JP2004054624A - 弁装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】半径方向の寸法を小さく抑えることができる弁装置を提供する。
【解決手段】開閉弁部と、減圧弁部とが、相互に、少なくとも一部の構成が流体の流下方向に重複する位置に配置されて設けられる。これによって開閉弁部と減圧弁部とを単に縦列して設ける場合に比べて、装置軸線L1の寸法を小さくすることができる。しかも開閉弁部と減圧弁部とは、同軸に設けられており、ハウジングを共用することができ、半径方向の寸法を小さくすることができる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば流体圧装置に設けられる弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図18は、従来の技術の弁装置1を示す断面図である。図19は、弁装置1を示す構成回路図である。弁装置1は、天然ガス自動車のタンク2に設けられるレギュレータ装置であって、米国特許第6041762に示されている。この弁装置1は、タンク2のガスを減圧してタンク2外に吐出する減圧弁部3と、タンク2のガスの吐出および吐出停止をする開閉弁部4と、緊急時開放用の安全弁部5とを有し、減圧弁部3がタンク2内に設けられ、開閉弁部4および安全弁部5がタンク2外に設けられている。また安全弁部5を作動させる圧力および温度を検出する検出センサ6が、タンク2外に設けられている。開閉弁部4は、減圧弁部3の下流側に設けられている。
【0003】
図20は、従来の技術の減圧弁部3の構成を簡略化して模式的に示す断面図である。減圧弁部3は、ハウジング7内に、軸線方向に変位自在にピストン8が保持され、ピストン8に軸線方向一方x1に向かうばね力を与えるばね部材9が設けられて構成される。ハウジング7には、一次ポート10および二次ポート11が形成され、一次ポート10を外囲して突起片12が形成され、この突起片12とこれに対向するピストン8のシート部13とによって、減圧のためのオリフィス14が形成される。このようにして、ハウジング7内が、一次ポート10に連なる一次圧力室15と、二次ポート11に連なる二次圧力室16とに仕切られる。この減圧弁部3は、一次ポート10に供給された一次圧力(以下「一次圧」という)p1の流体を、オリフィス14の通過によって二次圧力(以下「二次圧」という)p2に減圧し、二次ポート11から吐出することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
弁装置1では、減圧弁部3と開閉弁部4とが、ガスの流下方向に縦列に設けられるので、弁装置1が大形化してしまう。また開閉弁部4を減圧弁部3よりも下流側に設ける構成では、開閉弁部4を閉じた状態で長時間放置されたとき、減圧弁部3の二次圧が一次圧と同一の高圧になってしまう場合があり、この場合、開閉弁部4を開いた直後に、高圧のガスが吐出されてしまう。
【0005】
図21は、従来技術の減圧弁部3の二次圧力p2を示すグラフである。減圧弁部3では、二次圧p2は、一次圧p1を用いて、次式(1)のように表される。
【0006】
【数1】
Figure 2004054624
【0007】
ここで、a1は、軸線方向一方x1に一次圧p1を受ける受圧面積であり、a2は、軸線方向一方x1に二次圧p2を受ける受圧面積であり、a3は、軸線方向他方x2に二次圧p2を受ける受圧面積である。またkは、ばね部材9のばね定数であり、Δhは、ばね部材9の初期状態での撓み量である。またzは、ピストン3の初期状態からの変位量であって、式(2)で表されるように、一次圧p1と、減圧弁部3を流下する流体の流量qとの関数で表される。
【0008】
減圧弁部3では、ピストン8が一次圧p1を面積a1の受圧面で軸線方向一方x1にだけ受ける構成であって、二次圧p2を表す式(1)は、右辺の第一項および第二項がともに、一次圧p1の変化に伴って変化する式となる。特に、式(1)の右辺第二項は、一次圧p1の変化に伴って大きく変化する項である。したがって図21に示されるように、一次圧p1が変化すると、二次圧p2が大きく変化する。
【0009】
また減圧弁部3の流量キャパシティ、すなわち最大許容流量を大きくするためには、突起片12の直径を大きくする必要がある。突起片12の直径を大きくすると、受圧面積a1が大きくなり、一次圧p1の変化量Δp1に対する二次圧p2の変化量Δp2が大きくなる。この二次圧p2の変化量Δp2を小さく抑えるためには、式(1)の右辺第二項の分母を大きくするために、受圧面積a3を大きくする必要があり、ピストン8の最大外径が大きくなる。またこれに伴ってばね部材9も、外径を大きくする必要がある。したがって減圧弁部3の半径方向寸法が大きくなる。
【0010】
また減圧弁部3について具体的に説明したけれども、開閉弁部4においても、減圧弁部3と同様に、最大許容流量を大きくしようとすると、開閉弁部4の半径方向寸法が大きくなる。
【0011】
本発明の目的は、半径方向の寸法を小さく抑えることができる弁装置を提供することである。
【0012】
また本発明の目的は、減圧弁部において、一次圧力の変化に伴う二次圧力の変化を小さく抑えることができる弁装置を提供することである。
【0013】
また本発明の目的は、耐久性を高くできるとともに、開閉弁部を閉じて長期間放置した後、開閉弁部を開いても、高圧の流体が吐出されることを防ぐことができる弁装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、一次ポートおよび二次ポートが形成されるハウジングと、
ハウジング内に設けられ、一次ポートと二次ポートとの接続状態を、開状態と閉状態とに切換える開閉弁部と、
少なくとも一部の構成が開閉弁部と流体の流下方向に重複する位置に配置されて、ハウジング内に同軸に設けられ、二次ポートにおける流体の二次圧力を、一次ポートにおける流体の一次圧力よりも減圧させる減圧弁部とを含むことを特徴とする弁装置である。
【0015】
本発明に従えば、一次ポートと二次ポートとの接続状態を切換える開閉弁部と、二次圧力を一次圧力よりも減少させる減圧弁部とが、相互に、少なくとも一部の構成が流体の流下方向に重複する位置に配置されて設けられる。これによって開閉弁部と減圧弁部とを単に縦列して設ける場合に比べて、流下方向、具体的には軸線方向の寸法を小さくすることができる。しかも開閉弁部と減圧弁部とは、同軸に設けられており、開閉弁部と減圧弁部とが部分的に重複する領域では、ハウジングを共用することができ、開閉弁部と減圧弁部とを単に並列して設ける場合に比べて、流下方向に交差する方向、具体的には半径方向の寸法を小さくすることができる。このように軸線方向寸法および半径方向寸法を小さくして、小形の弁装置を実現することができる。
【0016】
請求項2記載の本発明は、減圧弁部は、
ハウジング内に軸線方向に変位自在に保持され、一次ポートに連なる一次圧力室と二次ポートに連なる二次圧力室とにハウジング内を仕切り、一次圧力室の流体から軸線方向一方に向かう一次圧力を受ける一次受圧面積の一次受圧面と、一次圧力に保持される減圧背圧力室の流体から軸線方向他方に向かう一次圧力を一次受圧面積と同一の背受圧面積で受ける背受圧面と、二次圧力室の流体から軸線方向他方に向かう二次圧力を受ける二次受圧面とが形成される減圧ピストンと、減圧ピストンに軸線方向一方に向かう減圧ばね力を与える減圧ばね力発生手段とを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、減圧ピストンに一次受圧面積と同一の背受圧面積を有する背受圧面が形成され、この背受圧面は減圧背圧力室から一次圧力を受けるように構成される。一次受圧面と背受圧面とは、軸線方向に相互に反対方向から一次圧力を受ける。これによって一次圧力に基づいて、減圧ピストンに軸線方向一方に働く力と、減圧ピストンに軸線方向他方に働く力とを釣り合わせて、減圧ピストンに働く一次圧力による軸線方向の力を相殺することができるので、二次圧力が、一次圧力の影響を受けにくくすることができる。したがって一次圧力の変化量に対する二次圧力の変化量を、大幅に低減することができる。
【0018】
