JP2004052413A - 塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法 - Google Patents

塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塩害によるコンクリート構造物の劣化を防止すると共に、修復後のコンクリート構造物の美観を維持する塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法を提供する。
【解決手段】塩害によって一部が崩壊し、又は崩壊の可能性を有する鉄筋コンクリート製のコンクリート構造物10の外表面に、直接又は隙間を有して型枠11を取付け、型枠11とコンクリート構造物10との間に、亜硝酸塩を含有するグラウト又はモルタルからなる無収縮材料12を充填して、充填した無収縮材料12及び型枠11によってコンクリート構造物10を補強する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩害を受けた鉄筋コンクリート製のコンクリート構造物(例えば、梁、柱、スラブ、側壁等)を補強すると共に防食を図ることができる塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄筋コンクリート製のコンクリート構造物は、例えば経年変化によって表面のコンクリートが剥離し、又はコンクリートに亀裂が発生して内部の鉄筋が露出する。これにより、鉄筋が腐蝕し、コンクリート構造物の強度が著しく低下するため、色々な工法のコンクリート構造物の補修方法が採用されてきた。
例えば、コンクリートの劣化が軽い場合には、各種塗材を用いてコンクリート表面の被覆を行い、コンクリート構造物の耐久性を向上させている。
また、特開昭60−204683号公報、及び特開平1−103970号公報には、鉄筋の錆の発生を防止する亜硝酸塩をコンクリート表面から含浸したり、この亜硝酸塩を含有させたセメント組成物をコンクリート表面に塗布したりすることで、コンクリートの劣化を防止する方法がそれぞれ開示されている。
しかし、亜硝酸塩をコンクリート表面から含浸させたり、亜硝酸塩を含有させたセメント組成物をコンクリート表面に塗布する場合、亜硝酸塩を含むコンクリート表面が露出しているため、亜硝酸塩が例えば雨水や結露水等を通じてコンクリートやセメント組成物から外部へ溶出する。
そこで、特開平8−12467号公報には、コンクリートの表面に、亜硝酸塩を含有したセメント組成物を塗布した後、未硬化状態にあるセメント組成物表面を湿潤面接着性を有するエポキシ樹脂含有塗材で被覆するコンクリート構造物の補修方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したコンクリート構造物の補修方法には、以下の問題がある。
亜硝酸塩を含有したセメント組成物の表面にエポキシ樹脂を塗布するので、例えば、コンクリート構造物の長期間の使用や、コンクリート構造物に対して衝撃が加わることにより、エポキシ樹脂が破損したり、またセメント組成物の表面からエポキシ樹脂が剥がれる可能性がある。このため、例えば雨水や結露水等が、この破損部分からコンクリート表面やセメント組成物へ浸透した後、亜硝酸塩が雨水や結露水と共に外部へ溶出するので、鉄筋に錆が発生してコンクリートの劣化が生じる可能性がある。
また、塩害を受け易い場所にある例えば海岸や、海岸付近の建造物等の一部を構成するコンクリート構造物の場合、エポキシ樹脂に破損部分が発生することで、塩分がコンクリート構造物中に破損部分を介して侵入する可能性がある。このとき、コンクリート構造物中の塩素濃度が高くなるので、塩素濃度に対する亜硝酸塩濃度が小さくなり、鉄筋に錆が発生してコンクリートに劣化が生じる可能性がある。ここで、鉄筋に発生する錆を抑制できる程度に、予めコンクリート表面から含浸させる亜硝酸塩濃度や、セメント組成物中の亜硝酸塩濃度を高めることもできるが、亜硝酸塩の使用量が多くなり経済的でない。
そして、エポキシ樹脂に破損部分が生じることで、この破損部分からコンクリート構造物中に例えば雨水や結露水等が入り込み、コンクリート構造物の外観性が悪くなる可能性がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、塩害によるコンクリート構造物の劣化を防止すると共に、修復後のコンクリート構造物の美観を維持する塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法は、塩害によって一部が崩壊し、又は崩壊の可能性を有する鉄筋コンクリート製のコンクリート構造物の外表面に、直接又は隙間を有して型枠を取付け、型枠とコンクリート構造物との間に、亜硝酸塩を含有するグラウト又はモルタルからなる無収縮材料を充填して、充填した無収縮材料及び型枠によってコンクリート構造物を補強する。このように、コンクリート構造物の補修部分の周囲は型枠によって覆われるので、外部から例えば雨水や結露水等のコンクリート構造物への浸透、更には塩分中に含まれる塩素分の侵入を防止できる。また、型枠を使用することで、無収縮材料の固化状態を考慮することなく、容易に仕上げ塗装することが可能となり、工期の短縮を図ることができる。
【0005】
ここで、本発明に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法において、型枠に、無収縮材料と馴染みが良い非鉄金属製軽量板の外表面に繊維強化シートが積層された複数の型枠平板を、実質的に直交する平面を有しねじ止め可能なコーナー部材で連結したものを使用していることが好ましい。なお、非鉄金属製軽量板には、例えば石綿に代わる繊維を使用したボードからなる繊維スレート、繊維補強型軽量セメント板、硬質プラスチック、木板等を使用できるが、好ましくは繊維スレートの一種であるフレキシブルボードを使用する。このフレキシブルボードは、通常の繊維スレートよりもセメントに対する繊維量を増し、また制作時に高圧をかけて作ったものであり、セメント製品としては相当自由に曲げることができるものである。また、繊維強化シートには、コンクリート構造物の使用条件(例えば、非鉄金属製軽量板の種類、耐用年数、環境等)を基に、例えば、炭素繊維シート、ガラス繊維シート、アラミド繊維シート等を使用する。そして、コーナー部材には、例えば、発泡ポリスチレン等の発泡プラスチックを使用できる。
このように構成することで、無収縮材料と馴染みが良い非鉄金属製軽量板を使用した型枠平板の剛性を高めると同時に、耐ひび割れ防止の機能を満足した型枠を短時間で容易に製造できる。
【0006】
本発明に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法において、繊維強化シートの厚みは0.5〜3mmであることが好ましい。
本発明に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法において、型枠平板の厚みは5〜10mmであることが好ましい。
これにより、繊維強化シートのひび割れを防止でき、しかも繊維強化シートが破壊するときまでは、引張補強材の役目を果たすことができる。
