JP2004062904A - 複数ディスプレイによる対話型制御システムとその制御方法 - Google Patents
複数ディスプレイによる対話型制御システムとその制御方法 Download PDFInfo
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Abstract
【目的】共有画面上の表示に関連する情報を個人用画面ですばやく参照できるようにする。
【構成】ポインタ15は運転担当用として登録されたマウスと連動している。ポインタ35は点検担当用として登録されたマウスと連動している。
ポインタ15で大画面1をポインティングすると、運転担当向けの情報が手元画面10に表示され、ポインタ35で大画面1をポインティングすると、点検担当向けの情報が手元画面30に表示される。
【効果】他のオペレータの邪魔をすることなく、自分に必要な情報だけを参照できる。
【選択図】 図11
【構成】ポインタ15は運転担当用として登録されたマウスと連動している。ポインタ35は点検担当用として登録されたマウスと連動している。
ポインタ15で大画面1をポインティングすると、運転担当向けの情報が手元画面10に表示され、ポインタ35で大画面1をポインティングすると、点検担当向けの情報が手元画面30に表示される。
【効果】他のオペレータの邪魔をすることなく、自分に必要な情報だけを参照できる。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複数のディスプレイを対話操作する対話処理装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の監視制御システムは、オペレータ全員がシステムの状態を常時一目で把握できるよう、前方の大画面にはシステム全体の系統図や、異常が発生したことを知らせる警報などの概要情報が表示される。一方、オペレータごとに用意された手元画面には、より詳細な情報が集約表示される。手元画面に表示される詳細情報の量は膨大で、大規模なシステムでは数百画面分に及ぶことも少なくない。
【0003】
オペレータは大画面と手元画面の両方を使って監視業務を行う。大画面上の概要情報を見てシステム全体の状況を把握し、何か異常が発生すれば、手元の画面でより詳細なデータを調べたり、必要な調整操作を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のシステムでは、大画面と手元画面の表示内容が全く独立に管理されていたため、両者を関連付けて参照するのに繁雑な操作が必要であった。例えば、大画面上で警報が点滅したとき、その警報に関連する制御データを手元画面で確認したいと思っても、オペレータが自分で繰返しメニューを選択して何百もの画面の中からその制御データが表示されている画面を探し出さなければならなかった。このため、異常発生時や事故時などの緊急時に対応が遅れるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、大画面上で対象を指定するだけで、関連する詳細情報が参照できるようなマンマシンインタフェースを提供することである。例えば、大画面上で点滅する警報をポインティングすると、より詳しい警報の内容や関連する制御データが表示されたり、系統図上の機器をポインティングすると、その機器に関連する制御データや設定器が表示されるようなマンマシンインタフェースである。
【0006】
このようなマンマシンインタフェースを実現する上で考慮しなければならないのは、大画面が複数のオペレータに共有されている点である。監視制御システムは、運転を担当するオペレータ,保守点検を担当するオペレータ、それらを統括するオペレータ長など、異なる作業を担当する複数のオペレータが協調しながら運転している。個々のオペレータごとに用意される手元画面と異なり、大画面は異なった作業を同時に進めているオペレータに共同で使用されることになる。このため、上述のインタフェースは下記要件を満たす必要がある。
【0007】
(1)他のオペレータの作業を妨害しないこと
あるオペレータだけに必要な情報を勝手に大画面に表示すると、他のオペレータが見ていた情報を隠してしまう可能性がある。
【0008】
(2)各オペレータが自分の作業に必要な情報を簡単に取り出せること
担当している作業内容によって必要な情報も異なる。例えば、大画面上でボイラの異常を示す警報が点灯したとき、運転担当のオペレータは燃料流量などの制御データを、保守担当のオペレータはボイラの点検記録を調べる。従って、他のオペレータ向けの情報に紛れることなく、自分に必要な情報だけを素早く参照できる必要がある。
【0009】
(3)各オペレータの作業分担に合った操作環境が提供できること
担当する作業に応じて、よく使うコマンドや操作の権限が異なるため、メニューの構成や操作可能範囲などの操作環境をオペレータごとに変更できることが望ましい。
【0010】
上記要件を満たすマンマシンインタフェースを提供することが本発明の目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば上記目的は、複数の入力手段と複数の出力手段をもつ対話処理装置において、入力手段にそのオペレータの属性を登録する登録手段と,入力手段からの処理要求に応動してその属性に基づいた処理内容を選択する処理選択手段と,前記処理選択手段によって選択された処理を実行し、その属性に基づいて選択した出力手段に出力する実行手段とを持つことにより達成される。
【0012】
【作用】
前記登録手段を用いてオペレータは自分の属性、例えば担当作業を自分の使う入力手段に登録する。オペレータが入力手段から関連情報の表示やメニューの表示などの処理を要求すると、処理選択手段は入力手段に登録されたオペレータの属性を調べ、その属性に合った処理を選択する。実行手段は処理選択手段によって選択された処理を実行し、その結果をオペレータの属性に合った出力先、例えばオペレータの手元画面に出力する。このようにオペレータの属性に基づいて処理を実行することで、オペレータに必要な情報だけを表示したり、オペレータの作業のしやすい操作環境を提供できる。またオペレータの属性に合わせて出力先を選択することにより、他のオペレータの邪魔をすることなく自分に必要な処理を実行できる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施例であるプラント監視制御システム91の全体構成を示している。1は大型ディスプレイ(以下、大画面と呼ぶことにする)でプラント全体の概要情報(系統図,主要な警報,重要な制御データ,主な監視映像など)が表示される。大画面1への表示はワークステーション2が行う。プラントを運転する個々のオペレータの手元にはそれぞれディスプレイ10,30,50が置かれる。以下ではディスプレイ10,30,50を手元画面と総称することにする。オペレータは大画面1に表示される概要情報を見てプラント全体の状況を把握し、気になる点があれば各人の手元画面でより詳細な情報を調べたり、必要に応じて設定操作をする。手元画面10,30,50への表示はそれぞれワークステーション11,31,51が行う。ワークステーション11,31,51にはそれぞれマウス12,32,52、キーボード13,33,53、ヘッドセット14,34,54が接続される。オペレータはマウスを使って手元画面10, 30,50上の位置や大画面1上の位置を指定する。ヘッドセットはヘッドホンにマイクが付いたもので、オペレータはヘッドセットを装着することにより、システムからの音声出力を聞いたり、システムに対して音声を入力する。またワークステーション2,11,31,51はローカルエリアネットワーク90によって相互に接続され、お互いに情報をやりとりできる。さらに、図示されていないがローカルエリアネットワーク90には各種制御計算機,機器のコントローラなどが直接的、あるいは他のネットワークを介して間接的に接続されており、ワークステーション2,11,31,51はプラント内の各種制御情報にローカルエリアネットワーク90を介してアクセスできる。
【0015】
なお図1には3台の手元画面10,30,50を図示しているが、オペレータの人数に合わせて適宜台数を増やしたり、減らしたりできることはいうまでもない。また図1では1台の大画面を図示しているが、必要に応じて複数台の大画面を用いてもよい。また大画面として、複数台の大画面をシームレスに接合したものを用いてもよい。さらにヘッドセットの替りに、オペレータごとにスピーカとマイクを用意してもよい。
【0016】
本発明の概念を図22を用いて説明する。図22において、ワークステーション200とワークステーション250はネットワーク230に接続され、互いに任意の情報をやり取りできるようになっている。図22には図示されていないが、ネットワーク250にはワークステーション250と同じ構成の他のワークステーションも接続されている。ワークステーション200の処理実行部201は出力処理部202を介して出力装置205に情報を表示するとともに、ネットワーク230に接続されたワークステーションの出力装置にも情報を出力する。
【0017】
ワークステーション250は使用開始時に属性が登録される。属性登録処理部257は入出力処理部252を介して属性登録のためのメニューを出力装置256 に表示する。前記メニューが入力装置255によって選択されると、属性登録処理部257は選択された属性を属性記憶部253に登録するとともに、ネットワーク230を介してワークステーション200の属性記憶部203に前記選択された属性と出力装置256との対応関係を記憶する。
【0018】
