JP2004060645A - 内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置 - Google Patents

内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】吸気圧等の運転状態の変化による流量特性の変動を補正することができ、パージ制御性、空燃比制御性およびドライバビリティの向上を図れる内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置を提供すること。
【解決手段】パージ弁特性に依存する目標駆動デューティに対応する目標流量比と実流量比のずれ量を、吸気圧と目標流量比から推定し、このずれ量に応じた目標駆動デューティを算出する(S110〜S130)。目標駆動デューティに応じたパージ流量が得られ、デューティの流量リニアリティが得られる。同デューティは、吸気圧が大になるほど、低デューティ側でパージ流量がより多くなるように設定されるので、負圧により閉じる構造のパージ弁の場合、吸気圧が大きい運転状態で、低デューティ側で駆動デューティに応じたパージ流量が得られる。吸気圧が小になるほど、流量特性が傾き「1」の直線に近づき、デューティの流量リニアリティが確保される。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料タンク内で発生しキャニスタに吸着された蒸発燃料をパージ弁を介して空気と共に内燃機関の吸気系にパージする内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の蒸発燃料パージ制御装置として、特許文献1に開示された技術が有る。この従来技術では、パージ弁自体の特性だけからパージ弁駆動量が定まるように、パージ弁の目標流量とパージ弁前後差圧から目標流路面積を算出し、この流路面積に応じてパージ弁の駆動デューティを算出するようにしている。また、この従来技術では、デューティで流量を調整するパージ弁を使用する場合には、パージ弁駆動電圧から算出されるパージ弁流量特性ゲインを加味して前記目標流路面積を補正するようにしている。すなわち、デューティ制御のパージ弁では、パージ弁駆動電圧が低下すると、同じ基本デューティで駆動しても、流量特性の傾きが変化することがある。パージ弁における開弁遅れは、基本デューティに立ち上がりデューティを加えることによって解消されるが、この立ち上がりデューティがパージ弁駆動電圧(バッテリ電圧)や温度に左右される。そこで、駆動電圧が低下するほど立ち上がりデューティが大きくなり、また、温度が高温になると同デューティが大きくなるようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−93900号公報
【特許文献2】
特開2000−27718号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図8に示すように、デューティ制御のパージ弁におけるデューティと流量比の関係を表す流量特性を表す直線aの傾きは、基本的には「1」であり、流量比100%(デューティ100%)でパージ弁が全開になる。このパージ弁では、通電開始直後は、電気的な応答遅れがあるために通電して直ぐに開き始めるわけではなくて、通電開始時から開き始めるまでに無効通電時間がある(開弁遅れがある)。図8では、無効通電時間終了時点をデューティ0%として直線aを示している。デューティ0%付近では、パージ弁に流れるパージガスは直線aで示すようには流れないので、通常は、ここより下のデューティは使わないという下限デューティを設けてある。つまり、エンジン始動直後は、パージ弁を少しずつ開けていき、ある程度流量が確保されて、ベーパ濃度が有る程度分かったときには、下限デューティより下のデューティは使わないようにしている。なお、ここにいう「ベーパ濃度」はパージ率1%当たりのパージガスに含まれる蒸発燃料の比率を表す。また、「パージ率」は、吸入空気量に対するパージガス流量の比率をいう。
【0005】
ところで、上記従来技術のような蒸発燃料パージ制御装置では、デューティ制御のパージ弁を使用する場合、運転状態、例えば吸気管負圧(吸気圧)の変化によりデューティの流量リニアリティが低下し、パージ制御性および空燃比制御性が悪化するおそれがある。
【0006】
すなわち、図9に示すように、負圧(吸気管負圧)等の運転状態の変化により、駆動デューティの目標値(目標駆動デューティ)に対応する流量比(パージ流量/全開パージ流量)の目標値(目標流量比)と実際の流量比とにずれが生じる(デューティの流量リニアリティの低下)。この流量リニアリティの低下により、目標流量(目標パージ流量)に対して目標駆動デューティを決めてパージ弁を駆動する際に、目標駆動デューティに応じた目標パージ流量が得られなくなる。そのために、いまどの位の流量のパージガスを吸気系に入れるかといった色々なパージ要求に応じたパージ制御を、その要求どおりに行えなくなるおそれがある(パージ制御性の悪化)。さらに、デューティの流量リニアリティが低下すると、実際のパージ流量(パージガスの実流量)が目標駆動デューティに応じた目標パージ流量からずれる。このために、ベーパ濃度の学習値自体もずれてしまうとともに、実際のパージ流量を正確に推定できなくなり、これにより空燃比制御性が悪化してしまう。
【0007】
