JP2004053997A - 誘電体多層膜フィルター用基板及び誘電体多層膜フィルター - Google Patents

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Abstract

【目的】OH基の含有量が少なく、Eバンド帯域内の透過率が高い誘電体多層膜フィルター用基板及び誘電体多層膜フィルターを提供する。
【構成】β−OH量が0.15/mm以下であるため、O−H伸縮振動に帰属される1400nm付近の吸収ピークがほとんどなく、1300〜1500nmの波長において、肉厚1mmでの内部透過率が99.8%以上であることを特徴とする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に用いられる誘電体多層膜フィルター用基板とその製造方法及び誘電体多層膜フィルターとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信網の急速な発達により、高性能で安価な光デバイスが大量に必要となってきている。特に、誘電体多層膜フィルターは、特定の波長を透過させたり反射させたりすることにより、光の分波・合波を行うパッシブデバイスとして必要不可欠である。
【0003】
光通信分野で用いられる代表的な誘電体多層膜フィルターには、多波長の光を極めて狭帯域に切り出すバンドパスフィルター(BPF)、Cバンド(1530nm〜1565nm)とLバンド(1565nm〜1625nm)を分けるエッジフィルター、Cバンドの中心をさらに短波長領域(1530nm〜1545nm:通称ブルーバンド)と長波長領域(1545nm〜1565nm:通称レッドバンド)に分ける広帯域フィルター、EDFA(エルビウム−ドープドファイバー−アンプリファイア)の利得をフラットにするゲインイコライザ等がある。
【0004】
一般にカメラ用の光学フィルターの基材には、プラスティックが使用されているが、上記した誘電体多層膜フィルターの基材は、強いレーザー光が入射されるため、耐熱性に優れたガラスが用いられている。
【0005】
光通信において、より多くの情報を伝達する(伝送容量を拡大する)ためには、一つの波長の伝送信号をより高速化(高ビットレート化)するとともに、波長の異なる複数の光信号を束ねて伝送する波長分割多重(WDM)技術を用いる必要がある。このWDM技術では、波長の多重数を増加させ高密度化することによって、伝送容量を拡大することができるが、波長の多重数を増加させ高密度化すればするほど、これらの波長を精度よく分離する技術が要求される。誘電体多層膜フィルターを使用して波長分離の精度を向上させるためには、誘電体多層膜の層数を増加させなければならない。例えば、チャンネル間隔(波長間隔)が0.8nmである100GHz用光フィルターでは、100層以上、チャンネル間隔が0.4nmである50GHz用フィルターでは、150層以上もの誘電体多層膜が必要とされる。
【0006】
しかし、誘電体多層膜の層数が増加すると、基板ガラスに要求される特性もより厳しいものとなってくる。すなわち、誘電体多層膜の屈折率温度安定性を維持させるために、基材の熱膨張係数を誘電体多層膜のそれより大きくすることが求められ、また、誘電体多層膜と基材との熱膨張差によって誘電体多層膜に応力が発生しにくいようにするために、基材の弾性率を高くし、誘電体多層膜の寸法安定性を維持することが求められており、特開2001−66425号公報、特開2001−89184号公報及び特開2001−48584号公報には、このような特性を有する光フィルター用ガラス基板や光フィルター用ガラスセラミックス基板が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一方、WDM技術において、使用波長帯域を一定とすると、波長多重チャンネル数は、チャンネル間隔の狭窄化により増やせるが、伝送ビットレートとの関係から、これ以上は狭くできないという限界がある。1チャンネル当たりの伝送ビットレートを上げていく場合も、ビットレートに応じてチャンネル間隔を広げる必要が生じる。結局のところ、CバンドやLバンドを使い尽くした後、さらに伝送容量を拡大するには使用波長帯域をSバンド(1460〜1530nm)やUバンド(1625〜1675nm)さらにはEバンド(1360〜1460nm)まで拡大するしかない。
【0008】
しかしながら、上記した従来の光フィルター用ガラス基板や光フィルター用ガラスセラミックス基板は、これらの基板材料中に多く存在するOH基によってEバンド帯域内の1400nm付近に吸収ピークが存在し、この吸収ピークによって光損失が大きくなるという問題を有していた。
