JP2004058772A - 船体安定機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】船の舳先が流されることを抑えることができ、しかも船体の横揺れを低減でき、しかも航行の抵抗にならない船体安定機構を提供する。
【解決手段】船体に上下方向移動可能に取り付けられた舵板15と、舵板を上下方向に移動させる舵板移動機構とからなり、舵板15が、舵板移動機構によって下方に移動されると水中に浸漬され、かつ水中に浸漬されると、その表面の法線が船体の軸方向と交差するように配設されている。舵板15を下方に移動させて水中に浸漬すれば、横揺れを抑えることができるし、船体がその軸方向に移動しようとしても、舵板には船体の移動方向と逆向きの水圧がかかるので、船体の移動を防ぐことができる。さらに、航行時には舵板移動機構によって舵板を水中から抜き出しておけば、船が航行するときに舵板が抵抗となることを防ぐことができる。
【選択図】 図1
【解決手段】船体に上下方向移動可能に取り付けられた舵板15と、舵板を上下方向に移動させる舵板移動機構とからなり、舵板15が、舵板移動機構によって下方に移動されると水中に浸漬され、かつ水中に浸漬されると、その表面の法線が船体の軸方向と交差するように配設されている。舵板15を下方に移動させて水中に浸漬すれば、横揺れを抑えることができるし、船体がその軸方向に移動しようとしても、舵板には船体の移動方向と逆向きの水圧がかかるので、船体の移動を防ぐことができる。さらに、航行時には舵板移動機構によって舵板を水中から抜き出しておけば、船が航行するときに舵板が抵抗となることを防ぐことができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船体安定機構に関する。釣り船や漁船、工船などの漁労船等は、海や湖等の水面に停船した状態で作業を行うが、風や波の影響によって船体が横揺れしたり、船の横方向や軸方向に流されて移動したりする場合がある。このように船が揺れたり移動したりすると、作業が安定して行えないし、事故の発生の原因ともなる。本発明は、水面に停船した船の姿勢を安定させたり、風等によって流されることを防ぐために使用される船体安定機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6に示すように、海上等に船100 を停船させる場合、横揺れを防ぐために船100 の舳先を風上に向け、さらに船の後部にスパンカーSPを張った状態で停船させる。すると、スパンカーSPの両面に風を受けるので、ある程度の期間は船100 の舳先を風上に向けておくことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、スパンカーSPを張れば、船100 の後部が船の横方向(図6(B)では上下方向)に流されることを抑えることはできるが、船100 の前部が船の横方向に流されることを抑えることができない。そして、船の前部が船の横方向に流されると、船の舳先は風の吹く方向に対して傾いてしまい、最終的には船体が風を横から受けるようになってしまう。すると、船の横揺れが大きくなってしまい、作業ができなくなるので、船頭は船の舳先が風上を向くように常時船100 を操作していなければならない。このため、船頭は操船以外の作業を行うことができないし、非常に神経を使うので大変であるという問題がある。
また、船100 の舳先を風上に向けておけば、ある程度の横揺れは防ぐことができるが、完全になくすことはできない。船100 の横揺れは、船体の重心を中心軸として船体が回転することによって生じるから、排水量に対する船体の軸方向に沿った断面積(以下単に横断面という)を大きくし、かつ喫水している部分を大きくしてやれば、船体が回転しようとしたときの抵抗が大きくなり、横揺れを抑えることができる。しかし、船体の形状は、その用途に応じた最適な形状があり、排水量を同じにして横断面だけを大きくすることは不可能である。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑み、船の舳先が流されることを抑えることができ、しかも船体の横揺れを低減でき、しかも航行の抵抗にならない船体安定機構を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の船体安定機構は、船体に上下方向移動可能に取り付けられた舵板と、該舵板を上下方向に移動させる舵板移動機構とからなり、該舵板が、前記舵板移動機構によって下方に移動されると水中に浸漬され、かつ水中に浸漬されると、その表面の法線が船体の軸方向と交差するように配設されていることを特徴とする。
請求項2の船体安定機構は、請求項1記載の発明において、前記舵板が、水中に浸漬されたときにおいて、平面視でL字状に屈曲しており、水中に浸漬されたときに、その一の面が船体の軸方向と平行となり、他の面が船体の軸方向と交差するように配設されていることを特徴とする。
請求項3の船体安定機構は、請求項1記載の発明において、前記舵板が、水中に浸漬されたときに、船体の軸方向と平行となるように設けられた横流れ防止板と、該横流れ防止板に、基端を支軸として揺動可能に取り付けられた移動防止板とからなり、該移動防止板が、水中に浸漬された状態において、その先端を前記横流れ防止板から離間させると、その表面の法線が船体の幅方向と交差するように形成されていることを特徴とする。
請求項4の船体安定機構は、請求項3記載の発明において、前記移動防止板が、水中に浸漬したときに、その基端がその先端に対して船の進行方向前方に位置しており、その先端が、前記横流れ防止板から離間するように屈曲されていることを特徴とする。
請求項5の船体安定機構は、請求項1記載の発明において、前記舵板移動機構が、船体の軸方向に沿って揺動可能に取り付けられた支持アームを備えており、該支持アームの先端に、前記舵板が取り付けられていることを特徴とする。
請求項6の船体安定機構は、請求項5記載の発明において、前記舵板移動機構が、前記支持アームの鉛直方向に対する揺動角度を規制する揺動規制部を備えていることを特徴とする。
請求項7の船体安定機構は、請求項6記載の発明において、前記揺動規制部が、前記支持アームが鉛直方向に対してなす角度が臨界角度よりも大きくなると該支持アームを上方に付勢する揺動付勢機構を備えており、前記臨界角度が、前記舵板の前面が水面に当たったときにおける前記支持アームと鉛直方向とがなす角度よりも大きいことを特徴とする。
請求項8の船体安定機構は、請求項1記載の発明において、前記舵板の前面が、船体の舳先の形状に形成されており、前記支持アームを上方に揺動させると、該舵板が船体の舳先に取り付けられることを特徴とする。
請求項9の船体安定機構は、請求項1記載の発明において、前記支持アームの先端に、推進機構が設けられていることを特徴とする。
【0006】
請求項1の発明によれば、船を停船したときに、舵板移動機構によって舵板を下方に移動させて水中に浸漬すれば、舵板が船体が横流れするときの抵抗となるため、船体が横方向へ移動することを抑えることができる。しかも、舵板が船体が回転する抵抗にもなるので、船体の横揺れも抑えることができる。また、舵板を水中に浸漬したときに、舵板の表面の法線が船体の幅方向に対しても交差していれば、船体がその軸方向に移動しようとしても、舵板には船体の移動方向と逆向きの水圧がかかり、舵板が船体が移動するときの抵抗となるので、船体の軸方向への移動を防ぐことができる。さらに、航行時には舵板移動機構によって舵板を水中から抜き出しておけば、船が航行するときに舵板が抵抗となることを防ぐことができる。
請求項2の発明によれば、舵板の一の面は船体が横方向へ移動するときの抵抗となり、他の面は船体がその軸方向へ移動するときの抵抗となるので、船体の移動を防ぐことができる。しかも、一の面は船体の幅方向と直交し、他の面は船体の軸方向と直交するから、横方向へ移動したり軸方向へ移動したりしたときに、各面に加わる水圧を大きくすることができ、船体の移動を抑止する効果を高くすることができる。そして、船体の移動を抑止する効果を高くすることができるから、船体の横揺れも大幅に低減することができる。
