JP2004051255A - 給紙装置 - Google Patents

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JP2004051255A
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Hiroyuki Nakamura
中村 宏之
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Abstract

【課題】高精度な用紙残量検知を実現する場合であっても、ジョイント機構にかじりや破損の発生、あるいは強度不足等が生じることなく、その信頼性を高く維持することのできる給紙装置を提供する。
【解決手段】給紙トレイの用紙積載台を上下動させる従動軸1と、その駆動軸2と、これらの間で駆動力伝達を断続させるジョイント機構10とを備えた給紙装置において、そのジョイント機構10を、前記従動軸1の係合ピン11と係脱可能なカップリング部材12と、そのカップリング部材12と嵌合し得るとともに、前記駆動軸2と係合した状態でその軸方向に移動可能な中間部材13とを備えて構成し、前記駆動軸2からの回転駆動力を前記中間部材13を介して前記カップリング部材12および従動軸1へ伝達させる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機等の画像形成装置に組み込まれる給紙装置に係り、特に、給紙台に積載された用紙の残量検知機能を備えた給紙装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機やプリンタ等といった画像形成装置には記録用紙を1枚ずつ繰り出す給紙装置が組み込まれており、その給紙装置は記録用紙の補充を可能にすべく抜き挿し可能な給紙トレイを有している。ただし、給紙トレイから用紙を1枚ずつ繰り出すためには、その給紙トレイ内に積載された用紙の最上位置を規定の高さに維持することが必要となる。このことから、給紙装置としては、例えば特開平6−173966号公報に開示されているように、給紙トレイ内の用紙の最上位置を規定高さに維持すべく、その給紙トレイ内の用紙積載台を下方から押し上げる昇降機構を具備したものが広く知られている。
【0003】
図7は、上記公報に記載された給紙トレイの内部の構成例を示す側面概略図である。図例のように、給紙トレイ60の内部には、用紙積載台61が取り付けられている。用紙積載台61の基端部は、枢軸62にて回転自在に支持されている。これに対して、用紙積載台61の先端側(自由端側)は、レバー部材63によって載置状態に支持されている。そして、レバー部材63の基端部は、従動軸58に固定されている。このような構成により、給紙トレイ60の内部では、従動軸58の回転動作に連動したレバー部材63の揺動動作によって、用紙積載台61が上下動するようになっている。
【0004】
ただし、給紙トレイ60は、記録用紙の補充のための抜き挿しを行う必要がある。このことから、用紙積載台61を上下動させるべく給紙トレイ60側に組み込まれた従動軸58と、その従動軸58を回転動作させるための駆動源となるモータの出力軸との間には、ジョイント機構が設けられている。そして、ジョイント機構の係合・離脱状態により、画像形成装置内に給紙トレイ60を挿入した際には両者間(出力軸−従動軸)での駆動力伝達を可能とし、用紙の補給等に際して給紙部から給紙トレイ60を引き抜いた際には両者間(出力軸−従動軸)での駆動力伝達を切断(解除)するようにしている。
【0005】
図8は、上記公報に記載されたジョイント機構の構成を示す側面図である。図例のジョイント機構50では、モータ51の出力軸52に円筒状のカップリング部材53が取り付けられている。このカップリング部材53は、出力軸52の軸方向に移動自在に支持され、かつ、コイルバネ54によって図中右方向に付勢されている。また、出力軸52の先端部にはピン部材55が設けられており、このピン部材55がコイルバネ54の付勢力をもってカップリング部材53の溝56に嵌め込まれている。さらに、カップリング部材53の一端面には係合溝57が形成されている。この係合溝57は、例えばカップリング部材53端面の円周方向において60°おきに計6か所にわたって形成されている。一方、用紙積載台61を上下動させるための従動軸58には、カップリング部材53の係合溝57と係脱可能な係合ピン59が設けられている。
