JP2004060870A - 転動装置 - Google Patents

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冨塚 靖史
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Abstract

【課題】軌道溝の軌道面および/または転動体の転動面にDLC膜が形成されている転動装置において、軌道部材を帯電し難くする。
【解決手段】リニアガイドの案内レール11の両側面(軌道溝11aが形成されている面全体)とスライダ12の両内側面(軌道溝12aが形成されている面全体)に、クロムを含有する薄膜からなる下地層、クロムとカーボンを含有する薄膜からなる中間層、窒素を含有するDLC膜をこの順に形成する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに対向配置される軌道溝を備えた部材(第1部材および第2部材)と、両部材の軌道溝間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転動装置、すなわち、転がり軸受、ボールねじ、およびリニアガイド等に関する。
【0002】
【従来の技術】
前述の転動装置においては、転動体の転動面と軌道部材(第1部材および第2部材)の軌道溝と間での摩擦や摩耗が大きいと、寿命が低下する。そのため、通常は、摩擦抵抗の小さい潤滑剤を使用して摩擦面間に薄い潤滑油膜を形成することで、摩擦を低減している。
【0003】
しかしながら、半導体素子や液晶装置の製造装置で使用する転動装置に液状の潤滑剤を使用すると、潤滑剤から揮発したガスが半導体素子や液晶装置の性能を低下させるという問題点がある。また、液状の潤滑剤は、超低温環境では流動性が低下し、高温環境では熱劣化や酸化劣化が生じる。そのため、これらの特殊な環境で使用される転動装置では、固体潤滑剤からなる被膜を乾燥状態で摩擦面に設けることが行われている。また、窒化クロム(CrN)や窒化チタン(TiN)等からなる硬質膜を設けて、耐摩耗性および耐焼き付き性を向上させることも行われている。
【0004】
固体潤滑剤としては、▲1▼グラファイト、二硫化モリブデン(MoS2 )、二硫化タングステン(WS2 )等の層状の結晶構造を有する無機物、▲2▼PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ナイロン、ポリイミド、ポリエチレン等の合成樹脂、▲3▼金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)、錫(Sn)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)等の軟金属が挙げられる。
【0005】
固体潤滑剤による潤滑は、固体潤滑剤の剪断滑りを利用するものである。例えば、上記▲1▼に示す層状の結晶構造を有する無機物では、層内の金属結合に比べて層間のファンデルワールス力が小さいため、摩擦により層間に滑りが生じる。そして、例えば二硫化モリブデンを固体潤滑剤として用いることにより、摩擦面の摩擦係数を0.1程度と非常に小さくすることができる。
【0006】
しかしながら、固体潤滑剤を用いた潤滑方法では、固体潤滑剤自体の摩耗を小さくする目的で比較的硬質の固体潤滑剤を使用すると、十分な潤滑性能が得られない場合がある。また、十分な潤滑性能を得る目的で軟質の固体潤滑剤を使用すると、潤滑作用の得られる時間が短くなる。また、前述のような硬質膜を設けるだけでは、十分な潤滑作用が得られない。
【0007】
これに対して、ダイヤモンドライクカーボン(以下「DLC」と略称する。)膜は、その表面がダイヤモンドに準ずる硬さ(10GPa以上の塑性変形硬さ)を有し、摺動抵抗に関しても、摩擦係数が0.2以下と、二硫化モリブデンやフッ素樹脂と同程度に小さい。そのため、DLC膜は転動装置の軌道溝等に形成する新たな耐摩耗性被膜として注目されている。
【0008】
転がり軸受の軌道輪の軌道溝または転動体の転動面にDLC膜を形成することは、例えば特開平9−144764号公報、特開2000−136828号公報、特開2000−205277号公報、特開2000−205279号公報、特開2000−205280号公報等に記載されている。
