JP2004061701A - 飛翔粒子の速度計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】飛翔する粒子を撮影し、得られた静止画像から粒子の飛翔速度を計測する方法において、粒子の径が広い範囲に分布する場合であっても粒子の飛翔速度を正確に計測する。
【解決手段】飛翔するトナー粒子の撮影を所定の時間間隔をおいて2度行い、得られた二つの静止画像の一方から着目粒子の径を演算する。そして、これに基づいて着目するトナー粒子の質量及び電荷量を演算する。一方、トナー粒子が飛翔する領域の電界の強度分布を有限要素法によって演算し、この電界内における上記トナー粒子の挙動をシミュレーションにより推定する。推定された飛翔速度及び方向を利用して二つの静止画像において対応する同一粒子を特定する。二つの静止画像における同一粒子の位置の差及び撮影の時間間隔とから粒子の飛翔速度及び方向を演算する。
【選択図】 図2
【解決手段】飛翔するトナー粒子の撮影を所定の時間間隔をおいて2度行い、得られた二つの静止画像の一方から着目粒子の径を演算する。そして、これに基づいて着目するトナー粒子の質量及び電荷量を演算する。一方、トナー粒子が飛翔する領域の電界の強度分布を有限要素法によって演算し、この電界内における上記トナー粒子の挙動をシミュレーションにより推定する。推定された飛翔速度及び方向を利用して二つの静止画像において対応する同一粒子を特定する。二つの静止画像における同一粒子の位置の差及び撮影の時間間隔とから粒子の飛翔速度及び方向を演算する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体等の挙動を調べるために、実際に飛翔する粉体粒子を撮像して速度を計測する方法に係り、特に、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置において現像に供される粉状トナーの速度を好適に計測することができる飛翔粒子の速度計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
不可視現象である流体野挙動を可視化するために、流体中にトレーサ粒子等を導入し、レーザ光により照明された粒子画像をCCDカメラ等で取得することで流れ場の流速分布を測定する方法は、PIV(Particle Image Velocimetry)または、PTV(Particle Tracking Velocimetry)としてさまざまな分野で利用されている。
【0003】
PIV計測システムとして、日本機械学会論文集(B編)65巻第629号(1999−1)第8頁〜第14頁には、次のようなシステムが記載されている。
このシステムは、光源に2本のNd:YAGレーザ(ツインYAGレーザ、出力20〜200mJ程度、波長532nm、最小パルス幅6ns、パルス間隔0.1s〜200ns)を用い、画像入力部に高解像度のCCDカメラ(相関カメラ、1024×1024画素−2048×2048画素、モノクロ画像)を用いる。そして、光源及びカメラを同期させて動作させることにより、2時刻の瞬間の高解像度画像をコンピュータの画像メモリーに取り込み、これらの画像を相互相関PIVにより解析して、ほぼ瞬間的に速度分布に変換するものである。
【0004】
一方、電子写真方式、静電記録方式等、粉状トナーを用いて可視像を形成する方式の画像形成装置において、トナーの挙動や移動速度を観察することは、良好な画像を得るために非常に重要なことである。トナーを用いる画像形成装置では、像担持体上に形成された静電潜像に現像装置からトナーが転移し、像担持体上に可視化されたトナー像が形成される。このような過程において、像担持体と現像装置との間のトナーの挙動や移動速度を観察することにより、像担持体と現像装置との間で生じる種々の画質低下の原因を明らかにすることも可能である。
【0005】
像担持体と現像装置との間におけるトナーの移動速度を観察する方法として、日本画像学会誌39巻第3号第229頁〜第240頁には、次のような方法が掲載されている。
この方法は、誘電体ドラムと現像装置との間隙部にプロセス上流側から垂直に平面光を照射する400Wのキセノン光源と、誘電体ドラムと現像装置との間隙部で光が照射された領域をほぼ垂直な方向から撮像するカメラと、撮像された画像の信号を解析する画像処理装置とを用いて、誘電体ドラムと現像装置との間隙を飛翔する粒子の挙動を観察するものである。
【0006】
上記誘電体ドラム上には、帯電装置によって静電潜像が形成され、誘電体ドラムと現像装置との間には電界が形成されており、誘電体ドラム上の静電潜像が現像装置と対向する位置を通過するときに、現像装置から電荷を有するトナーが飛翔する。このとき、誘電体ドラムと現像装置との間隙部分には、プロセス方向の上流側から垂直な平面光が照射されている。そして、この平面光によって照射されたトナーがカメラによって撮影される。
【0007】
撮影は、所定時間をおいて少なくとも2回行なわれ、これらによって得られる複数の画像は先に述べた相互相関PIVによって解析される。これにより、2つの画像にそれぞれ撮影された複数の粒子から同一の粒子が特定され、これら同一粒子の位置の差および撮影を行なう時間の間隔とからトナーの飛翔速度が計算される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来から知られている方法では、次に述べる問題点がある。
流体が移動する領域にトレーサ粒子を供給し、これらの移動を観測して移動速度を計測する場合には、トレーサ粒子の粒径を均一にすることができ、粒子の移動をほぼ正確に追跡することができるが、例えば、静電潜像の現像に供されるトナー粒子は粒径が均一ではなく、所定の粒度分布となっている。トナー粒子の粒径が異なると電荷量、質量、空気抵抗、付着力等が相違し、電界内での挙動もそれぞれの粒子で異なるものとなる。
また、静電潜像の現像が行なわれる領域では位置によって電界の強さが異なっており、トナー粒子の挙動も異なる。
【0009】
このような状況においては、前記PIVシステムを用いて2つの画像の相互相関を解析し、2つの画像間で対応する同一の粒子を特定するときに、誤った粒子と対応づける可能性が増大してしまう。このため、計測の精度が著しく低下するという問題点が生じている。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、計測対象領域で飛翔する粒子の径が広い範囲に分布している場合であっても、粒子の飛翔速度を正確に計測することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、 粒子が飛翔する撮像対象領域に微小時間の光照射をおこない、該光照射と同時に飛翔粒子を撮像して第1の静止画像を得る工程と、 同じ領域について前記光照射と前記撮像とを、所定時間の経過後に再度行い、第2の静止画像を得る工程と、 前記第1の静止画像又は第2の静止画像のいずれか一方から、着目粒子の粒径を演算する工程と、 前記着目粒子の粒径と該着目粒子が飛翔する領域における粒子速度に影響を及ぼす因子とに基づいて、該着目粒子の飛翔速度及び方向を演算により推定する工程と、 演算された前記着目粒子の飛翔速度及び方向を利用し、前記第1の静止画像又は第2の静止画像のいずれか一方で着目した粒子と同一の粒子を他方の静止画像中で特定する工程と、 前記第1の静止画像と第2の静止画像とにおける前記着目粒子の位置と、前記第1の静止画像と第2の静止画像との撮像時間間隔である前記所定時間とから、前記着目粒子の飛翔速度を演算する工程と、を含む飛翔粒子の速度計測方法を提供する。
