JP2004060393A - 充填材入り人工芝および運動競技場 - Google Patents

充填材入り人工芝および運動競技場 Download PDF

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Abstract

【課題】経年使用しても弾力性が低下しにくい充填材入りロングパイル人工芝を提供する。
【解決手段】基布2に植設されたパイル3間に粒状物からなる充填材4を充填してなる充填材入り人工芝1であって、充填材4に、吸水により初期体積の1.2倍以上に膨張し、乾燥によりほぼ初期体積まで収縮する膨張性弾性粒状物412を混合する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロングパイル人工芝のパイル間に充填材を充填した充填材入り人工芝に関し、さらに詳しく言えば、充填材に吸水・乾燥によって膨張・収縮する膨張性弾性粒状物を含む充填材入り人工芝に関する。
【0002】
【従来の技術】
パイル長さが例えば30mm以上あるロングパイル人工芝は、天然芝に近い踏み心地やボールの転がり特性などの良さから、サッカーや野球などの球技場向けサーフェースとして普及しつつある。
【0003】
このロングパイル人工芝には、ゴムチップなどの弾性粒状物や珪砂などの硬質粒状物を充填材として充填した充填材層が設けられており、この充填材層がクッション層の役割を果たすため、人工芝の安定性や弾力性を向上するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ロングパイル人工芝は長期間にわたって使用されると、プレーヤの踏圧により充填材層が踏み締まる、すなわち充填材間の空隙率が低下することにより、施工当初よりも弾力性が低下する。
【0005】
充填材層が締まると、ロングパイル人工芝本来のクッション性が得られなくなるばかりでなく、局所的に踏み締まると表面に凹凸が発生し、イレギュラーバウンドなどプレーへの障害を引き起こしかねない。
【0006】
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、長期間使用しても弾力性が低下しにくい充填材入りロングパイル人工芝を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明は、基布に植設されたパイル間に粒状物からなる充填材を充填してなる充填材入り人工芝において、上記充填材には、吸水により初期体積の1.2倍以上に膨張し、乾燥によりほぼ初期体積まで収縮する膨張性弾性粒状物が含まれていることを特徴としている。
【0008】
これによれば、膨張性弾性粒状物が吸水によって膨張し、乾燥によって元の大きさに戻ることにより、膨張・収縮によって各充填材間の空隙率が回復するため、施工当初に近い弾力性が維持できる。なお、膨張率が1.2倍未満の場合には、充填材層の締まり、すなわち空隙率が回復しにくく、弾力性が元に戻りにくい。
【0009】
本発明の充填材入り人工芝の必要とする特性に応じて、上記充填材には、吸水などによって体積変化がほとんどない通常弾性粒状物や硬質粒状物などがさらに含まれていてもよい。
【0010】
ここで、通常弾性粒状物は、一般に用いられている例えば廃タイヤを粉砕して得られるゴムチップやウレタンやその他の弾性体の粉砕品などであってよい。また、硬質粒状物としては、天然珪砂が好適であるが、セラミックスや各種石類などを用いることもできる。なお、本発明の膨張性弾性粒状物には吸熱・放熱によって膨張−収縮サイクルするものも含まれる。
【0011】
膨張性弾性粒状物は、充填層の表面よりも内部に存在することがより効果的である。これを満足するため、最大膨張時における上記膨張性弾性粒状物の最大粒径は、上記通常弾性粒状物の最大粒径以下であることが好ましく、さらに、上記膨張性弾性粒状物の真比重は、最大膨張時および収縮時に関わらず上記通常弾性粒状物の真比重以上で、かつ、上記硬質粒状物の真比重よりも小さいことが好ましい。
