JP2004053436A - 磁歪式トルクセンサシャフトおよびその製造方法 - Google Patents

磁歪式トルクセンサシャフトおよびその製造方法 Download PDF

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Yuichi Mizumura
水村 雄一
Hiromitsu Kaneda
金田 裕光
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Abstract

【課題】磁歪式トルクセンサ用のトルクセンサシャフトの磁気シールド特性を向上させる。
【解決手段】磁歪検出部5と動力伝達軸との嵌合部6とを備えた磁歪式トルクセンサシャフト2であって、上記磁歪検出部5を除く少なくとも上記嵌合部6の表面を常磁性体または反磁性体を含有する遮蔽層8で覆った磁歪式トルクセンサシャフトおよびその製造方法を提供する。
【選択図】   図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆磁歪効果を利用した磁歪式トルクセンサ用のトルクセンサシャフトに関し、特に、中点出力の変動を低減する磁歪式トルクセンサシャフトに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用のトランスミッションや4WDトルクスプリッタ、電動パワーステアリング(EPS)等では、適切な制御を行うためにトルクを検出する必要がある。例えば、EPSとは、自動車等のハンドルに入力されたトルクに応じて電動モータを制御し、アシスト力を発生させるパワーステアリングシステムであり、その制御にはハンドルに加えられたトルクの検出が必須である。
従来、このようなトルクの検出には、より高い感度を得るためにねじれ量の大きなトーションバー(ねじりばね)が用いられている。しかし、ねじれ量を大きくするためにはトーションバーの径を小さくする必要があり、トーションバーの感度を高めるためにその剛性が犠牲となっていた。また、トーションバーは、動力伝達に関して周波数応答性や強度の点で不利となっていた。
また、剛性を上げるには、感度の高い歪ゲージを用いる方法もある。しかし、歪ゲージからの信号取り出しに問題があるため、歪ゲージは動力伝達系には不向きである。さらに、歪ゲージでははがれの懸念があるため、長期にわたる信頼性を保証できないという問題もある。
ここで、磁歪式センサは、高剛性で周波数応答性に優れるという特徴を持つ。磁歪式トルクセンサとして、特開平1−169983号公報、特公平8−31636号公報等が知られている。
【0003】
ところが、この磁歪式トルクセンサでは、トルクセンサシャフトの両端にある、他の動力伝達軸と嵌合して動力を伝達するための嵌合部が、トルク検出部品を内包するケースから露出することが避けられない。つまり、トルクセンサシャフトにおいて、トルク検出部位は、磁気シールド機能を有するケースに内包することができるが、嵌合部に関してはこれが難しく、嵌合部は磁気的に外部に開放された状態にある。このため、トルクセンサ内部の磁力線は外部の影響を受けるという問題があった。特に、構造用鋼等(炭素鋼、クロム鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、マンガン鋼、マンガンクロム鋼など)の強磁性体をセンサシャフトに用いる場合、トルクセンサは外部の影響を強く受け、嵌合部に強磁性体を近づける、もしくは嵌合部を他の動力伝達軸と嵌合すると、トルクセンサ内部の磁力線の分布が変化してしまう。
【0004】
一般に、トルクセンサは、トルクがゼロのとき出力がゼロになるように、初期状態において、中点が調節されている。しかし、従来、上記のように、トルクセンサシャフトの嵌合部が磁気的にシールドされていないため、トルクセンサシャフトを他の動力軸と連結したときに、トルクセンサ内部の磁力線の分布が変化し、トルクセンサ出力の中点が変動してしまうという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、磁歪式トルクセンサ用のトルクセンサシャフトであって、トルク検出の精度および物理的強度を損なわずに、磁気的にシールドされたトルクセンサシャフトを廉価に提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁歪検出部と動力伝達軸との嵌合部とを含む磁歪式トルクセンサシャフトであって、上記磁歪検出部を除く少なくとも上記嵌合部の表面を常磁性体または反磁性体を含有する遮蔽層で覆ってなる磁歪式トルクセンサシャフトを提供する。
