JP2004059483A - アダマンタン類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体触媒を用いるアダマンタン類の製造方法において、廃液処理等の厄介な操作を必要とせず、高純度のアダマンタン類を良好な収率で効率よく製造する工業的に有利なアダマンタン類の製造方法を提供すること。
【解決手段】炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化して、アダマンタン類を製造する方法において、(A)原料を異性化する反応工程、(B)反応生成液中のアダマンタン類を濃縮する濃縮工程、(C)濃縮されたアダマンタン類を析出させる晶析工程、(D)晶析スラリー液からアダマンタン類の結晶を分離する固液分離工程、(E)固液分離されたアダマンタン類の結晶を洗浄する洗浄工程及び(F)洗浄アダマンタン類の結晶を乾燥する乾燥工程を含むアダマンタン類の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アダマンタン類の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、固体触媒を用いるアダマンタン類の製造方法において、廃液処理等の厄介な操作を必要とせず、高純度のアダマンタン類を、損失を最小限に抑制しながら、効率よく製造する工業的に有利なアダマンタン類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アダマンタンは、シクロヘキサン環が4個、カゴ形に結合した構造を有し、対称性が高く、安定な化合物であり、このようなアダマンタン骨格を有するアダマンタン類は、特異な機能を示すことから、潤滑剤、あるいは農医薬原料や高機能性工業材料の原料などとして有用であることが知られている。
このアダマンタン類を製造する方法として、一般に、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化する方法が採用されている。
そして、この異性化反応に際しては、一般に、塩化アルミニウムが触媒として用いられている。
例えば、アダマンタンは、ジシクロペンタジエン(DCPD)を水添して得られるトリメチレンノルボルナン(TMN)を触媒により異性化させることによって得られ、そして該触媒として、工業的には塩化アルミニウムが使用される。
また、固体触媒として、陽イオン交換したゼオライトに白金、レニウム、ニッケル及びコバルト等の活性金属を含浸法で担持したものが知られている(特公昭52−2909号公報)。
【0003】
塩化アルミニウムを触媒としてアダマンタン類を製造する場合、触媒を大量に使用する必要がある上、該触媒は反応中に重質分と錯形成するため、再使用することができない。
したがって、この方法を用いた場合、大量の廃アルミニウムが生成することになり、この廃棄処理は、環境汚染の問題を引き起こす原因となる。
さらに、塩化アルミニウムを用いた場合、生成したアダマンタン類が着色するため、再結晶及び活性炭などによる脱色工程が必要となり、後処理工程が煩雑になるのを免れないという問題がある。
一方、陽イオン交換したゼオライトに白金、レニウム、ニッケル及びコバルト等の活性金属を含浸法で担持した触媒を用いるアダマンタンの製造方法においては、塩化水素を共存させないと収率が低い(TMN転化率79.5%、アダマンタン選択率10.1%、アダマンタン収率8.0%)。
したがって、塩化水素は不可欠であり、塩化水素の強腐食性のため、高価な耐腐食性材質の装置を使用する必要があるなどの問題を有している。
【0004】
そこで、このような問題に対処するために、本発明者等は、研究を重ね、先に、塩化水素を用いないで金属担持固体酸触媒を用いたアダマンタン類の効果的な製造方法を見出した(特願2000−375593号)。
