JP2004057165A - スピニングリールの往復移動機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】減速ギア方式のオシレーティング機構において、貫通するカム係合溝をスライダ部材に設けてもギア部材からスライダ部材への伝達効率の低下を抑えることができるようにする。
【解決手段】スピニングリールのオシレーティング機構は、スプールをハンドルの回転に連動して軸方向に往復移動させる機構であって、ギア部材15と、スライダ部材16とを備えている。ギア部材は、カム21を有し、ハンドルの回転に連動してハンドル軸と略平行な軸回りに回転する。スライダ部材は、スプールが先端に装着されたスプール軸8と交差する第1軸方向に延びカムに係合し第1軸と交差する第2軸方向に貫通するカム係合溝22を有し、スプール軸の後端側にカム係合溝を挟んだ2箇所で固定され、リール本体2にスプール軸方向に移動自在に装着されている。
【選択図】   図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、往復移動機構、特に、スピニングリールのスプールをハンドルの回転に連動して軸方向に往復移動させるスピニングリールの往復移動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
釣り糸を釣り竿の長手方向の軸回りに巻き取るスピニングリールには、糸巻き用のスプールを前後往復移動させるオシレーティング機構が設けられている。この種のオシレーティング機構として、減速ギア方式のオシレーティング機構が従来知られている。
【0003】
減速ギア方式のオシレーティング機構は、ハンドル軸と平行な軸回りに回転するギア部材(回転部材の一例)と、ギア部材の回転によりスプール軸方向に往復移動するスライダ部材とを備えている。ギア部材は、ハンドルの回転軸に設けられた駆動ギアに噛み合っている。ギア部材の一側面の周縁部には、カム突起が形成されている。スライダ部材のギア部材に対向する側面には、カム突起に係合するカム係合溝が形成されている。カム係合溝は、通常、スプール軸と直交する方向に直線的に延びている。このスライダ部材にスプールが先端に装着されたスプール軸の後端部がたとえばビスにより1箇所で固定されている。
【0004】
このような構造のオシレーティング機構では、ハンドルの回転に連動してギア部材が回転すると、カム突起がカム係合溝に係合して摺動することによりギア部材の回転運動がスライダ部材の直線運動に変換され、スプールが軸方向に往復移動する。
前記従来のオシレーティング機構では、回転運動を直線運動に変化しているので、スプールの軸方向の移動速度が三角関数で変化する。このため、移動速度がスライダ部材の移動位置の両端部付近では遅くなり、中間部付近では速くなる。この結果、スプールの両端部で中央部より釣り糸が多く巻き取られて糸巻き形状がくずれやすくなる。この糸巻き形状のくずれによって、たとえば釣り糸がスプール前端からまとめて繰り出される等の不都合が生じやすい。
【0005】
そこで、特開2002−101792号公報には、ギア部材に径方向位置が異なる2種のカム突起を設けるとともに、スライダ部材に2種のカム突起にそれぞれ係合する2種のカム係合溝を形成したものが開示されている。2種のカム突起は、ギア部材のスライダ部材に面する側面に突出して突出方向に並べて形成されており、その径方向の突出位置が異なっている。2種のカム係合溝は、突出方向に並べてスライダ部材に形成されている。2種のカム係合溝の溝幅は、回転運動を可及的に等速な直線運動に変換するために回転途中でカム突起との係合関係を切り換えるため、途中でクロスするように異なる幅で形成されている。このため、2種のカム係合溝の境界部分を割面とする金型で成形加工により形成されている。したがって、2種のカム係合溝により、スライダ部材にはカム突起の突出方向に貫通する細長い開口が形成されている。
【0006】
