JP2004059709A - 半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤を必須成分とする半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物に関する。このエポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が−10℃以下であり、5℃雰囲気におけるショアーA硬度が10〜60である。これによって、優れた耐衝撃性と高強度の両立を図ることができる。また、上記硬化物をエタノールに浸漬させた後の溶媒の吸光度が1.5以下である。これによって、耐衝撃性と強度を損なうことなく、耐溶剤性をも向上させることができる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子を封止するために用いられる半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物及びこれを用いて製造される半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子を樹脂組成物で封止することによって製造される樹脂封止型の半導体装置としては、デバイスの高密度化、高集積度化、動作の高速化等の傾向のため、QFP(quad flat package)等に代表される従来型のリードスルー実装型パッケージよりも、さらに小型化、薄型化を実現することができるパッケージが要求されている。最近ではこのような要求に対して、BGA(ball grid array)やCSP(chip size package, chip scale package)といった表面実装型パッケージや、ベアチップ実装などの実装方法が、高密度実装を可能にするものとして注目されている。実際、このようなパッケージや実装方法を利用した電化製品としては、デジタルカメラ、ビデオ、ノート型パソコン、携帯電話といったものを挙げることができる。今後はこのようなモバイル製品自体の小型化、薄型化がさらに進むのに伴い、より高い強度及び耐衝撃性が求められると共に、製品内部に組み込まれる上記のような半導体装置などの電子部品にも同様な性質が求められるものである。
【0003】
従来、このような半導体装置の製造に用いられる樹脂組成物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂等を主要成分とするものであって、硬化剤として液状の酸無水物やフェノールノボラックを用い、その他に無機充填材等を用いたものが使用されていた。しかし、このような液状エポキシ樹脂組成物で封止した半導体装置にあっては、落下等の衝撃試験によって半導体素子及び半導体素子が搭載されている配線基板と半導体素子を封止する樹脂の硬化物との間に剥離が発生したり、硬化物にクラックが発生したりするという問題が生じるものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の問題を解決するにあたっては、樹脂組成物中にシリコーンを添加することにより、硬化物の熱膨張係数を低減させ、硬化物を応力緩和しやすくすることが行われているが、実際にはこの応力緩和は不十分であって、結果として硬化物と半導体素子及び配線基板との間の密着性が低下し、耐衝撃性を十分に改善するには至らないものであった。
【0005】
そこで、樹脂組成物を調製する際にシリコーンゲル等を用い、硬化物のガラス転移温度(Tg)を低下させることが行われている。これによれば十分な応力緩和が得られ、超低弾性な封止を行うことが可能である。しかしこの反面、硬化物の強度や硬度が著しく低下するため、封止後において種々の加工をする際に硬化物が容易に削られたりして、硬化物中の半導体素子やワイヤーに損傷が生じるという問題があった。
【0006】
また、プリント配線板に実装される半導体装置などの電子部品の多くのものは、組み立て後、溶剤によって洗浄が行われる。そのため、半導体装置において半導体素子を封止している硬化物は、洗浄のための溶剤中に浸漬しても、この浸漬に耐える程度の耐溶剤性を有するものでなければならない。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、優れた耐衝撃性と高強度の両立を図ることができ、耐溶剤性にも優れた半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤を必須成分とする半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物において、このエポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が−10℃以下であり、5℃雰囲気におけるショアーA硬度が10〜60であると共に、上記硬化物をエタノールに浸漬させた後の溶媒の吸光度が1.5以下であることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項2の発明は、請求項1において、エポキシ樹脂としてグリシジル基含有ポリブタジエンを用い、硬化剤として酸無水物とアミン系硬化剤の中から選ばれるものを用い、硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤とリン系硬化促進剤の中から選ばれるものを用いて成ることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項3の発明は、請求項2において、イミダゾール系硬化促進剤の融点が130℃以下であることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物全量に対して無機充填材を0.1〜45質量%含有して成ることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、エポキシ樹脂と硬化剤の当量比が0.7〜1.6であることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項6に係る半導体装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止して成ることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