このような問題は、デューティ制御のパージ弁として、吸気管負圧によって閉じる構造のものを使用する場合に生じるおそれがある。このバージ弁は、閉弁方向にばね等で付勢された弁体を同方向に押す力が、吸気管負圧が大きくなるほど(吸気圧が小さくなるほど、つまり真空側の値に近づくほど)大きくなるように構成されたものである。
【0008】
このような構造のパージ弁では、吸気管負圧が大きくなるほど、即ち、吸気管負圧と大気圧との差(バルブ間差圧)が大きくなるほど、低デューティ側でパージ弁が開きにくくなる特性(パージ弁の特性)がある。このため、駆動デューティに応じたパージガスの流量が得られなくなるおそれがある。このような傾向は、駆動電圧の低下時により顕著になる。
【0009】
また、上述した問題は、パージ弁として、デューティで流量を制御するデューティ制御の電磁弁を使用する場合だけでなく、目標開度に応じた電流値の駆動信号を与えることで開度を変えて流量を制御する電磁弁(以下、ソレノイドタイプのパージ弁という。)を使用する場合にも起こり得る。つまり、このソレイノドタイプのパージ弁として、上述した低デューティ側でパージ弁が開きにくくなる特性(パージ弁の特性)を持つものを使用する場合にも起こり得る。その理由は、ソレノイドタイプのパージ弁を使用する場合、目標開度に応じて駆動信号の電流値(目標駆動量)を決めてパージ弁を駆動するが、吸気管負圧の変化により実際の開度が目標開度からずれる場合があり、その電流値に応じたパージガスの流量が得られなくなるからである。なお、ソレノイドタイプのパージ弁における駆動信号の電流値がデューティ制御のパージ弁におけるデューティに相当する。
【0010】
さらに、上述したような吸気管負圧等の運転状態の変化による目標駆動デューティに対応する目標流量比と実際の流量比とのずれ(流量リニアリティの低下)は、吸気管負圧が大きくなるほど開きやすくなる特性を持つデューティ制御のパージ弁或いはソレノイドタイプのパージ弁のいずれの場合にも起こり得る。このパージ弁は、吸気管負圧によって開く構造のものであり、即ち、閉弁方向にばね等で付勢された弁体を同方向に押す力が、吸気管負圧が大きくなるほど(吸気圧が小さくなるほど)小さくなるように構成されている。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、吸気管負圧等の運転状態の変化による流量特性の変動を補正することができ、パージ制御性、空燃比制御性およびドライバビリティの向上を図れる内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に係る発明は、キャニスタに吸着された蒸発燃料をパージ弁を介して空気と共に内燃機関の吸気系にパージする蒸発燃料処理機構を備え、パージ制御と空燃比制御を行う内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置において、前記パージ弁の駆動量の目標値である目標駆動量を目標パージ流量より算出する目標駆動量算出手段を備え、同算出手段は、前記パージ弁の特性に依存する、前記目標駆動量に対応する目標流量比と実流量比とのずれ量を、運転状態を表す吸気圧等のパラメータと前記目標流量比から推定し、この推定された前記ずれ量に応じた前記目標駆動量を算出することを要旨とする。
【0013】
上述したように、上記従来技術では、吸気圧(吸気管負圧)等の運転状態の変化によって目標駆動デューティに応じたパージガスの流量が得られなくなる(デューティの流量リニアリティが低下する)。
【0014】
これに対して請求項1に記載の発明によれば、パージ弁の特性に依存する、目標駆動量に対応する目標流量比と実流量比とのずれ量を、運転状態を表す吸気圧等のパラメータと目標流量比から推定し、この推定されたずれ量に応じた目標駆動量を算出する。このため、目標駆動量に応じたパージガスの流量が得られ、パージ弁駆動量の流量リニアリティが得られる。したがって、バルブ間差圧(パージ弁の入口側と出口側の圧力差)の変化、即ち吸気圧(吸気管負圧)の変化による流量特性の変動を補正することができ、パージ制御性、空燃比制御性およびドライバビリティの向上を図ることができる。なお、ここにいう「パージ弁の特性」とは、例えば、上述した吸気圧が小さくなるほど(吸気管負圧が大きくなるほど)パージ弁が開きにくくなる特性とか、逆に吸気管負圧が大きくなるほど開きやすくなる特性をいう。また、「目標流量比」は、全開流量(全開パージ流量)に対する目標流量(目標パージ流量)の比率をいう。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置において、前記パージ弁の駆動中に流れるパージガスの実流量を算出する実流量算出手段を備え、同算出手段は、前記パージガスの実流量を運転状態および前記駆動量より算出する際、前記ずれ量を、運転状態を表す吸気圧等のパラメータと前記駆動量から補正することを要旨とする。
【0016】
上記従来技術では、次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、上記無効通電時間の影響を無視しても、デューティと流量比の関係を表す流量特性は、パージ弁の特性上、傾き「1」の直線とはなり得ず、流量計算のエラーが発生し、空燃比制御性が悪化するおそれがある。その理由は、パージ弁の電気的応答遅れ(ON−OFF時の電気的応答遅れ)等の影響により、図10に示すように、デューティ0%付近の傾きは小さくなるとともに、デューティ100%付近の傾きは大きくなる傾向が有るためである。このような流量計算のエラーにより実際のパージガスの流量(パージガスの実流量)を正確に推定できない。このために、パージ制御の実行時に行う噴射量の補正量、例えば噴射量の減量量を算出する際に必要な推定パージ率を精度良く算出することができず、空燃比制御に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0017】