【0009】
本発明の目的は、OH基の含有量が少なく、Eバンド帯域内の透過率が高い誘電体多層膜フィルター用基板及び誘電体多層膜フィルターを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、含水量の少ない原料を用いること、又は溶融条件を最適化することにより、OH基の含有量を抑えることが可能となり、その結果、1400nm付近の吸収ピークがほとんどなく、Eバンド帯域内の透過率が高い誘電体多層膜フィルター用基板を見出し、本発明として提案するものである。
【0011】
すなわち、本発明の誘電体多層膜フィルター用基板は、1300〜1500nmの波長において、肉厚1mmでの内部透過率が99.8%以上であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の誘電体多層膜フィルター用基板の製造方法は、電気炉を用いて溶融し、ガラス又は結晶化ガラスのガラス成形体を得ることを特徴とする。
【0013】
本発明の誘電体多層膜フィルターは、1300〜1500nmの波長において、肉厚1mmでの内部透過率が99.8%以上である誘電体多層膜フィルター用基板の表面に、誘電体多層膜が形成されてなることを特徴とする。
【0014】
また本発明の誘電体多層膜フィルターの製造方法は、電気炉を用いて溶融することによって得たガラス成形体からガラス又は結晶化ガラスからなる誘電体多層膜フィルター用基板を作製し、その基板表面に、誘電体多層膜を形成することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の誘電体多層膜フィルター用基板は、1300〜1500nmの波長において、肉厚1mmでの内部透過率が99.8%以上、好ましくは99.90%以上であるため、Eバンド帯域内の透過率が高く、これを用いた誘電体多層膜フィルターは、光損失が小さく、WDM技術を用いた大容量伝送の光通信システムに好適である。
【0016】
また本発明の誘電体多層膜フィルター用基板は、肉厚1mmにおいて、O−H伸縮振動に帰属される1400nm付近の吸収ピークの高さ△Pが0.1%以下、好ましくは0.03%以下であると、1300〜1500nmの波長において、肉厚1mmでの内部透過率が99.8%以上となりやすく、光損失が小さいため好ましい。
【0017】
尚、O−H伸縮振動に帰属される1400nm付近の吸収ピークの高さ△Pは、下記の式によって定義される。
△P=|(T1500−T1300)・(λ−1300)/200+T1300|−T
【0018】
ここで、T1500は、1500nmにおける内部透過率(%)、T1300は、1300nmにおける内部透過率(%)、λは、吸収ピーク波長(nm)、Tは、吸収ピークにおける内部透過率(%)である。
【0019】
また、本発明の誘電体多層膜フィルター用基板は、β−OH量が0.15/mm以下であると、O−H伸縮振動に帰属される1400nm付近の吸収ピークの高さ△Pが0.1%以下になりやすく、1300〜1500nmの波長において、肉厚1mmでの内部透過率が99.8%以上となりやすいため好ましい。また、β−OH量の好ましい範囲は、0.07/mm以下である。
【0020】
尚、β−OH量(/mm)は下記の式によって定義される。
β−OH量(/mm)={log(T3850/T3500)}/t
【0021】
ここで、T3850は、3850cm−1での透過率(%)、T3500は、3500cm−1付近の吸収帯の最低透過率(%)、tは、測定時の試料板厚(mm)である。
【0022】
本発明の誘電体多層膜フィルター用基板は、ガラス、結晶又は結晶化ガラスからなるが、特にガラスからなると、安価であり、また結晶粒界が存在せず、レーリー散乱が少ないため、赤外域での透過率が高くなりやすいため好ましい。また、結晶化ガラスの場合においても、析出結晶の結晶粒径が0.1μmよりも小さいと、レーリー散乱が少なく、赤外域での透過率が高くなりやすいため好ましい。
【0023】
本発明の誘電体多層膜フィルター用基板は、−30〜70℃における熱膨張係数が90〜130×10−7/℃、好ましくは95〜120×10−7/℃であると、基板と誘電体多層膜との熱膨張係数差により誘電体多層膜に十分な圧縮応力を印加できるため、誘電体多層膜フィルターの中心波長の温度依存性が1pm/℃以下となる。すなわち、熱膨張係数が、90×10−7/℃よりも小さいと、誘電体多層膜フィルターの中心波長の温度依存性が1pm/℃よりも大きくなり、隣接波長の光が干渉する虞があり、130×10−7/℃より大きいと、誘電体多層膜が基板材料から剥がれやすくなるからである。
