、その液体した炭化水素は断熱容器に貯蔵しなければならない。
【0037】
しかしながら、ブタンは、室温(25℃)でも0.2MPa程度の圧力を加えることによって容易に液化する。また、ブタンは比較的低圧で液体状態を維持することが可能であるので、樹脂製密閉容器など簡素な密閉容器に貯蔵できる。さらに、この液化ブタンは、密閉容器から放出することによって容易に気化する。
つまり、ブタンは貯蔵や運搬が優れることに加えて容易に気化できるので、本発明の燃料電池装置に適している。
【0038】
炭化水素としてブタンを用いた場合の分解反応式を(8)式に示す。
【0039】
C4H10→4C+5H2 (8)
(8)式の標準エンタルピー変化は125.6kJmol−1である。この反応は、吸熱反応であるので、この水素供給装置は反応器に熱を供給することが必要である。
【0040】
さらに本発明の反応器は、低温でも炭化水素の分解反応を起させる触媒を含む。この触媒には、ニッケルやニッケルの化合物などを用いることができる。
【0041】
触媒としては、ニッケル金属(Ni)や酸化ニッケル(NiO)を用いることができる。また、NiやNiOにアルミニウム(Al)を含ませたのちに、そのAlの一部を取り除くことによって、NiやNiOの表面積を大きくしたものや、NiやNiOにAlあるいは、硫化ニッケル(NiS)を含ませたものを触媒にすることができる。さらに、NiやNiOにスズ(Sn)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)あるいは銅(Cu)などの元素を含ませたものを触媒として用いることができる。
【0042】
触媒を充填した反応器に適度な熱を供給しながら、炭化水素を導入することによって、1000℃以下でも炭化水素の分解反応がおこる。この分解の反応温度は、触媒の種類や表面積に依存する。たとえば、その触媒の表面積は、ニッケルやニッケルの化合物などの粒子を炭化ケイ素などの担体に担持することによって、増大される。表面積が大きい触媒は分解反応に対する活性が高いので、本発明の反応器の触媒に適する。
【0043】
つぎに、炭化水素を水素と炭素とに分解する反応器と、炭化水素もしくは水素を触媒燃焼することによって得られる熱をその反応器に供給する熱供給器とを備える本発明の燃料電池装置について、図面に基づき具体的に説明する。
【0044】
本発明の燃料電池装置の模式図を図1に示す。図1において、1は水素供給装置、2は反応器、3は熱供給器、4は断熱材、5は燃料電池装置、6は炭化水素貯蔵器、7は燃料電池本体、8は炭化水素供給口、9は炭化水素供給管、10は炭化水素導入口、11は炭化水素導入管、12は水素供給管、13は水素供給口、14は排出水素口、15は排出水素導入管、16は空気導入口、17は排気口である。
【0045】
本発明の燃料電池装置5が備える水素供給装置1は、反応器2、熱供給器3、断熱材4および炭化水素貯蔵器6を有する。断熱材4は熱供給器3から熱の放出を防ぐためのものである。熱供給器3は炭化水素導入管11によって炭化水素貯蔵器6と接続される。炭化水素貯蔵器6には炭化水素が蓄えられており、炭化水素は炭化水素導入口10から取り出されたのち、炭化水素導入管11を介して熱供給器3に導入される。
【0046】
熱供給器3には空気導入口16が設けられており、空気導入口16を介して空気が熱供給器3に取り込まれる。そして、導入された炭化水素と空気中の酸素とは、熱供給器3に備えられた白金族金属等を含む触媒上で触媒燃焼する。この触媒燃焼で得られる熱は、熱供給器3と反応器2とが熱的に接触しているので、反応器2に伝達される。
【0047】
また、反応器2は炭化水素供給管9によって炭化水素貯蔵器6と接続される。
炭化水素貯蔵器6に蓄えられた炭化水素は、炭化水素供給口8から取り出されたのち、炭化水素供給管9を介して反応器2に供給され、炭化水素は水素と炭素とに分解される。この分解反応は吸熱反応であるので、その反応に必要な熱は熱供給器3から供給される。分解反応で生成した水素は、水素供給管12を介して取り出される。
【0048】
他方、本発明の燃料電池装置5は、水素供給装置1と燃料電池7とを備える。
この燃料電池7には、水素供給装置1で生成した水素が水素供給管12を経て水素供給口13から供給される。この水素が燃料電池7で電気化学的に反応することによって、その燃料電池7は電力を外部負荷に供給する。
【0049】
本発明によれば、炭化水素を燃料として電力が得られ、さらに、燃料電池装置全体の熱効率を高めることができ、小型でエネルギー密度が高い燃料電池装置を提供することができる。
【0050】
燃料電池7は、単電池21を単数もしくは複数個から構成される。燃料電池7を構成する単電池21の模式図を図2に示す。図2において、21は単電池、22は電解質、23はアノード、24はカソード、25はアノード集電体、26はカソード集電体、27は外部負荷である。