請求項3の発明によれば、舵板を浸漬して、移動防止板の先端を横流れ防止板から離間させれば、船体の横方向への移動は横流れ防止板によって抑えることができ、船体の軸方向への移動は移動防止板によって抑えることができる。しかも、船体の横方向への移動と軸方向への移動を防止する板を別個独立で設けているので、各板に加わる水圧を大きくすることができ、船体の移動を抑止する効果を高くすることができる。そして、船体の移動を抑止する効果を高くすることができるから、船体の横揺れも大幅に低減することができる。また、舵板を水中に浸漬するときに、移動防止板の先端を横流れ防止板に接近させておけば、舵板を水中に浸漬するときの抵抗を小さくすることができる。
請求項4の発明によれば、移動防止板の先端が横流れ防止板から離間するように屈曲しているから、移動防止板の先端と横流れ防止板とを接近させた状態で水中に浸漬していても、船が後退し始めると、移動防止板の先端に水圧が加わるので、その水圧によって移動防止板の先端が横流れ防止板から離間する。逆に、船が前進するときには、移動防止板の前面に水圧が加わり、その水圧によって移動防止板の先端が横流れ防止板に接近する。つまり、移動防止板は、船の前進後退に伴って自動的に開閉するから、移動防止板を揺動させる装置が不要であり、舵板の構造を簡単かつコンパクトにすることができる。
請求項5の発明によれば、支持アームを上下に揺動させるだけで、舵板を水中に浸漬させたり水中から引き上げたりすることができるので、舵板を移動させる機構を簡単にすることができる。しかも、舵板を水中から抜き出したときに、支持アームの軸を船縁に沿わせて保持しておくことができるので、支持アームが長くなっても船の航行の邪魔にならないように舵板や支持アームを収容しておくことができる。よって、舵板を水中に浸漬させる深さを深くできるので、横揺れと船体の移動を抑止する効果を高くすることができる。
請求項6の発明によれば、揺動規制部によって、支持アームが、鉛直方向に対して一定の角度以上舳先の方向に揺動しないように規制しておけば、船が後退したときに、舵板の背面に加わる水圧よって支持アームが必要以上に揺動することを防ぐことができる。言い換えれば、船が後退したときに、舵板を、その背面に水圧が加わるように保持しておくことができるから、船体の軸方向への移動を確実に抑制することができる。また、支持アームを船の艫の方向へは自由に揺動できるようにしておけば、船が前進したときに、舵板の前面に加わる水圧によって支持アームが上方に揺動され、自然に水中から出る。つまり、船の移動停止に対応して支持アームが自動的に揺動するから、船を停船したり移動したりする度に支持アームを揺動させる必要がなく、船の停船移動を切り換えるときに行う作業を簡単にすることができる。
請求項7の発明によれば、臨界角度よりも支持アームを上方に揺動させれば、揺動付勢機構によって支持アームが上方に付勢されるので、高速航行時などのように舵板を完全に水面から揚げてしまったときでも、支持アームがばたついたり下方に揺動することを防ぐことができ、船を安全に航行させることができる。
請求項8の発明によれば、船の航行時には、舵板が船体の一部となり、舳先として機能するから、舵板を収容するための特別な場所が不要であり、船の航行時にも舵板を有効に活用することができる。
請求項9の発明によれば、推進機構によって船の姿勢を微調整することができるから、船体の横方向への移動や軸方向への移動をより確実に防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の船体安定機構を備えた船1の概略説明図であって、(A)は右舷から見た図であり、(B)は平面図である。図1において、符号1は釣り船や漁船、工船などの漁労船等の船を示している。この船1の後部には、ポールPが立設されている。このポールPは、船1を水面に停船したときに、船1の軸方向に沿ってスパンカーSPを張るためのものである。
【0008】
図1において、符号11はアーム部材11を示している。このアーム部材11は、棒状の部材を略L字状に屈曲したものであり、軸部11a と、この軸部11a に対して屈曲した支持アーム部11b とを備えている。このアーム部材11の軸部11a は、船1の前部に、その軸まわりに回転可能となるように取り付けられている。そして、この軸部11a は、その軸方向が船体の幅方向と平行になるように、配設されている。言い換えれば、アーム部材11は、その支持アーム部11b の軸方向が船の軸方向と平行な面内に位置するように配置されている。
このため、アーム部材11の軸部11a をその軸まわりに回転させると、支持アーム部11b は、その基端、つまり軸部11a と連続する部分を支点として、船1の軸方向と平行な面内で揺動するのである。このアーム部材11の支持アーム部11b が、特許請求の範囲にいう支持アームである。
【0009】
なお、アーム部材11は、船体に孔を形成し、その孔に軸部11a を回転自在に取り付けてもよいし、船1の甲板に軸受などを介して取り付けてよい。とくに、後者の場合、既存の船1にも取り付けることができるので好適である。
さらになお、アーム部材11をコの字状、つまり、軸部11a の両端部に一対の支持アーム部11b,11b を有する形状としてもよい。この場合、船体のバランスをよくすることができるし、横揺れ防止効果や移動防止効果をさらに高くすることができる。
【0010】
前記支持アーム部11b の先端には、ワイヤ13a の一端が取り付けられている。このワイヤ13a は、船体に取り付けられたプーリ13b に巻き掛けられており、その他端がワイヤ巻取装置13c に取り付けられている。
このため、ワイヤ巻取装置13c によって、ワイヤ13a を繰り出せば、支持アーム部11b を、その基端を支点としてその先端を下方に揺動させることができるし、ワイヤ13a を巻き取れば、支持アーム部11b を上方に揺動させることができる。また、ワイヤ13a を繰り出す長さを調整すれば、支持アーム部11b の軸方向が鉛直方向に対してなす角度を調整することができる。
前記アーム部材11と、ワイヤ13a 、プーリ13b およびワイヤ巻取装置13c が特許請求の範囲にいう舵板移動機構である。
【0011】
なお、ワイヤ巻取装置13c は設けなくてもよく、人の手によってワイヤ13a を巻き取るようにしてもよい。
さらになお、支持アーム部11b を揺動させる機構は上記の構造に限られず、どのような機構を用いてもよい。
【0012】
図1に示すように、アーム部材11の支持アーム部11b の先端には、舵板15が取り付けられている。この舵板15は、支持アーム部11b が下方に揺動したときに、支持アーム部15b の軸方向と鉛直方向との間の角度が所定の角度(以下、臨界角度という)よりも小さくなると、水中に浸漬されるように取り付けられている。この舵板15の詳細は後述する。
【0013】
つぎに、揺動規制部20を説明する。
図2は本実施形態の船体安定機構を備えた船1を左舷から見た図であり、(A)は支持アーム部11b が下方に揺動した状態の説明図であり、(B)支持アーム部11b が臨界角となったときの状態の説明図であり、(C)は支持アーム部11b が上方に揺動した状態の説明図である。図1および図2に示すように、前記軸部11a の他端には、揺動軸21の基端がとりつけられている。この揺動軸21は、前記支持アーム部11b が上方に揺動すると下方に揺動され、逆に、支持アーム部11b が下方に揺動すると上方に揺動されるように配設されている。
この揺動軸21の先端とには、ゴムやバネ、シリンダ等の引張付勢部材22の一端が回転自在に取り付けられており、この引張付勢部材22の他端は、前記軸部11a より後方の船体に回転自在に取り付けられている。そして、この引張付勢部材22は、前記支持アーム部11b が臨界角度まで揺動すると、揺動軸21の先端、軸部11a および引張付勢部材22の他端が側面視で一直線上に並ぶように配設されている(図2(B)参照)。
