JP2004062030A - エレクトロクロミック調光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡略な製造プロセスにより得られ、かつ大面積化が容易で着消色特性に優れるエレクトロクロミック素子を提供する。
【解決手段】2枚の透明導電性基板にイオン伝導層が挟持されているエレクトロクロミック調光素子であって、一方の透明導電性基板には、導電性面上にニッケル酸化物のエレクトロクロミック層が配置されており、所望によりさらにその上に酸化ジルコニウム膜が配置されており、他方の透明導電性基板には、導電性面上に酸化タングステンのエレクトロクロミック層が配置されており、前記イオン伝導層が、ポリフッ化ビニリデン系高分子マトリックス中に、支持電解質および溶媒を含有してなるイオン伝導性シートからなるエレクトロクロミック調光素子。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種調光窓などに用いられるエレクトロクロミック調光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種調光素子や表示素子等に応用されるエレクトロクロミック素子としては、種々のものが提案されている。例えば、透明導電性基板(透明導電膜付透明基板)、酸化発色型(または還元発色型)エレクトロクロミック膜、電解質、対極基板が順次設けらた構成の素子や、透明導電性基板、エレクトロクロミック化合物を含有する電解質、対極基板が順次設けられている素子などが代表的な構成として挙げられる。
エレクトロクロミック素子を作製する場合は、特開昭63−139321号公報や特開平2−155173号公報などに開示されている公知の方法で作製することができる。具体的には、2枚の電極層付基板を均一な間隔で保持したセルを作製し、セルに設けられた注入口より電解液または電解質前駆体液を注入したのち、電解質部分を固体化することによりエレクトロクロミック素子を製造する方法が挙げられる。
しかしながら、これらの製造方法では、エレクトロクロミック素子が極めて大型化、即ち大面積化した場合、均一な基板間隔を有するセルを工業的に効率よく製造することは難しく、また、その結果として大面積にわたり均質な着消色特性を発現するエレクトロクロミック素子を工業的に製造することは難しいという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実情に鑑み成されたものであり、簡略な製造プロセスにより得られ、かつ大面積化が容易で着消色特性に優れるエレクトロクロミック調光素子の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記のような従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構成からなるエレクトロクロミック調光素子が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、2枚の透明導電性基板にイオン伝導層が挟持されているエレクトロクロミック調光素子であって、
一方の透明導電性基板には、導電性面上にニッケル酸化物のエレクトロクロミック層が配置されており、
他方の透明導電性基板には、導電性面上に酸化タングステンのエレクトロクロミック層が配置されており、
前記イオン伝導層が、ポリフッ化ビニリデン系高分子マトリックス中に、支持電解質および溶媒を含有してなるイオン伝導性シートからなることを特徴とするエレクトロクロミック調光素子に関する。
【0005】
また、本発明は、2枚の透明導電性基板にイオン伝導層が挟持されているエレクトロクロミック調光素子であって、
一方の透明導電性基板には、導電性面上にニッケル酸化物のエレクトロクロミック層が配置され、さらにその上に酸化ジルコニウム層が積層配置されており、
他方の透明導電性基板には、導電性面上に酸化タングステンのエレクトロクロミック層が配置されており、
前記イオン伝導層が、ポリフッ化ビニリデン系高分子マトリックス中に、支持電解質および溶媒を含有してなるイオン伝導性シートからなることを特徴とするエレクトロクロミック調光素子に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、イオン伝導性シートについて説明する。
本発明におけるイオン伝導性シートは、ポリフッ化ビニリデン系高分子マトリックス中に支持電解質および溶媒のイオン伝導性物質を含有してなるものである。
本発明におけるイオン伝導性シートにおいては、支持電解質と溶媒のイオン伝導性物質、あるいはさらに所望により添加する他の成分が、ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物からなる高分子マトリックス中に保持されることによって固体状態が形成される。
【0007】
本発明において高分子マトリックスとして使用するポリフッ化ビニリデン系高分子化合物としては、フッ化ビニリデンの単独重合体、あるいはフッ化ビニリデンと他の重合性モノマー、好適にはラジカル重合性モノマーとの共重合体を挙げることができる。フッ化ビニリデンと共重合させる他の重合性モノマー(以下、共重合性モノマーという。)としては、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレンなどを例示することができるが、ヘキサフロロプロピレンが特に好ましい。
