JP2004052594A - エンジンの排気マニホールド構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱応力に対する耐久性に優れたエンジンの排気マニホールド構造の提供を課題とする。
【解決手段】エンジン本体1の第1及び第2気筒X1,X2に対応して設けた第1〜第3排気ポートY1〜Y3にそれぞれ一方の端部が連通される第1〜第3枝管21〜23と、第1及び第2気筒X1,X2の列方向にほぼ沿って配設した集合管24の上流側集合管24aとの接続に際して嵌挿構造を採用する。また、上流側集合管24aと下流側集合管との接続に際しても同様に嵌挿構造を採用する。これらの嵌挿構造によって、熱伸縮による変形を良好に吸収する。そして、外殻管25により、第1〜第3枝管21〜23、上流側集合管24a、下流側集合管を密閉可能に覆う。
【選択図】 図3
【解決手段】エンジン本体1の第1及び第2気筒X1,X2に対応して設けた第1〜第3排気ポートY1〜Y3にそれぞれ一方の端部が連通される第1〜第3枝管21〜23と、第1及び第2気筒X1,X2の列方向にほぼ沿って配設した集合管24の上流側集合管24aとの接続に際して嵌挿構造を採用する。また、上流側集合管24aと下流側集合管との接続に際しても同様に嵌挿構造を採用する。これらの嵌挿構造によって、熱伸縮による変形を良好に吸収する。そして、外殻管25により、第1〜第3枝管21〜23、上流側集合管24a、下流側集合管を密閉可能に覆う。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気マニホールド構造に関し、エンジンの排気装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
通常、エンジンの排気マニホールドは、複数の気筒にそれぞれ一方の端部が連通される複数の枝管と、上流側にこれらの各枝管の他方の端部が接続されると共に下流側の端部に排気管が接続される集合管とを有し、燃焼室から排出される排気ガスを下流側の排気管へ良好に導くように構成されている。
【0003】
このような排気マニホールドとしては、例えば実開昭59−148417号公報に開示されているものがある。図9に示すように、この排気マニホールドAでは、アルミニウム溶融めっきを施した鋼でなる四つの枝管B…Bが、一方の端部を介してエンジン側の排気ポートに対応する孔が形成された鋼板でなるフランジ部材Cにそれぞれ溶接によって固着されている。また、枝管B…Bは、他方の端部を介してアルミニウム溶融めっきを施した鋼でなる集合管Dにそれぞれ溶接によって固着されている。そして、集合管Dは、下流側の排気管に対応する孔が形成された鋼板でなるフランジ部材Eに溶接によって固着されている。こうすることにより、実用温度での耐食性に優れ、しかも外部への熱放出の抑制が可能な排気マニホールドAが実現されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような排気マニホールドAでは、高温(例えば800〜1000℃)の排気ガスの通過によって、枝管B…Bや集合管Dが熱膨張することになる。枝管B…Bや集合管Dが膨張方向に変形する場合、この排気マニホールドAは、フランジ部材Cを介してエンジンに、そしてフランジ部材Eを介して排気管に接続される構造であるから、上記変形を拘束しようとする部位つまり枝管B…Bとフランジ部材Cとの溶接部F1…F1、枝管B…Bと集合管Dとの溶接部F2…F2、あるいは集合管Dとフランジ部材Eとの溶接部F3に過剰な熱応力の集中が生じ、熱疲労によって当該部位に割れが生じて排気マニホールドAにおける気密性が失われるという問題を引き起こすことがある。
【0005】
一方、エンジンの冷間始動時には比較的低温の排気ガスが燃焼室から排出されるが、排気マニホールドAの下流側の排気管に配設されたエミッション対策のための触媒コンバータでは触媒が所定の活性温度に達していないため、上記排気ガスが適正に浄化されないことがある。この問題の解消策の一つに、排気マニホールドに二次エアを供給して排気ガスを再燃焼させ、排気ガス中の未燃焼成分の低減と触媒の活性化とを図る方法がある。その場合には、再燃焼によって急激な排気ガスの温度上昇が起こるため、熱応力による上記溶接部F1…F1,F2…F2,F3における割れの発生が助長されるおそれがある。
【0006】
また、冷間始動直後の触媒コンバータの活性化をより一層高めるために、排気マニホールドを二重構造にすれば、排気マニホールドからの熱放出を抑制し得、より高温の排気ガスを触媒コンバータに供給することができるが、特にこのような二重構造における内管には外管に比べ薄肉の板材が用いられるのが通例であるため、上述した熱応力による割れ発生のおそれに対する一層の注意が必要となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、熱応力に対する耐久性に優れたエンジンの排気マニホールド構造の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0009】
まず、請求項1に記載の発明は、複数の気筒にそれぞれ一方の端部が連通される複数の枝管と、上記気筒の列方向にほぼ沿って配設され、上流側に上記各枝管の他方の端部が接続されると共に下流側の端部に排気管が接続される集合管とを有するエンジンの排気マニホールド構造に関するもので、上記各枝管は、上流端がエンジン本体への接続用フランジ部材に固着されていると共に、上記排気管から最遠方に位置する枝管は湾曲されて下流端が上記集合管の上流端の開口に嵌挿され、且つ他の枝管の下流端は該集合管の胴部に設けられた開口に嵌挿されており、一方、上記集合管は、上記各枝管が接続された上流側集合管と、下流端に固設されたフランジ部材を介して排気管に接続される下流側集合管とで構成されて、上流側集合管の下流端に下流側集合管の上流端が嵌挿されていると共に、上記各枝管及び各集合管は、上流側が上記エンジン本体への接続用フランジ部材に、下流側が上記排気管接続用フランジ部材にそれぞれ固定された外殻部材により、間隔保持部材によって設けられた空気層を介して覆われていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、エンジンの気筒から吐出される高温の排気ガスが各枝管を通って集合管に導入されても、枝管と上流側集合管との接続、及び上流側集合管と下流側集合管との接続は固定構造でなく嵌挿構造とされるから、各管の熱伸縮を変形の自由端が位置する嵌挿構造の箇所で良好に吸収することができる。つまり、排気マニホールドにおける局所局所で熱伸縮の緩和策を取り入れたことにより、従来の排気マニホールドで懸念された変形に対する拘束部位への過剰な熱応力の集中による割れの発生が抑制されることになり、もって熱応力に対する耐久性に優れた排気マニホールド構造が実現される。
【0011】
また、排気管から最遠方に位置する枝管を気筒列にほぼ沿って配設された集合管に嵌挿させる場合、集合管の胴部に枝管を嵌挿させるのが通例である。そうすると、このような構造、すなわち排気管から最遠方に位置する枝管が嵌挿される集合管の上流端の部分は大きなスペースを必要とすることになるから、コンパクトさが要求される排気マニホールドにおいては好ましくない。
【0012】
それに対してこの発明によれば、排気管から最遠方に位置する一般に小径の枝管を湾曲させ、その下流端を比較的短尺に維持した集合管に嵌挿させることができるから、この枝管は長尺になるとしても枝管の湾曲部分の外側が自由な空間となり、全体としてコンパクト化が可能となるのはもちろんのこと、枝管の湾曲化が排気ガスの圧力損失の低減にも有利に作用することとなる。