しかしながら、この方法においては、異性化触媒と、該触媒の反応場での使用方法は提案されているものの、生成したアダマンタン類の分離精製処理までを含む工業的なアダマンタン類の製造技術については開示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、固体触媒を用いるアダマンタン類の製造方法において、異性化反応に塩化水素を用いることなく、かつ廃液処理等の厄介な操作を必要とせず、高純度のアダマンタン類を、損失を最小限に抑制しながら、効率よく製造する工業的に有利なアダマンタン類の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化した反応生成液について、特定の工程を施すことにより、その目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化して、アダマンタン類を製造する方法において、(A)原料を異性化する反応工程、(B)反応生成液中のアダマンタン類を濃縮する濃縮工程、(C)濃縮されたアダマンタン類を析出させる晶析工程、(D)晶析スラリー液からアダマンタン類の結晶を分離する固液分離工程、(E)固液分離されたアダマンタン類の結晶を洗浄する洗浄工程及び(F)洗浄アダマンタン類の結晶を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とアダマンタン類の製造方法、
(2)炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物が、炭素数10以上の三環式不飽和炭化水素化合物を水素添加してなる化合物である上記(1)のアダマンタン類の製造方法、
(3)異性化する反応工程において、固体触媒を用いる上記(1)、(2)のアダマンタン類の製造方法、
(4)濃縮工程において、フラッシュ塔又は蒸留塔を単独又は複数組み合わせて用い、濃縮処理し、塔頂液の少なくとも一部を反応工程における溶媒として再利用する、あるいは塔頂液の少なくとも一部を晶析工程における再結晶溶媒として用いる上記(1)〜(3)のアダマンタン類の製造方法、
(5)晶析工程における晶析操作として、冷却晶析又は蒸発晶析あるいはそれらの組合わせを用いる上記(1)〜(4)のアダマンタン類の製造方法、
(6)固液分離工程、又は洗浄工程と乾燥工程の間に、再結晶工程及び再洗浄工程を設け、それらの工程で生じる母液の少なくとも一部を、反応工程における溶媒又は原料の一部として再循環する、あるいは濃縮工程又は晶析工程ヘ再循環し、再利用する上記(1)〜(5)のアダマンタン類の製造方法、及び
(7)反応工程、濃縮工程、晶析工程及び固液分離工程を、それぞれ回分式又は連続式で運転する上記(1)〜(6)のアダマンタン類の製造方法、
を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のアダマンタン類の製造方法においては、下記の各工程、すなわち(A)反応工程、(B)濃縮工程、(C)晶析工程、(D)固液分離工程、(E)洗浄工程及び(F)乾燥工程が施される。
尚、本発明におけるアダマンタン類としては、アダマンタン構造を有する炭化水素化合物であり、アダマンタンの他、メチル基やエチル基等の低級アルキル基を有するアダマンタンのアルキル置換体が挙げられる。
次に、各工程について説明する。
【0008】
(A)反応工程
この反応工程は、原料を回分式又は連続式で異性化してアダマンタン類を生成させる工程である。
上記原料としては、炭素10以上の三環式飽和炭化水素化合物が用いられる。
この炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物としては、特に、炭素数が10〜15の三環式飽和炭化水素化合物が好ましく、例えば、トリメチレンノルボルナン[テトラヒドロジシクロペンタジエン]、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロフェナレン、1,2−シクロペンタノパーヒドロナフタリン、パーヒドロアントラセン及びパーヒドロフェナントレン等が挙げられる。
さらに、これら化合物のアルキル置換体、例えば、9−メチルパーヒドロアントラセン等も好適なものとして挙げられる。
該炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物は、ジシクロペンタジエン、アセナフテン、フルオレン、フェナレン、1,2−シクロペンタノナフタリン、アントラセン、フェナントレン及び9−メチルアントラセン等の炭素数10以上の三環式不飽和炭化水素化合物を、水素添加用触媒を用いて水素添加することにより、容易に得ることができる。
この際用いる水素添加用触媒としては、水素化活性を有する触媒であればよく、特に制限されず、例えば、ラネーニッケル及び白金等を、好ましく挙げることができる。