本発明に係る半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物(以下単に「エポキシ樹脂組成物」ともいう。)は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤を必須成分として含有するものである。
【0016】
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることができ、特に限定されるものではないが、グリシジル基を含有するポリブタジエン(以下「グリシジル基含有ポリブタジエン」という。)を用いるのが好ましい。このようにグリシジル基含有ポリブタジエンを用いると、その他のエポキシ樹脂を用いる場合よりも、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐衝撃性を高めることができるものである。
【0017】
硬化剤としては、例えば液状アリル化フェノール樹脂等の液状フェノール樹脂を用いることができ、特に限定されるものではないが、酸無水物とアミン系硬化剤の中から選ばれるものを用いるのが好ましい。酸無水物としては、例えばメチルテトラヒドロ無水フタル酸を用いることができ、またアミン系硬化剤としては、例えば液状芳香族アミンを用いることができる。このように酸無水物とアミン系硬化剤の中から選ばれるものを用いると、その他の硬化剤を用いる場合よりも、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐衝撃性を高めることができるものである。
【0018】
ここで、エポキシ樹脂と硬化剤の当量比は0.7〜1.6であることが好ましい。この当量比が0.7未満であると、エポキシ樹脂組成物が硬化した後において未反応の硬化剤が多く残り、硬化物の耐溶剤性が低下するおそれがある。逆に上記の当量比が1.6を超えると、エポキシ樹脂組成物が硬化した後において未反応のエポキシ樹脂が多く残り、硬化物の耐溶剤性が低下するおそれがある。つまり、上記の当量比が0.7〜1.6であると、エポキシ樹脂と硬化剤を過不足なく反応させることができ、硬化物の耐溶剤性が低下するのを防止することができるものである。
【0019】
硬化促進剤としては、例えば1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のアミン系硬化促進剤を用いることができ、特に限定されるものではないが、イミダゾール系硬化促進剤とリン系硬化促進剤の中から選ばれるものを用いるのが好ましい。イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールを用いることができ、またリン系硬化促進剤としては、例えばマイクロカプセル化トリフェニルホスフィンを用いることができる。このようにイミダゾール系硬化促進剤とリン系硬化促進剤の中から選ばれるものを用いると、その他の硬化促進剤を用いる場合よりも、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐衝撃性を高めることができるものである。
【0020】
ここで、硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤を用いる場合には、その融点は130℃以下であることが好ましい。エポキシ樹脂組成物の硬化反応は通常、130℃を超える温度(例えば、150℃)で行われるので、イミダゾール系硬化促進剤の融点が130℃以下であると、硬化反応時においてイミダゾール系硬化促進剤が溶解し、エポキシ樹脂組成物中に均一に分散することによって、硬化物の表面を平滑にすることができ、外観を向上させることができるものである。なお、イミダゾール系硬化促進剤の融点の実質上の下限は0℃である。
【0021】
エポキシ樹脂組成物にはシリカ等の無機充填材を含有させることもできる。このように無機充填材を用いると、エポキシ樹脂組成物の粘度を容易に調整することができると共に硬化物の形状保持性を向上させることができるものである。無機充填材はエポキシ樹脂組成物全量に対して0.1〜45質量%含有させるのが好ましい。無機充填材の含有量が0.1質量%未満であると、形状保持性向上の効果を十分に得ることができないおそれがあり、逆に45質量%を超えると、硬化物は硬度が増加することによって硬くなるが、耐衝撃性が低下することによって脆くなるおそれがある。
【0022】
上記のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤を一緒に又は別々に配合し、加熱処理及び冷蔵処理を必要に応じて行いながら、攪拌、溶解、混合、分散を行い、次にこの混合物に必要に応じて無機充填材を加え、再度、加熱処理及び冷蔵処理を必要に応じて行いながら、攪拌、溶解、混合、分散を行うことによって、エポキシ樹脂組成物を調製することができる。なお、攪拌、溶解、混合、分散の各工程において、ディスパー、プラネタリーミキサー、ボールミル、3本ロールを適宜組み合わせて用いることができる。
【0023】
このようにして調製したエポキシ樹脂組成物を成形することによって硬化物を得ることができる。このとき、成形温度は130〜180℃、成形時間は1〜12時間とするのが好ましい。
【0024】