このような構成のオシレーティング機構では、ハンドル軸が回転すると、それに連動してギア部材が回転する。ギア部材が回転すると、2種のカム係合溝が2種のカム突起に回転位相に応じて切り換わって係合してスライダ部材の移動を等速直線運動に近づけることができる。これにより、糸巻形状の改善を、簡素な構成で高伝達効率で実現できるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のオシレーティング機構では、スライダ部材にはカム突起の突出方向に貫通する2種のカム係合溝が形成されている。このため、スライダ部材の溝幅方向の比強度が低下するおそれがある。スライダ部材の比強度が低下すると、スプールに大きな負荷が作用した状態でカム突起がカム溝に係合してスライダ部材を移動させようとするとき、カム突起により押圧されてカム係合溝が変形するおそれがある。カム係合溝が変形すると回転部材からスライダ部材への伝達効率が低下するおそれがある。
【0008】
本発明の課題は、減速ギア方式の往復移動機構において、貫通するカム係合溝をスライダ部材に設けても回転部材からスライダ部材への伝達効率の低下を抑えることができるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明1に係るスピニングリールの往復移動機構は、スピニングリールのリール本体に装着されたスプールをハンドルの回転に連動して軸方向に往復移動させる機構であって、回転部材と、スライダ部材とを備えている。回転部材は、カムを有し、ハンドルの回転に連動してハンドルの回転軸と略平行な軸回りに回転する部材である。スライダ部材は、スプールが先端に装着されたスプール軸と交差する第1軸方向に延びカムに係合し第1軸と交差する第2軸方向に貫通するカム係合溝を有し、スプール軸の後端側にカム係合溝を挟んだ2箇所で固定され、リール本体にスプール軸方向に移動自在に装着された部材である。このカムとカム係合溝との係合によりスプール軸方向にスライダ部材を往復移動させる。
【0010】
この往復移動機構では、ハンドルが回転すると回転部材がハンドルと連動して回転し、カムがカム係合溝に係合してスライダ部材が前後移動する。スプール軸にカム係合溝を挟んで2箇所で固定されているスライダ部材が前後移動すると、スプール軸の先端に装着されたスプールが前後移動する。ここでは、スライダ部材がカム係合溝を挟んで2箇所でスプール軸に固定されているので、スライダ部材がスプール軸により補強されてその比強度を高く維持できるようになり、カム係合溝がカムにより押圧されても変形しにくくなる。このため、貫通するカム係合溝をスライダ部材に設けても回転部材からスライダ部材への伝達効率の低下を抑えることができる。
【0011】
発明2に係るスピニングリールの往復移動機構は、発明1に記載の機構において、スライダ部材は、スプール軸に2箇所でねじにより固定されている。この場合には、スライダ部材がねじにより固定されているのでスライダ部材の組立が容易である。
発明3に係るスピニングリールの往復移動機構は、発明1又は2に記載の機構において、カムは、第1カム部と、第1カム部と第2軸方向に並べて配置され少なくとも部分的に第1カム部と径方向位置が異なる第2カム部とを有し、カム係合溝は、第1軸方向に延び第1カム部に係合する第1カム係合部と、第1カム係合部と第2軸方向に並べて配置され第1軸方向に延び第2カム部に係合する第2カム係合部とを有する。この場合には、2種のカム部及びカム係合部との係合関係を回転途中で切り換えることにより回転運動を等速直線運動に近づけることができる。
【0012】
発明4に係るスピニングリールの往復移動機構は、発明3に記載の機構において、第1カム部は、第2カム部より径方向外方に突出している。この場合には、第1カム部が第2カム部より径方向外方に位置しているので、第1カム部と第1カム係合部との係合によるギア部材の回転に対するスライダ部材の移動量が、第2カム部と第2カム係合部との係合による移動量より大きくなる。つまり、第1カムと第1カム係合部とで高速のカムが構成され、第2カムと第2カム係合部とで低速のカムが構成される。このような高低速のカムを用意することにより、そのままでは回転部材の回転に対して比較的低速移動する移動位置の両端部で第1カム部と第1カム係合部とを高速移動が可能なように構成し、比較的高速移動する移動位置の中間部で第2カム部と第2カム係合部とを低速移動が可能なように構成すれば、回転部材の回転に対して、スライダ部材の往復移動を簡単な構成で等速直線運動に近づけることができ、糸巻形状を改善できる。
【0013】
