JP2004060721A - プーリおよびプーリ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】金型を用いて樹脂プーリを成形する場合、金型抜きテーパ角度によっては、樹脂に割れが発生する。
【解決手段】巻掛部13の環状連結部11を中心にした左右の内周面の傾斜角度θを2.5°〜7.5°の間で設定することにより、巻掛部13を、金型を用いて製造する際の離型抵抗が小さくなって、離型時にフェノール樹脂の割れが発生するのを防止でき、またプーリ3の巻掛部13における必要な剛性も確保でき、従って、耐疲労性を向上させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】巻掛部13の環状連結部11を中心にした左右の内周面の傾斜角度θを2.5°〜7.5°の間で設定することにより、巻掛部13を、金型を用いて製造する際の離型抵抗が小さくなって、離型時にフェノール樹脂の割れが発生するのを防止でき、またプーリ3の巻掛部13における必要な剛性も確保でき、従って、耐疲労性を向上させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイドラプーリ等のプーリおよびプーリ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジンは、回転をオルタネータに伝えるために、Vリブドベルトや歯付ベルト等のベルト伝動機構を用いている。このベルト伝動機構は、各プーリのベルト巻き角を調整するために、アイドラプーリを使用する。
【0003】
ところで近年、自動部品の軽量化および低コストのために、アイドラプーリを樹脂製とすることが多い。
【0004】
このような樹脂製のアイドラプーリは、軸心方向に所定の幅を有してVリブドベルトが巻掛される環状のプーリ部と、このプーリ部の径方向内方に配置される環状の基部と、プーリ部と基部とを連続するための狭幅の首部とプーリ部の径方向内方側周面から首部側面、基部の径方向外方周面にいたる複数個の補強リブとを有する。このアイドラプーリにおける基部は、射出成形によって転がり軸受の外輪部材の外周面に回転一体に形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記樹脂製のアイドラプーリは、所定の型を用いて形成される。ところで、所定の金型を用いてアイドラプーリを成形する場合、プーリ部の内周面が軸心方向に沿うよう軸心に平行に設定してしまうと、離型の際その抵抗が大きくなり過ぎ、離型作業に伴って樹脂に割れが発生し易い。
【0006】
すなわち離型抵抗を小さくするためには、プーリ部の内周面を傾斜させるよう成形する必要がある。しかし、この傾斜角度を大きく設定し過ぎると、今度はプーリ部の端部の厚みが充分でなくなり強度が低下するおそれがある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のプーリは樹脂から形成され、動力伝達ベルトを巻掛るために所定の幅方向長さを有するとともに、外周部周方向に沿う複数個のベルト係止用の溝を有する環状の巻掛部と、この巻掛部の径方向内方に配置されて軸受部材に固定される環状の基部と、前記巻掛部の幅方向中心位置から径方向内方に延長されて巻掛部および基部を連結するよう、かつ巻掛部および基部よりも小さな幅に形成された環状連結部とを含み、前記環状連結部両側に臨む巻掛部の内周面が、2.5°〜7.5°の間の傾斜角度で、環状連結部に対する軸心方向外側に向けて順次拡径され、動力を伝達するための動力伝達ベルトの回転に伴って軸心回りに回転する。
【0008】
上記構成のように、巻掛部の内周面を、2.5°〜7.5°の間の傾斜角度で、環状連結部に対する軸心方向外側に向けて順次拡径することにより、巻掛部を例えば金型を用いて形成する際に、離型抵抗を最小限に抑えるとともに、巻掛部を形成する樹脂部分に割れなどの損傷が発生するのが防止される。
【0009】
なお、上記巻掛部の内周面の傾斜角度が2.5°未満であれば成形時における型抜き時の離型が困難になり、無理抜き時に成形品に割れを生じる。一方で、巻掛部の内周面の傾斜角度が7.5°を超えると巻掛部の軸方向両端の強度が低下し、例えば巻掛部にV溝を形成していた場合は、これに多大な引張応力が生ずることになり、耐疲労性が低下する。
【0010】