【0007】
本発明に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法において、コンクリート構造物が、梁、柱、又はスラブのいずれか1つであることが好ましい。これにより、塩害を受け易い場所に設置された例えば海岸の建造物に使用される梁、柱、スラブの補修を行うことが可能となる。
本発明に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法において、型枠が、無収縮材料の流入圧力に耐え得る剛性を備えていることが好ましい。これにより、型枠が無収縮材料の流入圧力によって破壊されることなく、型枠とコンクリート構造物との間に無収縮材料を充填できる。
本発明に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法において、無収縮材料には、細骨材として高炉スラグを含有させることが好ましい。ここで、無収縮材料に高炉スラグを含有させたのは、塩分を含んだ天然砂の塩分対策や、塩分を含まない珪砂使用による価格上昇を避けるためである。なお、高炉スラグとしては、例えば、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ等を使用できるが、好ましくは高炉炉外水砕スラグを使用する。この高炉炉外水砕スラグは、高炉水砕スラグの製造時に使用する溶融スラグ(例えば、1500℃程度)の温度より低い温度となった溶融スラグ(例えば、1300℃程度)に、低圧水を吹き付けて製造されるもので、粒度分布が均一のものである。
これにより、補修したコンクリート構造物の強度を高めると共に、高炉スラグの有効利用を図ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法を適用した梁の説明図、図2(A)、(B)はそれぞれ同コンクリート構造物の補修方法を適用した梁の側面図、底面図、図3は同コンクリート構造物の補修方法の型枠製作及び取付け工程の説明図、図4は同コンクリート構造物の補修方法の型枠製作及び取付け工程の説明図、図5は第1のシミュレーションに適用した梁の断面図、図6(A)、(B)はそれぞれ塩化物イオンの拡散状態を示す説明図、亜硝酸イオンの拡散状態を示す説明図、図7は第1のシミュレーションによる経過年数別塩化物イオンの拡散状態を示す説明図、図8は第1のシミュレーションによる経過年数別亜硝酸イオンの拡散状態を示す説明図、図9(A)、(B)はそれぞれ第1のシミュレーション結果による鉄筋腐蝕状況を検討するための説明図、図10は第2のシミュレーションに適用した梁の断面図、図11〜図15はそれぞれ曲げ載荷試験を行うために使用したCaseA〜CaseEの各供試体の説明図、図16(A)、(B)、(C)はそれぞれ曲げ載荷試験を行う供試体の平面図、側面図、底面図、図17〜図21はCaseA〜CaseEの各供試体の長さ方向中央部分における高さ方向の歪み分布の説明図、図22はCaseDの供試体の底面の歪み分布の説明図、図23はCaseEの供試体の底面の歪み分布の説明図、図24〜図28はCaseA〜CaseEの各供試体の荷重とたわみとの関係を示す説明図、図29は本発明の一実施の形態に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法を適用した柱の説明図、図30は本発明の一実施の形態に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法を適用したスラブの説明図である。
【0009】
図1〜図4に示すように、本発明の一実施の形態に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法は、塩害によって一部が崩壊し、又は崩壊の可能性を有する鉄筋コンクリート製のコンクリート構造物の一例である梁10の外表面に、直接型枠11を取付け、型枠11と梁10との間に、亜硝酸塩を含有するグラウト又はモルタルからなる無収縮材料12を充填して、充填した無収縮材料12及び型枠11によって梁10を補強する方法である。なお、この補修方法は、前処理工程、型枠作製及び取付け工程、接続部補強工程、無収縮材料充填及び固化工程を有している。以下、詳しく説明する。
【0010】
梁10は、塩害を受け易い場所、例えば海岸や、海岸付近に設置された建造物等の天井部14の下側に設けられているため、梁10の下部が崩壊し、しかも鉄筋13が表面に露出した状態になっている。そこでまず、梁10のコンクリート浮き部、鉄筋13の爆裂部、コンクリート脆弱部を、例えば、電気ピック、ハンマー等を使用してはつり取る。また、鉄筋13の不良部分の切り取りを行い、鉄筋13の切り取り部分と、鉄筋13の痩せている部分には、新規に図示しない補修用鉄筋を取付ける。そして、下地処理として、コンクリートの表面にアルカリ付与剤の塗布を行い、また鉄筋13の露出した部分に鉄筋防錆剤を塗布する(以上、前処理工程)。
【0011】
次に、梁10の下部、及び側部の外表面への型枠11の取付け方法について説明する。なお、型枠11の梁10への取付け作業は、板状となった吊足場(図示しない)を用いて行うことが好ましく、この吊足場の両端部にワイヤーを取付け、このワイヤーをアンカーボルトを介して天井部14に取付けて行う。
まず、無収縮材料12と馴染みが良い非鉄金属製軽量板の一例であるフレキシブルボード15の外表面に、エポキシ樹脂等の接着剤を用いて、繊維強化シート16を、繊維方向が直交するように2層にわたって積層した板材を、梁10の補修形状に合わせて切断して、型枠11の型枠平板17〜19を複数形成する。繊維強化シート16としては、ガラス繊維シート、炭素繊維シート(例えば、三菱化学(株)製のリペラーク(登録商標))、アラミド繊維シート等を使用する。
この繊維強化シート16の厚みは0.5〜3mmである。繊維強化シート16の厚みが0.5mm未満の場合、梁10の補修に必要な強度を得ることができず、一方、3mmを超えれば経済的でない。従って、梁10の補修に必要な強度を得ることができると共に、経済的な繊維強化シート16の厚みとして、0.8〜2.5mm、更には1〜2mmとすることが好ましい。
また、型枠平板17〜19の厚みは5〜10mmである。型枠平板17〜19の厚みが5mm未満の場合、梁10の補修に必要な強度を得ることができず、一方、10mmを超えれば、型枠平板17〜19の重量が重たくなり施工性に問題があり、しかも経済的でない。従って、梁10の補修に必要な強度を得ることができると共に、経済的な型枠平板17〜19の厚みとして、5〜9mm、更には6〜8mmとすることが好ましい。
【0012】
そして、梁10の下部側に配置される型枠平板17の四隅にはアンカー取付け孔20を、また、型枠平板17の長手方向の例えば200〜400mmおきの各位置にはアンカー取付け孔21をそれぞれ形成する。一方、型枠平板18、19の長手方向の例えば400〜600mmおきの各位置には、アンカー取付け孔22を形成する。
更に、型枠平板17の長手方向に沿って両側には、実質的に型枠平板17に対して直交する平面を有し、かつ断面が実質的に三角形になったコーナー部材23を取付けるタッピンねじ24の固定用孔25を所定間隔おきに形成する。また、梁10の両側側部に配置される型枠平板18、19の下端部にも同様に、長手方向に沿って、固定用孔26を所定間隔おきに形成する。