【0012】
すなわち、膨張性弾性粒状物の最大粒径が通常弾性粒状物よりも小さく、真比重が大きい場合には、粒状物の充填作業やプレーによる充填材の掻き出しにより、
膨張性弾性粒状物が表層に表れにくい。結果、膨張性弾性粒状物が締まった通常弾性粒状物を押し上げる(解す)効果が大きく、締まり抑制効果が高い。
【0013】
逆に、膨張性弾性粒状物の最大粒径が通常弾性粒状物よりも大きく、真比重が小さい場合には、膨張性弾性粒状物が表層に表れやすい。結果、膨張性弾性粒状物の体積変化は、通常弾性粒状物の解し効果に寄与しにくく、充填材層の回復効果が得られにくい。
【0014】
また、上記膨張性弾性粒状物は、弾性粒状物全体に対し体積比にして10〜90%含まれていることが好ましい。すなわち、10%未満の場合には締まり抑制効果(回復効果)が得にくくなるおそれがある。逆に、90%を超える場合には、締まり抑制効果(回復効果)が大きすぎるため、パイル間での充填材の収まりが悪くなり、充填材の移動量が大きく、不陸などを発生するおそれがある。
【0015】
さらに、充填材を飛散しにくくするため、上記充填材の表面から上記パイル先端までのパイル突出量が10mm以上であることが好ましい。
【0016】
本発明には、この充填材入り人工芝によって構築された運動競技場も含まれるが、人工芝全体が適度な湿り気を帯び、芝面温度の上昇を抑制する効果やプレーヤのスライディングによる摩擦熱の低減にも効果があるため、より好ましくは、サッカーや野球などの球技場に好適である。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図1を参照しながら説明する。この充填材入り人工芝1は、基布2に所定間隔でパイル3がタフティングされた人工芝であって、そのパイル3間には、充填材4が充填されている。
【0018】
基布2は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン(NY)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂製の基布原糸を一軸延伸または短繊維を寄り合わせて長繊維としたものを織り込んで布状にしたものであってよい。
【0019】
また、基布2を2枚重ねて用いてもよい。これによれば、2枚重ねの方が寸法安定性が高く、敷設後に外力によってシワになりにくいのでより好適である。基布2を2枚重ねにする場合、その下側の基布には、合成繊維を綿状にしたものをパンチング加工した基布を用いることにより、寸法安定性やシワ防止性がさらによくなる。
【0020】
この基布2の裏側(図1では下側)には、タフティングされたパイル3の抜け落ちを防止するためのバッキング材21が設けられている。バッキング材21には、SBRラテックス、ウレタン樹脂などを用いることができる。
【0021】
パイル3は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン(NY)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成樹脂製のスプリットヤーンまたはモノフィラメントヤーンであってよく、その太さは5000〜11000dtex程度が好ましい。なお、モノフィラメントヤーンは、500〜1100dtexの単糸を数本〜数十本撚り合わせて1本の太いヤーンとし、それを基布2に植設する。
【0022】
なお、ナイロン製パイルは吸水により劣化するおそれがあるため、後述する膨張性弾性粒状物として吸水によって膨張するものを用いた場合には、ナイロン製以外のパイル素材を用いることが好ましい。
【0023】