プーリをフェノール樹脂で成形した場合、環状連結部両側に臨む巻掛部の内周面の傾斜角度は、2.5°〜5.0°の範囲内の傾斜角度がさらに望ましい。
【0011】
また、上記傾斜角度に設定することにより、巻掛部の軸心方向端部側の径方向厚みが所定厚み確保されるので、巻掛部に動力伝達ベルトが巻掛られ、巻掛部が負荷を受けた場合に、巻掛部に生じる軸心方向の引張応力が抑えられ、耐疲労性が向上する。
【0012】
また、本発明のプーリ装置は、転がり軸受と、この転がり軸受に外嵌されるプーリとを備え、前記プーリは、動力伝達ベルトを巻掛るために所定の幅方向長さを有するとともに、外周部周方向に沿う複数個のベルト係止用の溝を有する環状の巻掛部と、この巻掛部の径方向内方に配置されて転がり軸受の外輪部材に回転一体に設けられる環状の基部と、前記巻掛部の幅方向中心位置から径方向内方に延長されて巻掛部および基部を連結するよう、かつ巻掛部および基部よりも小さな幅に形成された環状連結部とを含み、前記環状連結部両側に臨む巻掛部の内周面が、2.5°〜7.5°の間の傾斜角度で、環状連結部に対する軸心方向外側に向けて順次拡径され、動力を伝達するための動力伝達ベルトの回転に伴って軸心回りに回転する。
【0013】
上記構成のように、プーリにおける巻掛部の内周面を、2.5°〜7.5°の間の傾斜角度で、環状連結部に対する軸心方向外側に向けて順次拡径することにより、巻掛部を例えば金型を用いて形成する際に、離型抵抗を抑えるとともに、巻掛部を形成する樹脂部分に割れなどの損傷が発生するのが防止される。
【0014】
また、巻掛部の軸心方向端部側の径方向厚みが所定厚み確保されるので、巻掛部に動力伝達ベルトが巻掛られ、巻掛部が負荷を受けた場合に、巻掛部に生じる軸心方向の引張応力が抑えられ、耐疲労性が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態を示すプーリ装置の断面図、図2は同じく一部破断斜視図である。
【0016】
この実施形態におけるプーリ装置1は、転がり軸受(軸受部)としてのラジアル玉軸受2と、樹脂製のプーリ3とを備える。ラジアル玉軸受2は、内輪部材4と、環状の外輪部材5と、内輪部材4と外輪部材5との間に転動自在に配置される複数個の鋼製の玉6と、これら玉6を円周方向等配位置に保持する保持器7と、外輪部材5と内輪部材4との間の環状空間を軸心方向両側で密封するシール部材8とから構成されている。
【0017】
プーリ3の材質として絶縁性が高く、耐摩耗性に優れるフェノール樹脂、PPS樹脂(ポリフェニレンスルファイド)等が好適に用いられる。プーリ3は、動力伝達ベルト12を巻掛るために所定の幅方向長さLを有する環状の巻掛部13と、この巻掛部13の径方向内方に配置されてラジアル玉軸受2の外輪部材5に固定される環状の基部20と、巻掛部13の幅方向中心位置で径方向内方に延長されて、巻掛部13および基部20よりも小さな幅に形成された環状連結部11とを有する。なお外輪部材5は、基部20の中心穴20aの幅方向中心に形成した拡径段部20bに嵌合されるようにして、プーリ3と回転一体とされている。
【0018】
巻掛部13の外周部幅方向両側に立上げ壁15eが形成され、これら立上げ壁15e間に、周方向溝としての、円周方向に沿う複数個(図では6個)のV形溝15aが、幅方向に離隔して形成されている。これらV形溝15aに、動力伝達ベルト12の内周面に形成された突起としてのV形凸条16aがそれぞれ嵌合(係止)する。
【0019】
巻掛部13の環状連結部11を中心にした左右の内周面は、それぞれ軸心方向外側に向けて拡径するよう所定の傾斜角度θをもって傾斜した傾斜面とされている。この傾斜角度(金型抜きテーパ角度)θは、2.5°〜7.5°の間で設定されるものである。
【0020】
この傾斜角度θは、金型Aを用いてプーリ3を成形する際に、その離型抵抗が少なく、かつ幅方向長さLの巻掛部13におけるV形溝15aの底部hの径方向の厚みを確保するために設定している値である。
【0021】
具体的には、プーリ3の材質としてフェノール樹脂を用いた場合の傾斜角度θを3.0°に設定した。換言すれば、巻掛部13を形成するための金型Aにおいて巻掛部13の環状連結部11を中心にした左右の内周面相当面の傾斜角度が3.0°である。
【0022】