型枠平板18、19に対してもそれぞれ直交する平面を有する前記コーナー部材23により、型枠平板17〜19を連接して型枠11の内面を滑らかにつなぐことができるので、型枠11内に充填される無収縮材料12の流動性がよくなる。なお、型枠平板17〜19は、予め工場で製作してから現場に移送することが好ましい。
【0013】
このような構造を有する型枠平板17〜19は、梁10に一体化される埋込み型枠として鉄板を使用する場合に比べて著しく軽量でかつ剛性を有しており、また、繊維強化シート16は、鋼板の引張強度の10倍の引張強度を有するので、埋込み型枠として使用する場合に十分な強度を確保できる。このことから、繊維強化シート16としてガラス繊維シート又は炭素繊維シートを備えた型枠平板17〜19を用いて製造する型枠11は、無収縮材料12の流入圧力に耐え得る剛性を備えることができる。
ここで、アンカー取付け孔21、22の間隔は、型枠平板17〜19のたわみ、型枠平板17〜19に加わる荷重(例えば、無収縮材料12の流入圧力)、及びアンカーボルト27の強度等を考慮して、計算によって求めることができる。
【0014】
次に、図3に示すように、タッピンねじ24を使用して、型枠平板17にコーナー部材23を締結、固定する。そして、この型枠平板17のアンカー取付け孔20、21の位置に合わせて梁10の底面に、ホールインアンカー等からなるグリップアンカー28を打ち込み、アンカーボルト27、及びナット29、30を使用して型枠平板17を取付ける。
更に、図4に示すように、型枠平板18、19のアンカー取付け孔22の位置に合わせて梁10の側面にグリップアンカー28を打ち込み、アンカーボルト27、及びナット29、30を使用して型枠平板18、19を取付ける。更に、タッピンねじ24を使用して、型枠平板18、19とコーナー部材23を締結、固定する。このように、梁10へ取付けた型枠11は、底部に水平に配置された型枠平板17と、型枠平板17の幅方向両側部に複数のタッピンねじ24によって固定されたコーナー部材23を介してそれぞれ連結され、型枠平板17に対して垂直に配置された型枠平板18、19により、断面溝形状となっている。
【0015】
このように構成することによって、型枠11の製作を行いながら取付け作業を行うことができるので、作業現場において、コンクリートの崩壊状態や配筋の状態等を考慮して、取付け位置等の調整ができ、作業性を向上させることができる。
また、型枠11が型枠平板17〜19によって構成されているので、コンパクトにまとめた状態で保管及び移送ができる。特に、コーナー部材23を使用しているので、型枠平板18、19の取付け位置の調整が簡単で、更に作業性を向上させることができる(以上、型枠製作及び取付け工程)。
【0016】
そして、図1、図2(A)、(B)に示すように、非金属製、例えばFRP製のL形補強部材31、32にエポキシ樹脂等の接着剤を塗布し、これを型枠11の実質的に直交して隣合う各型枠平板17〜19の幅方向の外側端部に位置する接続部分Cに貼り付ける。更に、各型枠平板17〜19にL形補強部材31、32を、複数のタッピンねじ33を使用して締結し固定する。なお、コーナー部材23の外側に、コーナー部材23の外側を覆う断面弧状となった異形補強部材を、タッピンねじで締結することも可能である。
また、非金属製、例えばFRP製の平板状補強部材34にエポキシ樹脂等の接着剤を塗布し、これを長手方向に連接される型枠11の実質的に同一平面状で隣合う各型枠平板17〜19の長さ方向の外側端部に位置する接続部分に貼り付ける。更に、各型枠平板17〜19に平板状補強部材34を、複数のタッピンねじ35を使用して締結し固定する。
【0017】
ここで、L形補強部材31、32、及び平板状補強部材34は、型枠11の連接される型枠平板17〜19のそれぞれの接続部分を隙間なく覆って、連続的に取付けることが好ましい。また、L形補強部材31、32の長さを型枠平板17〜19の長さと実質的に同じに形成し、L形補強部材31、32の中央部が、長手方向に隣合う型枠平板17〜19のそれぞれの接続部分Cを覆うように取付けることが好ましい。
また、これらのタッピンねじ33、35を挿通するための下孔は、予め型枠平板17〜19に形成しておくが、L形補強部材31、32、及び平板状補強部材34の貼り付け後に形成することも可能である。
【0018】
型枠11は、充填する無収縮材料12の重量を、各型枠平板17〜19の面で受ける構造であるが、L形補強部材31、32、及び平板状補強部材34による枠組み構造を付加することによって、型枠11の長手方向に連接される型枠平板17〜19の曲げ強度を強くして、型枠11の変形を防止することができる。また、接着した後にねじ止めしているので、接着剤の固化を待つことなく、次工程の作業を行うことができる。
なお、アンカーボルト27の頭部には、シーリング剤を充填した保護キャップ36を取付けておく(以上、接続部補強工程)。
【0019】
次に、図示しない注入機及び圧送パイプを用いて、無収縮材料12を梁10と型枠11の間に、型枠11の上部に設けられた1又は2以上の貫通孔37から注入する。この貫通孔37は、型枠11と梁10との間に形成される無収縮材料12の充填部に無収縮材料12を供給可能とするものである。
無収縮材料12は、亜硝酸塩を含有するグラウト(流し込み可能な軟らかいモルタル)又はモルタルで構成されている。なお、無収縮材料12は、梁10と型枠11との間に充填されるものであり、例えば、流動性、初期粘度等において、例えば道路公団の基準値を満足するものである。また、無収縮材料12には、細骨材として高炉スラグの一例である高炉炉外水砕スラグを含有させコンクリート状としたものがある。
なお、無収縮材料12は、梁10の表面状態に応じて、梁10の表面に対し、例えば、ペースト状にして薄塗りしたり、またモルタルにしてやや多く塗布したりすることも可能である。
一方、補修する梁10としては、例えば、打設直後のものから、経年劣化を起こしたもの等まで、全てに適用することが可能である。
【0020】
亜硝酸塩には、例えば、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム等を、単独もしくは混合して用いることができ、好ましくは亜硝酸リチウム及び/又は亜硝酸カルシウムを用いる。
なお、モルタルの場合、無収縮材料12中の亜硝酸塩量は、無収縮材料12中のセメント量に対して5〜15質量%としている。亜硝酸塩量が無収縮材料12中のセメント量に対して5質量%未満の場合、無収縮材料12中に占める亜硝酸塩量が少なくなり、鉄筋13に対する防錆効果が大幅に劣る。一方、亜硝酸塩量が無収縮材料12中のセメント量に対して15質量%を超える場合、無収縮材料12の凝固時間が大幅に長くなり、作業性が悪くなる。従って、鉄筋13に対する防錆効果を備えると共に、作業性を良好にするためには、無収縮材料12中の亜硝酸塩量を、無収縮材料12中のセメント量に対して7〜15質量%、更には7〜13質量%とすることが好ましい。
【0021】
