JP2004061237A - 核酸プローブ固定化基体 - Google Patents

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Abstract

【課題】充分な検出感度で電気化学的に検出を行うことが可能な核酸プローブ固定化基体を提供する。
【解決手段】基体と、電気化学的信号を検出可能に前記基体に配置された電極と、前記電極に対して30〜300Åの長さのスペーサを介して固定された核酸プローブとを具備する核酸プローブ固定化基体。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、標的核酸の存在を電気化学的に検出するための装置である核酸プローブ固定化基体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の遺伝子工学の発展に伴い、医療分野では遺伝子による病気の診断や予防が可能となっている。これらは遺伝子診断と呼ばれる。例えば、病気の原因となるヒト遺伝子の欠陥や変化を検出することによって、病気の発症前もしくは極めて初期の段階で、その病気の診断や予測を行うことが可能である。また、ヒトゲノムの解読と共に、遺伝子型と疾病との関連に関する研究が進み、各個人の遺伝子型に合わせた治療(テーラーメイド医療)も現実化しつつある。従って、遺伝子の検出や、遺伝子型の決定を簡便に行うことは非常に重要である。
【0003】
従来の核酸検出法には、放射性同位体を使用するものや、蛍光色素ラベルを使用したものがある。前者の方法の場合には、検出を行なう場所が限定され、且つ操作が煩雑である。後者の方法の場合には、蛍光色素を検出するための高価な装置が必要であるという問題がある。
【0004】
これらの問題点に鑑み、本発明者らは先に特許第2573443号において電気化学的な核酸の検出方法を開示した。この方法によると、試料核酸を電極の表面に固定化された核酸プローブに対して反応させ、そこで生じたハイブリダイゼーションの存在を核酸認識体を用いて電気化学的に検出する。それによって試料核酸に含まれる核酸の塩基配列を解析できる。
【0005】
しかしながら、そのような電極を用いた電気化学的核酸検出装置及びセンサには、標的核酸の核酸プローブに対するハイブリダイゼーション効率が不十分であるために、検出感度が低いという問題がある。
【0006】
一方、近年の遺伝子診断の分野では、検出感度の高感度化が進んでいる。例えばC型肝ウイルスの遺伝子診断では、治療、あるいは疾病の進行状況の指標に用いることから、10〜10copy/mL程度の試料核酸を検出可能な感度が求められている。一方では、試料核酸側を、PCR法などによって増幅することも可能ではある。しかしながら、患者への負担を軽減するためにも、採取するサンプルの微量化が望まれる。また、今後、検出操作の簡便化や検査のハイスループット化が進み、より高感度の検出装置が開発されることが望まれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の状況に鑑み、本発明の目的は、充分な検出感度で電気化学的に検出を行うことが可能な核酸プローブ固定化基体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下のような本発明により達成される。即ち、基体と、電気化学的信号を検出可能に前記基体に配置された電極と、前記電極に対して50から200Åの長さのスペーサを介して固定された核酸プローブとを具備する核酸プローブ固定化基体である。
【0009】
【発明の実施の形態】
1.発明の概要
本発明は、基体と、電気化学的信号を検出可能に前記基体に配置された電極と、前記電極に対して30〜300Åの長さのスペーサを介して固定された核酸プローブとを具備する核酸プローブ固定化基体である。
【0010】
このような核酸プローブ固定化基体は、基本的には、基体と、電気化学的信号を検出可能に前記基体に配置された電極と、前記電極に固定された核酸プローブとを具備する標的配列の存在を検出するための装置である。
【0011】
即ち、当該核酸プローブは、標的配列に相補的な配列を有するように設計されている。そのような核酸プローブに被検核酸を接触させた場合、その被検核酸に標的配列が存在すれば、当該核酸プローブ固定化基体上でハイブリダイゼーションが生じる。このハイブリダイゼーションの結果により得られた二本鎖核酸の存在を検出することにより、被検核酸中に標的配列が存在することを検出する。本発明に従う核酸プローブ固定化基体は、基本的には、以上のような原理で検出が達成される装置である。
【0012】
2.用語の説明