【0006】
このような構成のジョイント機構50においては、画像形成装置内に給紙トレイ60が挿入されると、その給紙トレイ60とともに従動軸58が図中矢印方向に移動する。その際、従動軸58に設けられた係合ピン59がカップリング部材53の係合溝57に係合し、この状態でモータ51の出力軸52から従動軸58への駆動力伝達が可能となる。一方、給紙トレイ60が引き抜かれた際には、その給紙トレイ60とともに従動軸58が先程と反対方向に移動する。これにより、カップリング部材53の係合溝57から係合ピン59が離脱するため、モータ51の出力軸52から従動軸58への駆動力伝達が切断される。
【0007】
ところで、以上のような構成の給紙装置において、用紙残量の検知は、例えば、昇降機構の駆動源であるモータ51の駆動時間を基にして行うことが考えられる。すなわち、用紙積載台61の位置をセンサ等で検知するのではなく、モータ51の駆動時間を基に検知するのである。ところが、給紙トレイ60の挿入の際には、カップリング部材53の係合溝57に従動軸58の係合ピン59が必ずしも係合せず、場合によってはモータ51の出力軸52とともにカップリング部材53が60°近くまで回転した時点ではじめて係合することもあり得る。そうすると、モータ51の駆動を開始した時点から、カップリング部材53の係合溝57に係合ピン59が係合するまでの時間(用紙積載台61が上昇を開始するまでの時間)にバラツキがでるため、モータ51の駆動時間から用紙残量を正確に検知することができない。
【0008】
そこで、用紙残量の検知精度を高めるために、例えば特開平11−43229号公報には、駆動軸とカップリング部材のそれぞれに互いにスプライン嵌合する複数の突条部を設けることが提案されている。図9は、当該公報に記載された給紙装置におけるジョイント機構の構成を示す側面図である。図例のジョイント機構では、給紙トレイの挿入により、従動軸71に設けられた係合ピン72が駆動軸73側に向けて接近移動すると、その係合ピン72がカップリング部材74の係合溝75と係合する。このとき、カップリング部材74は、コイルバネ76の付勢力によって駆動軸73上にて回転自在となる位置(回転係止解除位置)に保持され、しかも従動軸71側にガイド片77が設けられている。したがって、係合溝75と係合ピン72との位置からずれた状態にあっても、回転係止解除位置にてカップリング部材74が所定角度だけ回転し、これによって係合溝75に係合ピン72が係合されることになる。そして、さらに従動軸71が駆動軸73側に向けて接近移動すると、カップリング部材74は、コイルバネ76の付勢力に抗した従動軸71の押圧力により押し込まれ、カップリング部材74が駆動軸73の軸方向に沿って移動し、駆動軸73とスプライン嵌合する。したがって、この状態(カップリング部材74が回転係止位置にある状態)でモータを駆動すれば、そのモータの駆動開始と同時に駆動軸73から従動軸71へと駆動力が伝達されることになる。
【0009】
このように、図9に示したジョイント機構では、回転係止解除位置ではカップリング部材74が回転自在であるとともに、回転係止位置ではカップリング部材74と駆動軸73とがスプライン嵌合するようになっているので、係合溝75に係合ピン72が係合されるまでのカップリング部材74の回転角度(誤差要因)を小さくすることができる。そのために、モータの駆動時間を基にする場合であっても、用紙残量を正確に検知できるようになるのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の給紙装置におけるジョイント機構では、カップリング部材74と駆動軸73とのスプライン嵌合を用いることによって、用紙残量の検知精度を向上させているが、そのために以下に述べるような難点が生じてしまうことも考えられる。
【0011】