【0024】
本発明の誘電体多層膜フィルター用基板は、ヤング率が75GPa以上であると、基板が誘電体多層膜により変形しにくく、誘電体多層膜の寸法安定性がよくなるため好ましい。
【0025】
また、本発明の誘電体多層膜フィルター用基板は、ラップ法による研磨速度が10μm/分以上であり、沸騰水浴での質量減が0.05wt%/hr以下、0.01Nの硝酸水溶液での質量減が0.20wt%/hr以下であるため、安価で長期間に亘ってフィルター特性が劣化しにくい。すなわち、ラップ法による研磨速度が10μm/分未満であると、基板の加工性が悪く、加工時間がかかるため、誘電体多層膜フィルターの生産効率が悪く、低価格化が実現できず、また、沸騰水浴での質量減が0.05wt%/hrより多く、0.01Nの硝酸水溶液での質量減が0.20wt%/hrより多いと、誘電体多層膜フィルターの耐候性が低下し、長期に亘って、高温高湿条件に曝されると、基板表面に曇りが発生しやすく、また多層膜が劣化しやすいからである。尚、上記した加工性とは、基板の研削加工、切削加工、鏡面研磨加工等の加工性を意味する。
【0026】
また、耐候性を評価する基板材料の質量減の測定方法は、日本光学硝子工業会規格JOGIS「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(粉末法)06−1975」に基づいている。
【0027】
上記した熱膨張係数、ヤング率、化学的耐久性を有する基板材料としては、具体的には、質量%で、SiO 30〜80%、Al 1〜10%、B0〜20%、MgO+CaO+BaO+SrO+ZnO 3〜35%、LiO+NaO+KO 5〜33%、TiO+ZrO 1〜30%、Gd+La 0〜10%の組成を有するガラス又は結晶化ガラスが好適である。
【0028】
次に、上記した範囲に成分含有量を限定した理由を述べる。
【0029】
SiOはガラスの骨格を構成する成分であり、耐候性を向上させる効果を有し、特にその含有量が40〜75%であるとさらに好ましい。SiOが80%を超えると熱膨張係数が小さく、誘電体多層膜フィルターの中心波長の温度依存性が大きくなり、研磨速度が小さく、またガラスの成形が困難になりやすい。30%より少ないと、熱膨張係数が大きく、多層膜が基板より剥がれやすく、また耐候性が著しく悪化しやすい。
【0030】
Alは、SiOと同様にガラスの骨格を構成する成分であり、ガラス中のアルカリ成分の溶出を抑制し、耐候性を向上させる効果が顕著であるため、1%以上含有することが望ましい。10%より多いと、研磨速度が小さくなりやすい。
【0031】
は、融剤として作用してガラスの溶融を助ける効果があり、特にその含有量が0〜10%であるとさらに好ましい。Bが20%よりも多いと、化学的耐久性が著しく悪化し、研磨速度が小さくなりやすく、またガラス溶融時に揮発が多くなって脈理が生じ、均質なガラスが得られにくい。
【0032】
MgO、CaO、BaO、SrO及びZnOは、融剤として作用してガラスの溶融を助け、また研磨速度を大きくし、加工性を向上させる効果を有し、さらには化学的耐久性を高める効果を有する。特にこれらの含有量の合量が3〜30%であるとさらに好ましい。MgO+CaO+BaO+SrO+ZnOが35%より多いと、熱膨張係数が大きくなり誘電体多層膜が基板から剥がれやすくなり、また化学的耐久性が悪くなりやすい。3%より少ないと、熱膨張係数が小さく、誘電体多層膜フィルターの中心波長の温度依存性が大きくなりやすい。またガラスの研磨速度が小さくなりやすくなり、加工性が悪くなりやすく、またガラスの溶融が困難になりやすい。
【0033】
LiO、NaO及びKOは、熱膨張係数を大きくし、加工性を向上させる成分であり、特に、これらの含有量の合量が5〜22%であるとさらに好ましい。LiO+NaO+KOが5%よりも少ないと、熱膨張係数が小さく、33%よりも多いと、熱膨張係数が大きく、耐候性に劣るため好ましくない。
【0034】
TiO及びZrOは、耐候性を維持しつつ熱膨張係数を大きくする効果があり、特にこれらの含有量の合量が1〜20%であるとさらに好ましい。TiO+ZrOが30%より多くなると、ガラスが失透しやすくなり、1%より少ないと、高い熱膨張係数が得られにくい。
【0035】
Gd及びLaは、熱膨張係数をあまり低下させずに耐候性を向上させる効果を有し、特にこれらの含有量の合量が0〜8%であるとさらに好ましい。Gd+Laが10%よりも多いと熱膨張係数が低くなりやすい。