【0012】
この方法では、所定時間をおいて撮影された2つの静止画像の一方において、着目粒子を選択し、その粒径が演算される。粒子径が異なると質量が異なり、また電荷量も異なるため、飛翔する時の速度等、挙動に強く影響する場合が多い。これに対し、飛翔する領域の電界の強さ、磁界の強さ等、粒子速度に影響する因子が推定されていると、上記粒子径に基づいてその飛翔速度、飛翔方向等が推定できる。
【0013】
粒子の飛翔速度及び飛翔方向が推定されると、2つの画像の一方で選択した着目粒子について、他方の画像に現れている位置がほぼ限定される。これにより、2つの静止画像間で対応する同一の粒子を高い精度で特定することができる。上記限定された領域内で対応する同一の粒子を特定する方法は、推定された飛翔速度及び方向で演算される位置に最も近い粒子としてもよいし、領域を限定して上記PIVまたはPTVによる解析を行なってもよい。
このように、2つの静止画像間で特定された同一粒子の位置間の距離と、2つの画像を撮影した時間間隔とから正確な飛翔速度を演算することができる。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の飛翔粒子の速度計測方法において、前記着目粒子の粒径を演算する工程は、 前記第1の静止画像又は第2の静止画像における各画素を、濃度階調レベルの閾値で2値化することによって粒子像部分と背景部分とを識別し、得られた画像に基づいて定めるものとする。
【0015】
一般に、粒子の像を光学的に撮像すると解像度や光の回折によって境界線が不明確になる。しかし、撮影された画像を2値化することによって境界が明確になり、閾値を適切に選択することにより、正確に粒子径を演算することができる。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の飛翔粒子の速度計測方法において、前記粒子は電荷を有し、二つの物体間に印加されたバイアス電圧による電界内を飛翔するものであり、 前記着目粒子の飛翔速度及び方向を演算により推定する工程は、 前記二つの物体間における電界の強さの分布を演算し、 前記着目粒子の粒径から該着目粒子が有する電荷量を演算により推定し、 該電荷量及び前記電界の分布に基づいて該着目粒子の飛翔速度及び方向を演算するものとする。
【0017】
帯電した粉体粒子の電荷量は、ほぼ表面積に比例することが知られている。したがって、粒子径を画像から演算することによって電荷量が推定される。そして、電界内における帯電粒子の挙動は電荷量に強く影響を受け、電界の強さの分布がわかっていると、電界内での粒子の挙動が演算により推定できる。このとき、電界の強さの分布は、バイアス電圧を印加する電極の位置、電位等に基づいて演算することができ、有限要素法や有限差分法を用いることにより二次元的又は三次元的に分布する電界の強さを得ることができる。
【0018】
上記のようにして粒子の飛翔速度及び方向の概略が演算されることにより、2つの画像間で同一粒子の対応を高い精度で特定することが可能となる。そして、これによって、粒子の飛翔速度を正確に計測することができる。
【0019】
請求項4に係る発明は、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の飛翔粒子の速度計測方法において、 前記第1の静止画像を得る工程及び第2の静止画像を得る工程における光照射は、 限定された範囲に連続して射出される光を、回転又は回動するミラーに反射させ、撮像領域に走査することによって行うものとする。
【0020】
この方法では、光源から微小な範囲を照射する光を生成し、これをミラーによって走査することにより、撮像しようとする空間内で面状に光照射することができる。そして、露光される面と垂直な方向から撮影を行なうことにより明確な飛翔粒子の像を得ることができる。
また、光の照射時間が微小となるため、高エネルギーの光を粒子に照射しても粒子は加熱溶融されにくく、十分な光量で鮮明な静止画像を得ることができる。また、Nd:YAGレーザー等の高価な装置を用いることなく、粒子が飛翔する空間内で面状の光照射を行なうことが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の発明に係る速度計測方法において用いられる装置の概略構成図である。
この装置は、二つの物体間に形成された微小空隙内を飛翔する粒子に、パルス発生器1から出力されたパルスに同期して微小時間のレーザー光照射を行うレーザー装置2と、該パルスに同期して粒子の静止画像を撮像するカメラ3と、該カメラ3の出力する画像信号から粒子の速度を演算する画像処理装置4とを備えており、像担持体5と現像ロール6とで形成された微小空隙内を飛翔するトナー粒子の速度を計測するものである。
【0022】
上記レーザー装置2は、YAGレーザー、ルビーレーザー、色素レーザー等の、発光時間及び発光間隔が任意に調整可能である光源が用いられ、光を平面状に拡散させるシリンドリカルレンズが備えられている。He−Neレーザー、アルゴンイオンレーザー、半導体レーザー等のレーザーを使用したときには、発光時間及び発光間隔は機械的に調節が行われる。該レーザー装置2は、像担持体5と現像ロール6とが対向する位置のプロセス上流側から、粒子が飛翔する領域に光照射を行なうように設置されており、パルス発生器1から出力されるパルスに同期してレーザー光を出力する。レーザー光は、シリンドリカルレンズによって平面状に拡散され像担持体5と現像ロール6との間に形成された空隙に平面状のレーザー光を照射する。これによって、光を反射する粒子が限定され、所望の粒子を選択的に撮像することができるものとなっている。
【0023】
上記カメラ3は、上記レーザー装置2によって照射された平面状の光とほぼ垂直な方向から撮像するよう設置されており、パルス発生器1から出力されるパルスに同期してレーザー装置2がレーザー光照射するのとほぼ同時に撮像を行う。このカメラ3は、CCDカメラ、写真フィルム、ホログラフィー乾板、デジタルスチルカメラ、撮像管ビデオカメラ、高速度カメラ、高速度フィルムカメラ、イメージコンバータ等を用いることができる。
【0024】
上記像担持体5及び現像ロール6は、最表面に黒アルマイト層が形成されたものが望ましい。この黒アルマイト層が形成されていると、レーザー装置2によって照射されたレーザー光が、像担持体5及び現像ロール6で反射するのが抑えられる。このため、像担持体5あるいは現像ロール6に照射されたレーザー光が散乱し、計測者の眼を傷めるおそれが少ない。また、レーザー光が最表層の黒アルマイト層に照射されるため、誘電体が過剰なレーザー光のエネルギーによって破損してしまうのを防ぐことができる。
【0025】
次に、本願に係る発明の一実施形態であって、上記像担持体5と現像ロール6との微小空隙内を飛翔するトナー粒子の速度を計測する方法について説明する。
図2は、この計測方法の概略を示すフロー図である。
トナー粒子の飛翔速度を計測するには、まず飛翔するトナー粒子の撮影を行う。撮影は、所定の時間間隔をおいて少なくとも2度以上行い(S1,S2)、その中から少なくとも第1の静止画像P1及び第2の静止画像P2を得る。
【0026】
