JP2004062046A - 自動販売機の広告表示方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動販売機に対して着脱が容易で、長期にわたって付着力が低下せず、重ね貼りが可能で、被付着物を痛めないポスター等の広告の表示方法を提供する。
【解決手段】絶縁基板1の上に少なくとも一対の電極2,3を配置し、その上に誘電体からなる吸着層5を設けてなる静電吸着装置を、自動販売機の広告表示区間内に設置し、ポスター等の被付着物6を前記吸着層上に密着させ、電極への電界印加による静電誘導により被吸着物表面に誘起された電荷との間の静電引力によって被吸着物の吸着を行う広告表示方法。
【選択図】 図2
【解決手段】絶縁基板1の上に少なくとも一対の電極2,3を配置し、その上に誘電体からなる吸着層5を設けてなる静電吸着装置を、自動販売機の広告表示区間内に設置し、ポスター等の被付着物6を前記吸着層上に密着させ、電極への電界印加による静電誘導により被吸着物表面に誘起された電荷との間の静電引力によって被吸着物の吸着を行う広告表示方法。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、自動販売機の広告表示方法に関し、更には、広告ポスター等を静電吸着効果により着脱可能に設置する自動販売機用広告表示方法、もしくは該広告表示方法を利用した自動販売機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来公知の自動販売機は外扉の前面側に広告表示用の区画を有しており、紙、プラスチックシート、又はスチール板の表面に広告印刷を施した広告ポスターを、粘着テープを使って四隅を貼ったり、ピンやフックで止めたりして広告表示区画内に表示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した従来の自動販売機では、広告ポスターを長期間表示しておくとポスターが変形したり、剥がれたりする問題があり、広告効果が長期間発揮できないという欠点があった。一方で、密着性を高めるために粘着剤や粘着テープでポスター全面を貼り付けると、剥がすことが困難になったり、また剥がすことができても粘着剤が外扉の表示区画内基板に残ってしまい、清掃に大変な労力が費やされるという問題があった。更に、季節毎に何度も貼り替え使用することや、キャンペーン等で短期間で貼り替えるポスターを常設のポスターの上に重ねて貼ることへの要求があるが、前記の方法では一度貼って剥がしたポスターは再使用出来ず、また重ね貼りすると双方のポスターが破損して使用できなくなり、現状これらの要求に応えられる表示方法がなかった。
本発明の目的は自動販売機に対して着脱が容易で、長期にわたって付着力が低下せず、重ね貼りが可能で、被付着物を痛めないポスター等の広告の表示方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述したような欠点に鑑みそれを解決するためになされたものであり、静電吸着装置を利用して、ポスターの全面が綺麗に密着し、長期間表示していても剥がれる事もなく、かつ、貼り替えが容易にできることを見出した。さらに広告媒体を数枚なら重ねて貼ることができることも見いだした。
【0005】
すなわち本発明は絶縁基板の上に少なくとも一対の電極を配置し、その上に誘電体からなる吸着層を設けてなる静電吸着装置を、自動販売機に設置して、前記吸着層に広告媒体を吸着させて表示することを特徴とする自動販売機の広告表示方法を提供する。
【0006】
このような広告表示方法を用いることにより、静電吸着力で付着している広告媒体を容易に着脱し、取り替えることができる。また広告媒体は着脱が容易なために着脱時に破損することがなく、一度外した広告媒体を別の場所で再掲示することも可能となる。また複数枚の広告媒体を重ねて吸着させることも可能である。
【発明の実施形態】
【0007】
本発明の静電吸着装置とは次のような構造と機能を有する。表面が平滑な板状プラスチックの一面に密着して正電極と負電極とが一定の間隔をおいて交互に対をなして例えば複数個櫛歯形に配列されており、正・負の電極に 500から3000V程度の直流電圧が印加されるようなっている。電極上には、例えば塩ビ、PET、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の誘電体フィルムから吸着層が形成されている。電極対に直流電圧が印加されると、吸着層に誘導電荷が誘起されて静電場が発現する。これによって広告媒体を吸着層上に吸着し固定することができる。静電場は電極対への直流電圧を遮断しても瞬時には消滅しないので、直流電圧の正負を切換える切換え手段を設けることにより、吸着層に固定されていた広告媒体を容易に取り除くことができる。また、絶縁基板となる前記板状プラスチックの換わりに誘電体フィルムを用いることにより、両面の誘電体フィルムとも吸着層として機能する。この様な静電吸着装置を用いれば、既に設置されている自動販売機であっても、静電吸着装置を容易に組み込むことが可能である。
