JP2004060448A - 圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸封装置はもとよりプーリのベアリングも充分に冷却できる圧縮機を提供する。
【解決手段】ハウジングに形成された冷媒の吸入室111と、ハウジングのボス部121から外に貫通し圧縮機構に駆動力を伝達するシャフト122と、シャフト122に外部駆動源の回転運動を伝達するプーリ151とを備え、ボス部121の内周面とシャフト122との間にはシール用の軸封装置17を介装し、ボス部121の外周面にはプーリ151を回動自在に支持するアンギュラベアリング18を介装した圧縮機10において、吸入室111の冷媒の一部をボス部121の壁内部に導く冷却用冷媒通路20を有する構造となっている。これにより、吸入室111の冷媒の一部が冷却用冷媒通路20を通じてボス部121の壁内部に導かれる。この結果、ボス部121の内外に配置された軸封装置17とベアリング18の両者が冷却される。
【選択図】 図1
【解決手段】ハウジングに形成された冷媒の吸入室111と、ハウジングのボス部121から外に貫通し圧縮機構に駆動力を伝達するシャフト122と、シャフト122に外部駆動源の回転運動を伝達するプーリ151とを備え、ボス部121の内周面とシャフト122との間にはシール用の軸封装置17を介装し、ボス部121の外周面にはプーリ151を回動自在に支持するアンギュラベアリング18を介装した圧縮機10において、吸入室111の冷媒の一部をボス部121の壁内部に導く冷却用冷媒通路20を有する構造となっている。これにより、吸入室111の冷媒の一部が冷却用冷媒通路20を通じてボス部121の壁内部に導かれる。この結果、ボス部121の内外に配置された軸封装置17とベアリング18の両者が冷却される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハウジングのボス部に設置された軸封装置やプーリ用ベアリングの冷却構造を備えた圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の圧縮機として、特開平11−159458号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
この圧縮機は、ハウジングのボス部から外に貫通し圧縮機構に駆動力を伝達するシャフトと、シャフトに外部駆動源の回転運動を伝達するプーリとを備えたものであり、ボス部の内周面とシャフトとの間にはシール用の軸封装置を介装し、ボス部の外周面にはプーリを回動自在に支持するアンギュラベアリングを介装した構造となっている。ここで、プーリやシャフトが回転するとき、これに摺接する軸封装置やアンギュラベアリングが発熱し、これらの耐久性を低下させるおそれがあるため、この熱を放出する放熱手段を有している。
【0004】
この放熱手段はシャフトの先端のハブに多数の放熱フィンを形成した構成となっている。即ち、放熱フィンにより放熱面積が増大するし、また、シャフトが回転するときは放熱フィンも回転し、その旋回流によりボス部全体が冷却され、軸封装置及びアンギュラベアリングが冷却される。
【0005】
しかしながら、このように放熱フィンを形成するときは、その分ハブの重量が増大し、また、放熱フィンが回転するときは回転に伴う風圧がシャフトの回転負荷となり、外部駆動源の消費エネルギーが増大するという問題点を有していた。
【0006】
このような問題点に鑑み、特開2002ー31043号公報に記載された圧縮機が提案されている。この圧縮機はリアハウジングに形成された吸入室から軸封装置に低温冷媒を循環するもので、これにより、軸封装置を冷却するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、後者の圧縮機では軸封装置に低温冷媒を供給するため、軸封装置の冷却には有効なものではあるが、アンギュラベアリングに対してはボス部の壁厚の分だけ離隔しており、アンギュラベアリングの冷却には不十分なものとなっていた。
【0008】
本発明の目的は前記従来の課題に鑑み、軸封装置はもとよりプーリのベアリングも充分に冷却できる圧縮機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、請求項1の発明は、ハウジングに形成された冷媒の吸入室と、ハウジングのボス部から外に貫通し圧縮機構に駆動力を伝達するシャフトと、シャフトに外部駆動源の回転運動を伝達するプーリとを備え、ボス部の内周面と該シャフトとの間にはシール用の軸封装置を介装し、ボス部の外周面にはプーリを回動自在に支持するベアリングを介装した圧縮機において、吸入室の冷媒の一部をボス部の壁内部に導く冷却用冷媒通路を有する構造となっている。
【0010】
請求項1の発明によれば、吸入室の冷媒の一部が冷却用冷媒通路を通じてボス部の壁内部に導かれる。これにより、ボス部の内外に配置された軸封装置とベアリングの両者が冷却される。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る圧縮機において、冷却用冷媒通路は、少なくとも吸入室が形成されたリアハウジングの壁内部、圧縮機構のシリンダが形成されたシリンダブロックの壁内部、及び、圧縮機構を収容するフロントハウジングの壁内部に順次連通して形成された構造となっている。
【0012】
