JP2004055203A - ダイバーシティ受信機用基板コネクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のアンテナケーブルとプリント回路基板との間の電気信号の受け渡しを行うダイバーシティ受信機用基板コネクタにおいて、部品点数の削減および組み立て工数の低減を可能とし、さらに、小型化ならびにプリント回路基板に対する専有面積の縮小化をも可能とするダイバーシティ受信機用基板コネクタを提供すること。
【解決手段】アンテナケーブル50とプリント回路基板40との間の電気信号を受け渡す役割を担う内導体端子11,13を誘電体12,14を介して外導体端子20内に収容してなるシールド端子10をハウジング30内に収容したダイバーシティ受信機用基板コネクタにおいて、外導体端子20を、内導体端子11,13を誘電体12,14を介して複数収容可能とし、隣接する内導体端子11,13同士を電磁的に遮蔽する遮蔽部を備えたものとする。
【選択図】 図1
【解決手段】アンテナケーブル50とプリント回路基板40との間の電気信号を受け渡す役割を担う内導体端子11,13を誘電体12,14を介して外導体端子20内に収容してなるシールド端子10をハウジング30内に収容したダイバーシティ受信機用基板コネクタにおいて、外導体端子20を、内導体端子11,13を誘電体12,14を介して複数収容可能とし、隣接する内導体端子11,13同士を電磁的に遮蔽する遮蔽部を備えたものとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイバーシティ受信機用基板コネクタに関し、更に詳しくは、複数本のアンテナケーブルとプリント回路基板とを電気的に接続する中継的な役割を担うものであって、アンテナケーブルの端末部が接続されるケーブル端子とプリント回路基板との間の電気信号を伝送する内導体端子とこの内導体端子を電磁的に遮蔽する外導体端子と両端子間を絶縁状態で保持する誘電体とを備えたシールド端子をハウジング内に配設してなるダイバーシティ受信機用基板コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カーナビゲーションシステム等の普及に伴い、自動車のような移動によって電波の受信状態が刻々と変化する環境においても常に良好な受信状態が得られる受信装置が求められている。このように受信状態に変化を伴う車載用途の受信装置においては、一般に、複数のアンテナで電波を同時に受けて、電波を強く受信したアンテナを選択して使用可能とするダイバーシティ受信の方法が採用されている。
【0003】
このようなダイバーシティ受信用として、アンテナと受信装置との間を電気的に接続する接続装置(ダイバーシティ受信機用コネクタ)としては、例えば、特開平8−264233号公報に示されているものが知られている。この公報に示されているダイバーシティ受信機用コネクタは、電波を受信するメインとサブの2つのアンテナと、受信機を構成する集積回路を備えたプリント回路基板とをつなぐ中継的な役割を果たすコネクタであって、それぞれのアンテナのホット側端子との接続部を担うメインホット切片とサブホット切片とを備えている。これらのアンテナのコネクタへの接続は、各アンテナのホット側端子を対応するメイン又はサブホット切片を個々に組み付けることによってなされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のようなダイバーシティ受信機用のコネクタは、複数本のアンテナをそれぞれ別々にコネクタに組み付ける構造であるため、接続されるアンテナ(ケーブル)の数が多くなるほど組付工程は増加し、組付作業の効率化を妨げる要因となっていた。また、複数本のアンテナケーブルと接続されるいわゆる多極型のコネクタは、各アンテナケーブルとの接続部を個々に遮蔽するためにケーブル数に対応するだけのシールド端子を配設させなければならず、これらシールド端子を一定間隔をおいて配設させるためのスペースも必要となる。このため、アンテナ(ケーブル)数が増えるほどコネクタの部品点数が増加すると共に、コネクタが大型化するといった問題があった。これに対して、シールド端子の収容スペースを縮小するために、1つの外導体端子内に複数の内導体端子を誘電体を介して収容すると共に各内導体端子間を電磁的に仕切る遮蔽部材を介在させる構造を有するコネクタも考えられるが、遮蔽部材を別部品として組み付けることが必要となるため、部品点数および組立工数が増大し、作業の効率化が図れないといった問題があった。
【0005】
ところで、このようなダイバーシティ受信機用のコネクタは受信機を構成する集積回路を備えたプリント回路基板との接続が必要となるが、コネクタが大型化するほどコネクタのプリント回路基板に対する専有面積が大きくなり、その分信号パターンや電子素子などの配設スペースを削るか、プリント回路基板自体を大型化させる必要があった。特に、アンテナケーブルに接続されるシールド端子がプリント回路基板面に対して横方向に配設されるコネクタの場合には、プリント回路基板に対する専有面積の増大化は大きな問題であった。
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、部品点数の削減および組立工数の低減を行うことができると共に、小型化ならびにプリント回路基板に対する専有面積の縮小化をも図ることが可能なダイバーシティ受信機用基板コネクタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、請求項1に記載のように、複数本のアンテナケーブルとプリント回路基板との間を電気的に接続するものにおいて、前記アンテナケーブルが接続されたケーブル端子に接続されるケーブル側接続部とプリント回路基板に接続される基板側接続部とを有する内導体端子と、内導体端子を覆う誘電体と、誘電体を覆うと共に内導体端子を電磁的に遮蔽する外導体端子とを備えたシールド端子をハウジング内に収容してなるものであって、前記外導体端子には、前記内導体端子が複数収容され、隣接する内導体端子間を電磁的に遮蔽する遮蔽部が一体に設けられていることを要旨とする。
【0008】
このように、本発明に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、シールド端子の外殻を構成する外導体端子が、複数の内導体端子を収容可能とするものであれば、ハウジング内におけるシールド端子の収容スペースが1つで済むので、内導体端子を外導体端子によって1つずつ遮蔽してなるシールド端子をハウジング内に複数収容する従来型のコネクタのように隣接するシールド端子間を隔てるための隔壁を設ける必要がなく、コネクタ全体の小型化を図ることができる。
【0009】
また、外導体端子が、収容される複数の内導体端子間を電磁的に遮蔽するための遮蔽部を一体に設けてなるものであれば、遮蔽部が別部材から成るコネクタのように、遮蔽部を外導体端子に別途組み付ける作業を必要としないので、部品点数の削減及び組立工数の低減を図ることができる。
【0010】
この場合に、請求項2に記載のように、前記内導体端子が、ケーブル側接続部と基板側接続部とが略直角の関係にあり、前記ケーブル側接続部がプリント回路基板面に対して略平行に配向されると共に前記基板側接続部がプリント回路基板面に対して略垂直に配向された状態でこの回路基板に接続されるように、前記誘電体を介して前記外導体端子内にプリント回路基板面に対して略垂直な方向に複数収容されていることが好ましい。このように構成されておれば、1つには、シールド端子をプリント回路基板面に対して横方向に配設させてなる従来型のコネクタと比べて、プリント基板面に対する専有面積が縮小されるので、その縮小可能なスペースに信号パターンや電子素子等を配設させることによってプリント回路基板の小型化を図ることが可能となる。また1つには、プリント回路基板の大きさはそのままに、縮小可能な専有面積分だけプリント回路基板面上に配設される配線回路の専有面積を増大化させることが可能となる。
【0011】
また、請求項3に記載のように、前記誘電体が、前記内導体端子のケーブル側接続部を挿通可能とする挿通部を複数備えており、隣接する挿通部間に前記外導体端子の遮蔽部を差込挿入可能とする差込部が設けられているものであれば、複数の内導体端子とこれらを遮蔽する外導体端子とが、一体部材として構成される誘電体によって一括して絶縁保持されるので、内導体端子の配設数に応じてそれと同数の誘電体を備えてなる従来のコネクタのように、誘電体を外導体端子内に個々に収容する手間が省かれ、部品点数の削減及び組立工数の低減を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタについて、図1〜図15を用いて詳細に説明する。なお、本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、2本のアンテナケーブルと接続されるいわゆる「2極型」とした。これは、通常用いられているダイバーシティ受信機用のコネクタが、メインとサブの2つのアンテナ(アンテナケーブル)とプリント回路基板との接続に用いられているためである。