ここで使用される「核酸」の語は、リボ核酸(即ち、RNA)、デオキシリボ核酸(即ち、DNA)、ペプチド核酸(即ち、PNA)、メチルフォスホネート核酸、S−オリゴ、cDNAおよびcRNA等、並びに何れのオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド等、核酸及び核酸類似体を総括的に示す語である。また、そのような核酸は、天然に存在するものであっても、人工的に合成されたものであってもよい。
【0013】
ここで「核酸プローブ」とは、標的配列に相補的な塩基配列を含む核酸であって、基体に固定化されるための核酸断片をいう。核酸プローブは、目的とする標的配列に相補的な配列を有し、それによって適切な条件下で標的配列とハイブリダイズすることが可能である。
【0014】
ここで「標的配列」とは、その存在を検出したい塩基配列、または核酸プローブの塩基配列によって捕捉しようとする配列を指す。また、そのような標的配列を含む核酸を標的核酸と称す。
【0015】
ここで使用される「相補」、「相補的」および「相補性」の語は、50%〜100%の範囲で相補的あればよく、好ましくは100%で相補的であることをいう。
【0016】
ここで使用される「スペーサ」の語は、核酸プローブと基板の間に配置されるある程度の長さを有した鎖状物質をいう。スペーサを構成する物質が核酸であった場合、標的配列に相補的またはハイブリダイズする部分はプローブ、それ以外の部分をスペーサと分類する。
【0017】
3.発明の態様
図1を用いて、本発明の1態様を説明する。本発明の1態様である核酸プローブ固定化基体1は、基体2に具備された電極3に、スペーサ4を介して固定化された核酸プローブ5を具備する(図1)。電極3は、電気的情報を取り出すためのパット6に接続されている。図1では、便宜上、スペーサ4を太線で示し、核酸プローブ5を鎖状の線で示した。
【0018】
このような核酸プローブ固定化基体1は、例えば、それ自身公知の手段によりシリコン基板に電極を配置し、その電極表面に対してスペーサを介して核酸プローブを固相化することにより製造することが可能である。固相化の手段は、それ自身公知の手段を用いればよく、例えば、浸漬、点着または電極上での合成などの手段を使用できる。
【0019】
本態様においては、電極の数を6としたが1つの基体に配置する電極の数はこれに限定するものではない。また、電極の配置パターンも図1に示したものに限定されるものではなく、当業者が必要に応じて適宜設計変更することが可能である。必要に応じて参照電極および/または対極を設けてもよい。そのような核酸プローブ固定化基体も本発明の範囲内である。
【0020】
4.構成
本発明は、核酸プローブがスペーサを介して固定されているところに特徴がある。本発明において使用されるスペーサは、その長さが、約30〜約300Å、好ましくは約50〜約300Å、より好ましくは約90から約110Åのスペーサであればよい(図2を参照されたい)。また、本発明の態様に従って使用されるスペーサは、最大の電流値を1としたときの相対電流値が約0.2〜約1までであればよく、約0.5〜約1までが好ましく、約0.8〜約1までがより好ましい。
【0021】
当該スペーサとして使用される物質の例は、有機鎖状分子であればよく、例えば、核酸、ポリペプチド、アルカンおよびポリエチレングリコールなどであればよい。
【0022】
当該スペーサが、例えば核酸の場合、好ましくは、約6塩基から約60塩基であり、より好ましくは、約10塩基から約60塩基、より好ましくは約18塩基から22塩基以下であればよい。核酸からなる核酸スペーサの場合、その塩基配列は、標的核酸や試料中に含まれ得る核酸と結合しないような配列とすることが好ましい。また、使用する二本鎖認識体の核酸塩基との結合傾向を考慮した配列とすることが好ましい。例えば、ヘキスト33258は、シトシンおよびグアニンとは結合し難く、チミンおよびアデニンとは結合し易い。一方で、グアニンの連続する配列は合成が難しい。従って、シトシンのみまたはシトシンを多く含有する塩基配列がより好ましく、チミンからなるまたはそれらを多く含む塩基配列が好ましく、グアニンあるいはアデニンのみまたはそれらを多く含有する塩基配列はあまり好ましくない。
【0023】
また、当該スペーサが、ポリエチレングリコールの場合、約5ユニットから約90ユニットであればよく、好ましくは約15ユニットから90ユニットであり、より好ましくは約27ユニットから約33ユニットであればよい。
【0024】
また、当該スペーサがアルカンの場合、主鎖に含まれる炭素の数は約20個から約300個、好ましくは約50個から約300個、より好ましくは約90個から約110個であればよい。
【0025】