また、水素化反応器の形式については特に制限はなく、例えば、触媒を充填し、原料を連続的に供給する、いわゆる固定床連続反応器を用いることができるが、これに限定されるものではなく、連続式、回分式に限らず、通常の固液接触型、固気接触型のあらゆる形式のものが利用可能である。
【0009】
原料化合物は、直接供給してもよいし、溶媒と共に供給してもよい。
この際、溶媒比は、原料化合物1質量部に対して、通常0〜10質量部程度、好ましくは0〜3質量部である。
また、この水素化反応は発熱反応であり、ここで得られた反応生成物を、直接異性化工程に供給することで、異性化反応に必要な温度にするためのエネルギーを最小限に抑えることができる。
この水素化反応の条件としては、反応温度は、通常0〜500℃程度、好ましくは20〜300℃、圧力は、通常、常圧〜10MPa程度、好ましくは1〜5MPa、水素/原料化合物モル比は、通常2以上である。
異性化反応に用いる固体触媒としては特に制限はないが、固体酸触媒、特に、金属担持固体酸触媒が好ましい。
この金属担持固体酸触媒における金属種としては、周期律表第8族〜第10族に属する金属、さらに具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金が好適なものとして挙げられる。
これら金属の中でも、特に、白金を担持させた固体酸触媒が好ましい。
また、これら金属を担持する固体酸としては、A型ゼオライト、L型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト及びZSM−5等の各種ゼオライト、シリカアルミナ、アルミナ及びヘテロポリ酸等の金属酸化物が好適なものとして挙げられる。
これら固体酸の中でも、X型ゼオライトやY型ゼオライトが特に好ましい。
【0010】
そして、このゼオライトを担体として金属担持固体酸触媒を製造する方法については、上記金属の中の少なくとも一種をイオン交換法又は含浸法によってゼオライトに担持することにより得ることができる。
ここで、イオン交換法による場合、上記金属の金属塩又は金属錯塩水溶液をゼオライトに接触させ、ゼオライト中のカチオンサイト(H、NH 等)をイオン交換し、乾燥した後、焼成することにより得ることができる。
また、含浸法による場合、上記の金属塩又は金属錯塩水溶液をゼオライトと混合した後、ロータリーエバポレーター等を用いて蒸発乾固させ、含浸担持することにより得ることができる。
このようにして得られる触媒の形態は、粉末状及び粒状のいずれであってもよい。
また、異性化反応に用いる反応器の形状ついては特に制限はなく、例えば、触媒を充填し、原料を連続的に供給する、いわゆる固定床連続反応器を用いることができるが、これに限定されるものではなく、連続式、回分式に限らず、通常の固液接触型、固気接触型のあらゆる形式のものが利用可能である。
【0011】
この異性化反応においては、前記の水素化物は、精製して反応に用いてもよく、また精製せずに、直接用いてもよい。
いずれの場合も溶媒と共に用いることができる。この際の溶媒比は、水素化物1質量部に対して、通常0〜10質量部程度、好ましくは0〜3質量部である。水素化物を精製せずに直接用いる場合には、水素化工程で使用された溶媒の一部を除去したり、新たに追加することで、上記溶媒比に調整することができる。
異性化反応の条件としては、反応温度は、通常150〜500℃程度、好ましくは200〜400℃、圧力は、通常、常圧〜20MPa程度、好ましくは2〜8MPaであり、水素共存下に反応させるのが収率向上の点から好ましい。
【0012】
さらに、本発明においては、前述の炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化するに際して、単環式飽和炭化水素化合物、芳香族化合物、水及び/又はアルコール類を併存させて反応を行うことができる。
ここで、併存させる単環式飽和炭化水素化合物としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン及びメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
特に、シクロヘキサン若しくはエチルシクロヘキサン又はこれらの混合物が好適である。
