JP2004050784A - インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、傷がつきにくく、画像のにじみを防止し、ひび割れを起こしにくく、かつインク吸収能に優れた医療用のインクジェット記録材料を提供することにある。
【解決手段】水溶性ポリマーのシェルで覆われた高分子コアを有するコア/シェル構造からなる非多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【選択図】 なし
【解決手段】水溶性ポリマーのシェルで覆われた高分子コアを有するコア/シェル構造からなる非多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録媒体に関し、特に医療診断用の画像を表示するのに適した医用画像形成用のインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人体の内部の情報を検査する方法としてポピュラーな放射線写真システムは、放射線を人体に透過した後増感紙(X線変換スクリーン)によって、ハロゲン化銀乳剤に感度のある光に変換し、ハロゲン化銀写真フィルムを露光し、これを現像定着、洗浄、乾燥して、得られる画像を基に診断が行われる。
【0003】
また、医用画像検査法(以下、医用画像検査法とは前記人体の内部の画像を与える各種検査法のことを示す)は、近年、デジタルの形で診断評価に好適な医用画像(以下、医用画像とは前記医用画像検査法により得られた画像のことを示す)が得られる。このようなデジタルの形で診断評価に好適な画像を提供する医用画像の例としては、デジタル減算方式血管造影法、磁気共鳴画像形成法、コンピューター断層撮影法、コンピューター使用放射線写真などが挙げられ、これらの画像は、ディスプレイスクリーン又は透明フィルムハードコピーに画像を出力することが可能である。
【0004】
通常、医用画像は一人或いは数人の医師により詳細に診断される。すなわち、医用画像は容易に適時に見られることが必要であり、詳細な観察を必要とする場合には、ディスプレイスクリーンを介して評価される。この場合には、高解像度/高ダイナミックレンジを有するディスプレイ装置が必要となる。
【0005】
通常、デジタル医用画像のハードコピーは、レーザイメージャによって出力される。このレーザイメージャは、ハロゲン化銀記録媒体上に医用画像を形成する。しかしながら、レーザイメージャ構成は、かなり複雑な構成を有しているために、現在市販されているものは非常に高価である。また、レーザイメージャは、各種医用画像検査法により得られたデジタル医用画像を画像ネットワークで結び、印刷できるようにネットワークの核としてシステム化されている。周知のごとく、医用診断には時間が緊迫している場合が多々あり、レーザイメージャやネットワークの故障により、レーザイメージャによる医用画像出力ができなくなった場合には、重大な問題となる。多くの場合、このような問題を回避するために数台のレーザイメージャを設置したり、緊急用回線を設置したり、高価なレーザイメージャを数台設置することを余儀なくされており、バックアップ用の安価なデジタル出力装置が望まれている。また、小規模な病院では安価なデジタル出力装置がないため、デジタル化への対応が遅れている。
【0006】
ところで、オフィス用やパーソナル用向けのコンピュータやワードプロセッサの画像出力装置として、例えば、ワイヤードット出力方式、感熱発色出力方式、感熱溶融転写出力方式、感熱昇華転写出力方式、電子写真出力方式、インクジェット出力方式などが開発されている。これらの画像形成出力装置の主な使用方法は、コンピュータなどによって作成された文字、図形などのデジタル情報を、紙などの不透明支持体や、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)などの原稿に出力される。近年、パーソナルコンピューターの急速な技術革新により、個人のレベルで複雑なデジタル画像を扱えることができるようになったのに伴い、画像出力装置の技術も急速に進展し、印刷直後の画像であれば従来のハロゲン化銀カラー写真に匹敵する画像を手軽に出力できるようになっている。このなかでもインクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録フィルムに付着させ、画像・文字などの記録を行うインクジェット記録方式は、装置が比較的簡単であるにもかかわらず、高速、低騒音、多色化が容易で、かつ安価である等の利点を有している。そのため、各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等、さまざまな分野に急速に普及している。このようなオフィス用装置であるインクジェット出力装置が、医療用の出力装置として使えるならば、装置自身を安価にすることができる。
【0007】
インクジェット記録方式で使用されるインクジェット記録材料(以下、単に記録材料ともいう)としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合に於いてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、かつ周辺が滑らかで、ぼやけないこと等の性能が追求されており、これらの性能は、医療用途としても魅力的である。
【0008】
高画質の記録材料としては、各種支持体上に記録層としてインク受容層を塗布したものが使用されている。このようなインク受容層としては、親水性バインダーを主体に構成されるいわゆる膨潤型のインク受容層と、空隙層を記録層中に持つ空隙型のインク受容層に大きく分けられる。そのうち、空隙型のインク受容層を有するインクジェット記録材料は、微粒子がおこし状に空隙を作るのを親水性バインダーで接着させることにより空隙を形成させ、いわゆる毛細管現象によりインクを吸うインク受容層であり、インク溶剤にバインダーが溶解する膨潤型に比較して、インク吸収速度に優れている。
【0009】
しかしながら空隙型インク受容層は、その構造から、インク受容層自身がひび割れてしまったり、もろく、傷つきやすいという問題があった。これらの問題は、医療用記録材料としては致命的な欠陥であり、市販の記録媒体を医療用途に単純に用いることはできなかった。
【0010】
また、水溶性ポリマーと高分子粒子からなる受容層を用いて、パットリング(隣接するドットが混ざり合い滲むこと)を防止し、ひび割れがない記録媒体が特開2002−52818、特開2002−52821等で提案されているが、インク吸収速度及び量が、医用記録材料としての実用には不足しており、耐傷性についても医師を満足させるに至っていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、傷がつきにくく、画像のにじみを防止し、ひび割れを起こしにくく、かつインク吸収能に優れた医療用のインクジェット記録材料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
【0013】
1.水溶性ポリマーのシェルで覆われた高分子コアを有するコア/シェル構造からなる非多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0014】
2.少なくとも30モル%の架橋度を有する非多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0015】
3.水溶性ポリマーのシェルで覆われた高分子コアを有するコア/シェル構造からなる多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0016】
4.1μm未満のメジアン直径を有し、27モル%以上の架橋度を有する多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0017】
5.前記高分子バインダーが、前記非多孔質高分子粒子を少なくとも80質量%含むことを特徴とする前記1項に記載のインクジェット記録媒体。
【0018】
6.前記高分子バインダーが、前記非多孔質高分子粒子を少なくとも80質量%含むことを特徴とする前記2項に記載のインクジェット記録媒体。
【0019】
7.前記高分子バインダーが、前記多孔質高分子粒子を少なくとも70質量%含むことを特徴とする前記3項に記載のインクジェット記録媒体。
【0020】
8.前記高分子バインダーが、前記多孔質高分子粒子を少なくとも70質量%含むことを特徴とする前記4項に記載のインクジェット記録媒体。
【0021】
9.前記空隙型のインク受容層が、4〜300nmの一次粒径を有するシリカ粒子を含有することを特徴とする前記1〜8項のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録媒体(以下、本発明の記録媒体ともいう)において、空隙型のインク受容層は、親水性または疎水性のバインダー、無機または有機の固体粒子、或いは油滴等の固体成分とその間に形成される空隙から成る。
【0023】
空隙の形成は種々の方式で行うことができ、その方法により空隙層が含有する固体成分も異なるのが一般的である。
【0024】
以下に代表的な空隙層の形成方法について説明する。
A.2種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法。
【0025】
B.固体微粒子および親水性または疎水性バインダを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、記録媒体を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を形成する方法。
【0026】
C.皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法。
【0027】
D.多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や粒子間に空隙を形成する方法。
【0028】
E.親水性バインダーに対して概ね等量以上(好ましくは1.0倍以上)の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布して、固体微粒子の間に空隙を形成する方法。
【0029】
F.平均粒径が約0.1μm程度以下の固体微粒子を塗布液調製時、または皮膜形成時に凝集させて二次粒子、または三次元構造を形成して空隙を形成する方法。
【0030】
本発明の記録媒体における空隙の形成方法は、上記のいかなる手段によっても良いが、空隙の大きさは約0.5μm、好ましくは約0.3μm、特に好ましくは約0.2μm程度以下であり、充填物の大きさや皮膜形成時の製造条件もこの様な空隙を形成する条件になるように設定するのが好ましい。また、記録媒体を低コストで作製すると言う観点から複雑な製造工程を取らずに作製できる方法が好ましい。
【0031】
本発明の記録媒体において、空隙層の空隙総量は、インク付着量の多い医療用途に用いるためには、インクが溢れて画質を低下させないように、記録媒体1m2当たり30ml以上であることが好ましい。一方、空隙容量の上限は特に制限されないが、空隙層の乾燥膜厚は概ね70μm以下にすることが、塗布乾燥時皮膜のひび割れ等の皮膜の物理的特性を悪化させないために好ましい。また、空隙層の空隙率を50容量%以上にすることが好ましい。
【0032】
ここで空隙率とは、空隙層中の乾燥膜厚(Aμm)を測定し、試料を10cm×10cmに切断し重さを秤量し(Bg)、純水中に1分間漬けた後、表面に浮いている純水を、濾紙で拭い去った後の重さを秤量し(Cg)以下の式より計算される値である。
【0033】
空隙率(%)=(C−B)×100/A×100
空隙層が固体微粒子を含有する空隙層で有る場合、固体微粒子としては従来インクジェット記録媒体で公知の各種の無機または有機の固体微粒子を用いることが出来る。
【0034】
上記目的で用いられる無機微粒子の例としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の無機顔料等を挙げることが出来る。
【0035】
この様な無機微粒子は、一次粒子のままでバインダー中に均一に分散された状態で用いられても、また、二次凝集粒子を形成してバインダー中に分散された状態で添加されても良い。
【0036】
一方、有機微粒子の例としては、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等が挙げられる。
【0037】
本発明においては、鮮明な画像を記録し、低コストで製造できる等の点より、固体微粒子として、アルミナ水和物微粒子、シリカ微粒子および炭酸カルシウムから選ばれる固体微粒子を用いることが好ましい。
【0038】
本発明に好ましく用いられるアルミナまたはアルミナ水和物は、半径が3〜10nmを有する細孔容積の和が0.2〜2ml/gである多孔質アルミナまたはその含水物である。細孔容積の測定手段は、アルミナまたはアルミナ水和物の乾燥固形分に対して公知の窒素吸着法により測定することが出来る。
【0039】
アルミナまたはアルミナ水和物は結晶性であっても、非晶質であっても良く、また、形状は不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状の物を使用することが出来る。
【0040】
本発明に使用されるシリカ系微粒子としては、従来のインクジェット記録媒体で公知の各種のシリカ系微粒子を使用することができ、例えば、湿式または気相法で合成された合成シリカ、コロイダルシリカ、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している多孔質シリカ等、任意の形状のシリカを使用することができる。その様な例として、例えば、特開昭55−51583号および同56−148583号等に記載された合成非晶質シリカ、例えば特開昭60−204390号に記載された気相法により合成されたシリカ超微粒子、特開昭60−222282号に記載されたフッ素を含有する合成不定形シリカ、特開昭60−224580号および同62−178384号に記載されたシランカップリング剤により表面処理された合成不定形シリカ、例えば特開昭62−183382号および同63−104878号に記載された球状シリカ、特開昭63−317381号に記載されたNa2O含有量が0.5質量%以上である合成シリカ微粒子、特開平1−115677号に記載された比表面積が100m2/g以上の合成シリカ微粒子、特開昭62−286787号に記載されたアルミナ表面処理された合成シリカ微粒子、特開平1−259982号に記載されたCa、MgまたはBaで表面処理された合成シリカ微粒子、吸油量が180ml/g以上の合成シリカ微粒子、特開昭57−14091号に記載されたコロイダルシリカ、特開昭60−219084号、特開平6−92011号、同6−297830号および同7−81214号に記載されたカチオン性コロイダルシリカ、および特開平5−278324号および同7−81214号に記載された数珠状に連結した、または分岐したコロイダルシリカ等を挙げることができる。なかでも高い空隙容量を得る観点からは、平均粒径が7〜30nmのシリカ超微粒子を用いることが好ましい。このシリカ微粒子は表面をカチオン変成されたものであってもよく、また、Al、Ca、MgおよびBa等で処理された物であってもよい。本発明の記録媒体に用いられる炭酸カルシウムとしては、例えば、特開昭57−120486号、同57−129778号、同58−55283号、同61−20792号に記載された特定の比表面積を有する軽質炭酸カルシウム、特開昭63−57277号および特開平4−250091号に記載された針柱状炭酸カルシウム、特開平3−251487号に記載された特定の針状一次粒子が凝集して、二次粒子を形成した炭酸カルシウム微粒子、特開平4−250091号及び同4−260092号に記載された特定の吸油量を有する針柱状の斜方晶アルゴナイト炭酸カルシウム、および特開平7−40648号に記載された球状沈降性炭酸カルシウム等が挙げられる。この中でも高い空隙容量を得られることから、粒径が約0.1μm以下の炭酸カルシウム微粒子を使用することが好ましく、特に平均粒径が10〜50nmの炭酸カルシウム微粒子を使用することが好ましい。