また、グラウトの場合、表1に示すグラウトの膨張収縮試験結果を基に、無収縮材料12中の亜硝酸塩量は、無収縮材料12中のセメント量に対して1〜8質量%としている。なお、この試験は、グラウト材5000(g)に対して、亜硝酸リチウム水溶液(亜硝酸リチウム濃度25%)量を種々変化させ、亜硝酸リチウムを添加しない場合(配合番号1)、無収縮材料12中のセメント量に対して亜硝酸リチウムを3%、5%、8%添加した場合(配合番号2〜4)のそれぞれについて、日本道路公団規格「無収縮モルタル品質管理試験方法:JIS 312−1992」に記載の方法に準じて実施した。
【0022】
【表1】
Figure 2004052413
【0023】
表1から分かるように、配合番号1の膨張収縮率を100%とした場合、配合番号2は89%、配合番号4は58%となる。このことから、無収縮材料12中のセメント量に対して亜硝酸リチウムが8%を超える量添加した場合、グラウトを無収縮材料12として使用することが難しくなる。ここで、配合番号3については、147%という膨張率が得られているが、配合番号2及び4から推測すれば、膨張収縮率は89〜58%の範囲にあると考えられ、この数値は異常値であることが分かる。
つまり、亜硝酸塩量が無収縮材料12中のセメント量に対して1質量%未満の場合、無収縮材料12中に占める亜硝酸塩量が少なくなり、鉄筋13に対する防錆効果が大幅に劣る。一方、亜硝酸塩量が無収縮材料12中のセメント量に対して8質量%を超える場合、無収縮材料12としての最も重大な特徴である膨張効果を阻害することになる。従って、鉄筋13に対する防錆効果を備えると共に、グラウトの膨張性を確保するためには、無収縮材料12中の亜硝酸塩量を、無収縮材料12中のセメント量に対して1〜6質量%、更には1〜5質量%とすることが好ましい。
【0024】
そして、圧送パイプ取外し後のパイプ跡にエポキシ樹脂からなるシール剤を充填し、無収縮材料12を一定期間養生し、固化させた後、貫通孔37をシールする。
更に、型枠11の表面に、ウレタン樹脂等の塗料を2層に塗布することで、塗装仕上げを行う。
梁10、無収縮材料11、フレキシブルボード15は、それぞれセメント製品なので、互いに馴染みが良く、それぞれ強固に一体化して、梁10の補強を強力に行うことができる。また、フレキシブルボード15の外側には、繊維強化シート16が重合されているので、固化した無収縮材料12の崩壊及び脱落を防止することができる。
このように構成することによって、梁10の補強を確実に行うことができると共に、長期間にわたって、梁10の強度を維持することができる。
【0025】
従来の補修方法では、型枠を梁に一体化させるために、接着剤が固化するまで、例えば1日放置しておく必要があったが、本実施の形態においては、L形補強部材31、32及び平板状補強部材34をタッピンねじ33、35で固定したので、型枠11の取付け後に続けて無収縮材料12を充填することができ、作業時間を大幅に短縮することができる。この場合、無収縮材料12の養生と、L形補強部材31、32及び平板状補強部材34に塗布した接着剤の乾燥を同時に行うことができるので、型枠11の強度が不足することはない(以上、無収縮材料充填及び固化工程)。
【0026】
続いて、補修後の梁10における塩化物イオン及び亜硝酸イオンの拡散状態についてシミュレーションした結果について説明する。
まず、第1のシミュレーションを適用した梁10の断面図を図5に示す。ここでは、塩害を受けた梁10の表面、即ち鉄筋13が露出した梁10の残存コンクリート表面(凹凸状態となった表面)に、亜硝酸リチウムを有する無収縮材料(以降、防錆モルタルと言う)を1cm程度塗布し、更にその表面に亜硝酸塩を含有しないコンクリート又はモルタルを修復材として配置した状態となっている。なお、この修復材の表面には、修復後の梁10への外部からの塩化物イオンの浸透を防止する型枠11が配置されている。また、鉄筋13の配置位置は、残存コンクリート表面から1〜3cmの範囲にあり、また残存コンクリート表面から型枠11の内側までは9cmあるとする。
なお、このシミュレーションには、次に示すFickの拡散方程式を利用した。
【0027】
【数1】
Figure 2004052413
【0028】
ここで、xは残存コンクリート表面から外部方向への深さ(距離)、tは経過時間、Cは残存コンクリート表面からの深さxにおける塩化物イオン量、C は残存コンクリート表面の塩化物イオン量、D は塩化物イオンの見かけの拡散係数(cm /s)、erfは誤差関数をそれぞれ示す。
【0029】
また、シミュレーションを行うための前提条件は、防錆モルタル中の亜硫酸イオン濃度が45(kg/m )、防錆モルタルの厚みが0〜1.0cm、モルタル中の拡散係数が0.75(cm /year)、コンクリート中の拡散係数が1.5(cm /year)である。なお、防錆モルタル中の亜硫酸イオン濃度を45(kg/m )としたのは、防錆モルタル中の亜硫酸リチウム(亜硫酸塩の一例)量を、防錆モルタル中のセメント量の約10質量%程度に相当させるためである。
この前提条件と前記したFickの拡散方程式とを利用することで、塩化物イオン及び亜硝酸イオンの拡散状態を次のように図示できる。まず、図6(A)に示すように、塩化物イオンは、梁10表面から修復材へ、徐々に浸透していることが分かる。また、図6(B)に示すように、亜硝酸イオンについても、防錆モルタル表面から修復材へ、亜硝酸イオンが徐々に浸透していることが分かる。なお、図中のNは残存コンクリート表面からの深さxにおける亜硝酸イオン量、N は防錆モルタル表面の亜硝酸イオン量、N は亜硝酸イオンの見かけの拡散係数(cm /s)をそれぞれ示している。
【0030】
前記したことを基に、残存コンクリート表面に付着した塩化物イオン、及び残存コンクリート表面に塗布した防錆モルタル中の亜硫酸イオンが、鉄筋方向に拡散する状態についてシミュレーションした結果について説明する。
図7に示すように、梁10の補修後の年数が経過するにつれ、残存コンクリート表面から鉄筋方向に対して、より多くの塩化物イオンが拡散していることが分かる。なお、経過年0年において、残存コンクリート表面からの各深さ(1〜9cm)における塩素イオン濃度が、0(kg/m )でなく0.04(kg/m )程度となっているのは、修復材に使用した防錆モルタル中に塩素イオンが0.04(kg/m )程度含まれていることに起因する。
また、図8に示すように、コンクリート構造物の補修後の年数が経過するにつれ、防錆モルタルの表面から鉄筋方向に対して、より多くの亜硝酸イオンが拡散していることが分かる。
【0031】
前記した図7及び図8の結果を基に、亜硝酸イオンと塩化物イオンとのモル比をとり、鉄筋13に錆が発生する条件について検討した結果について説明する。これは、鉄筋13の表面に不動態皮膜を再構築し、錆の発生を防止するための条件が、亜硝酸イオン(NO  )と塩化物イオン(Cl )とのモル比(亜硝酸イオン/塩化物イオン)で0.6以上(理論上は1.0以上)であることを基に検討したものである。