入力装置255からの入力情報は、入出力処理部252を介して処理実行部 251に送られる。処理実行部251は、入力情報が出力装置256の表示上の位置を指定するものである場合には、反応処理を実行しその結果を出力装置256 に出力する。一方、入力情報が出力装置205の表示上の位置を指定するものである場合には、属性記憶部253から呼び出した属性とともに入力情報をワークステーション200の処理実行部201に送る。処理実行部201は送られてきた入力情報と属性に対応する応答処理を実行する。処理実行部201は実行結果を、属性記憶部203より読み出した前記送られてきた属性に対応する出力装置に対して行う。
【0019】
図2に大画面1の一表示形態を示す。大画面1には系統図5や警報4などのプラントの概要情報が表示されている。プラントの異常が検知されると、それに関連する警報4の項目が点滅する。重要な異常の場合には警報4の点滅に加え、ヘッドセット14,34,54から警報音が鳴る。3は大画面1の表示を制御するための画面制御メニューである。画面制御メニュー3を選択することにより、大画面1に、(1)前の画面を表示する、(2)次の画面を表示する、(3)天候情報を表示する、(4)監視映像を表示する、(5)各種系統図を表示する、などの表示が可能である。各ポインタ15,35,55はそれぞれどのマウスに連動しているか識別しやすいように、異なる色に彩色されている。もちろんポインタ15,35,55を色分けする替りに、形状を変えたり、操作しているオペレータの属性(担当名,名前など)の情報を付加したりしてもよい。ポインタ15,35,55はそれぞれ手元画面10,30,50と大画面1との間を連続的に移動させることができる。これについては後で図4〜図6を用いて詳しく説明する。
【0020】
図3に手元画面10の一表示形態を示す。以下では手元画面10を例に実施例を説明するが、その説明内容は特に断らない限り他の手元画面30,50にも適用される。10は手元画面10に表示されたプラントの詳細情報の一例である。手元画面10には、札掛けアイコン17,担当アイコン16が表示される。札掛けアイコン17は手元画面10や大画面1に音声によるメモを貼る機能を提供する。担当アイコン16は手元の入出力装置、すなわち手元画面10,マウス12,キーボード13,ヘッドセット14を使用するオペレータの作業担当(運転担当,点検担当,当直長など)を登録する機能を提供する。担当アイコン16上には現在登録されている、すなわち画面10を現在使っているオペレータの作業担当が明示される。図3の場合はアイコン16上に「運転」と表示されており、運転担当のオペレータが登録されていることがわかる。
【0021】
図4〜図6を用いて大画面1と手元画面10間でのポインタ15の移動方法について説明する。本実施例では図4に示すように、マウス12を前方に動かすだけで、手元画面10から大画面1に連続的にポインタが移動する。すなわち手元画面10にポインタがある状態からマウス12を前方に動かしていくと、ポインタ15が手元画面10の上部に向かって移動し、いずれ手元画面10の最上部に至る。なおもマウス12を前方に動かすと、ポインタ15が大画面1の最下部に移動し、続けてマウス12を動かし続ければ、大画面1の上部にポインタ12が移動して行く。また逆に大画面1にポインタ15が表示されている状態から、マウス12を手前に引いてくると、大画面1の最下部にポインタ15が至り、なおもマウス15を手前に引くと、手元画面10の最上部にポインタ15が移動する。
【0022】
手元画面10から大画面1にポインタ15が移動した瞬間のポインタ15の表示位置は図4に示すように決める。すなわち手元画面10を出るときのポインタ15の水平方向の位置をxと手元画面10の水平方向の画素数をh,大画面1に入る瞬間のポインタ15の位置をX,大画面1の水平方向の画素数をHとすると、x:h=X:HとなるようにXを決める。同様に大画面1から手元画面10にポインタが移動する際も、x:h=X:Hとなるようにxを決める。
【0023】
大画面1が複数のディスプレイから構成されるときは、それらのディスプレイが継目無く接合されているものとして、図4で説明したようにポインタ15の表示位置を決定する。図5に大画面1が2つのディスプレイ6,7から構成されている場合を示す。各ディスプレイ6,7の画面幅はdからなりXを(X1+d)に、Hを2dに置換すればXまたはxが求められる。
【0024】
図4では手元画面10の上部があたかも大画面1の下部全体に接合しているかのようにポインタ15を行き来させる方法を説明したが、図6に示すように、手元画面10の上部が大画面1の下部の一部に接合するかのようにポインタ15を行き来させる方法を用いてもよい。大画面1の下部のどの範囲と接合させるかは、大画面1と手元画面10の配置関係などに基づいて決めればよい。すなわち大画面1に向かって左の方に手元画面10が配置されている場合には、大画面下部の左側部分のある範囲d1からポインタ15が出入りするようにXを(X−d1)とし、Hを(H−d1−d2)する。ここでd2は、手元画面10の右端が大画面1に向かって右の方に配置されるときの大画面1の右端からの距離である。また逆に右側に手元画面10が置かれているなら、大画面1下部の右側部分のある範囲からポインタ15が出入りするようにする。
【0025】
ポインタ15の大きさ(画素数)は大画面1に表示する場合と、手元画面10に表示する場合とで変えるようにしてもよい。特に手元画面10と大画面1とを離して配置する場合には、大画面上のポインタ15の表示サイズを大きくした方が見やすくなる。例えば手元画面10では16画素×16画素でポインタ15を表示し、大画面1上では36画素×36画素でポインタ15を表示する。こうすることにより、離れた大画面上でもポインタが見やすくなる。
【0026】
以上の方法の利点は、(1)ポインティングデバイスを持ちかえることなく、手元画面10と大画面の位置を連続的に指定できること、(2)手元画面10と同じ感覚で大画面を対話操作できること、(3)(2)により学習が容易であること、である。
【0027】
本実施例では、オペレータが操作を開始する場合、まず自分の作業担当をシステムに登録する。システムは登録された担当に基づいて、サービスを提供する。例えば担当作業に適した操作環境を整えたり、担当作業に必要な情報だけを簡単に取り出せるようにしたり、担当ごとに操作権限を設定したりする。ここで操作環境とはメニューの項目や、その並び順,デフォルトの設定,操作権限などのことである。
【0028】
担当作業の登録方法を図7,図8を用いて説明する。図7は担当登録時の画面形態の一例を示す図である。図8は担当作業を登録する手順を示すPAD図である。手元画面10上の担当アイコン16をマウス12で指示すると(ステップ 100)、担当選択用メニュー18が手元画面10に表示される。担当選択用メニュー18の項目は下記である。
【0029】
「運転」:運転担当向けのサービスを受けたい場合に選択する。
【0030】
「点検」:点検担当向けのサービスを受けたい場合に選択する。
【0031】
「当直長」:当直長向けのサービスを受けたい場合に選択する。
【0032】
「全権」:担当を限定しないサービスを受けたい場合に選択する。システムの調
整時や、一人で運転しなければならない場合に選択する。
【0033】
「一般」:誤った操作をしてもシステムに大きな障害をもたらさない範囲のサービスを受けたい場合に選択する。システムに熟知していない人がシス
テムの運転を実地体験して見たい時などに選択する。
【0034】
担当選択用メニュー15の所望の項目をマウス12で選択すると(ステップ 101)、パスワード入力領域19が表示される。各担当ごとに決められたパスワードを入力すると(ステップ102)、システムにオペレータの担当が登録され、担当アイコン16上に、登録された担当名が表示される。なお、作業担当を変更したい場合には、登録時と同じ手順(図8)を行えばよい。
【0035】
システムは、オペレータの担当と、そのオペレータが使う入出力デバイスとの対応を図9,図10に示すテーブルを用いて管理する。図9では、マウス12,32,52、キーボード13,33,53、ヘッドセット14,34,54等の入力デバイスIDと、その入力デバイスを使うオペレータの担当との対応表120 により、入力デバイスIDをキーにしてその入力デバイスを使っているオペレータの担当を検索できる。
【0036】
図10において、オペレータの担当と、そのオペレータが使う手元画面10,30,50、ヘッドセット14,34,54等の出力デバイスIDとの対応表 121により、オペレータの担当をキーにして、そのオペレータが使っている出力デバイスを検索できる。
【0037】
図11を用いてプラント監視制御システム91の使用形態の一例を説明する。オペレータが大画面1上の表示物を手元のマウスを用いてポインティングすると、ポインティングされた表示物に関連し、かつそのオペレータの担当作業に必要な詳細情報がそのオペレータの手元画面10,30,50に表示される。図11は運転担当のオペレータが手元画面10を使用し、点検担当のオペレータが手元画面30を使っている状態を示している。運転担当オペレータがマウス12を使って大画面1に表示されている系統図上のボイラをポインティングすると、手元画面10にボイラの制御データを設定するための表示20が表示され、ボイラの運転操作を行える。一方、点検担当オペレータが手元のマウス32を使って、同じく大画面1上のボイラをポインティングすると、手元画面30に現場にあるボイラの監視映像が表示され、現場にあるボイラの状態を点検できる。
【0038】