さらに最大許容流量を大きくするために、一次圧力を受ける減圧ピストンの一次受圧面積を大きくしても、一次受圧面積の変化が二次圧力の変化に大きく影響しないので、一次圧力の変化量に対する二次圧力の変化量を抑えるために、減圧ピストンの最大外径を大きくする必要がない。したがって半径方向寸法を小さく抑えて最大許容流量を大きくし、かつ二次圧力の変化量を小さく抑えることができる弁装置を実現することができる。
【0019】
請求項3記載の本発明は、開閉弁部は、
ハウジング内に軸線方向に変位自在に保持され、ハウジングに形成される弁座に着座および離間することによって、一次ポートと二次ポートとの接続状態を切換える開閉ピストンであって、開閉ピストンを弁座に着座させる方向の一次圧力を閉受圧面積で受ける閉受圧面と、開閉ピストンを弁座から離間方向の一次圧力を閉受圧面積と同一の開受圧面積で受ける開受圧面とが形成される開閉ピストンと、
開閉ピストンに軸線方向の駆動力を与えて、一次ポートと二次ポートとの接続状態を、開状態と閉状態とに切換え駆動する開閉駆動手段とを含むことを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、開閉ピストンに、閉受圧面積を有する閉受圧面と、閉受圧面積と同一の開受圧面積を有する開受圧面が形成され、閉受圧面は開閉ピストンを弁座に着座させる方向に一次圧力を受け、開受圧面は開閉ピストンを弁座から離間させる方向に一次圧力を受けるように構成される。閉受圧面と開受圧面とは、軸線方向に相互に反対方向から一次圧力を受ける。これによって一次圧力に基づいて、開閉ピストンに軸線方向一方に働く力と、開閉ピストンに軸線方向他方に働く力とを釣り合わせて、開閉ピストンに働く供給圧力による軸線方向の力を相殺することができるので、一次圧力の大小に拘わらず、開閉駆動手段が一次ポートと二次ポートとの接続状態を切換えるために、開閉ピストンに与える軸線方向の駆動力を小さくすることができる。
【0021】
さらに最大許容流量を大きくするために、一次圧力を受ける開閉ピストンの閉受圧面積および開受圧面積を大きくしても、閉受圧面積と開受圧面積とを同一に形成することで、一次圧力に基づいて、開閉ピストンに軸線方向一方に働く力と、開閉ピストンに軸線方向他方に働く力とを釣り合わせて、ピストンに働く一次圧力による軸線方向の力を相殺できる。これによって開閉ピストンを駆動するために大きな駆動力を必要とせず、開閉駆動手段を大きくすることなく、最大許容流量を大きくすることができる弁装置を容易に実現することができる。
【0022】
請求項4記載の本発明は、開閉弁部における流路の開閉位置は、減圧弁部における減圧位置に比べて、流体の流下方向上流側に配置されていることを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、開閉弁部における流路の開閉位置が、減圧弁部における減圧位置に比べて、流体の流下方向上流側に配置されている。これによって開閉弁部が閉じた状態では、減圧弁部に高圧の一次圧力が働くことがなく、耐久性を高くすることができる。また開閉弁部を通過した流体は、必ず減圧弁部で減圧されることになり、開閉弁部を閉じた状態で長時間放置した後に、開閉弁部を開放しても、二次圧力は、減圧されている。このように高圧のガスが吐出されてしまうことが防がれる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の弁装置20を示す断面図である。弁装置20は、一次側から二次側に流体が流下する流路に介在され、供給される一次圧力(以下「一次圧」という)P1の流体を、一次圧P1よりも低い二次圧力(以下「二次圧」という)P2に減圧して吐出する弁装置である。本実施の形態では、弁装置20は、高圧容器である高圧タンク(以下、単に「タンク」という場合がある)200の開口部81に装着され、タンク200に貯留される流体のタンク200外への排出および排出停止を制御するために用いられる。したがって一次側がタンク200内となり、二次側がタンク200外となり、タンク200内からタンク200外への流体の流下を制御する。
【0025】
この弁装置20は、ハウジング21と、減圧ピストン22と、減圧ばね部材23と、筒状部材24と、開閉ピストン85と、開閉駆動手段86とを含んで構成される。開閉ピストン85は、開閉弁体87と、軸体88とを含み、開閉駆動手段86は、駆動ばね部材89と、電磁ソレノイド90とを含む。少なくとも減圧ばね部材23と、筒状部材24とを含んで、減圧弁部が構成され、少なくとも開閉ピストン85と、開閉駆動手段86とを含んで、開閉弁部が構成される。
【0026】
弁装置20では、少なくも、ハウジング21、減圧ピストン22、減圧ばね部材23、筒状部材24、開閉ピストン85および駆動ばね部材89は、相互に同軸に設けられる。本実施の形態では電磁ソレノイド90を含めて、同軸に設けられ、それぞれの軸線は、弁装置20の装置軸線L1と一致している。
【0027】
ハウジング21は、有底円筒状のハウジング本体25と、ハウジング本体25の開放端部26に内挿されて装着されるキャップ部材27とを有する。キャップ部材27は、ハウジング本体25に対して、装置軸線L1まわりに回転して、装置軸線L1に沿って螺進および螺退自在に螺着され、軸線方向の位置を調節自在に設けられる。キャップ部材27は、有底筒状であって、開放端部91をハウジング本体25の底部29側に配置して、したがってハウジング21の軸線方向一端部31側に底部92を配置し、ハウジング21の軸線方向他端部32側に配置して設けられる。ハウジング本体25の内周部とキャップ部材27の外周部との間は、周方向全周にわたってシールが達成されている。
【0028】
キャップ部材27には、底部92に装置軸線L1に沿って挿通する一次ポート28が形成され、ハウジング本体25の底部29には、装置軸線L1からずれて二次ポート30が形成される。このようにハウジング21には、軸線方向一端部31に一次ポート28が形成され、軸線方向他端部32に二次ポート30が形成され、このハウジング21内に、一次ポート28と二次ポート30を連通する弁空間94が形成される。
【0029】
またキャップ部材27には、開放端部91寄りの部分に、半径方向内方に突出して周方向全周に延びるフランジ状の内向き凸部93が形成されている。この内向き凸部93には、軸線方向一方X1の端面部、したがってハウジング本体25の底部29に臨む側の端面部に、ハウジング本体25の底部29に向けて、軸線方向一方X1へ先細状に突出し、周方向全周に延びる円環状の突起片38が形成される。またキャップ部材27の内向き凸部93には、軸線方向他方X2の端面部、したがってキャップ部材27の底部92に臨む側の端面部に、弁座112が形成される。
【0030】
このようなハウジング21は、一次ポート28がタンク200内で開口し、二次ポート30がタンク200外で開口するように、外周部をタンク200の開口部81における内周部に螺合して螺着される。ハウジング21の外周部とタンク200の開口部81における内周部との間は、周方向全周にわたってシールが達成されている。軸線方向一方X1は、ハウジング21の軸線方向一端部31から他端部32に向かう方向である。
【0031】
減圧ピストン22は、有底円筒状に形成され、軸線方向一端部である底部35側をハウジング21の軸線方向一端部31側に配置し、軸線方向他端部である開放端部36側をハウジング21の軸線方向他端部32側に配置して、ハウジング21内に保持される。この状態で減圧ピストン22は、装置軸線L1に沿って、軸線方向一方X1およびその反対の軸線方向他方X2へ変位自在である。
【0032】
ハウジング21の軸線方向両端部31,32間の軸線方向中間部39には、半径方向内方に突出して周方向全周に延びるフランジ状の内向き凸部40が形成され、この内向き凸部40の内周部に、減圧ピストン22の底部35および開放端部36間の軸線方向中間部37における外周部が、シールを達成した状態で当接している。また減圧ピストン22の開放端部36には、半径方向外方に突出して周方向全周に延びるフランジ状の外向き凸部41が形成され、この外向き凸部41の外周部が、ハウジング21の軸線方向中間部39における内向き凸部40よりも軸線方向他端部32寄りの部分の内周部に、シールを達成した状態で当接している。