【0041】
本発明の記録媒体の上記空隙層は、皮膜としての特性を維持するためにバインダーを有していることが好ましい。このバインダーとしては従来公知の各種のバインダーを使用することができるが、インクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが好ましく用いられる。しかしながら、親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーが膨潤して、インクの初期の浸透時に膨潤して空隙を実質的に塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変成ポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのはケン化度が80以上の部分または完全ケン化したものである。また、皮膜脆弱性を改良する観点から、平均重合度は100〜5000、特に好ましくは500〜3000のものが用いられる。また、カチオン変成ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を、上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0042】
上記、本発明に用いられるバインダーとともに混合され受容層のバインダーを形成する非多孔質高分子粒子は、(a)少なくとも30モル%の架橋度を有するか、若しくは(b)水溶性ポリマーのシェルで覆われた高分子コアを含んでなる。これら非多孔質高分子粒子は、ビーズ、または不規則な形状の粒子の形そのものである。本発明において使用される非多孔質分子のうち、(a)は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、またはセルロース誘導体(例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、およびエチルセルロース)、ポリビニル樹脂(例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルとのコポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー)、およびエチレン−アリルコポリマー(例えばエチレン−アリルアルコールコポリマー、エチレン−アリルアセトンコポリマー、エチレン−アリルベンゼンコポリマー、エチレン−アリルエーテルコポリマー)、エチレン−アクリル系コポリマーおよびポリオキシメチレン、重縮合ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタンおよびポリカーボネートを含むポリエステル)を含んでなる。
【0043】
本発明の好ましい態様において、上記非多孔質高分子粒子は、スチレン系モノマーまたはアクリル系モノマーから製造されている。このようなスチレン系ポリマーまたはアクリル系ポリマーの製造においては、いずれの好適なエチレン系不飽和モノマーまたはモノマーの混合物を使用してもよい。例えば、スチレン系化合物(例えば、スチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、塩化ビニルベンジルまたはビニルナフタレン)、またはアクリル系化合物(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、およびそれらの混合物を使用してもよい。もう1つの好ましい態様においては、メタクリル酸メチルが使用される。
【0044】
さらに、所望の性質を生じさせるために、好適な架橋用モノマーを、前記非多孔質高分子粒子の形成において使用する。典型的な架橋用モノマーは、芳香族ジビニル化合物(例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンまたはそれらの誘導体)、ジエチレンカルボン酸のエステルおよびアミド(例えば、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジエチレングリコール)、および他のジビニル化合物(例えば、ジビニルスルフィド化合物またはジビニルスルホン化合物)である。ジビニルベンゼンおよびジメタクリル酸エチレングリコールがとりわけ好ましい。架橋用モノマーは、少なくとも30モル%、好ましくは100モル%において使用される。架橋度は、非多孔質高分子粒子に導入されている多官能架橋用モノマーのモル%によって定まる。
【0045】
本発明において使用される非多孔質高分子粒子は、例えば、有機化合物の微粉砕および分級によって、有機モノマーの乳化重合、懸濁重合、および分散重合によって、有機化合物を含有している溶液の噴霧乾燥によって、または水不混和性溶媒中に有機材料を溶解させ、この溶液を微細な液滴として水溶液中に分散させ、そして上記溶媒を蒸発または他の好適な技法によって除去することからなるポリマー懸濁技法によって、調製することができる。バルク重合、乳化重合、分散重合、および懸濁重合の各手順については、ポリマー技術分野における当業者によく知られており、G.Odianの“Principles of Polymerization”,2nd Ed.,Wiley(1981)およびW.P.Sorenson and T.W.Campbellの“Preparation Method of Polymer Chemistry”,2nd Ed.,Wiley(1968)などの教科書において教示されている。
【0046】
また前記(b)のコア/シェル粒子のためのコアとして使用することができる高分子ポリマーは、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、またはセルロース誘導体(例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、およびエチルセルロース)、ポリビニル樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルとのコポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー)、およびエチレン−アリルコポリマー(例えば、エチレン−アリルアルコールコポリマー、エチレン−アリルアセトンコポリマー、エチレン−アリルベンゼンコポリマー、エチレン−アリルエーテルコポリマー)、エチレン−アクリル系コポリマーおよびポリオキシメチレン、重縮合ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタンおよびポリカーボネートを含むポリエステル)を含んでなる。
【0047】
本発明の好ましい態様において、上記高分子コアは、スチレン系モノマーまたはアクリル系モノマーから製造されている。このようなスチレン系ポリマーまたはアクリル系ポリマーの製造においては、いずれの好適なエチレン系不飽和モノマーまたはモノマーの混合物を使用してもよい。例えば、スチレン系化合物(例えば、スチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、塩化ビニルベンジルまたはビニルナフタレン)、またはアクリル系化合物(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、およびそれらの混合物を使用してもよい。もう1つの好ましい態様においては、メタクリル酸メチルが使用される。
【0048】
望まれる場合には、上記非多孔質高分子粒子を改質して特に望ましい性質を生じさせるために、好適な架橋用モノマーを、上記高分子コアの形成において使用してもよい。典型的な架橋用モノマーは、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンまたはそれらの誘導体)、ジエチレンカルボン酸のエステルおよびアミド(例えば、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジエチレングリコール)、および他のジビニル化合物(例えば、ジビニルスルフィド化合物またはジビニルスルホン化合物)である。ジビニルベンゼンおよびジメタクリル酸エチレングリコールがとりわけ好ましい。架橋用モノマーは、いずれの量で使用してもよいけれども、少なくとも27モル%が好ましい。
【0049】
本発明において使用される非多孔質高分子粒子は、例えば、有機化合物の微粉砕および分級によって、有機モノマーの乳化重合、懸濁重合、および分散重合によって、有機化合物を含有している溶液の噴霧乾燥によって、または水不混和性溶媒中に有機材料を溶解させ、この溶液を微細な液滴として水溶液中に分散させ、そして上記溶媒を蒸発または他の好適な技法によって除去することからなるポリマー懸濁技法によって調製することができる高分子コアを有する。バルク重合、乳化重合、分散重合、および懸濁重合の各手順については、ポリマー技術分野における当業者によく知られており、前記教科書等において教示されている。
【0050】
上述の高分子コアを覆うシェルは、当該技術分野において知られている種々の技法を使用して形成することができる。一般に、上記コア/シェル粒子の水溶性ポリマーのシェルは、あらかじめ形成されたコアを水溶性ポリマーと単に接触させるだけでは、高分子コア上に形成させることはできない。代わりに、水溶性ポリマーが、コアの表面と化学反応するか、またはコアの表面に強く吸着される条件を確立する必要がある。このような条件は当業者に既知であり、化学反応性のコア表面およびバインダーポリマーを使用して達成することができる。また、コアが水溶性ポリマーの存在下で調製されるために、コアの形成後ではなくコアの形成時にシェルが形成されるようなコアを、上記非多孔質高分子粒子が含んでいてもよい。コア/シェル粒子の製造において使用することができる技法の例は、例えば、米国特許第5,872,189号、同5,185,387号および同5,990,202号の各明細書において見出すことができる。
【0051】
本発明において使用されるコア/シェル構造を有する非多孔質高分子粒子を調製するための好ましい方法には、水性媒体中にエチレン系不飽和モノマーの液滴の懸濁液または分散液を形成させること(この水性媒体は、ある量の所望の水溶性ポリマーを含有している)、および上記モノマーを重合させて、コア/シェル構造を有する固体非多孔質ポリマー粒子を形成させることが含まれる。上記水溶性ポリマーを、上記液滴の形成後で、かつ、上記重合反応の開始前に、上記水性媒体に添加することもできる。
【0052】
本発明において使用される高分子粒子のシェルに使用される水溶性ポリマーは、水に可溶性であれば、いずれの天然ポリマーまたは合成ポリマーであってもよい。例えば、水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドなどであってもよい。好ましい態様においては、水溶性ポリマーはポリビニルアルコールである。一般に、シェル材料は、コア/シェル粒子の5質量%以下を構成している。
【0053】
上記非多孔質高分子粒子の表面を、米国特許第5,288,598号、同5,378,577号、同5,563,226号、および同5,750,378号の各明細書に記載されているコロイド状無機粒子の層で覆ってもよい。また、表面を、米国特許第5,279,934号明細書に記載されているコロイド状ポリマーラテックス粒子の層で覆ってもよい。
【0054】
本発明において使用される非多孔質高分子粒子は、通常は、5.0μm未満、好ましくは1.0μm未満のメジアン直径を有する。メジアン直径とは、容量をベースとして測定された粒径分布の統計的平均値として定義される。メジアン直径の測定に関するさらなる詳細については、T.Allen, “Particle Size Measurement”,4th Ed.,Chapmanand Hall(1990)を参照されたい。
【0055】
前記の如く、本発明において使用される高分子粒子は非多孔質である。非多孔質とは、ボイドが無いか、または液体透過性ではない粒子を意味する。これらの粒子は、平滑な表面または粗い表面のいずれを有していてもよい。
【0056】
前記、本発明に用いられるバインダーとともに混合され受容層のバインダーを形成する多孔質高分子粒子は、(a)1μm未満のメジアン直径を有し、そして27モル%以上の架橋度を有するか、若しくは(b)水溶性ポリマーのシェルで覆われた高分子コアを含んでなる。これら多孔質高分子粒子は、ビーズ、または不規則な形状の粒子の形そのものである。
【0057】
本発明において使用される多孔質分子のうち、(a)は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、またはセルロース誘導体(例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、およびエチルセルロース)、ポリビニル樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルとのコポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー)、およびエチレン−アリルコポリマー(例えば、エチレン−アリルアルコールコポリマー、エチレン−アリルアセトンコポリマー、エチレン−アリルベンゼンコポリマー、エチレン−アリルエーテルコポリマー)、エチレン−アクリル系コポリマーおよびポリオキシメチレン、重縮合ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタンおよびポリカーボネートを含むポリエステル)を含んでなる。
【0058】
本発明の好ましい態様において、上記多孔質高分子粒子は、スチレン系モノマーまたはアクリル系モノマーから製造されている。このようなスチレン系ポリマーまたはアクリル系ポリマーの製造においては、いずれの好適なエチレン系不飽和モノマーまたはモノマーの混合物を使用してもよい。例えば、スチレン系化合物(例えば、スチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、塩化ビニルベンジルまたはビニルナフタレン)、またはアクリル系化合物(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、およびそれらの混合物を使用してもよい。もう1つの好ましい態様においては、メタクリル酸メチルが使用される。
【0059】
本発明において使用される多孔質高分子粒子の製造において使用される典型的な架橋用モノマーは、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンまたはそれらの誘導体)、ジエチレンカルボン酸のエステルおよびアミド(例えば、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジエチレングリコール)、および他のジビニル化合物(例えば、ジビニルスルフィド化合物またはジビニルスルホン化合物)である。ジビニルベンゼンおよびジメタクリル酸エチレングリコールがとりわけ好ましい。上記多孔質高分子粒子は、27モル%以上、好ましくは50モル%以上、もっとも好ましくは100モル%の架橋度を有する。架橋度は、多孔質高分子粒子に導入されている多官能架橋用モノマーのモル%によって定まる。