【0013】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタを、図1に分解斜視図として示す。以下、本実施の形態の説明においては、後述する相手側コネクタ100(以下、「ケーブル側コネクタ100」と称する)との接続側を「前側」とし、図1に示す向きによって上下左右の関係を表している。本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタ1(以下、「基板コネクタ1」と称する)は、大きさの異なる2つの略直角型の内導体端子11,13が誘電体12,14を介して外導体端子15内に収容されてなるシールド端子10をハウジング30内に配設させたものである。シールド端子10の一端側は、図1中では図示しないアンテナケーブル50が接続されたケーブル側コネクタ100に接続され、他端側は、同じく図1中では図示しないプリント回路基板40に接続される。以下に、基板コネクタ1の構成について詳細に説明する。
【0014】
内導体端子11,13は、板状の導電性材料から形成されており、一端側が後述するアンテナケーブル50が接続されたケーブル端子110に接続されると共に、他端側が後述するプリント回路基板40に接続され、アンテナケーブル50、プリント回路基板40間の電気信号を直接的に受け渡す役割を担う。この内導体端子11,13は、略直角の関係にあるケーブル側接続部11a,13aと基板側接続部11b,13bとからなる。ケーブル側接続部11a,13aはケーブル側コネクタ100を構成する内導体端子111と嵌合接続され(図11参照)、基板側接続部11b,13bは後述するプリント回路基板40のスルーホール41aに嵌め込まれて基板面上の信号パターン42とハンダ接続される(図9参照)。
【0015】
誘電体12,14は、絶縁性の樹脂材料等により形成されており、内導体端子11,13と後述する外導体端子20とを絶縁状態に保持する役割を担う。これら誘電体12,14は、図1及び図6に示すように、一端側を開放する収容部12a,14aを備え、この開放部から内導体端子11,13が挿入される。また、この収容部12a,14aから前後方向に貫通する挿通孔12b,14bが設けられ、内導体端子11,13のケーブル側接続部11a,13aが挿入される。また、上側に配設される誘電体14の上面には、前後に段差のある溝部14cが設けられている。
【0016】
外導体端子20は、板状の導電性材料からなり、誘電体12,14の周囲を覆うと共に内導体端子11,13を電磁的に遮蔽する役割を担う。この外導体端子20は、図2に示す展開図状に打抜きプレスした板状体を折り曲げ加工して形成されたものである。また、この外導体端子20の展開図において、破線が折曲げ加工時の「山折り」線(紙面に対して奥行側への折曲げ)を、一点鎖線が折曲げ加工時の「谷折り」線(紙面に対して手前側への折曲げ)をそれぞれ示している。なお、この展開図の折曲げは、図2中に示した<>内の数字の順番に従って行う。
【0017】
一方、この展開図から折曲げ形成されてなる外導体端子20は、図1に示すように、前後方向に延設される嵌合部20Aと、この嵌合部20Aの後部から下方に延設される基板組付部20Bとから構成されている。嵌合部20A先端の開口部には、後述するケーブル側コネクタ100を構成するケーブル端子110が嵌め込まれ、基板側組付部20Bの下端部は、プリント回路基板40へと組み付けられる。
【0018】
以下に、外導体端子20の構成を、図1中の折曲げ形成体及び図2に示した展開図を参照しながら説明する。嵌合部20Aの上下壁面22,24及び左右壁面21,23には、嵌合される相手側のケーブル端子110の外周面に弾性接触可能とする接触部21a,22a,23a,24aが内側に突設されている。また、嵌合部20Aの上壁面22後部には、係止部22bが内側に突設されている。この係止部22bは、上段側に収容される誘電体14の溝部14cの段差部に係合することで誘電体14を抜脱不能に係止する役割を担う。また、係止部22bの一側の延長上にはスタビライザ22cが形成されており、後述する側片27に延設されるスタビライザ27cと対をなし、基板側ハウジング30内の嵌合溝31aに挿入される(図8参照)。また、スタビライザ22cの直下にはランス21dが外側に突設されており、同じく側片27に突設されるランス27dと対をなし、後述する基板側ハウジング30内のランス係合部31bに嵌合される。
【0019】
嵌合部20A及び基板組付部20Bの一側壁面23の後部には、遮蔽部25が形成されており、誘電体12,14を介して収容される2つの内導体端子11,13同士を電磁的に遮蔽する役割を担う。この遮蔽部25は、誘電体12,14を前後に仕切る起立片25aと、誘電体12,14を上下に仕切る水平片25bと、突起25cとから構成されている。突起25cは、一側壁面21に形成される係止孔21cに嵌合係止される。
【0020】
また、嵌合部20Aの上壁面22後端には、外導体端子20の後面開放部を閉塞する折曲げ片26が設けられている。折曲げ片26と上壁面22との結合部には、左右両端縁から切り込みが形成され折曲げ作業の容易化を図っている。さらに、折曲げ片26には側片27が延設されており、この側片27は前述の遮蔽部25の折曲げによって開放状態となる一側壁面23の後部を閉塞する役割を担う。また、折曲げ片26と側片27との相対する一側端縁には、係合片26a,27aが外向きに延設され、さらに係合片26a,27aには、基板組付部20Bの左右壁面21,23に接触する係合突部26b,27bが内側に設けられている。この係合突部26b,27bは、両側壁面21,23に形成される嵌合孔21b,23bに嵌合係止される。
【0021】
また、側片27の長手方向の一側端縁にはスタビライザ27cが延設され、さらにスタビライザ27cの近傍にはランス27dが外側に突設されている。また、側片27の長手方向の他側端縁及び基板組付部20Bの一側壁面21の下端には、対からなる接地用タブ27e,21eが突設されており、後述するプリント回路基板40のグランドパターン43に接続される(図9参照)。また、一側壁面21には、前面部21f及び補強部21gが延設されており、前面部21fは基板組付部20Bの前面の開放部を閉塞し、補強部21gは嵌合部20Aの下壁面24の下から添え当てて嵌合部20Aを補強する役割を担う。
【0022】
ハウジング30は、絶縁性の樹脂材料等から形成されており、上述の内導体端子11,13と誘電体12,14と外導体端子20とを組み付けてなるシールド端子10を保持する役割を担う。このハウジング30には、図4に示すように、収容部31が前後方向に貫通して設けられており、シールド端子10が嵌合収容される。この収容部31の左右壁面には後端側から嵌合溝31aが形成されており、外導体端子20のスタビライザ22c,27cが嵌合される。また、収容部31の左右壁面にはランス係合部31bが凹状に設けられており、外導体端子20のランス21d,27dが嵌合される。また、ランス係合部31bの延長上にある収容部31の左右壁面端縁には導入溝31cが設けられており、ランス21d,27dの導入を容易化させる。
【0023】
また、収容部31の前方には、前面が開口された嵌合部32が設けられており、後述するケーブル側コネクタ100が嵌合収容される。この嵌合部32の前方上端縁にはストッパ32aが突設されており、ケーブル側コネクタ100を抜脱不能に係止可能とする。また、ハウジング30後方の左右外壁面には、図5に示すように、上下方向に貫通するネジ取付孔33aを備えた取付部33が突設されており、後述する組付ネジSをネジ取付孔33aに挿通させてプリント回路基板40にネジ留めすることによってハウジング30がプリント回路基板40上に固定保持される。
【0024】
以下に、上記部材からなる基板コネクタ1を組み付ける工程について説明する。初めに、展開図状の外導体端子20を図1に示した状態へと折曲げ形成する工程について、図2及び図3を参照して説明する。
【0025】
まず、図2に示す前面部21fを折曲げ線<1>に沿って内側(山折り)に折り曲げ、次いで、折曲げ線<2>及び折曲げ線<3>に沿って両側壁面21,23を上壁面22を介して内側(山折り)に折り曲げることにより、前面部21fの先端部を基板側組付部20Bの一側側壁23の端縁に当接させる。次に、嵌合部20Aの下壁面24を折曲げ線<4>に沿って内側(山折り)に折り曲げた後、補強部21gを折曲げ線<5>に沿って内側(山折り)に折り曲げて嵌合部20Aの下壁面24の下側に添え当てることによって嵌合部20Aが枠状に形成する(図3(b)及び(c)参照)。次に、側片27に延設されるスタビライザ27cを折曲げ線<6>に沿って上方(谷折り)に略直角に折り曲げることにより、図1に示した外導体端子20の折曲げ形成体が得られる。