また、芳香族化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン及びアントラセン等の芳香族炭化水素化合物;フェノール、ベンズアルデヒド、安息香酸、ベンジルアルコール及びアニソール等の含酸素芳香族化合物;アニリン及びニトロベンゼン等の含窒素芳香族化合物;クロルベンゼン及びブロモベンゼン等の含ハロゲン芳香族化合物等が挙げられる。
これら芳香族化合物の中でも、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン及びアントラセン等の芳香族炭化水素化合物がより好ましく、さらにベンゼンが特に好ましい。
一方、アルコール類としては、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール及びベンジルアルコール等の一価アルコールや、エチレングリコール及びグリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。これらの併存させる化合物の添加量は、特に制限はなく、各種状況に応じて適宜選定することができる。
【0013】
(B)濃縮工程
この濃縮工程は、前記異性化工程で得られた異性化反応生成液を、回分式又は連続式にてフラッシュ塔又は蒸留塔を、単独又は複数組み合わせて濃縮処理を行い、溶媒や軽質の副生物(不純物)を除去し、次の晶析工程で、効率よく晶析できる濃度まで濃縮する工程である。
この濃縮工程においては、通常、未反応の水素等の軽質ガスをフラッシュ塔で除去し、蒸留塔1塔で濃縮を完了する。
そして、アダマンタン類の濃度として、通常10〜50質量%、好ましくは20〜40質量%になるように濃縮する。
この濃縮率が低すぎると、晶析工程でのアダマンタン類の回収効率が悪くなり、一方、濃縮率が高すぎると不純物も相対的に濃縮され、晶析工程において不純物がアダマンタン類に取込まれやすくなる。
塔頂から得られる軽質留分は、一部又は全部を異性化反応工程、場合により水素化反応工程の溶媒として用いることで、新たな反応溶媒の使用が最小限に抑えられるし、軽質留分中に含まれる原料及び反応中間留分、又はアダマンタン類を再循環し利用することができる。
また、塔頂液の一部又は全部を次工程の晶析工程における再結晶溶媒として用いることで、新たな再結晶溶媒を最小限に抑えることができる。
反応工程への再循環量や、再結晶溶媒として使用する量は、塔頂から得られる留分中のアダマンタン類の濃度やその他の不純物濃度、又はプロセス内の流量バランス等により、適宜調整することで、効率的に目標とする純度の製品を得ることができる。
【0014】
(C)晶析工程
この晶析工程は、前記濃縮工程で得られた濃縮液から、アダマンタン類を回分式又は連続式にて晶析させる工程である。
晶析操作としては、一般的な冷却晶析又は蒸発晶析あるいはそれらの組合わせを用いることができる。
晶析操作における操作温度は、前記濃縮液のアダマンタン類の濃度に依存する。
連続晶析の場合は、通常−20〜50℃程度、好ましくは0〜30℃である。
この温度が−20℃未満では、冷却にエネルギーを多量に消費し、50℃を超えると、溶媒に対するアダマンタン類の溶解度が大きく、アダマンタン類の回収効率が低下するおそれがある。
また、その他いずれの晶析方法においても、同様の理由から、アダマンタン類の溶解度が0.5〜25質量%程度、好ましくは5〜15質量%になる温度が、晶析工程での最終温度とするのが有利である。
1回の晶析で、品質上問題となる不純物が取込まれた場合には、晶析後にただちに再結晶することもできるし、後工程である固液分離工程、洗浄工程の後に、再結晶、固液分離工程、洗浄工程を複数回繰り返すこともできる。
【0015】
(D)固液分離工程
この固液分離工程は、前記晶析工程で析出したアダマンタン類の結晶と溶媒とを回分式又は連続式にて分離する工程である。
固液分離操作としては、ろ布や燒結金属等を使用した一般的な方法を用いることができる。
その際、分離された母液の一部は、一般に不純物の濃縮を抑制するために、系外へ排出される。
そして、残りの一部又は全部を、濃縮工程や晶析工程に再循環することで、アダマンタン類の損失を最小限に抑制するか、又は異性化反応工程、場合により水素化反応工程の溶媒若しくは原料の一部として用いることで、新たな溶媒が必要でなく、また、軽質留分中に含まれる原料及び反応中間留分、又はアダマンタン類を再循環し、利用することができる。
