JP2004050551A - 版胴及びオフセット印刷機 - Google Patents
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Abstract
【課題】刷版が設けられたシリンダーの版面部分の温度を一定に保つことが可能な版胴を提供する。
【解決手段】シリンダー13の周面部の一部が切り欠かれた開口部14が形成され、刷版が巻き付けられる胴部に軸方向にハニカム形状の貫通孔15が穿孔され、軸本体20に設けられた軸孔24と貫通孔15とを連通する連通路26が、シリンダー13の両端部に径方向に形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】シリンダー13の周面部の一部が切り欠かれた開口部14が形成され、刷版が巻き付けられる胴部に軸方向にハニカム形状の貫通孔15が穿孔され、軸本体20に設けられた軸孔24と貫通孔15とを連通する連通路26が、シリンダー13の両端部に径方向に形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、シリンダーの周面に刷版が巻き付けられ、該刷版に塗付されたインキ像をブランケット胴に転写する版胴及び該版胴を備えたオフセット印刷機に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフセット印刷機は、水とインキとを混合してローラ間で練りながら刷版を巻き付けられた版胴にインキを塗付する装置や、水無しインキを使用してローラ間でインキを均一に伸ばしながら刷版を巻き付けられた版胴にインキを塗付する装置等が用いられている。
【0003】
水無しインキを使用するオフセット印刷機においては、インキがローラ間で練られて伸ばしながらと刷版に塗付するようになっているため、版面の温度が上昇し易い。版面の温度が変化すると、インキの粘度が変化して、ブランケット胴から被記録材に転写されたインキ像の仕上がりにばらつきが生じ易くなる。このため、水無しインキを使用する装置においては、版面の温度を一定に保つことができるように、冷却機構が設けられている。
【0004】
冷却機構の一例について説明すると、版胴を構成する金属円筒状のシリンダーの内部に冷却媒体(水等)を充填したまま或いは循環させて冷却するもの、版胴にインキを供給するローラ群の一部に冷却媒体が充填された若しくは冷却媒体を循環可能な冷却ローラを設けたもの、冷却室やスポットクーラーを設けて版面に向かって送風することにより冷却するもの、或いはシリンダーにペルチェ素子を設けて熱交換により冷却するものなど、様々な方式が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリンダーに冷却媒体が充填されたまま或いは循環させながら冷却する場合、刷版が巻き付けられた転写エリアを効果的に冷却することができない。また、シリンダー全体に冷却媒体が充填されるため、装置重量が嵩むうえに、循環タイプでは冷却媒体に一定の還流を生じさせるためには比較的大型のポンプを要する。また、送りローラ群の一部のローラに冷却媒体が充填され若しくは冷却媒体が循環可能な冷却ローラを設けるとすれば、部品点数が多くなり装置が大型化する。また、これらの場合には、シリンダーや冷却ローラに充填された冷却媒体をシールするためのシール材が摩耗し易く、メンテナンスが頻繁に必要になる。
【0006】
また、冷却室やスポットクーラーを設けて送風により冷却する場合には冷気が漏れ易く、ローラ上のインキを乾燥させやすく、刷版に供給されるインキ量がばらつくおそれがある。
また、ペルチェ素子を設けて熱交換によりシリンダーを冷却する場合には、該シリンダーより奪った熱を装置外へ排出する機構が必要であり、装置構成が複雑化する。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、刷版が設けられたシリンダーの版面部分の温度を一定に保つことが可能な版胴及び該版胴を備え高画像品位を維持することが可能なオフセット印刷機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を備える。
軸本体に支持されたシリンダーの周面に刷版が巻き付けられ、該刷版に塗付されたインキ像をブランケット胴に転写する版胴において、前記シリンダーの周面部の一部が切り欠かれた開口部が形成され、前記刷版が巻き付けられる胴部に軸方向にハニカム形状の貫通孔が穿孔され、前記軸本体に設けられた軸孔と前記貫通孔とを連通する連通路が、前記シリンダーの両端部に径方向に形成されていることを特徴とする。
具体的には、前記シリンダー及びその両端部に取り付けられたフランジ部が軸本体に対して回転可能に支持され、前記連通路はシリンダーの両端部とフランジ部との間に形成されていることを特徴とする。
また、前記軸本体の軸孔は該軸本体の両端に偏芯して形成された軸端部の軸孔と連通するよう偏芯して形成されており、一方の軸端部の軸孔から連通路を通じてシリンダーの貫通孔に送り込まれた冷却媒体が連通路を通じて他方の軸端部の軸孔へ送り出される循環路を循環するようになっていることを特徴とする。
また、前記シリンダーの胴部に複数形成された貫通孔のうち、刷版が巻き付けられる外周エリアと同心状に形成された貫通孔のみに冷却媒体が循環可能に満たされていることを特徴とする。
【0009】
また、他例に係る版胴は、前記シリンダー及びその両端部に取り付けられたフランジ部が軸本体である回転軸と一体に組み付けられ、該回転軸の両端が回転可能に支持されていることを特徴とする。
また、前記連通路はシリンダーの両端部とフランジ部との間に形成されており、前記回転軸の一端側の軸孔から連通路を通じてシリンダーの貫通孔に送り込まれた冷却媒体が連通路を通じて他端側の軸孔へ送り出される循環路を循環するようになっていることを特徴とする。
また、前記シリンダーの胴部に複数形成された貫通孔のうち、刷版が巻き付けられる外周エリアと同心状に形成された貫通孔のみに冷却媒体が循環可能に満たされていることを特徴とする。