【0008】
自動販売機は常時電源が投入された状態で使用されるため、静電吸着装置用の電源としては自動販売機内から供給を受けることが可能である。さらに一度電極間が電圧印加状態となった後は消費電流が少なく電力消費量も小さくてすむ。
【0009】
本発明の静電吸着装置は被吸着物の表面に電荷を誘起して静電吸着装置の電極との間の静電引力で吸着を行う。誘起される電荷としては自由電荷でも誘導電荷でも吸着力に寄与するため、被吸着物の広告媒体としては薄く軽いもので、被吸着面が平滑なものであれば、材質は通常の紙やプラスチックや金属であっても好適に用いることができる。さらに、広告媒体の被吸着側に導電層を形成させておくことにより吸着力を高めることができ、少なくとも被吸着面が平滑であればもう一方の側は立体的な形状物であっても吸着することが可能となる。また、吸着力は吸着面方向には強いが、吸着面と垂直な方向には比較的弱いことから、広告媒体の端部に少なくとも一カ所に折り目を付けておくことにより、折り目を基点とすれば容易に取り除くことが可能となる。
【0010】
以下、図面を用いて、本発明について詳しく説明する。図1及び図2はそれぞれ、本発明における静電吸着装置の電極対の概略図及び静電吸着装置の層構成を示す断面図である。また、図3は代表的な自動販売機の正面図である。図中番号1は絶縁基板、番号2、3は電極対、番号4は電源、番号5は誘電体フィルムからなる吸着層、番号6は広告媒体、番号7は絶縁基板と吸着層を貼り合わせる接着剤または粘着剤である。番号8は商品見本表示区画、番号9は広告表示区画を示す。
【0011】
本発明の静電吸着装置は絶縁基板1上に電極対2及び3を導電性カーボンインキによりスクリーン印刷して形成することができる。カーボンインキ以外にもITO、銀、銅、あるいはポリアニリン等の導電性微粒子を分散したインキも使用可能であり、また、銅箔のエッチングあるいは蒸着等によっても形成可能である。電極2及び3の抵抗はそれほど低抵抗である必要はなく、106Ω/□程度以下であればよい。
【0012】
絶縁基板としては二軸延伸ポリエステル、ナイロン6、アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン・アクリル酸メチル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のプラスチック板あるいはフィルムが使用できる。また、プラスチックに限らず絶縁性のものであればよく、ガラス、セラミック等の無機物であっても良い。ただし、本発明のように両面を吸着層とする場合には可撓性のあるシート又はフィルムが適している。厚さは10μmから2mmが使用可能であるが、あまり薄いと耐電圧の問題が生じ、厚いと吸着力が弱くなるため50μmから200μmくらいの範囲で材料の耐電圧、誘電率、経済性等から選択する。ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等は誘電率も比較的高く、本発明に使用する絶縁基板に適したものであるが、印刷インキとの密着性が悪いため、印刷前にコロナ放電処理等の表面処理が必要である。
【0013】
本発明においては櫛歯状の電極対を用いたが、必ずしも櫛歯状である必要はなく、少なくとも一対の正負電極が一定の距離を隔てて隣り合うような電極であれば使用できる。
【0014】
電極には500Vから3000Vの直流電圧が印加できるように電源4が接続されている。吸着力は電極対への直流電圧を遮断しても瞬時には消滅しないので、図示はしていないが直流電圧の正負を切換える切換え手段を設け、直流電圧遮断後に正負の極性を一瞬反転させることにより、吸着層に固定されていた広告媒体を容易に取り除くことができる。
【0015】