発明5に係るスピニングリールの往復移動機構は、発明3又は4に記載機構において、第1カム部と第2カム部とは、同一周方向位置で回転部材の側面から前記第2軸方向に突出して設けられている、この場合には、2つのカム部の周方向位置が同じであるので、カム係合部の形成が容易である。
発明6に係るスピニングリールの往復移動機構は、発明3から5のいずれかに記載の機構において、両カム部は、径方向の内側と外側とに両カム係合部にそれぞれ係合する係合面を有している。この場合には、両カム部の一方の外側の係合面と他方の内側の係合面とを両カム係合部に係合させることにより、がたつきを抑えてスライダ部材を往復移動させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
〔全体構成〕
図1に示す本発明の一実施形態が採用されたスピニングリールは、釣り竿の長手方向に沿う第1軸X回りに釣り糸を巻き取るレバーブレーキ型のリールであって、ハンドル1を備えたリール本体2と、リール本体2の前部に第1軸X回りに回転自在に支持されたロータ3と、ロータ3の前部に配置された釣り糸を巻き取るスプール4とを備えている。
【0015】
リール本体2は、例えば合成樹脂製である。リール本体2は、釣り竿に装着される前後に長い装着部2cと、装着部2cと間隔を隔てて配置されたリールボディ2aと、装着部2cとリールボディ2aとを連結する脚部2bとを有している。リールボディ2aは、内部に機構装着空間を有しており、その側部は開口している。この開口部分は蓋部材2d(図2及び図4)により覆われている。リールボディ2aの前部には、取付フランジ付きの金属製の筒状の取付部材2eが装着されている。
【0016】
リールボディ2aの内部には、ロータ3を回転させるためのロータ駆動機構5と、ロータ3の糸繰り出し方向の回転(逆転)を制動するためのレバーブレーキ機構6と、スプール軸8を介してスプール4を前後に往復移動させるオシレーティング機構(往復移動機構の一例)7とが設けられている。
ロータ3は例えば合成樹脂又は金属製であり、リール本体2に回転自在に支持されている。ロータ3は、円筒部3aと、円筒部3aの側方に互いに対向して設けられた第1アーム部3b及び第2アーム部3cとを有している。また、円筒部3aの前壁3d側の内周面には、ロータ3の糸繰り出し方向の回転をレバーブレーキ機構6に伝達するための爪式のワンウェイクラッチ32の鋸歯状の逆転禁止凹凸部42が形成されている。円筒部3aの前壁3dの中央部には貫通孔3eを有するボス部3fが形成されている。この貫通孔3eにスプール軸8及びピニオンギア12(後述)が貫通している。第1アーム部3bの先端と第2アーム部3cの先端部とには、揺動自在にベールアーム9が設けられている。このベールアーム9により釣り糸がスプール4に案内される。
【0017】
スプール4は、例えば合成樹脂と金属とを複合したハイブリッド型のものである。スプール4は、ロータ3の第1アーム部3bと第2アーム部3cとの間に配置されており、スプール軸8の先端にワンタッチ着脱機構53を介して着脱自在かつ回転不能に装着されている。スプール4は、糸巻胴部7aを有するスプール本体7と、糸巻胴部7aの前端部に取り付けられた大径の前フランジ部51と、前フランジ部51をスプール本体7に固定するための前フランジ固定部材52とを有している。スプール本体7は、外周に釣り糸が巻かれる筒状の糸巻胴部7aと、糸巻胴部7aの後端部に一体成形された大径筒状のスカート部7bと、糸巻胴部7aの内周側に取り付けられた内筒部材7cとを有している。
【0018】
糸巻胴部7a及びスカート部7bは、アルミニウム合金、ステンレス合金、チタン合金、マグネシウム合金などの金属薄板をプレス加工により一体成形して得られた大小2段の筒状の部材である。
ロータ駆動機構5は、図1に示すように、ハンドル1が固定されたハンドル軸10とともに回転するマスターギア11と、このマスターギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。ハンドル軸10は、リール本体2に回転自在に支持されている。ピニオンギア12は筒状に形成されており、その前部12aはロータ3の貫通孔3eを貫通してスプール4側に延びている。この前部12aで、ロータ3はナット13によりピニオンギア12に回転不能に固定されている。ピニオンギア12は、前部と中間部とで軸受14a,14bによりリール本体2に回転自在に支持されている。なお、前部の軸受14aは、リール本体2を構成する取付部材2eの内周面に装着されている。ナット13は、リテーナ36により緩み止めされている。リテーナ36は前壁3dに形成されたねじ孔にねじ止めされたビスにより固定されている。