このようなスペーサを配置することにより、核酸プローブと標的核酸との効率よいハイブリダイゼーションが達成され、且つ高感度に電気化学的に二本鎖核酸の存在を検出することの可能な核酸プローブ固定化基体が提供される。
【0026】
図2にスペーサ長と電流値との一般的な関係を示すグラフを示す。グラフの縦軸は、本発明に従う核酸プローブ固定化基体で測定される相対的な電流値を示し、横軸は、本発明に従う核酸プローブ固定化基体に具備されるスペーサの長さを示す。黒菱形で示すグラフは、核酸スペーサの1例であるシトシンからなるスペーサの場合を示し、黒三角で示すグラフはポリエチレングリコールからなるスペーサの場合を示す。
【0027】
グラフに示すように、スペーサ長と電流値の関係から、核酸プローブと標的核酸との結合の状態は、大きく5つの相、即ち、A、B、C、DおよびEに分けられる。ここでは、スペーサ長は、Aでは0から10Å、Bでは10から50Å、Cでは50から90Å、Dでは90から110Å、Eでは110Å以上である。
【0028】
夫々の長さのスペーサを用いた場合の核酸プローブと試料核酸との結合状態を図3に示す例を用いて説明する。図3の左側には、核酸プローブ固定化基体30と一般的な標的核酸の例を模式的に示す。基体31に配置された電極32の表面にリンカー剤33aおよびブロッキング剤33bが処理されている。当該リンカー剤33aにより、核酸プローブ35はスペーサ34を介して電極32に固定されている。このような核酸プローブ35の塩基配列に対して相補的な標的配列をその一部分に有する標的核酸36を、その隣に並べて示した。
【0029】
個体や組織および細胞などの対象から得られた試料や、それを所望に応じて処理して得られた試料から得られた試料核酸のうち、検出しようとする標的配列を含む標的核酸であっても、標的核酸の存在する位置は様々であると考えられる。図3の左図の標的核酸36はそのような多様な標的核酸のうちの平均的な1例としてここに示した。
【0030】
このように固定化された核酸プローブ35と標的核酸36がハイブリダイズした場合の状態を、基線37から上部を比較するように図3の右側に示す。ここで、夫々の状態、A、B、C、DおよびEが、図2で示したA、B、C、DおよびEの相における状態に対応する。
【0031】
図2で示すようにAの場合にはスペーサ長は0から10Åであり、Bの場合にはスペーサ長は10から50Åである。この場合、図3の右図から分かるように、核酸プローブと標的配列がハイブリダイズした場合に、標的配列よりも基体31側に存在する標的核酸36の部分に余剰の配列が存在する。このような標的核酸36の長さおよび標的核酸36における標的配列の位置と核酸プローブ35との関係や、並びに試料核酸中の標的核酸と核酸プローブが遭遇する確率(図示はせず)の問題のために、核酸プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーション効率は十分には得られない。
【0032】
それに対して、図2で示すようにCの場合にはスペーサ長は50から90Åであり、Dの場合には90から110Åであり、Eの場合には110Å以上である。この場合、図3の右図から分かるように、核酸プローブと標的配列がハイブリダイズした場合に、標的配列よりも基体31側に存在する標的核酸36の部分に余剰は、仮にあったとしても短く、或いはそのような余剰は存在しない。また、スペーサ34の存在によって、核酸プローブは、反応溶媒中で自由に動ける範囲がより広くなる。従って、ハイブリダイゼーション反応中に標的配列と遭遇する確率が向上する。
【0033】
本発明に従うと、検出は電気化学的に行われる。本発明の態様では、このような核酸プローブ30と標的配列とのハイブリダイゼーションにより生じた二本鎖に対して、二本鎖認識体を挿入させ、その二本鎖認識体が生じた電気化学的信号を電極32により検出する。従って、スペーサ34の長さが長すぎても良好な検出は得られない。
【0034】
本発明において使用される核酸プローブは、一般的にプローブとして使用されるような長さであればよい。例えば、核酸プローブの長さは約3塩基長から約1000塩基長であってよく、好ましくは約10塩基長から約200塩基長であってよい。
【0035】
本発明において使用され得る基体は、標的配列とのハイブリダイゼーションを行うための核酸プローブが固定化される基体であればよい。そのような基体の例は、例えば、非多孔性、硬質および半硬質な材質であってよく、ウェル、溝または平らな表面を有する板状であっても、並びに球体などの立体形状を有する形体であってもよい。基体は、これに限定されるものではないが、シリコン、ガラス、石英ガラス、石英などのシリカ含有基材、およびポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、等のなどのプラスチックおよびポリマーなどで製造され得る。