吸着層5として用いる誘電体フィルムは前記した二軸延伸ポリエステル、ナイロン6、アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン・アクリル酸メチル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のプラスチックフィルムが使用可能である。厚さはやはり50μmから200μmくらいの範囲で材料の耐電圧、誘電率、経済性等から選択する。ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等は誘電率も比較的高く、本発明に使用する吸着層としても適したものである。
【0016】
フィルムは透明なものでも機能上は問題ないが、自動販売機の外観上電極が見えているのは好ましくないため、白色等の着色フィルムを使用するか、予め電極を隠蔽するためのインキを吸着層5に直接塗布したりして着色しておくと良い。
【0017】
本発明の広告媒体6は薄く軽いものであるほど良く、被吸着面が平滑なものであれば、材質は通常の紙やプラスチックや金属であっても良いが、さらに吸着力を高めるために、広告媒体6の被吸着側に導電層を形成させておくことが好ましい。導電層はアルミ蒸着であっても良いし、銅、銀等の導電性微粒子を樹脂に分散させ広告媒体6の裏面つまり被吸着面に塗布することにより形成可能である。膜厚は特に限定されないが、5μm以下で十分である。抵抗は103Ω/□以下であることが好ましい。
【0018】
塗工方法としては、例えば、グラビアコーティング、グラビアリバースコーティング、リバースロールコーティング、ロールコーティング、ダイコーティング、ワイヤーバーコーティング、ドクターブレードコーティング、ディップコーティング、エアナイフコーティング、キスコーティング、スロットコーティング、スプレーコーティング等が挙げられる。
【0019】
また、本発明においては広告媒体を容易に取り外すために、直流電圧の正負を切換える切換え手段を設けることを提案したが、さらに、広告媒体の端部に少なくとも一カ所に折り目を付けておくことにより、折り目を持って引っ張ることにより広告媒体6は容易に取り除くことが可能となる。これは、吸着力は吸着面方向には強いが、吸着面と垂直な方向には比較的弱いためである。
【0020】
自動販売機には一般に商品見本表示区画8と広告表示区画9があるが、本発明では両区画とも静電吸着装置を設置することが可能である。一般に広告表示区画9には紙あるいはプラスチックシートに印刷された薄く軽い広告媒体が掲示されているが、本発明の広告表示方法は好適に使用可能である。一方、商品見本表示区画8には時には立体的な商品見本が展示されるが、立体的な形状物であっても被吸着面が平面な部分を有し平滑であれば吸着可能である。
【0021】
また、絶縁基板の裏側に磁気フィルムを貼り合わせて、磁気的な力で静電吸着装置を自動販売機に設置したり、粘着剤により設置しても良い。
【0022】
次に実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例は、好適な実施形態を具現化したものである。実施例中の「%」及び「部」は、各々「質量%」及び「質量部」を表す。
【0023】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明する。
【0024】
(実施例1)
絶縁基板として厚さ100μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムを準備し、コロナ放電処理後に導電性インキ(十条ケミカル製JELCON CH−1)により、図1に示す櫛歯状電極を厚さ10μmとなるようにスクリーン印刷により形成した。
【0025】
次に、電極から電源に接続するリード線を導電性接着剤で固定し、厚さ100μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムを吸着層としてエポキシ系接着剤を用いて貼り付けた。
【0026】
前記の如く得た静電吸着装置を電極に2kV印可して、絶縁基板側を自動販売機の広告表示区画内に設置した。絶縁基板を厚さ100μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムとしているため、静電吸着力が働き自動販売機に貼り付いた。
【0027】
厚さ50μmの白色PETフィルムに、シルクスクリーン印刷機で絵柄を印刷した広告ポスターを、吸着層に貼り付けたところ、ポスター全面が密着し、長期間表示しても広告ポスターが剥がれたり、変形することもなく、密着状態が維持できた。
【0028】
また、前記の如く得た広告ポスターを2枚重ねて貼っても剥がれることなく、密着状態が維持できた。
【0029】
