JP2004053797A - 反射防止フィルム及びそれを用いた偏光板 - Google Patents

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野口 尚子
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武田 晃
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Abstract

【課題】高温高湿下においても優れた耐久性を示す偏光板を提供するための反射防止フィルムを提供すること。さらには、この反射防止フィルムを有する偏光板を提供する。
【解決手段】プラスチック樹脂基材を有する反射防止フィルムにおいて、高温高湿下での反射防止フィルムの水蒸気透過速度が、プラスチック樹脂基材単体の水蒸気透過速度の1/2以下になるような反射防止フィルムを提供する。加えて、水蒸気透過速度の絶対値が一定値以下になるようにする。さらには、この反射防止フィルムを有する偏光板を提供する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温高湿下での耐久性に優れた偏光板を提供するための反射防止フィルムに関するものである。また、この反射防止フィルムを有する偏光板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶ディスプレイの使用範囲が拡大する傾向に伴い、液晶ディスプレイを構成する偏光板にも高度な耐久性が要求されるようになっている。
偏光板は、主として延伸配向したポリビニルアルコールフィルム及びその誘導体をヨウ素や二色性色素で染色することにより偏光機能を付与した偏光膜と、その両面に形成した表面保護層とで構成されている。表面保護層としては無配向のセルロースアセテート系樹脂やアクリル系樹脂が適用され、特にトリアセチルセルロースフィルムが主流となっている。しかし、ポリビニルアルコールは耐湿性に劣り、吸湿によって偏光性能が損なわれることが欠点である。表面保護層として汎用されているセルロースアセテート系樹脂は水蒸気透過速度が高く、外部からの水蒸気の進入を抑える効果を期待することはできない。更に、高温高湿の条件下においてはセルロースアセテート系樹脂が加水分解し、酢化度低下や重合度低下といった変性が引き起こされることが問題となっている。
【0003】
セルロースアセテート系樹脂は本来高温高湿下で安定な物質であるが、フィルム形成時に添加される可塑剤のトリフェニルフォスフェートや、液晶表示素子としたときに貼り合わされるアクリル系粘着剤中のアクリル酸などの酸性成分が酸触媒となって加水分解が引き起こされると考えられている。加水分解防止を目的として、セルロースアセテート系樹脂にアミン化合物を添加して発生する酸性物質を中和(特許第2665706号など)、アクリル系粘着剤にアミン化合物を添加して発生する酸性物質を中和(特開平2−3481号公報、特開平2−17081号公報、特開平2−254803号公報、特開平2−268502号公報など)、酸性成分を含まないアクリル系粘着剤(特開昭59−111114号公報など)等の手段が講じられている。
【0004】
セルロースアセテート系樹脂の加水分解には、水分の存在が必須である。偏光板を構成するポリビニルアルコールフィルムは吸湿性が大きいため多量の水分を抱えていると考えられる。しかし、セルロースアセテート系樹脂は厚さ100μm、温度40℃相対湿度90%での水蒸気透過速度が380g/m/dayと大きいため、外部から進入する水蒸気量の方が圧倒的に多くなると予想される。そのため、加水分解を阻止する手段として、偏光板内部に進入する水分量を、液晶表示素子の最外面に設けられている反射防止層の水蒸気バリア性によりコントロールする方法が考案されている。反射防止層は、偏光膜の保護フィルムとなるプラスチック樹脂基材上に、蒸着法、スパッタリング法、化学気相(CVD)法などの真空プロセスを用いて形成した無機化合物薄膜の積層体、有機樹脂モノマーもしくは無機微粒子を添加した有機樹脂モノマーを塗工・硬化させたポリマー薄膜からなる積層体、もしくは無機化合物薄膜とポリマーを組み合わせた積層体で構成されている。プラスチック樹脂基材上に真空プロセスを用いて無機化合物を形成した積層体は、反射防止フィルムの他、導電性フィルム、帯電防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム、ガスバリアフィルムなどその用途は多岐に渡っている。ガスバリアフィルムは、包装材料や有機エレクトロルミネッセンス素子のパッケージフィルムなどに使用され、その要求性能に応じて無機化合物の種類、成膜方法、成膜条件などを選択して多様なバリア性能を付与している。反射防止フィルム用途の無機薄膜についてはこれまで光学性能や機械性能に注目してきたが、反射防止フィルムにもガスバリアフィルムと同等のガスバリア性能を付与することが可能である。
【0005】