上記構成において、プーリ3の巻掛部13に動力伝達ベルト12を巻掛け、動力伝達ベルト12が回転すると、この動作に伴ってプーリ3が、ラジアル玉軸受2によって中心軸線P回りに回転する。また、動力伝達ベルト12が回転する際、動力伝達ベルト12からの負荷は、巻掛部13で支持される。
【0023】
またプーリ3は、金型Aを用いて形成される。このとき、巻掛部13を形成するための金型Aにおいて巻掛部13の環状連結部11を中心にした左右の内周面相当面の傾斜角度を3.0°に形成したものを用いる。
【0024】
そしてこのような金型Aを離型する際、前記傾斜角度を3.0°にした場合、プーリ3の材質としてフェノール樹脂を用いた場合であれば、離型抵抗が小さくなって離型時にフェノール樹脂の割れが発生しないことが実験によりわかった。
【0025】
さらに、巻掛部13の幅方向長さLが例えば26mmの場合、上記のような金型Aを用いて製造したプーリ3の巻掛部13における剛性も充分であることも、実験によりわかった。
【0026】
これは、巻掛部13に動力伝達ベルト12が巻掛られて巻掛部13に負荷が働いた場合、厚みhが4.4mmのV形溝15aの底部に軸心方向の引張応力が働くことになるが、傾斜角度θを3.0°に設定したことにより、巻掛部13の軸心方向端部部位であっても所定の径方向の厚みを確保できているため、V形溝15aの底部に発生する前記引張応力が許容値より小さくなるためであると考えられる。
【0027】
なお、上記実施品の場合、傾斜角度θを2.0°とした場合、離型時にフェノール樹脂の巻掛部13内周面相当部に割れが発生した。また傾斜角度θを8.0°とした場合、巻掛部13の径方向の厚みが不足してV形溝15aの底部に軸心方向に発生する引張応力が大きくなり、耐疲労性が低下してしまうことも確かめられた。
【0028】
このように、巻掛部13の環状連結部11を中心にした左右の内周面の傾斜角度θを2.5°〜7.5°の間で設定することにより、離型抵抗が小さくなって離型時にフェノール樹脂の割れが発生せず、かつプーリ3の巻掛部13における剛性も充分となり、耐疲労性を向上させることができる。
【0029】
なお軸受部としては、転がり軸受のほか、黄銅等の銅合金からなる金属ブッシュを用いたすべり軸受であってもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によれば、樹脂製プーリの成形時の離型抵抗が小さくなって、樹脂に割れが発生しない範囲内において、プーリの巻掛部における剛性が最大となり、耐疲労性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すプーリ装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】同じく一部破断斜視図である。
【符号の説明】
1 プーリ装置
3 プーリ
2 ラジアル玉軸受
11 環状連結部
12 動力伝達ベルト
13 巻掛部
15a V形溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイドラプーリ等のプーリおよびプーリ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジンは、回転をオルタネータに伝えるために、Vリブドベルトや歯付ベルト等のベルト伝動機構を用いている。このベルト伝動機構は、各プーリのベルト巻き角を調整するために、アイドラプーリを使用する。
【0003】
ところで近年、自動部品の軽量化および低コストのために、アイドラプーリを樹脂製とすることが多い。
【0004】
このような樹脂製のアイドラプーリは、軸心方向に所定の幅を有してVリブドベルトが巻掛される環状のプーリ部と、このプーリ部の径方向内方に配置される環状の基部と、プーリ部と基部とを連続するための狭幅の首部とプーリ部の径方向内方側周面から首部側面、基部の径方向外方周面にいたる複数個の補強リブとを有する。このアイドラプーリにおける基部は、射出成形によって転がり軸受の外輪部材の外周面に回転一体に形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記樹脂製のアイドラプーリは、所定の型を用いて形成される。ところで、所定の金型を用いてアイドラプーリを成形する場合、プーリ部の内周面が軸心方向に沿うよう軸心に平行に設定してしまうと、離型の際その抵抗が大きくなり過ぎ、離型作業に伴って樹脂に割れが発生し易い。
【0006】