本発明において上記のようにして得た硬化物のガラス転移温度は−10℃以下である。このガラス転移温度が−10℃を超えると、硬化物の耐衝撃性を高めることはできない。なお、上記のガラス転移温度の実質上の下限は−100℃である。
【0025】
また、本発明において上記のようにして得た硬化物の5℃雰囲気におけるショアーA硬度は10〜60である。このショアーA硬度が10未満であると、硬化物の強度を高めることができず、逆に上記のショアーA硬度が60を超えると、硬化物が脆くなる。
【0026】
このように硬化物のガラス転移温度と5℃雰囲気におけるショアーA硬度の両方の物性値をそれぞれ上記の範囲に設定することによって、耐衝撃性と強度をいずれも向上させることができるものである。しかし、一方の物性値が上記の範囲内であっても、他方の物性値が上記の範囲外であれば、優れた耐衝撃性と高強度の両立を図ることはできない。
【0027】
さらに、本発明において上記のようにして得た硬化物をエタノールに浸漬させた後の溶媒の吸光度は1.5以下である。この吸光度は次のようにして測定することができる。すなわち、硬化物の20倍質量の50%エタノール水溶液(エタノールと水の体積比が1:1)に硬化物を浸漬させることによって、試料液を調製する。一方、試料液とは別に、硬化物を浸漬させていない50%エタノール水溶液を用意し、これを標準液とする。次に、試料液と標準液を120℃雰囲気に6時間放置した後、試料液から硬化物を取り除く。そして、硬化物を取り除いた試料液と標準液を分光光度計にかけることによって、標準液に対する試料液の吸光度、つまり、上記の吸光度を測定することができる。このようにして測定された吸光度が1.5を超えると、硬化物の耐溶剤性は悪いものであり、半導体素子の封止材料として用いることはできない。しかし、上記のように硬化物をエタノールに浸漬させた後の溶媒の吸光度が1.5以下であると、優れた耐衝撃性と高強度の両立を図りつつ、耐溶剤性をも向上させることができるものである。なお、上記の吸光度の実質上の下限は0である。
【0028】
ここで、ガラス転移温度、ショアーA硬度及び吸光度を上記の範囲に設定するにあたっては、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤の配合量や成形条件を適宜調整することによって行うことができる。上記の設定を容易に行うことができるという点から、エポキシ樹脂としてグリシジル基含有ポリブタジエンを用い、硬化剤として酸無水物とアミン系硬化剤の中から選ばれるものを用い、硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤とリン系硬化促進剤の中から選ばれるものを用いるのが好ましく、これによって、さらに耐衝撃性を大幅に高めることができる。
【0029】
そして、上記のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止することによって半導体装置を製造することができる。具体的には、例えば配線基板に半導体素子を搭載し、配線基板の電極と半導体素子の電極とを金線ワイヤー等で結線した後、上記のエポキシ樹脂組成物を用いてポッティング成形を行うことにより、配線基板に搭載された半導体素子と金線ワイヤーとが封止された半導体装置を製造することができる。また、半導体素子に形成されたバンプと配線基板の電極とを接合することによって、配線基板に半導体素子を搭載し、その後、上記のエポキシ樹脂組成物を用いてディスペンス法を行うことにより、半導体素子と配線基板との間の隙間やバンプ間の隙間が封止された半導体装置を製造することもできる。
【0030】
このようにして製造した半導体装置にあって、半導体素子を封止しているエポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度は−10℃以下であるので、耐衝撃性に優れており、また上記硬化物の5℃雰囲気におけるショアーA硬度は10〜60であるので、高い強度を有しており、さらに上記硬化物をエタノールに浸漬させた後の溶媒の吸光度が1.5以下であるので、耐溶剤性にも優れているものである。つまり、本発明に係る半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物は、優れた耐衝撃性と高強度の両立を図ることができ、耐溶剤性にも優れているので、小型化、薄型化の傾向にあるモバイル製品の半導体装置を製造する際に好適に用いることができるものである。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0032】
(実施例1〜14及び比較例1〜4)
エポキシ樹脂として、グリシジル基含有ポリブタジエンとビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた。具体的には、グリシジル基含有ポリブタジエンとして、ダイセル化学工業(株)製「エポリードPB3600」(エポキシ当量200)、旭電化工業(株)製「アデカレジンEPB1200」(エポキシ当量250)、長瀬産業(株)製「デナレックスR−45EPT」(エポキシ当量1500)、日本石油化学(株)製「E−1000−8」(エポキシ当量200)を用い、ビスフェノールA型エポキシ樹脂として、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828」(エポキシ当量189)を用いた。
【0033】
硬化剤として、液状フェノール樹脂、酸無水物及びアミン系硬化剤を用いた。具体的には、液状フェノール樹脂として、液状アリル化フェノール樹脂であるジャパンエポキシレジン(株)製「YLH903」(水酸基当量170)を用い、酸無水物として、メチルテトラヒドロ無水フタル酸である新日本理化(株)製「MH−700」(酸無水物当量166)を用い、アミン系硬化剤として、液状芳香族アミンである三井化学(株)製「Q−640」(活性水素当量114)を用いた。