【0026】
次に、上記外導体端子20の折曲げ形成体を用いてシールド端子10を組み付ける工程を図6及び図7を参照して説明する。まず、内導体端子11,13を誘電体12,14の後方から収容部12a,14aへと押し込み、ケーブル側接続部11a,13aを挿通部12b,14bへと挿通させる(図6(a)参照)。基板側接続部11b,13bが収容部12a,14aの内壁に当接するまで押し込むと、ケーブル側接続部11a,13aと基板側接続部11b,13bのそれぞれの先端が誘電体12,14から突出して、内導体端子11,13の組み付けが完了する(図6(b)及び図7(a)参照)。
【0027】
これらの組付体の内、下段側に収容される組付体11,12(内導体端子11と誘電体12とからなる組付体)を、先に外導体端子20の後方から挿入する(図6(b)参照)。なお、外導体端子20の折曲げ片26及び側片27は水平方向に維持され、嵌合部20A及び基板組付部20Bの後面が開放されている。組付体11,12を外導体端子20の所定位置まで押し込んだ後、外導体端子20の起立片25aを折曲げ線<7>に沿って内側(山折り)に折り曲げて誘電体13の後端に当接させ、さらに水平片25bを折曲げ線<8>に沿って内側(山折り)に折り曲げて誘電体13の上端に当接させる(図6(c)及び図7(b)参照)。このとき、遮蔽部25の突起25cが係止孔21cに係止されることにより、組付体11,12が抜脱不能に係止される。
【0028】
この状態で、上段側に収容される他方の組付体13,14(内導体端子13と誘電体14とからなる組付体)を、同じく外導体端子20の後方から挿入する。この組付体13,14を押し込むと、誘電体14の前方の突出部が嵌合部20Aの上壁面22と遮蔽部25の水平片25bとの間に嵌め込まれると共に、嵌合部20Aの係止部22bが溝部14cの段差部に係合され誘電体14の抜脱が阻止される(図6(d)及び図7(c)参照)。
【0029】
そして、折曲げ線<9>及び折曲げ線<10>に沿って係合片26a及び側片27を内側(山折り)に折り曲げると共に、折曲げ線<11>に沿って折曲げ片26を内側(山折り)に折り曲げて、誘電体14の後面側の開放部を閉塞する。このとき、係合片26a,27aの係合突部26b,27bが基板組付部20Bの係合孔21b,23bに係合され、誘電体12,14がさらに抜け止めされる(図7(d)参照)。以上の工程により、シールド端子10の組み付けが完了する。
【0030】
次に、上記工程により得られたシールド端子10を、図8(a)に示すように、ハウジング30の収容部31へと押し込む。このとき、シールド端子10のスタビライザ22c,27cが収容部31の嵌合溝31aに嵌入されると共に、ランス21d,27dがランス係合部31bにそれぞれ嵌合されることによって、シールド端子10がその先端部を収容部31の前方へと突出させた状態で抜脱不能に係止される(図8(b)参照)。以上により、本実施の形態に係る基板コネクタ1が得られる。
【0031】
こうして得られた基板コネクタ1をプリント回路基板40に組み付けする工程について、図9を参照して説明する。まず、ハウジング30の下端から突出する内導体端子11,13の基板側接続部11b,13bと外導体端子20の接地用タブ21e,27eとをプリント回路基板40のスルーホール41aに挿通させる。このとき、ハウジング30の取付部33のネジ取付孔33aがプリント回路基板40上に形成されるネジ穴44と相重なる。次いで、組付ネジSをネジ取付孔33aとネジ穴44に挿通させプリント回路基板40にネジ止めすることによって、基板コネクタ1がプリント回路基板40上に固定保持される。次いで、スルーホール41a,41bに挿通された基板側接続部11b,13b及び接地用タブ21e,27eをプリント回路基板40の表裏両面側からハンダ付けすることによって、基板側接続部11b,13bが信号パターン42に接続されると共に、接地用タブ21e,27eがグランドパターン43に接続される。以上の工程により、コネクタ1のプリント回路基板40への組付が完了し、基板コネクタ1とプリント回路基板40とが電気的に接続され両者間で電気信号の受け渡しが可能となる。
【0032】
次に、上記基板コネクタ1に接続されるケーブル側コネクタ100の構成について説明する。ケーブル側コネクタ100としては、例えば、図10に示すものが挙げられる。このケーブル側コネクタ100は、ダイバーシティ受信用のアンテナケーブル50の芯線51と接続されるメス型の内導体端子111と、内導体端子111を覆う外導体端子113と、両端子111,113間を絶縁保持する誘電体112とを備えるケーブル端子110をケーブル側ハウジング120内に複数配設させてなるものである。
【0033】
ケーブル側コネクタ100の組付工程について簡単に説明する。まず、アンテナケーブル50の芯線51と接続された内導体端子111を、予め外導体端子113を装着しておいた誘電体112の収容部112aに収容し、次いで、外導体端子113の後端側に設けられる編組バレル113cによってアンテナケーブル50の絶縁外被54側に折り返された編組線53の周面をかしめ接続することによりアンテナケーブル50とケーブル端子110とを組み付ける。次に、このケーブル端子110をケーブル側ハウジング120の収容部121内へと挿入する。この際に、外導体端子63に突出状に設けられるスタビライザ113bを収容部121の両側側壁に形成される嵌合溝121aに嵌め入れて、ケーブル端子60を奥行き方向に押し込む。次に、ケーブル側ハウジング120の下壁面から収容部121に連通して設けられる差込溝122にリテーナ130を押し込んで、スタビライザ113bの後端に当接させることにより、ケーブル端子110を抜脱不能に係止する。以上により、ケーブル側コネクタ100の組付作業が完了する。
【0034】
得られたケーブル側コネクタ100を、図11に示すように、基板コネクタ1の嵌合部22へと嵌め入れる。このとき、ケーブル端子110がシールド端子10に嵌合接続されると共に、ロック部123のストッパ123aが基板側ハウジングのストッパ32aに係止されることにより基板コネクタ1とケーブル側コネクタ100との接続が完了する。
【0035】
本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、アンテナケーブルとプリント回路基板との間の電気信号を受け渡す役割を担う内導体端子が、1つの外導体端子内に複数収容される構造を有しているので、内導体端子が外導体端子内に1つずつ収容される場合と比べて外導体端子間を隔てるための隔壁(スペース)が不要となり、基板側ハウジングにおける外導体端子の収容スペースを小さくすることができる。
【0036】
また、外導体端子が一枚の導電性材料を折曲げ加工することによって形成され、収容される複数の内導体端子間を電磁的に遮蔽するための遮蔽部を予め一体に備えているので、遮蔽部が別部材として構成されている場合と比べて部品点数の削減やコネクタの加工工数の低減を図ることができる。
【0037】
また、本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、略直角型構造を有する複数の内導体端子をプリント回路基板面に対して略垂直の方向(縦方向)に配設させてなるものであり、基板面に対して横方向に配設させてなる場合と比べて、プリント回路基板に対する専有面積を小さくすることができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタについて、図12〜図15を参照して説明する。本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタ1(以下、「基板コネクタ1」と称する)は、誘電体15の構造に特徴を有する。この基板コネクタ1を構成する誘電体15は、絶縁性の樹脂材料等により形成されており、図12(a)に示すように、2つの内導体端子を一括して収容することができる構造を有している。以下に示す本実施の形態の説明においても、図示しないケーブル側コネクタとの接続側を「前側」とし、図12に示す向きによって上下左右の関係を表している。以下に、この誘電体15の構成について説明する。なお、本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタ1を構成するその他の部材については、第1の実施の形態に示したものと同じであるため説明は省略する。
【0039】
この誘電体15は、図12(b)に示すように、一端側を開放する収容部15a,15bを上下に備え、この開放部から内導体端子11,13が挿入される。また、収容部15a,15bから前後方向に貫通する挿通孔15c,15dが設けられており、内導体端子11,13のケーブル側接続部11a,13aが挿入される。また、両収容部15a,15b間の後端側には差込部15eが形成されており、外導体端子20の遮蔽部25が挿入される。また、誘電体15の上面には、前後に段差を有する溝部15fが設けられ、この溝部15fには嵌合部20Aの係止部22bが係合される。