【0019】
レバーブレーキ機構6は、図1及び図2に示すように、ロータ3の糸繰り出し方向の回転を制動するための制動部60と、制動部60の制動力を調整操作するための制動レバー61と、制動部60を所定制動状態に操作するための補助レバー62と、制動レバー61を装着部2cから離反する方向に付勢するコイルばね63と、補助レバー62により所定制動状態と制動解除状態とに切換可能な所定制動部64(図2)と、ロータ3の逆転により発音する発音装置65(図2)とを有している。
【0020】
〔オシレーティング機構の構成〕
オシレーティング機構17は、図3及び図4に示すように、スプール4の中心部に固定されたスプール軸8を前後方向に移動させてスプール4を同方向に移動させるための機構である。オシレーティング機構17は、マスターギア11と連動して回転するギア部材15と、ギア部材15の回転に連動してスプール軸方向に往復移動するスライダ部材16とを有している。
【0021】
ギア部材15は、ハンドル軸10と略平行な軸回りに回転自在にボディ2aの壁面に装着されている。ギア部材15は、マスターギア11の軸部11aに形成された駆動ギア11bに噛み合っている。ギア部材15のスライダ部材16に対向する側面の周縁部には、スライダ部材16側に突出する第1カム部21a及び第2カム部21bを有するカム21が形成されている。
【0022】
第1カム部21aは、図3から図6に示すように、ギア部材15の側面からスライダ部材16側に突出しており、第2カム部21bより径方向外方に位置している。第2カム部21bは、第1カム部21aと略同幅であり、径方向に沿った長さが少し短い。第2カム部21bは、第1カム部21aからさらにスライダ部材16側に突出している。第1カム部21aの径方向外側の係合面24aは半円弧形状であり、内側の係合面24bは、係合面24aより大径の凹んだ円弧面である。第2カム部21bの径方向外側の係合面25aは、先端が丸められた三角形状であり、内側の係合面25bは、両端が僅かに丸められた直線形状である。第2カム部21bは、第1カム部21aと同幅であり、径方向に沿った長さが少し短い。第2カム部21bは、第1カム部21aからさらにスライダ部材16側に階段状に突出している。両カム部21a,21bは、ギア部材15の同じ周方向位置に形成されている。
【0023】
スライダ部材16は、リール本体2によってスプール軸8と平行な軸方向に往復移動自在に支持されている。スライダ部材16は、スプール軸8の後端部に2本の皿ねじ18により回転不能かつ軸方向移動不能に固定されている。
スライダ部材16のギア部材15に対向する側面には、ギア部材15の第1カム部21aに係合する第1カム係合スロット22aと、第2カム部21bに係合する第2カム係合スロット22bとを有するカム係合溝22が形成されている。
【0024】
この第1カム部21aと第1カム係合スロット22aとの係合によって高速カムが、第2カム部21bと第2カム係合スロット22bとの係合によって低速カムがそれぞれ実現される。
カム係合溝22は、ギア部材15の回転軸芯と平行な軸方向に貫通して形成されており、皿ねじ18は、貫通するカム係合溝22を挟んでスライダ部材16の両端部で図4左側の蓋部材2d側からスプール軸8にねじ込まれている。
【0025】
このように、スプール軸8に2箇所でスライダ部材16を固定することにより、カム係合溝22が貫通していても、スライダ部材16がスプール軸8により補強され、その比強度を高く維持できるようになり、カム係合溝22がカム21により押圧されても変形しにくくなる。このため、貫通するカム係合溝22をスライダ部材16に設けてもギア部材15からスライダ部材16への伝達効率の低下を抑えることができる。
【0026】