このため、支持アーム部11b を、その軸と鉛直方向のなす角度が臨界角度よりも小さくなるまで下方に揺動すれば、揺動軸21の先端は、軸部11a と揺動付勢手段22の他端とを結ぶ線よりも上方に位置する。すると、揺動付勢手段22によって揺動軸21は上方に揺動するように引っ張られるから(図2(A)参照)、揺動付勢手段22によって支持アーム部11b を下方に付勢した状態とすることができる。
逆に、支持アーム部11b を、その軸と鉛直方向のなす角度が臨界角度よりも小さくなるまで上方に揺動すれば、揺動軸21の先端は、軸部11a と揺動付勢手段22の他端とを結ぶ線よりも下方に位置する。すると、揺動付勢手段22によって揺動軸21は上方に揺動するように引っ張られるから(図2(C)参照)、揺動付勢手段22によって支持アーム部11b を上方に付勢した状態とすることができる。
【0014】
上記のごとき構成であるから、本実施形態の船体安定機構によれば、船1を停船したときに、ワイヤ巻取装置13c によってワイヤ13a を繰り出してアーム部材11の軸部11b を回転させれば、支持アーム部11b が下方に揺動するので、舵板15を水中に浸漬させることができる。逆に船を航行するときには、ワイヤ巻取装置13c によってワイヤ13a を巻き取れば、支持アーム部11b が上方に揺動するので、舵板15を水中から抜き出すことができるから、舵板15が航行するときの抵抗となることを防ぐことができる。
【0015】
そして、支持アーム部11b は、その軸方向が船体の軸方向と平行な面内に配置されているので、舵板15を水中から抜き出したときに、支持アーム部11b を船縁に沿わせて保持しておくことができる。このため、支持アーム部11b が長くなっても舵板15や支持アーム部11b が船の航行の邪魔にならないように収容しておくことができる。よって、舵板15を水中に浸漬させる深さを深くできるので、船体の移動を抑止する効果を高くすることができる。
しかも、引張付勢部材22によって支持アーム部11b が上方に付勢されているので、高速航行しても支持アーム部11b がばたついたり、下方に揺動することを防ぐことができ、船1を安全に航行させることができる。
【0016】
なお、舵板移動機構の構成は上記の構成に限られず、舵板15を鉛直に上下させて水中に浸漬させたり水中から抜き出したりするものでもよいが、上記の構造とすれば、舵板を移動させる機構を簡単にすることができる。
【0017】
図3は本実施形態の船体安定機構の使用状況の説明図であり、(A)は停船時の説明図であり、(B)は低速航行時の説明図である。図3(A)に示すように、停船時において、ワイヤ13a を繰り出す長さを調整して支持アーム部11b の先端が軸部11a より舳先方向、つまり、支持アーム部11b の軸方向が鉛直方向よりも舳先の方向には揺動しないように規制しておけば、船1が後退すると舵板15の背面には水圧が加わるが、ワイヤ13a によって支持アーム部11b が必要以上に揺動することを防ぐことができる。言い換えれば、船1が後退したときに、舵板15の背面に水圧が確実に加わるように保持しておくことができるから、舵板15によって船体の軸方向への移動を確実に抑制することができる。
【0018】
一方、図3(B)に示すように、支持アーム部11b を船1の艫の方向へは自由に揺動できるようにしておけば、船1が前進したときに、舵板15の前面には水圧によって支持アーム部11b は上方に揺動するので、舵板15の前面の面積が小さくなり舵板15に加わる水圧が自然に小さくなる。このため、舵板15が船1の移動の抵抗となることを防ぐことができる。すると、釣り舟がポイントを変えるときなどのように、低速で船1を移動させる場合などであれば、船1を移動するときに支持アーム部11b を水面から引き上げる作業を行う必要がないので、船1の停船と移動を切り換えるときに行う作業の手間を少なくすることができる。また、高速航行時などでは、舵板15に少しでも水圧が加わると船1のバランスが悪くなり危険であるため、舵板15は完全に水面から揚げてしまう必要がある(図1参照)。このとき、支持アーム部11b は上方に付勢されるているので、支持アーム部11b がばたついたり、誤って下方に揺動することを防ぐことができ、船1を安全に航行させることができる。
【0019】
なお、揺動規制部20が上記のごとき構成の場合、揺動付勢手段22としてエアシリンダやバネを用い、支持アーム部11b の軸方向が鉛直方向を向いたときにエアシリンダ等の収縮量が最大となるようにしておけば、ワイヤ13a だけでなく、エアシリンダ等によっても支持アーム部11b が必要以上に揺動することを防ぐことができる。
【0020】
つぎに、舵板15について詳細に説明する。
図4(A)は移動防止板18の先端を横流れ防止板16に接近させたときにおける舵板15の断面図であり、(B)は移動防止板18の先端を横流れ防止板16に接近させたときにおける舵板15の断面図である。図4に示すように、舵板15は、基部16a と補助部16b とを有する横流れ防止板16を備えている。この横流れ防止板16の基部16a は、支持アーム部11b の軸方向と垂直な断面がL字状に形成されており、L字状の短辺が支持アーム部11b に固定されている。そして、横流れ防止板16は、水中に浸漬され、支持アーム部11b の軸方向が鉛直方向を向いたときに、基部16a のL字状の長辺が船体の軸方向と平行となるように配設されている。また、補助部16b は、基部16a のL字状の長辺と平行となるように支持アーム部11b に固定されている。
【0021】
図4に示すように、前記横流れ防止板16の一面には、移動防止板18が取り付けられている。この移動防止板18は、その基端縁が支持アーム部11b の軸方向と平行となるように、蝶番18a を介して取り付けられている。つまり、移動防止板18は、その基端縁を揺動軸として、その先端を横流れ防止板16に対して接近離間できるように取り付けられている。しかも、移動防止板18は、その基端縁がその先端に対して船1の進行方向前方に位置するように取り付けられている。
【0022】
このため、横流れ防止板16の基部16a が、水中に浸漬させると船体の軸方向と平行となるように配設されているから、船1を、その舳先を風上に向けて停船し、船体の後部にはスパンカーSPを張り、船体の前部では舵板15を水中に浸漬させておけば、船1の後部が風向きに対して傾くこと、つまり船の後部の横流れはスパンカーSPで防ぐことができ、船1の前部が風向きに対して傾くこと、つまり船の前部の横流れは舵板15で防ぐことができる。よって、船1を停船していても、船体が風向きに対して傾くことを確実に防ぐことができる。しかも、横流れ防止板16の面積の分だけ、船体の側面の面積が大きくなるから、舵板が船体が回転する抵抗にもなり、船体の横揺れを抑える効果も高くなるすることができる。
そして、移動防止板18を揺動させてその先端を横流れ防止板16から離間させれば、船1が軸方向へ移動しようとすると、移動防止板18の背面に水圧が加わる。すると、移動防止板18が船1の移動の抵抗となるから、船1が軸方向に移動することを抑えることができる。そして、船体の移動を抑止する効果を高くすることができるから、船体の横揺れも大幅に低減することができる。
しかも、横揺れを防止する板と移動を防止する板を別個独立で設けているので、舵板15に対して船体の軸方向および横方向から加わる水圧を大きくすることができる。よって、船体の横方向への移動と軸方向への移動を防止する効果をいずれも高くすることができる。
【0023】
なお、本発明の船体安定機構を船の前部だけでなく船の後部にも設ければ、船の後部の横流れも舵板15で防ぐことができる。
【0024】
さらになお、舵板15の下端または支持アーム部11b の先端に、モータ等の動力源によって駆動されるスクリューなどの推進機構を設けておけば、スパンカーSPを設けなくても、船体が風向きに対して傾くことを防ぐことができる。そして、船1が停船しているときに、風や潮の流れによる船の移動量と推進機構による船の移動量がつりあうように推進機構を作動させておけば、船1のエンジンを作動させなくても船が横方向や軸方向に移動することを防ぐことができる。
【0025】