すなわち離型抵抗を小さくするためには、プーリ部の内周面を傾斜させるよう成形する必要がある。しかし、この傾斜角度を大きく設定し過ぎると、今度はプーリ部の端部の厚みが充分でなくなり強度が低下するおそれがある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のプーリは樹脂から形成され、動力伝達ベルトを巻掛るために所定の幅方向長さを有するとともに、外周部周方向に沿う複数個のベルト係止用の溝を有する環状の巻掛部と、この巻掛部の径方向内方に配置されて軸受部材に固定される環状の基部と、前記巻掛部の幅方向中心位置から径方向内方に延長されて巻掛部および基部を連結するよう、かつ巻掛部および基部よりも小さな幅に形成された環状連結部とを含み、前記環状連結部両側に臨む巻掛部の内周面が、2.5°〜7.5°の間の傾斜角度で、環状連結部に対する軸心方向外側に向けて順次拡径され、動力を伝達するための動力伝達ベルトの回転に伴って軸心回りに回転する。
【0008】
上記構成のように、巻掛部の内周面を、2.5°〜7.5°の間の傾斜角度で、環状連結部に対する軸心方向外側に向けて順次拡径することにより、巻掛部を例えば金型を用いて形成する際に、離型抵抗を最小限に抑えるとともに、巻掛部を形成する樹脂部分に割れなどの損傷が発生するのが防止される。
【0009】
なお、上記巻掛部の内周面の傾斜角度が2.5°未満であれば成形時における型抜き時の離型が困難になり、無理抜き時に成形品に割れを生じる。一方で、巻掛部の内周面の傾斜角度が7.5°を超えると巻掛部の軸方向両端の強度が低下し、例えば巻掛部にV溝を形成していた場合は、これに多大な引張応力が生ずることになり、耐疲労性が低下する。
【0010】
プーリをフェノール樹脂で成形した場合、環状連結部両側に臨む巻掛部の内周面の傾斜角度は、2.5°〜5.0°の範囲内の傾斜角度がさらに望ましい。
【0011】
また、上記傾斜角度に設定することにより、巻掛部の軸心方向端部側の径方向厚みが所定厚み確保されるので、巻掛部に動力伝達ベルトが巻掛られ、巻掛部が負荷を受けた場合に、巻掛部に生じる軸心方向の引張応力が抑えられ、耐疲労性が向上する。
【0012】
また、本発明のプーリ装置は、転がり軸受と、この転がり軸受に外嵌されるプーリとを備え、前記プーリは、動力伝達ベルトを巻掛るために所定の幅方向長さを有するとともに、外周部周方向に沿う複数個のベルト係止用の溝を有する環状の巻掛部と、この巻掛部の径方向内方に配置されて転がり軸受の外輪部材に回転一体に設けられる環状の基部と、前記巻掛部の幅方向中心位置から径方向内方に延長されて巻掛部および基部を連結するよう、かつ巻掛部および基部よりも小さな幅に形成された環状連結部とを含み、前記環状連結部両側に臨む巻掛部の内周面が、2.5°〜7.5°の間の傾斜角度で、環状連結部に対する軸心方向外側に向けて順次拡径され、動力を伝達するための動力伝達ベルトの回転に伴って軸心回りに回転する。
【0013】
上記構成のように、プーリにおける巻掛部の内周面を、2.5°〜7.5°の間の傾斜角度で、環状連結部に対する軸心方向外側に向けて順次拡径することにより、巻掛部を例えば金型を用いて形成する際に、離型抵抗を抑えるとともに、巻掛部を形成する樹脂部分に割れなどの損傷が発生するのが防止される。
【0014】
また、巻掛部の軸心方向端部側の径方向厚みが所定厚み確保されるので、巻掛部に動力伝達ベルトが巻掛られ、巻掛部が負荷を受けた場合に、巻掛部に生じる軸心方向の引張応力が抑えられ、耐疲労性が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態を示すプーリ装置の断面図、図2は同じく一部破断斜視図である。
【0016】
この実施形態におけるプーリ装置1は、転がり軸受(軸受部)としてのラジアル玉軸受2と、樹脂製のプーリ3とを備える。ラジアル玉軸受2は、内輪部材4と、環状の外輪部材5と、内輪部材4と外輪部材5との間に転動自在に配置される複数個の鋼製の玉6と、これら玉6を円周方向等配位置に保持する保持器7と、外輪部材5と内輪部材4との間の環状空間を軸心方向両側で密封するシール部材8とから構成されている。
【0017】