【0013】
また、各枝管と各集合管とは、間隔保持部材によって設けられた空気層を介して外殻部材で覆われている。つまり、上流側のエンジン本体と下流側の排気管との間に外殻部材で覆われて閉じた空間が形成され、且つ枝管と外殻部材あるいは集合管と外殻部材とで二重構造となっているから、枝管及び集合管を通過する排気ガスの放熱が抑制されることになり、排気ガスは下流側の触媒コンバータによって適正に浄化される。
【0014】
そして、枝管と上流側集合管との嵌挿構造の箇所、及び上流側集合管と下流側集合管との嵌挿構造の箇所で隙間から排気ガスが漏れたとしても、これらの箇所は外殻部材で覆われて密閉されているから、排気ガスが不測に排気マニホールドの外部に漏れ出すことがない。
【0015】
さらに、各枝管及び各集合管は間隔保持部材によって設けられた空気層を介して外殻部材で覆われているから、振動に起因する枝管及び集合管と外殻部材との接触が軽減され、接触による騒音発生が抑制される。
【0016】
次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載のエンジンの排気マニホールド構造において、枝管には排気ガスの再燃焼用の二次エアが供給されることを特徴とする。
【0017】
例えばエンジンの冷間始動時におけるエミッション対策として、二次エアの供給によって集合管内で排気ガス中の未燃焼成分を再燃焼させる方式を適用した排気マニホールド構造においては、集合管内の排気ガスの温度が急激に高温とされると同時にサイクリックな再燃焼によって、前述のような拘束部位における熱疲労が懸念されることになるが、その場合にもこの発明によれば、二次エアの供給によって排気ガスの適正な浄化を図った上で、上記嵌挿構造の採用によって変形に対する拘束部位への過剰な熱応力の集中による割れ発生を抑制することができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載のエンジンの排気マニホールド構造において、排気管から最遠方に位置する枝管の下流端は拡径される一方、上流側集合管の上流端は縮径されることを特徴とする。
【0019】
一般に小径とされた枝管と大径とされた集合管とをそれらの端部を介してスライド可能且つ両者間の隙間が極力低減するように嵌挿させるため、枝管の端部を拡径して集合管の径に近づけるか、あるいは集合管の端部を縮径して枝管の径に近づける方法が用いられる。その場合、このような枝管や集合管には耐熱性に優れる一方、加工しにくいステンレス鋼等の金属材料が用いられることが多い。したがって前述の方法を適用すると、いずれか一方の管に過剰な加工を強いることになるから、例えば耐久性等の品質面で問題が生じることがある。
【0020】
それに対してこの発明によれば、枝管の端部の径と集合管の端部の径とを互いに接近させる方向にそれぞれ拡径あるいは縮径することにより、加工は容易になると共に比較的軽度の加工で済むことになるから、加工された枝管と集合管とに不用意なひずみを生じさせることがなくなって、両管は耐久性を維持することができる。
【0021】
また、請求項4に記載の発明は、上記請求項1から請求項3のいずれかに記載のエンジンの排気マニホールド構造において、上流側集合管の下流端と下流側集合管の上流端とは、少なくとも一方が拡径または縮径されることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、一般にステンレス鋼板から同径に形成されることの多い上流側集合管と下流側集合管との嵌挿に際し、これらの集合管の一方を拡径または縮径すればよいから、比較的簡便な加工によって嵌挿構造が実現される。
【0023】
また、請求項5に記載の発明は、上記請求項1から請求項4のいずれかに記載のエンジンの排気マニホールド構造において、集合管の胴部に設けられた開口に嵌挿される枝管と対面する外殻部材の部位に、振動抑制部材が固着されていることを特徴とする。
【0024】
エンジンの気筒に連通された枝管から排気ガスがサイクリックに集合管に吐出される場合、吐出された排気ガス流が衝突することによって集合管に振動が生じ、さらにこの振動が空気層を介して外殻部材に伝播して振動音が生じるようになる。そこで振動抑制のため、例えば板状の振動抑制部材を集合管に固着することが考えられるが、一方で排気ガスの温度が一般に比較的薄肉の集合管を介してこの振動抑制部材によって奪われることになり、エミッション対策面からは好ましくない。また、集合管は比較的高温に加熱されるから、固着される振動抑制部材は、不用意に過剰な熱応力を生じさせることのないよう集合管とは極力熱膨張差の少ない材質に制限される。そして、薄肉の集合管に板状の振動抑制部材を固着させるのは、そもそも技術的に困難である。
【0025】
それに対してこの発明によれば、集合管に比較して通常厚肉でしかも加熱が低い温度にとどまる外殻部材の所定の部位に振動抑制部材を固着することは容易であり、且つ排気ガスのいたずらな放熱を招くことなく外殻部材の振動を抑制することが可能となる。また、振動を抑制することにより、枝管、集合管、及び外殻部材等の耐久性を維持することができる。
【0026】
そして、請求項6に記載の発明は、上記請求項1から請求項5のいずれかに記載のエンジンの排気マニホールド構造において、エンジンは、二気筒ロータリピストンエンジンであることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、二気筒ロータリピストンエンジンにおいても、前述の各作用効果が得られる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るエンジンの排気マニホールド構造につき、図1〜図3を中心に図4〜図8を交えながら説明する。
【0029】
このエンジンは二気筒(2ロータ式)ロータリピストンエンジンであって、エンジン本体1の後端側に、図示しないトランスミッションを収容するトランスミッションケース2が接続されている。また、エンジン本体1の一側面に本発明の特徴部分である排気マニホールド3が接続され、該排気マニホールド3の後端側に、後方に延びる排気管4が接続されている。これにより、エンジン本体1から吐出される排気ガスは、排気マニホールド3によって下流側の排気管4へ導かれ、さらにこの排気管4に介設された触媒コンバータによって浄化された上で排出されることになる。
【0030】
排気マニホールド3側のエンジン本体1は、車両の前方側から順に第1〜第3サイドハウジング11〜13と、これらの第1〜第3サイドハウジング11〜13に挟まれた第1及び第2ロータハウジング14,15とを有している。そして、第1及び第2サイドハウジング11,12と第1ロータハウジング14とにより第1気筒X1が、また、第2及び第3サイドハウジング12,13と第2ロータハウジング15とにより第2気筒X2が、それぞれ形成されている。
【0031】
第1〜第3サイドハウジング11〜13には、排気ガスを排気マニホールド3へ導く第1〜第3排気ポートY1〜Y3がそれぞれ設けられている。この場合、排気ガスは、矢印a,bで示すように第1気筒X1からは第1及び第2排気ポートY1,Y2へ、また、矢印c,dで示すように第2気筒X2からは第2及び第3排気ポートY2,Y3へ導かれる構成とされている。
【0032】
そして、第1〜第3排気ポートY1〜Y3には第1〜第3ポートインサート部材16〜18がそれぞれ内装されており、第1〜第3サイドハウジング11〜13の内面とそれぞれ対応する第1〜第3ポートインサート部材16〜18の外面とにより、後述の二次エアが通過する二次エア通路P…Pが形成されている。
【0033】