特開2000−321428号公報では、反射防止層を有する偏光板に10g/m/day以上の水蒸気透過速度を持たせることにより、耐熱性に優れた偏光フィルムを発明している。しかし、上記の水蒸気透過速度を持つ偏光板は、湿熱条件では反射防止層の水蒸気透過速度が大きいために、逆に偏光板の耐久性が逆に悪くなる傾向がみられた。偏光板の耐湿熱性を向上させるためには、反射防止層に水蒸気に対するより高いバリア性能を付与することが必須である。反射防止層に水蒸気に対する高バリア性を付与した例として、特開2000−338305号公報がある。この発明は高温高湿下でのハードコート層と反射防止層の密着力低下を防止することを目的とし、反射防止層に1g/m/day以下の防湿性を付与している。また、特開平10−10317号公報では、プラスチックフィルムの片面に300〜1000g/m/dayの光線透過性無機薄膜層、その反対面に0〜10g/m/dayのバリア性薄膜層を形成している。しかし、いずれの場合も測定はJISもしくはASTMに準じて行っているため、水蒸気透過速度は温度40℃相対湿度90%での値である。実際の耐湿熱性試験は規格で上記条件よりも高温で行われている。プラスチックフィルムや無機薄膜層を付与したプラスチックフィルムの水蒸気透過速度は温湿度の影響を受け変化することが知られ、一般に温度が高くなると水蒸気透過速度が増加する傾向にあり、実際の耐湿熱性試験条件下の水蒸気透過速度は規格に準じた測定値よりも大きくなる。材料によって低温環境と高温環境での水蒸気透過速度の変化量は異なり、高温環境において水蒸気透過速度の大小関係が逆転することがある。偏光板を構成するセルロースアセテート系樹脂の高温高湿における加水分解を防止するためには、これと同等の湿熱条件における反射防止フィルムの水蒸気透過速度を管理する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、偏光板を構成するプラスチック樹脂基材(特に、セルロースアセテート系樹脂基材)の加水分解を阻止し、高温高湿下においても、優れた耐久性を示す偏光板の提供を可能にする、反射防止フィルムを提供するものである。さらには、この反射防止フィルムを有する偏光板を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、反射防止層に高温高湿において基材よりも十分に小さな水蒸気透過速度を付与した反射防止フィルムを用いて偏光板を作製することで、偏光板内部への水蒸気の進入を阻止し、表面保護層(特に、セルロースアセテート系樹脂)の加水分解による変性を防止するものである。
【0008】
請求項1に記載の発明は、プラスチック樹脂基材上に硬質有機樹脂層、屈折率の異なる複数の無機化合物からなる反射防止層の順で積層した反射防止フィルムにおいて、温度60℃相対湿度95%の湿熱条件でJIS Z0208に準ずる手法で測定した反射防止フィルムの水蒸気透過速度の値が、前記プラスチック樹脂基材の水蒸気透過速度の1/2以下であり、
かつ、温度60℃相対湿度95%の湿熱条件で、JIS Z0208に準ずる手法で測定した反射防止フィルムの水蒸気透過速度の値が、500g/m/day以下であることを特徴とする反射防止フィルムである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、プラスチック樹脂基材上に硬質有機樹脂層、屈折率の異なる複数の無機化合物からなる反射防止層の順で積層した反射防止フィルムにおいて、温度80℃相対湿度90%及び温度60℃相対湿度95%の湿熱条件で、JIS Z0208に準ずる手法で測定した反射防止フィルムの水蒸気透過速度の値が、前記プラスチック樹脂基材の水蒸気透過速度の1/2以下であり、かつ、温度60℃相対湿度95%及の湿熱条件で、JIS Z0208に準ずる手法で測定した反射防止フィルムの水蒸気透過速度の値が、500g/m/day以下であり、かつ、温度80℃相対湿度90%及の湿熱条件で、JIS Z0208に準ずる手法で測定した反射防止フィルムの水蒸気透過速度の値が、800g/m/day以下であることを特徴とする反射防止フィルムである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、該反射防止層を構成する無機化合物のうち、少なくとも1層が有機系コーティング層に置換された構成である事を特徴とする請求項1あるいは2のいずれかに記載の反射防止フィルムである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の反射防止フィルムを有することを特徴とする偏光板である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下で本発明の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明によって得られる反射防止フィルムの断面図の例を示したものである。プラスチック樹脂基材1上に硬質有機樹脂層2、反射防止層3を順次積層した反射防止フィルムである。
【0013】
プラスチック樹脂基材1は、偏光子を吸着させたポリビニルアルコールフィルムの表面保護層となり、本発明においてはトリアセチルセルロースなどのセルロースアセテート系樹脂が適用できる。以下には、プラスチック樹脂基材1が、トリアセチルセルロールの場合について、詳述しているが、本発明の効果を奏すれば、これに限らない。
プラスチック樹脂基材1上に、反射防止層の機械強度を十分発揮させるための硬質有機樹脂層2を設ける。この硬質有機樹脂層2には熱硬化型樹脂及び/または電離放射線や紫外線照射による硬化樹脂が使用できる。特に紫外線硬化型であるアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド等のアクリル系樹脂や有機ケイ素系の樹脂や、熱硬化型のポリシロキサン樹脂が最適である。紫外線硬化型樹脂を硬質有機樹脂層2に適用する場合、硬化性を向上させるために塗液に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の光重合開始剤を添加するのが好ましい。
【0014】