固液分離の程度は、分離された結晶ケーキ中の含液率が50質量%以下程度、好ましくは5〜30質量%になるのが望ましい。
母液の系外への排出量や再循環量は、母液中に含まれるアダマンタン類の濃度やその他の不純物濃度、又はプロセス内の流量バランスなどにより、適宜調整することで、効率的に目標とする純度の製品を得ることができる。
【0016】
(E)洗浄工程
この洗浄工程は、前記の固液分離で十分に除去できなかった溶媒を、洗浄溶媒を用いて洗浄除去する工程である。
洗浄溶媒としては、ほとんどの有機溶媒が使用可能であるが、アダマンタン類の回収効率を落とさないように、溶解度の低いアルコール類、ケトン類及びカルボン酸類等の極性溶媒が好ましい。
また、洗浄されたアダマンタン類を、直接次工程の乾燥工程で処理する場合は、乾燥が容易な低沸点の溶媒が好ましく、通常沸点が150℃以下の溶媒が好適である。
このような溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、酢酸及び四塩化炭素等を挙げることができる。
洗浄操作温度は、通常、室温から洗浄溶媒の沸点以下の範囲、好ましくは−20〜50℃である。
【0017】
(F)乾燥工程
この乾燥工程は、前記の洗浄工程で得られた洗浄アダマンタン類の結晶を乾燥処理する工程である。
この乾燥処理は、減圧型及び加熱型等の工業的に使用されている一般的な乾燥機を用いることができる。
また、乾燥方法は、連続式及び回分式のいずれであってもよい。
乾燥処理の目的は、洗浄溶媒の除去にあるので、前記洗浄工程で使用する溶媒の種類に応じて、その操作条件は異なるが、通常、圧力は常圧以下、好ましくは5〜101kPaであり、また温度は洗浄溶媒の沸点以下、好ましくは20〜60℃である。
このようにして、廃液処理等の厄介な操作を必要とせず、高純度のアダマンタン類を、損失を最小限に抑制しながら、効率よく製造することができる。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
調製例1 金属担持固体酸触媒の調製
純水2000gに、ナトリウムイオン交換されたY型ゼオライト235gを攪拌懸濁し、これに希薄な硝酸水溶液を添加して、懸濁スラリーのpHを5.5とした。
次いで、硝酸ランタン六水和物246gを温水500gに溶解してなる溶液を、上記懸濁スラリーに徐々に混合した。
その後、90℃に加温して30分攪拌した後、ろ過洗浄し、次いで、洗浄ケーキを110℃で1晩乾燥処理し、さらに600℃で3時間焼成した。
この焼成粉末を再度純水2000gに攪拌懸濁してなるスラリーに、硫酸アンモニウム228gを添加し、95℃で30分間攪拌した後、ろ過洗浄した。
この洗浄ケーキを再度水2000gに懸濁し、同様のイオン交換操作を継続して2回行った。
その後、110℃で1晩乾燥処理した後、これを管状容器に入れ、100%水蒸気下、510℃で30分間スチーミングを行った。
次いで、得られた粉末を純水2000gに懸濁し、25質量%硫酸32gをゆっくり添加した後、95℃で30分間加熱した。
その後、ろ過洗浄を行った後、これを再度純水2000gに懸濁し、1.71質量%の塩化テトラアンミン白金水溶液180gを添加して、60℃にて30分間攪拌を行った。
これをろ過洗浄した後、110℃で1晩乾燥処理することにより、白金0.87質量%をイオン交換により担持したLa含有Y型ゼオライトからなる触媒を得た。
【0019】
実施例1
(1)反応・濃縮工程
調製例1で得た触媒20gを、ステンレス鋼製反応管に充填し、空気気流下、300℃で3時間焼成した。
窒素置換した後、常圧、水素気流下、300℃で2時間水素還元した。
その後、デカリンとトリメチレンノルボルナン(TMN)との質量比2:1の混合溶液及び水素の供給を開始し、300℃、5MPa、WHSV2.4h−1、水素/TMNモル比2の条件で、連続的に異性化反応を行った。
反応生成液中のアダマンタン濃度は7質量%であった。
反応生成液1000gを15段の蒸圧蒸留により、アダマンタン濃度が26質量%になるまで濃縮した。
濃縮液中には、未反応TMNが15質量%、その他の不純物が59質量%含まれていた。
【0020】
(2)精製工程
上記(1)で得た濃縮液を晶析原料とし、その180gをフラスコに仕込み、120℃で攪拌、溶解させた。