【0008】
これらの共重合性モノマーは、フッ化ビニリデン100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部の範囲で使用することができる。
本発明においては、特にフッ化ビニリデンにヘキサフロロプロピレンを1〜25重量部%共重合させたフッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン共重合体をイオン伝導性フィルムとして好ましく用いることができる。
本発明において用いられるポリフッ化ビニリデン系高分子化合物の数平均分子量は、通常10,000〜2,000,000であり、好ましくは100,000〜1,000,000の範囲のものが好適に使用することができる。
【0009】
本発明において用いられる溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられる溶媒であればいずれも使用することができる。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピルなどを用いることができる。溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。なお、本発明においてはポリフッ化ビニリデン系高分子化合物を溶解する作用のある溶媒を用いることが特に好ましい。
溶媒の使用量は特に制限はないが、通常、イオン伝導性シート中に20質量%以上、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、かつ98質量%以下、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下の量で含有させることができる。
【0010】
本発明において用いられる支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩などが使用でき、特にLi塩が好ましい。
塩類の具体例としては、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有するLi塩が挙げられる。また、これらの混合物も好適に用いることができる。
【0011】
支持電解質の使用量は任意であるが、一般的には、支持電解質は溶媒中に上限としては20モル/L以下、好ましくは10モル/L以下、さらに好ましくは5モル/L以下存在していることが望ましく、下限としては通常0.01モル/L以上、好ましくは0.05モル/L以上、さらに好ましくは0.1モル/L以上存在していることが望ましい。
またイオン伝導性シート中に、上限値として20質量%以下、好ましくは10質量%以下、下限値としては、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上含有することが好ましい。
【0012】
次に、イオン伝導性シートを製造する方法について説明する。
本発明におけるイオン伝導性シートは、支持電解質および溶媒からなるイオン伝導性物質、および所望により紫外線吸収剤等の任意成分を高分子マトリックス成分中に配合することにより得られる混合物を、公知の方法によりシートに成形することにより得ることが出来る。この場合の成形方法としては特に限定されず、押出し成型、キャスト法によるフィルム状態で得る方法などを挙げることができる。
押出し成型については常法により行うことができ、高分子マトリックスとイオン伝導性物質を混合し、過熱溶融した後、フィルム成型することが行われる。
キャスト法については、高分子マトリックスとイオン伝導性物質を混合し、さらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、コータにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。コータとしては、キャスト法に通常用いられるコータを使用することができる。具体的には、ドクタコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、スプレイコータ、カーテンコータを用いることができ、粘度および膜厚により使い分けることができる。
【0013】
本発明におけるイオン伝導性シートは、イオン伝導度が、通常室温で1×10−7S/cm以上、好ましくは1×10−6S/cm以上、さらに好ましくは1×10−5S/cm以上を示す。イオン伝導度は、複素インピーダンス法などの一般的な手法で求めることができる。
イオン伝導性シートの厚さは、用途により適宜選択され、下限としては、通常1μm以上、好ましくは10μm以上であり、上限としては通常3mm以下、好ましくは1mm以下である。
【0014】
イオン伝導性シートは、エレクトロクロミック調光素子の製造をより容易にする観点から、自立性を有していることが望ましい。その場合、通常、25℃におけるその引張弾性率が5×10N/m以上、好ましくは1×10N/m以上、最も好ましくは5×10N/m以上である特性を有することが望ましい。なお、この引張弾性率は、通常用いられる引張り試験機で、2cm×5cmの短冊状サンプルによって測定を行った場合の値である。
また、イオン伝導性シートを透明導電性基板との密着性を改善するため、シート面をエンボス状に加工してもよい。なお、本発明のイオン伝導性シートは、透明度が高いほど方が好ましい。
【0015】
次に、透明導電性基板について説明する。