【0060】
本発明において使用される多孔質高分子粒子は、例えば、多孔質有機化合物の微粉砕および分級によって、有機モノマーの乳化重合、懸濁重合、および分散重合によって、有機化合物を含有している溶液の噴霧乾燥によって、または水不混和性溶媒中に有機材料を溶解させ、この溶液を微細な液滴として水溶液中に分散させ、そして上記溶媒を蒸発または他の好適な技法によって除去することからなるポリマー懸濁技法によって、調製することができる。バルク重合、乳化重合、分散重合、および懸濁重合の各手順については、ポリマー技術分野における当業者によく知られており、前記教科書等において教示されている。
【0061】
多孔質ポリマー粒子を合成するための技法については、例えば、米国特許第5,840,293号、同5,993,805号、同5,403,870号、および同5,599,889号の各明細書、並びに特開平5−222108号公報(1993年)において教示されている。例えば、不活性液体または多孔質化剤(porogen)を、多孔質ポリマー粒子の製造において使用されるモノマーと混合してもよい。ポリマーは多孔質化剤の周りに形成され、それにより、細孔の網状組織が形成されるので、重合が完了した後に、この時点において、得られた高分子粒子は実質的に多孔質である。この技法については、上記において参照した米国特許第5,840,293号明細書に、より完全に記載されている。
【0062】
本発明において使用される多孔質高分子粒子を調製するための好ましい方法には、水性媒体中に上記架橋用モノマーおよび多孔質化剤を含有しているエチレン系不飽和モノマーの液滴の懸濁液または分散液を形成させること、上記モノマーを重合させて、固体多孔質高分子粒子を形成させること、並びに任意選択的にバキュームストリッピングによって上記多孔質化剤を除去することが含まれる。このようにして調製された粒子は、比表面積によって測定した場合に、35m2/g以上、好ましくは、100m2/g以上の多孔度を有する。この表面積は、通常は、当業者に既知のB.E.T.窒素分析によって測定される。
【0063】
また前記(b)に使用されるコア/シェル粒子のためのコアとして使用することができる高分子ポリマーは、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、またはセルロース誘導体(例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、およびエチルセルロース)、ポリビニル樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルとのコポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー)、およびエチレン−アリルコポリマー(例えば、エチレン−アリルアルコールコポリマー、エチレン−アリルアセトンコポリマー、エチレン−アリルベンゼンコポリマー、エチレン−アリルエーテルコポリマー)、エチレン−アクリル系コポリマーおよびポリオキシメチレン、重縮合ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタンおよびポリカーボネートを含むポリエステル)を含んでなる。
【0064】
本発明の好ましい態様において、上記多孔質高分子コアは、スチレン系モノマーまたはアクリル系モノマーから製造されている。このようなスチレン系ポリマーまたはアクリル系ポリマーの製造においては、いずれの好適なエチレン系不飽和モノマーまたはモノマーの混合物を使用してもよい。例えば、スチレン系化合物(例えばスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、塩化ビニルベンジルまたはビニルナフタレン)、またはアクリル系化合物(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、およびそれらの混合物を使用してもよい。もう1つの好ましい態様においては、メタクリル酸メチルが使用される。
【0065】
上記多孔質高分子粒子を改質して特に望ましい性質を生じさせるために、好適な架橋用モノマーを、上記多孔質高分子コアの形成において使用してもよい。典型的な架橋用モノマーは、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンまたはそれらの誘導体)、ジエチレンカルボン酸のエステルおよびアミド(例えば、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジエチレングリコール)、および他のジビニル化合物(例えば、ジビニルスルフィド化合物またはジビニルスルホン化合物)である。ジビニルベンゼンおよびジメタクリル酸エチレングリコールがとりわけ好ましい。架橋用モノマーは、いずれの量で使用してもよいけれども、少なくとも27モル%が好ましい。
【0066】
本発明において使用される多孔質高分子粒子は、例えば、多孔質有機化合物の微粉砕および分級によって、有機モノマーの乳化重合、懸濁重合、および分散重合によって、有機化合物を含有している溶液の噴霧乾燥によって、または水不混和性溶媒中に有機材料を溶解させ、この溶液を微細な液滴として水溶液中に分散させ、そして上記溶媒を蒸発または他の好適な技法によって除去することからなるポリマー懸濁技法によって調製することができる多孔質高分子コアを有する。バルク重合、乳化重合、分散重合、および懸濁重合の各手順については、ポリマー技術分野における当業者によく知られており、前記教科書等において教示されている。
【0067】
多孔質ポリマー粒子を合成するための技法については、例えば、米国特許第5,840,293号、同5,993,805号、同5,403,870号、および同5,599,889号の各明細書、並びに特開平5−222108号公報(1993年)において教示されている。例えば、不活性液体または多孔質化剤(porogen)を、コアの製造において使用されるモノマーと混合してもよい。ポリマーは多孔質化剤の周りに形成され、それにより、細孔の網状組織が形成されるので、重合が完了した後に、この時点において、得られた高分子粒子は実質的に多孔質である。この技法については、上記において参照した米国特許第5,840,293号明細書に、より完全に記載されている。
【0068】
本発明において使用されるコア/シェル構造を有する多孔質高分子粒子を調製するための好ましい方法には、水性媒体中に架橋用モノマーおよび多孔質化剤を含有しているエチレン系不飽和モノマーの液滴の懸濁液または分散液を形成させること(この水性媒体は、ある量の所望の水溶性ポリマーを含有している)、上記モノマーを重合させて、コア/シェル構造を有する固体多孔質ポリマー粒子を形成させること、並びに任意選択的にバキュームストリッピングによって上記多孔質化剤を除去することが含まれる。上記水溶性ポリマーを、上記液滴の形成後で、かつ、上記重合反応の開始前に、上記水性媒体に添加することもできる。
【0069】
上述の多孔質高分子コアを覆うシェルは、当該技術分野において知られている種々の技法を使用して形成することができる。一般に、上記コア/シェル粒子の水溶性ポリマーのシェルは、あらかじめ形成されたコアを水溶性ポリマーと単に接触させるだけでは、多孔質高分子コア上に形成させることはできない。代わりに、水溶性ポリマーが、コアの表面と化学反応するか、またはコアの表面に強く吸着される条件を確立する必要がある。このような条件は当業者に既知であり、化学反応性のコア表面およびバインダーポリマーを使用して達成することができる。また、コアが水溶性ポリマーの存在下で調製されるために、コアの形成後ではなくコアの形成時にシェルが形成されるようなコアを、上記多孔質高分子粒子が含んでいてもよい。コア/シェル粒子の製造において使用することができる技法の例は、例えば、米国特許第5,872,189号、同5,185,387号および同5,990,202号の各明細書において見出すことができる。
【0070】
本発明において使用される高分子粒子のシェルに使用される水溶性ポリマーは、水に可溶性であれば、いずれの天然ポリマーまたは合成ポリマーであってもよい。例えば、水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドなどであってもよい。好ましい態様においては、水溶性ポリマーはポリビニルアルコールまたはゼラチンである。一般に、シェル材料は、コア/シェル粒子の5質量%以下を構成している。
【0071】
上記多孔質高分子粒子を、米国特許第5,288,598号、同5,378,577号、同5,563,226号、および同5,750,378号の各明細書に記載されているコロイド状無機粒子の層で覆ってもよい。また、上記多孔質高分子粒子を、米国特許第5,279,934号明細書に記載されているコロイド状ポリマーラテックス粒子の層で覆ってもよい。
【0072】
本発明において使用される多孔質高分子粒子は、1μm未満、好ましくは0.01〜1.0μm未満、より好ましくは0.01〜0.6μm未満のメジアン直径を有する。メジアン直径とは、容量をベースとして測定された粒径分布の統計的平均値として定義される。
【0073】
上記の如く、本発明において使用される高分子粒子は多孔質である。多孔質とは、ボイドが有るか、または液体透過性である粒子を意味する。これらの粒子は、平滑な表面または粗い表面のいずれを有していてもよい。
【0074】
これらから構成されるバインダー(B)と空隙層をなす微粒子(F)の比F/Bは、3〜7である事が好ましく、さらには4.5〜6.5である事が好ましい。F/Bが3より小さいと塗布時に乾燥風によるふかれが発生し、塗布ムラになりやすく、7より大きいとひび割れが多数発生するなどして塗布表面が荒れた状態なってしまうことがある。
【0075】
本発明のインクジェット記録媒体のインク受容性層側の任意の層中には、必要に応じて紫外線吸収剤、退色防止剤、蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、硬膜剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることができる。
【0076】
硬膜剤としては無機または有機の硬膜剤を使用することができ、例えばクロムみょうばん、ホルムアルデヒド、グリオキサール、エポキシ系化合物、ビニルスルホン系化合物、アクリロイル系化合物、s−トリアジン系化合物、N−メチロール系化合物、カルボジイミド系化合物、およびエチレンイミノ系化合物等を使用することができる。
【0077】
本発明のインク記録面側の任意の構成層中には、インクの定着剤としてポリカチオン高分子電解質、塩基性ラテックスポリマー、ポリアリルアミン、アルカリ金属弱酸塩等を一種以上用いることができる。
【0078】
本発明で用いることのできる支持体としては、従来医療用記録材料で公知のものを適宜使用できるが、より高い濃度でより鮮明な画像を必要とされる医療用途では支持体中にインク液が浸透しない疎水性支持体を用いるのが好ましい。透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料からなるフィルム等が挙げられ、なかでも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル系樹脂のフィルムであることが好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、70〜300μmが好ましい。黒色画像を観察する医療用途では、支持体が青色の着色されていることが好ましい。さらに支持体のインク受容層側およびバック層側には、ハロゲン化銀写真感光材料等の分野で公知の下引き層を設けてもよい。また、反射画像を観察する場合には、不透明支持体を使用することができ、具体的には基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットを用いることが好ましい。さらに上記の透明支持体と不透明支持体を積層した複合支持体てあってもかまわない。
【0079】
上記支持体とインク受像層の接着強度を大きくする等の目的で、インク受容層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理やグロー放電処理等を行うことが好ましい。
【0080】
本発明の記録媒体の保護層、空隙層および下引き層などを支持体上に塗布する方法は公知の方法から適宜選択して行うことが出来る。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に、全ての親水性バインダー層を1回の塗布で行う重層同時塗布が好ましい。特に好ましい塗布方法は、例えば、特開平6−64306号に記載されている方法に近似の方法で、各層の塗布液を支持体上に塗布後、冷却してゲル状態もしくは高粘度状態にした後乾燥する方法である。
【0081】
塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法あるいはホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。さらに保護層がうすい場合には、保護層をスプレー上に噴霧して塗設してもかまわない。
【0082】
本発明のインクジェット記録媒体を用いて画像記録する際には、水性インクを用いた記録方法が用いられる。本発明で言う水性インクとは、下記着色剤及び液媒体、その他の添加剤から成る記録液体である。着色剤としてはインクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素、カーボンブラックや、アニリンブラックなどの顔料等を使用することができる。
【0083】
インクの色としては、黒色であることが好ましく、黒色染料や各種染料を混合し黒色にしてもかまわない。水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等は好ましいものである。
【0084】
その他の水性インクの添加剤としては、例えばpH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が挙げられる。水性インク液は記録媒体に対する濡れ性が良好にするために、20℃において、25〜60mN/m、好ましくは30〜50mN/mの範囲内の表面張力を有するのが好ましい。
【0085】
【実施例】
以下に、合成例、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
【0086】
《高分子粒子の合成》
以下のように、本発明A−1〜A−7の高分子粒子および比較例H−1〜H−4の高分子粒子を合成した。
【0087】
(比較例H−1 高分子粒子の合成)
ビーカーに、以下の成分を添加した。704gのメタクリル酸メチル、1428gのジメタクリル酸エチレングリコール、57.6gのスルホ琥珀酸ナトリウムのジオクチルエステルであるAerosol OT−100、40gのヘキサデカン、および32gの2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)であるVazo 52(DuPont Corp.)。これらの成分を、すべての固体が溶解するまで撹拌した。この溶液に、6720gの蒸留水を添加した。次に、この混合物を、船用プロペラタイプの撹拌機を用いて10分間撹拌した。この混合物を、3.5kN/cm2において作動しているCrepacoホモジナイザーに通した。以下に記載するさらなる使用のために、得られたモノマー液滴分散液の1.5kgのアリコートを取り出した。
【0088】