【0051】
単電池21は、電解質22の一方の面にアノード23と他方に面にカソード24とを備える。アノード23はアノード集電体25、カソード24はカソード集電体26をそれぞれ備える。アノード集電体25とカソード集電体26とは、外部負荷27を介して電気的に接続される。
【0052】
アノード23では、(1)式に示すように水素が電気化学的に酸化される。この反応で生成した電子は、アノード集電体25、外部負荷27およびカソード集電体26を経てカソード24に導かれる。そして、カソード24では、(2)式に示すように酸素が電気化学的に還元される。つまり、この単電池21は、水素と酸素とを電気化学的に反応させる電気化学装置である。
【0053】
単電池21が複数個である場合は、使用目的の電力容量や電圧に応じて、単電池21を並列、直列または並列と直列とを混合して電気的に接続することができる。単電池21を並列に接続することによって、大きな電流を取り出すことに適した燃料電池装置5が得られる。また、単電池21を直列に接続することによって、高い電圧を取り出すことに適した燃料電池装置5が得られる。
【0054】
しかしながら、燃料電池7に供給される水素の一部は反応しないので、未反応の水素は燃料電池7の排出水素口14から排出される。この排出された水素は、排出水素導入管15を経て熱供給器3に導入されたのち、熱供給器3で触媒燃焼によって熱に変換される。この熱は、反応器2に供給されて炭化水素の分解反応による水素の生成反応に用いられる。
【0055】
反応器2には、炭化水素が分解することによって炭素が蓄積する。この炭素は洗浄や燃焼することによって除去することができる。炭素を除去した触媒は、再び、炭化水素の分解に対する触媒活性を取り戻す。つまり、反応器2から定期的に生成した炭素を除去することによって、その触媒を繰り返して使用することができる。
【0056】
炭素の除去操作は、燃料電池7に不純物が混入することを防止するために、燃料電池装置5から取り外した状態でおこなうことが好ましい。すなわち、炭化水素の分解で生成する炭素が蓄積した反応器2を水素供給装置1から取り外してから、炭素を反応器2から除去したのちに、再び反応器2を水素供給装置1に装着することができる。
【0057】
熱供給器は、例えば金属製の容器に触媒を充填したものであり、触媒は炭化水素あるいは水素を触媒燃焼させる。触媒には、ニッケル、クロムまたは白金族金属あるいはそれらの化合物等を用いることができ、これらの物質から選んだふたつ以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
また、これらの触媒の微細粒子をアルミナなどのセラミックス担体に担持することによって、触媒の利用率を向上できる。さらに、担体の表面積を大きくすることによっても触媒の利用率を向上できる。例えば、粒子体を焼結することによって多孔質にしたセラミックスや、ハニカム構造のセラミックスを用いることができる。
【0059】
熱供給器3と反応器2とは熱的に接触している。例えば、熱供給器3によって反応器2を取り囲む状態に配置すればよい。さらに、熱供給器3の周囲には断熱材4を配置する。断熱材4によって系外に放出される熱を低減でき、水素供給装置1の熱効率を向上することができる。
【0060】
本発明の燃料電池装置の反応器にアルコールやエーテルなど分子内に酸素を含む有機化合物を供給することによって、水素を発生することが可能である。しかしながら、有機化合物を触媒によって分解する過程で、分子内の酸素が炭素と結合して一酸化炭素を生成する可能性がある。したがって、反応器に供給する有機化合物は、分子内にも酸素原子を含まないことが望ましい。
【0061】
また、反応器に酸素が存在する場合、分解反応の過程で一酸化炭素が生成する可能性があるので、反応器に供給する有機化合物は脱酸素状態であることが好ましい。さらに、有機化合物が水を含む場合は、水蒸気改質反応がおこり、一酸化炭素が生成するの可能性があるので好ましくない。
【0062】
本発明の燃料電池装置に使用する燃料電池の単電池の電解質には、高分子膜、アルカリや酸を含浸したマトリックス、溶融炭酸塩あるいは固体酸化物などを用いることができる。高分子電解質膜は、100℃以下でも電解質として機能するので、燃料電池装置を比較的低温で作動することに適する。例えば、高分子電解質膜としてパーフルオロスルホン樹脂からなる膜を使用できる。この膜は、室温でも良好なプロトン伝導性を示す。この膜を電解質とした燃料電池は、固体高分子形燃料電池と呼ばれる。
【0063】
本発明の燃料電池装置はエネルギー密度が高いので、その装置は電子機器の電源に適している。燃料電池装置のエネルギー密度は炭化水素の量によって決まるので、電子機器に応じて炭化水素の搭載量を選択することができる。電子機器の電力消費量や作動時間に応じて炭化水素の搭載量を変えることによって、電子機器を小形で軽量にすることが可能である。