また、移動防止板18は、横流れ防止板16に対して、その先端が接近離間可能に設けられており、そして、移動防止板18の先端18c が横流れ防止板16から離間するように屈曲している。
このため、舵板15を水中に浸漬するときには、移動防止板18の先端を横流れ防止板16に接近させておけば、舵板15を水中に浸漬するときの抵抗を小さくすることができる。
そして、移動防止板18の先端と横流れ防止板16を接近させた状態で水中に浸漬していても、船1が後退し始めると、移動防止板18の先端18c に水圧が加わるので、その水圧によって移動防止板18の先端18c が横流れ防止板16から離間するように揺動し、逆に、船1が前進するときには、移動防止板18の前面に水圧が加わり、その水圧によって移動防止板18の先端18c が横流れ防止板16に接近するように揺動する。つまり、移動防止板18は、船1の前進後退に伴って自動的に開閉するから、移動防止板18を揺動させる装置が不要であり、舵板15の構造を簡単かつコンパクトにすることができる。
【0026】
また、支持アーム部11b を、その軸が鉛直方向よりもわずかに船1の舳先側に傾けておけば、船1が波によって上下に移動されると、船1が上昇するときには移動防止板18の前面に水圧が加わり、その水圧によって移動防止板18の先端が横流れ防止板16に接近するように揺動し、船1が下降するときに移動防止板18の先端18c に水圧が加わり、その水圧によって移動防止板18の先端18c が横流れ防止板16から離間するように揺動する。すると、船1が下降するときには、移動防止板18に対して船1を前方に推し進めるように水圧が加わるので、船1が波によって上下に移動されれば、移動防止板18の揺動だけで船1をその軸方向に少しずつ移動させることができる。つまり、波などの影響によって船1が少しずつその軸方向に沿って後方に流されても、移動防止板18の揺動によって船1を少しずつその軸方向に沿って前方に戻すことができる。言い換えれば、舵板15を設けるだけで、船1をほぼ一定の場所に停船させておくことができるのである。
【0027】
なお、横流れ防止板16はL字状でなくてもよく、単なる平坦な板であってもよいが、L字状にすれば支持アーム部11b に容易にしかも強固に固定することができる。
さらになお、基部16a と、補助部16b は別々に設けてもよいが、両者を一枚の板を折り曲げて形成すれば、舵板15の強度を高くすることができる。
さらになお、補助部16b は設けなくてもよいが、補助部16b があれば、舵板15に対して船1の横方向に加わる水圧を、支持アーム部11b を挟んだ両側で支持することができるので、舵板15の強度を高くすることができる。
さらになお、移動防止板18の前面の適所にゴム等の緩衝部材18b を取りつけておけば、移動防止板18が、その先端18c が横流れ防止板16から離間するように揺動しても、移動防止板18が横流れ防止板16に直接あたることを防ぐことができる。すると、移動防止板18が揺動したときに、横流れ防止板16と接触しても音がしないし、接触したときの衝撃で破損したりすることを防ぐことができる。
【0028】
また、図5に示すように、舵板15の前面を、船体の舳先の形状に形成し、支持アーム部11b を上方に揺動させたときに舵板15の背面が船体の舳先に密着するようにしておけば、舵板15が船体の一部となるので、船1が航行しているときには、舵板15を舳先として機能させることができる。このため、舵板15を収容するための特別な場所などが不要であり、船1の航行時にも舵板を有効に活用することができる。
さらに、支持アーム部11b を伸縮可能とし、下方に揺動したときに伸張し、上方に揺動したときには収縮するようにしておけば、舵板15を船体に収容したときにはコンパクトに収容できるし、舵板15をより深く浸漬させることができるから、船体の移動防止効果を高くすることができる。
【0029】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、舵板を水中に浸漬すれば、横揺れや船体の移動を防ぐことができるし、航行時には舵板を水中から抜き出しておけば舵板が航行するときの抵抗となることを防ぐことができる。
請求項2の発明によれば、舵板が、船体の移動を抑止する効果を高くすることができ、しかも横揺れを抑止する効果も高くすることができる。
請求項3の発明によれば、船体の軸方向および横方向に加わる水圧を大きくすることができるから、船体の移動および横揺れを防止する効果を高くすることができ、舵板を水中に浸漬するときの抵抗を小さくすることができる。
請求項4の発明によれば、移動防止板は、船の前進後退に伴って自動的に開閉するから、移動防止板を揺動させる装置が不要であり、舵板の構造を簡単かつコンパクトにすることができる。
請求項5の発明によれば、舵板移動機構の構造を簡単にすることができ、支持アームが長くなっても舵板や支持アームが船の航行の邪魔にならないように収容しておくことができ、横揺れおよび移動を防止する効果を高くすることができる。
請求項6の発明によれば、支持アームが、鉛直方向に対して一定の角度以上舳先の方向に揺動しないように規制しておくことができるから、船体の軸方向への移動を確実に抑制することができる。さらに、船を停船したり移動したりする度に支持アームを揺動させる必要がなく、船の停船移動を切り換えるときに行う作業を簡単にすることができる。
請求項7の発明によれば、高速航行時などのように舵板を完全に水面から揚げてしまったときでも支持アームがばたついたり、下方に揺動することを防ぐことができ、船を安全に航行させることができる。
請求項8の発明によれば、船の航行時には、舵板が船体の一部となり、舳先として機能するから、舵板を収容するための特別な場所などが不要であり、船の航行時にも舵板を有効に活用することができる。
請求項9の発明によれば、推進機構によって船の姿勢を微調整することができるから、船体の横揺れや移動をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の船体安定機構を備えた船1の概略説明図であって、(A)は右舷から見た図であり、(B)は平面図である。
【図2】本実施形態の船体安定機構を備えた船1を左舷から見た図であり、(A)は支持アーム部11b が下方に揺動した状態の説明図であり、(B)支持アーム部11b が臨界角となったときの状態の説明図であり、(C)は支持アーム部11b が上方に揺動した状態の説明図である。
【図3】本実施形態の船体安定機構の使用状況の説明図であり、(A)は停船時の説明図であり、(B)は低速航行時の説明図である。
【図4】(A)は移動防止板18の先端を横流れ防止板16に接近させたときにおける舵板15の断面図であり、(B)は移動防止板18の先端を横流れ防止板16に接近させたときにおける舵板15の断面図である。
【図5】他の実施形態の舵板15の説明図である。
【図6】船100 を停船させた状態の説明図である。
【符号の説明】
1 船
11b 支持アーム部
15 舵板
16 横流れ防止板
18 移動防止板
20 揺動規制部
22 揺動付勢機構
【発明の属する技術分野】
本発明は、船体安定機構に関する。釣り船や漁船、工船などの漁労船等は、海や湖等の水面に停船した状態で作業を行うが、風や波の影響によって船体が横揺れしたり、船の横方向や軸方向に流されて移動したりする場合がある。このように船が揺れたり移動したりすると、作業が安定して行えないし、事故の発生の原因ともなる。本発明は、水面に停船した船の姿勢を安定させたり、風等によって流されることを防ぐために使用される船体安定機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6に示すように、海上等に船100 を停船させる場合、横揺れを防ぐために船100 の舳先を風上に向け、さらに船の後部にスパンカーSPを張った状態で停船させる。すると、スパンカーSPの両面に風を受けるので、ある程度の期間は船100 の舳先を風上に向けておくことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、スパンカーSPを張れば、船100 の後部が船の横方向(図6(B)では上下方向)に流されることを抑えることはできるが、船100 の前部が船の横方向に流されることを抑えることができない。そして、船の前部が船の横方向に流されると、船の舳先は風の吹く方向に対して傾いてしまい、最終的には船体が風を横から受けるようになってしまう。すると、船の横揺れが大きくなってしまい、作業ができなくなるので、船頭は船の舳先が風上を向くように常時船100 を操作していなければならない。このため、船頭は操船以外の作業を行うことができないし、非常に神経を使うので大変であるという問題がある。