【0040】
次に、上記誘電体15から構成されるシールド端子10を組み立てる工程について、図13及び図14を参照して説明する。まず、展開図の状態にある外導体端子20の下壁面24及び遮蔽部25を折曲げ線<1>、<2>及び<3>に沿って内側(山折り)に折り曲げる。このとき、遮蔽部25を構成する起立片25aと水平片25bとが略直角に屈曲形成される(図13(b)参照)。一方、内導体端子11,13を誘電体15の後方から収容部15a,15bへと押し込み、ケーブル側11a,13aを挿通部15c,15dへと挿通させることにより、内導体端子11,13を誘電体15内に組み付けておく(図13(b)参照)。
【0041】
次に、この組付体11,13,15を側面方向から上記工程により折曲げ形成した外導体端子20へと挿入すると(図13(a)参照)、差込部15eに遮蔽部25の水平片25bが嵌め込まれると共に、下段側の収容部15aの後面が遮蔽部25の起立片25aと、誘電体15の前方の突出部の下面が下壁面24とそれぞれ当接する(図13(b)参照)。
【0042】
次に、図13(b)に示す折曲げ線<4>、<5>及び<6>に沿って上壁面22、側壁面23、及び補強部21gをそれぞれ内側(山折り)に折り曲げて、係止部22bを溝部15fに嵌め込むと共に遮蔽部25の突起25cを係止孔21cに嵌め込むことにより嵌合部20Aを筒状に形成する。さらに、折曲げ線<7>に沿って前面部21fを内側(山折り)に折り曲げることにより基板組付部20Bの前面の開放部を閉塞する。
【0043】
次に、折曲げ線<8>、<9>及び<10>に沿って、スタビライザ27cを外側(谷折り)に、側片27及び係合片26aを内側(山折り)にそれぞれ折り曲げた後(図13(c)参照)、折曲げ線<11>に沿って折曲げ片26を内側(山折り)に折り曲げて誘電体15の後面側の開放部を閉塞する。このとき、係合片26a,27aの係合突部26b,27bが基板組付部20Bの係合孔21b,23bに係合され、誘電体15が抜け止めされる。以上の工程により、シールド端子10の組み付けが完了する。
【0044】
こうして組み付けられたシールド端子10をハウジングに収容した後、プリント回路基板40及び相手側のケーブル側コネクタと接続することとなるが、これの収容及び接続工程は、第1の実施の形態に係る基板コネクタ1と同じであるため説明は省略する。
【0045】
本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、誘電体が複数の内導体端子を一括に収容可能な構造を有しているので、内導体端子の数に応じて誘電体を個々に外導体端子内に収容する場合と比べて、部品点数の削減及びコネクタの加工工数の低減を図ることができる。また、この誘電体には外導体端子の遮蔽部を差込挿入可能な差込部が設けられているので、収容される内導体端子間の遮蔽効果も十分に得られる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0047】
まず、上記実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、2本のアンテナケーブルとの接続が可能ないわゆる「2極型」としたが、3極以上のコネクタであっても良い。また、上記実施の形態では、プリント回路基板面に対するコネクタの専有面積を削減するためプリント回路基板面に対して略垂直な方向(縦方向)に内導体端子を複数配設させてなる「縦型」の構造としたが、これに限らず、プリント回路基板に対して略平行な方向(横方向)に内導体端子を配設させてなる「横型」の構造のものであっても良い。
【0048】
また、上記実施の形態で示した外導体端子の展開図は図示したものに限られるものではなく、複数の内導体端子の収容が可能であり且つ各内導体端子間を電磁的に遮蔽可能なものであれば、いかなる形状を有するものであっても構わない。特に、3極以上のコネクタとなれば種々の変更が可能である。また、外導体端子の展開図から折曲げ形成体へと折り曲げる工程については、上記実施の形態で示したものに限られず種々の変更が可能である。
【0049】
また、第2の実施の形態で示した一体型の誘電体の形態についても、図示したものに限られず、外導体端子の遮蔽部が挿入可能な差込部が設けられていれば、いかなる形状を有していても構わない。また、本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタに接続されるプリント回路基板やケーブル側コネクタの形態についても、図示したものに限られず種々の形態をとりうることは言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】
本発明に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、アンテナケーブルとプリント回路基板との間の電気信号を受け渡す役割を担う内導体端子が1つの外導体端子内に複数収容される構造を有しているので、内導体端子が外導体端子内に1つずつ収容される場合と比べて外導体端子間を隔てる隔壁(スペース)が不要となり、基板側ハウジングにおける外導体端子の収容スペースを小さくすることができる。これにより、部品点数の削減及び加工工数の低減を図ることができると共に、基板側ハウジングならびにダイバーシティ受信機用基板コネクタ全体の小型化を図ることができるという効果がある。
【0051】
また、このコネクタに用いられる外導体端子は、一枚の導電性板材を加工形成することによって構成され、収容される複数の内導体端子間を電磁的に遮蔽するための遮蔽部を予め一体に備えているので、遮蔽部が別部材で構成されている場合のように内導体端子及び誘電体を収容した後に遮蔽部を別途取り付けるといった煩わしさが一切なく、これにより部品点数の削減及びコネクタの加工工数の低減を図ることができるという効果がある。
【0052】
また、本発明に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、略直角型構造を有する複数の内導体端子をプリント回路基板面に対して略垂直の方向(縦方向)に外導体端子内に配設させてなるシールド端子から構成されているので、基板面に対して横方向に配設させてなる場合と比べて、プリント回路基板に対する専有面積を小さくすることができるという効果がある。
【0053】
本実施の発明に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、誘電体が複数の内導体端子を一括に収容可能な構造を有しているので、内導体端子の数に応じて誘電体を個々に外導体端子内に収容する場合と比べて、部品点数の削減及びコネクタの加工工数の低減を図ることができるという効果がある。また、誘電体を1部材としても差込部を設けることにより、外導体端子と一体に備えられる遮蔽部を誘電体内に収容される複数の内導体端子間に介在させることができるので、誘電体を個々に外導体端子内に収容した場合と同等の遮蔽性能が得られるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタの分解斜視図である。
【図2】外導体端子の展開図である。
【図3】外導体端子の折り曲げ工程を示した斜視図である。
【図4】基板側ハウジングの(a)横断面図、及び(b)断面斜視図である。
【図5】基板側ハウジングの背面図である。
【図6】シールド端子の組付工程を示した横断面図である。
【図7】シールド端子の組付工程を示した断面斜視図である。
【図8】シールド端子を基板側ハウジングに組み付ける状態を示した断面斜視図である。
【図9】ダイバーシティ受信機用基板コネクタをプリント回路基板に組み付ける状態を示した斜視図である。
【図10】ダイバーシティ受信機用基板コネクタに接続されるケーブル側コネクタの分解斜視図である。
【図11】ダイバーシティ受信機用基板コネクタとケーブル側コネクタとの接続状態を示した横断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタを構成する誘電体及び内導体端子の(a)外観斜視図、及び(b)横断面図である。
【図13】図12に示す誘電体及び内導体端子を収容する外導体端子の展開図である。
【図14】内導体端子を収容した誘電体を外導体端子を組み付ける工程を示した外観斜視図である。
【図15】図14に示す組付工程によって得られるシールド端子の横断面図である。
【符号の説明】
1 ダイバーシティ受信機用基板コネクタ
2 ケーブル側コネクタ
10 シールド端子
11,13 内導体端子
11a,13a ケーブル側接続部
11b,13b 基板側接続部
12,14,15 誘電体
15e 差込部
20 外導体端子
25 遮蔽部
25a 起立片
25b 水平片