本発明のエレクトロクロミック調光素子においては、エレクトロクロミック層を有する2枚の透明導電性基板をエレクトロクロミック層を内側になるように配置し、当該基板によりイオン伝導シートが挟持されているものである。前記透明導電性基板うちの一方の基板には、導電性面上にニッケル酸化物のエレクトロクロミック層が配置されており、前記透明導電性基板のうちの他方の基板には、導電性面上に酸化タングステンのエレクトロクロミック層が配置されている。
【0016】
透明導電性基板は、通常、透明基板上に透明電極膜を形成させて製造される。透明基板としては、特に限定されるものではなく、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができる。例えば、無色あるいは有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性を有する樹脂でも良い。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。なお、本発明における透明とは、10〜90%の可視光線透過率を有することであり、また、本発明における基板とは、常温において平滑な面を有するものであり、その面は平面あるいは曲面であってもよく、また応力によって変形するものであってもよい。
【0017】
また、透明電極層を形成する透明導電膜としては、本発明の目的を果たすものである限り特に限定されるものではなく、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステンなどの金属薄膜、金属酸化物からなる導電膜などが挙げられる。金属酸化物としては、例えばITO(In:Sn)、SnO:F、酸化錫、酸化亜鉛、ZnO:Al、In:ZnOなど、あるいはそれらの積層膜が用いられる。
膜厚は通常、0.01〜5μm、好ましくは0.05〜0.3μmである。また、表面抵抗(抵抗率)は適宜選択されるところであるが、通常、0.5〜500Ω/sq、好ましくは2〜50Ω/sqである。
【0018】
透明電極膜の形成法としては、特に限定されず、導電層として用いる前述の金属や金属酸化物の種類により適宜公知の方法を選択使用することができ、通常、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVDあるいはスパッタリング法などが用いられる。いずれの場合も基板温度20〜700℃の範囲内で形成されるのが望ましい。
【0019】
次にエレクトロクロミック層について説明する。
本発明のエレクトロクロミック調光素子においては、対向する2枚の透明導電性基板の一方には、酸化発色型エレクトロクロミック層として酸化ニッケル層が、他方には、還元発色型エレクトロクロミック層として酸化タングステン層が配置されている。また、酸化ニッケル上には、所望により更に酸化ジルコニウム層からなるオーバーコート層が積層配置される。
これらの酸化ニッケル層、酸化タングステン層、酸化ジルコニウム層の製造方法は特に限定されなく、公知の成膜方法により製造することができる。成膜方法としてはゾルゲル法、電気化学的方法などの湿式法、抵抗加熱蒸着法や電子蒸着法などの蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザーディポジションなどの真空成膜方式を用いることができる。
【0020】
本発明におけるエレクトロクロミック層の厚さは、素子構成により適宜選択されるところであるが、酸化タングステン層は通常0.2〜1μm、好ましくは0.3〜0.7μm程度が望ましい。一方、酸化ニッケル層は通常0.5〜2μm、好ましくは0.7〜1.4μmが望ましい。また、酸化ジルコニウム層は通常0.01〜0.1μm、好ましくは0.03〜0.07μmが望ましい。
【0021】
本発明のエレクトロクロミック調光素子の例としては、例えば、図1に示す断面を有するエレクトロクロミック調光素子を好ましく挙げることができる。この調光素子は、透明基板1上に透明導電膜4及び該透明導電膜4上に形成した酸化ニッケル層5からなるエレクトロクロミック層と酸化ジルコニウム層7を備えた基板Aと、対向電極基板として、透明基板2上に透明導電膜3及び該透明導電膜3上に形成した酸化タングステン層6からなるエレクトロクロミック層を備えた基板Bを有している。そして、両者の間にはイオン伝導性シート8が配置され、周辺がシール材9で密封され、透明導電膜(3,4)はリード線により電源10に接続されている。
【0022】
本発明のエレクトロクロミック調光素子を製造する方法は、特に限定されないが、通常、基板Aとイオン伝導性シートと基板Bを積層し、周辺部を公知のシール部材によりシールし、イオン伝導層とセルの外界とを遮断することにより容易に製造することができる。
基板A、基板Bおよびイオン伝導性シートの積層方法としては、公知の方法が挙げられ特に限定されないが、例えば、基板A、イオン伝導性シート、基板Bの順序に重ね合わせ、基板Aおよび基板B間を機械的手段により加圧する方法、また、重ね合わせたのち減圧し、大気圧により圧着する方法などが好適な方法として挙げることができる。