【0033】
減圧ばね力発生手段である減圧ばね部材23は、圧縮コイルばねであり、ハウジング21と減圧ピストン22とが半径方向に間隔をあけて形成される円環状のばね収容空間43に配置されて、減圧ピストン22に外嵌される状態でハウジング21内に設けられる。ばね収容空間43は、内向き凸部40と外向き凸部41との間に形成され、ハウジング21に形成される大気開放孔44によって大気に開放されている。
【0034】
減圧ばね部材23は、軸線方向一端部45がハウジング本体25の内向き凸部40に支持され、軸線方向他端部46が開閉ピストン22の外向き凸部41に支持される。この減圧ばね部材23によって、ハウジング21に対して軸線方向一方X1に向かうばね力を、減圧ピストン22に与えることができる。
【0035】
筒状部材24は、大略的に円筒状であって、ハウジング21に保持され、軸線方向一端部48側の部分を減圧ピストン22内に、減圧ピストン22に対して、装置軸線L1に沿って、軸線方向一方X1および軸線方向他方X2へ変位自在に挿入されている。この筒状部材24は、少なくとも軸線方向他端部51が減圧ピストン22から突出した状態で設けられ、この軸線方向他端部51は、残余の部分に比べて外径が大きく形成されており、減圧ピストン22の開放端部36を軸線方向に支持することができるように構成されている。
【0036】
ハウジング21の軸線方向一端部31、したがってハウジング本体25の底部29には、開放端部26に向かって(軸線方向他方X2に)凹となる嵌合凹所50が形成される。筒状部材24は、この嵌合凹所50に軸線方向他端部51が嵌まり込んで保持されている。
【0037】
筒状部材24の軸線方向一端部48は、その外周部が減圧ピストン22の内周部にシールを達成した状態で当接し、開閉ピストン85と協働して、減圧ピストン22と筒状部材24との間に減圧背圧力室55が形成される。また筒状部材24は、軸線方向一端部48を除く部分であって、減圧ピストン22内に挿入される部分の外周部は、減圧ピストン22の内周部との間に半径方向に間隔をあけており、円環状のピストン内空間56が形成される。
【0038】
開閉ピストン85の開閉弁体87は、有底筒状の弁体部95と、弁体部95の底部から同軸に突出する動力伝達部96とを有する。この開閉弁体87は、弁体部95をハウジング21の軸線方向一端部31側に配置し、動力伝達部96をハウジング21の軸線方向他端部32側に配置し、弁体部95が、キャップ部材27の底部92と内向き凸部93とに挟まれる弁体室97に嵌まり込み、かつ動力伝達部96がキャップ部材27の内向き凸部93の内方を緩やかに挿通する状態で、ハウジング21内に保持される。また減圧ピストン22の底部35には、この底部35を装置軸線L1に沿って挿通する透孔71が形成されており、動力伝達部96は、この透孔71を緩やかに挿通して、減圧ピストン22内まで延びている。
【0039】
開閉弁体87は、このように設けられた状態で、弁体部95の底部に形成される開閉シート部99が弁座112に着座する閉位置と、開閉シート部99が弁座112から離間する開位置とにわたって、装置軸線L1に沿って軸線方向一方X1および軸線方向他方X2へ変位自在である。開閉弁体87が開位置にある場合、一次ポート28と、減圧ピストン一次圧受圧空間部100とが開放され、開閉弁体87が閉位置にある場合、一次ポート28と、減圧ピストン一次圧受圧空間部100とが閉塞される。減圧ピストン一次圧受圧空間部100は、キャップ部材27の内向き凸部93と、減圧ピストン22の底部35とに挟まれ、かつキャップ部材27の内向き凸部93に形成される突起片38の半径方向内方側の空間である。
【0040】
開閉ピストン85の軸体88は、大略的に円筒状であって、ハウジング21に装置軸線L1に沿って、軸線方向一方X1および軸線方向他方X2へ変位自在に保持される。この軸体88は、軸線方向一端部101側の部分を筒状部材24内に、筒状部材24に対して、装置軸線L1に沿って、軸線方向一方X1および軸線方向他方X2へ変位自在に挿入されている。
【0041】
この軸体88は、少なくとも軸線方向他端部102が筒状部材24から突出した状態で設けられる。ハウジング21の軸線方向他端部32、具体的にはハウジング本体25の底部29には、装置軸線L1に沿って挿通する挿通孔104が形成されており、軸体88は、この挿通孔104を挿通して、軸線方向他端部102がハウジング21の外部に突出するように延びている。
【0042】
軸体88の軸線方向一端部101は、その外周部が筒状部材24の内周部にシールを達成した状態で当接し、これによって前述の減圧背圧力室55の形成にされる。また軸体88は、挿通孔104を挿通する部分に、軸線方向一端部101側の部分が軸線方向他端部102側の部分に比べて、外径の大きい段差部105が形成され、段差部105の軸線方向両側で、外周部がハウジング本体25の挿通孔104に臨む内周部にシールを達成した状態で当接している。
【0043】
このようにして、ハウジング本体25と軸体88とによって、軸体88の段差部105が臨む開閉背圧力室106が形成され、この開閉背圧力室106は、ハウジング本体25に形成される連通路107によってタンク200内に連通され、一次圧P1が導かれる。またハウジング21と、筒状部材24と、軸体88とによって空間123が形成されが、この空間123は、前記大気開放孔44によって、大気に開放されている。
【0044】
開閉弁体87と軸体88とは、相互に当接した状態で、開閉弁体87から軸体88に、軸線方向一方X1への力を伝達することができ、軸体88から開閉弁体87に、軸線方向他方X2への力を伝達することができる。したがって開閉ピストン85は、開閉弁体87と軸体88とが相互に当接した状態で、開閉弁体87に軸線方向一方X1への駆動力を与えて、一体に軸線方向一方X1へ変位させることができ、軸体88に軸線方向他方X2への駆動力を与えて、一体に軸線方向他方X2へ変位させることができる。
【0045】
開閉駆動手段86の駆動ばね部材89は、圧縮コイルばねであり、弁体室97に配置されて、開閉弁体87の弁体部95に少なくとも部分的に内挿されて設けられる。駆動ばね力発生手段であるこの駆動ばね部材89は、軸線方向一端部110がキャップ部材27の底部92に支持され、軸線方向他端部111が弁体部95の底部付近(底部を含む)に支持される。この駆動ばね部材89によって、ハウジング21に対して、装置軸線L1沿って軸線方向へ変位駆動するためのばね力を、具体的には軸線方向一方X1に向かうばね力であって弁体部95を弁座112に着座させる閉方向のばね力を、開閉ピストン85に与えることができる。
【0046】
開閉駆動手段86の電磁ソレノイド90は、ハウジング21の外方に配置され、ハウジング本体25の底部29に、挿通孔104を外方から覆う状態で設けられる。電磁駆動源であるこの電磁ソレノイド90は、装置軸線L1に沿って、軸線方向一方X1および軸線方向他方X2へ変位自在に保持される駆動部材120と駆動コイルとを有している。電磁ソレノイド90とハウジング21とによって形成され、軸部材88が臨む空間122は、前記大気開放孔44によって、大気に開放されている。
【0047】
駆動コイルへの通電および非通電を切換えることによって、駆動部材120を装置軸線L1に沿って軸線方向へ変位させ、この駆動部材120によって軸体88を押圧して、ハウジング21に対して、装置軸線L1に沿って軸線方向へ変位駆動するための電磁駆動力を、具体的には軸線方向他方X2に向かう電磁駆動力であって弁体部95を弁座112から離間させる開方向の電磁駆動力を、開閉ピストン85に与えることができる。電磁ソレノイド90による電磁駆動力は、駆動ばね部材89のばね力よりも大きい。
【0048】
このような弁装置20では、上述のように減圧ピストン22の外周部が、2箇所において、ハウジング21の内周部に、周方向全周にわたってシールを達成した状態で当接している。ハウジング21内には、ハウジング21と減圧ピストン22との間に、ハウジング本体25の内向き凸部40よりも軸線方向他方X2側に、有底筒状の第1空間60が形成されるとともに、減圧ピストン22の外向き凸部41よりも軸線方向一方X1側に、二次ポート30に連なる環状の第2空間61が形成される。