図3は、上記像担持体5と現像ロール6との間に形成された微小空隙部付近の拡大断面図であり、上記空隙内を飛翔するトナー粒子を撮影する。
像担持体5と現像ロール6とは、200μmから600μmまでの任意の距離を設けて対向するように配設されており、該像担持体5と現像ロール6との間には、交流電源7aと直流電源7bとによってバイアス電圧が印加され、電界が形成されている。像担持体5は感光性を有しない誘電体からなり、図示しない帯電装置によって表面に静電潜像が形成される。
【0027】
像担持体5と現像ロール6との間には、交流電源7aによる2200Vp−p(ピークツーピーク)の正弦波交流電圧と、直流電源7bからの−400Vの直流電圧とが重畳されたバイアス電圧が印加される。現像ロール6の表面に担持されている粒子は、像担持体5と現像ロール6との間に形成された電界の作用によって、像担持体5の静電潜像に向かって飛翔する。このとき、バイアス電圧に交流成分が含まれているため、交流成分の周期にしたがって、像担持体5と現像ロール6との間に形成された電界の向きが変化する。このため、粒子の飛翔方向や飛翔速度は、図4(a)に示す▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の各点で異なるものとなる。
【0028】
次に、飛翔する粒子にカメラ3の焦点を合わせ、図4(a)に示す正弦波との位相を調節して、パルス発生器1よりパルスを出力する。このパルスに同期して、レーザー装置2によって所望の領域に選択的に光を照射し、これとほぼ同時にカメラ3によって撮像を行う。例えば、図4(a)に示す交流電圧の周波数を15Hzとすると、位相差がない場合は▲1▼点、パルスの出力を1/60s遅くした場合は▲2▼点、同様に1/30s遅くした場合は▲3▼点、1/20s遅くした場合は▲4▼点の粒子に光が照射され、撮像される。撮像は、所定の時間間隔を設けて、少なくとも2回行なう。
【0029】
撮像の間隔は、約20μsに設定した場合、トナー粒子の飛翔速度が3m/sと仮定すると、60μm移動後の粒子の画像を記録できる。また、レーザー装置2の発光時間を10ns程度に短く設定することによって、非常に高速で飛翔する粒子でも、飛翔の軌跡ではなく、点に近い状態で記録することができる。これらの時間間隔及び発光時間は、トナー粒子の飛翔条件に合わせて適宜に設定することができる。
【0030】
なお、上記撮像では、バイアス電圧として正弦波と直流電圧とを重畳したものを用いたが、図4(b)に示すように変形した矩形波に直流電圧を重畳した場合、図4(c)に示すように矩形波に直流電圧を重畳した場合についてもパルス発生器1によるパルスの出力のタイミングを調整して撮像を行なうことができる。また、像担持体5と現像ロール6との間に直流バイアス電圧のみを印加する場合についても計測可能であるが、電界の分布が一定となり経時的な変化は観測されない。ただし、バイアス電圧印加直後の過渡状態の観測は、バイアス電圧の印加と画像の撮影との時間間隔を適切に選択することによって行うことができる。
【0031】
上記のような撮像により、図5に示すように像担持体5と現像ロール6との間隙を飛翔するトナー粒子の静止画像が得られる。そして、所定の時間間隔で得られた2つの静止画像(P1,P2)の画像信号は画像処理装置4に入力される。
【0032】
画像処理装置4では、2つの画像のうちの一方からトナー粒子の径が算出される。粒子径の算出は次のようにして行なわれる。
まず、画像処理によって静止物体画像が除去される。これには、例えば特開2001−74415号公報に記載されている方法を用いることができる。この方法は、同じ領域を撮影した複数の画像の同じ位置にある画素について、各々平均輝度又は最小輝度を求め、これを原画像から減算するものである。このような方法では、常に高い輝度で像に現われる静止物体が除去され、図6に示すように移動する粒子像だけの画像が得られる。
【0033】
この画像は、光照射による反射光を撮影しているため、背景部は輝度値が低く、粒子像は輝度が高くなっており、各画素についてヒストグラムを作成すると図7に示すようになる。
この図は、横軸が濃度階調のレベル値となっており、ピーク値を含む2つの領域間(図中に符号Aで示す領域)に閾値を設定することにより、画像を2値化することができる(図2,S2)。上記閾値は、撮影条件の影響などを考慮して最適の値にすることができるが、nビットの画像、すなわち濃度が2n 階調の画像では(2n×1/4)番目の階調レベルから(2n×3/4)番目の階調レベルまでの間に設定するのが望ましい。例えば、8ビット(256階調)の画像では64番目から192番目までの範囲となる。
【0034】
上記のようにして、画像が2値化されることにより、粒子像と背景部との境界を明確にすることができ、粒子径の算出が容易となる。
【0035】
トナー粒子径の演算(図2,S4)は、2値化された粒子像の径から、例えば「西野耕一、マイクロ流れの速度場計測、ながれ20(2001)83−91」に記載の方法を用いることができる。
この方法は、次に示す(1)式及び(2)式によって算出される。
光の回折によるエリアディスク直径daは、レンズ収差のない理想的な撮影光学系では次式で与えられる。
【数1】
ここで、Mは撮影光学系の横倍率、Fは撮影光学系のF値、λは光の波長である。
【0036】
撮影された画像における粒子像の径deは、粒子の投影サイズと撮影光学系の回折限界によって定まり、実際の粒子の径dpと粒子像の径deとの関係は次式のとおりとなる。
【数2】
したがって、粒子像の径が2値化された画像から読み取られると実際の粒子径を演算することができる。
正確に粒径が測定されている金粒子を用いて検証の実験を行なった結果、理論値と計測値とがほぼ一致することが確認されている。
【0037】
実際の粒子径が算定されると、これに基づいて粒子の質量、粒子が有する電荷量が計算される(図2、S5)。
混合される粉体の表面電荷密度はほぼ一定となることから、この表面電荷密度を適切に設定することによって径が異なる粒子のそれぞれについて電荷量を算出することができる。例えば、トナー粒子については、表面電荷密度を9.75×10−6[c/m2] と設定することができる。
【0038】
一方、像担持体5と現像ロール6との間に生じる電界Eの強さの分布は、有限要素法または有限差分法などを用いて演算することができる(図2、S6)。このとき、像担持体5及び現像ロール6の位置、これらに印加されるバイアス電圧及び誘電率等は、実際の測定条件と同じ値に設定する。そして、トナー粒子の飛翔領域を複数の要素(メッシュ)に分割して演算を行なう。要素の分割はモデル化にともなう誤差が無視できる程度まで細かく設定するのが望ましい。
【0039】
上記のように電界の強さの分布が演算されると、この電界内で飛翔する電荷を有する粒子の挙動をシミュレーションにより予測することができる(図2、S7)。電界内における粒子の挙動は、粒子が持つ電荷量、質量等によって異なるものとなるが、先に説明したように粒子径が計測されており、電荷量及び質量が推定される。
【0040】
電界内における粒子運動のシミュレーションにおいて、一般的に粒子の運動方程式は次に示す(3)式となる。
【数3】
ここで、m:粒子質量
u:粒子速度
ft:粒子への作用力
である。
【0041】
電界中を飛翔する粒子の衝突の影響を無視できるとすると、各粒子への作用力ftは、
【数4】
と考えることができる。
ここで、 fe:粒子に作用する静電気力
fa:空気抵抗力
fg:重力
である。
【0042】