次に、上記混合物の残りを12リットルのフラスコに添加した。このフラスコを52℃の恒温浴に入れ、75回転/分で16時間撹拌して、上記モノマーの液滴を重合させて、高分子粒子とした。これらの高分子粒子を、粒径分析器であるHoribaLA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.174μmであることが判った。
【0089】
(本発明A−1 コア/シェル高分子粒子の合成)
上記のモノマー液滴分散液の1.5kgのアリコートを3リットルのフラスコに入れ、150gのGohsenol GH−23(Gohsen Nippon社製)から製造された10%ポリビニルアルコール(PVA)溶液を添加した。次に、このフラスコを52℃の恒温浴に入れ、75回転/分で16時間撹拌して、上記モノマーの液滴を重合させて、PVAのシェルによって包まれている高分子コアとした。これらのコア/シェル高分子粒子を、粒径分析器であるHoriba LA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.181μmであることが判った。
【0090】
(比較例H−2 高分子粒子(架橋度0モル%)の合成)
ビーカーに、以下の成分を添加した。2132gのメタクリル酸メチル、57.6gのスルホ琥珀酸ナトリウムのジオクチルエステルであるAerosol OT−100、40gのヘキサデカンおよび32gの2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)であるVazo 52(DuPont Corp.)。これらの成分を、すべての固体が溶解するまで撹拌した。この溶液に、6720gの蒸留水を添加した。次に、この混合物を、船用プロペラタイプの撹拌機を用いて、10分間撹拌した。この混合物を、3.5kN/cm2において作動しているCrepacoホモジナイザーに通した。
【0091】
次に、上記混合物を、12リットルのフラスコに添加した。このフラスコを、52℃の恒温浴に入れ、75回転/分で16時間撹拌し、上記モノマーの液滴を重合させて、非多孔質高分子粒子とした。これらの非多孔質高分子粒子を粒径分析器であるHoriba LA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.174μmであることが判った。
【0092】
(本発明A−2 架橋度34モル%の高分子粒子の合成)
この配合物は、2132gのメタクリル酸メチルを1066gのメタクリル酸メチルおよび1066gのジメタクリル酸エチレングリコールで置き換えたことを除き、比較例H−2と同じに調製した。
【0093】
(本発明A−3 架橋度100モル%の高分子粒子の合成)
この配合物は、2132gのメタクリル酸メチルを2132gのジメタクリル酸エチレングリコールで置き換えたことを除き、比較例H−2と同じに調製した。
【0094】
(比較例H−3 高分子粒子の合成)
ビーカーに、以下の成分を添加した。1125gのメタクリル酸メチル、1125gのジメタクリル酸エチレングリコール、多孔質化剤としての750gのトルエン、81.0gのスルホ琥珀酸ナトリウムのジオクチルエステルであるAerosol OT−100、56.4gのヘキサデカン、および45.0gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)であるVazo 52(DuPont Corp.)。これらの成分を、すべての固体が溶解するまで撹拌した。
【0095】
この溶液に、9460gの蒸留水を添加した。次に、この混合物を、船用プロペラタイプの撹拌機を用いて20分間撹拌した。この混合物を、3.5kN/cm2において作動しているCrepacoホモジナイザーに通した。以下に記載するさらなる使用のために、得られたモノマー液滴分散液の1.6kgのアリコートを2つ取り出した。次に、上記混合物の残りをフラスコに添加し、52℃の恒温浴に入れ、75回転/分で16時間撹拌し、次に、70℃において2時間撹拌して、上記モノマーの液滴を重合させて、多孔質高分子粒子とした。
【0096】
上記生成物を粗フィルターに通して濾過し、凝固分を除去した。次に、トルエンおよびいくらかの水を、減圧下、70℃において留去し、28.6%の固形分とした。多孔質高分子粒子を、粒径分析器であるHoriba LA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.160μmであることが判った。この分散液の一部を乾燥し、BETマルチポイント(multipoint)によって分析したところ、71.10m2/gの全表面積および0.274ml/gの全孔隙量を有していた。
【0097】
(本発明A−4 コア/シェル高分子粒子の合成)
上記のモノマー液滴分散液の1.6kgのアリコートの一方を3リットルのフラスコに入れ、68.6gの膨潤ゼラチン(乾燥質量のゼラチン35%、水65%)を添加した。次に、このフラスコを52℃の恒温浴に入れ、75回転/分で16時間撹拌し、次に、70℃において2時間撹拌して、上記モノマーの液滴を重合させて、ゼラチンのシェルによって包まれている多孔質高分子コアとした。
【0098】
上記生成物を粗フィルターに通して濾過し、凝固分を除去し、次に、トルエンおよびいくらかの水を、減圧下、70℃において留去し、28.6%の固形分とした。コア/シェル高分子粒子を、粒径分析器であるHoriba LA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.170μmであることが判った。この分散液の一部を乾燥し、BETマルチポイントによって分析したところ、36.06m2/gの全表面積および0.204ml/gの全孔隙量を有していた。
【0099】
(本発明A−5 コア/シェル高分子粒子の合成)
上記のモノマー液滴分散液の1.6kgのアリコートの他方を3リットルのフラスコに入れ、Gohsenol GH23(Gohsen Nippon社製)から製造された、190gの10%ポリビニルアルコール溶液を添加した。次に、このフラスコを52℃の恒温浴に入れ、75回転/分で16時間撹拌し、次に、70℃において2時間撹拌して、上記モノマーの液滴を重合させて、ポリビニルアルコールのシェルによって包まれている多孔質高分子コアとした。
【0100】
上記生成物を粗フィルターに通して濾過し、凝固分を除去し、次に、トルエンおよびいくらかの水を、減圧下、70℃において留去し、23.7%の固形分とした。コア/シェル高分子粒子を、粒径分析器であるHoriba LA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.170μmであることが判った。この分散液の一部を乾燥し、BETマルチポイントによって分析したところ、54.321m2/gの全表面積および0.266ml/gの全孔隙量を有していた。
【0101】
(比較例H−4 架橋度35質量%(21モル%)の高分子粒子)の合成
ビーカーに、以下の成分を添加した。モノマー混合物としての195gのメタクリル酸メチルおよび105gのジメタクリル酸エチレングリコール、多孔質化剤としての92gのトルエン、8gのヘキサデカン、10.8gのスルホ琥珀酸ナトリウムのジオクチルエステル(Aerosol OT−100)、並びに5.6gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)であるVazo 52(DuPont Corp.)。これらの成分を、すべての固体が溶解するまで撹拌した。
【0102】
この溶液に、1200gの蒸留水を添加した。次に、この混合物を、船用プロペラタイプの撹拌機を用いて5分間撹拌し、粗乳剤を形成させた。この粗乳剤を、3600回転/分、0.25mmのギャップ、および3.8kg/分の流量に設定されたGaulinコロイドミルに2回通した。得られたモノマー液滴分散液を、2リットルの三つ口丸底フラスコに入れた。このフラスコを50℃の恒温浴に入れ、分散液を、正圧の窒素下、140回転/分で16時間撹拌し、上記モノマーの液滴を重合させて、多孔質高分子粒子とした。生成物を粗フィルターに通して濾過し、凝固分を除去した。次に、トルエンおよびいくらかの水を、減圧下、70℃において留去し、32.5%の固形分とした。多孔質高分子粒子を、粒径分析器であるHoriba LA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.6μmであることが判った。この分散液の一部を乾燥し、Quantachrome Corp.のNOVA 1000分析器を使用するB.E.T.Multipointによって分析したところ、比表面積は29.36m2/gであった。
【0103】
(本発明A−6 架橋度45質量%(29モル%)の多孔質高分子粒子の合成)
この配合物は、上記モノマー混合物を300gのジメタクリル酸エチレングリコールとしたことを除き、比較例H−4と同じに調製した。得られた多孔質高分子粒子は、メジアン直径が0.6μmであり、200.9m2/gの比表面積を有していた。
【0104】
(本発明A−7 架橋度45質量%(29モル%)の多孔質高分子粒子の合成)
この配合物は、上記モノマー混合物を165gのメタクリル酸メチルおよび135gのジメタクリル酸エチレングリコールとしたことを除き、比較例H−4と同じに調製した。得られた多孔質高分子粒子は、メジアン直径が0.6μmであり、37.2m2/gの比表面積を有していた。
【0105】
《記録媒体の作製》
上記調製した各高分子粒子に、高分子量ポリビニルアルコール(PVA−245:クラレ社製)の水溶液(固形分6%)もしくは、豚皮ゼラチン(SKW Corp.)から製造されたゼラチン溶液(固形分10%)を表1に記載の比になるように混合し、高分子微粒子含有バインダー(B)を調製した。
【0106】
〔空隙受像層塗布液の調製〕
(シリカ分散(分散液A)液の調製)
純水44.2kg中に、希硝酸(濃度6%)を84g添加し、さらにエタノール(メタノールを5%含有)249gを加えよく攪拌した。この液をホモジナイザーで攪拌しながら、一次粒径が12nmの気相法シリカ(QS−20:トクヤマ社製)11.5kgをゆっくりと加えた。全量を加えた後さらに1時間攪拌を続け、50Lのシリカ水分散液を調製した。
【0107】
(シリカ分散液とカチオンポリマーの混合分散液(分散液B)の調製)
純水5.09kg中に、エタノール(メタノールを5%含有)257.6gを加え、さらに希硝酸(6%)を30.4g加え、さらに、ポリ(トリメチルアミノエチルメタクリレートの塩酸塩)の25%水溶液を2392g添加し攪拌しながら45℃に加熱した。この中をホモジナイザーでよく攪拌しながら、分散液Aをゆっくりと28.85kg添加した。添加後1時間攪拌を続けた。この間に、純水3073.2g中に、ホウ酸124.4g、ホウ砂112.4gを溶解し、上記分散液中に添加した。この後、液中のだまがなくなるまでホモミキサーで攪拌、さらに、4000MPaの圧力で3サイクルの分散を行い、分散液Bを調製した。
【0108】
(アルミナ水和物分散物の調製)
米国特許第4,242,271号に記載された方法で、アルミニウムアルコキシドを製造した。次に、米国特許第4,202,870号に記載された方法で前記アルミニウムアルコキシドを加水分解してアルミナスラリーをアルミナ水和物固形分が7.9%になるまで水を加えた。アルミナスラリーのpHは9.5であった。3.9%の硝酸溶液を加えてpHは6.8に調整した。これを110℃6時間で熟成してコロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを75℃でスプレー乾燥して得られたアルミナ水和物を用いた。このアルミナ水和物をイオン交換水に分散し、アルミナ水和物分散物ALを得た。
【0109】
(空隙層塗布液の調製)
分散液Bもしくはアルミナ水和物分散物ALの33.0kgに、純水1.16Lを加え、スリーワンモーターで攪拌しながら、45℃に加熱保持した。この中に、上記調製した各高分子粒子含有バインダー(B)を表1に記載のF/B比になるように添加した(場合によっては添加しない)。さらに、10%サポニン(キラヤニン C−100 丸善製薬製)を148gを加え、濃度1%のプロキセルGXL(ゼネカ社製)を750g加え、純水4Lを加えて空隙層塗布液を調製した。
【0110】
(医療用インクジェット記録媒体の作製)
両面が下引処理され、濃度0.16に青色着色されている厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルム記録面の裏面側にアルカリ処理ゼラチン1.2g/m2と硬膜剤を含有する層を塗設した。
【0111】
記録面側に、上記空隙受像層用塗布液を、各々乾燥膜厚が30μmとなるように、スライドコーターにて塗布し、塗膜を0℃の冷風でゲル化させた後、40℃の温風で乾燥して、医療用インクジェット記録媒体である試料1〜35を作製した。
【0112】
【表1】
【0113】
《各特性評価》
〈インク吸収性の評価〉
インクジェットプリンター(MJ−910C エプソン社製)により作製したインク記録材料の色材受容層面に、専用の水性インクを4センチメートル四方ベタ印字し、印字直後(約10秒後)に紙を接触し、インクの媒体(インク記録材料の色材受容層)への吸収速度および紙への転写状況を調べ、下記に示す基準に則り評価を行った。
【0114】
5:インクの吸収速度が早く、インクが転写されなかった
4:インクの吸収は早いが、インクがわずかに転写された
3:インクの吸収は遅いが、インクの転写はわずかだった
2:インクの吸収が遅く、インクが転写された
1:インクが流れた
〈ひび割れ耐性の評価〉
上記作製した各記録媒体を50℃、23%RHの雰囲気下で24時間調湿した後、10cm四方に断裁し、表面に発生しているひび割れの数を光学顕微鏡でカウントし、以下の基準で評価した。
【0115】
5:0個
4:1〜3個
3:4〜9個
2:10〜19個
1:20個以上
〈耐傷性の評価〉
曲率半径が0.10mmのサファイヤ針に、0〜200gの荷重をかけ、試料に傷が付き始めた加重を評価した。
【0116】
5:200g
4:196〜199g
3:176〜195g
2:131〜175g
1:0〜130g
〈画像のにじみ耐性の評価〉
インクジェットプリンター(前出)により、インク記録材料の色材受容層面に、作製した水性インク組成物を4センチメートル四方ベタ印字した。印字した試料を23℃、相対湿度80%の環境下で72時間保存した後、印字部分からのインクの滲みによるはみ出し個数をシャーカステンにて観察し、下記の基準に則り判定した。
【0117】
5:なし
4:5個未満
3:5〜20個未満
2:20〜30個未満
1:30より多い
以上により得られた結果を表2に示す。
【0118】
【表2】
【0119】
表2より明らかなように、本発明の記録媒体は、比較例に対して、インク吸収性、ひび割れ耐性、耐傷性及び画像のにじみ耐性に優れていることが分かる。
【0120】
【発明の効果】
本発明により、傷つきにくく、画像のにじみを防止し、ひび割れがなく、かつ十分なインク吸収性を有する医療用のインクジェット記録材料を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録媒体に関し、特に医療診断用の画像を表示するのに適した医用画像形成用のインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人体の内部の情報を検査する方法としてポピュラーな放射線写真システムは、放射線を人体に透過した後増感紙(X線変換スクリーン)によって、ハロゲン化銀乳剤に感度のある光に変換し、ハロゲン化銀写真フィルムを露光し、これを現像定着、洗浄、乾燥して、得られる画像を基に診断が行われる。
【0003】