【0064】
例えば、携帯電話やシェイバーなど比較的小形の充電器用電源として用いる場合は、炭化水素の搭載量を少なくする一方で、電動工具など比較的大形の充電器用電源として用いる場合は、炭化水素の搭載量を多くすることができる。さらに、モバイルコンピュータなど比較的消費電力が大きい電子機器を連続して使用する場合は、燃料電池装置に炭化水素を補給することによって、電子機器を長時間作動することができる。
【0065】
本発明の燃料電池装置の特徴はつぎのとおりである。
【0066】
1、炭化水素を触媒で水素と炭素とに分解する反応器を備えた燃料電池装置である。
【0067】
2、炭化水素を触媒で水素と炭素とに分解する反応器と、炭化水素もしくは水素の燃焼によって発生する熱を前記反応器に供給する熱供給器とを備えた燃料電池装置である。
【0068】
3、燃料電池から排出される水素を熱供給器に供給する燃料電池装置である。
【0069】
4、炭化水素がブタンである燃料電池装置である。
【0070】
5、反応器がニッケルあるいはニッケルの化合物を含む触媒を備える燃料電池装置である。
【0071】
6、反応器を水素供給装置に装着および取り外しができ、炭化水素の分解で生成する炭素が蓄積した反応器を水素供給装置から取り外してから、その炭素を反応器から除去したのちに、再び、その反応器を水素供給装置に装着する燃料電池装置である。
【0072】
7、熱供給器の炭化水素あるいは水素を触媒燃焼する触媒がニッケル、クロムあるいは白金族金属あるいはそれらの化合物のうちから選ばれた少なくともひとつを含燃料電池装置である。
【0073】
8、燃料電池が固体高分子形燃料電池である燃料電池装置である。
【0074】
9、燃料電池が、少なくとも2つ以上の単電池を備え、それらの単電池が電気的に接続されており、その接続が並列あるいは直列である燃料電池装置である。
【0075】
【実施例】
[実施例1]
本発明の水素供給装置の具体例をつぎに説明する。炭化ケイ素の粒子をNi(NO3)2の水溶液に含浸したのち、乾燥、焼成および水素還元をおこなうことにより、ニッケルの微細粒子を炭化ケイ素に担持した。ニッケルの担持量は約10wt%であった。ニッケルを担持した炭化ケイ素約8gをステンレス製の容器に充填した。容器の内容積は、約5.1cm3であり、その重量は約3gとした。また、容器には、底側の面に炭化水素供給管と、上側の面に水素供給管とを接続した。この容器を炭化水素の分解用の反応器とした。
【0076】
つぎに、酸化アルミニウムの粒子をPt(NH3)4(OH)2の水溶液に含浸したのち、乾燥、焼成および水素還元をおこなうことにより、白金の微細粒子をその酸化アルミニウムに担持した。白金の担持量は約3wt%であった。この白金を担持した酸化アルミニウム約10gをステンレス製の容器に充填した。容器の内容積は約5.3cm3であり、重量は約6gとした。この容器を炭化水素の触媒燃焼用の熱供給器とした。
【0077】
反応器、熱供給器および断熱材を備えた装置を実施例1の水素供給装置とした。実施例1の水素供給装置の模式図を図3に示す。図3において、記号はすべて図1と同じものを示す。
【0078】
熱供給器3には、炭化水素導入管11、空気導入口16および排気口17を接続した。また、熱供給器3の中央部分には空間を設けて、その空間に反応器2を納めた。反応器2の外側の側面と熱供給器3の内側の側面とを熱的に接触することによって、熱供給器3から反応器2へ熱が伝達するようにした。さらに、保温のために、反応器2と熱供給器3とを断熱材で覆った。また、反応器2には、炭化水素供給管9と水素供給管12とが設けられ、炭化水素導入管11は炭化水素貯蔵槽6と接続されている。
【0079】
つぎに、この実施例1の水素供給装置の熱供給器にブタンガス3mlmin−1と空気25mlmin−1とを約20分間導入した。水素供給装置の反応器の温度が約500℃に達したときに、熱供給器に導入するブタンガスを1mlmin− 1、空気8mlmin−1とした。つづいて、反応器にブタンガス5mlmin−1の供給を開始した。そして、反応器の水素供給管から放出されたガスを水上置換によって捕集したところ、毎分24.2mlのガスが発生することがわかった。また、捕集したガスの成分を分析し、そのガスには水素が98%含まれることと一酸化炭素が含まれないこととがわかった。
【0080】
[実施例2]
本発明の水素供給装置を備えた燃料電池装置をつぎに説明する。実施例1と同様の水素供給装置に炭化水素貯蔵器と燃料電池とを接続した。この装置を本発明の実施例2の燃料電池装置とした。
【0081】