【0036】
本発明において使用され得る電極は、特に限定されるものではないが、例えば、グラファイト、グラシーカーボン、パイロリティックグラファイト、カーボンペースト、カーボンファイバーのような炭素電極、白金、白金黒、金、パラジウム、ロジウムのような貴金属電極、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガン、酸化鉛のような酸化物電極、Si、Ge、 ZnO、 CdS、 TiO2 、GaAsのような半導体電極、チタン等が挙げられる。これらの電極は導電性高分子によって被覆しても、単分子膜によって被覆してもよく、所望に応じてその他の表面処理剤を処理してもよい。
【0037】
スペーサを介しての核酸プローブの固定は、それ自身公知の何れの手段によっても行ってよい。例えば、スペーサを電極に対して固定し、その後、更にスペーサに対して核酸プローブを固定してもよい。または、予め核酸プローブにスペーサを結合させ、そのスペーサを介して電極に固定してもよい。或いは、電極上でスペーサと核酸プローブをそれ自身公知の手段によって合成していってもよい。また、スペーサを介しての核酸プローブの固定は、処理または無処理の電極表面に対して当該スペーサを、共有結合、イオン結合または物理吸着等によって直接固定化してもよい。或いは、スペーサ介しての核酸プローブの固定を助けるリンカー剤を用いてもよく、そのようなリンカー剤を利用し、電極に対してスペーサを介して核酸プローブを固定化してもよい。また、電極に対する被検核酸の非特異的な結合を防止するためのブロッキング剤をリンカー剤と共に電極に処理してもよい。また、ここで使用されるリンカー剤およびブロッキング剤は、例えば、電気化学的検出を有利に行うための物質であってもよい。
【0038】
また、異なる塩基配列を有する核酸プローブは、それぞれ、異なる電極に対してスペーサを介して固定化されてもよく、異なる塩基配列を有する複数種類の核酸プローブが混合された状態で1つの電極に対してスペーサを介して固定化されてもよい。
【0039】
5.検出
本発明に従う核酸プローブ固定化基体は、前記基体に固定化された核酸プローブと標的核酸との間のハイブリダイゼーション反応の結果生じた二本鎖の存在を検知するための手段として、電気化学的方法を利用している。
【0040】
電気化学的による二本鎖核酸の検出は、例えば、それ自身公知の二本鎖認識物質を用いて行えばよい。ここで用いられる二本鎖認識体は特に限定されるものではないが、例えば、ヘキスト33258、アクリジンオレンジ、キナクリン、ドウノマイシン、メタロインターカレーター、ビスアクリジン等のビスインターカレーター、トリスインターカレーターおよびポリインターカレーター等を用いることが可能である。更に、これらのインターカレーターを電気化学的に活性な金属錯体、例えば、フェロセン、ビオロゲン等で修飾しておくことも可能である。また、その他の公知の何れの二本鎖認識物質も本発明において好ましく使用される。
【0041】
本発明に従う核酸プローブ固定化基体では、スペーサを介して核酸プローブが電極に固定化されている。このような電極を用いての二本鎖核酸の検出は他の一般的な電気化学的検出法と同じように、更に対極および/または参照極を使用してもよい。参照極を配置する場合、例えば、銀/塩化銀電極や水銀/塩化水銀電極などの一般的な参照極を使用してよい。
【0042】
例えば、試料核酸中に標的核酸が含まれているか否かを検出する場合には、以下のように試験を行えばよい。例えば、ヒトを含む動物などの個体、組織または細胞などの対象から採取した試料より核酸成分を試料核酸として抽出する。得られた試料核酸は、必要に応じて、逆転写、伸長、増幅および/または酵素処理などの処理が行われてもよい。必要に応じて前処理された試料核酸を、核酸プローブ固定化基体に固定化された核酸プローブと接触させ、適切なハイブリダイゼーションが可能な条件下で反応を行う。そのような適切な条件は、標的配列に含まれる塩基の種類、核酸プローブ固定化基体に具備されるスペーサおよび核酸プローブの種類、試料核酸の種類およびそれらの状態などの諸条件に応じて、当業者であれば適宜選択することが可能である。これに限定されるものではないが、例えば以下のような条件下で反応を行ってよい。
【0043】