これに対して、請求項2に記載の発明によれば、パージガスの実流量を機関回転速度、負荷等の運転状態およびパージ弁の駆動量より算出する際、目標流量比と実流量比とのずれ量を、運転状態を表す吸気圧等のパラメータと駆動量(例えば、駆動デューティ)から補正する。このため、パージ弁の電気的応答遅れ等の影響により、流量特性の傾きが駆動量の最小値(デューティ0%)付近で小さくなるとともに、駆動量の最大値(デューティ100%)付近で大きくなったとしても、パージ制御中におけるパージガスの実流量を正確に求めることができる。これにより、前記推定パージ率を精度良く算出することができ、空燃比制御性およびドライバビリティの更なる向上を図ることができる。
【0018】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置において、前記パージ弁は駆動デューティに応じて流量を調整するデューティ制御のパージ弁であり、前記目標駆動量算出手段は、前記目標駆動量として目標駆動デューティを算出することを要旨とする。この構成によれば、目標駆動デューティに応じたパージガスの流量を得ることができる。
【0019】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置において、前記目標駆動量算出手段は、吸気圧が大きくなるほど低デューティ側で前記駆動デューティの変化量に対する流量比の変化量がより大きくなるように設定された2次元マップから、前記ずれ量に応じた前記目標駆動デューティを算出することを要旨とする。
【0020】
上記従来技術とは別の従来技術として、上記特許文献2の従来技術では、吸気管圧力(吸気圧に相当)と目標パージ流量とに基づきマップを補間計算付きで参照してパージ弁の開度を設定するようにしている。そのマップには、絶対値で検出した吸気管圧力が低く(負圧が大きく)、目標パージ流量が少ないほど、小さな値のパージ弁の開度が格納されている。また、そのマップには、吸気管圧力が高く(負圧が小さく)、かつ目標パージ流量が多いほど、大きな値のパージ弁の開度が格納されている。
【0021】
しかしながら、この従来技術では、吸気圧が小さくなるほど(吸気管負圧が大きくなるほど)、小さな値のパージ弁の開度が設定される。このため、デューティ制御のパージ弁として負圧によって閉じる構造のものを使用する場合、このパージ弁では、吸気圧が小さくなるほど、低デューティ側で開きにくくなるので、駆動デューティに応じたパージガスの流量が得られない。
【0022】
これに対して、請求項4に記載の発明によれば、前記ずれ量に応じた目標駆動デューティが、吸気圧が大きくなるほど(吸気管負圧が小さくなるほど)低デューティ側で駆動デューティの変化量に対する流量比の変化量がより大きくなるように設定された2次元マップから算出される。このため、吸気圧が大(負荷が小)になるほど、低デューティ側でパージガスがより多く流れるように、目標駆動デューティが設定される。これにより、デューティ制御のパージ弁として負圧によって閉じる構造のものを使用する場合、吸気圧が大きい運転状態においても、低デューティ側で駆動デューティに応じたパージガスの流量が得られる。逆に、吸気圧が小(負荷が大)になるほど、低デューティ側で駆動デューティの変化量に対する流量比の変化量がより小さくなり、上記流量特性が傾き「1」の直線に近づき、デューティの流量リニアリティが確保される。したがって、デューティ制御のパージ弁として負圧によって閉じる構造のものを使用する場合でも、吸気圧等の運転状態の変化による流量特性の変動を補正することができ、パージ制御性、空燃比制御性およびドライバビリティの向上を図ることができる。
【0023】
請求項5に係る発明は、請求項3又は4に記載の内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置において、前記実流量算出手段は、吸気圧が大きくなるほど低デューティ側で前記流量比の変化量に対する前記駆動デューティの変化量がより小さくなるように設定された2次元マップから、前記ずれ量に応じた前記実流量比を算出し、この算出された実流量比から前記パージガスの実流量を算出することを要旨とする。
【0024】
この構成によれば、前記ずれ量に応じた実流量比が、吸気圧が大きくなるほど低デューティ側で流量比の変化量に対する駆動デューティの変化量がより小さくなるように設定された2次元マップから算出される。このため、デューティ制御のパージ弁として負圧によって閉じる構造のものを使用する場合でも、パージガスの実流量を正確に求めることができる。これにより、デューティ制御のパージ弁として負圧によって閉じる構造のものを使用する場合でも、前記推定パージ率を精度良く算出することができ、パージ制御性、空燃比制御性およびドライバビリティの更なる向上を図ることができる。
【0025】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置において、前記駆動量の流量リニアリティを確保するために同駆動量の下限値として設定されるリニアリティ下限値を、バッテリ電圧と吸気圧とに基づいて算出する下限値算出手段を備えることを要旨とする。