また、医用画像検査法(以下、医用画像検査法とは前記人体の内部の画像を与える各種検査法のことを示す)は、近年、デジタルの形で診断評価に好適な医用画像(以下、医用画像とは前記医用画像検査法により得られた画像のことを示す)が得られる。このようなデジタルの形で診断評価に好適な画像を提供する医用画像の例としては、デジタル減算方式血管造影法、磁気共鳴画像形成法、コンピューター断層撮影法、コンピューター使用放射線写真などが挙げられ、これらの画像は、ディスプレイスクリーン又は透明フィルムハードコピーに画像を出力することが可能である。
【0004】
通常、医用画像は一人或いは数人の医師により詳細に診断される。すなわち、医用画像は容易に適時に見られることが必要であり、詳細な観察を必要とする場合には、ディスプレイスクリーンを介して評価される。この場合には、高解像度/高ダイナミックレンジを有するディスプレイ装置が必要となる。
【0005】
通常、デジタル医用画像のハードコピーは、レーザイメージャによって出力される。このレーザイメージャは、ハロゲン化銀記録媒体上に医用画像を形成する。しかしながら、レーザイメージャ構成は、かなり複雑な構成を有しているために、現在市販されているものは非常に高価である。また、レーザイメージャは、各種医用画像検査法により得られたデジタル医用画像を画像ネットワークで結び、印刷できるようにネットワークの核としてシステム化されている。周知のごとく、医用診断には時間が緊迫している場合が多々あり、レーザイメージャやネットワークの故障により、レーザイメージャによる医用画像出力ができなくなった場合には、重大な問題となる。多くの場合、このような問題を回避するために数台のレーザイメージャを設置したり、緊急用回線を設置したり、高価なレーザイメージャを数台設置することを余儀なくされており、バックアップ用の安価なデジタル出力装置が望まれている。また、小規模な病院では安価なデジタル出力装置がないため、デジタル化への対応が遅れている。
【0006】
ところで、オフィス用やパーソナル用向けのコンピュータやワードプロセッサの画像出力装置として、例えば、ワイヤードット出力方式、感熱発色出力方式、感熱溶融転写出力方式、感熱昇華転写出力方式、電子写真出力方式、インクジェット出力方式などが開発されている。これらの画像形成出力装置の主な使用方法は、コンピュータなどによって作成された文字、図形などのデジタル情報を、紙などの不透明支持体や、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)などの原稿に出力される。近年、パーソナルコンピューターの急速な技術革新により、個人のレベルで複雑なデジタル画像を扱えることができるようになったのに伴い、画像出力装置の技術も急速に進展し、印刷直後の画像であれば従来のハロゲン化銀カラー写真に匹敵する画像を手軽に出力できるようになっている。このなかでもインクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録フィルムに付着させ、画像・文字などの記録を行うインクジェット記録方式は、装置が比較的簡単であるにもかかわらず、高速、低騒音、多色化が容易で、かつ安価である等の利点を有している。そのため、各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等、さまざまな分野に急速に普及している。このようなオフィス用装置であるインクジェット出力装置が、医療用の出力装置として使えるならば、装置自身を安価にすることができる。
【0007】
インクジェット記録方式で使用されるインクジェット記録材料(以下、単に記録材料ともいう)としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合に於いてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、かつ周辺が滑らかで、ぼやけないこと等の性能が追求されており、これらの性能は、医療用途としても魅力的である。
【0008】
高画質の記録材料としては、各種支持体上に記録層としてインク受容層を塗布したものが使用されている。このようなインク受容層としては、親水性バインダーを主体に構成されるいわゆる膨潤型のインク受容層と、空隙層を記録層中に持つ空隙型のインク受容層に大きく分けられる。そのうち、空隙型のインク受容層を有するインクジェット記録材料は、微粒子がおこし状に空隙を作るのを親水性バインダーで接着させることにより空隙を形成させ、いわゆる毛細管現象によりインクを吸うインク受容層であり、インク溶剤にバインダーが溶解する膨潤型に比較して、インク吸収速度に優れている。
【0009】
しかしながら空隙型インク受容層は、その構造から、インク受容層自身がひび割れてしまったり、もろく、傷つきやすいという問題があった。これらの問題は、医療用記録材料としては致命的な欠陥であり、市販の記録媒体を医療用途に単純に用いることはできなかった。
【0010】
また、水溶性ポリマーと高分子粒子からなる受容層を用いて、パットリング(隣接するドットが混ざり合い滲むこと)を防止し、ひび割れがない記録媒体が特開2002−52818、特開2002−52821等で提案されているが、インク吸収速度及び量が、医用記録材料としての実用には不足しており、耐傷性についても医師を満足させるに至っていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、傷がつきにくく、画像のにじみを防止し、ひび割れを起こしにくく、かつインク吸収能に優れた医療用のインクジェット記録材料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
【0013】
1.水溶性ポリマーのシェルで覆われた高分子コアを有するコア/シェル構造からなる非多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0014】
2.少なくとも30モル%の架橋度を有する非多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0015】
3.水溶性ポリマーのシェルで覆われた高分子コアを有するコア/シェル構造からなる多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0016】
4.1μm未満のメジアン直径を有し、27モル%以上の架橋度を有する多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0017】
5.前記高分子バインダーが、前記非多孔質高分子粒子を少なくとも80質量%含むことを特徴とする前記1項に記載のインクジェット記録媒体。
【0018】
6.前記高分子バインダーが、前記非多孔質高分子粒子を少なくとも80質量%含むことを特徴とする前記2項に記載のインクジェット記録媒体。
【0019】
7.前記高分子バインダーが、前記多孔質高分子粒子を少なくとも70質量%含むことを特徴とする前記3項に記載のインクジェット記録媒体。
【0020】
8.前記高分子バインダーが、前記多孔質高分子粒子を少なくとも70質量%含むことを特徴とする前記4項に記載のインクジェット記録媒体。
【0021】
9.前記空隙型のインク受容層が、4〜300nmの一次粒径を有するシリカ粒子を含有することを特徴とする前記1〜8項のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録媒体(以下、本発明の記録媒体ともいう)において、空隙型のインク受容層は、親水性または疎水性のバインダー、無機または有機の固体粒子、或いは油滴等の固体成分とその間に形成される空隙から成る。
【0023】
空隙の形成は種々の方式で行うことができ、その方法により空隙層が含有する固体成分も異なるのが一般的である。
【0024】
以下に代表的な空隙層の形成方法について説明する。
A.2種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法。
【0025】
B.固体微粒子および親水性または疎水性バインダを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、記録媒体を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を形成する方法。
【0026】
C.皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法。
【0027】
D.多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や粒子間に空隙を形成する方法。
【0028】
E.親水性バインダーに対して概ね等量以上(好ましくは1.0倍以上)の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布して、固体微粒子の間に空隙を形成する方法。
【0029】
F.平均粒径が約0.1μm程度以下の固体微粒子を塗布液調製時、または皮膜形成時に凝集させて二次粒子、または三次元構造を形成して空隙を形成する方法。
【0030】
本発明の記録媒体における空隙の形成方法は、上記のいかなる手段によっても良いが、空隙の大きさは約0.5μm、好ましくは約0.3μm、特に好ましくは約0.2μm程度以下であり、充填物の大きさや皮膜形成時の製造条件もこの様な空隙を形成する条件になるように設定するのが好ましい。また、記録媒体を低コストで作製すると言う観点から複雑な製造工程を取らずに作製できる方法が好ましい。
【0031】
本発明の記録媒体において、空隙層の空隙総量は、インク付着量の多い医療用途に用いるためには、インクが溢れて画質を低下させないように、記録媒体1m2当たり30ml以上であることが好ましい。一方、空隙容量の上限は特に制限されないが、空隙層の乾燥膜厚は概ね70μm以下にすることが、塗布乾燥時皮膜のひび割れ等の皮膜の物理的特性を悪化させないために好ましい。また、空隙層の空隙率を50容量%以上にすることが好ましい。
【0032】
ここで空隙率とは、空隙層中の乾燥膜厚(Aμm)を測定し、試料を10cm×10cmに切断し重さを秤量し(Bg)、純水中に1分間漬けた後、表面に浮いている純水を、濾紙で拭い去った後の重さを秤量し(Cg)以下の式より計算される値である。
【0033】
空隙率(%)=(C−B)×100/A×100
空隙層が固体微粒子を含有する空隙層で有る場合、固体微粒子としては従来インクジェット記録媒体で公知の各種の無機または有機の固体微粒子を用いることが出来る。
【0034】
上記目的で用いられる無機微粒子の例としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の無機顔料等を挙げることが出来る。
【0035】
この様な無機微粒子は、一次粒子のままでバインダー中に均一に分散された状態で用いられても、また、二次凝集粒子を形成してバインダー中に分散された状態で添加されても良い。
【0036】
一方、有機微粒子の例としては、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等が挙げられる。
【0037】
本発明においては、鮮明な画像を記録し、低コストで製造できる等の点より、固体微粒子として、アルミナ水和物微粒子、シリカ微粒子および炭酸カルシウムから選ばれる固体微粒子を用いることが好ましい。
【0038】
本発明に好ましく用いられるアルミナまたはアルミナ水和物は、半径が3〜10nmを有する細孔容積の和が0.2〜2ml/gである多孔質アルミナまたはその含水物である。細孔容積の測定手段は、アルミナまたはアルミナ水和物の乾燥固形分に対して公知の窒素吸着法により測定することが出来る。
【0039】
アルミナまたはアルミナ水和物は結晶性であっても、非晶質であっても良く、また、形状は不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状の物を使用することが出来る。
【0040】
本発明に使用されるシリカ系微粒子としては、従来のインクジェット記録媒体で公知の各種のシリカ系微粒子を使用することができ、例えば、湿式または気相法で合成された合成シリカ、コロイダルシリカ、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している多孔質シリカ等、任意の形状のシリカを使用することができる。その様な例として、例えば、特開昭55−51583号および同56−148583号等に記載された合成非晶質シリカ、例えば特開昭60−204390号に記載された気相法により合成されたシリカ超微粒子、特開昭60−222282号に記載されたフッ素を含有する合成不定形シリカ、特開昭60−224580号および同62−178384号に記載されたシランカップリング剤により表面処理された合成不定形シリカ、例えば特開昭62−183382号および同63−104878号に記載された球状シリカ、特開昭63−317381号に記載されたNa2O含有量が0.5質量%以上である合成シリカ微粒子、特開平1−115677号に記載された比表面積が100m2/g以上の合成シリカ微粒子、特開昭62−286787号に記載されたアルミナ表面処理された合成シリカ微粒子、特開平1−259982号に記載されたCa、MgまたはBaで表面処理された合成シリカ微粒子、吸油量が180ml/g以上の合成シリカ微粒子、特開昭57−14091号に記載されたコロイダルシリカ、特開昭60−219084号、特開平6−92011号、同6−297830号および同7−81214号に記載されたカチオン性コロイダルシリカ、および特開平5−278324号および同7−81214号に記載された数珠状に連結した、または分岐したコロイダルシリカ等を挙げることができる。なかでも高い空隙容量を得る観点からは、平均粒径が7〜30nmのシリカ超微粒子を用いることが好ましい。このシリカ微粒子は表面をカチオン変成されたものであってもよく、また、Al、Ca、MgおよびBa等で処理された物であってもよい。本発明の記録媒体に用いられる炭酸カルシウムとしては、例えば、特開昭57−120486号、同57−129778号、同58−55283号、同61−20792号に記載された特定の比表面積を有する軽質炭酸カルシウム、特開昭63−57277号および特開平4−250091号に記載された針柱状炭酸カルシウム、特開平3−251487号に記載された特定の針状一次粒子が凝集して、二次粒子を形成した炭酸カルシウム微粒子、特開平4−250091号及び同4−260092号に記載された特定の吸油量を有する針柱状の斜方晶アルゴナイト炭酸カルシウム、および特開平7−40648号に記載された球状沈降性炭酸カルシウム等が挙げられる。この中でも高い空隙容量を得られることから、粒径が約0.1μm以下の炭酸カルシウム微粒子を使用することが好ましく、特に平均粒径が10〜50nmの炭酸カルシウム微粒子を使用することが好ましい。
【0041】
本発明の記録媒体の上記空隙層は、皮膜としての特性を維持するためにバインダーを有していることが好ましい。このバインダーとしては従来公知の各種のバインダーを使用することができるが、インクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが好ましく用いられる。しかしながら、親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーが膨潤して、インクの初期の浸透時に膨潤して空隙を実質的に塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変成ポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのはケン化度が80以上の部分または完全ケン化したものである。また、皮膜脆弱性を改良する観点から、平均重合度は100〜5000、特に好ましくは500〜3000のものが用いられる。また、カチオン変成ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を、上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0042】