【0007】
ここで、「磁歪検出部」とは、磁歪式トルクセンサシャフトにおいて、トルクに応じてその磁気的性質が変化する部位を意味する。例えば、強磁性体のトルクセンサシャフト表面の軸方向から45°傾けた溝を設けることで、その形状効果によりトルクセンサシャフトに磁気異方性を付与し、その部分の磁気的性質の変化を検出できるようにすることができる。このような部分を磁歪検出部という。あるいは、特許第2710165号公報および特許第2965628号公報において提案されているように、トルクセンサシャフト表面に磁歪層を付加することで、磁歪検出部を設けることができる。あるいは、特開2002−107240号公報に提案されているように、温度変化に応じて磁性を変化させる材料に、局所的な温度処理を施すことで、磁歪検出部を設けることができる。しかし、本発明にかかる磁歪検出部は、これらのいずれをも含むものであり、かつ、これらの例に限定されるものではない。
【0008】
また、「嵌合部」とは、磁歪式トルクセンサシャフトにおいて、他の動力伝達軸とトルクセンサシャフトとを連結するための部位を意味する。他の動力伝達軸はステアリングシャフトや、プロペラシャフト、ドライブシャフト等であるが、これらに限定されるものではない。また、嵌合部は、例えば、トルクセンサシャフトにセレーションを施したり、多角形の断面形状とするなりして形成することができる。あるいは、穴と軸を用いた圧入や、フランジを設けたボルト締結とすることで、嵌合部を設けることができる。しかし、本発明にかかる嵌合部は、これらのいずれも含むものであり、かつ、これらに限定されるものではない。
【0009】
本発明によれば、磁歪式トルクセンサシャフトの嵌合部は、常磁性体または反磁性体を含有する遮蔽層により覆われ、磁気的にシールドされ、トルクセンサ内部の磁力線は外部の影響を受けにくくなる。
【0010】
また、本発明は、前記磁歪式トルクセンサシャフトを含む磁歪式トルクセンサを提供する。前記トルクセンサシャフトは、それぞれ適当な励磁手段、検出手段およびシールドケースと組み合わせることで、さらに効果的に磁気的なシールドができる。
【0011】
また、本発明は、磁歪検出部と動力伝達軸との嵌合部とを含む磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法であって、前記磁歪検出部を除く少なくとも上記嵌合部の表面に常磁性体または反磁性体を含有する遮蔽層を形成する遮蔽層形成工程を含む、磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法を提供する。ここで、遮蔽層形成工程とは、トルクセンサシャフトの製造工程において、磁歪検出部を除く少なくとも上記嵌合部の表面に常磁性体または反磁性体を含有する遮蔽層を形成する工程を意味する。
特に限定するものではないが、遮蔽層形成工程の好適例として以下の方法が挙げられる。すなわち、1つの好適例として、前記遮蔽層形成工程は、前記磁歪検出部を除く少なくとも上記嵌合部の表面に常磁性体または反磁性体を肉盛り溶接する工程を含む。あるいは、別の好適例として、前記遮蔽層形成工程は、前記磁歪検出部を除く少なくとも上記嵌合部の表面に常磁性体または反磁性体をメッキ処理する工程を含む。あるいは、さらに別の好適例として、前記遮蔽層形成工程は、上記磁歪検出部を除く少なくとも上記嵌合部の表面に常磁性体または反磁性体を含有するキャップ形状の円筒体を嵌める工程を含む。
【0012】
限定されるものではないが、肉盛り溶接は、アーク溶接、ガス溶接、TIG溶接、ろう付け、ハンダ付け、プラズマ粉体肉盛り溶接等により行うことができる。なお、肉盛り溶接により遮蔽層を設ける場合は、好ましくは、オーステナイト系ステンレス、チタン、タングステン等の常磁性体が、また、銀、銅等の反磁性体が利用できる。