排気マニホールド3は、第1〜第3排気ポートY1〜Y3にそれぞれ一方の端部が連通される第1〜第3枝管21〜23と、第1〜第3排気ポートY1〜Y3の列にほぼ沿って配設され、第1〜第3枝管21〜23の他方の端部が接続される上流側集合管24aと排気管4が接続される下流側集合管24bとで構成される集合管24と、第1〜第3枝管21〜23及び集合管24を覆う第1外殻部材25aと第2外殻部材25bとで構成される外殻管25と、第1〜第3枝管21〜23をエンジン本体1にボルトで締結するためのエンジン接続用フランジ部材26と、下流側集合管24b及び外殻管25を排気管4にボルトで締結するための排気管接続用フランジ部材27とを有している。なお、第1〜第3枝管21〜23、上流側及び下流側集合管24a,24b、第1及び第2外殻部材25a,25bには、耐熱性を備えたステンレス鋼が使用されている。
【0034】
第1〜第3枝管21〜23は、第1〜第3排気ポートY1〜Y3から吐出される排気ガスを独立して下流側の集合管24へ導く円形通路を提供するもので、そのうち排気管4から最遠方に位置する第1枝管21は湾曲されている点で、短尺且つ直管形状の第2及び第3枝管22,23と異なる。
【0035】
上流側集合管24aと下流側集合管24bとで構成される集合管24は、第1〜第3枝管21〜23を通過する排気ガスを集合して、排気管4に通じる単一の排気経路を提供するもので、第1〜第3枝管21〜23より大径とされている。
【0036】
次に、第1〜第3枝管21〜23と上流側集合管24aとの接続構造、すなわちこの場合は嵌挿構造について説明すると、まず第1枝管21の下流端と上流側集合管24aの上流端とは、符号Z1で示す箇所で接続されている。その場合、図4及び図5に示すように、小径の第1枝管21の下流端を所定の径に拡径する一方、大径の上流側集合管24aの上流端を上記所定の径よりわずかに大きい径に縮径し、第1枝管21の下流端を上流側集合管24aの上流端内に挿入させることにより、第1枝管21と上流側集合管24aとの間に不用意に大きい隙間を形成することのない嵌挿構造が実現されている。
【0037】
また、第2及び第3枝管22,23の下流端と上流側集合管24aとは、符号Z2,Z3で示す箇所で接続されている。その場合、上流側集合管24aの胴部の開口を、第2及び第3枝管22,23との間に不用意に大きい隙間を形成することのないように設けることで、嵌挿構造が実現されている。
【0038】
また、略同径の上流側集合管24aと下流側集合管24bとの接続構造つまり嵌挿構造について説明すると、上流側集合管24aの下流端と下流側集合管24bの上流端とは、符号Z4で示す箇所で接続されている。その場合、図6及び図7に示すように、上流側集合管24aの下流端を所定の径に縮径し、上流側集合管24aの下流端を下流側集合管24bの上流端内に挿入させることによって、上流側及び下流側集合管24a,24b間に不用意に大きい隙間を形成することのない嵌挿構造が実現されている。
【0039】
外殻管25は第1〜第3枝管21〜23と集合管24つまり上流側及び下流側集合管24a,24bとを覆うもので、図4〜図7に示すように、組み合わされたときに円形断面の空間を形成することになる第1外殻部材25aと第2外殻部材25bとで構成されており、両外殻部材25a,25bを重ね合わせた箇所は溶接されている。
【0040】
そして、符号Z1で示す接続箇所に、第1枝管21及び上流側集合管24aと外殻管25との間に空気層を形成するように、一対の間隔保持部材28a,28aが介設されている(図4参照)。また、符号Z4で示す接続箇所に、上流側及び下流側集合管24a,24bと外殻管25との間に空気層を形成するように、一対の間隔保持部材28b,28bが介設されている(図6参照)。さらに、符号Z5で示す下流側集合管24bの長手方向の概ね中間箇所に、下流側集合管24bと外殻管25との間に空気層を形成するように、一対の間隔保持部材28c,28cが介設されている。なお、上記間隔保持部材28a,28a,28b,28b,28c,28cはいずれもステンレス鋼製メッシュを所定寸法のマット状に形成したものであり、高温においても適度な弾力性を示す。
【0041】
また、図1、図2、及び図8に示すように、後方側の第2及び第3排気ポートY2,Y3に対応する直管形状の第2及び第3枝管22,23と対面する第1外殻部材25aの外周面に、この第1外殻部材25aに沿って細長い振動抑制部材29が溶接によって固着されている。
【0042】
図3及び図8に示すように、第1〜第3枝管21〜23の上流端は、三つの開口を有する外殻管25の開口周辺に、スポット溶接によって固定されている。そして、外殻管25の三つの開口周辺は、エンジン接続用フランジ部材26の第1〜第3排気ポートY1〜Y3に対応する孔部周辺にそれぞれ全周溶接されている。
【0043】
一方、下流側集合管24bの下流端と外殻管25の下流端とが複数箇所で溶接によって固定された上で、外殻管25の下流端が排気管接続用フランジ部材27の排気管4に対応する孔部周辺に全周溶接されている。
【0044】
これにより、第1〜第3枝管21〜23はエンジン接続用フランジ部材26に固着されると共に下流側集合管24bは排気管接続用フランジ部材27に固着され、且つエンジン接続用フランジ部材26から排気管接続用フランジ部材27に至る間の外殻管25の内方が密閉されることになる。
【0045】
また、排気マニホールド3は、比較的下流側寄りの箇所に取り付けられたステー30によってトランスミッションケース2に支持されている。すなわち、エンジンの排気装置における排気管4には、上流側から下流側へ順に触媒コンバータ、プリサイレンサ、ボールジョイント、メインサイレンサ等が配設されることがある。そして、下流側のメインサイレンサとボールジョイント近傍とは車体に吊り下げ支持される一方、排気管4より上流側はエンジン接続用フランジ部材26を介してエンジン本体1に支持されるのみである場合、上記支持箇所間は車体に支持されないフリーな状態となって、例えば比較的重量物である触媒コンバータの振動が、排気マニホールド3とエンジン本体1つまりエンジン接続用フランジ部材26との溶接箇所、及び排気マニホールド3と排気管4つまり排気管接続用フランジ部材27との溶接箇所等に過大な応力集中を引き起こし、そのためこれらの箇所に割れが生じるおそれがある。それに対し、ステー30で排気マニホールド3をトランスミッションケース2に支持することによって触媒コンバータの振動を抑制し、ひいては溶接箇所の割れの発生を防止することができるようになる。
【0046】
次に、集合管24内への二次エアの供給構造について説明すると、エンジン接続用フランジ部材26には、二次エア供給パイプ31を取り付けるためのパイプ取付部26aと二次エア供給パイプ31に連通される第1通路26bとが設けられている。また、エンジン接続用フランジ部材26には、前後方向に延びて第1通路26bに連通される第2通路26cと、この第2通路26cから分岐してそれぞれ第1〜第3サイドハウジング11〜13内を延びて第1〜第3排気ポートY1〜Y3に連通される第3通路26d…26dとが設けられている(図8参照)。
【0047】
これにより、図示しないエア供給源から供給される二次エアは、第1通路26b、第2通路26c、及び第3通路26d…26dを通過して、第1〜第3排気ポートY1〜Y3へ導かれる。第1〜第3排気ポートY1〜Y3へ導かれた二次エアは、図3に示すように二次エア通路P…Pを通過し、第1〜第3排気ポートY1〜Y3を矢印a〜dで示すように通過する排気ガスと共に排気マニホールド3へ吐出され、比較的大容積の集合管24内で撹拌されて未燃焼成分が再燃焼されることとなる。
【0048】
以上のような構成としたことにより、本発明に係るエンジンの排気マニホールド3は以下の特徴を示す。