パイル3には、基布2の表面からパイル先端に至るまでのパイル長さHが30〜60mmで、基布2に対して所定の植設間隔(例えば10〜20mm)にて植設されたいわゆるロングパイルが採用される。
【0024】
パイル3間には、充填材4がその表面からパイル先端に至るまでのパイル突出量h1が少なくとも10mm以上(好ましくは、10〜20mm)となるように充填されている。
【0025】
充填材4は、弾性粒状物を主材とする弾性層41と、硬質粒状物を主材とする硬質層42との2層構造からなり、充填材層全体の総厚さh2は30〜40mmとされている。なお、充填材層の総厚さおよび各層の厚さは、少なくとも上記パイル突出量h1が10mm以上を満足するように充填したものであれば、仕様に応じて適宜選択されてよい。
【0026】
この実施形態において、充填材4は下層側(基布2側)に硬質層42が、上層側(芝面側)に弾性層41が積層された2層構造とされているが、これ以外にさらに別の層を設けてもよい。また、この2層構造を1単位層として、繰り返し積層するようにしてもよい。さらには、弾性粒状物と硬質粒状物とを層状化せず、混合した状態で充填してもよい。いずれにせよ、上述したパイル突出量h1の条件を満たせば、充填材4の層構造は任意であってよい。
【0027】
また、硬質層41と弾性層42との界面は、実質的に硬質粒状物と弾性粒状物とが混在した状態となっており、充填材4にはこのような混在物も含まれる。さらに、用途によっては弾性粒状物の単層構造であってもよい。
【0028】
弾性粒状物には、吸水により初期体積の1.2倍以上に膨張し、乾燥によりほぼ初期体積まで収縮する膨張性弾性粒状物411と、吸水などによっても体積変化がほとんどない通常弾性粒状物412とが含まれている。なお、膨張率が1.2倍未満の場合には、充填材層の締まり、すなわち空隙率が回復しにくく、弾力性が元に戻りにくい。
【0029】
吸水によって膨張する膨張性弾性粒状物412の代表的なものとしては、吸水性ポリマーが配合されたゴムやウレタンなどの破砕品が例示される。この吸水ポリマーは、例えば地中や海中などに埋設されるコンクリート2次製品のジョイント部分の漏水を防ぐ目地材などによく使用されているものであってよい。
【0030】
この種の吸水性ポリマーとしては、例えばポリビニルアルコール架橋重合体などのポリビニルアルコール系、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体などのアクリル系などの高分子体や、デンプン、セルロースなどの天然高分子などが一般的である。これ以外のものでも、吸水・乾燥により上述した膨張率が得られるものがあれば適宜選択することができる。
【0031】
吸水性ポリマーを含む膨張性弾性粒状物411を使用することにより、人工芝全体が定常的に適度な湿り気を帯びることになるため、芝面温度の上昇を抑制する効果やプレーヤのスライディングによる摩擦熱の低減にも効果がある。
【0032】
通常弾性粒状物412は、安価かつ容易に手に入れることができる材料として廃タイヤを粉砕したリサイクル品が好適であり、粒径が0.3〜3mmのものを80%以上含むものがより好ましい。これ以外に、ウレタンやその他の弾性体の粉砕品であってもよく、また、専用に製造したものであってもよい。
【0033】
膨張性弾性粒状物411は、充填材4の表面よりも内部に存在することがより効果的である。これを満足するため、最大膨張時における膨張性弾性粒状物411の最大粒径は、通常弾性粒状物412の最大粒径以下であることが好ましく、さらに、膨張性弾性粒状物411の真比重は、最大膨張時および収縮時に関わらず通常弾性粒状物412の真比重以上であることが好ましい。
【0034】
これによれば、膨張性弾性粒状物が表層に表れにくい。結果、膨張性弾性粒状物が締まった通常弾性粒状物を押し上げる(解す)効果が大きく、締まり抑制効果が高い。
【0035】
