JP2004051013A - タイヤ/ホイール組立体及びランフラット用支持体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リム1に装着した空気入りタイヤ2の空洞部2Aに、外周側を支持面6にすると共に内周側を二股状に開脚した脚部7に形成した環状シェル4と脚部7をリム1上に支持する弾性リング5とからなるランフラット用支持体3を配置したタイヤ/ホイール組立体において、環状シェル3に貫通孔8を形成してある。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ/ホイール組立体及びランフラット用支持体に関し、さらに詳しくは、リム組み性を改善するようにしたタイヤ/ホイール組立体及びそれに使用するランフラット用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の走行中に空気入りタイヤがパンクした場合でも、数百km程度の緊急走行を可能にするようにする技術が市場の要請から多数提案されている。これら多数の提案のうち、特開平10−297226号公報や特表2001−519279号公報で提案された技術は、リム組みされた空気入りタイヤの空洞部内側のリム上に支持体を装着し、その支持体によってパンクしたタイヤを支持することによりランフラット走行を可能にしたものである。
【0003】
上記ランフラット用支持体は、外周側を支持面にすると共に内周側を開脚した開脚構造の環状シェルを有し、その両脚部に弾性リングを取り付けた構成からなり、その弾性リングを介してリム上に支持されるようになっている。このランフラット用支持体によれば、既存のホイール/リムに何ら特別の改造を加えることなく、そのまま使用できるため、市場に混乱をもたらすことなく受入れ可能にできる利点を有している。
【0004】
このようなランフラット用支持体を装着したタイヤ/ホイール組立体は、ランフラット用支持体をタイヤの空洞部内に挿入した状態でリム組みを行うが、その際にエアを充填してタイヤのビード部をリムのハンプを乗り越えさせてリムフランジに嵌合させ難く、リム組み性が悪いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、リム組み性を改善することが可能なタイヤ/ホイール組立体及びランフラット用支持体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のタイヤ/ホイール組立体は、ホイールのリムに装着した空気入りタイヤの空洞部に、外周側を支持面にすると共に内周側を二股状に開脚した脚部に形成した環状シェルと前記脚部をリム上に支持する弾性リングとからなるランフラット用支持体を配置したタイヤ/ホイール組立体において、前記環状シェルに貫通孔を形成したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のランフラット用支持体は、外周側を支持面にすると共に内周側を二股状に開脚した脚部に形成した環状シェルと前記脚部をリム上に支持する弾性リングとからなるランフラット用支持体において、前記環状シェルに貫通孔を形成したことを特徴とする。
【0008】
リム組み時に、ランフラット用支持体を空洞部内に挿入した空気入りタイヤのビード部をリムに取り付けた後、エアを充填して空気入りタイヤをインフレートさせることにより、ビード部をリムのハンプを乗り越えさせてリムフランジに嵌合させるが、上述した本発明では、貫通孔を介して、ランフラット用支持体と空気入りタイヤの内面との間の空洞部内に供給されるエアにより空気入りタイヤを容易にインフレートさせることができる。そのため、タイヤのビード部をハンプを乗り越えてリムフランジに容易に嵌合させることができ、リム組み性の改善が可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、ランフラット用支持体は空気入りタイヤの空洞部に挿入される環状体として形成される。このランフラット用支持体は、外径が空気入りタイヤの空洞部内面との間に一定距離を保つように空洞部内径よりも小さく形成され、かつ内径は空気入りタイヤのビード部内径と略同一寸法に形成されている。そして、このランフラット用支持体は、空気入りタイヤの内側に挿入された状態で空気入りタイヤと共にホイールにリム組みされ、タイヤ/ホイール組立体に構成される。このタイヤ/ホイール組立体が車両に装着されて走行中に空気入りタイヤがパンクすると、そのパンクして潰れたタイヤがランフラット用支持体の外周面に支持された状態になるので、ランフラット走行を可能にする。