図11では大画面1のポインティングに応じて手元画面10,30,50に情報を表示する例を説明したが、情報を音声で出力するようにしてももちろんよい。情報を音声で出力する場合にも、その情報を必要とする担当者にだけ出力するようにする。例えば運転担当のオペレータが、手元のマウス12を使って大画面1上の表示物をポインティングした場合、その表示物に関連する情報を音声で運転担当の装着しているヘッドセット14に出力する。また情報だけでなく大画面1上での操作に対応する音声フィードバックも、その操作者だけに出力するようにする。例えばポインティングするたびにピッという音をフィードバックする場合、ポインティングしたオペレータのヘッドセット14にだけ出力し、他のオペレータが使っているヘッドセットには出力しない。すなわち、運転担当のオペレータが手元のマウス12を使って大画面1上の表示物をポインティングした場合、ピッという音を運転担当の装着しているヘッドセット14に出力する。
【0039】
また、大画面1上での誤った操作に対応するエラーメッセージも、操作したオペレータの手元画面10またはヘッドセット14に出力する。もちろん他のオペレータも参照する必要のあるエラーメッセージはそれらのオペレータにも出力する。
【0040】
このように大画面1上の表示情報に関連する情報を、手元のマウス12でポインティングするだけで簡単に参照できる。またポインティングしたオペレータの出力デバイスに情報を出力することによって、他のオペレータの邪魔をすることがない。大画面1は他のオペレータと共同で使われているため、大画面1に特定のオペレータにだけ必要な情報を表示してしまうと、他のオペレータが見ている情報を隠してしまう可能性がある。また、音声を出力する場合にも全員に聴こえるように出力したのでは、その音声出力を必要としないオペレータの邪魔になるだけである。さらに、ポインティングしたオペレータの担当作業に合わせて情報を選択表示することにより、他のオペレータ向けの情報に惑わされることなく、自分に必要な情報だけに簡単にアクセスできる。
【0041】
大画面1は異なった作業を担当する複数のオペレータによって共同で使用される。それぞれの作業を遂行するのに適した操作環境はそれぞれ異なるため、プラント監視制御システム91は、大画面1を対話操作しているオペレータの作業担当に応じて大画面1上の操作環境を提供する。
【0042】
図12にオペレータの担当に応じてメニュー項目の並び順を変える例を示す。22は運転担当のオペレータが手元のマウス12を用いて大画面1上の系統図5のシンボルをポインティングすると表示されるメニューである。メニュー22を選ぶことによって、ポインティングしたシンボルに関連する3つの情報、「データ設定」,「監視映像」,「点検記録」のうちの一つを手元画面10に表示できる。ここでメニュー22の項目の並びは運転担当がよく選択する順に上から並べられている。一方、点検担当オペレータが系統図5上のシンボルをポインティングすると、メニュー42が表示される。メニュー42の項目の内容はメニュー 22と同じであるが、項目の並び順は点検担当の選択する頻度順、すなわち「監視映像」,「点検記録」,「データ設定」の順に並べられている。
【0043】
図13に担当に応じて操作権限を変える例を示す。大画面1上の表示内容を制御するための画面制御アイコン3は、当直長だけに操作権限が与えられている。手元画面10に登録した当直長が手元のマウス12を使って画面制御アイコン3をポインティングすると、画面制御メニュー6が表示される。当直長は画面制御メニュー6を選択することにより、大画面1の表示内容を変更できる。しかし、運転担当オペレータや点検担当オペレータが画面制御アイコン3や画面制御メニュー6の項目をポインティングしても無視される。
【0044】
以上では、オペレータの操作に応じて何等かの情報をオペレータに出力する場合について説明したが、警報などのような情報はシステム主導でオペレータに出力する場合もある。この場合も、その情報を必要とする作業担当オペレータのところにだけ出力するようにする。例えば運転担当オペレータだけが対処すればよい警報が発生したことを知らせる警報音は、運転担当オペレータのヘッドセット14に出力する。
【0045】
大画面1が大きすぎてオペレータの視野に入りきらない場合、視野外に何か情報が表示されてもオペレータが気が付かないことがある。そこで大画面1への表示に同期して音を表示位置に定位するように鳴らす。これにより、オペレータが大画面1を見ていなくても、何か新たな情報が表示されたことがわかる。しかも音が表示位置に定位しているのでどこに表示されたかが概ねわかる。表示に同期して音を鳴らす際に、その表示情報を参照する必要のある作業を担当しているオペレータにだけ音を出力するようにする。例えば運転に関する情報を表示する際に鳴らす音は、運転担当のヘッドセット14にだけ出力する。
【0046】
図14および図15を用いて、音声による札掛けに付いて説明する。ここでいう札掛けとは、音声によるメモを大画面1や手元画面10,30,50上の表示物に貼り付けることをいう。図14に示すように、マウス12を用いて札掛けアイコン17をポインティングすると、札掛けメニュー23が表示される。札掛メニュー23の項目「生成」を選択すると、アイコン24が手元画面10上に表示される。次に札掛けメニュー23の項目「録音」を選択すると、ヘッドセット
14のマイクから入力された音声が録音される。音声の入力が終了したら札掛けメニュー23の項目「終了」を選択すると録音が終了し、同時に札掛けメニュー23の表示が消去される。アイコン24をマウス12の右ボタン等でクリックすると、録音した音声が再生される。音声はクリックしたオペレータのヘッドセットから再生される。例えば運転担当オペレータが手元のマウス12を用いてアイコン24をクリックすれば、ヘッドセット14から録音された音声が出力され、点検担当オペレータが手元のマウス32を使ってアイコン24をクリックすれば、ヘッドセット34から音声が再生される。
【0047】
アイコン24はドラッグして手元画面10及び大画面1内の任意の表示物のところに置くことができる。アイコン24のドラッグは、ポインタ15をアイコンの上に移動し、マウス12の左ボタン等を押し下げながらマウス12を動かして行う。図15にアイコン24をドラッグして、大画面1上の系統図5のボイラのところにアイコン24を移動する様子を示す。
【0048】
図16〜図20を用いてシステム19の実現方法を説明する。システム19を実現するプログラムはワークステーション2,11,31,51のいずれか一つのワークステーション上で実行するよう構築してもよいし、ワークステーション2,11,31,51の幾つかまたは全てのワークステーション上で実行されるように構築してもよい。
【0049】
図16の表示オブジェクトごとに管理されるイベント/実行処理対応テーブル130において、イベントは種別とボタン番号と担当との3つの項目からなる。種別には下記があり、イベントの種類を指定する。
【0050】
(1)「ボタン押し下げ」:マウスのボタンを押し下げると発生するイベントの
種別。
【0051】
(2)「ボタン解放」:マウスのボタンを解放すると発生するイベントの種別。
【0052】
(3)「キー押し下げ」:キーボードのキーを押し下げると発生するイベントの
種別。
【0053】
(4)「キー解放」:キーボードのキーを解放すると発生するイベントの種別。
【0054】
ボタン番号は、イベントがどのボタンまたはどのキーによって引き起こされたかを指定する。担当はそのイベントを発生させたオペレータの作業担当を指定する。
【0055】
実行処理はルーチンと出力の2つの項目からなる。ルーチンにはイベントが発生したときに実行すべき処理が格納され、出力はどのオペレータが使っている出力装置に出すかを指定する。オペレータの指定は、作業担当を指定して行う。すなわち出力先に運転担当が指定されていれば、運転担当のオペレータが使っている出力装置に出力される。
【0056】
図17に出力先を指定するフォーマット131を示す。フォーマット131の各ビットが各作業担当に対応しており、出力すべき担当に対応するビットは「1」、出力しない担当に対応するビットは「0」が指定される。例えば運転担当と点検担当のオペレータ両方に出力したい場合には、フォーマット131の2ビット目と3ビット目を「1」に、それ以外のビットを「0」にする。
【0057】
大画面1に表示されている表示オブジェクトがポインティングされたときの処理フローを、図18を用いて説明する。イベント入力ステップ140では、ワークステーション11,31,51の入力イベントキューを調べる。入力イベントキューにイベントが格納されていれば、そのイベントを取り出す。イベントは、そのイベントを発生した入力デバイスID、そのイベントを発生したボタン番号、イベントが発生した位置などの情報を含む。ステップ141では、取り出したイベントの入力デバイスIDをキーにしてテーブル120(図9)を検索し、そのイベントを発生させたオペレータの担当を検索する。ステップ142ではイベントの発生位置に基づいて、イベントが発生した位置にある表示オブジェクトを探す。
【0058】
イベント発生位置に表示オブジェクトがなければ(ステップ143)、ステップ140に戻り次の入力イベント処理に入る。イベント発生位置に表示オブジェクトがあれば(ステップ143)、ステップ144に進む。ステップ144ではステップ142で検索した表示オブジェクトのイベント/実行処理対応テーブル130の入力イベント項目のうち、入力イベントの種別,ボタン番号,担当に適合するものがあるかどうかを調べる。入力イベントに適合するイベント項目があれば(ステップ145)、対応する実行処理項目の出力先を取り出し、出力先に格納されている担当をキーにしてテーブル121(図10)を検索し、出力デバイスIDを取り出しルーチン実行時の出力先としてその出力デバイスIDを設定する(ステップ146)。そして実行処理項目のルーチン項目に格納されているルーチンを実行する(ステップ147)。