また、積層方法における温度は、使用するイオン伝導性シートの材質、構成成分の種類、成分組成、形状により適宜選択されるところであり、常温でも、加熱下でもよいが、好ましくは50〜150℃程度の加熱下で行うことが望ましい。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、エレクトロクロミック素子を簡便なプロセスで製造することができ、かつ大面積化を容易に図ることができる。また本発明のエレクトロクロミック素子は、応答速度、着色深度、繰り返し特性などの着消色特性にも優れ、調光窓、間仕切りなどの各種建材用途や車両用途に好適に適用することができる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
【0025】
[実施例1]
ポリフッ化ビニリデン(アトフィナ・ジャパン製KYNAR301F)200gと1mol/LのLiClOのリン酸トリエチル溶液を500g添加し、アセトンで希釈した後、加熱して均一溶液を得た。この均一溶液を80cm角ポリテトラフロロエチレン基板上にドクターブレード法で塗布し、加熱乾燥を行い、200μm厚の均一な無色透明なイオン伝導性シートを得た。このシートにおけるリン酸トリエチル溶液の含有率はシート質量基準で約50質量%であった。
シート抵抗値22Ω/sqのSnOを成膜した80×40cm角の無色透明ガラス基板のSnO膜上に、スパッタリング法により酸化タングステン層(0.6μm厚)で成膜し基板A1を製造した。
シート抵抗値22Ω/sqのSnOを成膜した80×40cm角の無色透明ガラス基板のSnO膜上に、電子蒸着法(EB法)により酸化ニッケル層(0.8μm厚)を成膜したのち、当該酸化ニッケル層上に、EB法により酸化ジルコニウム層(0.6μm厚)を成膜し基板B1を得た。
【0026】
基板A1と基板B1を各成膜面が対向するように配置し、これらの基板の間に77cm×37cm角に切り出した前記イオン伝導性シートを挟み、真空パック内に挿入し、減圧脱気を行なった。さらに、100℃のオーブンに10分間放置し、溶融圧着を行なった。対向するSnO基板からリード線を取り出し、セルの周囲をブチルゴムシール材(テーパ化工株式会社製、PIB−521)によりシールすることによりエレクトロクロミック調光素子を作製した。
次に、1.5Vの電圧を酸化タングステン側が負極となるように印加すると速やかに着色をした。一方、酸化タングステン側が正極となるように1.0Vを印加すると初期の無色透明な状態へ戻り、繰り返し性の良好なエレクトロクロミック特性を示した。
【0027】
[実施例2]
ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン)(アトフィナ・ジャパン製KYNAR2751)200gに1mol/LのLiBFのリン酸トリエチル溶液を500g添加し、アセトンで希釈した後、加熱して均一溶液を得た。この均一溶液を80cm角ポリテトラフロロエチレン基板上にドクターブレード法で塗布し、加熱乾燥を行い、200μm厚の均一な無色透明なイオン伝導性シートを得た。このシートにおけるリン酸トリエチル溶液の含有率はシート質量基準で約50質量%であった。
実施例1で得られた基板A1と基板B1を用い、基板A1と基板B1を各成膜面が対向するように配置し、これらの基板の間に77cm×37cm角に切り出した前記イオン伝導性シートを挟み、真空パック内に挿入し、減圧脱気を行なった。さらに、100℃のオーブンに10分間放置し、溶融圧着を行なった。対向するSnO基板からリード線を取り出し、セルの周囲を実施例1で使用したブチルゴムシール材によりシールすることによりエレクトロクロミック調光素子を作製した。セルの周囲をエポキシシールし、エレクトロクロミック調光素子を作製した。
次に、1.5Vの電圧を酸化タングステン側が負極となるように印加すると速やかに着色をした。一方、酸化タングステン側が正極となるように1.0Vを印加すると初期の無色透明な状態へ戻り、繰り返し性の良好なエレクトロクロミック特性を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】エレクトロクロミック調光素子の断面を示す一例である。
【符号の説明】
1、2 透明基板
3、4 透明導電膜
5 酸化ニッケル層
6 酸化タングステン層
7 酸化ジルコニウム層
8 イオン伝導性シート
9 シール材
10 電源

Claims (2)

  1. 2枚の透明導電性基板にイオン伝導層が挟持されているエレクトロクロミック調光素子であって、
    一方の透明導電性基板には、導電性面上にニッケル酸化物のエレクトロクロミック層が配置されており、
    他方の透明導電性基板には、導電性面上に酸化タングステンのエレクトロクロミック層が配置されており、
    前記イオン伝導層が、ポリフッ化ビニリデン系高分子マトリックス中に、支持電解質および溶媒を含有してなるイオン伝導性シートからなることを特徴とするエレクトロクロミック調光素子。
  2. 2枚の透明導電性基板にイオン伝導層が挟持されているエレクトロクロミック調光素子であって、
    一方の透明導電性基板には、導電性面上にニッケル酸化物のエレクトロクロミック層が配置され、さらにその上に酸化ジルコニウム層が積層配置されており、
    他方の透明導電性基板には、導電性面上に酸化タングステンのエレクトロクロミック層が配置されており、
    前記イオン伝導層が、ポリフッ化ビニリデン系高分子マトリックス中に、支持電解質および溶媒を含有してなるイオン伝導性シートからなることを特徴とするエレクトロクロミック調光素子。
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