【0034】
硬化促進剤として、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤及びリン系硬化促進剤を用いた。具体的には、アミン系硬化促進剤として、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7であるサンアプロ(株)製「DBU」を用い、イミダゾール系硬化促進剤として、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールである四国化成工業(株)製「1B2PZ」(融点40℃)、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾールである四国化成工業(株)製「TBZ」(融点114〜117℃)、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物である四国化成工業(株)製「2MZ−OK」(融点133℃)、2−フェニルイミダゾールの微粉砕品である四国化成工業(株)製「2PZ−PW」(融点137〜147℃)を用い、リン系硬化促進剤として、マイクロカプセル化トリフェニルホスフィンである日本化薬(株)製「EPCAT−P」を用いた。
【0035】
無機充填材として、シリカである日本アエロジル(株)製「OX50」(比表面積50m2/g)を用いた。
【0036】
上記のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤を表1〜表3に示す配合量で配合し、加熱処理及び冷蔵処理を必要に応じて行いながら、攪拌、溶解、混合、分散を行い、次にこの混合物に無機充填材を加え、再度、加熱処理及び冷蔵処理を必要に応じて行いながら、攪拌、溶解、混合、分散を行うことによって、エポキシ樹脂組成物を調製した。そして、このエポキシ樹脂組成物を用いて硬化物を成形し、この硬化物について下記のような硬化物性を測定した。
【0037】
(ガラス転移温度)
上記のエポキシ樹脂組成物を用いて、サンプルとして5mm×5mm×15mmの大きさの硬化物を成形した。このとき成形温度は150℃、成形時間は5時間とした。そして、粘弾性測定装置を用いて、−75℃〜240℃を5℃/分の速度で昇温した際の値を測定することによって、サンプルのガラス転移温度を測定した。ガラス転移温度が−20℃以下であるものを「○」、ガラス転移温度が−20℃より高く−10℃以下であるものを「△」、ガラス転移温度が−10℃より高いものを「×」として、結果を表1〜表3に示す。
【0038】
(ショアーA硬度)
上記のエポキシ樹脂組成物を用いて、サンプルとしてφ100mm×5mmの大きさの硬化物を成形した。このとき成形温度は150℃、成形時間は5時間とした。そして、ショアーA硬度計を用いて、サンプルの5℃雰囲気におけるショアーA硬度を測定した。ショアーA硬度が10〜40であるものを「○」、ショアーA硬度が40より大きく60以下であるものを「△」、ショアーA硬度が10より小さいもの及び60より大きいものを「×」として、結果を表1〜表3に示す。
【0039】
(吸光度)
上記のエポキシ樹脂組成物を用いて、サンプルとして5mm×5mm×15mmの大きさの硬化物を成形した。このとき成形温度は150℃、成形時間は5時間とした。次にサンプルの質量を測定した後、ビーカーにサンプルの20倍質量の50%エタノール水溶液を入れ、これにサンプルを浸すことによって、試料液を調製した。一方、上記とは別のビーカーにサンプルを浸していない50%エタノール水溶液を入れ、これを標準液とした。次に両方のビーカーを120℃雰囲気に6時間放置した後、試料液からサンプルを取り除いた。そして、サンプルを取り除いた試料液と標準液を分光光度計にかけることによって、標準液に対する試料液の吸光度を測定した。吸光度が0以上1.0以下であるものを「○」、吸光度が1.0より大きく1.5以下であるものを「△」、吸光度が1.5より大きいものを「×」として、結果を表1〜表3に示す。
【0040】
ガラス転移温度が−10℃以下、ショアーA硬度が10〜60、吸光度が1.5以下であるものを実施例1〜16、それ以外のものを比較例1及び2とした。
【0041】
(外観)
上記のエポキシ樹脂組成物0.65gを有機基板(FR4グレード)の表面に滴下して、有機基板上にサンプルとして硬化物を成形した。このとき成形温度は150℃、成形時間は1時間とした。そして、サンプルの外観を検査した。サンプルの表面に凹凸が全くみられないものを「○」、サンプルの表面に凹凸が1〜3個みられるものを「△」、サンプルの表面に凹凸が4個以上みられるものを「×」として、結果を表1〜表3に示す。
【0042】
(耐衝撃性)
上記のエポキシ樹脂組成物をセラミック基板(120mm×250mm×厚さ1.5mm)の表面の半径0.5〜1.0mmの円内に成形して硬化物を得た。このとき成形温度は150℃、成形時間は3時間とした。そして、このセラミック基板の6面(表面、裏面、4側面)のうちの1面を下方に向けて、2.5m上方からコンクリートの床の上に1回落下させた。他の5面についても同様にして、セラミック基板を落下させた。計6回の落下を1セットとし、セラミック基板に成形した硬化物にクラックが有るか無いかを調べた。50セット以上落下させてもクラックが生じなかったものを「○」、50〜99セットの間にクラックが生じたものを「△」、49セット以下でクラックが生じたものを「×」として、結果を表1〜表3に示す。
【0043】
(ヒートサイクル試験)
評価用のアルミ回路を形成した3mm角チップを、FR4グレード相当のガラエポ基板(50mm×50mm、厚みt=0.6mm)に搭載し、25μm金線をボンディングすることにより、TEG(テストエレメントグループ)を作製した。これに上記のエポキシ樹脂組成物を1.5〜3g程度、チップ及び金線が見えないように封止し、150℃で3時間硬化させることによって、ヒートサイクル試験用のパッケージを得た。