【0059】
ステップ144で入力イベントに適合するイベント項目が見つからなければ (ステップ145)、ステップ142に戻り、イベント発生位置にある別なオブジェクトを探す。以上の処理をプラント監視制御システム91が終了するまで (ステップ148)繰り返す。
【0060】
図19,図20を用いて、マウス12による手元画面10と大画面1のポインティングを実現する方法を説明する。手元画面10を例に説明するが、他の手元画面30,50の場合も全く同様である。図19において、Hは大画面1の水平方向の画素数,Vは垂直方向の画素数,hは手元画面10の水平方向の画素数,vは垂直方向の画素数,qは1画素または数画素である。
【0061】
またマウス12からの入力に応じて、ワークステーション11内で更新される座標値を(curx,cury)とする。マウス12が動かされると、その移動量(dx,dy)がワークステーション11に報告され、(curx,cury)は下式により更新される。
(curx,cury)=(curx,cury)+(dx,dy) …(数1)
ただし、
0≦curx<h,0≦cury≦v …(数2)
すなわち更新された結果、数2の領域の外にでる場合には、(curx,cury)は境界上の値に設定される。例えば数1の結果、curyが−2になったとすると、curyは0に設定される。なお大画面1および手元画面10の座標原点は左上とする。
【0062】
図20を用いてマウス12による手元画面10と大画面1のポインティングを実現する方法の処理フローを説明する。処理開始時には、q<cury<vに初期設定されており、ポインタは手元画面10の(curx,cury)の位置にポインタが表示される(ステップ162)。cury>qである限り(ステップ160)、マウス 12のボタンが押されるなどのイベントが発生すると、手元画面10上の表示オブジェクトに対してイベント処理を実行する(ステップ163)。マウス12が前方に動かされて、cury<qになると、ポインタは大画面上に移動する。すなわちcuryの値をhV/Hに設定し(ステップ164)、大画面上の(curX,curY)=(HcurX/h,Hcury/h−1)の位置(ステップ166)にポインタを表示する(ステップ167)。cury<hV/Hである限り(ステップ165)、マウス 12のボタンが押されるなどのイベントが発生すると大画面1の表示オブジェクトに対してイベント処理を実行する(ステップ168)。
【0063】
上記実施例では、オペレータの担当作業を登録し、担当作業と入出力デバイスとの対応関係を管理することにより、担当作業に合わせて情報を表示したり、大画面上の操作環境を設定したが、担当作業以外のオペレータの属性を用いてもよい。例えば、名前,年齢,序列,階級,性別,母国語,熟練度などを登録するようにしてもよい。また一つの属性だけでなく、複数の属性を論理式で結合したものを登録するようにしてもよい。これによって、サービスの内容をオペレータの様々な属性に合わせて提供できるようになる。
【0064】
また上記実施例ではオペレータの属性はメニューを選択して登録する方法を用いたが、オペレータの属性をプラント監視制御システム91が認識するようにしてもよい。例えばディスプレイ10の前に座ったオペレータの顔からオペレータが誰であるか認証したり、マイクから入力した音声の声紋からオペレータが誰であるか認証するようにしてもよい。
【0065】
また上記実施例ではオペレータの属性は操作開始時に登録するようにしたが、オペレータの属性をシステムが知る必要が生じた時点でオペレータに問いかけたり(属性を選択するためのメニューを表示する)、認証処理を開始するようにしてもよい。
【0066】
上記実施例では大画面1のポインティングにマウスを用いたが、レーザポインタを用いるようにしてもよい。大画面1上のポインティング位置は、大画面のスクリーンを全面または背面からカメラで撮影し、その映像を画像処理してレーザ光の位置を検出する。複数のレーザポインタを用いるときのデバイスIDの識別は、レーザポインタごとにレーザ光の色を変え、その色を認識することにより行えばよい。同様に赤外線ポインタを用いてもよい。この場合には赤外光の周波数を変えてデバイスを区別する。
【0067】
上記実施例では、手元画面10と大画面1間でポインタ15を、手元画面10の上辺と、大画面1の下辺の全体または一部とが接合しているかのように移動するようにしていたが、図21に示すように、手元画面10の横(左辺や右辺)からも大画面に移動できるようにしてもよい。また手元画面10と大画面1間でポインタ15をどのように移動できるようにするかを、大画面1と手元画面10との位置関係に応じて設定できるようにしてもよい。これにより、手元画面10の延長上に大画面1があるような感覚で操作でき、オペレータにとってより自然なインタフェースが実現できる。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば下記の効果がある。
【0069】
(1)操作したオペレータに合わせて処理を実行できる。
オペレータが使う入力手段に対応してオペレータの属性を登録し、オペレータが入力手段を用いて操作したとき、その入力手段に登録されているオペレータの属性を調べ、属性に合わせて実行する処理を選択することにより、操作したオペレータに合わせて処理を実行できる
【0070】
(2)操作したオペレータに合わせて出力先を選択でき、他のオペレータの作業を妨げないようにできる。
オペレータが使う入力手段に対応してオペレータの属性を登録し、オペレータが入力手段を用いて操作したとき、その入力手段に登録されているオペレータの属性を調べ、属性に合わせて処理結果の出力先を選択することにより、他のオペレータの邪魔にならないように出力できる。
【0071】
(3)操作環境をオペレータに合わせて設定できる。
オペレータが使う入力手段に対応してオペレータの属性を登録し、オペレータが入力手段を用いて操作したとき、その入力手段に登録されているオペレータの属性を調べ、属性に合わせて操作環境を設定することにより、操作したオペレータに合った操作環境を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプラント監視制御システム91の全体構成図。
【図2】大画面1の一表示形態を示す図。
【図3】手元画面10の一表示形態を示す図。
【図4】手元画面10と大画面1間のポインタの一移動形態を示す図。
【図5】手元画面10と大画面1間のポインタの一移動形態を示す図。
【図6】手元画面10と大画面1間のポインタの一移動形態を示す図。
【図7】担当作業登録時の一画面形態を示す図。
【図8】担当作業を登録する手順を示すPAD図。
【図9】入力デバイスIDと登録された担当作業との対応テーブルを示す図。
【図10】登録された担当作業と出力デバイスIDとの対応テーブルを示す図。
【図11】大画面1と手元画面10及び30の一表示形態を示す図。
【図12】大画面1の一表示形態を示す図。
【図13】大画面1の一表示形態を示す図。
【図14】手元画面10の一表示形態を示す図。
【図15】大画面1と手元画面10の一表示形態を示す図。
【図16】入力イベントと実行処理との対応テーブルを示す図。
【図17】出力先を指定するフォーマットを示す図。
【図18】ポインティング時の処理フローを示す図。
【図19】手元画面10と大画面1のポインティングの実現方法を示す説明図。
【図20】手元画面10と大画面1のポインティングの実現方法の処理フローを示すPAD 図。
【図21】手元画面10と大画面1間のポインタの移動形態を示す図。
【図22】本発明のシステム構成図。
【符号の説明】
1…大画面、2,11,31,51…ワークステーション、10,30,50…手元画面、12,32,52…マウス、14,34,54…ヘッドセット、 15…マウス12と連動して動くポインタ、35…マウス32と連動して動くポインタ、55…マウス52と連動して動くポインタ、16…担当アイコン、18…担当選択メニュー、90…ネットワーク、91…・プラント監視制御システム、120…入力デバイスID/担当作業対応テーブル、121…担当作業/出力デバイスID対応テーブル、130…入力イベント/実行処理対応テーブル。
【産業上の利用分野】
本発明は、複数のディスプレイを対話操作する対話処理装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の監視制御システムは、オペレータ全員がシステムの状態を常時一目で把握できるよう、前方の大画面にはシステム全体の系統図や、異常が発生したことを知らせる警報などの概要情報が表示される。一方、オペレータごとに用意された手元画面には、より詳細な情報が集約表示される。手元画面に表示される詳細情報の量は膨大で、大規模なシステムでは数百画面分に及ぶことも少なくない。
【0003】
オペレータは大画面と手元画面の両方を使って監視業務を行う。大画面上の概要情報を見てシステム全体の状況を把握し、何か異常が発生すれば、手元の画面でより詳細なデータを調べたり、必要な調整操作を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のシステムでは、大画面と手元画面の表示内容が全く独立に管理されていたため、両者を関連付けて参照するのに繁雑な操作が必要であった。例えば、大画面上で警報が点滅したとき、その警報に関連する制御データを手元画面で確認したいと思っても、オペレータが自分で繰返しメニューを選択して何百もの画面の中からその制御データが表示されている画面を探し出さなければならなかった。このため、異常発生時や事故時などの緊急時に対応が遅れるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、大画面上で対象を指定するだけで、関連する詳細情報が参照できるようなマンマシンインタフェースを提供することである。例えば、大画面上で点滅する警報をポインティングすると、より詳しい警報の内容や関連する制御データが表示されたり、系統図上の機器をポインティングすると、その機器に関連する制御データや設定器が表示されるようなマンマシンインタフェースである。