ここで、転がり軸受の軌道溝等に形成されたDLC膜は、高い接触応力によって軌道溝等から剥離し易いという問題点がある。国際公開WO99/14512(特表2001−516857号公報)には、この問題点を解決するために、軸受鋼からなる軌道溝に、金属層、移行帯(金属カーバイド層と金属層との交互層)、金属混合DLC膜をこの順に設けることが記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、軌道部材の軌道溝および/または転動体の転動面にDLC膜が形成されている転動装置では、DLC膜の電気抵抗が高いために、駆動中に摩擦によって発生する静電気で軌道部材が帯電し易くなる。
例えば、半導体製品を取り上げて搬送するロボットアームに使用されている軸受に、このような帯電が過度に生じると、帯電したロボットアームの先端が半導体製品(シリコンウエハや集積回路等)と接触する際に放電が生じ、製品性能に悪影響を及ぼす可能性がある。この問題は、電子部品挿入機やHDD(ハードディスクドライブ)のスピンドルおよびスイングアーム等のように、電気的損傷に敏感なものを取り扱う装置で使用される転動装置にも共通する問題である。また、帯電した転動装置にはゴミ等の異物が付着し易くなるため、電気抵抗が高いDLC膜を設けることは高速駆動時に異音や振動の原因にもなる。
【0010】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、軌道部材の軌道溝および/または転動体の転動面にDLC膜が形成されている転動装置において、軌道部材を帯電し難くして、高速駆動時であっても異音や振動が生じないようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、互いに対向配置される軌道溝を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道溝間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転動装置において、第1部材の金属で形成された軌道溝、第2部材の金属で形成された軌道溝、および転動体の金属で形成された転動面の少なくともいずれかに、導電性を有するDLC膜が形成されていることを特徴とする転動装置を提供する。
【0012】
前記転動装置が金属製の保持器を有する場合には、この保持器の表面に導電性を有するDLC膜が形成されていることが好ましい。
本発明の転動装置において、導電性を有するDLC膜の電気抵抗率は1.0×107 Ω・cm以下とすることが好ましい。
導電性を有するDLC膜は、例えばDLC膜に窒素(N)を含有させることによって得られる。DLC膜に窒素を含有させる方法としては、例えば、DLC膜をスパッタリング法で成膜する際にスパッタリングガスとともに窒素ガスを導入する方法が挙げられる。DLC膜中の窒素含有率は、0.1原子%以上60原子%以下であることが好ましい。また、DLC膜にハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、または硅素(Si)を含有させることによっても、導電性を有するDLC膜を得ることができる。
【0013】
本発明の転動装置は、前記金属は鉄鋼材料であり、前記軌道溝或いは転動面に、クロム(Cr)、タングステン(W)、チタン(Ti)、硅素(Si)、ニッケル(Ni)、および鉄(Fe)の少なくともいずれかの元素を含む組成の下地層と、前記下地層の構成元素と炭素(C)とを含有し、炭素の含有率が下地層よりも高い中間層と、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と、がこの順に形成されていることが好ましい。
【0014】
前記下地層は、格子定数が鉄と類似の元素からなる膜であり、鉄鋼材料で形成された軌道溝或いは転動面との密着性に優れている。この下地層に前記構成の中間層を介して前記DLC膜を形成することにより、高い接触応力が付与されても前記DLC膜が剥離することが防止される。
前記下地層の厚さは例えば40nm〜500nm、前記中間層の厚さは例えば40nm〜500nm、前記DLC膜の厚さは例えば0.22μm〜4.0μm、3層合計の厚さは例えば0.3μm〜5.0μmとする。
【0015】
ここで、DLC膜は、ダイヤモンド構造のSP3結合とグラファイト構造のSP2結合が混在しているアモルファス構造であり、SP3結合は硬さを付与し、SP2結合は摺動性(潤滑性)を付与する。そのため、SP3結合とSP2結合の割合によってDLC膜の性質は変化する。すなわち、SP3結合が多いDLC膜は硬いが摺動性が低くなり、SP2結合が多いDLC膜は摺動性は高いが膜強度が低くなる傾向にある。
【0016】
また、SP2結合はDLC膜に導電性を付与するが、SP3結合は非導電性を付与するが、窒素(N)を含有するDLC膜は窒素(N)を含有しないDLC膜と比較して、SP2結合の存在率がSP3結合よりも高いため、導電性が高い(電気抵抗率が低い)。