【0010】
また、オフセット印刷機においては、前述したいずれかの版胴を備えたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。
図1(a)は版胴の軸方向中心部の断面説明図、図1(b)は図1(a)の矢印A−A断面図、図1(c)は図1(a)の矢印B−B断面図、図1(d)は偏芯軸部の一端部を示す説明図、図2は偏芯軸部の一端側軸受部の説明図、図3はオフセット印刷機の概略構成を示す説明図、図4は他例に係る回転軸の一端側軸受部の説明図である。
【0012】
先ず、図3を参照してオフセット印刷機の構成について説明する。1はオフセット印刷機である。オフセット印刷機1は、被記録材(名刺、カード、封筒などの紙葉類、プラスチック材など)にモノクロ印刷はもちろんカラー印刷が行えるようになっている。即ち、M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)、K(ブラック)などの各色インキを各々供給して印刷する印刷部(版胴、ブランケット胴、圧胴など)が直列に設けられている。図3はインキ1色を印刷する印刷部を示すものである。図示しないイメージスキャナにより各色毎に読み取られた刷版の画像データ或いはパーソナルコンピュータなどに描かれた刷版の画像データに基づいて各印刷部により各色毎に印刷が行われる。
【0013】
2はインキ壷であり、M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)、K(ブラック)のいずれか1色のインキを貯留している。また、3はインキフォンテンローラであり、図示しない駆動源より駆動伝達されて回転することにより、インキ壷2に貯留されているインキを下流側に配置されたインキディストリビュータ4に供給する。インキディストリビュータ4は、インキフォンテンローラ3とインキ送りローラ5との間を交互に接離動することにより、インキ量を調節して供給するようになっている。
【0014】
インキ送りローラ5に供給されたインキは下流側に配置され互いに圧接するインキ練りローラ群6により練られてインキが引き伸ばされてインキの偏りにより縞模様が発生するのを防止している。この練られたインキは、3箇所に設けられた付けローラ7より、版胴8の版面へ供給される。
【0015】
版胴8はシリンダーの周面に刷版が巻き付けられ、該刷版に塗付されたインキ像を後述するブランケット胴に転写するものである。刷版は例えば原画フィルムを露光して被記録材に印刷される印刷画像が焼き付けられて形成されている。付けローラ7は、版胴8に対して接離動可能になっており、印刷が開始されると、所定のタイミングで、版胴8に接動して刷版にインキを供給してインキ像を形成する。
【0016】
9はブランケット胴であり、シリンダーの周面にゴム製のブランケットが巻き付けられている。ブランケットはシリンダーの開口部に両端側が冶具を介してねじ止めされて張設されている。ブランケットには、刷版に形成されたインキ像が転写される。10は金属製のシリンダーよりなる圧胴である。この圧胴10は、ブランケット胴9との間にニップ部を形成して、被記録材がニップ部を通過する際にブランケットよりインキ像が転写される。
【0017】
ブランケット胴9は固定されており、版胴8及び圧胴10が所定のタイミングで接離動するようになっている。本実施例の場合には、印刷が開始されると先ず版胴8がブランケット胴9に圧接し(版圧が入る)、次いで圧胴10がブランケット胴9に圧接し(印圧が入る)、装置稼動中は圧胴10がブランケット胴9に圧接したままで、印刷が終了するたびに版胴8がブランケット胴9より離動される(版圧を解除する)ようになっている。また、装置の稼動が停止すると、圧胴10がブランケット胴9より離動される(印圧を解除する)ようになっている。
【0018】
図示しないイメージスキャナにより読み取られた刷版の画像データ或いはパーソナルコンピュータなどに描かれた画像データに基づいて版胴にインキ像を形成し、該インキ像が版胴8からブランケット胴9に転写され、該ブランケット胴9と圧胴10との間に搬送された被記録材にインキ像が転写される。被記録材は、ブランケット胴9と圧胴10とのニップ部の上流側に設けられた見当装置11により、基準位置に位置決めされてニップ部へ送り込まれる。また、印刷後の被記録材は、ブランケット胴9と圧胴10とのニップ部の下流側に設けられた排出装置12により排出される。尚、版胴8、ブランケット胴9、圧胴10は、版圧や印圧が入る或いは解除されるのにかかわらず、同一の駆動源より駆動伝達されるギヤ列により互いに噛み合わったまま同期回転しており、版圧や印圧が入る際にギヤどうしの噛み合いが深まるようになっている。
【0019】
ここで版胴8の構成について、図1及び図2を参照して詳述する。版胴8は、金属製のシリンダー13の周面に刷版が巻き付けられ、該刷版に塗付されたインキ像をブランケット胴9に転写するものである。シリンダー13は、周面部の一部が切り欠かれて開口部14が形成されている。また、シリンダー13の軸方向にハニカム形状の貫通孔15が穿孔されている(図1(b)参照)。この開口部14や貫通孔15は、シリンダー13の軽量化を図るために形成されているが、開口部14は各種治具などの取付空間としても利用され、貫通孔15は後述するように冷却媒体の通路としても利用される。刷版はシリンダー13の胴部外周に巻き付けられるようになっている。また、シリンダー13は、例えばアルミニウム等の金属材料を用いて押出し成形することにより、貫通孔15を同時に形成することができるため、安価に製造することができる。
【0020】