例えば、上述したジョイント機構では、カップリング部材74が回転係止位置にて駆動軸73とスプライン嵌合し回転係止解除位置にて回転自在となるが、その回転係止解除位置から回転係止位置へ移動する際に、カップリング部材74と駆動軸73との位置関係や、それぞれにおける突条部の形成精度とうによっては、互いの突条部の山同士が干渉してしまう、いわゆる「かじり」が発生してしまい、スムーズなスプライン嵌合が行えなくなってしまう。このような突条部同士の干渉は、その先端部を先細状にして嵌合開始時の案内を設けたりカップリング部材74の回転停止角度を規制したり等することで、その発生を抑制することも考えられるが、これらの方策によっても必ずしも突条部同士の干渉を防げるとは限らず、その干渉による衝撃力によって突条部先端がダメージを受け、結果としてスプライン嵌合の信頼性の低下を招いてしまうおそれがある。
【0012】
また、用紙上昇のための伝達トルクが大きいにもかかわらず、スペース上の制約から駆動軸73の軸径を細くせざるを得ない場合には、カップリング部材74および駆動軸73のそれぞれにおける突条部が強度不足となってしまい、結果としてスプライン嵌合の信頼性の低下を招いてしまうおそれがある。このことは、突条部の数を増やしてそのピッチを細かくした場合にも、同様のことが言える。すなわち、スプライン嵌合のための突条部の数を増やせば増やすほど、検知精度の向上も期待できるが、そのために個々の突条部の強度は低下してしまうため、このことによってもスプライン嵌合の信頼性が低下してしまうことになる。
【0013】
そこで、本発明は、高精度な用紙残量検知を実現する場合であっても、ジョイント機構にかじりや破損の発生、あるいは強度不足等が生じることなく、その信頼性を高く維持することのできる給紙装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために案出された給紙装置で、従動軸の回転動作に連動して上下動可能に設けられた用紙積載台を有する給紙トレイと、前記従動軸を回転動作させるための駆動軸を回転駆動する駆動モータと、所定の給紙部に対する前記給紙トレイの抜き挿し動作に応じて前記駆動軸から前記従動軸への駆動力伝達を断続させるジョイント機構とを備えた給紙装置である。そして、前記ジョイント機構は、前記従動軸に設けられた係合ピンと、前記係合ピンと対向する側の端面部分にその係合ピンと係脱可能な係合溝を有し、当該係合溝と反対側の端面部分には被回転伝達部を有し、前記駆動軸と同軸上で回転可能に支持されるカップリング部材と、前記カップリング部材と対向する側の端面部分に前記被回転伝達部と嵌合可能な回転伝達部を有し、前記駆動軸の軸方向に移動可能で、かつ、当該駆動軸に形成された突条部と係合した状態で、当該駆動軸と共に回転するように支持される中間部材と、前記カップリング部材を前記係合ピン側に付勢し、前記中間部材を前記カップリング部材側に付勢する弾性部材とを備え、前記駆動軸から前記中間部材を介して前記カップリング部材へ回転駆動力を伝達するように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
上記構成の給紙装置では、従動軸と駆動軸との間にカップリング部材に加えて中間部材をも備えており、駆動軸からの回転駆動力を中間部材を介してカップリング部材へ伝達し、さらにカップリング部材から従動軸へ伝達するようになっている。このとき、中間部材は、駆動軸の軸方向に移動可能で、かつ、駆動軸と常に係合した状態で、その駆動軸と共に回転するように支持される。したがって、従動軸に設けられた係合ピンとカップリング部材の係合溝とを係合させる際に、例えばそれぞれの位置がずれていても、中間部材は駆動軸と常に係合しているので、これらの間で干渉等が生じてしまうことはない。また、カップリング部材と中間部材との間についても、中間部材の軸方向への移動によって力を逃がすことができる。これらのことから、カップリング部材、中間部材および駆動軸の間では、かじりや破損等が発生してしまうことがない。さらに、駆動モータによる駆動量についての検知精度は、カップリング部材の被回転伝達部と中間部材の回転伝達部との間における嵌合状態と非嵌合状態との切り替えピッチに依存することになるので、例えば検知精度を確保する場合や駆動軸の軸径を細くせざるを得ない場合等であっても、その駆動軸に形成された突条部の強度不足が問題になってしまうことはない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係る給紙装置について説明する。ただし、ここでは、既に説明した従来における給紙装置(図7〜9参照)との相違点についてのみ説明するものとする。ここで説明する給紙装置は、駆動軸から従動軸への駆動力伝達を断続させるためのジョイント機構が、従来のものとは異なる。