逆に、膨張性弾性粒状物の最大粒径が通常弾性粒状物よりも大きく、真比重が小さい場合には、膨張性弾性粒状物が表層に表れやすい。結果、膨張性弾性粒状物の体積変化は、通常弾性粒状物の解し効果に寄与しにくく、充填材層の回復効果が得られにくい。
【0036】
膨張性弾性粒状物411は、弾性粒状物全体に対し体積比にして10〜90%含まれていることが好ましい。すなわち、10%未満の場合には締まり抑制効果(回復効果)が得にくくなるおそれがある。逆に、90%を超える場合には、締まり抑制効果(回復効果)が大きすぎるため、結果、パイル間での充填材の収まりが悪くなり、充填材の移動量が大きく、不陸などを発生するおそれがある。
【0037】
硬質粒状物は、少なくとも膨張性弾性粒状物よりも真比重が大きいものが用いられ、安価かつ容易に入手できる材料として天然珪砂が好適であり、粒径が0.3〜3mmものもを80%以上含むものがより好ましい。なお、これ以外にセラミックスや各種石類などであってもよく、硬質粒状物は使用時応じて適宜選択可能である。
【0038】
本発明の充填材入り人工芝1は、各種の人工芝施設に適用可能であるが、特に野球場、テニスコート、サッカー場などの球技場に好適である。球技場に適用するに当たっては、必ずしも全面を膨張性弾性粒状物を含む充填材を充填する必要はなく、少なくともプレイエリアにのみ充填材を充填するようにしてもよい。
【0039】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例1〜9と、その比較例1について説明する。まず、下記の方法にて人工芝を作製した。
【0040】
(人工芝の作製)
PE製のスプリットヤーン(幅:12mm、繊度8000dtex)をPP製平織り布からなる基布に、パイル間隔(ゲージ)15mm、ニードルの送り量(ステッチ)5.5mmで、パイル長さHが50mmになるようにタフトした後、基布裏面にSBRラテックスを一様に塗布して人工芝(1m×1m)を作製した。
(充填材の充填)
作製された人工芝をあらかじめ整地された下地上に敷設して、各実施例1〜9および比較例1に示す条件に基づき充填材をパイル間に充填した。なお、いずれの例においても、硬質粒状物には、真比重が2.6、粒径が0.2〜0.6mmのものが85%以上を占める珪砂を用い、通常弾性粒状物には、真比重が1.1、粒径が0.2〜3mm(最大粒径4mm)のものが90%を占める廃タイヤ(黒色)の粉砕品を用い、膨張性弾性粒状物には、ポリエチレンオキサイド架橋体からなる吸水性ポリマーを含む吸水ゴムの粉砕品を用いた。なお、充填材の表面での動きを確認するため、吸水ゴムはあえて茶色に着色した。しかる後、上記方法にて作製した人工芝を以下の方法で評価した。
【0041】
(踏圧・散水試験)
実施例1〜9、比較例1ともに2枚の試験体を作製し、一方の試験体は、300回踏み固めた後、十分な散水を行った。他方の試験体は、30回踏み込んで人工芝内に充填物を落ち着かせ放置し、ほぼ施工当初と同じ初期状態とした。
(締まり具合・粒状物飛散性の評価)
散水した試験体を自然乾燥した後、踏み付け、初期状態の試験体との比較で締まり具合の回復性を評価した。また、散水した試験体を乾燥後に、30回踏み付けて充填材の飛散状態を確認し、さらに膨張性弾性粒状物(茶色)と通常弾性粒状物(黒色)の分布状態を色から判断した。なお、実施例1〜9,比較例1において、「砂」は硬質粒状物、「膨ゴム」は膨張性弾性粒状物、「ゴム」は通常弾性粒状物を意味している。
【0042】
《実施例1》
〔膨張性弾性粒状物〕真比重:1.3,膨張率:1.8,最大粒径:3mm
〔充填順序と厚み〕
(基布側)砂15mm→膨ゴム3mm→ゴム12mm(芝面側)
各層毎にブラシをかけて充填。
〔膨ゴム/ゴム体積比〕25%
〔パイル突出量〕   20mm
〔締まり具合の回復性〕初期状態とほぼ同等
〔表面の状態〕    黒/茶混合
〔粒状物の飛散状況〕 粒状物の飛散無し
【0043】
《実施例2》