静電気力feは、電界E中で電荷qを有する粒子に作用する力であり、(5)式で示される。
【数5】
ここで電界Eは、先に説明したように、有限要素法によって演算されたものを用いることができる。電荷qは、計測された粒径から表面電荷密度を推定して演算した結果を用いることができる。
【0043】
空気抵抗力faは、(6)式に示すストークスの式によって与えられる。
【数6】
ここで、 η:空気の粘性係数
r:粒子半径
である。
【0044】
重力fgは、(7)式で与えられ、式中のgは重力加速度である。
【数7】
ただし、トナー粒子に作用する重力は、静電気力を比較すると数桁以上小さく、一般には無視することができる。
【0045】
上記(4)式から(6)式までを用いて(3)式を解くことにより、粒子の速度uが計算される。
例えば、像担持体5と現像ロール6とが最接近する位置において、現像ロール表面を基準点とし、この基準点にあるトナー粒子が像担持体に向かって飛翔するときの移動量と飛翔速度との関係を計算した結果を図8に示す。
【0046】
この計算に用いたパラメータは、次に示すとおりである。
粒子電荷 [C]: 6.31E−16
粒子半径 [m]: 5.00E−06
粒子質量 [kg]: 5.88E−14
空気の粘性係数: 1.81E−05
粒子担持体の半径[m]: 8.00E−03
静電潜像保持体の半径[m]: 2.00E−02
ロール間最近接距離[m]: 3.00E−04
計算対象領域Lx [m] 1.00E−02
計算対象領域のけるメッシュ分割数: 60×20
粒子担持体への印加電圧[V]: −1.40E+03
静電潜像保持体への印加電圧[V]: 0.00E+00
【0047】
図8は、図5中に示すX方向の移動量と速度成分とを示すものであるが、Y方向の成分も同様に算出できる。また、粒子の初期配置、つまり飛翔開始位置を変えても同様に算出することができる。
このように、計算パラメータが決まれば、各位置における粒子の飛翔速度が算出でき、Δt秒後の粒子位置を高精度に予測することが可能となる。
【0048】
上記のようにして粒子の移動位置を予測した後は、一般的な手法、例えば「植村知正、山本富士夫、幸川光雄、2値化相関法−粒子追跡法の高速画像解析アルゴリズム、可視化情報、Vol.10 No.38、1990年7月」に記載されている2値画像相関法(画像の中にランダムに散らばっている粒子の中で、周辺のマーカーとの相対的な位置座標を考慮して、個々の粒子を識別する方法)を用いて2つの画像間で同一の粒子を対応づける(図2、S8)。
【0049】
このとき、一方の画像に基づいて粒子の飛翔速度及び方向が予測されているので、限定された範囲について検索することができ、効率が向上するとともに対応づけのエラー(過誤ベクトル)の発生が大幅に低減される。
そして、対応づけられた同一粒子のそれぞれの画像内における座標と2つの画像の撮影を行なった時間間隔とから飛翔粒子の速度及び方向を正確に計測することができる(図2、S9)。
【0050】
計測の結果である速度ベクトルの分布を模式的に表示すると、例えば図9に示すようになり、トナー粒子は像担持体5と現像ロール6との間をほぼ電気力線に沿って飛翔することを視覚的に容易に理解することができる。また、飛翔速度も、像担持体と現像ロールとの距離が近づくほど、早くなっていることを視覚的に容易に理解することができる。
【0051】
図10は、請求項4に係る発明の速度計測方法で用いることができる装置を示す概略構成図である。
この装置では、粒子の飛翔領域に光照射を行なうレーザー装置12が、連続して射出されるレーザー光を回転するミラーによって走査するものとなっている。レーザー発生器21は、限定された狭い範囲をスポット状に照射するレーザー光を射出するものであり、図11に示すようにコリメートレンズ22によって平行線化される。そして、回転するポリゴンミラー23で反射され、、像担持体5及び現像ロール6の軸線と直角方向にレーザー光が走査される。走査されたレーザー光は、さらにf−θレンズ24,25によって絞り込まれるとともに走査方向への光の移動速度が一定となるように屈折される。
【0052】
このようにレーザー光がトナー粒子の飛翔領域を走査することによって、領域内空間が面状に光照射される。また、上記ポリゴンミラー側部の複数の面のうち、ミラーを取り付ける面を適宜に選択し、回転速度を適切に設定することによって、所定の時間間隔でトナー粒子の飛翔領域を光照射することができる。そして、光照射のタイミングをバイアス電圧の位相に同期させるとともに、これに合わせてカメラによる撮影を行なう。これにより、先に説明した実施形態と同様に所定の時間間隔で飛翔するトナー粒子の複数の静止画像を得ることができる。
その後の処理及び工程は先に説明した実施形態と同じである。
この方法では、静止画像を安価な装置で容易に得ることが可能となる。
なお、上記ポリゴンミラーに代えて、小さなミラーが往復回動するガルバノミラーを用いることもできる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係る飛翔粒子の速度計測方法では、極短時間の光照射によって飛翔粒子の2つの静止画像が得られ、これら2つの静止画像に記録された同一粒子のそれぞれの位置と、2つの静止画像を撮影した時間間隔とから飛翔粒子の速度及び方向を得ることができる。
また、撮影された静止画像から粒子径を計測し、これに基づいて粒子の移動速度及び方向を数値演算によるシミュレーションによって推定するので、2つの静止画像に記録された同一の粒子を高い精度で対応づけることが可能となり、飛翔速度及び方向の計測精度が著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1,請求項2又は請求項3に係る発明の速度計測方法に用いることができる装置の概略構成図である。
【図2】本願に係る発明の一実施形態である飛翔粒子の速度計測方法を示すフロー図である。
【図3】図1に示す装置によって計測領域にレーザー光を照射する状態を示す概略図である。
【図4】像担持体と現像ロールとの間に印加されるバイアス電圧の波形を示す図である。
【図5】像担持体と現像ロールとの間を飛翔するトナー粒子を撮影した静止画像の模式図である。
【図6】図5に示す静止画像から画像処理によって静止物体の像を消去した画像を示す模式図である。
【図7】図6に示すトナー粒子の画像における各画素の階調濃度についてのヒストグラムである。
【図8】像担持体と現像ロールとの間で飛翔するトナー粒子の、変位と速度との関係の演算値を示す図である。
【図9】像担持体と現像ロールとの間を飛翔するトナー粒子の、速度と方向とをベクトルで示す概略図である
【図10】請求項4に係る発明の速度計測方法に用いることができる装置の概略構成図である。
【図11】図10に示す装置におけるレーザー光の走査を示す概略図である。
【符号の説明】
1 パルス発生器
2 レーザー装置
3 カメラ
4 画像処理装置
5 像担持体
6 現像ロール
12 レーザー装置
21 レーザー発生器
22 コリメートレンズ
23 ポリゴンミラー
24,25 f−θレンズ
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体等の挙動を調べるために、実際に飛翔する粉体粒子を撮像して速度を計測する方法に係り、特に、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置において現像に供される粉状トナーの速度を好適に計測することができる飛翔粒子の速度計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