【0049】
まず、上流端が第1及び第2気筒X1,X2つまり第1〜第3排気ポートY1〜Y3に連通される第1〜第3枝管21〜23の下流端と上流側集合管24aの上流側との接続、及び上流側集合管24aの下流端と下流側集合管24bの上流端との接続をそれぞれ嵌挿構造としたから、高温の排気ガスの通過による熱伸縮が変形の自由端の位置する嵌挿構造の箇所で良好に吸収されることになり、変形に対する拘束部位となるエンジン接続用フランジ部材26及び排気管接続用フランジ部材27における溶接箇所への過剰な応力集中を抑制することが可能となる。したがって、当該箇所における割れの発生が抑制されることとなり、もって熱応力に対する耐久性に優れた排気マニホールド構造が実現される。
【0050】
また、上記嵌挿構造を採用したことにより、二次エアの供給により集合管24内で排気ガス中の未燃焼成分を再燃焼させ、排気ガスの温度が急激に上昇したりサイクリックな再燃焼が行われたりしても、その場合の熱伸縮は良好に吸収されることになる。したがって、エンジンの冷間始動時における二次エアの供給にも良好に対応可能な排気マニホールド3が実現される。
【0051】
また、排気管4から最遠方に位置する小径の第1枝管21の下流端と大径の上流側集合管24aの上流端との嵌挿に際し、第1枝管21の下流端の径と上流側集合管24aの上流端の径とを互いに接近させる方向にそれぞれ拡径及び縮径することにより、加工は容易になると共に比較的軽度の加工で済むことになり、加工された第1枝管21と上流側集合管24aとに不用意なひずみを生じさせることがなくなって、両管21,24aは耐久性を維持することができる。なお、第1枝管21の下流端を縮径する一方、上流側集合管24aの上流端を拡径し、第1枝管21の下流端を上流側集合管24aの上流端内に挿入したが、上流側集合管24aの上流端を第1枝管21の下流端内に挿入する構成としてもよい。この場合、前者の方が各端部の加工量は小さくて済む。
【0052】
また、ステンレス鋼板から同径に形成されることの多い上流側集合管24aと下流側集合管24bとの嵌挿に際し、これらの集合管24a,24bの一方を拡径または縮径すればよいから、比較的簡便な加工によって嵌挿構造が実現される。
【0053】
また、排気管4から最遠方に位置する小径の第1枝管21を湾曲させ、その下流端を比較的短尺に維持した集合管24に嵌挿することにより、この第1枝管21は長尺になるとしても第1枝管21の湾曲部分の外側が自由な空間となり、排気マニホールド構造全体としてコンパクト化が可能となる。なお、第1枝管21が湾曲形状になっていることから、排気ガスの集合管24への流入が円滑となり、圧力損失が低減されることとなる。
【0054】
また、第1〜第3枝管21〜23及び集合管24は、間隔保持部材28a,28a,28b,28b,28c,28cによって設けられた空気層を介して外殻管25で覆われ、上流側のエンジン本体1と下流側の排気管4との間は密閉状態且つ第1〜第3枝管21〜23と外殻管25あるいは集合管24と外殻管25とで二重構造となっているから、第1〜第3枝管21〜23及び集合管24を通過する排気ガスの放熱が抑制されることになり、排気ガスは下流側の触媒コンバータによって適正に浄化される。
【0055】
そして、第1〜第3枝管21〜23と上流側集合管24aとの嵌挿構造の箇所Z1〜Z3、及び上流側集合管24aと下流側集合管24bとの嵌挿構造の箇所Z4で排気ガスが漏れ出すことがあったとしても、これらの箇所Z1〜Z4は外殻管25で覆われて密閉されているから、排気ガスが不測に排気マニホールド3の外部に漏れ出すことがない。
【0056】
さらに、第1〜第3枝管21〜23及び集合管24は、都合三箇所Z1,Z4,Z5において外殻管25との間に間隔保持部材28a,28a,28b,28b,28c,28cが介在するから、振動に起因する第1〜第3枝管21〜23及び集合管24と外殻管25との接触が軽減され、接触による騒音発生が抑制される。特に嵌挿構造の箇所Z1,Z4においては、熱伸縮に伴う変形の自由端が位置することになるが、その場合第1〜第3枝管21〜23及び集合管24の径方向の振れが、この間隔保持部材28a,28a,28b,28b,28c,28cの介在によって良好に抑えられる。
【0057】
そして、集合管24に比較して通常厚肉で且つ加熱が低い温度にとどまる外殻管25の所定の部位、つまり第2及び第3枝管22,23と対面する部位に振動抑制部材29が固着されているから、排気ガスのいたずらな放熱を招くことなく集合管24及び外殻管25の振動を抑制することが容易に可能となる。また、振動を抑制することにより、集合管24及び外殻管25の耐久性を維持することができる。
【0058】
なお、上記実施の形態に係るエンジンの排気マニホールド構造は本発明を具現化した一例であって、本発明はこれに限定されるものではなく、上記請求項に記載の範囲に含まれるものであればよい。例えば、上記実施の形態に係るエンジンは二気筒(2ロータ式)ロータリピストンエンジンであったが、V6エンジンや他の構成のエンジン等、幅広い多気筒エンジンに適用可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、エンジンの排気マニホールド構造において、二重構造とすることにより、排気ガスの温度を高く保持して冷間始動直後の触媒コンバータを早期に活性化させることができるのはもちろんのこと、さらに、各排気ポートに対応して配設された各枝管と該枝管を集合する上流側集合管との接続、及び上流側集合管と下流側集合管との接続を嵌挿構造とすることにより局所局所で熱伸縮の緩和策を取り入れたから、変形に対する拘束部位への過剰な熱応力の集中による割れの発生を抑制することができる。
【0060】
また、排気管から最遠方に位置する枝管を湾曲させて上流側集合管の上流端に嵌挿させる構造としたことにより、排気マニホールド構造全体としてコンパクト化が可能となる一方、圧力損失の低減化も図ることができる。
【0061】
熱応力に対する耐久性に優れたエンジンの排気マニホールド構造を提供する本発明は、エンジンの排気装置に用いられて車両分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る排気マニホールドの平面図である。
【図2】同じく側面図である。
【図3】エンジン本体と排気マニホールドとの接続状態を示す概ね断面図である。
【図4】図2のア−ア線による拡大断面図である。
【図5】図2のイ−イ線による拡大断面図である。
【図6】図2のウ−ウ線による拡大断面図である。
【図7】図2のエ−エ線による拡大断面図である。
【図8】図2のオ−オ線による拡大断面図である。
【図9】従来の排気マニホールドの一部破断した平面図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
3 排気マニホールド
4 排気管
21〜23 枝管
24 集合管
24a 上流側集合管
24b 下流側集合管
25 外殻管
26 エンジン接続用フランジ部材
27 排気管接続用フランジ部材
28a〜28c 間隔保持部材
29 振動抑制部材
X1,X2 気筒
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気マニホールド構造に関し、エンジンの排気装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
通常、エンジンの排気マニホールドは、複数の気筒にそれぞれ一方の端部が連通される複数の枝管と、上流側にこれらの各枝管の他方の端部が接続されると共に下流側の端部に排気管が接続される集合管とを有し、燃焼室から排出される排気ガスを下流側の排気管へ良好に導くように構成されている。