【0049】
減圧ピストン22は、軸線方向一端部の端面部分に、周方向全周に延びる特殊樹脂から成る減圧シート部62が形成され、この減圧シート部62がキャップ部材27の突起片38に軸線方向に対向して、周方向全周に延びる円環状のオリフィス63が形成される。第1空間60は、オリフィス63を介して連なる2つの空間部100,65を有する。オリフィス63よりも半径方向内方側となる領域は、一次ポート28に連なる前述の減圧ピストン一次圧受圧空間部100である。
【0050】
また減圧ピストン22には、軸線方向中間部37における筒状部材24の軸線方向一端部48に当接する部分よりも開放端部36寄りの部分に、内外に挿通する挿通孔67が形成される。この挿通孔67によって、第1空間60のオリフィス63よりも半径方向外方側の外側空間部65と、ピストン内空間56とが連通される。
【0051】
また筒状部材24の軸線方向他端部51およびその付近には、一端部が減圧ピストン22内に挿入される部分で開口し、他端部が減圧ピストン22から突出する部分で開口する連通孔68が形成される。この連通孔68によって、第2空間61と、ピストン内空間56とが連通されるとともに、これら第2空間61およびピストン内空間56が、二次ポート30に連通される。オリフィス63よりも半径方向外方側の外側空間部65、第2空間61、ピストン内空間56、挿通孔67および連通孔68を含んで、二次ポート30に連なる二次圧力室70が構成される。
【0052】
開閉弁体87の弁体部95には、内外に挿通する挿通孔115が形成される。この挿通孔115によって、弁体室97内に密閉される領域が形成されることを防ぐことができる。この弁体室97と減圧ピストン一次圧受圧空間部100とは、キャップ部材27の内向き凸部93と開閉弁体87の動力伝達部96との間の環状の連通空間121を介して連なり、弁体室97および減圧ピストン一次圧受圧空間部100が一次ポート28に連通される。弁体室97、減圧ピストン一次圧受圧空間部100および連通空間121を含んで、一次ポート28に連なる一次圧力室64が構成される。
【0053】
開閉弁体87によって、弁体室97と減圧ピストン一次圧受圧空間部100との間を、開放する開状態と、閉塞する閉状態とに切換えることができる。閉状態では、減圧ピストン一次圧受圧空間部100および連通空間121には、一次圧P1が導かれないが、開状態では、一次圧力室64全体に一次圧P1が導かれる。また弁体室97と減圧ピストン一次圧受圧空間部100との間を、開放する開状態と、閉塞する閉状態とに切換えることによって、一次ポート28と二次ポート30との間を、開放する開状態と、閉塞する閉状態とに、一次ポート28と二次ポート30との接続状態を切換える。
【0054】
また減圧ピストン22の底部35には、この底部35を装置軸線L1に沿って挿通する透孔71が形成されている。この透孔71によって、一次圧力室64の減圧ピストン一次圧受圧空間部100と、減圧背圧力室55とが連通され、減圧背圧力室55が一次圧P1に保持される。
【0055】
このような弁装置20では、電磁ソレノイド90の駆動コイルに駆動電流を与えない非通電状態では、開閉ピストン85は、駆動ばね部材89の軸線方向一方X1に向かう閉方向のばね力によって、図1に示すような、開閉弁体87が開閉シート部99を弁座112に着座させる閉位置にある第1位置に配置される。この状態で、弁装置20は、一次ポート28から二次ポート30への流体の流下を阻止し、タンク200内からタンク200外への流体の吐出を停止する。
【0056】
また弁装置20では、電磁ソレノイド90の駆動コイルに駆動電流を与える通電状態では、電磁ソレノイド90によって発生される電磁力であって、軸線方向他方X2に向かう開方向の電磁力によって、駆動ばね部材89のばね力に抗して、開閉ピストン85が、図1の第1位置から軸線方向他方X2に変位した第2位置、したがって開閉弁体87が開閉シート部99を弁座112から離間させる開位置にある第2位置に配置される。この状態で、弁装置20は、一次ポート28から二次ポート30への流体の流下を許容し、タンク200内からタンク200外への流体の吐出を解除する。
【0057】
このように開閉弁部は、電磁ソレノイド90への駆動電流の供給および供給停止によって、電磁ソレノイド90と駆動ばね部材89とが協働して、開閉ピストン85に電磁力およびばね力の少なくともいずれか一方を働かせて、開閉ピストン85を変位駆動させ、一次ポート28と二次ポート30との連通および遮断を制御することができる。本実施の形態において、開閉ピストン85の駆動力は、駆動ばね部材89によるばね力および電磁ソレノイド90による電磁力を含む。
【0058】
また弁装置20では、減圧ピストン22は、ハウジング21内を、オリフィス63によって連なる一次圧力室64と二次圧力室70とに仕切る。開閉弁部が開いている状態で、一次ポート28に供給される流体は、一次圧力室64からオリフィス63を通過して二次圧力室70に、具体的には、第1空間60の外側空間部65に流下し、挿通孔67、ピストン内空間56および連通孔68を経て、二次ポート30に流下し、二次ポート30から吐出される。このように弁装置20を流体が流下するとき、減圧ピストン22は、筒状部材24の軸線方向他端部51との間に軸線方向に間隔をあける。
【0059】
流体がオリフィス63を通過するとき、流体の圧力が低下される。言い換えるならば、流体は、一次圧力室から、オリフィス63を通過することによって減圧されて、二次圧力室70に流下する。したがって一次ポート28、一次圧力室64および減圧背圧力室55内の流体は、一次圧P1を有し、二次ポート30および二次圧力室70内の流体は、一次圧P1よりも低い減圧された二次圧P2を有する。
【0060】
図2は、弁装置20の各部の寸法を説明するために示す断面図である。開閉ピストン85の開閉弁体87は、その外表面が、一次圧P1に保持される一次圧力室64および減圧背圧力室55に臨み、軸体88は、一次圧P1に保持される減圧背圧力室55および開閉背圧力室106に臨んでいる。このような開閉ピストン85は、開閉ピストン85を弁座112に着座させる方向の一次圧P1を、有効的に受ける閉受圧面積A1の閉受圧面130を有する。閉受圧面積A1は、開閉ピストン85が一次圧力室64および減圧背圧力室55内の流体によって軸線方向一方X1に一次圧P1を受ける受圧面積から、開閉ピストン85が一次圧力室64および減圧背圧力室55内の流体によって軸線方向他方X2に一次圧P1を受ける受圧面積を減算した面積であって、一次圧力室64および減圧背圧力室55内の流体から受ける一次圧P1が、開閉ピストン85に軸線方向一方X1への力として有効的に働く面積である。本実施の形態では、軸部88の減圧背圧力室55に臨む軸線方向一端部101の装置軸線L1に垂直な断面の直径D4は、弁座112の先端部の外径D1と同一に形成されている。したがって、開閉ピストン85は、開閉弁部が開いているか閉じているかに拘わらず、また開閉弁体87と軸体88とが当接しているか離間しているかに拘わらず、閉受圧面積A1は、弁座112の先端部の外径D1と同一の外径の円の面積となり、次式(3)で表される。
【0061】
【数2】
Figure 2004054624
【0062】
ここで軸体88の軸線方向一端部101における装置軸線L1に垂直な断面の面積A4は、次式(4)で表され、閉受圧面積A1と同一である。
【0063】
【数3】
Figure 2004054624
【0064】
また開閉ピストン85は、前述のように軸体88に段差部105が形成され、この段差部105が開閉背圧力室106に設けられるように構成される。これによって開閉ピストン85は、開閉ピストン85を弁座112から離間方向の一次圧P1を、有効的に受ける開受圧面積A7−A8の開受圧面131を有する。開受圧面積A7−A8は、開閉ピストン85が開閉背圧力室105内の流体によって軸線方向他方X2に一次圧P1を受ける受圧面積から、開閉ピストン85が開閉背圧力室106内の流体によって軸線方向一方X1に一次圧P1を受ける受圧面積を減算した面積であって、開閉背圧力室106内の流体から受ける一次圧P1が、開閉ピストン85に軸線方向他方X2への力として有効的に働く面積である。