更に、広告ポスターの着脱も可能であって、電極に印加した電圧を解除した後に一瞬逆極性の電圧を印可することによって、容易に除去することが可能であった。
【0030】
また、前記の如く得た広告ポスターの端部に小さな折り目をつけた場合には、折り目を持って除去すれば、電極に電圧を印加したままでも容易に除去することが可能であった。
【0031】
(実施例2)
実施例1における絶縁基板及び吸着層として用いたポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムの替わりに厚さ100μmの白色PETフィルムを用いて静電吸着装置を製造した以外は、実施例1と同様に実験を行ったところ、実施例1と同様の結果が得られた。
【0032】
さらに、広告ポスターに使用したPETフィルムに予めアルミ蒸着処理を施した場合には、アルミ蒸着処理のない広告ポスターよりも強い吸着力が得られた。
【発明の効果】
本発明の自動販売機用の広告表示方法は、絶縁基板の上に少なくとも一対の電極を配置し、その上に誘電体からなる吸着層を設けてなる静電吸着装置を、自動販売機に設置して、前記吸着層に広告媒体を吸着させて表示することにより、ポスター等の広告媒体全面を密着させることが可能になり、長期間表示しておいてもポスターが変形したり、剥がれたりすることがなく、かつ、着脱が可能で繰り返し着脱時の吸着力の減衰もなく、更には、ポスターの重ね貼りも可能にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における代表的な静電吸着装置の電極対の概略図である。
【図2】本発明における代表的な静電吸着装置の層構成を示す断面図である。
【図3】本発明における代表的な自動販売機の正面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
2 電極
3 電極
4 電源
5 吸着層
6 広告媒体
7 接着剤または粘着剤
8 商品見本表示区画
9 広告表示区画
【発明が属する技術分野】
本発明は、自動販売機の広告表示方法に関し、更には、広告ポスター等を静電吸着効果により着脱可能に設置する自動販売機用広告表示方法、もしくは該広告表示方法を利用した自動販売機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来公知の自動販売機は外扉の前面側に広告表示用の区画を有しており、紙、プラスチックシート、又はスチール板の表面に広告印刷を施した広告ポスターを、粘着テープを使って四隅を貼ったり、ピンやフックで止めたりして広告表示区画内に表示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した従来の自動販売機では、広告ポスターを長期間表示しておくとポスターが変形したり、剥がれたりする問題があり、広告効果が長期間発揮できないという欠点があった。一方で、密着性を高めるために粘着剤や粘着テープでポスター全面を貼り付けると、剥がすことが困難になったり、また剥がすことができても粘着剤が外扉の表示区画内基板に残ってしまい、清掃に大変な労力が費やされるという問題があった。更に、季節毎に何度も貼り替え使用することや、キャンペーン等で短期間で貼り替えるポスターを常設のポスターの上に重ねて貼ることへの要求があるが、前記の方法では一度貼って剥がしたポスターは再使用出来ず、また重ね貼りすると双方のポスターが破損して使用できなくなり、現状これらの要求に応えられる表示方法がなかった。
本発明の目的は自動販売機に対して着脱が容易で、長期にわたって付着力が低下せず、重ね貼りが可能で、被付着物を痛めないポスター等の広告の表示方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述したような欠点に鑑みそれを解決するためになされたものであり、静電吸着装置を利用して、ポスターの全面が綺麗に密着し、長期間表示していても剥がれる事もなく、かつ、貼り替えが容易にできることを見出した。さらに広告媒体を数枚なら重ねて貼ることができることも見いだした。
【0005】
すなわち本発明は絶縁基板の上に少なくとも一対の電極を配置し、その上に誘電体からなる吸着層を設けてなる静電吸着装置を、自動販売機に設置して、前記吸着層に広告媒体を吸着させて表示することを特徴とする自動販売機の広告表示方法を提供する。
【0006】
このような広告表示方法を用いることにより、静電吸着力で付着している広告媒体を容易に着脱し、取り替えることができる。また広告媒体は着脱が容易なために着脱時に破損することがなく、一度外した広告媒体を別の場所で再掲示することも可能となる。また複数枚の広告媒体を重ねて吸着させることも可能である。