硬質有機樹脂層2上に、さらに反射防止層3を形成する。反射防止層は、プラスチック樹脂基材1上に高屈折率材料と低屈折率材料を交互に複数層積層させることにより反射率を低減させるものである。本発明の場合、反射防止層は透明な無機化合物層から構成される。高屈折率材料は、屈折率が1.9以上である酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ハフニウム、酸化セリウム、酸化錫、インジウム・錫の酸化化合物の中から少なくとも一種類が選択できる。なお、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、インジウム・錫の酸化化合物を選択した場合は、反射防止層に帯電防止、電磁波遮蔽、導電性の機能を付与することが可能となる。低屈折率材料は、屈折率が1.6以下である酸化ケイ素、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムの中から少なくとも一種類が選択できる。
【0015】
反射防止層3の形成方法としては、電子線加熱や誘導加熱、抵抗加熱を蒸発手段とした真空蒸着法、スパッタリング法、化学気相(CVD)法、イオンプレーティング法などの真空プロセスを用いることができる。真空プロセスによる成膜は、膜厚制御性に優れ光学設計が容易となる。反射防止層の成膜方式は、バッチ式、巻き取り式いずれも適応できる。
【0016】
反射防止層3を構成する無機化合物のうち、少なくとも1層を有機系コーティング層で置換しても良い。有機系コーティング層は、金属アルコキシド、シランカップリング剤、有機樹脂のうちいずれか1種類もしくは複数組み合わせたバインダーからなり、さらに、バインダーに金属微粒子や有機微粒子を添加することもできる。これらの成分は要求される有機系コーティング層の屈折率により適宜選択され、材料の組み合わせ、混合比などにより屈折率を調整する。例えば、高屈折率材料として、Ti、Ta、Zr、In、Znなどの金属アルコキシドや、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化インジウムなどの金属微粒子が用いられる。また、低屈折率材料として、Siの金属アルコキシドや、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、フッ素含有置換基などを有するシランカップリング剤、フッ素含有有機樹脂、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などの金属微粒子、スチレン、アクリルなどの有機微粒子が用いられる。
【0017】
有機系コーティング層はウェットコーティングにより形成される。コーティング剤は、通常、揮発性溶媒に希釈して塗布される。希釈溶媒として用いられるものは、特に限定されないが、組成物の安定性、ハードコート層に対する濡れ性、揮発性などを考慮して、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のグリコールエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。また、溶媒は1種類のみならず2種類以上の混合物として用いることも可能である。
【0018】
前記コーティング剤は、ウェットコーティング法(ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等)により塗工される。塗工後、加熱乾燥により塗膜中の溶媒を揮発させ、その後、加熱、加湿、紫外線照射、電子線照射等を行い塗膜を硬化させ有機系コーティング層を形成する。
【0019】
反射率を低下させるように屈折率、膜厚、薄膜の積層順序及び層数を光学理論に基づいて前述の無機化合物、コーティング剤の中から組み合わせ設計する。例えば波長λ=520nmの光の反射率を下げる場合、反射防止層3の構成を硬質有機樹脂層2側から順に酸化チタン(屈折率2.0〜2.3、膜厚λ/8)、酸化ケイ素(屈折率1.45〜1.48、膜厚λ/8)、酸化チタン(屈折率2.0〜2.3、膜厚λ/8)、酸化ケイ素(屈折率1.45〜1.48、膜厚λ/8)と積層させることにより低反射率の反射防止フィルムを得ることができる。更に、反射防止フィルムに防汚性能を付与するために反射防止層3上にフルオロカーボン、パーフルオロシランやこれらの高分子層を設けても良い。
【0020】
プラスチック樹脂基材1の水蒸気透過速度は、プラスチック樹脂基材1の厚さや温湿度の影響を受けて変化する。プラスチック樹脂基材の透湿率の温度依存性はアレニウス式で表される。
P=P−E/RT
P:透湿率(単位厚さ、単位水蒸気圧差あたりの水蒸気透過速度)
:絶対零度の透湿率
E:透湿率の活性化エネルギー
R:気体定数
T:絶対温度
【0021】
偏光板の表面保護膜として汎用されているトリアセチルセルロースフィルムの場合、厚さ100μmの水蒸気透過速度は温度25℃相対湿度90%で120〜160g/m/day、温度40℃相対湿度90%で380g/m/dayとなる。プラスチック樹脂基材1の厚みが増せば水蒸気透過速度は低下するが、軽量化、肉薄化の観点から限界がある。プラスチック樹脂基材1上に硬質有機樹脂層2を形成することで水蒸気バリア性を向上させることができるが、硬質有機樹脂層2もセルロースアセテート系樹脂の加水分解反応進行を防止するのに効果的な水蒸気透過速度を示さず、またプラスチック樹脂基材1同様温湿度の影響を大きく受ける。高温高湿における偏光板の耐久性を向上させるためには、硬質有機樹脂層2上に無機化合物からなる反射防止層3を設けることが不可欠である。
【0022】