請求項2の発明によれば、冷却用冷媒通路がリアハウジング、シリンダブロック及びフロントハウジングの壁内部に形成されているため、ハウジングの外側に冷却用冷媒通路用の配管を配置する必要がなく、これにより、圧縮機を設置する際、配管が邪魔にならない。また、各ハウジングを冷却する作用も発揮するし、更には各ハウジングの壁内部を切削して形成されるため、圧縮機の軽量化が図られる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に係る圧縮機において、冷却用冷媒通路はボス部に冷媒を供給する供給通路とボス部から冷媒を戻す戻し通路とを有し、また、この供給通路に吸入室側の圧力を高くする絞り部を設けた構造となっている。これにより、吸入室の冷媒が供給通路を通ってボス部に流れ、また、ボス部を通じて吸入室に戻る。冷媒がボス部を通過する際、ボス部の壁を通じて軸封装置及びベアリングの両者を冷却する。なお、絞り部の構成として冷却用冷媒通路の流通断面積を一部小さくして形成してもよく、これにより、冷却用冷媒通路に多量の冷媒が流れないようにしている(請求項4の発明)。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1〜4に係る圧縮機において、冷却用冷媒通路にはボス部の温度に対応して冷媒流通を制御する開閉機構を設けた構造となっている。
【0015】
請求項5の発明によれば、ボス部の温度が高くなったときは開閉機構が開状態となりボス部に冷媒を流す。即ち、ボス部が高温となり軸封装置及びベアリングの冷却が必要となったときに冷媒を流す。従って、冷却不要時にはボス部に冷媒が流れることがなく、車両用空調装置、冷却ショーケース等の冷凍サイクルの冷媒循環量を減少させることがない。
【0016】
なお、請求項6の発明の如く、開閉機構はハウジング壁の温度が所定温度以上になったときボス部に冷媒を流すようにしてもよい。即ち、ボス部の温度をハウジング壁の温度に換算し、開閉機構を動作させるようになっている。
【0017】
請求項7の発明は、請求項5又は請求項6に係る圧縮機において、開閉機構は温度感知応動材で形成された駆動部により動作させる開閉弁で構成されている。
【0018】
請求項7の発明によれば、ハウジングから開閉弁に熱伝導し、この伝導熱に基づき駆動部が動作し開閉する。なお、温度感知応動材として形状記憶合金を用い、更に駆動部をベローズやコイルで形成するようにしても良い(請求項8〜10の発明)。
【0019】
また、冷媒として一般的にはフロンが使用されているが、近年、環境保全の見地から二酸化炭素が使用される圧縮機も提案されている。二酸化炭素を冷媒として使用するときは、超臨界域で冷媒を冷却するため圧縮機の温度が非常に高くなる。このような点から二酸化炭素を使用する圧縮機においては特に有効なものとなっている(請求項11の発明)。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る圧縮機の第1実施形態を示すものである。なお、本実施形態では圧縮機のうち、片頭ピストン型斜板式圧縮機(以下、圧縮機と称す)を一例として掲げて説明する。
【0021】
まず、この圧縮機10の全体構造を図1を参照して説明する。圧縮機10はリアハウジング11と、フロントハウジング12と、フロントハウジング12のリアハウジング11寄りに形成されたシリンダブロック13と、シリンダブロック13とリアハウジング11との間に介装された弁板装置14で構成されている。このシリンダブロック13には円筒状のシリンダボア131が複数に形成され、各シリンダボア131にはそれぞれ片頭ピストン132が往復直線運動ができるよう収容されている。リアハウジング11には冷媒の吸入室111と吐出室112が形成され、各室111,112が弁板装置14の弁体を介してシリンダボア131に連通しており、片頭ピストン132(圧縮機構の構成部品)の往復動によりシリンダボア131で冷媒が圧縮膨張される。フロントハウジング12にはシリンダブロック13からボス部121を通じて外方に突出したシャフト122が貫通している。このシャフト122はシリンダブロック部13及びフロントハウジング12に介装されたベアリング133,123を介して軸支され、その先端はハブ124を介して電磁クラッチ15に連結している。電磁クラッチ15はそのプーリ151を図示しない自動車エンジンのベルトに連結しており、エンジンにて出力された回転力が電磁クラッチ15を通じてシャフト122に伝達されるようになっている。
【0022】
このシャフト122に伝達された回転運動はフロントハウジング12のクランク室125内に設置された運動変換機構16(圧縮機構の構成部品)により往復直線運動に変換される。即ち、運動変換機構16はシャフト122に固着されたロータ161と、ロータ161に連結する連結部162と、連結部162に固定された斜板163と、片頭ピストン132のブリッジ部132aに介装された一対のシュー164とからなり、斜板163の周縁部がシュー164に摺動自在に挟み込まれている。ここで、シャフト122が回転運動を行うときはロータ161及び連結部162が回転し、これに伴い斜板163が回転する。この斜板163はシャフト122に対して傾斜した状態で回転するため、その斜板163の傾斜幅の分、片頭ピストン132が直線方向に往復動する。この運動変換機構16はクランク室125の圧力とシリンダボア131の吸入圧力との差圧に対応して斜板163の傾き角が変化し、片頭ピストン132のストロークの変更が可能となっている。
【0023】
なお、図示されていないが、吸入室111又は吐出室112内の冷媒をクランク室125に導く冷媒通路を形成し、この冷媒通路の冷媒流量を制御弁で制御し、これにより、クランク室125の圧力を制御するようになっている。また、本実施形態に係る圧縮機10は動力伝達手段として電磁クラッチ15を用いているが、これを図示しないトルクリミッタで構成するようにしてもよい。
【0024】
以上のように構成された圧縮機10において、ボス部121の内周面とシャフト122との間にはクランク室125の潤滑油及び冷媒が外方に漏れないよう環状の軸封装置17が介装されている。また、同じくボス部121の外周面とプーリ151との間にはプーリ151を回動自在に支持する環状のアンギュラベアリング18が介装されている。