【発明の実施形態】
【0007】
本発明の静電吸着装置とは次のような構造と機能を有する。表面が平滑な板状プラスチックの一面に密着して正電極と負電極とが一定の間隔をおいて交互に対をなして例えば複数個櫛歯形に配列されており、正・負の電極に 500から3000V程度の直流電圧が印加されるようなっている。電極上には、例えば塩ビ、PET、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の誘電体フィルムから吸着層が形成されている。電極対に直流電圧が印加されると、吸着層に誘導電荷が誘起されて静電場が発現する。これによって広告媒体を吸着層上に吸着し固定することができる。静電場は電極対への直流電圧を遮断しても瞬時には消滅しないので、直流電圧の正負を切換える切換え手段を設けることにより、吸着層に固定されていた広告媒体を容易に取り除くことができる。また、絶縁基板となる前記板状プラスチックの換わりに誘電体フィルムを用いることにより、両面の誘電体フィルムとも吸着層として機能する。この様な静電吸着装置を用いれば、既に設置されている自動販売機であっても、静電吸着装置を容易に組み込むことが可能である。
【0008】
自動販売機は常時電源が投入された状態で使用されるため、静電吸着装置用の電源としては自動販売機内から供給を受けることが可能である。さらに一度電極間が電圧印加状態となった後は消費電流が少なく電力消費量も小さくてすむ。
【0009】
本発明の静電吸着装置は被吸着物の表面に電荷を誘起して静電吸着装置の電極との間の静電引力で吸着を行う。誘起される電荷としては自由電荷でも誘導電荷でも吸着力に寄与するため、被吸着物の広告媒体としては薄く軽いもので、被吸着面が平滑なものであれば、材質は通常の紙やプラスチックや金属であっても好適に用いることができる。さらに、広告媒体の被吸着側に導電層を形成させておくことにより吸着力を高めることができ、少なくとも被吸着面が平滑であればもう一方の側は立体的な形状物であっても吸着することが可能となる。また、吸着力は吸着面方向には強いが、吸着面と垂直な方向には比較的弱いことから、広告媒体の端部に少なくとも一カ所に折り目を付けておくことにより、折り目を基点とすれば容易に取り除くことが可能となる。
【0010】
以下、図面を用いて、本発明について詳しく説明する。図1及び図2はそれぞれ、本発明における静電吸着装置の電極対の概略図及び静電吸着装置の層構成を示す断面図である。また、図3は代表的な自動販売機の正面図である。図中番号1は絶縁基板、番号2、3は電極対、番号4は電源、番号5は誘電体フィルムからなる吸着層、番号6は広告媒体、番号7は絶縁基板と吸着層を貼り合わせる接着剤または粘着剤である。番号8は商品見本表示区画、番号9は広告表示区画を示す。
【0011】
本発明の静電吸着装置は絶縁基板1上に電極対2及び3を導電性カーボンインキによりスクリーン印刷して形成することができる。カーボンインキ以外にもITO、銀、銅、あるいはポリアニリン等の導電性微粒子を分散したインキも使用可能であり、また、銅箔のエッチングあるいは蒸着等によっても形成可能である。電極2及び3の抵抗はそれほど低抵抗である必要はなく、106Ω/□程度以下であればよい。
【0012】
絶縁基板としては二軸延伸ポリエステル、ナイロン6、アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン・アクリル酸メチル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のプラスチック板あるいはフィルムが使用できる。また、プラスチックに限らず絶縁性のものであればよく、ガラス、セラミック等の無機物であっても良い。ただし、本発明のように両面を吸着層とする場合には可撓性のあるシート又はフィルムが適している。厚さは10μmから2mmが使用可能であるが、あまり薄いと耐電圧の問題が生じ、厚いと吸着力が弱くなるため50μmから200μmくらいの範囲で材料の耐電圧、誘電率、経済性等から選択する。ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等は誘電率も比較的高く、本発明に使用する絶縁基板に適したものであるが、印刷インキとの密着性が悪いため、印刷前にコロナ放電処理等の表面処理が必要である。
【0013】
本発明においては櫛歯状の電極対を用いたが、必ずしも櫛歯状である必要はなく、少なくとも一対の正負電極が一定の距離を隔てて隣り合うような電極であれば使用できる。