反射防止層3は複数の無機化合物を積層させているが、すべての層が水蒸気バリア性を有する必要はなく、少なくとも1層が水蒸気バリア性を発現すればよい。無機薄膜からなる反射防止層3も温湿度の影響により水蒸気透過速度が変化するが、耐湿熱性試験を行う条件、すなわち、温度60℃相対湿度95%、さらには、温度80℃相対湿度90%の湿熱条件でJIS Z0208に準ずる手法で測定した反射防止フィルムの水蒸気透過速度がプラスチック樹脂基材1の水蒸気透過速度に対して1/2以下を保っていれば高温高湿条件下での十分な耐久性を得ることが可能となる。加えて、温度60℃相対湿度95%の湿熱条件でJISZ0208に準ずる手法で測定したの反射防止フィルムの水蒸気透過速度の値が、500g/m/day以下であり、さらには、温度80℃相対湿度90%の湿熱条件でJIS Z0208に準ずる手法で測定したの反射防止フィルムの水蒸気透過速度の値が、800g/m/day以下であることが、高温高湿条件下での十分な耐久性を得るために必要である。
なお、ここで、「JIS Z0208に準ずる」とは、「測定装置、手法はJIS Z0208と同じ。ただし、温湿度条件だけが違う」という意味である。
【0023】
適用される用途及び環境により、偏光板に使用されるセルロースアセテート系樹脂の要求される耐久性のレベルは一様ではない。従って、耐久性を満たす為に必要とされる反射防止フィルムの水蒸気透過速度のレベルも様々であるが、従来の水蒸気バリア機能を伴わない反射防止フィルム及びこれを用いた偏光板に対して明確な耐久性の向上が見られるのは、検討の結果、温度60℃相対湿度95%、さらには、温度80℃相対湿度90%の湿熱条件でJIS Z0208に準ずる手法で測定した反射防止フィルムの水蒸気透過速度がプラスチック樹脂基材1の水蒸気透過速度に対して1/2以下の場合と考えられる。加えて、これ以上に優れた水蒸気バリア性が得られれば、セルロースアセテート系樹脂基材の加水分解に必須である水分の供給遮断の観点から考えて、さらに好適である事は言うまでもない。
【0024】
無機化合物薄膜は、真空プロセスを経て形成される。真空プロセスにより得られる無機化合物薄膜は、成膜する無機化合物の種類、成膜方法、酸素供給量(酸化物の場合)、成膜圧力などの条件によって水蒸気透過速度の他、透光率などの光学性能などが変化する。例えば、一般に蒸着法よりもスパッタリング法、化学気相法の方がより水蒸気透過速度が低い無機化合物薄膜を得ることができる。成膜条件として酸素供給量を変化させた場合、酸素供給量が少なくなるほど成膜された無機薄膜の化学組成は酸素欠乏となり水蒸気透過速度が低下する傾向にあるが、着色による光線透過率の低下や反射防止性能に悪影響を与える。一方、酸素供給量が多くなると組成が酸素過多となり透明性は向上するが水蒸気透過速度は逆に増加する傾向がある。成膜時の水蒸気分圧も無機化合物薄膜の水蒸気透過速度に影響を与える。特に多量の水分を含有するセルロースアセテート系樹脂を使用する場合は、成膜中に樹脂内部から水分が蒸発して水蒸気分圧が高くなる。水蒸気分圧が高い状態で成膜を行うと無機化合物薄膜中に水分が取り込まれるために同様の条件で水蒸気分圧が低い状態で成膜した場合よりも水蒸気透過速度が大きくなる。成膜条件を最適化することによって、水蒸気透過速度などの要求性能を満たす反射防止性能を有する反射防止フィルムを得ることが可能となる。
【0025】
有機系コーティング層は、構成する成分によって水蒸気透過速度は異なるが、主として有機樹脂から形成されているために無機化合物薄膜のような水蒸気に対する高いバリア性を示さない。有機系コーティング層のみで反射防止層を形成した場合、反射防止層の水蒸気透過速度が大きくなり偏光板に十分な耐久性を付与することができない。高温高湿下での偏光板の耐久性を向上させるためには、反射防止層には水蒸気バリア性を有する無機化合物薄膜が少なくとも1層含まれなくてはならない。無機化合物薄膜の層数は複数でも構わないが、少なくとも1層が水蒸気に対する高いバリア性を発現する必要がある。高温高湿条件での有機系コーティング層と無機化合物薄膜からなる反射防止層を設けた反射防止フィルムの温度60℃相対湿度95%、さらには、温度80℃相対湿度90%の湿熱条件でJIS Z0208に準ずる手法で測定した水蒸気透過速度がプラスチック樹脂基材1の水蒸気透過速度に対して1/2以下となるように、無機化合物薄膜の水蒸気透過速度を上記の手法によって調整する。
【0026】
つぎに、この反射防止フィルムを有する偏光板について説明する。
この偏光板は、上記反射防止フィルムと、ヨウ素により染色したポリビニルアルコールフィルム、反対面のプラスチック樹脂基材、をこの順に積層し、作成することができる。なお、反射防止フィルム以外の層構成については、これに限らず、公知の技術を採用できる。
【0027】
【実施例】
次に詳細な実施例を記載する。
<実施例1>
プラスチック樹脂基材1として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用い、その上に、紫外線硬化型アクリル系樹脂をグラビアコート法により塗布し、乾燥・紫外線硬化させて厚さ5μmの紫外線硬化型アクリル系樹脂からなる硬質有機樹脂層2を設けた。
その後、前記硬質有機樹脂層2上にスパッタリング法により成膜順にTiO/SiO/TiO/SiOの4層からなる反射防止層3を設けた。TiOの成膜は、電力2.5kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素ガス流量40sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで行った。SiOの成膜は、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素流量20sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで行った。各層の光学膜厚は光学式の膜厚モニターにより光量値を監視し、反射防止層3の光学膜厚がそれぞれ60nm/44nm/105nm/145nmとなるように成膜時間を設定した。