【0017】
図1は本発明に係る給紙装置におけるジョイント機構の一構成例を説明する側面図であり、図2はそのジョイント機構が装着される駆動軸の一例を示す説明図であり、図3および図4はそのジョイント機構の構成要素の一例を示す説明図である。
【0018】
ここで、ジョイント機構の説明に先立ち、そのジョイント機構によって接続される従動軸および駆動軸について簡単に説明する。図1に示す従動軸1は、図示しない給紙トレイに組み込まれるもので、その給紙トレイに設けられた用紙積載台を上下動させるためのものである。なお、従動軸1の一端側は、給紙トレイの外側に突出して配置されている。また、従動軸1は、給紙トレイの抜き挿し動作に応じて、図中左右方向に移動するようになっている。
【0019】
駆動軸2は、ギヤ部材3と一体に設けられているもので、図示しない駆動モータによって回転駆動されるものである。なお、ここでは、駆動モータによってギヤ部材3を回転駆動し、このギヤ部材3と一体の駆動軸2を回転駆動する構成を例に挙げているが、これ以外にも例えば駆動モータに駆動軸2を直結させて回転駆動する構成であってもよいことは勿論である。また、駆動軸2の外周部には、図2に示すように、その軸方向に沿って、複数の第一突条部2aが設けられている。第一突条部2aは、例えば駆動軸2の円周上90°おきに合計4か所に設けることが考えられる。すなわち、スプライン嵌合の場合のように多数を設ける必要はない。
【0020】
続いて、このような従動軸1および駆動軸2の間で用いられるジョイント機構10、すなわち本実施形態で説明する給紙装置の特徴点について説明する。図1に示すように、ここで説明するジョイント機構10は、係合ピン11と、カップリング部材12と、中間部材13と、コイルバネ14,15とを備えて構成されている。
【0021】
係合ピン11は、従動軸1の突端部に設けられた断面円形のピン状のもので、従動軸1の端部を貫通する状態で、その従動軸1の軸方向に対し垂直に配置されている。
【0022】
カップリング部材12は、図3に示すように、略円筒状をなすもので、係合ピン11に対向する側の端面部分には所定の角度ピッチ、図例では60°おきに合計6か所にわたって係合溝12aを有している。この係合溝12aの溝幅Wは、係合ピン11の直径よりも大きく設定され、これによってカップリング部材12の係合溝12aと従動軸1側の係合ピン11とが係脱可能となっている。さらに、カップリング部材12の従動軸1側の端面部分には、各々の係合溝12aの相互間に位置するように複数(図例では合計3つ)のガイド片12bが設けられている。これらのガイド片12bは、カップリング部材12の端面からそれぞれ略山形状に突出する状態で設けられている。
【0023】
また、これらとは反対側の端面部分には、正面視円形の細溝12cが設けられている。そして、図1に示すようにジョイント機構10を構成した状態では、その細溝12cに嵌入されたコイルバネ14が、カップリング部材12を従動軸1側に向けて付勢している。ちなみに、駆動軸2の端部には、コイルバネ14の付勢力によってカップリング部材12が駆動軸2から抜けてしまわないように抜け止め部材(ただし不図示)が設けられている。その上、細溝12cよりも内周側の軸芯部分には、貫通孔12dが設けられており、後述する中間部材13の凸部13bに枢着するようになっている。これらによって、カップリング部材12は、駆動軸2と同軸上で回転可能に支持される。
【0024】
さらに、カップリング部材12は、その駆動軸2側の端面部分に、被回転伝達部としての第一ラチェット部12eを有している。この第一ラチェット部12eは、細溝12cよりの小さな径で正面視円形に形成され、駆動軸2側に向けて凹凸を有する略鋸歯状のラチェットギア形状に形成されたものである。