プーリ3の材質として絶縁性が高く、耐摩耗性に優れるフェノール樹脂、PPS樹脂(ポリフェニレンスルファイド)等が好適に用いられる。プーリ3は、動力伝達ベルト12を巻掛るために所定の幅方向長さLを有する環状の巻掛部13と、この巻掛部13の径方向内方に配置されてラジアル玉軸受2の外輪部材5に固定される環状の基部20と、巻掛部13の幅方向中心位置で径方向内方に延長されて、巻掛部13および基部20よりも小さな幅に形成された環状連結部11とを有する。なお外輪部材5は、基部20の中心穴20aの幅方向中心に形成した拡径段部20bに嵌合されるようにして、プーリ3と回転一体とされている。
【0018】
巻掛部13の外周部幅方向両側に立上げ壁15eが形成され、これら立上げ壁15e間に、周方向溝としての、円周方向に沿う複数個(図では6個)のV形溝15aが、幅方向に離隔して形成されている。これらV形溝15aに、動力伝達ベルト12の内周面に形成された突起としてのV形凸条16aがそれぞれ嵌合(係止)する。
【0019】
巻掛部13の環状連結部11を中心にした左右の内周面は、それぞれ軸心方向外側に向けて拡径するよう所定の傾斜角度θをもって傾斜した傾斜面とされている。この傾斜角度(金型抜きテーパ角度)θは、2.5°〜7.5°の間で設定されるものである。
【0020】
この傾斜角度θは、金型Aを用いてプーリ3を成形する際に、その離型抵抗が少なく、かつ幅方向長さLの巻掛部13におけるV形溝15aの底部hの径方向の厚みを確保するために設定している値である。
【0021】
具体的には、プーリ3の材質としてフェノール樹脂を用いた場合の傾斜角度θを3.0°に設定した。換言すれば、巻掛部13を形成するための金型Aにおいて巻掛部13の環状連結部11を中心にした左右の内周面相当面の傾斜角度が3.0°である。
【0022】
上記構成において、プーリ3の巻掛部13に動力伝達ベルト12を巻掛け、動力伝達ベルト12が回転すると、この動作に伴ってプーリ3が、ラジアル玉軸受2によって中心軸線P回りに回転する。また、動力伝達ベルト12が回転する際、動力伝達ベルト12からの負荷は、巻掛部13で支持される。
【0023】
またプーリ3は、金型Aを用いて形成される。このとき、巻掛部13を形成するための金型Aにおいて巻掛部13の環状連結部11を中心にした左右の内周面相当面の傾斜角度を3.0°に形成したものを用いる。
【0024】
そしてこのような金型Aを離型する際、前記傾斜角度を3.0°にした場合、プーリ3の材質としてフェノール樹脂を用いた場合であれば、離型抵抗が小さくなって離型時にフェノール樹脂の割れが発生しないことが実験によりわかった。
【0025】
さらに、巻掛部13の幅方向長さLが例えば26mmの場合、上記のような金型Aを用いて製造したプーリ3の巻掛部13における剛性も充分であることも、実験によりわかった。
【0026】
これは、巻掛部13に動力伝達ベルト12が巻掛られて巻掛部13に負荷が働いた場合、厚みhが4.4mmのV形溝15aの底部に軸心方向の引張応力が働くことになるが、傾斜角度θを3.0°に設定したことにより、巻掛部13の軸心方向端部部位であっても所定の径方向の厚みを確保できているため、V形溝15aの底部に発生する前記引張応力が許容値より小さくなるためであると考えられる。
【0027】
なお、上記実施品の場合、傾斜角度θを2.0°とした場合、離型時にフェノール樹脂の巻掛部13内周面相当部に割れが発生した。また傾斜角度θを8.0°とした場合、巻掛部13の径方向の厚みが不足してV形溝15aの底部に軸心方向に発生する引張応力が大きくなり、耐疲労性が低下してしまうことも確かめられた。
【0028】
このように、巻掛部13の環状連結部11を中心にした左右の内周面の傾斜角度θを2.5°〜7.5°の間で設定することにより、離型抵抗が小さくなって離型時にフェノール樹脂の割れが発生せず、かつプーリ3の巻掛部13における剛性も充分となり、耐疲労性を向上させることができる。
【0029】
なお軸受部としては、転がり軸受のほか、黄銅等の銅合金からなる金属ブッシュを用いたすべり軸受であってもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によれば、樹脂製プーリの成形時の離型抵抗が小さくなって、樹脂に割れが発生しない範囲内において、プーリの巻掛部における剛性が最大となり、耐疲労性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すプーリ装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】同じく一部破断斜視図である。