【0003】
このような排気マニホールドとしては、例えば実開昭59−148417号公報に開示されているものがある。図9に示すように、この排気マニホールドAでは、アルミニウム溶融めっきを施した鋼でなる四つの枝管B…Bが、一方の端部を介してエンジン側の排気ポートに対応する孔が形成された鋼板でなるフランジ部材Cにそれぞれ溶接によって固着されている。また、枝管B…Bは、他方の端部を介してアルミニウム溶融めっきを施した鋼でなる集合管Dにそれぞれ溶接によって固着されている。そして、集合管Dは、下流側の排気管に対応する孔が形成された鋼板でなるフランジ部材Eに溶接によって固着されている。こうすることにより、実用温度での耐食性に優れ、しかも外部への熱放出の抑制が可能な排気マニホールドAが実現されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような排気マニホールドAでは、高温(例えば800〜1000℃)の排気ガスの通過によって、枝管B…Bや集合管Dが熱膨張することになる。枝管B…Bや集合管Dが膨張方向に変形する場合、この排気マニホールドAは、フランジ部材Cを介してエンジンに、そしてフランジ部材Eを介して排気管に接続される構造であるから、上記変形を拘束しようとする部位つまり枝管B…Bとフランジ部材Cとの溶接部F1…F1、枝管B…Bと集合管Dとの溶接部F2…F2、あるいは集合管Dとフランジ部材Eとの溶接部F3に過剰な熱応力の集中が生じ、熱疲労によって当該部位に割れが生じて排気マニホールドAにおける気密性が失われるという問題を引き起こすことがある。
【0005】
一方、エンジンの冷間始動時には比較的低温の排気ガスが燃焼室から排出されるが、排気マニホールドAの下流側の排気管に配設されたエミッション対策のための触媒コンバータでは触媒が所定の活性温度に達していないため、上記排気ガスが適正に浄化されないことがある。この問題の解消策の一つに、排気マニホールドに二次エアを供給して排気ガスを再燃焼させ、排気ガス中の未燃焼成分の低減と触媒の活性化とを図る方法がある。その場合には、再燃焼によって急激な排気ガスの温度上昇が起こるため、熱応力による上記溶接部F1…F1,F2…F2,F3における割れの発生が助長されるおそれがある。
【0006】
また、冷間始動直後の触媒コンバータの活性化をより一層高めるために、排気マニホールドを二重構造にすれば、排気マニホールドからの熱放出を抑制し得、より高温の排気ガスを触媒コンバータに供給することができるが、特にこのような二重構造における内管には外管に比べ薄肉の板材が用いられるのが通例であるため、上述した熱応力による割れ発生のおそれに対する一層の注意が必要となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、熱応力に対する耐久性に優れたエンジンの排気マニホールド構造の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0009】
まず、請求項1に記載の発明は、複数の気筒にそれぞれ一方の端部が連通される複数の枝管と、上記気筒の列方向にほぼ沿って配設され、上流側に上記各枝管の他方の端部が接続されると共に下流側の端部に排気管が接続される集合管とを有するエンジンの排気マニホールド構造に関するもので、上記各枝管は、上流端がエンジン本体への接続用フランジ部材に固着されていると共に、上記排気管から最遠方に位置する枝管は湾曲されて下流端が上記集合管の上流端の開口に嵌挿され、且つ他の枝管の下流端は該集合管の胴部に設けられた開口に嵌挿されており、一方、上記集合管は、上記各枝管が接続された上流側集合管と、下流端に固設されたフランジ部材を介して排気管に接続される下流側集合管とで構成されて、上流側集合管の下流端に下流側集合管の上流端が嵌挿されていると共に、上記各枝管及び各集合管は、上流側が上記エンジン本体への接続用フランジ部材に、下流側が上記排気管接続用フランジ部材にそれぞれ固定された外殻部材により、間隔保持部材によって設けられた空気層を介して覆われていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、エンジンの気筒から吐出される高温の排気ガスが各枝管を通って集合管に導入されても、枝管と上流側集合管との接続、及び上流側集合管と下流側集合管との接続は固定構造でなく嵌挿構造とされるから、各管の熱伸縮を変形の自由端が位置する嵌挿構造の箇所で良好に吸収することができる。つまり、排気マニホールドにおける局所局所で熱伸縮の緩和策を取り入れたことにより、従来の排気マニホールドで懸念された変形に対する拘束部位への過剰な熱応力の集中による割れの発生が抑制されることになり、もって熱応力に対する耐久性に優れた排気マニホールド構造が実現される。
【0011】
また、排気管から最遠方に位置する枝管を気筒列にほぼ沿って配設された集合管に嵌挿させる場合、集合管の胴部に枝管を嵌挿させるのが通例である。そうすると、このような構造、すなわち排気管から最遠方に位置する枝管が嵌挿される集合管の上流端の部分は大きなスペースを必要とすることになるから、コンパクトさが要求される排気マニホールドにおいては好ましくない。
【0012】
それに対してこの発明によれば、排気管から最遠方に位置する一般に小径の枝管を湾曲させ、その下流端を比較的短尺に維持した集合管に嵌挿させることができるから、この枝管は長尺になるとしても枝管の湾曲部分の外側が自由な空間となり、全体としてコンパクト化が可能となるのはもちろんのこと、枝管の湾曲化が排気ガスの圧力損失の低減にも有利に作用することとなる。
【0013】
また、各枝管と各集合管とは、間隔保持部材によって設けられた空気層を介して外殻部材で覆われている。つまり、上流側のエンジン本体と下流側の排気管との間に外殻部材で覆われて閉じた空間が形成され、且つ枝管と外殻部材あるいは集合管と外殻部材とで二重構造となっているから、枝管及び集合管を通過する排気ガスの放熱が抑制されることになり、排気ガスは下流側の触媒コンバータによって適正に浄化される。
【0014】
そして、枝管と上流側集合管との嵌挿構造の箇所、及び上流側集合管と下流側集合管との嵌挿構造の箇所で隙間から排気ガスが漏れたとしても、これらの箇所は外殻部材で覆われて密閉されているから、排気ガスが不測に排気マニホールドの外部に漏れ出すことがない。
【0015】
さらに、各枝管及び各集合管は間隔保持部材によって設けられた空気層を介して外殻部材で覆われているから、振動に起因する枝管及び集合管と外殻部材との接触が軽減され、接触による騒音発生が抑制される。
【0016】
次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載のエンジンの排気マニホールド構造において、枝管には排気ガスの再燃焼用の二次エアが供給されることを特徴とする。
【0017】
例えばエンジンの冷間始動時におけるエミッション対策として、二次エアの供給によって集合管内で排気ガス中の未燃焼成分を再燃焼させる方式を適用した排気マニホールド構造においては、集合管内の排気ガスの温度が急激に高温とされると同時にサイクリックな再燃焼によって、前述のような拘束部位における熱疲労が懸念されることになるが、その場合にもこの発明によれば、二次エアの供給によって排気ガスの適正な浄化を図った上で、上記嵌挿構造の採用によって変形に対する拘束部位への過剰な熱応力の集中による割れ発生を抑制することができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載のエンジンの排気マニホールド構造において、排気管から最遠方に位置する枝管の下流端は拡径される一方、上流側集合管の上流端は縮径されることを特徴とする。