【0025】
中間部材13は、図4に示すように、カップリング部材12と同様に略円筒状をなすものである。そして、そのカップリング部材12と対向する側の端面部分には、回転伝達部としての第二ラチェット部13aを有している。第二ラチェット部13aは、カップリング部材12における第一ラチェット部12eと嵌合可能に形成されたものである。すなわち、正面視円形に形成され、カップリング部材12側に向けて凹凸を有する略鋸歯状のラチェットギア形状に形成されたものである。そして、その略鋸歯状の向きに依存して、第一ラチェット部12eと嵌合した状態において、一方向にのみ回転駆動力を伝達するようになっている。
【0026】
また、第二ラチェット部13aの内周側には、カップリング部材12側に向けて突出する断面円形状の凸部13bが設けられており、その凸部13bにカップリング部材12が軸方向に移動可能な状態で枢着するようになっている。一方、その凸部13bと反対側の端面部分には、正面視円形の細溝13cが設けられている。そして、図1に示すようにジョイント機構10を構成した状態では、その細溝13cに嵌入されたコイルバネ15が、中間部材13をカップリング部材12側に向けて付勢するようになっている。
【0027】
さらに、中間部材13は、細溝13cよりも内周側の軸芯部分に貫通孔13dが設けられている。そして、その貫通孔13dの内周部分には、その軸方向に沿って複数(例えば4つ)の第二突条部13eが形成されている。これらの第二突条部13eは、駆動軸2に設けられた複数の第一突条部2aに係合されるものである。これらによって、中間部材13は、駆動軸2の軸方向に移動可能で、かつ、その駆動軸2に形成された第一突条部2aと係合した状態で、その駆動軸2と共に回転するように支持される。
【0028】
コイルバネ14,15は、いずれもカップリング部材12または中間部材13を付勢する弾性部材として機能するものである。すなわち、コイルバネ14は、カップリング部材12を係合ピン11側に付勢し、コイルバネ15は、中間部材13をカップリング部材12側に付勢するものである。
【0029】
続いて、以上のような構成からなるジョイント機構10を備えた給紙装置の動作について説明する。
【0030】
例えば、給紙トレイの挿入の際には、従動軸1に設けられた係合ピン11が駆動軸2側のカップリング部材12に向けて接近移動する。このとき、カップリング部材12の係合溝12aが係合ピン11との係合位置に配置されている(係合溝12aの向きと係合ピン11の向きが一致している)と、係合ピン11はそのまま係合溝12aに係合されることになる。
【0031】
これに対して、カップリング部材12の係合溝12aが係合ピン11との係合位置からずれた状態で配置されている場合には、カップリング部材12の端面部分に設けられたガイド片12bに係合ピン11が当接する。そして、そのガイド片12bの斜面部の作用により、カップリング部材12に回転力が付与される。
【0032】
このとき、中間部材13は、コイルバネ15によってカップリング部材12側に付勢されているが、そのカップリング部材12とは独立して駆動軸2の軸方向に移動し得るようになっている。しかも、カップリング部材12の第一ラチェット部12eと中間部材13の第二ラチェット部13aとは、それぞれが略鋸歯状のラチェットギア形状に形成されている。そのために、そのラチェット作用により、回転駆動力の伝達方向と反対方向については、カップリング部材12が自由に回転する。つまり、中間部材13がカップリング部材12側に位置し第一ラチェット部12eと第二ラチェット部13aとが互いに嵌合している状態(以下、この状態を「駆動力伝達状態」という)では、カップリング部材12と中間部材13との間で回転駆動力を伝達するが、中間部材13が駆動軸2側に移動し第一ラチェット部12eと第二ラチェット部13aとが非嵌合状態になると(以下、この状態を「駆動力遮断状態」という)、カップリング部材12は中間部材13の状態にかかわらず自由に回転し得るようになる。
【0033】