【0026】
従来、前記リニアリティ下限値は1つの値、例えばバッテリ電圧だけで決めていた。すなわち、リニアリティ下限値を設定する際に吸気圧を考慮していないので、吸気圧の変化によってパージガスの流量が変わってしまい、駆動デューティ等の駆動量に応じたパージガスの流量が得られなかった。
【0027】
これに対して、請求項6に記載の発明によれば、パージ弁駆動量の流量リニアリティを確保するために同駆動量の下限値として設定されるリニアリティ下限値を、バッテリ電圧および吸気圧に基づいて変動させる。このため、パージ制御中におけるパージガスの実流量をより正確に求めることができるとともに、前記推定パージ率をより精度良く算出することができ。これにより、空燃比制御性およびドライバビリティの更なる向上を図ることができる。
【0028】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置において、前記下限値算出手段は、前記バッテリ電圧が低くなるほど前記リニアリティ下限値が大きい値になるとともに、吸気圧が小さくなるほど同下限値が大きい値になるように設定された2次元マップから前記リニアリティ下限値を算出することを要旨とする。
【0029】
この構成によれば、リニアリティ下限値は、バッテリ電圧が低くなるほど大きい値に設定されるとともに、吸気圧が小さくなるほど大きい値になるように設定される。このため、バッテリ電圧と吸気圧に応じた最適なリニアリティ下限値を設定することができ、パージ弁駆動量の流量リニアリティが確保される領域を最大限に大きくすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係る内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置を、図1〜図7に基づいて説明する。
【0031】
はじめに、図1を参照して、蒸発燃料パージ制御装置の概要について説明する。
同図1に示されるように、内燃機関10には、燃料タンク21から図示しない燃料供給経路を介してその燃焼室11に燃料を噴射供給する燃料噴射弁12と、この噴射された燃料と吸入空気との混合気に点火を行う点火プラグ13とがそれぞれ設けられている。また、燃焼室11には、吸気系の一部を構成する吸気通路14及び排気系の一部を構成する排気通路15がそれぞれ接続されている。この吸気通路14の途中には、サージタンク16が設けられており、更にその上流側には、吸入空気量を調節するスロットルバルブ(例えば電子制御式)17が設けられている。
【0032】
一方、この蒸発燃料パージ制御装置には蒸発燃料処理機構30が設けられている。この蒸発燃料処理機構30は、ベーパ通路32を介して上記燃料タンク21に接続されたキャニスタ31、このキャニスタ31と上記吸気系を構成するサージタンク16とを接続するパージ通路33を備えている。さらに、蒸発燃料処理機構30は、キャニスタ31内に大気を導入する大気導入通路34、およびパージ通路33を開閉するパージ弁(VSV)35を備えている。
【0033】
ここで、燃料タンク21に発生する蒸発燃料は、同燃料タンク21からベーパ通路32を通じてキャニスタ31内に導入され、その内部に設けられた吸着材に一旦吸着される。そして、パージ弁35が開かれ、キャニスタ31内に大気導入通路34を通じて大気が導入されることによって、このキャニスタ31内に吸着されている燃料がパージ通路33を通じてサージタンク16内にパージガスとしてパージ(放出)される。このパージガスに含まれる燃料は、燃料噴射弁12から噴射される燃料と共に、燃焼室11において燃焼される。また、このようにして吸気系(サージタンク16)にパージされるパージガスの流量は、パージ弁35により調節される。このパージ弁35は、同弁を駆動する電気信号の駆動デューティに応じて開度調節されて流量を調整するデューティ制御のパージ弁である。このパージ弁35として、上述した負圧によって閉じる構造のもの、即ち、閉弁方向にばね等で付勢された弁体を同方向に押す力が、吸気管負圧が大きくなるほど(真空側の値に近づくほど)大きくなるように構成されたパージ弁が使用されている。
【0034】
また、内燃機関10に対するパージ制御、並びに燃料噴射弁12による燃料噴射量の制御である空燃比制御等は、電子制御装置40によって統括して行われる。この電子制御装置40には、こうした各制御を実行するために、内燃機関10の運転状態等を検出する各種センサが接続されており、これらセンサからの検出信号が適宜取り込まれている。
【0035】
例えば、電子制御装置40には、サージタンク16内の圧力である吸気圧(吸気管負圧)を検出する吸気圧センサ51、排気通路15に設けられて燃焼ガスの酸素濃度(混合気の空燃比)を検出するための酸素センサ52の検出信号がそれぞれ入力されている。さらに、電子制御装置40には、機関回転速度を検出するための回転速度センサ53、アクセルペダル(図示略)の踏込量(アクセル開度)を検出するアクセルセンサ54等の検出信号がそれぞれ入力されている。
【0036】
これら各センサ51〜54等によって検出される内燃機関10の運転状態や車両の走行状態に基づいて、パージ制御や空燃比制御等の各制御が電子制御装置40によって実行される。また、電子制御装置40は、こうした各制御を実行するためのプログラムや演算用マップ、制御の実行に際して算出される各種データ等を記憶するメモリ41等を備えている。