【0036】
上記した以外にも本発明のガラスは、Sb等の清澄剤を添加することが可能である。ただし、Asは環境上好ましくないため、使用しないほうがよい。
【0037】
PbOは、耐候性を低下させるとともに、環境上好ましくない成分であるため、ガラス成分として含有させないほうが好ましい。
【0038】
また、本発明の誘電体多層膜フィルター用基板は、NaO含有量が10質量%以下であり、B又はPを本質的に含まないガラスからなると、OH基の含有率が少なくなり、肉厚1mmにおいて、O−H伸縮振動に帰属される1400nm付近の吸収ピークの高さ△Pが0.03%以下となるため好ましい。すなわち、NaO、B又はPは、これらの成分の原料(例えば、ソーダ灰、硼酸、硼砂、リン酸ソーダ等)が含水量(結晶水+付着水)の高い原料であるため、これらの原料を溶融し作製したガラスは、OH基を多く含み、1400nm付近の波長の赤外光が吸収されやすくなるからである。
【0039】
次に、本発明の誘電体多層膜フィルター用基板の製造方法について詳述する。
【0040】
まず、質量%で、SiO 30〜80%、Al 1〜10%、B 0〜20%、MgO+CaO+BaO+SrO+ZnO 3〜35%、LiO+NaO+KO 5〜33%、TiO+ZrO 1〜30%、Gd+La 0〜10%の組成なるように、不純物の少ない無水原料を調合し、白金坩堝を用いて、電気炉中で1300〜1600℃の溶融温度で、2〜10時間溶融し、融液をカーボン板上に流し出し、アニ−ルしてガラス成形体を得る。
【0041】
尚、ガラスを溶融する際、ガス、石油、石炭などを燃料として用いると、燃焼反応によって発生する水蒸気によって、ガラス中の水分量が多くなり、OH基の含有量が多くなるため、水蒸気を発生しない電気を使用してガラスを溶融することが好ましい。さらに、溶融時に、乾燥エアーや酸素でバブリングすると、ガラス中の水分量をさらに減少させることができるため好ましい。また、原料として、水分量の少ない無水原料を用いたり、塩素を含む化合物(NaCl等)を原料バッチ中に少量添加したりしても、ガラス中の水分量を減少させることができるため好ましい。
【0042】
次に、結晶化ガラスの場合は、600〜800℃の温度で熱処理することによって結晶化ガラス成形体を得る。
【0043】
最後に、ガラス成形体又は結晶化ガラス成形体を用いて、切断加工又は研磨加工を行うことによって所望のサイズを有するガラス又は結晶化ガラスからなる誘電体多層膜フィルター用基板が得られる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の誘電体多層膜フィルター用基板ガラス及び誘電体多層膜フィルターを実施例に基づいて詳細に説明する。
【0045】
表1、2は、本発明の実施例1〜8を、表3は、比較例1〜3を示す。また、図1に実施例2の赤外域の透過率曲線を、図2に比較例1及び比較例2の赤外域の透過率曲線を示す。
【0046】
【表1】
Figure 2004053997
【0047】
【表2】
Figure 2004053997
【0048】
【表3】
Figure 2004053997
【0049】
まず、実施例1〜8は、表1〜2に示す組成になるようにガラス原料を調合し、白金ルツボを用いて電気炉中で1300〜1500℃で4時間溶融し、融液をカーボン板上に流しだし、アニールして、ガラス成形体を得た。尚、ガラス原料として、Bは硼酸(含水量43%)を、Pはメタリン酸アルミ(含水量3%)を、NaOはソーダ灰(含水量0.7%)を用い、他の成分については、無水原料(含水量0.2%未満)を用いた。また、比較例1〜3は、ガス炉雰囲気中で溶融した以外は、実施例と同様にしてガラス成形体を得た。
【0050】
次に、実施例8は、ガラス成形体を、電気焼成炉中で、550℃で1時間保持後、続いて750℃で2時間熱処理して結晶化を行い、結晶化ガラス成形体を得た。また、比較例2は、500℃で1時間保持した以外は、実施例8と同様にして結晶化を行なった。実施例8及び比較例2は、結晶化処理によって得られた結晶化ガラス成形体の主結晶相が、いずれもLiO・SiOとα−SiOであり、結晶粒径は、それぞれ0.05μmと0.2μmであった。
【0051】
ついで得られたガラス又は結晶化ガラスの成形体を平面研磨機にてアルミナ粉末を用いて10〜20分間ラッピングし、その後、酸化セリウム粉末を用いて30〜60分間ポリッシュして、誘電体多層膜フィルター用基板を作製した。
【0052】