【0019】
一般に小径とされた枝管と大径とされた集合管とをそれらの端部を介してスライド可能且つ両者間の隙間が極力低減するように嵌挿させるため、枝管の端部を拡径して集合管の径に近づけるか、あるいは集合管の端部を縮径して枝管の径に近づける方法が用いられる。その場合、このような枝管や集合管には耐熱性に優れる一方、加工しにくいステンレス鋼等の金属材料が用いられることが多い。したがって前述の方法を適用すると、いずれか一方の管に過剰な加工を強いることになるから、例えば耐久性等の品質面で問題が生じることがある。
【0020】
それに対してこの発明によれば、枝管の端部の径と集合管の端部の径とを互いに接近させる方向にそれぞれ拡径あるいは縮径することにより、加工は容易になると共に比較的軽度の加工で済むことになるから、加工された枝管と集合管とに不用意なひずみを生じさせることがなくなって、両管は耐久性を維持することができる。
【0021】
また、請求項4に記載の発明は、上記請求項1から請求項3のいずれかに記載のエンジンの排気マニホールド構造において、上流側集合管の下流端と下流側集合管の上流端とは、少なくとも一方が拡径または縮径されることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、一般にステンレス鋼板から同径に形成されることの多い上流側集合管と下流側集合管との嵌挿に際し、これらの集合管の一方を拡径または縮径すればよいから、比較的簡便な加工によって嵌挿構造が実現される。
【0023】
また、請求項5に記載の発明は、上記請求項1から請求項4のいずれかに記載のエンジンの排気マニホールド構造において、集合管の胴部に設けられた開口に嵌挿される枝管と対面する外殻部材の部位に、振動抑制部材が固着されていることを特徴とする。
【0024】
エンジンの気筒に連通された枝管から排気ガスがサイクリックに集合管に吐出される場合、吐出された排気ガス流が衝突することによって集合管に振動が生じ、さらにこの振動が空気層を介して外殻部材に伝播して振動音が生じるようになる。そこで振動抑制のため、例えば板状の振動抑制部材を集合管に固着することが考えられるが、一方で排気ガスの温度が一般に比較的薄肉の集合管を介してこの振動抑制部材によって奪われることになり、エミッション対策面からは好ましくない。また、集合管は比較的高温に加熱されるから、固着される振動抑制部材は、不用意に過剰な熱応力を生じさせることのないよう集合管とは極力熱膨張差の少ない材質に制限される。そして、薄肉の集合管に板状の振動抑制部材を固着させるのは、そもそも技術的に困難である。
【0025】
それに対してこの発明によれば、集合管に比較して通常厚肉でしかも加熱が低い温度にとどまる外殻部材の所定の部位に振動抑制部材を固着することは容易であり、且つ排気ガスのいたずらな放熱を招くことなく外殻部材の振動を抑制することが可能となる。また、振動を抑制することにより、枝管、集合管、及び外殻部材等の耐久性を維持することができる。
【0026】
そして、請求項6に記載の発明は、上記請求項1から請求項5のいずれかに記載のエンジンの排気マニホールド構造において、エンジンは、二気筒ロータリピストンエンジンであることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、二気筒ロータリピストンエンジンにおいても、前述の各作用効果が得られる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るエンジンの排気マニホールド構造につき、図1〜図3を中心に図4〜図8を交えながら説明する。
【0029】
このエンジンは二気筒(2ロータ式)ロータリピストンエンジンであって、エンジン本体1の後端側に、図示しないトランスミッションを収容するトランスミッションケース2が接続されている。また、エンジン本体1の一側面に本発明の特徴部分である排気マニホールド3が接続され、該排気マニホールド3の後端側に、後方に延びる排気管4が接続されている。これにより、エンジン本体1から吐出される排気ガスは、排気マニホールド3によって下流側の排気管4へ導かれ、さらにこの排気管4に介設された触媒コンバータによって浄化された上で排出されることになる。
【0030】
排気マニホールド3側のエンジン本体1は、車両の前方側から順に第1〜第3サイドハウジング11〜13と、これらの第1〜第3サイドハウジング11〜13に挟まれた第1及び第2ロータハウジング14,15とを有している。そして、第1及び第2サイドハウジング11,12と第1ロータハウジング14とにより第1気筒X1が、また、第2及び第3サイドハウジング12,13と第2ロータハウジング15とにより第2気筒X2が、それぞれ形成されている。
【0031】
第1〜第3サイドハウジング11〜13には、排気ガスを排気マニホールド3へ導く第1〜第3排気ポートY1〜Y3がそれぞれ設けられている。この場合、排気ガスは、矢印a,bで示すように第1気筒X1からは第1及び第2排気ポートY1,Y2へ、また、矢印c,dで示すように第2気筒X2からは第2及び第3排気ポートY2,Y3へ導かれる構成とされている。
【0032】
そして、第1〜第3排気ポートY1〜Y3には第1〜第3ポートインサート部材16〜18がそれぞれ内装されており、第1〜第3サイドハウジング11〜13の内面とそれぞれ対応する第1〜第3ポートインサート部材16〜18の外面とにより、後述の二次エアが通過する二次エア通路P…Pが形成されている。
【0033】
排気マニホールド3は、第1〜第3排気ポートY1〜Y3にそれぞれ一方の端部が連通される第1〜第3枝管21〜23と、第1〜第3排気ポートY1〜Y3の列にほぼ沿って配設され、第1〜第3枝管21〜23の他方の端部が接続される上流側集合管24aと排気管4が接続される下流側集合管24bとで構成される集合管24と、第1〜第3枝管21〜23及び集合管24を覆う第1外殻部材25aと第2外殻部材25bとで構成される外殻管25と、第1〜第3枝管21〜23をエンジン本体1にボルトで締結するためのエンジン接続用フランジ部材26と、下流側集合管24b及び外殻管25を排気管4にボルトで締結するための排気管接続用フランジ部材27とを有している。なお、第1〜第3枝管21〜23、上流側及び下流側集合管24a,24b、第1及び第2外殻部材25a,25bには、耐熱性を備えたステンレス鋼が使用されている。
【0034】
第1〜第3枝管21〜23は、第1〜第3排気ポートY1〜Y3から吐出される排気ガスを独立して下流側の集合管24へ導く円形通路を提供するもので、そのうち排気管4から最遠方に位置する第1枝管21は湾曲されている点で、短尺且つ直管形状の第2及び第3枝管22,23と異なる。
【0035】
上流側集合管24aと下流側集合管24bとで構成される集合管24は、第1〜第3枝管21〜23を通過する排気ガスを集合して、排気管4に通じる単一の排気経路を提供するもので、第1〜第3枝管21〜23より大径とされている。
【0036】
次に、第1〜第3枝管21〜23と上流側集合管24aとの接続構造、すなわちこの場合は嵌挿構造について説明すると、まず第1枝管21の下流端と上流側集合管24aの上流端とは、符号Z1で示す箇所で接続されている。その場合、図4及び図5に示すように、小径の第1枝管21の下流端を所定の径に拡径する一方、大径の上流側集合管24aの上流端を上記所定の径よりわずかに大きい径に縮径し、第1枝管21の下流端を上流側集合管24aの上流端内に挿入させることにより、第1枝管21と上流側集合管24aとの間に不用意に大きい隙間を形成することのない嵌挿構造が実現されている。