【0037】
ここで、空燃比制御およびパージ制御について簡単に説明する。空燃比制御は、燃料噴射量に対する吸入空気量の重量比、すなわち空燃比(A/F)を基本的に理論空燃比近傍に保持するように、酸素センサ52の出力をもとに燃料噴射弁12の燃料噴射量をフィードバック制御することにより行われる。
【0038】
一方、パージ制御では、エンジン始動直後は、ベーパ濃度がわからないので、パージ弁35を少しずつ開けていく。パージ弁35を一気に開けると空燃比(A/F)或いは空燃比フィードバック制御中心(F/B中心)がずれるので、そのずれがあっても空燃比フィードバックでおっかけられる程度にパージ弁35をゆっくりと少しずつ開けていく。こうして、初期のベーパ濃度がどのくらいかを見極める(ベーパ濃度の学習)。
【0039】
パージ率がわかっているところで、酸素センサ52によるA/F或いはF/B中心のずれ(制御中心1.0からのずれ)を、ベーパ濃度のずれとみなしてベーパ濃度の学習値を更新する。酸素センサ52がリニアな酸素センサであれば、ベーパ濃度のずれからA/Fのずれがわかるし、リニアでない酸素センサであればベーパ濃度のずれから空燃比フィードバック制御のF/B中心のずれがわかる。
【0040】
こうして、今これだけの流量のパージガスをパージしているのに、これだけA/F或いはF/B中心のずれがあるのは、ベーパ濃度のずれによるとみなして、ベーパ濃度の学習値を更新する。実際には、A/F或いはF/B中心のわずかなずれを見て、ベーパ濃度の学習値を少しずつ更新する。この後、駆動デューティの下限領域を使わないという制御に入っていく。
【0041】
そして、上記パージ制御によりパージが行われている間は、パージガスに含まれる燃料量分を燃料噴射弁12より噴射される燃料噴射量から減じる燃料噴射量の減量補正を行う。一般に、この燃料噴射量の減量補正は、燃料噴射弁12の開弁時間を調整することにより行われる。また、パージガス中の燃料量は、その学習されるベーパ濃度等に基づき電子制御装置40により所定時間毎に推定算出される。そして、この算出された燃料量をもとにして、この燃料量分を燃料噴射弁12から噴射するのに必要な噴射時間を算出して上記減量補正を行う。
【0042】
次に、電子制御装置40により実行されるパージ制御について、図2〜図7を参照して説明する。
まず、図2を参照して、「VSV駆動デューティ算出ルーチン」について説明する。図2のフローチャートで示す一連の処理は、電子制御装置40により所定時間毎の割込処理として実行される。
【0043】
まずステップS110で、現在の運転状態に基づいて全開パージ流量(全開パージエア流量)を算出する。この「全開パージ流量」は、パージ弁35の全開時に流れるパージガスの流量を、内燃機関10の運転状態を表すパラメータ、例えばエンジン回転速度(機関回転速度)や負荷率等に基づき全開パージ流量マップ(図示略)を参照して算出される。
【0044】
次にステップS120に進み、目標流量比(目標パージ流量/全開パージ流量)を、目標パージ流量(目標パージエア流量)と、ステップS110で算出された全開パージ流量とから設定する。いまどの位の流量のパージガスをサージタンク16に入れるかは、色々なパージ要求により決まる。これらのパージ要求として、例えばエバポエミッション(大気中への蒸発燃料排出)の抑制要求等がある。こうしたパージ要求から上記パージ率が決まる。なお、パージ率は、このステップS120で算出してもよいし、或いは別のルーチンで算出し、その値を用いるようにしてもよい。パージ率が決まると、今の吸入空気量から目標パージ流量が求まる。この目標パージ流量を全開パージ流量で割った値を「目標流量比」として設定する。こうして、ステップS120では、パージ率で目標パージ流量を決め、この目標パージ流量と全開パージ流量とに基づき目標流量比を求めている。
【0045】
次にステップS130に進み、 パージ弁35の駆動量の目標値(目標駆動量)である目標駆動デューテとして、ステップS120で設定された目標流量比と吸気圧(負荷)の2次元マップ値を設定する。すなわち、目標駆動デューテを、ステップS120で設定された目標流量比と吸気圧(負荷)とに基づき図3に示す2次元マップを参照して求める。この2次元マップは、図3に示すように、吸気圧が大きくなる(吸気管負圧が小さくなる)ほど(負荷が小になるほど)、低デューティ側で、駆動デューティの変化量に対する流量比の変化量がより大きくなるように設定されている。これにより、吸気圧が大(負荷が小)になるほど、低デューティ側でパージガスがより多く流れるように、目標駆動デューティが設定される。逆に、吸気圧が小(負荷が大)になるほど、低デューティ側で、駆動デューティの変化量に対する流量比の変化量が傾き「1」の直線により近づくように設定されている。
【0046】
このように、ステップS130では、目標パージ流量より目標駆動デューティを求める際、パージ弁35の特性に依存する目標駆動デューティに対応する目標流量比と実流量比とのずれ量を、吸気圧と目標流量比から推定する。そして、その推定されたずれ量に応じた目標駆動デューティを算出することで、パージ制御性を向上させるようにしている。
【0047】
パージ制御性を向上できるという利点は、デューティ制御のパージ弁35として、上述したような負圧によって閉じる構造のものを使用した場合に特に有効になる。その理由は、負圧によって閉じる構造のパージ弁を使用する場合には、吸気圧が大きくなるほど、低デューティ側でパージ弁35が開きにくくなり、駆動デューティに応じたパージガスの流量が得られなくなるからである。