したがって、ガイド片12bへの係合ピン11の当接によりカップリング部材12に回転力が付与されると、中間部材13の第二突条部13eが駆動軸2に設けられた第一突条部2aと係合する状態にあっても、コイルバネ15の付勢力に抗して中間部材13が駆動軸2側に移動して駆動力遮断状態となり、カップリング部材12が中間部材13の状態とは無関係に回転駆動力伝達方向の反対方向に所定の角度だけ回転する。これによって、係合ピン11は、カップリング部材12の係合溝12aに係合されることになる。なお、このときのカップリング部材12の回転角度は、係合ピン11との係合位置に対する係合溝12aのずれ量に対応したものとなる。
【0034】
このようにして係合溝12aに係合ピン11が係合されると、その後は、コイルバネ15の付勢力により中間部材13がカップリング部材12側に移動して駆動力伝達状態となる。この状態で図示せぬ駆動モータを駆動すると、これに連動してギヤ部材3とともに駆動軸2が回転駆動する。このとき、中間部材13の第二突条部13eが駆動軸2に設けられた第一突条部2aと係合し、かつ、中間部材13の第二ラチェット部13aとカップリング部材12の第一ラチェット部12eとが互いに嵌合する駆動力伝達状態にあることから、カップリング部材12は駆動軸2と一体になって回転する。そして、さらにカップリング部材12の係合溝12aに係合ピン11が係合していることから、カップリング部材12と一体に従動軸1が回転動作する。
【0035】
一方、給紙トレイを引き抜く際には、その引き抜き方向に従った従動軸1及び係合ピン11の離反移動に伴い、カップリング部材12の係合溝12aから係合ピン11が離脱することになる。
【0036】
以上のように、本実施形態で説明した給紙装置では、駆動軸2から中間部材13を介してカップリング部材12へ回転駆動力を伝達し、さらにカップリング部材12から従動軸1へ回転駆動力を伝達するように、ジョイント機構10が構成されている。したがって、給紙トレイを挿入する過程で、カップリング部材12の係合溝12aが係合ピン11との係合位置からずれている場合でも、カップリング部材12と中間部材13との間のラチェット作用によりカップリング部材12のみが回転して、係合ピン11を確実に係合溝12aに係合させることができる。これにより、係合溝12aに係合ピン11が係合されるまでのカップリング部材12の回転角度(誤差要因)が小さくなるので、駆動モータの駆動時間を基にする場合であっても、給紙トレイ内の用紙残量を正確に検知することができる。
【0037】
しかも、本実施形態で説明した給紙装置におけるジョイント機構10では、カップリング部材12が回転しても中間部材13は駆動軸2と常に係合しているので、給紙トレイを挿入する過程で、これらの間でかじり等の干渉が生じてしまうことがない。すなわち、給紙トレイの挿入時に、その挿入による衝撃力に対してジョイント機構10の構成要素に破損や変形等が生じてしまうのを回避することができる。したがって、従来に比べてジョイント機構10の信頼性を高めることができる。
【0038】
さらには、中間部材13が駆動軸2と常に係合しており、係合溝12aに係合ピン11を係合させるためのカップリング部材12の回転はカップリング部材12と中間部材13との間のラチェット作用を利用しているので、駆動軸2には、第一突条部2aを例えば4か所に設ければ十分であり、スプライン嵌合の場合のように多数を設ける必要はない。したがって、スペース上の制約から駆動軸2の軸径を細くせざるを得ない場合であっても、第一突条部2aおよび第二突条部13eが強度不足となってしまうことがない。つまり、給紙トレイ内の用紙残量の検知精度を犠牲にすることなく、駆動軸2等について十分な強度を確保することが容易となり、これによってもジョイント機構10の信頼性を高めることができる。
【0039】
また、本実施形態で説明した給紙装置におけるジョイント機構10では、コイルバネ14がカップリング部材12を係合ピン11側に付勢し、コイルバネ15が中間部材13をカップリング部材12側に付勢するようになっている。すなわち、カップリング部材12および中間部材13がそれぞれ別のコイルバネ14,15によって付勢されるため、一方の付勢力が他方の付勢力に依存しないものとなる。したがって、例えば、それぞれに付勢力が、給紙トレイの挿入時における係合溝12aと係合ピン11との係合力やラチェット作用によるカップリング部材12の回転力のように、互いに異なる役割を担う場合であっても、それぞれを個別に設定することが非常に容易となる。つまり、それぞれの付勢力を個別に設定し得るようにすることで、ジョイント機構10の適用の汎用性や機能の柔軟性等を非常に高めることができる。