不可視現象である流体野挙動を可視化するために、流体中にトレーサ粒子等を導入し、レーザ光により照明された粒子画像をCCDカメラ等で取得することで流れ場の流速分布を測定する方法は、PIV(Particle Image Velocimetry)または、PTV(Particle Tracking Velocimetry)としてさまざまな分野で利用されている。
【0003】
PIV計測システムとして、日本機械学会論文集(B編)65巻第629号(1999−1)第8頁〜第14頁には、次のようなシステムが記載されている。
このシステムは、光源に2本のNd:YAGレーザ(ツインYAGレーザ、出力20〜200mJ程度、波長532nm、最小パルス幅6ns、パルス間隔0.1s〜200ns)を用い、画像入力部に高解像度のCCDカメラ(相関カメラ、1024×1024画素−2048×2048画素、モノクロ画像)を用いる。そして、光源及びカメラを同期させて動作させることにより、2時刻の瞬間の高解像度画像をコンピュータの画像メモリーに取り込み、これらの画像を相互相関PIVにより解析して、ほぼ瞬間的に速度分布に変換するものである。
【0004】
一方、電子写真方式、静電記録方式等、粉状トナーを用いて可視像を形成する方式の画像形成装置において、トナーの挙動や移動速度を観察することは、良好な画像を得るために非常に重要なことである。トナーを用いる画像形成装置では、像担持体上に形成された静電潜像に現像装置からトナーが転移し、像担持体上に可視化されたトナー像が形成される。このような過程において、像担持体と現像装置との間のトナーの挙動や移動速度を観察することにより、像担持体と現像装置との間で生じる種々の画質低下の原因を明らかにすることも可能である。
【0005】
像担持体と現像装置との間におけるトナーの移動速度を観察する方法として、日本画像学会誌39巻第3号第229頁〜第240頁には、次のような方法が掲載されている。
この方法は、誘電体ドラムと現像装置との間隙部にプロセス上流側から垂直に平面光を照射する400Wのキセノン光源と、誘電体ドラムと現像装置との間隙部で光が照射された領域をほぼ垂直な方向から撮像するカメラと、撮像された画像の信号を解析する画像処理装置とを用いて、誘電体ドラムと現像装置との間隙を飛翔する粒子の挙動を観察するものである。
【0006】
上記誘電体ドラム上には、帯電装置によって静電潜像が形成され、誘電体ドラムと現像装置との間には電界が形成されており、誘電体ドラム上の静電潜像が現像装置と対向する位置を通過するときに、現像装置から電荷を有するトナーが飛翔する。このとき、誘電体ドラムと現像装置との間隙部分には、プロセス方向の上流側から垂直な平面光が照射されている。そして、この平面光によって照射されたトナーがカメラによって撮影される。
【0007】
撮影は、所定時間をおいて少なくとも2回行なわれ、これらによって得られる複数の画像は先に述べた相互相関PIVによって解析される。これにより、2つの画像にそれぞれ撮影された複数の粒子から同一の粒子が特定され、これら同一粒子の位置の差および撮影を行なう時間の間隔とからトナーの飛翔速度が計算される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来から知られている方法では、次に述べる問題点がある。
流体が移動する領域にトレーサ粒子を供給し、これらの移動を観測して移動速度を計測する場合には、トレーサ粒子の粒径を均一にすることができ、粒子の移動をほぼ正確に追跡することができるが、例えば、静電潜像の現像に供されるトナー粒子は粒径が均一ではなく、所定の粒度分布となっている。トナー粒子の粒径が異なると電荷量、質量、空気抵抗、付着力等が相違し、電界内での挙動もそれぞれの粒子で異なるものとなる。
また、静電潜像の現像が行なわれる領域では位置によって電界の強さが異なっており、トナー粒子の挙動も異なる。
【0009】
このような状況においては、前記PIVシステムを用いて2つの画像の相互相関を解析し、2つの画像間で対応する同一の粒子を特定するときに、誤った粒子と対応づける可能性が増大してしまう。このため、計測の精度が著しく低下するという問題点が生じている。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、計測対象領域で飛翔する粒子の径が広い範囲に分布している場合であっても、粒子の飛翔速度を正確に計測することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、 粒子が飛翔する撮像対象領域に微小時間の光照射をおこない、該光照射と同時に飛翔粒子を撮像して第1の静止画像を得る工程と、 同じ領域について前記光照射と前記撮像とを、所定時間の経過後に再度行い、第2の静止画像を得る工程と、 前記第1の静止画像又は第2の静止画像のいずれか一方から、着目粒子の粒径を演算する工程と、 前記着目粒子の粒径と該着目粒子が飛翔する領域における粒子速度に影響を及ぼす因子とに基づいて、該着目粒子の飛翔速度及び方向を演算により推定する工程と、 演算された前記着目粒子の飛翔速度及び方向を利用し、前記第1の静止画像又は第2の静止画像のいずれか一方で着目した粒子と同一の粒子を他方の静止画像中で特定する工程と、 前記第1の静止画像と第2の静止画像とにおける前記着目粒子の位置と、前記第1の静止画像と第2の静止画像との撮像時間間隔である前記所定時間とから、前記着目粒子の飛翔速度を演算する工程と、を含む飛翔粒子の速度計測方法を提供する。
【0012】
この方法では、所定時間をおいて撮影された2つの静止画像の一方において、着目粒子を選択し、その粒径が演算される。粒子径が異なると質量が異なり、また電荷量も異なるため、飛翔する時の速度等、挙動に強く影響する場合が多い。これに対し、飛翔する領域の電界の強さ、磁界の強さ等、粒子速度に影響する因子が推定されていると、上記粒子径に基づいてその飛翔速度、飛翔方向等が推定できる。
【0013】
粒子の飛翔速度及び飛翔方向が推定されると、2つの画像の一方で選択した着目粒子について、他方の画像に現れている位置がほぼ限定される。これにより、2つの静止画像間で対応する同一の粒子を高い精度で特定することができる。上記限定された領域内で対応する同一の粒子を特定する方法は、推定された飛翔速度及び方向で演算される位置に最も近い粒子としてもよいし、領域を限定して上記PIVまたはPTVによる解析を行なってもよい。
このように、2つの静止画像間で特定された同一粒子の位置間の距離と、2つの画像を撮影した時間間隔とから正確な飛翔速度を演算することができる。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の飛翔粒子の速度計測方法において、前記着目粒子の粒径を演算する工程は、 前記第1の静止画像又は第2の静止画像における各画素を、濃度階調レベルの閾値で2値化することによって粒子像部分と背景部分とを識別し、得られた画像に基づいて定めるものとする。
【0015】