即ち、ハイブリダイゼーション反応溶液は、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液中で行う。この溶液中にはハイブリダイゼーション促進剤である硫酸デキストラン、並びに、サケ精子DNA、牛胸腺DNA、EDTAおよび界面活性剤などを添加してもよい。ここに得られた試料核酸を添加し、90℃以上で熱変性させる。熱変性された試料核酸への核酸プローブ固定化基体の挿入は、変性直後、あるいは0℃に急冷後に行ってもよい。また、基体上に液を滴下することでハイブリダイゼーション反応を行うことも可能である。
【0044】
反応中は、撹拌、あるいは振とうなどの操作で反応速度を高めてもよい。反応温度は、例えば、10℃〜90℃の範囲で、反応時間は1分以上1晩程度で行えばよい。ハイブリダイゼーション反応後、電極を洗浄する。洗浄には、例えば、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いればよい。試料核酸中に標的配列を含む標的核酸が存在した場合、核酸プローブとハイブリダイズし、それにより二本鎖核酸が生じる。
【0045】
続いて、電気化学的手段により、以下のような手順で生じた二本鎖核酸の検出を行う。一般的には、ハイブリダイゼーション反応の後に、基体を洗浄し、電極表面に形成された二本鎖部分に二本鎖認識体を作用させて、それにより生じる信号を電気化学的に測定する。
【0046】
二本鎖認識体の濃度は、その種類によって異なるが、一般的には1ng/mL〜1mg/mLの範囲で使用する。この際には、イオン強度0.001〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いればよい。
【0047】
例えば、電気化学的な測定は、二本鎖認識体が電気化学的に反応する電位以上の電位を印加し、二本鎖認識体に由来する反応電流値を測定してよい。この際、電位は定速で掃引するか、あるいはパルスで印加するか、あるいは、定電位を印加してもよい。測定の際に、例えば、ポテンショスタット、デジタルマルチメーターおよびファンクションジェネレーター等の装置を用いて電流、電圧を制御してもよい。例えば、得られた電流値を基に、検量線から標的核酸の濃度を算出してもよい。
【0048】
本発明に従う核酸解析方法は、サンプル中に含まれる検体核酸の解析、例えば、標的配列の存在の検出および定量、遺伝子発現の出現消失などの発現解析、ゲノムにおける単塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism、即ち、SNP)やマイクロサテライト配列などの多型の解析、疾患関連遺伝子の解析による疾患の診断や発症危険率の予測、感染の存在の検出、ウイルス型の解析、並びに毒性試験などを実施する場合などに利用され得る。従って、臨床的診断や発症予測などの種々の臨床的目的のために利用され得る。また、例えば、食品検査、検疫、医薬品検査、法医学、農業、畜産、漁業および林業など、種々の基礎的研究および応用研究などに広範に利用され得る。
【0049】
【実施例】
実施例1
本例では、核酸プローブのスペーサの長さと、プローブに対する試料核酸のハイブリダイゼーション効率との関係を調べた。スペーサとして、シトシンからなる長さの異なる塩基配列、夫々、0、2、4、10、20および30個のシトシンからなるスペーサを用いた。試料核酸として大腸菌rDNAを用いた。
【0050】
(1)Au電極表面への核酸プローブの固定化
以下のような塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブ溶液に、Au電極表面を1時間浸漬することによって、核酸プローブの固定化を行った。ここで用いた一本鎖の核酸プローブは、試料核酸中に含まれる標的配列と相補的であり、配列は以下の通りである。ここで、「C」はシトシンでありスペーサ部分であり、「n」は0、2、4、10、20および30である。
【0051】
−CTGGACGAAGACTGA(配列番号1)
(2)核酸プローブ固定化表面を用いた試料核酸の検出
試料核酸は、抽出後、PCRにより増幅した。このとき、(−)鎖側の5’末端をCy−5で標識した試料と、未標識の試料の2種類を用意した。各々の核酸を含む2×SSC溶液中に、(1)で作製した核酸プローブ固定化表面を浸漬し、35℃で60分間静置することによってハイブリダイゼーション反応を行った。次に、プローブにハイブリダイゼーションした試料核酸に由来する蛍光強度を蛍光検出装置により測定した。未標識の試料をアニーリングさせた電極を、挿入剤であるヘキスト33258溶液を50μM含む溶液中に15分間浸漬した後、ヘキスト33258分子の酸化電流応答を測定した。蛍光測定と電流測定の結果をそれぞれ図4、5に示す。蛍光検出を行った場合、スペーサ長の増大に伴い蛍光強度が増大した。一方、電流検出を行なった場合、塩基20個程度で電流値が最大となり、それ以上の長さでは、電流値が減少した。
【0052】