〔膨張性弾性粒状物〕真比重:1.3,膨張率:1.8,最大粒径:3mm
〔充填順序と厚み〕
(基布側)砂15mm→ゴム13mm→膨ゴム3mm(芝面側)
各層毎にブラシをかけて充填。
〔膨ゴム/ゴム体積比〕25%
〔パイル突出量〕   20mm
〔締まり具合の回復性〕初期状態とほぼ同等
〔表面の状態〕    黒/茶混合
〔粒状物の飛散状況〕 粒状物の飛散無し
【0044】
《実施例3》
〔膨張性弾性粒状物〕真比重:1.3,膨張率:1.8,最大粒径:3mm
〔充填順序と厚み〕
(基布側)砂7.5mm→膨ゴム3mm→砂7.5mm→ゴム12mm(芝面側)
各層毎にブラシをかけて充填。
〔膨ゴム/ゴム体積比〕25%
〔パイル突出量〕   20mm
〔締まり具合の回復性〕初期状態とほぼ同等
〔表面の状態〕    黒/茶混合
〔粒状物の飛散状況〕 粒状物の飛散無し
【0045】
《実施例4》
〔膨張性弾性粒状物〕真比重:1.3,膨張率:1.8,最大粒径:3mm
〔充填順序と厚み〕
(基布側)砂15mm→膨ゴム12mm→ゴム3mm(芝面側)
各層毎にブラシをかけて充填。
〔膨ゴム/ゴム体積比〕75%
〔パイル突出量〕   20mm
〔締まり具合の回復性〕初期状態とほぼ同等
〔表面の状態〕    黒/茶混合
〔粒状物の飛散状況〕 粒状物の飛散無し
【0046】
《実施例5》
〔膨張性弾性粒状物〕真比重:1.3,膨張率:1.8,最大粒径:5mm
〔充填順序と厚み〕
(基布側)砂15mm→膨ゴム3mm→ゴム12mm(芝面側)
各層毎にブラシをかけて充填。
〔膨ゴム/ゴム体積比〕30%
〔パイル突出量〕   20mm
〔締まり具合の回復性〕初期状態よりもやや硬い
〔表面の状態〕    やや茶が目立つ
〔粒状物の飛散状況〕 粒状物の飛散あり
【0047】
《実施例6》
〔膨張性弾性粒状物〕真比重:0.9,膨張率:1.8,最大粒径:3mm
〔充填順序と厚み〕
(基布側)砂15mm→膨ゴム3mm→ゴム12mm(芝面側)
各層毎にブラシをかけて充填。
〔膨ゴム/ゴム体積比〕25%
〔パイル突出量〕   20mm
〔締まり具合の回復性〕初期状態よりもやや硬く感じる
〔表面の状態〕    茶が目立つ
〔粒状物の飛散状況〕 粒状物の飛散無し
【0048】
《実施例7》
〔膨張性弾性粒状物〕真比重:1.3,膨張率:1.8,最大粒径:3mm
〔充填順序と厚み〕
(基布側)砂15mm→膨ゴム1mm→ゴム14mm(芝面側)
各層毎にブラシをかけて充填。
〔膨ゴム/ゴム体積比〕7%
〔パイル突出量〕   20mm
〔締まり具合の回復性〕初期状態よりもやや硬く感じる
〔表面の状態〕    茶が目立つ
〔粒状物の飛散状況〕 粒状物の飛散無し
【0049】
《実施例8》
〔膨張性弾性粒状物〕真比重:1.3,膨張率:1.8,最大粒径:3mm
〔充填順序と厚み〕
(基布側)砂15mm→膨ゴム15mm(芝面側)
各層毎にブラシをかけて充填。
〔膨ゴム/ゴム体積比〕100%
〔パイル突出量〕   20mm
〔締まり具合の回復性〕初期状態よりも若干柔らかい
〔表面の状態〕    茶一色
〔粒状物の飛散状況〕 粒状物の飛散あり
【0050】
《実施例9》
〔膨張性弾性粒状物〕真比重:1.3,膨張率:1.8,最大粒径:3mm
〔充填順序と厚み〕
(基布側)砂25mm→膨ゴム3mm→ゴム12mm(芝面側)
各層毎にブラシをかけて充填。
〔膨ゴム/ゴム体積比〕25%
〔パイル突出量〕   8mm
〔締まり具合の回復性〕初期状態とほぼ同等
〔表面の状態〕    黒が目立つ
〔粒状物の飛散状況〕 粒状物の飛散あり
【0051】
〈比較例1〉
〔膨張性弾性粒状物〕真比重:1.3,膨張率:1.1,最大粒径:3mm
〔充填順序と厚み〕
(基布側)砂15mm→膨ゴム3mm→ゴム12mm(芝面側)
各層毎にブラシをかけて充填。
〔膨ゴム/ゴム体積比〕25%
〔パイル突出量〕   20mm
〔締まり具合の回復性〕初期状態よりも硬く感じる