【0014】
電極には500Vから3000Vの直流電圧が印加できるように電源4が接続されている。吸着力は電極対への直流電圧を遮断しても瞬時には消滅しないので、図示はしていないが直流電圧の正負を切換える切換え手段を設け、直流電圧遮断後に正負の極性を一瞬反転させることにより、吸着層に固定されていた広告媒体を容易に取り除くことができる。
【0015】
吸着層5として用いる誘電体フィルムは前記した二軸延伸ポリエステル、ナイロン6、アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン・アクリル酸メチル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のプラスチックフィルムが使用可能である。厚さはやはり50μmから200μmくらいの範囲で材料の耐電圧、誘電率、経済性等から選択する。ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等は誘電率も比較的高く、本発明に使用する吸着層としても適したものである。
【0016】
フィルムは透明なものでも機能上は問題ないが、自動販売機の外観上電極が見えているのは好ましくないため、白色等の着色フィルムを使用するか、予め電極を隠蔽するためのインキを吸着層5に直接塗布したりして着色しておくと良い。
【0017】
本発明の広告媒体6は薄く軽いものであるほど良く、被吸着面が平滑なものであれば、材質は通常の紙やプラスチックや金属であっても良いが、さらに吸着力を高めるために、広告媒体6の被吸着側に導電層を形成させておくことが好ましい。導電層はアルミ蒸着であっても良いし、銅、銀等の導電性微粒子を樹脂に分散させ広告媒体6の裏面つまり被吸着面に塗布することにより形成可能である。膜厚は特に限定されないが、5μm以下で十分である。抵抗は103Ω/□以下であることが好ましい。
【0018】
塗工方法としては、例えば、グラビアコーティング、グラビアリバースコーティング、リバースロールコーティング、ロールコーティング、ダイコーティング、ワイヤーバーコーティング、ドクターブレードコーティング、ディップコーティング、エアナイフコーティング、キスコーティング、スロットコーティング、スプレーコーティング等が挙げられる。
【0019】
また、本発明においては広告媒体を容易に取り外すために、直流電圧の正負を切換える切換え手段を設けることを提案したが、さらに、広告媒体の端部に少なくとも一カ所に折り目を付けておくことにより、折り目を持って引っ張ることにより広告媒体6は容易に取り除くことが可能となる。これは、吸着力は吸着面方向には強いが、吸着面と垂直な方向には比較的弱いためである。
【0020】
自動販売機には一般に商品見本表示区画8と広告表示区画9があるが、本発明では両区画とも静電吸着装置を設置することが可能である。一般に広告表示区画9には紙あるいはプラスチックシートに印刷された薄く軽い広告媒体が掲示されているが、本発明の広告表示方法は好適に使用可能である。一方、商品見本表示区画8には時には立体的な商品見本が展示されるが、立体的な形状物であっても被吸着面が平面な部分を有し平滑であれば吸着可能である。
【0021】
また、絶縁基板の裏側に磁気フィルムを貼り合わせて、磁気的な力で静電吸着装置を自動販売機に設置したり、粘着剤により設置しても良い。
【0022】
次に実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例は、好適な実施形態を具現化したものである。実施例中の「%」及び「部」は、各々「質量%」及び「質量部」を表す。
【0023】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明する。
【0024】
(実施例1)
絶縁基板として厚さ100μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムを準備し、コロナ放電処理後に導電性インキ(十条ケミカル製JELCON CH−1)により、図1に示す櫛歯状電極を厚さ10μmとなるようにスクリーン印刷により形成した。
【0025】
次に、電極から電源に接続するリード線を導電性接着剤で固定し、厚さ100μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムを吸着層としてエポキシ系接着剤を用いて貼り付けた。
【0026】