両スロット22a,22bは、図6及び図7に示すように、スプール軸8の軸芯Xと直交する第1軸Y1方向に延び、第1軸Y1に対して対称な形状のスロットであり、第1及び第2カム部21a,21bの突出方向に並べて形成されている。また、両スロット22a,22bは、第1軸Y1と直交しかつギア部材15の回転軸芯を通る第2軸X1に対しても対称な形状のスロットである。第1カム係合スロット22aは、第1カム部21aに係合するため、第2係合スロット22bよりスプール軸8と直交する方向の長さが長い。
【0027】
第1カム係合スロット22aは、スプール軸8と直交する方向の両端に形成された第1半円弧部26aと、第1半円弧部26aから第2軸に向けて僅かに外方に凸に湾曲して形成された第1対向部26bと、第1対向部26bからスロット22aの中心に向けて徐々に間隔が狭まるように僅かに外方値凸に湾曲しながら傾斜して形成された第1傾斜部26cとを有している。このうち、第1半円弧部26aや第1対向部26bは、第1カム部21aが係合しないような形状であればよく、半円弧や僅かに湾曲する形状でなくてもよい。第1対向部26bの境界部分から第1傾斜部26cにかけては第1カム部21aが係合する部分であり、この形状はスライダ部材16の移動速度に対して重要な因子となる。
【0028】
第2カム係合スロット22bは、スプール軸8と交差する方向の両端に第1半円弧部26aより小径に形成された第2半円弧部27aと、第2半円弧部27aから第2軸X1に向けて平行に形成された第2対向部27bと、第2対向部27bから第2軸X1に向けて徐々に間隔が拡がるように傾斜しかつ第2軸X1の両側で第2軸X1と直交して平行に形成され途中で第1傾斜部26cより間隔が広くなる第2傾斜部27cとを有している。第2傾斜部27cは、第1カム部21aの係合面24aが第1カム係合スロット22aに係合しているときに、第2カム部21bの係合面25bが常に接触可能な形状である。
【0029】
第2対向部27bの間隔は、第2カム部21bの幅と実質的に同一かやや大きい。第1傾斜部26cの一方と第2傾斜部27cの他方との中心(第2軸X1上)での間隔は、第1カム部21aの係合面24aから第2カム部21bの係合面25bまでの長さと実質的に同一かやや大きい。この第1カム部21aと第1カム係合スロット22aとの係合と第2カム部21bと第2カム係合スロット22bとの係合とが途中で切り換わって、ギア部材15の回転運動がスライダ部材16の往復直線運動に変換され、スプール4がスプール軸方向Xに往復移動する。
【0030】
ここでは、径方向外方に位置する第1カム部21aと第1カム係合スロット22aとの係合による高速カムにおける回転運動の往復移動への変換の割合は、第2カム部21bと第2カム係合スロット22bとの係合による低速カムにおける割合より大きい。このため、スライダ部材16の移動速度が遅くなる移動位置の両端部から前後45度の回転位置で高速カムによる係合が、移動速度が速くなる中間部の前後45度の回転位置で低速カムによる係合がそれぞれ行われるように2種のカムを切り換えることにより、回転運動を等速直線運動に近い状態に変換できる。また、第1カム部21aによる係合の際にも間隔が狭くなる第1傾斜部26cを設けることにより両端部に移動するにつれて回転角度当たりの移動量を多くして等速直線運動を維持できるようにしている。
〔リールの操作及び動作〕
キャスティング時には、釣り糸を人差し指で引っ掛けた状態でベールアーム9を糸開放姿勢側に倒してキャスティングを行う。
【0031】
釣り糸巻き取り時には、ベールアーム9を糸巻き取り姿勢側に倒す。この状態でハンドル1を糸巻き取り方向に回転させると、この回転力はハンドル軸10及びマスターギア11を介してピニオンギア12に伝達される。このピニオンギア12に伝達された回転力は、ピニオンギア12の前部12aを介してロータ3に伝達される。
【0032】
一方、マスターギア11の回転に伴い駆動ギア11bに噛み合うオシレーティング機構17のギア部材15が回転し、この回転が両カム部21a,21bのいずれかによりスライダ部材16に伝達される。この結果、スライダ部材16がスプール軸8の軸方向Xに沿って往復移動する。
このとき、図8(a)に示すように、スライダ部材16が前方位置から中間位置に返ってきたとき、第1及び第2カム部21a,21bが上部に配置されスプールが中間部に配置される。この状態では、第1カム部21aは、第1カム係合スロット22aの第1半円弧部26aの頂点(中心部)に位置している。ギア部材15の中心からスライダ16までの前後方向の移動距離をLとすると、このときの移動距離Lは0である。