このように作成した反射防止フィルムに、ヨウ素により染色した厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルム、前期反射防止フィルムのプラスチック樹脂基材1と同一である厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、反射防止層付き偏光板を作製した。
【0028】
<実施例2>
プラスチック樹脂基材1として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用い、その上に、実施例1と同様の方法で厚さ5μmの硬質有機樹脂層2を設けた。
その後、前記硬質有機樹脂層2上にスパッタリング法により成膜順にSiO/TiO/SiO/TiO/SiOの5層からなる反射防止層3を設けた。TiO2の成膜は、電力2.5kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素ガス流量40sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで行った。SiOの成膜は、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素流量20sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで行った。各層の光学膜厚は光学式の膜厚モニターにより光量値を監視し、反射防止層3の光学膜厚がそれぞれ11nm/35nm/48nm/290nm/135nmとなるように成膜時間を設定した。
このように作成した反射防止フィルムと、ヨウ素により染色した厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルム、前記反射防止フィルムのプラスチック樹脂基材1と同一である厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、反射防止層付き偏光板を作製した。
【0029】
<実施例3>
プラスチック樹脂基材1として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用い、その上に、実施例1と同様に厚さ5μmの紫外線硬化型アクリル系樹脂からなる硬質有機樹脂層2を設けた。
その後、前記硬質有機樹脂層2上に成膜順にTiO/SiO/TiO/SiOの4層からなる反射防止層3を設けた。TiOの成膜は電子線加熱蒸着法により行った。電子銃の加速電圧6.0kV、電流値460mA、蒸発レート1〜1.1nm/secに設定し、成膜中の真空槽内の圧力が0.10〜0.11Paになるように酸素を供給しながら成膜した。SiOの成膜はスパッタリング法により行った。電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素流量20sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで成膜した。各層の光学膜厚は光学式の膜厚モニターにより光量値を監視し、反射防止層3の光学膜厚がそれぞれ60nm/44nm/105nm/145nmとなるように成膜時間を設定した。
このように作成した反射防止フィルムと、実施例1と同様のヨウ素により染色した厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルム、前記反射防止フィルムのプラスチック樹脂基材1と同一である厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、反射防止層付き偏光板を作製した。
【0030】
<実施例4>
プラスチック樹脂基材1として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用い、その上に、実施例1と同様に厚さ5μmの紫外線硬化型アクリル系樹脂からなる硬質有機樹脂層2を設けた。
その後、前記硬質有機樹脂層2上にスパッタリング法により成膜順にSiO/Nb/SiO/Nb/SiOの4層からなる反射防止層3を設けた。Nb2O5の成膜は、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素ガス流量40sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで行った。SiOの成膜は、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素流量20sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで行った。各層の光学膜厚は光学式の膜厚モニターにより光量値を監視し、反射防止層3の光学膜厚がそれぞれ5nm/32nm/48nm/260nm/130nmとなるように成膜時間を設定した。
このように作成した反射防止フィルムと、実施例1と同様のヨウ素により染色した厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルム、前記反射防止フィルムのプラスチック樹脂基材1と同一である厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、反射防止層付き偏光板を作製した。
【0031】
<実施例5>
プラスチック樹脂基材1として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用い、その上に、実施例1と同様に厚さ5μmの紫外線硬化型アクリル系樹脂からなる硬質有機樹脂層2を設けた。