シリンダー13の両端部にはフランジ部16が各々取り付けられている。各フランジ部16は、ベアリング部17を介して偏芯軸18に対して回転可能に支持されている。ベアリング部17は、ブッシュ19により軸方向に位置決めされてフランジ部16の外璧面側より同心状に嵌め込まれている。また、偏芯軸18は、シリンダー13を支持する軸本体20とその両端に偏芯して形成された軸端部21よりなる。軸本体20に形成された軸孔24は、該軸本体20の両端に偏芯して形成された軸端部21の軸孔24と連通するよう偏芯して形成されている(図1(d)参照)。この軸端部21が装置フレーム22に設けられた軸受部23に回動可能に支持されている(図2参照)。
【0021】
軸本体20には連絡孔25が各々穿孔されており、該連絡孔25はフランジ部16に径方向に形成された連通路26に連通している(図1(c)参照)。フランジ部16の軸本体20が貫通する中心孔の壁面にはシール材27が嵌め込まれており、貫通孔15と軸本体20の軸孔24とを連通する連通路26をシールするようになっている。
【0022】
シリンダー13にハニカム状に複数形成された貫通孔15のうち、刷版が巻き付けられる外周エリアEと同心状に形成された貫通孔15a、15bにのみに冷却媒体(例えば水)が充填される(図1(b)参照)。これにより、版面に相当するシリンダー13の胴部を集中的に冷却することができるので版面の温度を一定にすることができる。また、貫通孔15をハニカム形状に形成することで、シリンダー13の径方向の肉厚が均一化されているので、胴部の表面温度を均一になるよう冷却することができる。
【0023】
また、冷却媒体は、一方(図1(a)の左端側)の軸端部21及び軸本体20の軸孔24から連通路26を経てシリンダー13の貫通孔15へ送り込まれ、他方(図1(a)の右端側)の軸本体20及び軸端部21の軸孔24へ送り出される循環路を循環させることができるようになっている。冷却媒体の循環は図示しないポンプにより行なわれ、冷却媒体の冷却は公知の熱交換機を使用して行なわれる。これにより、冷却媒体を常に冷却しておくことで、連続使用しても冷却効果を維持することができ、版面の温度を一定に保つことができる。よって、インキの特性を安定させることができる。
また、図1(a)において、版胴8の左端に組み付けられたフランジ部16の外璧側にはギヤ部28が一体に取付られている。このギヤ部28が図示しないブランケット胴9のギヤ部と噛み合うことで、回転駆動されるようになっている。
【0024】
図2において、偏芯軸18の装置フレーム22より外側に延設された軸端部21には、版胴8をブランケット胴9に対して接離動させる圧入解除機構29が設けられている。この軸端部21には、圧入解除板30が一体に嵌め込まれている。この圧入解除板30の下端側には弧状ギヤ部31が一体に固定されている。また、装置フレーム22に垂直に支持された支持軸32には取付部材33が回動可能に嵌め込まれている。また、取付部材33の支持軸32への嵌め込み部分には嵌合ギヤ部34が一体に形成されており、弧状ギヤ部31と噛み合っている。取付部材33の先端(下端)には錨状ギヤ35が一体に取り付けられている。錨状ギヤ35は、図示しないモータにより回転駆動されるピニオンギヤ36と噛み合っている。
よって、版胴8の開口部14がブランケット胴9の開口部と対向する位置でモータを起動することにより、錨状ギヤ33が支持軸32を中心に所定方向へ回転して圧入解除板30を振らせることにより、偏芯軸18を回動させて版圧を入れたり解除したりできるようになっている。
【0025】
また、軸端部21の端部にはロータリジョイント37が嵌め込まれている。ロータリジョイント37は軸端部21の軸孔24に連通して冷却媒体を軸外へ排出するものであり、偏芯軸18の回転位置によらずに、排出口38が一定の向きになるように嵌め込まれている。排出口38には図示しないホースなどが嵌め込まれて冷却媒体が版胴8を循環するようになっている。
【0026】
次に、版胴8の他例について図4を参照して説明する。シリンダー13に形成された貫通孔15の構成や冷却媒体の循環構造は同様であるので、以下、軸本体である回転軸40を用いた組付け構造や圧入解除機構を中心に説明する。
図4において、シリンダー13及びその両端部に取り付けられたフランジ部16はブッシュ39を介して回転軸40に一体に組み付けられている。シリンダー13の胴部には軸方向にハニカム形状の貫通孔15が穿孔されている。回転軸40には両側軸端部に向かって軸孔41が形成されており、該軸孔41に連通する連絡孔42が径方向に形成されている。ブッシュ39には軸孔41に通ずる連通路43が形成されており、シリンダー13の両端部に装着されたフランジ部16との間には、連通路43及び貫通孔15に通ずる連通路44が形成されている。連通路43が形成されたブッシュ39と回転軸40との境界部、連通路44が形成されたブッシュ39とフランジ部16との境界部はシール材(Oリング)57によりシールされている。シリンダー13の貫通孔15は、フランジ部16の連通路44、ブッシュ39の連通路43、連絡孔42を通じて回転軸40の軸孔41と連通するようになっている。冷却媒体は、回転軸40の一端側の軸孔41から連通路43、44を通じてシリンダー13の貫通孔15に送り込まれ、回転軸40の他端側の連通路44、43を通じて軸孔41へ送り出される循環路を循環するようになっている。
本実施例では、版胴8が回転する際に、シリンダー13、フランジ部16、回転軸40及びシール材(Oリング)57が一体となって回転するので、回転軸40とシール材57が摺接せずシール材57の摩耗によるメンテナンスは不要となる。
【0027】
また、回転軸40の両端は装置フレーム22に嵌め込まれた軸受ハウジング部45を介して回転可能に支持されている。軸受ハウジング部45には、第1のベアリング46を介して偏芯軸受部47が回転可能に支持されている。この偏芯軸受部47は第2のベアリング48を介して回転軸40と一体に嵌め込まれている。
【0028】