【0010】
上記ランフラット用支持体は、環状シェルと弾性リングとを主要部として構成されている。
【0011】
環状シェルは、外周側(外径側)にパンクしたタイヤを支えるため連続した支持面を形成し、内周側(内径側)は左右の側壁を脚部として二股状に開脚した形状にしている。外周側の支持面は、その周方向に直交する横断面での形状が外径側に凸曲面になるように形成される。その凸曲面のタイヤ軸方向に並ぶ数は単一だけでもよいが、好ましくは2以上が並ぶようにするのがよい。このように支持面を2以上の凸曲面が並ぶように形成することにより、支持面のタイヤ内面(空洞部内面)に対する接触箇所を2以上に分散させ、タイヤ内面に与える局部摩耗を低減するため、ランフラット走行を可能にする持続距離を延長することができる。
【0012】
弾性リングは、環状シェルの内径側に二股状になった両脚部の端部にそれぞれ取り付けられ、左右のリムシート上に当接することにより環状シェルを支持している。この弾性リングはゴム又は弾性樹脂から構成され、パンクしたタイヤから環状シェルが受ける衝撃や振動を緩和するほか、リムシートに対する滑り止めを行って環状シェルを安定支持するようにしている。
【0013】
ランフラット用支持体は、パンクしたタイヤを介して車両重量を支えるようにしなければならないため、環状シェルは剛体材料から構成されている。その構成材料には、金属、樹脂などが使用される。このうち金属としては、スチール、アルミニウムなどを例示することができる。また、樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれでもよい。熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ABSなどを挙げることができ、また熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。樹脂は単独で使用してもよいが、補強繊維を配合して繊維強化樹脂として使用してもよい。
【0014】
弾性リングを構成するゴム、弾性樹脂としては、環状シェルを安定支持できればいずれのものであってもよく、例えば、ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴムなど、弾性樹脂としては、発泡ポリウレタンなどの発泡樹脂を挙げることができる。
【0015】
本発明のタイヤ/ホイール組立体に使用されるランフラット用支持体は、上述した構成を前提とする。
【0016】
以下、本発明を図に示す実施形態により具体的に説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態からなるタイヤ/ホイール組立体(車輪)の要部を示す子午線断面図であり、1はホイール外周のリム、2は空気入りタイヤ、3はランフラット用支持体である。これらリム1、空気入りタイヤ2、ランフラット用支持体3は、図示しないホイールの回転軸を中心として共軸に環状に形成され、リム1に装着した空気入りタイヤ2の空洞部2A内にランフラット用支持体3を配置した構成になっている。
【0018】
ランフラット用支持体3は、金属、樹脂などの剛性材から形成された環状シェル4と、ゴム、弾性樹脂などの弾性材から形成された左右の弾性リング5,5とから構成されている。
【0019】
環状シェル4は外周側に2個の凸曲面6a,6bをシェル幅方向においてもつ支持面6を形成し、その支持面6は空気入りタイヤ2が正常なときは空気入りタイヤ2の内面2aから離間しているが、パンクしたとき潰れたタイヤを支持するようになっている。また、環状シェル4の内周側は両側壁がそれぞれ脚部7,7として二股状に開脚し、その内周側に弾性リング5,5を取り付けている。
【0020】
両脚部7,7には、図2に示すように、楕円形状の貫通孔8がシェル周方向に所定の間隔で複数設けられ、この貫通孔8を介して空気入りタイヤ2内のランフラット用支持体3より外側の空洞部2A1内にエアを流入し易くしている。貫通孔8の形状は、楕円形に限定されず、図3に示すように、円形や矩形、あるいは矩形の各角部を正方形状に切り欠いた形状など、エアが空洞部2A1内に流入可能であればいずれの形状であってもよい。