【符号の説明】
1 プーリ装置
3 プーリ
2 ラジアル玉軸受
11 環状連結部
12 動力伝達ベルト
13 巻掛部
15a V形溝
Claims (2)
- 動力を伝達するための動力伝達ベルトの回転に伴って軸心回りに回転する樹脂製のプーリであって、
動力伝達ベルトを巻掛るために所定の幅方向長さを有するとともに、外周部周方向に沿う複数個のベルト係止用の溝を有する環状の巻掛部と、この巻掛部の径方向内方に配置されて軸受部材に固定される環状の基部と、前記巻掛部の幅方向中心位置から径方向内方に延長されて巻掛部および基部を連結するよう、かつ巻掛部および基部よりも小さな幅に形成された環状連結部とを含み、
前記環状連結部両側に臨む巻掛部の内周面が、2.5°〜7.5°の間の傾斜角度で、環状連結部に対する軸心方向外側に向けて順次拡径されている、プーリ。 - 動力を伝達するための動力伝達ベルトの回転に伴って軸心回りに回転するプーリ装置であって、転がり軸受と、この転がり軸受に外嵌されるプーリとを備え、
前記プーリは、動力伝達ベルトを巻掛るために所定の幅方向長さを有するとともに、外周部周方向に沿う複数個のベルト係止用の溝を有する環状の巻掛部と、この巻掛部の径方向内方に配置されて転がり軸受の外輪部材に回転一体に設けられる環状の基部と、前記巻掛部の幅方向中心位置から径方向内方に延長されて巻掛部および基部を連結するよう、かつ巻掛部および基部よりも小さな幅に形成された環状連結部とを含み、
前記環状連結部両側に臨む巻掛部の内周面が、2.5°〜7.5°の間の傾斜角度で、環状連結部に対する軸心方向外側に向けて順次拡径されている、プーリ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002217717A JP2004060721A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | プーリおよびプーリ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002217717A JP2004060721A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | プーリおよびプーリ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004060721A true JP2004060721A (ja) | 2004-02-26 |
Family
ID=31939103
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002217717A Pending JP2004060721A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | プーリおよびプーリ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004060721A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007063802A1 (ja) * | 2005-11-30 | 2007-06-07 | Advics Co., Ltd. | ブレーキシュー及びその製造方法 |
-
2002
- 2002-07-26 JP JP2002217717A patent/JP2004060721A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007063802A1 (ja) * | 2005-11-30 | 2007-06-07 | Advics Co., Ltd. | ブレーキシュー及びその製造方法 |
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050621 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071011 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071016 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080304 |