【0006】
このようなマンマシンインタフェースを実現する上で考慮しなければならないのは、大画面が複数のオペレータに共有されている点である。監視制御システムは、運転を担当するオペレータ,保守点検を担当するオペレータ、それらを統括するオペレータ長など、異なる作業を担当する複数のオペレータが協調しながら運転している。個々のオペレータごとに用意される手元画面と異なり、大画面は異なった作業を同時に進めているオペレータに共同で使用されることになる。このため、上述のインタフェースは下記要件を満たす必要がある。
【0007】
(1)他のオペレータの作業を妨害しないこと
あるオペレータだけに必要な情報を勝手に大画面に表示すると、他のオペレータが見ていた情報を隠してしまう可能性がある。
【0008】
(2)各オペレータが自分の作業に必要な情報を簡単に取り出せること
担当している作業内容によって必要な情報も異なる。例えば、大画面上でボイラの異常を示す警報が点灯したとき、運転担当のオペレータは燃料流量などの制御データを、保守担当のオペレータはボイラの点検記録を調べる。従って、他のオペレータ向けの情報に紛れることなく、自分に必要な情報だけを素早く参照できる必要がある。
【0009】
(3)各オペレータの作業分担に合った操作環境が提供できること
担当する作業に応じて、よく使うコマンドや操作の権限が異なるため、メニューの構成や操作可能範囲などの操作環境をオペレータごとに変更できることが望ましい。
【0010】
上記要件を満たすマンマシンインタフェースを提供することが本発明の目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば上記目的は、複数の入力手段と複数の出力手段をもつ対話処理装置において、入力手段にそのオペレータの属性を登録する登録手段と,入力手段からの処理要求に応動してその属性に基づいた処理内容を選択する処理選択手段と,前記処理選択手段によって選択された処理を実行し、その属性に基づいて選択した出力手段に出力する実行手段とを持つことにより達成される。
【0012】
【作用】
前記登録手段を用いてオペレータは自分の属性、例えば担当作業を自分の使う入力手段に登録する。オペレータが入力手段から関連情報の表示やメニューの表示などの処理を要求すると、処理選択手段は入力手段に登録されたオペレータの属性を調べ、その属性に合った処理を選択する。実行手段は処理選択手段によって選択された処理を実行し、その結果をオペレータの属性に合った出力先、例えばオペレータの手元画面に出力する。このようにオペレータの属性に基づいて処理を実行することで、オペレータに必要な情報だけを表示したり、オペレータの作業のしやすい操作環境を提供できる。またオペレータの属性に合わせて出力先を選択することにより、他のオペレータの邪魔をすることなく自分に必要な処理を実行できる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施例であるプラント監視制御システム91の全体構成を示している。1は大型ディスプレイ(以下、大画面と呼ぶことにする)でプラント全体の概要情報(系統図,主要な警報,重要な制御データ,主な監視映像など)が表示される。大画面1への表示はワークステーション2が行う。プラントを運転する個々のオペレータの手元にはそれぞれディスプレイ10,30,50が置かれる。以下ではディスプレイ10,30,50を手元画面と総称することにする。オペレータは大画面1に表示される概要情報を見てプラント全体の状況を把握し、気になる点があれば各人の手元画面でより詳細な情報を調べたり、必要に応じて設定操作をする。手元画面10,30,50への表示はそれぞれワークステーション11,31,51が行う。ワークステーション11,31,51にはそれぞれマウス12,32,52、キーボード13,33,53、ヘッドセット14,34,54が接続される。オペレータはマウスを使って手元画面10, 30,50上の位置や大画面1上の位置を指定する。ヘッドセットはヘッドホンにマイクが付いたもので、オペレータはヘッドセットを装着することにより、システムからの音声出力を聞いたり、システムに対して音声を入力する。またワークステーション2,11,31,51はローカルエリアネットワーク90によって相互に接続され、お互いに情報をやりとりできる。さらに、図示されていないがローカルエリアネットワーク90には各種制御計算機,機器のコントローラなどが直接的、あるいは他のネットワークを介して間接的に接続されており、ワークステーション2,11,31,51はプラント内の各種制御情報にローカルエリアネットワーク90を介してアクセスできる。
【0015】
なお図1には3台の手元画面10,30,50を図示しているが、オペレータの人数に合わせて適宜台数を増やしたり、減らしたりできることはいうまでもない。また図1では1台の大画面を図示しているが、必要に応じて複数台の大画面を用いてもよい。また大画面として、複数台の大画面をシームレスに接合したものを用いてもよい。さらにヘッドセットの替りに、オペレータごとにスピーカとマイクを用意してもよい。
【0016】
本発明の概念を図22を用いて説明する。図22において、ワークステーション200とワークステーション250はネットワーク230に接続され、互いに任意の情報をやり取りできるようになっている。図22には図示されていないが、ネットワーク250にはワークステーション250と同じ構成の他のワークステーションも接続されている。ワークステーション200の処理実行部201は出力処理部202を介して出力装置205に情報を表示するとともに、ネットワーク230に接続されたワークステーションの出力装置にも情報を出力する。
【0017】
ワークステーション250は使用開始時に属性が登録される。属性登録処理部257は入出力処理部252を介して属性登録のためのメニューを出力装置256 に表示する。前記メニューが入力装置255によって選択されると、属性登録処理部257は選択された属性を属性記憶部253に登録するとともに、ネットワーク230を介してワークステーション200の属性記憶部203に前記選択された属性と出力装置256との対応関係を記憶する。
【0018】
入力装置255からの入力情報は、入出力処理部252を介して処理実行部 251に送られる。処理実行部251は、入力情報が出力装置256の表示上の位置を指定するものである場合には、反応処理を実行しその結果を出力装置256 に出力する。一方、入力情報が出力装置205の表示上の位置を指定するものである場合には、属性記憶部253から呼び出した属性とともに入力情報をワークステーション200の処理実行部201に送る。処理実行部201は送られてきた入力情報と属性に対応する応答処理を実行する。処理実行部201は実行結果を、属性記憶部203より読み出した前記送られてきた属性に対応する出力装置に対して行う。
【0019】
図2に大画面1の一表示形態を示す。大画面1には系統図5や警報4などのプラントの概要情報が表示されている。プラントの異常が検知されると、それに関連する警報4の項目が点滅する。重要な異常の場合には警報4の点滅に加え、ヘッドセット14,34,54から警報音が鳴る。3は大画面1の表示を制御するための画面制御メニューである。画面制御メニュー3を選択することにより、大画面1に、(1)前の画面を表示する、(2)次の画面を表示する、(3)天候情報を表示する、(4)監視映像を表示する、(5)各種系統図を表示する、などの表示が可能である。各ポインタ15,35,55はそれぞれどのマウスに連動しているか識別しやすいように、異なる色に彩色されている。もちろんポインタ15,35,55を色分けする替りに、形状を変えたり、操作しているオペレータの属性(担当名,名前など)の情報を付加したりしてもよい。ポインタ15,35,55はそれぞれ手元画面10,30,50と大画面1との間を連続的に移動させることができる。これについては後で図4〜図6を用いて詳しく説明する。
【0020】
図3に手元画面10の一表示形態を示す。以下では手元画面10を例に実施例を説明するが、その説明内容は特に断らない限り他の手元画面30,50にも適用される。10は手元画面10に表示されたプラントの詳細情報の一例である。手元画面10には、札掛けアイコン17,担当アイコン16が表示される。札掛けアイコン17は手元画面10や大画面1に音声によるメモを貼る機能を提供する。担当アイコン16は手元の入出力装置、すなわち手元画面10,マウス12,キーボード13,ヘッドセット14を使用するオペレータの作業担当(運転担当,点検担当,当直長など)を登録する機能を提供する。担当アイコン16上には現在登録されている、すなわち画面10を現在使っているオペレータの作業担当が明示される。図3の場合はアイコン16上に「運転」と表示されており、運転担当のオペレータが登録されていることがわかる。
【0021】