一般に、粒子の像を光学的に撮像すると解像度や光の回折によって境界線が不明確になる。しかし、撮影された画像を2値化することによって境界が明確になり、閾値を適切に選択することにより、正確に粒子径を演算することができる。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の飛翔粒子の速度計測方法において、前記粒子は電荷を有し、二つの物体間に印加されたバイアス電圧による電界内を飛翔するものであり、 前記着目粒子の飛翔速度及び方向を演算により推定する工程は、 前記二つの物体間における電界の強さの分布を演算し、 前記着目粒子の粒径から該着目粒子が有する電荷量を演算により推定し、 該電荷量及び前記電界の分布に基づいて該着目粒子の飛翔速度及び方向を演算するものとする。
【0017】
帯電した粉体粒子の電荷量は、ほぼ表面積に比例することが知られている。したがって、粒子径を画像から演算することによって電荷量が推定される。そして、電界内における帯電粒子の挙動は電荷量に強く影響を受け、電界の強さの分布がわかっていると、電界内での粒子の挙動が演算により推定できる。このとき、電界の強さの分布は、バイアス電圧を印加する電極の位置、電位等に基づいて演算することができ、有限要素法や有限差分法を用いることにより二次元的又は三次元的に分布する電界の強さを得ることができる。
【0018】
上記のようにして粒子の飛翔速度及び方向の概略が演算されることにより、2つの画像間で同一粒子の対応を高い精度で特定することが可能となる。そして、これによって、粒子の飛翔速度を正確に計測することができる。
【0019】
請求項4に係る発明は、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の飛翔粒子の速度計測方法において、 前記第1の静止画像を得る工程及び第2の静止画像を得る工程における光照射は、 限定された範囲に連続して射出される光を、回転又は回動するミラーに反射させ、撮像領域に走査することによって行うものとする。
【0020】
この方法では、光源から微小な範囲を照射する光を生成し、これをミラーによって走査することにより、撮像しようとする空間内で面状に光照射することができる。そして、露光される面と垂直な方向から撮影を行なうことにより明確な飛翔粒子の像を得ることができる。
また、光の照射時間が微小となるため、高エネルギーの光を粒子に照射しても粒子は加熱溶融されにくく、十分な光量で鮮明な静止画像を得ることができる。また、Nd:YAGレーザー等の高価な装置を用いることなく、粒子が飛翔する空間内で面状の光照射を行なうことが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の発明に係る速度計測方法において用いられる装置の概略構成図である。
この装置は、二つの物体間に形成された微小空隙内を飛翔する粒子に、パルス発生器1から出力されたパルスに同期して微小時間のレーザー光照射を行うレーザー装置2と、該パルスに同期して粒子の静止画像を撮像するカメラ3と、該カメラ3の出力する画像信号から粒子の速度を演算する画像処理装置4とを備えており、像担持体5と現像ロール6とで形成された微小空隙内を飛翔するトナー粒子の速度を計測するものである。
【0022】
上記レーザー装置2は、YAGレーザー、ルビーレーザー、色素レーザー等の、発光時間及び発光間隔が任意に調整可能である光源が用いられ、光を平面状に拡散させるシリンドリカルレンズが備えられている。He−Neレーザー、アルゴンイオンレーザー、半導体レーザー等のレーザーを使用したときには、発光時間及び発光間隔は機械的に調節が行われる。該レーザー装置2は、像担持体5と現像ロール6とが対向する位置のプロセス上流側から、粒子が飛翔する領域に光照射を行なうように設置されており、パルス発生器1から出力されるパルスに同期してレーザー光を出力する。レーザー光は、シリンドリカルレンズによって平面状に拡散され像担持体5と現像ロール6との間に形成された空隙に平面状のレーザー光を照射する。これによって、光を反射する粒子が限定され、所望の粒子を選択的に撮像することができるものとなっている。
【0023】
上記カメラ3は、上記レーザー装置2によって照射された平面状の光とほぼ垂直な方向から撮像するよう設置されており、パルス発生器1から出力されるパルスに同期してレーザー装置2がレーザー光照射するのとほぼ同時に撮像を行う。このカメラ3は、CCDカメラ、写真フィルム、ホログラフィー乾板、デジタルスチルカメラ、撮像管ビデオカメラ、高速度カメラ、高速度フィルムカメラ、イメージコンバータ等を用いることができる。
【0024】
上記像担持体5及び現像ロール6は、最表面に黒アルマイト層が形成されたものが望ましい。この黒アルマイト層が形成されていると、レーザー装置2によって照射されたレーザー光が、像担持体5及び現像ロール6で反射するのが抑えられる。このため、像担持体5あるいは現像ロール6に照射されたレーザー光が散乱し、計測者の眼を傷めるおそれが少ない。また、レーザー光が最表層の黒アルマイト層に照射されるため、誘電体が過剰なレーザー光のエネルギーによって破損してしまうのを防ぐことができる。
【0025】
次に、本願に係る発明の一実施形態であって、上記像担持体5と現像ロール6との微小空隙内を飛翔するトナー粒子の速度を計測する方法について説明する。
図2は、この計測方法の概略を示すフロー図である。
トナー粒子の飛翔速度を計測するには、まず飛翔するトナー粒子の撮影を行う。撮影は、所定の時間間隔をおいて少なくとも2度以上行い(S1,S2)、その中から少なくとも第1の静止画像P1及び第2の静止画像P2を得る。
【0026】
図3は、上記像担持体5と現像ロール6との間に形成された微小空隙部付近の拡大断面図であり、上記空隙内を飛翔するトナー粒子を撮影する。
像担持体5と現像ロール6とは、200μmから600μmまでの任意の距離を設けて対向するように配設されており、該像担持体5と現像ロール6との間には、交流電源7aと直流電源7bとによってバイアス電圧が印加され、電界が形成されている。像担持体5は感光性を有しない誘電体からなり、図示しない帯電装置によって表面に静電潜像が形成される。
【0027】
像担持体5と現像ロール6との間には、交流電源7aによる2200Vp−p(ピークツーピーク)の正弦波交流電圧と、直流電源7bからの−400Vの直流電圧とが重畳されたバイアス電圧が印加される。現像ロール6の表面に担持されている粒子は、像担持体5と現像ロール6との間に形成された電界の作用によって、像担持体5の静電潜像に向かって飛翔する。このとき、バイアス電圧に交流成分が含まれているため、交流成分の周期にしたがって、像担持体5と現像ロール6との間に形成された電界の向きが変化する。このため、粒子の飛翔方向や飛翔速度は、図4(a)に示す▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の各点で異なるものとなる。
【0028】
次に、飛翔する粒子にカメラ3の焦点を合わせ、図4(a)に示す正弦波との位相を調節して、パルス発生器1よりパルスを出力する。このパルスに同期して、レーザー装置2によって所望の領域に選択的に光を照射し、これとほぼ同時にカメラ3によって撮像を行う。例えば、図4(a)に示す交流電圧の周波数を15Hzとすると、位相差がない場合は▲1▼点、パルスの出力を1/60s遅くした場合は▲2▼点、同様に1/30s遅くした場合は▲3▼点、1/20s遅くした場合は▲4▼点の粒子に光が照射され、撮像される。撮像は、所定の時間間隔を設けて、少なくとも2回行なう。
【0029】