また、船100 の舳先を風上に向けておけば、ある程度の横揺れは防ぐことができるが、完全になくすことはできない。船100 の横揺れは、船体の重心を中心軸として船体が回転することによって生じるから、排水量に対する船体の軸方向に沿った断面積(以下単に横断面という)を大きくし、かつ喫水している部分を大きくしてやれば、船体が回転しようとしたときの抵抗が大きくなり、横揺れを抑えることができる。しかし、船体の形状は、その用途に応じた最適な形状があり、排水量を同じにして横断面だけを大きくすることは不可能である。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑み、船の舳先が流されることを抑えることができ、しかも船体の横揺れを低減でき、しかも航行の抵抗にならない船体安定機構を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の船体安定機構は、船体に上下方向移動可能に取り付けられた舵板と、該舵板を上下方向に移動させる舵板移動機構とからなり、該舵板が、前記舵板移動機構によって下方に移動されると水中に浸漬され、かつ水中に浸漬されると、その表面の法線が船体の軸方向と交差するように配設されていることを特徴とする。
請求項2の船体安定機構は、請求項1記載の発明において、前記舵板が、水中に浸漬されたときにおいて、平面視でL字状に屈曲しており、水中に浸漬されたときに、その一の面が船体の軸方向と平行となり、他の面が船体の軸方向と交差するように配設されていることを特徴とする。
請求項3の船体安定機構は、請求項1記載の発明において、前記舵板が、水中に浸漬されたときに、船体の軸方向と平行となるように設けられた横流れ防止板と、該横流れ防止板に、基端を支軸として揺動可能に取り付けられた移動防止板とからなり、該移動防止板が、水中に浸漬された状態において、その先端を前記横流れ防止板から離間させると、その表面の法線が船体の幅方向と交差するように形成されていることを特徴とする。
請求項4の船体安定機構は、請求項3記載の発明において、前記移動防止板が、水中に浸漬したときに、その基端がその先端に対して船の進行方向前方に位置しており、その先端が、前記横流れ防止板から離間するように屈曲されていることを特徴とする。
請求項5の船体安定機構は、請求項1記載の発明において、前記舵板移動機構が、船体の軸方向に沿って揺動可能に取り付けられた支持アームを備えており、該支持アームの先端に、前記舵板が取り付けられていることを特徴とする。
請求項6の船体安定機構は、請求項5記載の発明において、前記舵板移動機構が、前記支持アームの鉛直方向に対する揺動角度を規制する揺動規制部を備えていることを特徴とする。
請求項7の船体安定機構は、請求項6記載の発明において、前記揺動規制部が、前記支持アームが鉛直方向に対してなす角度が臨界角度よりも大きくなると該支持アームを上方に付勢する揺動付勢機構を備えており、前記臨界角度が、前記舵板の前面が水面に当たったときにおける前記支持アームと鉛直方向とがなす角度よりも大きいことを特徴とする。
請求項8の船体安定機構は、請求項1記載の発明において、前記舵板の前面が、船体の舳先の形状に形成されており、前記支持アームを上方に揺動させると、該舵板が船体の舳先に取り付けられることを特徴とする。
請求項9の船体安定機構は、請求項1記載の発明において、前記支持アームの先端に、推進機構が設けられていることを特徴とする。
【0006】
請求項1の発明によれば、船を停船したときに、舵板移動機構によって舵板を下方に移動させて水中に浸漬すれば、舵板が船体が横流れするときの抵抗となるため、船体が横方向へ移動することを抑えることができる。しかも、舵板が船体が回転する抵抗にもなるので、船体の横揺れも抑えることができる。また、舵板を水中に浸漬したときに、舵板の表面の法線が船体の幅方向に対しても交差していれば、船体がその軸方向に移動しようとしても、舵板には船体の移動方向と逆向きの水圧がかかり、舵板が船体が移動するときの抵抗となるので、船体の軸方向への移動を防ぐことができる。さらに、航行時には舵板移動機構によって舵板を水中から抜き出しておけば、船が航行するときに舵板が抵抗となることを防ぐことができる。
請求項2の発明によれば、舵板の一の面は船体が横方向へ移動するときの抵抗となり、他の面は船体がその軸方向へ移動するときの抵抗となるので、船体の移動を防ぐことができる。しかも、一の面は船体の幅方向と直交し、他の面は船体の軸方向と直交するから、横方向へ移動したり軸方向へ移動したりしたときに、各面に加わる水圧を大きくすることができ、船体の移動を抑止する効果を高くすることができる。そして、船体の移動を抑止する効果を高くすることができるから、船体の横揺れも大幅に低減することができる。
請求項3の発明によれば、舵板を浸漬して、移動防止板の先端を横流れ防止板から離間させれば、船体の横方向への移動は横流れ防止板によって抑えることができ、船体の軸方向への移動は移動防止板によって抑えることができる。しかも、船体の横方向への移動と軸方向への移動を防止する板を別個独立で設けているので、各板に加わる水圧を大きくすることができ、船体の移動を抑止する効果を高くすることができる。そして、船体の移動を抑止する効果を高くすることができるから、船体の横揺れも大幅に低減することができる。また、舵板を水中に浸漬するときに、移動防止板の先端を横流れ防止板に接近させておけば、舵板を水中に浸漬するときの抵抗を小さくすることができる。
請求項4の発明によれば、移動防止板の先端が横流れ防止板から離間するように屈曲しているから、移動防止板の先端と横流れ防止板とを接近させた状態で水中に浸漬していても、船が後退し始めると、移動防止板の先端に水圧が加わるので、その水圧によって移動防止板の先端が横流れ防止板から離間する。逆に、船が前進するときには、移動防止板の前面に水圧が加わり、その水圧によって移動防止板の先端が横流れ防止板に接近する。つまり、移動防止板は、船の前進後退に伴って自動的に開閉するから、移動防止板を揺動させる装置が不要であり、舵板の構造を簡単かつコンパクトにすることができる。
請求項5の発明によれば、支持アームを上下に揺動させるだけで、舵板を水中に浸漬させたり水中から引き上げたりすることができるので、舵板を移動させる機構を簡単にすることができる。しかも、舵板を水中から抜き出したときに、支持アームの軸を船縁に沿わせて保持しておくことができるので、支持アームが長くなっても船の航行の邪魔にならないように舵板や支持アームを収容しておくことができる。よって、舵板を水中に浸漬させる深さを深くできるので、横揺れと船体の移動を抑止する効果を高くすることができる。
請求項6の発明によれば、揺動規制部によって、支持アームが、鉛直方向に対して一定の角度以上舳先の方向に揺動しないように規制しておけば、船が後退したときに、舵板の背面に加わる水圧よって支持アームが必要以上に揺動することを防ぐことができる。言い換えれば、船が後退したときに、舵板を、その背面に水圧が加わるように保持しておくことができるから、船体の軸方向への移動を確実に抑制することができる。また、支持アームを船の艫の方向へは自由に揺動できるようにしておけば、船が前進したときに、舵板の前面に加わる水圧によって支持アームが上方に揺動され、自然に水中から出る。つまり、船の移動停止に対応して支持アームが自動的に揺動するから、船を停船したり移動したりする度に支持アームを揺動させる必要がなく、船の停船移動を切り換えるときに行う作業を簡単にすることができる。