図4〜図6を用いて大画面1と手元画面10間でのポインタ15の移動方法について説明する。本実施例では図4に示すように、マウス12を前方に動かすだけで、手元画面10から大画面1に連続的にポインタが移動する。すなわち手元画面10にポインタがある状態からマウス12を前方に動かしていくと、ポインタ15が手元画面10の上部に向かって移動し、いずれ手元画面10の最上部に至る。なおもマウス12を前方に動かすと、ポインタ15が大画面1の最下部に移動し、続けてマウス12を動かし続ければ、大画面1の上部にポインタ12が移動して行く。また逆に大画面1にポインタ15が表示されている状態から、マウス12を手前に引いてくると、大画面1の最下部にポインタ15が至り、なおもマウス15を手前に引くと、手元画面10の最上部にポインタ15が移動する。
【0022】
手元画面10から大画面1にポインタ15が移動した瞬間のポインタ15の表示位置は図4に示すように決める。すなわち手元画面10を出るときのポインタ15の水平方向の位置をxと手元画面10の水平方向の画素数をh,大画面1に入る瞬間のポインタ15の位置をX,大画面1の水平方向の画素数をHとすると、x:h=X:HとなるようにXを決める。同様に大画面1から手元画面10にポインタが移動する際も、x:h=X:Hとなるようにxを決める。
【0023】
大画面1が複数のディスプレイから構成されるときは、それらのディスプレイが継目無く接合されているものとして、図4で説明したようにポインタ15の表示位置を決定する。図5に大画面1が2つのディスプレイ6,7から構成されている場合を示す。各ディスプレイ6,7の画面幅はdからなりXを(X1+d)に、Hを2dに置換すればXまたはxが求められる。
【0024】
図4では手元画面10の上部があたかも大画面1の下部全体に接合しているかのようにポインタ15を行き来させる方法を説明したが、図6に示すように、手元画面10の上部が大画面1の下部の一部に接合するかのようにポインタ15を行き来させる方法を用いてもよい。大画面1の下部のどの範囲と接合させるかは、大画面1と手元画面10の配置関係などに基づいて決めればよい。すなわち大画面1に向かって左の方に手元画面10が配置されている場合には、大画面下部の左側部分のある範囲d1からポインタ15が出入りするようにXを(X−d1)とし、Hを(H−d1−d2)する。ここでd2は、手元画面10の右端が大画面1に向かって右の方に配置されるときの大画面1の右端からの距離である。また逆に右側に手元画面10が置かれているなら、大画面1下部の右側部分のある範囲からポインタ15が出入りするようにする。
【0025】
ポインタ15の大きさ(画素数)は大画面1に表示する場合と、手元画面10に表示する場合とで変えるようにしてもよい。特に手元画面10と大画面1とを離して配置する場合には、大画面上のポインタ15の表示サイズを大きくした方が見やすくなる。例えば手元画面10では16画素×16画素でポインタ15を表示し、大画面1上では36画素×36画素でポインタ15を表示する。こうすることにより、離れた大画面上でもポインタが見やすくなる。
【0026】
以上の方法の利点は、(1)ポインティングデバイスを持ちかえることなく、手元画面10と大画面の位置を連続的に指定できること、(2)手元画面10と同じ感覚で大画面を対話操作できること、(3)(2)により学習が容易であること、である。
【0027】
本実施例では、オペレータが操作を開始する場合、まず自分の作業担当をシステムに登録する。システムは登録された担当に基づいて、サービスを提供する。例えば担当作業に適した操作環境を整えたり、担当作業に必要な情報だけを簡単に取り出せるようにしたり、担当ごとに操作権限を設定したりする。ここで操作環境とはメニューの項目や、その並び順,デフォルトの設定,操作権限などのことである。
【0028】
担当作業の登録方法を図7,図8を用いて説明する。図7は担当登録時の画面形態の一例を示す図である。図8は担当作業を登録する手順を示すPAD図である。手元画面10上の担当アイコン16をマウス12で指示すると(ステップ 100)、担当選択用メニュー18が手元画面10に表示される。担当選択用メニュー18の項目は下記である。
【0029】
「運転」:運転担当向けのサービスを受けたい場合に選択する。
【0030】
「点検」:点検担当向けのサービスを受けたい場合に選択する。
【0031】
「当直長」:当直長向けのサービスを受けたい場合に選択する。
【0032】
「全権」:担当を限定しないサービスを受けたい場合に選択する。システムの調
整時や、一人で運転しなければならない場合に選択する。
【0033】
「一般」:誤った操作をしてもシステムに大きな障害をもたらさない範囲のサービスを受けたい場合に選択する。システムに熟知していない人がシス
テムの運転を実地体験して見たい時などに選択する。
【0034】
担当選択用メニュー15の所望の項目をマウス12で選択すると(ステップ 101)、パスワード入力領域19が表示される。各担当ごとに決められたパスワードを入力すると(ステップ102)、システムにオペレータの担当が登録され、担当アイコン16上に、登録された担当名が表示される。なお、作業担当を変更したい場合には、登録時と同じ手順(図8)を行えばよい。
【0035】
システムは、オペレータの担当と、そのオペレータが使う入出力デバイスとの対応を図9,図10に示すテーブルを用いて管理する。図9では、マウス12,32,52、キーボード13,33,53、ヘッドセット14,34,54等の入力デバイスIDと、その入力デバイスを使うオペレータの担当との対応表120 により、入力デバイスIDをキーにしてその入力デバイスを使っているオペレータの担当を検索できる。
【0036】
図10において、オペレータの担当と、そのオペレータが使う手元画面10,30,50、ヘッドセット14,34,54等の出力デバイスIDとの対応表 121により、オペレータの担当をキーにして、そのオペレータが使っている出力デバイスを検索できる。
【0037】
図11を用いてプラント監視制御システム91の使用形態の一例を説明する。オペレータが大画面1上の表示物を手元のマウスを用いてポインティングすると、ポインティングされた表示物に関連し、かつそのオペレータの担当作業に必要な詳細情報がそのオペレータの手元画面10,30,50に表示される。図11は運転担当のオペレータが手元画面10を使用し、点検担当のオペレータが手元画面30を使っている状態を示している。運転担当オペレータがマウス12を使って大画面1に表示されている系統図上のボイラをポインティングすると、手元画面10にボイラの制御データを設定するための表示20が表示され、ボイラの運転操作を行える。一方、点検担当オペレータが手元のマウス32を使って、同じく大画面1上のボイラをポインティングすると、手元画面30に現場にあるボイラの監視映像が表示され、現場にあるボイラの状態を点検できる。
【0038】
図11では大画面1のポインティングに応じて手元画面10,30,50に情報を表示する例を説明したが、情報を音声で出力するようにしてももちろんよい。情報を音声で出力する場合にも、その情報を必要とする担当者にだけ出力するようにする。例えば運転担当のオペレータが、手元のマウス12を使って大画面1上の表示物をポインティングした場合、その表示物に関連する情報を音声で運転担当の装着しているヘッドセット14に出力する。また情報だけでなく大画面1上での操作に対応する音声フィードバックも、その操作者だけに出力するようにする。例えばポインティングするたびにピッという音をフィードバックする場合、ポインティングしたオペレータのヘッドセット14にだけ出力し、他のオペレータが使っているヘッドセットには出力しない。すなわち、運転担当のオペレータが手元のマウス12を使って大画面1上の表示物をポインティングした場合、ピッという音を運転担当の装着しているヘッドセット14に出力する。
【0039】
また、大画面1上での誤った操作に対応するエラーメッセージも、操作したオペレータの手元画面10またはヘッドセット14に出力する。もちろん他のオペレータも参照する必要のあるエラーメッセージはそれらのオペレータにも出力する。
【0040】
このように大画面1上の表示情報に関連する情報を、手元のマウス12でポインティングするだけで簡単に参照できる。またポインティングしたオペレータの出力デバイスに情報を出力することによって、他のオペレータの邪魔をすることがない。大画面1は他のオペレータと共同で使われているため、大画面1に特定のオペレータにだけ必要な情報を表示してしまうと、他のオペレータが見ている情報を隠してしまう可能性がある。また、音声を出力する場合にも全員に聴こえるように出力したのでは、その音声出力を必要としないオペレータの邪魔になるだけである。さらに、ポインティングしたオペレータの担当作業に合わせて情報を選択表示することにより、他のオペレータ向けの情報に惑わされることなく、自分に必要な情報だけに簡単にアクセスできる。
【0041】
大画面1は異なった作業を担当する複数のオペレータによって共同で使用される。それぞれの作業を遂行するのに適した操作環境はそれぞれ異なるため、プラント監視制御システム91は、大画面1を対話操作しているオペレータの作業担当に応じて大画面1上の操作環境を提供する。
【0042】
図12にオペレータの担当に応じてメニュー項目の並び順を変える例を示す。22は運転担当のオペレータが手元のマウス12を用いて大画面1上の系統図5のシンボルをポインティングすると表示されるメニューである。メニュー22を選ぶことによって、ポインティングしたシンボルに関連する3つの情報、「データ設定」,「監視映像」,「点検記録」のうちの一つを手元画面10に表示できる。ここでメニュー22の項目の並びは運転担当がよく選択する順に上から並べられている。一方、点検担当オペレータが系統図5上のシンボルをポインティングすると、メニュー42が表示される。メニュー42の項目の内容はメニュー 22と同じであるが、項目の並び順は点検担当の選択する頻度順、すなわち「監視映像」,「点検記録」,「データ設定」の順に並べられている。