【0048】
こうして上記ステップS130で目標駆動デューティを算出した後、ステップS140に進む。このステップS140では、各種ガード処理(例えば、目標流量に対する下限ガード処理)を行った後に、パージ弁35をステップS130で算出された目標駆動デューティで駆動させる。この後、本処理は一旦終了する。
【0049】
なお、上記ステップS130が目標駆動量算出手段に相当する。
次に、図4を参照して、「推定パージ率算出ルーチン」について説明する。図4のフローチャートで示す一連の処理は、電子制御装置40により所定時間毎の割込処理として実行される。
【0050】
まずステップS210で、パージ弁35の駆動中における実際の流量比(実流量比)がどの位であるのか、その実流量比として、ステップS130で算出された目標駆動デューティと吸気圧(負荷)の2次元マップ値を設定する。すなわち、その実流量比を、目標駆動デューティと吸気圧(負荷)とに基づき図5に示す2次元マップを参照して求める。
【0051】
パージ弁35を駆動しているときに、当然吸気圧(負荷)は変わるので、実際のパージガスの流量は駆動デューティに応じた流量にならない。つまり、パージガスの実流量は駆動デューティに対応していない。そこで、ステップS210では、実流量比を、駆動デューティと吸気圧(負荷)の2次元マップ値としている。
【0052】
また、図5に示す2次元マップは、吸気圧が大(負荷が小)になるほど、低デューティ側で流量比の変化量に対するデューティの変化量がより小さくなるように設定されている。逆に、吸気圧が小(負荷が大)になるほど、低デューティ側で、流量比とデューティの関係、即ち、流量比の変化量に対するデューティの変化量が破線で示す傾き「1」の直線に近づくように設定されている。
【0053】
なお、図5に示すマップは、図3に示すマップの横軸と縦軸とを入れ替えたものであり、両マップのデータは、同じものがあればよい。データとしては、流量比と、吸気圧(負荷)と、駆動デューティとの3つのパラメータに関して適合したデータがあれば、マップとしては1つでも良いし、2つ設けても良い。両マップを1つにするか、2つにするかは、計算上の都合により決まる。
【0054】
こうして、ステップS210では、パージ弁35の特性に依存する目標駆動デューティに対応する目標流量比と実流量比とのずれ量を、吸気圧(負圧)と駆動デューティより補正して、実流量比を算出するようにしている。
【0055】
次に、ステップS220に進み、実流量(実際に流れているバージガスの流量)を算出する。この実流量は、上記ステップS110で現在の運転状態に基づいて算出された全開パージ流量と、上記ステップS210で算出された実流量比とを掛け合わせて算出される。
【0056】
上記ステップS210,S220により、パージガスの実流量をエンジン回転速度や負荷率等の運転状態および駆動デューティにより算出する際、パージ弁35の特性に依存する目標流量比と実流量比とのずれ量を、吸気圧と駆動デューティより補正するようにしている。
【0057】
上記ステップS210,S220が実流量算出手段に相当する。
ステップS220の実行後、ステップS230に進み、推定流量を算出する。
サージタンク16にパージされたパージガスが燃焼室11に到るまでにはタイムラグ(輸送遅れ)があるので、推定流量は、その輸送遅れを考慮し、ステップS220で算出された実流量のディレイとなまし処理をして求める。すなわち、噴射するタイミング毎に、いつパージされてどの位の流量のパージガスが燃焼室11に届くのか、そのパージガスの推定流量を、実流量に対してディレイとなまし処理をして求める。その輸送遅れは、内燃機関10の回転によるポンピング効果、つまりエンジン回転速度に依存する。
【0058】
次に、ステップS240に進み、上記ステップS230で算出された推定流量と吸入空気量とから推定パージ率を算出する。この推定パージ率は、推定流量を吸入空気量で割った値である。
【0059】
次に、ステップS250に進み上記ステップS240で算出された推定パージ率と上記ベーパ濃度の学習値とを掛け合わせて噴射量の減量量(パージ減量)を算出し、この算出された減量量だけ上述した噴射量の減量を行う。この後、本処理は一旦終了される。
【0060】
次に、図6を参照して、「デューティガード処理ルーチン」について説明する。図6のフローチャートで示す一連の処理は、電子制御装置40により所定時間毎の割込処理として実行される。
【0061】
まずステップS310では、ベーパ濃度学習値による補正限界として上限デューティAを算出する。例えば、噴射量の減量量が40%以上になるようなベーパ濃度のパージガスを、サージタンク16に入れないように、ベーパ濃度学習値による補正限界として上限デューティAを算出する。
【0062】
次に、ステップS320に進み、要求デューティ(上記ステップS130で算出された目標駆動)がステップS310で算出された上限デューティAを上回っているか否かを判定する。要求デューティが上限デューティAを上回っている場合にはステップS330に進み、そうでない場合にはステップS340に進む。
【0063】
ステップS330に進むと、上記上限デューティAを要求デューティとして設定する。