請求項7の発明によれば、臨界角度よりも支持アームを上方に揺動させれば、揺動付勢機構によって支持アームが上方に付勢されるので、高速航行時などのように舵板を完全に水面から揚げてしまったときでも、支持アームがばたついたり下方に揺動することを防ぐことができ、船を安全に航行させることができる。
請求項8の発明によれば、船の航行時には、舵板が船体の一部となり、舳先として機能するから、舵板を収容するための特別な場所が不要であり、船の航行時にも舵板を有効に活用することができる。
請求項9の発明によれば、推進機構によって船の姿勢を微調整することができるから、船体の横方向への移動や軸方向への移動をより確実に防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の船体安定機構を備えた船1の概略説明図であって、(A)は右舷から見た図であり、(B)は平面図である。図1において、符号1は釣り船や漁船、工船などの漁労船等の船を示している。この船1の後部には、ポールPが立設されている。このポールPは、船1を水面に停船したときに、船1の軸方向に沿ってスパンカーSPを張るためのものである。
【0008】
図1において、符号11はアーム部材11を示している。このアーム部材11は、棒状の部材を略L字状に屈曲したものであり、軸部11a と、この軸部11a に対して屈曲した支持アーム部11b とを備えている。このアーム部材11の軸部11a は、船1の前部に、その軸まわりに回転可能となるように取り付けられている。そして、この軸部11a は、その軸方向が船体の幅方向と平行になるように、配設されている。言い換えれば、アーム部材11は、その支持アーム部11b の軸方向が船の軸方向と平行な面内に位置するように配置されている。
このため、アーム部材11の軸部11a をその軸まわりに回転させると、支持アーム部11b は、その基端、つまり軸部11a と連続する部分を支点として、船1の軸方向と平行な面内で揺動するのである。このアーム部材11の支持アーム部11b が、特許請求の範囲にいう支持アームである。
【0009】
なお、アーム部材11は、船体に孔を形成し、その孔に軸部11a を回転自在に取り付けてもよいし、船1の甲板に軸受などを介して取り付けてよい。とくに、後者の場合、既存の船1にも取り付けることができるので好適である。
さらになお、アーム部材11をコの字状、つまり、軸部11a の両端部に一対の支持アーム部11b,11b を有する形状としてもよい。この場合、船体のバランスをよくすることができるし、横揺れ防止効果や移動防止効果をさらに高くすることができる。
【0010】
前記支持アーム部11b の先端には、ワイヤ13a の一端が取り付けられている。このワイヤ13a は、船体に取り付けられたプーリ13b に巻き掛けられており、その他端がワイヤ巻取装置13c に取り付けられている。
このため、ワイヤ巻取装置13c によって、ワイヤ13a を繰り出せば、支持アーム部11b を、その基端を支点としてその先端を下方に揺動させることができるし、ワイヤ13a を巻き取れば、支持アーム部11b を上方に揺動させることができる。また、ワイヤ13a を繰り出す長さを調整すれば、支持アーム部11b の軸方向が鉛直方向に対してなす角度を調整することができる。
前記アーム部材11と、ワイヤ13a 、プーリ13b およびワイヤ巻取装置13c が特許請求の範囲にいう舵板移動機構である。
【0011】
なお、ワイヤ巻取装置13c は設けなくてもよく、人の手によってワイヤ13a を巻き取るようにしてもよい。
さらになお、支持アーム部11b を揺動させる機構は上記の構造に限られず、どのような機構を用いてもよい。
【0012】
図1に示すように、アーム部材11の支持アーム部11b の先端には、舵板15が取り付けられている。この舵板15は、支持アーム部11b が下方に揺動したときに、支持アーム部15b の軸方向と鉛直方向との間の角度が所定の角度(以下、臨界角度という)よりも小さくなると、水中に浸漬されるように取り付けられている。この舵板15の詳細は後述する。
【0013】
つぎに、揺動規制部20を説明する。
図2は本実施形態の船体安定機構を備えた船1を左舷から見た図であり、(A)は支持アーム部11b が下方に揺動した状態の説明図であり、(B)支持アーム部11b が臨界角となったときの状態の説明図であり、(C)は支持アーム部11b が上方に揺動した状態の説明図である。図1および図2に示すように、前記軸部11a の他端には、揺動軸21の基端がとりつけられている。この揺動軸21は、前記支持アーム部11b が上方に揺動すると下方に揺動され、逆に、支持アーム部11b が下方に揺動すると上方に揺動されるように配設されている。
この揺動軸21の先端とには、ゴムやバネ、シリンダ等の引張付勢部材22の一端が回転自在に取り付けられており、この引張付勢部材22の他端は、前記軸部11a より後方の船体に回転自在に取り付けられている。そして、この引張付勢部材22は、前記支持アーム部11b が臨界角度まで揺動すると、揺動軸21の先端、軸部11a および引張付勢部材22の他端が側面視で一直線上に並ぶように配設されている(図2(B)参照)。
このため、支持アーム部11b を、その軸と鉛直方向のなす角度が臨界角度よりも小さくなるまで下方に揺動すれば、揺動軸21の先端は、軸部11a と揺動付勢手段22の他端とを結ぶ線よりも上方に位置する。すると、揺動付勢手段22によって揺動軸21は上方に揺動するように引っ張られるから(図2(A)参照)、揺動付勢手段22によって支持アーム部11b を下方に付勢した状態とすることができる。
逆に、支持アーム部11b を、その軸と鉛直方向のなす角度が臨界角度よりも小さくなるまで上方に揺動すれば、揺動軸21の先端は、軸部11a と揺動付勢手段22の他端とを結ぶ線よりも下方に位置する。すると、揺動付勢手段22によって揺動軸21は上方に揺動するように引っ張られるから(図2(C)参照)、揺動付勢手段22によって支持アーム部11b を上方に付勢した状態とすることができる。
【0014】
上記のごとき構成であるから、本実施形態の船体安定機構によれば、船1を停船したときに、ワイヤ巻取装置13c によってワイヤ13a を繰り出してアーム部材11の軸部11b を回転させれば、支持アーム部11b が下方に揺動するので、舵板15を水中に浸漬させることができる。逆に船を航行するときには、ワイヤ巻取装置13c によってワイヤ13a を巻き取れば、支持アーム部11b が上方に揺動するので、舵板15を水中から抜き出すことができるから、舵板15が航行するときの抵抗となることを防ぐことができる。
【0015】
そして、支持アーム部11b は、その軸方向が船体の軸方向と平行な面内に配置されているので、舵板15を水中から抜き出したときに、支持アーム部11b を船縁に沿わせて保持しておくことができる。このため、支持アーム部11b が長くなっても舵板15や支持アーム部11b が船の航行の邪魔にならないように収容しておくことができる。よって、舵板15を水中に浸漬させる深さを深くできるので、船体の移動を抑止する効果を高くすることができる。
しかも、引張付勢部材22によって支持アーム部11b が上方に付勢されているので、高速航行しても支持アーム部11b がばたついたり、下方に揺動することを防ぐことができ、船1を安全に航行させることができる。
【0016】
なお、舵板移動機構の構成は上記の構成に限られず、舵板15を鉛直に上下させて水中に浸漬させたり水中から抜き出したりするものでもよいが、上記の構造とすれば、舵板を移動させる機構を簡単にすることができる。
【0017】
図3は本実施形態の船体安定機構の使用状況の説明図であり、(A)は停船時の説明図であり、(B)は低速航行時の説明図である。図3(A)に示すように、停船時において、ワイヤ13a を繰り出す長さを調整して支持アーム部11b の先端が軸部11a より舳先方向、つまり、支持アーム部11b の軸方向が鉛直方向よりも舳先の方向には揺動しないように規制しておけば、船1が後退すると舵板15の背面には水圧が加わるが、ワイヤ13a によって支持アーム部11b が必要以上に揺動することを防ぐことができる。言い換えれば、船1が後退したときに、舵板15の背面に水圧が確実に加わるように保持しておくことができるから、舵板15によって船体の軸方向への移動を確実に抑制することができる。