【0040】
ただし、カップリング部材12および中間部材13に対する付勢力は、必ずしも別のコイルバネ14,15によって実現されるものである必要はない。例えば、カップリング部材12および中間部材13の双方を、一つのコイルバネによって付勢する場合であっても、中間部材13と駆動軸2とが係合した状態で、カップリング部材12のみをラチェット作用を利用して回転させることは可能である。したがって、一つのコイルバネのみの場合であっても、上述した二つのコイルバネ14,15の場合と全く同様に、ジョイント機構10の構成要素に破損や変形等が生じてしまうのを回避でき、また駆動軸2等について十分な強度を確保することが容易となり、結果としてジョイント機構10の信頼性を高めることができる。
【0041】
さらに、カップリング部材12および中間部材13に対する付勢力は、コイルバネによって実現することが、その付勢力や設置スペース等の観点から最も好適であると考えられるが、例えばゴムやスポンジといった他の弾性部材を用いるようにしても構わない。
【0042】
また、本実施形態で説明した給紙装置におけるジョイント機構10では、駆動軸2の軸方向への中間部材13の位置移動により、その駆動軸2の回転駆動力をカップリング部材12へ伝達する駆動力伝達状態と、その駆動軸2の回転駆動力をカップリング部材12には伝達しない駆動力遮断状態とが切り替わるようになっている。つまり、中間部材13の位置移動により上記の二つの状態が実現されるので、従来のようなカップリング部材12の移動(スプライン嵌合)を必要としない。したがって、中間部材13を駆動軸2と常に係合させておくことが可能となり、これにより上述したようなジョイント機構10の信頼性向上を実現できるのである。
【0043】
なお、本実施形態では、カップリング部材12の第一ラチェット部12eと、中間部材13の第二ラチェット部13aとが、それぞれ略鋸歯状のラチェットギア形状に形成されており、一方向への回転時にのみ互いに嵌合して回転駆動力を伝達するように構成されている場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0044】
図5および図6は、ジョイント機構の構成要素の他の例を示す説明図である。図5に示すカップリング部材12′は、その貫通孔12dの内周側部分に、被回転伝達部としての第一スプライン部12fを有している。また、図6に示す中間部材13′は、その凸部13bに回転伝達部としての第二スプライン部13fを有している。この第二スプライン部13fは、カップリング部材12′における第一スプライン部12fと嵌合可能に形成されたものである。なお、貫通孔12dおよび凸部13bの一部には、第一スプライン部12fおよび第二スプライン部13fが形成されていない部分、すなわち駆動力遮断状態とするための部分があるものとする。
【0045】
このように構成された場合であっても、カップリング部材12′および中間部材13′が駆動力伝達状態となる位置にて互いにスプライン嵌合して回転駆動力を伝達することになる。このとき、双方がスプライン嵌合することから、その際に互いのスプライン溝が干渉する可能性もあるが、その場合であっても中間部材13′が駆動軸2の軸方向へ移動して逃げることが可能である。したがって、第一スプライン部12fまたは第二スプライン部13fにかじりや破損等が生じてしまうことなく、その後に双方がスプライン嵌合して回転駆動力を伝達することになる。
【0046】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る給紙装置によれば、駆動軸から中間部材を介してカップリング部材および従動軸へ回転駆動力を伝達するので、高精度な用紙残量検知を実現する場合であっても、ジョイント機構にかじりや破損の発生、あるいは強度不足等が生じることなく、その信頼性を高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る給紙装置におけるジョイント機構の一構成例を説明する側面図である。