内部透過率は、肉厚の異なる2枚の試料(3mmと10mm)を用意し、島津製分光光度計UV−3100PCを使用して1200〜1600nmの波長で測定した後、厚さ1mmの内部透過率を計算により求めた。
【0053】
熱膨張係数は、ディラトメーター(マックサイエンス製TD−5000S)を使用して測定した。また、ヤング率は、三菱電機製超音波探傷装置FD−1800を用いて超音波パルス法で測定した。
【0054】
ラップ法による研磨速度は、一辺25mm、肉厚3mmの板状試料を水平に回転する鋳鉄製ラップ板の定位置に保持し、垂直に荷重を加えてラップ剤を供給しながら加工し、試料ガラスの質量減少量を測定して評価した。この時のラップ条件は、ラップ荷重が35kPa、ラップ板の回転速度が100r.p.m、ラップ板の中心から板状試料の中心までの距離が10cm、ラップ剤が1200番アルミナ粉末と水との質量比が1:20のスラリーであった。
【0055】
耐水性及び耐酸性は、ガラス試料を粒度420〜590μmに粉砕し、その比重グラムを秤量して白金篭に入れ、それを試薬の入ったフラスコに入れて煮沸水浴中で60分間処理し、処理後の粉末ガラスの質量減少量(質量%)を算出したものである(日本光学硝子工業会規格JOGIS「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(粉末法)06−1975」)。尚、耐水性評価で用いた試薬は、pH6.5〜7.5に調整した純水であり、耐酸性評価で用いた試薬は、0.01Nに調整した硝酸水溶液である。
【0056】
本発明の実施例1〜8は、図1及び表1、2に示すように、β−OH量が少なく、O−H伸縮振動に帰属される1400nm付近の吸収ピークが小さいため、Eバンド帯域内の透過率が高かった。
【0057】
一方、比較例1〜3は、図2及び表3に示すように、β−OH量が多く、O−H伸縮振動に帰属される1400nm付近の吸収ピークが大きいため、特に比較例2は、析出結晶の結晶粒径が0.2μmと大きかったため、Eバンド帯域内の透過率が低かった。
【0058】
また、上記した基板上に、TiO、SiO誘電体被膜を交互に繰り返した計100層からなる多層膜をイオンアシスト蒸着装置を用いて形成し、誘電体多層膜フィルターを作製した。
【0059】
実施例の基板を使用した誘電体多層膜フィルターは、Eバンド帯域内の光損失が小さく、長期に亘ってフィルター特性が劣化することがなく、また、中心波長の温度依存性が小さく、光通信用光フィルターとして非常に優れるものである。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の誘電体多層膜フィルター用基板は、OH基の含有量が少なく、Eバンド帯域内の透過率が高いため、それを用いた誘電体多層膜フィルターは、光損失が小さく、大容量伝送の光通信システムに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例2の赤外域の内部透過率曲線である。
【図2】比較例1及び2の赤外域の内部透過率曲線である。

Claims (7)

  1. 1300〜1500nmの波長において、肉厚1mmでの内部透過率が99.8%以上であることを特徴とする誘電体多層膜フィルター用基板。
  2. 肉厚1mmにおいて、O−H伸縮振動に帰属される1400nm付近の吸収ピークの高さ△Pが0.1%以下であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体多層膜フィルター用基板。
  3. β−OH量が0.15/mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の誘電体多層膜フィルター用基板。
  4. ガラス又は結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体多層膜フィルター用基板。
  5. 電気炉を用いて溶融し、ガラス又は結晶化ガラスのガラス成形体を得ることを特徴とする誘電体多層膜フィルター用基板の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体多層膜フィルター用基板の表面に、誘電体多層膜が形成されてなることを特徴とする誘電体多層膜フィルター。
  7. 電気炉を用いて溶融することによって得たガラス成形体からガラス又は結晶化ガラスからなる誘電体多層膜フィルター用基板を作製し、その基板表面に、誘電体多層膜を形成することを特徴とする誘電体多層膜フィルターの製造方法。
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