また、回転軸40には、回動板49が嵌め込まれており、偏芯軸受部47に連繋して一体に設けられている。回動板49の下端部には弧状ギヤ部50が一体に設けられている。また、回転軸40には、カバー部材51が嵌め込まれており、回転軸40の軸孔を覆って一体に嵌め込まれている。カバー部材51の回転軸40の周囲はシール材52によりシールされている。また、装置フレーム22には、回転軸40と平行に回転シャフト53が回動可能に支持されている。回転シャフト53にはマッシュルームギヤ(きのこ形状のギヤ)54が嵌め込まれている。マッシュルームギヤ54の回転シャフト53に嵌合する嵌合ギヤ部55は、回動板49の弧状ギヤ部50と噛み合っている。また、マッシュルームギヤ54の弧状ギヤ部56は、図示しないモータにより回転駆動されるピニオンギヤと噛み合っている。偏芯軸受部47は回動板49が噛み合うギヤ列により、回転軸40が回転しても連れ回りしないようになっている。
【0029】
よって、版胴8の開口部14がブランケット胴9の開口部と対向する位置でモータを起動することにより、マッシュルームギヤ54と噛み合う弧状ギヤ部50を通じて回動板49が回転軸40を中心に所定方向へ回転して偏芯軸受部47を回転させることにより、回転軸40を振らせて版圧を入れたり解除したりできるようになっている。
【0030】
また、回転軸40の軸端部にはロータリジョイント37が嵌め込まれている。ロータリジョイント37は回転軸40の軸孔41に連通して冷却媒体を軸外へ排出するものであり、回転軸40の回転位置によらずに、排出口38が一定の向きになるように嵌め込まれている。排出口38には図示しないホースなどが嵌め込まれて冷却媒体が版胴8を循環するようになっている。
【0031】
以上、本発明の好適な実施例について述べてきたが、本発明は上述した各実施例に限定されるのものではなく、例えば、冷却媒体は水に限らず他の液材でも良く、冷却媒体は循環させる場合に限らずシリンダーの貫通孔のうち刷版に相当する部分のみに密閉するようにしても良い等、法の精神を逸脱しない範囲で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係る版胴は、上述したように、シリンダーの刷版が巻き付けられる胴部に軸方向にハニカム形状の貫通孔が穿孔され、軸本体に設けられた軸孔と貫通孔とを連通する連通路が、シリンダーの両端部に径方向に形成されているので、軸孔から連通路を通じて貫通孔へ冷却媒体を循環可能に充填することにより版面を冷却することができる。また、シリンダーに軸方向にハニカム形状の貫通孔が穿孔されているので、シリンダーの径方向の肉厚が均一化されており胴部の表面温度を均一になるよう冷却することができる。
また、一方の軸端部の軸孔から連通路を通じてシリンダーの貫通孔に送り込まれた冷却媒体が連通路を通じて他方の軸端部の軸孔へ送り出される循環路を循環するようになっているので、冷却媒体を常に冷却しておくことで、版胴を連続使用しても冷却効果を維持することができ、版面の温度を一定に保つことができる。よって、インキの特性を安定させることができる。
また、シリンダーにハニカム状に複数形成された貫通孔のうち、刷版が巻き付けられる外周エリアと同心状に形成された貫通孔にのみに冷却媒体を充填することができるため、版面に相当する胴部を集中的に冷却することができ、版面の温度を一定にすることができる。
また、シリンダー及びその両端部に取り付けられたフランジ部が軸本体である回転軸と一体に組み付けられ、該回転軸の両端が偏芯軸受部に回転可能に支持されている場合には、版胴が回転する際に、シリンダー、フランジ部、回転軸及びシール材が一体となって回転するので、回転軸とシール材が摺接せずシール材の摩耗によるメンテナンスは不要となり、耐久性が向上する。
また、上述した版胴を備えたオフセット印刷機においては、刷版の温度を一定にすることができるので、インキの特性が変化することがなく高画像品位を維持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】版胴の軸方向中心部の断面説明図、矢印A−A断面図、矢印B−B断面図及び偏芯軸部の一端部を示す説明図である。
【図2】偏芯軸部の一端側軸受部の説明図である。
【図3】オフセット印刷機の概略構成を示す説明図である。
【図4】他例に係る回転軸の一端側軸受部の説明図である。
【符号の説明】
1 オフセット印刷機
2 インキ壷
3 インキフォンテンローラ
4 インキディストリビュータ
5 インキ送りローラ
6 インキ練りローラ群
7 付けローラ
8 版胴
9 ブランケット胴
10 圧胴
11 見当装置
12 排出装置
13 シリンダー
14 開口部
15 貫通孔
16 フランジ部
17 ベアリング部
18 偏芯軸
19、35 ブッシュ
20 軸本体
21 軸端部
22 装置フレーム
23 軸受部
24、39 軸孔
25、42 連絡孔
26、43、44 連通路
27 シール材
28 ギヤ部
29 圧入解除機構
30 圧入解除板
31、50、56 弧状ギヤ部
32 支持軸
33 錨状ギヤ
34、55 嵌合ギヤ部
35 外周ギヤ部
36 ピニオンギヤ
37 ロータリジョイント
38 排出口
39 ブッシュ
40 回転軸
41 軸孔
45 軸受ハウジング部
46 第1のベアリング
47 偏芯軸受部
48 第2のベアリング
49 回動板
51 カバー部材
52、57 シール材
53 回転シャフト
54 マッシュルームギヤ
【発明の属する利用分野】
本発明は、シリンダーの周面に刷版が巻き付けられ、該刷版に塗付されたインキ像をブランケット胴に転写する版胴及び該版胴を備えたオフセット印刷機に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフセット印刷機は、水とインキとを混合してローラ間で練りながら刷版を巻き付けられた版胴にインキを塗付する装置や、水無しインキを使用してローラ間でインキを均一に伸ばしながら刷版を巻き付けられた版胴にインキを塗付する装置等が用いられている。
【0003】