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイバーシティ受信機用基板コネクタに関し、更に詳しくは、複数本のアンテナケーブルとプリント回路基板とを電気的に接続する中継的な役割を担うものであって、アンテナケーブルの端末部が接続されるケーブル端子とプリント回路基板との間の電気信号を伝送する内導体端子とこの内導体端子を電磁的に遮蔽する外導体端子と両端子間を絶縁状態で保持する誘電体とを備えたシールド端子をハウジング内に配設してなるダイバーシティ受信機用基板コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カーナビゲーションシステム等の普及に伴い、自動車のような移動によって電波の受信状態が刻々と変化する環境においても常に良好な受信状態が得られる受信装置が求められている。このように受信状態に変化を伴う車載用途の受信装置においては、一般に、複数のアンテナで電波を同時に受けて、電波を強く受信したアンテナを選択して使用可能とするダイバーシティ受信の方法が採用されている。
【0003】
このようなダイバーシティ受信用として、アンテナと受信装置との間を電気的に接続する接続装置(ダイバーシティ受信機用コネクタ)としては、例えば、特開平8−264233号公報に示されているものが知られている。この公報に示されているダイバーシティ受信機用コネクタは、電波を受信するメインとサブの2つのアンテナと、受信機を構成する集積回路を備えたプリント回路基板とをつなぐ中継的な役割を果たすコネクタであって、それぞれのアンテナのホット側端子との接続部を担うメインホット切片とサブホット切片とを備えている。これらのアンテナのコネクタへの接続は、各アンテナのホット側端子を対応するメイン又はサブホット切片を個々に組み付けることによってなされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のようなダイバーシティ受信機用のコネクタは、複数本のアンテナをそれぞれ別々にコネクタに組み付ける構造であるため、接続されるアンテナ(ケーブル)の数が多くなるほど組付工程は増加し、組付作業の効率化を妨げる要因となっていた。また、複数本のアンテナケーブルと接続されるいわゆる多極型のコネクタは、各アンテナケーブルとの接続部を個々に遮蔽するためにケーブル数に対応するだけのシールド端子を配設させなければならず、これらシールド端子を一定間隔をおいて配設させるためのスペースも必要となる。このため、アンテナ(ケーブル)数が増えるほどコネクタの部品点数が増加すると共に、コネクタが大型化するといった問題があった。これに対して、シールド端子の収容スペースを縮小するために、1つの外導体端子内に複数の内導体端子を誘電体を介して収容すると共に各内導体端子間を電磁的に仕切る遮蔽部材を介在させる構造を有するコネクタも考えられるが、遮蔽部材を別部品として組み付けることが必要となるため、部品点数および組立工数が増大し、作業の効率化が図れないといった問題があった。
【0005】
ところで、このようなダイバーシティ受信機用のコネクタは受信機を構成する集積回路を備えたプリント回路基板との接続が必要となるが、コネクタが大型化するほどコネクタのプリント回路基板に対する専有面積が大きくなり、その分信号パターンや電子素子などの配設スペースを削るか、プリント回路基板自体を大型化させる必要があった。特に、アンテナケーブルに接続されるシールド端子がプリント回路基板面に対して横方向に配設されるコネクタの場合には、プリント回路基板に対する専有面積の増大化は大きな問題であった。
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、部品点数の削減および組立工数の低減を行うことができると共に、小型化ならびにプリント回路基板に対する専有面積の縮小化をも図ることが可能なダイバーシティ受信機用基板コネクタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、請求項1に記載のように、複数本のアンテナケーブルとプリント回路基板との間を電気的に接続するものにおいて、前記アンテナケーブルが接続されたケーブル端子に接続されるケーブル側接続部とプリント回路基板に接続される基板側接続部とを有する内導体端子と、内導体端子を覆う誘電体と、誘電体を覆うと共に内導体端子を電磁的に遮蔽する外導体端子とを備えたシールド端子をハウジング内に収容してなるものであって、前記外導体端子には、前記内導体端子が複数収容され、隣接する内導体端子間を電磁的に遮蔽する遮蔽部が一体に設けられていることを要旨とする。
【0008】
このように、本発明に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、シールド端子の外殻を構成する外導体端子が、複数の内導体端子を収容可能とするものであれば、ハウジング内におけるシールド端子の収容スペースが1つで済むので、内導体端子を外導体端子によって1つずつ遮蔽してなるシールド端子をハウジング内に複数収容する従来型のコネクタのように隣接するシールド端子間を隔てるための隔壁を設ける必要がなく、コネクタ全体の小型化を図ることができる。
【0009】
また、外導体端子が、収容される複数の内導体端子間を電磁的に遮蔽するための遮蔽部を一体に設けてなるものであれば、遮蔽部が別部材から成るコネクタのように、遮蔽部を外導体端子に別途組み付ける作業を必要としないので、部品点数の削減及び組立工数の低減を図ることができる。
【0010】
この場合に、請求項2に記載のように、前記内導体端子が、ケーブル側接続部と基板側接続部とが略直角の関係にあり、前記ケーブル側接続部がプリント回路基板面に対して略平行に配向されると共に前記基板側接続部がプリント回路基板面に対して略垂直に配向された状態でこの回路基板に接続されるように、前記誘電体を介して前記外導体端子内にプリント回路基板面に対して略垂直な方向に複数収容されていることが好ましい。このように構成されておれば、1つには、シールド端子をプリント回路基板面に対して横方向に配設させてなる従来型のコネクタと比べて、プリント基板面に対する専有面積が縮小されるので、その縮小可能なスペースに信号パターンや電子素子等を配設させることによってプリント回路基板の小型化を図ることが可能となる。また1つには、プリント回路基板の大きさはそのままに、縮小可能な専有面積分だけプリント回路基板面上に配設される配線回路の専有面積を増大化させることが可能となる。
【0011】
また、請求項3に記載のように、前記誘電体が、前記内導体端子のケーブル側接続部を挿通可能とする挿通部を複数備えており、隣接する挿通部間に前記外導体端子の遮蔽部を差込挿入可能とする差込部が設けられているものであれば、複数の内導体端子とこれらを遮蔽する外導体端子とが、一体部材として構成される誘電体によって一括して絶縁保持されるので、内導体端子の配設数に応じてそれと同数の誘電体を備えてなる従来のコネクタのように、誘電体を外導体端子内に個々に収容する手間が省かれ、部品点数の削減及び組立工数の低減を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタについて、図1〜図15を用いて詳細に説明する。なお、本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、2本のアンテナケーブルと接続されるいわゆる「2極型」とした。これは、通常用いられているダイバーシティ受信機用のコネクタが、メインとサブの2つのアンテナ(アンテナケーブル)とプリント回路基板との接続に用いられているためである。
【0013】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタを、図1に分解斜視図として示す。以下、本実施の形態の説明においては、後述する相手側コネクタ100(以下、「ケーブル側コネクタ100」と称する)との接続側を「前側」とし、図1に示す向きによって上下左右の関係を表している。本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタ1(以下、「基板コネクタ1」と称する)は、大きさの異なる2つの略直角型の内導体端子11,13が誘電体12,14を介して外導体端子15内に収容されてなるシールド端子10をハウジング30内に配設させたものである。シールド端子10の一端側は、図1中では図示しないアンテナケーブル50が接続されたケーブル側コネクタ100に接続され、他端側は、同じく図1中では図示しないプリント回路基板40に接続される。以下に、基板コネクタ1の構成について詳細に説明する。
【0014】