【0065】
本実施の形態では、軸体88の段差部105に、開受圧面131が形成されており、段差部105における軸線方向一端部101側の外径が大きい部分の装置軸線L1に垂直な断面の面積A7から、段差部105における軸線方向他端部102側の外径が小さい部分の装置軸線L1に垂直な断面の面積A8を減算した面積である。したがって、開受圧面積A7−A8は、段差部105における軸線方向一端部101側の外径が大きい部分の外径D7と、段差部105における軸線方向他端部102側の外径が小さい部分の外径D8とを用いて、次式(5)で表される。
【0066】
【数4】
Figure 2004054624
【0067】
本実施の形態では、開受圧面積A7−A8は、閉受圧面積A1(=A4)と同一である。開閉ピストン85は、二次圧P2に保持される二次圧力室70には臨んでおらず、二次圧P2は受けない。
【0068】
開閉ピストン85には、大気圧も働くが、開閉ピストン85の動作に与える影響が小さいので、便宜上、大気圧による力を無視すると、開閉ピストン85に働く軸線方向の力F1は、軸線方向一方X1の力を正として、次式(6)のように表される。
F1=Fk+{A1−(A7−A8)}P1−Fs     …(6)
Fk=K1(ΔH1+Z1)                …(7)
【0069】
ここで、Fkは、駆動ばね部材89によるばね力であって、K1は、駆動ばね部材89のばね定数であり、ΔH1は、開閉弁体87が閉位置にある場合の駆動ばね部材89の自然状態からの撓み量であり、Z1は、開閉弁体87の閉位置からの軸線方向一方X1への変位量である。Fsは、電磁ソレノイド90による電磁力である。
【0070】
本実施の形態の開閉弁部では、上式(6)において、開閉背圧力室106を形成して、開閉ピストン85が一次圧P1を開受圧面積A7−A8で、軸線方向他方X2に受けるように構成し、これによって開閉ピストン85が軸線方向一方X1に受ける一次圧P1による力(A1×P1)と、開閉ピストン85が軸線方向他方X2に受ける一次圧P1による力{(A7−A8)×P1}とを釣り合わせて、開閉ピストン85に働く一次圧P1による軸線方向の力を相殺すること、つまり{A1−(A7−A8)}P1=0にすることができる。
【0071】
従来の構成では、一次圧を高くすると、安定して開閉ピストンを弁座に着座させるために、その一次圧によって開閉ピストンに働く力に抗するような大きさのばね力を開閉ピストンに与えるばね力の大きな駆動ばね部材を用いる必要があり、開閉ピストンを弁座から離間するときには、このような大きなばね力に抗する大きな電磁力を与えることができるように電磁ソレノイドを大形化しなければならない。これに対して、本実施の形態の弁装置20における開閉弁部では、開閉ピストン85に働く一次圧P1による軸線方向の力が相殺されるので、一次圧P1を高くしても、安定して開閉ピストン85の開閉シート部99を弁座112に着座させて閉じるために、駆動ばね部材89のばね力を大きくする必要がない。これに伴って、開閉ピストン85の開閉シート部99を弁座112から離間させて開くために、電磁ソレノイド90が開閉ピストン85に与える電磁力を大きくする必要がなく、電磁ソレノイド90を小形化することができ、開閉弁部の寸法を小さく抑えることができる。
【0072】
また流量キャパシティ、すなわち最大許容流量を大きくするために、一次圧P1を受ける閉受圧面積A1を大きくしても、開閉ピストン85に働く一次圧P1による軸線方向の力を相殺して、駆動ばね部材89が一次ポート28と二次ポート30とを閉塞するために開閉ピストン85に与えるばね力を小さくすることができる。これによって電磁ソレノイド90が一次ポート28と二次ポート30とを開放するために開閉ピストン85に与える電磁力を大きくすることがない。
【0073】
また減圧ピストン22は、一次圧力室64の流体から軸線方向一方X1に向かう一次圧P1を、有効的に受ける一次受圧面積A2の一次受圧面75を有する。一次受圧面積A2は、減圧ピストン22が一次圧力室64内の流体によって軸線方向一方X1に一次圧P1を受ける受圧面積から、減圧ピストン22が一次圧力室64内の流体によって軸線方向他方X2に一次圧P1を受ける受圧面積を減算した面積であって、一次圧力室64内の流体から受ける一次圧P1が、減圧ピストン22を軸線方向一方X1への力として有効的に働く面積である。
【0074】
減圧ピストン22は、一次圧力室64に軸線方向一方X1側からだけ臨んでおり、一次圧力室64の流体から軸線方向一方X1にだけ一次圧P1を受ける。一次受圧面積A2は、減圧シート部62と協働してオリフィス63を形成する突起片38の先端部の直径D2と、減圧ピストン22に形成される透孔71の直径D10とを用いて、次式(8)で表される。
【0075】
【数5】
Figure 2004054624
【0076】
また減圧背圧力室55は、上述のように減圧ピストン22内に筒状部材24の軸線方向一端部48が挿入されることによって形成されており、減圧ピストン22は、減圧背圧力室55内の流体から軸線方向他方X2に向かう一次圧P1を、有効的に受ける背受圧面積A3の背受圧面76を有する。背受圧面積A3は、減圧ピストン22が減圧背圧力室55内の流体から軸線方向他方X2に一次圧P1を受ける受圧面積から、減圧ピストン22が減圧背圧力室55内の流体から軸線方向一方X1に一次圧P1を受ける受圧面積を減算した面積であって、減圧背圧力室55内の流体から受ける一次圧P1が、減圧ピストン22を軸線方向他方X2への力として有効的に働く面積である。この背受圧面積A3は、筒状部材24の軸線方向一端部48の外径D3と、減圧ピストン22に形成される透孔71の直径D10とを用いて、次式(9)で表される。
【0077】
【数6】
Figure 2004054624
【0078】
突起片38の先端部の直径D2と、筒状部材24の軸線方向一端部48の外径D3は、同一であって、したがって一次受圧面積A2と有効背受圧面積A3とは同一である。このように減圧ピストン22は、一次圧力室64内の流体から一次圧P1を軸線方向一方X1に受ける一次受圧面75の一次受圧面積A2と同一の有効背受圧面積A3とを有し、減圧背圧力室55内の流体から軸線方向他方X2に向かう一次圧P1を受ける背受圧面76を有する。
【0079】
また減圧ピストン22は二次圧力室70内の流体から軸線方向他方X2に向かう二次圧P2を有効的に受ける受圧面積A6−A5の二次受圧面80を有する。減圧ピストン22が二次圧力室70内の流体から軸線方向他方X2に二次圧P2を受ける受圧面積A6は、減圧ピストン22の第2空間61に臨む部分の最大外径である外向き凸部41の外径D6を直径とする円の面積から筒状部材24の軸線方向一端部48の装置軸線L1に垂直な断面の面積(=(π/4)D3)を減算した面積であって、次式(10)で表される。
【0080】
【数7】
Figure 2004054624
【0081】
また減圧ピストン22が二次圧力室70内の流体から軸線方向一方X1に二次圧P2を受ける受圧面積A5は、減圧ピストン22の外側空間部65に臨む部分の最大外径D5を直径とする円の面積から突起片38の先端部の直径D2と同一直径の円の面積を減算した面積であって、次式(11)で表される。
【0082】
【数8】
Figure 2004054624
【0083】
図3は、弁装置20の二次圧P2を示すグラフであって、図3(1)は、一次圧P1と二次圧P2との関係を示し、図3(2)は、流量Qと二次圧P2との関係を示す。弁装置20では、減圧ピストン22に働く力の釣り合いは、次式(12)によって表される。
【0084】
【数9】
Figure 2004054624
【0085】
ここで、K2は、減圧ばね部材23のばね定数であり、ΔHは、図1に示される減圧ばね部材23の初期状態での自然状態からの撓み量である。この初期状態は、たとえば減圧ピストン22が最も軸線方向一方X1に配置され、筒状部材24によって軸線方向に支持されている状態である。またZ2は、減圧ピストン22の図1に示される初期状態からの軸線方向他方X2への変位量であって、式(13)で表されるように、一次圧P1と、弁装置20を流下する流体の流量Qとの関数で表される。
【0086】