撮像の間隔は、約20μsに設定した場合、トナー粒子の飛翔速度が3m/sと仮定すると、60μm移動後の粒子の画像を記録できる。また、レーザー装置2の発光時間を10ns程度に短く設定することによって、非常に高速で飛翔する粒子でも、飛翔の軌跡ではなく、点に近い状態で記録することができる。これらの時間間隔及び発光時間は、トナー粒子の飛翔条件に合わせて適宜に設定することができる。
【0030】
なお、上記撮像では、バイアス電圧として正弦波と直流電圧とを重畳したものを用いたが、図4(b)に示すように変形した矩形波に直流電圧を重畳した場合、図4(c)に示すように矩形波に直流電圧を重畳した場合についてもパルス発生器1によるパルスの出力のタイミングを調整して撮像を行なうことができる。また、像担持体5と現像ロール6との間に直流バイアス電圧のみを印加する場合についても計測可能であるが、電界の分布が一定となり経時的な変化は観測されない。ただし、バイアス電圧印加直後の過渡状態の観測は、バイアス電圧の印加と画像の撮影との時間間隔を適切に選択することによって行うことができる。
【0031】
上記のような撮像により、図5に示すように像担持体5と現像ロール6との間隙を飛翔するトナー粒子の静止画像が得られる。そして、所定の時間間隔で得られた2つの静止画像(P1,P2)の画像信号は画像処理装置4に入力される。
【0032】
画像処理装置4では、2つの画像のうちの一方からトナー粒子の径が算出される。粒子径の算出は次のようにして行なわれる。
まず、画像処理によって静止物体画像が除去される。これには、例えば特開2001−74415号公報に記載されている方法を用いることができる。この方法は、同じ領域を撮影した複数の画像の同じ位置にある画素について、各々平均輝度又は最小輝度を求め、これを原画像から減算するものである。このような方法では、常に高い輝度で像に現われる静止物体が除去され、図6に示すように移動する粒子像だけの画像が得られる。
【0033】
この画像は、光照射による反射光を撮影しているため、背景部は輝度値が低く、粒子像は輝度が高くなっており、各画素についてヒストグラムを作成すると図7に示すようになる。
この図は、横軸が濃度階調のレベル値となっており、ピーク値を含む2つの領域間(図中に符号Aで示す領域)に閾値を設定することにより、画像を2値化することができる(図2,S2)。上記閾値は、撮影条件の影響などを考慮して最適の値にすることができるが、nビットの画像、すなわち濃度が2n 階調の画像では(2n×1/4)番目の階調レベルから(2n×3/4)番目の階調レベルまでの間に設定するのが望ましい。例えば、8ビット(256階調)の画像では64番目から192番目までの範囲となる。
【0034】
上記のようにして、画像が2値化されることにより、粒子像と背景部との境界を明確にすることができ、粒子径の算出が容易となる。
【0035】
トナー粒子径の演算(図2,S4)は、2値化された粒子像の径から、例えば「西野耕一、マイクロ流れの速度場計測、ながれ20(2001)83−91」に記載の方法を用いることができる。
この方法は、次に示す(1)式及び(2)式によって算出される。
光の回折によるエリアディスク直径daは、レンズ収差のない理想的な撮影光学系では次式で与えられる。
【数1】
ここで、Mは撮影光学系の横倍率、Fは撮影光学系のF値、λは光の波長である。
【0036】
撮影された画像における粒子像の径deは、粒子の投影サイズと撮影光学系の回折限界によって定まり、実際の粒子の径dpと粒子像の径deとの関係は次式のとおりとなる。
【数2】
したがって、粒子像の径が2値化された画像から読み取られると実際の粒子径を演算することができる。
正確に粒径が測定されている金粒子を用いて検証の実験を行なった結果、理論値と計測値とがほぼ一致することが確認されている。
【0037】
実際の粒子径が算定されると、これに基づいて粒子の質量、粒子が有する電荷量が計算される(図2、S5)。
混合される粉体の表面電荷密度はほぼ一定となることから、この表面電荷密度を適切に設定することによって径が異なる粒子のそれぞれについて電荷量を算出することができる。例えば、トナー粒子については、表面電荷密度を9.75×10−6[c/m2] と設定することができる。
【0038】
一方、像担持体5と現像ロール6との間に生じる電界Eの強さの分布は、有限要素法または有限差分法などを用いて演算することができる(図2、S6)。このとき、像担持体5及び現像ロール6の位置、これらに印加されるバイアス電圧及び誘電率等は、実際の測定条件と同じ値に設定する。そして、トナー粒子の飛翔領域を複数の要素(メッシュ)に分割して演算を行なう。要素の分割はモデル化にともなう誤差が無視できる程度まで細かく設定するのが望ましい。
【0039】
上記のように電界の強さの分布が演算されると、この電界内で飛翔する電荷を有する粒子の挙動をシミュレーションにより予測することができる(図2、S7)。電界内における粒子の挙動は、粒子が持つ電荷量、質量等によって異なるものとなるが、先に説明したように粒子径が計測されており、電荷量及び質量が推定される。
【0040】
電界内における粒子運動のシミュレーションにおいて、一般的に粒子の運動方程式は次に示す(3)式となる。
【数3】
ここで、m:粒子質量
u:粒子速度
ft:粒子への作用力
である。
【0041】
電界中を飛翔する粒子の衝突の影響を無視できるとすると、各粒子への作用力ftは、
【数4】
と考えることができる。
ここで、 fe:粒子に作用する静電気力
fa:空気抵抗力
fg:重力
である。
【0042】
静電気力feは、電界E中で電荷qを有する粒子に作用する力であり、(5)式で示される。
【数5】
ここで電界Eは、先に説明したように、有限要素法によって演算されたものを用いることができる。電荷qは、計測された粒径から表面電荷密度を推定して演算した結果を用いることができる。
【0043】
空気抵抗力faは、(6)式に示すストークスの式によって与えられる。
【数6】
ここで、 η:空気の粘性係数
r:粒子半径
である。
【0044】
重力fgは、(7)式で与えられ、式中のgは重力加速度である。
【数7】
ただし、トナー粒子に作用する重力は、静電気力を比較すると数桁以上小さく、一般には無視することができる。
【0045】
上記(4)式から(6)式までを用いて(3)式を解くことにより、粒子の速度uが計算される。
例えば、像担持体5と現像ロール6とが最接近する位置において、現像ロール表面を基準点とし、この基準点にあるトナー粒子が像担持体に向かって飛翔するときの移動量と飛翔速度との関係を計算した結果を図8に示す。
【0046】
この計算に用いたパラメータは、次に示すとおりである。
粒子電荷 [C]: 6.31E−16
粒子半径 [m]: 5.00E−06
粒子質量 [kg]: 5.88E−14
空気の粘性係数: 1.81E−05
粒子担持体の半径[m]: 8.00E−03
静電潜像保持体の半径[m]: 2.00E−02
ロール間最近接距離[m]: 3.00E−04
計算対象領域Lx [m] 1.00E−02
計算対象領域のけるメッシュ分割数: 60×20
粒子担持体への印加電圧[V]: −1.40E+03
静電潜像保持体への印加電圧[V]: 0.00E+00
【0047】
図8は、図5中に示すX方向の移動量と速度成分とを示すものであるが、Y方向の成分も同様に算出できる。また、粒子の初期配置、つまり飛翔開始位置を変えても同様に算出することができる。