また、メッキとは、PVD、蒸着、スパッタリング、イオンメッキ、溶射、はんだ被覆などの乾式メッキの他、化学的、電気化学的な反応によって、被処理物に金属を析出させる湿式メッキも含まれる。また、PVD(physical vapor deposition)は物理蒸着、物理気相成長ともいい、高温加熱、スパッタリングなどの物理的方法で物質を蒸発し、基材に凝縮させ、薄膜を形成することをいい、イオンプレーティング、真空蒸着、スパッタリングなどを含む。なお、イオンプレーティングとは、真空容器内の低圧ガスに電解をかけてプラズマを発生させ、これによって蒸発源からの蒸発粒子をイオン化して基板表面に蒸着させる薄膜形成法であり、スパッタリングとは、グロー放電でガスイオンの衝突によって電極材料を放出させ、他の物質表面上に電極材料の膜を作る薄膜形成法である。
なお、メッキ処理により遮蔽層を設ける場合は、好ましくは、アルミニウム、クロム、マンガン、白金、チタン、パラジウム等の常磁性体、または、スズ、亜鉛、銅、銀、金等の反磁性体が利用できる。
また、常磁性体または反磁性体を含有するキャップ形状の円筒体を嵌めるときは、遮蔽層を、金属粉を混合した樹脂、導電性有機皮膜、導電性樹脂の少なくとも1つにより形成することができる。
【0013】
このように、肉盛り溶接や、メッキ処理、常磁性または反磁性を有する円筒体を嵌合部に嵌めることにより、常磁性体から成る遮蔽層を形成し、トルクセンサの磁歪検出部を除く少なくとも嵌合部の表面に磁気シールドを容易に設けることができる。これらの方法により、簡易に、かつ、必要な部位のみに遮蔽層を形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る磁歪式トルクセンサの第1の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。もっとも、以下に挙げる実施の形態は、本発明を限定するものではない。
図1は本発明に係る磁歪式トルクセンサを概念図的に示す。図2は本発明に係るトルクセンサシャフトを概念図的に示す。
図1および図2に示すように、本発明に係る磁歪式トルクセンサ1は、トルクセンサシャフト2と、励磁用ソレノイドコイル3と、検出用ソレノイドコイル4とを主要な要素とする。トルクセンサシャフト2は、応力(歪)に応じてその磁気的性質が変化する磁歪検出部5および、トルクセンサシャフト2と他の動力伝達軸(図示しない)とを連結するための嵌合部6を有する。
【0015】
磁歪検出部5は、トルクセンサシャフト2の中心軸に対して約45°傾けた溝(図示しない)を、トルクセンサシャフト2の全周に亘り所定間隔をもって設けることによって形成することができる。なお、トルクセンサシャフト2は、トルクセンサシャフト2の中心軸に対して互いに逆方向に傾いた溝によって形成された磁歪検出部5の組を1組以上備えると好ましい。
以上の構成により形状磁気異方性を有する磁歪検出部5は、応力に応じてその透磁率を変化させる。なお、中心軸に対して45°とは、ねじり荷重に対してトルクセンサシャフト表面の引張り方向の応力および圧縮方向の応力が最大となる方向であり、この方向に溝を形成することで、最も効率よくトルクセンサシャフト表面の引張り応力または圧縮方向の応力を検出できる。
なお、必要に応じて溝部に高周波焼入れおよびショットピーニング等を施して高透磁率部分を形成し磁気特性の調整を行うと好ましい。
【0016】
励磁手段である励磁用ソレノイドコイル3は前記磁歪検出部5を覆うように配置し、これに交流磁場を与える。検出手段は検出用ソレノイドコイル4と電子回路(図示しない)を含み、検出用ソレノイドコイル4も前記磁歪検出部5を覆うように配置する。
ここで、励磁用ソレノイドコイル3により前記磁歪検出部5に沿うように磁力線を流す。前述のように、トルクセンサシャフト2に応力がかかると、磁歪検出部5はその透磁率を変化させるが、この磁気的変化を検出用ソレノイドコイル4によって検出することができる。
なお、トルクセンサシャフト2の磁気異方性部分である磁歪検出部5は、励磁用ソレノイドコイル3、検出用ソレノイドコイル4等と共に、外部の磁気の影響を遮蔽するアルミ製のセンサケース7に内包する。
【0017】
ここで、磁歪検出部5や嵌合部6等の加工を行う前に、図3に示すように、トルクセンサシャフト2の磁歪検出部5を除く少なくとも嵌合部6の表面に、オーステナイト系ステンレス、チタン、タングステン等の常磁性体を肉盛り溶接することで、好ましくは2〜3mm程度の厚さの遮蔽層8を設ける。肉盛り溶接後に、機械加工や塑性加工を施し、磁歪検出部5や嵌合部6等を所定の形状に加工する。