上記、本発明に用いられるバインダーとともに混合され受容層のバインダーを形成する非多孔質高分子粒子は、(a)少なくとも30モル%の架橋度を有するか、若しくは(b)水溶性ポリマーのシェルで覆われた高分子コアを含んでなる。これら非多孔質高分子粒子は、ビーズ、または不規則な形状の粒子の形そのものである。本発明において使用される非多孔質分子のうち、(a)は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、またはセルロース誘導体(例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、およびエチルセルロース)、ポリビニル樹脂(例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルとのコポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー)、およびエチレン−アリルコポリマー(例えばエチレン−アリルアルコールコポリマー、エチレン−アリルアセトンコポリマー、エチレン−アリルベンゼンコポリマー、エチレン−アリルエーテルコポリマー)、エチレン−アクリル系コポリマーおよびポリオキシメチレン、重縮合ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタンおよびポリカーボネートを含むポリエステル)を含んでなる。
【0043】
本発明の好ましい態様において、上記非多孔質高分子粒子は、スチレン系モノマーまたはアクリル系モノマーから製造されている。このようなスチレン系ポリマーまたはアクリル系ポリマーの製造においては、いずれの好適なエチレン系不飽和モノマーまたはモノマーの混合物を使用してもよい。例えば、スチレン系化合物(例えば、スチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、塩化ビニルベンジルまたはビニルナフタレン)、またはアクリル系化合物(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、およびそれらの混合物を使用してもよい。もう1つの好ましい態様においては、メタクリル酸メチルが使用される。
【0044】
さらに、所望の性質を生じさせるために、好適な架橋用モノマーを、前記非多孔質高分子粒子の形成において使用する。典型的な架橋用モノマーは、芳香族ジビニル化合物(例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンまたはそれらの誘導体)、ジエチレンカルボン酸のエステルおよびアミド(例えば、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジエチレングリコール)、および他のジビニル化合物(例えば、ジビニルスルフィド化合物またはジビニルスルホン化合物)である。ジビニルベンゼンおよびジメタクリル酸エチレングリコールがとりわけ好ましい。架橋用モノマーは、少なくとも30モル%、好ましくは100モル%において使用される。架橋度は、非多孔質高分子粒子に導入されている多官能架橋用モノマーのモル%によって定まる。
【0045】
本発明において使用される非多孔質高分子粒子は、例えば、有機化合物の微粉砕および分級によって、有機モノマーの乳化重合、懸濁重合、および分散重合によって、有機化合物を含有している溶液の噴霧乾燥によって、または水不混和性溶媒中に有機材料を溶解させ、この溶液を微細な液滴として水溶液中に分散させ、そして上記溶媒を蒸発または他の好適な技法によって除去することからなるポリマー懸濁技法によって、調製することができる。バルク重合、乳化重合、分散重合、および懸濁重合の各手順については、ポリマー技術分野における当業者によく知られており、G.Odianの“Principles of Polymerization”,2nd Ed.,Wiley(1981)およびW.P.Sorenson and T.W.Campbellの“Preparation Method of Polymer Chemistry”,2nd Ed.,Wiley(1968)などの教科書において教示されている。
【0046】
また前記(b)のコア/シェル粒子のためのコアとして使用することができる高分子ポリマーは、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、またはセルロース誘導体(例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、およびエチルセルロース)、ポリビニル樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルとのコポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー)、およびエチレン−アリルコポリマー(例えば、エチレン−アリルアルコールコポリマー、エチレン−アリルアセトンコポリマー、エチレン−アリルベンゼンコポリマー、エチレン−アリルエーテルコポリマー)、エチレン−アクリル系コポリマーおよびポリオキシメチレン、重縮合ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタンおよびポリカーボネートを含むポリエステル)を含んでなる。
【0047】
本発明の好ましい態様において、上記高分子コアは、スチレン系モノマーまたはアクリル系モノマーから製造されている。このようなスチレン系ポリマーまたはアクリル系ポリマーの製造においては、いずれの好適なエチレン系不飽和モノマーまたはモノマーの混合物を使用してもよい。例えば、スチレン系化合物(例えば、スチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、塩化ビニルベンジルまたはビニルナフタレン)、またはアクリル系化合物(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、およびそれらの混合物を使用してもよい。もう1つの好ましい態様においては、メタクリル酸メチルが使用される。
【0048】
望まれる場合には、上記非多孔質高分子粒子を改質して特に望ましい性質を生じさせるために、好適な架橋用モノマーを、上記高分子コアの形成において使用してもよい。典型的な架橋用モノマーは、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンまたはそれらの誘導体)、ジエチレンカルボン酸のエステルおよびアミド(例えば、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジエチレングリコール)、および他のジビニル化合物(例えば、ジビニルスルフィド化合物またはジビニルスルホン化合物)である。ジビニルベンゼンおよびジメタクリル酸エチレングリコールがとりわけ好ましい。架橋用モノマーは、いずれの量で使用してもよいけれども、少なくとも27モル%が好ましい。
【0049】
本発明において使用される非多孔質高分子粒子は、例えば、有機化合物の微粉砕および分級によって、有機モノマーの乳化重合、懸濁重合、および分散重合によって、有機化合物を含有している溶液の噴霧乾燥によって、または水不混和性溶媒中に有機材料を溶解させ、この溶液を微細な液滴として水溶液中に分散させ、そして上記溶媒を蒸発または他の好適な技法によって除去することからなるポリマー懸濁技法によって調製することができる高分子コアを有する。バルク重合、乳化重合、分散重合、および懸濁重合の各手順については、ポリマー技術分野における当業者によく知られており、前記教科書等において教示されている。
【0050】
上述の高分子コアを覆うシェルは、当該技術分野において知られている種々の技法を使用して形成することができる。一般に、上記コア/シェル粒子の水溶性ポリマーのシェルは、あらかじめ形成されたコアを水溶性ポリマーと単に接触させるだけでは、高分子コア上に形成させることはできない。代わりに、水溶性ポリマーが、コアの表面と化学反応するか、またはコアの表面に強く吸着される条件を確立する必要がある。このような条件は当業者に既知であり、化学反応性のコア表面およびバインダーポリマーを使用して達成することができる。また、コアが水溶性ポリマーの存在下で調製されるために、コアの形成後ではなくコアの形成時にシェルが形成されるようなコアを、上記非多孔質高分子粒子が含んでいてもよい。コア/シェル粒子の製造において使用することができる技法の例は、例えば、米国特許第5,872,189号、同5,185,387号および同5,990,202号の各明細書において見出すことができる。
【0051】
本発明において使用されるコア/シェル構造を有する非多孔質高分子粒子を調製するための好ましい方法には、水性媒体中にエチレン系不飽和モノマーの液滴の懸濁液または分散液を形成させること(この水性媒体は、ある量の所望の水溶性ポリマーを含有している)、および上記モノマーを重合させて、コア/シェル構造を有する固体非多孔質ポリマー粒子を形成させることが含まれる。上記水溶性ポリマーを、上記液滴の形成後で、かつ、上記重合反応の開始前に、上記水性媒体に添加することもできる。
【0052】
本発明において使用される高分子粒子のシェルに使用される水溶性ポリマーは、水に可溶性であれば、いずれの天然ポリマーまたは合成ポリマーであってもよい。例えば、水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドなどであってもよい。好ましい態様においては、水溶性ポリマーはポリビニルアルコールである。一般に、シェル材料は、コア/シェル粒子の5質量%以下を構成している。
【0053】
上記非多孔質高分子粒子の表面を、米国特許第5,288,598号、同5,378,577号、同5,563,226号、および同5,750,378号の各明細書に記載されているコロイド状無機粒子の層で覆ってもよい。また、表面を、米国特許第5,279,934号明細書に記載されているコロイド状ポリマーラテックス粒子の層で覆ってもよい。
【0054】
本発明において使用される非多孔質高分子粒子は、通常は、5.0μm未満、好ましくは1.0μm未満のメジアン直径を有する。メジアン直径とは、容量をベースとして測定された粒径分布の統計的平均値として定義される。メジアン直径の測定に関するさらなる詳細については、T.Allen, “Particle Size Measurement”,4th Ed.,Chapmanand Hall(1990)を参照されたい。
【0055】
前記の如く、本発明において使用される高分子粒子は非多孔質である。非多孔質とは、ボイドが無いか、または液体透過性ではない粒子を意味する。これらの粒子は、平滑な表面または粗い表面のいずれを有していてもよい。
【0056】
前記、本発明に用いられるバインダーとともに混合され受容層のバインダーを形成する多孔質高分子粒子は、(a)1μm未満のメジアン直径を有し、そして27モル%以上の架橋度を有するか、若しくは(b)水溶性ポリマーのシェルで覆われた高分子コアを含んでなる。これら多孔質高分子粒子は、ビーズ、または不規則な形状の粒子の形そのものである。
【0057】
本発明において使用される多孔質分子のうち、(a)は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、またはセルロース誘導体(例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、およびエチルセルロース)、ポリビニル樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルとのコポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー)、およびエチレン−アリルコポリマー(例えば、エチレン−アリルアルコールコポリマー、エチレン−アリルアセトンコポリマー、エチレン−アリルベンゼンコポリマー、エチレン−アリルエーテルコポリマー)、エチレン−アクリル系コポリマーおよびポリオキシメチレン、重縮合ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタンおよびポリカーボネートを含むポリエステル)を含んでなる。
【0058】
本発明の好ましい態様において、上記多孔質高分子粒子は、スチレン系モノマーまたはアクリル系モノマーから製造されている。このようなスチレン系ポリマーまたはアクリル系ポリマーの製造においては、いずれの好適なエチレン系不飽和モノマーまたはモノマーの混合物を使用してもよい。例えば、スチレン系化合物(例えば、スチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、塩化ビニルベンジルまたはビニルナフタレン)、またはアクリル系化合物(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、およびそれらの混合物を使用してもよい。もう1つの好ましい態様においては、メタクリル酸メチルが使用される。
【0059】
本発明において使用される多孔質高分子粒子の製造において使用される典型的な架橋用モノマーは、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンまたはそれらの誘導体)、ジエチレンカルボン酸のエステルおよびアミド(例えば、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジエチレングリコール)、および他のジビニル化合物(例えば、ジビニルスルフィド化合物またはジビニルスルホン化合物)である。ジビニルベンゼンおよびジメタクリル酸エチレングリコールがとりわけ好ましい。上記多孔質高分子粒子は、27モル%以上、好ましくは50モル%以上、もっとも好ましくは100モル%の架橋度を有する。架橋度は、多孔質高分子粒子に導入されている多官能架橋用モノマーのモル%によって定まる。
【0060】
本発明において使用される多孔質高分子粒子は、例えば、多孔質有機化合物の微粉砕および分級によって、有機モノマーの乳化重合、懸濁重合、および分散重合によって、有機化合物を含有している溶液の噴霧乾燥によって、または水不混和性溶媒中に有機材料を溶解させ、この溶液を微細な液滴として水溶液中に分散させ、そして上記溶媒を蒸発または他の好適な技法によって除去することからなるポリマー懸濁技法によって、調製することができる。バルク重合、乳化重合、分散重合、および懸濁重合の各手順については、ポリマー技術分野における当業者によく知られており、前記教科書等において教示されている。
【0061】
多孔質ポリマー粒子を合成するための技法については、例えば、米国特許第5,840,293号、同5,993,805号、同5,403,870号、および同5,599,889号の各明細書、並びに特開平5−222108号公報(1993年)において教示されている。例えば、不活性液体または多孔質化剤(porogen)を、多孔質ポリマー粒子の製造において使用されるモノマーと混合してもよい。ポリマーは多孔質化剤の周りに形成され、それにより、細孔の網状組織が形成されるので、重合が完了した後に、この時点において、得られた高分子粒子は実質的に多孔質である。この技法については、上記において参照した米国特許第5,840,293号明細書に、より完全に記載されている。