内導体端子11,13は、板状の導電性材料から形成されており、一端側が後述するアンテナケーブル50が接続されたケーブル端子110に接続されると共に、他端側が後述するプリント回路基板40に接続され、アンテナケーブル50、プリント回路基板40間の電気信号を直接的に受け渡す役割を担う。この内導体端子11,13は、略直角の関係にあるケーブル側接続部11a,13aと基板側接続部11b,13bとからなる。ケーブル側接続部11a,13aはケーブル側コネクタ100を構成する内導体端子111と嵌合接続され(図11参照)、基板側接続部11b,13bは後述するプリント回路基板40のスルーホール41aに嵌め込まれて基板面上の信号パターン42とハンダ接続される(図9参照)。
【0015】
誘電体12,14は、絶縁性の樹脂材料等により形成されており、内導体端子11,13と後述する外導体端子20とを絶縁状態に保持する役割を担う。これら誘電体12,14は、図1及び図6に示すように、一端側を開放する収容部12a,14aを備え、この開放部から内導体端子11,13が挿入される。また、この収容部12a,14aから前後方向に貫通する挿通孔12b,14bが設けられ、内導体端子11,13のケーブル側接続部11a,13aが挿入される。また、上側に配設される誘電体14の上面には、前後に段差のある溝部14cが設けられている。
【0016】
外導体端子20は、板状の導電性材料からなり、誘電体12,14の周囲を覆うと共に内導体端子11,13を電磁的に遮蔽する役割を担う。この外導体端子20は、図2に示す展開図状に打抜きプレスした板状体を折り曲げ加工して形成されたものである。また、この外導体端子20の展開図において、破線が折曲げ加工時の「山折り」線(紙面に対して奥行側への折曲げ)を、一点鎖線が折曲げ加工時の「谷折り」線(紙面に対して手前側への折曲げ)をそれぞれ示している。なお、この展開図の折曲げは、図2中に示した<>内の数字の順番に従って行う。
【0017】
一方、この展開図から折曲げ形成されてなる外導体端子20は、図1に示すように、前後方向に延設される嵌合部20Aと、この嵌合部20Aの後部から下方に延設される基板組付部20Bとから構成されている。嵌合部20A先端の開口部には、後述するケーブル側コネクタ100を構成するケーブル端子110が嵌め込まれ、基板側組付部20Bの下端部は、プリント回路基板40へと組み付けられる。
【0018】
以下に、外導体端子20の構成を、図1中の折曲げ形成体及び図2に示した展開図を参照しながら説明する。嵌合部20Aの上下壁面22,24及び左右壁面21,23には、嵌合される相手側のケーブル端子110の外周面に弾性接触可能とする接触部21a,22a,23a,24aが内側に突設されている。また、嵌合部20Aの上壁面22後部には、係止部22bが内側に突設されている。この係止部22bは、上段側に収容される誘電体14の溝部14cの段差部に係合することで誘電体14を抜脱不能に係止する役割を担う。また、係止部22bの一側の延長上にはスタビライザ22cが形成されており、後述する側片27に延設されるスタビライザ27cと対をなし、基板側ハウジング30内の嵌合溝31aに挿入される(図8参照)。また、スタビライザ22cの直下にはランス21dが外側に突設されており、同じく側片27に突設されるランス27dと対をなし、後述する基板側ハウジング30内のランス係合部31bに嵌合される。
【0019】
嵌合部20A及び基板組付部20Bの一側壁面23の後部には、遮蔽部25が形成されており、誘電体12,14を介して収容される2つの内導体端子11,13同士を電磁的に遮蔽する役割を担う。この遮蔽部25は、誘電体12,14を前後に仕切る起立片25aと、誘電体12,14を上下に仕切る水平片25bと、突起25cとから構成されている。突起25cは、一側壁面21に形成される係止孔21cに嵌合係止される。
【0020】
また、嵌合部20Aの上壁面22後端には、外導体端子20の後面開放部を閉塞する折曲げ片26が設けられている。折曲げ片26と上壁面22との結合部には、左右両端縁から切り込みが形成され折曲げ作業の容易化を図っている。さらに、折曲げ片26には側片27が延設されており、この側片27は前述の遮蔽部25の折曲げによって開放状態となる一側壁面23の後部を閉塞する役割を担う。また、折曲げ片26と側片27との相対する一側端縁には、係合片26a,27aが外向きに延設され、さらに係合片26a,27aには、基板組付部20Bの左右壁面21,23に接触する係合突部26b,27bが内側に設けられている。この係合突部26b,27bは、両側壁面21,23に形成される嵌合孔21b,23bに嵌合係止される。
【0021】
また、側片27の長手方向の一側端縁にはスタビライザ27cが延設され、さらにスタビライザ27cの近傍にはランス27dが外側に突設されている。また、側片27の長手方向の他側端縁及び基板組付部20Bの一側壁面21の下端には、対からなる接地用タブ27e,21eが突設されており、後述するプリント回路基板40のグランドパターン43に接続される(図9参照)。また、一側壁面21には、前面部21f及び補強部21gが延設されており、前面部21fは基板組付部20Bの前面の開放部を閉塞し、補強部21gは嵌合部20Aの下壁面24の下から添え当てて嵌合部20Aを補強する役割を担う。
【0022】
ハウジング30は、絶縁性の樹脂材料等から形成されており、上述の内導体端子11,13と誘電体12,14と外導体端子20とを組み付けてなるシールド端子10を保持する役割を担う。このハウジング30には、図4に示すように、収容部31が前後方向に貫通して設けられており、シールド端子10が嵌合収容される。この収容部31の左右壁面には後端側から嵌合溝31aが形成されており、外導体端子20のスタビライザ22c,27cが嵌合される。また、収容部31の左右壁面にはランス係合部31bが凹状に設けられており、外導体端子20のランス21d,27dが嵌合される。また、ランス係合部31bの延長上にある収容部31の左右壁面端縁には導入溝31cが設けられており、ランス21d,27dの導入を容易化させる。
【0023】
また、収容部31の前方には、前面が開口された嵌合部32が設けられており、後述するケーブル側コネクタ100が嵌合収容される。この嵌合部32の前方上端縁にはストッパ32aが突設されており、ケーブル側コネクタ100を抜脱不能に係止可能とする。また、ハウジング30後方の左右外壁面には、図5に示すように、上下方向に貫通するネジ取付孔33aを備えた取付部33が突設されており、後述する組付ネジSをネジ取付孔33aに挿通させてプリント回路基板40にネジ留めすることによってハウジング30がプリント回路基板40上に固定保持される。
【0024】
以下に、上記部材からなる基板コネクタ1を組み付ける工程について説明する。初めに、展開図状の外導体端子20を図1に示した状態へと折曲げ形成する工程について、図2及び図3を参照して説明する。
【0025】
まず、図2に示す前面部21fを折曲げ線<1>に沿って内側(山折り)に折り曲げ、次いで、折曲げ線<2>及び折曲げ線<3>に沿って両側壁面21,23を上壁面22を介して内側(山折り)に折り曲げることにより、前面部21fの先端部を基板側組付部20Bの一側側壁23の端縁に当接させる。次に、嵌合部20Aの下壁面24を折曲げ線<4>に沿って内側(山折り)に折り曲げた後、補強部21gを折曲げ線<5>に沿って内側(山折り)に折り曲げて嵌合部20Aの下壁面24の下側に添え当てることによって嵌合部20Aが枠状に形成する(図3(b)及び(c)参照)。次に、側片27に延設されるスタビライザ27cを折曲げ線<6>に沿って上方(谷折り)に略直角に折り曲げることにより、図1に示した外導体端子20の折曲げ形成体が得られる。
【0026】
次に、上記外導体端子20の折曲げ形成体を用いてシールド端子10を組み付ける工程を図6及び図7を参照して説明する。まず、内導体端子11,13を誘電体12,14の後方から収容部12a,14aへと押し込み、ケーブル側接続部11a,13aを挿通部12b,14bへと挿通させる(図6(a)参照)。基板側接続部11b,13bが収容部12a,14aの内壁に当接するまで押し込むと、ケーブル側接続部11a,13aと基板側接続部11b,13bのそれぞれの先端が誘電体12,14から突出して、内導体端子11,13の組み付けが完了する(図6(b)及び図7(a)参照)。
【0027】
これらの組付体の内、下段側に収容される組付体11,12(内導体端子11と誘電体12とからなる組付体)を、先に外導体端子20の後方から挿入する(図6(b)参照)。なお、外導体端子20の折曲げ片26及び側片27は水平方向に維持され、嵌合部20A及び基板組付部20Bの後面が開放されている。組付体11,12を外導体端子20の所定位置まで押し込んだ後、外導体端子20の起立片25aを折曲げ線<7>に沿って内側(山折り)に折り曲げて誘電体13の後端に当接させ、さらに水平片25bを折曲げ線<8>に沿って内側(山折り)に折り曲げて誘電体13の上端に当接させる(図6(c)及び図7(b)参照)。このとき、遮蔽部25の突起25cが係止孔21cに係止されることにより、組付体11,12が抜脱不能に係止される。
【0028】