水無しインキを使用するオフセット印刷機においては、インキがローラ間で練られて伸ばしながらと刷版に塗付するようになっているため、版面の温度が上昇し易い。版面の温度が変化すると、インキの粘度が変化して、ブランケット胴から被記録材に転写されたインキ像の仕上がりにばらつきが生じ易くなる。このため、水無しインキを使用する装置においては、版面の温度を一定に保つことができるように、冷却機構が設けられている。
【0004】
冷却機構の一例について説明すると、版胴を構成する金属円筒状のシリンダーの内部に冷却媒体(水等)を充填したまま或いは循環させて冷却するもの、版胴にインキを供給するローラ群の一部に冷却媒体が充填された若しくは冷却媒体を循環可能な冷却ローラを設けたもの、冷却室やスポットクーラーを設けて版面に向かって送風することにより冷却するもの、或いはシリンダーにペルチェ素子を設けて熱交換により冷却するものなど、様々な方式が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリンダーに冷却媒体が充填されたまま或いは循環させながら冷却する場合、刷版が巻き付けられた転写エリアを効果的に冷却することができない。また、シリンダー全体に冷却媒体が充填されるため、装置重量が嵩むうえに、循環タイプでは冷却媒体に一定の還流を生じさせるためには比較的大型のポンプを要する。また、送りローラ群の一部のローラに冷却媒体が充填され若しくは冷却媒体が循環可能な冷却ローラを設けるとすれば、部品点数が多くなり装置が大型化する。また、これらの場合には、シリンダーや冷却ローラに充填された冷却媒体をシールするためのシール材が摩耗し易く、メンテナンスが頻繁に必要になる。
【0006】
また、冷却室やスポットクーラーを設けて送風により冷却する場合には冷気が漏れ易く、ローラ上のインキを乾燥させやすく、刷版に供給されるインキ量がばらつくおそれがある。
また、ペルチェ素子を設けて熱交換によりシリンダーを冷却する場合には、該シリンダーより奪った熱を装置外へ排出する機構が必要であり、装置構成が複雑化する。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、刷版が設けられたシリンダーの版面部分の温度を一定に保つことが可能な版胴及び該版胴を備え高画像品位を維持することが可能なオフセット印刷機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を備える。
軸本体に支持されたシリンダーの周面に刷版が巻き付けられ、該刷版に塗付されたインキ像をブランケット胴に転写する版胴において、前記シリンダーの周面部の一部が切り欠かれた開口部が形成され、前記刷版が巻き付けられる胴部に軸方向にハニカム形状の貫通孔が穿孔され、前記軸本体に設けられた軸孔と前記貫通孔とを連通する連通路が、前記シリンダーの両端部に径方向に形成されていることを特徴とする。
具体的には、前記シリンダー及びその両端部に取り付けられたフランジ部が軸本体に対して回転可能に支持され、前記連通路はシリンダーの両端部とフランジ部との間に形成されていることを特徴とする。
また、前記軸本体の軸孔は該軸本体の両端に偏芯して形成された軸端部の軸孔と連通するよう偏芯して形成されており、一方の軸端部の軸孔から連通路を通じてシリンダーの貫通孔に送り込まれた冷却媒体が連通路を通じて他方の軸端部の軸孔へ送り出される循環路を循環するようになっていることを特徴とする。
また、前記シリンダーの胴部に複数形成された貫通孔のうち、刷版が巻き付けられる外周エリアと同心状に形成された貫通孔のみに冷却媒体が循環可能に満たされていることを特徴とする。
【0009】
また、他例に係る版胴は、前記シリンダー及びその両端部に取り付けられたフランジ部が軸本体である回転軸と一体に組み付けられ、該回転軸の両端が回転可能に支持されていることを特徴とする。
また、前記連通路はシリンダーの両端部とフランジ部との間に形成されており、前記回転軸の一端側の軸孔から連通路を通じてシリンダーの貫通孔に送り込まれた冷却媒体が連通路を通じて他端側の軸孔へ送り出される循環路を循環するようになっていることを特徴とする。
また、前記シリンダーの胴部に複数形成された貫通孔のうち、刷版が巻き付けられる外周エリアと同心状に形成された貫通孔のみに冷却媒体が循環可能に満たされていることを特徴とする。
【0010】
また、オフセット印刷機においては、前述したいずれかの版胴を備えたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。
図1(a)は版胴の軸方向中心部の断面説明図、図1(b)は図1(a)の矢印A−A断面図、図1(c)は図1(a)の矢印B−B断面図、図1(d)は偏芯軸部の一端部を示す説明図、図2は偏芯軸部の一端側軸受部の説明図、図3はオフセット印刷機の概略構成を示す説明図、図4は他例に係る回転軸の一端側軸受部の説明図である。
【0012】
先ず、図3を参照してオフセット印刷機の構成について説明する。1はオフセット印刷機である。オフセット印刷機1は、被記録材(名刺、カード、封筒などの紙葉類、プラスチック材など)にモノクロ印刷はもちろんカラー印刷が行えるようになっている。即ち、M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)、K(ブラック)などの各色インキを各々供給して印刷する印刷部(版胴、ブランケット胴、圧胴など)が直列に設けられている。図3はインキ1色を印刷する印刷部を示すものである。図示しないイメージスキャナにより各色毎に読み取られた刷版の画像データ或いはパーソナルコンピュータなどに描かれた刷版の画像データに基づいて各印刷部により各色毎に印刷が行われる。
【0013】
2はインキ壷であり、M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)、K(ブラック)のいずれか1色のインキを貯留している。また、3はインキフォンテンローラであり、図示しない駆動源より駆動伝達されて回転することにより、インキ壷2に貯留されているインキを下流側に配置されたインキディストリビュータ4に供給する。インキディストリビュータ4は、インキフォンテンローラ3とインキ送りローラ5との間を交互に接離動することにより、インキ量を調節して供給するようになっている。