【0025】
なお、軸封装置17はクランク室125と通路126(図1の破線で示している)を通じて連通しており、軸封装置17にクランク室125の潤滑油が循環するようになっている。
【0026】
ここで、軸封装置17はシール性を確保するためシャフト122とは接触状態となっており、シャフト122が回転するときは軸封装置17がシャフト122と摺接し摩擦熱が発生する。一方、アンギュラベアリング18はその玉181と内輪182及び外輪183との間に球面接触しており、プーリ151が回転するとき、これまた摩擦熱が発生する。
【0027】
本発明に係る圧縮機10は軸封装置17及びアンギュラベアリング18を冷却する冷却構造を提供するものであり、以下のような構造となっている。
【0028】
即ち、吸入室111の冷媒の一部をボス部121の壁内部に導く冷却用冷媒通路20が形成されている。これを詳述すると、冷却用冷媒通路20は吸入室111からボス部121に向かって形成された第1通路201と、ボス部121から吸入室111に向かって形成された第2通路202とを有している。
【0029】
第1及び第2通路201,202は、リアハウジング11に吸入室111に連通する屈曲した通路201a,202aを有し、弁板装置14には各通路201a,202aに連通する直線状の通路201b,202bを有し、シリンダブロック13からフロントハウジング12には各通路201b,202bに連通する直線状の通路201c,202cを有し、フロントハウジング12のボス部121寄りには各通路201c,202cに連通する斜めの通路201d,202dを有し、更に、ボス部121には各通路201d,202dに連通する環状の通路203を有している。これらの各通路201a,201c,202d,202a,202c,202d,203は各ハウジング11,12,13及びボス部121の壁内部に形成されている。
【0030】
また、第1及び第2通路201,202は各ハウジング11,12,13及び弁板装置14を個別に製造する際にドリル加工等により形成されるものであるが、通路201d,202dを形成するとき、フロントハウジング12の外側からボス部121に向かって加工するため、外側開口を気密に閉塞するネジ21をねじ込んでいる。また、通路203をボス部121内に製造するときは、フロントハウジング12のクランク室125側から加工する。このため、通路203のクランク室125側が開口された状態となるため、この開口を気密に閉塞する環状のシール部材22が埋め込まれている。
【0031】
本実施形態によれば、吸入室111内の低温冷媒が第1及び第2通路201,202を通じてボス部121の通路203に循環するため、ボス部121の壁を通じて軸封装置17とアンギュラベアリング18が冷却される。従って、軸封装置17とアンギュラベアリング18の耐久性が低下することがない。
【0032】
また、冷却用冷媒通路20が各ハウジング11,12,13及び弁板装置14の内部に形成され、ハウジングの外に配管する必要がないので、圧縮機10を設置する際、配管が邪魔にならないし、また、各ハウジング11,12,13を冷却する作用も発揮する。
【0033】
図2は本発明に係る圧縮機の第2実施形態を示すものである。なお、図2は第2実施形態の特徴的要部のみを示しており、図1に示す第1実施形態と同一又は相当する部材は同一の符号をもって表すとともに、必要に応じて図1を参照して説明する。
【0034】
前記第1実施形態に係る圧縮機では冷却用冷媒通路20の第1及び第2通路201,202の流通断面積は同一に構成している。これに対して、第2実施形態では第1通路201のうちリアハウジング11に形成された通路201aに絞り部(絞り通路)201eを形成した構造となっている。詳述すると、図2に示すように、弁板装置14に向かって延びる通路201aには、流通断面積を小さくした絞り通路201eを形成している。
【0035】
これにより、冷却用冷媒通路20の中で、絞り通路201eを間にして吸入室111側の通路201aの冷媒圧力が高くなり、一方、弁板装置14の通路201b側の冷媒圧力が低くなる。このような冷媒圧力の高低差により、吸入室111の冷媒が第1通路201→通路203→第2通路202→吸入室111と順位循環するよう流れ(図2では矢印で示す)、第1通路201が冷媒の供給通路として機能し、一方、第2通路202が冷媒の戻し通路として機能している。
【0036】
この結果、ボス部121での熱交換が良好に行われ、軸封装置17及びアンギュラベアリング18の冷却効果が更に向上する。また、絞り通路201eにより冷却用冷媒通路20への冷媒循環量が抑制されるため、車両用空調装置、冷却ショーケース等の冷凍サイクルの冷媒循環量の減少を極力少なくしている。なお、その他の構成及び作用は前記第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0037】
図3乃至図5は本発明に係る圧縮機の第3実施形態を示すものである。なお、図3乃至図5は第3実施形態の特徴的要部のみを示しており、図1及び図2に示す第1及び第2実施形態と同一又は相当する部材は同一の符号をもって表すとともに、必要に応じて図1及び図2を参照して説明する。
【0038】
この第3実施形態では前記第2実施形態の通路201aに代えてリアハウジング11の側面に向かって貫通する通路201fを形成している。この通路201fは流通断面積を大きくして形成するとともに、一端が吸入室111に連通し、他端が前記第2実施形態と同様の絞り通路201eに連通している。また、この通路201fには開閉機構(開閉弁)30が設置されている。