その後、前記硬質有機樹脂層2上にスパッタリング法により成膜順にSiO/TiO/SiO/TiO/SiOの5層からなる反射防止層3を設けた。TiOの成膜は、電力2.5kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素ガス流量50sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで行った。SiOの成膜は、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素流量40sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで行った。反射防止層3の光学膜厚がそれぞれ11nm/35nm/48nm/290nm/135nmとなるように成膜時間を設定した。
このように作成した反射防止フィルムと、実施例1と同様のヨウ素により染色した厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルム、前記反射防止フィルムのプラスチック樹脂基材1と同一である厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、反射防止層付き偏光板を作製した。
【0032】
<実施例6>
プラスチック樹脂基材1として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用い、その上に、実施例1と同様に厚さ5μmの紫外線硬化型アクリル系樹脂からなる硬質有機樹脂層2を設けた。
その後、前記硬質有機樹脂層2上にスパッタリング法により成膜順にSiO/TiO/SiO/TiO/SiOの5層からなる反射防止層3を設けた。TiOの成膜は、電力2.5kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素ガス流量40sccmの条件(実施例2と同様)で行ったが、成膜中での基材からの水分放出により真空槽内の圧力は0.6〜0.8Paとなった。SiOの成膜は、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素流量20sccmの条件(実施例2と同様)で行ったが、成膜中での基材からの水分放出により真空槽内の圧力は0.6〜0.8Paとなった。反射防止層3の光学膜厚がそれぞれ11nm/35nm/48nm/290nm/135nmとなるように成膜時間を設定した。
このように作成した反射防止フィルムと、実施例1と同様のヨウ素により染色した厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルム、前記反射防止フィルムのプラスチック樹脂基材1と同一である厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、反射防止層付き偏光板を作製した。
【0033】
<比較例1>
プラスチック樹脂基材1として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用い、その上に、実施例1と同様に厚さ5μmの紫外線硬化型アクリル系樹脂からなる硬質有機樹脂層2を設けた。
その後、前記硬質有機樹脂層2上にスパッタリング法により成膜順にTiO/SiO/TiO/SiOの4層からなる反射防止層3を設けた。TiOの成膜は、電力2.5kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素ガス流量50sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで行った。SiOの成膜は、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素流量40sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで行った。反射防止層3の光学膜厚がそれぞれ60nm/44nm/105nm/145nmとなるように成膜時間を設定した。
このように作成した反射防止フィルムと、実施例1と同様のヨウ素により染色した厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルム、前記反射防止フィルムのプラスチック樹脂基材1と同一である厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、反射防止層付き偏光板を作製した。
【0034】
<比較例2>
プラスチック樹脂基材1として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用い、その上に、実施例1と同様に厚さ5μmの紫外線硬化型アクリル系樹脂からなる硬質有機樹脂層2を設けた。
その後、前記硬質有機樹脂層2上にスパッタリング法により成膜順にTiO/SiO/TiO/SiOの4層からなる反射防止層3を設けた。TiOの成膜は、電力2.5kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素ガス流量40sccmの条件(実施例1と同様)で行ったが、成膜中での基材からの水分放出により真空槽内の圧力は0.6〜0.8Paとなった。SiOの成膜は、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素流量20sccmの条件(実施例1と同様)で行ったが、成膜中での基材からの水分放出により真空槽内の圧力は0.6〜0.8Paとなった。反射防止層3の光学膜厚がそれぞれ60nm/44nm/105nm/145nmとなるように成膜時間を設定した。