【0014】
インキ送りローラ5に供給されたインキは下流側に配置され互いに圧接するインキ練りローラ群6により練られてインキが引き伸ばされてインキの偏りにより縞模様が発生するのを防止している。この練られたインキは、3箇所に設けられた付けローラ7より、版胴8の版面へ供給される。
【0015】
版胴8はシリンダーの周面に刷版が巻き付けられ、該刷版に塗付されたインキ像を後述するブランケット胴に転写するものである。刷版は例えば原画フィルムを露光して被記録材に印刷される印刷画像が焼き付けられて形成されている。付けローラ7は、版胴8に対して接離動可能になっており、印刷が開始されると、所定のタイミングで、版胴8に接動して刷版にインキを供給してインキ像を形成する。
【0016】
9はブランケット胴であり、シリンダーの周面にゴム製のブランケットが巻き付けられている。ブランケットはシリンダーの開口部に両端側が冶具を介してねじ止めされて張設されている。ブランケットには、刷版に形成されたインキ像が転写される。10は金属製のシリンダーよりなる圧胴である。この圧胴10は、ブランケット胴9との間にニップ部を形成して、被記録材がニップ部を通過する際にブランケットよりインキ像が転写される。
【0017】
ブランケット胴9は固定されており、版胴8及び圧胴10が所定のタイミングで接離動するようになっている。本実施例の場合には、印刷が開始されると先ず版胴8がブランケット胴9に圧接し(版圧が入る)、次いで圧胴10がブランケット胴9に圧接し(印圧が入る)、装置稼動中は圧胴10がブランケット胴9に圧接したままで、印刷が終了するたびに版胴8がブランケット胴9より離動される(版圧を解除する)ようになっている。また、装置の稼動が停止すると、圧胴10がブランケット胴9より離動される(印圧を解除する)ようになっている。
【0018】
図示しないイメージスキャナにより読み取られた刷版の画像データ或いはパーソナルコンピュータなどに描かれた画像データに基づいて版胴にインキ像を形成し、該インキ像が版胴8からブランケット胴9に転写され、該ブランケット胴9と圧胴10との間に搬送された被記録材にインキ像が転写される。被記録材は、ブランケット胴9と圧胴10とのニップ部の上流側に設けられた見当装置11により、基準位置に位置決めされてニップ部へ送り込まれる。また、印刷後の被記録材は、ブランケット胴9と圧胴10とのニップ部の下流側に設けられた排出装置12により排出される。尚、版胴8、ブランケット胴9、圧胴10は、版圧や印圧が入る或いは解除されるのにかかわらず、同一の駆動源より駆動伝達されるギヤ列により互いに噛み合わったまま同期回転しており、版圧や印圧が入る際にギヤどうしの噛み合いが深まるようになっている。
【0019】
ここで版胴8の構成について、図1及び図2を参照して詳述する。版胴8は、金属製のシリンダー13の周面に刷版が巻き付けられ、該刷版に塗付されたインキ像をブランケット胴9に転写するものである。シリンダー13は、周面部の一部が切り欠かれて開口部14が形成されている。また、シリンダー13の軸方向にハニカム形状の貫通孔15が穿孔されている(図1(b)参照)。この開口部14や貫通孔15は、シリンダー13の軽量化を図るために形成されているが、開口部14は各種治具などの取付空間としても利用され、貫通孔15は後述するように冷却媒体の通路としても利用される。刷版はシリンダー13の胴部外周に巻き付けられるようになっている。また、シリンダー13は、例えばアルミニウム等の金属材料を用いて押出し成形することにより、貫通孔15を同時に形成することができるため、安価に製造することができる。
【0020】
シリンダー13の両端部にはフランジ部16が各々取り付けられている。各フランジ部16は、ベアリング部17を介して偏芯軸18に対して回転可能に支持されている。ベアリング部17は、ブッシュ19により軸方向に位置決めされてフランジ部16の外璧面側より同心状に嵌め込まれている。また、偏芯軸18は、シリンダー13を支持する軸本体20とその両端に偏芯して形成された軸端部21よりなる。軸本体20に形成された軸孔24は、該軸本体20の両端に偏芯して形成された軸端部21の軸孔24と連通するよう偏芯して形成されている(図1(d)参照)。この軸端部21が装置フレーム22に設けられた軸受部23に回動可能に支持されている(図2参照)。
【0021】
軸本体20には連絡孔25が各々穿孔されており、該連絡孔25はフランジ部16に径方向に形成された連通路26に連通している(図1(c)参照)。フランジ部16の軸本体20が貫通する中心孔の壁面にはシール材27が嵌め込まれており、貫通孔15と軸本体20の軸孔24とを連通する連通路26をシールするようになっている。
【0022】
シリンダー13にハニカム状に複数形成された貫通孔15のうち、刷版が巻き付けられる外周エリアEと同心状に形成された貫通孔15a、15bにのみに冷却媒体(例えば水)が充填される(図1(b)参照)。これにより、版面に相当するシリンダー13の胴部を集中的に冷却することができるので版面の温度を一定にすることができる。また、貫通孔15をハニカム形状に形成することで、シリンダー13の径方向の肉厚が均一化されているので、胴部の表面温度を均一になるよう冷却することができる。
【0023】
また、冷却媒体は、一方(図1(a)の左端側)の軸端部21及び軸本体20の軸孔24から連通路26を経てシリンダー13の貫通孔15へ送り込まれ、他方(図1(a)の右端側)の軸本体20及び軸端部21の軸孔24へ送り出される循環路を循環させることができるようになっている。冷却媒体の循環は図示しないポンプにより行なわれ、冷却媒体の冷却は公知の熱交換機を使用して行なわれる。これにより、冷却媒体を常に冷却しておくことで、連続使用しても冷却効果を維持することができ、版面の温度を一定に保つことができる。よって、インキの特性を安定させることができる。