【0039】
この開閉弁30の構造を主に図5を参照して説明する。開閉弁30は中央に駆動部301を有している。この駆動部301は温度感知応動材、例えばチタンーニッケル合金の形状記憶合金をベローズ状に形成したものとなっている。形状記憶合金の変態温度が約100℃に設定されており、駆動部301がその温度より低い温度を感知しているときは図3に示すように縮んだ状態となっており、高い温度を感知したときは図4に示すように伸びた状態に変化する。
【0040】
駆動部301の一端側には冷媒流通用の通路部302が固着されている。通路部302は吸入室111側に複数の入口302aを形成し、駆動部301側に複数の出口302bを形成しており、各入口302aと各出口302bを連通路302cで連通させている。なお、通路部302の外周面にはOリング302dが環状に嵌め込まれており、駆動部302の外周面と通路201fの内周面との間から冷媒が漏れないようにしている。
【0041】
駆動部301の他端側には取付部303が固着されている。この取付部303は一端にネジ穴303aを形成してなり、このネジ穴303aにリアハウジング11の側面を介して固定ネジ304が螺合している。これにより、取付部303を通じて開閉弁30がリアハウジング11に締結されている。
【0042】
本実施形態によれば、リアハウジング11の熱は主に固定ネジ304から取付部303に伝達され、更に駆動部301に伝達される。ここで、駆動部301に伝達された熱が100℃に達していないときは、図3に示すように、駆動部301は縮んだ状態となっている。これに伴い、通路部302の入口302aが通路201fの内側に位置しており、各入口302aが通路201fの内周面で閉塞されている。一方、駆動部301に伝達された熱が100℃以上となっているときは、図4に示すように、駆動部301が変態して伸び状態となり、通路部302の入口302aが吸入室111内に臨み、各入口302aが吸入室111と連通状態となる。これにより、図4の矢印に示すように、吸入室111内の冷温冷媒が入口302aを通じて通路部302内に入り、連通路302cを通じて各出口302bから流出し、通路201f内に流れる。この通路201f内に流れた冷媒は絞り通路201eを通じて通路201c側に流れる。
【0043】
即ち、本実施形態では、リアハウジング11の温度が100℃となり、軸封装置17やアンギュラベアリング18が過熱状態となっていると判断(例えば150℃となっていると判断)されるときに、吸入室111の低温冷媒がボス部121に供給され、それ以外の時はボス部121に冷媒が循環しない。
【0044】
この結果、軸封装置17やアンギュラベアリング18の冷却不要時には冷媒がボス部121に流れることがなく、車両用空調装置、冷却ショーケース等の冷凍サイクルの冷媒循環量を減少させることがない。なお、その他の構成及び作用は前記第1実施形態及び第2実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0045】
図6は第3実施形態で示した開閉弁30の駆動部301の変形例を示すものである。第3実施形態で説明された駆動部301がベローズ状となっているが、この変形例では駆動部305の形状記憶合金をコイル状に形成している。このように駆動部305をコイル状に形成する場合も前記第3実施形態と同様の作用を発揮する。
【0046】
なお、前記第3実施形態では開閉弁30の駆動部301,305が形状記憶合金で形成されているが、その他の温度感知応動材でもよいことは勿論である。また、開閉弁として図示しない電磁弁を用い、また、ボス部121にはその温度を直接に検知する図示しない温度センサを設置し、温度センサの検知温度に基づき電磁弁を開閉するようにしてもよい。更に、前記第1〜3実施形態で示した圧縮機10は、フロン冷媒を使用する場合はもとより二酸化炭素冷媒を使用するものでもよい。また、片頭ピストン式圧縮機を例として掲げて説明しているが、両頭ピストン式圧縮機にも適用できるし、更にはワッブルタイプの圧縮機、ウェーブカムタイプの圧縮機、スクロールタイプの圧縮機、ベーンタイプの圧縮機にも使用できることは勿論である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、吸入室の冷媒の一部が冷却用冷媒通路を通じてボス部の壁内部に導かれ、ボス部の内外に配置された軸封装置とベアリングの両者が確実に冷却されるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る圧縮機の断面図
【図2】第2実施形態に係る圧縮機の要部断面図
【図3】第3実施形態に係る圧縮機の開閉弁閉鎖状態を示す要部断面図
【図4】第3実施形態に係る圧縮機の開閉弁開放状態を示す要部断面図
【図5】第3実施形態に係る開閉弁の斜視図
【図6】第3実施形態に係る開閉弁の変形例を示す要部断面図
【符号の説明】
10…片頭ピストン型斜板式圧縮機、11…リアハウジング、12…フロントハウジング、13…シリンダブロック、14…弁板装置、15…電磁クラッチ、16…運動変換機構、17…軸封装置、18…アンギュラベアリング、20…冷却用冷媒通路、30…開閉弁、111…吸入室、121…ボス部、122…シャフト、151…プーリ、201…第1通路(供給通路)、202…第2通路(戻し通路)、301,305…駆動部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハウジングのボス部に設置された軸封装置やプーリ用ベアリングの冷却構造を備えた圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の圧縮機として、特開平11−159458号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