このように作成した反射防止フィルムと、実施例1と同様のヨウ素により染色した厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルム、前記反射防止フィルムのプラスチック樹脂基材1と同一である厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、反射防止層付き偏光板を作製した。
【0035】
<比較例3>
プラスチック樹脂基材1として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用い、その上に、実施例1と同様に厚さ5μmの紫外線硬化型アクリル系樹脂からなる硬質有機樹脂層2を設けた。
その後、前記硬質有機樹脂層2上に成膜順にTiO/SiO/TiO/SiOの4層からなる反射防止層3を設けた。TiOの成膜は電子線加熱蒸着法により行った。電子銃の加速電圧6.0kV、電流値460mA、蒸発レート1〜1.1Å/secに設定し、成膜中の真空槽内の圧力が0.13〜0.15Paになるように酸素を供給しながら成膜した。SiOの成膜はスパッタリング法により行った。電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素流量40sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで成膜した。反射防止層3の光学膜厚がそれぞれ60nm/44nm/105nm/145nmとなるように成膜時間を設定した。
このように作成した反射防止フィルムと、実施例1と同様のヨウ素により染色した厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルム、前記反射防止フィルムのプラスチック樹脂基材1と同一である厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、反射防止層付き偏光板を作製した。
【0036】
<比較例4>
プラスチック樹脂基材1として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用い、その上に、実施例1と同様に厚さ5μmの紫外線硬化型アクリル系樹脂からなる硬質有機樹脂層2を設けた。
その後、前記硬質有機樹脂層2上に成膜順にTiO/SiO/TiO/SiOの4層からなる反射防止層3を設けた。TiOの成膜は電子線加熱蒸着法により行った。電子銃の加速電圧6.0kV、電流値460mA、蒸発レート1〜1.1Å/secに設定し、実施例3と同量の酸素を供給して成膜したが、成膜中での基材からの水分放出により成膜中の真空槽内の圧力が0.16〜0.20Paとなった。SiOの成膜はスパッタリング法により行った。電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素流量20sccmの条件(実施例3と同様)で行ったが、成膜中での基材からの水分放出により真空槽内の圧力は0.6〜0.8Paとなった。反射防止層3の光学膜厚がそれぞれ60nm/44nm/105nm/145nmとなるように成膜時間を設定した。
このように作成した反射防止フィルムと、実施例1と同様のヨウ素により染色した厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルム、前記反射防止フィルムのプラスチック樹脂基材1と同一である厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、反射防止層付き偏光板を作製した。
【0037】
<比較例5>
プラスチック樹脂基材1として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用い、その上に、実施例1と同様に厚さ5μmの紫外線硬化型アクリル系樹脂からなる硬質有機樹脂層2を設けた。
その後、前記硬質有機樹脂層2上にスパッタリング法により成膜順にNb/SiO/Nb/SiOの4層からなる反射防止層3を設けた。Nbの成膜は、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素ガス流量50sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで行った。SiOの成膜は、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素流量40sccm、成膜中の真空槽内の圧力0.4Paで行った。反射防止層の光学膜厚がそれぞれ5nm/32nm/48nm/260nm/130nmとなるように成膜時間を設定した。
このように作成した反射防止フィルムと、実施例1と同様のヨウ素により染色した厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルム、前記反射防止フィルムのプラスチック樹脂基材1と同一である厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、反射防止層付き偏光板を作製した。
【0038】
<比較例6>
プラスチック樹脂基材1として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用い、その上に、実施例1と同様に厚さ5μmの紫外線硬化型アクリル系樹脂からなる硬質有機樹脂層2を設けた。