【0037】
また、第2及び第3枝管22,23の下流端と上流側集合管24aとは、符号Z2,Z3で示す箇所で接続されている。その場合、上流側集合管24aの胴部の開口を、第2及び第3枝管22,23との間に不用意に大きい隙間を形成することのないように設けることで、嵌挿構造が実現されている。
【0038】
また、略同径の上流側集合管24aと下流側集合管24bとの接続構造つまり嵌挿構造について説明すると、上流側集合管24aの下流端と下流側集合管24bの上流端とは、符号Z4で示す箇所で接続されている。その場合、図6及び図7に示すように、上流側集合管24aの下流端を所定の径に縮径し、上流側集合管24aの下流端を下流側集合管24bの上流端内に挿入させることによって、上流側及び下流側集合管24a,24b間に不用意に大きい隙間を形成することのない嵌挿構造が実現されている。
【0039】
外殻管25は第1〜第3枝管21〜23と集合管24つまり上流側及び下流側集合管24a,24bとを覆うもので、図4〜図7に示すように、組み合わされたときに円形断面の空間を形成することになる第1外殻部材25aと第2外殻部材25bとで構成されており、両外殻部材25a,25bを重ね合わせた箇所は溶接されている。
【0040】
そして、符号Z1で示す接続箇所に、第1枝管21及び上流側集合管24aと外殻管25との間に空気層を形成するように、一対の間隔保持部材28a,28aが介設されている(図4参照)。また、符号Z4で示す接続箇所に、上流側及び下流側集合管24a,24bと外殻管25との間に空気層を形成するように、一対の間隔保持部材28b,28bが介設されている(図6参照)。さらに、符号Z5で示す下流側集合管24bの長手方向の概ね中間箇所に、下流側集合管24bと外殻管25との間に空気層を形成するように、一対の間隔保持部材28c,28cが介設されている。なお、上記間隔保持部材28a,28a,28b,28b,28c,28cはいずれもステンレス鋼製メッシュを所定寸法のマット状に形成したものであり、高温においても適度な弾力性を示す。
【0041】
また、図1、図2、及び図8に示すように、後方側の第2及び第3排気ポートY2,Y3に対応する直管形状の第2及び第3枝管22,23と対面する第1外殻部材25aの外周面に、この第1外殻部材25aに沿って細長い振動抑制部材29が溶接によって固着されている。
【0042】
図3及び図8に示すように、第1〜第3枝管21〜23の上流端は、三つの開口を有する外殻管25の開口周辺に、スポット溶接によって固定されている。そして、外殻管25の三つの開口周辺は、エンジン接続用フランジ部材26の第1〜第3排気ポートY1〜Y3に対応する孔部周辺にそれぞれ全周溶接されている。
【0043】
一方、下流側集合管24bの下流端と外殻管25の下流端とが複数箇所で溶接によって固定された上で、外殻管25の下流端が排気管接続用フランジ部材27の排気管4に対応する孔部周辺に全周溶接されている。
【0044】
これにより、第1〜第3枝管21〜23はエンジン接続用フランジ部材26に固着されると共に下流側集合管24bは排気管接続用フランジ部材27に固着され、且つエンジン接続用フランジ部材26から排気管接続用フランジ部材27に至る間の外殻管25の内方が密閉されることになる。
【0045】
また、排気マニホールド3は、比較的下流側寄りの箇所に取り付けられたステー30によってトランスミッションケース2に支持されている。すなわち、エンジンの排気装置における排気管4には、上流側から下流側へ順に触媒コンバータ、プリサイレンサ、ボールジョイント、メインサイレンサ等が配設されることがある。そして、下流側のメインサイレンサとボールジョイント近傍とは車体に吊り下げ支持される一方、排気管4より上流側はエンジン接続用フランジ部材26を介してエンジン本体1に支持されるのみである場合、上記支持箇所間は車体に支持されないフリーな状態となって、例えば比較的重量物である触媒コンバータの振動が、排気マニホールド3とエンジン本体1つまりエンジン接続用フランジ部材26との溶接箇所、及び排気マニホールド3と排気管4つまり排気管接続用フランジ部材27との溶接箇所等に過大な応力集中を引き起こし、そのためこれらの箇所に割れが生じるおそれがある。それに対し、ステー30で排気マニホールド3をトランスミッションケース2に支持することによって触媒コンバータの振動を抑制し、ひいては溶接箇所の割れの発生を防止することができるようになる。
【0046】
次に、集合管24内への二次エアの供給構造について説明すると、エンジン接続用フランジ部材26には、二次エア供給パイプ31を取り付けるためのパイプ取付部26aと二次エア供給パイプ31に連通される第1通路26bとが設けられている。また、エンジン接続用フランジ部材26には、前後方向に延びて第1通路26bに連通される第2通路26cと、この第2通路26cから分岐してそれぞれ第1〜第3サイドハウジング11〜13内を延びて第1〜第3排気ポートY1〜Y3に連通される第3通路26d…26dとが設けられている(図8参照)。
【0047】
これにより、図示しないエア供給源から供給される二次エアは、第1通路26b、第2通路26c、及び第3通路26d…26dを通過して、第1〜第3排気ポートY1〜Y3へ導かれる。第1〜第3排気ポートY1〜Y3へ導かれた二次エアは、図3に示すように二次エア通路P…Pを通過し、第1〜第3排気ポートY1〜Y3を矢印a〜dで示すように通過する排気ガスと共に排気マニホールド3へ吐出され、比較的大容積の集合管24内で撹拌されて未燃焼成分が再燃焼されることとなる。
【0048】
以上のような構成としたことにより、本発明に係るエンジンの排気マニホールド3は以下の特徴を示す。
【0049】
まず、上流端が第1及び第2気筒X1,X2つまり第1〜第3排気ポートY1〜Y3に連通される第1〜第3枝管21〜23の下流端と上流側集合管24aの上流側との接続、及び上流側集合管24aの下流端と下流側集合管24bの上流端との接続をそれぞれ嵌挿構造としたから、高温の排気ガスの通過による熱伸縮が変形の自由端の位置する嵌挿構造の箇所で良好に吸収されることになり、変形に対する拘束部位となるエンジン接続用フランジ部材26及び排気管接続用フランジ部材27における溶接箇所への過剰な応力集中を抑制することが可能となる。したがって、当該箇所における割れの発生が抑制されることとなり、もって熱応力に対する耐久性に優れた排気マニホールド構造が実現される。
【0050】
また、上記嵌挿構造を採用したことにより、二次エアの供給により集合管24内で排気ガス中の未燃焼成分を再燃焼させ、排気ガスの温度が急激に上昇したりサイクリックな再燃焼が行われたりしても、その場合の熱伸縮は良好に吸収されることになる。したがって、エンジンの冷間始動時における二次エアの供給にも良好に対応可能な排気マニホールド3が実現される。
【0051】
また、排気管4から最遠方に位置する小径の第1枝管21の下流端と大径の上流側集合管24aの上流端との嵌挿に際し、第1枝管21の下流端の径と上流側集合管24aの上流端の径とを互いに接近させる方向にそれぞれ拡径及び縮径することにより、加工は容易になると共に比較的軽度の加工で済むことになり、加工された第1枝管21と上流側集合管24aとに不用意なひずみを生じさせることがなくなって、両管21,24aは耐久性を維持することができる。なお、第1枝管21の下流端を縮径する一方、上流側集合管24aの上流端を拡径し、第1枝管21の下流端を上流側集合管24aの上流端内に挿入したが、上流側集合管24aの上流端を第1枝管21の下流端内に挿入する構成としてもよい。この場合、前者の方が各端部の加工量は小さくて済む。
【0052】