また、図1(a)において、版胴8の左端に組み付けられたフランジ部16の外璧側にはギヤ部28が一体に取付られている。このギヤ部28が図示しないブランケット胴9のギヤ部と噛み合うことで、回転駆動されるようになっている。
【0024】
図2において、偏芯軸18の装置フレーム22より外側に延設された軸端部21には、版胴8をブランケット胴9に対して接離動させる圧入解除機構29が設けられている。この軸端部21には、圧入解除板30が一体に嵌め込まれている。この圧入解除板30の下端側には弧状ギヤ部31が一体に固定されている。また、装置フレーム22に垂直に支持された支持軸32には取付部材33が回動可能に嵌め込まれている。また、取付部材33の支持軸32への嵌め込み部分には嵌合ギヤ部34が一体に形成されており、弧状ギヤ部31と噛み合っている。取付部材33の先端(下端)には錨状ギヤ35が一体に取り付けられている。錨状ギヤ35は、図示しないモータにより回転駆動されるピニオンギヤ36と噛み合っている。
よって、版胴8の開口部14がブランケット胴9の開口部と対向する位置でモータを起動することにより、錨状ギヤ33が支持軸32を中心に所定方向へ回転して圧入解除板30を振らせることにより、偏芯軸18を回動させて版圧を入れたり解除したりできるようになっている。
【0025】
また、軸端部21の端部にはロータリジョイント37が嵌め込まれている。ロータリジョイント37は軸端部21の軸孔24に連通して冷却媒体を軸外へ排出するものであり、偏芯軸18の回転位置によらずに、排出口38が一定の向きになるように嵌め込まれている。排出口38には図示しないホースなどが嵌め込まれて冷却媒体が版胴8を循環するようになっている。
【0026】
次に、版胴8の他例について図4を参照して説明する。シリンダー13に形成された貫通孔15の構成や冷却媒体の循環構造は同様であるので、以下、軸本体である回転軸40を用いた組付け構造や圧入解除機構を中心に説明する。
図4において、シリンダー13及びその両端部に取り付けられたフランジ部16はブッシュ39を介して回転軸40に一体に組み付けられている。シリンダー13の胴部には軸方向にハニカム形状の貫通孔15が穿孔されている。回転軸40には両側軸端部に向かって軸孔41が形成されており、該軸孔41に連通する連絡孔42が径方向に形成されている。ブッシュ39には軸孔41に通ずる連通路43が形成されており、シリンダー13の両端部に装着されたフランジ部16との間には、連通路43及び貫通孔15に通ずる連通路44が形成されている。連通路43が形成されたブッシュ39と回転軸40との境界部、連通路44が形成されたブッシュ39とフランジ部16との境界部はシール材(Oリング)57によりシールされている。シリンダー13の貫通孔15は、フランジ部16の連通路44、ブッシュ39の連通路43、連絡孔42を通じて回転軸40の軸孔41と連通するようになっている。冷却媒体は、回転軸40の一端側の軸孔41から連通路43、44を通じてシリンダー13の貫通孔15に送り込まれ、回転軸40の他端側の連通路44、43を通じて軸孔41へ送り出される循環路を循環するようになっている。
本実施例では、版胴8が回転する際に、シリンダー13、フランジ部16、回転軸40及びシール材(Oリング)57が一体となって回転するので、回転軸40とシール材57が摺接せずシール材57の摩耗によるメンテナンスは不要となる。
【0027】
また、回転軸40の両端は装置フレーム22に嵌め込まれた軸受ハウジング部45を介して回転可能に支持されている。軸受ハウジング部45には、第1のベアリング46を介して偏芯軸受部47が回転可能に支持されている。この偏芯軸受部47は第2のベアリング48を介して回転軸40と一体に嵌め込まれている。
【0028】
また、回転軸40には、回動板49が嵌め込まれており、偏芯軸受部47に連繋して一体に設けられている。回動板49の下端部には弧状ギヤ部50が一体に設けられている。また、回転軸40には、カバー部材51が嵌め込まれており、回転軸40の軸孔を覆って一体に嵌め込まれている。カバー部材51の回転軸40の周囲はシール材52によりシールされている。また、装置フレーム22には、回転軸40と平行に回転シャフト53が回動可能に支持されている。回転シャフト53にはマッシュルームギヤ(きのこ形状のギヤ)54が嵌め込まれている。マッシュルームギヤ54の回転シャフト53に嵌合する嵌合ギヤ部55は、回動板49の弧状ギヤ部50と噛み合っている。また、マッシュルームギヤ54の弧状ギヤ部56は、図示しないモータにより回転駆動されるピニオンギヤと噛み合っている。偏芯軸受部47は回動板49が噛み合うギヤ列により、回転軸40が回転しても連れ回りしないようになっている。
【0029】
よって、版胴8の開口部14がブランケット胴9の開口部と対向する位置でモータを起動することにより、マッシュルームギヤ54と噛み合う弧状ギヤ部50を通じて回動板49が回転軸40を中心に所定方向へ回転して偏芯軸受部47を回転させることにより、回転軸40を振らせて版圧を入れたり解除したりできるようになっている。
【0030】
また、回転軸40の軸端部にはロータリジョイント37が嵌め込まれている。ロータリジョイント37は回転軸40の軸孔41に連通して冷却媒体を軸外へ排出するものであり、回転軸40の回転位置によらずに、排出口38が一定の向きになるように嵌め込まれている。排出口38には図示しないホースなどが嵌め込まれて冷却媒体が版胴8を循環するようになっている。
【0031】