【0018】
一方、図3(B)に示すように、支持アーム部11b を船1の艫の方向へは自由に揺動できるようにしておけば、船1が前進したときに、舵板15の前面には水圧によって支持アーム部11b は上方に揺動するので、舵板15の前面の面積が小さくなり舵板15に加わる水圧が自然に小さくなる。このため、舵板15が船1の移動の抵抗となることを防ぐことができる。すると、釣り舟がポイントを変えるときなどのように、低速で船1を移動させる場合などであれば、船1を移動するときに支持アーム部11b を水面から引き上げる作業を行う必要がないので、船1の停船と移動を切り換えるときに行う作業の手間を少なくすることができる。また、高速航行時などでは、舵板15に少しでも水圧が加わると船1のバランスが悪くなり危険であるため、舵板15は完全に水面から揚げてしまう必要がある(図1参照)。このとき、支持アーム部11b は上方に付勢されるているので、支持アーム部11b がばたついたり、誤って下方に揺動することを防ぐことができ、船1を安全に航行させることができる。
【0019】
なお、揺動規制部20が上記のごとき構成の場合、揺動付勢手段22としてエアシリンダやバネを用い、支持アーム部11b の軸方向が鉛直方向を向いたときにエアシリンダ等の収縮量が最大となるようにしておけば、ワイヤ13a だけでなく、エアシリンダ等によっても支持アーム部11b が必要以上に揺動することを防ぐことができる。
【0020】
つぎに、舵板15について詳細に説明する。
図4(A)は移動防止板18の先端を横流れ防止板16に接近させたときにおける舵板15の断面図であり、(B)は移動防止板18の先端を横流れ防止板16に接近させたときにおける舵板15の断面図である。図4に示すように、舵板15は、基部16a と補助部16b とを有する横流れ防止板16を備えている。この横流れ防止板16の基部16a は、支持アーム部11b の軸方向と垂直な断面がL字状に形成されており、L字状の短辺が支持アーム部11b に固定されている。そして、横流れ防止板16は、水中に浸漬され、支持アーム部11b の軸方向が鉛直方向を向いたときに、基部16a のL字状の長辺が船体の軸方向と平行となるように配設されている。また、補助部16b は、基部16a のL字状の長辺と平行となるように支持アーム部11b に固定されている。
【0021】
図4に示すように、前記横流れ防止板16の一面には、移動防止板18が取り付けられている。この移動防止板18は、その基端縁が支持アーム部11b の軸方向と平行となるように、蝶番18a を介して取り付けられている。つまり、移動防止板18は、その基端縁を揺動軸として、その先端を横流れ防止板16に対して接近離間できるように取り付けられている。しかも、移動防止板18は、その基端縁がその先端に対して船1の進行方向前方に位置するように取り付けられている。
【0022】
このため、横流れ防止板16の基部16a が、水中に浸漬させると船体の軸方向と平行となるように配設されているから、船1を、その舳先を風上に向けて停船し、船体の後部にはスパンカーSPを張り、船体の前部では舵板15を水中に浸漬させておけば、船1の後部が風向きに対して傾くこと、つまり船の後部の横流れはスパンカーSPで防ぐことができ、船1の前部が風向きに対して傾くこと、つまり船の前部の横流れは舵板15で防ぐことができる。よって、船1を停船していても、船体が風向きに対して傾くことを確実に防ぐことができる。しかも、横流れ防止板16の面積の分だけ、船体の側面の面積が大きくなるから、舵板が船体が回転する抵抗にもなり、船体の横揺れを抑える効果も高くなるすることができる。
そして、移動防止板18を揺動させてその先端を横流れ防止板16から離間させれば、船1が軸方向へ移動しようとすると、移動防止板18の背面に水圧が加わる。すると、移動防止板18が船1の移動の抵抗となるから、船1が軸方向に移動することを抑えることができる。そして、船体の移動を抑止する効果を高くすることができるから、船体の横揺れも大幅に低減することができる。
しかも、横揺れを防止する板と移動を防止する板を別個独立で設けているので、舵板15に対して船体の軸方向および横方向から加わる水圧を大きくすることができる。よって、船体の横方向への移動と軸方向への移動を防止する効果をいずれも高くすることができる。
【0023】
なお、本発明の船体安定機構を船の前部だけでなく船の後部にも設ければ、船の後部の横流れも舵板15で防ぐことができる。
【0024】
さらになお、舵板15の下端または支持アーム部11b の先端に、モータ等の動力源によって駆動されるスクリューなどの推進機構を設けておけば、スパンカーSPを設けなくても、船体が風向きに対して傾くことを防ぐことができる。そして、船1が停船しているときに、風や潮の流れによる船の移動量と推進機構による船の移動量がつりあうように推進機構を作動させておけば、船1のエンジンを作動させなくても船が横方向や軸方向に移動することを防ぐことができる。
【0025】
また、移動防止板18は、横流れ防止板16に対して、その先端が接近離間可能に設けられており、そして、移動防止板18の先端18c が横流れ防止板16から離間するように屈曲している。
このため、舵板15を水中に浸漬するときには、移動防止板18の先端を横流れ防止板16に接近させておけば、舵板15を水中に浸漬するときの抵抗を小さくすることができる。
そして、移動防止板18の先端と横流れ防止板16を接近させた状態で水中に浸漬していても、船1が後退し始めると、移動防止板18の先端18c に水圧が加わるので、その水圧によって移動防止板18の先端18c が横流れ防止板16から離間するように揺動し、逆に、船1が前進するときには、移動防止板18の前面に水圧が加わり、その水圧によって移動防止板18の先端18c が横流れ防止板16に接近するように揺動する。つまり、移動防止板18は、船1の前進後退に伴って自動的に開閉するから、移動防止板18を揺動させる装置が不要であり、舵板15の構造を簡単かつコンパクトにすることができる。
【0026】
また、支持アーム部11b を、その軸が鉛直方向よりもわずかに船1の舳先側に傾けておけば、船1が波によって上下に移動されると、船1が上昇するときには移動防止板18の前面に水圧が加わり、その水圧によって移動防止板18の先端が横流れ防止板16に接近するように揺動し、船1が下降するときに移動防止板18の先端18c に水圧が加わり、その水圧によって移動防止板18の先端18c が横流れ防止板16から離間するように揺動する。すると、船1が下降するときには、移動防止板18に対して船1を前方に推し進めるように水圧が加わるので、船1が波によって上下に移動されれば、移動防止板18の揺動だけで船1をその軸方向に少しずつ移動させることができる。つまり、波などの影響によって船1が少しずつその軸方向に沿って後方に流されても、移動防止板18の揺動によって船1を少しずつその軸方向に沿って前方に戻すことができる。言い換えれば、舵板15を設けるだけで、船1をほぼ一定の場所に停船させておくことができるのである。
【0027】
なお、横流れ防止板16はL字状でなくてもよく、単なる平坦な板であってもよいが、L字状にすれば支持アーム部11b に容易にしかも強固に固定することができる。
さらになお、基部16a と、補助部16b は別々に設けてもよいが、両者を一枚の板を折り曲げて形成すれば、舵板15の強度を高くすることができる。
さらになお、補助部16b は設けなくてもよいが、補助部16b があれば、舵板15に対して船1の横方向に加わる水圧を、支持アーム部11b を挟んだ両側で支持することができるので、舵板15の強度を高くすることができる。
さらになお、移動防止板18の前面の適所にゴム等の緩衝部材18b を取りつけておけば、移動防止板18が、その先端18c が横流れ防止板16から離間するように揺動しても、移動防止板18が横流れ防止板16に直接あたることを防ぐことができる。すると、移動防止板18が揺動したときに、横流れ防止板16と接触しても音がしないし、接触したときの衝撃で破損したりすることを防ぐことができる。