この圧縮機は、ハウジングのボス部から外に貫通し圧縮機構に駆動力を伝達するシャフトと、シャフトに外部駆動源の回転運動を伝達するプーリとを備えたものであり、ボス部の内周面とシャフトとの間にはシール用の軸封装置を介装し、ボス部の外周面にはプーリを回動自在に支持するアンギュラベアリングを介装した構造となっている。ここで、プーリやシャフトが回転するとき、これに摺接する軸封装置やアンギュラベアリングが発熱し、これらの耐久性を低下させるおそれがあるため、この熱を放出する放熱手段を有している。
【0004】
この放熱手段はシャフトの先端のハブに多数の放熱フィンを形成した構成となっている。即ち、放熱フィンにより放熱面積が増大するし、また、シャフトが回転するときは放熱フィンも回転し、その旋回流によりボス部全体が冷却され、軸封装置及びアンギュラベアリングが冷却される。
【0005】
しかしながら、このように放熱フィンを形成するときは、その分ハブの重量が増大し、また、放熱フィンが回転するときは回転に伴う風圧がシャフトの回転負荷となり、外部駆動源の消費エネルギーが増大するという問題点を有していた。
【0006】
このような問題点に鑑み、特開2002ー31043号公報に記載された圧縮機が提案されている。この圧縮機はリアハウジングに形成された吸入室から軸封装置に低温冷媒を循環するもので、これにより、軸封装置を冷却するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、後者の圧縮機では軸封装置に低温冷媒を供給するため、軸封装置の冷却には有効なものではあるが、アンギュラベアリングに対してはボス部の壁厚の分だけ離隔しており、アンギュラベアリングの冷却には不十分なものとなっていた。
【0008】
本発明の目的は前記従来の課題に鑑み、軸封装置はもとよりプーリのベアリングも充分に冷却できる圧縮機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、請求項1の発明は、ハウジングに形成された冷媒の吸入室と、ハウジングのボス部から外に貫通し圧縮機構に駆動力を伝達するシャフトと、シャフトに外部駆動源の回転運動を伝達するプーリとを備え、ボス部の内周面と該シャフトとの間にはシール用の軸封装置を介装し、ボス部の外周面にはプーリを回動自在に支持するベアリングを介装した圧縮機において、吸入室の冷媒の一部をボス部の壁内部に導く冷却用冷媒通路を有する構造となっている。
【0010】
請求項1の発明によれば、吸入室の冷媒の一部が冷却用冷媒通路を通じてボス部の壁内部に導かれる。これにより、ボス部の内外に配置された軸封装置とベアリングの両者が冷却される。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る圧縮機において、冷却用冷媒通路は、少なくとも吸入室が形成されたリアハウジングの壁内部、圧縮機構のシリンダが形成されたシリンダブロックの壁内部、及び、圧縮機構を収容するフロントハウジングの壁内部に順次連通して形成された構造となっている。
【0012】
請求項2の発明によれば、冷却用冷媒通路がリアハウジング、シリンダブロック及びフロントハウジングの壁内部に形成されているため、ハウジングの外側に冷却用冷媒通路用の配管を配置する必要がなく、これにより、圧縮機を設置する際、配管が邪魔にならない。また、各ハウジングを冷却する作用も発揮するし、更には各ハウジングの壁内部を切削して形成されるため、圧縮機の軽量化が図られる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に係る圧縮機において、冷却用冷媒通路はボス部に冷媒を供給する供給通路とボス部から冷媒を戻す戻し通路とを有し、また、この供給通路に吸入室側の圧力を高くする絞り部を設けた構造となっている。これにより、吸入室の冷媒が供給通路を通ってボス部に流れ、また、ボス部を通じて吸入室に戻る。冷媒がボス部を通過する際、ボス部の壁を通じて軸封装置及びベアリングの両者を冷却する。なお、絞り部の構成として冷却用冷媒通路の流通断面積を一部小さくして形成してもよく、これにより、冷却用冷媒通路に多量の冷媒が流れないようにしている(請求項4の発明)。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1〜4に係る圧縮機において、冷却用冷媒通路にはボス部の温度に対応して冷媒流通を制御する開閉機構を設けた構造となっている。
【0015】
請求項5の発明によれば、ボス部の温度が高くなったときは開閉機構が開状態となりボス部に冷媒を流す。即ち、ボス部が高温となり軸封装置及びベアリングの冷却が必要となったときに冷媒を流す。従って、冷却不要時にはボス部に冷媒が流れることがなく、車両用空調装置、冷却ショーケース等の冷凍サイクルの冷媒循環量を減少させることがない。
【0016】
なお、請求項6の発明の如く、開閉機構はハウジング壁の温度が所定温度以上になったときボス部に冷媒を流すようにしてもよい。即ち、ボス部の温度をハウジング壁の温度に換算し、開閉機構を動作させるようになっている。
【0017】
請求項7の発明は、請求項5又は請求項6に係る圧縮機において、開閉機構は温度感知応動材で形成された駆動部により動作させる開閉弁で構成されている。
【0018】
請求項7の発明によれば、ハウジングから開閉弁に熱伝導し、この伝導熱に基づき駆動部が動作し開閉する。なお、温度感知応動材として形状記憶合金を用い、更に駆動部をベローズやコイルで形成するようにしても良い(請求項8〜10の発明)。
【0019】