【0043】
図13に担当に応じて操作権限を変える例を示す。大画面1上の表示内容を制御するための画面制御アイコン3は、当直長だけに操作権限が与えられている。手元画面10に登録した当直長が手元のマウス12を使って画面制御アイコン3をポインティングすると、画面制御メニュー6が表示される。当直長は画面制御メニュー6を選択することにより、大画面1の表示内容を変更できる。しかし、運転担当オペレータや点検担当オペレータが画面制御アイコン3や画面制御メニュー6の項目をポインティングしても無視される。
【0044】
以上では、オペレータの操作に応じて何等かの情報をオペレータに出力する場合について説明したが、警報などのような情報はシステム主導でオペレータに出力する場合もある。この場合も、その情報を必要とする作業担当オペレータのところにだけ出力するようにする。例えば運転担当オペレータだけが対処すればよい警報が発生したことを知らせる警報音は、運転担当オペレータのヘッドセット14に出力する。
【0045】
大画面1が大きすぎてオペレータの視野に入りきらない場合、視野外に何か情報が表示されてもオペレータが気が付かないことがある。そこで大画面1への表示に同期して音を表示位置に定位するように鳴らす。これにより、オペレータが大画面1を見ていなくても、何か新たな情報が表示されたことがわかる。しかも音が表示位置に定位しているのでどこに表示されたかが概ねわかる。表示に同期して音を鳴らす際に、その表示情報を参照する必要のある作業を担当しているオペレータにだけ音を出力するようにする。例えば運転に関する情報を表示する際に鳴らす音は、運転担当のヘッドセット14にだけ出力する。
【0046】
図14および図15を用いて、音声による札掛けに付いて説明する。ここでいう札掛けとは、音声によるメモを大画面1や手元画面10,30,50上の表示物に貼り付けることをいう。図14に示すように、マウス12を用いて札掛けアイコン17をポインティングすると、札掛けメニュー23が表示される。札掛メニュー23の項目「生成」を選択すると、アイコン24が手元画面10上に表示される。次に札掛けメニュー23の項目「録音」を選択すると、ヘッドセット
14のマイクから入力された音声が録音される。音声の入力が終了したら札掛けメニュー23の項目「終了」を選択すると録音が終了し、同時に札掛けメニュー23の表示が消去される。アイコン24をマウス12の右ボタン等でクリックすると、録音した音声が再生される。音声はクリックしたオペレータのヘッドセットから再生される。例えば運転担当オペレータが手元のマウス12を用いてアイコン24をクリックすれば、ヘッドセット14から録音された音声が出力され、点検担当オペレータが手元のマウス32を使ってアイコン24をクリックすれば、ヘッドセット34から音声が再生される。
【0047】
アイコン24はドラッグして手元画面10及び大画面1内の任意の表示物のところに置くことができる。アイコン24のドラッグは、ポインタ15をアイコンの上に移動し、マウス12の左ボタン等を押し下げながらマウス12を動かして行う。図15にアイコン24をドラッグして、大画面1上の系統図5のボイラのところにアイコン24を移動する様子を示す。
【0048】
図16〜図20を用いてシステム19の実現方法を説明する。システム19を実現するプログラムはワークステーション2,11,31,51のいずれか一つのワークステーション上で実行するよう構築してもよいし、ワークステーション2,11,31,51の幾つかまたは全てのワークステーション上で実行されるように構築してもよい。
【0049】
図16の表示オブジェクトごとに管理されるイベント/実行処理対応テーブル130において、イベントは種別とボタン番号と担当との3つの項目からなる。種別には下記があり、イベントの種類を指定する。
【0050】
(1)「ボタン押し下げ」:マウスのボタンを押し下げると発生するイベントの
種別。
【0051】
(2)「ボタン解放」:マウスのボタンを解放すると発生するイベントの種別。
【0052】
(3)「キー押し下げ」:キーボードのキーを押し下げると発生するイベントの
種別。
【0053】
(4)「キー解放」:キーボードのキーを解放すると発生するイベントの種別。
【0054】
ボタン番号は、イベントがどのボタンまたはどのキーによって引き起こされたかを指定する。担当はそのイベントを発生させたオペレータの作業担当を指定する。
【0055】
実行処理はルーチンと出力の2つの項目からなる。ルーチンにはイベントが発生したときに実行すべき処理が格納され、出力はどのオペレータが使っている出力装置に出すかを指定する。オペレータの指定は、作業担当を指定して行う。すなわち出力先に運転担当が指定されていれば、運転担当のオペレータが使っている出力装置に出力される。
【0056】
図17に出力先を指定するフォーマット131を示す。フォーマット131の各ビットが各作業担当に対応しており、出力すべき担当に対応するビットは「1」、出力しない担当に対応するビットは「0」が指定される。例えば運転担当と点検担当のオペレータ両方に出力したい場合には、フォーマット131の2ビット目と3ビット目を「1」に、それ以外のビットを「0」にする。
【0057】
大画面1に表示されている表示オブジェクトがポインティングされたときの処理フローを、図18を用いて説明する。イベント入力ステップ140では、ワークステーション11,31,51の入力イベントキューを調べる。入力イベントキューにイベントが格納されていれば、そのイベントを取り出す。イベントは、そのイベントを発生した入力デバイスID、そのイベントを発生したボタン番号、イベントが発生した位置などの情報を含む。ステップ141では、取り出したイベントの入力デバイスIDをキーにしてテーブル120(図9)を検索し、そのイベントを発生させたオペレータの担当を検索する。ステップ142ではイベントの発生位置に基づいて、イベントが発生した位置にある表示オブジェクトを探す。
【0058】
イベント発生位置に表示オブジェクトがなければ(ステップ143)、ステップ140に戻り次の入力イベント処理に入る。イベント発生位置に表示オブジェクトがあれば(ステップ143)、ステップ144に進む。ステップ144ではステップ142で検索した表示オブジェクトのイベント/実行処理対応テーブル130の入力イベント項目のうち、入力イベントの種別,ボタン番号,担当に適合するものがあるかどうかを調べる。入力イベントに適合するイベント項目があれば(ステップ145)、対応する実行処理項目の出力先を取り出し、出力先に格納されている担当をキーにしてテーブル121(図10)を検索し、出力デバイスIDを取り出しルーチン実行時の出力先としてその出力デバイスIDを設定する(ステップ146)。そして実行処理項目のルーチン項目に格納されているルーチンを実行する(ステップ147)。
【0059】
ステップ144で入力イベントに適合するイベント項目が見つからなければ (ステップ145)、ステップ142に戻り、イベント発生位置にある別なオブジェクトを探す。以上の処理をプラント監視制御システム91が終了するまで (ステップ148)繰り返す。
【0060】
図19,図20を用いて、マウス12による手元画面10と大画面1のポインティングを実現する方法を説明する。手元画面10を例に説明するが、他の手元画面30,50の場合も全く同様である。図19において、Hは大画面1の水平方向の画素数,Vは垂直方向の画素数,hは手元画面10の水平方向の画素数,vは垂直方向の画素数,qは1画素または数画素である。
【0061】
またマウス12からの入力に応じて、ワークステーション11内で更新される座標値を(curx,cury)とする。マウス12が動かされると、その移動量(dx,dy)がワークステーション11に報告され、(curx,cury)は下式により更新される。
(curx,cury)=(curx,cury)+(dx,dy) …(数1)
ただし、
0≦curx<h,0≦cury≦v …(数2)
すなわち更新された結果、数2の領域の外にでる場合には、(curx,cury)は境界上の値に設定される。例えば数1の結果、curyが−2になったとすると、curyは0に設定される。なお大画面1および手元画面10の座標原点は左上とする。
【0062】
図20を用いてマウス12による手元画面10と大画面1のポインティングを実現する方法の処理フローを説明する。処理開始時には、q<cury<vに初期設定されており、ポインタは手元画面10の(curx,cury)の位置にポインタが表示される(ステップ162)。cury>qである限り(ステップ160)、マウス 12のボタンが押されるなどのイベントが発生すると、手元画面10上の表示オブジェクトに対してイベント処理を実行する(ステップ163)。マウス12が前方に動かされて、cury<qになると、ポインタは大画面上に移動する。すなわちcuryの値をhV/Hに設定し(ステップ164)、大画面上の(curX,curY)=(HcurX/h,Hcury/h−1)の位置(ステップ166)にポインタを表示する(ステップ167)。cury<hV/Hである限り(ステップ165)、マウス 12のボタンが押されるなどのイベントが発生すると大画面1の表示オブジェクトに対してイベント処理を実行する(ステップ168)。
【0063】