【0028】
また、図5に示すように、舵板15の前面を、船体の舳先の形状に形成し、支持アーム部11b を上方に揺動させたときに舵板15の背面が船体の舳先に密着するようにしておけば、舵板15が船体の一部となるので、船1が航行しているときには、舵板15を舳先として機能させることができる。このため、舵板15を収容するための特別な場所などが不要であり、船1の航行時にも舵板を有効に活用することができる。
さらに、支持アーム部11b を伸縮可能とし、下方に揺動したときに伸張し、上方に揺動したときには収縮するようにしておけば、舵板15を船体に収容したときにはコンパクトに収容できるし、舵板15をより深く浸漬させることができるから、船体の移動防止効果を高くすることができる。
【0029】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、舵板を水中に浸漬すれば、横揺れや船体の移動を防ぐことができるし、航行時には舵板を水中から抜き出しておけば舵板が航行するときの抵抗となることを防ぐことができる。
請求項2の発明によれば、舵板が、船体の移動を抑止する効果を高くすることができ、しかも横揺れを抑止する効果も高くすることができる。
請求項3の発明によれば、船体の軸方向および横方向に加わる水圧を大きくすることができるから、船体の移動および横揺れを防止する効果を高くすることができ、舵板を水中に浸漬するときの抵抗を小さくすることができる。
請求項4の発明によれば、移動防止板は、船の前進後退に伴って自動的に開閉するから、移動防止板を揺動させる装置が不要であり、舵板の構造を簡単かつコンパクトにすることができる。
請求項5の発明によれば、舵板移動機構の構造を簡単にすることができ、支持アームが長くなっても舵板や支持アームが船の航行の邪魔にならないように収容しておくことができ、横揺れおよび移動を防止する効果を高くすることができる。
請求項6の発明によれば、支持アームが、鉛直方向に対して一定の角度以上舳先の方向に揺動しないように規制しておくことができるから、船体の軸方向への移動を確実に抑制することができる。さらに、船を停船したり移動したりする度に支持アームを揺動させる必要がなく、船の停船移動を切り換えるときに行う作業を簡単にすることができる。
請求項7の発明によれば、高速航行時などのように舵板を完全に水面から揚げてしまったときでも支持アームがばたついたり、下方に揺動することを防ぐことができ、船を安全に航行させることができる。
請求項8の発明によれば、船の航行時には、舵板が船体の一部となり、舳先として機能するから、舵板を収容するための特別な場所などが不要であり、船の航行時にも舵板を有効に活用することができる。
請求項9の発明によれば、推進機構によって船の姿勢を微調整することができるから、船体の横揺れや移動をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の船体安定機構を備えた船1の概略説明図であって、(A)は右舷から見た図であり、(B)は平面図である。
【図2】本実施形態の船体安定機構を備えた船1を左舷から見た図であり、(A)は支持アーム部11b が下方に揺動した状態の説明図であり、(B)支持アーム部11b が臨界角となったときの状態の説明図であり、(C)は支持アーム部11b が上方に揺動した状態の説明図である。
【図3】本実施形態の船体安定機構の使用状況の説明図であり、(A)は停船時の説明図であり、(B)は低速航行時の説明図である。
【図4】(A)は移動防止板18の先端を横流れ防止板16に接近させたときにおける舵板15の断面図であり、(B)は移動防止板18の先端を横流れ防止板16に接近させたときにおける舵板15の断面図である。
【図5】他の実施形態の舵板15の説明図である。
【図6】船100 を停船させた状態の説明図である。
【符号の説明】
1 船
11b 支持アーム部
15 舵板
16 横流れ防止板
18 移動防止板
20 揺動規制部
22 揺動付勢機構
Claims (9)
- 船体に上下方向移動可能に取り付けられた舵板と、
該舵板を上下方向に移動させる舵板移動機構とからなり、
該舵板が、
前記舵板移動機構によって下方に移動されると水中に浸漬され、かつ水中に浸漬されると、その表面の法線が船体の軸方向と交差するように配設されている
ことを特徴とする船体安定機構。 - 前記舵板が、
水中に浸漬されたときにおいて、平面視でL字状に屈曲しており、
水中に浸漬されたときに、その一の面が船体の軸方向と平行となり、他の面が船体の軸方向と交差するように配設されている
ことを特徴とする請求項1記載の船体安定機構。 - 前記舵板が、
水中に浸漬されたときに、船体の軸方向と平行となるように設けられた横流れ防止板と、
該横流れ防止板に、基端を支軸として揺動可能に取り付けられた移動防止板とからなり、
該移動防止板が、
水中に浸漬された状態において、その先端を前記横流れ防止板から離間させると、その表面の法線が船体の幅方向と交差するように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の船体安定機構。 - 前記移動防止板が、
水中に浸漬したときに、その基端がその先端に対して船の進行方向前方に位置しており、
その先端が、前記横流れ防止板から離間するように屈曲されている
ことを特徴とする請求項3記載の船体安定機構。 - 前記舵板移動機構が、船体の軸方向に沿って揺動可能に取り付けられた支持アームを備えており、
該支持アームの先端に、前記舵板が取り付けられている
ことを特徴とする請求項1記載の船体安定機構。 - 前記舵板移動機構が、前記支持アームの鉛直方向に対する揺動角度を規制する揺動規制部を備えている
ことを特徴とする請求項5記載の船体安定機構。 - 前記揺動規制部が、
前記支持アームが鉛直方向に対してなす角度が臨界角度よりも大きくなると該支持アームを上方に付勢する揺動付勢機構を備えており、
前記臨界角度が、前記舵板の前面が水面に当たったときにおける前記支持アームと鉛直方向とがなす角度よりも大きい
ことを特徴とする請求項6記載の船体安定機構。 - 前記舵板の前面が、船体の舳先の形状に形成されており、
前記支持アームを上方に揺動させると、該舵板が船体の舳先に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1記載の船体安定機構。 - 前記支持アームの先端に、推進機構が設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の船体安定機構。
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---|---|---|---|
JP2002217882A JP2004058772A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 船体安定機構 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004058772A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010228503A (ja) * | 2009-03-26 | 2010-10-14 | National Maritime Research Institute | 浮体式海洋構造物の減揺装置 |
KR20170069263A (ko) | 2014-11-19 | 2017-06-20 | 마사유키 이즈메 | 활주형 선박 및 그 제조 방법 |
-
2002
- 2002-07-26 JP JP2002217882A patent/JP2004058772A/ja not_active Withdrawn
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