また、冷媒として一般的にはフロンが使用されているが、近年、環境保全の見地から二酸化炭素が使用される圧縮機も提案されている。二酸化炭素を冷媒として使用するときは、超臨界域で冷媒を冷却するため圧縮機の温度が非常に高くなる。このような点から二酸化炭素を使用する圧縮機においては特に有効なものとなっている(請求項11の発明)。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る圧縮機の第1実施形態を示すものである。なお、本実施形態では圧縮機のうち、片頭ピストン型斜板式圧縮機(以下、圧縮機と称す)を一例として掲げて説明する。
【0021】
まず、この圧縮機10の全体構造を図1を参照して説明する。圧縮機10はリアハウジング11と、フロントハウジング12と、フロントハウジング12のリアハウジング11寄りに形成されたシリンダブロック13と、シリンダブロック13とリアハウジング11との間に介装された弁板装置14で構成されている。このシリンダブロック13には円筒状のシリンダボア131が複数に形成され、各シリンダボア131にはそれぞれ片頭ピストン132が往復直線運動ができるよう収容されている。リアハウジング11には冷媒の吸入室111と吐出室112が形成され、各室111,112が弁板装置14の弁体を介してシリンダボア131に連通しており、片頭ピストン132(圧縮機構の構成部品)の往復動によりシリンダボア131で冷媒が圧縮膨張される。フロントハウジング12にはシリンダブロック13からボス部121を通じて外方に突出したシャフト122が貫通している。このシャフト122はシリンダブロック部13及びフロントハウジング12に介装されたベアリング133,123を介して軸支され、その先端はハブ124を介して電磁クラッチ15に連結している。電磁クラッチ15はそのプーリ151を図示しない自動車エンジンのベルトに連結しており、エンジンにて出力された回転力が電磁クラッチ15を通じてシャフト122に伝達されるようになっている。
【0022】
このシャフト122に伝達された回転運動はフロントハウジング12のクランク室125内に設置された運動変換機構16(圧縮機構の構成部品)により往復直線運動に変換される。即ち、運動変換機構16はシャフト122に固着されたロータ161と、ロータ161に連結する連結部162と、連結部162に固定された斜板163と、片頭ピストン132のブリッジ部132aに介装された一対のシュー164とからなり、斜板163の周縁部がシュー164に摺動自在に挟み込まれている。ここで、シャフト122が回転運動を行うときはロータ161及び連結部162が回転し、これに伴い斜板163が回転する。この斜板163はシャフト122に対して傾斜した状態で回転するため、その斜板163の傾斜幅の分、片頭ピストン132が直線方向に往復動する。この運動変換機構16はクランク室125の圧力とシリンダボア131の吸入圧力との差圧に対応して斜板163の傾き角が変化し、片頭ピストン132のストロークの変更が可能となっている。
【0023】
なお、図示されていないが、吸入室111又は吐出室112内の冷媒をクランク室125に導く冷媒通路を形成し、この冷媒通路の冷媒流量を制御弁で制御し、これにより、クランク室125の圧力を制御するようになっている。また、本実施形態に係る圧縮機10は動力伝達手段として電磁クラッチ15を用いているが、これを図示しないトルクリミッタで構成するようにしてもよい。
【0024】
以上のように構成された圧縮機10において、ボス部121の内周面とシャフト122との間にはクランク室125の潤滑油及び冷媒が外方に漏れないよう環状の軸封装置17が介装されている。また、同じくボス部121の外周面とプーリ151との間にはプーリ151を回動自在に支持する環状のアンギュラベアリング18が介装されている。
【0025】
なお、軸封装置17はクランク室125と通路126(図1の破線で示している)を通じて連通しており、軸封装置17にクランク室125の潤滑油が循環するようになっている。
【0026】
ここで、軸封装置17はシール性を確保するためシャフト122とは接触状態となっており、シャフト122が回転するときは軸封装置17がシャフト122と摺接し摩擦熱が発生する。一方、アンギュラベアリング18はその玉181と内輪182及び外輪183との間に球面接触しており、プーリ151が回転するとき、これまた摩擦熱が発生する。
【0027】
本発明に係る圧縮機10は軸封装置17及びアンギュラベアリング18を冷却する冷却構造を提供するものであり、以下のような構造となっている。
【0028】
即ち、吸入室111の冷媒の一部をボス部121の壁内部に導く冷却用冷媒通路20が形成されている。これを詳述すると、冷却用冷媒通路20は吸入室111からボス部121に向かって形成された第1通路201と、ボス部121から吸入室111に向かって形成された第2通路202とを有している。
【0029】
第1及び第2通路201,202は、リアハウジング11に吸入室111に連通する屈曲した通路201a,202aを有し、弁板装置14には各通路201a,202aに連通する直線状の通路201b,202bを有し、シリンダブロック13からフロントハウジング12には各通路201b,202bに連通する直線状の通路201c,202cを有し、フロントハウジング12のボス部121寄りには各通路201c,202cに連通する斜めの通路201d,202dを有し、更に、ボス部121には各通路201d,202dに連通する環状の通路203を有している。これらの各通路201a,201c,202d,202a,202c,202d,203は各ハウジング11,12,13及びボス部121の壁内部に形成されている。
【0030】