実施例2
本実施例では、スペーサとして、6、18、30、60および120個の連鎖からなるエチレングリコール(以下、PEGと記す)を用いた。
【0053】
(1)Au電極表面への核酸プローブの固定化
チオール修飾核酸プローブ溶液にAu電極表面を1時間浸漬することによって固定化を行った。ここで用いた一本鎖核酸プローブは、試料核酸中に含まれる配列と相補的なものであり、配列は以下の通りである。ここで、「(PEG)n」はスペーサ部分であり、「n」は6、18、30、60または120である。
【0054】
(PEG)−GTTTCTGCGCCCGGA(配列番号2)
(2)核酸プローブ固定化表面を用いた試料核酸の検出
試料核酸はPCRにより増幅した。この核酸を含むバッファ中に(1)で作製した核酸プローブ固定化表面を浸漬し35℃で60分間静置することによって、ハイブリダイゼーション反応を行った。その後、バッファで洗浄を行った。電流測定の結果を図6に示す。エチレングリコール長の増大に伴い電流値が増加した。エチレングリコール長が30個(即ち、30ユニット)程度で極大になり、それ以上の長さでは電流値の減少が確認された。
【0055】
実施例3
本実施例では、核酸プローブのスペーサの構成による、電流検出における信号量の違いについて確認した。スペーサとしては、ほぼ同程度の長さとなるように、20個のシトシンからなる塩基配列、96個のCを含む直さアルカン、30個のエチレングリコールからなるエチレングリコール連鎖の3種類を用いた。
【0056】
(1)Au電極表面への核酸プローブの固定化
一本鎖核酸プローブ溶液にAu電極表面を1時間浸漬することによって固定化を行った。ここで用いた一本鎖プローブは、試料核酸中に含まれる標的配列と相補的な塩基配列と、コントロールとして標的配列とは異なる塩基配列からなるものを用意した。それぞれの配列は以下の通りである。ここで、「S」はスペーサ部分である。
【0057】
S−ATGCTTTCGGTGGCA(配列番号3)
S−GTTTCTGCGCCCGGA(コントロール、配列番号4)
(2)核酸プローブ固定化表面を用いた試料核酸の検出
試料核酸は、PCRにより増幅した。この核酸を含むバッファ中に、(1)で作製した核酸プローブ固定化表面を浸漬し、35℃で60分間静置することによってハイブリダイズ反応を行った。その後、バッファで洗浄を行った。電流測定の結果を図7に示す。スペーサが塩基配列でるある場合と比較すると、スペーサが直鎖アルカンからなる場合とエチレングリコール連鎖からなる場合はバックグラウンドの電流が減少し、結果としてS/N比が向上した。エチレングリコール直鎖の場合には、バックグラウンドの電流値の減少が特に大きかった。
【0058】
【発明の効果】
上述のような本発明により、充分な検出感度で電気化学的に検出を行うことが可能な核酸プローブ固定化基体が提供された。
【0059】
【配列表】
Figure 2004061237
Figure 2004061237

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の核酸プローブ固定化基体の1例を示す図。
【図2】スペーサ長と電流値の関係を示すグラフ。
【図3】核酸プローブと標的核酸の結合状態を示す図。
【図4】蛍光検出による標的核酸の検出の結果を示すグラフ。
【図5】電気化学的検出による標的核酸の検出の結果を示すグラフ。
【図6】エチレングリコールスペーサ長を用いた場合の結果を示すグラフ。
【図7】スペーサ構成の違いによる電流値の違いを示すグラフ。
【符号の説明】
1.核酸プローブ固定化基体  2.基体  3.電極  4.スペーサ  5.核酸プローブ  6.パット

Claims (5)

  1. 基体と、電気化学的信号を検出可能に前記基体に配置された電極と、前記電極に対して30〜300Åの長さのスペーサを介して固定された核酸プローブとを具備する核酸プローブ固定化基体。
  2. 前記スペーサの長さが50〜300Åであることを特徴とする請求項1に記載の核酸プローブ固定化基体。
  3. 前記スペーサの長さが90〜110Åであることを特徴とする請求項1に記載の核酸プローブ固定化基体。
  4. 前記スペーサが有機鎖状分子であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の核酸プローブ固定化基体。
  5. 前記スペーサが核酸、エチレングリコールおよびアルカンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の核酸プローブ固定化基体。
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