〔表面の状態〕    黒/茶混合
〔粒状物の飛散状況〕 粒状物の飛散なし
【0052】
参考までに、上記実施例1〜9と比較例1の仕様および回復性、粒状物の飛散状態の評価をまとめて表1に示す。
【0053】
【表1】
Figure 2004060393
【0054】
この試験の結果により、以下の(1)〜(8)の知見が得られた。すなわち、
(1)比較例1は、膨張率が低いゴム(1.1倍)を使用しているため、充填材の締まりの回復性が悪い。
(2)実施例5は、最大粒径が大きい膨張性弾性粒状物(膨ゴム)を使用しているため、表面に膨張性弾性粒状物が多く存在し、締まりの回復性および粒状物飛散性がやや劣る。
(3)実施例6は、真比重の小さい膨張性弾性粒状物(膨ゴム)を使用しているため、表面に膨ゴムが多く存在し、締まりの回復性、粒状物飛散防止効果がともにやや劣る。
(4)実施例7は、膨張性弾性粒状物の混合率が低く、締まりの回復性がやや劣る。
(5)実施例8は、膨張性弾性粒状物のみを充填しているため、締まりの回復性は良いが、飛散が激しい。
(6)実施例9は、他の実施例とほぼ同等の締まりの回復性が得られるが、パイル突出量が短く、粒状物の飛散が見られる。
(7)実施例1〜3は、充填材の積層順位がそれぞれ異なるが、締まりの回復性、充填物の混ざり具合、飛散状態とも大きな差異は見られなかった。
(8)実施例4も実施例1とほぼ同様の結果を得たが、締まりの回復性は他の実施例よりもややよかった。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基布に植設されたパイル間に粒状物からなる充填材を充填してなる充填材入り人工芝において、充填材には、吸水により初期体積の1.2倍以上に膨張し、乾燥によりほぼ初期体積まで収縮する膨張性弾性粒状物が含まれていることにより、充填材が踏み固められたとしても、再び良好な弾力性が得られるため、経年使用しても弾力性が低下しにくいロングパイル人工芝が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る充填材入り人工芝の模式的な断面図。
【符号の説明】
1 充填材入り人工芝
2 基布
21 バッキング材
3 パイル
4 充填材
41 弾性層
42 硬質層
411 膨張性弾性粒状物
412 通常弾性粒状物

Claims (6)

  1. 基布に植設されたパイル間に粒状物からなる充填材を充填してなる充填材入り人工芝において、
    上記充填材には、吸水により初期体積の1.2倍以上に膨張し、乾燥によりほぼ初期体積まで収縮する膨張性弾性粒状物が含まれていることを特徴とする充填材入り人工芝。
  2. 上記充填材には、吸水などによって体積変化がほとんどない通常弾性粒状物がさらに含まれており、最大膨張時における上記膨張性弾性粒状物の最大粒径は、上記通常弾性粒状物の最大粒径以下である請求項1に記載の充填材入り人工芝。
  3. 上記充填材には、硬質粒状物がさらに含まれており、上記膨張性弾性粒状物の真比重は、最大膨張時および収縮時に関わらず上記通常弾性粒状物の真比重以上で、上記硬質粒状物の真比重よりも小さい請求項2に記載の充填材入り人工芝。
  4. 弾性粒状物全体に対し、上記膨張性弾性粒状物は体積比にして10〜90%含まれている請求項1,2または3に記載の充填材入り人工芝。
  5. 上記充填材の表面から上記パイル先端までのパイル突出量が10mm以上である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の充填材入り人工芝。
  6. 上記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の充填材入り人工芝より構築されてなる運動競技場。
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