なお、DLC膜に窒素(N)を添加することで、転動装置として好適な摺動性(潤滑性)と強度(耐摩耗性)を得ることができる。
【0017】
なお、鉄鋼材料として高炭素クロム軸受鋼を使用する場合には、前記下地層としてクロム層を形成し、前記中間層としてクロムカーバイド層を形成することが好ましい。
DLC膜の形成方法としては、マグネトロンスパッタリング、高周波スパッタリング、イオンビームアシストデポジション、イオンビームデポジション、イオンプレーティング、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマCVD法、ECRスパッタリング法等を採用することができる。特に、アンバランスドマグネトロンスパッタリング(以下「UBMS」と略称する。)法により形成することが好ましい。
【0018】
UBMS法は、非平衡な磁場分布を有するマグネトロンカソードを使用することにより、通常のマグネトロンスパッタリング法(バランスドマグネトロンスパッタリング法)と比較して基板(被成膜面)の近傍でのプラズマ密度を高くすることができるため、成膜時の基板温度を低くすることができる。また、基板に負の電力を印加して行うバイアススパッタリングにより、硬いDLC膜が形成できるという利点もある。特に、UBMS法によるバイアススパッタリングは、ターゲット電力とバイアス電圧の制御および気体導入量の制御によって、DLC膜の組成を制御し易いため、特に好ましい成膜法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の転動装置の一実施形態として、図1および2に示すリニアガイド装置10を作製した。このリニアガイド装置10は、案内レール(第1部材)11とスライダ(第2部材)12と玉(転動体)13とからなる。案内レール11の両側面に長手方向に平行に延びる軌道溝(転動体が転動する転動溝)11aが形成されている。
【0020】
スライダ12は、直動方向で本体12Aとエンドキャップ12Bとに分割され、エンドキャップ12Bが本体12Aの直動方向両端に配置されている。この本体12Aの両内側面に、案内レール11の軌道溝11aと対向する軌道溝12aが形成されている。これらの軌道溝11a,12aで玉13が転動する転動通路21が形成される。なお、上側の軌道溝11aは案内レール11の角部に形成されているため、案内レール11とスライダ12との間に、玉13を保持する合成樹脂製の保持器17が設けてある。また、エンドキャップ12Bの両端にサイドシール12Cが取り付けてある。
【0021】
スライダ12の本体12Aには、軌道溝12aより外側に、直線状の戻し通路15が形成されている。エンドキャップ12Bには半円弧状の方向転換路が形成され、この方向転換路で転動通路21と戻し通路15とが連通され、これら各路で玉3を無限に循環させる循環経路が構成される。このリニアガイド装置は循環経路を四本(二対四列)備えており、各循環経路をボール3が転がることによって、スライダ2が案内レール1に沿ってスライドする。
【0022】
案内レール11の両側面(軌道溝11aが形成されている面全体)とスライダ12の両内側面(軌道溝12aが形成されている面全体)に、下記の方法で薄膜を形成した。
成膜装置としては、(株)神戸製鋼所のUBMS装置「504」を使用した。ターゲットとして、クロムとカーボン(炭素)をこの装置の所定位置に設置した。先ず、被成膜物である案内レール11およびスライダ12を溶剤により洗浄して、油分を除去した後に乾燥させた。
【0023】
次に、これらを成膜装置のターンテーブルに載置して、被成膜物の表面をスパッタリングによりクリーンにして活性化する処理(ボンバード処理)を行った。このボンバード処理は、ターゲット電力0の状態でチャンバ内の圧力を2.0×10−5Paにし、チャンバ内にアルゴンガスを導入して、被成膜物に負の電力をかけ、15分間アルゴンプラズマでスパッタリングすることにより行った。
【0024】
次に、クロムのターゲット電力を「−」にし、被成膜物には、これより大きな負のバイアス電圧(−50V〜−100V)をかけて、チャンバ内にアルゴンガスを導入してUBMSを行った(下地層の形成)。
次に、クロムのターゲット電力を徐々に小さくするとともに、カーボンのターゲット電力を徐々に大きくしながら、チャンバ内にアルゴンガスを導入して、被成膜物のバイアス電圧はそのままでUBMSを行った(中間層の形成)。
【0025】