攪拌を継続しながら、10℃までゆっくり冷却して晶析させ、アダマンタンが析出したスラリーを得た。
次に、このスラリーを70μmグラスフィルターでろ過し、得られたろ過ケーキ60gをイソプロパノール35gで洗浄した。
洗浄後の結晶33gをナスフラスコに仕込み、圧力25kPa、温度50℃のエバポレータで、振とうさせながら30分間乾燥させた。
乾燥後の結晶28gを回収し、ガスクロマトグラフィーで分析すると、純度は98質量%であった。
不純物はイソプロパノールが0.1質量%、TMN及びその他の不純物が合わせて2質量%であった。
原料のTMNに対する高純度アダマンタンの収率は、8質量%であった。
【0021】
実施例2
(1)反応・濃縮工程
実施例1(1)において、デカリンの代わりに、実施例1において、反応生成液の濃縮時に得られた塔頂液と晶析母液を、質量比3:1の割合で混合した溶液を用いた以外は、実施例(1)と同様にして異性化反応を行った。
反応生成液中のアダマンタン濃度は8質量%であった。
反応生成液1000gを15段の蒸圧蒸留により、アダマンタン濃度が28質量%なるまで濃縮した。
濃縮液中には、未反応TMNが17質量%、その他の不純物が55質量%含まれていた。
(2)精製工程
実施例1(2)と同様にして、晶析、洗浄、乾燥処理を行った。
乾燥後の結晶33gを回収し、ガスクロマトグラフィーで分析すると、純度は98質量%であった。
不純物はイソプロパノールが0.1質量%、TMN及びその他の不純物が合わせて2質量%であった。
原料のTMNに対する高純度アダマンタンの収率は14質量%であった。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、固体触媒を用いるアダマンタン類の製造方法において、異性化反応に塩化水素を用いることなく、かつ廃液処理等の厄介な操作を必要とせず、高純度のアダマンタン類をロスを最小限に抑制しながら、効率よく製造する工業的に有利なアダマンタン類の製造方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. 炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化して、アダマンタン類を製造する方法において、(A)原料を異性化する反応工程、(B)反応生成液中のアダマンタン類を濃縮する濃縮工程、(C)濃縮されたアダマンタン類を析出させる晶析工程、(D)晶析スラリー液からアダマンタン類の結晶を分離する固液分離工程、(E)固液分離されたアダマンタン類の結晶を洗浄する洗浄工程及び(F)洗浄アダマンタン類の結晶を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とするアダマンタン類の製造方法。
  2. 炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物が、炭素数10以上の三環式不飽和炭化水素化合物を水素添加してなる化合物である請求項1記載のアダマンタン類の製造方法。
  3. 異性化する反応工程において、固体触媒を用いる請求項1又は2記載のアダマンタン類の製造方法。
  4. 濃縮工程において、フラッシュ塔又は蒸留塔を単独又は複数組み合わせて用い、濃縮処理し、塔頂液の少なくとも一部を反応工程における溶媒として再利用する、あるいは塔頂液の少なくとも一部を晶析工程における再結晶溶媒として用いる請求項1〜3のいずれかに記載のアダマンタン類の製造方法。
  5. 晶析工程における晶析操作として、冷却晶析又は蒸発晶析あるいはそれらの組合わせを用いる請求項1〜4のいずれかに記載のアダマンタン類の製造方法。
  6. 固液分離工程、又は洗浄工程と乾燥工程の間に、再結晶工程及び再洗浄工程を設け、それらの工程で生じる母液の少なくとも一部を、反応工程における溶媒又は原料の一部として再循環する、あるいは濃縮工程又は晶析工程ヘ再循環し、再利用する請求項1〜5のいずれかに記載のアダマンタン類の製造方法。
  7. 反応工程、濃縮工程、晶析工程及び固液分離工程を、それぞれ回分式又は連続式で運転する請求項1〜6のいずれかに記載のアダマンタン類の製造方法。
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