【0018】
第1の実施の形態は、常磁性体からなる遮蔽層により、磁束漏れを遮蔽し、中点電圧変動を抑制することができ、さらに、比較的大きなトルクを入力しても破損しない磁歪式トルクセンサを提供する。このため、第1の実施の形態は、比較的大きいトルクを伝達するトルクセンサシャフトに対して、磁気シールドを設けるのに適した実施の形態である。
【0019】
次に、本発明に係る磁歪式トルクセンサの第2の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態と第2の実施の形態とでは遮蔽層8のみが異なる。このため、遮蔽層8以外の説明は省略する。
第2の実施の形態では、遮蔽層8を肉盛り溶接により設けるのではなく、イオンプレーティング(IP)等のPVDその他のメッキにより設ける。すなわち、トルクセンサシャフト2に機械加工を施し、嵌合部6を形成した後に、トルクセンサシャフト2の磁歪検出部5を除く少なくとも嵌合部6の表面に、IP等のPVDその他のメッキ処理をすることで常磁性体または反磁性体からなる遮蔽層8を形成する。
なお、前述したように、常磁性体として、アルミニウム、クロム、マンガン、白金、チタン、パラジウム等が利用できる、また、反磁性体としてスズ、亜鉛、銅、銀、金等が利用できる。
【0020】
第2の実施の形態は、常磁性体または反磁性体からなる遮蔽層8により、磁束漏れを遮蔽し、中点電圧変動を抑制することができ、比較的小さいトルクを伝達するトルクセンサシャフトに対して磁気シールドを設けるのに適した実施の形態である。
【0021】
次に、本発明に係る磁歪式トルクセンサの第3の実施の形態を説明する。
第2の実施の形態と第3の実施の形態とでは遮蔽層8のみが異なる。このため、遮蔽層8以外の説明は省略する。
第3の実施の形態では、遮蔽層8をメッキ等により設けるのではなく、常磁性体または反磁性体を含有するキャップ形状の円筒体を嵌めることで設ける。すなわち、トルクセンサシャフト2に機械加工を施し、嵌合部6を形成した後に、トルクセンサシャフト2の磁歪検出部5を除く少なくとも嵌合部6の表面に、金属粉を混合した樹脂、導電性有機皮膜、導電性樹脂等からなり、常磁性体または反磁性体を含有するキャップ形状の円筒体を嵌め、必要に応じてこれを熱により収縮させて嵌合することで、遮蔽層8を形成する。
【0022】
なお、金属粉を混合した樹脂として、アルミニウム、銅、銀、金等の金属粉を混合したエポキシ製樹脂、ABS、ポリカーボネイト、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等が利用できる。また、導電性有機皮膜として、アクリル、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル等が利用できる。また、導電性樹脂として、カーボン粉末、カーボン繊維を含む樹脂、有機導電性樹脂等が利用できる。しかし、これらは例示のために挙げられたものであり、決してこれらに限定されるものではない。
【0023】
第3の実施の形態は、常磁性体または反磁性体を含有する遮蔽層8により、磁束漏れを遮蔽し、中点電圧変動を抑制することができ、比較的小さいトルクを伝達するトルクセンサシャフトに対して、磁気シールドを設けるのに適した実施の形態である。さらに、第3の実施の形態にかかる遮蔽層8は、嵌合部品からの振動、衝撃などからセンサ自体を保護する緩衝材としても効果がある。
【0024】
【実施例】
以下に、第1の実施の形態に基づく第1の実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
JIS SNCM815合金鋼(成分組成を表1に示す)丸棒から、所定寸法の棒状体を旋削により形成した。この際、図3、4に示すように、トルクセンサシャフト両端の嵌合部を形成する範囲を、嵌合部の構造であるセレーションの溝の深さの4倍分だけ中央部より細い、所定の外径(素材径9)に旋削した。
【0025】
【表1】
Figure 2004053436
【0026】