【0062】
本発明において使用される多孔質高分子粒子を調製するための好ましい方法には、水性媒体中に上記架橋用モノマーおよび多孔質化剤を含有しているエチレン系不飽和モノマーの液滴の懸濁液または分散液を形成させること、上記モノマーを重合させて、固体多孔質高分子粒子を形成させること、並びに任意選択的にバキュームストリッピングによって上記多孔質化剤を除去することが含まれる。このようにして調製された粒子は、比表面積によって測定した場合に、35m2/g以上、好ましくは、100m2/g以上の多孔度を有する。この表面積は、通常は、当業者に既知のB.E.T.窒素分析によって測定される。
【0063】
また前記(b)に使用されるコア/シェル粒子のためのコアとして使用することができる高分子ポリマーは、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、またはセルロース誘導体(例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、およびエチルセルロース)、ポリビニル樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルとのコポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー)、およびエチレン−アリルコポリマー(例えば、エチレン−アリルアルコールコポリマー、エチレン−アリルアセトンコポリマー、エチレン−アリルベンゼンコポリマー、エチレン−アリルエーテルコポリマー)、エチレン−アクリル系コポリマーおよびポリオキシメチレン、重縮合ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタンおよびポリカーボネートを含むポリエステル)を含んでなる。
【0064】
本発明の好ましい態様において、上記多孔質高分子コアは、スチレン系モノマーまたはアクリル系モノマーから製造されている。このようなスチレン系ポリマーまたはアクリル系ポリマーの製造においては、いずれの好適なエチレン系不飽和モノマーまたはモノマーの混合物を使用してもよい。例えば、スチレン系化合物(例えばスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、塩化ビニルベンジルまたはビニルナフタレン)、またはアクリル系化合物(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、およびそれらの混合物を使用してもよい。もう1つの好ましい態様においては、メタクリル酸メチルが使用される。
【0065】
上記多孔質高分子粒子を改質して特に望ましい性質を生じさせるために、好適な架橋用モノマーを、上記多孔質高分子コアの形成において使用してもよい。典型的な架橋用モノマーは、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンまたはそれらの誘導体)、ジエチレンカルボン酸のエステルおよびアミド(例えば、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジエチレングリコール)、および他のジビニル化合物(例えば、ジビニルスルフィド化合物またはジビニルスルホン化合物)である。ジビニルベンゼンおよびジメタクリル酸エチレングリコールがとりわけ好ましい。架橋用モノマーは、いずれの量で使用してもよいけれども、少なくとも27モル%が好ましい。
【0066】
本発明において使用される多孔質高分子粒子は、例えば、多孔質有機化合物の微粉砕および分級によって、有機モノマーの乳化重合、懸濁重合、および分散重合によって、有機化合物を含有している溶液の噴霧乾燥によって、または水不混和性溶媒中に有機材料を溶解させ、この溶液を微細な液滴として水溶液中に分散させ、そして上記溶媒を蒸発または他の好適な技法によって除去することからなるポリマー懸濁技法によって調製することができる多孔質高分子コアを有する。バルク重合、乳化重合、分散重合、および懸濁重合の各手順については、ポリマー技術分野における当業者によく知られており、前記教科書等において教示されている。
【0067】
多孔質ポリマー粒子を合成するための技法については、例えば、米国特許第5,840,293号、同5,993,805号、同5,403,870号、および同5,599,889号の各明細書、並びに特開平5−222108号公報(1993年)において教示されている。例えば、不活性液体または多孔質化剤(porogen)を、コアの製造において使用されるモノマーと混合してもよい。ポリマーは多孔質化剤の周りに形成され、それにより、細孔の網状組織が形成されるので、重合が完了した後に、この時点において、得られた高分子粒子は実質的に多孔質である。この技法については、上記において参照した米国特許第5,840,293号明細書に、より完全に記載されている。
【0068】
本発明において使用されるコア/シェル構造を有する多孔質高分子粒子を調製するための好ましい方法には、水性媒体中に架橋用モノマーおよび多孔質化剤を含有しているエチレン系不飽和モノマーの液滴の懸濁液または分散液を形成させること(この水性媒体は、ある量の所望の水溶性ポリマーを含有している)、上記モノマーを重合させて、コア/シェル構造を有する固体多孔質ポリマー粒子を形成させること、並びに任意選択的にバキュームストリッピングによって上記多孔質化剤を除去することが含まれる。上記水溶性ポリマーを、上記液滴の形成後で、かつ、上記重合反応の開始前に、上記水性媒体に添加することもできる。
【0069】
上述の多孔質高分子コアを覆うシェルは、当該技術分野において知られている種々の技法を使用して形成することができる。一般に、上記コア/シェル粒子の水溶性ポリマーのシェルは、あらかじめ形成されたコアを水溶性ポリマーと単に接触させるだけでは、多孔質高分子コア上に形成させることはできない。代わりに、水溶性ポリマーが、コアの表面と化学反応するか、またはコアの表面に強く吸着される条件を確立する必要がある。このような条件は当業者に既知であり、化学反応性のコア表面およびバインダーポリマーを使用して達成することができる。また、コアが水溶性ポリマーの存在下で調製されるために、コアの形成後ではなくコアの形成時にシェルが形成されるようなコアを、上記多孔質高分子粒子が含んでいてもよい。コア/シェル粒子の製造において使用することができる技法の例は、例えば、米国特許第5,872,189号、同5,185,387号および同5,990,202号の各明細書において見出すことができる。
【0070】
本発明において使用される高分子粒子のシェルに使用される水溶性ポリマーは、水に可溶性であれば、いずれの天然ポリマーまたは合成ポリマーであってもよい。例えば、水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドなどであってもよい。好ましい態様においては、水溶性ポリマーはポリビニルアルコールまたはゼラチンである。一般に、シェル材料は、コア/シェル粒子の5質量%以下を構成している。
【0071】
上記多孔質高分子粒子を、米国特許第5,288,598号、同5,378,577号、同5,563,226号、および同5,750,378号の各明細書に記載されているコロイド状無機粒子の層で覆ってもよい。また、上記多孔質高分子粒子を、米国特許第5,279,934号明細書に記載されているコロイド状ポリマーラテックス粒子の層で覆ってもよい。
【0072】
本発明において使用される多孔質高分子粒子は、1μm未満、好ましくは0.01〜1.0μm未満、より好ましくは0.01〜0.6μm未満のメジアン直径を有する。メジアン直径とは、容量をベースとして測定された粒径分布の統計的平均値として定義される。
【0073】
上記の如く、本発明において使用される高分子粒子は多孔質である。多孔質とは、ボイドが有るか、または液体透過性である粒子を意味する。これらの粒子は、平滑な表面または粗い表面のいずれを有していてもよい。
【0074】
これらから構成されるバインダー(B)と空隙層をなす微粒子(F)の比F/Bは、3〜7である事が好ましく、さらには4.5〜6.5である事が好ましい。F/Bが3より小さいと塗布時に乾燥風によるふかれが発生し、塗布ムラになりやすく、7より大きいとひび割れが多数発生するなどして塗布表面が荒れた状態なってしまうことがある。
【0075】
本発明のインクジェット記録媒体のインク受容性層側の任意の層中には、必要に応じて紫外線吸収剤、退色防止剤、蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、硬膜剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることができる。
【0076】
硬膜剤としては無機または有機の硬膜剤を使用することができ、例えばクロムみょうばん、ホルムアルデヒド、グリオキサール、エポキシ系化合物、ビニルスルホン系化合物、アクリロイル系化合物、s−トリアジン系化合物、N−メチロール系化合物、カルボジイミド系化合物、およびエチレンイミノ系化合物等を使用することができる。
【0077】
本発明のインク記録面側の任意の構成層中には、インクの定着剤としてポリカチオン高分子電解質、塩基性ラテックスポリマー、ポリアリルアミン、アルカリ金属弱酸塩等を一種以上用いることができる。
【0078】
本発明で用いることのできる支持体としては、従来医療用記録材料で公知のものを適宜使用できるが、より高い濃度でより鮮明な画像を必要とされる医療用途では支持体中にインク液が浸透しない疎水性支持体を用いるのが好ましい。透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料からなるフィルム等が挙げられ、なかでも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル系樹脂のフィルムであることが好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、70〜300μmが好ましい。黒色画像を観察する医療用途では、支持体が青色の着色されていることが好ましい。さらに支持体のインク受容層側およびバック層側には、ハロゲン化銀写真感光材料等の分野で公知の下引き層を設けてもよい。また、反射画像を観察する場合には、不透明支持体を使用することができ、具体的には基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットを用いることが好ましい。さらに上記の透明支持体と不透明支持体を積層した複合支持体てあってもかまわない。
【0079】
上記支持体とインク受像層の接着強度を大きくする等の目的で、インク受容層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理やグロー放電処理等を行うことが好ましい。
【0080】
本発明の記録媒体の保護層、空隙層および下引き層などを支持体上に塗布する方法は公知の方法から適宜選択して行うことが出来る。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に、全ての親水性バインダー層を1回の塗布で行う重層同時塗布が好ましい。特に好ましい塗布方法は、例えば、特開平6−64306号に記載されている方法に近似の方法で、各層の塗布液を支持体上に塗布後、冷却してゲル状態もしくは高粘度状態にした後乾燥する方法である。
【0081】
塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法あるいはホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。さらに保護層がうすい場合には、保護層をスプレー上に噴霧して塗設してもかまわない。
【0082】
本発明のインクジェット記録媒体を用いて画像記録する際には、水性インクを用いた記録方法が用いられる。本発明で言う水性インクとは、下記着色剤及び液媒体、その他の添加剤から成る記録液体である。着色剤としてはインクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素、カーボンブラックや、アニリンブラックなどの顔料等を使用することができる。
【0083】
インクの色としては、黒色であることが好ましく、黒色染料や各種染料を混合し黒色にしてもかまわない。水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等は好ましいものである。
【0084】
その他の水性インクの添加剤としては、例えばpH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が挙げられる。水性インク液は記録媒体に対する濡れ性が良好にするために、20℃において、25〜60mN/m、好ましくは30〜50mN/mの範囲内の表面張力を有するのが好ましい。
【0085】
【実施例】
以下に、合成例、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
【0086】
《高分子粒子の合成》
以下のように、本発明A−1〜A−7の高分子粒子および比較例H−1〜H−4の高分子粒子を合成した。
【0087】
(比較例H−1 高分子粒子の合成)
ビーカーに、以下の成分を添加した。704gのメタクリル酸メチル、1428gのジメタクリル酸エチレングリコール、57.6gのスルホ琥珀酸ナトリウムのジオクチルエステルであるAerosol OT−100、40gのヘキサデカン、および32gの2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)であるVazo 52(DuPont Corp.)。これらの成分を、すべての固体が溶解するまで撹拌した。この溶液に、6720gの蒸留水を添加した。次に、この混合物を、船用プロペラタイプの撹拌機を用いて10分間撹拌した。この混合物を、3.5kN/cm2において作動しているCrepacoホモジナイザーに通した。以下に記載するさらなる使用のために、得られたモノマー液滴分散液の1.5kgのアリコートを取り出した。
【0088】
次に、上記混合物の残りを12リットルのフラスコに添加した。このフラスコを52℃の恒温浴に入れ、75回転/分で16時間撹拌して、上記モノマーの液滴を重合させて、高分子粒子とした。これらの高分子粒子を、粒径分析器であるHoribaLA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.174μmであることが判った。
【0089】
(本発明A−1 コア/シェル高分子粒子の合成)
上記のモノマー液滴分散液の1.5kgのアリコートを3リットルのフラスコに入れ、150gのGohsenol GH−23(Gohsen Nippon社製)から製造された10%ポリビニルアルコール(PVA)溶液を添加した。次に、このフラスコを52℃の恒温浴に入れ、75回転/分で16時間撹拌して、上記モノマーの液滴を重合させて、PVAのシェルによって包まれている高分子コアとした。これらのコア/シェル高分子粒子を、粒径分析器であるHoriba LA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.181μmであることが判った。
【0090】
(比較例H−2 高分子粒子(架橋度0モル%)の合成)