また、第1及び第2通路201,202は各ハウジング11,12,13及び弁板装置14を個別に製造する際にドリル加工等により形成されるものであるが、通路201d,202dを形成するとき、フロントハウジング12の外側からボス部121に向かって加工するため、外側開口を気密に閉塞するネジ21をねじ込んでいる。また、通路203をボス部121内に製造するときは、フロントハウジング12のクランク室125側から加工する。このため、通路203のクランク室125側が開口された状態となるため、この開口を気密に閉塞する環状のシール部材22が埋め込まれている。
【0031】
本実施形態によれば、吸入室111内の低温冷媒が第1及び第2通路201,202を通じてボス部121の通路203に循環するため、ボス部121の壁を通じて軸封装置17とアンギュラベアリング18が冷却される。従って、軸封装置17とアンギュラベアリング18の耐久性が低下することがない。
【0032】
また、冷却用冷媒通路20が各ハウジング11,12,13及び弁板装置14の内部に形成され、ハウジングの外に配管する必要がないので、圧縮機10を設置する際、配管が邪魔にならないし、また、各ハウジング11,12,13を冷却する作用も発揮する。
【0033】
図2は本発明に係る圧縮機の第2実施形態を示すものである。なお、図2は第2実施形態の特徴的要部のみを示しており、図1に示す第1実施形態と同一又は相当する部材は同一の符号をもって表すとともに、必要に応じて図1を参照して説明する。
【0034】
前記第1実施形態に係る圧縮機では冷却用冷媒通路20の第1及び第2通路201,202の流通断面積は同一に構成している。これに対して、第2実施形態では第1通路201のうちリアハウジング11に形成された通路201aに絞り部(絞り通路)201eを形成した構造となっている。詳述すると、図2に示すように、弁板装置14に向かって延びる通路201aには、流通断面積を小さくした絞り通路201eを形成している。
【0035】
これにより、冷却用冷媒通路20の中で、絞り通路201eを間にして吸入室111側の通路201aの冷媒圧力が高くなり、一方、弁板装置14の通路201b側の冷媒圧力が低くなる。このような冷媒圧力の高低差により、吸入室111の冷媒が第1通路201→通路203→第2通路202→吸入室111と順位循環するよう流れ(図2では矢印で示す)、第1通路201が冷媒の供給通路として機能し、一方、第2通路202が冷媒の戻し通路として機能している。
【0036】
この結果、ボス部121での熱交換が良好に行われ、軸封装置17及びアンギュラベアリング18の冷却効果が更に向上する。また、絞り通路201eにより冷却用冷媒通路20への冷媒循環量が抑制されるため、車両用空調装置、冷却ショーケース等の冷凍サイクルの冷媒循環量の減少を極力少なくしている。なお、その他の構成及び作用は前記第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0037】
図3乃至図5は本発明に係る圧縮機の第3実施形態を示すものである。なお、図3乃至図5は第3実施形態の特徴的要部のみを示しており、図1及び図2に示す第1及び第2実施形態と同一又は相当する部材は同一の符号をもって表すとともに、必要に応じて図1及び図2を参照して説明する。
【0038】
この第3実施形態では前記第2実施形態の通路201aに代えてリアハウジング11の側面に向かって貫通する通路201fを形成している。この通路201fは流通断面積を大きくして形成するとともに、一端が吸入室111に連通し、他端が前記第2実施形態と同様の絞り通路201eに連通している。また、この通路201fには開閉機構(開閉弁)30が設置されている。
【0039】
この開閉弁30の構造を主に図5を参照して説明する。開閉弁30は中央に駆動部301を有している。この駆動部301は温度感知応動材、例えばチタンーニッケル合金の形状記憶合金をベローズ状に形成したものとなっている。形状記憶合金の変態温度が約100℃に設定されており、駆動部301がその温度より低い温度を感知しているときは図3に示すように縮んだ状態となっており、高い温度を感知したときは図4に示すように伸びた状態に変化する。
【0040】
駆動部301の一端側には冷媒流通用の通路部302が固着されている。通路部302は吸入室111側に複数の入口302aを形成し、駆動部301側に複数の出口302bを形成しており、各入口302aと各出口302bを連通路302cで連通させている。なお、通路部302の外周面にはOリング302dが環状に嵌め込まれており、駆動部302の外周面と通路201fの内周面との間から冷媒が漏れないようにしている。
【0041】
駆動部301の他端側には取付部303が固着されている。この取付部303は一端にネジ穴303aを形成してなり、このネジ穴303aにリアハウジング11の側面を介して固定ネジ304が螺合している。これにより、取付部303を通じて開閉弁30がリアハウジング11に締結されている。
【0042】
本実施形態によれば、リアハウジング11の熱は主に固定ネジ304から取付部303に伝達され、更に駆動部301に伝達される。ここで、駆動部301に伝達された熱が100℃に達していないときは、図3に示すように、駆動部301は縮んだ状態となっている。これに伴い、通路部302の入口302aが通路201fの内側に位置しており、各入口302aが通路201fの内周面で閉塞されている。一方、駆動部301に伝達された熱が100℃以上となっているときは、図4に示すように、駆動部301が変態して伸び状態となり、通路部302の入口302aが吸入室111内に臨み、各入口302aが吸入室111と連通状態となる。これにより、図4の矢印に示すように、吸入室111内の冷温冷媒が入口302aを通じて通路部302内に入り、連通路302cを通じて各出口302bから流出し、通路201f内に流れる。この通路201f内に流れた冷媒は絞り通路201eを通じて通路201c側に流れる。