残存コンクリート表面の塩化物イオン濃度が、1kg/m 及び3kg/m の場合、これら塩化物イオンが拡散し、鉄筋13を腐蝕させる心配がないので、防錆工法を施す必要性は少ない。しかし、残存コンクリート表面の塩化物イオン濃度が5kg/m の場合は、防錆工法を施さずに断面修復すると、修復後3年以内に鉄筋腐蝕が始まる。そこで、図9(A)に示すように、防錆モルタルを残存コンクリート表面部に5mm厚塗布すると、亜硝酸リチウムの効果が期待でき、亜硝酸イオンと塩化物イオンとのモル比が、修復後3年以内に実用上の鉄筋腐蝕開始下限値1.0を下回ることはない。ここで、鉄筋の周りに防錆ペーストを塗布することを考慮すれば、修復後5年までは鉄筋腐蝕が発生しないといえる。
【0032】
また、図9(B)に示すように、防錆モルタルを残存コンクリート表面部に、10mm厚塗布すると、亜硝酸リチウムの効果が大幅に向上することが期待できる。亜硝酸イオンと塩化物イオンとのモル比が1.0を下回るのは、修復後20年レベルである。ただし、この場合についても、モル比が下限値1.0を僅かに下回る範囲が若干あるのみで、鉄筋周囲に防錆ペーストを塗布する効果(鉄筋表面に不動態皮膜を形成)を併せれば、修復後20年レベルで考えても、鉄筋腐蝕等の問題は発生しないといえる。
なお、この結果は、防錆モルタルを残存コンクリートの表面部に施工するモデルについて調査して得られたものである。
【0033】
続いて、第2のシミュレーションを適用した梁10の断面図を図10に示す。
なお、第1のシミュレーションは、残存コンクリート中の塩素イオン濃度が低く、コテ等を用いて残存コンクリートの表面部に防錆モルタルを塗布することが可能な場合について説明している。しかし、残存コンクリート中の塩素イオン濃度が高い場合、錆の発生を防止するため防錆モルタルの厚みを厚くしなければならない。このとき、コテ等を使用した塗布が困難な場合がある。そこで、ここでは、亜硝酸リチウムを含有したモルタル、即ち除塩モルタル(無収縮材料の一例)の厚みを厚くし、その分、除塩モルタル中の亜硝酸リチウムの濃度を希釈して、コテを用いた塗布を行うことなく錆の発生を防止する方法についてシミュレーションを行っている。
即ち、塩害を受けた梁10の表面、即ち鉄筋13が露出した梁10の残存コンクリート表面(凹凸状態となった表面)から鉄筋13の部分までに、亜硝酸リチウム(亜硝酸塩の一例)を含有しないコンクリート又はモルタルを配置し、更にその表面に亜硝酸リチウムを有する修復材である除塩モルタルを配置する。これにより、残存コンクリートへの亜硝酸リチウム(亜硝酸イオン)の浸透を行っている。なお、この修復材の表面には、修復後の梁10への外部からの塩化物イオンの浸透を防止する型枠11が配置されている。また、鉄筋13部分から型枠11の内側まで(以下、コンクリートかぶりとも言う)はDcmあるとする。また、修復材として、亜硝酸リチウムを含有したモルタルである除塩モルタルを使用することなく、亜硝酸リチウムを含有したグラウトである除塩グラウトを使用することも可能である。
【0034】
このシミュレーションにおいては、鉄筋13の表面に不動態皮膜を再構築し、錆の発生を防止するための条件として、亜硝酸イオン(NO  )と塩化物イオン(Cl )とのモル比(亜硝酸イオン/塩化物イオン)を1.0としている。また、除塩モルタルから残存コンクリートへの亜硝酸リチウムの浸透効率は60%としている。そして、除塩モルタルには、除塩モルタルに使用するセメント量のZ%(3%、5%、10%)の亜硝酸リチウム固形分が添加されている。なお、残存コンクリート中の塩分濃度(Cl %)をS、コンクリートの比重を2.3、亜硝酸リチウムの分子量を53、塩素の濃度を35.5にして、以下の計算を行っている。
【0035】
まず、残存コンクリート1m 当りに必要な亜硝酸リチウム量を計算する。このとき、残存コンクリート中のCl イオン比率(Cl /2300×100(%))をSとした場合、必要となる亜硝酸リチウム量は、(1)式で示される。
2300×S×10−2(%を小数に換算)×53/35.5
=34.34×S(kg/m )       ・・・・・(1)
ここで、コンクリートかぶりがDcmの場合の亜硝酸リチウムの必要量は、(1)式を基にして(2)式で示される。
34.34×S×D×10−2(cmをmに換算)
=0.3434×S×D(kg/m )    ・・・・・(2)
なお、残存コンクリートへの亜硝酸リチウムの浸透効率60%を考慮すると、亜硝酸リチウムの必要量Yは、(2)式を基にして(3)式で示される。
Y=0.3434×S×D/0.6      ・・・・・(3)
ここで、亜硝酸リチウムに亜硝酸リチウム25%水溶液を使用する場合、亜硝酸リチウムの必要量は、以下の式で示される。
0.3434×S×D/(0.6×0.25) ・・・・・(4)
【0036】
また、除塩モルタル中の乾粉(パウダー)の単位容積重量は1800(kg/m )なので、1800に配合率である0.455を乗じて、除塩モルタル中の乾粉中に含まれるセメント量819(kg/m )が求められる。
従って、除塩モルタル中に含まれるセメント量のZ%の亜硝酸リチウムを、除塩モルタルに添加していると仮定すると、除塩モルタルに添加された亜硝酸リチウム量は、(5)式で示される。
819×Z×10−2(kg/m )      ・・・・・(5)
なお、必要となる亜硝酸リチウムは、(4)式に係数0.25を乗じたものであるため、(4)式と(5)式を用いて、(6)式の関係が成立つ。
819×Z×10−2×t
=0.3434×S×D/(0.6×0.25)×0.25 ・・・・(6)
これにより、Z、S、Dの各数値をそれぞれ決定することで、錆の発生の防止に必要な除塩モルタルの厚みt(mm)を求めることができる。
【0037】
ここで、実際に、Z=3(%)、S=0.01、D=3(cm)とした場合の必要となる除塩モルタルの厚みt(mm)を、(6)式を用いて求める。
819×3×10−2×t=0.3434×0.01×3/(0.6×0.25)×0.25
24.57×t=0.07×0.25
t=0.0175÷24.57=0.7(mm)
従って、除塩モルタルの厚みが0.7mm以上ある場合、錆の発生を防止することが可能である。
なお、(6)式に、Z、S、Dの各数値、Z=3、5、10(%)、S=0.01、0.03、0.05、0.08、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、D=3、5(cm)をそれぞれ代入し、除塩モルタルの厚みt(mm)を求めた結果を表2にそれぞれ示す。
【0038】
【表2】
Figure 2004052413
【0039】
ここで、コンクリートかぶりを3cmとした場合について説明する。
表2から明らかなように、残存コンクリート中の塩化物イオン濃度が9.20(kg/m )の場合、10%亜硝酸リチウムを含有した除塩モルタルでは、8.4mm以上の厚みを塗布しなければならず、コテによる塗布が困難である。しかし、除塩モルタルとして、除塩モルタル中の亜硝酸リチウムの濃度を低減した3%亜硝酸リチウムを含有した除塩モルタルを使用した場合、28.0mm以上の厚みがあれば錆の発生を防止できる。従って、この除塩モルタルを鉄筋13部分から型枠11の内側まで流し込み充填することで、錆の発生を防止できる。
【0040】
また、コンクリートかぶりを5cmとした場合について説明する。