ビーカーに、以下の成分を添加した。2132gのメタクリル酸メチル、57.6gのスルホ琥珀酸ナトリウムのジオクチルエステルであるAerosol OT−100、40gのヘキサデカンおよび32gの2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)であるVazo 52(DuPont Corp.)。これらの成分を、すべての固体が溶解するまで撹拌した。この溶液に、6720gの蒸留水を添加した。次に、この混合物を、船用プロペラタイプの撹拌機を用いて、10分間撹拌した。この混合物を、3.5kN/cm2において作動しているCrepacoホモジナイザーに通した。
【0091】
次に、上記混合物を、12リットルのフラスコに添加した。このフラスコを、52℃の恒温浴に入れ、75回転/分で16時間撹拌し、上記モノマーの液滴を重合させて、非多孔質高分子粒子とした。これらの非多孔質高分子粒子を粒径分析器であるHoriba LA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.174μmであることが判った。
【0092】
(本発明A−2 架橋度34モル%の高分子粒子の合成)
この配合物は、2132gのメタクリル酸メチルを1066gのメタクリル酸メチルおよび1066gのジメタクリル酸エチレングリコールで置き換えたことを除き、比較例H−2と同じに調製した。
【0093】
(本発明A−3 架橋度100モル%の高分子粒子の合成)
この配合物は、2132gのメタクリル酸メチルを2132gのジメタクリル酸エチレングリコールで置き換えたことを除き、比較例H−2と同じに調製した。
【0094】
(比較例H−3 高分子粒子の合成)
ビーカーに、以下の成分を添加した。1125gのメタクリル酸メチル、1125gのジメタクリル酸エチレングリコール、多孔質化剤としての750gのトルエン、81.0gのスルホ琥珀酸ナトリウムのジオクチルエステルであるAerosol OT−100、56.4gのヘキサデカン、および45.0gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)であるVazo 52(DuPont Corp.)。これらの成分を、すべての固体が溶解するまで撹拌した。
【0095】
この溶液に、9460gの蒸留水を添加した。次に、この混合物を、船用プロペラタイプの撹拌機を用いて20分間撹拌した。この混合物を、3.5kN/cm2において作動しているCrepacoホモジナイザーに通した。以下に記載するさらなる使用のために、得られたモノマー液滴分散液の1.6kgのアリコートを2つ取り出した。次に、上記混合物の残りをフラスコに添加し、52℃の恒温浴に入れ、75回転/分で16時間撹拌し、次に、70℃において2時間撹拌して、上記モノマーの液滴を重合させて、多孔質高分子粒子とした。
【0096】
上記生成物を粗フィルターに通して濾過し、凝固分を除去した。次に、トルエンおよびいくらかの水を、減圧下、70℃において留去し、28.6%の固形分とした。多孔質高分子粒子を、粒径分析器であるHoriba LA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.160μmであることが判った。この分散液の一部を乾燥し、BETマルチポイント(multipoint)によって分析したところ、71.10m2/gの全表面積および0.274ml/gの全孔隙量を有していた。
【0097】
(本発明A−4 コア/シェル高分子粒子の合成)
上記のモノマー液滴分散液の1.6kgのアリコートの一方を3リットルのフラスコに入れ、68.6gの膨潤ゼラチン(乾燥質量のゼラチン35%、水65%)を添加した。次に、このフラスコを52℃の恒温浴に入れ、75回転/分で16時間撹拌し、次に、70℃において2時間撹拌して、上記モノマーの液滴を重合させて、ゼラチンのシェルによって包まれている多孔質高分子コアとした。
【0098】
上記生成物を粗フィルターに通して濾過し、凝固分を除去し、次に、トルエンおよびいくらかの水を、減圧下、70℃において留去し、28.6%の固形分とした。コア/シェル高分子粒子を、粒径分析器であるHoriba LA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.170μmであることが判った。この分散液の一部を乾燥し、BETマルチポイントによって分析したところ、36.06m2/gの全表面積および0.204ml/gの全孔隙量を有していた。
【0099】
(本発明A−5 コア/シェル高分子粒子の合成)
上記のモノマー液滴分散液の1.6kgのアリコートの他方を3リットルのフラスコに入れ、Gohsenol GH23(Gohsen Nippon社製)から製造された、190gの10%ポリビニルアルコール溶液を添加した。次に、このフラスコを52℃の恒温浴に入れ、75回転/分で16時間撹拌し、次に、70℃において2時間撹拌して、上記モノマーの液滴を重合させて、ポリビニルアルコールのシェルによって包まれている多孔質高分子コアとした。
【0100】
上記生成物を粗フィルターに通して濾過し、凝固分を除去し、次に、トルエンおよびいくらかの水を、減圧下、70℃において留去し、23.7%の固形分とした。コア/シェル高分子粒子を、粒径分析器であるHoriba LA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.170μmであることが判った。この分散液の一部を乾燥し、BETマルチポイントによって分析したところ、54.321m2/gの全表面積および0.266ml/gの全孔隙量を有していた。
【0101】
(比較例H−4 架橋度35質量%(21モル%)の高分子粒子)の合成
ビーカーに、以下の成分を添加した。モノマー混合物としての195gのメタクリル酸メチルおよび105gのジメタクリル酸エチレングリコール、多孔質化剤としての92gのトルエン、8gのヘキサデカン、10.8gのスルホ琥珀酸ナトリウムのジオクチルエステル(Aerosol OT−100)、並びに5.6gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)であるVazo 52(DuPont Corp.)。これらの成分を、すべての固体が溶解するまで撹拌した。
【0102】
この溶液に、1200gの蒸留水を添加した。次に、この混合物を、船用プロペラタイプの撹拌機を用いて5分間撹拌し、粗乳剤を形成させた。この粗乳剤を、3600回転/分、0.25mmのギャップ、および3.8kg/分の流量に設定されたGaulinコロイドミルに2回通した。得られたモノマー液滴分散液を、2リットルの三つ口丸底フラスコに入れた。このフラスコを50℃の恒温浴に入れ、分散液を、正圧の窒素下、140回転/分で16時間撹拌し、上記モノマーの液滴を重合させて、多孔質高分子粒子とした。生成物を粗フィルターに通して濾過し、凝固分を除去した。次に、トルエンおよびいくらかの水を、減圧下、70℃において留去し、32.5%の固形分とした。多孔質高分子粒子を、粒径分析器であるHoriba LA−920によって測定したところ、メジアン直径が0.6μmであることが判った。この分散液の一部を乾燥し、Quantachrome Corp.のNOVA 1000分析器を使用するB.E.T.Multipointによって分析したところ、比表面積は29.36m2/gであった。
【0103】
(本発明A−6 架橋度45質量%(29モル%)の多孔質高分子粒子の合成)
この配合物は、上記モノマー混合物を300gのジメタクリル酸エチレングリコールとしたことを除き、比較例H−4と同じに調製した。得られた多孔質高分子粒子は、メジアン直径が0.6μmであり、200.9m2/gの比表面積を有していた。
【0104】
(本発明A−7 架橋度45質量%(29モル%)の多孔質高分子粒子の合成)
この配合物は、上記モノマー混合物を165gのメタクリル酸メチルおよび135gのジメタクリル酸エチレングリコールとしたことを除き、比較例H−4と同じに調製した。得られた多孔質高分子粒子は、メジアン直径が0.6μmであり、37.2m2/gの比表面積を有していた。
【0105】
《記録媒体の作製》
上記調製した各高分子粒子に、高分子量ポリビニルアルコール(PVA−245:クラレ社製)の水溶液(固形分6%)もしくは、豚皮ゼラチン(SKW Corp.)から製造されたゼラチン溶液(固形分10%)を表1に記載の比になるように混合し、高分子微粒子含有バインダー(B)を調製した。
【0106】
〔空隙受像層塗布液の調製〕
(シリカ分散(分散液A)液の調製)
純水44.2kg中に、希硝酸(濃度6%)を84g添加し、さらにエタノール(メタノールを5%含有)249gを加えよく攪拌した。この液をホモジナイザーで攪拌しながら、一次粒径が12nmの気相法シリカ(QS−20:トクヤマ社製)11.5kgをゆっくりと加えた。全量を加えた後さらに1時間攪拌を続け、50Lのシリカ水分散液を調製した。
【0107】
(シリカ分散液とカチオンポリマーの混合分散液(分散液B)の調製)
純水5.09kg中に、エタノール(メタノールを5%含有)257.6gを加え、さらに希硝酸(6%)を30.4g加え、さらに、ポリ(トリメチルアミノエチルメタクリレートの塩酸塩)の25%水溶液を2392g添加し攪拌しながら45℃に加熱した。この中をホモジナイザーでよく攪拌しながら、分散液Aをゆっくりと28.85kg添加した。添加後1時間攪拌を続けた。この間に、純水3073.2g中に、ホウ酸124.4g、ホウ砂112.4gを溶解し、上記分散液中に添加した。この後、液中のだまがなくなるまでホモミキサーで攪拌、さらに、4000MPaの圧力で3サイクルの分散を行い、分散液Bを調製した。
【0108】
(アルミナ水和物分散物の調製)
米国特許第4,242,271号に記載された方法で、アルミニウムアルコキシドを製造した。次に、米国特許第4,202,870号に記載された方法で前記アルミニウムアルコキシドを加水分解してアルミナスラリーをアルミナ水和物固形分が7.9%になるまで水を加えた。アルミナスラリーのpHは9.5であった。3.9%の硝酸溶液を加えてpHは6.8に調整した。これを110℃6時間で熟成してコロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを75℃でスプレー乾燥して得られたアルミナ水和物を用いた。このアルミナ水和物をイオン交換水に分散し、アルミナ水和物分散物ALを得た。
【0109】
(空隙層塗布液の調製)
分散液Bもしくはアルミナ水和物分散物ALの33.0kgに、純水1.16Lを加え、スリーワンモーターで攪拌しながら、45℃に加熱保持した。この中に、上記調製した各高分子粒子含有バインダー(B)を表1に記載のF/B比になるように添加した(場合によっては添加しない)。さらに、10%サポニン(キラヤニン C−100 丸善製薬製)を148gを加え、濃度1%のプロキセルGXL(ゼネカ社製)を750g加え、純水4Lを加えて空隙層塗布液を調製した。
【0110】
(医療用インクジェット記録媒体の作製)
両面が下引処理され、濃度0.16に青色着色されている厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルム記録面の裏面側にアルカリ処理ゼラチン1.2g/m2と硬膜剤を含有する層を塗設した。
【0111】
記録面側に、上記空隙受像層用塗布液を、各々乾燥膜厚が30μmとなるように、スライドコーターにて塗布し、塗膜を0℃の冷風でゲル化させた後、40℃の温風で乾燥して、医療用インクジェット記録媒体である試料1〜35を作製した。
【0112】
【表1】
【0113】
《各特性評価》
〈インク吸収性の評価〉
インクジェットプリンター(MJ−910C エプソン社製)により作製したインク記録材料の色材受容層面に、専用の水性インクを4センチメートル四方ベタ印字し、印字直後(約10秒後)に紙を接触し、インクの媒体(インク記録材料の色材受容層)への吸収速度および紙への転写状況を調べ、下記に示す基準に則り評価を行った。
【0114】
5:インクの吸収速度が早く、インクが転写されなかった
4:インクの吸収は早いが、インクがわずかに転写された
3:インクの吸収は遅いが、インクの転写はわずかだった
2:インクの吸収が遅く、インクが転写された
1:インクが流れた
〈ひび割れ耐性の評価〉
上記作製した各記録媒体を50℃、23%RHの雰囲気下で24時間調湿した後、10cm四方に断裁し、表面に発生しているひび割れの数を光学顕微鏡でカウントし、以下の基準で評価した。
【0115】
5:0個
4:1〜3個
3:4〜9個
2:10〜19個
1:20個以上
〈耐傷性の評価〉
曲率半径が0.10mmのサファイヤ針に、0〜200gの荷重をかけ、試料に傷が付き始めた加重を評価した。
【0116】
5:200g
4:196〜199g
3:176〜195g
2:131〜175g
1:0〜130g
〈画像のにじみ耐性の評価〉
インクジェットプリンター(前出)により、インク記録材料の色材受容層面に、作製した水性インク組成物を4センチメートル四方ベタ印字した。印字した試料を23℃、相対湿度80%の環境下で72時間保存した後、印字部分からのインクの滲みによるはみ出し個数をシャーカステンにて観察し、下記の基準に則り判定した。
【0117】
5:なし
4:5個未満
3:5〜20個未満
2:20〜30個未満
1:30より多い
以上により得られた結果を表2に示す。
【0118】
【表2】
【0119】
表2より明らかなように、本発明の記録媒体は、比較例に対して、インク吸収性、ひび割れ耐性、耐傷性及び画像のにじみ耐性に優れていることが分かる。
【0120】
【発明の効果】
本発明により、傷つきにくく、画像のにじみを防止し、ひび割れがなく、かつ十分なインク吸収性を有する医療用のインクジェット記録材料を提供することができた。
Claims (9)
- 水溶性ポリマーのシェルで覆われた高分子コアを有するコア/シェル構造からなる非多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
- 少なくとも30モル%の架橋度を有する非多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
- 水溶性ポリマーのシェルで覆われた高分子コアを有するコア/シェル構造からなる多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
- 1μm未満のメジアン直径を有し、27モル%以上の架橋度を有する多孔質高分子粒子を含む高分子バインダーを含有し、かつ該高分子バインダーが空隙型のインク受容層に含有されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
- 前記高分子バインダーが、前記非多孔質高分子粒子を少なくとも80質量%含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記高分子バインダーが、前記非多孔質高分子粒子を少なくとも80質量%含むことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記高分子バインダーが、前記多孔質高分子粒子を少なくとも70質量%含むことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記高分子バインダーが、前記多孔質高分子粒子を少なくとも70質量%含むことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記空隙型のインク受容層が、4〜300nmの一次粒径を有するシリカ粒子を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
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