この状態で、上段側に収容される他方の組付体13,14(内導体端子13と誘電体14とからなる組付体)を、同じく外導体端子20の後方から挿入する。この組付体13,14を押し込むと、誘電体14の前方の突出部が嵌合部20Aの上壁面22と遮蔽部25の水平片25bとの間に嵌め込まれると共に、嵌合部20Aの係止部22bが溝部14cの段差部に係合され誘電体14の抜脱が阻止される(図6(d)及び図7(c)参照)。
【0029】
そして、折曲げ線<9>及び折曲げ線<10>に沿って係合片26a及び側片27を内側(山折り)に折り曲げると共に、折曲げ線<11>に沿って折曲げ片26を内側(山折り)に折り曲げて、誘電体14の後面側の開放部を閉塞する。このとき、係合片26a,27aの係合突部26b,27bが基板組付部20Bの係合孔21b,23bに係合され、誘電体12,14がさらに抜け止めされる(図7(d)参照)。以上の工程により、シールド端子10の組み付けが完了する。
【0030】
次に、上記工程により得られたシールド端子10を、図8(a)に示すように、ハウジング30の収容部31へと押し込む。このとき、シールド端子10のスタビライザ22c,27cが収容部31の嵌合溝31aに嵌入されると共に、ランス21d,27dがランス係合部31bにそれぞれ嵌合されることによって、シールド端子10がその先端部を収容部31の前方へと突出させた状態で抜脱不能に係止される(図8(b)参照)。以上により、本実施の形態に係る基板コネクタ1が得られる。
【0031】
こうして得られた基板コネクタ1をプリント回路基板40に組み付けする工程について、図9を参照して説明する。まず、ハウジング30の下端から突出する内導体端子11,13の基板側接続部11b,13bと外導体端子20の接地用タブ21e,27eとをプリント回路基板40のスルーホール41aに挿通させる。このとき、ハウジング30の取付部33のネジ取付孔33aがプリント回路基板40上に形成されるネジ穴44と相重なる。次いで、組付ネジSをネジ取付孔33aとネジ穴44に挿通させプリント回路基板40にネジ止めすることによって、基板コネクタ1がプリント回路基板40上に固定保持される。次いで、スルーホール41a,41bに挿通された基板側接続部11b,13b及び接地用タブ21e,27eをプリント回路基板40の表裏両面側からハンダ付けすることによって、基板側接続部11b,13bが信号パターン42に接続されると共に、接地用タブ21e,27eがグランドパターン43に接続される。以上の工程により、コネクタ1のプリント回路基板40への組付が完了し、基板コネクタ1とプリント回路基板40とが電気的に接続され両者間で電気信号の受け渡しが可能となる。
【0032】
次に、上記基板コネクタ1に接続されるケーブル側コネクタ100の構成について説明する。ケーブル側コネクタ100としては、例えば、図10に示すものが挙げられる。このケーブル側コネクタ100は、ダイバーシティ受信用のアンテナケーブル50の芯線51と接続されるメス型の内導体端子111と、内導体端子111を覆う外導体端子113と、両端子111,113間を絶縁保持する誘電体112とを備えるケーブル端子110をケーブル側ハウジング120内に複数配設させてなるものである。
【0033】
ケーブル側コネクタ100の組付工程について簡単に説明する。まず、アンテナケーブル50の芯線51と接続された内導体端子111を、予め外導体端子113を装着しておいた誘電体112の収容部112aに収容し、次いで、外導体端子113の後端側に設けられる編組バレル113cによってアンテナケーブル50の絶縁外被54側に折り返された編組線53の周面をかしめ接続することによりアンテナケーブル50とケーブル端子110とを組み付ける。次に、このケーブル端子110をケーブル側ハウジング120の収容部121内へと挿入する。この際に、外導体端子63に突出状に設けられるスタビライザ113bを収容部121の両側側壁に形成される嵌合溝121aに嵌め入れて、ケーブル端子60を奥行き方向に押し込む。次に、ケーブル側ハウジング120の下壁面から収容部121に連通して設けられる差込溝122にリテーナ130を押し込んで、スタビライザ113bの後端に当接させることにより、ケーブル端子110を抜脱不能に係止する。以上により、ケーブル側コネクタ100の組付作業が完了する。
【0034】
得られたケーブル側コネクタ100を、図11に示すように、基板コネクタ1の嵌合部22へと嵌め入れる。このとき、ケーブル端子110がシールド端子10に嵌合接続されると共に、ロック部123のストッパ123aが基板側ハウジングのストッパ32aに係止されることにより基板コネクタ1とケーブル側コネクタ100との接続が完了する。
【0035】
本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、アンテナケーブルとプリント回路基板との間の電気信号を受け渡す役割を担う内導体端子が、1つの外導体端子内に複数収容される構造を有しているので、内導体端子が外導体端子内に1つずつ収容される場合と比べて外導体端子間を隔てるための隔壁(スペース)が不要となり、基板側ハウジングにおける外導体端子の収容スペースを小さくすることができる。
【0036】
また、外導体端子が一枚の導電性材料を折曲げ加工することによって形成され、収容される複数の内導体端子間を電磁的に遮蔽するための遮蔽部を予め一体に備えているので、遮蔽部が別部材として構成されている場合と比べて部品点数の削減やコネクタの加工工数の低減を図ることができる。
【0037】
また、本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、略直角型構造を有する複数の内導体端子をプリント回路基板面に対して略垂直の方向(縦方向)に配設させてなるものであり、基板面に対して横方向に配設させてなる場合と比べて、プリント回路基板に対する専有面積を小さくすることができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタについて、図12〜図15を参照して説明する。本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタ1(以下、「基板コネクタ1」と称する)は、誘電体15の構造に特徴を有する。この基板コネクタ1を構成する誘電体15は、絶縁性の樹脂材料等により形成されており、図12(a)に示すように、2つの内導体端子を一括して収容することができる構造を有している。以下に示す本実施の形態の説明においても、図示しないケーブル側コネクタとの接続側を「前側」とし、図12に示す向きによって上下左右の関係を表している。以下に、この誘電体15の構成について説明する。なお、本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタ1を構成するその他の部材については、第1の実施の形態に示したものと同じであるため説明は省略する。
【0039】
この誘電体15は、図12(b)に示すように、一端側を開放する収容部15a,15bを上下に備え、この開放部から内導体端子11,13が挿入される。また、収容部15a,15bから前後方向に貫通する挿通孔15c,15dが設けられており、内導体端子11,13のケーブル側接続部11a,13aが挿入される。また、両収容部15a,15b間の後端側には差込部15eが形成されており、外導体端子20の遮蔽部25が挿入される。また、誘電体15の上面には、前後に段差を有する溝部15fが設けられ、この溝部15fには嵌合部20Aの係止部22bが係合される。
【0040】
次に、上記誘電体15から構成されるシールド端子10を組み立てる工程について、図13及び図14を参照して説明する。まず、展開図の状態にある外導体端子20の下壁面24及び遮蔽部25を折曲げ線<1>、<2>及び<3>に沿って内側(山折り)に折り曲げる。このとき、遮蔽部25を構成する起立片25aと水平片25bとが略直角に屈曲形成される(図13(b)参照)。一方、内導体端子11,13を誘電体15の後方から収容部15a,15bへと押し込み、ケーブル側11a,13aを挿通部15c,15dへと挿通させることにより、内導体端子11,13を誘電体15内に組み付けておく(図13(b)参照)。
【0041】
次に、この組付体11,13,15を側面方向から上記工程により折曲げ形成した外導体端子20へと挿入すると(図13(a)参照)、差込部15eに遮蔽部25の水平片25bが嵌め込まれると共に、下段側の収容部15aの後面が遮蔽部25の起立片25aと、誘電体15の前方の突出部の下面が下壁面24とそれぞれ当接する(図13(b)参照)。
【0042】
次に、図13(b)に示す折曲げ線<4>、<5>及び<6>に沿って上壁面22、側壁面23、及び補強部21gをそれぞれ内側(山折り)に折り曲げて、係止部22bを溝部15fに嵌め込むと共に遮蔽部25の突起25cを係止孔21cに嵌め込むことにより嵌合部20Aを筒状に形成する。さらに、折曲げ線<7>に沿って前面部21fを内側(山折り)に折り曲げることにより基板組付部20Bの前面の開放部を閉塞する。