表2から明らかなように、残存コンクリート中の塩化物イオン濃度が11.50(kg/m )の場合、10%亜硝酸リチウムを含有した除塩モルタルでは、17.4mm以上の厚みがあれば、錆の発生を十分に防止できる。しかし、塗布する厚みが5mm以上であるため、やはりコテによる塗布が困難である。また、この除塩モルタルを鉄筋13部分から型枠11の内側まで流し込み充填することも可能であるが、コンクリートかぶりが5cmの場合、10%亜硝酸リチウムを含有した除塩モルタルを使用することは、過剰に亜硝酸リチウムを使用することになり経済的でない。このとき、除塩モルタルとして、除塩モルタル中の亜硝酸リチウムの濃度を低減した5%亜硝酸リチウムを含有した除塩モルタルを使用することで、34.8mm以上の厚みがあれば錆の発生を防止できる。従って、この除塩モルタルを鉄筋13部分から型枠11の内側まで流し込み充填することで錆の発生を防止でき、しかも亜硝酸リチウムの使用量を低減でき経済的である。
【0041】
以上のように、残存コンクリートの表面部に除塩モルタルを塗布することなく、鉄筋13と型枠11とで構成される空間に除塩モルタルを流し込み充填することで、錆の発生を防止できるので、作業性が良好となる。
なお、除塩モルタル中に含まれる亜硝酸リチウム量Z%を、例えば0.1%毎に、また残存コンクリート中に含まれる塩化物イオン濃度を更に細かく設定し、除塩モルタルの厚みを計算することで、亜硝酸リチウムの使用量を更に経済的な量に設定できる。
【0042】
続いて、塩害を受けて劣化したRCはり(残存コンクリート)を、繊維強化シートの一例であるFRP板とスレートからなるGMP板(グラスファイバーモールドプロテクト板)を埋設型枠として用いて補修した場合、補修後のRCはりとGMP板からなる合成はり(以下、GMP板合成はりとも言う)の力学的性能がどの程度改善されるか、曲げ載荷試験を行って調べた結果について説明する。
曲げ載荷試験用のCaseA〜CaseEの各供試体の種類を表3に示すと共に、その断面形状及び寸法を図11〜図15にそれぞれ示す。ここで、図14及び図15がそれぞれ本発明の適用例であり、図11〜図13は比較例である。なお、図中の単位はmmである。
【0043】
【表3】
Figure 2004052413
【0044】
ここで、CaseAは健全なはり(劣化無し)、CaseBは下部が劣化して断面欠損したはり、CaseCは引張側欠損部(CaseB)をグラウトのみで補修したはり、CaseD及びCaseEはCaseCにGMP板を取付けたGMP板合成はりである。なお、CaseDのFRP板の厚みは1mm(GMP板厚さ7mm)、CaseEのFRP板の厚みは2mm(GMP板厚さ8mm)となっている。また、補修の際、コンクリートに対するグラウトの付着を良好にするため、各供試体ともコンクリート表面をチッピングしている。
【0045】
次に、試験方法について説明する。
測定及び観察項目は、(1)供試体の中央断面(側面)、GMP板合成はり底面のコンクリート、及びGMP板の各歪み分布、(2)GMP板合成はりのたわみ、(3)ひび割れ状況、(4)破壊荷重及び破壊形式等である。
曲げ載荷試験に使用した装置(以下、曲げ装置とも言う)は、図16(B)に示すように、スパン間隔1.9m、中央部等曲げモーメント区間0.3mの2点載荷となったものである。ここで、載荷荷重は、0.46tf刻み(ロードセルの読みで10μ刻み)で、破壊まで単調増加させた。なお、歪みは、図16(A)〜(C)にそれぞれ示すように、コンクリート又はGMP板の表面(上面に9箇所、側面に21箇所、底面に9箇所)に貼り付けた歪みケージで、また、たわみはスパン中央部(3箇所)と両端部(各1箇所)にそれぞれセットした変位計によって、それぞれ測定した。このたわみ値は、供試体の長さ方向において、(中央点のたわみ)−(両端部のたわみの平均値)から求めている。
なお、図16(A)〜(C)は、CaseAの供試体を使用して歪みゲージ及び変位計の配置位置を説明しているが、歪みゲージ及び変位計の配置位置は、他の供試体(CaseB〜CaseE)についても同様であり、CaseD及びCaseEについては、更に供試体の底面に供試体の長手方向に歪みゲージを貼り付けている。
続いて、各供試体の破壊荷重とひび割れ状況について表4に示す。
【0046】
【表4】
Figure 2004052413
【0047】
健全なはりのモデルCaseAの破壊荷重が4.09tfであるのに対し、欠損したはりのモデルCaseBの破壊荷重は3.96tfと、若干低下している。また、引張部をグラウトのみで補修したCaseCの破壊荷重は、補修したにも関らずCaseBよりも更に低下している。これは、引張部をグラウトで補修しても鉄筋量を変えていないため、かぶりは確保できても曲げ耐力が増加しないことに起因する。それに対し、CaseD及びCaseEでは、鉄筋降伏後、引張側に配置したGMP板が引張応力を負担するため曲げ耐力は増加し、GMP板が厚いほど増加耐力も増している。また、GMP板を用いていない供試体は、普通のRCはりであるから、低荷重時から引張部にひび割れが生じ、その幅が拡大していくのに対し、GMP板合成はりは、破壊時までGMP板にひび割れは発生しなかった。なお、コンクリートとグラウトとの接合面は、チッピングの効果で破壊時まで剥離しなかった。
以上のことから、塩害を受けて劣化したRCはりをGMP板で補修すれば、耐久性が回復するだけでなく、耐力も増加することが明らかとなった。従って、GMP板は補修材としてだけでなく、補強材としての適用も可能である。
【0048】
また、図17〜図21には、各供試体(CaseA〜CaseE)の中央断面(各供試体の長さ方向中央における高さ方向の各位置)の各歪み分布を、また図22、図23には、GMP板合成はりの底面の歪み分布をそれぞれ示している。
CaseA〜CaseCのGMP板を用いない供試体はRCはりであるから、各供試体を曲げ装置に載荷した当初から引張側のコンクリートにひび割れが発生し、歪み分布では引張側の曲線が乱れ、圧縮部のみしか正確な値を示していない(図17〜図19参照)。これに対して、CaseD、CaseEのGMP板合成はりの供試体の各歪み分布は、供試体の破壊直前までGMP板にひび割れが発生しないため、3000〜5000μまで引張歪みが正確に測定されている。一方、GMP板の底面の歪み分布には、多くの凹凸がある(図22、図23参照)。この応力集中の原因は、ひび割れによるものであることから、GMP板内部のグラウト、コンクリートには数本のひび割れが生じているものと考えられる。
上記したことから、GMP板合成はりは、荷重を受けるとGMP板に囲まれた引張部のグラウト、コンクリートにひび割れは生じるが、GMP板は破壊時まで引張補強材の役割を果たし、合成部材として挙動することが明らかとなった。
【0049】
そして、図24〜図28には、CaseA〜CaseEの荷重とたわみの関係を示している。
図から明らかなように、GMP板の有無で、荷重−たわみ曲線の特徴が明確に分かれている。即ち、GMP板が無いCaseA〜CaseCの場合は、鉄筋が降伏すると、それ以降荷重が横這いになるのに対し、GMP板合成はりは、鉄筋降伏後も荷重が増加している。その原因は、GMP板が鉄筋に代わって増加する引張力を負担するからであり、そのことは、コンクリートとグラウトとの間、及びグラウトとGMP板との間でせん断伝達が行われていることを示している。