ここで、旋削した部分と端面に、アーク溶接によりオーステナイト系ステンレス(SUS304またはSUS316)の肉盛り溶接を行い、常磁性層(肉盛り溶接部分10)を形成し、所定の外径(転造前径11)に研削した。この軸に転造を施して両端部には、歯先径12(大径)および歯底径13(小径)を有するセレーション(嵌合部)を形成し、中央部表面には中心軸から45°傾いた溝(磁気異方性部分)を2領域に分けて形成した。磁気異方性部分に高周波焼入れを施した後、ショットピーニングを施した。ショットピーニングはアークハイト値0.25mmA、粒径0.25mmの条件で行った。
このトルクセンサシャフトにソレノイドコイル、電気回路を内包するアルミ製ケースを組み付けてトルクセンサを構成した。このセンサの諸元は定格10N・m、定格トルクにおける出力電圧lV(0.1V/N・m)であった。
【0027】
表2に示すように、トルクセンサとしての基本性能としては、常磁性層を形成したトルクセンサシャフトは常磁性層のないタイプのトルクセンサシャフトと比べても遜色ない性能を確保している。さらに、トルクセンサシャフトを強磁性体の鉄系材料からなる部品と嵌合したときの中点変動は、従来のタイプのトルクセンサシャフトでは20mVであった。一方で、アルミ製ケースから露出したトルクセンサシャフトの表面部分に常磁性を有するSUSからなる肉盛り層を設けた、第1の実施例にかかるトルクセンサシャフトでは中点変動を4mVに抑えることができた。また、150N・mのトルクに対しても肉盛り溶接部は破損することはなく、センサ性能にも劣化は認められなかった。
【0028】
【表2】
Figure 2004053436
【0029】
次に、第2の実施の形態に基づく第2の実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
JIS SNCM815合金鋼丸棒から所定寸法の棒状体を旋削し、この軸に転造を施し、両端部には嵌合部の構造となるセレーションを、中央部表面には中心軸から45°傾いた溝(磁気異方性部分)を2領域に分けて形成した。磁気異方性部に高周波焼入れを施した後、実施例1と同じ条件でショットピーニングを施した。
【0030】
ここで、トルクセンサシャフト中央の磁気異方性部をマスキングし、トルクセンサシャフトにアルミメッキ(もしくは亜鉛メッキ)を施した。形成されたメッキの膜厚は100μm以上であり、他の部品と嵌合してもメッキ被膜が剥がれたり、脱落したりすることはなかった。また比較的小さいトルクの伝達軸の場合においては、トルクを伝達する際にメッキ被膜が損傷することはなかった。
このトルクセンサシャフトにソレノイドコイル、電気回路を内包するアルミ製ケースを組み付けてトルクセンサを構成した。このセンサの諸元は定格10N・m、定格トルクにおける出力電圧1V(0.1V/N・m)であった。
【0031】
表2に示すように、トルクセンサとしての基本性能としては、常磁性層または反磁性層を形成したトルクセンサシャフトは常磁性層または反磁性層のないタイプのトルクセンサシャフトと比べても遜色ない性能を確保していた。アルミ製ケースから露出したトルクセンサシャフトの表面部分に常磁性を有するアルミメッキ層を設けた、第2の実施例にかかるトルクセンサシャフトでは中点変動を6mVに抑えることができた。ここから、アルミ製ケースから露出したトルクセンサシャフトの表面部分に常磁性層または反磁性層を設けることにより、強磁性体の鉄系材料からなる部品と嵌合しても中点変動を抑制できることが分かる。
【0032】
次に、第3の実施の形態に基づく第3の実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
JIS SNCM815合金鋼丸棒から所定寸法の棒状体を旋削し、この軸に転造を施し、両端部には嵌合部の構造となるセレーションを、中央部表面には中心軸から45°傾いた溝(磁気異方性部分)を2領域に分けて形成した。磁気異方性部に高周波焼入れを施した後、実施例1と同じ条件でショットピーニングを施した。
【0033】
ここで、トルクセンサシャフトのアルミケースから露出した部分に、アルミニウム粉末を混合したエポキシ樹脂製のキャップ形状の円筒体を嵌め、熱により収縮させて嵌合部形状にした。樹脂の厚さは1mmであり、他の部品と嵌合しても、損傷することはなかった。
このトルクセンサシャフトにソレノイドコイル、電気回路を内包するアルミ製ケースを組み付けてトルクセンサを構成した。このセンサの諸元は定格10N・m、定格トルクにおける出力電圧1V(0.lV/N・m)であった。
【0034】