【0021】
貫通孔8は、上記のように両方の脚部7,7に形成するのが、空洞部2A1内の両側にエアを同時に供給することができるので好ましいが、いずれか一方の脚部7に設けることもできる。両脚部7,7に貫通孔8を設ける場合には、同数の貫通孔8を対向する位置に形成してもよいが、好ましくは周方向にずらして設けるのが、強度の点から好ましい。ずらす場合には、一方の脚部7の貫通孔8間の略中央の位置に対向するように他方の脚部7の貫通孔8を位置させるのがよい。
【0022】
貫通孔8の大きさとしては、その断面積が70〜320mm2 となるようにするのがよい。また、貫通孔8の数としては、合計で4〜16個にすることができ、それらを周上等間隔に配置するのが強度の点から好ましい。貫通孔8の断面積及び数が上記範囲より小さいと、リム組み性を効果的に改善することができない。
逆に上記範囲より大きいと、シェル自体の耐久性を損なう。
【0023】
リム組み時に、ランフラット用支持体3を空洞部2A内に挿入した空気入りタイヤ2のビード部2X,2Xをリム1に取り付けた後、エアを充填して空気入りタイヤ2をインフレート(膨張)させることにより、ビード部2X,2Xをリム1のハンプ1Cを乗り越えさせてリムフランジ1Aに嵌合させるが、上述した本発明によれば、貫通孔8を介して空洞部2A1内に供給されるエアにより空気入りタイヤ2を容易にインフレートさせることができるので、ビード部2X,2Xがハンプ1Cを乗り越えてリムフランジ1Aに容易に嵌合でき、空気入りタイヤ2のリム組みを容易に行うことが可能になる。従って、リム組み性を改善することができる。
【0024】
本発明は、上記実施形態では、環状シェル4の支持面6が2個の凸曲面6a,6bを有する場合を例示したが、この凸曲面の数は2個に限定されるものでなく、1個あるいは3個以上であってもよい。
【0025】
【発明の効果】
上述したように本発明は、環状シェルに貫通孔を形成したので、リム組み時にその貫通孔を介して供給されるエアにより空気入りタイヤをインフレートさせることができるため、ビード部をリムフランジに容易に嵌合させることが可能になり、従って、リム組み性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなるタイヤ/ホイール組立体の要部を示す子午線断面図である。
【図2】環状シェルの要部を示す斜視図である。
【図3】(a)〜(c)は、それぞれ貫通孔の他の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
1 リム 1A リムフランジ
1B リムシート 1C ハンプ
2 空気入りタイヤ 2A,2A1 空洞部
2X ビード部 2a 内面
3 ランフラット用支持体 4 環状シェル
5 弾性リング 6 支持面
7 脚部 8 貫通孔
Claims (8)
- ホイールのリムに装着した空気入りタイヤの空洞部に、外周側を支持面にすると共に内周側を二股状に開脚した脚部に形成した環状シェルと前記脚部をリム上に支持する弾性リングとからなるランフラット用支持体を配置したタイヤ/ホイール組立体において、前記環状シェルに貫通孔を形成したタイヤ/ホイール組立体。
- 前記貫通孔を前記環状シェルの脚部に形成した請求項1に記載のタイヤ/ホイール組立体。
- 前記貫通孔を前記環状シェルの両脚部にシェル周方向に所定の間隔で複数設けた請求項2に記載のタイヤ/ホイール組立体。
- 前記貫通孔を4〜16個設け、各貫通孔の断面積を70〜320mm2 にした請求項1,2または3に記載のタイヤ/ホイール組立体。
- 外周側を支持面にすると共に内周側を二股状に開脚した脚部に形成した環状シェルと前記脚部をリム上に支持する弾性リングとからなるランフラット用支持体において、前記環状シェルに貫通孔を形成したランフラット用支持体。
- 前記貫通孔を前記環状シェルの脚部に形成した請求項5に記載のランフラット用支持体。
- 前記貫通孔を前記環状シェルの両脚部にシェル周方向に所定の間隔で複数設けた請求項6に記載のランフラット用支持体。
- 前記貫通孔を4〜16個設け、各貫通孔の断面積を70〜320mm2 にした請求項5,6または7に記載のランフラット用支持体。
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