【0043】
次に、折曲げ線<8>、<9>及び<10>に沿って、スタビライザ27cを外側(谷折り)に、側片27及び係合片26aを内側(山折り)にそれぞれ折り曲げた後(図13(c)参照)、折曲げ線<11>に沿って折曲げ片26を内側(山折り)に折り曲げて誘電体15の後面側の開放部を閉塞する。このとき、係合片26a,27aの係合突部26b,27bが基板組付部20Bの係合孔21b,23bに係合され、誘電体15が抜け止めされる。以上の工程により、シールド端子10の組み付けが完了する。
【0044】
こうして組み付けられたシールド端子10をハウジングに収容した後、プリント回路基板40及び相手側のケーブル側コネクタと接続することとなるが、これの収容及び接続工程は、第1の実施の形態に係る基板コネクタ1と同じであるため説明は省略する。
【0045】
本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、誘電体が複数の内導体端子を一括に収容可能な構造を有しているので、内導体端子の数に応じて誘電体を個々に外導体端子内に収容する場合と比べて、部品点数の削減及びコネクタの加工工数の低減を図ることができる。また、この誘電体には外導体端子の遮蔽部を差込挿入可能な差込部が設けられているので、収容される内導体端子間の遮蔽効果も十分に得られる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0047】
まず、上記実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、2本のアンテナケーブルとの接続が可能ないわゆる「2極型」としたが、3極以上のコネクタであっても良い。また、上記実施の形態では、プリント回路基板面に対するコネクタの専有面積を削減するためプリント回路基板面に対して略垂直な方向(縦方向)に内導体端子を複数配設させてなる「縦型」の構造としたが、これに限らず、プリント回路基板に対して略平行な方向(横方向)に内導体端子を配設させてなる「横型」の構造のものであっても良い。
【0048】
また、上記実施の形態で示した外導体端子の展開図は図示したものに限られるものではなく、複数の内導体端子の収容が可能であり且つ各内導体端子間を電磁的に遮蔽可能なものであれば、いかなる形状を有するものであっても構わない。特に、3極以上のコネクタとなれば種々の変更が可能である。また、外導体端子の展開図から折曲げ形成体へと折り曲げる工程については、上記実施の形態で示したものに限られず種々の変更が可能である。
【0049】
また、第2の実施の形態で示した一体型の誘電体の形態についても、図示したものに限られず、外導体端子の遮蔽部が挿入可能な差込部が設けられていれば、いかなる形状を有していても構わない。また、本実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタに接続されるプリント回路基板やケーブル側コネクタの形態についても、図示したものに限られず種々の形態をとりうることは言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】
本発明に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、アンテナケーブルとプリント回路基板との間の電気信号を受け渡す役割を担う内導体端子が1つの外導体端子内に複数収容される構造を有しているので、内導体端子が外導体端子内に1つずつ収容される場合と比べて外導体端子間を隔てる隔壁(スペース)が不要となり、基板側ハウジングにおける外導体端子の収容スペースを小さくすることができる。これにより、部品点数の削減及び加工工数の低減を図ることができると共に、基板側ハウジングならびにダイバーシティ受信機用基板コネクタ全体の小型化を図ることができるという効果がある。
【0051】
また、このコネクタに用いられる外導体端子は、一枚の導電性板材を加工形成することによって構成され、収容される複数の内導体端子間を電磁的に遮蔽するための遮蔽部を予め一体に備えているので、遮蔽部が別部材で構成されている場合のように内導体端子及び誘電体を収容した後に遮蔽部を別途取り付けるといった煩わしさが一切なく、これにより部品点数の削減及びコネクタの加工工数の低減を図ることができるという効果がある。
【0052】
また、本発明に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、略直角型構造を有する複数の内導体端子をプリント回路基板面に対して略垂直の方向(縦方向)に外導体端子内に配設させてなるシールド端子から構成されているので、基板面に対して横方向に配設させてなる場合と比べて、プリント回路基板に対する専有面積を小さくすることができるという効果がある。
【0053】
本実施の発明に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタは、誘電体が複数の内導体端子を一括に収容可能な構造を有しているので、内導体端子の数に応じて誘電体を個々に外導体端子内に収容する場合と比べて、部品点数の削減及びコネクタの加工工数の低減を図ることができるという効果がある。また、誘電体を1部材としても差込部を設けることにより、外導体端子と一体に備えられる遮蔽部を誘電体内に収容される複数の内導体端子間に介在させることができるので、誘電体を個々に外導体端子内に収容した場合と同等の遮蔽性能が得られるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタの分解斜視図である。
【図2】外導体端子の展開図である。
【図3】外導体端子の折り曲げ工程を示した斜視図である。
【図4】基板側ハウジングの(a)横断面図、及び(b)断面斜視図である。
【図5】基板側ハウジングの背面図である。
【図6】シールド端子の組付工程を示した横断面図である。
【図7】シールド端子の組付工程を示した断面斜視図である。
【図8】シールド端子を基板側ハウジングに組み付ける状態を示した断面斜視図である。
【図9】ダイバーシティ受信機用基板コネクタをプリント回路基板に組み付ける状態を示した斜視図である。
【図10】ダイバーシティ受信機用基板コネクタに接続されるケーブル側コネクタの分解斜視図である。
【図11】ダイバーシティ受信機用基板コネクタとケーブル側コネクタとの接続状態を示した横断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るダイバーシティ受信機用基板コネクタを構成する誘電体及び内導体端子の(a)外観斜視図、及び(b)横断面図である。
【図13】図12に示す誘電体及び内導体端子を収容する外導体端子の展開図である。
【図14】内導体端子を収容した誘電体を外導体端子を組み付ける工程を示した外観斜視図である。
【図15】図14に示す組付工程によって得られるシールド端子の横断面図である。
【符号の説明】
1 ダイバーシティ受信機用基板コネクタ
2 ケーブル側コネクタ
10 シールド端子
11,13 内導体端子
11a,13a ケーブル側接続部
11b,13b 基板側接続部
12,14,15 誘電体
15e 差込部
20 外導体端子
25 遮蔽部
25a 起立片
25b 水平片
Claims (3)
- 複数本のアンテナケーブルとプリント回路基板との間を電気的に接続するダイバーシティ受信機用基板コネクタにおいて、
前記アンテナケーブルが接続されたケーブル端子に接続されるケーブル側接続部とプリント回路基板に接続される基板側接続部とを有する内導体端子と、内導体端子を覆う誘電体と、誘電体を覆うと共に内導体端子を電磁的に遮蔽する外導体端子とを備えたシールド端子をハウジング内に収容してなるものであって、
前記外導体端子には、前記内導体端子が複数収容され、隣接する内導体端子間を電磁的に遮蔽する遮蔽部が一体に設けられていることを特徴とするダイバーシティ受信機用基板コネクタ。 - 前記内導体端子は、ケーブル側接続部と基板側接続部とが略直角の関係にあり、前記ケーブル側接続部がプリント回路基板面に対して略平行に配向されると共に前記基板側接続部がプリント回路基板面に対して略垂直に配向された状態でこの回路基板に接続されるように、前記誘電体を介して前記外導体端子内にプリント回路基板面に対して略垂直な方向に複数収容されていることを特徴とする請求項1に記載のダイバーシティ受信機用基板コネクタ。
- 前記誘電体は、前記内導体端子のケーブル側接続部を挿通可能とする挿通部を複数備えており、隣接する挿通部間に前記外導体端子の遮蔽部を差込挿入可能とする差込部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイバーシティ受信機用基板コネクタ。
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