なお、図24〜図28中の○印は、圧縮部のコンクリート歪み分布、又はGMP板歪み分布から鉄筋位置の歪みを推定し、その歪みが鉄筋の降伏歪みに達するときの荷重を求めて、荷重−たわみ曲線上にプロットしたものである。また、□印は、ひび割れ発生荷重である。そして、△印は、荷重−たわみ曲線の勾配が変化することから求めた降伏荷重である。ここで、GMP板が用いられていない場合、○印と△印の両方の印がほとんど一致している(図24〜図26参照)のに対し、GMP板合成はりでは両方の印の間に差がある(図27、図28参照)。このことは、供試体中の鉄筋が降伏したとき、同位置のGMP板がまだ降伏歪みに達していないことを示しており、GMP板合成はりでは、平面保持の仮定は成立しないことを意味している。
【0050】
上記したGMP板合成はりの曲げ載置試験結果から、以下のことが明らかとなった。
GMP板合成はりでは、荷重を受けるとGMP板に囲まれた引張部のグラウト、及びコンクリートにひび割れが生じるが、GMP板にはひび割れは生じず、破壊時までGMP板は引張補強材の役目を果たす。その結果、塩害を受けて劣化したRCはりをGMP板で補修すれば、耐久性が回復するだけでなく、耐力も著しく増加する。
従って、GMP板は、補修材としてだけでなく、補強材として適用することも可能である。
【0051】
次に、図29を参照して、本発明の一実施の形態に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法をコンクリート構造物の一例である柱40に適用した場合について説明するが、型枠の配置方法以外、例えば、型枠として使用する素材、無収縮材料等は、前記した梁10の補修方法で使用したものと同様であるため、同一の番号を付し詳しい説明を省略する。
鉄筋コンクリート製の柱40は、塩害を受け易い場所に設置された例えば海岸や、海岸付近の建造物等の一部を構成するもので、塩害によって柱40の周辺部が崩壊し、鉄筋41が表面に露出した状態になっている。
【0052】
この柱40の側面に、前記した方法と同様にグリップアンカー28を打ち込み、アンカーボルト27、及びナット29、30を使用して、柱40に前記したコーナー部材(図示しない)が取付けられた型枠平板17を順次取付け、柱40の周囲を型枠42によって取り囲む。なお、同一高さに位置する隣合う型枠平板17には前記したL形補強部材(図示しない)を、また上下方向に隣合う型枠平板17には前記した平板状補強部材(図示しない)をそれぞれ用いて接続する。これによって、隣合う型枠平板17の接続部分がL形補強部材及び平板状補強部材によって覆われる。
この柱40と型枠42との間に無収縮材料12を充填し固化させ、柱40の修復を行う。
【0053】
図30を参照して、本発明の一実施の形態に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法をコンクリート構造物の一例であるスラブ45に適用した場合について説明するが、型枠の配置方法以外、例えば、型枠として使用する素材、無収縮材料等は、前記した梁10の補修方法で使用したものと同様であるため、同一の番号を付し詳しい説明を省略する。
鉄筋コンクリート製のスラブ45は、塩害を受け易い場所に設置された例えば海岸や、海岸付近の建造物等の一部を構成するもので、塩害によってスラブ45の下部が崩壊し、鉄筋46が表面に露出した状態になっている。なお、このスラブ45は、梁10で囲まれた平板で、一般には鉄筋コンクリートのT型や、T型床板(床版)とも呼ばれるものである。
【0054】
このスラブ45の下部に、前記した方法と同様にグリップアンカー28を打ち込み、アンカーボルト27、及びナット29、30を使用して、スラブ45に型枠平板17を順次取付け、スラブ45の崩壊部分を型枠47によって取り囲む。なお、隣合う型枠平板17の接続部分は、前記した平板状補強部材を用いて覆われるので、外観性が良好になると共に型枠47の強度を強くし、型枠47の変形を防止できる。
そして、スラブ45の上方から貫通孔48を形成し、この貫通孔48を介してスラブ45と型枠47との間に無収縮材料12を充填し固化させ、スラブ45の修復を行う。
【0055】
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、前記実施の形態においては、梁の外表面に直接型枠を取付けた場合について説明したが、梁の外表面に隙間を有して型枠を取付けて補修を行うことも可能である。
【0056】
【発明の効果】
請求項1〜7記載の塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法においては、コンクリート構造物の補修部分の周囲は型枠によって覆われるので、外部から例えば雨水や結露水等のコンクリート構造物への浸透を防止できる。これにより、コンクリート構造物から外部への亜硝酸塩の溶出を防止できるので、残存するコンクリート構造物中に亜硝酸塩を浸透させ、鉄筋への錆の発生を防止し、コンクリートの劣化を抑制することが可能となる。また、コンクリート構造物中からの亜硝酸塩の溶出を防止できるので、無収縮材料中の亜硝酸塩濃度を必要以上に多くする必要性がなく、経済的である。そして、型枠によって外部からコンクリート構造物への塩素分の侵入を防止できるので、コンクリート構造物中の現状の塩素濃度は維持され、過剰に亜硝酸塩を使用することなく、鉄筋の錆の発生を防止しコンクリートの劣化を抑制できる。更に、型枠を使用することで、無収縮材料の固化状態を考慮することなく容易に仕上げ塗装できるので、修復後のコンクリート構造物の表面の美観を良好にできる。
【0057】
特に、請求項2記載の塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法においては、無収縮材料との馴染みが良く、しかも剛性を高めると同時に、耐ひび割れ防止の機能を満足した型枠を使用するので、例えば、コンクリート構造物を長期間使用した場合、またコンクリート構造物に対して衝撃が加わった場合等でも、コンクリート構造物に使用した型枠の破損の可能性を低減でき、しかも固化した無収縮材料からの型枠の剥離を防止できる。従って、コンクリート構造物を、長期間使用することができるので、経済的であると共にコンクリート構造物の表面の美観を維持できる。
また、型枠を短時間で容易に製造できるので、作業性が良好である。
【0058】
請求項3、4記載の塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法においては、繊維強化シートのひび割れを防止でき、しかも繊維強化シートが破壊するときまでは、引張補強材の役目を果たすことができる。従って、補修に使用した型枠平板は、塩害を受けて劣化したコンクリート構造物の耐久性を回復させるだけでなく、耐力も著しく増加させることができるので、型枠平板を補修材としてだけでなく、補強材として適用することも可能である。