前記式(12)の釣り合いの式から、二次圧P2は、次式(14)のように表される。
【0087】
【数10】
Figure 2004054624
【0088】
本実施の形態の弁装置20では、上述のように減圧背圧力室55を形成して、減圧ピストン22が一次圧P1を背受圧面積A3で、軸線方向他方X2に受けるように構成し、これによって減圧ピストン22が軸線方向一方X1に受ける一次圧P1による力と、減圧ピストン22が軸線方向他方X2に受ける一次圧P1による力とを釣り合わせて、相殺することができる。つまり一次受圧面積A2と背受圧面積A3を同一とし、上式(14)における右辺第二項の分子を零にする(A2−A3=0)ことができ、一次圧P1が変化しても、式(14)における右辺第二項の値を一定値(=0)として、右辺第一項だけが変化する式(P2=ε)となるようにすることができる。したがって図3(1)に示すように、減圧ピストン22に背受圧面76を形成しない、従来の構成に比べて、一次圧P1の変化量ΔP1に対する二次圧P2の変化量ΔP2を大幅に低減することができる。
【0089】
また弁装置20では、流量キャパシティ、すなわち最大許容流量を大きくするために、突起片38の先端部の直径D1を大きくして、一次受圧面積A2が大きくなっても、背受圧面積A3を大きくすれば、一次圧P1の変化量ΔP1に対する二次圧P2の変化量ΔP2を小さく抑えることができる。したがって最大許容流量を大きくするために、減圧ピストン22に背受圧面76を形成しない場合のように、減圧ピストン22の二次圧P2を軸線方向他方X2に受ける受圧面積A6を大きくする必要がなく、減圧ピストン22の最大外径である外向き凸部41の外径D6を大きくする必要がない。したがって弁装置20の半径方向寸法を小さく抑えることができる。このように流量Qに拘わらず、弁装置20の半径方向寸法を小さく抑えた上、一次圧P1の変化量ΔP1に対する二次圧P2の変化量ΔP2を小さく抑えることができる。
【0090】
また筒状部材24を設けて、減圧ピストン22内に部分的に挿入する構成とすることによって、簡単な構成によって、減圧背圧力室55を形成し、上述の効果が得られる弁装置20を容易に実現することができる。さらに減圧ピストン22と筒状部材24との間のピストン内空間56を流体が流下する通路として利用することによって、減圧ピストン22に第1空間60の外側空間部65と第2空間61とを連通するための軸線方向に延びる通路を穿設する必要がなく、構成が簡単であり、複雑な加工を必要としないので、容易に製造することができる。また通路の穿設に伴う減圧ピストン22の強度低下がないので、減圧ピストン22の肉厚(半径方向寸法)を小さく抑えることができ、これによっても、弁装置20の半径方向寸法を小さくすることができる。もちろん減圧ピストン22に外側空間部65と第2空間61とを連通するための軸線方向に延びる通路を穿設する構成も、本発明に含まれることは言うまでもない。
【0091】
また一次ポート28と二次ポート30との接続状態を切換える開閉弁部と、二次圧P2を一次圧P1よりも減少させる減圧弁部とが、相互に、少なくとも一部の構成が流体の流下方向に重複する位置に配置されて設けられる。本実施の形態では、開閉弁部が減圧弁部を挿通するように構成される。これによって開閉弁部と減圧弁部とを単に縦列して設ける場合に比べて、流下方向、具体的には軸線方向の寸法を小さくすることができる。しかも開閉弁部と減圧弁部とは、同軸に設けられており、開閉弁部と減圧弁部とが部分的に重複する領域では、ハウジング21を共用することができ、開閉弁部と減圧弁部とを単に並列して設ける場合に比べて、流下方向に交差する方向、具体的には半径方向の寸法を小さくすることができる。このように軸線方向寸法および半径方向寸法を小さくして、小形の弁装置20を実現することができる。
【0092】
したがって圧力装置、圧力容器および圧力配管などへの装着が容易になるうえ、取扱も容易になる。また小形にすることによって、外部から振動が与えられても大きく振動することがなく、耐振性を高くすることができ、たとえば可搬形の圧力装置および圧力容器に好適に用いることができる。また小形にすることによって、高圧容器に設ける場合に、高圧容器に容易に内蔵することが可能になり、高圧容器の外部に高圧流体が流下する配管を設ける必要がなく、高い安全性および取扱性を達成することができる。たとえば高圧タンクなどの高圧容器に減圧弁を内蔵して用いる場合、高圧容器の強度の観点から高圧容器の外径を小さく抑える必要があり、このような用途には、特に効果を発揮して、好適に用いることができる。また全体の質量を小さくすることができ、これによっても取扱性を容易にすることができる。また前述のような一体化構造によって、弁装置20の部品点数を少なくすることができ、製造コストを低くすることができる。
【0093】
さらに開閉弁部における流路の開閉位置が、減圧弁部における減圧位置に比べて、流体の流下方向上流側に配置されている。これによって開閉弁部が閉じた状態では、減圧弁部に高圧の一次圧力が働くことがなく、耐久性を高くすることができる。また開閉弁部を通過した流体は、必ず減圧弁部で減圧されることになり、開閉弁部を閉じた状態で長時間放置した後に、開閉弁部を開放しても、二次圧力P2は、一次圧力に比べて減圧されている。このように高圧のガスが吐出されてしまうことが防がれる。
【0094】
また本実施の形態では、突起片38が形成されるキャップ部材27を、ハウジング本体25に対する軸線方向に位置を調節できるので、突起片38と減圧ピストン22の減圧シート部62との軸線方向間隔を調節することができ、一次圧P1に対する二次圧P2の減圧比を調節することができる。
【0095】
このような弁装置20は、たとえば消防士が火災現場などで背負う酸素を収容したタンクなどの高圧タンクに設け、高圧タンク内の酸素を、減圧しながら外部に吐出するための減圧弁として用いることができる。このような高圧タンクに内蔵化して用いる場合、高圧タンクは、強度の観点から半径方向寸法を小さくする必要があり、上述のように半径方向寸法を小さく抑えることができる弁装置20は、好適である。
【0096】
また開閉弁部における開閉ピストン85を、開閉弁体87と軸体88とを分離して構成し、開閉弁体87を軸体88を介して電磁ソレノイド90によって遠隔駆動する。これによって電磁ソレノイド90の構成部品には、高圧の流体が働くことがなく、電磁ソレノイド90のチューブ(ケーシング)を堅牢に形成する必要がない。また電磁ソレノイド90の加工精度を高くしなくても、流体の漏れを防ぐシール性を高くすることができる。
【0097】
図4は、本発明の実施の他の形態の弁装置20Aを示す断面図である。本実施の形態の弁装置20Aは、図1〜図3に示す実施の形態の弁装置20と類似しており、同一の構成は、同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の弁装置20Aは、開閉弁部を手動で開閉操作するための操作ハンドル140をさらに有する。この操作ハンドル140は、電磁ソレノイド90のケーシングに螺着され、回動させて螺進および螺退させることによって、駆動部材120を変位操作することができる。これによって操作ハンドル140を手動操作することによって、駆動ばね部材89と協働して、開閉ピストン85を変位駆動することができる。
【0098】
このような弁装置20Aは、図1〜3の弁装置20の効果に加えて、手動で開閉弁部を操作できる効果を達成することができる。このように手動で開閉弁部を操作できるようにすれば、電磁ソレノイド90が何らかの要因で電気的に作動させることができない事態が生じても、開閉弁部を作動させることができる。
【0099】
図5は、本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Bを示す断面図である。本実施の形態の弁装置20Bは、図1〜図3に示す実施の形態の弁装置20と類似しており、同一の構成は、同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の弁装置20Bは、開閉弁部に関して、開閉背圧力室106を形成しない構成である。このような構成では、開閉ピストン85に、一次圧P1による軸線方向一方X1に働く力を、前述のようにして相殺(キャンセル)することはできないが、開閉背圧力室106および連通路107を設ける必要がなく、また開閉ピストン85に段差部105を形成する必要がないので、構成を簡単にすることができる。この弁装置20Bは、開閉ピストン85に、一次圧P1による軸線方向一方X1に働く力を、前述のようにして相殺すること以外の効果については、図1〜図3の弁装置20と同様に達成することができる。