【0043】
即ち、本実施形態では、リアハウジング11の温度が100℃となり、軸封装置17やアンギュラベアリング18が過熱状態となっていると判断(例えば150℃となっていると判断)されるときに、吸入室111の低温冷媒がボス部121に供給され、それ以外の時はボス部121に冷媒が循環しない。
【0044】
この結果、軸封装置17やアンギュラベアリング18の冷却不要時には冷媒がボス部121に流れることがなく、車両用空調装置、冷却ショーケース等の冷凍サイクルの冷媒循環量を減少させることがない。なお、その他の構成及び作用は前記第1実施形態及び第2実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0045】
図6は第3実施形態で示した開閉弁30の駆動部301の変形例を示すものである。第3実施形態で説明された駆動部301がベローズ状となっているが、この変形例では駆動部305の形状記憶合金をコイル状に形成している。このように駆動部305をコイル状に形成する場合も前記第3実施形態と同様の作用を発揮する。
【0046】
なお、前記第3実施形態では開閉弁30の駆動部301,305が形状記憶合金で形成されているが、その他の温度感知応動材でもよいことは勿論である。また、開閉弁として図示しない電磁弁を用い、また、ボス部121にはその温度を直接に検知する図示しない温度センサを設置し、温度センサの検知温度に基づき電磁弁を開閉するようにしてもよい。更に、前記第1〜3実施形態で示した圧縮機10は、フロン冷媒を使用する場合はもとより二酸化炭素冷媒を使用するものでもよい。また、片頭ピストン式圧縮機を例として掲げて説明しているが、両頭ピストン式圧縮機にも適用できるし、更にはワッブルタイプの圧縮機、ウェーブカムタイプの圧縮機、スクロールタイプの圧縮機、ベーンタイプの圧縮機にも使用できることは勿論である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、吸入室の冷媒の一部が冷却用冷媒通路を通じてボス部の壁内部に導かれ、ボス部の内外に配置された軸封装置とベアリングの両者が確実に冷却されるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る圧縮機の断面図
【図2】第2実施形態に係る圧縮機の要部断面図
【図3】第3実施形態に係る圧縮機の開閉弁閉鎖状態を示す要部断面図
【図4】第3実施形態に係る圧縮機の開閉弁開放状態を示す要部断面図
【図5】第3実施形態に係る開閉弁の斜視図
【図6】第3実施形態に係る開閉弁の変形例を示す要部断面図
【符号の説明】
10…片頭ピストン型斜板式圧縮機、11…リアハウジング、12…フロントハウジング、13…シリンダブロック、14…弁板装置、15…電磁クラッチ、16…運動変換機構、17…軸封装置、18…アンギュラベアリング、20…冷却用冷媒通路、30…開閉弁、111…吸入室、121…ボス部、122…シャフト、151…プーリ、201…第1通路(供給通路)、202…第2通路(戻し通路)、301,305…駆動部。
Claims (11)
- ハウジングに形成された冷媒の吸入室と、該ハウジングのボス部から外に貫通し圧縮機構に駆動力を伝達するシャフトと、該シャフトに外部駆動源の回転運動を伝達するプーリとを備え、該ボス部の内周面と該シャフトとの間にはシール用の軸封装置を介装し、該ボス部の外周面には該プーリを回動自在に支持するベアリングを介装した圧縮機において、
前記吸入室の冷媒の一部を前記ボス部の壁内部に導く冷却用冷媒通路を有する
ことを特徴とする圧縮機。 - 前記冷却用冷媒通路は、少なくとも前記吸入室が形成されたリアハウジングの壁内部、シリンダが形成されたシリンダブロックの壁内部、及び、該圧縮機構を収容するフロントハウジングの壁内部に順次連通して形成された
ことを特徴とする請求項1記載の圧縮機。 - 前記冷却用冷媒通路は前記ボス部に冷媒を供給する供給通路と該ボス部から冷媒を戻す戻し通路とを有するとともに、該供給通路には前記吸入室側の圧力を高くする絞り部を設けた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の圧縮機。 - 前記絞り部は前記供給通路の流通断面積を一部小さくして形成した
ことを特徴とする請求項3記載の圧縮機。 - 前記冷却用冷媒通路には前記ボス部の温度に対応して冷媒流通を制御する開閉機構を設けた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項記載の圧縮機。 - 前記開閉機構はハウジング壁の温度が所定温度以上になったとき冷媒を流す
ことを特徴とする請求項5記載の圧縮機。 - 前記開閉機構は温度感知応動材で形成された駆動部により動作させる開閉弁である
ことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の圧縮機。 - 前記温度感知応動材として形状記憶合金を用いた
ことを特徴とする請求項7記載の圧縮機。 - 前記開閉弁の駆動部はベローズで形成されている
ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の圧縮機。 - 前記開閉弁の駆動部はコイルで形成されている
ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の圧縮機。 - 冷媒として二酸化炭素を用いている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項記載の圧縮機。
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