【0044】
そして、上記パッケージ5個を0℃で30分間、室温で5分間、100℃で30分間、室温で5分間を1サイクルとする、気相の温度サイクル試験にかけ、300サイクル後のチップの動作確認を行い、不良パッケージ数をカウントすると共に樹脂クラックの有無を観察した。不良パッケージ数が0個のものを「○」、不良パッケージ数が1個のものを「△」、2〜5個のものを「×」と判定した。また樹脂クラックが無い場合は「○」、樹脂クラックが有る場合は「×」と判定した。結果を表1〜表3に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤を必須成分とする半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物において、このエポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が−10℃以下であり、5℃雰囲気におけるショアーA硬度が10〜60であると共に、上記硬化物をエタノールに浸漬させた後の溶媒の吸光度が1.5以下であるので、上記のガラス転移温度及びショアーA硬度によって、優れた耐衝撃性と高強度の両立を図ることができるものであり、上記の吸光度によって、耐衝撃性と強度を損なうことなく、耐溶剤性をも向上させることができるものである。
【0049】
また請求項2の発明は、エポキシ樹脂としてグリシジル基含有ポリブタジエンを用い、硬化剤として酸無水物とアミン系硬化剤の中から選ばれるものを用い、硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤とリン系硬化促進剤の中から選ばれるものを用いているので、上記以外のエポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を用いる場合よりも、耐衝撃性を高めることができるものである。
【0050】
また請求項3の発明は、イミダゾール系硬化促進剤の融点が130℃以下であるので、硬化反応時においてイミダゾール系硬化促進剤が溶解し、エポキシ樹脂組成物中に均一に分散することによって、硬化物の表面を平滑にすることができ、外観を向上させることができるものである。
【0051】
また請求項4の発明は、半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物全量に対して無機充填材を0.1〜45質量%含有しているので、エポキシ樹脂組成物の粘度を容易に調整することができると共に硬化物の形状保持性を向上させることができるものである。
【0052】
また請求項5の発明は、エポキシ樹脂と硬化剤の当量比が0.7〜1.6であるので、エポキシ樹脂と硬化剤を過不足なく反応させることができ、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐溶剤性が低下するのを防止することができるものである。
【0053】
また請求項6に係る半導体装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止しているので、優れた耐衝撃性と高強度の両立を図ることができると共に耐溶剤性を向上させることができるものである。
Claims (6)
- エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤を必須成分とする半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物において、このエポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が−10℃以下であり、5℃雰囲気におけるショアーA硬度が10〜60であると共に、上記硬化物をエタノールに浸漬させた後の溶媒の吸光度が1.5以下であることを特徴とする半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂としてグリシジル基含有ポリブタジエンを用い、硬化剤として酸無水物とアミン系硬化剤の中から選ばれるものを用い、硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤とリン系硬化促進剤の中から選ばれるものを用いて成ることを特徴とする請求項1に記載の半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物。
- イミダゾール系硬化促進剤の融点が130℃以下であることを特徴とする請求項2に記載の半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物。
- 半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物全量に対して無機充填材を0.1〜45質量%含有して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂と硬化剤の当量比が0.7〜1.6であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止して成ることを特徴とする半導体装置。
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-
2002
- 2002-07-26 JP JP2002218991A patent/JP2004059709A/ja active Pending
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