【図2】図1のジョイント機構が装着される駆動軸の一例を示す説明図であり、(a)はその側面図、(b)はその軸方向から観た正面図である。
【図3】図1のジョイント機構の構成要素であるカップリング部材の一例を示す説明図であり、(a)はその側面図、(b)はその軸方向から観た正面図である。
【図4】図1のジョイント機構の構成要素である中間部材の一例を示す説明図であり、(a)はその側面図、(b)はその軸方向から観た正面図である。
【図5】図1のジョイント機構の構成要素であるカップリング部材の他の例を示す説明図であり、(a)はその側面図、(b)はその軸方向から観た正面図である。
【図6】図1のジョイント機構の構成要素である中間部材の他の例を示す説明図であり、(a)はその側面図、(b)はその軸方向から観た正面図である。
【図7】従来の給紙トレイの内部の構成例を示す側面概略図である。
【図8】従来の給紙装置におけるジョイント機構の一例を示す説明図である。
【図9】従来の給紙装置におけるジョイント機構の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…従動軸、2…駆動軸、2a…第一突条部、10…ジョイント機構、11…係合ピン、12,12′…カップリング部材、12a…係合溝、12e…第一ラチェット部、12f…第一スプライン部、13,13′…中間部材、13a…第二ラチェット部、13e…第二突条部、13f…第二スプライン部、14,15…コイルバネ

Claims (6)

  1. 従動軸の回転動作に連動して上下動可能に設けられた用紙積載台を有する給紙トレイと、前記従動軸を回転動作させるための駆動軸を回転駆動する駆動モータと、所定の給紙部に対する前記給紙トレイの抜き挿し動作に応じて前記駆動軸から前記従動軸への駆動力伝達を断続させるジョイント機構とを備えた給紙装置であって、
    前記ジョイント機構は、
    前記従動軸に設けられた係合ピンと、
    前記係合ピンと対向する側の端面部分にその係合ピンと係脱可能な係合溝を有し、当該係合溝と反対側の端面部分には被回転伝達部を有し、前記駆動軸と同軸上で回転可能に支持されるカップリング部材と、
    前記カップリング部材と対向する側の端面部分に前記被回転伝達部と嵌合可能な回転伝達部を有し、前記駆動軸の軸方向に移動可能で、かつ、当該駆動軸に形成された突条部と係合した状態で、当該駆動軸と共に回転するように支持される中間部材と、
    前記カップリング部材を前記係合ピン側に付勢し、前記中間部材を前記カップリング部材側に付勢する弾性部材とを備え、
    前記駆動軸から前記中間部材を介して前記カップリング部材へ回転駆動力を伝達するように構成されている
    ことを特徴とする給紙装置。
  2. 前記弾性部材は、前記カップリング部材を付勢する第一のバネ部材と、当該第一のバネ部材とは別に前記中間部材を付勢する第二のバネ部材とからなるものである
    ことを特徴とする請求項1記載の給紙装置。
  3. 前記弾性部材は、前記カップリング部材および前記中間部材の双方を付勢する一つのバネ部材からなるものである
    ことを特徴とする請求項1記載の給紙装置。
  4. 前記駆動軸の軸方向への前記中間部材の位置移動により、前記駆動軸の回転を前記カップリング部材へ伝達する駆動力伝達状態と、前記駆動軸の回転を前記カップリング部材へ伝達しない駆動力遮断状態とが切り替わるように構成された
    ことを特徴とする請求項1,2または3に記載の給紙装置。
  5. 前記被回転伝達部および前記回転伝達部は、略鋸歯状のラチェットギア形状に形成されており、所定方向への回転時にのみ互いに嵌合して回転駆動力を伝達する
    ことを特徴とする請求項4に記載の給紙装置。
  6. 前記被回転伝達部および前記回転伝達部は、突条部を有したスプライン形状に形成されており、前記駆動力伝達状態となる位置にて互いに嵌合して回転駆動力を伝達する
    ことを特徴とする請求項4に記載の給紙装置。
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