【0100】
図6は、本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Cを示す断面図である。本実施の形態の弁装置20Cは、図5に示す実施の形態の弁装置20Bと類似しており、同一の構成は、同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の弁装置20Cは、図5の弁装置20Bの構成に加えて、図4に示す弁装置20Aと同様の操作ハンドル140が設けられる。これによって、図5の弁装置20Bの効果に加えて、図4の弁装置20Aで説明した操作ハンドル14の効果を同様に達成することができる。
【0101】
図7は、本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Dを示す断面図である。本実施の形態の弁装置20Dは、図4に示す実施の形態の弁装置20Aと類似しており、同一の構成は、同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の弁装置20Dは、図4の弁装置20Aの構成において、電磁ソレノイド90を取り除いた構成であり、換言すれば、図1〜図3の弁装置20の構成において電磁ソレノイド90に代えて、操作ハンドル140を設けた構成であり,操作ハンドル140は、ハウジング21に螺着される。この弁装置20Dでは、操作ハンドル140の操作によって、駆動永久磁石片を介することなく、開閉ピストン85を直接操作することができる。その他の構成については、図4の弁装置20Aと同様であり、電磁ソレノイド90に関連する効果以外の効果については、図4の弁装置20Aと同様に達成することができる。
【0102】
図8は、本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Eを示す断面図である。本実施の形態の弁装置20Eは、図5に示す実施の形態の弁装置20Bと類似しており、同一の構成は、同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の弁装置20Eは、図5の弁装置20Bの構成において、図7の弁装置20Dと同様に、電磁ソレノイド90を取り除いた構成である。その他の構成については、図5の弁装置20Bと同様であり、電磁ソレノイド90に関連する効果以外の効果については、図5の弁装置20Bと同様に達成することができる。
【0103】
図9は、タンク200に設けられるタンク内蔵型の弁装置の分類の一例を示す図である。タンク内蔵型の弁装置20,20A〜20Eは、電磁式と手動式とに大別される。電磁式および手動式ともに、圧力キャンセル機構付と圧力キャンセル機構無とにさらに別けることができる。また電磁式では、圧力キャンセル機構付および圧力キャンセル機構無ともに、応急手動ハンドル付と応急手動ハンドル無とに別けられる。
【0104】
図1〜図3の弁装置20が、電磁式であって圧力キャンセル機構付の応急手動ハンドル無の弁装置に相当する。図4の弁装置20Aが、電磁式であって圧力キャンセル機構付の応急手動ハンドル付の弁装置に相当する。図5の弁装置20Bが、電磁式であって圧力キャンセル機構無の応急手動ハンドル無の弁装置に相当する。図6の弁装置20Cが、電磁式であって圧力キャンセル機構無の応急手動ハンドル付の弁装置に相当する。図7の弁装置20Dが、手動式であって圧力キャンセル機構付の弁装置に相当する。図8の弁装置20Eが、手動式であって圧力キャンセル機構無の弁装置に相当する。
【0105】
図10は、配管150の途中に設けられるインライン型の弁装置の分類の一例を示す図である。図1〜図9を参照して説明した各弁装置20,20A〜20Eは、タンク80に設けられたけれども、弁装置は、配管途中に設けるようにしてもよい。インライン型の弁装置20F〜20Kもまた、電磁式と手動式とに大別される。電磁式および手動式ともに、圧力キャンセル機構付と圧力キャンセル機構無とにさらに別けることができる。また電磁式では、圧力キャンセル機構付および圧力キャンセル機構無ともに、応急手動ハンドル付と応急手動ハンドル無とに別けられる。
【0106】
図11の弁装置20Fが、電磁式であって圧力キャンセル機構付の応急手動ハンドル無の弁装置に相当する。図12の弁装置20Gが、電磁式であって圧力キャンセル機構付の応急手動ハンドル付の弁装置に相当する。図13の弁装置20Hが、電磁式であって圧力キャンセル機構無の応急手動ハンドル無の弁装置に相当する。図14の弁装置20Iが、電磁式であって圧力キャンセル機構無の応急手動ハンドル付の弁装置に相当する。図15の弁装置20Jが、手動式であって圧力キャンセル機構付の弁装置に相当する。図16の弁装置20Kが、手動式であって圧力キャンセル機構無の弁装置に相当する。このようなインライン型の弁装置であて、圧力キャンセル機構付の弁装置において、開閉弁部における一次圧P1を相殺するために、開閉背圧力室106に一次圧P1を導くためのハウジング本体25の連通路107は、弁体室97と開閉背圧力室106とを接続するように構成される。
【0107】
これらインライン型の各弁装置20F〜20Kは、タンク200に設けられず、配管途中に設けられ、一次ポート28に配管150の一次側部分が連結され、二次ポート30に配管150の二次側部分が連結される。インライン型の各弁装置20F〜20Kは、その他の構成については、対応する分類のタンク内蔵型の各弁装置20,20A〜20Eと同様の構成であり、同様の効果を達成することができる。
【0108】
図17は、本発明の実施の他の形態の弁装置20Lを示す断面図である。本実施の形態の弁装置20Lは、図1〜図3に示す実施の形態の弁装置20と類似しており、同一の構成は、同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態の弁装置20Lは、図1〜図3の弁装置20の電磁ソレノイド90に代えて、装置軸線L1上ではなく、装置軸線L1に対して交差する方向から駆動する電磁ソレノイド90Lが設けられる。
【0109】
この弁装置20Lでは、ハウジング21の軸線方向他端部に、軸体88の軸線方向他端部101が配置される作動片収容部160が形成され、L字状の作動片161が収容されている。作動片161は、一端部で装置軸線L1に垂直な角変位軸線L2まわりに角変位自在に保持されている。
【0110】
電磁ソレノイド90Lは、ハウジング21の外方に配置されて、外周部に設けられ、装置軸線L1と交差する方向、具体的には装置軸線L1に垂直であり、かつ角変位軸線L2に垂直なソレノイド軸線に沿って変位自在な駆動部材164と、駆動コイルとを有する。この電磁ソレノイド90Lは、駆動コイルへの通電および非通電を切換えることによって、駆動部材164をソレノイド軸線に沿って変位させ、この駆動部材164によって、作動片161を角変位させ、この作動片161によって押圧して、ハウジング21に対して、装置軸線L1に沿って軸線方向へ、具体的には軸線方向他方X2に向かう方向へ変位駆動するための電磁駆動力であって弁体部95を弁座112から離間させる開方向の電磁駆動力力を、開閉ピストン85に与えることができる。
【0111】
このような構成では、電磁ソレノイド90Lを半径方向にずらすことによって、装置軸線L1の方向の寸法をさらに小さくすることができる。また駆動部材164による作動片161への入力位置(力点)と作動片161の角変位軸線(支点)との距離が、作動片161によって軸体88を押圧する押圧位置(作用点)と作動片161の角変位軸線との距離よりも大きい。これによっててこの原理によって、電磁ソレノイド90Lの電磁力を増幅させて軸体88に与えることができる。これによって電磁ソレノイド90Lをさらに小形にすることができる。
【0112】
図17に示す弁装置20Lのその他の構成は、図1〜図3の弁装置20と同様であり、同様の効果を達成する。