次に、ステップS340に進み、デューティの流量リニアリティを確保するために、リニアリティ下限値Bとして、バッテリ電圧と吸気管負圧である吸気圧( 負荷) の2次元マップ値を設定する。すなわち、そのリニアリティ下限値Bを、バッテリ電圧と吸気圧(負荷)とに基づき図7に示す2次元マップを参照して求める。
【0064】
バッテリ電圧が劣化してくると、パージ弁35が開きにくくなるとともに、吸気圧が小(負荷が大)になるほどパージ弁35が開きにくくなる。そこで、図7に示す2次元マップは、バッテリ電圧が低くなるほど、また、吸気圧が小さくなるほど、リニアリティ下限値Bをより大きい値に設定するように作られている。
【0065】
次に、ステップS350に進み、要求デューティがリニアリティ下限値Bを下回っているか否かを判定する。この判定結果が肯定の場合には、ステップS360に進み、パージを禁止する。一方、その判定結果が否定の場合には、本処理は一旦終了される。
【0066】
このように、図6のデューティガード処理ルーチンでは、駆動デューティの流量リニアリティを確保するために、リニアリティ下限値Bを設定する際、バッテリ電圧(印加電圧)および吸気圧(負圧)によりリニアリティ下限値Bを変動させるようにしている。
【0067】
なお、上記ステップS340が下限値算出手段に相当する。
以上のように構成された一実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
・図2のステップS130により、パージ弁35の特性に依存する目標駆動デューティに対応する目標流量比と実流量比とのずれ量を、吸気圧と目標流量比から推定し、この推定されたずれ量に応じた目標駆動デューティ(目標駆動量)を算出する。このため、目標駆動デューティに応じたパージガスの流量が得られ、デューティの流量リニアリティが得られる。したがって、バルブ間差圧(パージ弁35の入口側と出口側の圧力差)の変化、即ち吸気圧の変化による流量特性の変動を補正することができ、パージ制御性、空燃比制御性およびドライバビリティの向上を図ることができる。
【0068】
・図4のステップS210,S220により、実流量比をエンジン回転速度、負荷等の運転状態および駆動デューティより算出する際、目標流量比と実流量比とのずれ量を、吸気圧と駆動デューティから補正する。このため、パージ弁の電気的応答遅れ等の影響により、流量特性の傾きがデューティ0%付近で小さくなるとともに、デューティ100%付近で大きくなったとしても、パージ制御中におけるパージガスの実流量を正確に求めることができる。これにより、前記推定パージ率を精度良く算出することができ、空燃比制御性およびドライバビリティの更なる向上を図ることができる。
【0069】
・図2のステップS130により、目標流量比と実流量比とのずれ量に応じた駆動デューティが、吸気管負圧である吸気圧が大きくなるほど低デューティ側で駆動デューティの変化量に対する流量比の変化量がより大きくなるように設定された2次元マップから算出される。このため、吸気圧が大(負荷が小)になるほど、低デューティ側でパージガスの流量がより多くなるように、目標駆動デューティが設定される。
【0070】
これにより、デューティ制御のパージ弁35として負圧によって閉じる構造のものを使用する場合、吸気圧が大きい運転状態においても、低デューティ側で駆動デューティに応じたパージガスの流量が得られる。また、吸気圧が小(負荷が大)になるほど、低デューティ側で駆動デューティの変化量に対する流量比の変化量がより小さくなり、上記流量特性が傾き「1」の直線に近づき、デューティの流量リニアリティが確保される。したがって、デューティ制御のパージ弁として負圧によって閉じる構造のものを使用する場合でも、吸気圧等の運転状態の変化による流量特性の変動を抑えることができ、パージ制御性、空燃比制御性およびドライバビリティの向上を図ることができる。
【0071】
・図4のステップS210により、目標流量比と実流量比とのずれ量に応じた実流量比が、吸気圧が大きくなるほど低デューティ側で流量比の変化量に対する駆動デューティの変化量がより小さくなるように設定された2次元マップ(図5参照)から算出される。このため、デューティ制御のパージ弁35として負圧によって閉じる構造のものを使用する場合でも、バージガスの実流量を正確に求めることができる。これにより、デューティ制御のパージ弁として負圧によって閉じる構造のものを使用する場合でも、前記推定パージ率を精度良く算出することができ、パージ制御性、空燃比制御性およびドライバビリティの更なる向上を図ることができる。
【0072】
・図6のステップS340により、デューティの流量リニアリティ(パージ弁駆動量のリニアリティ)を確保するために駆動デューティの下限値として設定されるリニアリティ下限値Bを、バッテリ電圧および吸気圧に基づいて変動させる。このため、パージ制御中におけるパージガスの実流量をより正確に求めることができるとともに、前記推定パージ率をより精度良く算出することができ。これにより、空燃比制御性およびドライバビリティの更なる向上を図ることができる。
【0073】
・図6のステップS340により、リニアリティ下限値Bは、バッテリ電圧が低くなるほど大きい値に設定されるとともに、吸気圧が小さくなるほど大きい値になるように設定される。このため、バッテリ電圧と吸気圧に応じた最適なリニアリティ下限値Bを設定することができ、デューティの流量リニアリティが確保される領域を最大限に大きくすることができる。また、リニアリティ下限値Bは、吸気圧が小さくなるほど大きい値になるように設定されるので、デューティ制御のパージ弁35として負圧によって閉じる構造のものを使用する場合でも、流量特性のリニアリティを確保することができる。