請求項5記載の塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法においては、塩害を受け易い場所、例えば海岸に設置された建造物に使用される梁、柱、スラブの補修を行うことができるので、建造物の美観を維持し、海岸の景観性を良好にできる。
請求項6記載の塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法においては、型枠が無収縮材料の流入圧力によって破壊されることなく、型枠とコンクリート構造物との間に無収縮材料を充填できる。従って、作業中に型枠から無収縮材料が漏れ出す恐れがなくなり、作業性が良好となる。
請求項7記載の塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法においては、コンクリート構造物の強度を高めると共に、高炉スラグの有効利用を図ることができる。従って、高炉スラグを利用して補修したコンクリート構造物は、施工時の塩分混入が少なく長期間の使用に対応できるので、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法を適用した梁の説明図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ同コンクリート構造物の補修方法を適用した梁の側面図、底面図である。
【図3】同コンクリート構造物の補修方法の型枠製作及び取付け工程の説明図である。
【図4】同コンクリート構造物の補修方法の型枠製作及び取付け工程の説明図である。
【図5】第1のシミュレーションに適用した梁の断面図である。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ塩化物イオンの拡散状態を示す説明図、亜硝酸イオンの拡散状態を示す説明図である。
【図7】第1のシミュレーションによる経過年数別塩化物イオンの拡散状態を示す説明図である。
【図8】第1のシミュレーションによる経過年数別亜硝酸イオンの拡散状態を示す説明図である。
【図9】(A)、(B)はそれぞれ第1のシミュレーション結果による鉄筋腐蝕状況を検討するための説明図である。
【図10】第2のシミュレーションに適用した梁の断面図である。
【図11】曲げ載荷試験を行うために使用したCaseAの供試体の説明図である。
【図12】同CaseBの供試体の説明図である。
【図13】同CaseCの供試体の説明図である。
【図14】同CaseDの供試体の説明図である。
【図15】同CaseEの供試体の説明図である。
【図16】(A)、(B)、(C)はそれぞれ曲げ載荷試験を行う供試体の平面図、側面図、底面図である。
【図17】CaseAの供試体の長さ方向中央部分における高さ方向の歪み分布の説明図である。
【図18】CaseBの供試体の長さ方向中央部分における高さ方向の歪み分布の説明図である。
【図19】CaseCの供試体の長さ方向中央部分における高さ方向の歪み分布の説明図である。
【図20】CaseDの供試体の長さ方向中央部分における高さ方向の歪み分布の説明図である。
【図21】CaseEの供試体の長さ方向中央部分における高さ方向の歪み分布の説明図である。
【図22】CaseDの供試体の底面の歪み分布の説明図である。
【図23】CaseEの供試体の底面の歪み分布の説明図である。
【図24】CaseAの供試体の荷重とたわみとの関係を示す説明図である。
【図25】CaseBの供試体の荷重とたわみとの関係を示す説明図である。
【図26】CaseCの供試体の荷重とたわみとの関係を示す説明図である。
【図27】CaseDの供試体の荷重とたわみとの関係を示す説明図である。
【図28】CaseEの供試体の荷重とたわみとの関係を示す説明図である。
【図29】本発明の一実施の形態に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法を適用した柱の説明図である。
【図30】本発明の一実施の形態に係る塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法を適用したスラブの説明図である。
【符号の説明】
10:梁(コンクリート構造物)、11:型枠、12:無収縮材料、13:鉄筋、14:天井部、15:フレキシブルボード(非鉄金属製軽量板)、16:繊維強化シート、17〜19:型枠平板、20〜22:アンカー取付け孔、23:コーナー部材、24:タッピンねじ、25:固定用孔、26:固定用孔、27:アンカーボルト、28:グリップアンカー、29、30:ナット、31、32:L形補強部材、33:タッピンねじ、34:平板状補強部材、35:タッピンねじ、36:保護キャップ、37:貫通孔、40: 柱、41:鉄筋、42:型枠、45: スラブ、46:鉄筋、47:型枠、48:貫通孔

Claims (7)

  1. 塩害によって一部が崩壊し、又は崩壊の可能性を有する鉄筋コンクリート製のコンクリート構造物の外表面に、直接又は隙間を有して型枠を取付け、該型枠と前記コンクリート構造物との間に、亜硝酸塩を含有するグラウト又はモルタルからなる無収縮材料を充填して、充填した該無収縮材料及び前記型枠によって前記コンクリート構造物を補強することを特徴とする塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法。
  2. 請求項1記載の塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法において、前記型枠に、前記無収縮材料と馴染みが良い非鉄金属製軽量板の外表面に繊維強化シートが積層された複数の型枠平板を、実質的に直交する平面を有しねじ止め可能なコーナー部材で連結したものを使用していることを特徴とする塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法。
  3. 請求項2記載の塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法において、前記繊維強化シートの厚みは0.5〜3mmであることを特徴とする塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法。
  4. 請求項2及び3のいずれか1項に記載の塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法において、前記型枠平板の厚みは5〜10mmであることを特徴とする塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法において、前記コンクリート構造物が、梁、柱、又はスラブのいずれか1つであることを特徴とする塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法において、前記型枠が、前記無収縮材料の流入圧力に耐え得る剛性を備えていることを特徴とする塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法において、前記無収縮材料に、細骨材として高炉スラグを含有させることを特徴とする塩害を受けたコンクリート構造物の補修方法。
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