以上、本発明の好適な実施例について述べてきたが、本発明は上述した各実施例に限定されるのものではなく、例えば、冷却媒体は水に限らず他の液材でも良く、冷却媒体は循環させる場合に限らずシリンダーの貫通孔のうち刷版に相当する部分のみに密閉するようにしても良い等、法の精神を逸脱しない範囲で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係る版胴は、上述したように、シリンダーの刷版が巻き付けられる胴部に軸方向にハニカム形状の貫通孔が穿孔され、軸本体に設けられた軸孔と貫通孔とを連通する連通路が、シリンダーの両端部に径方向に形成されているので、軸孔から連通路を通じて貫通孔へ冷却媒体を循環可能に充填することにより版面を冷却することができる。また、シリンダーに軸方向にハニカム形状の貫通孔が穿孔されているので、シリンダーの径方向の肉厚が均一化されており胴部の表面温度を均一になるよう冷却することができる。
また、一方の軸端部の軸孔から連通路を通じてシリンダーの貫通孔に送り込まれた冷却媒体が連通路を通じて他方の軸端部の軸孔へ送り出される循環路を循環するようになっているので、冷却媒体を常に冷却しておくことで、版胴を連続使用しても冷却効果を維持することができ、版面の温度を一定に保つことができる。よって、インキの特性を安定させることができる。
また、シリンダーにハニカム状に複数形成された貫通孔のうち、刷版が巻き付けられる外周エリアと同心状に形成された貫通孔にのみに冷却媒体を充填することができるため、版面に相当する胴部を集中的に冷却することができ、版面の温度を一定にすることができる。
また、シリンダー及びその両端部に取り付けられたフランジ部が軸本体である回転軸と一体に組み付けられ、該回転軸の両端が偏芯軸受部に回転可能に支持されている場合には、版胴が回転する際に、シリンダー、フランジ部、回転軸及びシール材が一体となって回転するので、回転軸とシール材が摺接せずシール材の摩耗によるメンテナンスは不要となり、耐久性が向上する。
また、上述した版胴を備えたオフセット印刷機においては、刷版の温度を一定にすることができるので、インキの特性が変化することがなく高画像品位を維持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】版胴の軸方向中心部の断面説明図、矢印A−A断面図、矢印B−B断面図及び偏芯軸部の一端部を示す説明図である。
【図2】偏芯軸部の一端側軸受部の説明図である。
【図3】オフセット印刷機の概略構成を示す説明図である。
【図4】他例に係る回転軸の一端側軸受部の説明図である。
【符号の説明】
1 オフセット印刷機
2 インキ壷
3 インキフォンテンローラ
4 インキディストリビュータ
5 インキ送りローラ
6 インキ練りローラ群
7 付けローラ
8 版胴
9 ブランケット胴
10 圧胴
11 見当装置
12 排出装置
13 シリンダー
14 開口部
15 貫通孔
16 フランジ部
17 ベアリング部
18 偏芯軸
19、35 ブッシュ
20 軸本体
21 軸端部
22 装置フレーム
23 軸受部
24、39 軸孔
25、42 連絡孔
26、43、44 連通路
27 シール材
28 ギヤ部
29 圧入解除機構
30 圧入解除板
31、50、56 弧状ギヤ部
32 支持軸
33 錨状ギヤ
34、55 嵌合ギヤ部
35 外周ギヤ部
36 ピニオンギヤ
37 ロータリジョイント
38 排出口
39 ブッシュ
40 回転軸
41 軸孔
45 軸受ハウジング部
46 第1のベアリング
47 偏芯軸受部
48 第2のベアリング
49 回動板
51 カバー部材
52、57 シール材
53 回転シャフト
54 マッシュルームギヤ
Claims (7)
- 軸本体に支持されたシリンダーの周面に刷版が巻き付けられ、該刷版に塗付されたインキ像をブランケット胴に転写する版胴において、
前記シリンダーの周面部の一部が切り欠かれた開口部が形成され、前記刷版が巻き付けられる胴部に軸方向にハニカム形状の貫通孔が穿孔され、
前記軸本体に設けられた軸孔と前記貫通孔とを連通する連通路が、前記シリンダーの両端部に径方向に形成されていることを特徴とする版胴。 - 前記シリンダー及びその両端部に取り付けられたフランジ部が軸本体に対して回転可能に支持され、前記連通路はシリンダーの両端部とフランジ部との間に形成されていることを特徴とする請求項1記載の版胴。
- 前記軸本体の軸孔は該軸本体の両端に偏芯して形成された軸端部の軸孔と連通するよう偏芯して形成されており、一方の軸端部の軸孔から連通路を通じてシリンダーの貫通孔に送り込まれた冷却媒体が連通路を通じて他方の軸端部の軸孔へ送り出される循環路を循環するようになっていることを特徴とする請求項2記載の版胴。
- 前記シリンダー及びその両端部に取り付けられたフランジ部が軸本体である回転軸と一体に組み付けられ、該回転軸の両端が回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1記載の版胴。
- 前記連通路はシリンダーの両端部とフランジ部との間に形成されており、前記回転軸の一端側の軸孔から連通路を通じてシリンダーの貫通孔に送り込まれた冷却媒体が連通路を通じて他端側の軸孔へ送り出される循環路を循環するようになっていることを特徴とする請求項4記載の版胴。
- 前記シリンダーの胴部に複数形成された貫通孔のうち、刷版が巻き付けられる外周エリアと同心状に形成された貫通孔のみに冷却媒体が循環可能に満たされていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の版胴。
- 請求項1乃至請求項6のうちいずれか1記載の版胴を備えたことを特徴とするオフセット印刷機。
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JP2002209711A JP2004050551A (ja) | 2002-07-18 | 2002-07-18 | 版胴及びオフセット印刷機 |
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- 2002-07-18 JP JP2002209711A patent/JP2004050551A/ja active Pending
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