このように、計算パラメータが決まれば、各位置における粒子の飛翔速度が算出でき、Δt秒後の粒子位置を高精度に予測することが可能となる。
【0048】
上記のようにして粒子の移動位置を予測した後は、一般的な手法、例えば「植村知正、山本富士夫、幸川光雄、2値化相関法−粒子追跡法の高速画像解析アルゴリズム、可視化情報、Vol.10 No.38、1990年7月」に記載されている2値画像相関法(画像の中にランダムに散らばっている粒子の中で、周辺のマーカーとの相対的な位置座標を考慮して、個々の粒子を識別する方法)を用いて2つの画像間で同一の粒子を対応づける(図2、S8)。
【0049】
このとき、一方の画像に基づいて粒子の飛翔速度及び方向が予測されているので、限定された範囲について検索することができ、効率が向上するとともに対応づけのエラー(過誤ベクトル)の発生が大幅に低減される。
そして、対応づけられた同一粒子のそれぞれの画像内における座標と2つの画像の撮影を行なった時間間隔とから飛翔粒子の速度及び方向を正確に計測することができる(図2、S9)。
【0050】
計測の結果である速度ベクトルの分布を模式的に表示すると、例えば図9に示すようになり、トナー粒子は像担持体5と現像ロール6との間をほぼ電気力線に沿って飛翔することを視覚的に容易に理解することができる。また、飛翔速度も、像担持体と現像ロールとの距離が近づくほど、早くなっていることを視覚的に容易に理解することができる。
【0051】
図10は、請求項4に係る発明の速度計測方法で用いることができる装置を示す概略構成図である。
この装置では、粒子の飛翔領域に光照射を行なうレーザー装置12が、連続して射出されるレーザー光を回転するミラーによって走査するものとなっている。レーザー発生器21は、限定された狭い範囲をスポット状に照射するレーザー光を射出するものであり、図11に示すようにコリメートレンズ22によって平行線化される。そして、回転するポリゴンミラー23で反射され、、像担持体5及び現像ロール6の軸線と直角方向にレーザー光が走査される。走査されたレーザー光は、さらにf−θレンズ24,25によって絞り込まれるとともに走査方向への光の移動速度が一定となるように屈折される。
【0052】
このようにレーザー光がトナー粒子の飛翔領域を走査することによって、領域内空間が面状に光照射される。また、上記ポリゴンミラー側部の複数の面のうち、ミラーを取り付ける面を適宜に選択し、回転速度を適切に設定することによって、所定の時間間隔でトナー粒子の飛翔領域を光照射することができる。そして、光照射のタイミングをバイアス電圧の位相に同期させるとともに、これに合わせてカメラによる撮影を行なう。これにより、先に説明した実施形態と同様に所定の時間間隔で飛翔するトナー粒子の複数の静止画像を得ることができる。
その後の処理及び工程は先に説明した実施形態と同じである。
この方法では、静止画像を安価な装置で容易に得ることが可能となる。
なお、上記ポリゴンミラーに代えて、小さなミラーが往復回動するガルバノミラーを用いることもできる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係る飛翔粒子の速度計測方法では、極短時間の光照射によって飛翔粒子の2つの静止画像が得られ、これら2つの静止画像に記録された同一粒子のそれぞれの位置と、2つの静止画像を撮影した時間間隔とから飛翔粒子の速度及び方向を得ることができる。
また、撮影された静止画像から粒子径を計測し、これに基づいて粒子の移動速度及び方向を数値演算によるシミュレーションによって推定するので、2つの静止画像に記録された同一の粒子を高い精度で対応づけることが可能となり、飛翔速度及び方向の計測精度が著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1,請求項2又は請求項3に係る発明の速度計測方法に用いることができる装置の概略構成図である。
【図2】本願に係る発明の一実施形態である飛翔粒子の速度計測方法を示すフロー図である。
【図3】図1に示す装置によって計測領域にレーザー光を照射する状態を示す概略図である。
【図4】像担持体と現像ロールとの間に印加されるバイアス電圧の波形を示す図である。
【図5】像担持体と現像ロールとの間を飛翔するトナー粒子を撮影した静止画像の模式図である。
【図6】図5に示す静止画像から画像処理によって静止物体の像を消去した画像を示す模式図である。
【図7】図6に示すトナー粒子の画像における各画素の階調濃度についてのヒストグラムである。
【図8】像担持体と現像ロールとの間で飛翔するトナー粒子の、変位と速度との関係の演算値を示す図である。
【図9】像担持体と現像ロールとの間を飛翔するトナー粒子の、速度と方向とをベクトルで示す概略図である
【図10】請求項4に係る発明の速度計測方法に用いることができる装置の概略構成図である。
【図11】図10に示す装置におけるレーザー光の走査を示す概略図である。
【符号の説明】
1 パルス発生器
2 レーザー装置
3 カメラ
4 画像処理装置
5 像担持体
6 現像ロール
12 レーザー装置
21 レーザー発生器
22 コリメートレンズ
23 ポリゴンミラー
24,25 f−θレンズ
Claims (4)
- 粒子が飛翔する撮像対象領域に微小時間の光照射をおこない、該光照射と同時に飛翔粒子を撮像して第1の静止画像を得る工程と、
同じ領域について前記光照射と前記撮像とを、所定時間の経過後に再度行い、第2の静止画像を得る工程と、
前記第1の静止画像又は第2の静止画像のいずれか一方から、着目粒子の粒径を演算する工程と、
前記着目粒子の粒径と該着目粒子が飛翔する領域における粒子速度に影響を及ぼす因子とに基づいて、該着目粒子の飛翔速度及び方向を演算により推定する工程と、
演算された前記着目粒子の飛翔速度及び方向を利用し、前記第1の静止画像又は第2の静止画像のいずれか一方で着目した粒子と同一の粒子を他方の静止画像中で特定する工程と、
前記第1の静止画像と第2の静止画像とにおける前記着目粒子の位置と、前記第1の静止画像と第2の静止画像との撮像時間間隔である前記所定時間とから、前記着目粒子の飛翔速度を演算する工程と、を含むことを特徴とする飛翔粒子の速度計測方法。 - 前記着目粒子の粒径を演算する工程は、
前記第1の静止画像又は第2の静止画像における各画素を、濃度階調レベルの閾値で2値化することによって粒子像部分と背景部分とを識別し、得られた画像に基づいて定めることを特徴とする請求項1に記載の飛翔粒子の速度計測方法。 - 前記粒子は電荷を有し、二つの物体間に印加されたバイアス電圧による電界内を飛翔するものであり、
前記着目粒子の飛翔速度及び方向を演算により推定する工程は、
前記二つの物体間における電界の強さの分布を演算し、
前記着目粒子の粒径から該着目粒子が有する電荷量を演算により推定し、
該電荷量及び前記電界の分布に基づいて該着目粒子の飛翔速度及び方向を演算することを特徴とする請求項2に記載の飛翔粒子の速度計測方法。 - 前記第1の静止画像を得る工程及び第2の静止画像を得る工程における光照射は、 限定された範囲に連続して射出される光を、回転又は回動するミラーに反射させ、撮像領域に走査することによって行うことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の飛翔粒子の速度計測方法。
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