また、ステンレス鋼板から同径に形成されることの多い上流側集合管24aと下流側集合管24bとの嵌挿に際し、これらの集合管24a,24bの一方を拡径または縮径すればよいから、比較的簡便な加工によって嵌挿構造が実現される。
【0053】
また、排気管4から最遠方に位置する小径の第1枝管21を湾曲させ、その下流端を比較的短尺に維持した集合管24に嵌挿することにより、この第1枝管21は長尺になるとしても第1枝管21の湾曲部分の外側が自由な空間となり、排気マニホールド構造全体としてコンパクト化が可能となる。なお、第1枝管21が湾曲形状になっていることから、排気ガスの集合管24への流入が円滑となり、圧力損失が低減されることとなる。
【0054】
また、第1〜第3枝管21〜23及び集合管24は、間隔保持部材28a,28a,28b,28b,28c,28cによって設けられた空気層を介して外殻管25で覆われ、上流側のエンジン本体1と下流側の排気管4との間は密閉状態且つ第1〜第3枝管21〜23と外殻管25あるいは集合管24と外殻管25とで二重構造となっているから、第1〜第3枝管21〜23及び集合管24を通過する排気ガスの放熱が抑制されることになり、排気ガスは下流側の触媒コンバータによって適正に浄化される。
【0055】
そして、第1〜第3枝管21〜23と上流側集合管24aとの嵌挿構造の箇所Z1〜Z3、及び上流側集合管24aと下流側集合管24bとの嵌挿構造の箇所Z4で排気ガスが漏れ出すことがあったとしても、これらの箇所Z1〜Z4は外殻管25で覆われて密閉されているから、排気ガスが不測に排気マニホールド3の外部に漏れ出すことがない。
【0056】
さらに、第1〜第3枝管21〜23及び集合管24は、都合三箇所Z1,Z4,Z5において外殻管25との間に間隔保持部材28a,28a,28b,28b,28c,28cが介在するから、振動に起因する第1〜第3枝管21〜23及び集合管24と外殻管25との接触が軽減され、接触による騒音発生が抑制される。特に嵌挿構造の箇所Z1,Z4においては、熱伸縮に伴う変形の自由端が位置することになるが、その場合第1〜第3枝管21〜23及び集合管24の径方向の振れが、この間隔保持部材28a,28a,28b,28b,28c,28cの介在によって良好に抑えられる。
【0057】
そして、集合管24に比較して通常厚肉で且つ加熱が低い温度にとどまる外殻管25の所定の部位、つまり第2及び第3枝管22,23と対面する部位に振動抑制部材29が固着されているから、排気ガスのいたずらな放熱を招くことなく集合管24及び外殻管25の振動を抑制することが容易に可能となる。また、振動を抑制することにより、集合管24及び外殻管25の耐久性を維持することができる。
【0058】
なお、上記実施の形態に係るエンジンの排気マニホールド構造は本発明を具現化した一例であって、本発明はこれに限定されるものではなく、上記請求項に記載の範囲に含まれるものであればよい。例えば、上記実施の形態に係るエンジンは二気筒(2ロータ式)ロータリピストンエンジンであったが、V6エンジンや他の構成のエンジン等、幅広い多気筒エンジンに適用可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、エンジンの排気マニホールド構造において、二重構造とすることにより、排気ガスの温度を高く保持して冷間始動直後の触媒コンバータを早期に活性化させることができるのはもちろんのこと、さらに、各排気ポートに対応して配設された各枝管と該枝管を集合する上流側集合管との接続、及び上流側集合管と下流側集合管との接続を嵌挿構造とすることにより局所局所で熱伸縮の緩和策を取り入れたから、変形に対する拘束部位への過剰な熱応力の集中による割れの発生を抑制することができる。
【0060】
また、排気管から最遠方に位置する枝管を湾曲させて上流側集合管の上流端に嵌挿させる構造としたことにより、排気マニホールド構造全体としてコンパクト化が可能となる一方、圧力損失の低減化も図ることができる。
【0061】
熱応力に対する耐久性に優れたエンジンの排気マニホールド構造を提供する本発明は、エンジンの排気装置に用いられて車両分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る排気マニホールドの平面図である。
【図2】同じく側面図である。
【図3】エンジン本体と排気マニホールドとの接続状態を示す概ね断面図である。
【図4】図2のア−ア線による拡大断面図である。
【図5】図2のイ−イ線による拡大断面図である。
【図6】図2のウ−ウ線による拡大断面図である。
【図7】図2のエ−エ線による拡大断面図である。
【図8】図2のオ−オ線による拡大断面図である。
【図9】従来の排気マニホールドの一部破断した平面図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
3 排気マニホールド
4 排気管
21〜23 枝管
24 集合管
24a 上流側集合管
24b 下流側集合管
25 外殻管
26 エンジン接続用フランジ部材
27 排気管接続用フランジ部材
28a〜28c 間隔保持部材
29 振動抑制部材
X1,X2 気筒
Claims (6)
- 複数の気筒にそれぞれ一方の端部が連通される複数の枝管と、上記気筒の列方向にほぼ沿って配設され、上流側に上記各枝管の他方の端部が接続されると共に下流側の端部に排気管が接続される集合管とを有するエンジンの排気マニホールド構造であって、上記各枝管は、上流端がエンジン本体への接続用フランジ部材に固着されていると共に、上記排気管から最遠方に位置する枝管は湾曲されて下流端が上記集合管の上流端の開口に嵌挿され、且つ他の枝管の下流端は該集合管の胴部に設けられた開口に嵌挿されており、一方、上記集合管は、上記各枝管が接続された上流側集合管と、下流端に固設されたフランジ部材を介して排気管に接続される下流側集合管とで構成されて、上流側集合管の下流端に下流側集合管の上流端が嵌挿されていると共に、上記各枝管及び各集合管は、上流側が上記エンジン本体への接続用フランジ部材に、下流側が上記排気管接続用フランジ部材にそれぞれ固定された外殻部材により、間隔保持部材によって設けられた空気層を介して覆われていることを特徴とするエンジンの排気マニホールド構造。
- 枝管には排気ガスの再燃焼用の二次エアが供給されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気マニホールド構造。
- 排気管から最遠方に位置する枝管の下流端は拡径される一方、上流側集合管の上流端は縮径されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジンの排気マニホールド構造。
- 上流側集合管の下流端と下流側集合管の上流端とは、少なくとも一方が拡径または縮径されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のエンジンの排気マニホールド構造。
- 集合管の胴部に設けられた開口に嵌挿される枝管と対面する外殻部材の部位に、振動抑制部材が固着されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のエンジンの排気マニホールド構造。
- エンジンは、二気筒ロータリピストンエンジンであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のエンジンの排気マニホールド構造。
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-
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