表2に示すように、トルクセンサとしての基本性能としては、常磁性層、または反磁性層を形成したトルクセンサシャフトは常磁性層、または反磁性層のないタイプのトルクセンサシャフトと比べても遜色ない性能を確保していた。アルミ製ケースから露出したトルクセンサシャフトの表面部分に常磁性を有するアルミ混合樹脂を設けた、第3の実施例にかかるトルクセンサシャフトでは中点変動を11mVに抑えることができた。ここから、アルミ製ケースから露出したトルクセンサシャフトの表面部分に常磁性層、または反磁性層を設けることにより、強磁性体の鉄系材料からなる部品と嵌合しても中点変動を抑制できることが分かる。さらに、この遮蔽層は、嵌合した部品からの振動、衝撃などからセンサ本体を保護する緩衝材としても効果があった。
【0035】
なお、以上の実施例はショット方式のトルクセンサシャフトについて記述しているが、原理上、金属箔貼付や溶射、メッキなどによる磁歪膜の形成といった他の方式による磁歪式センサでも同様の効果が得られる。また、上記の実施例は、単なる例示の目的でここに開示したものであり、本発明を限定するものではない。
【0036】
【発明の効果】
上記したところから明らかなように、本発明は、磁歪式トルクセンサ用のトルクセンサシャフトであって、トルク検出の精度および物理的強度を損なわずに、磁気的にシールドされたトルクセンサシャフトを廉価に提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁歪式トルクセンサの概念図である。
【図2】本発明に係るトルクセンサシャフトの概念図である。
【図3】本発明に係る、常磁性体の肉盛り溶接を行ったトルクセンサシャフトを表す概念図である。
【図4】本発明に係る、肉盛り溶接を行ったトルクセンサシャフトの嵌合部における模式的な断面図である。
【符号の説明】
1  磁歪式トルクセンサ
2  トルクセンサシャフト
3  励磁用ソレノイドコイル
4  検出用ソレノイドコイル
5  磁歪検出部
6  嵌合部
7  センサケース
8  常磁性層
9  素材径
10 肉盛り溶接部分
11 転造前径
12 歯先径(大径)
13 歯底径(小径)

Claims (7)

  1. 磁歪検出部と動力伝達軸との嵌合部とを含む磁歪式トルクセンサシャフトであって、上記磁歪検出部を除く少なくとも上記嵌合部の表面を常磁性体または反磁性体を含有する遮蔽層で覆ってなる磁歪式トルクセンサシャフト。
  2. 前記遮蔽層が、金属粉を混合した樹脂と、導電性有機皮膜と、導電性樹脂とからなる一群から選ばれる少なくとも1つからなる、請求項1に記載の磁歪式トルクセンサシャフト。
  3. 請求項1または請求項2に記載の磁歪式トルクセンサシャフトを含む磁歪式トルクセンサ。
  4. 磁歪検出部と動力伝達軸との嵌合部とを含む磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法であって、前記磁歪検出部を除く少なくとも上記嵌合部の表面に常磁性体または反磁性体を含有する遮蔽層を形成する遮蔽層形成工程を含む、磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法。
  5. 前記遮蔽層形成工程が、前記磁歪検出部を除く少なくとも上記嵌合部の表面に常磁性体または反磁性体を肉盛り溶接する工程を含む、請求項4に記載の磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法。
  6. 前記遮蔽層形成工程が、前記磁歪検出部を除く少なくとも上記嵌合部の表面に常磁性体または反磁性体をメッキ処理する工程を含む、請求項4に記載の磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法。
  7. 前記遮蔽層形成工程が、上記磁歪検出部を除く少なくとも上記嵌合部の表面に常磁性体または反磁性体を含有するキャップ形状の円筒体を嵌める工程を含む、請求項4に記載の磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014092452A (ja) * 2012-11-02 2014-05-19 Jtekt Corp トルク検出装置、および同装置を備えるステアリング装置

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