【0074】
なお、上記一実施形態は、例えば以下のようにその構成を適宜変更することもできる。
・上記一実施形態では、パージ弁35として、デューティで流量を制御するデューティ制御の電磁弁を使用しているが、パージ弁35として、上述したソレノイドタイプのパージ弁を使用する場合にも本発明は適用可能である。
【0075】
・上記一実施形態では、パージ弁35として、吸気管負圧が大きくなるほど開きにくくなる特性(パージ弁の特性)を持つパージ弁が使用されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、吸気圧等の運転状態の変化による目標駆動デューティに対応する目標流量比と実流量比とのずれ(流量リニアリティの低下)は、吸気管負圧が大きくなるほど開きやすくなる特性を持つデューティ制御のパージ弁或いはソレノイドタイプのパージ弁を使用する場合にも適用可能である。
【0076】
・上記一実施形態では、図3,図5および図7に示すマップでは、運転状態を表すパラメータの一つとして吸気圧を用いているが、運転状態を表すパラメータとして吸気圧に相当する他のパラメータを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置を示す概略構成図。
【図2】一実施形態によるパージ弁駆動デューティ算出ルーチンを示すフローチャート。
【図3】図2のルーチンで用いるマップを示す説明図。
【図4】一実施形態による推定パージ率算出ルーチンを示すフローチャート。
【図5】図4のルーチンで用いるマップを示す説明図。
【図6】一実施形態によるデューティガード処理ルーチンを示すフローチャート。
【図7】図6のルーチンで用いるマップを示す説明図。
【図8】パージ弁の基本的な流量特性を示すグラフ。
【図9】負圧により変化するパージ弁の流量特性を示すグラフ。
【図10】負圧によって閉じる構造のパージ弁の流量特性を示すグラフ。
【符号の説明】
B…リニアリティ下限値、10…内燃機関、30…蒸発燃料処理機構、31…キャニスタ、35…パージ弁。

Claims (7)

  1. キャニスタに吸着された蒸発燃料をパージ弁を介して空気と共に内燃機関の吸気系にパージする蒸発燃料処理機構を備え、パージ制御と空燃比制御を行う内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置において、
    前記パージ弁の駆動量の目標値である目標駆動量を目標パージ流量より算出する目標駆動量算出手段を備え、同算出手段は、前記パージ弁の特性に依存する、前記目標駆動量に対応する目標流量比と実流量比とのずれ量を、運転状態を表す吸気圧等のパラメータと前記目標流量比から推定し、この推定された前記ずれ量に応じた前記目標駆動量を算出することを特徴とする内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置。
  2. 前記パージ弁の駆動中に流れるパージガスの実流量を算出する実流量算出手段を備え、同算出手段は、前記パージガスの実流量を運転状態および前記駆動量より算出する際、前記ずれ量を、運転状態を表す吸気圧等のパラメータと前記駆動量から補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置。
  3. 前記パージ弁は駆動デューティに応じて流量を調整するデューティ制御のパージ弁であり、前記目標駆動量算出手段は、前記目標駆動量として目標駆動デューティを算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置。
  4. 前記目標駆動量算出手段は、吸気圧が大きくなるほど低デューティ側で前記駆動デューティの変化量に対する流量比の変化量がより大きくなるように設定された2次元マップから、前記ずれ量に応じた前記目標駆動デューティを算出することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置。
  5. 前記実流量算出手段は、吸気圧が大きくなるほど低デューティ側で前記流量比の変化量に対する前記駆動デューティの変化量がより小さくなるように設定された2次元マップから、前記ずれ量に応じた前記実流量比を算出し、この算出された実流量比から前記パージガスの実流量を算出することを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置。
  6. 前記駆動量の流量リニアリティを確保するために同駆動量の下限値として設定されるリニアリティ下限値を、バッテリ電圧と吸気圧とに基づいて算出する下限値算出手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置。
  7. 前記下限値算出手段は、前記バッテリ電圧が低くなるほど前記リニアリティ下限値が大きい値になるとともに、吸気圧が小さくなるほど同下限値が大きい値になるように設定された2次元マップから前記リニアリティ下限値を算出することを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の蒸発燃料パージ制御装置。
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