前記の如く得た静電吸着装置を電極に2kV印可して、絶縁基板側を自動販売機の広告表示区画内に設置した。絶縁基板を厚さ100μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムとしているため、静電吸着力が働き自動販売機に貼り付いた。
【0027】
厚さ50μmの白色PETフィルムに、シルクスクリーン印刷機で絵柄を印刷した広告ポスターを、吸着層に貼り付けたところ、ポスター全面が密着し、長期間表示しても広告ポスターが剥がれたり、変形することもなく、密着状態が維持できた。
【0028】
また、前記の如く得た広告ポスターを2枚重ねて貼っても剥がれることなく、密着状態が維持できた。
【0029】
更に、広告ポスターの着脱も可能であって、電極に印加した電圧を解除した後に一瞬逆極性の電圧を印可することによって、容易に除去することが可能であった。
【0030】
また、前記の如く得た広告ポスターの端部に小さな折り目をつけた場合には、折り目を持って除去すれば、電極に電圧を印加したままでも容易に除去することが可能であった。
【0031】
(実施例2)
実施例1における絶縁基板及び吸着層として用いたポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムの替わりに厚さ100μmの白色PETフィルムを用いて静電吸着装置を製造した以外は、実施例1と同様に実験を行ったところ、実施例1と同様の結果が得られた。
【0032】
さらに、広告ポスターに使用したPETフィルムに予めアルミ蒸着処理を施した場合には、アルミ蒸着処理のない広告ポスターよりも強い吸着力が得られた。
【発明の効果】
本発明の自動販売機用の広告表示方法は、絶縁基板の上に少なくとも一対の電極を配置し、その上に誘電体からなる吸着層を設けてなる静電吸着装置を、自動販売機に設置して、前記吸着層に広告媒体を吸着させて表示することにより、ポスター等の広告媒体全面を密着させることが可能になり、長期間表示しておいてもポスターが変形したり、剥がれたりすることがなく、かつ、着脱が可能で繰り返し着脱時の吸着力の減衰もなく、更には、ポスターの重ね貼りも可能にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における代表的な静電吸着装置の電極対の概略図である。
【図2】本発明における代表的な静電吸着装置の層構成を示す断面図である。
【図3】本発明における代表的な自動販売機の正面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
2 電極
3 電極
4 電源
5 吸着層
6 広告媒体
7 接着剤または粘着剤
8 商品見本表示区画
9 広告表示区画
Claims (6)
- 絶縁基板の上に少なくとも一対の電極を配置し、その上に誘電体からなる吸着層を設けてなる静電吸着装置を、自動販売機に設置して、前記吸着層に広告媒体を吸着させて表示することを特徴とする自動販売機の広告表示方法。
- 前記電極に供給する直流電圧の正負を切換える切換え手段を設けてなる静電吸着装置を設置したことを特徴とする請求項1記載の自動販売機の広告表示方法。
- 前記記載の絶縁基板を誘電体フィルムとして、電極の両側の誘電体とも吸着層とした静電吸着装置を設置したことを特徴とする請求項1及び2記載の自動販売機の広告表示方法。
- 前記記載の広告媒体において被吸着側表面は導電層であることを特徴とする請求項1、2及び3記載の自動販売機の広告表示方法。
- 前記記載の広告媒体の端部に少なくとも一カ所の折り目を形成したことを特徴とする請求項1〜4記載の自動販売機の広告表示方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載された静電吸着装置及び/又は広告媒体を設置した自動販売機
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WO2012165250A1 (ja) * | 2011-05-30 | 2012-12-06 | 株式会社クリエイティブ テクノロジー | 静電吸着体及びこれを用いた静電吸着装置 |
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- 2002-07-31 JP JP2002223303A patent/JP2004062046A/ja active Pending
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