その後、前記硬質有機樹脂層2上にスパッタリング法により成膜順にNb/SiO/Nb/SiOの4層からなる反射防止層3を設けた。Nbの成膜は、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素ガス流量40sccmの条件(実施例4と同様)で行ったが、成膜中での基材からの水分放出により真空槽内の圧力は0.8Paとなった。SiOの成膜は、電力2.0kW、アルゴンガス流量300sccm、酸素流量40sccmの条件で行ったが、成膜中での基材からの水分放出により真空槽内の圧力は0.8Paとなった。反射防止層の光学膜厚がそれぞれ5nm/32nm/48nm/260nm/130nmとなるように成膜時間を設定した。
このように作成した反射防止フィルムと、実施例1と同様のヨウ素により染色した厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルム、前記反射防止フィルムのプラスチック樹脂基材1と同一である厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、反射防止層付き偏光板を作製した。
【0039】
実施例1から6及び比較例1から6で得られた反射防止フィルム及びトリアセチルセルロースフィルムの水蒸気透過速度を、JIS Z0208に記載される方法により測定した。また、温度60℃相対湿度95%、及び温度80℃相対湿度90%の条件での水蒸気透過速度もJIS Z0208に準ずる方法を用いて測定した。
実施例1から6及び比較例1から6で得られた反射防止層付き偏光板を粘着フィルムを介してガラスに貼りつけ、温度60℃相対湿度95%、及び温度80℃相対湿度90%の恒温恒湿槽内に保持した。トリアセチルセルロースフィルムの加水分解は目視及び酢酸臭の確認、及び赤外分光測定におけるカルボニル基の吸収変化により判断した。
表1に結果を示す。
【0040】
【表1】
Figure 2004053797
【0041】
実施例1から4の反射防止フィルムでは、耐湿熱性試験条件における水蒸気透過速度がトリアセチルセルロースフィルムの水蒸気透過速度の1/2以下であった。これらの反射防止フィルムは、温度60℃相対湿度95%で1000時間以上経過しても加水分解反応が起こらなかった。また、温度80℃相対湿度90%では400時間まで加水分解反応が起こらなかった。一方、比較例1乃至6の反射防止フィルムでは、温度40℃相対湿度90%の条件でトリアセチルセルロースフィルムの水蒸気透過速度の1/2以下であっても、耐湿熱性試験条件における水蒸気透過速度がトリアセチルセルロースフィルムの1/2以上になった。また、実施例5,6の反射防止フィルムでは、温度40℃相対湿度90%および温度60℃相対湿度95%の条件での水蒸気透過速度がアセチルセルロースフィルムの1/2以下であったが、温度80℃相対湿度90%の条件では1/2以上であった。加水分解反応は、温度60℃相対湿度95%の条件では実施例5,6のみ1000時間保持後も変化無かった。温度80℃相対湿度90%の条件ではいずれの反射防止フィルムも試験開始から210時間から265時間の間で加水分解反応が起こった。
【0042】
【発明の効果】
本発明では、高湿熱条件での、反射防止フィルムの水蒸気透過速度をプラスチック樹脂基材の1/2以下に調整し、さらに水蒸気透過速度の絶対値も調整することで、反射防止効果の変化を生じさせることなく、偏光板に使用した際、内部への水蒸気の進入を阻止し、プラスチック樹脂基材、特に、セルロースアセテート系樹脂基材の加水分解を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止フィルムの1例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1…プラスチック樹脂基材
2…硬質有機樹脂層
3…反射防止層

Claims (4)

  1. プラスチック樹脂基材上に硬質有機樹脂層、屈折率の異なる複数の無機化合物からなる反射防止層の順で積層した反射防止フィルムにおいて、温度60℃相対湿度95%の湿熱条件でJIS Z0208に準ずる手法で測定した反射防止フィルムの水蒸気透過速度の値が、前記プラスチック樹脂基材の水蒸気透過速度の1/2以下であり、
    かつ、温度60℃相対湿度95%の湿熱条件で、JIS Z0208に準ずる手法で測定した反射防止フィルムの水蒸気透過速度の値が、500g/m/day以下である
    ことを特徴とする反射防止フィルム。
  2. プラスチック樹脂基材上に硬質有機樹脂層、屈折率の異なる複数の無機化合物からなる反射防止層の順で積層した反射防止フィルムにおいて、温度80℃相対湿度90%及び温度60℃相対湿度95%の湿熱条件でJIS Z0208に準ずる手法で測定した反射防止フィルムの水蒸気透過速度の値が、前記プラスチック樹脂基材の水蒸気透過速度の1/2以下であり、
    かつ、温度60℃相対湿度95%及の湿熱条件で、JIS Z0208に準ずる手法で測定した反射防止フィルムの水蒸気透過速度の値が、500g/m/day以下であり、
    かつ、温度80℃相対湿度90%及の湿熱条件で、JIS Z0208に準ずる手法で測定した反射防止フィルムの水蒸気透過速度の値が、800g/m/day以下である
    ことを特徴とする反射防止フィルム。
  3. 該反射防止層を構成する無機化合物のうち、少なくとも1層が有機系コーティング層に置換された構成である事を特徴とする請求項1あるいは2のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の反射防止フィルムを有することを特徴とする偏光板。
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