【0033】
この状態でハンドル1を糸巻取方向に回転させると、ギア部材15は、矢印Yに示すように図8時計回りに回転する。このときのギア部材15が90度回転するときの9度毎の係合状態の変化を図8に示している。このとき、図8(f)に示す45度の回転位置に回転するまでは、第2カム部21bが第2カム係合スロット22bと係合して回転に対する移動速度を遅くする。すなわち、スライダ部材16の移動位置の中間位置である図8(a)に示す状態から、ギア部材15が回転すると、第1カム部21aと第1カム係合スロット22aとの係合が徐々に外れ、第2カム部21bと第2カム係合スロット22bとが係合して低速のカムを使用して第2カム部21bの係合面25aが第2カム係合スロット22bを押圧してスライダ部材16を徐々に後退させる。
【0034】
そして、図8(f)に示す45度の回転位置まで回転すると、第1カム部21aが第1カム係合スロット22aの第1対向部26bに係合し、第1カム部21aと第1カム係合スロット22aとの係合による高速カムを使用してスライダ部材16を押圧して移動させる。すなわち、図8(f)の45度の回転位置において低速カムから高速カムに切り換えられる。そして、第1カム部21aの係合面24aは、第1カム係合スロット22aの第1傾斜部26cに係合しながら、スライダ部材16を押圧する。この第1傾斜部26cは、間隔が徐々に狭くなる傾斜面であるので、ギア部材15の回転に対して移動速度を等速に維持する作用がある。このため、移動位置後端まで等速直線運動状態が維持される。そして、図8(k)に示す後端位置に到達すると、第1カム部21aの係合面24aが第1カム係合スロット22aに接触するとともに、第2カム部21bの係合面25bが第2カム係合スロット22bに接触する。なお、これらの移動時に、第2カム部21bの係合面25bは、第2カム係合スロット22bに常に接触している。これにより、スライダ部材16の移動時のがたつきを抑えている。
【0035】
図9にスライダ部材16が1回転するときの移動位置の変化を示している。図9では縦軸にスライダ部材16の中心位置からの移動距離Lをとり、横軸にギア部材15の後退位置からの回転位置をとっている。ここでは、スプールの移動ストロークを、便宜のために15mmに設定している。この図9の270度から360度までの回転位置の範囲が図8に示した移動時のスライダ部材16の移動速度を示している。従来の係合ピンによる減速ギア式のオシレーティング機構では、このグラフがコサインカーブになるが、本実施形態では、一次直線に近づいている。このため、糸巻形状を平坦に近い形状に改善できる。
【0036】
なお、スライダ部材16が移動位置の後端位置に到達すると、第2カム部21bの係合面25bが第2カム係合スロット22bの傾斜面27cに接触してスライダ部材16が前方に押圧されて移動する。このとき、第1カム部21aの係合面24aは第1カム係合スロット22aに係合している。このため、図8(k)から図8(f)に戻るまでは、第1カム部21aと第1カム係合スロット22aとの係合により回転に対して高速カムを使用してスライダ部材16を移動させる。そして、図8(f)から図8(a)に至る中間部まで行くと、第2カム部21bと第2カム係合スロット22bとによる低速カムを使用してスライダ部材16を移動させる。
【0037】
ここでは、中間位置から前後45度の角度範囲では低速カムを利用し、それより両端側で高速カムを利用し、さらに高速カム利用時には第1カム係合スロット22aの第1傾斜部26cを用いて等速直線運動を維持するように構成したので、全体として等速直線運動に近い状態を実現できる。このため、余分な部材を用いることなく簡単な構成で、伝達ロスを抑えて糸巻形状を改善できる。
【0038】
また、スライダ部材16がカム係合溝22を挟んで2箇所でスプール軸8に皿ビス18により固定されているので、スライダ部材16がスプール軸8により補強されて比強度を高く維持できるようになり、カム係合溝22がカム21により押圧されても変形しにくくなる。このため、貫通するカム係合溝22をスライダ部材16に設けてもギア部材15からスライダ部材16への伝達効率の低下を抑えることができる。
【0039】
〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、2本の皿ねじ18を蓋部材2d側からねじ込んでいるが、2本の皿ねじのねじ込み方向は前記実施形態に限定されずかつ2本の皿ねじを別々の方向からねじ込んでもよい。もちろんねじは皿ねじに限定されないが皿ねじを用いると、ねじの頭部の突出を抑えることができる。
【0040】
(b)前記実施形態では、スプール軸8にねじによりスライダ部材16を固定したが、固定方向はねじに限定されず溶着、接着、圧入、カシメ固定、インサート成形等の他の固定手段を用いてもよい。
(c)前記実施形態では、カム係合溝に2種のカム係合スロットを形成したが、1つでも3つ以上形成してもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、スライダ部材がカム係合溝を挟んで2箇所でスプール軸に固定されているので、スライダ部材がスプール軸により補強されてその比強度を高く維持できるようになり、カム係合溝がカムにより押圧されても変形しにくくなる。このため、貫通するカム係合溝をスライダ部材に設けても回転部材からスライダ部材への伝達効率の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用したスピニングリールの側面断面図。
【図2】図1のII−II断面図。
【図3】そのオシレーティング機構の拡大断面図。
【図4】図1のIV−IV断面図。
【図5】第1及び第2カム部の正面図。
【図6】図5のVI−VI断面図。
【図7】第1及び第2カム係合スロットの形状を説明する図。
【図8】オシレーティング機構の移動時のスライダとギア部材との位置関係を示す模式図。
【図9】ギア部材の回転位置とスライダの移動距離との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 ハンドル
2 リール本体
3 ロータ
4 スプール
8 スプール軸
15 ギア部材
16 スライダ部材
17 オシレーティング機構
18 皿ねじ
21 カム
21a 第1カム部
21b 第2カム部
22 カム係合溝
22a 第1カム係合スロット
22b 第2カム係合スロット

Claims (6)

  1. スピニングリールのリール本体に装着されたスプールをハンドルの回転に連動して軸方向に往復移動させるスピニングリールの往復移動機構であって、
    カムを有し、前記ハンドルの回転に連動して前記ハンドルの回転軸と略平行な軸回りに回転する回転部材と、
    前記スプールが先端に装着されたスプール軸と交差する第1軸方向に延び前記カムに係合し前記第1軸と交差する第2軸方向に貫通するカム係合溝を有し、前記スプール軸の後端側に前記カム係合溝を挟んだ2箇所で固定され、前記リール本体に前記スプール軸方向に移動自在に装着されたスライダ部材とを備え、
    前記カムとカム係合溝との係合により前記スプール軸方向に前記スライダ部材を往復移動させる、スピニングリールの往復移動機構。
  2. 前記スライダ部材は、前記スプール軸に前記2箇所でねじにより固定されている、請求項1に記載のスピニングリールの往復移動機構。
  3. 前記カムは、第1カム部と、前記第1カム部と前記第2軸方向に並べて配置され少なくとも部分的に前記第1カム部と径方向位置が異なる第2カム部とを有し、
    前記カム係合溝は、前記第1軸方向に延び前記第1カム部に係合する第1カム係合部と、前記第1カム係合部と前記第2軸方向に並べて配置され前記第1軸方向に延び前記第2カム部に係合する第2カム係合部とを有する、請求項1又は2に記載のスピニングリールの往復移動機構。
  4. 前記第1カム部は、前記第2カム部より径方向外方に突出している、請求項3に記載のスピニングリールの往復移動機構。
  5. 前記第1カム部と前記第2カム部とは、同一周方向位置で前記回転部材の側面から前記第2軸方向に突出して設けられている、請求項3又は4に記載のスピニングリールの往復移動機構。
  6. 前記両カム部は、径方向の内側と外側とに前記両カム係合部にそれぞれ係合する係合面を有している、請求項3から5のいずれかに記載のスピニングリールの往復移動機構。
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