次に、カーボンのターゲット電力を印加し、クロムのターゲット電力を0とした状態で、チャンバ内に、スパッタリングガス(加速してターゲットに入射させる粒子とするガス)であるアルゴンガスとともに窒素とメタンの混合ガスを導入してUBMSを行った(窒素を含有するDLC膜の形成)。
これにより、SUJ2からなる案内レール11の両側面とスライダ12の両内側面に、クロム薄膜からなる下地層、クロムカーバイドからなり炭素含有率が下地層側から徐々に大きくなる中間層、窒素を含有するDLC膜がこの順に形成された。なお、窒素を含有するDLC層の成膜は膜厚が2.2μmとなるまで行った。
【0026】
ここで、前記方法でDLC膜を形成する際に導入する窒素とメタンの混合ガス中の窒素含有率を変化させてDLC膜を作製し、得られたDLC膜の電気抵抗率を測定した。電気抵抗率は、図2に示すように、テスターの2つの端子Tの先端を案内レール11の下側の角部とスライダ12の上側の角部とに当てて、両者間の電気抵抗を測定し、この測定値から電気抵抗率を算出することにより得た。
【0027】
その結果を図3にグラフで示す。このグラフから、前記混合ガス中の窒素含有率を4.5体積%以上にすることによって、DLC膜の電気抵抗率を1.0×107 Ω・cm以下にできることが分かる。
実施例として、前述の下地層、中間層、およびDLC膜が形成された案内レール11およびスライダ12と、SUJ2で形成されて薄膜形成が一切行われていない玉13とを用いて組み立て、導電性粒子であるカーボン粒子を含有するフッ素グリースを封入したリニアガイド装置を3体用意した(実施例1〜3)。
【0028】
前記DLC膜形成時の前記混合ガスの窒素含有率を、実施例1では10体積%とし、実施例2では40体積%とし、実施例3では80体積%とし、これ以外の点は全て同じとした。その結果、各実施例で成膜されたDLC膜の電気抵抗率は、実施例1で5.0×106 Ω・cmであり、実施例2では2.1×104 Ω・cmであり、実施例3では7.3×10Ω・cmであった。
【0029】
また、前記DLC膜形成時の前記混合ガスの窒素含有率を0とした(すなわち、窒素ガスを導入しないでDLC膜を形成した)以外は、前記と同じ方法で下地層、中間層、およびDLC膜が形成された案内レール11およびスライダ12を用意した。このDLC膜の電気抵抗率は1.0×1011Ω・cmであった。そして、この案内レール11およびスライダ12と、SUJ2で形成されて薄膜形成が一切行われていない玉13とを用いて組み立て、導電性粒子であるカーボン粒子を含有するフッ素グリースを封入したリニアガイド装置を、比較例として1体用意した。
【0030】
これらの実施例1〜3および比較例のリニアガイド装置を用いて耐久試験を行った。耐久試験としては、各リニアガイド装置を圧力2.0×10−5Paの真空チャンバ内に入れ、スライダにバネで荷重を付加することにより1.0GPaの予圧を付与した状態で、スライダ12を案内レール11に対してストローク300mm、速度30m/分の条件で往復移動させることを行った。この試験では、スライダに生じた摩擦力をロードセルで常時測定し、この測定値が試験開始時点での値の3倍となったときの往復移動距離(走行距離)を寿命とした。その結果を図4に示す。
【0031】
この結果から分かるように、実施例1〜3のように、窒素を含有するDLC膜を、SUJ2で形成された案内レールおよびスライダの軌道溝全体に形成することによって、窒素を含有しないDLC膜が形成されている場合(比較例)よりも寿命を長くすることができる。
また、この実施形態では、SUJ2で形成された案内レールおよびスライダの軌道溝に、クロムを含む下地層、クロムカーバイドからなる中間層、および窒素を含有するDLC膜をこの順に形成しているため、軌道溝との密着性に優れており、高い接触応力が付与されても前記DLC膜が剥離することが防止される。
【0032】
さらに、この実施形態のリニアガイド装置は、窒素を含有するDLC膜(導電性を有するDLC膜)が形成されているため、窒素を含有しないDLC膜が形成されている場合よりも帯電し難くなる。したがって、この実施形態のリニアガイド装置は、帯電し易い環境で高速移動させて(玉を高速転動させて)使用しても、異音や振動が生じ難くなる。また、この実施形態のリニアガイド装置は、半導体製品を取り扱う装置や電気的損傷に敏感なものを取り扱う装置で使用されるリニアガイド装置として好適なものとなる。
【0033】
図5に、前記実施例1〜3と比較例のリニアガイド装置を用いて騒音試験を行った結果を示す。この試験は、試験環境を真空チャンバ内ではなく帯電し易い室内とした以外は前記と同じ条件でスライダを案内レールに対して往復移動させ、スライダの上面に生じる騒音をデジタル騒音計で常時測定した。そして、騒音の測定値が試験開始時の2倍になったときの往復移動距離(走行距離)を、騒音特性値として調べた。