上記実施例では、オペレータの担当作業を登録し、担当作業と入出力デバイスとの対応関係を管理することにより、担当作業に合わせて情報を表示したり、大画面上の操作環境を設定したが、担当作業以外のオペレータの属性を用いてもよい。例えば、名前,年齢,序列,階級,性別,母国語,熟練度などを登録するようにしてもよい。また一つの属性だけでなく、複数の属性を論理式で結合したものを登録するようにしてもよい。これによって、サービスの内容をオペレータの様々な属性に合わせて提供できるようになる。
【0064】
また上記実施例ではオペレータの属性はメニューを選択して登録する方法を用いたが、オペレータの属性をプラント監視制御システム91が認識するようにしてもよい。例えばディスプレイ10の前に座ったオペレータの顔からオペレータが誰であるか認証したり、マイクから入力した音声の声紋からオペレータが誰であるか認証するようにしてもよい。
【0065】
また上記実施例ではオペレータの属性は操作開始時に登録するようにしたが、オペレータの属性をシステムが知る必要が生じた時点でオペレータに問いかけたり(属性を選択するためのメニューを表示する)、認証処理を開始するようにしてもよい。
【0066】
上記実施例では大画面1のポインティングにマウスを用いたが、レーザポインタを用いるようにしてもよい。大画面1上のポインティング位置は、大画面のスクリーンを全面または背面からカメラで撮影し、その映像を画像処理してレーザ光の位置を検出する。複数のレーザポインタを用いるときのデバイスIDの識別は、レーザポインタごとにレーザ光の色を変え、その色を認識することにより行えばよい。同様に赤外線ポインタを用いてもよい。この場合には赤外光の周波数を変えてデバイスを区別する。
【0067】
上記実施例では、手元画面10と大画面1間でポインタ15を、手元画面10の上辺と、大画面1の下辺の全体または一部とが接合しているかのように移動するようにしていたが、図21に示すように、手元画面10の横(左辺や右辺)からも大画面に移動できるようにしてもよい。また手元画面10と大画面1間でポインタ15をどのように移動できるようにするかを、大画面1と手元画面10との位置関係に応じて設定できるようにしてもよい。これにより、手元画面10の延長上に大画面1があるような感覚で操作でき、オペレータにとってより自然なインタフェースが実現できる。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば下記の効果がある。
【0069】
(1)操作したオペレータに合わせて処理を実行できる。
オペレータが使う入力手段に対応してオペレータの属性を登録し、オペレータが入力手段を用いて操作したとき、その入力手段に登録されているオペレータの属性を調べ、属性に合わせて実行する処理を選択することにより、操作したオペレータに合わせて処理を実行できる
【0070】
(2)操作したオペレータに合わせて出力先を選択でき、他のオペレータの作業を妨げないようにできる。
オペレータが使う入力手段に対応してオペレータの属性を登録し、オペレータが入力手段を用いて操作したとき、その入力手段に登録されているオペレータの属性を調べ、属性に合わせて処理結果の出力先を選択することにより、他のオペレータの邪魔にならないように出力できる。
【0071】
(3)操作環境をオペレータに合わせて設定できる。
オペレータが使う入力手段に対応してオペレータの属性を登録し、オペレータが入力手段を用いて操作したとき、その入力手段に登録されているオペレータの属性を調べ、属性に合わせて操作環境を設定することにより、操作したオペレータに合った操作環境を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプラント監視制御システム91の全体構成図。
【図2】大画面1の一表示形態を示す図。
【図3】手元画面10の一表示形態を示す図。
【図4】手元画面10と大画面1間のポインタの一移動形態を示す図。
【図5】手元画面10と大画面1間のポインタの一移動形態を示す図。
【図6】手元画面10と大画面1間のポインタの一移動形態を示す図。
【図7】担当作業登録時の一画面形態を示す図。
【図8】担当作業を登録する手順を示すPAD図。
【図9】入力デバイスIDと登録された担当作業との対応テーブルを示す図。
【図10】登録された担当作業と出力デバイスIDとの対応テーブルを示す図。
【図11】大画面1と手元画面10及び30の一表示形態を示す図。
【図12】大画面1の一表示形態を示す図。
【図13】大画面1の一表示形態を示す図。
【図14】手元画面10の一表示形態を示す図。
【図15】大画面1と手元画面10の一表示形態を示す図。
【図16】入力イベントと実行処理との対応テーブルを示す図。
【図17】出力先を指定するフォーマットを示す図。
【図18】ポインティング時の処理フローを示す図。
【図19】手元画面10と大画面1のポインティングの実現方法を示す説明図。
【図20】手元画面10と大画面1のポインティングの実現方法の処理フローを示すPAD 図。
【図21】手元画面10と大画面1間のポインタの移動形態を示す図。
【図22】本発明のシステム構成図。
【符号の説明】
1…大画面、2,11,31,51…ワークステーション、10,30,50…手元画面、12,32,52…マウス、14,34,54…ヘッドセット、 15…マウス12と連動して動くポインタ、35…マウス32と連動して動くポインタ、55…マウス52と連動して動くポインタ、16…担当アイコン、18…担当選択メニュー、90…ネットワーク、91…・プラント監視制御システム、120…入力デバイスID/担当作業対応テーブル、121…担当作業/出力デバイスID対応テーブル、130…入力イベント/実行処理対応テーブル。
Claims (2)
- 入力手段と手元画面を含む出力手段とを有する第1対話型制御装置と、前記第1対話型制御装置と接続された大画面を具備する第2対話型制御装置とを有する複数ディスプレイによる対話型制御システムであって、
前記入力手段に連動して手元画面と大画面にポインタを表示するポインタ表示手段を有し、大画面の水平方向の画素数をH,手元画面の水平方向の画素数をhとし、かつH≠hであるとき、前記ポインタ表示手段は、手元画面の最上部にポインタがありそのときの水平方向のポインタの位置をxとするとき、前記入力手段によってポインタをさらに上部に移動するように指示されると、ポインタを大画面上の下部に移動し、そのときの大画面上の水平方向の座標をXとするとき、ほぼx:h=X:Hとなるようにポインタを表示することを特徴とする複数ディスプレイによる対話型制御システム。 - 入力手段と手元画面を含む出力手段とを有する第1対話型制御装置と、前記第1対話型制御装置と接続された大画面を具備する第2対話型制御装置とを有する複数ディスプレイによる対話型制御システムであって、
前記入力手段に連動してポインタを手元画面と大画面にポインタを表示するポインタ表示手段を有し、前記ポインタ表示手段は大画面上にポインタを表示する時には手元画面にポインタを表示する時より画素数の多いポインタを表示することを特徴とする複数ディスプレイによる対話型制御システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003204216A JP2004062904A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | 複数ディスプレイによる対話型制御システムとその制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003204216A JP2004062904A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | 複数ディスプレイによる対話型制御システムとその制御方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP5102159A Division JPH06314181A (ja) | 1993-04-28 | 1993-04-28 | 複数ディスプレイによる対話型制御システムとその制御方法 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2003204216A Withdrawn JP2004062904A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | 複数ディスプレイによる対話型制御システムとその制御方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004062904A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010092089A (ja) * | 2008-10-03 | 2010-04-22 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | 点検記録様式シート、点検用ボード及びこれを用いた機器の点検方法、点検記録様式作成方法 |
JP2015014861A (ja) * | 2013-07-04 | 2015-01-22 | ティアック株式会社 | 編集処理装置及び編集処理プログラム |
-
2003
- 2003-07-31 JP JP2003204216A patent/JP2004062904A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015014861A (ja) * | 2013-07-04 | 2015-01-22 | ティアック株式会社 | 編集処理装置及び編集処理プログラム |
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