炭化水素貯蔵器には、ブタンを5g充填した。水素供給装置、炭化水素貯蔵器およびブタンの総重量は、約33.5gであった。燃料電池には電極面積が25cm2の単セルを用い、燃料電池に電子負荷器を接続した。水素供給装置の熱供給器にブタンガス3mlmin− 1と空気25mlmin− 1とを約20分間導入した。反応器の温度が約500℃に達したときに、熱供給器に導入するブタンガスを停止した。つづいて、その反応器にブタンガス5mlmin− 1の供給を開始し、発生したガスを燃料電池に供給することによって、燃料電池は発電を開始した。
【0082】
このとき燃料電池には電流を3.0A流した。この燃料電池では水素が約20.9mlmin− 1消費され、水素利用率は約86%であった。未反応の水素を熱供給器に導入したのちに、熱供給器で触媒燃焼した。この条件で、その燃料電池は出力2.0Wで約6.2時間作動した。
【0083】
つぎに、発電が終了したのちに、燃料電池装置から反応器を取り外した。つづいて、反応器を空気雰囲気において約1000℃に加熱して1時間保った。その後、その反応器を燃料電池装置に装着したのち、上述と同様の条件で燃料電池を発電させた。その結果、ブタン5gで約6.2時間燃料電池を作動することができ、その反応器が繰り返した使用できることを確かめた。
【0084】
[比較例1]
比較例として、水素供給装置の変わりに従来の水素吸蔵合金が充填された金属容器を使用し、この金属容器を燃料電池に接続した以外は実施例2と同様にして、比較例1の燃料電池装置を構成した。水素吸蔵合金の充填量は33.5gとし、水素吸蔵合金には水素の吸蔵量が2%のものを用いた。水素吸蔵合金と金属容器との総重量は45.5gであった。
【0085】
その金属容器から燃料電池に水素供給することによって発電を開始した。水素の利用率は実施例2と同様に約86%とした。この燃料電池は、電流3.0A、出力2.0Wで約6.0時間作動した。燃料電池本体を除くエネルギー密度は、実施例2では370Whkg−1、比較例1では263Whkg−1であり、本発明の燃料電池装置は、従来の燃料電池装置に比べて高エネルギー密度であることがわかった。
【0086】
【発明の効果】
本発明の燃料電池装置の反応器は、炭化水素を触媒で水素と炭素とに分解することによって、純粋な水素を安価に単純な方法で供給することができる。また、本発明燃料電池装置は、燃料電池から排出される水素を触媒燃焼することによって、分解反応に必要な熱を供給するので、熱効率を高くすることができる。
【0087】
本発明の燃料電池装置により、炭化水素を燃料として電力が得られ、さらに、燃料電池装置全体の熱効率を高めることができ、小型でエネルギー密度が高い燃料電池装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池装置の模式図。
【図2】燃料電池を構成する単電池の模式図。
【図3】実施例1の水素供給装置の模式図。
【符号の説明】
1 水素供給装置
2 反応器
3 熱供給器
5 燃料電池装置
7 燃料電池本体
12 水素供給管
21 単電池
Claims (5)
- 炭化水素を触媒で水素と炭素とに分解する反応器を備えたことを特徴とする燃料電池装置。
- 炭化水素もしくは水素の燃焼によって発生する熱を前記反応器に供給する熱供給器を備えたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池装置。
- 燃料電池から排出される水素を熱供給器に供給することを特徴とする請求項2記載の燃料電池装置。
- 炭化水素がブタンであることを特徴とする請求項1、2または3記載の燃料電池装置。
- 反応器がニッケルあるいはニッケルの化合物を含む触媒を備えることを特徴とする請求項1、2または3記載の燃料電池装置。
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JP2002216701A JP2004063127A (ja) | 2002-07-25 | 2002-07-25 | 燃料電池装置 |
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Country | Link |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007102342A1 (ja) | 2006-03-01 | 2007-09-13 | Aquafairy Corporation | 液体定量排出装置及び液体定量排出方法 |
JP2008105878A (ja) * | 2006-10-24 | 2008-05-08 | Aquafairy Kk | 水素発生装置 |
-
2002
- 2002-07-25 JP JP2002216701A patent/JP2004063127A/ja active Pending
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