【0113】
上述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内で構成を変更することができる。たとえば図4、図5、図6、図11、図12、図13および図14に示す弁装置20A,20B,20C,20F,20G,20H,20Iにおいて、電磁ソレノイド90を、図17に示す電磁ソレノイド90Lに代えるようにしてもよい。またハウジング21と筒状部材24とは一体に形成されてもよい。また用途は、上述の消防士が背負うタンク以外の高圧タンクに設けてもよく、たとえば電気自動車などに搭載される燃料電池を構成するためのガスを収容するタンクに設けるようにしてもよい。またタンク以外の流体圧装置に設けるようにしてもよい。流体は、気体であってもよいし、液体であってもよい。
【0114】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、軸線方向寸法および半径方向寸法を小さくして、小形の弁装置を実現することができるので、圧力装置、圧力容器および圧力配管などへの装着が容易になるうえ、取扱も容易になる。また小形にすることによって、外部から振動が与えられても大きく振動することがなく、耐振性を高くすることができ、たとえば可搬形の圧力装置および圧力容器に好適に用いることができる。また小形にすることによって、高圧容器に設ける場合に、高圧容器に容易に内蔵することが可能になり、高圧容器の外部に高圧流体が流下する配管を設ける必要がなく、高い安全性および取扱性を達成することができる。たとえば高圧タンクなどの高圧容器に減圧弁を内蔵して用いる場合、高圧容器の強度の観点から高圧容器の外径を小さく抑える必要があり、このような用途には、特に効果を発揮して、好適に用いることができる。また全体の質量を小さくすることができ、これによっても取扱性を容易にすることができる。また前述のような一体化構造によって、弁装置の部品点数を少なくすることができ、製造コストを低くすることができる。
【0115】
請求項2記載の本発明によれば、一次圧力の変化量に対する二次圧力の変化量を、大幅に低減することができる。しかも最大許容流量が大きい場合であっても、半径方向寸法を小さく抑えかつ二次圧力の変化量を小さく抑えることができる。したがって極めて利便性の高い減圧弁部を備える弁装置が得られる。
【0116】
請求項3記載の本発明によれば、一次圧力を高くしても、開閉駆動手段によって開閉ピストンに与える駆動力を大きくする必要がない。また開閉駆動手段よって開閉ピストンに与える駆動力を大きくすることなく、最大許容流量を大きくすることができる。したがって極めて利便性の高い開閉弁部を備える弁装置が得られる。
【0117】
請求項4記載の本発明によれば、開閉弁部が閉じた状態では、減圧弁部に高圧の一次圧力が働くことがなく、耐久性を高くすることができる。また開閉弁部を閉じた状態で長時間放置した後に、開閉弁部を開放しても、高圧のガスが吐出されてしまうことが防がれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の弁装置20を示す断面図である。
【図2】弁装置20の各部の寸法を説明するために示す断面図である。
【図3】弁装置20の二次圧P2を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の他の形態の弁装置20Aを示す断面図である。
【図5】本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Bを示す断面図である。
【図6】本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Cを示す断面図である。
【図7】本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Dを示す断面図である。
【図8】
本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Eを示す断面図である。
【図9】
タンク80に設けられるタンク内蔵型の弁装置の分類の一例を示す図である。
【図10】
配管150途中に設けられるインライン型の弁装置の分類の一例を示す図であ
る。
【図11】
本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Fを示す断面図である。
【図12】
本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Gを示す断面図である。
【図13】
本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Hを示す断面図である。
【図14】
本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Iを示す断面図である。
【図15】
本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Jを示す断面図である。
【図16】
本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Kを示す断面図である。
【図17】
本発明の実施のさらに他の形態の弁装置20Lを示す断面図である。
【図18】
従来の技術の弁装置1を示す断面図である。
【図19】
弁装置1を示す構成回路図である。
【図20】
従来の技術の減圧弁部3の構成を簡略化して模式的に示す断面図である。
【図21】
従来技術の減圧弁部3の二次圧力p2を示すグラフである。
【符号の説明】
20,20A〜20L 弁装置
21 ハウジング
22 減圧ピストン
23 減圧ばね部材
24 筒状部材
28 一次ポート
30 二次ポート
55 減圧背圧力室
63 オリフィス
85 開閉ピストン
86 開閉駆動手段
106 開閉背圧力室

Claims (4)

  1. 一次ポートおよび二次ポートが形成されるハウジングと、
    ハウジング内に設けられ、一次ポートと二次ポートとの接続状態を、開状態と閉状態とに切換える開閉弁部と、
    少なくとも一部の構成が開閉弁部と流体の流下方向に重複する位置に配置されて、ハウジング内に同軸に設けられ、二次ポートにおける流体の二次圧力を、一次ポートにおける流体の一次圧力よりも減圧させる減圧弁部とを含むことを特徴とする弁装置。
  2. 減圧弁部は、
    ハウジング内に軸線方向に変位自在に保持され、一次ポートに連なる一次圧力室と二次ポートに連なる二次圧力室とにハウジング内を仕切り、一次圧力室の流体から軸線方向一方に向かう一次圧力を受ける一次受圧面積の一次受圧面と、一次圧力に保持される減圧背圧力室の流体から軸線方向他方に向かう一次圧力を一次受圧面積と同一の背受圧面積で受ける背受圧面と、二次圧力室の流体から軸線方向他方に向かう二次圧力を受ける二次受圧面とが形成される減圧ピストンと、減圧ピストンに軸線方向一方に向かう減圧ばね力を与える減圧ばね力発生手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の弁装置。
  3. 開閉弁部は、
    ハウジング内に軸線方向に変位自在に保持され、ハウジングに形成される弁座に着座および離間することによって、一次ポートと二次ポートとの接続状態を切換える開閉ピストンであって、開閉ピストンを弁座に着座させる方向の一次圧力を閉受圧面積で受ける閉受圧面と、開閉ピストンを弁座から離間方向の一次圧力を閉受圧面積と同一の開受圧面積で受ける開受圧面とが形成される開閉ピストンと、
    開閉ピストンに軸線方向の駆動力を与えて、一次ポートと二次ポートとの接続状態を、開状態と閉状態とに切換え駆動する開閉駆動手段とを含むことを特徴とする請求項1または2記載の弁装置。
  4. 開閉弁部における流路の開閉位置は、減圧弁部における減圧位置に比べて、流体の流下方向上流側に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の弁装置。
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