【0034】
図5のグラフから分かるように、実施例1〜3のように、窒素を含有するDLC膜を、SUJ2で形成された案内レールおよびスライダの軌道溝全体に形成することによって、窒素を含有しないDLC膜が形成されている場合(比較例)よりも、帯電し易い環境で高速移動させた時の騒音が生じ難くなる。
なお、本発明は、リニアガイド装置以外の転動装置(例えば、転がり軸受やボールねじ)にも適用できる。転がり軸受では、内輪および外輪の一方が第1部材であって、他方が第2部材である。ボールねじでは、ねじ軸およびナットの一方が第1部材であって、他方が第2部材である。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の転動装置によれば、軌道溝の軌道面および/または転動体の転動面にDLC膜が形成されている転動装置において、前記DLC膜として導電性を有するDLC膜を設けたことにより、軌道部材が帯電し難くなる。その結果、本発明の転動装置は、高速駆動時であっても異音や振動が生じ難くなるとともに、半導体製品を取り扱う装置や電気的損傷に敏感なものを取り扱う装置で使用される転動装置として好適なものとなる。
したがって、本発明によれば、半導体製品を取り上げて搬送するロボットアーム用の軸受、電子部品挿入機やHDD(ハードディスクドライブ)のスピンドルおよびスイングアーム、高速駆動される用途の転動装置等として好適な転動装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転動装置の一実施形態に相当するリニアガイド装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の転動装置の一実施形態に相当するリニアガイド装置を示す断面図である。
【図3】DLC膜を形成する際に導入する窒素とメタンの混合ガス中の窒素含有率と、得られたDLC膜の電気抵抗率との関係を示すグラフである。
【図4】実施形態で作製したリニアガイド装置の実施例および比較例についての、寿命試験の結果を示す棒グラフである。
【図5】実施形態で作製したリニアガイド装置の実施例および比較例についての、騒音試験の結果を示す棒グラフである。
【符号の説明】
10 リニアガイド装置
11 案内レール(第1部材)
11a 軌道溝
12 スライダ(第2部材)
12A スライダの本体
12B エンドキャップ
12C サイドシール
12a 軌道溝
13 玉(転動体)
15 戻し通路
17 保持器
21 転動通路

Claims (5)

  1. 互いに対向配置される軌道溝を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道溝間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転動装置において、
    第1部材の金属で形成された軌道溝、第2部材の金属で形成された軌道溝、および転動体の金属で形成された転動面の少なくともいずれかに、導電性を有するダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とする転動装置。
  2. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜の電気抵抗率は1.0×107 Ω・cm以下である請求項1記載の転動装置。
  3. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜は窒素(N)を含有している請求項1記載の転動装置。
  4. 前記金属は鉄鋼材料であり、前記軌道溝或いは転動面に、
    クロム(Cr)、タングステン(W)、チタン(Ti)、硅素(Si)、ニッケル(Ni)、および鉄(Fe)の少なくともいずれかの元素を含む組成の下地層と、
    前記下地層の構成元素と炭素(C)とを含有し、炭素の含有率が下地層よりも高い中間層と、
    前記ダイヤモンドライクカーボン膜と、
    がこの順に形成されている請求項1記載の転動装置。
  5. 前記鉄鋼材料は高炭素クロム軸受鋼であり、前記下地層はクロム層であり、前記中間層はクロムカーバイド層である請求項4記載の転動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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